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特開2024-158199情報処理システム、情報処理方法及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024158199
(43)【公開日】2024-11-08
(54)【発明の名称】情報処理システム、情報処理方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06F 16/9035 20190101AFI20241031BHJP
   G06Q 10/107 20230101ALI20241031BHJP
   H04M 3/42 20060101ALI20241031BHJP
   H04L 51/214 20220101ALI20241031BHJP
【FI】
G06F16/9035
G06Q10/107
H04M3/42 B
H04L51/214
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023073188
(22)【出願日】2023-04-27
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-07-18
(71)【出願人】
【識別番号】519259205
【氏名又は名称】株式会社コミュニティオ
(74)【代理人】
【識別番号】110003339
【氏名又は名称】弁理士法人南青山国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】石川 暁
(72)【発明者】
【氏名】竹田 光孝
(72)【発明者】
【氏名】飯田 渉
【テーマコード(参考)】
5B175
5K201
5L010
5L049
【Fターム(参考)】
5B175HA01
5K201BA05
5K201CA08
5K201CA09
5K201CB07
5K201CC01
5K201CC10
5K201DC04
5K201EC06
5K201ED07
5K201EF10
5K201FB01
5L010AA11
5L049AA11
(57)【要約】
【課題】一斉配信されたメッセージの不必要な再配信を削減すること。
【解決手段】情報処理システムは、制御部を有する。当該制御部は、送信者端末からの要求に基づいて所定のユーザグループに属する複数のユーザ全てを宛先ユーザとしてメッセージを一斉配信する。また制御部は、前記メッセージに対する前記ユーザのリアクションに応じて所定のアルゴリズムにより当該ユーザ毎のパラメータを算出し、前記算出したパラメータを基に、前記全てのユーザの中から、前記メッセージを再配信する宛先となる宛先ユーザ、または、前記メッセージに関連するメッセージを配信する宛先となる宛先ユーザを選択し、前記選択した宛先ユーザへ前記メッセージを再配信し、または、前記関連するメッセージを配信する。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
送信者端末からの要求に基づいて所定のユーザグループに属する複数のユーザ全てを宛先ユーザとしてメッセージを一斉配信し、
前記メッセージに対する前記ユーザのリアクションに応じて所定のアルゴリズムにより当該ユーザ毎のパラメータを算出し、
前記算出したパラメータを基に、前記全てのユーザの中から、前記メッセージを再配信する宛先となる宛先ユーザ、または、前記メッセージに関連するメッセージを配信する宛先となる宛先ユーザを選択し、
前記選択した宛先ユーザへ、前記メッセージを再配信し、または、前記関連するメッセージを配信する、
制御部
を具備する情報処理システム。
【請求項2】
請求項1に記載の情報処理システムであって、
前記制御部は、前記選択した宛先ユーザへの前記メッセージの再配信をレコメンドし当該再配信要求を受け付け可能なレコメンド画面を生成して前記送信者端末へ送信し、当該レコメンド画面から前記再配信要求を受け付けた場合に前記メッセージを再配信する
情報処理システム。
【請求項3】
請求項1または2に記載の情報処理システムであって、
前記制御部は、前記一斉配信されたメッセージに対する各ユーザのユーザ端末上でのアクティビティに応じたアクティビティ値と、当該メッセージの属性に応じた属性値とを算出し、当該アクティビティ値と属性値とに基づいて前記パラメータを算出する
情報処理システム。
【請求項4】
請求項3に記載の情報処理システムであって、
前記制御部は、前記一斉配信されたメッセージを前記ユーザが開封するまでに要した時間、開封した回数、開封後に表示させた時間、またはメッセージ中に設定されたハイパーリンクを押下した回数に基づいて前記アクティビティ値を算出する
情報処理システム。
【請求項5】
請求項3に記載の情報処理システムであって、
前記制御部は、前記一斉配信されたメッセージの重要度、緊急度、メッセージ内容のカテゴリ、または配信元に関する情報に基づいて前記属性値を算出する
情報処理システム。
【請求項6】
請求項3に記載の情報処理システムであって、
前記制御部は、前記一斉配信されたメッセージよりも前に一斉配信されたメッセージに対する各ユーザの前記アクティビティに応じたアクティビティ履歴値にさらに基づいて前記パラメータを算出する
情報処理システム。
【請求項7】
請求項1に記載の情報処理システムであって、
前記制御部は、過去に一斉配信されたメッセージに対する前記ユーザのリアクションに応じて算出されたパラメータに応じて、前記所定のユーザグループに属するユーザを決定する
情報処理システム。
【請求項8】
請求項1に記載の情報処理システムであって、
前記制御部は、過去に配信されたメッセージに対する前記リアクションを示すデータを基に畳み込みニューラルネットワークをトレーニングして、前記所定のアルゴリズムとして前記パラメータの算出モデルを生成し、当該算出モデルを用いて、前記一斉配信されたメッセージに対する前記ユーザのリアクションを示すデータを基に前記パラメータを算出する
情報処理システム。
【請求項9】
送信者端末からの要求に基づいて所定のユーザグループに属する複数のユーザ全てを宛先ユーザとしてメッセージを一斉配信し、
前記メッセージに対する前記ユーザのリアクションが複数の条件を満たすか否かをユーザ毎に判定し、
前記判定の結果に応じて、前記全てのユーザの中から、前記メッセージを再配信する宛先となる宛先ユーザ、または、前記メッセージに関連するメッセージを配信する宛先となる宛先ユーザを選択し、
前記選択した宛先ユーザへ前記メッセージを再配信し、または、前記関連するメッセージを配信する、
制御部
を具備する情報処理システム。
【請求項10】
送信者端末からの要求に基づいて所定のユーザグループに属する複数のユーザ全てを宛先ユーザとしてメッセージを一斉配信し、
前記メッセージに対する前記ユーザのリアクションに応じて所定のアルゴリズムにより当該ユーザ毎のパラメータを算出し、
前記算出したパラメータを基に、前記全てのユーザの中から、前記メッセージを再配信する宛先となる宛先ユーザ、または、前記メッセージに関連するメッセージを配信する宛先となる宛先ユーザを選択し、
