(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024158186
(43)【公開日】2024-11-08
(54)【発明の名称】結束具
(51)【国際特許分類】
B65D 63/10 20060101AFI20241031BHJP
F16B 2/08 20060101ALI20241031BHJP
【FI】
B65D63/10 A
F16B2/08 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023073169
(22)【出願日】2023-04-27
(71)【出願人】
【識別番号】000243803
【氏名又は名称】未来工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079968
【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 光司
(72)【発明者】
【氏名】川端 誠規
【テーマコード(参考)】
3E085
3J022
【Fターム(参考)】
3E085BA06
3E085BB02
3E085BC08
3E085BD03
3E085BD08
3E085BE04
3J022DA12
3J022EA42
3J022EB14
3J022EC22
3J022ED25
3J022ED30
3J022FA05
3J022FB15
3J022GA03
3J022GA20
3J022GB45
(57)【要約】
【課題】 帯状部の先端を締結部の挿入路に簡単に位置合わせして挿入することができる、結束具を提供する。
【解決手段】 結束具2は、可撓性を有して被保持物1を取り囲む帯状部3と、その帯状部3の基端3a側に設けられた締結部4とを備える。締結部4は、帯状部3がその先端3bから挿入されて貫通する挿入路4aと、挿入された帯状部3に係合して、その帯状部3の反挿入方向への移動を規制する係合部4bとを有する。帯状部3には、係合部4bと係合する被係合部3cが、帯状部3の長手方向に複数並んで設けられる。帯状部3は、中間部で湾曲して折り返されて、その両端部側が間隔をあけて向かい合うように形成されている。そこで、帯状部3には、その帯状部3の先端3bが挿入路4aに臨むように帯状部3を折り曲げて、挿入路4a内へ先端3bを入り込ませるための、折り曲げ位置を示す表示部3dが形成されている。
【選択図】
図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被保持物を取り囲んで保持する結束具であって、
長手方向の少なくとも一部に可撓性を有して前記被保持物を取り囲む帯状部と、その帯状部の基端側に設けられた締結部とを備え、
前記締結部は、前記帯状部がその先端から挿入されて貫通する挿入路と、挿入された前記帯状部に係合して、その帯状部の反挿入方向への移動を規制する係合部とを有し、
前記帯状部には、前記係合部と係合する被係合部が、帯状部の長手方向に複数並んで設けられ、また、
前記帯状部は、中間部で湾曲して折り返されて、その両端部側が間隔をあけて向かい合うように形成されており、
前記帯状部には、その帯状部の先端が前記挿入路に臨むように帯状部を折り曲げて、前記挿入路内へ前記先端を入り込ませるための、折り曲げ位置を示す表示部が形成されている、結束具。
【請求項2】
前記帯状部の湾曲した湾曲部に対し、前記帯状部の先端よりも、前記挿入路が離れた位置にあり、
前記表示部は、前記帯状部の、湾曲部と基端との間に形成されている、請求項1に記載の結束具。
【請求項3】
前記帯状部を前記表示部の位置で折り曲げて、前記帯状部をその先端から前記挿入路に入れ始めるときの、前記帯状部の先端側と基端側とで作る角度が鋭角となるように、前記表示部が設けられている、請求項2に記載の結束具。
【請求項4】
前記帯状部の先端部分は、内側に曲がって傾斜している、請求項3に記載の結束具。
【請求項5】
前記被係合部は、前記帯状部の内側の面に形成され、前記係合部は、前記挿入路における前記帯状部の基端がある側に形成されている、請求項3に記載の結束具。
【請求項6】
前記表示部は、隣接する両側に対して、帯状部の幅が狭い幅狭部、あるいは、帯状部の厚さが薄い薄肉部からなる、請求項1ないし5のいずれか1項に記載の結束具。
【請求項7】
前記帯状部は、その帯状部の長手方向において、隣接する箇所よりも幅広となった幅広部を備え、その隣接する箇所と幅広部との境界部分が、前記表示部となっている、請求項1ないし5のいずれか1項に記載の結束具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、被保持物を取り囲んで保持する結束具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、ケーブルを保持するためにバンド状に形成された固定具があった(例えば、特許文献1参照)。
