(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024158129
(43)【公開日】2024-11-08
(54)【発明の名称】折りたたみ階段
(51)【国際特許分類】
E04F 11/035 20060101AFI20241031BHJP
E04H 9/12 20060101ALI20241031BHJP
E04H 9/14 20060101ALI20241031BHJP
【FI】
E04F11/035
E04H9/12
E04H9/14 Z
E04H9/14 B
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023073071
(22)【出願日】2023-04-27
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-06-28
(71)【出願人】
【識別番号】517357826
【氏名又は名称】株式会社シェルタージャパン
(74)【代理人】
【識別番号】100103207
【弁理士】
【氏名又は名称】尾崎 隆弘
(74)【代理人】
【識別番号】100196106
【弁理士】
【氏名又は名称】杉田 一直
(72)【発明者】
【氏名】矢野 昭彦
【テーマコード(参考)】
2E139
2E301
【Fターム(参考)】
2E139AA07
2E139AA15
2E139AA23
2E139AA30
2E139AB22
2E301CC01
2E301CC12
2E301CC21
2E301CC62
2E301CC63
2E301CC64
2E301CC66
2E301CC74
2E301CD31
(57)【要約】
【課題】簡単な設備で容易に地上と地下シェルター間を往来できる折りたたみ階段を提供する。
【解決手段】折りたたみ階段1は、シェルター100の天井101に設けられる開口部110を開閉する扉本体10と、扉本体10と同期して昇降する天井ブロック20と、シェルター100の床102に固定される床ブロック30と、天井ブロック20と床ブロック30の間に配置され、天井ブロック20および床ブロック30に昇降方向D1にスライドできる状態で嵌合する中間ブロック40とを備えている。天井ブロック20は中間ブロック40の方向に延びる天井ブロック上向面21が設けられ、中間ブロック40は中間ブロック下向面42が天井ブロック上向面21に対向して設けられ、扉本体10が昇降する状況下で、天井ブロック上向面21と中間ブロック下向面42が接触するとき、中間ブロック40は天井ブロック20と同期して昇降する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
昇降方向に昇降することで、シェルターの天井に設けられる開口部を開閉する扉本体と、
前記扉本体と支柱を介して接続して前記扉本体と同期して昇降する天井ブロックと、
前記シェルターの床に固定される床ブロックと、
前記天井ブロックと前記床ブロックの間に配置され、前記天井ブロックおよび前記床ブロックに昇降方向にスライドできる状態で嵌合する中間ブロックと、を備え、
前記天井ブロックは前記中間ブロックの方向に延びる天井ブロック上向面が設けられ、
前記中間ブロックは中間ブロック下向面が前記天井ブロック上向面に対向して設けられ、
前記扉本体が昇降する状況下で、前記天井ブロック上向面と前記中間ブロック下向面が接触するとき、前記中間ブロックは前記天井ブロックと同期して昇降する折りたたみ階段。
【請求項2】
前記床ブロックは前記中間ブロックの方向に延びる床ブロック下向面が設けられ、
前記中間ブロックは中間ブロック上向面が前記床ブロック下向面に対向して設けられ、
前記中間ブロックが上昇して、前記床ブロック下向面と前記中間ブロック上向面が接触するとき、前記天井ブロックは前記天井の高さに至る請求項1に記載の折りたたみ階段。
【請求項3】
前記扉本体が前記開口部を閉鎖したとき、前記中間ブロックおよび前記天井ブロックは前記床に接触する請求項2に記載の折りたたみ階段。
【請求項4】
前記天井ブロック、前記中間ブロック、および前記床ブロックの各高さ寸法は同一である請求項3に記載の折りたたみ階段。
【請求項5】
前記天井ブロック上向面と前記中間ブロック下向面との距離は、前記床ブロックと前記中間ブロック上向面との距離と同一である請求項3に記載の折りたたみ階段。
