(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024158185
(43)【公開日】2024-11-08
(54)【発明の名称】源泉徴収票管理装置、源泉徴収票管理方法および源泉徴収票管理プログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 40/12 20230101AFI20241031BHJP
【FI】
G06Q40/12 420
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023073168
(22)【出願日】2023-04-27
(71)【出願人】
【識別番号】398040527
【氏名又は名称】株式会社オービック
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中島 大輔
(72)【発明者】
【氏名】嶋田 清孝
【テーマコード(参考)】
5L040
5L055
【Fターム(参考)】
5L040BB65
5L055BB65
(57)【要約】
【課題】退職者への源泉徴収票の発行忘れを防止することができる源泉徴収票管理装置、源泉徴収票管理方法および源泉徴収票管理プログラムを提供する。
【解決手段】本実施形態の源泉徴収票管理装置であって、休職退職区分が在籍から退職となった社員CDに対して、給与対象年月マスタの当年1月以降、現在の対象年月以前に対応する対象年月の処理区分に年度途中の年末調整を示す中途年調が存在しないと判定された場合、休職退職区分が在籍から退職となった社員CDに対応する社員に対して、源泉徴収票が未発行である旨の警告を出力する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
制御部を備える源泉徴収票管理装置であって、
給与対象年月を記憶する給与対象年月マスタと、
対象年月に、社員コード、給与または賞与を示す賞与区分、および、在籍または退職を示す休職退職区分を対応付けた給与支給月データと、
対象年月に、年末調整の処理内容を対応付けた処理区分、税額表区分および社員コードを対応付けた年末調整データと、
にアクセス可能であり、
前記制御部は、
前記給与対象年月マスタ、前記給与支給月データおよび前記年末調整データを参照し、現在の対象年月における対象者の給与賞与計算の計算処理後の結果に対応する前記給与対象年月マスタの当年1月以降、現在の対象年月以前であって、現在の対象年月に対応する対象年月に前記休職退職区分が在籍から退職となった社員コードに対して、前記給与対象年月マスタの当年1月以降、現在の対象年月以前に対応する対象年月の前記処理区分に年度途中の年末調整を示す中途年調が存在するか否かを判定する判定部と、
前記中途年調が存在しないと判定された場合、前記休職退職区分が在籍から退職となった社員コードに対して、源泉徴収票が未発行である旨の警告を出力する出力制御部と、
を備えること、
を特徴とする源泉徴収票管理装置。
【請求項2】
請求項1に記載の源泉徴収票管理装置であって、
賞与対象年月を記憶する賞与対象年月マスタ、
にさらにアクセス可能であり、
前記判定部は、
前記賞与対象年月マスタ、前記給与支給月データおよび前記年末調整データを参照し、当年1月以降における前記処理区分に前記中途年調が存在する退社した社員コードに対して、新たな支給が発生したか否かをさらに判定し、
前記出力制御部は、
前記処理区分に前記中途年調が存在する退社した社員コードに対して新たな支給が発生したと判定された場合、前記中途年調が存在する退社した社員コードに対して、源泉徴収票の再発行が必要である旨の警告を出力すること、
を特徴とする源泉徴収票管理装置。
【請求項3】
請求項2に記載の源泉徴収票管理装置であって、
前記出力制御部は、
源泉徴収票が未発行である社員または源泉徴収票の再発行が必要となった退社した社員に関する情報をさらに出力する、
ことを特徴とする源泉徴収票管理装置。
【請求項4】
請求項3に記載の源泉徴収票管理装置であって、
前記制御部は、
前記中途年調が存在する退社した社員コードに対して、源泉徴収票の再発行が行われた場合、前記年末調整データにおける前記中途年調が存在する退社した社員コードに対応する直前の前記中途年調を削除し、かつ、互いに異なる税額表区分の前記中途年調を再登録して前記年末調整データを更新する更新部をさらに備えること、
を特徴とする源泉徴収票管理装置。
【請求項5】
制御部を備える源泉徴収票管理装置で実行される源泉徴収票管理方法であって、
前記源泉徴収票管理装置は、
給与対象年月を記憶する給与対象年月マスタと、
対象年月に、社員コード、給与または賞与を示す賞与区分、および、在籍または退職を示す休職退職区分を対応付けた給与支給月データと、
対象年月に、年末調整の処理内容を対応付けた処理区分、税額表区分および社員コードを対応付けた年末調整データと、
にアクセス可能であり、
前記制御部で実行される、
前記給与対象年月マスタ、前記給与支給月データおよび前記年末調整データを参照し、現在の対象年月における対象者の給与賞与計算の計算処理後の結果に対応する前記給与対象年月マスタの当年1月以降、現在の対象年月以前であって、現在の対象年月に対応する対象年月に前記休職退職区分が在籍から退職となった社員コードに対して、前記給与対象年月マスタの当年1月以降、現在の対象年月以前に対応する対象年月の前記処理区分に年度途中の年末調整を示す中途年調が存在するか否かを判定する判定ステップと、
前記中途年調が存在しないと判定された場合、前記休職退職区分が在籍から退職となった社員コードに対して、源泉徴収票が未発行である旨の警告を出力する出力制御ステップと、
を含むこと、
を特徴とする源泉徴収票管理方法。
【請求項6】
制御部を備える源泉徴収票管理装置に実行されるための源泉徴収票管理プログラムであって、
前記源泉徴収票管理装置は、
給与対象年月を記憶する給与対象年月マスタと、
対象年月に、社員コード、給与または賞与を示す賞与区分、および、在籍または退職を示す休職退職区分を対応付けた給与支給月データと、
