(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024158159
(43)【公開日】2024-11-08
(54)【発明の名称】デバイス及びデバイスの製造方法
(51)【国際特許分類】
G02F 1/1339 20060101AFI20241031BHJP
【FI】
G02F1/1339 500
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023073120
(22)【出願日】2023-04-27
(71)【出願人】
【識別番号】520487808
【氏名又は名称】シャープディスプレイテクノロジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001036
【氏名又は名称】弁理士法人暁合同特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】川口 浩
【テーマコード(参考)】
2H189
【Fターム(参考)】
2H189DA06
2H189DA07
2H189DA10
2H189DA12
2H189DA19
2H189DA32
2H189DA33
2H189DA42
2H189DA43
2H189EA02X
2H189FA16
2H189HA14
2H189JA14
2H189LA03
2H189LA05
2H189LA10
2H189LA14
2H189LA15
(57)【要約】
【課題】第1基板と第2基板との間の間隔が一定以上にならないよう保つ。
【解決手段】デバイス11は、第1主面11A1を有する第1基板11Aと、第1主面11A1と間隔を空けて対向する第2主面11B2を有する第2基板11Bと、第1基板11Aに設けられて第1主面11A1から第2主面11B2側に向けて突出する第1突出部28と、第1突出部28から第1主面11A1に沿って延出し、第1主面11A1との間に間隔を空けて配される第1延出部29と、第2基板11Bに設けられて第2主面11B2から第1主面11A1側に向けて突出する第2突出部30と、第2突出部30から第2主面11B2に沿って延出し、第2主面11B2との間に第1延出部29を挟むよう配される第2延出部31と、を備える。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1主面を有する第1基板と、
前記第1主面と間隔を空けて対向する第2主面を有する第2基板と、
前記第1基板に設けられて前記第1主面から前記第2主面側に向けて突出する第1突出部と、
前記第1突出部から前記第1主面に沿って延出し、前記第1主面との間に間隔を空けて配される第1延出部と、
前記第2基板に設けられて前記第2主面から前記第1主面側に向けて突出する第2突出部と、
前記第2突出部から前記第2主面に沿って延出し、前記第2主面との間に前記第1延出部を挟むよう配される第2延出部と、を備えるデバイス。
【請求項2】
前記第1基板と前記第2基板との間に挟持されて液晶材料からなる液晶層を備える請求項1記載のデバイス。
【請求項3】
複数の画素と、
隣り合う前記画素の間に配されて光を遮る遮光部と、を備えており、
前記第1突出部、前記第1延出部、前記第2突出部及び前記第2延出部は、前記遮光部と重畳して配される請求項2記載のデバイス。
【請求項4】
前記第1基板と前記第2基板との間に介在し、前記液晶層を取り囲んでいて前記液晶層を封止する封止部を備えており、
前記第1突出部、前記第1延出部、前記第2突出部及び前記第2延出部は、前記封止部と重畳して配される請求項2記載のデバイス。
【請求項5】
前記第1基板には、前記第1主面から前記第2主面側に向けて突出するスペーサが設けられ、
前記第2基板には、前記第2主面から前記第1主面側に向けて突出して前記スペーサと対向して配されるバンプが設けられ、
前記第1突出部及び前記第1延出部は、前記スペーサと同じ材料からなり、
前記第2突出部及び前記第2延出部は、前記バンプと同じ材料からなる請求項2から請求項4のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項6】
第1基板の第1主面から突出する第1突出部と、前記第1突出部から前記第1主面に沿って延出していて前記第1主面との間に間隔を空けて配される第1延出部と、を設け、
第2基板の第2主面から突出する第2突出部と、前記第2突出部から前記第2主面に沿って延出していて前記第2主面との間に間隔を空けて配される第2延出部と、を設け、
前記第1主面と前記第2主面とが対向していて、前記第1突出部及び前記第1延出部と前記第2突出部及び前記第2延出部とが非重畳になるよう、前記第1基板と前記第2基板とを配し、
前記第1基板と前記第2基板との間の間隔を調整し、前記第1延出部を前記第2主面と前記第2延出部との間に位置させ、
前記第1基板と前記第2基板とを前記第1主面及び前記第2主面に沿う方向にスライドさせ、前記第2延出部と前記第2主面との間に前記第1延出部を挟ませるデバイスの製造方法。
【請求項7】
前記第1基板に前記第1突出部及び前記第1延出部を設けるにあたっては、前記第1基板の前記第1主面上に第1膜を成膜し、前記第1膜をパターニングして第1台座部を設け、前記第1膜の上層側に第2膜を成膜し、前記第2膜をパターニングして前記第1突出部と前記第1台座部の上層側に重なる前記第1延出部とを設け、前記第1台座部をエッチングして除去し、
前記第2基板に前記第2突出部及び前記第2延出部を設けるにあたっては、前記第2基板の前記第2主面上に第3膜を成膜し、前記第3膜をパターニングして第2台座部を設け、前記第3膜の上層側に第4膜を成膜し、前記第4膜をパターニングして前記第2突出部と前記第2台座部の上層側に重なる前記第2延出部とを設け、前記第2台座部をエッチングして除去する請求項6記載のデバイスの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書が開示する技術は、デバイス及びデバイスの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、デバイスの一種である液晶セル(液晶パネル)の一例として下記特許文献1に記載されたものが知られている。特許文献1には、第1基板および第2基板の間に挟持された液晶層と、液晶層の厚みを制御する厚み制御素子と、を備えた液晶セルが記載されている。特許文献1に記載の液晶セルは、上記厚み制御素子が第1基板に形成された第1スペーサーと、第2基板に形成された第2スペーサーを含み、両スペーサーが当接して液晶層の厚みを制御しており、スペーサーがドット間の非表示領域に形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記した特許文献1に記載された厚み制御素子は、液晶層の厚みが一定以下にならないよう制御するのに機能する。しかしながら、例えば液晶セルを縦置き状態で使用した場合、液晶材料が液晶セルの下部付近に溜まり、液晶セルの下部付近において液晶層の厚みが規定値よりも大きくなる、という問題が生じることが懸念される。このような問題に、特許文献1に記載された厚み制御素子では対処できなかった。
