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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024158218
(43)【公開日】2024-11-08
(54)【発明の名称】ノズル
(51)【国際特許分類】
   B05B 1/06 20060101AFI20241031BHJP
   F15D 1/08 20060101ALI20241031BHJP
【FI】
B05B1/06
F15D1/08 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023073226
(22)【出願日】2023-04-27
(71)【出願人】
【識別番号】390002118
【氏名又は名称】株式会社いけうち
(74)【代理人】
【識別番号】110002837
【氏名又は名称】弁理士法人アスフィ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】平松 弘樹
(72)【発明者】
【氏名】神吉 邦彦
【テーマコード(参考)】
4F033
【Fターム(参考)】
4F033AA04
4F033BA03
4F033BA04
4F033DA01
4F033EA01
4F033LA00
4F033NA01
(57)【要約】
【課題】ノズルから噴射する液体がばらけるのが抑えられ、安定して液体を噴射することができるノズルを提供する。
【解決手段】軸方向に延びる液体流路10を有するノズル1であって、液体流路10は、大径部11と、大径部11よりも先端側に縮径部12を有し、大径部11は軸方向に沿って内径が略同一に形成され、縮径部12は先端に向かって内径が小さくなるように形成され、大径部11には、大径部11の内面から径方向の内方に突出し、軸方向に延びる整流板5が、周方向に複数設けられ、大径部11の径方向の中心には整流板5が存在せず、整流板5は先端側傾斜部6を有し、整流板5の径方向の内方側の外縁は、先端側傾斜部6において先端に向かって径方向の外方に延びるように形成され、大径部11の内径をdとしたとき、整流板5の先端側の端は、縮径部12の基端側の端から基端側にd/2以内の距離に位置する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基端側から先端側に延びる軸方向と、前記軸方向に垂直な径方向と周方向とを有し、軸方向に延びる液体流路が内部に形成されたノズルであって、
前記液体流路は、大径部と、前記大径部よりも先端側に縮径部を有し、前記液体流路の先端に噴口が形成されており、
前記大径部は、軸方向に沿って内径が略同一に形成され、
前記縮径部は、先端に向かって内径が小さくなるように形成され、
前記大径部には、前記大径部の内面から径方向の内方に突出し、軸方向に延びる整流板が、周方向に複数設けられ、前記大径部の径方向の中心には前記整流板が存在せず、液体の流通空間が形成されており、
前記整流板は先端側傾斜部を有し、前記整流板の径方向の内方側の外縁は、前記先端側傾斜部において先端に向かって径方向の外方に延びるように形成され、
前記大径部の内径をdとしたとき、前記整流板の先端側の端は、前記縮径部の基端側の端から基端側にd/2以内の距離に位置することを特徴とするノズル。
【請求項2】
前記先端側傾斜部の軸方向の長さL1と径方向の長さR1との比L1/R1の値が0.8以上2.0以下である請求項1に記載のノズル。
【請求項3】
前記整流板は基端側傾斜部を有し、前記整流板の径方向の内方側の外縁は、前記基端側傾斜部において先端に向かって径方向の内方に延びるように形成されている請求項1に記載のノズル。
【請求項4】
前記先端側傾斜部の軸方向の長さL1と径方向の長さR1との比L1/R1の値が、前記基端側傾斜部の軸方向の長さL2と径方向の長さR2との比L2/R2の値よりも大きい請求項3に記載のノズル。
【請求項5】
前記整流板は、径方向の内方に向かって厚みが一定に形成されているか、径方向の内方に向かって厚みが一定の部分と厚みが減少する部分を有し、厚みが一定に形成されている部分が整流板の径方向の長さの3/4以上の長さで形成されている請求項1に記載のノズル。
【請求項6】
前記ノズルは、前記液体流路に液体を導入する供給管路に接続され、前記供給管路は、前記整流板の基端側の端から100mm以内に分岐部または屈曲部を有する請求項1に記載のノズル。
【請求項7】
前記ノズルは、ノズル本体に整流器が挿入されて構成され、
前記ノズル本体は、前記整流器が挿入される受け部と、前記受け部よりも先端側に前記縮径部を有し、
