(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024158155
(43)【公開日】2024-11-08
(54)【発明の名称】エレベータ
(51)【国際特許分類】
B66B 1/14 20060101AFI20241031BHJP
B66B 11/02 20060101ALI20241031BHJP
【FI】
B66B1/14 C
B66B11/02 Q
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023073115
(22)【出願日】2023-04-27
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2024-03-01
(71)【出願人】
【識別番号】000112705
【氏名又は名称】フジテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000729
【氏名又は名称】弁理士法人ユニアス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】片山 知
(72)【発明者】
【氏名】井上 祐紀
(72)【発明者】
【氏名】大脇 裕之
(72)【発明者】
【氏名】能 愛莉
【テーマコード(参考)】
3F306
3F502
【Fターム(参考)】
3F306AA11
3F306CB02
3F306CB49
3F502HA03
3F502JA14
3F502JA99
3F502JB12
3F502KA02
3F502KA18
3F502KA19
3F502MA43
3F502MA44
3F502MA48
(57)【要約】
【課題】 適切な加速度でかごを横方向へ走行させることができるエレベータを提供する。
【解決手段】 エレベータは、昇降路を上下方向へ走行し且つ横行路を横方向へ走行するかごと、かごの内部の人の有無を検出する人検出部と、かごの走行を制御する処理部と、を備え、処理部は、人検出部が人を検出せず且つかごが横方向へ走行する場合における、最大加速度を、第1横加速度に設定し、人検出部が人を検出し且つかごが横方向へ走行する場合における、最大加速度を、第1横加速度よりも小さい第2横加速度に設定する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
昇降路を上下方向へ走行し且つ横行路を横方向へ走行するかごと、
前記かごの内部の人の有無を検出する人検出部と、
前記かごの走行を制御する処理部と、を備え、
前記処理部は、
前記人検出部が人を検出せず且つ前記かごが前記横方向へ走行する場合における、最大加速度を、第1横加速度に設定し、
前記人検出部が人を検出し且つ前記かごが前記横方向へ走行する場合における、最大加速度を、前記第1横加速度よりも小さい第2横加速度に設定する、エレベータ。
【請求項2】
前記処理部は、前記人検出部が人を検出し且つ前記かごが前記上下方向へ走行する場合における、最大加速度を、縦加速度に設定し、
前記第2横加速度は、前記縦加速度よりも、小さい、請求項1に記載のエレベータ。
【請求項3】
前記処理部は、前記人検出部が人を検出し且つ前記かごが前記上下方向へ走行する場合における、最大加速度を、縦加速度に設定し、
前記第1横加速度は、前記縦加速度よりも、大きい、請求項1に記載のエレベータ。
【請求項4】
乗場に配置され、開閉される乗場戸をさらに備え、
前記乗場戸は、前記昇降路のみに備えられ、
前記処理部は、前記人検出部が人を検出する状態で前記かごが前記横行路を走行する直前の乗場に位置した場合に、前記かごを前記直前の乗場に停止させて、且つ、前記直前の乗場の乗場戸を開放させる、請求項1~3の何れか1項に記載のエレベータ。
【請求項5】
前記かごは、前記かごの内部へ情報を出力するかご出力部をさらに備え、
前記かご出力部は、前記かごが前記横方向へ走行する前に、前記かごが前記横方向へ走行する情報を出力する、請求項1~3の何れか1項に記載のエレベータ。
【請求項6】
前記かごは、前記かごの内部で且つ上部に、掴まれる上掴み部をさらに備える、請求項1~3の何れか1項に記載のエレベータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、エレベータに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば、エレベータは、走行するかごを備えており、かごは、昇降路を上下方向へ走行し、横行路を横方向へ走行する(例えば、特許文献1及び2)。ところで、かごが大きい加速度を有して横方向へ走行した場合には、かごの内部の人に、横方向の慣性力が働くため、例えば、かごの内部の人は、バランスを崩し易くなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平5-39173号公報