【請求項6】
前記中間ブロックは、前記天井ブロックに昇降方向にスライドできる状態で嵌合する第1中間ブロックと、前記床ブロックに昇降方向にスライドできる状態で嵌合する第2中間ブロックと、前記第1中間ブロック、および前記第2中間ブロックにスライドできる状態で嵌合する接続する折返しブロックとを有し、
前記第1中間ブロックは、前記折返しブロックの方向に延びる第1中間ブロック下向面が設けられ、
前記第2中間ブロックは、前記折返しブロックの方向に延びる第2中間ブロック上向面が設けられ、
前記折返しブロックは、折返しブロック上向面が前記第1中間ブロックに対向して設けられるとともに折返しブロック下向面が前記第2中間ブロック上向面に対向して設けられ、
前記第1中間ブロックが昇降する状況下で、前記第1中間ブロック下向面と前記折返しブロック上向面が接触するとき、前記折返しブロックは前記第1中間ブロックと同期して昇降し、
前記折返しブロックが昇降する状況下で、前記折返しブロック下向面と前記第2中間ブロック上向面が接触したとき、前記第2中間ブロックは前記折返しブロックと同期して昇降する請求項1~5のいずれか1項に記載の折りたたみ階段。
【請求項7】
前記折返しブロック上向面と前記折返しブロック下向面は同一方向に延びる面である請求項6に記載の折りたたみ階段。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シェルターの天井に設けられる開口部を開閉する扉本体と同期して昇降して、扉本体が上昇上限に達したとき階段を構成する折りたたみ階段に関する。
【背景技術】
【0002】
地下シェルターは、本体が地下に埋設されることから、津波、火災などの自然災害に対して極めて安全に避難できる施設である。また、放射線遮蔽性能を容易に高めることが可能であることから、核シェルターとしての利用も期待できる。
【0003】
しかし、地下シェルターの出入りは、重量のあるシェルター扉を開閉して、さらに昇降を伴うことが一般的である。重量のあるシェルター扉の開閉は、多大な労力を要すると考えられる。
【0004】
特許文献1は、パンタグラフ式のリフトを利用して人や物資の安全かつ容易で迅速な避難移動を可能にした防災地下シェルターが提案されている。この地下シェルターは、地上面から掘り込まれた埋設ピット内に設置されるシェルタードッグユニットと、シェルタードッグユニット地上出入口と地下シェルタードッグ地下出入口との間にエレベーターがパンタグラフ式リフト機構で構成されるエレベーター、およびエレベーターを駆動させる蓄電バッテリーが設けられている。さらに、蓄電池の全電力消費時又は商用電源の停電時に手動でクランクを回して空気濾過システムを作動させるバックアップ装置が設けられている。
【0005】
特許文献2は、上部が開放され、四方が壁から成る地下に埋設されたコンクリート製のシェルタードッグに連結した地下シェルターにおいて、シェルタードッグ内の内周寄りの床に固定された1本又は複数本のシェルターレールに沿って昇降駆動装置により上下移動ができる筐体を設けた地下シェルターが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2020-90876号公報
【特許文献2】特開2014-198984号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1で提案されている発明は、地下シェルター内の地下空間に移動しようとすると、防水装甲ドアを開放してエレベーターに乗り込んだ後に、解放した防水装甲ドアを再び閉じてエレベーターで降下する手順を踏む必要がある。さらにエレベーターで降下した後に、中仕切りドアを開閉することを要する。上述のように、地上から地下空間への移動は多くの手順を踏む必要がある。また、防水装甲ドアは、爆風に伴う衝撃波・風圧・振動・放射線・爆弾の破片・ダスト・ガス・火災及び熱・電磁波・洪水に対し、内部を防護する性能を有するものであることから重量の重い扉であると考えられる。このような重量扉の開閉は、大きな負担となる。さらに、階段はシェルター内部の一定空間を常に占有することから、シェルター内部の空間の有効活用が困難である。特許文献2についは、シェルタードッグそのものを昇降させる仕組みであることから、地下シェルターを構成するそれぞれの設備の大規模化は避けられない。