前記整流器は、前記大径部を構成する環状部を有し、前記整流板が前記環状部の内面から径方向の内方に突出している請求項1に記載のノズル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はノズルに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、整流器を備えたノズルが知られている。例えば特許文献1には、整流器を内装した整流通路と、その下流側に連なる絞り流路と、さらにその下流側に連なる噴射通路とを有するノズルであって、整流通路の内径がそのほぼ全長にわたって同一に形成され、絞り通路の内径が下流側に向かって小さくなるように形成されたノズルが開示されている。特許文献2には、整流器が配設された流体通路と、流体流路に配設された絞りと、当該絞りに配設された噴出口とを有するノズルであって、整流器は流体の連通路を有し、連通路の内周部から中心部に向かって突出し、連通路に沿って延びる複数の突起を備え、突起は連通路の内周部よりも中心部の幅が狭い形状で形成されたノズルが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平1-111464号公報
【特許文献2】特開2016-056834号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
整流器が設けられたノズルは、整流器に備えられた整流板によって、ノズル内部を流れる液体に乱流が発生するのが抑えられる。これにより、ノズルから噴射する液体がばらけるのが抑えられ、安定して液体を噴射することができる。しかし、より安定して液体を噴射することができるノズルがあれば望ましい。本発明は前記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、ノズルから噴射する液体がばらけるのが抑えられ、安定して液体を噴射することができるノズルを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記課題を解決することができた本発明のノズルは下記の通りである。
[1] 基端側から先端側に延びる軸方向と、前記軸方向に垂直な径方向と周方向とを有し、軸方向に延びる液体流路が内部に形成されたノズルであって、
前記液体流路は、大径部と、前記大径部よりも先端側に縮径部を有し、前記液体流路の先端に噴口が形成されており、
前記大径部は、軸方向に沿って内径が略同一に形成され、
前記縮径部は、先端に向かって内径が小さくなるように形成され、
前記大径部には、前記大径部の内面から径方向の内方に突出し、軸方向に延びる整流板が、周方向に複数設けられ、前記大径部の径方向の中心には前記整流板が存在せず、液体の流通空間が形成されており、
前記整流板は先端側傾斜部を有し、前記整流板の径方向の内方側の外縁は、前記先端側傾斜部において先端に向かって径方向の外方に延びるように形成され、
前記大径部の内径をdとしたとき、前記整流板の先端側の端は、前記縮径部の基端側の端から基端側にd/2以内の距離に位置することを特徴とするノズル。
[2] 前記先端側傾斜部の軸方向の長さL1と径方向の長さR1との比L1/R1の値が0.8以上2.0以下である[1]に記載のノズル。
[3] 前記整流板は基端側傾斜部を有し、前記整流板の径方向の内方側の外縁は、前記基端側傾斜部において先端に向かって径方向の内方に延びるように形成されている[1]または[2]に記載のノズル。
[4] 前記先端側傾斜部の軸方向の長さL1と径方向の長さR1との比L1/R1の値が、前記基端側傾斜部の軸方向の長さL2と径方向の長さR2との比L2/R2の値よりも大きい[3]に記載のノズル。
[5] 前記整流板は、径方向の内方に向かって厚みが一定に形成されているか、径方向の内方に向かって厚みが一定の部分と厚みが減少する部分を有し、厚みが一定に形成されている部分が整流板の径方向の長さの3/4以上の長さで形成されている[1]~[4]のいずれかに記載のノズル。
[6] 前記ノズルは、前記液体流路に液体を導入する供給管路に接続され、前記供給管路は、前記整流板の基端側の端から100mm以内に分岐部または屈曲部を有する[1]~[5]のいずれかに記載のノズル。
[7] 前記ノズルは、ノズル本体に整流器が挿入されて構成され、前記ノズル本体は、前記整流器が挿入される受け部と、前記受け部よりも先端側に前記縮径部を有し、前記整流器は、前記大径部を構成する環状部を有し、前記整流板が前記環状部の内面から径方向の内方に突出している[1]~[6]のいずれかに記載のノズル。
【発明の効果】
【0006】
本発明のノズルによれば、噴射する液体がばらけるのが抑えられ、ノズルから安定して液体を噴射することができる。そのため、例えば高圧で液体を噴射した場合でも、液体を意図した噴射形状で安定して噴射することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明の実施の形態に係るノズルの構成例を表し、ノズルの軸方向断面図を表す。
図2】本発明の実施の形態に係るノズルの他の構成例を表し、ノズルの軸方向断面図を表す。
図3図1および図2に示したノズルのIII-III断面図を表す。
図4図3に示したノズルの断面図の変形例を表す。
図5図1に示したノズルに備えられた整流器の軸方向断面図を表す。