【特許文献2】特開平5-39183号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
そこで、課題は、適切な加速度でかごを横方向へ走行させることができるエレベータを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
エレベータは、
昇降路を上下方向へ走行し且つ横行路を横方向へ走行するかごと、
前記かごの内部の人の有無を検出する人検出部と、
前記かごの走行を制御する処理部と、を備え、
前記処理部は、
前記人検出部が人を検出せず且つ前記かごが前記横方向へ走行する場合における、最大加速度を、第1横加速度に設定し、
前記人検出部が人を検出し且つ前記かごが前記横方向へ走行する場合における、最大加速度を、前記第1横加速度よりも小さい第2横加速度に設定する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】一実施形態に係るエレベータのかごの走行イメージ図
【
図4】同実施形態に係るエレベータの制御ブロック図
【発明を実施するための形態】
【0007】
各図面において、構成要素の寸法は、例えば、理解を容易にするために、実際の寸法に対して拡大、縮小して示す場合があり、また、各図面の間での寸法比は、一致していない場合がある。なお、各図面において、例えば、理解を容易にするために、構成要素の一部を省略して示す場合がある。
【0008】
第1、第2等の序数を含む用語は、多様な構成要素を説明するために用いられるが、この用語は、一つの構成要素を他の構成要素から区別する目的でのみ用いられ、構成要素は、この用語によって特に限定されるものではない。なお、序数を含む構成要素の個数は、特に限定されず、例えば、一つでもよい場合がある。また、以下の明細書及び図面で用いられる序数は、特許請求の範囲に記載された序数と異なる場合がある。
【0009】
以下、エレベータにおける一実施形態について、
図1~
図5を参照しながら説明する。なお、以下の実施形態は、エレベータの構成等の理解を助けるために例示するものであり、エレベータの構成を限定するものではない。
【0010】
図1に示すように、エレベータ1は、例えば、人(乗客)が乗るための複数のかご2と、かご2を走行させるかご駆動部3(
図4参照)と、エレベータ1の各部を制御する処理部4(
図4参照)とを備えていてもよい。なお、かご2の個数は、特に限定されず、例えば、本実施形態のように、四つでもよく、また、例えば、一つ~三つ又は五つ以上でもよい。
【0011】
かご2は、上下方向D1,D2へ沿って延びる昇降路X1,X2の内部を、上下方向D1,D2へ走行し、横方向D3,D4へ沿って延びる横行路X3,X4の内部を、横方向D3,D4へ走行する。
【0012】
特に限定されないが、本実施形態のように、例えば、昇降路X1,X2は、第1昇降路X1及び第2昇降路X2を備えており、横行路X3,X4は、第1昇降路X1の上端部と第2昇降路X2の上端部とを接続する第1横行路X3と、第1昇降路X1の下端部と第2昇降路X2の下端部とを接続する第2横行路X4とを備えている、という構成でもよい。
【0013】
また、特に限定されないが、本実施形態のように、かご2は、昇降路X1,X2及び横行路X3,X4をそれぞれ決まった一方向D1~D4へ走行する、即ち、循環走行する、という構成でもよい。これにより、かご2は、第1昇降路X1を上方向D1へ走行し、第1横行路X3を第1横方向D3へ走行し、第2昇降路X2を下方向D2へ走行し、第2横行路X4を、第1横方向D3と反対方向である第2横方向D4へ走行する。
【0014】
かご駆動部3の駆動方式は、特に限定されない。また、かご駆動部3においては、かご2が昇降路X1,X2を走行するための駆動方式と、かご2が横行路X3,X4を走行するための駆動方式とは、例えば、同じであってもよく、また、例えば、異なっていてもよい。
【0015】
また、かご駆動部3の駆動方式は、例えば、リニアモータ式の駆動方式であってもよい。具体的には、かご駆動部3は、リニアモータであって、かご2に接続される磁石と、昇降路X1,X2や横行路X3,X4に接続され、磁石に電磁力を与えるコイルとを備えている、という構成でもよい。
【0016】
