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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024158161
(43)【公開日】2024-11-08
(54)【発明の名称】構造壁、家屋及びサウナ室
(51)【国際特許分類】
   E04B 2/56 20060101AFI20241031BHJP
   E04H 1/12 20060101ALI20241031BHJP
   E04H 9/14 20060101ALI20241031BHJP
   E04C 2/20 20060101ALI20241031BHJP
【FI】
E04B2/56 621A
E04H1/12 301
E04H1/12 304
E04H9/14 B
E04B2/56 621L
E04B2/56 621N
E04C2/20 K
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023073123
(22)【出願日】2023-04-27
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 施工実績一覧 施工日 令和5年3月1日~令和5年3月8日 物件名 河口湖畔展示場 山梨県南都留郡富士河口湖町長浜1911 他 2カ所 別紙1の通り
(71)【出願人】
【識別番号】518282185
【氏名又は名称】松岡 洋良
(74)【代理人】
【識別番号】100076473
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 昭夫
(74)【代理人】
【識別番号】100188765
【弁理士】
【氏名又は名称】赤座 泰輔
(74)【代理人】
【識別番号】100112900
【弁理士】
【氏名又は名称】江間 路子
(74)【代理人】
【識別番号】100163164
【弁理士】
【氏名又は名称】安藤 敏之
(72)【発明者】
【氏名】松岡 洋良
【テーマコード(参考)】
2E002
2E025
2E139
2E162
【Fターム(参考)】
2E002EA01
2E002EA02
2E002EB15
2E002FB10
2E002GA04
2E002GA06
2E002MA31
2E025BA03
2E025BB05
2E025BB07
2E025BC01
2E139AA01
2E139AA07
2E139AB24
2E139AB25
2E162CD03
(57)【要約】
【課題】簡便に設置することができる構造壁を提供すること。
【解決手段】構造壁1は、家屋の内部を外部から区切る仕切りとして配置される複数の軽量パネル10を躯体とし、軽量パネル10と、仕切りにおける隣に配置される軽量パネル10と、が接合される。軽量パネル10は、接合する突合せ面11のそれぞれに、突合せ面11に沿った嵌合部12が備えられ、嵌合部12を嵌合させた接合部16に、2つの軽量パネル10を接合する接合材20が充填される。軽量パネルは、内側の側面に、内側被覆層21が形成され、構造壁1としての軽量パネル10に耐久性が付与される。構造壁1は、軽量パネル10が接する接合部16に接合材20が充填され、軽量パネル10の内部側に内側被覆層21が設けられることによって形成される。このため、実施形態に係る構造壁1は、簡便に設置することができる。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
家屋の内部を外部から区切る仕切りとして配置される構造壁であって、
複数の軽量パネルを躯体とし、
該軽量パネルと、該家屋の該仕切りにおける隣に配置される該軽量パネルと、が接合され、
2つの該軽量パネルの接合する突合せ面のそれぞれに、該突合せ面に沿った嵌合部が設けられ、
2つの該軽量パネルの該突合せ面を突き合わせて該嵌合部を嵌合させた接合部が、2つの該軽量パネルを接合する接合材によって接合され、
該家屋の該内部側となる該軽量パネルの側面に、内側被覆層が形成されることを特徴とする構造壁。
【請求項2】
前記家屋の外部側となる前記軽量パネルの側面に、外側被覆層が形成されることを特徴とする請求項1に記載の構造壁。
【請求項3】
前記内側被覆層及び前記外側被覆層の伸び率(ASTM D-412)がそれぞれ100%以上であることを特徴とする請求項2に記載の構造壁。
【請求項4】
前記仕切りが請求項2又は3に記載の構造壁であることを特徴とする家屋。
【請求項5】
請求項4に記載の家屋がサウナ室であって、
前記内部に、該内部を加温するヒータを備え、前記内側被覆層の表面に、内装保護層が設けられることを特徴とするサウナ室。
【請求項6】
前記外側被覆層の表面に、外装保護層が設けられることを特徴とする請求項5に記載のサウナ室。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書の技術分野は、簡便に設置することができる構造壁、この構造壁から形成される家屋、及び、家屋としてのサウナ室に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、構造壁が使用された家屋として、特許文献1には、複数の発泡体パネルが締結部を介して連結されて形成されるハウスが記載されている。また、特許文献2には、室内板と側面板とその間の発泡樹脂層とで構成された側面パネルが連結されて形成されるサウナ室が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2018-123493号公報
