(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024158168
(43)【公開日】2024-11-08
(54)【発明の名称】個人サポートシステム
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/10 20120101AFI20241031BHJP
【FI】
G06Q50/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023073135
(22)【出願日】2023-04-27
(71)【出願人】
【識別番号】596151157
【氏名又は名称】松島 如戒
(74)【代理人】
【識別番号】100098729
【弁理士】
【氏名又は名称】重信 和男
(74)【代理人】
【識別番号】100204467
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 好文
(74)【代理人】
【識別番号】100148161
【弁理士】
【氏名又は名称】秋庭 英樹
(74)【代理人】
【識別番号】100195833
【弁理士】
【氏名又は名称】林 道広
(72)【発明者】
【氏名】松島 如戒
【テーマコード(参考)】
5L049
5L050
【Fターム(参考)】
5L049CC11
5L050CC11
(57)【要約】
【課題】ユーザ本人に対して有用なサポート情報を提供することができる個人サポートシステムを提供する。
【解決手段】ユーザが携帯する端末装置3と、端末装置3と通信可能な管理サーバシステム2とを備え、端末装置3は自身の位置情報を取得する位置取得手段3fと音声を入力する音声入力手段3eとを備え、管理サーバシステム2は音声入力手段3eで入力された音声情報に対して受け答え可能な会話機能部6と、端末装置3の位置取得手段3fで取得した位置情報と音声入力手段3eで入力された音声情報とを受信する受信部5と、受信された情報に基づき端末装置3へサポート情報を送信する送信部5と、を備えている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザが携帯する端末装置と、該端末装置と通信可能な管理サーバシステムとを備え、
前記端末装置は、自身の位置情報を取得する位置取得手段と、音声を入力する音声入力手段と、を備え、
前記管理サーバシステムは、前記音声入力手段で入力された音声情報に対して受け答え可能な会話機能部と、前記端末装置の前記位置取得手段で取得した位置情報と前記音声入力手段で入力された音声情報とを受信する受信部と、受信された情報に基づき前記端末装置へサポート情報を送信する送信部と、を備えていることを特徴とする個人サポートシステム。
【請求項2】
前記管理サーバシステムは、前記端末装置から受信した前記音声情報から特定の文言を含む句を抽出する抽出処理を行い、抽出された前記句と前記位置情報との組み合わせにより前記サポート情報を構築する構築処理を行い、構築された前記サポート情報を前記送信部から送信することを特徴とする請求項1に記載の個人サポートシステム。
【請求項3】
前記管理サーバシステムは、前記抽出処理により抽出された前記句が所定数に達した時点で前記構築処理を行うことを特徴とする請求項2に記載の個人サポートシステム。
【請求項4】
前記管理サーバシステムは、前記抽出処理により抽出された複数の前記句と前記位置情報との組み合わせを記憶する記憶部を有しており、
前記端末装置から前記音声情報と前記位置情報とを受信する度に前記記憶部に記憶された組み合わせと照会し、前記抽出処理により抽出された前記句が所定数に達する前に、構築された前記サポート情報を前記送信部から送信することを特徴とする請求項2に記載の個人サポートシステム。
【請求項5】
前記管理サーバシステムは、前記端末装置から受信した前記音声情報から特定の文言を含む句を抽出する抽出処理を行い、抽出された前記句に基づき予め用意された質問を選定する選定処理を行い、選定された前記質問を前記サポート情報として前記送信部から送信することを特徴とする請求項1に記載の個人サポートシステム。
【請求項6】
前記管理サーバシステムには、前記ユーザ毎に緊急連絡先情報が対応付けて記憶されており、前記質問として前記緊急連絡先情報への連絡を問う内容を前記送信部から送信することを特徴とする請求項5に記載の個人サポートシステム。
【請求項7】
