IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ セイコーエプソン株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-三次元造形物の製造方法 図1
  • 特開-三次元造形物の製造方法 図2
  • 特開-三次元造形物の製造方法 図3
  • 特開-三次元造形物の製造方法 図4
  • 特開-三次元造形物の製造方法 図5
  • 特開-三次元造形物の製造方法 図6
  • 特開-三次元造形物の製造方法 図7
  • 特開-三次元造形物の製造方法 図8
  • 特開-三次元造形物の製造方法 図9
  • 特開-三次元造形物の製造方法 図10
  • 特開-三次元造形物の製造方法 図11
  • 特開-三次元造形物の製造方法 図12
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024158128
(43)【公開日】2024-11-08
(54)【発明の名称】三次元造形物の製造方法
(51)【国際特許分類】
   B29C 64/40 20170101AFI20241031BHJP
   B29C 64/118 20170101ALI20241031BHJP
   B29C 64/386 20170101ALI20241031BHJP
   B33Y 10/00 20150101ALI20241031BHJP
   B33Y 50/00 20150101ALI20241031BHJP
【FI】
B29C64/40
B29C64/118
B29C64/386
B33Y10/00
B33Y50/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023073070
(22)【出願日】2023-04-27
(71)【出願人】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000028
【氏名又は名称】弁理士法人明成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山▲崎▼ 茂
【テーマコード(参考)】
4F213
【Fターム(参考)】
4F213AC01
4F213AC04
4F213WA25
4F213WB01
4F213WL02
4F213WL62
4F213WL85
4F213WL96
(57)【要約】
【課題】三次元造形物からサポート構造を除去する負担を軽減可能な技術を提供する。
【解決手段】本開示の第1の形態によれば、吐出部から材料を吐出して層を積層方向に積層することで、造形物、及び、造形物を支持するためのサポート領域の少なくとも一部にサポート構造を造形する、三次元造形物の製造方法が提供される。この製造方法は、外部に露出する表面に凹形状を有するサポート構造を、サポート領域の少なくとも一部に造形する第1工程、及び、サポート領域からはみ出す凸形状を表面に有するサポート構造を、サポート領域の少なくとも一部に造形する第2工程、のうち少なくともいずれかの工程を有する。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
吐出部から材料を吐出して層を積層方向に積層することで、造形物、及び、前記造形物を支持するためのサポート領域の少なくとも一部にサポート構造を造形する、三次元造形物の製造方法であって、
外部に露出する表面に凹形状を有する前記サポート構造を、前記サポート領域の少なくとも一部に造形する第1工程、及び、
前記サポート領域からはみ出す凸形状を前記表面に有する前記サポート構造を、前記サポート領域の少なくとも一部に造形する第2工程、のうち少なくともいずれかの工程を有する、
三次元造形物の製造方法。
【請求項2】
請求項1に記載の三次元造形物の製造方法であって、
前記材料を吐出しながら前記サポート構造を造形するための前記吐出部の移動経路を表すパス情報を含む第1データを取得する取得工程と、
前記第1データに基づいて、前記表面に前記凹形状又は前記凸形状を有する前記サポート構造を造形するためのサポートデータを生成する生成工程と、を有し、
前記生成工程では、前記第1データからパス情報の一部を削除もしくは変更すること、又は、前記第1データにパス情報を追加することによって、前記第1データから前記サポートデータを生成する、三次元造形物の製造方法。
【請求項3】
請求項2に記載の三次元造形物の製造方法であって、
前記パス情報は、前記サポート構造の輪郭を造形するための輪郭パス情報を含み、
前記生成工程では、前記凹形状を造形するためのサポートデータを生成する場合に、前記輪郭パス情報の一部を、前記材料を吐出させずに前記吐出部を移動させるためのトラベルパス情報に変更する、又は、前記輪郭パス情報の一部を削除する、三次元造形物の製造方法。
【請求項4】
請求項2に記載の三次元造形物の製造方法であって、
前記パス情報は、前記サポート構造の輪郭を造形するための輪郭パス情報を含み、
前記生成工程では、前記凹形状又は前記凸形状を造形するためのサポートデータを生成する場合に、前記輪郭パス情報によって表される輪郭の一部が、前記凹形状又は前記凸形状に沿った輪郭になるように、前記輪郭パス情報を変更する、三次元造形物の製造方法。
【請求項5】
請求項2に記載の三次元造形物の製造方法であって、
前記生成工程では、前記サポート領域を複数の領域に分割し、分割された領域毎に、前記サポート構造を造形するための前記サポートデータを生成し、
前記生成工程では、前記表面のうち、最も表面積の大きい表面に、前記凹形状又は前記凸形状を有する前記サポート構造を造形するための前記サポートデータを生成する、三次元造形物の製造方法。
【請求項6】
請求項1に記載の三次元造形物の製造方法であって、
前記第1工程では、前記凹形状を前記サポート構造の前記表面の中心よりも上部に造形し、
