IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ アイシン精機株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-駐車支援装置 図1
  • 特開-駐車支援装置 図2
  • 特開-駐車支援装置 図3
  • 特開-駐車支援装置 図4
  • 特開-駐車支援装置 図5
  • 特開-駐車支援装置 図6
  • 特開-駐車支援装置 図7
  • 特開-駐車支援装置 図8
  • 特開-駐車支援装置 図9
  • 特開-駐車支援装置 図10
  • 特開-駐車支援装置 図11
  • 特開-駐車支援装置 図12
  • 特開-駐車支援装置 図13
  • 特開-駐車支援装置 図14
  • 特開-駐車支援装置 図15
  • 特開-駐車支援装置 図16
  • 特開-駐車支援装置 図17
  • 特開-駐車支援装置 図18
  • 特開-駐車支援装置 図19
  • 特開-駐車支援装置 図20
  • 特開-駐車支援装置 図21
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024158206
(43)【公開日】2024-11-08
(54)【発明の名称】駐車支援装置
(51)【国際特許分類】
   B60W 30/06 20060101AFI20241031BHJP
   B62D 6/00 20060101ALI20241031BHJP
   B60R 99/00 20090101ALI20241031BHJP
【FI】
B60W30/06
B62D6/00
B60R99/00 340
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023073197
(22)【出願日】2023-04-27
(71)【出願人】
【識別番号】000000011
【氏名又は名称】株式会社アイシン
(74)【代理人】
【識別番号】110000992
【氏名又は名称】弁理士法人ネクスト
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 大介
【テーマコード(参考)】
3D232
3D241
【Fターム(参考)】
3D232CC20
3D232DA88
3D232EC35
3D232GG01
3D241BA22
3D241CC01
3D241CC08
3D241CC17
3D241CE05
3D241DA13Z
3D241DA23Z
3D241DA39Z
3D241DA52Z
3D241DB02Z
3D241DB20Z
(57)【要約】
【課題】駐車時において追従不可能な走行軌道が生成されることなく、より適切な走行軌道を算出することを可能にした駐車支援装置を提供する。
【解決手段】牽引車2の走行軌道について許容する曲率又は舵角の最大値を設定し、被牽引車3の回転中心から連結点までの距離であるトレーラホイールベースと、牽引車2の後輪軸から牽引車2と被牽引車3との連結点までの距離である連結距離と、を取得し、牽引車2の走行軌道の曲率又は舵角が最大値を超えないことを条件とした上でトレーラホイールベースと連結距離とに基づいて、被牽引車3の駐車時の走行軌道における旋回曲率と第2区間の曲率勾配の推奨される値を夫々特定するように構成する。
【選択図】図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
牽引車と前記牽引車により牽引される対象となる被牽引車とが連結された状態において前記牽引車と前記被牽引車の駐車を支援する駐車支援装置であって、
前記被牽引車の駐車時の走行軌道は、後退開始時点の初期曲率から所定の旋回曲率まで曲率を上昇させつつ後退する第1区間と、前記所定の旋回曲率から曲率を減少させつつ後退する第2区間と、を含み、
前記牽引車の走行軌道について許容する曲率又は舵角の最大値を設定する最大値設定部と、
前記被牽引車の回転中心から前記牽引車と前記被牽引車との連結点までの距離をトレーラホイールベースとして取得するトレーラホイールベース取得部と、
前記牽引車の後輪軸から前記連結点までの距離である連結距離を取得する連結距離取得部と、
前記牽引車の走行軌道の曲率又は舵角が前記最大値を超えないことを条件とした上で前記トレーラホイールベースと前記連結距離とに基づいて、前記被牽引車の駐車時の走行軌道における前記所定の旋回曲率と前記第2区間の曲率勾配の推奨される値を夫々特定するパラメータ特定部と、を有する駐車支援装置。
【請求項2】
前記パラメータ特定部は、前記牽引車の走行軌道の曲率又は舵角が前記最大値を超えないことを条件とし、前記トレーラホイールベースと前記連結距離とに基づいて、前記第1区間の曲率勾配の推奨される値を特定する請求項1に記載の駐車支援装置。
【請求項3】
前記パラメータ特定部は、駐車に要する経路の全長が短くなることを優先して前記所定の旋回曲率と前記第1区間の曲率勾配と前記第2区間の曲率勾配の推奨される値を夫々特定する請求項2に記載の駐車支援装置。
【請求項4】
前記最大値設定部は、前記最大値として前記牽引車が前記被牽引車と同方向に旋回する走行軌道において許容する第1最大値と、前記牽引車が前記被牽引車と異なる方向に旋回する走行軌道において許容する第2最大値と、を夫々設定し、
前記第2最大値は前記第1最大値よりも小さい値とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の駐車支援装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の駐車支援を行う駐車支援装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より車両の駐車支援として駐車する際の走行軌道を算出して、算出した走行軌道に従って駐車が行われるように案内や車両制御を行うことが知られている。ここで、特に被牽引車(トレーラ)を牽引した牽引車(トラクタ)に対して上記駐車支援を行う際には、牽引車の挙動だけではなく被牽引車の挙動についても考慮して走行軌道を算出する必要があった。
【0003】
例えば特開2022-107175号公報には駐車開始位置と駐車目標位置と障害物の位置から牽引車が被牽引車を牽引した状態で駐車を行う場合の牽引車と被牽引車の目標経路を生成した後に、生成された被牽引車の目標経路の最大曲率が被牽引車の旋回可能な最大曲率以下となっているかを判定し、被牽引車の旋回可能な最大曲率以下となっていない場合には切り返し位置を再設定して目標経路を修正する技術について提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2022-107175号公報(段落0059-0060)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、被牽引車を牽引する牽引車が後退する場合の被牽引車が描く走行軌道の曲率に関して、被牽引車は操舵装置を有さないので、被牽引車の走行軌道の曲率は図7に示すように主に牽引車と被牽引車の接続角度(ヒッチ角)に基づいて決まることとなる。即ち、図7の上図のように牽引車2と被牽引車3の接続角度が0度(一直線上に位置)の時点では後退する牽引車2に押された場合に描く被牽引車3の走行軌道の曲率は0となる。一方、図7の下図のように牽引車2と被牽引車3の接続角度が0度より大きくなれば後退する牽引車2に押された場合に描く被牽引車3の走行軌道の曲率は0より大きくなる。そして、牽引車2と被牽引車3の接続角度が大きくなるほど、被牽引車3の走行軌道の曲率は大きくなる(旋回半径が小さくなる)。