図6図1および図2に示したノズルのノズル本体の軸方向断面図を表す。
図7】実施例で用いた配管とノズルの設置構成を表す。
図8】実施例で用いた整流器のタイプ一覧を表し、整流器の軸方向断面と軸方向の垂直方向断面の模式形状を表す。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明のノズルを図面を参照して説明するが、本発明は図面に示した態様に限定されるものではない。図1図6には、本発明のノズルの構成例を示した。図1および図2は、本発明の実施の形態に係るノズルの構成例であって、ノズルの軸方向断面図を表し、図3は、図1および図2に示したノズルのIII-III断面図を表し、図4は、図3に示したノズルの断面図の変形例を表し、図5は、図1に示したノズルに備えられた整流器の軸方向断面図を表し、図6は、図1および図2に示したノズルのノズル本体の軸方向断面図を表す。
【0009】
ノズル1は、基端側から先端側に延びる軸方向と、軸方向に垂直な径方向と周方向とを有する。ノズル1において、軸方向とは、ノズル1の基端側から先端側に延びる方向を意味する。図1図2図5図6において、図面の右側が基端側に相当し、図面の左側が先端側に相当する。径方向は、軸方向に対する垂直方向であって、ノズル1の軸方向の垂直断面において、液体流路10の中心(図心)から放射方向に延びる方向を意味する。周方向は、ノズル1の軸方向の垂直断面において、液体流路10の中心(図心)を取り囲む方向を意味する。
【0010】
ノズル1は液体が流れる液体流路10を有し、液体流路10は、ノズル1の内部で軸方向に延びている。液体は液体流路10を基端側から先端側に向かって流れる。ノズル1は、液体流路10の先端に噴口が形成されており、噴口から液体が噴出される。ノズル1から噴霧する液体としては、水や薬液等が挙げられる。
【0011】
液体流路10は、大径部11と、大径部11よりも先端側に縮径部12を有する。大径部11は軸方向に沿って内径が略同一に形成されている。大径部11の軸方向の垂直断面形状(整流板5を除いた形状)は円形であることが好ましく、従って、大径部11は円筒形状に形成されていることが好ましい。大径部11の内径が略同一であることの具体例として、大径部11の内径の最大値と最小値の差は、大径部11の内径の最大値の5%以下であることが好ましく、3%以下がより好ましく、1%以下がさらに好ましい。
【0012】
縮径部12は、先端に向かって内径が小さくなるように形成されている。縮径部12の軸方向の垂直断面形状は円形であることが好ましく、従って、縮径部12は切頂円錐形状に形成されていることが好ましい。縮径部12は大径部11の先端側に接続しており、縮径部12の基端側の端における内径と大径部11の先端側の端における内径は略同一に形成されていることが好ましい。あるいは、大径部11と縮径部12の境において液体流路10に若干の段差が形成されていてもよい。縮径部12の基端側の端における内径と大径部11の先端側の端における内径の差は、大径部11の先端側の端における内径の10%以下であることが好ましく、8%以下がより好ましく、5%以下がさらに好ましい。縮径部12の基端側の端における内径は、大径部11の先端側の端における内径と同じか、それよりも小さいことが好ましい。縮径部12の先端側の端における内径は特に限定されないが、縮径部12の先端側の端における内径は基端側の端における内径の0.10倍以上が好ましく、0.15倍以上がより好ましく、また0.70倍以下が好ましく、0.60倍以下がより好ましく、0.50倍以下がさらに好ましい。
【0013】
液体流路10は、縮径部12よりも先端側に小径部13を有していてもよい。小径部13の軸方向の垂直断面における形状は円形であることが好ましく、従って、小径部13は円筒形状に形成されていることが好ましい。小径部13は、軸方向に沿って内径が略同一に形成されていることが好ましい。小径部13の内径が略同一であることの具体例として、小径部13の内径の最大値と最小値の差は、小径部13の内径の最大値の5%以下であることが好ましく、3%以下がより好ましく、1%以下がさらに好ましい。小径部13の先端側は噴口に臨み、小径部13の先端が噴口を形成していてもよい。
【0014】
小径部13は縮径部12の先端側に接続しており、小径部13の基端側の端における内径と縮径部12の先端側の端における内径が略同一に形成されていることが好ましい。あるいは、縮径部12と小径部13の境において液体流路10に若干の段差が形成されていてもよい。小径部13の基端側の端における内径と縮径部12の先端側の端における内径の差は、縮径部12の先端側の端における内径の10%以下であることが好ましく、8%以下がより好ましく、5%以下がさらに好ましい。小径部13の基端側の端における内径は、縮径部12の先端側の端における内径と同じか、それよりも小さいことが好ましい。
【0015】
