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特開2024-158147シート剥離装置、及びシート製造装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024158147
(43)【公開日】2024-11-08
(54)【発明の名称】シート剥離装置、及びシート製造装置
(51)【国際特許分類】
   B65H 29/56 20060101AFI20241031BHJP
   D04H 1/732 20120101ALI20241031BHJP
   B65H 20/02 20060101ALI20241031BHJP
【FI】
B65H29/56
D04H1/732
B65H20/02 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023073106
(22)【出願日】2023-04-27
(71)【出願人】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100179475
【弁理士】
【氏名又は名称】仲井 智至
(74)【代理人】
【識別番号】100216253
【弁理士】
【氏名又は名称】松岡 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100225901
【弁理士】
【氏名又は名称】今村 真之
(72)【発明者】
【氏名】永井 良和
(72)【発明者】
【氏名】田村 哲也
(72)【発明者】
【氏名】橋本 聡
【テーマコード(参考)】
3F053
3F103
4L047
【Fターム(参考)】
3F053AA20
3F053AA21
3F053AA22
3F053LA15
3F053LB01
3F103AA01
3F103BA04
3F103BA29
3F103BA33
3F103EA15
4L047AA08
4L047AB02
4L047AB06
4L047EA01
(57)【要約】
【課題】シートを搬送させることが可能なシート剥離装置、及びシート製造装置を提供する。
【解決手段】シートSを加熱しながら搬送するローラー86a,86bと、ローラー86a,86bのうち第2ローラー86bに先端部201が当接する剥離板200と、剥離板200を支持する支持部300と、を有する剥離部100と、を備え、剥離板200には、剥離板200と支持部300との熱膨張差による撓みを吸収するスリット210が設けられている。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートを加熱しながら搬送する一対のローラーと、
前記一対のローラーのうち一方のローラーに先端部が当接する剥離板と、前記剥離板を支持する支持部と、を有する剥離部と、
を備え、
前記剥離板には、前記剥離板と前記支持部との熱膨張差による撓みを吸収するスリットが設けられている、シート剥離装置。
【請求項2】
請求項1に記載のシート剥離装置であって、
前記剥離部は、前記一方のローラーに対して接離可能に配置されており、前記一方のローラーに当接、又は、非当接が選択できる、シート剥離装置。
【請求項3】
請求項1に記載のシート剥離装置であって、
前記剥離板は、ポリイミドである、シート剥離装置。
【請求項4】
原料を供給する供給部と、
前記原料の一部を堆積させてシートを形成する堆積部と、
前記シートを加圧する加圧部と、
前記シートを切断する切断部と、
を備え、
前記加圧部は、前記シートを加熱しながら搬送する一対のローラーと、前記一対のローラーのうち一方のローラーに先端部が当接する剥離板と、前記剥離板を支持する支持部と、を有する剥離部と、を有し、
前記剥離板には、前記剥離板と前記支持部との熱膨張差による撓みを吸収するスリットが設けられている、シート製造装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シート剥離装置、及びシート製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、ウエブ、即ち、コピー用紙などのシートを、一対の加熱加圧ローラー間に通過させることにより、搬送されるシートに対して加熱加圧することができるシート製造装置の構成が開示されている。
