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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024158219
(43)【公開日】2024-11-08
(54)【発明の名称】アクチュエータ
(51)【国際特許分類】
   H02K 33/16 20060101AFI20241031BHJP
【FI】
H02K33/16 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023073233
(22)【出願日】2023-04-27
(71)【出願人】
【識別番号】000002233
【氏名又は名称】ニデックインスツルメンツ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100142619
【弁理士】
【氏名又は名称】河合 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100153316
【弁理士】
【氏名又は名称】河口 伸子
(74)【代理人】
【識別番号】100196140
【弁理士】
【氏名又は名称】岩垂 裕司
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 駿
(72)【発明者】
【氏名】森 亮
【テーマコード(参考)】
5H633
【Fターム(参考)】
5H633BB08
5H633BB10
5H633GG02
5H633GG04
5H633GG09
5H633GG26
5H633HH03
5H633HH07
5H633JA03
(57)【要約】
【課題】接続部材の検査に適した材料からなる内枠部を備えたアクチュエータを提供すること。
【解決手段】アクチュエータ1は、筒状のケース20を備える支持体2と、ケース20の中心に配置される支軸30を備える可動体3と、支持体2および可動体3を接続する接続部材10と、磁気駆動機構6と、を有する。接続部材10は、支軸30が嵌合する貫通孔14を備える環状の内枠部11と、ケース20の内側に保持される環状の外枠部12と、外枠部12および内枠部11に接続された接続体13と、を備える。内枠部11は、真鍮製である。内枠部11の外周面112の算術表面粗さRaは、1.0μm以上である。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒状のケースを備える支持体と、
前記ケースの中心に配置される支軸を備える可動体と、
前記支持体および前記可動体を接続する接続部材と、
磁石およびコイルを備え、前記可動体を前記支持体に対して前記支軸の軸線方向に相対移動させる磁気駆動機構と、を有し、
前記接続部材は、前記支軸が嵌合する貫通孔を備える環状の内枠部と、前記ケースの内側に保持されるとともに前記内枠部の外周側に配置される環状の外枠部と、前記外枠部および前記内枠部に接続され、弾性および粘弾性の少なくとも一方を備えた接続体と、を備え、
前記内枠部は、真鍮製であり、
前記内枠部の外周面の算術表面粗さは、1.0μm以上であることを特徴とするアクチュエータ。
【請求項2】
筒状のケースを備える支持体と、
前記ケースの中心に配置される支軸を備える可動体と、
前記支持体および前記可動体を接続する接続部材と、
磁石およびコイルを備え、前記可動体を前記支持体に対して前記支軸の軸線方向に相対移動させる磁気駆動機構と、を有し、
前記接続部材は、前記支軸が嵌合する貫通孔を備える環状の内枠部と、前記ケースの内側に保持されるとともに前記内枠部の外周側に配置される環状の外枠部と、前記外枠部および前記内枠部に接続され、弾性および粘弾性の少なくとも一方を備えた接続体と、を備え、
前記内枠部は、ステンレス製であり、
前記内枠部の外周面の算術表面粗さは、0.1μm以上であることを特徴とするアクチュエータ。
【請求項3】
筒状のケースを備える支持体と、
前記ケースの中心に配置される支軸を備える可動体と、
前記支持体および前記可動体を接続する接続部材と、
磁石およびコイルを備え、前記可動体を前記支持体に対して前記支軸の軸線方向に相対移動させる磁気駆動機構と、を有し、
前記接続部材は、前記支軸が嵌合する貫通孔を備える環状の内枠部と、前記ケースの内側に保持されるとともに前記内枠部の外周側に配置される環状の外枠部と、前記外枠部および前記内枠部に接続され、弾性および粘弾性の少なくとも一方を備えた接続体と、を備え、
前記内枠部は、少なくとも外周面を含む外周部分が樹脂製であることを特徴とするアクチュエータ。
【請求項4】
前記内枠部の外周面の算術表面粗さは、3.2μm以下であることを特徴とする請求項1または2に記載のアクチュエータ。
【請求項5】
前記内枠部は、前記外周部分である第1部材と、前記第1部材の内側に嵌合するとともに前記貫通孔を備える金属製の第2部材と、を備え、
前記貫通孔に前記支軸が圧入されることにより、前記第2部材を介して前記第1部材に支軸が固定されることを特徴とする請求項3に記載のアクチュエータ。
【請求項6】
前記支持体は、前記外枠部が嵌合する凹部を備え、
前記凹部は、前記外枠部が前記凹部に嵌合した際に、前記支軸の軸線方向で前記外枠部
に当接する段部を備えることを特徴とする請求項1から3のうち何れか一項に記載のアクチュエータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、可動体を支持体に対して相対移動させるアクチュエータに関する。
【背景技術】
【0002】