対象年月に、年末調整の処理内容を対応付けた処理区分、税額表区分および社員コードを対応付けた年末調整データと、
にアクセス可能であり、
前記制御部に実行させるための、
前記給与対象年月マスタ、前記給与支給月データおよび前記年末調整データを参照し、現在の対象年月における対象者の給与賞与計算の計算処理後の結果に対応する前記給与対象年月マスタの当年1月以降、現在の対象年月以前であって、現在の対象年月に対応する対象年月に前記休職退職区分が在籍から退職となった社員コードに対して、前記給与対象年月マスタの当年1月以降、現在の対象年月以前に対応する対象年月の前記処理区分に年度途中の年末調整を示す中途年調が存在するか否かを判定する判定ステップと、
前記中途年調が存在しないと判定された場合、前記休職退職区分が在籍から退職となった社員コードに対して、源泉徴収票が未発行である旨の警告を出力する出力制御ステップと、
を含むこと、
を特徴とする源泉徴収票管理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、源泉徴収票管理装置、源泉徴収票管理方法および源泉徴収票管理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、使用者によって使い易いシステムでありながら、使用者による入力値の正確性に配慮した確定申告を支援する技術が開示されている。この技術では、納税者である使用者が自ら確定申告書を作成する場合において、使用者によって入力された扶養人数が源泉徴収票の内容と異なっているとき、源泉徴収票発行の時点から扶養人数が変更されたものと判断し、入力された扶養人数を正しい入力値であるとみなして処理を続行しつつ、源泉徴収票と異なる旨の警告メッセージを表示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、人事等の給与業務担当者は、従業員が退社した場合、従業員の退職から所定期間経過後に源泉徴収票を発行して渡している。この退職者が発生した場合に生じる源泉徴収票の発行等の作業は、給与業務担当者に属人化している。このため、給与業務担当者は、退職者への源泉徴収票の発行を忘れてしまう恐れがあった。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、退職者への源泉徴収票の発行忘れを防止することができる源泉徴収票管理装置、源泉徴収票管理方法および源泉徴収票管理プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、制御部を備える源泉徴収票管理装置であって、給与対象年月を記憶する給与対象年月マスタと、対象年月に、社員コード、給与または賞与を示す賞与区分、および、在籍または退職を示す休職退職区分を対応付けた給与支給月データと、対象年月に、年末調整の処理内容を対応付けた処理区分、税額表区分および社員コードを対応付けた年末調整データと、にアクセス可能であり、前記給与対象年月マスタ、前記給与支給月データおよび前記年末調整データを参照し、現在の対象年月における対象者の給与賞与計算の計算処理後の結果に対応する前記給与対象年月マスタの当年1月以降、現在の対象年月以前であって、現在の対象年月に対応する対象年月に前記休職退職区分が在籍から退職となった社員コードに対して、前記給与対象年月マスタの当年1月以降、現在の対象年月以前に対応する対象年月の前記処理区分に年度途中の年末調整を示す中途年調が存在するか否かを判定する判定部と、前記中途年調が存在しないと判定された場合、前記休職退職区分が在籍から退職となった社員コードに対して、源泉徴収票が未発行である旨の警告を出力する出力制御部と、を備えること、を特徴とする。
【0007】
また、本発明に係る源泉徴収票管理方法は、制御部を備える源泉徴収票管理装置で実行される源泉徴収票管理方法であって、前記源泉徴収票管理装置は、給与対象年月を記憶する給与対象年月マスタと、対象年月に、社員コード、給与または賞与を示す賞与区分、および、在籍または退職を示す休職退職区分を対応付けた給与支給月データと、対象年月に、年末調整の処理内容を対応付けた処理区分、税額表区分および社員コードを対応付けた年末調整データと、にアクセス可能であり、前記制御部で実行される、前記給与対象年月マスタ、前記給与支給月データおよび前記年末調整データを参照し、現在の対象年月における対象者の給与賞与計算の計算処理後の結果に対応する前記給与対象年月マスタの当年1月以降、現在の対象年月以前であって、現在の対象年月に対応する対象年月に前記休職退職区分が在籍から退職となった社員コードに対して、前記給与対象年月マスタの当年1月以降、現在の対象年月以前に対応する対象年月の前記処理区分に年度途中の年末調整を示す中途年調が存在するか否かを判定する判定ステップと、前記中途年調が存在しないと判定された場合、前記休職退職区分が在籍から退職となった社員コードに対して、源泉徴収票が未発行である旨の警告を出力する出力制御ステップと、を含むこと、を特徴とする。
【0008】
また、本発明に係る源泉徴収票管理プログラムは、制御部を備える源泉徴収票管理装置に実行されるための源泉徴収票管理プログラムであって、前記源泉徴収票管理装置は、給与対象年月を記憶する給与対象年月マスタと、対象年月に、社員コード、給与または賞与を示す賞与区分、および、在籍または退職を示す休職退職区分を対応付けた給与支給月データと、対象年月に、年末調整の処理内容を対応付けた処理区分、税額表区分および社員コードを対応付けた年末調整データと、にアクセス可能であり、前記制御部に実行させるための、前記給与対象年月マスタ、前記給与支給月データおよび前記年末調整データを参照し、現在の対象年月における対象者の給与賞与計算の計算処理後の結果に対応する前記給与対象年月マスタの当年1月以降、現在の対象年月以前であって、現在の対象年月に対応する対象年月に前記休職退職区分が在籍から退職となった社員コードに対して、前記給与対象年月マスタの当年1月以降、現在の対象年月以前に対応する対象年月の前記処理区分に年度途中の年末調整を示す中途年調が存在するか否かを判定する判定ステップと、前記中途年調が存在しないと判定された場合、前記休職退職区分が在籍から退職となった社員コードに対して、源泉徴収票が未発行である旨の警告を出力する出力制御ステップと、を含むこと、を特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、退職者への源泉徴収票の発行忘れを防止することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、実施形態に係る源泉徴収票管理装置の構成の一例を示すブロック図での概要を示す模式図である。