前記管理サーバシステムには、前記ユーザ毎に遺言を含む登録情報が対応付けて記憶されており、前記質問として前記登録情報の変更の意思を問う内容を前記送信部から送信することを特徴とする請求項5に記載の個人サポートシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、個人から得られる情報に基づいてサポート情報を出力して生活をサポートする個人サポートシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
個人からの相談に応じて有用な情報を提供する顧客サービスがあるが、近年では省人化の推奨及びICT技術の進歩に伴い、人間に代わって、コンピュータがユーザの要望に応じて様々な情報を提供する、いわゆるバーチャルコンシェルジュのようなサービスがある。例えば、特許文献1には、投資についての情報データを蓄積し、ユーザから予め入力された家族構成、趣味や住所などのライフスタイル情報に基づき、コンピュータが独自の処理によりユーザの好みにあう株式銘柄を選定し、推薦するシステムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014-182701号公報(第6頁、第3図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このように、コンピュータが独自の処理によりユーザに対して提供するサポート情報を選定することで、省人化を図ることができ、かつ時間帯に関わらずサポート情報を提供できることで商業的な機会損失を防止することができる。しかしながら、ユーザが必要とする情報は、ユーザ本人の刹那的な行動や感情によって大きく左右されるものであり、予め入力されたライフスタイル情報では、ユーザ本人の嗜好や感情の変化や日々の行動までを考慮に入れることができず、提供されるサポート情報がユーザ本人にとって真に有用でない虞があった。
【0005】
本発明は、このような問題点に着目してなされたもので、ユーザ本人に対して有用なサポート情報を提供することができる個人サポートシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するために、本発明の個人サポートシステムは、
ユーザが携帯する端末装置と、該端末装置と通信可能な管理サーバシステムとを備え、
前記端末装置は、自身の位置情報を取得する位置取得手段と、音声を入力する音声入力手段と、を備え、
前記管理サーバシステムは、前記音声入力手段で入力された音声情報に対して受け答え可能な会話機能部と、前記端末装置の前記位置取得手段で取得した位置情報と前記音声入力手段で入力された音声情報とを受信する受信部と、受信された情報に基づき前記端末装置へサポート情報を送信する送信部と、を備えていることを特徴としている。
この特徴によれば、管理サーバシステムは、会話機能部によるユーザとの会話から得た音声情報と端末装置の位置情報から、ユーザ本人の要望や生活パターンに関する情報をユーザの意図に関わらずに得ることができ、必要に応じてユーザ本人にとって有用なサポート情報を出力することができる。
【0007】
前記管理サーバシステムは、前記端末装置から受信した前記音声情報から特定の文言を含む句を抽出する抽出処理を行い、抽出された前記句と前記位置情報との組み合わせにより前記サポート情報を構築する構築処理を行い、構築された前記サポート情報を前記送信部から送信することを特徴としている。
この特徴によれば、管理サーバシステムは、抽出処理により抽出された特定の文章と位置情報とを組み合わせて、ユーザ本人の要望や特有の行動習慣に対して適宜有用なサポート情報を構築し、出力することができる。
【0008】
前記管理サーバシステムは、前記抽出処理により抽出された前記句が所定数に達した時点で前記構築処理を行うことを特徴としている。
この特徴によれば、サポート情報の構築処理にかかる時間を短くし、ユーザとの会話中にテンポよくサポート情報の提供を行うことができる。
【0009】
前記管理サーバシステムは、前記抽出処理により抽出された複数の前記句と前記位置情報との組み合わせを記憶する記憶部を有しており、
前記端末装置から前記音声情報と前記位置情報とを受信する度に前記記憶部に記憶された組み合わせと照会し、前記抽出処理により抽出された前記句が所定数に達する前に、構築された前記サポート情報を前記送信部から送信することを特徴としている。
