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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024158156
(43)【公開日】2024-11-08
(54)【発明の名称】発振回路
(51)【国際特許分類】
   H03K 3/0231 20060101AFI20241031BHJP
   H03K 4/06 20060101ALI20241031BHJP
【FI】
H03K3/0231
H03K4/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023073116
(22)【出願日】2023-04-27
(71)【出願人】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104710
【弁理士】
【氏名又は名称】竹腰 昇
(74)【代理人】
【識別番号】100090479
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 一
(74)【代理人】
【識別番号】100124682
【弁理士】
【氏名又は名称】黒田 泰
(74)【代理人】
【識別番号】100166523
【弁理士】
【氏名又は名称】西河 宏晃
(72)【発明者】
【氏名】山口 淑幸
【テーマコード(参考)】
5J300
【Fターム(参考)】
5J300AA01
5J300AA26
(57)【要約】
【課題】キャパシターの充放電により発振する発振回路において発振周波数の偏差を低減できる発振回路等を提供すること。
【解決手段】発振回路300は、基準電圧VREFを生成する基準電圧生成回路110と、基準電圧生成回路110からの基準電圧VREFが入力され、基準電圧VREFに応じた第1充電電流IC1を出力する電流源回路120と、一端に第1充電電流IC1が入力される第1キャパシター131と、第1キャパシター131の一端の電圧CT1が第1入力端子に入力され、基準電圧生成回路110からの基準電圧VREFが第2入力端子に入力される第1コンパレーター151と、第1コンパレーター151の出力信号CP1に基づくタイミングで第1キャパシター131を放電する第1放電回路141と、第1コンパレーター151の出力信号CP1に基づいてクロック信号CLKを出力するクロック信号出力回路160と、を含む。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基準電圧を生成する基準電圧生成回路と、
前記基準電圧生成回路からの前記基準電圧が入力され、前記基準電圧に応じた第1充電電流を出力する電流源回路と、
一端に前記第1充電電流が入力される第1キャパシターと、
第1入力端子に、前記第1キャパシターの一端の電圧が入力され、第2入力端子に、前記基準電圧生成回路からの前記基準電圧が入力される第1コンパレーターと、
前記第1コンパレーターの出力信号に基づくタイミングで前記第1キャパシターを放電する第1放電回路と、
前記第1コンパレーターの出力信号に基づいてクロック信号を出力するクロック信号出力回路と、
を含むことを特徴とする発振回路。
【請求項2】
請求項1に記載された発振回路において、
第2キャパシターと、
第1入力端子に、前記第2キャパシターの一端の電圧が入力され、第2入力端子に前記基準電圧が入力される第2コンパレーターと、
前記第2コンパレーターの出力信号に基づくタイミングで前記第2キャパシターを放電する第2放電回路と、
を含み、
前記電流源回路は、前記基準電圧に応じた第2充電電流を前記第2キャパシターの一端へ出力し、
前記クロック信号出力回路は、前記第1コンパレーターの出力信号及び前記第2コンパレーターの出力信号に基づいて前記クロック信号を出力することを特徴とする発振回路。
【請求項3】
請求項2に記載された発振回路において、
前記クロック信号が第1論理レベルであるとき、前記第1放電回路は前記第1キャパシターを放電し、前記第2キャパシターは前記第2充電電流により充電され、前記クロック信号出力回路は、前記第2コンパレーターの出力信号が変化したとき前記クロック信号を前記第1論理レベルから第2論理レベルにし、
前記クロック信号が前記第2論理レベルであるとき、前記第2放電回路は前記第2キャパシターを放電し、前記第1キャパシターは前記第1充電電流により充電され、前記クロック信号出力回路は、前記第1コンパレーターの出力信号が変化したとき前記クロック信号を前記第2論理レベルから前記第1論理レベルにすることを特徴とする発振回路。
【請求項4】
請求項2に記載された発振回路において、
前記クロック信号出力回路は、
前記第1コンパレーターの出力信号がリセット端子に入力され、前記第2コンパレーターの出力信号がセット端子に入力されるRSラッチ回路を含み、
前記RSラッチ回路がリセットされたとき第1論理レベルの前記クロック信号を出力し、前記RSラッチ回路がセットされたとき第2論理レベルの前記クロック信号を出力することを特徴とする発振回路。
【請求項5】
請求項4に記載された発振回路において、
前記クロック信号が第1論理レベルのとき、前記第1放電回路が放電動作を行い、
前記クロック信号が第2論理レベルのとき、前記第2放電回路が放電動作を行うことを特徴とする発振回路。
【請求項6】
請求項2に記載された発振回路において、