エレベータ1は、例えば、本実施形態のように、かご2が昇降路X1,X2へ衝突することを緩める緩衝材として、弾性部21~23を備えていてもよい。特に限定されないが、弾性部21~23は、例えば、本実施形態のように、昇降路X1,X2の下端に配置される下弾性部21と、昇降路X1,X2の上端に配置される上弾性部22と、昇降路X1,X2の側部に配置される横弾性部23とを備えていてもよい。
【0017】
下弾性部21は、例えば、上下方向D1,D2に弾性変形可能なバネ(例えば、弦巻バネ)であり、昇降路X1,X2のうち、かご2の通常の走行範囲よりも下方向D2に配置されている、という構成でもよい。これにより、かご2が昇降路X1,X2の通常の走行範囲よりも下方向D2へ移動した場合に、かご2が下弾性部21と当たることによって、下弾性部21は、上下方向D1,D2に弾性変形する。
【0018】
上弾性部22は、例えば、上下方向D1,D2に弾性変形可能なバネ(例えば、弦巻バネ)であり、昇降路X1,X2のうち、かご2の通常の走行範囲よりも上方向D1に配置されている、という構成でもよい。これにより、かご2が昇降路X1,X2の通常の走行範囲よりも上方向D1へ移動した場合に、かご2が上弾性部22と当たることによって、上弾性部22は、上下方向D1,D2に弾性変形する。
【0019】
横弾性部23は、例えば、横方向D3,D4に弾性変形可能なバネ(例えば、弦巻バネ)であり、昇降路X1,X2のうち、かご2の通常の走行範囲よりも横方向D3,D4に配置されている、という構成でもよい。これにより、かご2が昇降路X1,X2の通常の走行範囲よりも横方向D3,D4へ移動した場合に、かご2が横弾性部23と当たることによって、横弾性部23は、横方向D3,D4に弾性変形する。
【0020】
図2に示すように、エレベータ1は、例えば、開閉される乗場戸5と、情報が入力される乗場入力部6と、情報が出力される乗場出力部7とを備えていてもよい。例えば、本実施形態のように、乗場戸5は、昇降路X1,X2のみに備えられ、横行路X3,X4に備えられていない、という構成でもよい。
【0021】
これにより、乗場X5a~X5c,X6a~X6cは、昇降路X1,X2のみに設けられ、横行路X3,X4に設けられていない。なお、第1昇降路X1に設けられる乗場X5a~X5cは、第1乗場X5a~X5cといい、また、第2昇降路X2に設けられる乗場X6a~X6cは、第2乗場X6a~X6cという。
【0022】
第1乗場X5a~X5cにおいては、最下階の乗場X5aは、第1最下乗場X5aといい、最上階の乗場X5bは、第1最上乗場X5bといい、第1最下乗場X5aと第1最上乗場X5bとの間の乗場X5cは、第1中間乗場X5cという。また、第2乗場X6a~X6cにおいては、最下階の乗場X6aは、第2最下乗場X6aといい、最上階の乗場X6bは、第2最上乗場X6bといい、第2最下乗場X6aと第2最上乗場X6bとの間の乗場X6cは、第2中間乗場X6cという。
【0023】
乗場入力部6は、例えば、本実施形態のように、第1最下乗場X5a、第1中間乗場X5c、第2最上乗場X6b及び第2中間乗場X6cに備えられ、第1最上乗場X5b及び第2最下乗場X6aに備えられていない、という構成でもよい。そして、例えば、乗場入力部6は、かご2を呼ぶ指示情報であるかご呼び情報が入力されてもよい。
【0024】
具体的には、例えば、第1昇降路X1の乗場(第1最下乗場X5a及び第1中間乗場X5c)の乗場入力部6は、上方向D1へ走行するかご2を呼ぶ指示情報である上行きかご呼び情報が入力され、第2昇降路X2の乗場(第2最上乗場X6b及び第2中間乗場X6c)の乗場入力部6は、下方向D2へ走行するかご2を呼ぶ指示情報である下行きかご呼び情報が入力される、という構成でもよい。
【0025】
図3に示すように、かご2は、例えば、開閉されるかご戸8と、情報が入力されるかご入力部9と、かご2の内部へ情報を出力するかご出力部10と、かご2の内部の人の有無を検出する人検出部11と、かご2の内部で且つ上部に配置され、掴まれる上掴み部12と、かご2の側壁に固定され、掴まれる横掴み部13とを備えていてもよい。
【0026】
かご入力部9は、例えば、かご2の行先階の指示情報である行先情報が入力されてもよく、また、例えば、かご戸8及び乗場戸5の開閉の指示情報である戸開閉情報が入力されてもよい。また、かご出力部10は、例えば、本実施形態のように、情報を表示する表示部10aと、情報を発音する発音部10bとを備えていてもよい。
【0027】
人検出部11の構成は、特に限定されない。人検出部11は、例えば、本実施形態のように、かご2の内部の重量を検出するロードセルであってもよく、また、例えば、赤外線を検出する人感センサであってもよく、また、例えば、かご2の内部を撮像するカメラであってもよい。