【0006】
ここで、被牽引車3を牽引する牽引車2が後退して駐車を行う場合において、駐車に要する経路の全長を短くするためには被牽引車3が描く走行軌道の曲率をできる限り短時間で大きくすることが重要である。そこで、図8に示すように先ず後退開始直後に牽引車2は本来の旋回方向(図8であれば運転者から見て左後方に旋回したいので左方向)と逆方向(図8であれば右方向)にあえて操舵する逆切り動作を行い、その後に本来の旋回方向へと操舵することが一般的に行われている。一方で、駐車目標位置に近づいた状態では牽引車2と被牽引車3の接続角度を0度に近づける必要があるが、駐車に要する経路の全長を短くするためには徐々に曲率を小さくするのではなくできる限り曲率が大きい状態を最後まで維持して、最後に素早く曲率を小さくするのが有効であるので、旋回の最後に旋回方向への操舵を増す切り増し動作を行うことが一般的に行われている。
【0007】
上記特許文献1では被牽引車の目標経路の曲率の最大値について許容できる範囲となるように調整することは行っているが、曲率の勾配(変化率)については何ら考慮されていなかった。その結果、上記の逆切り動作や切り増し動作などの曲率の勾配が大きくなる区間において追従不可能な目標経路が設定される虞があった。
【0008】
本発明は前記従来における問題点を解消するためになされたものであり、特に被牽引車の走行軌道の曲率の最大値と勾配について推奨される値を特定することで、駐車時において追従不可能な走行軌道が生成されることなく、より適切な走行軌道を算出することを可能にした駐車支援装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記目的を達成するため本発明に係る駐車支援装置は、牽引車と前記牽引車により牽引される対象となる被牽引車とが連結された状態において前記牽引車と前記被牽引車の駐車を支援する駐車支援装置であって、前記被牽引車の駐車時の走行軌道は、後退開始時点の初期曲率から所定の旋回曲率まで曲率を上昇させつつ後退する第1区間と、前記所定の旋回曲率から曲率を減少させつつ後退する第2区間と、を含み、前記牽引車の走行軌道について許容する曲率又は舵角の最大値を設定する最大値設定部と、前記被牽引車の回転中心から前記牽引車と前記被牽引車との連結点までの距離をトレーラホイールベースとして取得するトレーラホイールベース取得部と、前記牽引車の後輪軸から前記牽引車と前記被牽引車との連結点までの距離である連結距離を取得する連結距離取得部と、前記牽引車の走行軌道の曲率又は舵角が前記最大値を超えないことを条件とした上で前記トレーラホイールベースと前記連結距離とに基づいて、前記被牽引車の駐車時の走行軌道における前記所定の旋回曲率と前記第2区間の曲率勾配の推奨される値を夫々特定するパラメータ特定部と、を有する。
尚、勾配とは、単位距離当たりの勾配の変化率としても良いし、単位時間当たりの勾配の変化率としても良い。
【発明の効果】
【0010】
前記構成を有する本発明に係る駐車支援装置によれば、牽引車の走行軌道において許容される曲率又は舵角の最大値を考慮した上で、トレーラホイールベースと牽引車の後輪軸から連結点までの距離とに基づいて被牽引車の走行軌道の曲率の最大値と勾配について推奨される値を特定することが可能となる。その結果、駐車時において追従不可能な走行軌道が生成されることなく、推奨される値を用いてより適切な走行軌道を算出することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本実施形態に係る牽引車及び被牽引車を示した図である。
図2】牽引車の牽引装置付近を拡大して示した図である。
図3】ヒッチボールとカプラーとを接続した状態での牽引車と被牽引車の動きを示した図である。
図4】本実施形態に係る駐車支援装置の構成を示したブロック図である。
図5】本実施形態に係るパラメータ特定処理プログラムのフローチャートである。
図6】推奨されるパラメータを算出する為に設定した仮想の駐車状況を示した図である。
図7】接続角度と被牽引車が描く走行軌道の曲率の関係を示した図である。
図8】逆切り動作と切り増し動作について説明した図である。
図9】牽引車において逆切り動作と切り増し動作を行う過程における牽引車と被牽引車の走行軌道の曲率の推移を示した図である。
図10】牽引車の逆切り動作における牽引車の走行軌道の曲率と被牽引車の走行軌道の切り増し曲率勾配αの関係を示した図である。
図11】牽引車の切り増し動作における牽引車の走行軌道の曲率と被牽引車の走行軌道の切り戻し曲率勾配βの関係を示した図である。
図12】駐車に要する経路の全長の算出方法について説明した図である。
図13】トレーラホイールベースと特定されるパラメータの関係を示した図である。
図14】本実施形態に係る駐車支援処理プログラムのフローチャートである。
図15】駐車開始位置からの前進軌道の一例を示した図である。
図16】前進軌道上に設定される切り返し位置候補を示した図である。
図17】後退軌道の初期曲率と切り返し位置での接続角度の関係を示した図である。
図18】後退軌道の初期曲率と切り返し位置での接続角度の関係を示した図である。
図19】切り返し位置候補に対して算出される後退軌道の一例を示した図である。
図20】複数の切り返し位置候補に対して算出される各後退軌道を比較した図である。
図21】切り返し位置候補の補正方法を説明した図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明に係る駐車支援装置について具体化した一実施形態について図面を参照しつつ詳細に説明する。先ず、本実施形態に係る駐車支援装置1を搭載した牽引車(トラクタ)2と牽引車2によって牽引される被牽引車(トレーラ)3について以下説明する。図1は牽引車2及び被牽引車3を示した図である。
【0013】
ここで、牽引車2は、トラクタとも呼ばれ、被牽引車3を牽引して走行可能に構成されている。牽引車2は、例えば、内燃機関(エンジン等)を駆動源とする自動車(内燃機関自動車)であってもよいし、電動機(モータ等)を駆動源とする自動車(電気自動車、燃料電池自動車等)であってもよいし、それらの双方を駆動源とする自動車(ハイブリッド自動車)であってもよい。また、車種については問わず、後述の牽引装置4を備えていれば普通車であっても良いし、商業用の大型トラクタ(トレーラーヘッド)であっても良い。
【0014】
また、図1に示すように牽引車2のリヤバンパの例えば車幅方向の中央部の下部からは、被牽引車3を牽引するための牽引装置4(ヒッチ)が突出するように配置されている。図2は特に牽引装置4付近を拡大して示した図である。
【0015】
