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特開2024-158143操作桿付き作業機及び肩掛けベルト用の吊り具
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024158143
(43)【公開日】2024-11-08
(54)【発明の名称】操作桿付き作業機及び肩掛けベルト用の吊り具
(51)【国際特許分類】
   A01D 34/90 20060101AFI20241031BHJP
【FI】
A01D34/90 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023073098
(22)【出願日】2023-04-27
(71)【出願人】
【識別番号】509264132
【氏名又は名称】株式会社やまびこ
(74)【代理人】
【識別番号】110000383
【氏名又は名称】弁理士法人エビス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】籾山 寛
【テーマコード(参考)】
2B083
【Fターム(参考)】
2B083AA02
2B083BA02
2B083CA02
2B083CA07
2B083CA27
2B083DA03
2B083GA02
2B083HA24
2B083HA37
2B083HA39
(57)【要約】      (修正有)
【課題】速やか且つ簡易に吊り具の位置を変更することができ、吊り具の固定が意図しない操作で解除されてしまう事態を避けることができる操作桿付き作業機の肩掛けベルト用の吊り具を提供する。
【解決手段】肩掛けベルトとの接続孔を有し操作桿を囲んで操作桿の長手方向に摺動自在な吊り具本体と、吊り具本体に連結され、操作桿の周囲を挟持した状態で一対の締め付け操作片を近接又は離間可能に対面させたストッパ部を有し、締め付け操作片に操作桿の長手方向に直交した貫通孔を設け、貫通孔に挿通した操作軸の一端側を抜け止め状にして他端側に操作レバーを連結し、操作レバーは、操作軸の他端側にて、操作桿と平行な回転軸に基端側が軸支され、操作レバーの先端側を操作桿の側面に近接させるように回転させることでストッパ部の締め付け操作を行い、先端側を操作桿の側面から離間させるように回転させることでストッパ部の締め付け解除操作を行う。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
操作桿の先端側に作業部が装備され、前記操作桿の基端側に動力部が装備されて、前記操作桿に設けたハンドル部を手で持って作業を行う操作桿付き作業機において、
前記操作桿には、肩掛けベルト用の吊り具が設けられ、
前記吊り具は、
肩掛けベルトとの接続孔を有し前記操作桿を囲んで前記操作桿の長手方向に摺動自在な吊り具本体と、
前記吊り具本体に連結され、前記操作桿の周囲を挟持した状態で一対の締め付け操作片を近接又は離間可能に対面させたストッパ部を有し、
前記締め付け操作片に前記操作桿の長手方向に直交した貫通孔を設け、前記貫通孔に挿通した操作軸の一端側を抜け止め状にして他端側に操作レバーを連結し、
前記操作レバーは、前記操作軸の他端側にて、前記操作桿と平行な回転軸に基端側が軸支され、前記操作レバーの先端側を前記操作桿の側面に近接させるように回転させることで前記ストッパ部の締め付け操作を行い、前記先端側を前記操作桿の側面から離間させるように回転させることで前記ストッパ部の締め付け解除操作を行う、ことを特徴とする操作桿付き作業機。
【請求項2】
前記操作レバーは、前記基端側に前記回転軸周りに軸支された偏心カムを備え、前記操作レバーの回転に伴う前記偏心カムの回転で、前記一対の締め付け操作片を互いに近接又は離間させることを特徴とする請求項1に記載された操作桿付き作業機。
【請求項3】
前記操作レバーは、自身の先端側が前記操作桿の側面に近接した状態をロックするロック部材を備えることを特徴とする請求項1に記載された操作桿付き作業機。
【請求項4】
前記ロック部材は、前記操作レバーの締め付け操作完了位置でロック状態になり、前記操作レバーの締め付け操作側の回転に沿った解除操作でロック解除状態になることを特徴とする請求項3に記載された操作桿付き作業機。