前記第2工程では、前記凸形状を前記サポート構造の前記表面の中心よりも下部に造形する、三次元造形物の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、三次元造形物の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、第1の層構造体と第1の支持構造体との上に第2の層構造体を形成するステップと、第2の層構造体から第1の支持構造体を除去するステップとを有する付加製造のための方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-511990号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1における第1支持構造体のように、造形物を支持するサポート構造を形成することで、造形物の形状崩れを防いで精密に造形を行うことができる。しかし、サポート構造を形成した場合、サポート構造の除去に手間が掛かり、ユーザーの負担となる場合があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の第1の形態によれば、吐出部から材料を吐出して層を積層方向に積層することで、造形物、及び、前記造形物を支持するためのサポート領域の少なくとも一部にサポート構造を造形する、三次元造形物の製造方法が提供される。この製造方法は、外部に露出する表面に凹形状を有する前記サポート構造を、前記サポート領域の少なくとも一部に造形する第1工程、及び、前記サポート領域からはみ出す凸形状を前記表面に有する前記サポート構造を、前記サポート領域の少なくとも一部に造形する第2工程、のうち少なくともいずれかの工程を有する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】第1実施形態における三次元造形システムの概略構成を示す説明図である。
図2】フラットスクリューの概略構成を示す斜視図である。
図3】バレルの概略平面図である。
図4】三次元造形装置が造形物を造形する様子を模式的に示す説明図である。
図5】情報処理装置の概略構成を示す説明図である。
図6】造形データの例を示す説明図である。
図7】三次元造形システムにおいて実行される造形処理のフローチャートである。
図8】サポートデータの生成方法を示す説明図である。
図9】サポートデータの他の生成方法を示す説明図である。
図10】凹形状の形成位置の他の例を示す図である。
図11】第2実施形態における造形データの例を示す説明図である。
図12】第2実施形態におけるサポートデータの生成方法を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
A.第1実施形態:
図1は、第1実施形態における三次元造形システム10の概略構成を示す説明図である。図1には、互いに直交するX,Y,Z方向を示す矢印が示されている。X方向及びY方向は、水平面に平行な方向であり、Z方向は、鉛直上向きに沿った方向である。X,Y,Z方向を示す矢印は、他の図においても、図示の方向が図1と対応するように適宜、図示してある。以下の説明において、方向の向きを特定する場合には、各図において矢印が指し示す方向を「+」、その反対の方向を「-」として、方向表記に正負の符合を併用する。以下では、+Z方向のことを「上」、-Z方向のことを「下」ともいう。
【0008】
三次元造形システム10は、三次元造形装置100と情報処理装置400とを備えている。本実施形態の三次元造形装置100は、材料押出方式によって造形物を造形する装置である。三次元造形装置100は、三次元造形装置100の各部を制御するための制御部300を備えている。制御部300と情報処理装置400とは、相互に通信可能に接続されている。
【0009】
三次元造形装置100は、造形材料を生成して吐出する造形部110と、造形物の基台となる造形用のステージ210と、造形材料の吐出位置を制御する移動機構230とを備える。
【0010】
造形部110は、制御部300の制御下において、固体状態の材料を可塑化させた造形材料をステージ210上に吐出する。造形部110は、造形材料に転化される前の原材料の供給源である材料供給部20と、原材料を造形材料へと転化させる可塑化部30と、造形材料を吐出する吐出部60とを備える。
【0011】
材料供給部20は、可塑化部30に、原材料MRを供給する。材料供給部20は、例えば、原材料MRを収容するホッパーによって構成される。材料供給部20は、連通路22を介して、可塑化部30に接続されている。原材料MRは、ペレットや粉末の形態で材料供給部20に投入される。原材料MRとしては、例えば、ABS(アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン)やPEEK(ポリエーテルエーテルケトン)、PP(ポリプロピレン)などの樹脂材料が用いられる。また、原材料MRは、金属と樹脂とを含む材料や、セラミックと樹脂とを含む材料であってもよい。
【0012】
可塑化部30は、材料供給部20から供給された原材料MRを可塑化させて流動性を発現させたペースト状の造形材料を生成し、吐出部60へと導く。本実施形態において「可塑化」とは 、溶融を含む概念であり、固体から流動性を有する状態に変化させることである。具体的には、ガラス転移が起こる材料の場合、可塑化とは、材料の温度をガラス転移点以上にすることである。ガラス転移が起こらない材料の場合、可塑化とは、材料の温度を融点以上にすることである。
【0013】
可塑化部30は、スクリューケース31と、駆動モーター32と、フラットスクリュー40と、バレル50と、を有する。フラットスクリュー40は、ローターあるいはスクロールとも呼ばれる。バレル50は、スクリュー対面部とも呼ばれる。
【0014】
フラットスクリュー40は、スクリューケース31内に収納されている。フラットスクリュー40の上面47は駆動モーター32に連結されており、フラットスクリュー40は、駆動モーター32が発生させる回転駆動力によって、スクリューケース31内で回転する。駆動モーター32は、制御部300の制御下において駆動する。なお、フラットスクリュー40は、減速機を介して駆動モーター32によって駆動されてもよい。