アクチュエータとして、可動体および支持体に接続された接続部材と、支持体に対して可動体を移動させる磁気駆動機構とを備えた構成が提案されている。特許文献1には、接続部材を用いたアクチュエータが記載される。特許文献1のアクチュエータでは、支持体は、円筒形のケースを備える。可動体は、磁石およびヨークと、磁石およびヨークの中心を貫通する支軸を備えており、支軸の軸線方向の両端が円筒状の接続部材を介してケースに接続される。
【0003】
接続部材は、環状の内枠部と、ケースの内側に保持される環状の外枠部と、外枠部および記内枠部に接続される接続体と、を備える。接続体は、弾性および粘弾性の少なくとも一方を備えたゲル状部材である。内枠部は、可動体側の部品である支軸に固定される。外枠部は、支持体側の部品であるコイルホルダを介してケースに固定される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2022-083510号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の接続体は、ゲル材料を型に充填して硬化させる方法により製造される。接続体を成形するときは、治具によって外枠部および内枠部を同軸に位置決めして外枠部と内枠部との間に環状の隙間を形成し、この隙間にゲル材料を充填して熱硬化させる。これにより、ゲル状部材自身の粘着性によって、接続体が外枠部の内周面と内枠部の外周面とに接合される。
【0006】
製造された接続部材は、接続体が外枠部の内周面と内枠部の外周面とに密着しているか検査される。検査方法としては、接続部材の接続体に光を照射し、接続部材をカメラで撮影することにより、接続体に生じる影を観察して判断する。接続体が、外枠部の内周面または内枠部の外周面に密着していない場合には、接続体の外周側または内周側に、接続体が密着しないことに起因する影が観察される。影が観察された接続部材は、不良品として処理される。
【0007】
ここで、内枠部は様々な材料が用いられるが、材料によっては、検査を行う際に、内枠部の外周面で反射される光が多くなることによって、内枠部の外周面で反射される光が干渉し合う場合がある。この場合、接続体が、内枠部の外周面に密着したとしても、反射される光が干渉し合うことにより、接続体の内周側に影が生じることがある。この結果、接続部材が良品であっても、接続部材が不良品であると判断されてしまう可能性がある。このため、内枠部の材料によっては、接続部材の検査が正確に行えないという問題がある。
【0008】
以上の問題点に鑑みて、本発明の課題は、接続部材の検査に適した材料からな内枠部を備えたアクチュエータを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明に係るアクチュエータは、筒状のケースを備える支
持体と、前記ケースの中心に配置される支軸を備える可動体と、前記支持体および前記可動体を接続する接続部材と、磁石およびコイルを備え、前記可動体を前記支持体に対して前記支軸の軸線方向に相対移動させる磁気駆動機構と、を有し、前記接続部材は、前記支軸が嵌合する貫通孔を備える環状の内枠部と、前記ケースの内側に保持されるとともに前記内枠部の外周側に配置される環状の外枠部と、前記外枠部および前記内枠部に接続され、弾性および粘弾性の少なくとも一方を備えた接続体と、を備え、前記内枠部は、真鍮製であり、前記内枠部の外周面の算術表面粗さは、1.0μm以上であることを特徴とする。
【0010】
本発明によれば、内枠部が安価に加工できる真鍮製であるので、部品コストを低減することができる。また、光の反射率が高い真鍮を用いた場合であっても、内枠部の外周面の算術表面粗さが1.0μm以上とすれば、外周面の凹凸が大きくなって外周面で反射する光の反射率が低減するので、接続部材の検査を行う際に、内枠部の外周面で反射される光を抑制することができる。これにより、接続部材の検査を行う際に、接続部材の検査を正確に行うことができる。
【0011】
本発明に係るアクチュエータは、筒状のケースを備える支持体と、前記ケースの中心に配置される支軸を備える可動体と、前記支持体および前記可動体を接続する接続部材と、磁石およびコイルを備え、前記可動体を前記支持体に対して前記支軸の軸線方向に相対移動させる磁気駆動機構と、を有し、前記接続部材は、前記支軸が嵌合する貫通孔を備える環状の内枠部と、前記ケースの内側に保持されるとともに前記内枠部の外周側に配置される環状の外枠部と、前記外枠部および前記内枠部に接続され、弾性および粘弾性の少なくとも一方を備えた接続体と、を備え、前記内枠部は、ステンレス製であり、前記内枠部の外周面の算術表面粗さは、0.1μm以上であることを特徴とする。
【0012】
本発明によれば、内枠部が安価な材料であるステンレス製であるので、部品コストを低減することができる。また、ステンレスを用いた場合には、内枠部の外周面の算術表面粗さが0.1μm以上とすれば、外周面の凹凸が大きくなって外周面で反射する光の反射率が低減するので、接続部材の検査を行う際に、内枠部の外周面で反射される光を抑制することができる。これにより、接続部材の検査を行う際に、接続部材の検査を正確に行うことができる。
【0013】
本発明に係るアクチュエータは、筒状のケースを備える支持体と、前記ケースの中心に配置される支軸を備える可動体と、前記支持体および前記可動体を接続する接続部材と、
磁石およびコイルを備え、前記可動体を前記支持体に対して前記支軸の軸線方向に相対移動させる磁気駆動機構と、を有し、前記接続部材は、前記支軸が嵌合する貫通孔を備える環状の内枠部と、前記ケースの内側に保持されるとともに前記内枠部の外周側に配置される環状の外枠部と、前記外枠部および前記内枠部に接続され、弾性および粘弾性の少なくとも一方を備えた接続体と、を備え、前記内枠部は、少なくとも外周面を含む外周部分が樹脂製であることを特徴とする。
【0014】