【0008】
本発明は、これらの問題点に着目してなされたものであり、地下シェルターに適用した場合、地下シェルターの内部空間を効率的に利用できて、しかも簡単な設備で容易に地上と地下シェルター間を往来できる折りたたみ階段を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するための発明は、折りたたみ階段であって、昇降方向に昇降することで、シェルターの天井に設けられる開口部を開閉する扉本体と、扉本体と支柱を介して接続して扉本体と同期して昇降する天井ブロックと、シェルターの床に固定される床ブロックと、天井ブロックと床ブロックの間に配置され、天井ブロックおよび床ブロックに昇降方向にスライドできる状態で嵌合する中間ブロックとを備え、天井ブロックは中間ブロックの方向に延びる天井ブロック上向面が設けられ、中間ブロックは中間ブロック下向面が天井ブロック上向面に対向して設けられ、扉本体が昇降する状況下で、天井ブロック上向面と中間ブロック下向面が接触するとき、中間ブロックは天井ブロックと同期して昇降する。
【0010】
この構成によれば、扉本体と同期して昇降する天井ブロックに設けられた天井ブロック上向面が中間ブロック下向面に接触するとき、中間ブロックは天井ブロックと同期して昇降するので、一定要件下において、扉本体を上昇させて開口部を開放したと同時に、シェルターの内外を往来できる階段が設置される状態となる。また、扉本体が開口部を閉鎖したとき、折りたたみ階段が折りたたまれることで、シェルター内の空間の有効活用を図り得る。
【0011】
好ましくは、床ブロックは中間ブロックの方向に延びる床ブロック下向面が設けられ、中間ブロックは中間ブロック上向面が床ブロック下向面に対向して設けられ、中間ブロックが上昇して、床ブロック下向面と中間ブロック上向面が接触するとき、天井ブロックは天井の高さに至る。
【0012】
この構成によれば、中間ブロックが上昇して、床ブロック下向面と中間ブロック上向面が接触するとき、天井ブロックは天井の高さに至るので、扉本体が上昇上限に達した状態において、天井から容易に階段を往来できる。
【0013】
好ましくは、扉本体が開口部を閉鎖したとき、中間ブロックおよび天井ブロックは床に接触する。
【0014】
この構成によれば、扉本体が開口部を閉鎖したとき、中間ブロックおよび天井ブロックは床に接触するので、扉本体が開口部を閉鎖した状況下で、各ブックは静止した安定した状態を保ち得る。
【0015】
好ましくは、天井ブロック、中間ブロック、および床ブロックの各高さ寸法は同一である。
【0016】
この構成によれば、天井ブロック、中間ブロック、および床ブロックの高さは同一であるので、天井ブロック、中間ブロック、および床ブロックが床に接触した状況下で、各ブロックの天面は同一平面に位置する。これによりこの天面を多目的な用途に利用できる。
【0017】
好ましくは、天井ブロック上向面と中間ブロック下向面との間の距離は、床ブロックと中間ブロック上向面との間の距離と同一である。
【0018】
この構成によれば、天井ブロック上向面と中間ブロック下向面との間の距離は、床ブロックと中間ブロック上向面との間の距離と同一であるので、折りたたみ階段を展開したとき、階段の蹴上を揃えることができる。
【0019】
好ましくは、中間ブロックは、天井ブロックに昇降方向にスライドできる状態で嵌合する第1中間ブロックと、床ブロックに昇降方向にスライドできる状態で嵌合する第2中間ブロックと、第1中間ブロック、および第2中間ブロックにスライドできる状態で嵌合する接続する折返しブロックとを有し、第1中間ブロックは、折返しブロックの方向に延びる第1中間ブロック下向面が設けられ、第2中間ブロックは、折返しブロックの方向に延びる第2中間ブロック上向面が設けられ、折返しブロックは、折返しブロック上向面が第1中間ブロックに対向して設けられるとともに折返しブロック下向面が第2中間ブロック上向面に対向して設けられ、第1中間ブロックが昇降する状況下で、第1中間ブロック下向面と折返しブロック上向面が接触するとき、折返しブロックは第1中間ブロックと同期して昇降し、折返しブロックが昇降する状況下で、折返しブロック下向面と第2中間ブロック上向面が接触したとき、第2中間ブロックは折返しブロックと同期して昇降する。