前記第1キャパシターの容量値をC1とし、前記第2キャパシターの容量値をC2とし、前記基準電圧をVREFとし、前記基準電圧に応じた前記第1充電電流をVREF/α1とし、前記基準電圧に応じた前記第2充電電流をVREF/α2とし、前記クロック信号の周期をTsとしたとき、
Ts=C1×α1+C2×α2
であることを特徴とする発振回路。
【請求項7】
請求項1に記載された発振回路において、
前記電流源回路は、
前記基準電圧が非反転入力端子に入力され、出力端子が反転入力端子に入力されるアンプ回路と、
一端が前記アンプ回路の出力端子に接続され、他端が低電位側電源ノードに接続される抵抗と、
前記抵抗に流れる電流を可変の電流比でミラーし、ミラー後の電流を前記第1充電電流として出力する電流調整回路と、
を含むことを特徴とする発振回路。
【請求項8】
請求項2に記載された発振回路において、
前記電流源回路は、
前記基準電圧が非反転入力端子に入力され、出力端子が反転入力端子に入力されるアンプ回路と、
一端が前記アンプ回路の出力端子に接続され、他端が低電位側電源ノードに接続される抵抗と、
前記抵抗に流れる電流を可変の電流比でミラーし、ミラー後の電流を前記第1充電電流及び前記第2充電電流として出力する電流調整回路と、
を含むことを特徴とする発振回路。
【請求項9】
請求項7又は8に記載された発振回路において、
前記電流比の情報を記憶する記憶回路を含み、
前記電流調整回路は、
前記抵抗に流れる電流を、前記情報が示す電流比でミラーすることを特徴とする発振回路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発振回路等に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、バンドギャップ基準電圧を出力するバンドギャップ回路と、バンドギャップ基準電圧を電流に変換する電圧電流変換部と、変換された電流により充電されるキャパシターと、キャパシターに充電された電圧と基準電圧とを比較する比較器と、比較器の比較結果に基づいてキャパシターを放電する充放電スイッチと、比較器の比較結果に基づいてクロック信号を出力するTフリップフロップと、を含むオシレーターが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014-33425号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1では、キャパシターの充電電流は、バンドギャップ基準電圧を用いて生成されているが、比較器は、キャパシターに充電された電圧と基準電圧とを比較している。温度等の影響によってバンドギャップ基準電圧と基準電圧が変化するが、その変化の特性が異なることで、発振周波数が変化する恐れがある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一態様は、基準電圧を生成する基準電圧生成回路と、前記基準電圧生成回路からの前記基準電圧が入力され、前記基準電圧に応じた第1充電電流を出力する電流源回路と、一端に前記第1充電電流が入力される第1キャパシターと、第1入力端子に、前記第1キャパシターの一端の電圧が入力され、第2入力端子に、前記基準電圧生成回路からの前記基準電圧が入力される第1コンパレーターと、前記第1コンパレーターの出力信号に基づくタイミングで前記第1キャパシターを放電する第1放電回路と、前記第1コンパレーターの出力信号に基づいてクロック信号を出力するクロック信号出力回路と、を含む発振回路に関係する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】本実施形態の手法を用いない場合における発振回路の構成例。
図2】出力回路の詳細構成例。
図3】本実施形態の手法を用いない場合における発振回路の信号波形例。
図4】本実施形態における発振回路の第1構成例。
図5】クロック信号出力回路の詳細構成例。
図6】本実施形態における発振回路の動作を説明する信号波形例。
図7】電流源回路の第1詳細構成例。
図8】発振回路の第2構成例。
図9】電流源回路の第2詳細構成例。
図10】ミラー比調整回路の詳細構成例。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、本開示の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、以下に説明する本実施形態は特許請求の範囲に記載された内容を不当に限定するものではなく、本実施形態で説明される構成の全てが必須構成要件であるとは限らない。なお、本実施形態における接続は電気的な接続である。電気的な接続とは、電気信号が伝達可能に接続されていることであり、電気信号による情報の伝達が可能となる接続である。電気的な接続は受動素子又は能動素子等を介した接続であってもよい。
【0008】
図1は、本実施形態の手法を用いない場合における発振回路の構成例である。発振回路300は、電流源回路310とキャパシター330とN型トランジスターTRBcと出力回路320とを含む。
【0009】
電流源回路310は、バンドギャップリファレンス回路からの基準電圧VREFBに基づいて充電電流ICBを出力する。電流源回路310は、演算増幅器OPBとP型トランジスターTRBa、TRBbとキャパシターCCBと抵抗RBとを含む。
【0010】