【0005】
本明細書に記載の技術は、上記のような事情に基づいて完成されたものであって、第1基板と第2基板との間の間隔が一定以上にならないよう保つことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)本明細書に記載の技術に関わるデバイスは、第1主面を有する第1基板と、前記第1主面と間隔を空けて対向する第2主面を有する第2基板と、前記第1基板に設けられて前記第1主面から前記第2主面側に向けて突出する第1突出部と、前記第1突出部から前記第1主面に沿って延出し、前記第1主面との間に間隔を空けて配される第1延出部と、前記第2基板に設けられて前記第2主面から前記第1主面側に向けて突出する第2突出部と、前記第2突出部から前記第2主面に沿って延出し、前記第2主面との間に前記第1延出部を挟むよう配される第2延出部と、を備える。
【0007】
(2)また、上記デバイスは、上記(1)に加え、前記第1基板と前記第2基板との間に挟持されて液晶材料からなる液晶層を備えてもよい。
【0008】
(3)また、上記デバイスは、上記(2)に加え、複数の画素と、隣り合う前記画素の間に配されて光を遮る遮光部と、を備えており、前記第1突出部、前記第1延出部、前記第2突出部及び前記第2延出部は、前記遮光部と重畳して配されてもよい。
【0009】
(4)また、上記デバイスは、上記(2)に加え、前記第1基板と前記第2基板との間に介在し、前記液晶層を取り囲んでいて前記液晶層を封止する封止部を備えており、前記第1突出部、前記第1延出部、前記第2突出部及び前記第2延出部は、前記封止部と重畳して配されてもよい。
【0010】
(5)また、上記デバイスは、上記(2)から上記(4)のいずれかに加え、前記第1基板には、前記第1主面から前記第2主面側に向けて突出するスペーサが設けられ、前記第2基板には、前記第2主面から前記第1主面側に向けて突出して前記スペーサと対向して配されるバンプが設けられ、前記第1突出部及び前記第1延出部は、前記スペーサと同じ材料からなり、前記第2突出部及び前記第2延出部は、前記バンプと同じ材料からなってもよい。
【0011】
(6)本明細書に記載の技術に関わるデバイスの製造方法は、第1基板の第1主面から突出する第1突出部と、前記第1突出部から前記第1主面に沿って延出していて前記第1主面との間に間隔を空けて配される第1延出部と、を設け、第2基板の第2主面から突出する第2突出部と、前記第2突出部から前記第2主面に沿って延出していて前記第2主面との間に間隔を空けて配される第2延出部と、を設け、前記第1主面と前記第2主面とが対向していて、前記第1突出部及び前記第1延出部と前記第2突出部及び前記第2延出部とが非重畳になるよう、前記第1基板と前記第2基板とを配し、前記第1基板と前記第2基板との間の間隔を調整し、前記第1延出部を前記第2主面と前記第2延出部との間に位置させ、前記第1基板と前記第2基板とを前記第1主面及び前記第2主面に沿う方向にスライドさせ、前記第2延出部と前記第2主面との間に前記第1延出部を挟ませる。
【0012】
(7)また、上記デバイスの製造方法は、上記(6)に加え、前記第1基板に前記第1突出部及び前記第1延出部を設けるにあたっては、前記第1基板の前記第1主面上に第1膜を成膜し、前記第1膜をパターニングして第1台座部を設け、前記第1膜の上層側に第2膜を成膜し、前記第2膜をパターニングして前記第1突出部と前記第1台座部の上層側に重なる前記第1延出部とを設け、前記第1台座部をエッチングして除去し、前記第2基板に前記第2突出部及び前記第2延出部を設けるにあたっては、前記第2基板の前記第2主面上に第3膜を成膜し、前記第3膜をパターニングして第2台座部を設け、前記第3膜の上層側に第4膜を成膜し、前記第4膜をパターニングして前記第2突出部と前記第2台座部の上層側に重なる前記第2延出部とを設け、前記第2台座部をエッチングして除去してもよい。
【発明の効果】
【0013】
本明細書に記載の技術によれば、第1基板と第2基板との間の間隔が一定以上にならないよう保つことができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】実施形態1に係る液晶表示装置を構成する液晶パネル、ドライバ及びフレキシブル基板の平面図
【
図2】実施形態1に係る液晶パネル、ドライバ及びフレキシブル基板の断面図
【
図3】実施形態1に係る液晶パネルの画素配列に示す平面図
【
図4】実施形態1に係る液晶パネルの表示領域に備わる画素、スペーサ及びバンプ等の構成を示す断面図
【
図5】実施形態1に係る液晶パネルの表示領域に備わる第1突出部、第1延出部、第2突出部及び第2延出部等の構成を示す断面図
【
図6】実施形態1に係るアレイ基板の製造方法を構成する対向基板製造工程の第4工程にて、第1金属膜をパターニングして第1台座部が設けられた状態を示す断面図
【
図7】実施形態1に係るアレイ基板の製造方法を構成する対向基板製造工程の第4工程にて、第1絶縁膜をパターニングして第1突出部及び第1延出部が設けられた状態を示す断面図
【
図8】実施形態1に係るアレイ基板の製造方法を構成する対向基板製造工程の第4工程にて、第1金属膜をエッチングして第1台座部が除去された状態を示す断面図
【
図9】実施形態1に係るアレイ基板の製造方法を構成するアレイ基板製造工程の第10工程にて、第2金属膜をパターニングして第2台座部が設けられた状態を示す断面図
【
図10】実施形態1に係るアレイ基板の製造方法を構成するアレイ基板製造工程の第10工程にて、第2絶縁膜をパターニングして第2突出部及び第2延出部が設けられた状態を示す断面図
【
図11】実施形態1に係るアレイ基板の製造方法を構成するアレイ基板製造工程の第10工程にて、第2金属膜をエッチングして第2台座部が除去された状態を示す断面図
【
図12】実施形態1に係るアレイ基板の製造方法を構成する貼り合わせ工程の第13工程にて、対向基板とアレイ基板とを対向配置した状態を示す断面図