前記選択した宛先ユーザへ前記メッセージを再配信し、または、前記関連するメッセージを配信する、
情報処理方法。
【請求項11】
情報処理装置に、
送信者端末からの要求に基づいて所定のユーザグループに属する複数のユーザ全てを宛先ユーザとしてメッセージを一斉配信するステップと、
前記メッセージに対する前記ユーザのリアクションに応じて所定のアルゴリズムにより当該ユーザ毎のパラメータを算出するステップと、
前記算出したパラメータを基に、前記全てのユーザの中から、前記メッセージを再配信する宛先となる宛先ユーザ、または、前記メッセージに関連するメッセージを配信する宛先となる宛先ユーザを選択するステップと、
前記選択した宛先ユーザへ前記メッセージを再配信し、または、前記関連するメッセージを配信するステップと、
を実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のメンバーにメッセージを一斉配信することが可能な情報処理システム、情報処理方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、あるグループに属するユーザの全てに対してメッセージを一斉配信することが行われてきた。例えば下記特許文献1には、企業において、社内メールサーバから全社員にメールを一斉配信し、社員がそれぞれのスマートデバイスでそれを受信することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第6202650号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、電子メールで一斉配信がなされる場合、他の業務メールに埋もれてその内容が周知されず、何度も一斉配信を繰り返さなくてはならなくなり、その一方で既にそのメールを開封して対応済みのユーザは何度も一斉配信メールが送られてくるたびに不快感を覚えることになり、そのようなメールを開封することに抵抗が出てきてしまう。
【0005】
以上のような事情に鑑み、本発明の目的は、一斉配信されたメッセージの不必要な再配信または当該メッセージに関連するメッセージの不必要な配信を削減することが可能な情報処理システム、情報処理方法及びプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明の一形態に係る情報処理システムは、制御部を有する。当該制御部は、送信者端末からの要求に基づいて所定のユーザグループに属する複数のユーザ全てを宛先ユーザとしてメッセージを一斉配信する。また制御部は、前記メッセージに対する前記ユーザのリアクションに応じて所定のアルゴリズムにより当該ユーザ毎のパラメータを算出し、前記算出したパラメータを基に、前記全てのユーザの中から、前記メッセージを再配信する宛先となる宛先ユーザ、または、前記メッセージに関連するメッセージを配信する宛先となる宛先ユーザを選択し、前記選択した宛先ユーザへ前記メッセージを再配信し、または、前記関連するメッセージを配信する。
【0007】
この構成により情報処理システムは、一斉配信されたメッセージに対するユーザのリアクションに応じてユーザを抽出してメッセージを再配信または関連するメッセージを配信するため、一斉配信されたメッセージの不必要な再配信または当該メッセージに関連するメッセージの不必要な配信を削減することができる。
【0008】
前記制御部は、前記選択した宛先ユーザへの前記メッセージの再配信をレコメンドし当該再配信要求を受け付け可能なレコメンド画面を生成して前記送信者端末へ送信し、当該レコメンド画面から前記再配信要求を受け付けた場合に前記メッセージを再配信してもよい。
【0009】
この構成により情報処理システムは、メッセージを再配信すべきユーザを送信者に把握させることができる。
【0010】
前記制御部は、前記一斉配信されたメッセージに対する各ユーザのユーザ端末上でのアクティビティに応じたアクティビティ値と、当該メッセージの属性に応じた属性値とを算出し、当該アクティビティ値と属性値とに基づいて前記パラメータを算出してもよい。
【0011】
この構成により情報処理システムは、再配信すべきユーザにメッセージを自動的に再配信することで、送信者の手間を削減することができる。
【0012】
前記制御部は、前記一斉配信されたメッセージを前記ユーザが開封するまでに要した時間、開封した回数、開封後に表示させた時間、またはメッセージ中に設定されたハイパーリンクを押下した回数に基づいて前記アクティビティ値を算出してもよい。
【0013】
この構成により情報処理システムは、一斉配信されたメッセージに対するユーザの関心度を判定し、関心のあるユーザのみにメッセージを再配信することができる。
【0014】
前記制御部は、前記一斉配信されたメッセージの重要度、緊急度、メッセージ内容のカテゴリ、または配信元に関する情報に基づいて前記属性値を算出してもよい。
【0015】
この構成により情報処理システムは、一斉配信されたメッセージに関連性の高いユーザのみにメッセージを再配信することができる。
【0016】
前記制御部は、前記一斉配信されたメッセージよりも前に一斉配信されたメッセージに対する各ユーザの前記アクティビティに応じたアクティビティ履歴値にさらに基づいて前記パラメータを算出してもよい。
【0017】
この構成により情報処理システムは、過去のメッセージに対するユーザのリアクションも加味することでメッセージを再配信すべきユーザを高精度に選択することができる。
【0018】
前記制御部は、過去に一斉配信されたメッセージに対する前記ユーザのリアクションに応じて算出されたパラメータに応じて、前記所定のユーザグループに属するユーザを決定してもよい。
【0019】
この構成により情報処理システムは、メッセージを一斉配信すべきユーザグループのユーザを事前に絞り込むことができる。
【0020】
前記制御部は、過去に配信されたメッセージに対する前記リアクションを示すデータを基に畳み込みニューラルネットワークをトレーニングして、前記所定のアルゴリズムとして前記パラメータの算出モデルを生成し、当該算出モデルを用いて、前記一斉配信されたメッセージに対する前記ユーザのリアクションを示すデータを基に前記パラメータを算出してもよい。
【0021】
この構成により、パラメータの算出処理を高速化することができ、宛先ユーザの増加等により演算量が膨大になった場合にも対応可能となる。
【0022】
本発明の他の形態に係る情報処理システムは、制御部を具備する。当該制御部は、送信者端末からの要求に基づいて所定のユーザグループに属する複数のユーザ全てを宛先ユーザとしてメッセージを一斉配信する。また制御部は、前記メッセージに対する前記ユーザのリアクションが複数の条件を満たすか否かをユーザ毎に判定し、前記判定の結果に応じて、前記全てのユーザの中から、前記メッセージを再配信する宛先となる宛先ユーザ、または、前記メッセージに関連するメッセージを配信する宛先となる宛先ユーザを選択し、前記選択した宛先ユーザへ前記メッセージを再配信し、または、前記関連するメッセージを配信する。
【0023】
本発明の他の形態に係る情報処理方法は、