演算増幅器OPBは、P型トランジスターTRBaのドレイン電圧が、バンドギャップリファレンス回路からの基準電圧VREFBと同じ電圧になるように、フィードバック制御する。抵抗RBは、P型トランジスターTRBaのドレイン電圧を電流に変換する。その電流値は、VREFB/RBである。P型トランジスターTRBbは、抵抗RBに流れる電流をミラーすることで充電電流ICBを出力する。ミラー比をmとしたとき、ICB=m×(VREFB/RB)である。
【0011】
キャパシター330の一端に充電電流ICBが入力されることで、キャパシター330が充電される。出力回路320は、キャパシター330の一端の電圧CTBに基づいて、N型トランジスターTRBcをオン又はオフに制御する制御信号SWBを出力する。キャパシター330は、N型トランジスターTRBcがオフのとき充電され、N型トランジスターTRBcがオンのとき放電される。キャパシター330は周期的に充放電され、出力回路320は、その周期的な充放電に基づくクロック信号CLKBを出力する。
【0012】
図2は、出力回路の詳細構成例である。出力回路320は、コンパレーターCPBa、CPBbとRSラッチ回路RSBとフリップフロップ回路FFBとを含む。
【0013】
コンパレーターCPBaは、電圧CTBと基準電圧VHBとを比較し、その結果である信号SIBを出力する。コンパレーターCPBbは、電圧CTBと、基準電圧VHBより低い基準電圧VLBとを比較し、その結果である信号RIBを出力する。基準電圧VHB、VLBは、バンドギャップリファレンス回路からの基準電圧VREFBとは異なる基準電圧である。
【0014】
RSラッチ回路RSBには、信号SIBがセット信号として入力され、信号RIBがリセット信号として入力される。RSラッチ回路RSBの出力信号は、制御信号SWBである。制御信号SWBはフリップフロップ回路FFBのクロック端子に入力され、フリップフロップ回路FFBは、制御信号SWBを2分周したクロック信号CLKBを出力する。
【0015】
図3は、本実施形態の手法を用いない場合における発振回路の信号波形例である。
【0016】
制御信号SWBがローレベルのとき、N型トランジスターTRBcはオフであるため、キャパシター330が充電される。これにより、電圧CTBが徐々に上昇する。電圧CTBが基準電圧VHBに達すると信号SIBがローレベルからハイレベルになるので、RSラッチ回路RSBがセットされ、制御信号SWBがローレベルからハイレベルになる。
【0017】
制御信号SWBがハイレベルのとき、N型トランジスターTRBcはオンであるため、キャパシター330が放電される。これにより、電圧CTBが下降する。電圧CTBが基準電圧VLBに達すると信号RIBがローレベルからハイレベルになるので、RSラッチ回路RSBがリセットされ、制御信号SWBがハイレベルからローレベルになる。
【0018】
フリップフロップ回路FFBは、制御信号SWBの立ち上がり毎にクロック信号CLKBの論理レベルを反転させる。クロック信号CLKBの周期TBsは、制御信号SWBの周期の2倍である。
【0019】
クロック信号CLKBの周期TBsは、充電電流ICBの電流値n×(VREFB/RB)、基準電圧VHBの電圧値、基準電圧VLBの電圧値、及び放電時間に影響される。周期TBsが変化すると、クロック信号CLKBの発振周波数1/TBsが変化する。
【0020】
具体的には、充電電流ICBの電流値は、バンドギャップリファレンス回路からの基準電圧VREFBによって決まることから、バンドギャップリファレンス電圧の温度依存性に影響を受けている。一方、基準電圧VHB及び基準電圧VLBは、基準電圧VREFBとは異なる基準電圧であることから、その温度依存性は基準電圧VREFBの温度依存性と異なっている。このため、充電電流ICBの温度依存性と基準電圧VHB、VLBの温度依存性とがキャンセルせず、周期TBsが変化し、クロック信号CLKBの発振周波数が変化する恐れがある。図3には、一例として波形例CTBaを示す。CTBaは、CTBに比べて基準電圧VREFBが高いときの波形例である。基準電圧VREFBが高くなると、充電電流ICBの電流値が増加するが、基準電圧VHB、VLBは基準電圧VREFBとは独立しているため変化しない。この例では、CTBaの傾きがCTBの傾きより大きくなるため、クロック信号CLKBの発振周波数が高くなる。このように、図1及び図2の構成例では、基準電圧VREFBの変化により発振周波数が変化してしまう。
【0021】
また、クロック信号CLKBの周期TBsには、キャパシター330の放電時間が含まれる。この放電時間は、N型トランジスターTRBcの温度特性又はプロセス変動等の影響を受けて変化するので、クロック信号CLKBの発振周波数が変化する恐れがある。
【0022】
図4は、本実施形態における発振回路の第1構成例である。発振回路100は、基準電圧生成回路110と電流源回路120と第1キャパシター131と第2キャパシター132と第1放電回路141と第2放電回路142と第1コンパレーター151と第2コンパレーター152とクロック信号出力回路160とを含む。発振回路300は、例えば、半導体基板に複数の回路素子が集積された集積回路装置に含まれる。
【0023】