【
図13】実施形態1に係るアレイ基板の製造方法を構成する貼り合わせ工程の第13工程にて、対向基板とアレイ基板との間の間隔を調整した状態を示す断面図
【
図14】実施形態1に係るアレイ基板の製造方法を構成する貼り合わせ工程の第13工程にて、対向基板とアレイ基板とをスライドさせた際のスライド量が不足した場合を示す断面図
【
図15】実施形態1に係るアレイ基板の製造方法を構成する貼り合わせ工程の第13工程にて、対向基板とアレイ基板とをスライドさせた際のスライド量が過剰だった場合を示す断面図
【
図16】実施形態2に係る液晶パネルの非表示領域に備わる第1突出部、第1延出部、第2突出部及び第2延出部等の構成を示す断面図
【発明を実施するための形態】
【0015】
<実施形態1>
実施形態1を
図1から
図15によって説明する。本実施形態では、液晶表示装置10について例示する。なお、各図面の一部にはX軸、Y軸及びZ軸を示しており、各軸方向が各図面で示した方向となるように描かれている。また、
図2,
図4,
図5,
図12から
図15の上側を表側とし、同図下側を裏側とする。
【0016】
液晶表示装置10は、
図1に示すように、縦長の方形状をなしていて画像を表示可能な液晶パネル(デバイス、表示パネル)11と、液晶パネル11に対して表示に利用するための光を照射する外部光源であるバックライト装置(照明装置)と、を少なくとも備える。バックライト装置は、液晶パネル11に対して裏側(背面側)に配置され、白色の光(白色光)を発する光源(例えばLEDなど)や光源からの光に光学作用を付与することで面状の光に変換する光学部材などを有する。液晶パネル11は、画面の中央側部分が、画像が表示される表示領域AAとされる。これに対し、液晶パネル11の画面における表示領域AAを取り囲む額縁状の外周側部分が、画像が表示されない非表示領域NAAとされる。
【0017】
液晶パネル11に関して
図1に加えて
図2を参照して詳しく説明する。液晶パネル11は、
図1及び
図2に示すように、一対のほぼ透明な(透光性を有する)基板11A,11Bを貼り合わせてなる。一対の基板11A,11Bのうち表側(正面側)が対向基板(第1基板、CF基板)11Aとされ、裏側(背面側)がアレイ基板(第2基板、TFT基板)11Bとされる。対向基板11A及びアレイ基板11Bは、いずれもガラス基板の内面側に各種の膜が積層形成されてなる。互いに貼り合わせられる対向基板11Aとアレイ基板11Bとの間には、所定の間隔が空けられている。対向基板11Aとアレイ基板11Bとの間には、電界印加に伴って光学特性が変化する物質である液晶分子を含む液晶層11Cが挟持される。本実施形態では、液晶層11Cの厚み(セルギャップ)は、例えば3μm程度とされる。一対の基板11A,11Bの外周端部間には、液晶層11Cを封止する封止部(シール部)11Dが介在して設けられている。封止部11Dは、液晶層11Cを取り囲むよう方形の枠状に形成されている。なお、両基板11A,11Bの外面側には、それぞれ偏光板14が貼り付けられている。
【0018】
アレイ基板11Bは、
図1及び
図2に示すように、長辺寸法が対向基板11Aの同寸法よりも大きくされており、長辺方向についての一方の端部が、対向基板11Aから側方に突き出す突き出し部11B1となっている。突き出し部11B1は、対向基板11Aにより覆われずに露出している。突き出し部11B1は、全域が非表示領域NAAであり、各種信号を供給するためのドライバ12及びフレキシブル基板13が取り付けられている。
【0019】
図3を用いてアレイ基板11Bの表示領域AAにおける画素配列について説明する。アレイ基板11Bの表示領域AAにおける内面側には、
図3に示すように、格子状をなす複数本ずつのゲート配線(走査配線)15及びソース配線(画像配線)16が配されている。ゲート配線15及びソース配線16の交差部位付近には、TFT(薄膜トランジスタ)17及び画素電極(電極)18が設けられている。ゲート配線15は、表示領域AAを横断する形で概ねX軸方向に沿って延在し、各TFT17のゲート電極17Aに接続される。ゲート配線15は、複数がY軸方向に間隔を空けて並んで配される。ソース配線16は、表示領域AAを縦断する形で概ねY軸方向に沿って延在し、各TFT17のソース電極17Bに接続される。ソース配線16は、複数がX軸方向に間隔を空けて配される。ゲート配線15及びソース配線16は、互いに交差するものの、間に絶縁膜が介在することで絶縁されている。TFT17及び画素電極18は、複数個ずつX軸方向及びY軸方向に沿って規則的に並んでマトリクス状(行列状)に平面配置されている。画素電極18は、TFT17のドレイン電極17Cに接続されている。画素電極18は、ITO(Indium Tin Oxide)等の透明電極材料からなる。TFT17は、上記したゲート電極17A、ソース電極17B及びドレイン電極17Cに加えて、半導体部17Dを有する。半導体部17Dは、半導体材料からなり、ソース電極17Bとドレイン電極17Cとに接続される。そして、TFT17は、ゲート配線15に供給される走査信号に基づいて駆動されると、ソース配線16に供給される画像信号(データ信号)に基づいた電位に画素電極18を充電する。
【0020】
図4を用いて液晶パネル11の表示領域AAにおける断面構成について説明する。なお、
図4では、上記したゲート配線15、ソース配線16及びTFT17を、「画素回路部(回路部)19」として簡略化して図示している。液晶パネル11を構成する対向基板11Aの表示領域AAには、
図4に示すように、アレイ基板11Bに備わる各画素電極18と重畳する位置に多数個のカラーフィルタ20が設けられている。カラーフィルタ20は、赤色(R),緑色(G),青色(B)を呈する3色がX軸方向に沿って繰り返し交互に並ぶ配置とされるとともに、それらがY軸方向に沿って延在することで、全体としてストライプ状に配列されている。カラーフィルタ20は、アレイ基板11B側の画素電極18と対向している。互いに対向するカラーフィルタ20と画素電極18とが、表示単位である画素PXを構成する。対向基板11Aの表示領域AAには、隣り合うカラーフィルタ20間を仕切ることで混色を防ぐなどのために遮光部(ブラックマトリクス)21が設けられている。遮光部21は、非表示領域NAAにも設けられている(実施形態2の