この特徴によれば、句と位置情報との組み合わせが類似する場合には、ユーザ本人の要望や特有の行動習慣から、以前に構築した中に有用なサポート情報があると判断し、抽出処理により抽出された句が所定数に達する前に、予め構築されたサポート情報を速やかに提供することができる。
【0010】
前記管理サーバシステムは、前記端末装置から受信した前記音声情報から特定の文言を含む句を抽出する抽出処理を行い、抽出された前記句に基づき予め用意された質問を選定する選定処理を行い、選定された前記質問を前記サポート情報として前記送信部から送信することを特徴としている。
この特徴によれば、所定の音声情報に対して、これに対応する予め用意された質問を行うことで、ユーザの要望を確実にヒアリングすることができる。
【0011】
前記管理サーバシステムには、前記ユーザ毎に緊急連絡先情報が対応付けて記憶されており、前記質問として前記緊急連絡先情報への連絡を問う内容を前記送信部から送信することを特徴としている。
この特徴によれば、所定の音声情報が解析された場合、緊急連絡先情報への連絡を問うようにすることで、ユーザは緊急時に速やかに緊急連絡先への連絡を行うことができる。
【0012】
前記管理サーバシステムには、前記ユーザ毎に遺言を含む登録情報が対応付けて記憶されており、前記質問として前記登録情報の変更の意思を問う内容を前記送信部から送信することを特徴としている。
この特徴によれば、所定の音声情報が解析されることで遺言を含む登録情報の変更が問われるため、ユーザの望むタイミングで登録情報の変更を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】実施例における個人サポートシステムを示すイメージ図である。
【
図2】個人サポートシステムの機能を示す概念図である。
【
図3】端末装置が備える各種機能部を示す図である。
【
図4】アプリケーションの認証画面を示す図である。
【
図6】(a)は1つの文字データの確認表示が表示されたメイン画面であり、(b)は1つの文字データの確認表示が表示されたメイン画面である。
【
図7】サポート情報がある旨を示す報知表示が表示されたメイン画面である。
【
図8】人工知能サーバが抽出した所定の文章に対して緊急連絡先への連絡を提案するサポート情報が表示されたメイン画面である。
【
図9】人工知能サーバが抽出した所定の文章に対して遺言記録画面を開く提案をするサポート情報が表示されたメイン画面である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明に係る個人サポートシステムを実施するための形態を、実施例に基づいて以下に説明する。
【実施例0015】
実施例に係る個人サポートシステムにつき、
図1から
図9を参照して説明する。
【0016】
実施例における個人サポートシステムは、サービス提供会社等が運営し、ユーザと対話しながら取得したユーザの様々な情報を用いて、ユーザに対して有用なサポート情報を提供し、生活をサポートする個人向けのサポートシステムである。
【0017】
図1に示されるように、個人サポートシステム1は、ユーザの各種情報を管理するクライアント・サーバシステムである管理サーバシステム2と、管理サーバシステム2に送受信可能に複数台接続されるスマートフォン等の端末装置3,3,…と、を備えている。
【0018】
管理サーバシステム2は、ユーザの基本情報等を記憶管理するメインサーバ5と、記憶部である記憶サーバ4と、人工知能サーバ6と、を備えている。
【0019】
メインサーバ5は、ユーザを特定するためにユーザ毎に割り振られた固有のログインIDが記憶されたIDデータベース7と、記憶サーバ4に記憶された後述する取得情報とIDデータベース7とに記憶されたログインIDとを対応付ける対応テーブル8と、演算部9と、を備えている。IDデータベース7はユーザの基本情報を記憶する記憶手段を備え、この記憶手段は前述の記憶サーバ4とともに個人サポートシステム1の記憶部を構成している。
【0020】
記憶サーバ4は、ブロックチェーンプラットフォームの動作環境である複数のコンピュータ群で構成されており、コンピュータ群はブロックチェーンのブロックを生成する複数のノードである。
【0021】
後に詳述するが、
図2に示されるように、本実施例における個人サポートシステム1は、予め入力されたユーザの基本情報と、各ユーザが携帯する端末装置3から取得した位置情報と、会話機能部である人工知能サーバ6によってユーザとの会話で取得した音声情報から抽出した文章とを記憶部に記憶させ、これらの記憶させた情報を人工知能サーバ6が自律的に解析し、ユーザの端末装置3に対して有用なサポート情報を提供するものである。