【0028】
上掴み部12の構成は、特に限定されない。上掴み部12は、例えば、本実施形態のように、手摺り棒12aと、手摺り棒12aに取り付けられる吊り輪12bとを備えていてもよい。特に限定されないが、上掴み部12は、例えば、かご2の床から1.5メートルの高さよりも上方に配置されていてもよく、また、例えば、かご2の床から1.8メートルの高さよりも上方に配置されていてもよい。
【0029】
横掴み部13の構成は、特に限定されない。横掴み部13は、例えば、本実施形態のように、手摺り棒13aを備えていてもよい。そして、横掴み部13は、例えば、上掴み部12よりも下方に配置されていてもよく、例えば、かご2の床から1.0メートルの高さよりも下方に配置されていてもよい。
【0030】
これにより、例えば、かご2が横方向D3,D4へ走行するときに、かご2の内部の人がバランスを崩し易いことに対して、かご2の内部の人は、上掴み部12や横掴み部13を掴むことができる。したがって、例えば、かご2が横方向D3,D4へ走行するときに、かご2の内部の人は、バランスを崩し難くなる。
【0031】
図4に示すように、処理部4は、例えば、各部6,9,11から各情報(データ)を取得する取得部4aと、各情報を記憶する記憶部4bと、各情報を演算する演算部4cと、各部3,7,10を制御する制御部4dとを備えていてもよい。これにより、処理部4は、例えば、各入力部6,9に入力された情報に基づいて、かご2を走行させ、かご2を所定の乗場X5a~X5c,X6a~X6cで停止させる。
【0032】
なお、処理部4は、例えば、CPU及びMPU等のプロセッサ(例えば、演算部4c、制御部4d)、ROM及びRAM等のメモリ(例えば、取得部4a、記憶部4b)、各種インターフェイス等を備えるコンピュータとしてもよい。これにより、メモリに格納されたプログラムをプロセッサが実行し、ソフトウェア及びハードウェアが協働することによって、処理部4の各部4a~4dが実現される。
【0033】
また、処理部4は、例えば、一つの装置で構成されていてもよく、また、例えば、互いに通信可能な複数の装置で構成されていてもよい。具体的には、処理部4の各部4a~4dは、例えば、一つの装置に備えられていてもよく、また、例えば、互いに通信可能な複数の装置に分散して備えられていてもよい。
【0034】
次に、本実施形態に係るかご2の走行の加速度について、説明する。なお、かご2の走行の加速度は、以下の説明に限定されない。
【0035】
処理部4は、かご2の走行時に加速度を制御している。例えば、本実施形態のように、人検出部11による人の検出の有無に拘わらず、かご2が上下方向D1,D2へ走行する場合には、最大加速度は、縦加速度に設定され、人検出部11が人を検出せず且つかご2が横方向D3,D4へ走行する場合には、最大加速度は、第1横加速度に設定され、人検出部11が人を検出し且つかご2が横方向D3,D4へ走行する場合には、最大加速度は、第2横加速度に設定される、という構成でもよい。
【0036】
そして、第1横加速度は、例えば、第2横加速度よりも大きくてもよく、また、例えば、縦加速度よりも大きくてもよい。これにより、かご2の内部に人が居ない場合には、かご2が、第1横加速度を最大加速度として横方向D3,D4へ走行するため、例えば、かご2は、乗場X5a~X5c,X6a~X6cのない横行路X3,X4を速く走行することができる。したがって、例えば、エレベータ1の輸送効率を向上させることができる。
【0037】
また、第2横加速度は、例えば、第1横加速度よりも小さくてもよく、また、例えば、縦加速度よりも小さくてもよい。これにより、かご2の内部に人が居る場合には、かご2が、第2横加速度を最大加速度として横方向D3,D4へ走行するため、例えば、かご2の内部の人に働く横方向D3,D4の慣性力を小さくすることができる。したがって、例えば、かご2の内部の人は、バランスを崩し難くなる。このように、かご2は、適切な加速度で横方向D3,D4へ走行する。
【0038】
そして、特に限定されないが、かご2の内部に人が居る場合において、例えば、かご2の横行路X3,X4の最大速度は、かご2の昇降路X1,X2の最大速度よりも、小さい、という構成でもよい。しかも、斯かる構成において、例えば、横弾性部23(
図1参照)の横方向D3,D4のバネ定数は、下弾性部21及び上弾性部22(
図1参照)の上下方向D1,D2のバネ定数よりも、小さくてもよい。これにより、各弾性部21~23に加えられる力に対応して、各弾性部21~23のバネ定数を適切にすることができる。