【特許文献2】実用新案登録第3233199号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の構造壁は、締結部、室内板及び側面板に金属部材や木材が使用され、全体が重量物で構成されているため、簡便に設置することができないという課題があった。
【0005】
本明細書の技術が解決しようとする課題は、上述の点に鑑みてなされたものであり、簡便に設置することができる、構造壁を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書の実施形態に係る構造壁は、家屋の内部を外部から区切る仕切りとして配置される構造壁であって、
複数の軽量パネルを躯体とし、
該軽量パネルと、該家屋の該仕切りにおける隣に配置される該軽量パネルと、が接合され、
2つの該軽量パネルの接合する突合せ面のそれぞれに、該突合せ面に沿った嵌合部が設けられ、
2つの該軽量パネルの該突合せ面を突き合わせて該嵌合部を嵌合させた接合部が、2つの該軽量パネルを接合する接合材によって接合され、
該家屋の該内部側となる該軽量パネルの側面に、内側被覆層が形成されることを特徴とする。
【0007】
本明細書の実施形態に係る構造壁によれば、家屋の内部を外部から区切る仕切りとして配置される複数の軽量パネルを躯体とし、軽量パネルと隣に配置される軽量パネルとの突合せ面を突き合わせて嵌合部を嵌合させた接合部が、接合材によって接合され、家屋の構造壁が形成される。また、構造壁は、家屋の内部側となる軽量パネルの側面に内側被覆層が形成され、構造壁としての軽量パネルに耐久性が付与される。構造壁は、軽量パネルの接する接合部が接合材によって接合され、軽量パネルの内部側に内側被覆層が形成される。このため、実施形態に係る構造壁は、簡便に設置することができる。
【0008】
ここで、上記構造壁において、前記家屋の外部側となる前記軽量パネルの側面に、外側被覆層が形成される構成とすることができる。
【0009】
これによれば、構造壁は、家屋の外部側となる軽量パネルの側面に、外側被覆層が形成されるため、構造壁としての軽量パネルに外側から耐久性を付与することができる。
【0010】
また、上記構造壁において、前記内側被覆層及び前記外側被覆層の伸び率(ASTM D-412)がそれぞれ100%以上であるものとすることができる。
【0011】
これによれば、内側被覆層と外側被覆層は、構造壁としての軽量パネルの熱膨張や外的要因の振動などによる変形に追従することができるため、構造壁の耐久性をより高めることができる。
【0012】
ここで、実施形態に係る家屋は、前記仕切りが上記の構造壁であるものとすることができる。
【0013】
これによれば、実施形態の家屋は、耐久性が高められたものとすることができる。
【0014】
また、実施形態に係るサウナ室は、上記の家屋がサウナ室であって、
前記内部に、該内部を加温するヒータを備え、前記内側被覆層の表面に、内装保護層が設けられる構成とすることができる。
【0015】
これによれば、実施形態のサウナ室は、内装保護層によって、内側被覆層の耐熱性を向上させることができる。
【0016】
また、上記サウナ室において、前記外側被覆層の表面に、外装保護層が設けられる構成とすることができる。
【0017】
これによれば、外装保護層によって、サウナ室は、保温性が高められるものとすることができる。
【発明の効果】
【0018】
本明細書の構造壁によれば、簡便に設置することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】第1実施形態の構造壁を備える家屋としてのサウナ室の側面図である。
図2】同サウナ室の正面図である。
図3図1のIII-III線断面図である。
図4】床面パネルと側面パネルとの接合部の拡大図(A)、上側面パネルと天面パネルとの接合部の拡大図(B)である。
図5】第2実施形態の構造壁を備える家屋としてのボックス型店舗の正面図(A)、側面図(B)である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本明細書の実施形態に係る、構造壁1と構造壁1を備える家屋について説明する。実施形態の構造壁1は、家屋の内部を外部から区切る仕切りとして配置される構造体としての壁に使用される。実施形態の家屋は、屋外、屋内、車両の荷台、船舶の甲板などに設置され、蒸気、熱気浴を行なうサウナ室100、飲食物や物品を販売するボックス型店舗100A、震災時等に避難するシェルタ、震災等の後の仮住まいとなる仮設住宅、などとして使用することができるものである。なお、実施形態における家屋とは、一室からなる、室、小屋又は家屋をいう。実施形態では、第1実施形態として、蒸気、熱気浴を行なうサウナ室100を、第2実施形態として、飲食物や物品を販売するボックス型店舗100Aを、例にして説明する。
【0021】
(第1実施形態)
