(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024158153
(43)【公開日】2024-11-08
(54)【発明の名称】片持ち式電動機用の仮止め治具
(51)【国際特許分類】
H02K 15/16 20060101AFI20241031BHJP
【FI】
H02K15/16 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023073112
(22)【出願日】2023-04-27
(71)【出願人】
【識別番号】000003115
【氏名又は名称】東洋電機製造株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000305
【氏名又は名称】弁理士法人青莪
(72)【発明者】
【氏名】峯島 大輔
【テーマコード(参考)】
5H615
【Fターム(参考)】
5H615AA01
5H615PP24
5H615PP25
5H615SS09
5H615SS10
5H615SS59
(57)【要約】
【課題】回転軸103の自由端側に位置する部分103aの仮止め作業の軽減と、仮止めに要するコストの低減とを図る片持ち式電動機101用の仮止め治具1を提供する。
【解決手段】長尺の本体部11と、本体部11の長手方向一端部に設けられた雄ねじ部12と、自由端側に位置する回転軸103の外周面の一部と合致する曲面131を有する、本体部11の長手方向他端部に回転自在に設けられた当接子13とを備え、開放した端面102b側に位置するケース102の端部の、回転軸103の軸心を通る直線が交わる部分に開設されたねじ孔102cを通じて、仮止め治具1がケース102の内部に挿入され、曲面131が、自由端側に位置する回転軸103の外周面の一部と合致されて、当接子13が回転軸103の外周面の一部に当接し、回転軸103の自由端側に位置する部分103aが一時的に支持され、仮止めされる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケースと、このケースの内部に設けられた回転自在な回転軸と、この回転軸に固定された回転子と、この回転子を囲うようにケース内面に固定された固定子とを備え、回転軸は、軸方向の一端部でのみ軸受に軸支され、回転軸の軸方向他端は自由端とされ、回転軸の自由端側に位置するケースの端面が開放された片持ち式電動機の、回転軸の自由端側に位置する部分を一時的に支持し、仮止めする片持ち式電動機用の仮止め治具であって、
長尺の本体部と、この本体部の長手方向一端部に設けられ、外周面にねじが切られた雄ねじ部と、自由端側に位置する回転軸の外周面の一部と合致する曲面を有する、本体部の長手方向他端部に回転自在に設けられた当接子とを備え、
開放された端面側に位置するケース端部の、回転軸の軸心を通る直線が交わる部分に開設されたねじ孔を通じて、片持ち式電動機用の仮止め治具がケース内部に挿入され、当接子の曲面が、自由端側に位置する回転軸の外周面の一部と合致され、雄ねじ部がねじ孔にねじ込まれるのに伴い、当接子が回転軸の外周面の一部に当接し、回転軸の自由端側に位置する部分が一時的に支持され、仮止めされることを特徴とする片持ち式電動機用の仮止め治具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転軸が、軸方向の一端部でのみ軸受に軸支され、回転軸の軸方向他端は自由端とされ、回転軸の自由端側に位置するケースの端面が開放された片持ち式電動機の、回転軸の自由端側に位置する部分を一時的に支持し、仮止めする片持ち式電動機用の仮止め治具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ケースと、このケースの内部に設けられた回転自在な回転軸と、この回転軸に固定された回転子と、この回転子を囲うようにケース内面に固定された固定子とを備え、回転軸は、軸方向の一端部でのみ軸受に軸支され、回転軸の軸方向他端は自由端とされ、回転軸の自由端側に位置するケースの端面が開放された片持ち式電動機が知られている。この片持ち式電動機は、回転軸の自由端側に位置する部分が減速機等の回転機器の軸受等に支持されて所定部位に設置されるため、片持ち式電動機では、所定部位に設置されるまでの間、回転子と固定子が接触して損傷する等が起こらないように、回転軸の自由端側に位置する部分を支持する必要がある。