【0039】
ところで、上弾性部22及び横弾性部23は、例えば、かご2を介して、かご駆動部3の駆動力を受ける一方で、下弾性部21は、例えば、かご2を介して、かご駆動部3の駆動力だけでなく、かご2の自重も受ける場合がある。そこで、例えば、下弾性部21の上下方向D1,D2のバネ定数は、上弾性部22の上下方向D1,D2のバネ定数及び横弾性部23の横方向D3,D4のバネ定数よりも、大きくてもよい。
【0040】
次に、本実施形態に係るかご2の上下方向D1,D2から横方向D3,D4への走行切り替えの制御方法について、
図5を参照しながら説明する。なお、以下の説明は、エレベータ1の制御等の理解を助けるために例示するものであり、エレベータ1の制御を限定するものではない。
【0041】
図5に示すように、人検出部11が人を検出した状態で(S1の「Y」)、かご2が上昇して第1最上乗場X5bに位置した場合に(S2の「Y」)、処理部4は、かご2を第1最上乗場X5bに停止させる(S4)。また、人検出部11が人を検出した状態で(S1の「Y」)、かご2が下降して第2最下乗場X6aに位置した場合に(S3の「Y」)、処理部4は、かご2を第2最下乗場X6aに停止させる(S4)。
【0042】
これにより、人検出部11が人を検出する状態で、かご2が横行路X3,X4を走行する直前の乗場X5b,X6aに位置した場合に、処理部4は、かご2を当該直前の乗場X5b,X6aに停止させる。したがって、例えば、各入力部7,9に入力された情報に拘わらず、かご2の内部に人が居る場合には、かご2は、第1最上乗場X5b及び第2最下乗場X6aに停止することになる。
【0043】
そして、処理部4は、かご戸8及び当該乗場X5b,X6aの乗場戸5を開放し、また、処理部4は、かご出力部10に、当該乗場X5b,X6aに到着した情報を出力させる(S5)。これにより、例えば、かご2が横行路X3,X4を走行する前に、かご2の内部の人が乗場X5b,X6aに降りることを促すことができる。
【0044】
その後、人検出部11が人を検出しない場合に(S6の「N」)、処理部4は、かご戸8及び当該乗場X5b,X6aの乗場戸5を閉鎖する(S10)。そして、処理部4は、かご2を横方向D3,D4へ走行させる(S9)。このとき、かご2の内部に人が居ないため、かご2の走行の最大加速度は、第1横加速度である。
【0045】
一方で、人検出部11が人を検出する場合には(S6の「Y」)、処理部4は、かご戸8及び当該乗場X5b,X6aの乗場戸5の開放を維持する。但し、人検出部11が人を検出する場合でも(S6の「Y」)、かご2の走行の指示がある場合には(S7の「Y」)、処理部4は、かご戸8及び当該乗場X5b,X6aの乗場戸5を閉鎖するとともに、処理部4は、かご出力部10に、かご2が横方向D3,D4へ走行する情報を出力させる(S8)。その後、処理部4は、かご2を横方向D3,D4へ走行させる(S9)。
【0046】
これにより、かご2の内部の人は、かご2が横方向D3,D4へ走行することを、認識する。したがって、例えば、かご2の内部の人は、横方向D3,D4の慣性力が働くことを事前に認識することができるため、例えば、かご2の内部の人は、バランスを崩し難くなる。このとき、かご2の内部に人が居るため、かご2の走行の最大加速度は、第2横加速度である。
【0047】
なお、かご2の走行の指示がある場合(S7の「Y」)の条件は、特に限定されない。例えば、当該条件は、後続のかご2が、当該かご2が停止している乗場X5b,X6aへ向けて走行を開始したことでもよい。また、例えば、当該条件は、特定の乗場X5a,X5c,X6b,X6cの乗場入力部6に呼び情報が入力され、当該かご2が当該特定の乗場X5a,X5c,X6b,X6cへ向けて走行を開始する必要があることでもよい。
【0048】
また、かご出力部10の情報の出力(S8)の方法は、特に限定されない。例えば、表示部10aは、かご2がこれから横方向D3,D4へ走行することを、表示してもよく、また、例えば、発音部10bは、かご2がこれから横方向D3,D4へ走行することを、発音してもよい。
【0049】
[1]
以上より、エレベータ1は、本実施形態のように、
昇降路X1,X2を上下方向D1,D2へ走行し且つ横行路X3,X4を横方向D3,D4へ走行するかご2と、
前記かご2の内部の人の有無を検出する人検出部11と、
前記かご2の走行を制御する処理部4と、を備え、
前記処理部4は、
前記人検出部11が人を検出せず且つ前記かご2が前記横方向D3,D4へ走行する場合における、最大加速度を、第1横加速度に設定し、