【0022】
図1と
図3に示されるように、端末装置3は、管理サーバシステム2とインターネットにて通信する通信部3a、演算部3b、文字情報を入力する入力手段と表示手段を兼ねるタッチパネル3cを備えている。更に、入力手段としてイメージ情報を入力する撮影部3d、音声情報を入力する音声入力手段であるマイク3e、位置情報を取得するGPS装置などである位置情報取得部(位置情報取得手段)3f、静電容量方式などで指紋情報を取得する指紋取得部3gを備えている。本実施例において指紋取得部3gはタッチパネル3cと協働して機能する。
【0023】
個人サポートシステム1を利用するにあたり、端末装置3には所定のアプリケーションをインストールしておく。アプリケーションを起動させると、
図4に示されるような認証表示30が端末装置3のタッチパネル3cに表示される。本実施例では認証表示30には指紋認証を促す文言が表示される。
【0024】
アプリケーションは、端末装置3の指紋取得部3gから取得した指紋情報が正しい場合、つまり指紋認証に成功したことに基づき、アプリケーションを使用可能な状態とするべく、
図5に示されるようなメイン画面31を端末装置3のタッチパネル3cに表示させる。
【0025】
ここでは図示しないが、アプリケーションを初めて起動させた際には、個人サポートシステム1の運営元がそれぞれ予め割り振ったログインIDと、それに対応するパスワードの入力を促す画面が表示され、更に指紋情報の登録を促す文言が表示される。初期登録が正常に完了すると、以降は
図4の認証表示30のように、指紋認証のみでログインIDとパスワードの入力が省略される。
【0026】
メイン画面31には、キャラクター表示32が表示される。キャラクター表示32はその容姿をユーザ本人が適宜選択・設定することができる、いわゆるアバターである。キャラクター表示32の下には、音声入力ボタン33が表示される。
【0027】
音声入力ボタン33をタッチ操作することで、ユーザは端末装置3のマイク3eから音声を入力することができる。アプリケーションは、音声入力ボタン33にタッチしている間に入力された音声情報を管理サーバシステム2のメインサーバ5に送信する。
【0028】
端末装置3は、位置情報取得部3fにて定期的に取得した位置情報をメインサーバ5に送信するようになっている。加えて端末装置3は、入力された音声情報をメインサーバ5に送信する際、その時点での位置情報も合わせて送信する。メインサーバ5は音声情報と位置情報を受信する受信部としての機能を有する。
【0029】
音声情報を受信したメインサーバ5の演算部9は、当該音声情報を人工知能サーバ6に入力する。人工知能サーバ6は複数のコンピュータから構成され、入力された情報や記憶サーバ4に記憶された情報、IDデータベース7に記憶された情報を用いて機械学習、深層学習などを行う学習機能部と、メインサーバ5からの指示に応じて自律的に各種処理を行い、情報をメインサーバ5に出力する処理機能部とを有している。
【0030】
人工知能サーバ6は、メインサーバ5から入力された音声情報を自身の人工知能で解析し、解析結果をメインサーバ5に出力する。人工知能サーバ6は入力された音声情報を解析し、音声情報から自然言語としてひとかたまりの意味を持つ文章(句)を抽出する(抽出処理)。また人工知能サーバ6は、それぞれの文章に含まれるキーワードとも呼べる特定の文言(語)を抽出することもできる。ここで文章とは、ひとかたまりの意味を持つ単数又は複数の句、もしくは複数の語から構成される文字の集合体である。
【0031】
また、人工知能サーバ6は抽出した文章が質問であるか否かを判定し、文章が質問である場合には、質問内容に応じた応答データをメインサーバ5に出力する。例えば、質問内容が日常会話レベルである場合には、用意された所定の相槌構文をメインサーバ5に出力し、質問内容が付近のお店の情報や電車の乗換案内等の要望である場合には、検索エンジンにて検索するなどして検索結果をサポート情報としてメインサーバ5に出力する。メインサーバ5の演算部9は、人工知能サーバ6から出力された応答データまたはサポート情報を端末装置3に送信する送信部としての機能を有する。
【0032】
端末装置3はメインサーバ5から受信した応答データまたはサポート情報を画面表示もしくは音声再生する。例えば本実施例では、キャラクター表示32が話すように吹き出しに応答データまたはサポート情報を文字として表示する。サポート情報は、文字による表示に加えて、または代えて、キャラクター表示32が話すようなアニメーションとともに音声再生を行ってもよい。