本発明によれば、内枠部が安価な材料である樹脂製であるので、部品コストを低減することができる。また、樹脂製であれば、接続部材の検査を行う際に、内枠部の外周面で反射される光を抑制することができる。これにより、接続部材の検査を行う際に、接続部材の検査を正確に行うことができる。
【0015】
本発明において、前記内枠部の外周面の算術表面粗さは、3.2μm以下であることが好ましい。これにより、接続体が内枠部の外周面に密着しやすい。ここで、内枠部の外周面の算術表面粗さが3.2μmより大きい場合には、表面の凹凸が大きくなるので、接続体を成形した際に、内枠部の外周面と接続体との間に隙間が生じやすく、接続体が内枠部
の外周面に密着しにくい。
【0016】
本発明において、前記内枠部は、前記外周部分である第1部材と、前記第1部材の内側に嵌合するとともに前記貫通孔を備える金属製の第2部材と、を備え、前記貫通孔に前記支軸が圧入されることにより、前記第2部材を介して前記第1部材に支軸が固定されることが好ましい。このようにすれば、可動体に設けられた内枠部と支持体に設けられた外枠部とを接続体により接続する。内枠部は、接続体が接続される樹脂製の第1部材と、支軸が圧入される金属製の第2部材が別部材とされ、2部材を組み立てて構成する。このようにすると、支軸に対する固定強度を確保するための金属製の第2部材を小型化できるので、部品コストを下げることができる。また、支軸を圧入して固定する第2部材は、接続体を接続した第1部材から分離可能であるため、圧入時の部品の取り扱いが容易であり、接続体が傷つくおそれが少ない。よって、内枠部の部品コストの低減を図るとともに、内枠部の支軸への固定強度を確保し、かつ、アクチュエータの組立容易性を高めることができる。
【0017】
本発明において、前記支持体は、前記外枠部が嵌合する凹部を備え、前記凹部は、前記外枠部が前記凹部に嵌合した際に、前記支軸の軸線方向で前記外枠部に当接する段部を備えることが好ましい。このようにすれば、軸線方向において、接続部材をケースに位置決めすることができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、内枠部は、接続部材の検査に適した材料からなるので、接続部材の検査を行う際に、内枠部の外周面で反射される光を抑制することができる。これにより、接続部材の検査を行う際に、接続部材の検査を正確に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】実施形態1に係るアクチュエータの斜視図である。
図2図1に示すアクチュエータの分解斜視図である。
図3図1に示すアクチュエータの断面図(図1のA-A断面図)である。
図4図1に示すアクチュエータの断面図(図1のB-B断面図)である。
図5】接続部材の検査方法を示す説明図である。
図6】検査工程において、接続部材を撮像した際の撮像結果を示す説明図である。
図7図6に示す画像を得た際に、接続部材が不良品であった場合の説明図である。
図8】実施形態4に係るアクチュエータの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
(全体構成)
以下に、図面を参照して、本発明の実施形態を説明する。図1は、本発明の実施形態に係るアクチュエータ1の斜視図である。図2は、図1に示すアクチュエータ1の分解斜視図である。図3図4は、図1に示すアクチュエータ1の断面図である。図3は、図1のA-A位置で切断した断面図である。図4は、図1のB-B位置で切断した断面図であり、図3と直交する方向で切断した断面図である。以下の説明において、可動体3の中心軸線Lが延在する方向を軸線方向とし、軸線方向の一方側をL1とし、軸線方向の他方側をL2とする。
【0021】
図1図4に示すように、アクチュエータ1は、支持体2と、支軸30を備える可動体3と、支持体2および可動体3に接続された接続部材10と、可動体3を支持体2に対して相対移動させる磁気駆動機構6と、を備える。接続部材10は、弾性および粘弾性のうちの少なくとも一方を備える。磁気駆動機構6は、可動体3に配置される磁石61と、支持体2に配置されるコイル62とを備えており、支持体2に対して可動体3を支軸30の
軸線方向に相対移動させる。図3図4に示すように、可動体3は、軸線方向の一方側L1の端部、および軸線方向の他方側L2の端部の各位置において、接続部材10を介して支持体2と接続される。
【0022】
(支持体)
図2図4に示すように、支持体2は、筒状のケース20と、ケース20の軸線方向の一方側L1の開口を塞ぐ第1蓋部材21と、ケース20の軸線方向の他方側L2の開口を塞ぐ第2蓋部材22と、ケース20の内周側で第1蓋部材21と第2蓋部材22との間に配置されるコイルホルダ4と、を有する。本形態では、ケース20、第1蓋部材21、第2蓋部材22、およびコイルホルダ4は樹脂製である。
【0023】
(ケース)
ケース20は、円筒状のケース本体24と、ケース本体24の内周側に配置される第2固定部25と、を備える。第2固定部25は、コイルホルダ4に対して軸線方向の他方側L2に離れた位置に配置される。図2図4に示すように、第2固定部25は、ケース本体24の内周面から内周側に突出しており、ケース本体24と一体に成形される。第2固定部25の内周面には、軸線方向の一方側L1に凹む第2凹部46が設けられる。第2凹部46は、径方向内側に突出した段部461を備える。
【0024】
図1図4に示すように、コイルホルダ4が嵌まるケース本体24の内周面には、軸線方向に延びる複数の溝部29が形成されている。図2に示すように、コイルホルダ4は、第1固定部41の外周面から突出する複数の凸部49を備える。支持体2を組み立てる際、コイルホルダ4の各凸部49は、ケース本体24の各溝部29に軸線方向の一方側L1から嵌め込まれる。これにより、コイルホルダ4がケース本体24に圧入されて固定される。