【0003】
特許文献2には、加熱ローラーと、定着ベルトが巻かれた加圧ローラーと、によってシートを挟んで回動することにより、シートを下流側に搬送することができる画像形成装置の構成が開示されている。定着ベルトの近くには、定着ベルトに付着したシートを剥離するための剥離部材が配置されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第6311749号公報
【特許文献2】特開2009-92987号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の構成では、加熱加圧ローラーにシートが付着した場合、剥離する部材が配置されていないため、シートを剥がすことができず、シートを下流側に搬送することができないという課題がある。また、特許文献2に記載の構成では、剥離部材が配置されているものの、剥離部材に熱が加わった場合に、熱膨張によって剥離部材の先端が曲がり、うまく加熱ローラーや加圧ローラーからシートを剥がすことができないという課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
シート剥離装置は、シートを加熱しながら搬送する一対のローラーと、前記一対のローラーのうち一方のローラーに先端部が当接する剥離板と、前記剥離板を支持する支持部と、を有する剥離部と、を備え、前記剥離板には、前記剥離板と前記支持部との熱膨張差による撓みを吸収するスリットが設けられている。
【0007】
シート製造装置は、原料を供給する供給部と、前記原料の一部を堆積させてシートを形成する堆積部と、前記シートを加圧する加圧部と、前記シートを切断する切断部と、を備え、前記加圧部は、前記シートを加熱しながら搬送する一対のローラーと、前記一対のローラーのうち一方のローラーに先端部が当接する剥離板と、前記剥離板を支持する支持部と、を有する剥離部と、を有し、前記剥離板には、前記剥離板と前記支持部との熱膨張差による撓みを吸収するスリットが設けられている。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】シート製造装置の構成を示す概略図。
図2】シート剥離装置の構成を示す斜視図。
図3】シート剥離装置の構成を示す斜視図。
図4図2に示すシート剥離装置のA部を拡大して示す斜視図。
図5図2に示すシート剥離装置のA部を拡大して示す側面図。
図6】剥離部の構成を示す平面図。
図7】剥離板の構成を示す平面図。
図8図7に示す剥離板のB部を拡大して示す平面図。
図9】剥離部が退避した状態のシート剥離装置の構成を示す斜視図。
図10図9に示すシート剥離装置のC部を拡大して示す斜視図。
図11図9に示すシート剥離装置のC部を拡大して示す側面図。
図12】変形例の剥離板の構成を示す平面図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下の各図においては、互いに直交する3つの軸を、X軸、Y軸、及びZ軸として説明する。また、X軸に沿う方向を「X方向」、Y軸に沿う方向を「Y方向」、Z軸に沿う方向を「Z方向」とし、矢印の方向が+方向であり、+方向と反対の方向を-方向とする。なお、+Z方向を「上」又は「上方」又は「表側」、-Z方向を「下」又は「下方」又は「裏側」ということもあり、+Z方向及び-Z方向から見ることを平面視あるいは平面的ともいう。また、Z方向+側の面を「上面」又は「表面」、これと反対側となるZ方向-側の面を「下面」又は「裏面」として説明する。
【0010】
まず、図1を参照しながら、シート製造装置1000の構成を説明する。
【0011】
図1に示すように、シート製造装置1000は、例えば、原料としての機密紙などの使用済みの古紙を乾式で解繊して繊維化した後、加圧、加熱、切断することによって、新しい紙を製造するのに好適な装置である。繊維化された原料に、さまざまな添加物を混合することによって、用途に合わせて、紙製品の結合強度や白色度を向上したり、色、香り、難燃などの機能を付加したりしてもよい。また、紙の密度や厚さ、形状をコントロールして成形することで、A4やA3のオフィス用紙、名刺用紙など、用途に合わせて、さまざまな厚さ・サイズの紙を製造することができる。