図2に示すように牽引装置4は牽引車2の例えばフレームに固定されている。牽引装置4は、一例として、垂直方向(車両上下方向)に立設された先端部が球状のヒッチボール5を備え、このヒッチボール5に、被牽引車3に固定された連結部材6の先端部に設けられたカプラー7が覆い被さることで、ヒッチボール5とカプラー7とが接続され、その結果、牽引車2と被牽引車3とが連結される。但し、ヒッチボール5やカプラー7の形状については図2に示す形状に限られることなく、牽引車2と被牽引車3とが連結可能な形状であればどのような形状であっても良い。
【0016】
そして、ヒッチボール5とカプラー7とが接続された状態では、牽引車2の動きに合わせてヒッチボール5は被牽引車3(連結部材6)側に前後左右の動きを伝えることになる。また、図3に示すようにヒッチボール5に対してカプラー7が接続された状態であってもヒッチボール5に対してカプラー7の角度は自由(但し上限あり)に変位可能となっており、牽引車2に対して被牽引車3が車幅方向に揺動(旋回)可能となっている。
【0017】
一方、図1に示すように牽引車2の後側のリヤハッチの壁部には、後方カメラ(撮像装置)9が設置されている。後方カメラ9は、例えば、CCDやCIS等の撮像素子を内蔵するデジタルカメラである。後方カメラ9は、所定のフレームレートで動画データ(撮像画像データ)を出力することができる。後方カメラ9は、広角レンズまたは魚眼レンズを有し、光軸方向は斜め下方に向けて設定され、水平方向には例えば140°~220°の範囲を撮像することができる。
【0018】
また、上記後方カメラ9の撮像可能な範囲には、牽引車2の後端部にある牽引装置4及びヒッチボール5を少なくとも含む。後方カメラ9によって撮像された撮像画像データは、例えば牽引車2と被牽引車3の連結状態(例えば、接続角度(ヒッチ角)、連結の有無等)の検出に用いることができる。但し、牽引車2と被牽引車3の連結状態を検出する手段としては後方カメラ9の代わりに、牽引装置4に設置されたセンサを備えても良い。
【0019】
一方、被牽引車3はトレーラとも呼ばれ、上記の牽引車2に牽引されて走行する。従って、基本的には牽引車2と異なり駆動源としてのエンジンやモータは有していない。また、車輪の方向を変更する為の操舵装置(ステアリングシステム)についても備えていない。例えば、内部に居住空間を有するキャンピングトレーラー、車や船を載せて運ぶライトトレーラー等が該当する。被牽引車3は、本体部と、複数(本実施形態では2個)のトレーラ車輪と、連結部材6と、カプラー7とを備える。
【0020】
ここで、連結部材6は図1に示すように被牽引車3の本体部の車幅方向の中央部の下部に設けられており、本体部の前端部から前方(進行方向)へと突出するように配置されている。
【0021】
また、図2に示すようにカプラー7は、連結部材6の前端部に設けられており、ヒッチボール5を覆う球状の凹部が形成されている。そして、カプラー7がヒッチボール5を覆うことによって、前述したように被牽引車3は牽引車2に対して旋回可能に連結される(図3参照)。尚、連結部材6の長さや地表面からの高さ(即ち被牽引車3におけるカプラー7の位置)については被牽引車3の種類によって様々である。但し、本実施形態では少なくとも牽引車2が備えるヒッチボール5と連結可能な位置にカプラー7が位置するとする。
【0022】
続いて、牽引車2が備える駐車支援装置1について説明する。駐車支援装置1は上述した牽引車2が被牽引車3と連結された状態で所定の駐車スペースへと駐車を行う際に運転者が行う車両操作を支援する為の装置である。図4は本実施形態に係る駐車支援装置1の構成を示したブロック図である。
【0023】
図4に示すように、本実施形態に係る駐車支援装置1は、牽引車2の乗員からの操作を受け付ける操作部14と、牽引車2の乗員に対して駐車スペースへと駐車する為の走行軌道やその他の駐車支援に係る情報を表示する液晶ディスプレイ15と、駐車支援に関する音声ガイダンスを出力するスピーカ16と、牽引車2や被牽引車3に関する各種のデータが記録された車両情報DB21と、入力された情報に基づいて各種の演算処理を行う駐車支援ECU23と、を有する。また、駐車支援装置1はCAN等の車載ネットワークを介して、牽引車2に対して設置された後方カメラ9、牽引車2に対する各種制御を行う車両制御ECU24、車速センサ25、ステアリングセンサ26、シフト位置センサ27等の各種センサとも接続されている。
【0024】
操作部14は、牽引車2のインストルメントパネルやハンドルに設けられ、例えば後述の駐車支援モードへの移行操作、牽引車2や被牽引車3に関する各種パラメータを入力する際等に操作され、各種のキー、ボタン等の複数の操作スイッチ(図示せず)を有する。そして、駐車支援ECU23は、各スイッチの押下等により出力されるスイッチ信号に基づき、対応する各種の動作を実行すべく制御を行う。尚、操作部14は液晶ディスプレイ15の前面に設けたタッチパネルを有しても良い。また、マイクと音声認識装置を有しても良い。
【0025】
液晶ディスプレイ15は、牽引車2のインストルメントパネルに設けられ、牽引車2が被牽引車3と連結された状態での駐車を支援する駐車支援モード移行時において駐車する為の走行軌道等を表示する。また、駐車操作を自動で行うのではなくユーザに行わせる場合については、走行軌道に沿って走行する為のステアリングの操作指示やブレーキ、アクセル、シフト位置の操作指示についても表示される。尚、液晶ディスプレイ15は、ナビゲーション装置に使用するものと兼用してもよい。
【0026】
また、スピーカ16は、駐車支援ECU23からの指示に基づいて同じく駐車支援モード移行時において駐車操作を案内する音声ガイダンス等を出力する。尚、スピーカ16は、ナビゲーション装置に使用するものと兼用してもよい。
【0027】
また、車両情報DB21は、牽引車2や被牽引車3に関する各種情報が格納される記憶手段である。例えば、牽引車2についてヒッチボール5の設置位置(地上面からの高さ、左右方向の位置、車両後端からの距離)、全長、車幅、ホイールベース、最小旋回半径等が記憶される。また、牽引車2の後輪軸から牽引車2と被牽引車3との連結点(ヒッチボール5の位置)までの距離についても記憶される。一方、被牽引車3についてはカプラー7の設置位置(地上面からの高さ、左右方向の位置、車両先端からの距離)、全長、車幅、最小旋回半径等が記憶される。また、被牽引車3の回転中心から牽引車2と被牽引車3との連結点(ヒッチボール5の位置)までの距離(トレーラホイールベースに相当)についても記憶される。尚、被牽引車3の回転中心は、被牽引車3が一軸(車輪が2つ)の場合には軸中心が回転中心となる。一方、被牽引車3が二軸(車輪が4つ)の場合には2つの軸の間に回転中心が存在する。これらの情報は予め乗員や車両メーカー側の人間が操作部14を用いて入力しても良いし、後方カメラ9や各種センサによって検出した値を自動で入力しても良い。尚、牽引する被牽引車3については必ずしも固定とは限らないので、牽引対象となる被牽引車3が変われば上記パラメータも変更する必要がある。車両情報DB21の記憶媒体としては例えばメモリーカードを使用することができる。更に、駐車支援ECU23内の記憶領域(例えば、RAMやフラッシュメモリ)に設けることとしても良い。
【0028】