【0025】
(コイルホルダ)
図2に示すように、コイルホルダ4は、環状の第1固定部41と、第1固定部41から軸線方向の他方側L2へ突出する胴部42と、を備える。胴部42の周りには、コイル62が配置される。コイル62から引き出されたコイル線63の端部は、コイルホルダ4の第1固定部41から径方向外側へ突出する2本の端子ピン64に絡げられている。図1に示すように、端子ピン64はケース20の外部へ突出しており、配線基板7に接続される。
【0026】
図4に示すように、第1固定部41の内周面には、軸線方向の他方側L2に凹む第1凹部43が設けられる。第1凹部43は、径方向内側に突出した段部431を備える。
【0027】
(蓋部材)
図3図4に示すように、第1蓋部材21は、コイルホルダ4に設けられた第1固定部41の軸線方向の一方側L1からケース本体24に固定される。また、第2蓋部材22は、第2固定部25の軸線方向の他方側L2からケース本体24に固定される。図2に示すように、第1蓋部材21および第2蓋部材22は、それぞれ、軸線方向から見て円形の蓋部26と、蓋部26の外周縁に周方向で等間隔に配置された複数の係止部27を備える。本形態では、第1蓋部材21および第2蓋部材22は、それぞれ、3個所の係止部27を備える。係止部27は、蓋部26から外周側へ拡がる方向に傾斜して延びる爪部である。
【0028】
係止部27は、径方向に弾性変形して蓋部26と共にケース本体24の内周側に押し込まれる。ケース20は、係止部27がケース20の内側から外れることを規制する規制部28を備える。規制部28は、ケース本体24の端部から内周側に突出する凸部である。図1図2に示すように、規制部28は、ケース本体24の軸線方向の一方側L1および
他方側L2の端部に、それぞれ、3個所ずつ等間隔に配置される。規制部28は、係止部27の先端に対して軸線方向に当接する。第1蓋部材21および第2蓋部材22は、係止部27および規制部28による係止構造と、接着剤による固定と併用してケース20に固定される。第1固定部41は、ケース本体24に設けられた3個所の規制部28と軸線方向で重なる部分が切り欠かれている。よって、コイルホルダ4をケース本体24の内部に挿入する際に、第1固定部41と規制部28とが干渉することが回避される。
【0029】
(配線基板)
図2に示すように、ケース20は、軸線方向の一方側L1の縁を軸線方向の他方側L2に切り欠いた切欠き部65と、切欠き部65の他方側L2に形成された基板固定部69と、を備える。図1に示すように、配線基板7は、基板固定部69の軸線方向の一方側L1の端部に設けられた爪部691、および、基板固定部69の軸線方向の他方側L2の端部に設けられた係止溝692による係止構造と、接着剤による固定とを併用して基板固定部69に固定される。配線基板7には、コイル62に対する給電用のリード線8が接続される。基板固定部69には、配線基板7に対して周方向に隣接する位置でリード線8を保持するリード線保持部80が設けられている。
【0030】
切欠き部65の内周側には、コイルホルダ4の第1固定部41が配置される。図2に示すように、第1固定部41から突出する2本の端子ピン64の根本には、コイル62から引き出されたコイル線63が絡げられている。2本の端子ピン64は、第1蓋部材21の外周縁の周方向の一部から軸線方向の他方側L2に延びるカバー66と、ケース20の切欠き部65との隙間からケース20の外周側に突出し、配線基板7に設けられた2箇所の穴71に通されて、穴71の縁に設けられたランドと電気的に接続される。
【0031】
(可動体)
図2図3図4に示すように、可動体3は、支持体2の径方向の中心において軸線方向に延びる支軸30を有する。支軸30には、接続部材10によって、磁石61およびヨーク35が固定される。支軸30は金属製の丸棒である。
【0032】
磁石61は、軸線方向から見て円形である。磁石61の径方向の中央には、支軸30が貫通する軸穴610が設けられており、支軸30の軸線方向の略中央に磁石61が固定される。ヨーク35は、磁石61に軸線方向の一方側L1から当接する第1ヨーク31と、磁石61に軸線方向の他方側L2から当接する第2ヨーク32を備える。
【0033】
第1ヨーク31の中央には、支軸30が貫通する軸穴310が設けられている。第1ヨーク31は、外径寸法が磁石61の外径寸法よりわずかに大きい磁性板であり、第1ヨーク31の外周面は、磁石61の外周面より径方向外側に張り出している。第1ヨーク31は、磁石61の一方側L1の端面に接着等の方法で固定される。
【0034】
第2ヨーク32は、磁石61に軸線方向の他方側L2から当接する円板状の第1磁性部材33と、第1磁性部材33を収容するカップ状の第2磁性部材34と、第2磁性部材34に軸線方向の他方側L2から当接する円板状の第3磁性部材38と、を備える。図3図4に示すように、第1磁性部材33の板厚、第2磁性部材34の板厚、および第3磁性部材38の板厚は、いずれも第1ヨーク31の板厚よりも薄い。
【0035】
第1磁性部材33は、支軸30が貫通する軸穴330が設けられており、磁石61の他方側L2の端面に固定される。第2磁性部材34は、支軸30が貫通する軸穴340が設けられた円板部341と、円板部341の外縁に設けられた屈曲部342と、屈曲部342から軸線方向の一方側L1へ延びる円筒部343と、を備える。円板部341には、支軸30が貫通する軸穴340が設けられている。
【0036】