【0015】
図2は、フラットスクリュー40の下面48側の概略構成を示す斜視図である。図2に示したフラットスクリュー40は、技術の理解を容易にするため、図1に示した上面47と下面48との位置関係を、鉛直方向において逆向きとした状態で示されている。フラットスクリュー40は、その中心軸に沿った方向である軸線方向における長さが、軸線方向に垂直な方向における長さよりも小さい略円柱状を有する。フラットスクリュー40は、その回転中心となる回転軸RXがZ方向に平行になるように配置される。
【0016】
フラットスクリュー40の、回転軸RXと交差する面である下面48には、渦状の溝部42が形成されている。上述した材料供給部20の連通路22は、フラットスクリュー40の側面から、当該溝部42に連通する。本実施形態では、溝部42は、凸条部43によって隔てられて3本分形成されている。なお、溝部42の数は、3本に限られず、1本でもよいし、2本以上であってもよい。溝部42は、渦状に限らず、螺旋状あるいはインボリュート曲線状であってもよいし、中央部から外周に向かって弧を描くように延びる形状であってもよい。
【0017】
図1に示すように、フラットスクリュー40の下面48は、バレル50の上面52に対面しており、フラットスクリュー40の下面48の溝部42と、バレル50の上面52との間には空間が形成される。フラットスクリュー40とバレル50との間のこの空間には、材料供給部20から図2に示した材料流入口44を通じて原材料MRが供給される。
【0018】
バレル50には、回転しているフラットスクリュー40の溝部42内に供給された原材料MRを加熱するためのバレルヒーター58が埋め込まれている。バレル50の中心には連通孔56が設けられている。
【0019】
図3は、バレル50の上面52側を示す概略平面図である。バレル50の上面52には、連通孔56に接続され、連通孔56から外周に向かって渦状に延びている複数の案内溝54が形成されている。なお、案内溝54の一端は、連通孔56に接続されていなくてもよい。また、案内溝54は省略することも可能である。
【0020】
フラットスクリュー40の溝部42内に供給された原材料MRは、溝部42内において可塑化されながら、フラットスクリュー40の回転によって溝部42に沿って流動し、造形材料としてフラットスクリュー40の中央部46へと導かれる。中央部46に流入した流動性を発現しているペースト状の造形材料は、バレル50の中心に設けられた連通孔56を介して吐出部60に供給される。なお、造形材料では、造形材料を構成する全ての種類の物質が可塑化していなくてもよい。造形材料は、造形材料を構成する物質のうちの少なくとも一部の種類の物質が可塑化することによって、全体として流動性を有する状態に転化されていればよい。
【0021】
図1の吐出部60は、造形材料を吐出するノズル61と、フラットスクリュー40とノズル開口62との間に設けられた造形材料の流路65と、造形材料の吐出を制御する吐出制御部77を備える。
【0022】
ノズル61は、流路65を通じて、バレル50の連通孔56に接続されている。ノズル61は、可塑化部30において生成された造形材料を、先端のノズル開口62からステージ210に向かって吐出する。
【0023】
吐出制御部77は、流路65を開閉する吐出調整部70と、造形材料を吸引して一時的に貯留する吸引部75とを備える。
【0024】
吐出調整部70は、流路65内に設けられており、流路65内で回転することにより流路65の開度を変化させる。本実施形態において、吐出調整部70は、バタフライバルブによって構成されている。吐出調整部70は、制御部300による制御下において、第1駆動部74によって駆動される。第1駆動部74は、例えば、ステッピングモーターによって構成される。制御部300は、第1駆動部74を用いて、バタフライバルブの回転角度を制御することによって、可塑化部30からノズル61に流れる造形材料の流量、つまり、ノズル61から吐出される造形材料の吐出量を調整することができる。吐出調整部70は、造形材料の吐出量を調整可能であると共に、造形材料の流出のオン/オフを制御可能である。
【0025】
吸引部75は、流路65において吐出調整部70とノズル開口62との間に接続されている。吸引部75は、ノズル61からの造形材料の吐出停止時に、流路65中の造形材料を一時的に吸引することによって、造形材料がノズル開口62から糸を引くように垂れる尾引き現象を抑制する。本実施形態において、吸引部75は、プランジャーにより構成されている。吸引部75は、制御部300による制御下において、第2駆動部76によって駆動される。第2駆動部76は、例えば、ステッピングモーターや、ステッピングモーターの回転力をプランジャーの並進運動に変換するラックアンドピニオン機構等によって構成される。
【0026】
ステージ210は、ノズル61のノズル開口62に対向する位置に配置されている。第1実施形態では、ノズル61のノズル開口62に対向するステージ210の造形面211は、X,Y方向、すなわち水平方向に平行となるように配置される。ステージ210には、ステージ210上に吐出された造形材料が急激に冷却することを抑制するためのステージヒーター212が備えられている。ステージヒーター212は制御部300によって制御される。
【0027】
移動機構230は、制御部300の制御下において、ステージ210とノズル61との相対位置を変化させる。本実施形態では、ノズル61の位置が固定されており、移動機構230は、ステージ210を移動させる。移動機構230は、3つのモーターの駆動力によって、ステージ210をX,Y,Z方向の3軸方向に移動させる3軸ポジショナーによって構成される。本明細書において、特に断らない限り、ノズル61の移動とは、ノズル61や吐出部60をステージ210に対して相対的に移動させることを意味する。
【0028】