【請求項5】
前記ストッパ部には、前記操作桿の側面に近接した前記操作レバーを収容する収容部が設けられていることを特徴とする請求項1に記載された操作桿付き作業機。
【請求項6】
操作桿の先端側に作業部が装備され、前記操作桿の基端側に動力部が装備されて、前記操作桿に設けたハンドル部を手で持って作業を行う操作桿付き作業機において、前記操作桿に取り付けられる肩掛けベルト用の吊り具であって、
肩掛けベルトとの接続孔を有し前記操作桿を囲んで前記操作桿の長手方向に摺動自在な吊り具本体と、
前記吊り具本体に連結され、前記操作桿の周囲を挟持した状態で一対の締め付け操作片を近接又は離間可能に対面させたストッパ部を有し、
前記締め付け操作片に前記操作桿の長手方向に直交した貫通孔を設け、前記貫通孔に挿通した操作軸の一端側を抜け止め状にして他端側に操作レバーを連結し、
前記操作レバーは、前記操作軸の他端側にて、前記操作桿と平行な回転軸に基端側が軸支され、前記操作レバーの先端側を前記操作桿の側面に近接させるように回転させることで前記ストッパ部の締め付け操作を行い、前記先端側を前記操作桿の側面から離間させるように回転させることで前記ストッパ部の締め付け解除操作を行う、ことを特徴とする操作桿付き作業機の肩掛けベルト用の吊り具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、操作桿付き作業機及びその肩掛けベルト用の吊り具に関する。
【背景技術】
【0002】
地面の草刈り作業を行う刈払機や高枝などの剪定作業を行うヘッジトリマーなどの作業機は、長尺な操作桿を備えており、操作桿の先端側に作業部が装備され、操作桿の基端側にエンジンや電動モータなどの動力部が装備されている。このような作業機において、操作桿は、動力部と作業部を繋ぐ連結棒の役割を担い、操作桿の内部には伝動機構や配線が配置される。また、操作桿にはハンドル部が設けられ、作業者は立ち姿勢でハンドル部を手で持ちながら操作桿を揺動操作し、操作桿先端側の作業部を作業対象に当てて作業を行う。
【0003】
このような操作桿付き作業機は、肩掛けベルト用の吊り具を操作桿に設けたものが知られている。肩掛けベルトは、操作桿付き作業機の重量を作業者の肩で担ぐことで、ハンドル部を持つ作業者の手腕の負担を軽減するために用いられる。肩掛けベルト用の吊り具は、例えば、操作桿の周方向で一部が分割され、その分割位置に挿通されたネジによる締結で操作桿を挟持するストッパを備えたものなどが知られている(下記特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000-316349号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
肩掛けベルト用の吊り具は、操作桿先端側の作業部と操作桿基端側の動力部の重量バランスを考慮して、操作桿への取り付け位置が設定されている。しかしながら、操作桿先端側の作業部は、円盤状の刈刃や樹脂コードなど重量の異なる形態に取り換えることがしばしば行われ、また、操作桿基端側の動力部も、燃料の貯留状態やバッテリの装着状況などで重量が変化することが起こりうる。
【0006】
この際、肩掛けベルト用の吊り具の取り付け位置は、操作桿の先端側と基端側の重量バランスの変化に応じて、適宜変更することが求められる。また、作業機を使用する作業者の背丈に応じても、肩掛けベルト用の吊り具の取り付け位置は、変更が必要になる場合がある。これに対して、前述した従来技術のように、ネジの締結によるストッパを備えるものでは、ストッパの位置を変更するためにネジを緩める煩雑な操作が必要になり、速やか且つ簡易に肩掛けベルト用の吊り具の位置を変更することができない問題があった。
【0007】
これに対しては、ストッパの固定解除を一操作で行う機構などが考えられる。しかしながら、作業者にとって意図しない固定解除が一操作で行われてしまうと、操作桿が不安定な状態で肩掛けベルトに吊り下げられることになり、作業中に手腕への負担が急に増して、円滑な作業を行うことができなくなる。
【0008】