第1実施形態の構造壁1を備える家屋としてのサウナ室100は、図1図3に示すように、躯体が円筒形状をなし、円筒形状の軸方向を横向きに配置され、側面が円筒形状の周方向に一周する連続した構造壁1からなる周壁110で形成され、前後の面が構造壁1からなる前壁120と後壁130とで閉塞されている。前壁120には、人の出入口となる開き戸101が設けられ、周壁110には、陽光を取り入れる採光窓102が設けられている。ここでサウナ室100の向きは、図1及び図2に示すように、サウナ室100が設置された状態で、円筒形状の軸方向を前後方向とし、開き戸101が設けられた面(前壁120)側が前、上下左右は、サウナ室100を前側から見た際の上下左右とし、図示で使用する、Fは前、Bは後、Uは上、Dは下、Lは左、Rは右を示す。また、サウナ室100の構造壁1を基準として、内(側)又は外(側)と表現することがあり、円筒形状のサウナ室100の円周の方向(時計回り方向など)は、サウナ室100を前側から見た際の方向とする。
【0022】
図1に示すように、サウナ室100の内部を外部から区切る仕切りとして配置される構造壁1は、前後方向を軸方向とする円筒状の周壁110と、周壁110で囲まれた前後の面をそれぞれ覆う前壁120及び後壁130と、から構成される。
【0023】
図2及び図3に示すように、周壁110は、上下左右方向の外周に沿って、断面円弧状の略矩形状の軽量パネル10が長辺を前後方向に短辺を周方向に並べられ、サウナ室100の内部を外部から区切る仕切りとして配置される構造壁1として、円筒状に形成されている。
【0024】
構造壁1として周壁110を構成する軽量パネル10には、配置される位置の違いと突合せ面11に設けられる嵌合部12の形状の違いから、周壁110の下側に配置される床面パネル111、側面に配置される側面パネル112、上側に配置される天面パネル113、天面パネル113の左右のそれぞれに配置される上側面パネル114、が使用される。
【0025】
床面パネル111は、周壁110の下側に配置され、左右の両端部の突合せ面11に、それぞれ、前後方向に沿って、嵌合部12として、断面矩形状に切り欠かれた切欠凹部13が形成される。
【0026】
側面パネル112は、周壁110の左右の側面側に配置され、下側の端部の突合せ面11に、嵌合部12として、断面の中心が突出した突出凸部14が形成され、突出凸部14は下側に配置されるパネル(床面パネル111又は側面パネル112)の切欠凹部13に嵌入する。上側の端部の突合せ面11には、嵌合部12として、断面矩形状に切り欠かれた切欠凹部13が形成される。
【0027】
天面パネル113は、周壁110の上側に配置され、左右の両端部の突合せ面11に、それぞれ、前後方向に沿って、嵌合部12として、周壁110の内部側が切り欠かれた合欠部15が形成される。
【0028】
上側面パネル114は、天面パネル113の左右のそれぞれに配置され、下側の端部の突合せ面11に、嵌合部12として、突出凸部14が形成され、突出凸部14は側面パネル112の切欠凹部13に嵌入する。上側の端部の突合せ面11には、嵌合部12として、周壁110の外部側が切り欠かれた合欠部15が形成され、合欠部15は天面パネル113の合欠部15と嵌合する。
【0029】
図2及び図3に示すように、床面パネル111は、円筒状の周壁110の最下部に配置され、床面パネル111の左右のそれぞれに、側面パネル112が円筒の円周上に配置され、床面パネル111の左右の両端部の切欠凹部13に、側面パネル112の突出凸部14が嵌入する。
【0030】
側面パネル112は、円筒の円周上に配置され、下側の端部が床面パネル111又は床面パネル111に接合した側面パネル112に接合し、周壁110の大きさに応じて側面パネル112が積み重ねられ、側面パネル112の突出凸部14が床面パネル111又は側面パネル112の切欠凹部13に嵌入する。
【0031】
上側面パネル114は、円筒の円周上の上側の左右のそれぞれに配置され、下側の端部が側面パネル112に接合し、上側面パネル114の下側の突出凸部14が側面パネル112の切欠凹部13に嵌入する。左右のそれぞれに配置された上側面パネル114の上側は、それぞれ外側が切り欠かれた合欠部15が配置される。
【0032】
天面パネル113は、左右の両端部の内側が切り欠かれた合欠部15が左右に配置された上側面パネル114の外側が切り欠かれた合欠部15と嵌合する。これにより、円周が閉塞され、円筒状の周壁110が形成される。
【0033】
図1に示すように、円筒状の周壁110の前後は、周壁110の内周の形状に形成された軽量パネル10からなる前壁120と後壁130とが嵌入されることによって閉塞され、サウナ室100の内部を外部から区切る仕切りとしての構造壁1が形成される。図1図3に示すように、円筒状のサウナ室100は、安定して設置することができるように、周壁110の形状に適合した台座106の上に配置され、屋外などに設置される。
【0034】
軽量パネル10には、ビーズ発泡により成形が容易なポリスチレン発泡体(EPS( expandable polystyrene beads ))を使用することができ、厚みが150~500mm、嵩比重が17~33kg/m3、発泡倍率が30~60倍であるものを使用することができる。軽量パネル10は、カッターナイフなどで容易に切断することができるため、突合せ面11に嵌合部12(切欠凹部13、突出凸部14、合欠部15)を容易に形成することができるとともに、軽量パネル10の大きさの調整を容易に行うことができる。このため、家屋としてのサウナ室100は、その大きさを自由に設定することができる。