【
図2】
図2は、実施形態に係る源泉徴収票管理装置の給与対象年月マスタが記憶する給与対象年月マスタテーブルの一例を示す図である。
【
図3】
図3は、実施形態に係る源泉徴収票管理装置の賞与対象年月マスタが記憶する賞与対象年月マスタテーブルの一例を示す図である。
【
図4】
図4は、給与業務担当者による退職者への業務背景の一例を示す図である。
【
図5】
図5は、退職者による税務署および転職先の給与業務担当者への業務背景の一例を示す図である。
【
図6】
図6は、給与業務担当者による退職者への業務背景の別の一例を示す図である。
【
図7】
図7は、退職者による税務署への業務背景の別の一例を示す図である。
【
図8】
図8は、実施形態に係る源泉徴収票管理装置が実行する処理の概要を示すフローチャートである。
【
図9】
図9は、実施形態に係る源泉徴収票管理装置の給与支給月データにおける給与支給月データテーブルの一例を示す図である。
【
図10】
図10は、実施形態に係る源泉徴収票管理装置の年末調整データにおける年末調整データテーブルの一例を示す図である。
【
図11】
図11は、実施形態に係る源泉徴収票管理装置が備える判定部による給与の計算処理の概要を模式的に示す図である。
【
図12】
図12は、実施形態に係る源泉徴収票管理装置が備える出力制御部がモニタ114に表示させる警告画面の一例を示す図である。
【
図13】
図13は、実施形態に係る源泉徴収票管理装置が備える更新部による更新後の状況とその後の判定の概要の一例を示す図である。
【
図14】
図14は、実施形態に係る源泉徴収票管理装置の給与支給月データにおける給与支給月データテーブルの別の一例を示す図である。
【
図15】
図15は、実施形態に係る源泉徴収票管理装置の年末調整データにおける年末調整データテーブルの別の一例を示す図である。
【
図16】
図16は、実施形態に係る源泉徴収票管理装置が備える判定部による給与の計算処理の概要を模式的に示す図である。
【
図17】
図17は、実施形態に係る源泉徴収票管理装置が備える出力制御部がモニタに表示させる警告画面の一例を示す図である。
【
図18】
図18は、実施形態に係る源泉徴収票管理装置が備える更新部による更新後の状況とその後の判定の概要の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、本発明に係る源泉徴収票管理装置、源泉徴収票管理方法および源泉徴収票管理プログラムの実施形態を、図面に基づいて詳細に説明する。なお、本実施形態により本発明が限定されるものではない。
【0012】
[1.構成]
本実施形態に係る源泉徴収票管理装置の構成の一例について、
図1等を参照して説明する。
図1は、源泉徴収票管理装置の構成の一例を示すブロック図での概要を示す模式図である。
【0013】
図1に示す源泉徴収票管理装置100は、市販のデスクトップ型パーソナルコンピュータである。なお、源泉徴収票管理装置100は、デスクトップ型パーソナルコンピュータのような据置型情報処理装置に限らず、市販されているノート型パーソナルコンピュータ、PDA(Personal Digital Assistants)、スマートフォン、タブレット型パーソナルコンピュータなどの携帯型情報処理装置であってもよい。
【0014】
源泉徴収票管理装置100は、制御部102と、通信インターフェース部104と、記憶部106と、入出力インターフェース部108と、を備えている。源泉徴収票管理装置100が備えている各部は、任意の通信路を介して通信可能に接続されている。
【0015】
通信インターフェース部104は、ルータ等の通信装置および専用線等の有線または無線の通信回線を介して、源泉徴収票管理装置100をネットワーク300に通信可能に接続する。通信インターフェース部104は、他の装置と、通信回線と、を介してデータを通信する機能を有する。ここで、ネットワーク300は、源泉徴収票管理装置100と、サーバ200と、を相互に通信可能に接続する機能を有し、例えばインターネットやLAN(Local Area Network)等である。なお、記憶部106に格納されるデータは、例えばサーバ200に格納されてもよい。
【0016】
入出力インターフェース部108には、入力装置112と、出力装置114と、が接続されている。出力装置114には、モニタ(家庭用テレビを含む)の他、スピーカやプリンタを用いることができる。入力装置112には、キーボード、マウス、およびマイクの他、マウスと協働してポインティングデバイス機能を実現するモニタを用いることができる。なお、以下では、出力装置114をモニタ114とし、入力装置112をキーボード112またはマウス112として記載する場合がある。
【0017】
記憶部106には、各種のデータベース、テーブルおよびファイルなどが格納される。記憶部106には、OS(Operating System)と協働してCPU(Central Processing Unit)に命令を与えて各種処理を行うためのコンピュータプログラムが記録される。記憶部106として、例えば、RAM(Random Access Memory)・ROM(Read Only Memory)等のメモリ装置、ハードディスクのような固定ディスク装置、フレキシブルディスク、および光ディスク等を用いることができる。記憶部106は、給与対象年月マスタ106aと、賞与対象年月マスタ106bと、給与支給月データ106cと、年末調整データ106dと、を記憶している。なお、給与支給月データ106cおよび年末調整データ106dの詳細については、後述する。