第3磁性部材38には、支軸30が貫通する軸穴380が設けられており、第2磁性部材34の円板部341に対して軸線方向の他方側L2から固定される。第3磁性部材38は、可動体3の重量を調整する重量調整部材として機能する。第3磁性部材38は、重量調整部39を備える。本形態では、重量調整部39は円形の貫通孔である。重量調整部39の数やサイズは、第3磁性部材38の外形を変更することなく、第3磁性部材38の重量を設計値に一致させるように設定されている。本形態では、図2に示すように、4箇所の重量調整部39が90度の角度間隔で周方向に並んでいる。4箇所の重量調整部39は、可動体3の重心を中心として周方向に均等配置される。
【0037】
第1磁性部材33は、外径寸法が磁石61の外径寸法と略同一であり、円板部341よりも小さい。第2磁性部材34は、円筒部343の内径が磁石61および第1ヨーク31の外径より大きい。よって、磁石61および第1ヨーク31を第1磁性部材33に対して軸線方向の一方側L1から積層すると、円筒部343は、磁石61の外周面および第1ヨーク31の外周面から径方向外側に離れた位置で磁石61の外周面および第1ヨーク31の外周面に対向する。
【0038】
図3図4に示すように、コイルホルダ4の胴部42は、第2ヨーク32の円筒部343と、第1ヨーク31および磁石61との径方向の隙間に挿入される。よって、胴部42に巻かれたコイル62は、円筒部343と磁石61の外周面との間、および、円筒部343と第1ヨーク31の外周面との間に配置される。
【0039】
(接続体)
接続部材10は、軸線方向の一方側L1に配置された第1接続部材10Aと、軸線方向の他方側L2に配置された第2接続部材10Bと、を備える。第1接続部材10Aおよび第2接続部材10Bは、同一形状である。第1接続部材10Aおよび第2接続部材10Bは、支軸30が嵌合する貫通孔14を備える環状の内枠部11と、ケース20の内側に保持されるとともに内枠部11の外周側に配置される環状の外枠部12と、外枠部12および内枠部11に接続される接続体13と、を備える。接続体13は、ゲル材料を成形したゲル状部材である。
【0040】
内枠部11は、金属製である。本形態では、内枠部11は、真鍮製である。内枠部11は、筒状であり、環状の外周面112を備える。内枠部11の外周面112の算術表面粗さRaは、1.0μm以上であって、3.2μm以下である。ここで、真鍮は、材料が柔らかく、加工が容易であるので、内枠部11を安価に加工することができる。これにより、内枠部11の部品コストを低減することができる。
【0041】
内枠部11の内周面には、径方向内側に突出した環状突部111が形成されている。環状突部111が形成された端部は、軸線方向において外枠部12よりヨーク35に向かって突出している。環状突部111の径方向内側に貫通孔14が設けられている。内枠部11は、貫通孔14が支軸30に圧入されることにより、支軸30に固定される。ここで、磁石61およびヨーク35は、第1接続部材10Aおよび第2接続部材10Bの内枠部11が、それぞれ、支軸30に固定されることにより、支軸30の軸線方向の中央に保持される。
【0042】
外枠部12は、樹脂製である。第1接続部材10Aの外枠部12は、コイルホルダ4の内周側に嵌まる。より具体的には、第1接続部材10Aの外枠部12は、コイルホルダ4の第2凹部46に圧入される。ここで、第1接続部材10Aの外枠部12が第2凹部46に嵌合した際に、第1接続部材10Aの外枠部12の外周面に形成された環状段部122が、段部461に対して軸線方向に当接する。
【0043】
第2接続部材10Bの外枠部12は、ケース20の内周側に嵌まる。より具体的には、第2接続部材10Bの外枠部12は、第1凹部43に圧入される。ここで、第2接続部材10Bの外枠部12が第1凹部43に嵌合した際に、第2接続部材10Bの外枠部12の外周面に形成された環状段部122が、段部431に対して軸線方向に当接する。
【0044】
(アクチュエータの動作)
アクチュエータ1は、コイル62に通電することにより、磁気駆動機構6が、可動体3を軸線方向に駆動する駆動力を発生させる。コイル62への通電を切ると、可動体3は、接続体13の復帰力によって原点位置へ戻る。よって、コイル62への通電を断続的に行うことにより、可動体3は、軸線方向で振動する。また、コイル62に印加する交流波形を調整することで、可動体3が軸線方向の一方側L1に移動する加速度と、可動体3が軸線方向の他方側L2に移動する加速度を異なるものとすることができる。これにより、アクチュエータ1を触覚デバイスとして取り付けた機器を手にした者は、軸線方向において方向性を有する振動を体感することができる。また、アクチュエータ1を利用してスピーカを構成することもできる。
【0045】
本形態では、接続部材10は、支持体2と可動体3が第1方向(径方向)で対向する位置に配置され、可動体3は第1方向(径方向)に対して交差する第2方向(軸線方向)に振動する。可動体3が支持体2に対して第2方向(軸線方向)に振動する際、接続体13は、可動体3の振動に追従してせん断方向に変形する。シリコーンゲル等のゲル状部材は、その伸縮方向によって、線形あるいは非線形の伸縮特性を備える。ゲル状部材がせん断方向に変形する際は、非線形の成分よりも線形の成分が大きい変形特性を持つ。よって、可動体3が支持体2に対して軸線方向に振動する際、接続体13は、線形性が高い範囲で変形するので、リニアリティが良好な振動特性を得ることができる。
【0046】
なお、可動体3が径方向に移動する場合には、接続体13が潰れる方向に変形する。ここで、ゲル状部材が潰れる方向に変形する場合のバネ定数は、ゲル状部材がせん断方向に変形する場合のバネ定数の3倍程度である。このため、可動体3が振動方向(軸線方向)とは異なる方向に移動することを抑制でき、可動体3と支持体2との衝突を抑制できる。
【0047】
(接続部材の製造方法)
