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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024158134
(43)【公開日】2024-11-08
(54)【発明の名称】穀物分離用具
(51)【国際特許分類】
   B02B 7/00 20060101AFI20241031BHJP
   B07B 4/08 20060101ALI20241031BHJP
【FI】
B02B7/00 104A
B07B4/08 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023073078
(22)【出願日】2023-04-27
(71)【出願人】
【識別番号】000129884
【氏名又は名称】株式会社ケット科学研究所
(74)【代理人】
【識別番号】100080528
【弁理士】
【氏名又は名称】下山 冨士男
(74)【代理人】
【識別番号】100073601
【弁理士】
【氏名又は名称】前田 和男
(72)【発明者】
【氏名】山田 祥子
【テーマコード(参考)】
4D021
4D043
【Fターム(参考)】
4D021FA09
4D021GA08
4D021GA16
4D021GA30
4D021HA04
4D043AA02
4D043CB02
4D043FA02
4D043FA10
4D043GA09
4D043GB12
4D043GB22
4D043GB25
4D043GB26
4D043GB27
4D043GB37
4D043GB53
4D043JB05
4D043JD04
(57)【要約】
【課題】一般家庭の消費者が、穀物(籾)から夾雑物(籾殻)を屋内で簡単に分離すると共に、夾雑物の回収を容易かつ安価に行うことを可能とした精選技術を提供する。
【解決手段】本発明の穀物分離用具10は、夾雑物を受け入れる開口13と、受け入れた夾雑物を捕集する通気性を有する袋状容器の設置を可能とする凹状空間12を備える収集部1と、収集部に連設され、吸引装置に接続されることで収集部側の吸引を可能とする通気路21と吸引口22を備える筒状の接続部2と、収集部と接続部の間に設けられた通気可能な仕切り3とから構成されている。この穀物分離用具は、収集部に袋状容器を設置した後、接続部側より吸引をしつつ、収集部の開口を脱皮後(未だ夾雑物が混入した状態)の穀物に向けることで、重い穀物本体は残して軽い夾雑物だけを吸引して収集部に設置した袋状容器内に捕集するものとなっている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
穀物から夾雑物を取り除いて選別する精選作業を行うために用いるものであって、
前記夾雑物を受け入れる開口と、受け入れた夾雑物を捕集する通気性を有する袋状容器の設置を可能とする凹状空間を備える収集部と、
前記収集部に連設され、吸引装置に接続されることで前記収集部側の吸引を可能とする通気路と吸引口を備える筒状の接続部と、
前記収集部と前記接続部の間に設けられた通気可能な仕切りと、
から構成されていることを特徴とする穀物分離用具。
【請求項2】
前記収集部は、前記袋状容器の開口状態を維持する保持手段を備えている、ことを特徴とする請求項1に記載の穀物分離用具。
【請求項3】
前記保持手段は、前記開口の縁部から前記接続部側へ向かう、前記開口付近に設けられた一対の切り込みにより形成される挟持爪である、ことを特徴とする請求項2に記載の穀物分離用具。
【請求項4】
前記収集部又は前記接続部は、前記収集部側から前記接続部側へ流れる空気の流量を調整する吸引風量調整手段を備えている、ことを特徴とする請求項1に記載の穀物分離用具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、穀物から殻や皮などの夾雑物を取り除いて選別する精選(精製)作業を簡単かつ安価に行うようにした穀物分離用具に関する。
【背景技術】
【0002】
従前より、イネの栽培時に少量の籾摺りを行う需要が存在する。例えば、教育機関ではバケツでイネを育てる活動があり、また、一般家庭では家庭菜園でイネを育てる人々がいる。更には籾貯蔵を行い、食べる直前に家庭内で籾摺りをする文化を持つ地域もある。