【0012】
シート製造装置1000は、供給部10と、粗砕部12と、解繊部20と、選別部40と、第1ウエブ形成部45と、回転体49と、混合部50と、堆積部60と、第2ウエブ形成部70と、搬送部78と、水分付与部79と、加圧部80と、切断部90と、を備えている。
【0013】
供給部10は、粗砕部12に原料を供給する。供給部10は、例えば、粗砕部12に原料を連続的に投入するための自動投入部である。供給部10によって供給される原料は、各種繊維を含む材料である。
【0014】
繊維としては、特に限定されず、広範な繊維材料を用いることができる。繊維としては、天然繊維(動物繊維、植物繊維)、化学繊維(有機繊維、無機繊維、有機無機複合繊維)などを例示できる。繊維は、更に詳しくは、セルロース、絹、羊毛、綿、大麻、ケナフ、亜麻、ラミー、黄麻、マニラ麻、サイザル麻、針葉樹、広葉樹等からなる繊維等が挙げられ、これらを単独で用いてもよいし、適宜混合して用いてもよいし、精製などを行った再生繊維として用いてもよい。
【0015】
繊維の原料としては、例えば、パルプ、古紙、古布等が挙げられる。また、繊維は、各種の表面処理がされていてもよい。また、繊維の材質は、純物質であってもよいし、不純物及びその他の成分など、複数の成分を含む材質であってもよい。また、繊維として、古紙やパルプシートなどを乾式で解繊した解繊物を用いてもよい。
【0016】
粗砕部12は、供給部10によって供給された原料を、大気中等の気中で裁断して細片にする。細片の形状や大きさは、例えば、数cm角の細片である。図示の例では、粗砕部12は、粗砕刃14を有し、粗砕刃14によって、投入された原料を裁断することができる。粗砕部12としては、例えば、シュレッダーを用いる。粗砕部12によって裁断された原料は、ホッパー1で受けてから管2を介して、解繊部20に移送される。
【0017】
解繊部20は、粗砕部12によって裁断された原料を解繊する。ここで、「解繊する」とは、複数の繊維が結着されてなる原料を、繊維1本1本に解きほぐすことをいう。解繊部20は、原料に付着した樹脂粒やインク、トナー、にじみ防止剤等の物質を、繊維から分離させる機能をも有する。
【0018】
解繊部20を通過したものを「解繊物」という。「解繊物」には、解きほぐされた解繊物繊維の他に、繊維を解きほぐす際に繊維から分離した樹脂粒や、インク、トナーなどの色剤や、にじみ防止材、紙力増強剤等の添加剤を含んでいる場合もある。解きほぐされた解繊物の形状は、ひも状である。解きほぐされた解繊物は、他の解きほぐされた繊維と絡み合っていない状態、すなわち独立した状態で存在してもよいし、他の解きほぐされた解繊物と絡み合って塊状となった状態、すなわちダマを形成している状態で存在してもよい。
【0019】
解繊部20は、乾式で解繊を行う。ここで、液体中ではなく、大気中等の気中において、解繊等の処理を行うことを乾式と称する。解繊部20としては、例えば、インペラーミルを用いる。解繊部20は、原料を吸引し、解繊物を排出するような気流を発生させる機能を有している。これにより、解繊部20は、自ら発生する気流によって、導入口22から原料を気流と共に吸引し、解繊処理して、解繊物を排出口24へと搬送することができる。解繊部20を通過した解繊物は、管3を介して、選別部40に移送される。なお、解繊部20から選別部40に解繊物を搬送させるための気流は、解繊部20が発生させる気流を利用してもよいし、ブロアー等の気流発生装置を設け、その気流を利用してもよい。
【0020】
選別部40は、解繊部20により解繊された解繊物を導入口42から導入し、繊維の長さによって選別する。選別部40は、例えば、ドラム部41と、ドラム部41を収容するハウジング部43と、を有している。ドラム部41としては、例えば、篩を用いる。ドラム部41は、網を有し、網の目開きの大きさより小さい繊維又は粒子、すなわち網を通過する第1選別物と、網の目開きの大きさより大きい繊維や未解繊片やダマ、すなわち網を通過しない第2選別物と、を分けることができる。例えば、第1選別物は、管7を介して、堆積部60に移送される。第2選別物は、排出口44から管8を介して、解繊部20に戻される。具体的には、ドラム部41は、モーターによって回転駆動される円筒の篩である。ドラム部41の網としては、例えば、金網、切れ目が入った金属板を引き延ばしたエキスパンドメタル、金属板にプレス機等で穴を形成したパンチングメタルを用いる。