接続体13は粘弾性体からなる。例えば、接続体13として、シリコーンゲル等からなるゲル状部材、天然ゴム、ジエン系ゴム(例えば、スチレン・ブタジエンゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、クロロプレンゴム、アクリロニトリル・ブタジエンゴム等)、非ジエン系ゴム(例えば、ブチルゴム、エチレン・プロピレンゴム、エチレン・プロピレン・ジエンゴム、ウレタンゴム、シリコーンゴム、フッ素ゴム等)、熱可塑性エラストマー等の各種ゴム材料及びそれらの変性材料を用いることができる。また、接続体13として用いることが可能な粘弾性体は、ゲル状部材、ゴム、あるいはその変性材料と、バネなどの弾性体とを組み合わせた複合部材であってもよい。
【0048】
本形態では、接続体13は、針入度が90度から110度のシリコーンゲルからなる。接続体13は、ゲル材料を型に充填して硬化させる方法により製造される。接続体13を成形するときは、治具によって外枠部12および内枠部11を同軸に位置決めして外枠部12と内枠部11との間に環状の隙間を形成し、この隙間にゲル材料を充填して熱硬化させる。これにより、ゲル状部材自身の粘着性によって、接続体13が外枠部12の内周面121、および、内枠部11の外周面112に接合される。
【0049】
なお、ゲル材料を充填する前に、外枠部12の内周面121、および内枠部11の外周面112にプライマー等の接合促進剤を塗布することによって接合強度を高めることがで
きる。
【0050】
(接続部材の検査方法)
次に、接続部材10の検査方法について説明する。図5は、接続部材10の検査装置を示す説明図である。図6は、検査工程において、接続部材10を撮像した際の撮像結果を示す説明図である。図7は、図6に示す画像を得た際に、接続部材10が不良品であった場合の説明図である。
【0051】
図5に示すように、接続部材10を検査する工程では、接続部材10に光を照射する光源91と、光が照射された接続部材10を撮像するカメラ92と、接続部材10の良否を判断する判断部93と、を備える検査装置90が用いられる。光源91は、接続部材10の下方から、接続部材10に向かって光を照射する。カメラ92は、接続部材10の上方から、光で照らされた接続体13を撮像する。なお、光源91は、接続部材10の上方から、接続部材10に向かって光を照射し、接続体13を照らしてもよい。
【0052】
判断部93は、撮像された画像を基に接続部材10の良否を判断する。ここで、接続体13は透過性を有しているので、接続部材10に不具合が生じている場合には、画像の接続体13の部分に影が観察される。具体的には、図6に示すように、接続体13が、外枠部12の内周面121、および、内枠部11の外周面112に密着している場合には、接続体13の外周部分および内周部分には、接続体13が密着しないことに起因する影は観察されない。
【0053】
一方、図7に示すように、接続体13が、外枠部12の内周面121に密着していない場合には、接続体13の外周側に、接続体13が密着しないことに起因する円弧状の影P1が観察される。また、接続体13が、内枠部11の外周面112に密着していない場合には、接続体13の内周側に、接続体13が密着しないことに起因する円弧状の影P2が観察される。なお、接続体13が密着していない部分には、空気層が存在し、この空気層が影P1,P2として観察される。
【0054】
ここで、内枠部11が真鍮製であって、内枠部11の外周面112の算術表面粗さRaが、1.0μmより小さい場合には、外周面112の凹凸が小さくなり、外周面112で反射される光の反射率が大きくなる。これにより、接続部材10の検査を行う際に、外周面112で反射される光が多くなるので、外周面112で反射される光が干渉し合う場合がある。この場合、接続体13が、内枠部11の外周面112に密着したとしても、反射される光が干渉し合うことにより、接続体13の内周側に影P2が生じることがある。この結果、判断部93は、接続部材10が良品であっても、接続部材10が不良品であると判断してしまう可能性がある。このため、本形態では、内枠部11の外周面112の算術表面粗さRaが、1.0μm以上であるので、外周面112の凹凸が大きくなって外周面112で反射する光の反射率が低減する。これにより、外周面112で反射される光を低減することができるので、外周面112で反射される光が干渉し合うことが抑制される。この結果、接続体13が、内枠部11の外周面112に密着した場合に、影P2が誤って生じることを抑制することができる。なお、外枠部12は樹脂製であるので、内周面121で反射される光の反射率が小さいので、内周面121で反射される光が干渉し合うことが抑制されている。
【0055】
(作用効果)
本形態によれば、内枠部11を安価に加工することができるので、部品コストを低減することができる。また、光の反射率が高い真鍮を用いた場合であっても、内枠部11の外周面112の算術表面粗さRaが1.0μm以上とすれば、外周面112の凹凸が大きくなって外周面112で反射する光の反射率が低減するので、接続部材10の検査を行う際
に、内枠部11の外周面112で反射される光を抑制することができる。これにより、接続部材10の検査を行う際に、接続部材の検査を正確に行うことができる。
【0056】
本形態において、内枠部11の外周面112の算術表面粗さは、3.2μm以下である。これにより、接続体13が内枠部11の外周面112に密着しやすい。ここで、内枠部11の外周面112の算術表面粗さRaが3.2μmより大きい場合には、表面の凹凸が大きくなるので、接続体13を成形した際に、内枠部11の外周面112と接続体13との間に隙間が生じやすく、接続体13が内枠部11の外周面112に密着しにくい。