【0003】
上記に挙げた消費者は、様々な方法で、籾から籾殻を取り除く籾摺りを行っている。籾摺り方法の一例を具体的に説明すると、例えば、回転速度の異なる2つのゴム製ロール(以下、単に「ロール」という。)の間を籾が通り抜ける際、ロールの回転する速度差によって籾殻を摺り落とすようにしている。つまり、籾が2つのロールの間を通過するときに、籾に働く圧力とロールの回転速度の違いによるロールから受ける摩擦によって、籾から強制的に籾殻が剥かれるようになっている。
【0004】
なお、籾から籾殻を取り除く籾摺りのように、穀物から夾雑物を取り除くことは脱皮(だっぷ)とも呼ばれている。
【0005】
ところが、籾摺り(脱皮)された直後は、未だ玄米に籾殻が混入した状態となっている。そのため、消費者は籾摺りに引き続き、混入している籾殻を取り除いて玄米だけを選別し、籾殻と玄米とに分離する精選作業を行う必要がある。その対応策の多くは、風選別機構が付いた市販の籾摺り機を使用するか、扇風機などを用いて籾殻を飛ばす手法となっている(例えば、特許文献1、及び非特許文献1を参照)。
【0006】
しかしながら、籾摺り機は大型で高価であり、少量の籾摺りのために先の消費者が購入するのは些か困難である。また、籾摺り機での摺り初めは風力が乏しく、飛ばされない籾殻が玄米に混入してしまうおそれがあると共に、風で飛ばされた細かい籾殻が周囲に散らばって(散乱して)しまうこともある。一方、扇風機などを用いて籾殻を飛ばす手法の場合、広範囲に籾殻が飛ばされるため、使用が屋外に限定され易く、籾殻の回収や掃除に労力を要するものとなっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】登録実用新案第3165154号公報
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】非電化工房、非電化製品カタログページ、非電化籾摺器II、[2023年4月6日検索]、インターネット<URL:http://www.hidenka.net/hidenkaseihin/momisuriki/index2.htm>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、上記事情に鑑みて成されたものであり、一般家庭の消費者が籾などの穀物から籾殻といった夾雑物を屋内で簡単に分離することができると共に、籾殻(夾雑物)の回収が容易であり、かつ、安価に行うことを可能とした精選技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の穀物分離用具は、穀物から夾雑物を取り除いて選別する精選作業を行うために用いるものであって、前記夾雑物を受け入れる開口と、受け入れた夾雑物を捕集する通気性を有する袋状容器の設置を可能とする凹状空間を備える収集部と、前記収集部に連設され、吸引装置に接続されることで前記収集部側の吸引を可能とする通気路と吸引口を備える筒状の接続部と、前記収集部と前記接続部の間に設けられた通気可能な仕切りと、から構成されていることを特徴とする。
【0011】
本発明の穀物分離用具において、前記収集部は、前記袋状容器の開口状態を維持する保持手段を備えているものとすると望ましい。
【0012】
この保持手段は、例えば、袋状容器の開口縁部を収集部の外側へ向かって折り返した際、この開口縁部を保持するものとすることが出来る。具体的には、前記開口の縁部から前記接続部へ向かう、前記収集部の開口付近に設けられた一対の切り込みにより形成され、折り返した袋状容器の開口縁部の部分的な支持を可能とする挟持爪とすることが出来る。この持爪は、先端が外方へ向かって曲折しているものとすると望ましい。
【0013】
また、本発明の穀物分離用具において、前記収集部は、その開口が前記接続部の吸引口より口径が大きいもの、すなわち、収集部の開口の口径が大きく、接続部の吸引口の口径が小さい漏斗状をしているものとすると望ましい。
【0014】
また、本発明の穀物分離用具において、前記収集部又は前記接続部は、前記収集部側から前記接続部側へ流れる空気の流量を調整する吸引風量調整手段を備えているものとすると望ましい。
【0015】