なお、他の実施形態では、移動機構230によってステージ210を移動させる構成の代わりに、ステージ210の位置が固定された状態で、移動機構230がステージ210に対してノズル61を移動させる構成が採用されてもよい。また、移動機構230によってステージ210をZ方向に移動させ、ノズル61をX,Y方向に移動させる構成や、移動機構230によってステージ210をX,Y方向に移動させ、ノズル61をZ方向に移動させる構成が採用されてもよい。これらの構成であっても、ノズル61とステージ210との相対的な位置関係が変更可能である。
【0029】
制御部300は、三次元造形装置100全体の動作を制御する制御装置である。制御部300は、1つ、又は、複数のプロセッサー310と、主記憶装置や補助記憶装置からなる記憶装置320と、外部との信号の入出力を行う入出力インターフェイスとを備えるコンピューターによって構成される。プロセッサー310は、記憶装置320に記憶されたプログラムを実行することによって、情報処理装置400から取得された造形データに従い、造形部110及び移動機構230を制御して、ステージ210上に造形物の造形を行う。なお、制御部300は、コンピューターによって構成される代わりに、回路を組み合わせた構成により実現されてもよい。
【0030】
図4は、三次元造形装置100が造形物を造形する様子を模式的に示す説明図である。三次元造形装置100では、上述したように、固体状態の原材料MRが可塑化されて造形材料MMが生成される。制御部300は、ステージ210の造形面211とノズル61との距離を保持したまま、ステージ210の造形面211に沿った方向に、ステージ210に対するノズル61の位置を変えながら、ノズル61から造形材料MMを吐出させる。ノズル61から吐出された造形材料MMは、ノズル61の移動方向に連続して堆積されていく。
【0031】
制御部300は、ノズル61の移動を繰り返して層MLを形成する。制御部300は、1つの層MLを形成した後、ステージ210に対するノズル61の位置を、積層方向であるZ方向に相対移動させる。そして、これまでに形成された層MLの上に、更に層MLを積み重ねることによって造形物を造形していく。
【0032】
制御部300は、例えば、一層分の層MLを完了した場合のノズル61のZ方向への移動や、各層で独立する複数の造形領域がある場合には、ノズル61からの造形材料の吐出を一時的に中断させることがある。この場合、吐出調整部70によって流路65を閉塞させて、ノズル開口62からの造形材料MMの吐出を停止させ、吸引部75によって、ノズル61内の造形材料を一時的に吸引する。制御部300は、ノズル61の位置を変更した後、吸引部75内の造形材料を排出しつつ吐出調整部70によって流路65を開くことによって、変更後のノズル61の位置から造形材料MMの堆積を再開させる。
【0033】
図5は、情報処理装置400の概略構成を示す説明図である。情報処理装置400は、CPU410とメモリー420と記憶装置430と通信インターフェイス440と入出力インターフェイス450とがバス460によって相互に接続されたコンピューターとして構成されている。入出力インターフェイス450には、キーボードやマウスなどの入力装置470と、液晶ディスプレイなどの表示装置480とが接続されている。情報処理装置400は、通信インターフェイス440を介して、三次元造形装置100の制御部300に接続される。
【0034】
CPU410は、記憶装置430に記憶されたプログラムを実行することによって、データ生成部411として機能する。
【0035】
データ生成部411は、造形物とサポート構造とを造形するための造形データを生成する。サポート構造は、造形物を支持するためのサポート領域の少なくとも一部に造形される構造体である。
【0036】
図6は、データ生成部411によって生成される造形データの例を示す説明図である。造形データは、造形物MDの本体を造形するための本体データと、サポート構造SSを造形するためのサポートデータとを含む。図6には、造形物MDの形状として、アルファベットの「F」という文字を表す造形物MDの形状が示されている。造形物MDは、第1オーバーハング部OB1と第2オーバーハング部OB2とを有している。オーバーハング部とは、造形物MDのうちの下方に支えのない出っ張りの部分をいう。図6では、サポート構造SSを破線で示している。図6に示した例では、サポート構造SSは、第1サポート構造SS1と第2サポート構造SS2と第3サポート構造SS3とに分割されている。第1サポート構造SS1と第2サポート構造SS2と第3サポート構造SS3とは、それぞれ、直方体状である。第1サポート構造SS1は、造形物MDの第1オーバーハング部OB1と第2オーバーハング部OB2との間の領域に配置されている。第2サポート構造SS2は、造形物MDの第2オーバーハング部OB2と、ステージ210の造形面211に対応する最下面LSとの間の領域に配置されている。第3サポート構造SS3は、第1オーバーハング部OB1と最下面LSとの間の領域に配置されている。
【0037】
図6に示した各サポート構造SSは、外部に露出する表面に、凹形状DSを有している。図6には、多角形状の凹形状DSを示している。図6に示すように、凹形状DSの上部は、三角状に形成されていることが好ましい。このような形状であれば、凹形状DSの上方に堆積された造形材料の重みによって凹形状が崩れることを抑制できる。なお、凹形状DSは、角穴形状でもよいし、丸穴形状であってもよい。
【0038】
データ生成部411は、図6のような形状を有する凹形状DSが、その上方に堆積される造形材料の重みに耐えられるか否かを、造形材料の粘度や、上部の三角形の頂点の角度、穴の深さ、穴の高さ、穴の幅などに基づいて自動的に判別してもよい。データ生成部411は、凹形状DSが造形に耐えられないと判断した場合、表示装置480を通じてユーザーに警告を行ってもよい。
【0039】
情報処理装置400は、データ生成部411によって生成された造形データを、三次元造形装置100の制御部300に送信する。制御部300は、受信した造形データに従って、吐出部60及び移動機構230を制御して、材料を吐出して層MLを積層方向に積層することで、造形物MD、及び、サポート構造SSをステージ210上に造形する。