送信者端末からの要求に基づいて所定のユーザグループに属する複数のユーザ全てを宛先ユーザとしてメッセージを一斉配信し、
前記メッセージに対する前記ユーザのリアクションに応じて所定のアルゴリズムにより当該ユーザ毎のパラメータを算出し、
前記算出したパラメータを基に、前記全てのユーザの中から、前記メッセージを再配信する宛先となる宛先ユーザ、または、前記メッセージに関連するメッセージを配信する宛先となる宛先ユーザを選択し、
前記選択した宛先ユーザへ前記メッセージを再配信し、または、前記関連するメッセージを配信する、ことを含む。
【0024】
本発明のまた別の形態に係るプログラムは、情報処理装置に、
送信者端末からの要求に基づいて所定のユーザグループに属する複数のユーザ全てを宛先ユーザとしてメッセージを一斉配信するステップと、
前記メッセージに対する前記ユーザのリアクションに応じて所定のアルゴリズムにより当該ユーザ毎のパラメータを算出するステップと、
前記算出したパラメータを基に、前記全てのユーザの中から、前記メッセージを再配信する宛先となる宛先ユーザ、または、前記メッセージに関連するメッセージを配信する宛先となる宛先ユーザを選択するステップと、
前記選択した宛先ユーザへ前記メッセージを再配信し、または、前記関連するメッセージを配信するステップと、を実行させる。
【発明の効果】
【0025】
以上説明したように、本発明によれば、一斉配信されたメッセージの不必要な再配信を削減することができる。しかし、当該効果は本発明を限定するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】本発明の一実施形態に係るメッセージ配信システムの構成を示した図である。
図2】本発明の一実施形態に係る配信サーバのハードウェア構成を示した図である。
図3】本発明の一実施形態に係る配信サーバが有するデータベースの構成を示した図である。
図4】本発明の一実施形態に係るメッセージ配信システムによる、メッセージ再配信処理の流れを示したシーケンス図である。
図5】本発明の一実施形態に係る配信サーバがユーザ端末に提供するメッセージ配信内容作成画面の例を示した図である。
図6図4における関心度パラメータ算出処理の詳細な流れを示したフローチャートである。
図7図6の関心度パラメータ算出処理の具体例を示した図である。
図8】本発明の一実施形態に係る配信サーバがユーザ端末に提供するメッセージ再配信レコメンド画面の例を示した図である。
図9】本発明の他の実施形態における配信サーバによる自動再配信処理の条件について説明した図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態を説明する。
【0028】
[システムの構成]
図1は、本実施形態に係るメッセージ配信システムの構成を示した図である。
【0029】
同図に示すように、このシステムは、配信サーバ100と、各企業の複数のユーザ端末200とがインターネット50等のネットワークを介して接続されて構成されている。
【0030】
ユーザ端末200は、企業の従業員であるユーザにより利用される端末であり、例えばノートブックPC(Personal Computer)、デスクトップPC、スマートフォン、タブレットPC等である。
【0031】
ユーザ端末200には、各企業の従業員同士が業務におけるコミュニケーションのために利用するビジネスコミュニケーションツール20(以下単にビジネスツール20とも称する)がインストールされている。
【0032】
ビジネスコミュニケーションツール20とは例えばMicrosoft Teams(登録商標)やSlack(登録商標)といったグループウェア、メッセージングアプリ、グループチャットアプリ、ビジネス用のSNS(Social Networking Service)、メーラー等であるがこれらに限られない。本実施形態では、ビジネスツール20の一例としてMicrosoft Teams(登録商標)が使用される例を説明する。
【0033】
ビジネスツール20は、登録された従業員グループ間におけるチャット・通話機能、ビデオ会議機能、ファイル共有機能等を有する。またビジネスツール20は、複数のユーザからなるグループ(例えば企業の全社員、特定の部署の社員等)の全てのユーザに種々のメッセージを一斉配信する機能も有する。
【0034】
配信サーバ100は、上記ビジネスツール20を用いたユーザ端末200間の通信を仲介するとともに、上記一斉配信メッセージの配信元(配信者)のユーザ端末200からの依頼に基づいてメッセージを所定のユーザグループのユーザに一斉配信することが可能なサーバである。
【0035】
本実施形態において、配信サーバ100は、上記メッセージを上記ユーザグループの全ユーザに一斉配信したのち、メッセージに対する各ユーザのリアクションに応じて所定のアルゴリズムにより当該ユーザ毎の関心度パラメータを算出し、当該関心度パラメータに応じて、上記ユーザグループの全てのユーザの中から、メッセージを再配信する宛先となる宛先ユーザを選択し、当該選択した宛先ユーザへメッセージを再配信することが可能である。
【0036】
[配信サーバのハードウェア構成]
図2は、上記配信サーバ100のハードウェア構成を示した図である。同図に示すように、配信サーバ100は、CPU(Central Processing Unit)11、ROM(Read Only Memory)12、RAM(Random Access Memory)13、入出力インタフェース15、及び、これらを互いに接続するバス14を備える。
【0037】
CPU11は、必要に応じてRAM13等に適宜アクセスし、各種演算処理を行いながら配信サーバ100の各ブロック全体を統括的に制御する。ROM12は、CPU11に実行させるOS、プログラムや各種パラメータなどのファームウェアが固定的に記憶されている不揮発性のメモリである。RAM13は、CPU11の作業用領域等として用いられ、OS、実行中の各種アプリケーション、処理中の各種データを一時的に保持する。
【0038】
入出力インタフェース15には、表示部16、操作受付部17、記憶部18、通信部19等が接続される。
【0039】
表示部16は、例えばLCD(Liquid Crystal Display)、OELD(Organic ElectroLuminescence Display)、CRT(Cathode Ray Tube)等を用いた表示デバイスである。
【0040】
操作受付部17は、例えばマウス等のポインティングデバイス、キーボード、タッチパネル、その他の入力装置である。操作受付部17がタッチパネルである場合、そのタッチパネルは表示部16と一体となり得る。
【0041】
記憶部18は、例えばHDD(Hard Disk Drive)や、フラッシュメモリ(SSD;Solid State Drive)、その他の固体メモリ等の不揮発性メモリである。当該記憶部18には、上記OSや各種アプリケーション、各種データが記憶される。
【0042】