【0021】
第1ウエブ形成部45は、選別部40を通過した第1選別物を、管7に搬送する。第1ウエブ形成部45は、例えば、メッシュベルト46と、張架ローラー47と、サクション機構48と、を有している。
【0022】
サクション機構48は、選別部40の開口を通過して空気中に分散された第1選別物をメッシュベルト46上に吸引することができる。第1選別物は、移動するメッシュベルト46上に堆積し、ウエブVを形成する。
【0023】
メッシュベルト46には、選別部40の開口を通過した通過物が堆積される。メッシュベルト46は、張架ローラー47によって張架され、通過物を通し難く空気を通す構成となっている。メッシュベルト46は、張架ローラー47が自転することによって移動する。メッシュベルト46が連続的に移動しながら、選別部40を通過した通過物が連続的に降り積もることにより、メッシュベルト46上にウエブVが形成される。
【0024】
サクション機構48は、メッシュベルト46の下方に設けられている。サクション機構48は、下方に向く気流を発生させることができる。サクション機構48によって、選別部40により空気中に分散された通過物をメッシュベルト46上に吸引することができる。これにより、選別部40からの排出速度を大きくすることができる。
【0025】
ウエブVは、選別部40及び第1ウエブ形成部45を経ることにより、空気を多く含み柔らかくふくらんだ状態に形成される。メッシュベルト46に堆積されたウエブVは、管7へ投入され、堆積部60へと搬送される。
【0026】
回転体49は、ウエブVを切断することができる。図示の例では、回転体49は、基部49aと、基部49aから突出している突部49bと、を有している。突部49bは、例えば、板状の形状を有している。図示の例では、突部49bは4つ設けられ、4つの突部49bが等間隔に設けられている。基部49aが方向Rに回転することにより、突部49bは、基部49aを軸として回転することができる。回転体49によってウエブVを切断することにより、例えば、堆積部60に供給される単位時間当たりの解繊物の量の変動を小さくすることができる。
【0027】
混合部50は、例えば、選別部40を通過した第1選別物と、結着剤と、を混合する。混合部50は、例えば、結着剤を供給する結着剤供給部52と、第1選別物と結着剤とを搬送する管54と、ブロアー56と、を有している。図示の例では、結着剤は、結着剤供給部52からホッパー9を介して管54に供給される。管54は、管7と連続している。
【0028】
混合部50では、ブロアー56によって気流を発生させ、管54中において、第1選別物と結着剤とを混合させながら、搬送することができる。なお、第1選別物と結着剤とを混合させる機構は、特に限定されず、高速回転する羽根により攪拌するものであってもよいし、V型ミキサーのように容器の回転を利用するものであってもよい。
【0029】
結着剤供給部52としては、スクリューフィーダーや、ディスクフィーダーなどを用いる。結着剤供給部52から供給される結着剤は、例えば、澱粉またはデキストリンである。澱粉は、複数のα-グルコース分子がグリコシド結合によって重合した高分子である。澱粉は、直鎖状であってもよいし、分岐を含んでもよい。
【0030】
なお、結着剤供給部52では、結着剤に加え、製造される繊維体Sの種類に応じて、繊維を着色するための着色剤や、繊維の凝集や結着剤の凝集を抑制するための凝集抑制剤、繊維等を燃え難くするための難燃剤が含まれていてもよい。混合部50を通過した混合物は、管54を介して、堆積部60に移送される。
【0031】
堆積部60は、混合部50を通過した混合物を導入口62から導入し、絡み合った解繊物をほぐして、空気中で分散させながら降らせる。これにより、堆積部60は、第2ウエブ形成部70に、混合物を均一性よく堆積させることができる。