また、従来技術として、操作桿の長手方向に沿って複数の引っ掛け孔を設けて、操作桿の先端側と基端側の重量バランスなどに応じて、異なる位置の引っ掛け孔に肩掛けベルトのフックを引っ掛けるようにしたものが一般に知られている。しかしながら、このような従来技術では、孔と孔との間で緻密に重量バランスを調整することができないため、より適正な位置で肩掛けベルトに操作桿を吊り下げることができない問題があった。
【0009】
本発明は、このような問題に対処するために提案されたものである。すなわち、操作桿の先端側と基端側の重量バランスに応じて速やか且つ簡易に肩掛けベルト用の吊り具の位置を変更することができ、また、肩掛けベルト用の吊り具の固定が、作業者の意図しない操作で解除されてしまう事態を避けることができ、また、より適正な位置で肩掛けベルトに操作桿を吊り下げることができるようにすること、などが本発明の課題である。
【課題を解決するための手段】
【0010】
このような課題を解決するために、本発明は、以下の構成を具備するものである。
操作桿の先端側に作業部が装備され、前記操作桿の基端側に動力部が装備されて、前記操作桿に設けたハンドル部を手で持って作業を行う操作桿付き作業機において、前記操作桿には、肩掛けベルト用の吊り具が設けられ、前記吊り具は、肩掛けベルトとの接続孔を有し前記操作桿を囲んで前記操作桿の長手方向に摺動自在な吊り具本体と、前記吊り具本体に連結され、前記操作桿の周囲を挟持した状態で一対の締め付け操作片を近接又は離間可能に対面させたストッパ部を有し、前記締め付け操作片に前記操作桿の長手方向に直交した貫通孔を設け、前記貫通孔に挿通した操作軸の一端側を抜け止め状にして他端側に操作レバーを連結し、前記操作レバーは、前記操作軸の他端側にて、前記操作桿と平行な回転軸に基端側が軸支され、前記操作レバーの先端側を前記操作桿の側面に近接させるように回転させることで前記ストッパ部の締め付け操作を行い、前記先端側を前記操作桿の側面から離間させるように回転させることで前記ストッパ部の締め付け解除操作を行う、ことを特徴とする操作桿付き作業機。
【発明の効果】
【0011】
このような特徴を有する本発明は、操作桿付き作業機において、操作桿の先端側と基端側の重量バランスに応じて速やか且つ簡易に肩掛けベルト用の吊り具の位置を変更することができる。また、肩掛けベルト用の吊り具の固定が意図しない操作で解除されてしまう事態を避けることができる。また、より適正な位置で肩掛けベルトに操作桿を吊り下げることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】操作桿付き作業機の作業状態を示した説明図。
図2】吊り具の一例の説明図(締め付け(固定)状態側面図)。
図3】吊り具の一例の説明図(図2におけるX1-X1断面図)。
図4図3において操作レバーを解除位置に回転した状態を示す説明図。
図5】吊り具を備えた操作桿付き作業機の変形例を示す説明図。
図6】吊り具を備えた操作桿付き作業機の変形例を示す説明図。
図7】吊り具を備えた操作桿付き作業機の変形例を示す説明図。
図8】吊り具を備えた操作桿付き作業機の変形例を示す説明図。
図9】吊り具を備えた操作桿付き作業機の変形例を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。以下の説明で、異なる図における同一符号は同一機能の部位を示しており、各図における重複説明は適宜省略する。
【0014】
図1に示すように、操作桿付き作業機(以下、作業機)1は、操作桿2を備えており、操作桿2の先端側には作業部3が装備され、操作桿2の基端側には動力部4が装備されている。作業者Mは、操作桿2に設けたハンドル部5を手で持って作業機1の作業を行う。図示の例は、作業機1として刈払機を示しているが、本発明の実施形態はこれに限らず、各種の作業機(例えば、ヘッジトリマーなど)を対象とすることができる。
【0015】
作業機1の作業部3は、例えば、円盤状の刈刃や鋸状の往復刃や樹脂コードなどの作業具とそれを駆動する駆動機構を備えており、作業具と駆動機構が各種の形態に変更可能になっている。また、作業機1の動力部4は、例えば、電動式モータやバッテリを備え、バッテリの装着数や大きさ(重さ)などが適宜変更可能になっている。動力部4は、燃料式エンジンと燃料タンクなどで構成してもよい。操作桿2は、剛性の高い長尺状の中空管であり、内部には、動力部4の動力を作業部3に伝達する伝動機構や動力部4の電力を作業部3に送る配線などが設けられている。