【0003】
そこで、例えば、特許文献1記載の片持ち式電動機は、回転軸の自由端側に位置する部分を保持する保護装置と、回転軸の自由端側に位置する部分に保護装置に当接する当接面とを備えている。上記保護装置は、回転軸の径方向に分割可能な複数の保持部材を有し、これらの保持部材には、回転軸の自由端側に位置する部分が挿入される保持溝が設けられている。そして、特許文献1記載の片持ち式電動機では、回転軸の自由端側に位置する部分を支持する際に、上記当接面を当接面側に配置される上記保持部材に当接させると共に、回転軸の自由端側に位置する部分の外周を囲うように上記保持溝を組み合わせて、保持部材が、ケースの開放された側の端面に取り付けられる。このため、回転軸は、軸方向の一端部でしか軸受に軸支されていないが、上記当接面及び上記保持溝によって、軸方向及び径方向への移動が規制され、回転軸の自由端側に位置する部分が支持される。
【0004】
しかしながら、片持ち式電動機の所定部位への設置時には、回転軸の自由端側に位置する部分は、減速機等の回転機器の軸受等に支持されるため、保護装置はその時点で不要になり、且つ取り付けられたまま放置されると、回転軸の回転の妨げになるため、片持ち式電動機の設置後には取り外される。また、保護装置が取り外されると、回転軸の自由端側に位置する部分の当接面は、設置後の片持ち式電動機では特に機能しない無用のものになる。このように、保護装置及び当接面は、回転軸の自由端側に位置する部分を一時的に支持して仮止めするための技術的手段である。したがって、特許文献1に記載されたものも含め、片持ち式電動機には、回転軸の自由端側に位置する部分の仮止め作業の軽減と、仮止めに要するコストの低減とが要求される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、以上の点に鑑み、片持ち式電動機の、回転軸の自由端側に位置する部分の仮止め作業の軽減と、仮止めに要するコストの低減とを図ることができる片持ち式電動機用の仮止め治具を提供することをその課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明は、ケースと、このケースの内部に設けられた回転自在な回転軸と、この回転軸に固定された回転子と、この回転子を囲うようにケース内面に固定された固定子とを備え、回転軸は、軸方向の一端部でのみ軸受に軸支され、回転軸の軸方向他端は自由端とされ、回転軸の自由端側に位置するケースの端面が開放された片持ち式電動機の、回転軸の自由端側に位置する部分を一時的に支持し、仮止めする片持ち式電動機用の仮止め治具であって、長尺の本体部と、この本体部の長手方向一端部に設けられ、外周面にねじが切られた雄ねじ部と、自由端側に位置する回転軸の外周面の一部と合致する曲面を有する、本体部の長手方向他端部に回転自在に設けられた当接子とを備え、開放された端面側に位置するケース端部の、回転軸の軸心を通る直線が交わる部分に開設されたねじ孔を通じて、片持ち式電動機用の仮止め治具がケース内部に挿入され、当接子の曲面が、自由端側に位置する回転軸の外周面の一部と合致され、雄ねじ部がねじ孔にねじ込まれるのに伴い、当接子が回転軸の外周面の一部に当接し、回転軸の自由端側に位置する部分が一時的に支持され、仮止めされることを特徴とする。
【0008】
本発明によれば、仮止め治具は、ボルトのような部材であり、主として工具による締付けで回転軸の自由端側に位置する部分を一時的に支持して仮止めすることができるため、仮止め作業の軽減と、仮止めに要するコストの低減とが図られる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の片持ち式電動機用の仮止め治具の一実施形態を示す側面図と、片持ち式電動機用の仮止め治具によって、回転軸の自由端側に位置する部分が仮止めされた片持ち式電動機の一形態を概略的に示す要部断面図。
【
図2】
図1に示す片持ち式電動機用の仮止め治具と、
図1に示す片持ち式電動機の一形態の要部とをA-A線に沿って切断した断面図。
【
図3】(a)及び(b)は、夫々、
図2に示す片持ち式電動機用の仮止め治具を拡大して示す要部断面図。