一方、駐車支援ECU(エレクトロニック・コントロール・ユニット)23は、駐車支援装置1の全体の制御を行う電子制御ユニットであり、演算装置及び制御装置としてのCPU31、並びにCPU31が各種の演算処理を行うにあたってワーキングメモリとして使用されるとともに、経路が探索されたときの経路データ等が記憶されるRAM32、制御用のプログラムのほか、後述のパラメータ特定処理プログラム(図5参照)及び駐車支援プログラム(図14参照)等が記録されたROM33、ROM33から読み出したプログラムを記憶するフラッシュメモリ34等の内部記憶装置を備えている。尚、駐車支援ECU23は、処理アルゴリズムとしての各種制御部を有する。例えば、最大値設定部は、牽引車2の走行軌道について許容する曲率又は舵角の最大値を設定する。トレーラホイールベース取得部は、被牽引車3の回転中心から牽引車2と被牽引車3との連結点までの距離をトレーラホイールベースとして取得する。連結距離取得部は、牽引車2の後輪軸から牽引車2と被牽引車3との連結点までの距離である連結距離を取得する。パラメータ特定部は、牽引車2の走行軌道の曲率又は舵角が最大値を超えないことを条件とした上でトレーラホイールベースと連結距離とに基づいて、被牽引車3の駐車時の走行軌道における所定の旋回曲率Xと切り戻し曲率勾配βの推奨される値を夫々特定する。
【0029】
また、車両制御ECU24は、牽引車2の制御を行う電子制御ユニットである。また、車両制御ECU24はステアリング、ブレーキ、アクセル、変速機等の車両の各駆動部と接続されており、本実施形態では例えば後述の駐車スペースへの駐車を支援する駐車支援モード移行時において、各駆動部を制御することにより牽引車2の自動運転支援を実施することが可能である。具体的には、駐車支援ECU23は、駐車支援モード実行時にCANを介して車両制御ECU24に対して駐車支援装置1で生成された自動運転支援に関する各種支援情報を送信する。そして、車両制御ECU24は受信した各種支援情報を用いて走行開始後の自動運転支援を実施する。支援情報としては例えば牽引車2や被牽引車3の走行が推奨される走行軌道、走行軌道に従って走行する際の車速やステアリング角を示す情報等がある。尚、自動運転支援ではステアリングの操作のみ自動で行っても良いし、駆動源、ブレーキ、変速機の制御も自動で行うようにしても良い。一方で牽引車2において上記自動運転支援の搭載は必須ではなく、牽引車2は手動運転のみ可能な車両としても良い。その場合には、駐車支援モードの移行時において上記自動運転支援に代わって推奨される走行軌道に沿って走行する為のステアリングの操作案内、ブレーキ、アクセル、シフト位置の操作案内を行う。
【0030】
また、車速センサ25は、牽引車2の車輪に取り付けられたアクティブ車輪速センサからなり、車輪の回転速度を検出して速度信号を出力する。また、ステアリングセンサ26は、ステアリング装置の内部に取り付けられており、ステアリングホイールを転舵した場合の舵角を検出して操舵角信号を出力する。更に、シフト位置センサ27は、シフトレバーに内蔵され、シフト位置が「P(パーキング)」、「N(ニュートラル)」、「R(リバース)」、「D(ドライブ)」、「2(2速)」、「L(ロー)」のいずれの位置となっているかを検出する。
【0031】
駐車支援ECU23は、上記各種センサからの出力信号に基づいて、現在の牽引車2の車速、走行距離、ステアリング角、シフト位置等を取得することが可能である。
【0032】
続いて、前記構成を有する駐車支援装置1において駐車支援ECU23が実行するパラメータ特定処理プログラムについて図5に基づき説明する。図5は本実施形態に係るパラメータ特定処理プログラムのフローチャートである。ここで、パラメータ特定処理プログラムは牽引車2のACC電源(accessory power supply)がONされた状態で操作部14において所定の初期設定操作を受け付けた場合に実行され、駐車を行う際の走行軌道の生成に用いるパラメータの推奨値を導出するプログラムである。尚、以下の図5にフローチャートで示されるプログラムは、駐車支援装置1が備えているRAM32やROM33に記憶されており、CPU31により実行される。
【0033】
先ず、ステップ(以下、Sと略記する)1においてCPU31は、牽引車2及び被牽引車3に関する情報を車両情報DB21から取得する。尚、車両情報DB21には、牽引車2及び被牽引車3に関する各種情報が記憶されており、特に前記S1では牽引車2について“最小旋回半径”と“牽引車2の後輪軸から牽引車2と被牽引車3との連結点(ヒッチボール5の位置)までの距離(以下、連結距離という)”、被牽引車3について“牽引車2と被牽引車3との連結点から被牽引車3の前輪軸までの距離(以下、トレーラホイールベースという)”が少なくとも取得される。
【0034】
次にS2においてCPU31は、パラメータの推奨値を導出する為に仮想の駐車状況を図6に示すように設定する。特に、前記S2では駐車スペースへの進入角Δθ(駐車スペースへと進入する為に旋回が必要な角度量にも相当)として任意の値を設定する。尚、進入角Δθは例えば30度、60度、90度のいずれを設定しても良い。また、進入角Δθとして複数の角度を設定しても良く、その場合には設定した進入角Δθ毎に以下の処理を実行し、Δθ毎にパラメータを算出する。
【0035】
続いてS3においてCPU31は、前記S1で取得した牽引車2の最小旋回半径に基づいて牽引車2の走行軌道について許容する最大曲率を設定する。特に、最大曲率としては、牽引車2が被牽引車3と同方向(図6に示す例では後退方向に沿って右方向)に旋回する走行軌道において許容する第1最大曲率と、牽引車2が被牽引車3と異なる方向(図6に示す例では後退方向に沿って左方向)に旋回する走行軌道において許容する第2最大曲率と、を夫々設定し、更に第2最大曲率は第1最大曲率よりも小さい値とする。例えば、第1最大曲率は牽引車2が最小旋回半径で旋回した場合に描く軌道の曲率とし、第2最大曲率は第1最大曲率の3/4とする。一例として第1最大曲率を0.2[1/m]、第2最大曲率を0.15[1/m]とする。
【0036】
その後S4においてCPU31は、前記S2で設定された仮想の駐車状況で駐車を行うとした場合に、被牽引車3の旋回曲率を任意の値に設定する。尚、旋回曲率は被牽引車3の走行軌道の曲率の最大値(最大曲率)に相当する。
【0037】
ここで、被牽引車3を牽引する牽引車2が後退する場合の被牽引車3が描く走行軌道の曲率に関して、被牽引車3は操舵装置を有さないので、被牽引車3の走行軌道の曲率は図7に示すように主に牽引車2と被牽引車3の接続角度に基づいて決まることとなる。即ち、図7の上図のように牽引車2と被牽引車3の接続角度が0度(一直線上に位置)の時点では後退する牽引車2に押された場合に描く被牽引車3の走行軌道の曲率は0となる。一方、図7の下図のように牽引車2と被牽引車3の接続角度が0度より大きくなれば後退する牽引車2に押された場合に描く被牽引車3の走行軌道の曲率は0より大きくなる。そして、牽引車2と被牽引車3の接続角度が大きくなるほど、被牽引車3の走行軌道の曲率は大きくなる(旋回半径が小さくなる)。
【0038】