【0020】
この構成によれば、折りたたみ階段を展開したとき、折返しブロックを踊り場とすることができる。
【0021】
好ましくは、折返しブロック上向面と折返しブロック下向面は同一方向に延びる面である。
【0022】
この構成によれば、折返しブロック上向面と折返しブロック下向面は同一方向に延びる面であるので、第1中間ブロックと第2中間ブロックを並列して配置できる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】本実施形態1における、扉本体が開口部を開放する状態の正面断面図である。
【
図2】扉本体が開口部を閉鎖する状態の正面断面図である。同、側面断面図である。
【
図4】(a)、(b)は床ブロックと中間ブロックの嵌合状態を説明する部分図である。
【
図5】支柱とガイドレールの嵌合状態を説明する部分図である。
【
図6】実施形態2における階段構造の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、
図1~5を参照して本発明の折りたたみ階段1を地下シェルター100に適用した実施形態1を詳述する。
【0025】
図1~3に示す通り、地下シェルター100の使用者(図略)が地上と地下との間を登り下りするための折りたたみ階段1は、開口部110を開閉する扉本体10と、扉本体10と同期して昇降する天井ブロック20と、地下シェルター(以後、単にシェルター100と称す)の床102に固定される床ブロック30と、天井ブロック20と床ブロック30の間に配置され、天井ブロック20および床ブロック30に昇降方向D1にスライドできる状態で嵌合する中間ブロック40を備えている。開口部110はシェルター100の天井101に設けられている。扉本体10は、支柱12を介して天井ブロック20に接続しており、昇降方向D1に昇降して、開口部110を開閉する。なお、天井ブロック20、中間ブロック40、および床ブロック30の各高さ寸法Hは互いに同一となるように設定している。各ブロック20、30、40の各上面は使用者の踏み台面として機能する。
【0026】
天井ブロック20は中間ブロック40の方向に延びる天井ブロック上向面21が設けられている。中間ブロック40は中間ブロック下向面42が天井ブロック上向面21に対向して設けられている。扉本体10が昇降する状況下で、天井ブロック上向面21と中間ブロック下向面42が接触するとき、中間ブロック40は天井ブロック20と同期して昇降する。
【0027】
扉本体10は、平面視矩形の平板であり、外縁上端部は突出して階段形状をなしており、突出下向面11が設けられている。突出下向面11は、階段形状を形成する面のうち床102に対向する面である。一方で、開口部110は外縁下端部が突出して、扉本体10の外周部に対応する形状となる階段形状をなしており、突出上向面111が設けられている。突出上向面111は、階段形状を形成する面のうち突出下向面11に対向する面である。突出上向面111と突出下向面11が接触することで、扉本体10の下降は制限されて、開口部110は扉本体10によって閉鎖される。突出下向面11と突出上向面111との間に生じる隙間の水密性能を向上させるために、突出下向面11、あるいは突出上向面111のいずれかにパッキン(図示略)を装着することが好ましい。
【0028】
扉本体10と天井101の厚さはほぼ同じであり、開口部110が扉本体10によって閉鎖されたとき、天井101の上面と扉本体10の上面は、ほぼ面一となっている。ここで、「ほぼ面一」とは、当該技術分野における社会通念上の段差も含み、例えば0~10mm程度の範囲内での段差を含み、段差の全くないフラットな面一も含む概念とする。また、バリアーフリーなどを考慮しない場合には、「ほぼ面一」に限らず、大なり小なりの段差があってもよい(以下同じ)。
【0029】
扉本体10は、鉄筋コンクリート製であるがこれに限るものではない。コンクリート製、鋼製、またコンクリートと鋼板の構成構造のいずれかであってもよい。また扉本体10の厚さとしては、20cm~40cmであることが好ましい。より好ましくは30cm~40cmである。これにより所定の放射線遮蔽性能を具備できる。
【0030】