前記人検出部11が人を検出し且つ前記かご2が前記横方向D3,D4へ走行する場合における、最大加速度を、前記第1横加速度よりも小さい第2横加速度に設定する、
という構成が好ましい。
【0050】
斯かる構成によれば、人検出部11が人を検出し且つかご2が横方向D3,D4へ走行する場合に、最大加速度は、第1横加速度よりも小さい第2横加速度に設定される。これにより、かご2の内部に人が居る場合には、かご2が、第2横加速度を最大加速度として横方向D3,D4へ走行する。したがって、適切な加速度でかご2を横方向D3,D4へ走行させることができる。
【0051】
[2]
また、上記[1]のエレベータ1においては、本実施形態のように、
前記処理部4は、前記人検出部11が人を検出し且つ前記かご2が前記上下方向D1,D2へ走行する場合における、最大加速度を、縦加速度に設定し、
前記第2横加速度は、前記縦加速度よりも、小さい、
という構成が好ましい。
【0052】
斯かる構成によれば、かご2の内部に人が居る場合には、かご2は、縦加速度よりも小さい第2横加速度を最大加速度として、横方向D3,D4へ走行する。これにより、さらに適切な加速度でかご2を横方向D3,D4へ走行させることができる。
【0053】
[3]
また、上記[1]又は[2]のエレベータ1においては、本実施形態のように、
前記処理部4は、前記人検出部11が人を検出し且つ前記かご2が前記上下方向D1,D2へ走行する場合における、最大加速度を、縦加速度に設定し、
前記第1横加速度は、前記縦加速度よりも、大きい、
という構成が好ましい。
【0054】
斯かる構成によれば、かご2の内部に人が居ない場合には、かご2は、縦加速度よりも大きい第1横加速度を最大加速度として、横方向D3,D4へ走行する。これにより、さらに適切な加速度でかご2を横方向D3,D4へ走行させることができる。
【0055】
[4]
また、上記[1]~[3]の何れか1つのエレベータ1は、本実施形態のように、
乗場X5a~X5c,X6a~X6cに配置され、開閉される乗場戸5をさらに備え、
前記乗場戸5は、前記昇降路X1,X2のみに備えられ、
前記処理部4は、前記人検出部11が人を検出する状態で前記かご2が前記横行路X3,X4を走行する直前の乗場X5b,X6aに位置した場合に、前記かご2を前記直前の乗場X5b,X6aに停止させて、且つ、前記直前の乗場X5b,X6aの乗場戸5を開放させる、
という構成が好ましい。
【0056】
斯かる構成によれば、人検出部11が人を検出する状態で、かご2が、乗場X5a~X5c,X6a~X6cのない横行路X3,X4を走行する前に、かご2は、乗場X5b,X6aに停止し、乗場戸5は、開放される。これにより、例えば、かご2が横行路X3,X4を走行する前に、かご2の内部の人が乗場X5b,X6aに降りることを促すことができる。
【0057】
[5]
また、上記[1]~[4]の何れか1つのエレベータ1においては、本実施形態のように、
前記かご2は、前記かご2の内部へ情報を出力するかご出力部10をさらに備え、
前記かご出力部10は、前記かご2が前記横方向D3,D4へ走行する前に、前記かご2が前記横方向D3,D4へ走行する情報を出力する、
という構成が好ましい。
【0058】
斯かる構成によれば、かご2が、横方向D3,D4へ走行する前に、かご出力部10は、かご2の内部へ、かご2が横方向D3,D4へ走行する情報を出力する。これにより、かご2の内部の人は、かご2が横方向D3,D4へ走行することを、事前に認識する。
【0059】
[6]
また、上記[1]~[5]の何れか1つのエレベータ1においては、本実施形態のように、
前記かご2は、前記かご2の内部で且つ上部に、掴まれる上掴み部12をさらに備える、
という構成が好ましい。
【0060】
斯かる構成によれば、上掴み部12が、かご2の内部で且つ上部に備えられているため、かご2の内部の人は、上掴み部12を掴むことができる。これにより、例えば、かご2が横方向D3,D4へ走行するときに、かご2の内部の人は、上掴み部12を掴むことができる。
【0061】
なお、エレベータ1は、上記した実施形態の構成に限定されるものではなく、また、上記した作用効果に限定されるものではない。また、エレベータ1は、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。例えば、下記する各種の変更例に係る構成や方法等を任意に一つ又は複数選択して、上記した実施形態に係る構成や方法等に採用してもよいことは勿論である。
【0062】