【0035】
軽量パネル10としてのEPSは、サウナ室100の内部を外部から区切る仕切りとして配置される構造壁1に使用された際に、金属部材などの補強材を要することなく、構造壁1(サウナ室100)を自立させることができるものである。このため、EPSから形成されたサウナ室100は、軽量なものとなり、設置が容易であるとともに、移動させることも容易なものである。また、軽量パネル10としてのEPSは、可塑性を有しているため、サウナ室100内の利用者が頭部などを構造壁1にぶつけた際に、可塑性により頭部などへの衝撃が軽減され、頭部などが保護されるものである。
【0036】
軽量パネル10の嵌合部12の突出凸部14と切欠凹部13の接合部16と、内側が切り欠かれた合欠部15と外側が切り欠かれた合欠部15の接合部16と、周壁110に前壁120又は後壁130が嵌入した嵌入部17は、接合材20としてのコーキング材によって、それぞれ接着される。
【0037】
接合材20としてのコーキング材は、周壁110を形成する軽量パネル10同士の接合部16と、周壁110と前壁120又は後壁130との嵌入部17と、をそれぞれ接着させる材料である。コーキング材は、その組成として、湿気硬化型のシリコーンコーキング材、ウレタンコーキング材、乾燥硬化型のアクリルコーキング材、ブチルゴムコーキング材などを使用することができる。別の実施形態として、硬化の際の収縮が少ない湿気硬化型のコーキング材を使用することができ、さらに別の実施形態として、シリコーンコーキング材を使用することができる。
【0038】
接合材20としてのコーキング材は、軽量パネル10同士が当接する接合部16と、周壁110と前壁120又は後壁130との嵌入部17に、家屋としてのサウナ室100の内側と外側から、しごき塗りによって補充することができる。これにより、軽量パネル10の接合部16と嵌入部17は、隙間なく、接合材20としてのコーキング材が充填されるため、接合部16と嵌入部17の接着性を高めることができる。なお、しごき塗りとは、接合部16に、接合材20としてのコーキング材を左官鏝で擦り付けるように押し込めて、薄く平滑に塗る方法である。
【0039】
家屋としてのサウナ室100の内部側となる軽量パネル10の内側面には、耐久性を付与する内側被覆層21を形成するレジン(樹脂)が塗布され、レジンから形成された内側被覆層21の表面には、内装保護層22を形成する内装上塗材が塗布される。また、サウナ室100の外側となる軽量パネル10の外側面には、耐久性を付与する外側被覆層26を形成するレジン(樹脂)が塗布され、レジンから形成された外側被覆層26の表面には、外装保護層27を形成する外装上塗材が塗布される。
【0040】
内側被覆層21と外側被覆層26は、同じ種類のレジン(樹脂)からなり、サウナ室100の内側と外側に形成され、サウナ室100に耐久性を付与するものであり、伸び率(ASTM D-412)が100~1000%となる樹脂を使用することができる。伸び率が100~1000%であることにより、内側被覆層21と外側被覆層26は、サウナ室100の熱膨張や外的要因の振動などによる変形に追従することができ、家屋の耐久性を確保することができる。内側被覆層21と外側被覆層26の伸び率が100%未満である場合には、サウナ室100の変形に追従することができず、内側被覆層21と外側被覆層26にクラックが生じ、耐久性を確保することができないおそれがある。一方、内側被覆層21と外側被覆層26の伸び率が1000%を超える場合には、耐久性を確保することはできるものの、内側被覆層21と外側被覆層26が可とう性を有して柔らかくなり、べたつき感が生じ、汚れが付着しやすくなるとともに、サウナ室100の利用者に不快感を与えるおそれがある。別の実施形態として、内側被覆層21と外側被覆層26の伸び率は、150~800%であり、さらに別の実施形態として、伸び率は、200~600%である。
【0041】
内側被覆層21と外側被覆層26を形成する樹脂として、ウレア樹脂、ウレタン樹脂、シリコーン樹脂、アクリル樹脂など、汎用の樹脂を用いることができる。別の実施形態として、瞬時に硬化させることができる、ウレア樹脂、ウレタン樹脂を用いることができ、さらに別の実施形態として、加水分解をし難い、ウレア樹脂を使用することができる。ウレア樹脂(ポリウレア)は、イソシアネート成分とアミン成分を吹付ガン先で混合させることにより生成する樹脂である。ウレタン樹脂(ポリウレタン)は、イソシアネート成分とポリオール成分を吹付ガン先で混合させることにより生成する樹脂である。また、内側被覆層21と外側被覆層26を形成する樹脂として、ウレア樹脂とウレタン樹脂の混合物を使用することもできる。なお、内側被覆層21と外側被覆層26を形成する樹脂は、顔料や着色骨材によって着色されたものを使用することもできる。
【0042】