【0018】
給与対象年月マスタ106aは、給与対象年月を記憶する。
図2は、給与対象年月マスタ106aが記憶する給与対象年月マスタテーブルの一例を示す図である。
図2に示す給与対象年月マスタテーブルT1には、現在の給与対象年月が記憶されている。例えば、給与対象年月マスタテーブルT1には、対象年月「2023/02」および「2023/03」の各々に、現在対象「FALSE」が対応付けて記憶され、対象年月「2023/04」に現在対象「TRUE」が対応付けて記憶されている。
【0019】
賞与対象年月マスタ106bは、賞与対象年月を記憶する。
図3は、賞与対象年月マスタ106bが記憶する賞与対象年月マスタテーブルの一例を示す図である。
図3に示す賞与対象年月マスタテーブルT2には、賞与対象年月が記憶されている。例えば、賞与対象年月マスタテーブルT2には、対象年月「2022/06」、「2022/12」および「2023/03」の各々に、現在対象「FALSE」が対応付けて記憶され、対象年月「2023/06」に現在対象「TRUE」が対応付けて記憶されている。なお、賞与には、所定月毎の賞与以外に、一時金等が含まれる。
【0020】
図1に戻り、源泉徴収票管理装置100の構成の説明を続ける。
制御部102は、源泉徴収票管理装置100を統括的に制御するCPU等である。制御部102は、OS等の制御プログラム・各種の処理手順等を規定したプログラム・所要データなどを格納するための内部メモリを有し、格納されているこれらのプログラムに基づいて種々の情報処理を実行する。制御部102は、判定部102aと、選択部102bと、取得部102cと、出力制御部102dと、更新部102eと、を備える。
【0021】
判定部102aは、源泉徴収票管理装置100の現在の動作が給与または賞与であるか否かを判定する給与賞与判定処理を行う。具体的には、判定部102aは、給与業務担当者H1が入力装置112を介して源泉徴収票管理装置100に設定した現在の源泉徴収票管理の動作が給与基準または賞与基準であるか否かを判定する。また、判定部102aは、選択部102bによって選択された対象者の現在の対象年月における給与賞与計算の計算処理を行い、その計算処理後の結果に対応する給与対象年月マスタ106aの当年1月以降、現在の対象年月以前であって、現在の対象年月に対応する対象年月に休職退職区分が在籍から退職となった社員CD(コード)に対して、給与対象年月マスタ106aの当年1月以降、現在の対象年月以前に対応する対象年月の処理区分に年度途中の年末調整を示す中途年調が存在するか否かを判定する。また、判定部102aは、賞与対象年月マスタ106b、給与支給月データ106cおよび年末調整データ106dを参照し、選択部102bによって選択された選択者の現在の対象年月における給与賞与計算の計算処理を行い、その計算処理後、その結果に対応する賞与対象年月マスタ106bの当年1月以降における年末調整データ106dの処理区分に中途年調が存在する退職した社員CDに対して新たな支給が発生したか否かを判定する。
【0022】
選択部102bは、給与対象年月マスタ106aまたは賞与対象年月マスタ106bを参照し、現在の対象年月を選択する対象年月判定処理を行う。また、選択部102bは、給与業務担当者が入力装置112を介して入力した社員CDに応じた対象者を選択する。
【0023】
取得部102cは、記憶部106から給与支給月データ106cおよび年末調整データ106dを取得する。
【0024】
出力制御部102dは、判定部102aによって退職者の社員CDに対して、源泉徴収票の再発行を必要と判定された場合、退職者の社員CDに対して、源泉徴収票の再発行が必要である旨の警告をモニタ114に出力する。
【0025】
更新部102eは、給与業務担当者が入力装置112を介して入力される操作内容に応じて、年末調整データテーブルT20の社員CDに対する源泉徴収票を発行したデータに更新する更新処理する。
【0026】
[2.業務背景の概要]
図4は、給与業務担当者による退職者への業務背景の一例を示す図である。
図5は、退職者による税務署および転職先の給与業務担当者への業務背景の一例を示す図である。
図6は、給与業務担当者による退職者への業務背景の別の一例を示す図である。
図7は、退職者による税務署への業務背景の別の一例を示す図である。
【0027】
図4および
図6に示すように、まず、給与業務担当者H1は、退職者H2(従業員)が退職する場合、退職時点までの支給総額を記載した源泉徴収票(甲欄分)または源泉徴収票(乙欄分)を発行して渡す。その後、
図5および
図7に示すように、退職者H2は、転職先での年末調整や確定申告で使用するため、源泉徴収票(甲欄分)または源泉徴収票(乙欄分)を税務署H3または転職先の給与業務担当者H4へ提出する。
【0028】
しかしながら、従来、給与業務担当者H1は、退職者H2への源泉徴収票の発行を忘れてしまった場合、気づく仕組みがない。このため、給与業務担当者H1は、退職者H2が退職後、ある程度経過してから源泉徴収票を発行するため、源泉徴収票の発行作業を忘れがちであるが、気づく仕組みがない。
【0029】
また、退職者H2は、退職後、年末調整または確定申告を行う際に、転職前の会社(給与業務担当者H1)から源泉徴収票を受け取ってないことに気づくタイミングで、源泉徴収票の発行の依頼を連絡する。この結果、給与業務担当者H1は、退職者からの連絡によって源泉徴収票の未発行を認識する。さらに、給与業務担当者H1は、源泉徴収票の発行業務以外に、社会保険の資格喪失届の作成業務および雇用保険の資格喪失届の作成業務等があり、属人化した業務が多大であった。このように、給与業務担当者H1は、属人化する業務が多大なため、源泉徴収票の発行忘れを防止することができる技術を望んでいた。
【0030】
[3.源泉徴収票管理装置の処理]
次に、源泉徴収票管理装置100が実行する処理について説明する。