【0032】
堆積部60は、例えば、ドラム部61と、ドラム部61を収容するハウジング部63と、を有している。ドラム部61としては、回転する円筒の篩を用いる。ドラム部61は、網を有し、混合部50を通過した混合物に含まれる、網の目開きの大きさより小さい繊維又は粒子を降らせる。ドラム部61の構成は、例えば、ドラム部41の構成と同じである。
【0033】
なお、ドラム部61の「篩」は、特定の対象物を選別する機能を有していなくてもよい。すなわち、ドラム部61として用いられる「篩」とは、網を備えたもの、という意味であり、ドラム部61は、ドラム部61に導入された混合物の全てを降らしてもよい。
【0034】
第2ウエブ形成部70は、堆積部60を通過した通過物を堆積して、ウエブWを形成する。第2ウエブ形成部70は、例えば、第1搬送ベルトとしての第1メッシュベルト72と、張架ローラー74と、サクション機構76と、を有している。
【0035】
第1メッシュベルト72には、堆積部60の開口を通過した通過物が堆積される。第1メッシュベルト72は、張架ローラー74によって張架され、通過物を通し難く空気を通す構成となっている。第1メッシュベルト72は、張架ローラー74が自転することによって移動する。第1メッシュベルト72が連続的に移動しながら、堆積部60を通過した通過物が連続的に降り積もることにより、第1メッシュベルト72上にウエブWが形成される。
【0036】
サクション機構76は、第1メッシュベルト72の下方に設けられている。サクション機構76は、下方に向く気流を発生させることができる。サクション機構76によって、堆積部60により空気中に分散された混合物を第1メッシュベルト72上に吸引することができる。これにより、堆積部60からの排出速度を大きくすることができる。さらに、サクション機構76によって、混合物の落下経路にダウンフローを形成することができ、落下中に解繊物や結着剤が絡み合うことを防ぐことができる。
【0037】
以上のように、堆積部60及び第2ウエブ形成部70を経ることにより、空気を多く含み柔らかくふくらんだ状態のウエブWが形成される。
【0038】
第1メッシュベルト72上におけるウエブWの搬送方向の下流側には搬送部78が配置される。搬送部78は、第1メッシュベルト72上のウエブWを、第1メッシュベルト72から剥がして加圧部80に向けて搬送する。搬送部78は、第2搬送ベルトとしての第2メッシュベルト78aと、ローラー78bと、サクション機構78cと、を有する。第2メッシュベルト78aは、ローラー78bによって張架され、空気を通す構成となっている。第2メッシュベルト78aは、ローラー78bの自転により移動可能に構成される。サクション機構78cは、第2メッシュベルト78aを挟んでウエブWに対して対向する位置に配置される。サクション機構78cは、ブロアーを備え、ブロアーの吸引力によって第2メッシュベルト78aに上向きの気流を発生させる。この気流によってウエブWを吸引する。
【0039】
これにより、ウエブWの一方の面を第1メッシュベルト72から剥がし、第1メッシュベルト72から剥がされた一方の面の反対面である他方の面を、第2メッシュベルト78aに吸着させることができる。第2メッシュベルト78aに吸着したウエブWは、第2メッシュベルト78aに接触した状態で搬送される。
【0040】
搬送部78の下方には水分付与部79が配置される。水分付与部79は、第2メッシュベルト78aに接触しているウエブWの第1面に向けて水分を付与する。水分付与部79では、水分としては、例えば、水蒸気又はミストをウエブWに付与する。これにより、ウエブWに均一に水分を付与することができる。
【0041】
搬送部78及び水分付与部79の下流には加圧部80が配置される。水分が付与されたウエブWは、加圧部80へと搬送される。
【0042】
加圧部80は、水分が付与され、第2メッシュベルト78aから剥がされたウエブWを加圧する。本実施形態の加圧部80は、水分が付与されたウエブWを加圧すると同時に加熱する。これにより、ウエブWに含まれる水分が温度上昇した後に蒸発するとともに、ウエブWの厚さが薄くなって繊維密度が高められる。熱により水分と結着剤が温度上昇し、圧力により繊維密度が高まることにより、結着剤が糊化し、その後水分が蒸発することにより糊化した結着剤を介して複数の繊維同士が結着する。さらに、熱により水分が蒸発し、圧力により繊維密度が高まることにより、水素結合によって複数の繊維が結着する。これにより、機械的強度がより良好なシート状の繊維体Sを形成することができる。