【0033】
このように、個人サポートシステム1は、ユーザからキャラクター表示32に対して質問が投げかけられた場合には、それに応じて応答するというコミュニケーションを行うことができる。つまり、人工知能サーバ6は会話機能部として機能している。またキャラクター表示32は、ユーザからの要望があった場合には、その要望を叶えるべく代わりに検索などを行ってサポート情報を提供するデジタルコンシェルジュのように振る舞うことができる。また、ここでは詳述しないが、キャラクター表示32から所定の条件に応じたタイミングでユーザに向けて自発的に話しかけるというコミュニケーションを行うこともできる。
【0034】
人工知能サーバ6は抽出した文章が質問であるか否かを判定し、文章が質問でない場合には、質問でないことを示す属性情報とともに文章の文字データをメインサーバ5に出力する。メインサーバ5の演算部9は、人工知能サーバ6から出力された文章の文字データと、端末装置3から音声情報と合わせて受信した端末装置3の位置情報と、音声情報を受信した時間情報とを、対応状態を保持して記憶サーバ4に記憶させる。
【0035】
詳しくは、演算部9はこれらの情報を記憶サーバ4が構築するブロックチェーンに登録し、登録にブロックチェーンから返されたトランザクションハッシュをこれら情報のブロックチェーン上における所在情報として、対応テーブル8上で登録者のログインIDと対応付けて記憶する。
【0036】
また、メインサーバ5の演算部9は、人工知能サーバ6から出力された文章の文字データを端末装置3に送信する。端末装置3のアプリケーションは、メインサーバ5から受信した文字データを、メイン画面31に表示させる。詳しくは、
図6(a)に示されるように、メイン画面31の中央に配置されたキャラクター表示32の近傍に、受信した文章の文字データの確認表示34A(ここでは「〇〇の家に遊びに行く」)が表示される。
【0037】
人工知能サーバ6は、所定の条件を満たした際に端末装置3のアプリケーションに出力するサポート情報の構築処理を行うようになっている。本実施例においては、人工知能サーバ6は抽出した文章が所定数に達したことを条件として、端末装置3のアプリケーションに出力するサポート情報の構築処理を行う。
【0038】
詳しくは、人工知能サーバ6は、入力された音声情報からひとかたまりの意味を持つ文章を抽出する度にメインサーバ5の演算部9に文章の文字データを送信する。メインサーバ5の演算部9は、文章の文字データを受信する度に端末装置3のメイン画面31のキャラクター表示32の周囲に、受信した文章の文字データの確認表示34を追加表示させ、ユーザに実際に発音した内容と文字データの表示内容が整合しているかどうかを確認させる。
【0039】
また、人工知能サーバ6は、入力された音声情報からひとかたまりの文章を抽出する度に文章の数のカウントを進め、所定数(ここでは3つ)の文章の文字データがカウントされたこと、つまり文字データの確認表示34が3つメイン画面31に表示されたことを条件として、3つの文章の文字データとそれぞれの位置情報に基づき、独自の判断でサポート情報の構築処理を行う。
【0040】
例えば、
図6(b)に示されるように、「〇〇の家に遊びに行く」というひとかたまりの文章の文字データの確認表示34A、「お土産を用意する」という別のひとかたまりの文章の文字データの確認表示34B、「小さい子供がいる」という更に別のひとかたまりの文章の文字データの確認表示34C、という3つの文章の文字データと位置情報に基づき、人工知能サーバ6がサポート情報の構築処理を行う。特にこの場合において例えば、人工知能サーバ6は、それぞれの文章のうち、「〇〇の家」、「お土産」及び「小さい子供」という特定の文言を抽出し、ユーザの現在位置から近いエリア又は「〇〇の家」から近いエリアで、「お土産」に「小さい子供」が所望するものとして、「お菓子」を導出するとともに、「お菓子」の購入が可能な店舗を検索し、提案するサポート情報を構築する。
【0041】
構築されたサポート情報は、メインサーバ5を介して端末装置3に送信される。端末装置3がサポート情報を受信すると、アプリケーションはメイン画面31にサポート情報がある旨を示す報知表示35を表示させる報知処理を行う。ユーザが報知表示35を選択すると、図示は省略するが、サポート情報の詳細情報として、ここでは例えば、この店舗及び店舗へのルート、お菓子の名称や説明を表示する。