【
図4】(a)及び(b)は、夫々、本発明の片持ち式電動機用の仮止め治具の別の実施形態の要部を拡大して示す断面図。
【
図5】(a)及び(b)は、夫々、本発明の片持ち式電動機用の仮止め治具のまた別の実施形態の要部を拡大して示す要部断面図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1を参照して、片持ち式電動機101は、ケース102と、ケース102の内部に設けられた回転自在な回転軸103と、回転軸103に固定された回転子104と、回転子104を囲うようにケース102の内面に固定された固定子105とを備えている。回転子104は、軸方向に対向して配置され、回転軸103に固定された一対の回転子押え106,106の間に狭持されている。回転軸103は、軸方向の一端部のみに設けられた軸受107に軸支されている。軸受107は、ブラケット108を介して、回転軸103の軸方向の一端部に位置する、ケース102の端面102aに固定されている。回転軸103の軸方向他端は自由端とされ、回転軸103の自由端側に位置するケース102の端面102bは開放されている。
【0011】
片持ち式電動機101は、回転軸103の自由端側に位置する部分103aが減速機等の回転機器の軸受等に支持されて所定部位に設置される。そこで、片持ち式電動機101は、所定部位への設置までの間、回転子104と固定子105が接触して損傷する等が起こらないように、回転軸103の自由端側に位置する部分103aが、片持ち式電動機101用の仮止め治具(以下、仮止め治具と記す)1によって一時的に支持され、仮止めされる。
【0012】
図2も参照して、仮止め治具1は、基本的に、長尺の本体部11と、本体部11の長手方向一端部に設けられ、外周面にねじが切られた雄ねじ部12と、自由端側に位置する回転軸103の外周面の一部と合致する曲面131を有する、本体部11の長手方向他端部に回転自在に設けられた当接子13とを備えている。仮止め治具1は、後述するように、本体部11と当接子13によって組み立てられる。
【0013】
本体部11の長手方向一端には、例えば、平面視で六角形等の形状を有し、レンチ、スパナ等の工具の使用が可能なねじ頭14が固定され、ねじ頭14は、本体部11と一体化されている。また、本体部11の長手方向他端部は、外径が長手方向に漸減する縮径部111と、縮径部111から本体部11の長手方向他端までのびるピン112とを有している。
【0014】
当接子13の外径は、本体部11の外径と同径である。また、当接子13は、本体部11の縮径部111の外周面に内周面が合致可能であると共に、縮径部111の外周面に沿って内周面が滑動可能である、すり鉢状に窪む窪み部132と、窪み部132から本体部11の長手方向他端に向かってのびる長孔状のピン孔133と、ピン孔133に連通し、本体部11の長手方向他端近くの部分に凹設された凹部134とを有している。当接子13では、ピン孔133及び凹部134の内径は、本体部11のピン112の外径よりも大きく、また、凹部134の内径はピン孔133の内径よりも大きくなっている。
【0015】
仮止め治具1を組み立てる際には、
図3(a)に示すように、本体部11のピン112を、窪み部132を通じてピン孔133の内部に挿入し、ピン112の挿入方向端部を凹部134の内部まで貫通させ、凹部134内に突出させる。この状態において、
図3(b)に示すように、凹部134を通じてピン112の挿入方向端部を、外径が凹部134の内径に収まる程度に加締める。加締め後のピン112の挿入方向端部は、本体部11の長手方向一端部側に潰れる。しかし、潰れた部分の外径は、当接子13の凹部134の内径よりも小さく、ピン112の外径はピン孔133の内径よりも小さく、且つ窪み部132の内周面は本体部11の縮径部111の外周面を滑動可能である。このため、上述のようにして組み立てられた仮止め治具1では、当接子13は、本体部11から抜け外れることなく、本体部11の長手方向他端部に対し回転自在になる。
【0016】
なお、
図1及び