基準電圧生成回路110は、一定の電圧である基準電圧VREFを生成する。基準電圧生成回路110は、例えば、基準電圧VREFとしてバンドギャップリファレンス電圧を生成するバンドギャップリファレンス回路である。但し、後述のように本実施形態では基準電圧VREFが変化しても発振周波数の変化は抑えられる。このため、基準電圧生成回路110は、抵抗分圧回路又はレギュレーター等の様々な電圧生成回路であってもよい。
【0024】
電流源回路120は、基準電圧VREFに応じた第1充電電流IC1及び第2充電電流IC2を生成し、第1充電電流IC1をノードNCT1に出力し、第2充電電流IC2をノードNCT2に出力する。具体的には、IC1=VREF/α1、IC2=VREF/α2である。α1及びα2の各々は、単位がオームである正の実数であり、その詳細については図7で後述する。第1充電電流IC1の電流値と第2充電電流IC2の電流値は、基本的には同じであるが、異なっていてもよい。
【0025】
第1キャパシター131の一端は、ノードNCT1に接続され、他端は、低電位側電源VSSが供給される低電位側電源ノードに接続される。低電位側電源VSSの電圧は、例えばグランド電圧である。
【0026】
第2キャパシター132の一端は、ノードNCT2に接続され、他端は、低電位側電源ノードに接続される。なお、第1キャパシター131の容量値と第2キャパシター132の容量値は、基本的には同じであるが、異なっていてもよい。
【0027】
第1コンパレーター151の非反転入力端子は、ノードNCT1に接続され、反転入力端子は、基準電圧生成回路110の出力ノードに接続される。第1コンパレーター151は、ノードNCT1の電圧CT1と基準電圧VREFとを比較し、その結果を出力信号CP1として出力する。
【0028】
第2コンパレーター152の非反転入力端子は、ノードNCT2に接続され、反転入力端子は、基準電圧生成回路110の出力ノードに接続される。第2コンパレーター152は、ノードNCT2の電圧CT2と基準電圧VREFとを比較し、その結果を出力信号CP2として出力する。
【0029】
クロック信号出力回路160は、出力信号CP1及び出力信号CP2に基づいてクロック信号CLKを出力する。具体的には、クロック信号出力回路160は、出力信号CP1のエッジでクロック信号CLKを立ち下げ、出力信号CP2のエッジでクロック信号CLKを立ち上げる。
【0030】
第1放電回路141は、クロック信号CLKに基づくタイミングで第1キャパシター131を放電する。クロック信号CLKのエッジタイミングは出力信号CP1及び出力信号CP2のエッジタイミングで決まることから、第1放電回路141は、出力信号CP1及び出力信号CP2に基づくタイミングで第1キャパシター131を放電する、とも言える。第1放電回路141は、インバーターINVとN型トランジスターTR1とを含む。N型トランジスターTR1のドレインは、ノードNCT1に接続され、ソースは、低電位側電源ノードに接続される。インバーターINVは、クロック信号CLKの論理反転信号をN型トランジスターTR1のゲートへ出力する。
【0031】
第2放電回路142は、クロック信号CLKに基づくタイミングで第2キャパシター132を放電する。第2放電回路142は、出力信号CP1及び出力信号CP2に基づくタイミングで第2キャパシター132を放電する、とも言える。第2放電回路142は、N型トランジスターTR2を含む。N型トランジスターTR2のドレインは、ノードNCT2に接続され、ソースは、低電位側電源ノードに接続される。
【0032】
図5は、クロック信号出力回路の詳細構成例である。クロック信号出力回路160はRSラッチ回路161である。RSラッチ回路161のリセット端子には、第1コンパレーター151の出力信号CP1が入力され、セット端子には、第2コンパレーター152の出力信号CP2が入力される。RSラッチ回路161の出力端子から、クロック信号CLKが出力される。
【0033】
図6は、本実施形態における発振回路の動作を説明する信号波形例である。クロック信号CLKがハイレベルのとき、第1放電回路141のN型トランジスターTR1はオフである。このため、第1キャパシター131が第1充電電流IC1により充電され、第1キャパシター131の一端の電圧CT1が上昇する。電圧CT1が基準電圧VREFに達すると、第1コンパレーター151の出力信号CP1がローレベルからハイレベルになる。これにより、RSラッチ回路161がリセットされ、クロック信号CLKがハイレベルからローレベルになる。
【0034】
クロック信号CLKがローレベルのとき、第1放電回路141のN型トランジスターTR1がオンである。N型トランジスターTR1が第1キャパシター131の両端を短絡し、第1キャパシター131の電荷を放電する。図6には、放電が瞬時に生じるような電圧CT1の波形を示しているが、実際には、第1キャパシター131の容量値とN型トランジスターTR1のオン抵抗で決まる時定数で、放電時間が決まる。
【0035】
また、クロック信号CLKがローレベルのとき、第2放電回路142のN型トランジスターTR2はオフである。このため、第2キャパシター132が第2充電電流IC2により充電され、第2キャパシター132の一端の電圧CT2が上昇する。電圧CT2が基準電圧VREFに達すると、第2コンパレーター152の出力信号CP2がローレベルからハイレベルになる。これにより、RSラッチ回路161がセットされ、クロック信号CLKがローレベルからハイレベルになる。
【0036】