内側被覆層21と外側被覆層26の塗布量は、それぞれ0.5~5kg/m2(膜厚:約0.5~5mm)とすることができる。十分な耐久性を発揮することができるためである。内側被覆層21と外側被覆層26の塗布量が0.5kg/m2未満である場合には、膜厚が薄く、外的要因により衝撃を受けた際に、内側被覆層21と外側被覆層26に割れや剥がれが生じ、耐久性が保たれないおそれがある。一方、内側被覆層21と外側被覆層26の塗布量が5kg/m2を超える場合には、耐久性は確保されるものの、過剰な膜厚となり、不経済となるおそれがある。別の実施形態として、内側被覆層21と外側被覆層26の塗布量は、それぞれ1~4kg/m2(膜厚:約1~4mm)とすることができ、さらに別の実施形態として、2~3kg/m2(膜厚:約2~3mm)とすることができる。
【0043】
なお、実施形態における「塗布量」、及び、樹脂や上塗材の配合量や配合比を表す際の「質量部(%)」は、特に断らない限り、揮発分を除いた「不揮発分の塗布量」、「不揮発分の質量部(%)」を意味する。
【0044】
内装保護層22は、内側被覆層21の耐熱性を向上させるために塗布されるものである。内装保護層22を形成する内装上塗材は、家屋としてのサウナ室100の内側に塗られるため、耐熱性に優れる汎用のエマルション塗料を使用することができる。内装保護層22を形成する内装上塗材の樹脂エマルションは、その樹脂組成により、酢酸ビニル系エマルション、エチレン酢酸ビニル系エマルション、アクリル系エマルション、アクリルスチレン系エマルション、アクリルシリコン系エマルション、アクリルウレタン系エマルションなどを使用することができる。別の実施形態として、耐熱性に優れる、アクリル系エマルション、アクリルスチレン系エマルション、アクリルシリコン系エマルション、アクリルウレタン系エマルションを使用することができる。さらに別の実施形態として、耐熱性に加え耐水性に優れる、アクリル系エマルション、アクリルシリコン系エマルション、アクリルウレタン系エマルションを使用することができる。
【0045】
内装保護層22を形成する内装上塗材は、金属系顔料を含有させることができる。金属系顔料は、遮熱性に優れ、サウナ室100の熱を反射するため、内側被覆層21の耐熱性をより向上させることができる。金属系顔料として、酸窒化チタン粉末、チタン-マンガン複合酸化物粉末、二酸化チタン粉末、アルミニウム粉末などを使用することができる。
【0046】
金属系顔料は、内装保護層22を形成する内装上塗材に、1~50質量%含有させることができる。内装保護層22に遮熱性を保持させ、内側被覆層21の耐熱性を向上させることができるためである。金属系顔料の含有量が1質量%未満である場合には、内装保護層22に十分な遮熱性を保持させることができないおそれがある。一方、金属系顔料の含有量が50質量%を超える場合には、相対的に樹脂成分が少なくなり、内側被覆層21の動きに追従できずに割れや剥がれが生じるおそれがある。別の実施形態として、金属系顔料は、内装保護層22を形成する内装上塗材に、3~25質量%含有させることができ、さらに別の実施形態として、5~15質量%含有させることができる。
【0047】
内装保護層22の塗布量は、0.05~0.5kg/m2(膜厚:約0.05~0.5mm)とすることができる。十分な耐熱性を発揮することができるためである。内装保護層22の塗布量が0.05kg/m2未満である場合には、内装保護層22の膜厚が薄く、内側被覆層21の動きに追従できずに割れや剥がれが生じるおそれがある。一方、内装保護層22の塗布量が0.5kg/m2を超える場合には、耐熱性は確保されるものの、過剰な膜厚となり、不経済となるおそれがある。別の実施形態として、内装保護層22の塗布量は、0.06~0.2kg/m2(膜厚:約0.06~0.2mm)とすることができ、さらに別の実施形態として、0.07~0.1kg/m2(膜厚:約0.07~0.1mm)とすることができる。
【0048】
軽量パネル10の内側面形成された内側被覆層21と内装保護層22は、可撓性を有するものである。このため、軽量パネル10を躯体とするサウナ室100に、利用者が頭部などを内側被覆層21と内装保護層22が形成された軽量パネル10(構造壁1)にぶつけた際には、可撓性により頭部などへの衝撃が軽減され、頭部などが保護されるものである。
【0049】
外装保護層27は、外側被覆層26の耐候性を向上させるため、サウナ室100の保温性を向上させるに塗布されるものである。また、外装保護層27は、サウナ室100の外観に意匠性を付与するものでもある。このため、外装保護層27は、充填材(骨材)が30~50質量%含有されるものである。
【0050】
外装保護層27を形成する外装上塗材は、家屋としてのサウナ室100の外側に塗られるため、耐候性に優れる汎用のエマルション塗料を使用することができる。外装保護層27を形成する上塗材の樹脂エマルションは、その樹脂組成により、酢酸ビニル系エマルション、エチレン酢酸ビニル系エマルション、アクリル系エマルション、アクリルスチレン系エマルション、アクリルシリコン系エマルション、アクリルウレタン系エマルションなどを使用することができる。別の実施形態として、耐候性に優れる、アクリル系エマルション、アクリルスチレン系エマルション、アクリルシリコン系エマルション、アクリルウレタン系エマルションを使用することができる。さらに別の実施形態として、耐候性に加え耐水性に優れる、アクリル系エマルション、アクリルシリコン系エマルション、アクリルウレタン系エマルションを使用することができる。
【0051】