(A)上記実施形態に係るエレベータ1においては、第2横加速度は、縦加速度(人検出部11が人を検出し且つかご2が上下方向D1,D2へ走行する場合における、最大加速度)よりも、小さい、という構成である。しかしながら、エレベータ1は、斯かる構成に限られない。例えば、第2横加速度は、当該縦加速度よりも、大きい、という構成でもよい。また、例えば、第2横加速度は、当該縦加速度と、同じ、という構成でもよい。
【0063】
(B)また、上記実施形態に係るエレベータ1においては、第1横加速度は、縦加速度(人検出部11が人を検出し且つかご2が上下方向D1,D2へ走行する場合における、最大加速度)よりも、大きい、という構成である。しかしながら、エレベータ1は、斯かる構成に限られない。例えば、第1横加速度は、当該縦加速度よりも、小さい、という構成でもよい。また、例えば、第1横加速度は、当該縦加速度と、同じ、という構成でもよい。
【0064】
(C)また、上記実施形態に係るエレベータ1においては、昇降路X1,X2は、二つ備えられ、横行路X3,X4は、二つ備えられる、という構成である。しかしながら、エレベータ1は、斯かる構成に限られない。例えば、二つの昇降路X1,X2を接続する横行路X3,X4は、三つ以上備えられている、という構成でもよい。また、例えば、昇降路X1,X2は、三つ以上備えられている、という構成でもよい。
【0065】
(D)また、上記実施形態に係るエレベータ1においては、乗場戸5は、昇降路X1,X2のみに備えられ、横行路X3,X4に備えられていない、即ち、乗場X5a~X5c,X6a~X6cは、昇降路X1,X2のみに設けられ、横行路X3,X4に設けられていない、という構成である。しかしながら、エレベータ1は、斯かる構成に限られない。
【0066】
例えば、乗場戸5は、昇降路X1,X2及び横行路X3,X4の両方に備えられている、という構成でもよい。即ち、乗場X5a~X5c,X6a~X6cは、昇降路X1,X2及び横行路X3,X4の両方に設けられている、という構成でもよい。
【0067】
(E)また、上記実施形態に係るエレベータ1においては、処理部4は、人検出部11が人を検出する状態でかご2が横行路X3,X4を走行する直前の乗場X5b,X6aに位置した場合に、かご2を当該直前の乗場X5b,X6aに停止させる、という構成である。しかしながら、エレベータ1は、斯かる構成に限られない。
【0068】
例えば、処理部4は、人検出部11が人を検出する状態でかご2が横行路X3,X4を走行する直前の乗場X5b,X6aに位置した場合に、かご2を当該直前の乗場X5b,X6aに停止させることなく、かご2を横行路X3,X4へ走行させる、という構成でもよい。特に限定されないが、斯かる構成においては、かご出力部10は、かご2が横方向D3,D4へ走行する前に、かご2が横方向D3,D4へ走行する情報を出力する、という構成でもよい。
【0069】
(F)また、上記実施形態に係るエレベータ1においては、人検出部11が人を検出する場合に、かご出力部10は、かご2が横方向D3,D4へ走行する前に、かご2が横方向D3,D4へ走行する情報を出力する、という構成である。しかしながら、エレベータ1は、斯かる構成に限られない。
【0070】
例えば、人検出部11の検出に拘わらず、かご出力部10は、かご2が横方向D3,D4へ走行する前に、かご2が横方向D3,D4へ走行する情報を出力する、という構成でもよい。また、例えば、人検出部11が人を検出する場合に、かご出力部10は、かご2が横方向D3,D4へ走行する前に、かご2が横方向D3,D4へ走行する情報を出力しない、という構成でもよい。
【0071】
(G)また、上記実施形態に係るエレベータ1においては、かご2は、上掴み部12及び横掴み部13を備えている、という構成である。しかしながら、エレベータ1は、斯かる構成に限られない。
【0072】
例えば、かご2は、上掴み部12のみを備えており、横掴み部13を備えていない、という構成でもよい。また、例えば、かご2は、横掴み部13のみを備えており、上掴み部12を備えていない、という構成でもよい。また、例えば、かご2は、上掴み部12及び横掴み部13の両方を備えていない、という構成でもよい。
【0073】
(H)また、上記実施形態に係るエレベータ1においては、人検出部11による人の検出の有無に拘わらず、かご2が上下方向D1,D2へ走行する場合には、最大加速度は、同じ縦加速度に設定されている、という構成である。しかしながら、エレベータ1は、斯かる構成に限られない。
【0074】
例えば、人検出部11が人を検出せず且つかご2が上下方向D1,D2へ走行する場合における、最大加速度を、第1縦加速度に設定し、人検出部11が人を検出し且つかご2が上下方向D1,D2へ走行する場合における、最大加速度を、第1縦加速度よりも小さい第2縦加速度に設定する、という構成でもよい。これにより、かご2の内部の人に働く上下方向D1,D2の慣性力を小さくすることができる。