【0040】
図7は、三次元造形システム10において実行される造形処理のフローチャートである。この造形処理は、三次元造形物の製造方法を実現するための処理である。図7に示すステップS10~S60の処理は、情報処理装置400において実行され、ステップS70~ステップS80の処理は、三次元造形装置100において実行される。
【0041】
ステップS10において、情報処理装置400のデータ生成部411は、他のコンピューター、記録媒体、あるいは、記憶装置430から、造形物MDの三次元形状を表す形状データを取得する。形状データは、三次元CADソフトや三次元CGソフト等を用いて作成された三次元造形物の形状を表すデータである。形状データとしては、例えば、STL形式やAMF形式等のデータを用いることができる。
【0042】
ステップS20において、データ生成部411は、サポート領域を特定する。このステップS20において、データ生成部411は、まず、ステップS10で取得した形状データを解析して、サポート構造SSを配置可能なサポート領域の範囲を決定する。具体的には、データ生成部411は、造形物MDのオーバーハング部の下方に、サポート領域を設定する。本実施形態において、オーバーハング部の意味には、ブリッジ部も含む。ブリッジ部とは、造形物MDにおいて両端が支持された橋状の部分を指す。本実施形態では、データ生成部411は、サポート領域を、本体データの凹凸形状に応じて、複数の直方体状の領域に分割する。図6に示した例では、第1サポート構造SS1、第2サポート構造SS2、及び、第3サポート構造SS3が生成される領域が、それぞれ、分割されたサポート領域である。これらのサポート領域は、凸形状を有する第2オーバーハング部OB2によって区切られている。サポート領域を分割するか否かは、ユーザーによって設定可能であってもよい。
【0043】
ステップS30において、データ生成部411は、造形物MDを造形するための本体データと、サポート構造SSを造形するための第1データを生成する。
【0044】
本体データの生成にあたり、データ生成部411は、ステップS10で取得した形状データを解析して、造形物MDの形状をXY平面に沿って複数の層にスライスする。そして、データ生成部411は、各層の輪郭を形成すると共にその内部領域を予め定められた充填率や造形パターンで埋めるためのノズル61の移動経路を表すパス情報を生成する。以下では移動経路のことをパスともいう。パス情報は、直線状の複数の移動経路を表すデータを含んでいる。パス情報に含まれる各移動経路には、その移動経路において吐出される造形材料の吐出量を表す吐出量情報が含まれる。データ生成部411は、造形物MDの全ての層についてパス情報及び吐出量情報を生成することによって本体データを生成する。本体データは、例えば、Gコードによって表される。
【0045】
第1データの生成にあたり、データ生成部411は、ステップS20で特定したサポート領域をXY平面に沿って複数の層にスライスする。そして、データ生成部411は、各層の輪郭を形成すると共にその内部領域を予め定められた充填率や造形パターンで埋めるためのノズル61の移動経路を表すパス情報を生成する。パス情報は、直線状の複数の移動経路を表すデータを含んでいる。パス情報に含まれる各移動経路には、その移動経路において吐出される造形材料の吐出量を表す吐出量情報が含まれる。データ生成部411は、サポート領域内の全ての層についてパス情報を生成することによって第1データを生成する。第1データは、例えば、Gコードによって表される。データ生成部411は、サポート領域が複数の領域に分割されている場合、それぞれの領域について、個別に第1データを生成する。ステップS30で生成される第1データには、凹形状DSを造形するためのパス情報は含まれていない。
【0046】
データ生成部411は、ステップS30において生成された本体データ及び第1データを記憶装置320に記憶させる。
【0047】
ステップS40において、データ生成部411は、凹形状DSを造形する位置を特定する。データ生成部411は、サポート領域が複数に分割されている場合、それぞれの領域について、それぞれ、凹形状DSを造形する位置を特定する。本実施形態では、データ生成部411は、各サポート構造SSの外部に露出する表面のうち、最も表面積の大きい表面に、凹形状DSの位置を特定する。
【0048】
本実施形態では、データ生成部411は、各サポート構造SSについて、外部に露出する表面の中心よりも上部の位置に、凹形状DSの位置を特定する。より具体的には、データ生成部411は、外部に露出する表面のZ方向の中心よりも、凹形状DSのZ方向における中心の位置が上方に位置するように、凹形状DSの位置を特定する。ただし、データ生成部411は、造形物MDを造形するための造形材料が凹形状DSに入り込むことによって造形物MDの造形精度が低下しないように、凹形状DSを造形物MDから一定の距離、離して配置することが好ましい。
【0049】
凹形状DSの位置は、ユーザーが任意に指定或いは変更可能であってもよい。ユーザーは、例えば、マウスを用いて表示装置480に表示されている凹形状DSを、ドラッグアンドドロップすることにより、凹形状DSの位置を自由に移動させることができる。
【0050】
ステップS50において、データ生成部411は、ステップS30において生成された第1データを記憶装置320から取得する。そして、ステップS60において、データ生成部411は、取得した第1データに基づいてサポートデータを生成する。サポートデータは、第1データに対して、ステップS40で位置が特定された凹形状DSを付与したデータである。ステップS50のことを取得工程ともいい、ステップS60のことを生成工程ともいう。
【0051】