この風量調整手段としては、例えば、前記収集部の凹状空間を形成する周胴部に設けられた抜け穴としたり、前記接続部の通気路に設けられた吸引調整弁としたりすることが出来る。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、袋状容器の設置を可能とする凹状空間を備える収集部と、吸引装置に接続されることで収集部側の吸引を可能とする接続部とを備えているので、吸引によって穀物本体(例えば、玄米)と夾雑物(例えば、籾殻)とを分離しつつ、夾雑物だけを袋状容器内に捕集することが出来る。つまり、本発明は、質量の差を用いて分離するものであるが、夾雑物を飛ばして分離するのではなく、吸引によって夾雑物を集めて取り除く分離を行うものとし、質量の小さい(軽い)夾雑物は吸引して取り除き、質量の大きい(重い)穀物本体は残すものとしている。
【0017】
ゆえに、脱皮された穀物を穀物本体と夾雑物に分ける選別機構を搭載した脱皮装置(例えば、籾摺り機)を準備する必要がなく、一般家庭でも穀物から夾雑物を取り除く精選作業を効率良く簡単かつ安価に行うことが出来る。
【0018】
しかも、本発明によれば、夾雑物の分離と共に、この夾雑物の回収を効率良くまとめて行うことが出来るものとなっている。
【0019】
また、収集部に袋状容器が設置されることで、吸引した夾雑物は散らばることなく袋状容器内に効率良く捕集されるものとなっている。ゆえに、夾雑物の回収は収集部から袋状容器を取り外すだけで良く、極めて簡単に精選作業後の後片付けを行うことが出来る。
しかも、本発明は、屋内で簡単に分離することができると共に、夾雑物(籾殻)の回収が容易であるので、必要に応じて繰り返し行うことで、夾雑物がきれいに取り除かれた穀物本体を手に入ることが出来る。
【0020】
また、穀物本体は吸引装置へ吸引されずに袋状容器内に捕集されるものとなっているので、誤って夾雑物と共に穀物本体が吸引されてしまっても、これを元に戻せば精選作業を簡単にやり直すことが出来る。
【0021】
しかも、袋状容器によって殆どの夾雑物は捕集されるので、吸引装置の清掃やメンテナンスを頻繁に行う必要もない。
【0022】
また、収集部と接続部の間に仕切りが設けられていることで、仕切りが袋状容器のストッパとなり、袋状容器が夾雑物と共に接続部側に吸引されてしまうおそれを無くすことが出来る。
【0023】
さらに、穀物から剥がした殻や皮を分離する風選別機構を搭載する必要がないので、脱皮装置自体をコンパクトかつシンプルなものとすることが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1図1は本発明に係る穀物分離用具を示す斜視図である。
図2図2図1に示す穀物分離用具の(A)平面図、及び(B)底面図である。
図3図3図1に示す穀物分離用具の縦断面図である。
図4図4図1に示す穀物分離用具の収集部(凹状空間)に袋状容器を設置した状態を示す縦断面図である。
図5図5図1に示す穀物分離用具の収集部に袋状容器を設置する方法の一例を説明する(A)袋状容器の開口縁部を外側へ折り返した状態を示す縦断面図、及び(B)折り返した袋状容器の開口縁部を保持手段の一例である挟持爪で支持する状態を示す縦断面図である。
図6図6図1に示す穀物分離用具の収集部に袋状容器を設置した状態を示す(A)正面図、及び(B)平面図である。
図7図7は本発明に係る他の穀物分離用具を示す側面図である。
図8図8は本発明に係る穀物分離用具と併用する籾摺り装置を示す斜視図である。
図9図9図8に示す籾摺り装置の平面図である。
図10図10図9に示す籾摺り装置のA-A線に沿う縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明に係る穀物分離用具の実施の形態の一例として、穀物である籾から夾雑物である籾殻を取り除き、穀物本体である玄米を選別して得るための精選作業を行う場合について、図面に基づき説明する。
【0026】
なお、以下に述べる実施の形態は、本発明の好適な具体例であるため技術的に種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、以下の説明において特に限定する旨の記載がない限り、これらの形態に限られるものではない。