小径部13の先端側には、小径部13よりも内径が大きい先端大径部14が設けられ、先端大径部14の先端が噴口を形成していてもよい。先端大径部14は、軸方向の垂直断面におけるいずれかの方向に対して小径部13よりも径が大きく形成されていればよい。先端大径部14は、小径部13との境から先端に向かって内径が広がるように形成されていてもよく、小径部13から先端大径部14との境が段状に内径が広がるように形成されていてもよい。先端大径部14は、先端に向かって内径が変わらない部分を有していてもよい。先端大径部14の軸方向の垂直断面形状は特に限定されず、円形、長円形、楕円形、多角形等が挙げられる。
【0016】
液体流路10は、液体流路10の軸方向の垂直断面における図心が、噴口から大径部11まで軸方向に平行に延びるように形成されていることが好ましい。液体流路10の基端側は、液体流路10に液体を導入する供給管路に接続されることが好ましい。供給管路には送液ポンプが連通して設けられ、送液ポンプにより供給管路を介して液体流路10に液体が供給されることが好ましい。
【0017】
ノズル1において、液体流路10の各部の長さや内径は適宜設定することができる。例えば、大径部11の内径(d)は2.5mm以上が好ましく、3.0mm以上がより好ましく、3.5mm以上がより好ましく、また10.0mm以下が好ましく、8.0mm以下がより好ましく、7.0mm以下がさらに好ましい。縮径部12の先端側の端の内径および小径部13の内径は、0.5mm以上が好ましく、0.7mm以上がより好ましく、また5.0mm以下が好ましく、4.5mm以下がより好ましく、4.0mm以下がさらに好ましい。縮径部12の先端側の端の内径および小径部13の内径は、大径部11の内径の0.80倍以下が好ましく、0.70倍以下がより好ましく、0.65倍以下がさらに好ましく、また0.05倍以上が好ましく、0.10倍以上がより好ましく、0.15倍以上がさらに好ましい。
【0018】
大径部11の軸方向の長さは、大径部11の内径の0.8倍以上が好ましく、1.0倍以上がより好ましく、1.2倍以上がさらに好ましい。大径部11の軸方向の長さの上限は特に限定されないが、ノズル1のコンパクト化の観点から、大径部11の軸方向の長さは、大径部11の内径の8.0倍以下が好ましく、6.0倍以下がより好ましく、4.0倍以下がさらに好ましい。縮径部12の軸方向の長さは、大径部11の内径の0.5倍以上が好ましく、0.8倍以上がより好ましく、1.0倍以上がさらに好ましく、また、3.0倍以下が好ましく、2.5倍以下がより好ましく、2.0倍以下がさらに好ましい。
【0019】
液体流路10の軸方向に沿った断面(詳細には、液体流路10の軸方向の垂直断面における図心を通る軸方向に沿った断面)において、縮径部12の内面は軸方向に対して40°以下の角度で延在していることが好ましく、35°以下がより好ましく、30°以下がさらに好ましい。すなわち、縮径部12の内面の延在方向と軸方向とのなす角度が40°以下であることが好ましく、35°以下がより好ましく、30°以下がさらに好ましい。これにより、縮径部12を流れる液体にキャビテーションが発生しにくくなる。液体流路10の軸方向に沿った断面における縮径部12の内面の延在方向とは、縮径部12の内面が曲線状である場合は、縮径部12の内面の接線の延在方向を意味する。なお、縮径部12の内面の延在方向の軸方向に対する角度の下限は特に限定されず、縮径部12の内面の一部が軸方向に対して0°に近い角度で延びるように形成されていてもよい。
【0020】
縮径部12の先端側に小径部13が設けられる場合、小径部13の軸方向の長さは、例えば、小径部13の内径の0.5倍以上が好ましく、1.0倍以上がより好ましく、3.0倍以上がさらに好ましく、また8.0倍以下が好ましく、6.0倍以下がより好ましく、5.0倍以下がさらに好ましい。
【0021】
小径部13の先端側に先端大径部14が設けられる場合、先端大径部14の軸方向の長さの下限は特に限定されず、例えば、先端大径部14の軸方向の長さは小径部13の内径の長さの0.1倍以上、0.2倍以上または0.3倍以上であってもよい。先端大径部14の軸方向の長さの上限については、先端大径部14の軸方向の長さは小径部13の内径の3.0倍以下が好ましく、2.5倍以下がより好ましく、2.0倍以下がさらに好ましい。
【0022】
液体流路10の大径部11には整流板5が設けられている。整流板5は、大径部11の内面から径方向の内方に突出し、軸方向に延びるように設けられる。整流板5は、大径部11の内面の周方向に複数設けられ、大径部11の径方向の中心には整流板5が存在せず、液体の流通空間すなわち空洞部が形成されている。つまり、整流板5は、大径部11の軸方向の垂直断面において、大径部11の内面から径方向の中心に向かって延びるように設けられているが、大径部11の径方向の中心までは延びていない。
【0023】