図2に示すように、開放された端面102bの側に位置するケース102の端部には、回転軸103の軸心を通る直線と直交する部分に、仮止め治具1の雄ねじ部12のねじ込みが可能とされたねじ孔102cが開設されている。ねじ孔102cは、回転子104、一対の回転子押え106及び回転軸103の自由端側に位置する部分103aの総重量を仮止め治具1が受け、回転子104が固定子105に接触して損傷等が起こらないように、回転軸103の自由端側の部分103aを支持することができる位置に形成される。
【0017】
すなわち、ねじ孔102cの個数及び位置は、所定部位への設置までの間の片持ち式電動機101の配置状態に応じて適宜決めることができる。例えば、片持ち式電動機101が水平に配置される場合、ねじ孔102cは、ケース102の最下位に1つだけ開設したり、ケース102の最下位に加え、ケース102の周方向に、回転軸103の軸心に対し、等角度で複数個開設したりすることもできる。また、片持ち式電動機101が水平に配置されない場合には、ねじ孔102cは、仮止め治具1が、上記総重量を均等に配分して受けることができる位置に複数個開設することができる。
【0018】
仮止め治具1による回転軸103の自由端側に位置する部分103aを一時的に支持するための仮止め作業について、
図1及び
図2に示す、所定部位への設置までの間に片持ち式電動機101が水平に配置される場合を例に挙げて以下に説明する。なお、ねじ孔102cは、開放された端面102bの側に位置するケース102の部分の最下位に1つだけ開設されている。
【0019】
ねじ孔102cを通じて仮止め治具1をケース102の内部に挿入し、工具を用いてねじ頭14を回転させ、雄ねじ部12をねじ孔102cにねじ込む。この時、本体部11は、ねじ頭14の回転方向と同方向に回転する。当接子13は、自重によって窪み部132の内周面が本体部11の縮径部111の外周面に合致するため、本体部11の回転と共に回転し、回転軸103の自由端側に位置する部分103aに接近する。最接近した時、工具による雄ねじ部12のねじ孔102cへのねじ込み操作を一旦止め、当接子13を回動させて曲面131を、自由端側に位置する回転軸103の外周面の一部に合致させる。この状態で、工具による雄ねじ部12のねじ孔102cへのねじ込み操作を再開する。
【0020】
すると、雄ねじ部12がねじ孔102cにねじ込まれるのに伴い、本体部11の縮径部111が当接子13の窪み部132に楔のように当接すると共に、当接子13が、曲面131において回転軸103の外周面の一部に当接する。このような当接状態では、当接子13は、回転軸103の自由端側に位置する部分103aを軸方向及び径方向に押圧するため、仮止め治具1は上記総重量を受けることができると共に、回転軸103の自由端側に位置する部分103aの軸方向及び径方向への移動が拘束されて、回転軸103は芯出しされる。こうして、回転軸103の自由端側に位置する部分103aが、仮止め治具1によって、所定部位への設置までの間、一時的に支持され、仮止めされる。
【0021】
そして、仮止め治具1は、ボルトのような部材であり、主として工具によるねじ込みで回転軸103の自由端側に位置する部分103aを一時的に支持して仮止めすることができるため、仮止め作業の軽減と、仮止めに要するコストの低減とが図られる。
【0022】
図4(a)及び
図4(b)を参照して、本発明の片持ち式電動機用の仮止め治具の別の実施形態について説明する。本実施形態の仮止め治具1aは、
図1、
図2、並びに
図3(a)及び
図3(b)に示す仮止め治具1の基本構成を踏襲している。したがって、仮止め治具1aで仮止め治具1と共通する部位には、
図4(a)及び
図4(b)に、
図3(a)及び
図3(b)に付した符号と同一の符号を付し、同一符号を付した部位についての説明を省略する。
【0023】
仮止め治具1aは、本体部11のピン112の、当接子13のピン孔133への挿入方向先端部の加締めに替え、ピン112及び当接子13とは別体とした環状部材135を採用し、環状部材135の開孔135aにピン112の上記挿入方向先端部を挿入して、環状部材135にピン112の上記挿入方向先端部を溶接することによって、当接子13を、本体部11の長手方向他端部に対し回転自在にしている点で仮止め治具1と相違する。環状部材135の外径は当接子13の凹部134の内径よりも小さく、環状部材135の開孔135aの径はピン112の外径よりも大きい。
【0024】