図8は、源泉徴収票管理装置100が実行する処理の概要を示すフローチャートである。なお、以下では、源泉徴収票管理装置100は、源泉徴収票を発行するためには、当年1月から処理実行月までの甲欄としての支給総額、乙欄としての支給総額等を集計しているものとする。
【0031】
図8に示すように、まず、判定部102aは、源泉徴収票管理装置100の現在の動作が給与または賞与であるか否かを判定する給与賞与判定処理を行う(ステップS1)。具体的には、判定部102aは、給与業務担当者H1が入力装置112を介して源泉徴収票管理装置100に設定した現在の源泉徴収票管理の動作が給与基準または賞与基準であるか否かを判定する。
【0032】
続いて、判定部102aによって源泉徴収票管理装置100の現在の動作が給与であると判定された場合(ステップS2:Yes)、源泉徴収票管理装置100は、ステップS3へ移行する。これに対して、判定部102aによって源泉徴収票管理装置100の現在の動作が給与でない、即ち、賞与と判定された場合(ステップS2:No)、源泉徴収票管理装置100は、ステップS10へ移行する。
【0033】
ステップS3において、選択部102bは、給与対象年月マスタ106aを参照し、現在の対象年月を選択する対象年月判定処理を行う。具体的には、選択部102bは、給与対象年月マスタテーブルT1(
図2を参照)から現在対象の「2023/04」を選択する。
【0034】
続いて、選択部102bは、給与業務担当者H1が入力装置112を介して入力した社員CD(コード)に応じた給与計算の対象者を選択する対象者選択処理を行う(ステップS4)。
【0035】
その後、取得部102cは、記憶部106から給与支給月データ106cおよび年末調整データ106dを取得する(ステップS5)。
【0036】
図9は、給与支給月データ106cにおける給与支給月データテーブルの一例を示す図である。
【0037】
図9に示す給与支給月データテーブルT10には、対象年月に、社員CDと、給与または賞与を示す賞与区分と、在籍、退職および休職等を示す休職退職区分と、を対応付けて記憶している。具体的には、給与支給月データテーブルT10の1行目には、対象年月「2023/03」に、社員CD「10001」、賞与区分「0:給与」および休職退職区分「0:在籍」を対応付けて記憶している。
【0038】
なお、
図9における給与支給月データテーブルT10の社員CD「10003」は、対象年月「2023/03」の休職退職区分が「0:在籍」であるが、対象年月「2023/04」の休職退職区分が「0:退職」に遷移している。このため、本来であれば給与業務担当者H1が源泉徴収票を発行して退職者H2へ渡す必要があるが、本実施形態の課題の状況を模式的に表す。即ち、以下においては、社員CD「10003」に対して源泉徴収票が未発行の状況で説明する。
【0039】
図10は、年末調整データ106dにおける年末調整データテーブルの一例を示す図である。
【0040】
図10に示す年末調整データテーブルT20には、対象年月に、年末調整の種別を示す処理区分、税額表区分および社員CD(コード)を対応付けて記憶している。具体的には、年末調整データテーブルT20の1行目には、対象年月「2022/12」、処理区分「1:12月の年末調整」、税額表区分「1:甲欄」および社員CD「10001」を対応付けて記憶している。ここで、中途年調とは、退職者における年度途中の年末調整である。
【0041】
図8に戻り、ステップS6以降の説明を続ける。
判定部102aは、給与対象年月マスタ106a、給与支給月データ106cおよび年末調整データ106dを参照し、選択部102bによって選択された対象者の現在の対象年月における給与賞与計算の計算処理を行う(ステップS6)。
【0042】
続いて、判定部102aは、ステップS6の計算処理後の結果に対応する給与対象年月マスタ106aの当年1月以降、現在の対象年月以前であって、現在の対象年月に対応する対象年月に休職退職区分が在籍から退職となった社員CDに対して、給与対象年月マスタ106aの当年1月以降、現在の対象年月以前に対応する対象年月の処理区分に年度途中の年末調整を示す中途年調が存在するか否かを判定する(ステップS7)。判定部102aによって給与対象年月マスタ106aの当年1月以降、現在の対象年月以前であって、現在の対象年月に対応する対象年月に休職退職区分が在籍から退職となった社員CDに対して、給与対象年月マスタ106aの当年1月以降、現在の対象年月以前に対応する対象年月の処理区分に年度途中の年末調整を示す中途年調が存在すると判定された場合(ステップS7:Yes)、源泉徴収票管理装置100は、本処理を終了する。これに対して、判定部102aによって給与対象年月マスタ106aの当年1月以降、現在の対象年月以前であって、現在の対象年月に対応する対象年月に休職退職区分が在籍から退職となった社員CDに対して、給与対象年月マスタ106aの当年1月以降、現在の対象年月以前に対応する対象年月の処理区分に年度途中の年末調整を示す中途年調が存在しないと判定された場合(ステップS7:No)、源泉徴収票管理装置100は、ステップS8へ移行する。
【0043】
図11は、判定部102aによる給与の計算処理の概要を模式的に示す図である。
図11に示すように、判定部102aは、処理実行月「2023/04」、社員CD「10003」の場合、給与支給月データ106cにおける給与支給月データテーブルT10における休職退職区分が「在籍」から「退職」となった社員CD「10003」に対して、給与対象年月マスタ106aの当年1月以降、現在の対象年月以前に対応する対象年月の処理区分に年度途中の年末調整を示す中途年調が存在するか否かを判定する。
図11に示す場合、年末調整データテーブルT21には、社員CD「10003」に対応する年度途中の年末調整を示す中途年調が存在しない。このため、判定部102aは、社員CD「10003」に対して、給与対象年月マスタ106aの当年1月以降、現在の対象年月以前に対応する対象年月の処理区分に年度途中の年末調整を示す中途年調が存在しないと判定する。この場合、退職者H2は、必ず給与計算の実行対象外となる。このため、判定部102aは、退職者H2の源泉徴収票の未発行確認の判定処理について、退職者H2のみに(計算実行対象外者)について行う。即ち、給与計算実行対象者の選択状況による、確認対象の漏れは発生しない。このため、