図16を参照)。遮光部21は、表示領域AAではゲート配線15及びソース配線16と重畳するよう格子状をなしているものの、非表示領域NAAではベタ状をなしている。カラーフィルタ20及び遮光部21の上層側には、オーバーコート膜22が形成される。オーバーコート膜22は、対向基板11Aにおいてほぼ全域にわたって概ねベタ状に設けられている。オーバーコート膜22は、例えばアクリル樹脂(例えばPMMA等)等の有機材料からなり、自身よりも下層側に生じた段差を平坦化するのに機能する。本実施形態では、オーバーコート膜22の表面を、対向基板11Aの第1主面11A1とする。なお、オーバーコート膜22の上層側(対向基板11Aの最内面)には、液晶層11Cに含まれる液晶を配向させるための配向膜が設けられている。
【0021】
対向基板11Aの表示領域AAには、
図4に示すように、第1主面11A1からアレイ基板11B(第2主面11B1)側に向けて突出するスペーサ23が設けられている。このスペーサ23により一対の基板11A,11Bの間の間隔、つまりセルギャップ(液晶層11Cの厚み)を一定以下にならないよう保つことができる。スペーサ23は、先細りの柱状をなしている。スペーサ23は、例えば、アレイ基板11Bに備わるゲート配線15とソース配線16との交差部位と重畳する位置に複数配されている。スペーサ23には、第1スペーサ(メインスペーサ)23αと、第2スペーサ(サブスペーサ)23βと、が含まれている。第1スペーサ23αは、第1主面11A1からの突出寸法が、第1主面11A1からの第2スペーサ23βの突出寸法よりも大きい。
【0022】
液晶パネル11を構成するアレイ基板11Bの表示領域AAには、
図4に示すように、下層側から順に、画素回路部19、平坦化膜24、共通電極25、層間絶縁膜26及び画素電極18が設けられている。このうちの共通電極25は、画素電極18と同様に透明電極材料からなる。共通電極25は、全体として表示領域AAと同等の大きさを有する。共通電極25は、層間絶縁膜26を介して全ての画素電極18に対して重畳して配されている。共通電極25には、共通電位(基準電位)が供給されている。従って、共通電極25と画素電極18との間には、画素電極18に充電された電位に基づく電位差が生じ得る。共通電極25と画素電極18との間の電位差に基づいて発生する電界には、アレイ基板11Bの主面(後述する第2主面11B2を含む)に沿う成分に加えて、アレイ基板11Bの主面に対する法線方向の成分を含むフリンジ電界(斜め電界)が含まれる。従って、本実施形態に係る液晶パネル11の表示モードは、フリンジ電界を利用して液晶層11Cに含まれる液晶の配向状態を制御する、いわゆるFFS(Fringe Field Switching)モードとされている。なお、画素電極18の上層側(アレイ基板11Bの最内面)には、液晶層11Cに含まれる液晶を配向させるための配向膜が設けられている。
【0023】
層間絶縁膜26は、例えば窒化ケイ素(SiN
x)、酸化ケイ素(SiO
2)等の無機材料からなる。平坦化膜24は、例えばアクリル樹脂(例えばPMMA等)等の有機材料からなり、自身よりも下層側に生じた段差を平坦化するのに機能する。平坦化膜24は、
図4に示すように、無機材料からなる層間絶縁膜26等よりも大きな膜厚を有する。本実施形態では、平坦化膜24の表面を、アレイ基板11Bの第2主面11B2とする。平坦化膜24のうち、複数の画素電極18と重畳する位置には、複数のコンタクトホール24Aが開口して設けられている。コンタクトホール24Aを通して画素電極18と、画素回路部19に含まれるTFT17のドレイン電極17C(
図3を参照)と、が接続される。なお、共通電極25及び層間絶縁膜26のうち、各コンタクトホール24Aと重畳する位置には、それぞれ開口25A,26Aが設けられている。開口25Aによって画素電極18と共通電極25との短絡が防がれている。
【0024】
アレイ基板11Bには、
図4に示すように、第2主面11B2から対向基板11A(第1主面11A1)側に向けて突出するバンプ27が設けられている。バンプ27は、対向基板11Aに備わるスペーサ23と重畳する位置に配されている。バンプ27は、例えば、ゲート配線15とソース配線16との交差部位と重畳する位置に複数配されている。バンプ27には、第1スペーサ23αと重畳して配される第1バンプ27αと、第2スペーサ23βと重畳して配される第2バンプ27βと、が含まれる。第1バンプ27αにおける第2主面11B2からの突出寸法と、第2バンプ27βにおける第2主面11B2からの突出寸法と、が等しい。第1バンプ27αは、重畳する第1スペーサ23αに対して常に接する。なお、互いに重畳する第1バンプ27αと第1スペーサ23αとの間には、2枚の配向膜が介在する。第2バンプ27βは、重畳する第2スペーサ23βに対して常に接することがない。しかし、対向基板11Aやアレイ基板11Bに外力が作用して対向基板11Aやアレイ基板11Bに撓みが生じた場合においては、第2スペーサ23βと第2バンプ27βとが接する。これにより、対向基板11Aやアレイ基板11Bがある程度まで撓むことが許容されている。
【0025】
対向基板11Aには、
図5に示すように、第1主面11A1からアレイ基板11B(第2主面11B2)側に向けて突出する第1突出部28が設けられている。第1突出部28は、ブロック状をなしており、第1主面11A1からの突出寸法(Z軸方向についての寸法)が例えば2.5μm程度とされ、Y軸方向についての寸法が例えば9μm程度とされ、X軸方向についての寸法が例えば10μm程度とされる。対向基板11Aには、第1突出部28から第1主面11A1に沿って延出する第1延出部29が設けられている。第1延出部29の延出方向は、
図5のY軸方向と一致している。第1延出部29は、第1突出部28における突出先端部を起点として延出していて、第1主面11A1との間に間隔を空けて配されている。第1延出部29は、第1突出部28からの延出寸法(Y軸方向についての寸法)が例えば7.5μm程度とされ、厚さ寸法(Z軸方向についての寸法)が例えば0.8μm程度とされ、X軸方向についての寸法が例えば10μm程度とされる。第1延出部29と第1主面11A1との間に空けられるZ軸方向についての間隔は、例えば1.7μm程度とされる。
【0026】
一方、アレイ基板11Bには、
図5に示すように、第2主面11B2から対向基板11A(第1主面11A1)側に向けて突出する第2突出部30が設けられている。第2突出部30は、第1突出部28に対してY軸方向について第1延出部29の延出寸法よりも大きい間隔を空けた位置に配されている。第2突出部30は、ブロック状をなしており、第2主面11B2からの突出寸法(Z軸方向についての寸法)が例えば2.5μm程度とされ、Y軸方向についての寸法が例えば9μm程度とされ、X軸方向についての寸法が例えば10μm程度とされる。アレイ基板11Bには、第2突出部30から第2主面11B2に沿って延出する第2延出部31が設けられている。第2延出部31の延出方向は、