【0027】
図1乃至図3に示すように、本実施の形態における穀物分離用具10は、収集部1と、接続部2と、仕切り3とを少なくとも備える。
【0028】
収集部1は、一端側に籾殻を受け入れる開口13が設けられた、凹状空間12を備える筒状の部位である。この凹状空間12は、収集部1を構成する周胴部11によって形成された区画領域であって、図4に示すように、受け入れた籾殻を捕集する通気性を有する袋状容器30の設置を可能とする。
【0029】
通気性を有する袋状容器30は、例えば、紙や布、合成樹脂フィルム(シート)といった柔軟性を有する素材からなる袋であって、複数の通気孔が設けられたものや、柔軟な糸で構成された網(ネット)を挙げることが出来る。
【0030】
また、本発明でいう袋状容器とは、一端側が開口し、他端側が閉じられた袋小路状の容器を意味し、通気性を有するものであれば袋と称されるものでなく、柔軟性のないカップ容器であっても良い。
【0031】
ちなみに、使用に適した通気孔(網目)の大きさは、本実施の形態においては籾殻をキャッチ(捕集)出来るサイズであり、具体的な簡単な目安として、概ね30メッシュよりも小さければ問題ないとみられる。このような袋状容器30として、例えば家庭用の排水口用ネットを挙げることが出来る。
【0032】
また、収集部1は、袋状容器30の開口状態を維持する保持手段として、収集部1の開口13付近に、開口13の縁部から接続部2側へ向かう一対の切り込み15,15により形成される挟持爪14を備えている。この保持手段は、袋状容器30が収集部1から無闇に脱落しないように支持する機能を備えると共に、袋状容器30の入口が開いた状態を維持する機能を備えるものをいう。つまり、袋状容器30が柔軟なものであると、吸引により意図せず開いた状態が崩れ、入口が閉じてしまうおそれがあるので、保持手段には、このような不都合に対処する機能を有することが望まれる。
【0033】
なお、保持手段としては、上述した挟持爪14の他に、例えば、収集部1の周胴部11から内方又は外方に向かって突出し、袋状容器30を係止することとなる突起を挙げることが出来る。また、袋状容器30と共に、収集部1(周胴部11)の上縁付近を対向する両側より挟み込むクリップなどの挟持具を用いるものとしても良い。さらに、袋状容器30と共に、収集部1(周胴部11)の上縁付近を外側から締め付けるようにした輪ゴムやバンド又は紐などの緊締具としても良い。
【0034】
しなしながら、突起の場合、取り扱いにおいて周囲の物や手などに引っ掛けてしまい、破損や怪我を招くおそれがある。また、挟持具や緊締具の場合、それぞれ別途準備しなければならない煩わしさがあると共に、穀物分離用具10とは一体でなく分離されているものであるため、紛失を招くおそれがある。ゆえに、保持手段としては、破損や怪我を招くおそれや、別途準備しなければならない煩わしさがなく、紛失を招くおそれのない、上述した一対の切り込み15,15により形成される挟持爪14とすることが望ましい。
【0035】
しかも、挟持爪14を形成する切り込み15は、開口13の縁部から接続部2側へ向かって設けられているため、開口13が平面的に塞がれてしまった場合でも、この切り込み15より空気が侵入し、凹状空間12内が極度に陰圧となってしまうおそれを抑制(回避)することが出来る。
【0036】
なお、本実施の形態においては、保持手段として、一対の切り込み15,15により形成される挟持爪14が望ましいとしたが、本発明は、挟持爪14以外に例示した上述の保持手段を排除するものではない。
【0037】
このように本実施の形態では、保持手段として挟持爪14を設けているので、この挟持爪14により袋状容器30の入口が開いた状態が維持されると共に、吸引力により誤って袋状容器30の入口が塞がれてしまうおそれを極力回避することが出来る。
【0038】
また、この挟持爪14は、先端14aが外方へ向かって曲折していることが望ましい。つまり、挟持爪14の先端14aが外方へ向かって曲折していると、収集部1の凹状空間12内へ袋状容器30を設置する際、その作業を容易に行うものとすることが出来る。具体的には、図5に示すように、袋状容器30の折り返した端部30aを切込み15に挿入する際、挟持爪14の先端14aが切込み15へ挿入を補助するガイドとして機能する。ゆえに、袋状容器30の折り返した端部30aは、図5(A)において点線矢印で示すように、挟持爪14の先端14aの内面に沿わせることで、図5(B)に示すように、切込み15内へ円滑に挿入することが出来る。