図13に示すように、この固定具10は、コの字形状をしており、その対向する片が、第1バンド片11と第2バンド片12とからなっていた。ここで、第1バンド片11には、内側面に、長手方向に並ぶ多数の小被引掛片11a、11aが設けられ、第2バンド片12には、その先端に引掛用小角筒部13が設けられていた。そして、引掛用小角筒部13内の穴部13aには、穴部13aに通された第1バンド片11の小被引掛片11aを引っ掛けるための引掛片(図示せず)が設けられていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、前記従来の固定具にあっては、第1バンド片11の先端(自由端)を第2バンド片12に設けられた引掛用小角筒部13の穴部13aに通すために、第1バンド片11の先端を穴部13aに位置合わせする必要があり、その位置合わせが手間であった。
【0005】
この発明は、上記した従来の欠点を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、帯状部の先端を締結部の挿入路に簡単に位置合わせして挿入することができる、結束具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明に係る結束具は、前記目的を達成するために、次の構成からなる。すなわち、
請求項1に記載の発明に係る結束具は、被保持物を取り囲んで保持する結束具であって、長手方向の少なくとも一部に可撓性を有して前記被保持物を取り囲む帯状部と、その帯状部の基端側に設けられた締結部とを備える。ここで、前記締結部は、前記帯状部がその先端から挿入されて貫通する挿入路と、挿入された前記帯状部に係合して、その帯状部の反挿入方向への移動を規制する係合部とを有する。一方、前記帯状部には、前記係合部と係合する被係合部が、帯状部の長手方向に複数並んで設けられている。また、前記帯状部は、中間部で湾曲して折り返されて、その両端部側が間隔をあけて向かい合うように形成されている。そして、前記帯状部には、その帯状部の先端が前記挿入路に臨むように帯状部を折り曲げて、前記挿入路内へ前記先端を入り込ませるための、折り曲げ位置を示す表示部が形成されている。
【0007】
この結束具によると、結束具は、帯状部を備え、その帯状部で被保持物を取り囲んで保持する。そして、帯状部は、中間部で湾曲して折り返されて、その両端部側が間隔をあけて向かい合うように形成されている。そして、帯状部には、表示部が設けられており、その表示部の位置で帯状部を折り曲げると、帯状部の先端が、帯状部の基端側に設けられた締結部の挿入路に臨み、そのまま、挿入路内に入り込む。そして、締結部には、係合部が設けられており、その係合部が、帯状部に設けられた被係合部に係合して、帯状部は、挿入路に対し抜け止めされる。
【0008】
また、請求項2に記載の発明に係る結束具は、請求項1に記載の結束具において、前記帯状部の湾曲した湾曲部に対し、前記帯状部の先端よりも、前記挿入路が離れた位置にあり、前記表示部は、前記帯状部の、湾曲部と基端との間に形成されている。
【0009】
また、請求項3に記載の発明に係る結束具は、請求項2に記載の結束具において、前記帯状部を前記表示部の位置で折り曲げて、前記帯状部をその先端から前記挿入路に入れ始めるときの、前記帯状部の先端側と基端側とで作る角度が鋭角となるように、前記表示部が設けられている。
【0010】
また、請求項4に記載の発明に係る結束具は、請求項3に記載の結束具において、前記帯状部の先端部分は、内側に曲がって傾斜している。
【0011】
また、請求項5に記載の発明に係る結束具は、請求項3に記載の結束具において、前記被係合部は、前記帯状部の内側の面に形成され、前記係合部は、前記挿入路における前記帯状部の基端がある側に形成されている。
【0012】
また、請求項6に記載の発明に係る結束具は、請求項1ないし5のいずれか1項に記載の結束具において、前記表示部は、隣接する両側に対して、帯状部の幅が狭い幅狭部、あるいは、帯状部の厚さが薄い薄肉部からなる。
【0013】
また、請求項7に記載の発明に係る結束具は、請求項1ないし5のいずれか1項に記載の結束具において、前記帯状部は、その帯状部の長手方向において、隣接する箇所よりも幅広となった幅広部を備え、その隣接する箇所と幅広部との境界部分が、前記表示部となっている。
【発明の効果】
【0014】