外装保護層27を形成する外装上塗材に含有される充填材(骨材)は、炭酸カルシウム、珪砂、ガラスビーズなどが使用される。これら充填材(骨材)は、外装保護層27に意匠性を付与するため、粒子径(d50(累積50vol%径))が0.1~2.0mmであるものが使用される。
【0052】
外装保護層27を形成する外装上塗材は、無機系顔料を含有させることができる。無機系顔料は、太陽光の吸熱性に優れ、サウナ室100の保温性を向上させることができるためである。無機系顔料として、カーボンブラック、鉄黒、黄鉄、ベンガラなどを使用することができる。
【0053】
外装保護層27の塗布量は、0.5~3.0kg/m2(膜厚:約0.5~3.0mm)とすることができる。十分な耐候性と保温性を発揮することができるためである。外装保護層27の塗布量が0.5kg/m2未満である場合には、外装保護層27の膜厚が薄く、内側被覆層21の動きに追従できずに割れや剥がれが生じるおそれがある。一方、外装保護層27の塗布量が3.0kg/m2を超える場合には、耐候性と保温性は確保されるものの、過剰な膜厚となり、不経済となるおそれがある。別の実施形態として、外装保護層27の塗布量は、0.8~2.0kg/m2(膜厚:約0.8~2.0mm)とすることができ、さらに別の実施形態として、1.0~1.5kg/m2(膜厚:約1.0~1.5mm)とすることができる。
【0054】
次に、第1実施形態の構造壁1を用いたサウナ室100の設置方法について説明する。実施形態のサウナ室100の設置方法は、軽量パネル10を接合して円筒状の構造壁1に組み付ける組付工程と、前壁120と後壁130を取り付けるとともに、サウナ室100に開き戸101などの備品を設置する備品設置工程と、サウナ室100の内側面と外側面とに内側被覆層21と外側被覆層26をそれぞれ形成させる被覆層形成工程と、内側被覆層21の表面に内装保護層22を形成させる内装保護層形成工程と、外側被覆層26の表面に外装保護層27を形成させる外装保護層形成工程と、の順に行った。
【0055】
サウナ室100の構造壁1の躯体となる軽量パネル10には、発泡倍率が50倍、嵩比重が20kg/m3、厚みが120mm、前後方向の長さが3,500mm、周方向の長さが600~800mmであるポリスチレン発泡体(EPS)を使用した。
【0056】
床面パネル111となる軽量パネル10には、周方向の左右の両端部の突合せ面11に、それぞれ、前後方向に沿って、嵌合部12として、断面矩形状に切り欠かれた切欠凹部13を形成させた。側面パネル112となる軽量パネル10には、下側の端部の突合せ面11に、嵌合部12として、断面の中心が突出した突出凸部14を形成させ、上側の端部の突合せ面11に、嵌合部12として、断面矩形状に切り欠かれた切欠凹部13を形成した。天面パネル113となる軽量パネル10には、周方向の左右の両端部の突合せ面11に、それぞれ、前後方向に沿って、嵌合部12として、内部側が切り欠かれた合欠部15を形成した。上側面パネル114となる軽量パネル10には、下側の端部の突合せ面11に、嵌合部12として、突出凸部14を形成させ、上側の端部の突合せ面11に、嵌合部12として、外部側が切り欠かれた合欠部15を形成した。
【0057】
組付工程では、円筒形状のサウナ室100の円筒の外周に沿って、軽量パネル10を配置し、軽量パネル10の突合せ面11の接合部16のそれぞれの嵌合部12に、接合材20塗布して、軽量パネル10の突合せ面11同士を接合させながら組み付けた。
【0058】
組付工程の手順は、サウナ室100を配置する配置面に、床面パネル111を設置し、床面パネル111の左右の切欠凹部13に、左右からそれぞれ、側面パネル112の突出凸部14を接合し、左右の側面パネル112の切欠凹部13に、左右からそれぞれ、側面パネル112の突出凸部14を接合して、円筒形状を徐々に形成する。そして、左右の側面パネル112の切欠凹部13に、左右からそれぞれ、上側面パネル114の突出凸部14を接合して、左右の上側面パネル114の向かい合う端部に、嵌合部12としての外部側が切り欠かれた合欠部15がそれぞれ現れる。左右の外部側が切り欠かれた合欠部15をつなげるように、左右の内部側が切り欠かれた合欠部15が形成された天面パネル113が、嵌め込まれることによって、サウナ室100の周壁110は、円周方向に閉塞され、円筒形状が形成される。
【0059】
組付工程では、軽量パネル10の継ぎ目となる突合せ面11の接合部16となる嵌合部12に、シリコーン系のコーキング材からなる接合材20を塗布し、軽量パネル10間を接着させた。また、軽量パネル10の継ぎ目となる突合せ面11には、サウナ室100の内側と外側から、接合材20をしごき塗りによって補充して、接合部16の密着性を高めた。
【0060】
備品設置工程では、サウナ室100の周壁110の、前側に前壁120、後側に後壁130、を取り付け、前壁120に開き戸101、周壁110に採光窓102、を取り付ける工程である。前壁120と後壁130は、周壁110に、シリコーン系のコーキング材からなる接合材20を用いて接着させるとともに、周壁110の外側から前壁120と後壁130に、図示しない固定釘が打ち込まれることによって、取り付けられる。開き戸101は、前壁120に、開き戸101の図示しない外枠を嵌め込むことによって取り付けられ、採光窓102は、周壁110に、採光窓102の図示しない外枠を嵌め込むことによって取り付けられる。開き戸101と採光窓102は、次の被覆層形成工程以降において、レジンなどが付着して汚れるおそれがあるため、内外側ともに、養生テープでマスキングが施される。