整流板5は先端側傾斜部6を有し、整流板5の径方向の内方側の外縁は、先端側傾斜部6において先端に向かって径方向の外方に延びるように形成されている。その上で、整流板5は、図1に示すように、大径部11から縮径部12の基端側の端まで延びるように設けられるか、図2に示すように、大径部11から縮径部12の基端側の端の近くまで延びるように設けられる。具体的には、大径部11の内径をdとしたとき、整流板5の先端側の端5Aは、軸方向において、縮径部12の基端側の端から基端側にd/2以内の距離に位置する。大径部11の内径dは、大径部11から整流板5を除いたときの大径部11の内径に相当する。
【0024】
上記のように整流板5が設けられることにより、噴口から噴出する液体がばらけるのが抑えられ、安定した噴射状態を保つことができる。そのため、例えば高圧で液体を噴射した場合でも、液体を意図した噴射形状で噴射することが容易になる。また、液体を噴射した際の打力を高めることができる。例えば、整流板5を設けない場合や、大径部11の径方向の中心まで整流板5を設けた場合や、整流板5を縮径部12の基端側の端から大きく離れて設けた場合と比べ、噴口から噴出する液体がばらけにくくなり、安定した噴射状態を保つことができる。
【0025】
整流板5は、大径部11の軸方向の一部のみに設けられてもよく、大径部11の軸方向の全体にわたって設けられてもよい。なお、整流板5は縮径部12まで延びるようには設けられない。整流板5の軸方向の長さは、大径部11の内径(d)の0.8倍以上が好ましく、1.0倍以上がより好ましく、1.2倍以上がさらに好ましく、また3.0倍以下が好ましく、2.8倍以下がより好ましく、2.5倍以下がさらに好ましい。なお、整流板5が大径部11の軸方向の一部のみに設けられる場合は、上述したように、整流板5の先端側の端5Aは、軸方向において、縮径部12の基端側の端から基端側にd/2以内の距離に位置する。整流板5の先端側の端5Aは、縮径部12の基端側の端から基端側にd/3以内の距離に位置することが好ましく、d/4以内の距離に位置することがより好ましく、d/5以内の距離に位置することがさらに好ましい。整流板5は、先端側の端5Aと縮径部12の基端側の端との間に隙間が形成されないように設けられることが特に好ましい。
【0026】
大径部11に設けられる整流板5の数、具体的には大径部11の周方向の異なる位置に設けられる整流板5の数は2以上であればよいが、3以上が好ましく、4以上がより好ましい。これにより、大径部11を流れる液体の整流作用が高められる。大径部11に設けられる整流板5の数の上限は、10以下が好ましく、8以下がより好ましく、6以下がさらに好ましい。これにより、大径部11の径方向の中心に空洞部が形成されることと相まって、大径部11における流路面積を確保することができ、大径部11において液体の流速が過度に速まることを抑えることができる。そのため、大径部11を流れる液体に乱流が生じるのが抑えられる。図3には、整流板5が周方向に4つ設けられた例が示され、図4には、整流板5が周方向に6つ設けられた例が示されている。
【0027】
大径部11は径方向の中心に整流板5が存在しないように形成されるが、これにより整流板5の先端側でキャビテーションが発生することが抑えられるとともに、大径部11から縮径部12にかけて流れる液体の直進性を保つことができる。整流板5の径方向の長さは、大径部11の内径の0.25倍以上が好ましく、0.30倍以上がより好ましく、0.35倍以上がさらに好ましく、また0.48倍以下が好ましく、0.45倍以下がさらに好ましい。このように整流板5を形成することにより、大径部11を流れる液体の整流作用を高めることができ、また大径部11の径方向の中心に空洞部を十分な大きさで形成することができる。
【0028】
整流板5の厚みは特に限定されないが、大径部11における流路面積を確保する点から、整流板5の厚み(最大厚み)は、整流板5の径方向の長さの0.5倍以下が好ましく、0.4倍以下がより好ましく、0.3倍以下がより好ましい。整流板5の厚み(最大厚み)の下限は、整流板5の強度を確保する点から、整流板5の径方向の長さの0.05倍以上が好ましく、0.08倍以上がより好ましく、0.1倍以上がさらに好ましい。
【0029】
整流板5は、径方向の内方に向かって厚みが一定に形成されているか、径方向の内方に向かって厚みが一定の部分と厚みが減少する部分を有し、厚みが一定に形成されている部分が整流板5の径方向の長さの3/4以上の長さで形成されていることが好ましい。このように整流板5が形成されることにより、整流板5による整流作用が高められるとともに、大径部11における流路面積を確保しやすくなる。後者のように整流板5が形成される場合、厚みが一定に形成される部分は、整流板5の径方向の長さの4/5以上の長さで形成されることがより好ましい。後者のように整流板5が形成される場合、整流板5の基部(整流板5が大径部11の内面から径方向の内方に突出する基点となる部分)は、それよりも径方向の内方部分よりも厚みが厚く形成されていてもよく、これにより、大径部11の内面に安定して整流板5を設置することができる。整流板5の径方向の内方端は、整流板5の軸方向の垂直断面において、面取りされていてもよく、丸まって形成されていてもよい。