【0043】
本実施形態の加圧部80は、ウエブWを加圧加熱する加圧加熱部84を有している。加圧加熱部84は、例えば、加熱ローラー、熱プレス成形機を用いて構成できる。図示の例では、加圧加熱部84は、一対のローラー86a,86bである。なお、ローラー86a,86bの数は、特に限定されない。加圧加熱部84により、ウエブWに対して加圧及び加熱を同時に行うことができる。
【0044】
一対のローラー86a,86bのうち一方のローラー86bの近傍には、ローラー86bに貼り付いたウエブW、即ち、シート状の繊維体Sを、ローラー86bから剥がす剥離部100が配置されている。
【0045】
切断部90は、加圧部80によって成形された繊維体Sを切断する。図示の例では、切断部90は、繊維体Sの搬送方向と交差する方向に繊維体Sを切断する第1切断部92と、搬送方向に平行な方向に繊維体Sを切断する第2切断部94と、を有している。第2切断部94は、例えば、第1切断部92を通過した繊維体Sを切断する。以上により、所定のサイズの単票の繊維体Sが成形される。切断された単票の繊維体Sは、排出受け部96に排出される。以下、ウエブW及び繊維体Sを、シートSと称する。
【0046】
次に、図2図5を参照しながら、シート剥離装置100Aの構成について説明する。
【0047】
図2図5に示すように、シート剥離装置100Aは、シートSを加熱しながら搬送する一対のローラー86a,86bと、一対のローラー86a,86bのうち一方のローラー86bの近傍に配置された剥離部100と、を有する。以降、ローラー86aを第1ローラー86aと称し、ローラー86bを一方のローラーとしての第2ローラー86bと称する。
【0048】
剥離部100は、第2ローラー86bに先端部201が当接する剥離板200と、剥離板200を支持する支持部300と、を有する。剥離板200の先端部201が、第2ローラー86bの表面に当接することにより、搬送されたシートS、即ち、第2ローラー86bに貼り付いたシートSの先端を、第2ローラー86bから剥がすことが可能となっている。
【0049】
第2ローラー86bの表面には、3つの押さえローラー410,420,430が当接している。これにより、搬送されたシートSを、剥離部100の方向に搬送することができる。また、剥離部100の近傍には、シートSを下流側に搬送するための巻き掛けローラー450が配置されている。つまり、ローラー86a,86bの間を通ってきたシートSは、剥離部100と巻き掛けローラー450との間を通って、下流側に搬送される。
【0050】
図3に示すように、剥離板200の幅W1は、第2ローラー86bの幅W2よりも広い。よって、第2ローラー86bに貼り付いたシートSの幅全体を、剥離板200によって、確実に剥がすことができる。また、剥離板200には、所定の間隔をあけてスリット210が設けられている。
【0051】
図4及び図5に示すように、剥離部100は、剥離板200の先端部201が、第2ローラー86bの表面に当接するように配置されている。これにより、第2ローラー86bに貼り付いたシートSの先端部S1を、剥離板200の先端部201で接触させることにより、シートの先端部S1を剥がすことが可能となり、シートSを下流側に搬送させることができる。
【0052】
次に、図6図8を参照しながら、剥離部100、及び、剥離板200の構成を説明する。
【0053】
図6に示すように、剥離部100は、上記したように、剥離板200と、剥離板200を支持する支持部300と、を有する。剥離板200は、X方向の一端部側と他端部側とに配置された固定ネジ220を用いて、支持部300に固定されている。更に、剥離板200は、両面テープを用いて、支持部300に固定されている。
【0054】