図5のY軸方向と一致しており、第1延出部29の延出方向に並行している。第2延出部31は、第2突出部30の突出先端部を起点として延出していて、第2主面11B2との間に間隔を空けて配されている。第2延出部31は、第2突出部30の突出先端部のうち、第1突出部28側を向いた面から第1突出部28に向けて近づくよう、延出している。第2延出部31は、第2突出部30からの延出寸法(Y軸方向についての寸法)が例えば7.5μm程度とされ、厚さ寸法(Z軸方向についての寸法)が例えば0.8μm程度とされ、X軸方向についての寸法が例えば10μm程度とされる。第2延出部31と第2主面11B2との間に空けられるZ軸方向についての間隔は、例えば1.7μm程度とされる。このように、第2延出部31と第2主面11B2との間に空けられる間隔は、第1延出部29の厚さ寸法よりも大きい。同様に、第1延出部29と第1主面11A1との間に空けられる間隔は、第2延出部31の厚みよりも大きい。
【0027】
そして、第2延出部31と第2主面11B2との間には、
図5に示すように、第1延出部29が挟まれるとともに、第1延出部29と第1主面11A1との間には、第2延出部31が挟まれている。ここで、例えば、第1主面11A1及び第2主面11B2が鉛直方向に沿うよう配置されると、液晶層11Cを構成する液晶材料が鉛直方向の下側に溜まるため、対向基板11A及びアレイ基板11Bの下側部分には、互いに離れる向きの応力が作用し得る。その点、上記したように、第2延出部31と第2主面11B2との間に第1延出部29が挟まれるとともに、第1延出部29と第1主面11A1との間には、第2延出部31が挟まれているので、第1延出部29及び第2延出部31が互いに引っ掛かり合うことで、対向基板11Aとアレイ基板11Bとが離れる向きに相対変位し難くなる。これにより、対向基板11Aとアレイ基板11Bとの間の間隔が一定以上にならないよう保つことができ、液晶層11Cの厚みが局所的に大きくなる事態が生じ難くなる。液晶層11Cの厚みが均一に保たれることで、液晶パネル11に表示される画像に係る表示品位を良好に保つことができる。なお、表示領域AAでの第1突出部28、第1延出部29、第2突出部30及び第2延出部31の具体的な配置は、任意に設定することが可能である。例えば、第1突出部28、第1延出部29、第2突出部30及び第2延出部31は、表示領域AAのうち、中央付近に配されてもよいが、外周端部付近に配されてもよい。また、第1突出部28、第1延出部29、第2突出部30及び第2延出部31は、第1主面11A1及び第2主面11B2が鉛直方向に沿うよう配置された場合に、表示領域AAのうちの鉛直方向についての下側部分に配されてもよいが、鉛直方向についての中央付近や上側部分に配されてもよい。
【0028】
第1突出部28、第1延出部29、第2突出部30及び第2延出部31は、
図5に示すように、液晶パネル11の表示領域AAにおいて遮光部21と重畳して配される。詳しくは、第1突出部28、第1延出部29、第2突出部30及び第2延出部31は、表示領域AAにおいて平面に視て格子状をなす遮光部21のうち、Y軸方向に沿って延在する部分に対して重畳して配されている。つまり、第1突出部28、第1延出部29、第2突出部30及び第2延出部31は、X軸方向について隣り合う画素PXの間に配されている。このように、第1突出部28、第1延出部29、第2突出部30及び第2延出部31が、遮光部21と重畳して配されることで、第1突出部28、第1延出部29、第2突出部30及び第2延出部31が外部から視認され難くなる。これにより、表示品位を良好に保つことができる。
【0029】
また、対向基板11Aに設けられた第1突出部28及び第1延出部29は、
図4及び
図5に示すように、スペーサ23と同じ材料からなる。このように、第1突出部28及び第1延出部29が、スペーサ23と同じ材料からなるので、製造に際して対向基板11Aにスペーサ23を設ける工程において第1突出部28及び第1延出部29を設けることができる。アレイ基板11Bに設けられた第2突出部30及び第2延出部31は、バンプ27と同じ材料からなる。このように、第2突出部30及び第2延出部31が、バンプ27と同じ材料からなるので、製造に際してアレイ基板11Bにバンプ27を設ける工程において第2突出部30及び第2延出部31を設けることができる。
【0030】
本実施形態は以上のような構造であり、続いて液晶パネル11の製造方法を説明する。液晶パネル11の製造方法には、対向基板11Aを製造する対向基板製造工程(第1基板製造工程)と、アレイ基板11Bを製造するアレイ基板製造工程(第2基板製造工程)と、製造された対向基板11Aとアレイ基板11Bとを貼り合わせる貼り合わせ工程と、が含まれている。
【0031】
対向基板製造工程には、遮光部21を形成する第1工程と、カラーフィルタ20を形成する第2工程と、オーバーコート膜22を形成する第3工程と、スペーサ23、第1突出部28及び第1延出部29を形成する第4工程と、が少なくとも含まれる。このうちの第4工程に関して
図6から
図8を用いて説明する。
【0032】
第4工程では、まず、
図6の二点鎖線に示すように、対向基板11Aにおけるオーバーコート膜22の上層側に金属材料(例えば銅等)からなる第1金属膜(第1膜)F1を成膜する。成膜した第1金属膜F1を既知のフォトリソグラフィ法によってパターニングする。具体的には、第1金属膜F1の上層側にフォトレジスト膜を成膜し、所定の開口パターンを有するフォトマスクを介してフォトレジスト膜を露光する。露光されたフォトレジスト膜を現像したら、現像されたフォトレジスト膜をマスクとして用いて第1金属膜F1をエッチング(例えばウェットエッチング)する。すると、第1金属膜F1がパターニングされ、
図6に示すように、第1台座部32が設けられる。第1台座部32は、ブロック状をなしており、X軸方向及びY軸方向についての各寸法が、第1延出部29におけるX軸方向及びY軸方向についての各寸法よりもそれぞれやや大きい。
【0033】
続いて、
図7の二点鎖線に示すように、第1金属膜F1の上層側に第1絶縁膜(第2膜)F2を成膜する。第1絶縁膜F2は、感光性を有する有機材料(例えばアクリル樹脂材料等)からなるので、所定の開口パターンを有するフォトマスクを介して第1絶縁膜F2を直接露光することができる。露光された第1絶縁膜F2を現像すると、第1絶縁膜F2がパターニングされ、