この発明に係る結束具によれば、帯状部に設けられた表示部の位置で、帯状部を折り曲げることで、帯状部の先端を締結部の挿入路に簡単に位置合わせして挿入することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】この発明の一実施の形態の、結束具の斜視図である。
【
図4】同じく、
図3におけるA-A線による断面図である。
【
図5】同じく、結束具を被保持物の裏側に掛け回したときの斜視図である。
【
図6】同じく、帯状部を表示部の位置で折り曲げ始めたときの斜視図である。
【
図8】同じく、帯状部を表示部の位置に折り曲げて、帯状部の先端が挿入路に臨んだときの斜視図である。
【
図10】同じく、帯状部を挿入路に挿入し、係合部が被係合部に係合したとのき要部拡大断面図である。
【
図11】この発明の他の実施の形態の、結束具の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、この発明を実施するための形態を図面に基づいて説明する。
【0017】
図1~
図10は、本発明の一実施の形態を示す。図中符号1は、被保持物を示す。2は、前記被保持物1を取り囲んで保持する結束具を示す。
【0018】
結束具2は、長手方向の少なくとも一部に(図示実施の形態においては、全体に渡って)可撓性を有して被保持物1を取り囲む帯状部3と、その帯状部3の基端3a側に設けられた締結部4とを備える。締結部4は、帯状部3がその先端3bから挿入されて貫通する挿入路4aと、挿入された帯状部3に係合して、その帯状部3の反挿入方向への移動を規制する係合部4bとを有する。そこで、帯状部3には、係合部4bと係合する被係合部3cが、帯状部3の長手方向に複数並んで設けられている。
【0019】
ここで、帯状部3は、中間部で湾曲して折り返されて、その両端部側が間隔をあけて向かい合うように形成されている。そして、帯状部3には、その帯状部3の先端3bが前記挿入路4aに臨むように帯状部3を折り曲げて、挿入路4a内へ帯状部3の先端3bを入り込ませるための、折り曲げ位置を示す表示部3dが形成されている。つまり、結束具2は、帯状部3を表示部3dの位置で折り曲げることで、帯状部3の先端3bが挿入路4aに臨むように、先端3bと挿入路4aと表示部3dの相対位置が定められている。
【0020】
詳細には、帯状部3の湾曲した湾曲部3eに対し、帯状部3の先端3bよりも、挿入路4aが離れた位置(遠い位置)にある。そして、表示部3dは、帯状部3の、湾曲部3eと基端3aとの間に形成されている。また、帯状部3を表示部3dの位置で折り曲げて、帯状部3をその先端3bから挿入路4aに入れ始めるときの、帯状部3の先端3b側と基端3a側とで作る角度3f(
図9参照)が鋭角となるように、表示部3dが設けられている。
【0021】
より詳細には、帯状部3の先端部分3gは、内側(つまり、帯状部3の基端3aがある側)に曲がって傾斜している。そして、被係合部3cは、帯状部3の内側の面に形成され、係合部4bは、前記挿入路4aにおける帯状部3の基端3aがある側に形成されている。
【0022】
具体的には、被保持物1は、配線材とか配管材等の長尺材からなり、結束具2を巻き付けることで、それらの複数本が束ねられたり、結束具2を、長尺材とともに固定部(図示せず)に巻き付けることで、長尺材が固定部に止められたりする。もっとも、被保持物1は、長尺材に限らず、結束具2を巻き付けることができれば、どのようなものでもよい。なお、
図5~
図9では、被保持物1として、複数本の配線材を簡略化して円柱で示している。
【0023】
結束具2は、合成樹脂製であって、その合成樹脂により一体に形成されている。もっとも、結束具2は、一部または全部が繊維・金属等、その他の材料からなってもよく、また、複数の部材が組み合わされて形成されてもよい。ここで、帯状部3は、前述したように、その全体に渡って可撓性を有する。この帯状部3は、その帯状部3の長手方向において、隣接する箇所よりも幅広となった幅広部3hを備え、その隣接する箇所と幅広部3hとの境界部分が、前記表示部3dとなる。図示実施の形態においては、幅広部3hは、帯状部3の湾曲部3eと基端3aとの間の、基端3a寄りの位置にあって、表示部3dは、幅広部3hの、湾曲部3e側の端からなる。また、前記被係合部3cは、帯状部3の長手方向の大半に渡って設けられる。図示実施の形態においては、被係合部3cは、先端部分3gと、幅広部3hと、その幅広部3hから基端3aまでの間を除いて設けられている。そして、被係合部3cが設けられた部分(詳しくは、被係合部3cが設けられた部分と先端部分3gの一部)には、帯状部3の長手方向に延びる補強リブ3iが設けられる。
【0024】