床ブロック30は、床102に固定されている略直方体の部材であり、階段構造5の一方の端部に配置されている。中間ブロック40に対向する面の上端部から中間ブロック40に向かって突出する床ブロック突出部35が設けられている。
【0031】
天井ブロック20は、支柱12を介して扉本体10に接続されている略直方体の部材であり、階段構造5の他方の端部に配置されている。中間ブロック40に対向する面の上端部から中間ブロック40に向かって突出する天井ブロック突出部25が設けられている。
【0032】
中間ブロック40は一方の端部が床ブロック30に接続し、他方の端部が天井ブロック20に接続する略直方体の部材である。床ブロック30に対向する面の下端部から床ブロック30の方向に突出する中間ブロック第1突出部45が設けられるとともに、天井ブロック20に対向する面の上端部から天井ブロック20に向かって突出する中間ブロック第2突出部46が設けられている。
【0033】
床ブロック突出部35と中間ブロック40はスライドできる状態で嵌合するとともに、中間ブロック第1突出部45と床ブロック30はスライドできる状態で嵌合している(
図4(a)、(b)参照)。具体的には、床ブロック突出部35に昇降方向D1に延びる嵌合凹部38が設けられ、中間ブロック40に嵌合凹部38に対応する嵌合凸部48が設けられている。さらに、中間ブロック第1突出部45に昇降方向D1に延びる嵌合凹部49が設けられ、床ブロック30に嵌合凹部49に対応する嵌合凸部39が設けられている。嵌合凸部48が嵌合凹部38に覆われる状態でスライドできる状態で嵌め込まれるとともに、嵌合凸部39が嵌合凹部49に覆われる状態でスライドできる状態で嵌め込まれることで、中間ブロック40は昇降方向D1にのみ昇降できる。中間ブロック40の上昇は、床ブロック突出部35に設けられる床ブロック下向面31と、中間ブロック第1突出部45に設けられる中間ブロック上向面41が接触することで停止する。なお、床ブロック下向面31は、床102に対向する平面であり、中間ブロック上向面41は、天井101に対向する平面である。
【0034】
天井ブロック突出部25と中間ブロック40はスライドできる状態で嵌合するとともに、中間ブロック第2突出部46と天井ブロック20はスライドできる状態で嵌合している。これらの構成は、上述した床ブロック突出部35と中間ブロック40および、中間ブロック第1突出部45と床ブロック30の構成とほぼ同じであることから説明は省略する。
【0035】
本実施形態1では中間ブロック40は、複数個で構成されているが、個数は特定するものではない。複数個で構成される場合は、隣接するブロック同士は上述した構成と同様の構成でスライドできる状態で嵌合することから、説明は省略する。
【0036】
扉本体10の四隅に4本の支柱12が固定されている。支柱12は、床102に向かって昇降方向D1に延びている。後述する階段ブロック群Mとしての階段構造5が延びる方向に列状に並ぶ2本の支柱12の下端部は、補強材15で補強されている、補強材15と2本の支柱12は下端部で協働してトラス構造を構成している。また補強材15を介して接続される2本の支柱12のうちの一本は、天井ブロック20と接続している。
【0037】
補強材15の下端接合部16のそれぞれに、昇降装置50が接続している(
図3も参照)。昇降装置50はジャッキ51、ピストン52、歯車53およびチェーン55を有している。チェーン55の一端は、補強材15の下端接合部16に接続し、中間部はピストン52の先端部に回転自在に設けられる歯車53に噛み合っており、他端は床102に固定接続している。ジャッキ51を動作してピストン52を上昇させると、チェーン55の一端は、歯車53の回転を許容させながらピストン52の上昇距離の2倍の距離を床102から天井101に向かって昇降方向D1に移動する。
【0038】
扉本体10を昇降方向D1に沿って安定して昇降させるための装置として、4本のガイドレール61が設けられている。ガイドレール61は昇降方向D1に沿って延びるガイド凸部62(
図5参照)を有する部材であり、ガイドレール61の一端は天井101に、他端は床102に固定されている。
【0039】