【0061】
被覆層形成工程では、家屋としてのサウナ室100の内側と外側となる軽量パネル10の内側面と外側面に、内側被覆層21と外側被覆層26を形成するレジンを塗布する。実施形態では、内側被覆層21と外側被覆層26を形成するレジンに、イソシアネート成分とアミン成分を吹付ガン先で混合させて形成させるウレア樹脂の市販品を使用した。実施形態のウレア樹脂からなる内側被覆層21と外側被覆層26は、伸び率(ASTM D-412)が300%であるものを使用し、塗布量は2.0kg/m2(膜厚:約2.0mm)とした。
【0062】
内装保護層形成工程は、レジンから形成された内側被覆層21の表面に、内装保護層22を形成する内装上塗材を塗布する工程である。実施形態では、内装上塗材は、汎用のアクリル系エマルション塗料(JIS K 5660 つや有り合成樹脂エマルションペイント)を用い、塗布量は、0.08kg/m2(膜厚:約0.08mm)とした。なお、内装上塗材のアクリル系エマルション塗料は、遮熱性により、サウナ室100の熱を反射させるため、二酸化チタン粉末を約10質量%含有させたものである。
【0063】
外装保護層形成工程は、レジンから形成された外側被覆層26の表面に、外装保護層27を形成する上塗材を塗布する工程である。実施形態では、外装上塗材は、汎用のアクリル系エマルション塗料(JIS A 6909 外装薄塗材E)を用い、塗布量は、1.2kg/m2(膜厚:約1.2mm)とした。なお、外装上塗材のアクリル系エマルション塗料は、太陽光の熱を吸熱させ、サウナ室100の保温性を向上させるため、カーボンブラックを約3質量%含有させて、黒く着色したものである。
【0064】
サウナ室100は、図3に示すように、内部に、腰掛103、図示しないヒータなどが配置されることにより、蒸気、熱気浴を行なうサウナ室100として機能することができるようになる。
【0065】
本明細書の実施形態に係る構造壁1によれば、家屋の内部を外部から区切る仕切りとして配置される複数の軽量パネル10を躯体とし、軽量パネル10と隣に配置される軽量パネル10との突合せ面11を突き合わせて嵌合部12を嵌合させた接合部16に、接合材20が充填されることによって、家屋の構造壁1を形成することができる。また、構造壁1は、家屋の内部側となる軽量パネル10の側面に内側被覆層21が形成され、構造壁1としての軽量パネル10に耐久性を付与する。構造壁1は、軽量パネル10が接する接合部16に接合材20が充填され、軽量パネル10の内部側に内側被覆層21が設けられることによって形成される。このため、実施形態に係る構造壁1は、簡便に設置することができる。
【0066】
(第2実施形態)
以下、本明細書の第2実施形態の構造壁1を備える家屋としてのボックス型店舗100Aを図5に基づいて説明する。なお、第2実施形態において、第1実施形態と共通する要素については同じ符号を用いてその説明を省略する。
【0067】
第2実施形態のボックス型店舗100Aは、図5に示すように、略箱型形状をなし、側面が筒状の周方向に一周する連続した構造壁1からなる周壁110が形成される。周壁110は、内部を外部から区切る仕切りとして配置される複数の矩形状の軽量パネル10を躯体とし、軽量パネル10と隣に配置される軽量パネル10との突合せ面11を突き合わせて嵌合部12を嵌合させた接合部16に、接合材20が充填されることによって形成される。ボックス型店舗100Aの周壁110で囲まれた前後の面は、構造壁1からなる前壁120と後壁130とで閉塞されている。前壁120には、飲食物や物品を顧客に販売する販売窓107が設けられ、周壁110の右側には、従業員の出入口となる開き戸101が設けられている。ボックス型店舗100Aは、内部で従業員が作業等を行なうため、室温が過渡に上昇しないことが要求され、飲食物を取り扱う際には、内部側に耐水性が要求される。
【0068】
ボックス型店舗100Aの内部側となる軽量パネル10の内側面には、耐久性を付与する内側被覆層21を形成するレジン(樹脂)が塗布され、レジンから形成された内側被覆層21の表面には、内装保護層22Aを形成する内装上塗材が塗布される。また、ボックス型店舗100Aの外側となる軽量パネル10の外側面には、耐久性を付与する外側被覆層26を形成するレジン(樹脂)が塗布され、レジンから形成された外側被覆層26の表面には、外装保護層27Aを形成する外装上塗材が塗布される。
【0069】
内装保護層22Aは、内側被覆層21の耐水性を向上させるために塗布されるものである。内装保護層22Aを形成する内装上塗材は、耐水性に優れる汎用のエマルション塗料を使用することができる。実施形態では、内装保護層22Aを形成する内装上塗材として、つや有り合成樹脂エマルションペイント( JIS K 5660 )を使用した。
【0070】
内装保護層22Aの塗布量は、0.05~0.5kg/m2(膜厚:約0.05~0.5mm)とすることができる。十分な耐水性を発揮することができるためである。内装保護層22Aの塗布量が0.05kg/m2未満である場合には、膜厚が薄く、内側被覆層21の動きに追従できずに割れや剥がれが生じ、耐水性が劣るおそれがある。一方、内装保護層22Aの塗布量が0.5kg/m2を超える場合には、耐水性は確保されるものの、過剰な膜厚となり、不経済となるおそれがある。別の実施形態として、内装保護層22の塗布量は、0.06~0.2kg/m2(膜厚:約0.06~0.2mm)とすることができ、さらに別の実施形態として、0.07~0.1kg/m2(膜厚:約0.07~0.1mm)とすることができる。