図11では、源泉徴収票管理装置100は、社員CD「10001」に対して給与計算を実行後、その結果に対応する対象年月以前の休職退職区分が「在籍」から「退職」となった社員CD「10003」に対して源泉徴収票の未発行確認の判定処理を行う。
【0044】
図8に戻り、ステップS8以降の説明を続ける。
出力制御部102dは、休職退職区分が在籍から退職となった社員CDの源泉徴収票が未発行である旨の警告をモニタ114に出力する(ステップS8)。
【0045】
図12は、出力制御部102dがモニタ114に表示させる警告画面の一例を示す図である。
【0046】
図12に示す警告画面P1には、休職退職区分が在籍から退職となった社員CDの源泉徴収票が発行されていない旨のメッセージM1と、源泉徴収票が発行されていない社員CDに関する情報M2と、源泉徴収票が発行されていない社員CDの詳細な情報を表示する詳細ボタンB1と、メッセージM1を確認したことの入力を受け付けるOKボタンB2と、が含まれる。源泉徴収票が発行されていない社員CDに関する情報M2には、少なくとも社員CD、社員氏名および退職年月日が含まれる。なお、給与業務担当者H1は、メッセージM1の内容を確認後、入力装置112を介して源泉徴収票管理装置100に源泉徴収票を発行可能な画面へ遷移させ、源泉徴収票の発行を行ってもよい。
【0047】
図8に戻り、ステップS9以降の説明を続ける。
更新部102eは、給与業務担当者H1が入力装置112を介して入力される操作内容に応じて、年末調整データテーブルT20の社員CD「10003」に対応する源泉徴収票を発行したデータに更新する更新処理を行う(ステップS9)。
【0048】
図13は、更新部102eによる更新後の状況とその後の判定の概要の一例を示す図である。
【0049】
図13に示すように、更新部102eは、給与支給月データテーブルT10における社員CD「10003」に対応する対象年月に「2023/04」、処理区分に「3:中途年調」および税額表区分に「1:甲欄」を対応付けて更新する。これにより、退職者への源泉徴収票の未発行を防止することができる。ステップS9の後、源泉徴収票管理装置100は、本処理を終了する。
【0050】
図8に戻り、ステップS10以降の説明を続ける。
選択部102bは、賞与対象年月マスタ106bを参照し、現在の対象年月を選択する対象年月判定処理を行う(ステップS10)。具体的には、選択部102bは、賞与対象年月マスタテーブルT2(
図3を参照)から現在対象の「2023/06」を選択する。
【0051】
続いて、選択部102bは、給与業務担当者H1が入力装置112を介して入力した社員CD(コード)に応じた賞与計算の対象者を選択する対象者選択処理を行う(ステップS11)。
【0052】
その後、判定部102aは、賞与対象年月マスタ106b、給与支給月データ106cおよび年末調整データ106dを参照し、選択部102bによって選択された選択者の現在の対象年月における給与賞与計算の計算処理を行う(ステップS12)。
【0053】
続いて、判定部102aは、ステップS12の計算処理後、その結果に対応する賞与対象年月マスタ106bの当年1月以降における年末調整データ106dの処理区分に中途年調が存在する退職した社員CDに対して、新たな支給が発生したか否かを判定する(ステップS13)。判定部102aによって賞与対象年月マスタ106bの当年1月以降における年末調整データ106dの処理区分に中途年調が存在する退職した社員CDに対して新たな支給が発生したと判定された場合(ステップS13:Yes)、源泉徴収票管理装置100は、ステップS14へ移行する。これに対して、判定部102aによって賞与対象年月マスタ106bの当年1月以降における年末調整データ106dの処理区分に中途年調が存在する退職した社員CDに対して新たな支給が発生していないと判定された場合(ステップS13:No)、源泉徴収票管理装置100は、本処理を終了する。
【0054】
ここで、判定部102aによる賞与の判定方法について説明する。
図14は、給与支給月データ106cにおける給与支給月データテーブルの別の一例を示す図である。
図15は、年末調整データ106dにおける年末調整データテーブルの別の一例を示す図である。なお、以下において、判定部102aは、賞与計算時において、休職退職区分が「退職」となっており、「当年1月以降の中途年調」より後の対象年月で課税総額が発生した社員(退職者)に対して源泉徴収票の再発行が必要か否かの判定を行う。
【0055】
図14に示す給与支給月データテーブルT30には、対象年月に、社員CD(コード)、賞与区分、休職退職区分および課税総額を対応付けて記憶している。具体的には、給与支給月データテーブルT30の2行目には、対象年月「2023/05」に、社員CD「10005」、賞与区分「0:給与」、休職退職区分「3:退職」および課税総額「0」を対応付けて記憶している。
【0056】
また、
図15に示す年末調整データテーブルT40には、対象年月に、処理区分、税額表区分、社員CD(コード)および年間課税総額を対応付けて記憶している。具体的には、年末調整データテーブルT40の4行目には、対象年月「2023/05」、処理区分「3:中途年調」、税額表区分「1:甲欄」、社員CD「10005」および年間課税総額「1,200,000」を対応付けて記憶している。なお、社員CD「10005」は、2023/05に、給与業務担当者H1が入力装置112を介して中途年調の登録を行い、退職者H2への源泉徴収票が発行されている。
【0057】
図16は、判定部102aによる給与の計算処理の概要を模式的に示す図である。