図7に示すように、第1突出部28及び第1延出部29が設けられる。設けられた第1延出部29は、第1台座部32の上層側に重なる配置とされる。この第1絶縁膜F2のパターニングに伴って、スペーサ23も設けられる(
図4を参照)。その後、第1金属膜F1をエッチング(例えば、ウェットエッチング)することで、
図8に示すように、第1台座部32が除去される。この状態では、第1延出部29は、オーバーコート膜22の表面、つまり第1主面11A1に対して第1台座部32の厚み分の間隔を空けた位置にて対向配置される。
【0034】
アレイ基板製造工程には、画素回路部19を形成する第5工程と、平坦化膜24を形成する第6工程と、共通電極25を形成する第7工程と、層間絶縁膜26を形成する第8工程と、画素電極18を形成する第9工程と、バンプ27、第2突出部30及び第2延出部31を形成する第10工程と、が少なくとも含まれる。このうちの第10工程に関して
図9から
図11を用いて説明する。
【0035】
第10工程では、まず、
図9の二点鎖線に示すように、アレイ基板11Bにおける平坦化膜24の上層側に金属材料(例えば銅等)からなる第2金属膜(第3膜)F3を成膜する。成膜した第2金属膜F3を既知のフォトリソグラフィ法によってパターニングする。具体的には、第2金属膜F3の上層側にフォトレジスト膜を成膜し、所定の開口パターンを有するフォトマスクを介してフォトレジスト膜を露光する。露光されたフォトレジスト膜を現像したら、現像されたフォトレジスト膜をマスクとして用いて第2金属膜F3をエッチング(例えばウェットエッチング)する。すると、第2金属膜F3がパターニングされ、
図9に示すように、第2台座部33が設けられる。第2台座部33は、ブロック状をなしており、X軸方向及びY軸方向についての各寸法が、第2延出部31におけるX軸方向及びY軸方向についての各寸法よりもそれぞれやや大きい。
【0036】
続いて、
図10の二点鎖線に示すように、第2金属膜F3の上層側に第2絶縁膜(第4膜)F4を成膜する。第2絶縁膜F4は、感光性を有する有機材料(例えばアクリル樹脂材料等)からなるので、所定の開口パターンを有するフォトマスクを介して第2絶縁膜F4を直接露光することができる。露光された第2絶縁膜F4を現像すると、第2絶縁膜F4がパターニングされ、
図10に示すように、第2突出部30及び第2延出部31が設けられる。設けられた第2延出部31は、第2台座部33の上層側に重なる配置とされる。この第2絶縁膜F4のパターニングに伴って、バンプ27も設けられる(
図4を参照)。その後、第2金属膜F3をエッチング(例えば、ウェットエッチング)することで、
図11に示すように、第2台座部33が除去される。この状態では、第2延出部31は、平坦化膜24の表面、つまり第2主面11B2に対して第2台座部33の厚み分の間隔を空けた位置にて対向配置される。
【0037】
貼り合わせ工程には、対向基板11Aまたはアレイ基板11Bの外周端部に封止部11Dを塗布する第11工程と、対向基板11Aまたはアレイ基板11B上に液晶材料を滴下する第12工程と、両基板11A,11Bを貼り合わせる第13工程と、封止部11Dを硬化させる第14工程と、が少なくとも含まれる。このうちの第13工程に関して
図12から
図15を用いて説明する。
【0038】
第13工程では、まず、
図12に示すように、第1主面11A1と第2主面11B2とが、液晶層11Cの厚みよりも大きい間隔を空けて対向するよう、対向基板11Aとアレイ基板11Bとを配置する。このとき、第1突出部28及び第1延出部29と第2突出部30及び第2延出部31とが互いに非重畳となるよう配置する。本実施形態では、第1延出部29と第2延出部31とが、第1主面11A1及び第2主面11B2に沿う方向であるY軸方向について所定の間隔を空けて隣り合う配置とする。対向基板11Aとアレイ基板11BとをZ軸方向(各主面11A1,11B2の法線方向)について近づくよう相対変位させることで、対向基板11Aとアレイ基板11Bとの間の間隔を調整し、
図13に示すように、第1延出部29を第2主面11B2と第2延出部31との間に位置させるとともに、第2延出部31を第1主面11A1と第1延出部29との間に位置させる。
【0039】
続いて、対向基板11Aとアレイ基板11BとをY軸方向にスライドさせ、第2延出部31と第2主面11B2との間に第1延出部29を挟ませるとともに、第1延出部29と第1主面11A1との間に第2延出部31を挟ませる(
図5を参照)。このようにして製造された液晶パネル11によれば、仮に対向基板11Aとアレイ基板11Bとが離れる向きに相対変位させられようとした場合でも、第1延出部29及び第2延出部31が互いに引っ掛かり合うことで、対向基板11Aとアレイ基板11Bとが離れる向きに相対変位し難くなる。これにより、対向基板11Aとアレイ基板11Bとの間の間隔が一定以上にならないよう保つ上で好適となる。上記したスライド作業を行う際には、第1延出部29と第2延出部31とが干渉するおそれがある。その点、上記した第10工程において、第1台座部32及び第2台座部33を用いて第1延出部29及び第2延出部31が設けられることで(
図8及び
図11を参照)、第1主面11A1と第1延出部29との間の間隔と、第2延出部31と第2主面11B2との間の間隔と、の各寸法精度が十分に高くされているので、スライド時に第1延出部29と第2延出部31とが干渉する事態が生じ難くなっている。
【0040】
また、スライド作業を行う際には、スライド量にばらつきが生じるおそれがある。その点、互いに重畳する関係の第1延出部29と第2延出部31とにおけるY軸方向についての重なり量は、
図5に示すように、スライド量にばらつきよりも大きくなるよう設定されている。具体的には、スライド量にばらつきは、±3μm程度とされるのに対し、第1延出部29と第2延出部31とにおけるY軸方向についての重なり量は、例えば4μm程度とされている。従って、例えばスライド量が3μm不足した場合は、
図14に示すように、第1延出部29と第2延出部31とにおけるY軸方向についての重なり量が1μm程度確保される。一方、例えばスライド量が3μm過剰だった場合は、
図15に示すように、第1延出部29と第2延出部31とにおけるY軸方向についての重なり量が7μm程度確保されるとともに、第1延出部29が第2突出部30に干渉したり、第2延出部31が第1突出部28に干渉したりする事態を回避することができる。
【0041】