クロック信号CLKがハイレベルのとき、第1放電回路141のN型トランジスターTR1はオフである。上述したように、第1キャパシター131の一端の電圧CT1が基準電圧VREFに達すると、クロック信号CLKがハイレベルからローレベルになる。
【0037】
また、クロック信号CLKがハイレベルのとき、第2放電回路142のN型トランジスターTR2がオンである。N型トランジスターTR2が第2キャパシター132の両端を短絡し、第2キャパシター132の電荷を放電する。図6には、放電が瞬時に生じるような電圧CT2の波形を示しているが、実際には、第2キャパシター132の容量値とN型トランジスターTR2のオン抵抗で決まる時定数で、放電時間が決まる。
【0038】
本実施形態では、クロック信号CLKの周期Tsは、第1キャパシター131の充電時間と第2キャパシター132の充電時間との和である。後述のように、充電時間は基準電圧VREFの変化の影響を受けないので、クロック信号CLKの周期Tsが変化しにくい。バンドギャップリファレンス回路が基準電圧VREFを生成する場合であっても、温度或いはその他の環境要因によって基準電圧VREFは多少変化する。本実施形態によれば、そのような基準電圧VREFの変化にも対応可能である。また、放電時間の影響を受けないことから、放電時間が変化してもクロック信号CLKの周期Tsに影響しない。以上により、基準電圧VREFが変化した場合であっても、発振周波数の偏差が生じにくい。
【0039】
周期Tsが基準電圧VREFの変化の影響を受けない点について、説明する。周期Tsは下式(1)で表される。なお、C1は第1キャパシター131の容量値であり、C2は第2キャパシター132の容量値である。なお、VSS=0Vとする。
Ts=(C1×VREF)/IC1+(C2×VREF)/IC2 ・・・(1)
【0040】
上述したように、第1充電電流はIC1=VREF/α1であり、第2充電電流はIC2=VREF/α2である。これらを上式(1)に代入すると下式(2)となる。
Ts=C1×α1+C2×α2 ・・・(2)
【0041】
このように、コンパレーターの閾値が基準電圧VREFであり、且つ充電電流が基準電圧VREFに比例することから、それらがキャンセルして周期Tsが変化しない。これを波形として示したのが図6のCT1a、CT2a、CT1b及びCT2bである。CT1a、CT2aは、基準電圧VREFがVREFaに上昇したときのキャパシターの電圧CT1、CT2の波形例であり、CT1b、CT2bは、基準電圧VREFがVREFbに低下したときのキャパシターの電圧CT1、CT2の波形例である。例えば、電圧CT1aの傾きは、第1充電電流IC1で決まるので、基準電圧VREFaに比例する。第1コンパレーター151の閾値は基準電圧VREFaなので、クロック信号CLKのハイレベル期間は変化しない。即ち、基準電圧VREFがVREFaに変化しても、周期Tsに影響しない。
【0042】
図7は、電流源回路の第1詳細構成例である。電流源回路120は、アンプ回路121と抵抗RAとカレントミラー回路122とを含む。
【0043】
アンプ回路121は、基準電圧VREFを電流IAに変換し、その電流IAをノードNIAへ出力する。抵抗RAの一端は、ノードNIAに接続され、他端は、低電位側電源VSSが供給される低電位側電源ノードに接続される。アンプ回路121は、ノードNIAの電圧が基準電圧VREFとなるように制御するので、IA=VREF/RAとなる。アンプ回路121は、演算増幅器OPAとP型トランジスターTAとキャパシターCAとを含む。
【0044】
P型トランジスターTAのソースは、高電位側電源VDDが供給される高電位側電源ノードに接続され、ドレインは、ノードNIAに接続される。高電位側電源VDDは、低電位側電源VSSより高い電圧の電源である。演算増幅器OPAの反転入力端子は、基準電圧生成回路110の出力ノードに接続される。即ち、反転入力端子には基準電圧VREFが入力される。演算増幅器OPAの非反転入力端子は、ノードNIAに接続される。演算増幅器OPAの出力端子は、P型トランジスターTAのゲートに接続され、P型トランジスターTAのゲートには演算増幅器OPAの出力電圧OPAQが入力される。キャパシターCAは、位相補償用のキャパシターである。キャパシターCAの一端は、演算増幅器OPAの出力端子に接続され、他端は、ノードNIAに接続される。
【0045】
なお、アンプ回路121全体として見ると、基準電圧VREFが入力される端子が、アンプ回路121の非反転入力端子に該当し、アンプ回路121の反転入力端子及び出力端子が、ノードNIAに接続されている。
【0046】
カレントミラー回路122は、電流IAを所定の電流比でミラーすることで、第1充電電流IC1及び第2充電電流IC2を出力する。カレントミラー回路122は、P型トランジスターTB1、TB2、TC1及びTC2と、N型トランジスターTB3及びTB4と、を含む。
【0047】
P型トランジスターTA及びTB1はカレントミラーを構成している。即ち、P型トランジスターTAのドレイン電流である電流IAがミラーされ、そのミラー電流がP型トランジスターTB1のドレイン電流となる。このドレイン電流は、N型トランジスターTB3のドレイン電流となる。
【0048】
N型トランジスターTB3及びTB4はカレントミラーを構成している。即ち、N型トランジスターTB3のドレイン電流がミラーされ、そのミラー電流がN型トランジスターTB4のドレイン電流となる。このドレイン電流は、P型トランジスターTB2のドレイン電流となる。