【0016】
操作桿2には、肩掛けベルト用の吊り具(以下、吊り具)10が設けられている。吊り具10には、肩掛けベルト6のフック6Aが接続される。作業者Mは、肩掛けベルト6を肩に掛けて、フック6Aを吊り具10に接続することで、作業機1の重量の一部を肩で担いで作業を行うことができる。吊り具10は、以下に説明する機構により、操作桿2の長手方向に沿って移動自在であり、任意の位置で固定することができ、また、吊り具10の固定及び固定解除を速やか且つ簡易に行うことができる。以下に、吊り具10の構成例を詳細に説明する。
【0017】
図2図4に、本発明の実施形態に係る吊り具10の一例を示す。図2及び図3は、吊り具10を操作桿2に固定した状態を示し、図4は、操作桿2に対して吊り具10の固定を解除して位置変更可能にした状態を示している。
【0018】
吊り具10は、肩掛けベルト6(図1参照)のフック6Aとの接続孔11Aを有する吊り具本体11と、吊り具本体11に連結されたストッパ部12を有する。吊り具本体11に対するストッパ部12の連結は両者が一体成形されていることを含む。吊り具本体11は、前述した接続孔11Aを備える突出部11Bと、操作桿2の外周面を囲む筒状部11Cを有しており、筒状部11Cは、操作桿2の外径に対してやや大きい内径を有することで、吊り具本体11を操作桿2の長手方向に移動可能にしている。
【0019】
ストッパ部12は、操作桿2の周囲を挟持した状態で一対の締め付け操作片12A,12Bを近接又は離間可能に対面させている。ここで、一対の締め付け操作片12A,12Bが互いに近接した状態になると、ストッパ部12は、操作桿2を締め付けて、吊り具10を操作桿2に固定し、一対の締め付け操作片12A,12Bが互いに離間した状態になると、ストッパ部12は、操作桿2への締め付けを緩めて、吊り具10の操作桿2への固定が解除される。
【0020】
ストッパ部12における一対の締め付け操作片12A,12Bには、操作桿2の長手方向に直交した貫通孔12Cが設けられている。貫通孔12Cには、操作軸12Dが挿通されており、操作軸12Dの一端側は抜け止め状態になっている(図示の例では、操作軸12Dの一端は挿通孔12Dの外側に固定されたナット12Eにネジ止めされている)。また、操作軸12Dの他端側には、操作レバー12Fが連結されている。
【0021】
操作レバー12Fは、操作桿2に対するストッパ部12の締め付け又は締め付け解除を操作する。この操作を行うために、操作レバー12Fは、操作軸12Dの他端側にて、操作桿2と平行な回転軸12Gに基端側が軸支されている。そして、図3に示すように、先端側を操作桿2の側面に近接させるように、操作レバー12Fを回転軸12G周りに回転させることで、ストッパ部12の締め付け操作を行い、図4に示すように、先端側を操作桿2の側面から離間させるように、操作レバー12Fを回転軸12G周りに回転させることで、ストッパ部12の締め付け解除を行う。
【0022】
より具体的には、操作レバー12Fは、その基端側に回転軸12G周りに軸支された偏心カム12Hを備え、操作レバー12Fの回転に伴う偏心カム12Hの回転で、一対の締め付け操作片12A,12Bを互いに近接させ又は離間可能にさせる。偏心カム12Hは、操作軸12Dに沿って配置された押し付け部材12Jに対して作用し、図3に示した状態では、押し付け部材12Jを押し付けて、一対の締め付け操作片12A,12Bを近接させるように作用する。また、偏心カム12Hは、図4に示した状態では、押し付け部材12Jへの押し付けを解除して、一対の締め付け操作片12A,12Bが離間できるように作用する。
【0023】
この際、操作レバー12Fは、図3に示すように、先端が操作桿2に近接した状態で吊り具10を操作桿2に固定する。このため、作業者Mの作業中に、操作レバー12Fに何かが当たったとしても、操作レバー12Fは操作桿2側に押されることになり、操作レバー12Fは吊り具10の固定解除側には回転しない。それゆえ、作業者Mの意図しない力が加わって操作レバー12Fが固定解除されることは起こり難い構造になっている。
【0024】