図11に示すように、源泉徴収票管理装置100は、現在の対象年月の給与支給月「2023/05」に従って、退職者である社員CD「10005」の賞与計算を行い、年度途中の源泉徴収票を発行する。その後、判定部102aは、給与支給月データテーブルT31および年末調整データテーブルT40に基づいて、退職者である社員CD「10005」に対して、源泉徴収票の発行後に、課税総額(支給)が発生していることで、源泉徴収票の再発行が必要であるか否かを判定する。
【0058】
図16に示す対象年月「2023/05」の場合、退職者の社員CD「10005」は、給与支給月データ106cにおける給与支給月データテーブルT31の休職退職区分が「退職」であり、処理区分に源泉徴収票が発行されていることを示す「3:中途年調」が対応付けて記憶されている。しかしながら、現在の対象年月が給与支給月「2023/06」の場合、退職者の社員CD「10005」は、賞与区分「1:賞与」の課税総額「400,000」が発生している。このため、
図16に示す場合、判定部102aは、退職者の社員CDに対して、源泉徴収票の発行後に、新たに支給が発生しているので、源泉徴収票の再発行を必要と判定する。
【0059】
図8に戻り、ステップS14以降の説明を続ける。
出力制御部102dは、判定部102aによって退職者の社員CDに対して、源泉徴収票の再発行を必要と判定された場合、退職者の社員CDに対して、源泉徴収票の再発行が必要である旨の警告をモニタ114に出力する(ステップS14)。
【0060】
図17は、出力制御部102dがモニタ114に表示させる警告画面の一例を示す図である。
【0061】
図17に示す警告画面P2には、退職者の社員CDに対して、源泉徴収票が再発行されていない旨のメッセージM3と、源泉徴収票の再発行が必要な退職者の社員CDに関する情報M4と、源泉徴収票の再発行が必要な退職者の社員CDの詳細な情報を表示する詳細ボタンB1と、メッセージM3を確認したことの入力を受け付けるOKボタンB2と、が含まれる。なお、給与業務担当者H1は、メッセージM3の内容を確認後、入力装置112を介して源泉徴収票管理装置100に源泉徴収票の再発行可能な画面へ遷移させ、源泉徴収票の再発行を行ってもよい。
【0062】
図8に戻り、ステップS15以降の説明を続ける。
更新部102eは、中途年調登録されているデータを削除し、年間の支給状況を見直した中途年調を再登録して更新する(ステップS15)。
【0063】
図18は、更新部102eによる更新後の状況とその後の判定の概要の一例を示す図である。
【0064】
図18に示すように、更新部102eは、既に年末調整データテーブルT41に登録されている社員CD「10005」に対応する対象年月「2023/05」の処理区分「3:中途年調」、税額表区分「1:甲欄」および年間課税総額「1,200,000」の行を削除する。そして、更新部102eは、年末調整データテーブルT41に、対象年月「2023/06」に、新たに1月~5月分の給与に対する処理区分「3:中途年調」、税額表区分「1:甲欄」、社員CD「10005」および年間課税総額「1,200,000」を対応付けて更新し、かつ、対象年月「2023/06」に、新たに6月分の賞与に対する処理区分「3:中途年調」、税額表区分「1:乙欄」、社員CD「10005」および年間課税総額「400,000」を対応付けて更新する。これにより、源泉徴収票を発行後に、退職者H2に賞与(一時金)等の給与が発生した場合であっても、退職者H2への源泉徴収票の再発行の忘れを防止することができる。その後、7月以降に新たな支給が発生しない場合、判定部102aによる判定対象から除外される。
【0065】
以上説明した実施形態によれば、判定部102aによって給与賞与計算の計算処理を行い、その計算処理後の結果に対応する給与対象年月マスタ106aの当年1月以降、現在の対象年月以前であって、現在の対象年月に対応する対象年月に休職退職区分が在籍から退職となった社員CDに対して、給与対象年月マスタ106aの当年1月以降、現在の対象年月以前に対応する対象年月の処理区分に年度途中の年末調整を示す中途年調が存在しないと判定された場合、出力制御部102dによって休職退職区分が在籍から退職となった社員CDに対して、源泉徴収票が未発行である旨の警告を出力されるため、退職者H2への源泉徴収票の発行忘れを防止することができる。
【0066】
また、実施形態によれば、判定部102aによって賞与対象年月マスタ106bの当年1月以降における年末調整データ106dの処理区分に中途年調が存在する退社した社員CDに対して新たな支給が発生したと判定された場合、出力制御部102dによって中途年調が存在する退社した社員CDに対して、源泉徴収票の再発行が必要である旨の警告を出力するため、源泉徴収票を発行後に、退職者H2に賞与(一時金)等の給与が発生した場合であっても、退職者H2への源泉徴収票の発行忘れを防止することができる。
【0067】
また、実施形態によれば、出力制御部102dによって源泉徴収票が未発行である社員または源泉徴収票の再発行が必要となった退職した社員に関する情報を出力するため、給与業務担当者H1はモニタ114に表示される内容から社員の情報を直感的に把握することができる。
【0068】
また、実施形態によれば、更新部102eによって中途年調が存在する退職した社員CDに対して、源泉徴収票の再発行が行われた場合、年末調整データ106dにおける中途年調が存在する退職した社員CDに対応する直前の中途年調を削除し、かつ、互いに異なる税額表区分の中途年調を再登録して年末調整データを更新するため、源泉徴収票を発行後に、退職者H2に賞与(一時金)等の給与が発生した場合であっても、退職者H2へ源泉徴収票の発行したことを登録することができる。
【0069】
[4.国連が主導する持続可能な開発目標(SDGs)への貢献]
本実施形態により、業務効率化や企業の適切な経営判断を推進することに寄与することができるので、SDGsの目標8および9に貢献することが可能となる。
【0070】
また、本実施形態により、廃棄ロス削減や、ペーパレス・電子化を推進することに寄与することができるので、SDGsの目標12、13および15に貢献することが可能となる。