【0049】
P型トランジスターTB2及びTC1はカレントミラーを構成している。即ち、P型トランジスターTB2のドレイン電流がミラーされ、そのミラー電流がP型トランジスターTC1のドレイン電流となる。このドレイン電流は、第1充電電流IC1として出力される。
【0050】
P型トランジスターTB2及びTC2はカレントミラーを構成している。即ち、P型トランジスターTB2のドレイン電流がミラーされ、そのミラー電流がP型トランジスターTC2のドレイン電流となる。このドレイン電流は、第2充電電流IC2として出力される。
【0051】
電流IAから第1充電電流IC1へのミラーの電流比をn1とし、電流IAから第2充電電流IC2へのミラーの電流比をn2とする。n1及びn2の各々は、0より大きい実数であればよい。このとき、第1充電電流はIC1=n1×IA=n1×(VREF/RA)である。上述のIC1=VREF/α1において、下式(3)である。第2充電電流はIC2=n2×IA=n2×(VREF/RA)である。上述のIC2=VREF/α2において、下式(4)である。n1=n2の場合には、α1=α2なので、IC1=IC2である。
α1=RA/n1 ・・・(3)
α2=RA/n2 ・・・(4)
【0052】
本実施形態において、発振回路300は、基準電圧VREFを生成する基準電圧生成回路110と、電流源回路120と、第1キャパシター131と、第1コンパレーター151と、第1放電回路141と、クロック信号出力回路160と、を含む。電流源回路120は、基準電圧生成回路110からの基準電圧VREFが入力され、基準電圧VREFに応じた第1充電電流IC1を出力する。第1キャパシター131の一端に、第1充電電流IC1が入力される。第1コンパレーター151の第1入力端子に、第1キャパシター131の一端の電圧CT1が入力され、第2入力端子に、基準電圧生成回路110からの基準電圧VREFが入力される。第1放電回路141は、第1コンパレーター151の出力信号CP1に基づくタイミングで第1キャパシター131を放電する。クロック信号出力回路160は、第1コンパレーター151の出力信号CP1に基づいてクロック信号CLKを出力する。
【0053】
本実施形態によれば、電流源回路120が、基準電圧VREFに応じた第1充電電流IC1を出力し、第1キャパシター131が第1充電電流IC1により充電され、第1コンパレーター151が、第1キャパシター131の一端の電圧CT1と基準電圧VREFとを比較する。上式(1)と(2)で説明したように、基準電圧VREFの変化による第1充電電流IC1の変化と、第1コンパレーター151の閾値である基準電圧VREFの変化とがキャンセルするので、発振周波数の偏差が生じにくい。
【0054】
なお、図4には、第1コンパレーター151の第1入力端子が非反転入力端子であり、第2入力端子が反転入力端子である例を示した。但し、第1コンパレーター151の第1入力端子が反転入力端子であり、第2入力端子が非反転入力端子となるように、発振回路300が構成されてもよい。
【0055】
また本実施形態では、発振回路300は、第2キャパシター132と第2コンパレーター152と第2放電回路142とを含む。第2コンパレーター152は、第1入力端子に、第2キャパシター132の一端の電圧CT2が入力され、第2入力端子に基準電圧VREFが入力される。第2放電回路142は、第2コンパレーター152の出力信号CP2に基づくタイミングで第2キャパシター132を放電する。電流源回路120は、基準電圧VREFに応じた第2充電電流IC2を第2キャパシター132の一端へ出力する。クロック信号出力回路160は、第1コンパレーター151の出力信号CP1及び第2コンパレーター152の出力信号CP2に基づいてクロック信号CLKを出力する。
【0056】
本実施形態によれば、基準電圧VREFの変化による第2充電電流IC2の変化と、第2コンパレーター152の閾値である基準電圧VREFの変化とがキャンセルするので、発振周波数の偏差が生じにくい。また、第1キャパシター131の一端の電圧CT1が低電位側電源VSSの電位から基準電圧VREFに達するまでの充電期間と、第2キャパシター132の一端の電圧CT2が低電位側電源VSSの電位から基準電圧VREFに達するまでの充電期間とによって、クロック信号CLKの周期Tsが決まる。これにより、周期Tsがキャパシターの放電時間に影響されないので、キャパシターの放電時間が変化しても発振周波数が変化しない。
【0057】
なお、図4には、第2コンパレーター152の第1入力端子が非反転入力端子であり、第2入力端子が反転入力端子である例を示した。但し、第2コンパレーター152の第1入力端子が反転入力端子であり、第2入力端子が非反転入力端子となるように、発振回路300が構成されてもよい。
【0058】
また本実施形態では、クロック信号CLKが第1論理レベルであるとき、第1放電回路141は第1キャパシター131を放電する。第2キャパシター132は第2充電電流IC2により充電される。クロック信号出力回路160は、第2コンパレーター152の出力信号CP2が変化したときクロック信号CLKを第1論理レベルから第2論理レベルにする。クロック信号CLKが第2論理レベルであるとき、第2放電回路142は第2キャパシター132を放電する。第1キャパシター131は第1充電電流IC1により充電される。クロック信号出力回路160は、第1コンパレーター151の出力信号CP1が変化したときクロック信号CLKを第2論理レベルから第1論理レベルにする。