【0057】
本形態において、支持体2は、外枠部12が嵌合する第1凹部43および第2凹部46を備える。第1凹部43は、外枠部12が第1凹部43に嵌合した際に、軸線方向で外枠部12に当接する段部431を備える。また、第2凹部46は、外枠部12が第2凹部46に嵌合した際に、軸線方向で外枠部12に当接する段部461を備える。これにより、軸線方向において、接続部材10をケース20に位置決めすることができる。
【0058】
(実施形態2)
内枠部11は、ステンレス製であってもよい。この場合、内枠部11の外周面112の算術表面粗さRaは、0.1μm以上であって、3.2μm以下である。ここで、内枠部11の外周面112の算術表面粗さRaが、0.1μmより小さい場合には、外周面112の凹凸が小さくなり、外周面112で反射される光の反射率が大きくなる。内枠部11の外周面112の算術表面粗さRaが3.2μmより大きい場合には、表面の凹凸が大きくなるので、接続体13を成形した際に、内枠部11の外周面112と接続体13との間に隙間が生じやすく、接続体13が内枠部11の外周面112に密着しにくい。よって、実施形態2では、内枠部11の外周面112の算術表面粗さRaは、0.1μm以上であって、3.2μm以下であるので、実施形態1と同様の作用効果を得ることができる。また、内枠部11が安価な材料であるステンレス製であるので、部品コストを低減することができる。なお、ステンレスは、真鍮より光の反射率が低いので、内枠部11の外周面112の算術表面粗さRaを0.1μmまで小さくすることができる。
【0059】
(実施形態3)
内枠部11は、樹脂製であってもよい。この場合、外周面112で反射される光の反射率が小さいので、接続部材10の検査を行う際に、内枠部11の外周面112で反射される光を抑制することができる。これにより、接続部材10の検査を行う際に、接続部材の検査を正確に行うことができる。また、内枠部11が安価な材料である樹脂製であるので、部品コストを低減することができる。なお、内枠部11で用いられる樹脂は、透光性を有さない樹脂であることが好ましい。
【0060】
(実施形態4)
実施形態4のアクチュエータは、接続部材10の構成が異なる点を除き、実施形態1のアクチュエータと同じである。よって、実施形態4では、実施形態1と同一の構成には同一の符号を付して説明を省略する場合がある。図8は、実施形態4の接続部材10の断面図である。
【0061】
接続部材10は、支軸30が嵌合する貫通孔14を備える環状の内枠部11と、ケース20の内側に保持されるとともに内枠部11の外周側に配置される環状の外枠部12と、外枠部12および内枠部11に接続される接続体13と、を備える。外枠部12は、樹脂製である。接続体13は、ゲル材料を成形したゲル状部材である。
【0062】
内枠部11は、外周部分である第1部材16と、第1部材16の内側に配置された第2部材17と、を備える。第1部材16は、樹脂製である。第2部材17は、金属製である
。なお、第1部材16で用いられる樹脂は、透光性を有さない樹脂であることが好ましい。
【0063】
第2部材17は、例えば、SECC(電気亜鉛めっき鋼板)からなる。なお、第2部材17は、SECCとは異なる金属で形成されていてもよい。図8に示すように、第2部材17は、円形の板部171と、板部171の中心を貫通する貫通孔14の縁から軸線方向に立ち上がる凸部173と、を備える。第2部材17は、プレス加工品であり、凸部173は、バーリング加工により形成される。これにより、第2部材17は、プレス加工品であるので、製造工ストを低減することができる。また、凸部173を設けることにより、支軸30を圧入固定する際の圧入しろを確保できる。よって、第2部材17に対する支軸30の固定強度を確保できる。
【0064】
第1部材16は、外側筒部161と、外側筒部161の内周に配置される内側筒部162と、外側筒部161と内側筒部162とを接続する接続部163と、を備える。外側筒部161および内側筒部162は円筒形であり、同軸に配置される。内側筒部162は、軸線方向の長さが外側筒部161よりも短く、外側筒部161の軸線方向の一方側L1または他方側L2の端部に配置される。第2部材17は、軸線方向の外側から外側筒部161の内側に嵌め込まれている。
【0065】
内側筒部162は、外側筒部161の軸線方向の端部に配置される。接続部163は、外側筒部161の軸線方向の略中央に配置され、内側筒部162の軸線方向の端部に接続される。
【0066】
内枠部11の外周面112は、接続体13に接合される。本形態では、内枠部11の外周面112は、第1部材16の外側筒部161の外周面である。
【0067】
支軸30の端部に内枠部11を取り付ける際は、第1部材16と第2部材17を分離した状態で、第1部材16の中心に設けられた軸穴164に支軸30の端部を通す。ここで、接続体13を製造する際、接続体13が外枠部12の内周面121、および、第1部材16の外周面112に接合される。よって、外側筒部161の外周面に接続体13が接合された状態の第1部材16の軸穴164に支軸30の端部を通す作業を行う。第1部材16の軸穴164は、内側筒部162を貫通する貫通穴である。軸穴164の内径は、支軸30が中間ばめの状態で嵌合する寸法である。
【0068】
次に、第2部材17を第1部材16の外側筒部161の内側に嵌め込み、第2部材17の貫通孔14に支軸30の端部を圧入して、第2部材17の板部171を第1部材16の接続部163に当接させる。これにより、第2部材17を介して第1部材16に支軸30が固定される。
【0069】
(作用効果)
本形態によれば、第1部材16が樹脂製であるので、接続部材10の検査を行う際に、内枠部11の外周面112で反射される光を抑制することができる。これにより、実施形態4は、実施形態3と同様の作用効果を得ることができる。