また、操作レバー12Fに、図示のようなロック部材12Kを設けることで、更に、作業者Mの意図しない力が加わったとしても、操作レバー12Fは吊り具10の固定解除側には回転され難くなる。ロック部材12Kは、図4に示すように操作レバー12Fの先端側が操作桿2の側面に近接した状態をロックする機能を有する。
【0025】
図示の例で、ロック部材12Kの機能を具体的に説明する。ロック部材12Kは、操作レバー12F内に設けられ、操作レバー12Fの基端側から先端側に向けて摺動可能に設けられている。そして、ロック部材12Kの一端側は、操作レバー12F内に設けたバネ12Lに押されて、操作軸12Dの端部を摺動し、図3に示す、操作レバー12Fの締め付け操作完了位置(吊り具10の固定完了位置)で、操作軸12Dの端部に設けたロック孔12Mに没入する。これでロック部材12Kは、操作レバー12Fの動きをロックする。
【0026】
また、ロック部材12Kは、ロック解除操作部12K1を有しており、このロック解除操作部12K1を操作して、ロック部材12Kを操作レバー12Fの先端側に移動させることで、ロック部材12Kの端部がロック孔12Mから外れ、操作レバー12Fのロックが解除される。ロック部材12Kの端部をロック孔12Mから外した状態で、図5に示すように、操作レバー12Fをその先端側が操作桿2から離れるように回転させることで、吊り具10の固定は解除される。
【0027】
この際、ロック部材12Kは、操作レバー12Fの締め付け操作完了位置でロック孔12Mに没入して、操作レバー12Fをロック状態にし、ロック解除操作部12K1を、図2に示した矢印に沿って、操作レバー12Fの締め付け操作側の回転に沿って移動させることで、ロック解除状態になる。このため、ロック解除操作部12K1が作業者Mの意図に反して移動して、ロック部材12Kがロック孔12Mから外れたとしても、ロック解除操作部12K1を移動させた力で操作レバー12Fは操作桿2側に押し付けられることになる。これにより、ロック部材12Kが移動しても、直ぐには、操作レバー12Fは締め付け解除側へは回転せず、吊り具10は固定状態が維持される。
【0028】
ロック解除操作部12K1が移動することで、ロック部材12Kのロックは解除されるが、その移動方向とは逆向きに、操作レバー12Fを回転させないと、操作レバー12Fによる吊り具10の固定解除は起こらない。よって、作業者Mの意図的な操作以外で、操作レバー12Fのロックが解除されて、更に吊り具10の固定が解除されることは起こり難い。
【0029】
図5図7は、吊り具10を付けた作業機1の変形例の一部を示している。図5に示した例は、操作桿2の外周面に線状の目盛り2Aを付けて、吊り具10の固定位置を決める上での目印にしている。線状の目盛り2Aは、操作桿2の周に沿って引かれて、操作桿2の長手方向に沿って所定間隔で配列される。複数配列した線状の目盛り2Aの配列間隔が短いほど、吊り具10の位置を精緻に調整できる。操作桿2の長手方向に沿ったストッパ部12又は吊り具本体11の端部を、線状の目盛りの2Aの位置に合わせることで、吊り具10の固定位置を速やかに定めることができる。
【0030】
図6に示した例は、操作桿2の外周面に記号2Bを付けて、吊り具10の固定位置を決める上での目印にしている。この例は、吊り具本体11に操作桿2の外周面の記号2Bが見える開口11Dを設けて、その開口11D内に設けた切り欠き等の目印を操作桿2の外周面に設けた記号2Bに合わせることで、吊り具10の固定位置を定めることができる。
【0031】
図7に示した例は、操作桿2の外周面に数字2Cを付けて、吊り具10の固定位置を決める上での目印にしている。この例は、吊り具本体11に操作桿2の外周面の数字が見える開口11Dを設けて、その開口11D内に設けた切り欠き等の目印を操作桿2の外周面に設けた数字2Cに合わせることで、吊り具10の固定位置を定めることができる。
【0032】
なお、図6及び図7に示した例は、操作桿2が比較的太く且つ、操作桿2の長手方向に直交する断面が矩形状になっている。これらの例は、吊り具本体11が操作桿2の長手方向に沿った軸11E周りに開閉できるヒンジ機構を備えており、太く且つ矩形状の操作桿2に対して、吊り具本体11を軸11E周りに開いて、簡易に装着できる。