そして、被牽引車3を牽引する牽引車2が後退して駐車を行う場合において、駐車に要する経路の全長を短くするためには被牽引車3が描く走行軌道の曲率をできる限り短時間で大きくすることが重要である。そこで、図8に示すように先ず後退開始直後に牽引車2は本来の旋回方向(図8であれば運転者から見て左後方に旋回したいので左方向)と逆方向(図8であれば右方向)にあえて操舵する逆切り動作を行い、その後に本来の旋回方向へと操舵することが一般的に行われている。一方で、駐車目標位置に近づいた状態では牽引車2と被牽引車3の接続角度を0度に近づける必要があるが、駐車に要する経路の全長を短くするためには徐々に曲率を小さくするのではなくできる限り曲率が大きい状態を最後まで維持して、最後に素早く曲率を小さくするのが有効であるので、旋回の最後に旋回方向への操舵を増す切り増し動作を行うことが一般的に行われている。
【0039】
上記牽引車2において逆切り動作と切り増し動作を行うと、牽引車2と被牽引車3の走行軌道の曲率は一例として図9に示すような推移を示すこととなる。即ち、牽引車2において逆切り動作が行われることによって被牽引車3の走行軌道の曲率は後退開始時点の初期曲率である0から旋回曲率Xまで所定の増加率(勾配)αで増加する(第1区間)。そして、旋回曲率を維持して所定距離だけ後退した後に、牽引車2において切り増し動作が行われることによって被牽引車3の走行軌道の曲率は旋回曲率Xから0まで所定の減少率(勾配)βで減少する(第2区間)。尚、図9に示す例ではα及びβは移動距離に対して一定の値(直線グラフ)となっているが、移動距離に対して変位する値(曲線グラフ)としても良い。また、前記S2で設定された仮想の駐車状況では後退開始時点において牽引車2と被牽引車3の接続角度が0度(一直線上に位置)であることを前提としているが、後退開始時点において牽引車2と被牽引車3の接続角度が0度以外である状況を想定するのであれば被牽引車3の走行軌道の曲率の初期値は0以外となる。
【0040】
そして、前記S4でCPU31は図9に示す旋回曲率Xの推奨される値を探索する為に、先ず旋回曲率Xとして任意の値を仮設定する。尚、後述のように最終的に前記S4で仮設定された旋回曲率Xを用いた場合の駐車に要する経路の全長Lを見て仮設定された旋回曲率が推奨される値であったか否かを判定する。
【0041】
続いてS5においてCPU31は、前記S2で設定された仮想の駐車状況で駐車を行うとした場合に、被牽引車3の推奨される切り増し曲率勾配を探索する。尚、切り増し曲率勾配は牽引車2の逆切り動作によって被牽引車3の走行軌道の曲率を増加させる際の増加率(単位走行距離当たりの曲率の増加値)であり、図9に示すαの値である。
【0042】
以下に、切り増し曲率勾配αの推奨される値を探索する方法について以下説明する。
図10は牽引車2の逆切り動作における牽引車2の走行軌道の曲率と被牽引車3の走行軌道の切り増し曲率勾配αの関係を示した図である。尚、図10に示す走行軌道の曲率は前記S2で設定された仮想の駐車状況に対して前記S1で取得された被牽引車3の回転中心から連結点までの距離であるトレーラホイールベースと、牽引車2の後輪軸から牽引車2と被牽引車3との連結点までの距離と、を用いて牽引車2と被牽引車3の取り得る走行軌道を夫々算出し、算出した走行軌道から曲率を抽出することで導出可能である。図10に示すように牽引車2の逆切り動作時のマイナス方向の曲率を大きくすればするほど、被牽引車3の走行軌道の切り増し曲率勾配αは大きくなる。一方で、切り増し曲率勾配αが大きくなるほど被牽引車3が旋回に必要な距離が短くなるので駐車に要する経路の全長は短くなると推定される。そこで、図10に示すように逆切り動作における牽引車2の曲率を段階的に変位させ、牽引車2の走行軌道が前記S3で設定された最大曲率を超えないことを条件とした上で、切り増し曲率勾配αの最大値を探索する。具体的には、牽引車2の走行軌道が前記S3で設定された最大曲率(例えば図10に示す例では-0.15[1/m])となる場合に対応する被牽引車3の走行軌道の切り増し曲率勾配αが、推奨される値となる。また、探索した切り増し曲率勾配αを使い想定後退車速(例えば4km/h)で後退するときに操舵角速度制限値を超える場合には、操舵角速度制限値を超えない値まで切り増し曲率勾配αを小さくする。
【0043】
続いてS6においてCPU31は、前記S2で設定された仮想の駐車状況で駐車を行うとした場合に、被牽引車3の推奨される切り戻し曲率勾配を探索する。尚、切り戻し曲率勾配は牽引車2の切り増し動作によって被牽引車3の走行軌道の曲率を減少させる際の減少率(単位走行距離当たりの曲率の減少値)であり、図9に示すβの値である。
【0044】
以下に、切り戻し曲率勾配βの推奨される値を探索する方法について以下説明する。
図11は牽引車2の切り増し動作における牽引車2の走行軌道の曲率と被牽引車3の走行軌道の切り戻し曲率勾配βの関係を示した図である。尚、図11に示す走行軌道の曲率は前記S2で設定された仮想の駐車状況に対して前記S1で取得された被牽引車3の回転中心から連結点までの距離であるトレーラホイールベースと、牽引車2の後輪軸から牽引車2と被牽引車3との連結点までの距離と、を用いて牽引車2と被牽引車3の取り得る走行軌道を夫々算出し、算出した走行軌道から曲率を抽出することで導出可能である。図11に示すように牽引車2の切り増し動作時のプラス方向の曲率を大きくすればするほど、被牽引車3の走行軌道の切り戻し曲率勾配βは大きくなる。一方で、切り戻し曲率勾配βが大きくなるほど被牽引車3が旋回に必要な距離が短くなるので駐車に要する経路の全長は短くなると推定される。そこで、図11に示すように切り増し動作における牽引車2の曲率を段階的に変位させ、牽引車2の走行軌道が前記S3で設定された最大曲率を超えないことを条件とした上で、切り戻し曲率勾配βの最大値を探索する。具体的には、牽引車2の走行軌道が前記S3で設定された最大曲率(例えば図11に示す例では+0.2[1/m])となる場合に対応する被牽引車3の走行軌道の切り戻し曲率勾配βが、推奨される値となる。また、探索した切り戻し曲率勾配βを使い想定後退車速(例えば4km/h)で後退するときに操舵角速度制限値を超える場合には、操舵角速度制限値を超えない値まで切り戻し曲率勾配βを小さくする。
【0045】
その後、S7においてCPU31は、前記S4~S6で仮設定及び探索された各値が推奨される値であるか否かを判定する為に、駐車に要する経路の全長Lを算出する。尚、Lは牽引車2の走行軌道と被牽引車3の走行軌道のどちらを基準にして算出しても良い。例えば被牽引車3の走行軌道を基準にして算出する場合には図12に示す式により算出される。
【0046】
以下同様にして前記S4で任意に設定された旋回曲率Xの値を適宜変更し、S4~S7の処理を繰り返し行う。そして、駐車に要する経路の全長Lが短くなることを優先して旋回曲率Xと切り増し曲率勾配αと切り戻し曲率勾配βの推奨される値を夫々特定する。具体的には、前記S7で算出されるLが最小となる旋回曲率X、切り増し曲率勾配α、切り戻し曲率勾配βの組み合わせを探索し、Lが最小となる旋回曲率X、切り増し曲率勾配α、切り戻し曲率勾配βの組み合わせを特定した後に、特定された各値を走行軌道の生成に用いるのに推奨される値としてフラッシュメモリ34等に格納する(S8)。
【0047】