特に本実施形態では、記憶部18は、メッセージを一斉配信する宛先となるユーザに関する情報、当該メッセージに関する情報、及び当該ユーザの当該メッセージに対するリアクションに関する情報等を記憶するとともに、これらのデータを用いて配信サーバ100がメッセージ一斉配信処理を実行するためのアプリケーションその他のプログラムを記憶している。後述するが、記憶部18は、そのようなデータを含むデータベースとして、ユーザ情報データベース、配信情報データベース、及びパラメータ情報データベースを有している。
【0043】
通信部19は、例えばEthernet用のNIC(Network Interface Card)や無線LAN等の無線通信用の各種モジュールであり、上記ユーザ端末200との間の通信処理を担う。
【0044】
図示しないが、上記ユーザ端末200のハードウェア構成も上記配信サーバ100のハードウェア構成と同様である。
【0045】
[配信サーバのデータベース構成]
図3は、上記配信サーバ100が有するデータベースの構成を示した図である。
【0046】
同図に示すように、配信サーバ100は、記憶部18に、ユーザ情報データベース31、配信情報データベース32、及びパラメータ情報データベース33を有している。
【0047】
ユーザ情報データベース31は、各従業員のユーザ情報、すなわち、ユーザ名、ユーザID、役職、所属部署、入社年月日、年齢、性別、住所等の情報を記憶している。
【0048】
配信情報データベース32は、これまでに一斉配信されたメッセージ及びこれから配信されるメッセージを構成する情報(タイトル、本文、画像、宛先ユーザ)の他、メッセージの重要度、緊急度、分野(人事情報、会社状況に関する情報、健康診断のお知らせ、システムメンテナンスのお知らせ、セミナー開催のお知らせ、入社式開催のお知らせ、安否確認のお知らせ等)、配信者(社長等の経営層、人事部、IT部門の一般担当者等)、各メッセージのその他の属性情報も記憶している。
【0049】
パラメータ情報データベース33は、一斉配信されたメッセージに対するユーザのリアクションを示す情報(ユーザ・アクティビティ情報)、具体的には、メッセージを開封した回数、開封までに要した日数、開封後に表示させた時間、またはメッセージ中に設定されたハイパーリンクを押下した回数、配信のアーカイブの有無等の情報をユーザ毎に記憶している。さらにパラメータ情報データベース33は、上記ユーザ・アクティビティ情報と上記属性情報とを基に算出された関心度パラメータを示す情報もユーザ毎に記憶している。
【0050】
これら各データベースは、後述する配信サーバ100によるメッセージ一斉配信処理(及び再配信処理)において、必要に応じて相互に参照されて用いられる。
【0051】
[システムの動作]
次に、以上のように構成されたメッセージ配信システムの動作について説明する。当該動作は、配信サーバ100のCPU11及び通信部19等のハードウェアと、記憶部18に記憶されたソフトウェアとの協働により実行される。以下の説明では、配信サーバ100については、便宜上、CPU11を動作主体とする。
【0052】
図4は、本実施形態に係るメッセージ配信システムによる、メッセージ再配信処理の流れを示したシーケンス図である。上述したように、配信サーバ100は、ユーザグループの全ユーザを宛先としてメッセージを一斉配信し、当該メッセージに対するユーザのリアクションから所定のアルゴリズムによりユーザ毎の関心度パラメータを算出し、当該関心度パラメータを基に抽出されたユーザを宛先ユーザとして上記メッセージを再配信する。
【0053】
同図に示すように、まず、メッセージの配信者のユーザ端末200は、上記ビジネスツール20を用いて、一斉配信されるメッセージの宛先ユーザを決定するとともに、当該メッセージの内容を作成する(ステップ41)。宛先ユーザについては、メッセージ配信画面上で、例えば、「全社員」「〇〇部署全員」「新入社員全員」といった選択肢からユーザグループを選択することで決定可能である。
【0054】
またメッセージの内容は、ビジネスツール20が提供するメッセージ配信内容作成画面にて作成可能である。図5は、当該メッセージ配信内容作成画面の例を示した図である。
【0055】
同図に示すように、メッセージ配信内容作成画面は、タイトル入力欄71、本文入力欄72、画像入力欄73、緊急度チェック欄74、重要度チェック欄75、分野入力欄76、ユーザ絞り込みチェック欄77、シーケンス化チェック欄78及びプレビュー欄79を有する。
【0056】
タイトル入力欄71、本文入力欄72、画像入力欄73はそれぞれ、配信するメッセージのタイトル、本文、画像を入力する欄である。
【0057】
緊急度チェック欄74及び重要度チェック欄75は、それぞれ、メッセージの緊急度及び重要度が高いか否かをチェックの有無で入力する欄である。
【0058】
分野入力欄76は、メッセージ内容の分野(カテゴリ)を入力する欄であり、上述したように例えば人事情報、会社状況に関する情報、健康診断のお知らせ、システムメンテナンスのお知らせ、セミナー開催のお知らせ、入社式開催のお知らせ、安否確認のお知らせ等の情報が入力され得る。
【0059】
ユーザ絞り込みチェック欄77は、上記選択されたユーザグループのユーザの中から、当該メッセージ配信内容作成画面で作成中のメッセージの宛先を、関心度が高いと思われるユーザに絞り込んで配信することを配信者が希望する場合に使用するチェック欄である。
【0060】
当該ユーザ絞り込みチェック欄77がチェックされると、CPU11は、現在入力中の上記各欄の内容と類似する過去の配信メッセージへ高い関心度を示したユーザが宛先ユーザとして絞り込む。その具体的な手法としては、後述するメッセージ再配信時のアルゴリズムと同様のアルゴリズムが用いられる。
【0061】
シーケンス化チェック欄78は、後述するメッセージ再配信処理を配信サーバ100が自動的に実行することを配信者が希望する場合に使用するチェック欄である。
【0062】
プレビュー欄79は、上記タイトル入力欄71、本文入力欄72、画像入力欄73の内容を基にプレビュー画面を表示する欄である。
【0063】
図4に戻り、上記メッセージ配信内容作成画面によるメッセージ作成が完了すると、配信者のユーザ端末200は配信サーバ100へ、作成したメッセージの上記ユーザグループのユーザへの一斉配信要求を送信する(ステップ42)。当該一斉配信要求には、上記メッセージ配信内容作成画面により入力した各欄の情報及び配信者(メッセージ作成者)を示す情報が含まれる。
【0064】
配信サーバ100のCPU11は、当該メッセージ一斉配信要求を受信すると、当該配信要求に含まれるメッセージの宛先ユーザを特定する(ステップ43)。
【0065】
続いてCPU11は、上記特定した宛先ユーザへ、上記メッセージを一斉配信する(ステップ44)。
【0066】
続いてCPU11は、上記配信されたメッセージの属性(性質)を特定する(ステップ45)。メッセージの属性とは、例えばメッセージの重要度や緊急度、分野(人事情報、会社状況に関する情報等)、配信者(社長等の経営層、人事部、IT部門の一般担当者等)、タイトルや本文の分かりやすさ、見やすさ等であり、上記配信されたメッセージの各欄の情報から特定される。配信者については、例えば上記配信要求に含まれるユーザ名またはユーザIDから、当該ユーザの役職や部署が上記ユーザ情報データベース31から参照される。タイトルや本文の分かりやすさ、見やすさは、例えばタイトルに具体的な分野を示す語句が含まれているか否か、本文が長すぎないかといった所定の基準で判断される。なお当該属性の特定処理は、メッセージの一斉配信処理の前に実行されても構わない。