【0071】
外装保護層27Aは、外側被覆層26の耐候性を向上させるために塗布されるものである。外装保護層27Aを形成する外装上塗材は、ボックス型店舗100Aの外側に塗られるため、耐候性に優れる汎用のエマルション塗料を使用することができる。実施形態では、外装保護層27Aを形成する外装上塗材に、屋根用高日射反射率塗料( JIS K5675 ) 1種 LG級を使用した。屋根用高日射反射率塗料は、金属系顔料として、チタン-マンガン複合酸化物粉末を含有し、太陽の輻射熱を効果的に反射するため、耐候性が優れるとともに、ボックス型店舗100A内の室温の上昇を抑制することができるものである。また、外装上塗材としての屋根用高日射反射率塗料は、中空フィラを10~30質量%含有するものとすることができ、ボックス型店舗100A内の室温の上昇をより抑制することができるものとなる。
【0072】
外装保護層27Aの塗布量は、0.1~1.0kg/m2(膜厚:約0.1~1.0mm)とすることができる。十分な耐候性を発揮することができるためである。外装保護層27Aの塗布量が0.1kg/m2未満である場合には、膜厚が薄く、内側被覆層21の動きに追従できずに割れや剥がれが生じ、耐候性が劣るおそれがある。一方、外装保護層27Aの塗布量が1.0kg/m2を超える場合には、耐候性は確保されるものの、過剰な膜厚となり、不経済となるおそれがある。別の実施形態として、外装保護層27Aの塗布量は、0.2~0.8kg/m2(膜厚:約0.2~0.8mm)とすることができ、さらに別の実施形態として、0.3~0.5kg/m2(膜厚:約0.3~0.5mm)とすることができる。
【0073】
なお、実施形態の家屋の仕切りとしての構造壁1は、その構成を以下のような形態に変更しても実施することができる。
【0074】
実施形態の構造壁1では、軽量パネル10は、ビーズ発泡により成型が容易なポリスチレン発泡体(EPS)を使用したが、軽量パネル10は、軽量化されたパネルであれば使用することができる。軽量化されたパネルの材質として、高分子発泡体、無機質発泡体を使用することができる。高分子発泡体として、ポリスチレン発泡体、ポリウレタン発泡体、ポリフェノール発泡体、ポリオレフィン発泡体(ポリエチレン発泡体、ポリプロピレン発泡体)などを使用することができる。無機質発泡体として、水酸化アルミニウム系発泡体(タルボセル)、セメント系発泡体(ALC( autoclaved lightweight aerated concrete ))などであっても使用することができる。
【0075】
実施形態の構造壁1では、軽量パネル10は、EPSの発泡倍率が50倍であるものを使用したが、発泡倍率は、30~60倍であれば、軽量パネル10のEPSとして使用することができる。発泡倍率が30倍未満のEPSである場合には、樹脂(ビーズ)を多く要し、不経済となるおそれがある。一方、発泡倍率が60倍を超えるEPSである場合には、強度が弱く、衝撃を受けた際に、塑性変形してしまうおそれがある。別の実施形態として、EPSの発泡倍率は、40~55倍とすることができる。
【0076】
実施形態のサウナ室100の構造壁1の軽量パネル10では、接合させる軽量パネル10同士を接合させ、接合材20としてのコーキング材を用いて軽量パネル10間を閉塞させたが、接合させる軽量パネル10間に隙間がある場合には、軽量パネル10と同じ材質のパネルをその隙間を埋める大きさに加工して、軽量パネル10間を閉塞させることができる。
【0077】
また、以下に、実施形態の構造壁1から把握されるその他の技術的思想について記載する。
【0078】
金属系顔料を含有するつや有り合成樹脂エマルションペイント( JIS K 5660 )から内装保護層が形成され、無機系顔料を含有するアクリル系エマルション塗料(JIS A 6909 外装薄塗材E)から外装保護層が形成される、ことを特徴とするサウナ室。これによれば、サウナ室の保温性を向上させることができる。
【0079】
つや有り合成樹脂エマルションペイント( JIS K 5660 )から内装保護層が形成され、屋根用高日射反射率塗料( JIS K 5675 )から外装保護層が形成される、ことを特徴とするボックス型店舗。これによれば、店舗内の耐水性を高めることができるとともに、店舗内の室温の上昇を抑制することができる。
【符号の説明】
【0080】
1 構造壁
10 軽量パネル
11 突合せ面
12 嵌合部
13 切欠凹部
14 突出凸部
15 合欠部
16 接合部
17 嵌入部
20 接合材
21 内側被覆層
22 内装保護層
22A 内装保護層
26 外側被覆層
27 外装保護層
27A 外装保護層
100 サウナ室
100A ボックス型店舗
101 開き戸
102 採光窓
103 腰掛
107 販売窓
106 台座
110 周壁
111 床面パネル
112 側面パネル
113 天面パネル
114 上側面パネル
120 前壁
130 後壁
図1
図2
図3
図4
図5