図7及び図8に示すように、剥離板200には、所定の間隔をあけて複数のスリット210が設けられている。スリット210の間隔W11は、例えば、20mmである。スリット210の幅W12は、例えば、2mmである。スリット210の高さH1は、例えば、10mmである。剥離板200の厚みは、例えば、0.3mmである。
【0055】
剥離板200の材料は、弾性を有し熱に強いものが好ましく、例えば、ポリイミドである。ポリイミドで剥離板200が構成されているので、熱に対して耐熱性が高く、更に、第2ローラー86bに当接した際、第2ローラー86bに傷が付くことを軽減することができる。
【0056】
支持部300の材料としては、例えば、SECC(亜鉛メッキ鋼板)やステンレスなどが挙げられる。このように、支持部300と剥離板200とは、熱膨張係数が異なる。具体的には、支持部300は熱膨張が生じにくく、剥離板200は縮みやすい。
【0057】
しかしながら、剥離板200に複数のスリット210が形成されているので、剥離板200と支持部300との熱膨張差による、剥離板200の撓みを吸収することができる。即ち、剥離板200にスリット210が設けられていない場合と比べて、スリット210が設けられていることにより、伸縮分を緩和させることができる。
【0058】
このように、剥離板200及び支持部300に熱が伝わった場合でも、剥離板200にスリット210が設けられているので、剥離板200及び支持部300の熱膨張差に起因する撓みを、スリット210で吸収することができる。よって、剥離板200におけるシートSと当接する先端部201が曲がる、言い換えれば、よれが発生することを抑えることができる。これにより、第2ローラー86bに隙間なく剥離板200の先端部201を当接させることが可能となり、付着したシートSを第2ローラー86bから剥離させることができる。その結果、シートSを下流側に確実に搬送させることができる。
【0059】
次に、図9図11を参照しながら、剥離部100の動作について説明する。
【0060】
図9図11に示すように、剥離部100は、第2ローラー86b及び巻き掛けローラー450から離れる方向(図10及び図11に示す矢印方向)に可動することが可能に配置されている。言い換えれば、剥離部100、即ち、剥離板200の先端部201は、第2ローラー86bに対して、接離可能に配置されている。つまり、剥離板200の先端部201は、第2ローラー86bの表面に当接、又は、非当接が選択できる。剥離部100を可動させることにより、剥離板200の先端と第2ローラー86bとの間に、隙間W21をつくることができる(図10及び図11参照)。
【0061】
このように、第2ローラー86bに対して接離可能に剥離部100が配置されているので、第2ローラー86bに付着したシートSを剥離するときには、剥離部100を第2ローラー86bの表面に当接させ、シートSが剥離された後は、剥離部100を非当接、即ち、第2ローラー86bから離すことにより、第2ローラー86bの表面に傷がつくことや表面の劣化を抑えることができる。
【0062】
以上述べたように、本実施形態のシート剥離装置100Aは、シートSを加熱しながら搬送するローラー86a,86bと、ローラー86a,86bのうち第2ローラー86bに先端部201が当接する剥離板200と、剥離板200を支持する支持部300と、を有する剥離部100と、を備え、剥離板200には、剥離板200と支持部300との熱膨張差による撓みを吸収するスリット210が設けられている。
【0063】
この構成によれば、シートSへの加熱により、剥離板200及び支持部300に熱が伝わった場合でも、剥離板200にスリット210が設けられているので、剥離板200及び支持部300の熱膨張差に起因する撓みを、スリット210で吸収することができる。よって、剥離板200におけるシートSと当接する先端部201が曲がる、言い換えれば、よれが発生することを抑えることができる。これにより、第2ローラー86bに隙間なく剥離板200の先端部201を当接させることが可能となり、付着したシートSを第2ローラー86bから剥離させることができる。その結果、シートSを下流側に確実に搬送させることができる。
【0064】