仮止め治具1aを組み立てる際には、ピン112の上記挿入方向先端部を凹部134の内部に突出させた状態で環状部材135を、ピン112の上記挿入方向先端部が開孔135aを通るように、凹部134の内部に挿入し、ピン112の上記挿入方向先端部を開孔135aの内部にとどめ、この状態で溶接を行い、ピン112の上記挿入方向先端部を環状部材135に溶着させる。このようにして組み立てられた仮止め治具1aでは、当接子13は、仮止め治具1と同様に、本体部11から抜け外れることなく、本体部11の長手方向他端部に対し回転自在になる。
【0025】
仮止め治具1aを用いて、
図1に示す片持ち式電動機101の回転軸103の自由端側に位置する部分103aを一時的に支持する仮止め作業は、仮止め治具1と全く同じである。したがって、仮止め治具1aによっても、仮止め作業の軽減と、仮止めに要するコストの低減とが図られる。
【0026】
図5(a)及び
図5(b)を参照して、本発明の片持ち式電動機用の仮止め治具のまた別の実施形態について説明する。本実施形態の仮止め治具1bも、
図1、
図2、並びに
図3(a)及び
図3(b)に示す仮止め治具1の基本構成を踏襲している。したがって、仮止め治具1bで仮止め治具1と共通する部位には、
図5(a)及び
図5(b)に、
図3(a)及び
図3(b)に付した符号と同一の符号を付し、同一符号を付した部位についての説明を省略する。
【0027】
仮止め治具1bでは、本体部11はピン112を有さず、縮径部111の縮径方向の先端に受座111aが設けられ、縮径部111の縮径方向先端部に、受座111aから本体部11の長手方向一端部側に向かって、内周面にねじが切られたピン穴111bが形成されると共に、仮止め治具1bは、本体部11と別体とされた止めピン136を備える点で仮止め治具1,1aと相違している。止めピン136の外径は、当接子13の凹部134及びピン孔133の内径よりも小さい。
【0028】
仮止め治具1bを組み立てる際には、本体部11の縮径部111を当接子13の窪み部132の内部に挿入した状態で、止めピン136を当接子13の凹部134を通じてピン孔133内に挿入する。止めピン136は、ドライバー、レンチ等の工具によって止めピン136を回転させることができる頭部136aと、脚部の外周面に雄ねじが切られ、縮径部111のピン穴111bにねじ込み可能なねじ部136bとを有している。そして、ピン孔133内に収納された止めピン136の頭部136aを工具によって回転させ、ねじ部136bを縮径部111のピン穴111bにねじ込む。このようにして組み立てられた仮止め治具1bでは、当接子13は、仮止め治具1,1aと同様に、本体部11から抜け外れることなく、本体部11の長手方向他端部に対し回転自在になる。
【0029】
仮止め治具1bを用いて、
図1に示す片持ち式電動機101の回転軸103の自由端側に位置する部分103aを一時的に支持する仮止め作業も、仮止め治具1,1aと全く同じである。したがって、仮止め治具1bによっても、仮止め作業の軽減と、仮止めに要するコストの低減とが図られる。
【0030】
以上、本発明の実施形態について図面を参照して説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、当接子13を本体部11に対し回転自在にする具体的な構造には様々な態様を適用することができる。また、片持ち式電動機101の構成及び構造は特に限定されず、所定部位に設置されるまでの間、回転軸103の自由端側に位置する部分103aが、一時的に支持され、仮止めされるものであればよい。さらに、本体部11及び当接子13に用いられる材料は、回転軸103及びケース102に用いられる材料を考慮し、一時的に支持しての仮止めによって、回転軸103及びケース102を損傷等させることのない適当なものを選択することができる。そして、ケース102の開放された端面102bは、必ずしも全開にする必要はなく、回転軸103の自由端側に位置する部分103aの径方向に部分的に開放していてもよい。
【符号の説明】
【0031】
1…片持ち式電動機用の仮止め治具、11…本体部、12…雄ねじ部、13…当接子、131…曲面、101…片持ち式電動機、102…ケース、102b…開放された端面、102c…ねじ孔、103…回転軸、103a…回転軸103の自由端側に位置する部分、104…回転子、105…固定子、107…軸受。