図8は、サポートデータの生成方法を示す説明図である。図8の上部には、第1データの断面を示している。第1データは、輪郭領域BAと内部領域IAを含んでいる。図8の上部では、内部領域IAが、3周分の移動経路によって構成される輪郭領域BAによって囲われている。以下では、輪郭領域BAを造形するためのパスのことを輪郭パスといい、輪郭パスを表す情報のことを輪郭パス情報という。また、内部領域IAを造形するためのパスのことをインフィルパスといい、インフィルパスを表す情報のことをインフィルパス情報という。サポート構造SSが複数に分割されている場合、分割されたそれぞれのサポート構造SSが、輪郭領域BAと内部領域IAとを個別に有している。なお、輪郭領域BAに含まれる輪郭パスの周数は、3周に限らず、1周、2周、又は、4周以上でもよい。
【0052】
図8の上部において破線で囲われた部分は、ステップS40において特定された凹形状DSの位置を表している。データ生成部411は、サポートデータの生成にあたり、図8の下部に示すように、輪郭パス情報の一部をトラベルパス情報に変更する。図8の下部では、トラベルパスを破線で示している。トラベルパスとは、材料を吐出させずに吐出部60を移動させるためのパスである。トラベルパス情報は、吐出量がゼロである吐出量情報を含むパス情報である。データ生成部411は、内部領域IAの角部に対応する位置に凹形状DSを形成する場合、削除した輪郭パスに沿ったトラベルパスを生成し、削除した輪郭パスの両端を最短距離で結ぶトラベルパスは生成しない。こうすることで、輪郭領域BAの造形時に、吐出部60が内部領域IAに接触することを防止できる。
【0053】
データ生成部411は、図7のステップS60において生成されたサポートデータを、ステップS30で生成した本体データと共に、造形データとして、記憶装置320に記憶させる。
【0054】
ステップS70において、三次元造形装置100の制御部300は、情報処理装置400から、本体データとサポートデータとを含む造形データを取得する。
【0055】
ステップS80において、制御部300は、情報処理装置400から取得した造形データに従って、吐出部60及び移動機構230を制御することによって、ステージ210の造形面211上に、造形物MD及びサポート構造SSを造形する。このステップS80によって、外部に露出する表面に凹形状DSを有するサポート構造SSが、サポート領域の少なくとも一部に造形される。ステップS80のことを、第1工程ともいう。
【0056】
ステップS90において、サポート構造SSが造形物MDから分離される。
【0057】
以上で説明した第1実施形態によれば、外部に露出する表面に凹形状DSを有するサポート構造SSがサポート領域の少なくとも一部に造形されるので、ユーザーは、凹形状DSを利用してサポート構造SSをペンチ等の工具で挟むことにより、サポート構造SSを造形物MDから容易に分離できる。そのため、サポート構造SSを分離する際のユーザーの負担を軽減できる。
【0058】
また、本実施形態では、サポート構造SSを造形するためのパス情報の一部をトラベルパス情報に変更することで、凹形状DSを有するサポートデータを生成する。そのため、全てのパス情報を生成し直すよりも、サポートデータを容易に生成できる。なお、他の実施形態では、パス情報のうち、凹形状DSに該当する部分のパス情報を削除することによって、サポートデータを生成してもよい。この場合、削除したパスの部分を吐出部60が回避するように、パス情報を再生成してもよい。
【0059】
また、本実施形態では、分割されたサポート構造SSの表面のうち、それぞれ、最も表面積の大きい表面に凹形状DSを形成する。そのため、サポートデータ生成時に、凹形状DSをサポート構造SSに容易に配置できる。
【0060】
また、本実施形態では、凹形状DSをサポート構造SSの表面の中心よりも上部に造形する。そのため、凹形状DSが造形材料の重みによって崩れることを抑制できる。この結果、造形物MDを精度よく造形できる。
【0061】
図9は、サポートデータの他の生成方法を示す説明図である。データ生成部411は、図8に示した方法に限らず、図9に示す方法によってもサポートデータを生成可能である。図9の上部には、第1データの断面を示している。図9の上部において破線で囲われた部分は、ステップS40において特定された凹形状DSの位置を表している。データ生成部411は、サポートデータの生成にあたり、図9の下部に示すように、輪郭パス情報によって表される輪郭の一部が、凹形状DSに沿った輪郭になるように、輪郭パス情報を変更する。図9に示した例では、輪郭パス情報だけではなく、インフィルパス情報も凹形状DSに沿った輪郭に変更している。このようにサポートデータを生成すれば、凹形状DSが輪郭領域BAに囲われることになるので、凹形状DSの強度を高めることができる。この結果、凹形状DSを利用して、サポート構造SSを容易に分離できる。
【0062】
図10は、凹形状DSの形成位置の他の例を示す図である。第1実施形態では、各サポート構造SSの表面のうち、最も表面積の大きい表面に、凹形状DSを形成している。これに対して、データ生成部411は、サポート構造SS同士が接触する面に凹形状DSを形成してもよい。この場合、データ生成部411は、各サポート構造SSが分離される順番に従って凹形状DSが外部に露出するように、凹形状DSを形成する面を設定する。サポート構造SSを分離する順番は、ユーザーが設定してもよいし、データ生成部411が、各サポート構造SSの配置や大きさに応じて自動的に設定してもよい。図10に示した例では、各サポート構造SSが分離される前には、第3サポート構造SS3の表面にのみ凹形状DSが現れているため、ユーザーは、まず、第3サポート構造SS3に形成された凹形状DSを用いて第3サポート構造SS3を分離する。そうすると、第1サポート構造SS1に形成された凹形状DSと第2サポート構造SS2に形成された凹形状DSとが露出するため、ユーザーは、第3サポート構造SS3を分離した後に、第1サポート構造SS1と第2サポート構造SS2とをそれぞれの凹形状DSを用いて造形物MDから分離する。こうすることで、ユーザーに対して、各サポート構造SSを分離する順序を明示することができ、意図していない部分からサポート構造SSが分離されることによって造形物MDの形状が崩れることを抑制できる。