尚、本実施形態で上記推奨されるパラメータの導出に用いる被牽引車3の回転中心から連結点までの距離であるトレーラホイールベースは、現時点で連結している被牽引車3の回転中心から連結点までの距離であるトレーラホイールベースを用いることとしているが、仮想のトレーラホイールベースを用いるようにしても良い。例えば、トレーラホイールベースを2m、2.5m、3m、3.5m、4mとしてそれぞれのトレーラホイールベースに対して上述のパラメータ特定処理プログラムを実行し、推奨されるパラメータの導出を行うようにしても良い。それによって、連結される被牽引車3が変更される度に上述のパラメータ特定処理プログラムを実行する必要がなく、連結する被牽引車3に対して推奨されるパラメータを容易に特定可能となる。
【0048】
ここで、図13はトレーラホイールベースと前記S8で導出されるパラメータの関係を示した図である。図13に示すように被牽引車3のトレーラホイールベースが2m~4mの範囲においては、推奨される旋回曲率Xについては被牽引車3のトレーラホイールベースによる影響が小さいが、推奨される切り増し曲率勾配α及び切り戻し曲率勾配βについてはトレーラホイールベースが大きくなるほどより小さい値が導出されることが分かる。尚、図13に示すように線形補完を行うことで2m、2.5m、3m、3.5m、4m以外のトレーラホイールベースに対しても推奨されるパラメータを特定可能となる。
【0049】
また、連結距離についても同様であり、例えば上記本実施形態では牽引車2の後輪軸から現時点で牽引車2が備える牽引装置4の連結点までの距離を用いることとしているが、上記トレーラホイールベースと同様に仮想の連結距離を用いるようにしても良い。例えば、連結距離を2m、2.5m、3m、3.5m、4mとしてそれぞれの連結距離に対して上述のパラメータ特定処理プログラムを実行し、推奨されるパラメータの導出を行うようにしても良い。それによって、牽引車2が備える牽引装置4が変更される度に上述のパラメータ特定処理プログラムを実行する必要がなく、牽引車2が備える牽引装置4に対して推奨されるパラメータを容易に特定可能となる。
【0050】
また、前記S8で導出されるのは前記S2で設定された一の進入角Δθ(例えば60度)で旋回して駐車を行う駐車状況に対して推奨されるパラメータであるが、導出されたパラメータは前記S2で設定された進入角Δθ以外の進入角(例えば90度や45度)で駐車を行う駐車状況においても推奨されるパラメータとして用いることができるとする。但し、進入角Δθとして複数の角度を設定し、Δθ毎に推奨されるパラメータを導出するようにしても良い。
【0051】
そして、CPU31は前記S8で導出された旋回曲率X、切り増し曲率勾配α、切り戻し曲率勾配βの推奨される各値を用いて、後述のように実際に駐車を行う際の牽引車2の走行軌道を生成する。
【0052】
続いて、前記構成を有する駐車支援装置1において駐車支援ECU23が実行する駐車支援処理プログラムについて図14に基づき説明する。図14は本実施形態に係る駐車支援処理プログラムのフローチャートである。ここで、駐車支援処理プログラムは牽引車2のACC電源(accessory power supply)がONされた後であって、牽引車2の運転者が操作部14を操作して駐車支援モードへの移行を選択した場合に実行され、牽引車2が被牽引車3を連結した状態で駐車を行う場合において運転者が行う駐車操作を支援するプログラムである。尚、以下の図14にフローチャートで示されるプログラムは、駐車支援装置1が備えているRAM32やROM33に記憶されており、CPU31により実行される。
【0053】
先ず、S11においてCPU31は、駐車開始位置及び駐車目標位置を取得する。基本的には現在の牽引車2及び被牽引車3の位置が駐車開始位置となるが、現在の位置から駐車目標位置への駐車が困難である場合には現在と異なる位置に駐車開始位置を設定し、駐車開始位置までの誘導を行うようにしても良い。一方、駐車目標位置については例えば液晶ディスプレイ15に表示された牽引車2の周辺の画像からユーザが駐車を希望する位置を指定し、指定された位置を駐車目標位置としても良いし、カメラやセンサで牽引車2の周囲にある駐車スペースを検出し、検出した駐車スペースを駐車目標位置としても良い。
【0054】
次に、S12においてCPU31は、駐車開始位置における牽引車2及び被牽引車3の方位及び牽引車2と被牽引車3の接続角度(ヒッチ角)を取得する。上述したように基本的には現在の牽引車2及び被牽引車3の位置が駐車開始位置となるので、前記S12では現在の牽引車2及び被牽引車3の方位及び接続角度が取得される。尚、接続角度については例えば後方カメラ9の撮像画像から特定することが可能である。
【0055】
続いて、S13においてCPU31は、前記S11で取得された駐車開始位置から前記S12で取得された牽引車2の方位へと駐車目標位置と離間する方向に旋回しつつ前進する牽引車2の前進軌道を取得する。ここで、特に後退駐車を行う場合の走行軌道は、駐車スペースなどの駐車目標とする駐車目標位置に対して進入するのに適切な切り返し位置まで一旦前進する前進区間と、切り返し位置で後退に切り替えて駐車目標位置まで後退する後退区間とを有する。以下では前進区間における走行軌道を前進軌道といい、後退区間における走行軌道を後退軌道という。牽引車2の前進軌道は基本的に予め用意された固定の形状の走行軌道とするが、例えば周辺の空きスペースの広さが足りない場合等については用意された前進軌道を修正して用いても良い。
【0056】
ここで、図15は前記S13で取得される牽引車2の前進軌道の一例を示した図である。図15に示すように牽引車2の前進軌道41は複数のクロソイド曲線が接続された斜め前方に移動する軌道となっており、例えば図15に示す前進軌道41では駐車開始位置Sからステアリングを左方向に徐々に旋回させながら(即ち曲率が徐々に大きく変化させながら)進む第1のクロソイド曲線と、ステアリングを徐々に直進方向に戻しながら(即ち曲率が徐々に小さく変化させながら)進む第2のクロソイド曲線との組み合わせとする。尚、横移動の方向については駐車目標位置Gに対して離間する方向とし、また、前進軌道の長さは少なくとも駐車目標位置Gよりも遠方まで移動可能な軌道とする。
【0057】
その後、S14においてCPU31は、牽引車2が前記S13で取得された前進軌道に従って移動する際に被牽引車3の描く走行軌道と接続角度(ヒッチ角)の推移を予測し、予測された走行軌道と接続角度の推移を被牽引車3の前進軌道と前進軌道走行中の接続角度の推移として取得する。尚、被牽引車3の走行軌道と接続角度の推移の予測は車両情報DB21に記憶された各種情報(例えば牽引車2の後輪軸から牽引車2と被牽引車3との連結点(ヒッチボール5の位置)までの距離、トレーラホイールベースなど)と前記S12で取得された被牽引車3の方位及び接続角度に基づいて行う。図15には牽引車2が前進軌道41に従って移動する際に予測される被牽引車3の前進軌道42の一例についても示す。
【0058】