支柱12は、下端部にガイド凹部17が設けられている。ガイド凹部17は、ガイド凸部62を覆う状態でガイドレール61に相対スライド可能に嵌め込まれている。ガイド凹部17がガイド凸部62に嵌め込まれることで、仮に扉本体10の昇降途中に不測の外力が負荷されたときでも、扉本体10は昇降方向D1以外の移動が制限される。
【0040】
各ブロック20、30、40から成る階段ブロック群Mが床102に載置された状態(
図1の状態)から階段ブロック群Mが昇降方向D1に上昇して階段を構成する状態(
図2の状態)、また、
図2の状態から
図1の状態に戻る過程を説明する。
【0041】
図1における階段ブロック群Mは、床102上に載置されている。このとき、階段ブロック群Mの上面はほぼ面一の状態になっている。また、扉本体10は開口部110を閉鎖している。
【0042】
昇降装置50を動作させてピストン52を上昇させると、ピストン52の上昇とともに歯車53は上昇し、歯車53に噛み合っているチェーン55の先端は昇降方向D1に沿って天井101の方向に移動する。扉本体10、支柱12および支柱12に固定接続する天井ブロック20はこれに同期して昇降方向D1に沿って同方向に移動する。扉本体10の上方移動に伴い開口部110が開放される。チェーン55の先端の移動距離は、ピストン52の移動距離の2倍となる。これにより、ピストン52の上昇のみで天井ブロック20を開口部110に至る高さまで上昇させることができる。
【0043】
天井ブロック20が上昇して、天井ブロック20の上面が中間ブロック40の下面に接触すると中間ブロック40は、天井ブロック20に同期して連鎖状に上昇する。中間ブロック40が複数個で構成される場合は、隣接する中間ブロック40の中間ブロック上向面41と中間ブロック下向面42が接触することで隣接する中間ブロック40同士は連なり状態で同期して上昇する。
【0044】
床ブロック30に隣接する中間ブロック40が上昇して中間ブロック上向面41が床ブロック下向面31に接触するとき中間ブロック40の上昇は制限され、階段ブロック群Mの上昇は停止する。このとき、天井ブロック20は天井101に設けられる突出上向面111に至る高さまで上昇し、床ブロック30は床102上に留まる。
【0045】
図2の状態から昇降装置50を動作させてピストン52を降下させると、ピストン52の降下とともにチェーン55の先端は昇降方向D1に沿って床102の方向に移動する。このとき、扉本体10も開口部110の方向に下方移動し、床ブロック30に連なって隣接する中間ブロック40は昇降方向D1に沿って床102の方向に移動して、床102に接触する。
【0046】
隣接中間ブロック40が順次、床102に接触して最後に天井ブロック20が床102に接触することで
図1の状態に戻る。
【0047】
次に
図6、7を参照して、折りたたみ階段の実施形態2について詳述する。実施形態1と実施形態2は共通する構成が含まれることから、主に異なる構成について説明する。また、実施形態1と同様の構成については同じ符号を付し、異なる構成については200番台の符号を付す。
【0048】
実施形態2に係る折りたたみ階段201は、展開したときコの字型に方向を変えて昇降する階段で、途中に踊り場S(後述する折返しブロック270の上面)が設けられた、いわゆる折り返し階段となるものである。
【0049】
中間ブロック240は、第1中間ブロック250、第2中間ブロック260、および折返しブロック270を有している。第1中間ブロック250は、複数個のブロックで構成されており、一端は床ブロック30に接続し、他端は折返しブロック270に接続している。
【0050】
第2中間ブロック260は、複数個のブロックで構成されており、一端は折返しブロック270に接続し、他端は天井ブロック20に接続している。
【0051】
第1中間ブロック250は、床ブロック30の方向に延びる第1中間ブロック上向面251が設けられるとともに、折返しブロック270の方向に延びる第1中間ブロック下向面252が設けられている。
【0052】
第2中間ブロック260は、天井ブロック20の方向に延びる第2中間ブロック下向面261が設けられるとともに、折返しブロック270の方向に延びる第2中間ブロック上向面262が設けられている。
【0053】