また、本実施形態のシート剥離装置100Aにおいて、剥離部100は、第2ローラー86bに対して接離可能に配置されており、第2ローラー86bに当接、又は、非当接が選択できることが好ましい。この構成によれば、第2ローラー86bに対して接離可能に剥離部100が配置されているので、第2ローラー86bに付着したシートSを剥離するときには、剥離部100を第2ローラー86bに当接させ、シートSが剥離された後は、剥離部100を非当接、即ち、第2ローラー86bから離すことにより、第2ローラー86bに傷がつくことを抑えることができる。
【0065】
また、本実施形態のシート剥離装置100Aにおいて、剥離板200は、ポリイミドであることが好ましい。この構成によれば、ポリイミドで剥離板200が構成されているので、熱に対して耐久性が高く、更に、第2ローラー86bに当接した際、傷が付くことを軽減することができる。
【0066】
また、本実施形態のシート製造装置1000は、原料を供給する供給部10と、原料の一部を堆積させてシートSを形成する堆積部60と、シートSを加圧する加圧部80と、シートSを切断する切断部90と、を備え、加圧部80は、シートSを加熱しながら搬送するローラー86a,86bと、ローラー86a,86bのうち第2ローラー86bに先端部201が当接する剥離板200と、剥離板200を支持する支持部300と、を有する剥離部100と、を有し、剥離板200には、剥離板200と支持部300との熱膨張差による撓みを吸収するスリット210が設けられている。
【0067】
この構成によれば、シートSへの加熱により、剥離板200及び支持部300に熱が伝わった場合でも、剥離板200にスリット210が設けられているので、剥離板200及び支持部300の熱膨張差に起因する撓みを、スリット210で吸収することができる。よって、剥離板200におけるシートSと当接する先端部201が曲がる、言い換えれば、よれが発生することを抑えることができる。これにより、第2ローラー86bに隙間なく剥離板200の先端部201を当接させることが可能となり、付着したシートSを第2ローラー86bから剥離させることができる。その結果、シートSを下流側に確実に搬送させることができる。
【0068】
以下、上記した実施形態の変形例を説明する。
【0069】
上記した実施形態のように、剥離板200は、シートSの先端部S1に対して面接触させることに限定されず、図12に示すようにしてもよい。変形例の剥離板200Aは、先端部201Aの形状が、突起状に形成されている。つまり、シートSに対して、面接触ではなく、点接触になる。
【0070】
このように、シートSに対して剥離板200Aの当たる抵抗を少なくすることが可能となり、第2ローラー86bに対してシートSの浮きが多少生じたとしても、シートSが詰まらないようにすることができる。
【符号の説明】
【0071】
1…ホッパー、2,3,7,8…管、9…ホッパー、10…供給部、12…粗砕部、14…粗砕刃、20…解繊部、22…導入口、24…排出口、40…選別部、41…ドラム部、42…導入口、43…ハウジング部、44…排出口、45…第1ウエブ形成部、46…メッシュベルト、47…張架ローラー、48…サクション機構、49…回転体、49a…基部、49b…突部、50…混合部、52…結着剤供給部、54…管、56…ブロアー、60…堆積部、61…ドラム部、62…導入口、63…ハウジング部、70…第2ウエブ形成部、72…第1メッシュベルト、74…張架ローラー、76…サクション機構、78…搬送部、78a…第2メッシュベルト、78b…ローラー、78c…サクション機構、79…水分付与部、80…加圧部、84…加圧加熱部、86a…第1ローラー、86b…一方のローラーとしての第2ローラー、90…切断部、92…第1切断部、94…第2切断部、96…排出受け部、100…剥離部、100A…シート剥離装置、200,200A…剥離板、201,201A…先端部、210…スリット、220…固定ネジ、300…支持部、410,420,430…押さえローラー、450…巻き掛けローラー、1000…シート製造装置。
図1
図2
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図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12