【0067】
続いて、上記配信されたメッセージに対して、宛先ユーザによるユーザ端末200上でのリアクションがあると(ステップ46)、CPU11は、当該リアクションに関する情報をユーザ・アクティビティ情報として取得する(ステップ47)。
【0068】
当該ユーザ・アクティビティ情報としては、メッセージ配信時(日)から開封するまでに要した時間(日数)、配信されたメッセージを表示させた回数、メッセージを表示させた総時間、メッセージに埋め込まれたハイパーリンクを押下した回数、同一メッセージを複数のデバイスで表示させたか否か、同一メッセージを複数のユーザ端末200で表示させたか否か、メッセージを個人でアーカイブしたか否か、といった情報が挙げられる。これらのアクティビティが各ユーザ端末200のビジネスツール20により検出されると、ビジネスツール20から配信サーバ100へその旨の通知が送信される。
【0069】
続いてCPU11は、上記ユーザ・アクティビティ情報を取得すると、それまでに記憶していたパラメータ情報データベース33内のユーザ・アクティビティ履歴情報を更新する(ステップ48)。
【0070】
続いてCPU11は、今回のメッセージ配信の直前に一斉配信されたメッセージに対する同一宛先ユーザのユーザ・アクティビティ履歴情報を取得する(ステップ49)。
【0071】
続いてCPU11は、上記取得したユーザ・アクティビティ情報、ユーザ・アクティビティ履歴情報、及びメッセージの属性情報を基に、ユーザ毎の関心度パラメータを算出する(ステップ50)。これは、メッセージに対するユーザの関心度は、メッセージに対するユーザのリアクション(ユーザ・アクティビティ)で測ることができる一方で、メッセージの属性(性質)にも関係すると考えられるためである。
【0072】
図6は、当該関心度パラメータ算出処理の詳細な流れを示したフローチャートである。また図7は、当該関心度パラメータ算出処理の具体例を示した図である。
【0073】
関心度パラメータを算出するためのアルゴリズムとしては、例えば内容ベースフィルタリングが挙げられる。図7に示すように、"メッセージの属性"を「配信行」、"ユーザ・アクティビティ"を「ユーザ行」とした特徴行列(簡略化のため要素を0と1に制限)で、ユーザ・アクティビティ履歴を表現し、「配信行」と「ユーザ行」のベクトルの内積の総和から関心度パラメータを算出する。
【0074】
配信行においては、メッセージの属性(性質)を0か1かで判定し、特徴行列として表現する。例えば「健康診断」「辞令」といったメッセージの分野に関する属性要素、「緊急」「不急」といったメッセージの緊急度に関する属性要素、「人事部」「総務部」といった配信者(配信元部署)に関する属性要素が設定され、各回のメッセージの属性が上記各属性要素の0または1の値(各属性に該当すれば1、該当しなければ0)で示されている。
【0075】
具体的には、例えば以下のように各要素の値が判定される。
(1)配信者が人事部に所属しているため、y_nの`人事部`要素の値を`1`とする。
(2)配信者が上記メッセージ配信内容作成画面上で配信の緊急度を緊急に指定していると、y_mの`緊急`要素の値を`1`とする。
(3)`すぐに`、`急いで`、`短納期`といった緊急度と相関ある言葉を予め定義しておき、メッセージのタイトルまたは本文におけるそれらの言葉の使用頻度に応じて緊急度を判断してもよい。例えば、使用頻度が3回を超える場合、y_mの`緊急`要素の値を`1`と判断できる。
(4)ChatGPTのような自然言語に対する生成系AIツールと連携し、配信内容を読み込ませてy_mの`緊急`項目の値を`1`または`0`と判断させてもよいし、システム管理者が主観的に判断してもよい。
(5)メッセージの分野、配信の分かりやすさ/見やすさについても、自然言語に対する生成系AIツールで判断してもよいし、システム管理者が主観的に判断してもよい。
【0076】
メッセージの各属性要素を0か1かで判定するには、配信者が配信時に上記メッセージ配信内容作成画面上で手動設定(配信の分野を記載する、緊急度の有無を設定する)してもよいし、配信情報(タイトル、本文、画像等)をChatGPTのような自然言語に対する生成系AIに読み込ませて自動設定してもよい。
【0077】
手動設定、自動設定いずれのケースでも、y_1(健康診断)、y_2(辞令)といった「配信行」の属性要素は運用上適切な方法で追加、削除できる。運用上適切な方法の一例として、システム管理者が年に一度棚卸をする方法、あるいは、以前の配信から一年以上経っても類似内容の配信が行われない項目をシステムが自動で削除する方法などが挙げられる。
【0078】
「配信行」の各要素に対して、適宜重みづけを設定してもよい。例えば、y_n+1の`総務部`要素の値を`1`としたとき、 ユーザの関心度が高い配信を行う人事部はy_nの`人事部`要素の値を`2`となるように実施することができる。当該重みは、少なくとも1つの要素について0に設定されてもよい。
【0079】
同様に、配信日が異なる同一項目の要素についても、適宜重みづけを実施してもよい。 例えば、y_mの`緊急`要素について、2023年3月4日の配信の値を`1`としたとき、2023年3月11日の配信の値を`2`となるようにシステム管理者が重みづけを実施してもよい。
【0080】
また、重みづけは統計処理を用いて実施することもできる。例えば、y_mの`緊急`要素について、メッセージ中の緊急度と相関ある言葉の使用頻度が平均が3回、標準偏差が1で正規分布していた場合、5回の使用頻度は5.4%と低い確率であり、3回の使用頻度を`1`としたとき、確率の逆数(=1÷0.054)で`18.5`と重みづけしてもよい。
【0081】
ユーザ行においては、メッセージに対するユーザ端末200のユーザのリアクション("ユーザ・アクティビティ")を0か1かで判定し、特徴行列として表現する。上記のメッセージの各属性要素に対するユーザ・アクティビティが、0または1の値(ユーザが各属性要素に関心があると判断されると1、関心がないと判断されると0)で示されている(アクティビティ値)。
【0082】
具体的には、例えば以下のように各要素の値が判定される。
(1)ユーザAが健康診断について関心があると予め指定することで、x_1_Aの1列目(`健康診断`要素)の値を`1`とする。
(2)ユーザAが健康診断に関するメッセージを3日以内に開封した場合(「開封までの日数」が3日以内)、x_1_Aの1列目(`健康診断`要素)の値を`1`とする。
(3)ユーザBが人事部から配信された辞令のメッセージを3回以上開封(表示)した場合、x_2_Bの`辞令`要素の値を`1`、x_n_Bの`人事部`要素の値を`1`とする。