【0042】
このように、個人サポートシステム1は、アバターであるキャラクター表示32とユーザの会話の中から、文章の文字データを抽出することでユーザ本人の要望や生活パターンに関する情報をユーザの意図に関わらずに得ることができ、加えてユーザが所持する端末装置3の位置情報からユーザ本人の特有の行動習慣を得ることができ、ユーザにとって有用なサポート情報を能動的に構築し自発的に提案することができる。
【0043】
また、サポート情報を構築するにあたり、端末装置3から取得した位置情報が時間の経過とともに移動している場合(例えば、時速4kmで南東に移動している場合)、近い未来に移動するであろう方向やエリアを予測し(30分後に南東に2km先に移動すると予測)、サポート情報で店舗等を紹介する際にはこの方向やエリアに限定して検索を行うこともできる。
【0044】
また、会話の中から抽出された文章から行き先が判明している場合には、行き先の位置情報への公共交通機関または自家用車でのルート内に限定して店舗等を紹介するサポート情報を構築することもできる。
【0045】
人工知能サーバ6から出力された文章の文字データと、端末装置3から音声情報と合わせて受信した端末装置3の位置情報と、音声情報を受信した時間情報とは対応状態が保持されて記憶サーバ4に記憶されており、人工知能サーバ6はこれらの情報を適宜解析しており、ユーザ毎にユーザの嗜好、生活パターン、ユーザ本人の特有の行動習慣を把握することができる。
【0046】
これによれば、例えば過去の行動習慣として、ユーザが「毎月25日以降」に、「所定の駅付近」にて、「朝食を食べた」後、「病院に行く」とき、その前に決まって「銀行でお金を下ろす」という行動をとっていることが、キャラクター表示32との会話及び位置情報から把握されている場合、26日に、「所定の駅付近」に端末装置3が位置することを示す位置情報と、「朝食を食べた」こと「病院に行く」ことを示す文章が音声情報からそれぞれ抽出された場合、人工知能サーバ6は「銀行でお金を下ろす」という行動の提案を先立って行うというサポート情報を構築し、端末装置3のメイン画面31に表示させることができる。
【0047】
このように、過去の行動習慣から未来の行動が予測できる場合には、3つ目の「銀行でお金を下ろす」ことに対応する3つ目の文章が音声情報からそれぞれ抽出される前に、サポート情報を構築し、ユーザに提案することもできる。
【0048】
尚、この3つ目の「銀行でお金を下ろす」という行動の提案を先立って行う際のサポート情報を記憶サーバ4に記憶しておき、次回以降は構築処理を省略して処理速度を早めてもよい。
【0049】
尚、管理サーバシステム2は、ユーザの端末装置3にサポート情報を出力する際に、端末装置3からの音声入力を一時的に受け付けず、会話への返答も行わない状態とする処理を行ってもよい。これによれば、提示されたサポート情報へユーザを集中させることができる。
【0050】
また、人工知能サーバ6は抽出した文章が言語として不完全なものであった場合、それまでに蓄積したユーザの言い回しなどを考慮して補完し完全な文章の文字データに変換して、メインサーバ5に出力することができる。
【0051】
上述したように、人工知能サーバ6は抽出した文章が質問であるか否かを判定し、文章が質問である場合には、質問内容に応じた応答データを演算部9に出力するが、これとは別に、人工知能サーバ6は抽出した文章が所定の文章である場合に、当該文章に対応する固有の質問を端末装置3に返すようになっている。
【0052】
1つ目の具体例としては、人工知能サーバ6が抽出した文章が「助けてほしい」であった場合、この文章の文字データを受け取った演算部9は、記憶手段からユーザの基本情報を読み出し、予めユーザ本人よって登録された緊急連絡先への連絡を提案するサポート情報の表示36をメイン画面31に表示する(
図8(a)参照)。または、緊急連絡先への連絡を提案する音声を再生する。ここでは詳述しないが、ユーザが緊急連絡先への連絡を希望する選択を行った場合、アプリケーションは直ちに端末装置3のセルラー通信を用いて所定の緊急連絡先への発信を行う。
【0053】
このように、「助けてほしい」などの所定の音声情報が解析された場合、緊急連絡先情報への連絡の要否を問うようにすることで、ユーザは緊急時に速やかに緊急連絡先への連絡を行うことができる。尚、「助けてほしい」などの緊急を要する所定の音声情報については、同様の音声情報が複数回連続で解析された場合のみを条件として、緊急連絡先への連絡を行うようにしてもよい。