折返しブロック270は、第1中間ブロック250の方向に延びる折返しブロック下向面271が設けられるとともに、第2中間ブロック260の方向に延びる折返しブロック上向面272が設けられている。なお、折返しブロック下向面271と、折返しブロック上向面272は同じ方向に延びている。すなわち、第1中間ブロック250と第2中間ブロック260は並列して列状に配置されている。
【0054】
扉本体10が開口部110を閉鎖する状態で、第1中間ブロック250、第2中間ブロック260、および折返しブロック270の底面は床102に接触している。またそれぞれの上面は、ほぼ面一となっている。
【0055】
上述の状態から、昇降装置50を動作させてピストン52を上昇させると、ピストン52の上昇とともに歯車53に噛み合っているチェーン55の先端は昇降方向D1に沿って天井101の方向に移動する。扉本体10、支柱12および支柱12に固定接続する天井ブロック20はこれに同期して昇降方向D1に沿って同天井方向に展開移動する。
【0056】
天井ブロック20が上昇して、天井ブロック上向面21が第2中間ブロック下向面261に接触すると第2中間ブロック260は、天井ブロック20に連鎖状態で同期して上昇する。第2中間ブロック260が複数個で構成される場合は、隣接する第2中間ブロック260の第2中間ブロック下向面261と第2中間ブロック上向面262とが接触することで隣接する中間ブロック240同士は連なった状態で同期して上昇する。
【0057】
第2中間ブロック上向面262が折返しブロック上向面271に接触すると、折返しブロック270は第2中間ブロック260に同期して上昇する。なお、ブロック20、260、270(30、250、270)同士は実施形態1と同様にスライドできる状態で嵌合している。これにより、これらブロック相互の連結は維持されるものの、連結強化を期して、折返しブロック270を昇降方向D1に沿って上下スライド可能に保持する縦柱を床102に立設することが好ましい。
【0058】
第1中間ブロック250の上昇は、上述の動作とほぼ同じであることから説明は省略する。床ブロック30に隣接する第1中間ブロック250が上昇して第1中間ブロック上向面251が床ブロック下向面31に接触するとき中間ブロック240の上昇は制限され、各ブロック20、30、240を有する階段ブロック群Nの上昇は停止する。このとき、天井ブロック20は天井101に設けられる突出上向面111に至る高さまで上昇している(実施形態1の
図2参照)。
【0059】
上述の状態から、昇降装置50を動作させてピストン52を降下させると、ピストン52の降下とともにチェーン55の先端は昇降方向D1に沿って床102の方向に移動する。このとき、第1中間ブロック250、折返しブロック270、第2中間ブロック260は昇降方向D1に沿って床102の方向に順次に下方移動して、床102に接触する。なお、天井ブロック20が突出上向面111に至るとき、ならびに階段ブロック群Nが床102に接触するとき、すなわち扉本体10による開口部110の開放時および閉鎖時に応じて昇降装置50の動作が停止するようにしている。
【0060】
本実施形態1、2は例示であり、本発明の技術的思想を逸脱しない範囲で改変できることは勿論である。例えば、歯車53の代りにスプロケット(図略)にし、チェーン55の代りにはローラチェーン(図略)を用い、これら部材間の噛み合い変位の円滑化を図ってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0061】
本発明に係る折りたたみ階段は、シェルターの内部空間の効率的な利用が可能となることから、シェルター筐体をコンパクトなものにできる。そのため、狭隘な土地においても地下シェルターの設置が可能となることから産業上の利用可能性は大である。
【符号の説明】
【0062】
1、201 :折りたたみ階段
10 :扉本体
20 :天井ブロック
21 :天井ブロック上向面
30 :床ブロック
31 :床ブロック下向面
40、240 :中間ブロック
41 :中間ブロック上向面
42 :中間ブロック下向面
100 :地下シェルター(シェルター)
101 :天井
102 :床
110 :開口部
250 :第1中間ブロック
251 :第1中間ブロック下向面
260 :第2中間ブロック
262 :第2中間ブロック上向面
270 :折返しブロック
271 :折返しブロック下向面
272 :折返しブロック上向面
D1 :昇降方向