(4)上記(1)ではメッセージの「開封までの日数」で値を判定したが、x_1_Aの1列目(`健康診断`要素)についてメッセージの「開封回数」で値を判定しても良く、3回以上開封(表示)した場合、x_1_Aの`健康診断`要素の値を`1`とする。どちらの要素で判定するかについては、システム管理者が適宜設定できる。
(5)上記(3)では「開封までの日数」、もしくは「開封回数」のどちらか1つで値を判定したが、「開封までの日数」と「開封回数」の2つで値を判定してもよい。つまり、ユーザがメッセージを3日以内に開封し、かつ、3回以上開封した場合、x_1_Aの`健康診断`要素の値を`1`とする。また、「表示時間」(例えば総計で1時間以上表示させていれば1、そうでなければ0)、「個別アーカイブの有無」(メッセージをアーカイブすれば1、しなければ0)等の別のユーザ・アクティビティを加えて3つ以上の複数の要素で値を判定してもよく、それらはシステム管理者が適宜設定できる。
(6)x_1(健康診断)は「開封までの日数」と「開封回数」の2つで値を判定し、x_2(事例)は「開封までの日数」、「開封回数」、「表示時間」、「個別アーカイブの有無」の4つで値を判定するというように、「ユーザ行」の項目ごとに、判定に用いるユーザ・アクティビティの要素数や種類が異なっていてもよく、それをシステム管理者が適宜設定できる。
【0083】
メッセージに対する"ユーザ・アクティビティ"を0か1かで判定するには、ユーザ自身による手動設定(興味がある分野を予め指定しておく等)でもよいし、配信に対するユーザのリアクションデータ(=ユーザ・アクティビティ)が予め定めた基準に達しているかどうかで自動設定してもよい。手動設定、自動設定いずれのケースでも、y_1(健康診断)、y_2(辞令)といった「配信行」の項目は運用上適切な方法で追加、削除できる。運用上適切な方法の一例として、システム管理者が年に一度棚卸をする方法、あるいは、以前の配信から一年以上経っても類似の配信が行われない項目をシステムが自動で削除する方法などが挙げられる。
【0084】
「ユーザ行」の各項目に対して、適宜重みづけが設定されてもよい。例えば、x_n+1_AのユーザA`総務部`要素の値を`1`としたとき、ユーザの関心度が高いメッセージの配信を行う人事部はx_n_Aの`人事部`要素の値が`2`となるように実施することができる。当該重みは、少なくとも1つの要素について0に設定されてもよい。
【0085】
同様に、ユーザが異なる同一項目の要素についても、システム管理者が適宜実施してもよい。例えば、x_m_AのユーザA`緊急`要素の値を`1`としたとき、x_m_BのユーザB`緊急`要素の値が`2`となるようにシステム管理者が重みづけを実施してもよい。
【0086】
また、重みづけは統計処理を用いて実施することもできる。例えば、x_m_AのユーザーA`緊急`要素について、メッセージ配信日から開封までの日数が平均3日、標準偏差が1で正規分布しており、ユーザーAは配信日から1日で開封している場合、それが発生する頻度は5.4%と低い確率となる。このため、3日で開封したユーザーを`1`としたとき、ユーザーAの`緊急`要素については確率の逆数(=1÷0.054)で`18.5`と重みづけしてもよい。
【0087】
ユーザの関心度パラメータを算出するアルゴリズムとしては、上記特徴行列の内積は一例であり、他のアルゴリズムが使用されてもよく、また、「配信行」、「ユーザ行」の2つのインプットデータとして、機械学習やAIによって、ユーザの関心度をアウトプットデータとする自動算出により関心度パラメータが算出されてもよい。
【0088】
特に、配信数(宛先ユーザ数)が増えるたびに、あるいは、上記属性の項目数が増えるたびに、パラメータの算出のための情報量が膨大になり、また上記機械学習により重みづけなどをしてパラメータを高精度化するほど、処理する情報量も増加するため、パラメータの算出に非常に時間を要することになる。
【0089】
そこで配信サーバ100は、過去に配信されたメッセージに関する上記配信行及びユーザ行の各要素のデータを基に、畳み込みニューラルネットワーク(CNN)をトレーニングして関心度パラメータの算出モデルを事前に生成しておき、当該算出モデルを用いて上記特徴行列の関心度パラメータを算出してもよい。これにより関心度パラメータの算出処理を高速化でき、上記のような情報量の増加にも対応することができる。
【0090】
図6に示すように、関心度パラメータ算出処理に際しCPU11はまず、上述の手法で特徴行列の配信行の各値を算出する(ステップ61)。
【0091】
続いてCPU11は、上述の手法で特徴行列のユーザ行の各値を算出する(ステップ62)。
【0092】
続いてCPU11は、上記算出した配信行とユーザ行にて、特徴行列を更新する(ステップ63)。
【0093】
そしてCPU11は、上記更新した特徴行列の内積の和として各ユーザの関心度パラメータを算出する(ステップ64)。
【0094】
図4に戻り、続いてCPU11は、上述のように算出した各宛先ユーザの関心度パラメータに基づいて、上記ユーザグループの全ユーザの中から、当該関心度パラメータが所定値以上であるユーザを上記メッセージの再配信の宛先ユーザとして選択する(ステップ51)。なお当該選択処理は、再配信の最終的な宛先ユーザを選択する場合のみならず、配信者に提案する選択肢として複数の宛先ユーザ候補となるグループを作成することも含む。
【0095】
続いてCPU11は、上記算出した関心度パラメータ及び上記選択した再配信の宛先ユーザの情報を基に、メッセージ再配信レコメンド画面を生成し(ステップ52)、配信者のユーザ端末200へ送信する(ステップ53)。
【0096】
図8は、当該メッセージ再配信レコメンド画面の例を示した図である。同図に示すように、メッセージ再配信レコメンド画面は、配信案件情報欄81、配信結果表示欄82及び再配信レコメンド欄83を有する。
【0097】
配信案件情報欄81は、上記一斉配信されたメッセージの配信日時、属性(例えば、重要/緊急/社長メッセージ等)、配信の内容の各情報を含む。
【0098】
配信結果表示欄82は、上記一斉配信されたメッセージに対するユーザのリアクション(関心度パラメータ)に基づく統計結果を表示する。例えば当該統計結果は、メッセージの全宛先ユーザのうちの、メッセージを開封したユーザの割合、メッセージを開封していないユーザのうちの、関心度パラメータの異なる値範囲の各ユーザの割合が円グラフで示される。
【0099】
再配信レコメンド欄83は、上記関心度パラメータの異なる値範囲の各ユーザグループのうち、メッセージの再配信対象とするユーザグループことをレコメンドする情報、及び、当該ユーザグループを再配信対象として選択するためのチェックボックスを有する。
【0100】
具体的には、例えば、メッセージの宛先ユーザが、メッセージを開封済みのユーザ(ユーザグループ(1))、メッセージを未開封のユーザで関心度パラメータが80以上であるユーザ(ユーザグループ(2))と、未開封で関心度パラメータが40~80であるユーザ(ユーザグループ(3))と、未開封で関心度パラメータが40以下の4つのユーザグループに分類されており、そのうちユーザグループ(2)及び(3)にメッセージを再配信することがレコメンドされ当該再配信がチェックボックスにより選択可能とされている。またその他のユーザグループの組み合わせパターンでの再配信(ユーザグループ(2)のみ、またはユーザグループ(2)+(3)+(4))も別途選択可能とされている。