次に、S15においてCPU31は、前記S13及びS14で取得された各前進軌道上に牽引車2及び被牽引車3が切り返し(前進から後退への切り替え)を行う位置の候補となる切り返し位置候補を設定する。尚、切り返し位置候補は図16に示すように所定距離間隔(例えば1m間隔や50cm間隔)で前進軌道の始点から終点まで複数設定する。尚、設定される切り返し位置候補の間隔や数は適宜変更可能である。また、前進軌道の始点から終点までではなく特に切り返し位置となる可能性の高い範囲(中央付近)にのみ切り返し位置候補を設定しても良い。
【0059】
以下のS16~S18の処理は前記S15で設定された切り返し位置候補毎に実行され、前記S15において前進軌道上に設定されたり返し位置候補から後退を開始したと仮定した場合における牽引車2及び被牽引車3の後退軌道を候補毎に以下のように算出する。そして、前記S15で設定された全ての切り返し位置候補に対してS16~S18の処理を実行した後にS19へと移行する。
【0060】
ここで、前述したパラメータ特定処理プログラム(図5)において説明したように、被牽引車3を牽引する牽引車2が後退して駐車を行う場合において、牽引車2では逆切り動作や切り増し動作が行われる(図8)。そして牽引車2において逆切り動作と切り増し動作を行った結果、牽引車2と被牽引車3の走行軌道の曲率は一例として図9に示すような推移を示すこととなる。即ち、牽引車2において逆切り動作が行われることによって被牽引車3の走行軌道の曲率は後退開始時点の初期曲率(図9では0)から旋回曲率Xまで所定の増加率(勾配)αで増加する(第1区間)。そして、旋回曲率を維持して所定距離だけ後退した後に、牽引車2において切り増し動作が行われることによって被牽引車3の走行軌道の曲率は旋回曲率Xから0まで所定の減少率(勾配)βで減少する(第2区間)。前述したパラメータ特定処理プログラム(図5)では、旋回曲率X、切り増し曲率勾配α、切り戻し曲率勾配βの推奨される各値を導出しており、先ずS16でCPU31はこれらの推奨される各値についてフラッシュメモリ34から読み出して取得する。
【0061】
続いて、S17においてCPU31は、前記S14で予測された前進軌道に沿って前進する際の牽引車2と被牽引車3の接続角度(ヒッチ角)の推移に基づいて、切り返し位置候補に位置する時点の牽引車2と被牽引車3の接続角度を特定する。
【0062】
ここで、被牽引車3の走行軌道の初期曲率は、後退開始時点、即ち切り返し時点の牽引車2と被牽引車3の接続角度によって決まる。具体的には図17に示すように切り返し時点の被牽引車3の進行方向に対して牽引車2が駐車目標位置側を向いていれば初期曲率は0より大きく(駐車目標位置への旋回方向と同方向へ旋回開始する軌道)となり、図18に示すように切り返し時点の被牽引車3の進行方向に対して牽引車2が駐車目標位置と逆側を向いていれば初期曲率は0より小さく(駐車目標位置への旋回方向と逆方向へ旋回開始する軌道)となる。そして、S17では切り返し位置候補に位置する時点の牽引車2と被牽引車3の接続角度と車両情報DB21に格納された各種情報とに基づいて、上記初期曲率を特定する。
【0063】
その後、S18においてCPU31は、前記S16で取得された旋回曲率X、切り増し曲率勾配α、切り戻し曲率勾配βの推奨される各値と、前記S17で特定された初期曲率とに基づいて、処理対象の切り返し位置候補から後退を開始したと仮定した場合における牽引車2及び被牽引車3の後退軌道を算出する。また、前記S11で取得した駐車目標位置と処理対象の切り返し位置候補に基づいて、処理対象の切り返し位置候補から駐車目標位置への進入角Δθ(駐車目標位置へと進入する為に旋回が必要な角度量にも相当)について特定し(図6参照)、前記S18で算出される後退軌道は進入角Δθに合わせた軌道とする。但し、進入角Δθには合わせる一方で駐車目標位置を通過するか否かについては問わない。尚、後退軌道については必ずしも牽引車2及び被牽引車3の両方を算出する必要はなく、一方のみ算出しても良い。
【0064】
ここで、図19は前記S18で算出される後退軌道の一例を示した図である。図19に示すように牽引車2の後退軌道43は牽引車2の前進軌道41上に設定された処理対象の切り返し位置候補から後退する軌道となる。また、被牽引車3の後退軌道44は被牽引車3の前進軌道42上に設定された処理対象の切り返し位置候補から後退する軌道となる。特に牽引車2の後退軌道43については前述した逆切り動作と切り増し動作を含む走行軌道となっており、被牽引車3の後退軌道44については、初期曲率から推奨される旋回曲率Xまで推奨される切り増し曲率勾配αで曲率を上昇させつつ走行する区間(第1区間)と、旋回曲率Xを維持して走行する区間と、旋回曲率Xから推奨される切り戻し曲率勾配βで曲率を減少させつつ走行する区間(第2区間)と、を含む。
尚、後退軌道43、44については駐車目標位置への進入角Δθは合わせている。即ち、駐車目標位置へと進入する為に必要な量だけ旋回を行う軌道となっているが、必ずしも駐車目標位置を通過する軌道になるとは限らない。
【0065】
そして、前記S15で設定された全ての切り返し位置候補に対してS16~S18の処理を実行し、後退軌道を算出した後にS19へと移行する。
【0066】
S19においてCPU31は、前記S18で算出された後退軌道を切り返し位置候補毎に比較し、複数の切り返し位置候補の内から後退軌道の終点が駐車目標位置に最も近くなる切り返し位置の候補を選択する。尚、牽引車2の後退軌道を比較しても良いし、被牽引車3の後退軌道を比較しても良い。例えば図20は被牽引車3の後退軌道44を比較した場合の例であり、図20に示す例では右から2番目の後退軌道44の終点が駐車目標位置Gに最も近くなるので、該後退軌道44に対応する切り返し位置の候補が選択されることとなる。
【0067】
次に、S20においてCPU31は、前記S19で選択された切り返し位置候補を、後退軌道の終点が駐車目標位置へと近づく方向へと補正し、補正後の切り返し位置候補を切り返し位置として最終決定する。例えば、図20に示すように被牽引車3の後退軌道44を比較した場合において、前記S19で選択された切り返し位置候補の後退軌道44の終点が駐車目標位置Gに対して右にずれている場合には、図21に示すように切り返し位置候補を前進軌道42に沿って駐車開始位置側に移動させることで後退軌道44の終点を駐車目標位置Gへと近づけることが可能となる。一方、前記S19で選択された切り返し位置候補の後退軌道44の終点が駐車目標位置Gに対して左にずれている場合には、図21に示すように切り返し位置候補を前進軌道42に沿って駐車開始位置から離れる側(前方)に移動させることで後退軌道44の終点を駐車目標位置Gへと近づけることが可能となる。
【0068】
但し、前記S20の補正は、後退軌道の終点が駐車目標位置と完全に一致する切り返し位置よりも前進軌道に沿って所定距離(例えば30cm)だけ前方(駐車開始位置から離れる側)の位置となるように切り返し位置候補を補正するようにするのが望ましい。それによって、上記S11~S20の処理の過程において測定や算出に誤差が生じた場合、即ち前記S20で最終決定された切り返し位置から後退する軌道が実際には駐車目標位置へ到達するのが難しい軌道となっていた場合であっても、駐車をやり直すことなく後退途中で修正が可能となる。
【0069】