締結部4は、略直方体形状に形成されている。この締結部4は、一の面4cが、帯状部3の内側の面と面一となるように設けられる。前記挿入路4aは、帯状部3の基端部分の板厚方向において、締結部4を貫通するように設けられ、この挿入路4aにおいて、帯状部3が挿入される入り口4dが、一の面4c側(つまり、帯状部3の先端3bがある側)に設けられる。そして、前記係合部4bは、この挿入路4a内に設けられる。図示実施の形態においては、挿入路4aの入り口4dよりも奥側に先端部分を有する突出部4eが、挿入路4aにおける帯状部3の基端3aがある側に設けられ、その突出部4eの先端部分に、前記係合部4bが形成される。
【0025】
次に、以上の構成からなる結束具2の作用効果について説明する。この結束具2は、帯状部3を備え、その帯状部3で被保持物1を取り囲んで保持する。そして、帯状部3は、中間部で湾曲して折り返されて、その両端部側が間隔をあけて向かい合うように形成されている。そして、帯状部3には、表示部3dが設けられており、その表示部3dの位置で帯状部3を折り曲げると、帯状部3の先端3bが、帯状部3の基端3a側に設けられた締結部4の挿入路4aに臨み、そのまま、挿入路4a内に入り込む。すなわち、帯状部3に設けられた表示部3dの位置で、帯状部3を折り曲げることで、帯状部3の先端3bを締結部4の挿入路4aに簡単に位置合わせして挿入することができ、作業性がよい。特に、片手で操作できるので、被保持物1を別の手でまとめ掴んだ状態でも、帯状部3をループ状に変形操作することができる。
【0026】
ここで、帯状部3を、表示部3dの位置で折り曲げて挿入路4aに挿入したとき、そのまま、帯状部3の先端3bが挿入路4aから突き出るまで挿入できるのが望ましい。図示実施の形態においては、帯状部3の先端部分3gは、先細り形状(先端3bに向かうほど幅狭となる形状)に形成され、また、その先端部分3gには、被係合部3cが設けられていないことから、先端3bが挿入路4aから突き出るまでの帯状部3の挿入が容易となっており、その突き出た先端3bを指で摘んで引っ張ることができる。
【0027】
そして、締結部4(詳しくは、挿入路4a)には、係合部4bが設けられており、その係合部4bが、帯状部3に設けられた被係合部3cに係合して、帯状部3は、挿入路4aに対し抜け止めされ、被保持物1が保持される。
【0028】
また、帯状部3の湾曲部3eに対し、帯状部3の先端3bよりも、挿入路4a(つまり、締結部4)が離れた位置(遠い位置)にあることから、締結部4を把持して、先端3b側を被保持物1の裏側に掛け回す作業がやりやすい(
図5参照)。
【0029】
また、帯状部3の先端部分3gは、内側に曲がって傾斜している。このため、帯状部3を表示部3dの位置で折り曲げたときに、帯状部3の先端3bが挿入路4aに入り込みやすい。
【0030】
また、帯状部3を表示部3dの位置で折り曲げて、帯状部3をその先端3bから挿入路4aに入れ始めるときの、帯状部3の先端3b側と基端3a側とで作る角度3fが鋭角となっており、さらに帯状部3を折り曲げたとき、前記角度3fが直角側に変化する。このため、帯状部3を挿入路4aにスムーズに通すことができる。また、前記角度3fが鋭角であることに加えて、挿入路4aにおいて、突出部4eの先端部分や係合部4bが、入り口4dよりも奥側の、帯状部3の基端3aがある側に設けられることで、突出部4eや係合部4bが、帯状部3の先端3bの挿入路4aへの進入の邪魔になりにくい(
図9参照)。
【0031】
なお、本発明は、上述した実施の形態に限定されるわけではなく、その他種々の変更が可能である。例えば、帯状部3は、長手方向の全体に渡って可撓性を有するが、部分的に、可撓性を有さない箇所があってもよい。
【0032】
また、帯状部3は、表示部3dの位置で、他と比べて折れ曲がりやすい形状を有していないが、表示部3dは、隣接する両側に対して、帯状部3の幅が狭い幅狭部、あるいは、帯状部3の厚さが薄い薄肉部からなって、折り曲げやすい形状を有してもよく、また、表示部3dに目立つ色彩を付すなどして表示部3dの位置が認識しやすいようにしてもよい。
図11~
図12に示す結束具2は、表示部3dが、幅狭部3jからなり、また、幅方向に延びる横溝3kによって形成された薄肉部3mからなっている。そして、この表示部3dのある部分は、挿入路4aを通ることが可能であり、表示部3dのある部分を越えた部分に、被係合部3cが設けられれば、帯状部3をさらに小さく締め込むことができる。
【0033】
また、帯状部3の先端部分3gは、内側に曲がって傾斜しているが、内側に曲がっていなくてもよい。
【符号の説明】
【0034】
1 被保持物
2 結束具
3 帯状部
3a 基端
3b 先端
3c 被係合部
3d 表示部
3e 湾曲部
3f 角度
3g 先端部分
3h 幅広部
4 締結部
4a 挿入路
4b 係合部