【0059】
本実施形態によれば、第1キャパシター131の一端の電圧CT1が基準電圧VREFに達するまでの充電期間と、第2キャパシター132の一端の電圧CT2が基準電圧VREFに達するまでの充電期間とによって、クロック信号CLKの周期Tsが決まる。
【0060】
なお、図4図6には、第1論理レベルがローレベルであり、第2論理レベルがハイレベルである例を示した。但し、第1論理レベルがハイレベルであり、第2論理レベルがローレベルとなるように発振回路300が構成されてもよい。
【0061】
また本実施形態では、クロック信号出力回路160は、RSラッチ回路161を含む。RSラッチ回路161のリセット端子には、第1コンパレーター151の出力信号CP1が入力され、セット端子には、第2コンパレーター152の出力信号CP2が入力される。クロック信号出力回路160、RSラッチ回路161がリセットされたとき第1論理レベルのクロック信号CLKを出力し、RSラッチ回路161がセットされたとき第2論理レベルのクロック信号CLKを出力する。また本実施形態では、クロック信号CLKが第1論理レベルのとき、第1放電回路141が放電動作を行う。クロック信号CLKが第2論理レベルのとき、第2放電回路142が放電動作を行う。
【0062】
本実施形態によれば、クロック信号CLKが第1論理レベルのとき、第2キャパシター132が充電され、第2キャパシター132の一端の電圧CT2が基準電圧VREFに達したとき、RSラッチ回路161がセットされ、クロック信号CLKが第1論理レベルから第2論理レベルになる。クロック信号CLKが第2論理レベルのとき、第1キャパシター131が充電され、第1キャパシター131の一端の電圧CT1が基準電圧VREFに達したとき、RSラッチ回路161がリセットされ、クロック信号CLKが第2論理レベルから第1論理レベルになる。これにより、第1キャパシター131の充電期間と、第2キャパシター132の充電期間とによって、クロック信号CLKの周期Tsが決まる。
【0063】
なお、図5には、RSラッチ回路161がクロック信号CLKを出力する例を示した。その場合、第1論理レベルがローレベルであり、第2論理レベルがハイレベルである。但し、RSラッチ回路161の出力信号に基づいてクロック信号CLKが出力されていればよく、第1論理レベルがハイレベルであり、第2論理レベルがローレベルであってもよい。例えば、RSラッチ回路161の出力とクロック信号出力回路160の出力との間に、何らかのロジック素子が挿入されていてもよい。
【0064】
また本実施形態では、第1キャパシター131の容量値をC1とし、第2キャパシター132の容量値をC2とし、基準電圧をVREFとし、基準電圧VREFに応じた第1充電電流IC1をVREF/α1とし、基準電圧VREFに応じた第2充電電流IC2をVREF/α2とし、クロック信号CLKの周期をTsとする。このとき、Ts=C1×α1+C2×α2である。
【0065】
このように、基準電圧VREFの変化による第1充電電流IC1の変化と、第1コンパレーター151の閾値である基準電圧VREFの変化とがキャンセルするので、クロック信号CLKの周期Tsが変化しにくい。これにより、基準電圧VREFが変化した場合であっても、発振周波数の偏差が生じにくい。
【0066】
図8は、発振回路の第2構成例である。発振回路100は、記憶回路170を更に含む。なお、図4で説明した構成要素と同じ構成要素には同一の符号を付し、その構成要素についての説明を適宜に省略する。
【0067】
記憶回路170は、電流源回路120における電流ミラーの電流比を示す情報MRTを記憶する。電流源回路120は、可変の電流比で電流ミラーを行うことで第1充電電流IC1及び第2充電電流IC2を出力する。その電流比は、情報MRTによって指示された電流比である。これにより、情報MRTによって第1充電電流IC1及び第2充電電流IC2が調整され、それによってクロック信号CLKの発振周波数が調整される。記憶回路170は、レジスター又はメモリーである。メモリーは、RAM等の揮発性メモリー、或いは、OTPメモリー又はEEPROM等の不揮発性メモリーである。RAMはRandom Access Memoryの略である。OTPはOne Time Programmableの略である。EEPROMはElectrically Erasable Programmable Read Only Memoryの略である。例えば、発振回路300は、外部から電流比の情報MRTを受信するインターフェース回路を含み、記憶回路170は、その受信された電流比の情報MRTを記憶する。記憶回路170が不揮発性メモリーである場合には、検査工程等において予め電流比の情報MRTが不揮発性メモリーに格納されてもよい。
【0068】
図9は、電流源回路の第2詳細構成例である。電流源回路120は、アンプ回路121と抵抗RAと電流調整回路125とを含む。なお、図7で説明した構成要素と同じ構成要素には同一の符号を付し、その構成要素についての説明を適宜に省略する。
【0069】
電流調整回路125は、ミラー比調整回路126と、P型トランジスターTB2、TC1及びTC2と、N型トランジスターTB3及びTB4と、を含む。
【0070】