【0030】
整流板5の先端側傾斜部6は、整流板5の径方向の内方側の外縁が、先端に向かって径方向の外方に延びるように形成されていれば、直線状に形成されても、曲線状に形成されても、これらを組み合わせた形状で形成されてもよい。先端側傾斜部6は、多段階で軸方向に対する傾斜角度が変化するように形成されていてもよい。整流板5が先端側傾斜部6を有することにより、整流板5の先端側でキャビテーションの発生が抑えられ、大径部11から縮径部12にかけて流れる液体に乱流が生じるのを抑えることができる。
【0031】
先端側傾斜部6は次のように形成されることが好ましい。すなわち、図5に示すように、先端側傾斜部6の軸方向の長さL1と径方向の長さR1との比L1/R1の値が0.8以上2.0以下であることが好ましい。このように先端側傾斜部6が形成されることにより、噴口から噴出する液体がばらけるのがより抑えられる。比L1/R1の値は1.0以上がより好ましく、1.1以上がさらに好ましく、また1.8以下がより好ましく、1.6以下がさらに好ましい。なお、先端側傾斜部6が直線状に形成され、比L1/R1の値が1.0のとき、先端側傾斜部6は軸方向に対して45°の角度で延在するように形成されることとなる。
【0032】
先端側傾斜部6は、整流板5の先端側の端を含むように形成される。先端側傾斜部6の先端側の端は、径方向に対して、整流板5の基部に位置してもよく、整流板5の基部よりも径方向の内方に位置してもよい。なお、先端側傾斜部6は、整流板5の径方向の長さに対してできるだけ長い長さで形成されることが好ましく、これにより、大径部11から縮径部12にかけて流れる液体に乱流が生じるのを効果的に抑えることができる。例えば先端側傾斜部6の径方向の長さR1は、整流板5の径方向の長さの4/5以上が好ましく、7/8以上がより好ましく、9/10以上がさらに好ましい。先端側傾斜部6の径方向の長さR1は、整流板5の径方向の長さと同じになること、すなわち先端側傾斜部6の先端側の端が整流板5の基部に位置することが特に好ましい。
【0033】
先端側傾斜部6は直線部を含んで形成されることが好ましく、当該直線部の軸方向の長さは、先端側傾斜部6の軸方向の長さL1の0.6倍以上であることが好ましく、0.7倍以上がより好ましく、0.8倍以上がさらに好ましい。先端側傾斜部6は全体が直線部から形成されていてもよい。また、先端側傾斜部6の直線部の延在方向と軸方向とのなす角は25°以上が好ましく、30°以上がより好ましく、35°以上がさらに好ましく、また50°以下が好ましく、45°以下がより好ましく、43°以下がさらに好ましい。なお、先端側傾斜部6の直線部の延在方向と軸方向とのなす角とは、両方向によって形成される角のうち小さい方の角を意味し、0°以上90°以下の範囲をとる。
【0034】
整流板5は、先端側傾斜部6よりも基端側に、整流板5の径方向の内方側の外縁が軸方向に略平行に形成された直進部8を有することが好ましい。このように整流板5が形成されることにより、整流板5による整流作用が高められる。直進部8の軸方向の長さは、整流板5の軸方向の長さの1/10以上が好ましく、1/6以上がより好ましく、1/3以上がさらに好ましく、また9/10以下が好ましく、5/6以下がより好ましく、4/5以下がさらに好ましい。このように直進部8を形成することにより、整流板5による整流作用が好適に発揮されやすくなるとともに、整流板5の軸方向の長さが過度に長くならず、ノズル1のコンパクト化を図ることができる。
【0035】
整流板5は基端側傾斜部7を有していてもよい。基端側傾斜部7は、整流板5の径方向の内方側の外縁が、先端に向かって径方向の内方に延びるように形成される。整流板5に基端側傾斜部7が設けられることにより、大径部11の径方向の中心に空洞部が形成されることと相まって、整流板5の基端側の面に異物が堆積しにくくなり、整流板5で目詰まりが起こりにくくなる。また、整流板5の基端側の面に異物が溜まったときに、異物の排除が容易になる。基端側傾斜部7は、直線状に形成されても、曲線状に形成されても、これらを組み合わせた形状で形成されてもよい。基端側傾斜部7は、多段階で軸方向に対する傾斜角度が変化するように形成されていてもよい。なお、整流板5が基端側傾斜部7を有する場合、先端側傾斜部6と基端側傾斜部7の間に直進部8が設けられることが好ましい。
【0036】
基端側傾斜部7は先端側傾斜部6よりも軸方向に対する傾斜が急に形成されていることが好ましい。すなわち、基端側傾斜部7の軸方向の長さL2と径方向の長さR2との比L2/R2の値は、先端側傾斜部6の軸方向の長さL1と径方向の長さR1との比L1/R1の値よりも小さいことが好ましい。換言すれば、先端側傾斜部6の軸方向の長さL1と径方向の長さR1との比L1/R1の値は、基端側傾斜部7の軸方向の長さL2と径方向の長さR2との比L2/R2の値よりも大きいことが好ましい。このように基端側傾斜部7を形成することにより、基端側傾斜部7による効果が好適に発揮されるようにしつつ、基端側傾斜部7の軸方向の長さが過度に長くならず、ノズル1のコンパクト化を図ることができる。比L2/R2の値は0.7以上が好ましく、0.9以上がより好ましく、1.0以上がさらに好ましく、また1.5以下が好ましく、1.3以下がより好ましく、1.2以下がさらに好ましい。