【0033】
図8及び図9は、前述したロック部材12Kの変形例を示している。この例では、操作レバー12Fに、ロック部材12Kのロック解除操作部12K1を係止する係止溝12F1が設けられている。図8(a)に示す状態は、操作レバー12Fの係止溝12F1にロック解除操作部12K1を係止した状態を示している。ロック部材12Kのロック位置でロック部材12Kの長手軸周りにロック解除操作部12K1を回転させることで、ロック解除操作部12K1が係止溝12F1に係止される。
【0034】
ロック解除操作部12K1の解除操作は、図8(b)に示すように、係止溝12F1に係止されているロック解除操作部12K1をその状態から90°逆回転させることで係止溝12F1から外し、更に、ロック解除操作部材12K1をロック部材12Kの長手方向に沿って移動させることで、ロック部材12Kがロック孔12Mから外れる。
【0035】
この変形例によると、ロック部材12Kでロックされている操作レバー12Fを操作して吊り具10の固定解除を行うためには、先ず、ロック解除操作部12K1を回転させて係止溝12F1から外す第1の操作を行い、係止溝12F1から外れたロック解除操作部12K1を操作レバー12Fの長手方向に移動させてロック部材12Kをロック孔12Mから外す第2の操作を行い、更に、操作レバー12Fの先端が操作桿2から離れるように、操作レバー12Fを操作する第3の操作を行う必要がある。よって、作業者Mの意図しない操作で、吊り具10が固定解除状態になることは更に起こり難くなっている。
【0036】
図9は、ストッパ部12の変形例を示している。この例は、ストッパ部12に、操作桿2の側面に近接した操作レバー12Fを収容する収容部12Nを設けている。収容部12Nは、吊り具10の固定状態で、操作レバー12Fに作業者Mの意図しない力が加わらないように、操作レバー12Fを囲むように設けられている。このような収容部12Nを設けることによっても、作業者Mの意図しない操作で吊り具10が固定解除状態になることを避けることができる。なお、このような収容部12Nを設けた場合には、前述したロック部材12は省くことができる。
【0037】
このような実施形態によると、操作レバー12Fを操作して、吊り具10の固定を解除すると、吊り具10は、操作桿2の長手方向に沿って自由に移動可能になり、作業者Mは、自身の望む位置に吊り具10を移動させることができる。そして、作業者Mの望む位置に移動した吊り具10は、操作レバー12Fの簡単な操作で、速やか且つ簡易に操作桿2に固定することができる。
【0038】
吊り具10の操作レバー12Fは、操作桿2に近接した状態で吊り具10を固定状態にするので、作業者Mの誤操作等で操作レバー12Fが固定解除されてしまうことは起こり難くなっている。また、操作レバー12に前述したロック部材12Kを設けることで、作業者Mの意図しない吊り具10の固定解除は更に起こり難くなる。
【0039】
以上、本発明の実施の形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこれらの実施の形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があっても本発明に含まれる。また、上述の各実施の形態は、その目的及び構成等に特に矛盾や問題がない限り、互いの技術を流用して組み合わせることが可能である。
【符号の説明】
【0040】
1:操作桿付き作業機(作業機),
2:操作桿,2A:目盛り,2B:記号,2C:数字,
3:作業部,4:動力部,
5:ハンドル部,6:肩掛けベルト,6A:フック,
10:肩掛けベルト用の吊り具(吊り具),
11:吊り具本体,11A:接続孔,11B:突出部,
11C:筒状部,11D:開口,11E:軸,
12:ストッパ部,12A,12B:締め付け操作片,12C:貫通孔,
12D:操作軸,12E:ナット,12F:操作レバー,12F1:係止溝,
12G:回転軸,12H:偏心カム,12J:押し付け部材,
12K:ロック部材,12K1:ロック解除操作部,12L:バネ,
12M:ロック孔,12N:収納部,M:作業者
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9