以上説明したように本実施形態の液晶パネル(デバイス)11は、第1主面11A1を有する対向基板(第1基板)11Aと、第1主面11A1と間隔を空けて対向する第2主面11B2を有するアレイ基板(第2基板)11Bと、対向基板11Aに設けられて第1主面11A1から第2主面11B2側に向けて突出する第1突出部28と、第1突出部28から第1主面11A1に沿って延出し、第1主面11A1との間に間隔を空けて配される第1延出部29と、アレイ基板11Bに設けられて第2主面11B2から第1主面11A1側に向けて突出する第2突出部30と、第2突出部30から第2主面11B2に沿って延出し、第2主面11B2との間に第1延出部29を挟むよう配される第2延出部31と、を備える。
【0042】
第2突出部30からアレイ基板11Bの第2主面11B2に沿って延出する第2延出部31は、第2主面11B2との間に、第1突出部28から対向基板11Aの第1主面11A1に沿って延出する第1延出部29を挟むよう配される。このようにすれば、仮に対向基板11Aとアレイ基板11Bとが離れる向きに相対変位させられようとした場合でも、第1延出部29及び第2延出部31が互いに引っ掛かり合うことで、対向基板11Aとアレイ基板11Bとが離れる向きに相対変位し難くなる。これにより、対向基板11Aとアレイ基板11Bとの間の間隔が一定以上にならないよう保つ上で好適となる。
【0043】
また、対向基板11Aとアレイ基板11Bとの間に挟持されて液晶材料からなる液晶層11Cを備える。例えば、第1主面11A1及び第2主面11B2が鉛直方向に沿うよう配置されると、液晶層11Cを構成する液晶材料が鉛直方向の下側に溜まるため、対向基板11A及びアレイ基板11Bには、互いに離れる向きの応力が作用し得る。その点、第1延出部29及び第2延出部31が互いに引っ掛かり合うことで、対向基板11Aとアレイ基板11Bとが離れる向きに相対変位し難くなっているので、液晶層11Cの厚みが局所的に大きくなる事態が生じ難くなる。
【0044】
また、複数の画素PXと、隣り合う画素PXの間に配されて光を遮る遮光部21と、を備えており、第1突出部28、第1延出部29、第2突出部30及び第2延出部31は、遮光部21と重畳して配される。隣り合う画素PXの間を行き交おうとする光が遮光部21によって遮られることで、画素PX間に混色が生じ難くなる。第1突出部28、第1延出部29、第2突出部30及び第2延出部31が、遮光部21と重畳して配されることで、第1突出部28、第1延出部29、第2突出部30及び第2延出部31が外部から視認され難くなる。これにより、表示品位を良好に保つことができる。
【0045】
また、対向基板11Aには、第1主面11A1から第2主面11B2側に向けて突出するスペーサ23が設けられ、アレイ基板11Bには、第2主面11B2から第1主面11A1側に向けて突出してスペーサ23と対向して配されるバンプ27が設けられ、第1突出部28及び第1延出部29は、スペーサ23と同じ材料からなり、第2突出部30及び第2延出部31は、バンプ27と同じ材料からなる。互いに対向して配されるスペーサ23及びバンプ27によって対向基板11Aとアレイ基板11Bとの間の間隔が一定以下にならないよう保つことができる。第1突出部28及び第1延出部29が、スペーサ23と同じ材料からなるので、製造に際して対向基板11Aにスペーサ23を設ける工程において第1突出部28及び第1延出部29を設けることができる。第2突出部30及び第2延出部31が、バンプ27と同じ材料からなるので、製造に際してアレイ基板11Bにバンプ27を設ける工程において第2突出部30及び第2延出部31を設けることができる。
【0046】
また、本実施形態に係る液晶パネル11の製造方法は、対向基板11Aの第1主面11A1から突出する第1突出部28と、第1突出部28から第1主面11A1に沿って延出していて第1主面11A1との間に間隔を空けて配される第1延出部29と、を設け、アレイ基板11Bの第2主面11B2から突出する第2突出部30と、第2突出部30から第2主面11B2に沿って延出していて第2主面11B2との間に間隔を空けて配される第2延出部31と、を設け、第1主面11A1と第2主面11B2とが対向していて、第1突出部28及び第1延出部29と第2突出部30及び第2延出部31とが非重畳になるよう、対向基板11Aとアレイ基板11Bとを配し、対向基板11Aとアレイ基板11Bとの間の間隔を調整し、第1延出部29を第2主面11B2と第2延出部31との間に位置させ、対向基板11Aとアレイ基板11Bとを第1主面11A1及び第2主面11B2に沿う方向にスライドさせ、第2延出部31と第2主面11B2との間に第1延出部29を挟ませる。第1突出部28及び第1延出部29が設けられた対向基板11Aと、第2突出部30及び第2延出部31が設けられたアレイ基板11Bと、を貼り合わせる際には、まず、第1主面11A1と第2主面11B2とを対向させるとともに、第1突出部28及び第1延出部29と第2突出部30及び第2延出部31とを非重畳になるよう、対向基板11Aとアレイ基板11Bとを配する。対向基板11Aとアレイ基板11Bとの間の間隔を調整することで、第1延出部29を第2主面11B2と第2延出部31との間に位置させる。それから、対向基板11Aとアレイ基板11Bとを第1主面11A1及び第2主面11B2に沿う方向にスライドさせることで、第2延出部31と第2主面11B2との間に第1延出部29を挟ませる。このようにして製造された液晶パネル11によれば、仮に対向基板11Aとアレイ基板11Bとが離れる向きに相対変位させられようとした場合でも、第1延出部29及び第2延出部31が互いに引っ掛かり合うことで、対向基板11Aとアレイ基板11Bとが離れる向きに相対変位し難くなる。これにより、対向基板11Aとアレイ基板11Bとの間の間隔が一定以上にならないよう保つ上で好適となる。
【0047】