【0037】
基端側傾斜部7は、整流板5の基端側の端を含むように形成される。基端側傾斜部7の基端側の端は、径方向に対して、整流板5の基部に位置してもよく、整流板5の基部よりも径方向の内方に位置してもよい。基端側傾斜部7を設けることの効果が良好に発揮されるようにする点から、基端側傾斜部7の径方向の長さR2は、整流板5の径方向の長さの1/2以上が好ましく、2/3以上がより好ましく、4/5以上がさらに好ましい。
【0038】
基端側傾斜部7は直線部を含んで形成されることが好ましく、当該直線部の軸方向の長さは、基端側傾斜部7の軸方向の長さL2の0.6倍以上であることが好ましく、0.7倍以上がより好ましく、0.8倍以上がさらに好ましい。基端側傾斜部7は全体が直線部から形成されていてもよい。また、基端側傾斜部7の直線部の延在方向と軸方向とのなす角は30°以上が好ましく、35°以上がより好ましく、40°以上がさらに好ましく、また55°以下が好ましく、50°以下がより好ましく、48°以下がさらに好ましい。なお、基端側傾斜部7の直線部の延在方向と軸方向とのなす角とは、両方向によって形成される角のうち小さい方の角を意味し、0°以上90°以下の範囲をとる。
【0039】
上記に説明したように、基端側傾斜部7は先端側傾斜部6よりも軸方向に対する傾斜が急に形成されることが好ましく、このような観点から、先端側傾斜部6と基端側傾斜部7は直線部を含んで形成され、基端側傾斜部7の直線部の延在方向と軸方向とのなす角が先端側傾斜部6の直線部の延在方向と軸方向とのなす角よりも大きいことも好ましい。換言すれば、先端側傾斜部6の直線部の延在方向と軸方向とのなす角が基端側傾斜部7の直線部の延在方向と軸方向とのなす角よりも小さいことが好ましい。この場合、先端側傾斜部6の直線部の延在方向と軸方向とのなす角は、基端側傾斜部7の直線部の延在方向と軸方向とのなす角よりも2°以上小さいことが好ましく、3°以上小さいことがより好ましく、また15°以下小さいことが好ましく、12°以下小さいことがより好ましく、10°以下小さいことがさらに好ましい。
【0040】
ノズル1は、供給管路の分岐部や屈曲部の近くに設置されても、噴口から噴出する液体がばらけるのを抑えることができ、安定した噴射状態を保つことができる。分岐部や屈曲部では管路を流れる液体に乱流が発生しやすく、ノズルが供給管路の分岐部や屈曲部の近くに設置されると、乱流の影響がノズルの液体流路10まで及ぶことによって、噴口から噴出する液体が大きくばらけやすくなる。しかし、ノズル1は上記のように構成されることにより、供給管路の分岐部や屈曲部の近くに設置されても、噴口から噴出する液体がばらけるのを抑えることができる。従って、供給管路は、整流板5の基端側の端から100mm以内に分岐部または屈曲部を有していてもよく、この場合、本発明の効果がより奏効される。またノズル1は、供給管路の構成に大きな制限を受けないことにより、狭い場所や入り組んだ場所でも設置が可能となる。整流板5の基端側の端から分岐部または屈曲部までの長さは、80mm以下であってもよく、50mm以下であってもよい。なお、整流板5の基端側の端から分岐部または屈曲部までの長さとは、流路の中心線が、整流板5の基端側の端を起点に分岐部の分岐中心または屈曲部の屈曲中心まで至る長さを意味する。分岐部における分岐角度および屈曲部における屈曲角度は特に限定されず、分岐部と屈曲部としてはT字管やエルボ管が挙げられる。
【0041】
ノズル1は、通常よりも高圧で液体を噴射させても、噴射する液体がばらけるのを抑えることができ、安定した噴射状態を保つことができる。そのため、ノズル1から噴射する液体によって、より強い打力を発揮させることが可能となる。
【0042】
整流板5は、ノズル1から取り外し可能に設けられていることが好ましい。すなわち、ノズル1は、ノズル本体2に整流器4が挿入されて構成されることが好ましい。このようにノズル1が構成されることにより、整流板5の基端側の面に異物が堆積し、目詰まりが起こっても、整流器4をノズル本体2から取り外して整流器4を掃除することにより、目詰まりを簡単に解消することができる。また、ノズル1の製造において、ノズル1の内部の液体流路10に整流板5を設けることが容易になる。この場合、図6に示すように、ノズル本体2は、整流器4が挿入される受け部3と、受け部3よりも先端側に縮径部12を有するように構成され、整流器4は、図3図5に示すように、大径部11を構成する環状部9を有し、整流板5が環状部9の内面から径方向の内方に突出するように構成されることが好ましい。環状部9の内面が大径部11の内面となる。
【0043】