【0075】
しかも、斯かる構成において、例えば、第1横加速度は、第2縦加速度だけでなく、第1縦加速度よりも、大きくてもよい。即ち、第1横加速度は、人検出部11が人を検出せず且つかご2が上下方向D1,D2へ走行する場合における、最大加速度よりも、大きくてもよい。これにより、例えば、かご2が、乗場X5a~X5c,X6a~X6cのない横行路X3,X4をさらに速く走行することができるため、例えば、エレベータ1の輸送効率をさらに向上させることができる。
【0076】
(I)なお、例えば、特許請求の範囲、明細書及び図面において示した方法及び装置における動作、手順、ステップ、及び段階等の各工程の実行順序は、前の工程の結果物を後の工程で用いるものでない限り、任意の順序で実現できる。例えば、便宜上、「まず」、「次に」等を用いて説明したとしても、この順で実行することが必須であることを意味するものではない。
【符号の説明】
【0077】
1…エレベータ、2…かご、3…かご駆動部、4…処理部、4a…取得部、4b…記憶部、4c…演算部、4d…制御部、5…乗場戸、6…乗場入力部、7…乗場出力部、8…かご戸、9…かご入力部、10…かご出力部、10a…表示部、10b…発音部、11…人検出部、12…上掴み部、12a…手摺り棒、12b…吊り輪、13…横掴み部、13a…手摺り棒、21…下弾性部、22…上弾性部、23…横弾性部、D1…上方向、D2…下方向、D3…第1横方向、D4…第2横方向、X1…第1昇降路、X2…第2昇降路、X3…第1横行路、X4…第2横行路、X5a…第1最下乗場、X5b…第1最上乗場、X5c…第1中間乗場、X6a…第2最下乗場、X6b…第2最上乗場、X6c…第2中間乗場
【手続補正書】
【提出日】2023-12-15
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
昇降路を上下方向へ走行し且つ横行路を横方向へ走行する複数のかごと、
前記かごの内部の人の有無を検出する人検出部と、
前記かごの走行を制御する処理部と、を備え、
前記処理部は、
前記人検出部が人を検出せず且つ前記かごが前記横方向へ走行する場合における、最大加速度を、第1横加速度に設定し、
前記人検出部が人を検出し且つ前記かごが前記横方向へ走行する場合における、最大加速度を、前記第1横加速度よりも小さい第2横加速度に設定する、エレベータであって、
乗場に配置され、開閉される乗場戸をさらに備え、
前記乗場戸は、前記昇降路のみに備えられ、
前記処理部は、前記人検出部が人を検出せず且つ前記かごが前記上下方向へ走行する場合における、最大加速度を、第1縦加速度に設定し、
前記第1横加速度は、前記第1縦加速度よりも、大きい、エレベータ。
【請求項2】
前記処理部は、前記人検出部が人を検出し且つ前記かごが前記上下方向へ走行する場合における、最大加速度を、第2縦加速度に設定し、
前記第2横加速度は、前記第2縦加速度よりも、小さい、請求項1に記載のエレベータ。
【請求項3】
前記処理部は、前記人検出部が人を検出し且つ前記かごが前記上下方向へ走行する場合における、最大加速度を、第2縦加速度に設定し、
前記第1横加速度は、前記第2縦加速度よりも、大きい、請求項1に記載のエレベータ。
【請求項4】
昇降路を上下方向へ走行し且つ横行路を横方向へ走行するかごと、
前記かごの内部の人の有無を検出する人検出部と、
前記かごの走行を制御する処理部と、を備え、
前記処理部は、
前記人検出部が人を検出せず且つ前記かごが前記横方向へ走行する場合における、最大加速度を、第1横加速度に設定し、
前記人検出部が人を検出し且つ前記かごが前記横方向へ走行する場合における、最大加速度を、前記第1横加速度よりも小さい第2横加速度に設定する、エレベータであって、
乗場に配置され、開閉される乗場戸をさらに備え、
前記乗場戸は、前記昇降路のみに備えられ、
前記処理部は、前記人検出部が人を検出する状態で前記かごが前記横行路を走行する直前の乗場に位置した場合に、前記かごを前記直前の乗場に停止させて、且つ、前記直前の乗場の乗場戸を開放させる、エレベータ。
【請求項5】
前記かごは、前記かごの内部へ情報を出力するかご出力部をさらに備え、
前記かご出力部は、前記かごが前記横方向へ走行する前に、前記かごが前記横方向へ走行する情報を出力する、請求項1~4の何れか1項に記載のエレベータ。
【請求項6】
前記かごは、前記かごの内部で且つ上部に、掴まれる上掴み部をさらに備える、請求項1~4の何れか1項に記載のエレベータ。