【0070】
また、本形態によれば、可動体3に設けられた内枠部11は、接続体13が接続される第1部材16と、支軸30が圧入される第2部材17が別部材であり、2部材を組み立てて構成する。これにより、支軸30に対する固定強度を確保するための金属整の第2部材17を小型化できるので、内枠部11の全体を金属製とするよりも、部品コストを下げることができる。また、支軸30を圧入固定する第2部材17は、ゲル状部材である接続体13を接続した第1部材16から分離可能である。よって、圧入工程では、ゲル状部材が
接合されていない第2部材17を治具に保持させて圧入工程を行うので、部品の取り扱いが容易であるとともに、ゲル状部材(接続体13)が傷つくおそれが少ない。よって、内枠部11の部品コストの低減を図るとともに、内枠部11の支軸30への固定強度を確保し、かつ、アクチュエータ1の組立容易性を高めることができる。
【0071】
また、支軸30は、軸穴164に中間ばめの状態で篏合する。これにより、支軸30と第1部材16とを容易に組み立てることができるので、第1部材16にゲル状部材が接合された状態であっても、ゲル状部材が傷つくおそれが少ない。
【0072】
なお、本技術は以下のような構成をとることが可能である。
【0073】
(1)
筒状のケースを備える支持体と、
前記ケースの中心に配置される支軸を備える可動体と、
前記支持体および前記可動体を接続する接続部材と、
磁石およびコイルを備え、前記可動体を前記支持体に対して前記支軸の軸線方向に相対移動させる磁気駆動機構と、を有し、
前記接続部材は、前記支軸が嵌合する貫通孔を備える環状の内枠部と、前記ケースの内側に保持されるとともに前記内枠部の外周側に配置される環状の外枠部と、前記外枠部および前記内枠部に接続され、弾性および粘弾性の少なくとも一方を備えた接続体と、を備え、
前記内枠部は、真鍮製であり、
前記内枠部の外周面の算術表面粗さは、1.0μm以上であることを特徴とするアクチュエータ。
【0074】
(2)
筒状のケースを備える支持体と、
前記ケースの中心に配置される支軸を備える可動体と、
前記支持体および前記可動体を接続する接続部材と、
磁石およびコイルを備え、前記可動体を前記支持体に対して前記支軸の軸線方向に相対移動させる磁気駆動機構と、を有し、
前記接続部材は、前記支軸が嵌合する貫通孔を備える環状の内枠部と、前記ケースの内側に保持されるとともに前記内枠部の外周側に配置される環状の外枠部と、前記外枠部および前記内枠部に接続され、弾性および粘弾性の少なくとも一方を備えた接続体と、を備え、
前記内枠部は、ステンレス製であり、
前記内枠部の外周面の算術表面粗さは、0.1μm以上であることを特徴とするアクチュエータ。
【0075】
(3)
筒状のケースを備える支持体と、
前記ケースの中心に配置される支軸を備える可動体と、
前記支持体および前記可動体を接続する接続部材と、
磁石およびコイルを備え、前記可動体を前記支持体に対して前記支軸の軸線方向に相対移動させる磁気駆動機構と、を有し、
前記接続部材は、前記支軸が嵌合する貫通孔を備える環状の内枠部と、前記ケースの内側に保持されるとともに前記内枠部の外周側に配置される環状の外枠部と、前記外枠部および前記内枠部に接続され、弾性および粘弾性の少なくとも一方を備えた接続体と、を備え、
前記内枠部は、少なくとも外周面を含む外周部分が樹脂製であることを特徴とするアク
チュエータ。
【0076】
(4)
前記内枠部の外周面の算術表面粗さは、3.2μm以下であることを特徴とする(1)または(2)に記載のアクチュエータ。
【0077】
(5)
前記内枠部は、前記外周部分である第1部材と、前記第1部材の内側に嵌合するとともに前記貫通孔を備える金属製の第2部材と、を備え、
前記貫通孔に前記支軸が圧入されることにより、前記第2部材を介して前記第1部材に支軸が固定されることを特徴とする(3)に記載のアクチュエータ。
【0078】
(6)
前記支持体は、前記外枠部が嵌合する凹部を備え、
前記凹部は、前記外枠部が前記凹部に嵌合した際に、前記支軸の軸線方向で前記外枠部に当接する段部を備えることを特徴とする(1)から(5)のうち何れか一項に記載のアクチュエータ。
【符号の説明】
【0079】
1…アクチュエータ、2…支持体、3…可動体、4…コイルホルダ、6…磁気駆動機構、7…配線基板、8…リード線、10・10A・10B…接続部材、11…内枠部、12…外枠部、13…接続体、14…貫通孔、16…第1部材、17…第2部材、17…部分、20…ケース、21…第1蓋部材、22…第2蓋部材、24…ケース本体、25…第2固定部、26…蓋部、27…係止部、28…規制部、29…溝部、30…支軸、31…第1ヨーク、32…第2ヨーク、33…第1磁性部材、34…第2磁性部材、35…ヨーク、38…第3磁性部材、39…重量調整部、41…第1固定部、42…胴部、43…第1凹部、46…第2凹部、49…凸部、61…磁石、62…コイル、63…コイル線、64…端子ピン、65…切欠き部、66…カバー、69…基板固定部、71…穴、80…リード線保持部、90…検査装置、91…光源、92…カメラ、93…判断部、111…環状突部、112…外周面、121…内周面、122…環状段部、161…外側筒部、162…内側筒部、163…接続部、164…軸穴、171…板部、173…凸部、310…軸穴、330…軸穴、340…軸穴、341…円板部、342…屈曲部、343…円筒部、380…軸穴、431…段部、461…段部、610…軸穴、691…爪部、692…係止溝、P1・P2…影
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8