【0101】
またメッセージを開封済みのユーザ(ユーザグループ(1))もメッセージの再配信の宛先ユーザとしてレコメンドされてもよい。また、メッセージの分野等の属性に応じて、メッセージを開封済みのユーザを当該メッセージの再配信の宛先ユーザとしてレコメンドするか否かを判定してもよい。例えば、健康診断のお知らせのように、ユーザに何らかの登録作業を促すメッセージについては、メッセーを開封しメッセージ中のハイパーリンク(健康診断の予約登録用)をクリックした場合には、そのユーザは当該メッセージの再配信対象から除外してもよい。一方、社長からのメッセージのように、ユーザに何らかの登録作業を促すものではない(単に閲覧を促すもの)である場合には、メッセージを開封済みであっても、上記関心度パラメータが高い場合にはメッセージの再配信対象としてレコメンドしてもよい。
【0102】
図4に戻り、配信者のユーザ端末200は、上記メッセージ再配信レコメンド画面を介してメッセージの再配信要求操作を受け付けたと判断した場合(ステップ54)、当該メッセージの再配信要求を配信サーバ100へ送信する(ステップ55)。当該再配信要求には、メッセージの宛先ユーザに関する情報(例えば上記メッセージ再配信レコメンド画面の配信結果表示欄82で選択されたユーザグループの情報)の他、上記一斉配信されたメッセージと同様の情報が含まれる。
【0103】
そして配信サーバ100のCPU11は、上記再配信要求を受信すると、当該再配信要求からメッセージの宛先ユーザを特定し(ステップ56)、当該特定した宛先ユーザへメッセージを再配信する(ステップ57)。
【0104】
CPU11は、再配信をレコメンドすべき宛先ユーザが存在しなくなるまで、または、再配信の回数が所定数に達するまで、当該再配信されたメッセージに対するユーザのリアクションに応じて、上記ステップ48以降の処理を繰り返し実行してもよい。
【0105】
[まとめ]
以上説明したように、本実施形態によれば、配信サーバ100は、一斉配信されたメッセージに対するユーザのリアクションに応じてユーザを抽出してメッセージを再配信するため、一斉配信されたメッセージの不必要な再配信を削減することができる。
【0106】
[変形例]
本発明は上述の実施形態にのみ限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更され得る。
【0107】
上述の実施形態では、ユーザグループの全ユーザに一斉配信されたメッセージを再配信する場合の宛先ユーザについて配信サーバ100が配信者にレコメンドしていたが、再配信の場面ではなく、初回の配信においても配信サーバ100がレコメンドを行ってもよい。この場合配信サーバ100は、過去に一斉配信されたメッセージに対するユーザのリアクションに応じて算出された関心度パラメータに応じて、あるユーザグループに属するユーザの中から、今回のメッセージ一斉配信におけるユーザグループに属する宛先ユーザを決定する。これにより、メッセージの初回配信においても、宛先ユーザを、メッセージに対する関心度の高いユーザに事前に絞り込むことができる。
【0108】
上述の実施形態においては、配信サーバ100は、一斉配信されたメッセージに対するユーザのリアクションに応じて算出した関心度パラメータを基に、当該一斉配信されたメッセージと同一のメッセージを再配信する宛先となるユーザを選択していた。これに代えて配信サーバ100は、一斉配信されたメッセージに対するユーザのリアクションに応じて算出した関心度パラメータを基に、一斉配信されたメッセージに関連するメッセージを新たに配信する宛先となる宛先ユーザを選択してもよい。関連するメッセージとは、例えば一斉配信されたメッセージとほぼ同様だが更新情報を含むメッセージや、上記メッセージの属性の各属性項目のいずれかが共通するメッセージ(例えば、過去のメッセージと同一分野のメッセージ、同一部署からのメッセージ等)等である。上述の実施形態では、同一メッセージが再配信される場合に、宛先ユーザからメッセージを開封済みのユーザは除外されたが、関連メッセージが配信される場合には、先のメッセージを開封済みのユーザも含めて関連度パラメータが高いユーザが宛先ユーザとして選択されてもよい。
【0109】
上述の実施形態では、配信サーバ100は、一斉配信されたメッセージを再配信する宛先ユーザをレコメンドするメッセージ再配信レコメンド画面を生成し配信者のユーザ端末200へ提供し、それに対する配信者の送信要求によってメッセージを再配信していた。これに代えて、配信サーバ100がレコメンド処理を経ずに再配信すべきと判断した宛先ユーザに自動的にメッセージを再配信してもよい。
【0110】
この場合、自動配信の条件としては様々なものが想定される。図9は、配信サーバ100による自動再配信処理の条件について説明した図である。同図(A)に示すように、メッセージに全く関心のないユーザには再配信しないがひとまず間口は広く再配信するシーケンスにおいては、配信サーバ100は、例えば、初回配信されたメッセージを未開封のユーザのうち、関心度パラメータが20以上のユーザを2回目の配信の宛先ユーザとして選択し配信する。続いて2回目に配信されたメッセージを未開封のユーザのうち、関心度パラメータが60以上のユーザを3回目の配信の宛先ユーザとして選択し配信する。そして3回目に配信されたメッセージを未開封のユーザのうち、関心度パラメータが80以上のユーザを4回目の配信の宛先ユーザとして選択し配信する。
【0111】
また、同図(B)に示すように、関心がある人にしか再送しないシーケンスにおいては、配信サーバ100は、例えば、初回配信されたメッセージを未開封のユーザのうち、関心度パラメータが60以上のユーザを2回目の配信の宛先ユーザとして選択し配信する。そして2回目に配信されたメッセージを未開封のユーザのうち、関心度パラメータが80以上のユーザを3回目の配信の宛先ユーザとして選択し配信する。
【0112】
上述の実施形態で算出された関心度パラメータは、メッセージの再配信の宛先ユーザの選択に用いられるだけでなく、例えば人事評価やプロジェクト適任者の選定等、二次的に利用され得る。例えば、日ごろ優秀な社員で経営に興味があることが関心度パラメータで判明すれば、幹部候補として選定する、あるいは、プロジェクトメンバーの機会を与える等の利用シーンが考えられる。そのため配信サーバ100は、各属性要素について所定値以上の関心度パラメータを有するユーザを抽出し、人事管理者や企業の幹部にそのユーザに関する情報を通知してもよい。
【0113】
上述の実施形態では、配信サーバ100は、ユーザグループの全ユーザに一斉配信されたメッセージに対するユーザのリアクションに応じて所定のアルゴリズムにより当該ユーザ毎の関心度パラメータを算出し、当該関心度パラメータを基に、上記ユーザグループの全ユーザの中から、メッセージを再配信する宛先となる宛先ユーザを選択していた。しかし、所定のアルゴリズムによる関心度パラメータの算出は必須ではなく、これに代えて、配信サーバ100は、一斉配信されたメッセージに対するユーザのリアクションが複数の条件を満たすか否かをユーザ毎に判定し、当該判定の結果に応じて、メッセージを再配信する宛先となる宛先ユーザを選択してもよい。