【0063】
B.第2実施形態:
第1実施形態では、凹形状DSを有するサポート構造SSをサポート領域に造形する。これに対して、第2実施形態では、凸形状を有するサポート構造SSをサポート領域に形成する。第1実施形態における三次元造形システム10の構成は、第1実施形態と同じである。
【0064】
図11は、第2実施形態においてデータ生成部411によって生成される造形データの例を示す説明図である。図11に示すように、第2実施形態では、各サポート構造SSは、凹形状DSではなく、凸形状CSを備える。凸形状CSは、サポート領域からはみ出すように造形される。
【0065】
第2実施形態では、図7に示した造形処理のステップS40において、データ生成部411は、凸形状CSを造形する位置を特定する。データ生成部411は、サポート領域が複数に分割されている場合、それぞれの領域について、それぞれ、凸形状CSを造形する位置を特定する。本実施形態では、データ生成部411は、各サポート構造SSの外部に露出する表面のうち、最も表面積の大きい表面に、凸形状CSの位置を特定する。
【0066】
本実施形態では、データ生成部411は、各サポート構造SSについて、外部に露出する表面の中心よりも下部の位置に、凸形状CSの位置を特定する。より具体的には、データ生成部411は、外部に露出する表面のZ方向の中心よりも、凸形状CSのZ方向における中心の位置が下方に位置するように、凸形状CSの位置を特定する。
【0067】
凸形状CSの位置は、ユーザーが任意に指定或いは変更可能であってもよい。ユーザーは、例えば、マウスを用いて表示装置480に表示されている凸形状CSを、ドラッグアンドドロップすることにより、凸形状CSの位置を自由に移動させることができる。
【0068】
図7のステップS50において、データ生成部411は、ステップS30において生成された第1データを記憶装置320から取得し、ステップS60において、サポートデータを生成する。サポートデータは、第1データに対して、ステップS40で位置が特定された凸形状CSを付与したデータである。
【0069】
図11に示すように、本実施形態において、凸形状CSは、側方から見て、上底の長さが下底の長さよりも長い逆台形状となっており、サポート構造SSの表面に接する角が90度に形成されている。このような形状であれば、下方から上方にかけて徐々に、水平方向に突出する形状を造形できるので、凸形状CSをサポートするためのサポート構造SSを別途形成する必要がない。なお、凸形状CSの下底は、ステージ210に接触してもよい。なお、凸形状CSの形状は、逆台形に限らず、直方体や、逆三角形、半円でもよい。
【0070】
図12は、第2実施形態におけるサポートデータの生成方法を示す説明図である。データ生成部411は、輪郭パス情報によって表される輪郭の一部を削除し、削除した部分に、パス情報を追加することで、凸形状CSを造形するためのサポートデータを生成する。第2実施形態では、図12に示すように、データ生成部411は、輪郭パス情報によって表される輪郭の一部が、凸形状CSに沿った輪郭になるように輪郭パス情報を変更する。こうすることで、凸形状の強度を高めることができる。図12に示した例では、輪郭パス情報のみが変更されているが、インフィルパス情報も凸形状CSに沿った形状となるように変更してもよい。
【0071】
図7のステップS80において、制御部300は、情報処理装置400から取得した造形データに従って、吐出部60及び移動機構230を制御することによって、ステージ210の造形面211上に、造形物MD及びサポート構造SSを造形する。このステップS80によって、外部に露出する表面に凸形状CSを有するサポート構造SSが、サポート領域の少なくとも一部に造形される。第2実施形態におけるステップS80のことを、第2工程ともいう。
【0072】
以上で説明した第2実施形態によれば、外部に露出する表面に凸形状CSを有するサポート構造SSがサポート領域の少なくとも一部に造形されるので、ユーザーは、凸形状CSをペンチ等の工具で挟むことにより、サポート構造SSを造形物MDから容易に分離できる。そのため、サポート構造SSを分離する際のユーザーの負担を軽減できる。
【0073】
また、本実施形態では、凸形状CSをサポート構造SSの表面の中心よりも下部に造形する。そのため、ステージ210に近い位置に凸形状CSを造形できる。この結果、例えば、凸形状CSの下底がステージ210に接触するように造形することで、凸形状CSを造形するための材料の量を削減できる。
【0074】
C.他の実施形態:
(C1)上記各実施形態では、サポート構造SSが複数に分割されている。これに対して、サポート構造SSは1つだけでもよく、複数に分割されていなくてもよい。
【0075】
(C2)上記各実施形態では、サポート領域の全体にサポート構造SSが造形される例を示している。これに対して、サポート構造SSは、サポート領域の一部に造形されてもよい。
【0076】
(C3)上記第1実施形態では、サポート構造SSに凹形状DSが形成され、第2実施形態では凸形状CSが形成される。これに対して、サポート構造SSには、凹形状DSと凸形状CSの両方が形成されてもよい。
【0077】
(C4)上記各実施形態において、データ生成部411は、第1データに含まれるパス情報の一部を削除したり変更したりすることでサポートデータを生成している。これに対して、データ生成部411は、第1データに基づいて、サポートデータを一から作り直してもよい。一から作り直すとは、例えば、第1データが表すサポート構造SSに凹形状DSや凸形状CSを付与した際に、パス情報によって表される吐出部60の移動経路が最適な経路となるように、輪郭パス情報やインフィルパス情報を生成し直すことである。
【0078】
(C5)上記実施形態では、三次元造形装置100は、造形部110を1つ備えている。これに対して、三次元造形装置100は、2つ以上の造形部110を備えてもよい。例えば、2つの造形部110を備える場合、造形物MDとサポート構造SSとを別の種類の材料によって造形することができる。