ミラー比調整回路126は、電流比の情報MRTにより指示される電流比で、電流IAをミラーすることで、電流IBを出力する。この電流IBは、N型トランジスターTB3のドレイン電流となる。電流IAから電流IBへのミラーの電流比をnaとし、電流IBから第1充電電流IC1へのミラーの電流比をn1bとし、電流IBから第2充電電流IC2へのミラーの電流比をn2bとする。このとき、第1充電電流はIC1=(na×n1b)×IAであり、第2充電電流はIC2=(na×n2b)×IAである。情報MRTにより電流比naが可変に調整されることで、第1充電電流IC1及び第2充電電流IC2が可変に調整される。
【0071】
上記(3)と(4)において、α1=RA/(na×n1b)、α2=RA/(na×n2b)である。これを上式(2)に代入すると下式(5)となる。即ち、電流比の情報MRTにより電流比naを変えることで、クロック信号CLKの周期Tsを調整できる、即ちクロック信号CLKの発振周波数を調整できる。
Ts=C1×RA/(na×n1b)+C2×RA/(na×n2b) ・・・(5)
【0072】
図10は、ミラー比調整回路の詳細構成例である。ミラー比調整回路126は、P型トランジスターTD1~TD8、TE1~TE8を含む。ここでは、電流比の情報MRTが8ビットデータMRT[7:0]である例を説明するが、そのビット数は2以上であればよい。
【0073】
iを1以上8以下の整数とする。P型トランジスターTDi及びTEiは高電位側電源ノードとN型トランジスターTB3のドレインとの間に直列接続される。具体的には、P型トランジスターTDiのソースは、高電位側電源ノードに接続され、ドレインは、P型トランジスターTEiのソースに接続される。P型トランジスターTEiのドレインは、N型トランジスターTB3のドレインに接続される。P型トランジスターTDiのゲートは、P型トランジスターTAのゲートに接続され、P型トランジスターTA及びTDiがカレントミラーを構成する。P型トランジスターTEiのゲートには、ビットMRT[i-1]が入力される。MRT[i-1]=0のとき、P型トランジスターTEiがオンであり、P型トランジスターTDiのドレイン電流を含む電流IBが出力される。MRT[i-1]=1のとき、P型トランジスターTEiがオフであり、P型トランジスターTDiのドレイン電流は遮断される。
【0074】
電流IAからP型トランジスターTDiのドレイン電流へのミラーの電流比をnaiとする。この電流比は2のべき乗で重み付けされており、一例として、nai=0.25×2(i-1)である。
【0075】
本実施形態では、電流源回路120は、アンプ回路121と抵抗RAと電流調整回路125とを含む。アンプ回路121の非反転入力端子に基準電圧VREFが入力され、反転入力端子に出力端子が接続される。抵抗RAの一端がアンプ回路121の出力端子に接続され、他端が低電位側電源ノードに接続される。電流調整回路125は、抵抗RAに流れる電流IAを可変の電流比でミラーし、ミラー後の電流を第1充電電流IC1及び第2充電電流IC2として出力する。
【0076】
上式(5)で説明したように、電流比を可変に調整することで、クロック信号CLKの発振周波数を可変に調整可能になる。例えば、クロック信号CLKを用いる回路の仕様に適合するように、発振周波数を合わせることができる。なお、上式(5)に示すように、電流比を変更しても、クロック信号CLKの周期Tsは基準電圧VREFに依存しないので、基準電圧VREFが変動した場合であっても発振周波数の偏差が生じないことに変わりはない。
【0077】
また本実施形態では、電流比の情報MRTを記憶する記憶回路170を含む。電流調整回路125は、抵抗RAに流れる電流IAを、情報MRTが示す電流比でミラーする。
【0078】
本実施形態によれば、記憶回路170に、所望の発振周波数に対応した電流比の情報MRTを格納することで、クロック信号CLKの発振周波数を所望の発振周波数に調整できる。
【0079】
なお、上記のように本実施形態について詳細に説明したが、本開示の新規事項及び効果から実体的に逸脱しない多くの変形が可能であることは当業者には容易に理解できるであろう。従って、このような変形例はすべて本開示の範囲に含まれるものとする。例えば、明細書又は図面において、少なくとも一度、より広義又は同義な異なる用語と共に記載された用語は、明細書又は図面のいかなる箇所においても、その異なる用語に置き換えることができる。また、本実施形態及び変形例の全ての組み合わせも、本開示の範囲に含まれる。また、基準電圧生成回路、電流源回路、放電回路、クロック信号出力回路、及び発振回路等の構成及び動作等も、本実施形態で説明したものに限定されず、種々の変形実施が可能である。
【符号の説明】
【0080】
100…発振回路、110…基準電圧生成回路、120…電流源回路、121…アンプ回路、122…カレントミラー回路、125…電流調整回路、126…ミラー比調整回路、131…第1キャパシター、132…第2キャパシター、141…第1放電回路、142…第2放電回路、151…第1コンパレーター、152…第2コンパレーター、160…クロック信号出力回路、161…RSラッチ回路、170…記憶回路、CLK…クロック信号、IC1…第1充電電流、IC2…第2充電電流、MRT…電流比の情報、Ts…周期、VREF…基準電圧
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10