【0114】
ここで複数の条件とは、上述の実施形態におけるメッセージの属性に関する各要素(例えば、「健康診断」「辞令」といったメッセージの分野に関する属性要素、「緊急」「不急」といったメッセージの緊急度に関する属性要素、「人事部」「総務部」といった配信者(配信元部署)に関する属性要素)に関する少なくとも1つの条件と、上記ユーザ・アクティビティに関する各要素(例えば、メッセージの開封/未開封、メッセージを開封した回数、開封までに要した日数、開封後に表示させた時間、またはメッセージ中に設定されたハイパーリンクを押下した回数、配信のアーカイブの有無等)に関する少なくとも1つの条件との組み合わせ、または、ユーザ・アクティビティに関する複数の条件である。より具体的には、「メッセージが重要、かつ、ユーザが未開封の場合に当該ユーザにメッセージを再配信する」といった条件でもよい。
【0115】
上述の実施形態においては、企業における従業員へのメッセージ全社配信を想定した実施例を説明したが、メッセージ配信の場面は企業に限られない。例えば、官公庁が国民・自治体住民に対してメッセージを一斉配信する場合でも本発明を適用可能である。また学校が児童・生徒・学生・保護者へメッセージを配信する場合でも同様に本発明を適用可能である。
【0116】
上述の実施形態で示した配信サーバ100は、単一のサーバとして示されたが、その機能が複数のサーバや情報処理装置に分散されたシステムとして構成されていても構わない。例えば上述した図4の配信サーバ100の処理のうち、関心度パラメータの算出処理とそれ以外の処理が複数のサーバで分散されて実行されてもよい。
【0117】
本願の特許請求の範囲に記載された発明のうち、「情報処理方法」と記載された発明は、その各ステップを、ソフトウェアによる情報処理によりコンピュータ等の少なくとも1つの装置が自動的に行うものであり、人間がコンピュータ等の装置を用いて行うものではない。すなわち、当該「情報処理方法」は、コンピュータ・ソフトウェアによる情報処理方法であって、コンピュータという計算道具を人間が操作する方法ではない。
【符号の説明】
【0118】
11……CPU
18……記憶部
19……通信部
20……ビジネスコミュニケーションツール
31……ユーザ情報データベース
32……配信情報データベース
33……パラメータ情報データベース
83……再配信レコメンド欄
100…配信サーバ
200…ユーザ端末
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
【手続補正書】
【提出日】2023-06-19
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
送信者端末からの要求に基づいて所定のユーザグループに属する複数のユーザ全てを宛先ユーザとしてメッセージを一斉配信し、
前記メッセージに対する前記ユーザのリアクションに応じて所定のアルゴリズムにより当該ユーザ毎の前記メッセージへの関心度に関するパラメータを算出し、
前記算出したパラメータを基に、前記全てのユーザの中から、当該パラメータが所定値以上であるユーザを、前記メッセージを再配信する宛先となる宛先ユーザ、または、前記メッセージに関連するメッセージを配信する宛先となる宛先ユーザとして選択し、
前記選択した宛先ユーザへ、前記メッセージを再配信し、または、前記関連するメッセージを配信する、
制御部
を具備する情報処理システム。
【請求項2】
請求項1に記載の情報処理システムであって、
前記制御部は、前記一斉配信されたメッセージに対する各ユーザのユーザ端末上でのアクティビティに応じたアクティビティ値と、当該メッセージの属性に応じた属性値とを算出し、当該アクティビティ値と属性値とに基づいて前記パラメータを算出する
情報処理システム。
【請求項3】
請求項に記載の情報処理システムであって、
前記制御部は、前記一斉配信されたメッセージを前記ユーザが開封するまでに要した時間、開封した回数、開封後に表示させた時間、またはメッセージ中に設定されたハイパーリンクを押下した回数に基づいて前記アクティビティ値を算出する
情報処理システム。
【請求項4】
請求項に記載の情報処理システムであって、
前記制御部は、前記一斉配信されたメッセージの重要度、緊急度、メッセージ内容のカテゴリ、または配信元に関する情報に基づいて前記属性値を算出する
情報処理システム。
【請求項5】
請求項に記載の情報処理システムであって、
前記制御部は、前記一斉配信されたメッセージよりも前に一斉配信されたメッセージに対する各ユーザの前記アクティビティに応じたアクティビティ履歴値にさらに基づいて前記パラメータを算出する
情報処理システム。
【請求項6】
送信者端末からの要求に基づいて所定のユーザグループに属する複数のユーザ全てを宛先ユーザとしてメッセージを一斉配信し、
前記メッセージに対する前記ユーザのリアクションが前記メッセージへの関心度に関する第1の条件を満たし、かつ、前記関心度に関する前記第1の条件とは異なる第2の条件を満たすか否かをユーザ毎に判定し、
前記全てのユーザの中から、前記リアクションが前記第1の条件及び前記第2の条件を満たすと判定したユーザを、前記メッセージを再配信する宛先となる宛先ユーザ、または、前記メッセージに関連するメッセージを配信する宛先となる宛先ユーザとして選択し、
前記選択した宛先ユーザへ前記メッセージを再配信し、または、前記関連するメッセージを配信する、
制御部
を具備する情報処理システム。
【請求項7】
送信者端末からの要求に基づいて所定のユーザグループに属する複数のユーザ全てを宛先ユーザとしてメッセージを一斉配信し、
前記メッセージに対する前記ユーザのリアクションに応じて所定のアルゴリズムにより当該ユーザ毎の前記メッセージへの関心度に関するパラメータを算出し、
前記算出したパラメータを基に、前記全てのユーザの中から、当該パラメータが所定値以上であるユーザを、前記メッセージを再配信する宛先となる宛先ユーザ、または、前記メッセージに関連するメッセージを配信する宛先となる宛先ユーザとして選択し、
前記選択した宛先ユーザへ前記メッセージを再配信し、または、前記関連するメッセージを配信する、
情報処理方法。
【請求項8】
情報処理装置に、
送信者端末からの要求に基づいて所定のユーザグループに属する複数のユーザ全てを宛先ユーザとしてメッセージを一斉配信するステップと、
前記メッセージに対する前記ユーザのリアクションに応じて所定のアルゴリズムにより当該ユーザ毎の前記メッセージへの関心度に関するパラメータを算出するステップと、
前記算出したパラメータを基に、前記全てのユーザの中から、当該パラメータが所定値以上であるユーザを、前記メッセージを再配信する宛先となる宛先ユーザ、または、前記メッセージに関連するメッセージを配信する宛先となる宛先ユーザとして選択するステップと、
前記選択した宛先ユーザへ前記メッセージを再配信し、または、前記関連するメッセージを配信するステップと、
を実行させるプログラム。