【0039】
これにより、図6に示すように、袋状容器30は、折り返した端部30aが収集部1(周胴部11)の開口13付近の外面を覆いつつ、部分的に挟持爪14により保持されることで、入口が開いた状態を維持しつつ非常に簡単に収集部1内に設置することが出来る。
【0040】
接続部2は、穀物分離用具10と併用する吸引装置に接続されることで、収集部1側の吸引を可能とする、収集部1の他端側に連設する筒状の部位であって、通気路21と吸引口22が設けられている。つまり、接続部2は、直接又は別途準備するホースやチューブといった柔軟な管状部材を介して、吸引装置との接続を可能とする部位となっている。
【0041】
吸引装置は、一般家庭で気軽に用いることが出来るものが望ましく、例えば、清掃の際にゴミやホコリを除去するのに用いる電気掃除機を挙げることが出来る。ゆえに、接続部2を電気掃除機のノズル取付部に取り付けて精選を行う(籾殻を吸引する)。
【0042】
仕切り3は、収集部1と接続部2の間に設けられた部位であって、接続部2を介してなされる吸引装置による収集部1側の吸引を阻害することの無い、通気可能なものとなっている。この仕切り3は、収集部1に設置される袋状容器30が接続部2側に吸引されてしまうことを防止するストッパとして機能するものである。
【0043】
このように本実施の形態の穀物分離用具10は、収集部1から接続部2まで貫通する筒状体であり、収集部1と接続部2の間に通気可能な仕切り3が設けられた、非常に簡易な構成をしている。このような穀物分離用具10は、例えば、合成樹脂による一体成型によって製造することが出来る。
【0044】
また、収集部1は、その開口13が接続部2の吸引口22より口径が大きいものとしても良い。これは、収集部1の開口13の口径と接続部2の吸引口22の口径が等しい状態では、吸引装置である電気掃除機の吸引力が強過ぎる場合、吸引装置ではなく穀物分離用具10において吸引力の調整を図ることに対応するものである。つまり、穀物分離用具10での吸引力の調整を、収集部1の開口13と接続部2の吸引口22との口径のバランスで行うことを意図するものである。
【0045】
具体的には、吸引装置の吸引力を一定とした場合、収集部1の開口13面積が接続部2の吸引口22面積より大き過ぎると、吸引力が低下して夾雑物が十分に吸引されないおそれがある。一方、収集部1の開口13の面積が接続部2の吸引口22の面積より小さ過ぎると、吸引力が上昇して夾雑物と共に穀物本体まで吸引されてしまうおそれがある。しかも、収集部1の開口13の口径を小さくしてしまうと、夾雑物を吸引する精選の作業効率が低減してしまう。
【0046】
ゆえに、これらを考慮して、収集部1の開口13が接続部2の吸引口22より口径が大きいバランスの取れたものとすることが望ましい。つまり、本実施の形態において収集部1の開口13の口径は、吸引装置(電気掃除機等)の吸引力を想定した開口面積となっており、軽い籾殻のみが吸い込まれ、玄米は吸い込まれないものとなっている。具体的には、例えば、接続部2の吸引口22側の口径が直径35mm程度である場合、収集部1の開口13の口径は直径65mm程度となっている。
【0047】
これにより、収集部1の開口13側での吸引力が接続部2の吸引口22側での吸引力より低減するものとなるので、吸引装置からの吸引力が強過ぎる場合、適切に精選作業を行うことが出来る。
【0048】
図において、穀物分離用具10は、収集部1の開口13の口径が大きく、接続部2の吸引口22の口径が小さい漏斗状をしたものとして示されている。
【0049】
また、穀物分離用具10には、必要に応じて、収集部1側から接続部2側へ流れる空気の流量を調整する吸引風量調整手段を備えるものとしても良い。
【0050】
具体的には、収集部1に吸引風量調整手段を設ける場合、例えば、図7に示すように、収集部1の凹状空間12を形成する周胴部11に空気の逃げ道となる抜け穴16を設けるものとする。
【0051】