ノズル1は、金属やセラミックや樹脂から構成することができる。金属としては、鉄、鉄合金(炭素鋼、ステンレス鋼、クロムモリブデン鋼、マンガンモリブデン鋼等)、銅、銅合金(真鍮等)、アルミ合金(ジュラルミン等)、ニッケル合金(ハステロイ、モネル等)などが挙げられる。セラミックとしては、アルミナ、チタニア、ジルコニア、これらの複合酸化物等が挙げられる。樹脂としては、ポリオレフィン樹脂、ポリエステル樹脂、AS樹脂、ABS樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアセタール樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ユリア樹脂、エポキシ樹脂、フッ素系樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン等が挙げられる。
【実施例0044】
以下に、実施例を示すことにより本発明をさらに詳細に説明するが、本発明の範囲はこれに限定されるものではない。
【0045】
(1)実験方法
図7に示すように、内径1/8インチの直管22、エルボ管23、T字管24を接続して供給配管21を構成し、T字管24の3つの端のうちの流入側から屈曲した位置にある1つの端にノズル1を接続し、他の1つの端を止め栓25により封止した。ノズル1として、図6に示したノズル本体をT字管24に接続し、ノズル本体の受け部に図8に示したいずれかのタイプの整流器を設置し、あるいは整流器を設置せず、ノズルの噴口からの噴射圧力が15MPaとなるように、供給配管に水を供給した。なお、実施例での配管構成と水供給条件は、配管内で乱流が発生しやすい極端な構成および条件となっている。
【0046】
表1に示すように、整流器を設置しないまたは整流器の形状が異なる6種類のノズルを用い、各ノズルから水を噴射し、その噴射状況を観察した。ノズルからは水を下向きに噴射し、ノズルからの水の噴射状況を写真撮影し、ノズルの先端から20cmおよび50cmの地点での噴射幅を計測し、噴射した水のばらけ具合を確認した。
【0047】
【表1】
【0048】
ノズル1~6のうち、ノズル2,3は実施例に相当し、ノズル1,4~6は比較例に相当する。ノズル1には整流器が設置されていなかった。ノズル2とノズル3に設置した整流器は、大径部の径方向の中心に整流板が存在せず液体の流通空間が形成されており、整流板は先端側傾斜部を有し、整流板が縮径部の基端側の端に接するように設置されていた。ノズル4に設置した整流器は、ノズル2に設置した整流器に対して、整流板が先端側傾斜部を有しないものであった。ノズル5に設置した整流器は、ノズル2に設置した整流器に対して、整流板が縮径部の基端側の端から4.0mm離れて設置されており、その離隔長さは大径部の内径5.8mmの0.69倍であった。ノズル6に設置した整流器は、大径部の径方向の中心に整流板が存在し、また整流板は先端側傾斜部を有しないものであった。
【0049】
ノズル1~6において、小径部の内径は2.5mm、縮径部と小径部の軸方向の合計長さは11.0mm、先端大径部の軸方向の長さは1.5mmであった。大径部の軸方向の長さは、ノズル1~4,6では整流板の全長に等しく、ノズル5では整流板の全長と整流板の縮径部からの離隔長さの合計に等しかった。ノズル2~6において整流板の厚みは0.6mmであり、ノズル2~5において整流板の径方向の長さは2.15mmであった。ノズル2,3,5において、先端側傾斜部の先端側の端は大径部の内面に位置し、先端側傾斜部の軸方向の長さL1と径方向の長さR1との比L1/R1は1.4であった。ノズル2~5において、整流板は基端側傾斜部を有し、基端側傾斜部の基端側の端は大径部の内面から0.4mm径方向の内方に位置し、基端側傾斜部の軸方向の長さL2と径方向の長さR2との比L2/R2は1.0であった。
【0050】
(2)結果
各ノズルから水を噴射したときの噴射幅の計測結果を表1に示す。実施例に相当するノズル2,3は、ノズル1,4~6よりもノズルから噴射した水の噴射幅が狭く、ノズルから噴射した水がばらけるのがより抑えられ、安定した噴射状態を保つことができた。
【産業上の利用可能性】
【0051】
本発明のノズルは、高圧で液体を噴射させても、安定して液体を噴射することができ、液体を噴射した際の打力を高めることができる。本発明のノズルは一般的なノズルの用途に用いることができるのはもちろんのこと、安定して強い打力を発揮できる点から、例えばバリ取り、洗浄、デスケーリング、剥離等に特に好適に用いることができる。
【符号の説明】
【0052】
1:ノズル
2:ノズル本体
3:受け部
4:整流器
5:整流板
6:先端側傾斜部
7:基端側傾斜部
8:直進部
9:環状部
10:液体流路
11:大径部
12:縮径部
13:小径部
14:先端大径部
21:供給配管
22:直管
23:エルボ管
24:T字管
25:止め栓
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8