【0079】
(C6)上記実施形態において、造形部110は、フラットスクリュー40によって材料を可塑化している。これに対して造形部110は、例えば、インラインスクリューを回転させることによって材料を可塑化するものであってもよい。また、造形部110は、フィラメント状の材料をヒーターで可塑化するものであってもよい。
【0080】
(C7)上記実施形態では、可塑化した材料を積層する材料押出方式を例として説明したが、本開示は、インクジェット方式や、DMD方式(Direct Metal Deposition)、バインダージェット方式等、種々の方式に適用できる。
【0081】
D.他の形態:
本開示は、上述の実施形態に限られるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の構成で実現することができる。例えば、以下に記載する各形態中の技術的特徴に対応する実施形態の技術的特徴は、上述の課題の一部又は全部を解決するために、あるいは、上述の効果の一部又は全部を達成するために、適宜、差し替えや、組み合わせを行うことが可能である。また、その技術的特徴が本明細書中に必須なものとして説明されていなければ、適宜、削除することが可能である。
【0082】
(1)本開示の第1の形態によれば、吐出部から材料を吐出して層を積層方向に積層することで、造形物、及び、前記造形物を支持するためのサポート領域の少なくとも一部にサポート構造を造形する、三次元造形物の製造方法が提供される。この製造方法は、外部に露出する表面に凹形状を有する前記サポート構造を、前記サポート領域の少なくとも一部に造形する第1工程、及び、前記サポート領域からはみ出す凸形状を前記表面に有する前記サポート構造を、前記サポート領域の少なくとも一部に造形する第2工程、のうち少なくともいずれかの工程を有する。このような形態によれば、サポート構造の表面に造形された凹形状又は凸形状を用いることで、サポート構造を造形物から容易に分離できる。この結果、ユーザーの負担を軽減できる。
【0083】
(2)上記形態において、前記材料を吐出しながら前記サポート構造を造形するための前記吐出部の移動経路を表すパス情報を含む第1データを取得する取得工程と、前記第1データに基づいて、前記表面に前記凹形状又は前記凸形状を有する前記サポート構造を造形するためのサポートデータを生成する生成工程と、を有し、前記生成工程では、前記第1データからパス情報の一部を削除もしくは変更すること、又は、前記第1データにパス情報を追加することによって、前記第1データから前記サポートデータを生成してもよい。このような形態によれば、露出した表面に凹形状又は凸形状を有するサポート構造を造形するためのサポートデータを容易に生成できる。
【0084】
(3)上記形態において、前記パス情報は、前記サポート構造の輪郭を造形するための輪郭パス情報を含み、前記生成工程では、前記凹形状を造形するためのサポートデータを生成する場合に、前記輪郭パス情報の一部を、前記材料を吐出させずに前記吐出部を移動させるためのトラベルパス情報に変更する、又は、前記輪郭パス情報の一部を削除してもよい。このような形態によれば、露出した表面に凹形状を有するサポート構造を造形するためのサポートデータを容易に生成できる。
【0085】
(4)上記形態において、前記パス情報は、前記サポート構造の輪郭を造形するための輪郭パス情報を含み、前記生成工程では、前記凹形状又は前記凸形状を造形するためのサポートデータを生成する場合に、前記輪郭パス情報によって表される輪郭の一部が、前記凹形状又は前記凸形状に沿った輪郭になるように、前記輪郭パス情報を変更してもよい。このような形態によれば、凹形状や凸形状の強度を高めることができる。
【0086】
(5)上記形態において、前記生成工程では、前記サポート領域を複数の領域に分割し、分割された領域毎に、前記サポート構造を造形するための前記サポートデータを生成し、前記生成工程では、前記表面のうち、最も表面積の大きい表面に、前記凹形状又は前記凸形状を有する前記サポート構造を造形するための前記サポートデータを生成してもよい。このような形態であれば、分割されたそれぞれのサポート構造に凹形状や凸形状を配置しやすい。
【0087】
(6)上記形態において、前記第1工程では、前記凹形状を前記サポート構造の前記表面の中心よりも上部に造形し、前記第2工程では、前記凸形状を前記サポート構造の前記表面の中心よりも下部に造形してもよい。このような形態によれば、凹形状を造形する場合には、凹形状が材料の重みによって崩れることを抑制でき、凸形状を造形する場合には、凸形状を造形するための材料の消費を抑制できる。
【0088】
本開示は、上述した三次元造形物の製造方法に限らず、三次元造形システム、情報処理装置、コンピュータープログラム、コンピュータープログラムをコンピューターが読み取り可能に記録した一時的でない有形な記録媒体など、種々の態様によって実現することが可能である。
【符号の説明】
【0089】
10…三次元造形システム、20…材料供給部、22…連通路、30…可塑化部、31…スクリューケース、32…駆動モーター、40…フラットスクリュー、42…溝部、43…凸条部、44…材料流入口、46…中央部、47…上面、48…下面、50…バレル、52…上面、54…案内溝、56…連通孔、58…バレルヒーター、60…吐出部、61…ノズル、62…ノズル開口、65…流路、70…吐出調整部、74…第1駆動部、75…吸引部、76…第2駆動部、77…吐出制御部、100…三次元造形装置、110…造形部、210…ステージ、211…造形面、212…ステージヒーター、230…移動機構、300…制御部、310…プロセッサー、320…記憶装置、400…情報処理装置、410…CPU、411…データ生成部、420…メモリー、430…記憶装置、440…通信インターフェイス、450…入出力インターフェイス、460…バス、470…入力装置、480…表示装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12