このような吸引風量調整手段によれば、収集部1の周胴部11に設けられた抜け穴16から空気が逃げることとなるので、極めて簡易に吸引力が調整されるものとなり、効率良く精選作業を行うことが出来る。
【0052】
なお、収集部1の周胴部11に設ける抜け穴16の大きさや数、形状は任意であり、吸引装置の吸引力に応じて適宜設計することが出来る。ゆえに、大きな抜け穴を1つ設けるものとしても良いし、小さな抜け穴を複数設けるものとしても良い。
【0053】
図7において、周胴部11の側面に長円形の抜け穴16が1つ設けられた状態が示されている。
【0054】
また、接続部2に吸引風量調整手段を設ける場合、例えば、接続部1における通気路21の開口度合いを変更して吸引風量を調節する吸引調整弁を設けるものとすると良い。この吸引調整弁は、公知のものを採用すれば良い。
【0055】
このような吸引風量調整手段によれば、吸引調整弁によって効率良く吸引力が調整されるものとなるので、効率良く精選作業を行うことが出来る。
【0056】
以上のように構成された穀物分離用具10は、次のように用いる。
【0057】
まず、精選を行う前に、本発明の穀物分離用具10と併用される籾摺り機50により、籾の脱皮(籾摺り)を行っておく。籾摺り機50は、例えば、図8乃至図10に示すものを用いることが出来る。
【0058】
この籾摺り機50の構成は、上から簡単に、ホッパ51と、横並びの2つのロール52a,52bと、受け皿53とを備え、さらに、本体側面に手回しハンドル54を備えるものとなっている。この籾摺り機50は、ハンドル54が無い側を小型の万力などを使用して机の縁などに固定して使用する。
【0059】
籾摺りは、上部のホッパ51へ籾を投入し、ハンドル54を操作することで行う。2つのロール52a,52bは、異なる回転速度で回るものとなっており、これらの間を通過する際に、籾から籾殻が剥がれ落ちて玄米となる脱皮が行われる。そして、2つのロール52a,52b間を通過した玄米と籾殻は、混合状態で受け皿53へ貯留される。
【0060】
脱皮が完了したら、受け皿53に貯留された玄米と籾殻を、精選作業が行い易いように表面積の大きいトレイに広げる。
【0061】
また、穀物分離用具10における収集部1の凹状空間12内に袋状容器30を設置すると共に、接続部2を吸引装置として電気掃除機のノズル取付部に接続する。
【0062】
そして、電気掃除機の電源を入れ、接続部2を介して収集部1側を吸引した状態で収集部1の開口13を、トレイに広げられた脱皮後で未だ籾殻が混入した状態の玄米へと向ける。
【0063】
そうすると、質量の大きい(重い)玄米はそのままトレイに残り、質量の小さい(軽い)籾殻だけが収集部1の開口13より吸引されて収集部1(凹状空間12)に設置された袋状容器30内に捕集されるものとなり、玄米をきれいに分離して得ることが出来る。
【0064】
なお、袋状容器30の網目を通り抜けるような細かい籾殻以外は電気掃除機内に吸引されないため、掃除機内部がすぐに籾殻で一杯になることを防ぐことができる。
【0065】
このように本発明の穀物分離用具によれば、電気掃除機を用いることで、一般家庭でも屋内において籾から籾殻を分離する精選作業を簡単に行うことが出来る。しかも、籾殻の分離と共にその回収が行えるので、精選後の後片づけが効率良くかつ簡易に行えるものとなっている。
【産業上の利用可能性】
【0066】
本発明の穀物分離用具は、籾から籾殻を取り除いて玄米を得るための精選だけではなく、麦やトウモロコシといったイネ科の種子や、大豆や小豆、落花生といったマメ科の種子に代表される穀物類や野菜の種子、およびその他の種子類から殻や皮などの夾雑物を取り除く精選に用いることが期待される。その他、種子類だけでなく重量の差を利用した夾雑物の除去に用いることが期待される。
【符号の説明】
【0067】
1 収集部
2 接続部
3 仕切り
10 穀物分離用具
11 周胴部
12 凹状空間
13 開口
14 挟持爪(保持手段)
15 切込み
16 抜け穴
21 通気路
22 吸引口
30 袋状容器(排水口ネット)
50 籾摺り機
51 ホッパ
52 ロール
53 受け皿
54 ハンドル
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10