また、対向基板11Aに第1突出部28及び第1延出部29を設けるにあたっては、対向基板11Aの第1主面11A1上に第1金属膜(第1膜)F1を成膜し、第1金属膜F1をパターニングして第1台座部32を設け、第1金属膜F1の上層側に第1絶縁膜(第2膜)F2を成膜し、第1絶縁膜F2をパターニングして第1突出部28と第1台座部32の上層側に重なる第1延出部29とを設け、第1台座部32をエッチングして除去し、アレイ基板11Bに第2突出部30及び第2延出部31を設けるにあたっては、アレイ基板11Bの第2主面11B2上に第2金属膜(第3膜)F3を成膜し、第2金属膜F3をパターニングして第2台座部33を設け、第2金属膜F3の上層側に第2絶縁膜(第4膜)F4を成膜し、第2絶縁膜F4をパターニングして第2突出部30と第2台座部33の上層側に重なる第2延出部31とを設け、第2台座部33をエッチングして除去する。対向基板11Aの第1主面11A1上に成膜された第1金属膜F1をパターニングすると、第1台座部32が設けられる。第1金属膜F1の上層側に成膜された第1絶縁膜F2をパターニングすると、第1突出部28及び第1延出部29が設けられる。第1延出部29は、第1台座部32の上層側に重なっている。第1台座部32をエッチングして除去すると、第1主面11A1と第1延出部29とが互いに対向するとともに、第1主面11A1と第1延出部29との間に第1台座部32の分の間隔が空けられる。アレイ基板11Bの第2主面11B2上に成膜された第2金属膜F3をパターニングすると、第2台座部33が設けられる。第2金属膜F3の上層側に成膜された第2絶縁膜F4をパターニングすると、第2突出部30及び第2延出部31が設けられる。第2延出部31は、第2台座部33の上層側に重なっている。第2台座部33をエッチングして除去すると、第2主面11B2と第2延出部31とが互いに対向するとともに第2主面11B2と第2延出部31との間に第2台座部33の分の間隔が空けられる。このようにして第1延出部29及び第2延出部31を設けることで、第1主面11A1と第1延出部29との間の間隔と、第2主面11B2と第2延出部31との間の間隔と、の各寸法精度を向上させることができる。
【0048】
<実施形態2>
実施形態2を
図16によって説明する。この実施形態2では、第1突出部128、第1延出部129、第2突出部130及び第2延出部131の配置を変更した場合を示す。なお、上記した実施形態1と同様の構造、作用及び効果について重複する説明は省略する。
【0049】
本実施形態に係る第1突出部128、第1延出部129、第2突出部130及び第2延出部131は、
図16に示すように、非表示領域NAAにおいて封止部111Dと重畳して配される。具体的には、第1突出部128、第1延出部129、第2突出部130及び第2延出部131は、平面形状が枠状とされる封止部111Dのうち、X軸方向に沿って延在する部分と、Y軸方向に沿って延在する部分と、にそれぞれ重畳するよう複数ずつ設けられている。このように、第1突出部128、第1延出部129、第2突出部130及び第2延出部131が、封止部111Dと重畳して配されることで、対向基板111A及びアレイ基板111Bに対する封止部111Dの接着強度を向上させることができる。
【0050】
以上説明したように本実施形態によれば、対向基板111Aとアレイ基板111Bとの間に介在し、液晶層11Cを取り囲んでいて液晶層11Cを封止する封止部111Dを備えており、第1突出部128、第1延出部129、第2突出部130及び第2延出部131は、封止部111Dと重畳して配される。封止部111Dによって液晶層11Cが封止されることで、液晶材料の漏れ出しが防がれる。第1突出部128、第1延出部129、第2突出部130及び第2延出部131が、封止部111Dと重畳して配されることで、対向基板111A及びアレイ基板111Bに対する封止部111Dの接着強度を向上させることができる。
【0051】
<他の実施形態>
本明細書が開示する技術は、上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されず、例えば次のような実施形態も技術的範囲に含まれる。
【0052】
(1)液晶パネル11の製造方法に含まれる第13工程では、第1延出部29,129と第2延出部31,131とが、第1主面11A1及び第2主面11B2に沿う方向であって第1延出部29,129及び第2延出部31,131の延出方向と直交する方向であるX軸方向について所定の間隔を空けて隣り合う配置とし、対向基板11A,111Aとアレイ基板11B,111BとをX軸方向にスライドさせてもよい。
【0053】
(2)第1延出部29,129及び第2延出部31,131は、X軸方向に沿って延出するよう設けられてもよい。
【0054】
(3)第1突出部28,128、第1延出部29,129、第2突出部30,130及び第2延出部31,131は、表示領域AAにおいて平面に視て格子状をなす遮光部21のうち、X軸方向に沿って延在する部分に対して重畳して配されてもよい。この場合、第1突出部28,128、第1延出部29,129、第2突出部30,130及び第2延出部31,131は、Y軸方向について隣り合う画素PXの間に配されている。
【0055】
(4)実施形態1に記載された液晶パネル11に、実施形態2に記載された構成(封止部111Dに対して重畳配置された第1突出部128、第1延出部129、第2突出部130及び第2延出部131)を組み合わせてもよい。
【0056】
(5)表示領域AAにおいて遮光部21は、Y軸方向に沿って延在するストライプ状をなしていてもよい。
【0057】
(6)第1突出部28,128、第1延出部29,129、第2突出部30,130及び第2延出部31,131の各寸法に係る具体的な数値は、適宜に変更可能である。また、液晶層11Cの厚みに関する具体的な数値等も適宜に変更可能である。
【0058】
(7)画素電極18が層間絶縁膜26に対して下層側に位置し、共通電極25が層間絶縁膜26に対して上層側に位置してもよい。その場合、共通電極25に配向制御のためのスリットを形成するのが好ましい。
【0059】
(8)液晶パネル11の平面形状は、横長の長方形、正方形、円形、半円形、長円形、楕円形、台形などであってもよい。
【0060】
(9)液晶パネル11は、透過型以外にも半透過型や反射型であってもよい。
【0061】
(10)液晶パネル11の表示モードは、FFSモード以外にもVAモード、IPSモード等でもよい。
【0062】
(11)液晶パネル11以外のデバイスでもよい。液晶パネル11以外のデバイスとしては、例えば屋内光発電デバイスが挙げられる。屋内光発電デバイスは、互いに対向する第1基板と第2基板との間に、色素と電解液を挟持させて封止部によって封止した構成とされる。屋内光発電デバイスは、色素増感太陽電池を有する。
【符号の説明】
【0063】
11…液晶パネル(デバイス)、11A,111A…対向基板(第1基板)、11A1…第1主面、11B,111B…アレイ基板(第2基板)、11B2…第2主面、11C…液晶層、11D,111D…封止部、21…遮光部、23…スペーサ、27…バンプ、28,128…第1突出部、29,129…第1延出部、30,130…第2突出部、31,131…第2延出部、32…第1台座部、33…第2台座部、F1…第1金属膜(第1膜)、F2…第1絶縁膜(第2膜)、F3…第2金属膜(第3膜)、F4…第2絶縁膜(第4膜)、PX…画素