【0054】
2つ目の具体例としては、人工知能サーバ6が抽出した文章が「遺言を記録する」であった場合、この文章の文字データを受け取った演算部9は、遺言記録画面を開く提案をするサポート情報の表示37をメイン画面31に表示する(
図8(b)参照)。なお、例えば人工知能サーバ6が抽出した文章が「遺言を変更する」である場合など、少なくとも「遺言」という文言が含まれている場合に、演算部9は、遺言記録画面を開く提案をするサポート情報の表示37をメイン画面31に表示するようにしてもよい。
【0055】
ここでは詳述しないが、遺言記録画面では、遺言情報の追加及び編集を伴う内容変更を行うことができる。そして、内容変更を終了する際には、指紋認証を促す認証表示が端末装置3のタッチパネル3cに表示され、指紋認証に成功したことに基づき、内容変更を反映するようになっている。
【0056】
遺言情報は、記憶サーバ4にて新たに内容変更された遺言情報または変更箇所を示すデータを記憶サーバ4が構築するブロックチェーンに登録し、登録時にブロックチェーンから返されたトランザクションハッシュを遺言情報の所在情報として、対応テーブル8上で登録者のログインID及び当該個人情報の識別情報と対応付けて記憶する。
【0057】
このように、「遺言を記録する」などの所定の音声情報が解析されることで遺言を含む登録情報の変更が問われるため、ユーザの望むタイミングで登録情報の変更を行うことができる。
【0058】
また、記憶サーバ4には、遺言に限らずユーザが保有する様々な情報を記憶させることができる。例えば医療機関を受診した際に発行された処方箋の内容について記憶させておくことで、管理サーバシステム2はユーザの生活パターンに応じて服用を促すというサポート情報を端末装置3に出力することができる。
【0059】
人工知能サーバ6は抽出した文章が所定の文章である場合の3つ目の具体例としては、人工知能サーバ6が抽出した文章が「情報を見る」であった場合、この文章の文字データを受け取った演算部9は、記憶サーバ4に記憶された情報のリスト表示をメイン画面31に表示することができる。
【0060】
また、メインサーバ5は、情報のリスト表示で選択されて閲覧された情報の閲覧履歴を日時情報とともに記憶手段に記憶しており、特定の閲覧順序のパターンがある場合には、ユーザの操作を予測して情報の閲覧を提案するサポート情報を端末装置3に出力することができる。
【0061】
また、対応テーブル8では、ユーザのログインIDに対して、ユーザの遺言を含む登録情報を閲覧可能な後見人のサブIDと当該後見人の生体情報を紐づけて登録することができる。メインサーバ5は、サブIDにてログインを試みる端末装置に対して指紋情報等の生体情報による生体認証を行い、生体認証に成功した場合、記憶サーバ4に記憶された遺言を含む登録情報を閲覧可能に開示する。本実施例で後見人とは、登録者の血縁者や近親者のほか、登録者の遺言に基づき財産分与を受ける者など、登録者の生前及び死後において関わりを持つ者をいう。
【0062】
また、アプリケーションは、ユーザからの音声情報の入力がない場合であっても、アプリケーションの起動時において、端末装置3の位置情報を定期的にメインサーバ5に送信するようにし、端末装置3の位置情報を受信したメインサーバ5は、位置情報を取得した時間情報と紐づけて記憶サーバ4に記憶させてもよい。この場合、人工知能サーバ6は、音声情報の入力がない場合であっても、記憶サーバ4に記憶された端末装置3の位置情報と時間情報からユーザの行動パターンを取得することができる。
【0063】
以上、本発明の実施形態を図面によって説明してきたが、具体的な構成はこれら実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更や追加等があっても本発明に含まれる。
【0064】
例えば、アプリケーションのメイン画面31のデザインは、前記実施例に限定されず、例えばキャラクター表示32は省略されてもよい。
【0065】
また、人工知能サーバ6が入力された文字情報から抽出する文章のかたまりは、上記した「お土産を用意する」等の複数の単語の組み合わせに限らず、1単語だけでもよい。
【0066】
また、端末装置3はスマートフォンに限らず、例えば専用の携帯可能な通信端末等であってもよい。
【0067】
また、記憶サーバ4は、ブロックチェーンの技術を用いたデータベースに限らず、技術の進歩に応じてセキュリティ性の高い技術を適宜用いられてもよい。