続いて、S21においてCPU31は、前記S13及びS14で取得された前進軌道の内、前記S20で決定された切り返し位置までの前進軌道と、前記S20で決定された切り返し位置から後退する後退軌道の組み合わせを、駐車開始位置から駐車目標位置までの推奨される走行軌道として出力する。尚、前記S20で決定された切り返し位置から後退する後退軌道の算出については前記S18と同様であるので説明は省略する。尚、前記S21では牽引車2あるいは被牽引車3の一方の走行軌道のみを出力するようにしても良い。また、前進軌道は牽引車2の走行軌道、後退軌道は被牽引車3の走行軌道を出力しても良いし、その逆でも良い。
【0070】
また、駐車支援装置1は、その後に前記S21で出力された走行軌道に基づいて各駆動部を制御することにより牽引車2の駐車支援を実施することが可能である。具体的には、駐車支援装置1は、CANを介して車両制御ECU24に対して前記S21で生成された走行軌道などの自動運転支援に関する各種支援情報を送信する。そして、車両制御ECU24は受信した各種支援情報を用いて自動運転支援を実施する。具体的には、前記S21で生成された走行軌道に沿って駐車開始位置から駐車目標位置まで牽引車2が移動するようにステアリング、駆動源、ブレーキ、変速機の制御を行う。尚、上記自動運転支援ではステアリングの操作のみ自動で行い、アクセル、ブレーキ、シフト位置の操作については手動で行わせるようにしても良い。一方で牽引車2において上記自動運転支援の搭載は必須ではなく、牽引車2は手動運転のみ可能な車両としても良い。その場合には、上記自動運転支援に代わって前記S21で生成された走行軌道に沿って走行する為のステアリングの操作案内、ブレーキ、アクセル、シフト位置の操作案内を行う。
【0071】
また、駐車支援モードへの移行中については生成された走行軌道に従って駐車操作ができているか否かを運転者に確認させる為に、液晶ディスプレイ15に走行軌道と車両の現在位置を比較可能な状態で表示するのが望ましい。更に、牽引車2や被牽引車3に設置されたカメラで撮像した周囲の画像に基づいて上方から見下ろした俯瞰画像を生成し、駐車支援モードへの移行中については俯瞰画像を液晶ディスプレイ15に表示するようにしても良い。
【0072】
以上詳細に説明した通り、本実施形態に係る駐車支援装置1及び駐車支援装置1で実行されるコンピュータプログラムによれば、牽引車2の走行軌道について許容する曲率又は舵角の最大値を設定し(S3)、被牽引車3の回転中心から連結点までの距離であるトレーラホイールベースと、牽引車2の後輪軸から牽引車2と被牽引車3との連結点までの距離である連結距離と、を取得し(S1)、牽引車2の走行軌道の曲率又は舵角が最大値を超えないことを条件とした上でトレーラホイールベースと連結距離とに基づいて、被牽引車3の駐車時の走行軌道における旋回曲率と第2区間の曲率勾配の推奨される値を夫々特定する(S4~S8)ので、牽引車の走行軌道において許容される曲率又は舵角の最大値を考慮した上で、被牽引車3の回転中心から連結点までの距離であるトレーラホイールベースと牽引車の後輪軸から連結点までの距離とに基づいて被牽引車の走行軌道の曲率の最大値と勾配について推奨される値を特定することが可能となる。その結果、駐車時において追従不可能な走行軌道が生成されることなく、推奨される値を用いてより適切な走行軌道を算出することが可能となる。
また、牽引車2の走行軌道の曲率又は舵角が前記最大値を超えないことを条件とし、トレーラホイールベースと連結距離とに基づいて、第1区間の曲率勾配の推奨される値を特定する(S4~S8)ので、特に逆切り動作を行うことによって上昇する被牽引車の走行軌道の曲率の勾配について推奨される値を特定することが可能となる。
また、駐車に要する経路の全長が短くなることを優先して所定の旋回曲率と第1区間の曲率勾配と第2区間の曲率勾配の推奨される値を夫々特定する(S4~S8)ので、駐車時において追従不可能な走行軌道が生成されることなく、且つできる限り短い移動で駐車を完了させる走行軌道を算出することが可能となる。
また、牽引車2が被牽引車3と同方向に旋回する走行軌道において許容する第1最大値と、牽引車2が被牽引車3と異なる方向に旋回する走行軌道において許容する第2最大値と、を夫々設定し、更に第2最大値は第1最大値よりも小さい値とするので、旋回方向を考慮して曲率や舵角の許容できる最大値を適切に設定することが可能となる。
【0073】
尚、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の改良、変形が可能であることは勿論である。
例えば本実施形態ではパラメータ特定処理プログラム(図5参照)において牽引車2の走行軌道について許容する最大曲率を設定する(S3)際に、牽引車2が被牽引車3と同方向(図6に示す例では後退方向に沿って右方向)に旋回する走行軌道において許容する第1最大曲率と、牽引車2が被牽引車3と異なる方向(図6に示す例では後退方向に沿って左方向)に旋回する走行軌道において許容する第2最大曲率と、を夫々設定し、更に第2最大曲率は第1最大曲率よりも小さい値としているが、第1最大曲率は第2最大曲率と同じ或いは、第1最大曲率が第2最大曲率よりも小さい値とするようにしても良い。
【0074】
また、本実施形態では、牽引車2の走行軌道について許容する最大曲率を設定しているが、曲率の代わりに許容する最大舵角(ステアリング角)を設定することも可能である。尚、牽引車2の走行軌道が描く曲率と走行軌道に沿って走行する牽引車2の舵角は基本的に連動するので最大曲率の代わりに最大舵角を設定したとしても問題なく実施可能である。
【0075】
また、本実施形態では、パラメータ特定処理プログラム(図5参照)において旋回曲率X、切り増し曲率勾配α、切り戻し曲率勾配βについて推奨される値を特定しているが、それらすべてのパラメータについて推奨される値を特定するのではなく、一部のパラメータのみ推奨される値を特定するようにしても良い。
【0076】
また、本実施形態では、駐車支援処理プログラム(図14)において複数の切り返し位置の候補の内から後退軌道の終点が駐車目標位置に最も近くなる切り返し位置の候補を選択し(S19)、更に選択された切り返し位置の候補を補正(S20)した上で切り返し位置として決定しているが、S20の補正は必ずしも行う必要はない。即ち、前記S19で選択された切り返し位置の候補を切り返し位置として決定しても良い。
【0077】
また、本実施形態では、パラメータ特定処理プログラム(図5参照)及び駐車支援処理プログラム(図14)の処理を駐車支援装置1の駐車支援ECU23が実行する構成としているが、実行主体は適宜変更することが可能である。例えば、液晶ディスプレイ15の制御部、車両制御ECU、ナビゲーション装置の制御部、その他の車載器が実行する構成としても良い。
【符号の説明】
【0078】
1…駐車支援装置、2…牽引車、3…被牽引車、4…牽引装置、5…ヒッチボール、6…連結部材、7…カプラー、9…後方カメラ、15…液晶ディスプレイ、31…CPU、32…RAM、33…ROM、41…牽引車の前進軌道、42…被牽引車の前進軌道、43…牽引車の後退軌道、44…被牽引車の後退軌道
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21