【0071】
また、本実施形態により、統制、ガバナンス強化に寄与することができるので、SDGsの目標16に貢献することが可能となる。
【0072】
[5.他の実施形態]
本発明は、上述した実施形態以外にも、特許請求の範囲に記載した技術的思想の範囲内において種々の異なる実施形態にて実施されてよいものである。
【0073】
例えば、実施形態において説明した各処理のうち、自動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部を手動的に行うこともでき、あるいは、手動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部を公知の方法で自動的に行うこともできる。
【0074】
また、本明細書中や図面中で示した処理手順、制御手順、具体的名称、各処理の登録データや検索条件等のパラメーターを含む情報、画面例、データベース構成については、特記する場合を除いて任意に変更することができる。
【0075】
また、源泉徴収票管理装置100に関して、図示の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。
【0076】
例えば、源泉徴収票管理装置100が備える処理機能、特に制御部にて行われる各処理機能については、その全部または任意の一部を、CPUおよび当該CPUにて解釈実行されるプログラムにて実現してもよく、また、ワイヤードロジックによるハードウェアとして実現してもよい。なお、プログラムは、本実施形態で説明した処理を情報処理装置に実行させるためのプログラム化された命令を含む一時的でないコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録されており、必要に応じて源泉徴収票管理装置100に機械的に読み取られる。すなわち、ROMまたはHDD(Hard Disk Drive)などの記憶部などには、OSと協働してCPUに命令を与え、各種処理を行うためのコンピュータプログラムが記録されている。このコンピュータプログラムは、RAMにロードされることによって実行され、CPUと協働して制御部を構成する。
【0077】
また、このコンピュータプログラムは、源泉徴収票管理装置100に対して任意のネットワークを介して接続されたアプリケーションプログラムサーバに記憶されていてもよく、必要に応じてその全部または一部をダウンロードすることも可能である。
【0078】
また、本実施形態で説明した処理を実行するためのプログラムを、一時的でないコンピュータ読み取り可能な記録媒体に格納してもよく、また、プログラム製品として構成することもできる。ここで、この「記録媒体」とは、メモリーカード、USB(Universal Serial Bus)メモリ、SD(Secure Digital)カード、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、EPROM(Erasable Programmable Read Only Memory)、EEPROM(登録商標)(Electrically Erasable and Programmable Read Only Memory)、CD-ROM(Compact Disk Read Only Memory)、MO(Magneto-Optical disk)、DVD(Digital Versatile Disk)、および、Blu-ray(登録商標) Disc等の任意の「可搬用の物理媒体」を含むものとする。
【0079】
また、「プログラム」とは、任意の言語または記述方法にて記述されたデータ処理方法であり、ソースコードまたはバイナリコード等の形式を問わない。なお、「プログラム」は必ずしも単一的に構成されるものに限られず、複数のモジュールやライブラリとして分散構成されるものや、OSに代表される別個のプログラムと協働してその機能を達成するものをも含む。なお、実施形態に示した各装置において記録媒体を読み取るための具体的な構成および読み取り手順ならびに読み取り後のインストール手順等については、周知の構成や手順を用いることができる。
【0080】
記憶部に格納される各種のデータベース等は、RAM、ROM等のメモリ装置、ハードディスク等の固定ディスク装置、フレキシブルディスク、および、光ディスク等のストレージ手段であり、各種処理やウェブサイト提供に用いる各種のプログラム、テーブル、データベース、および、ウェブページ用ファイル等を格納する。
【0081】
また、源泉徴収票管理装置100は、既知のパーソナルコンピュータまたはワークステーション等の情報処理装置として構成してもよく、また、任意の周辺装置が接続された当該情報処理装置として構成してもよい。また、源泉徴収票管理装置100は、当該装置に本実施形態で説明した処理を実現させるソフトウェア(プログラムまたはデータ等を含む)を実装することにより実現してもよい。
【0082】
さらに、装置の分散・統合の具体的形態は図示するものに限られず、その全部または一部を、各種の付加等に応じてまたは機能負荷に応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することができる。すなわち、上述した実施形態を任意に組み合わせて実施してもよく、実施形態を選択的に実施してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0083】
本発明は、社員の入退社が多い業界業種、例えば小売業や派遣業において有用である。
【符号の説明】
【0084】
100 源泉徴収票管理装置
102 制御部
102a 判定部
102b 選択部
102c 取得部
102d 出力制御部
102e 更新部
104 通信インターフェース部
106 記憶部
106a 給与対象年月マスタ
106b 賞与対象年月マスタ
106c 給与支給月データ
106d 年末調整データ
108 入出力インターフェース部
112 入力装置
114 出力装置
200 サーバ
300 ネットワーク