(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024158221
(43)【公開日】2024-11-08
(54)【発明の名称】燃焼装置及び乾燥機
(51)【国際特許分類】
F23N 5/10 20060101AFI20241031BHJP
F23D 14/08 20060101ALI20241031BHJP
F26B 11/04 20060101ALI20241031BHJP
D06F 58/26 20060101ALI20241031BHJP
【FI】
F23N5/10 310D
F23D14/08 E
F26B11/04
D06F58/26
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023073235
(22)【出願日】2023-04-27
(71)【出願人】
【識別番号】000115854
【氏名又は名称】リンナイ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001117
【氏名又は名称】弁理士法人ぱてな
(72)【発明者】
【氏名】中村 悠輔
(72)【発明者】
【氏名】柴山 総一郎
(72)【発明者】
【氏名】大脇 将太
【テーマコード(参考)】
3B166
3K005
3K017
3L113
【Fターム(参考)】
3B166AA02
3B166AA05
3B166AB24
3B166AE01
3B166AE02
3B166BA43
3B166BA55
3B166CA01
3B166CA02
3B166CA04
3B166CA05
3B166CA06
3B166CA11
3B166CB01
3B166CB11
3B166DA15
3B166EA03
3B166GA02
3B166GA07
3B166GA12
3B166GA22
3B166GA45
3B166HA11
3K005UA16
3K005UA19
3K017AA01
3K017AB08
3K017AC02
3L113AA06
3L113AB03
3L113AC04
3L113AC68
3L113BA14
3L113CB03
3L113DA07
(57)【要約】
【課題】炎検知器が燃焼炎を精度高く検出可能であるとともに、製造コストの低廉化を実現可能な燃焼装置及び乾燥機を提供する。
【解決手段】本発明の燃焼装置21は、バーナ61と、バーナ固定部62と、防風部材63と、炎検知器68等とを備えている。バーナ61には炎孔610が設けられている。炎孔610は、第1方向に燃料ガスを噴射しつつ燃焼炎99を形成する。防風部材63には挿通孔93が貫設されている。炎検知器68は、挿通孔93に挿通されつつバーナ固定部62に取り付けられることによって、炎孔610に臨んでいる。バーナ固定部62は、係合部71、72、74、76、77を有しており、防風部材63は、被係合部91a、91c、92a、92bを有している。係合部71、72、74、76、77と、被係合部91a、91c、92a、92bとは、防風部材63がバーナ固定部62に対して第1方向及び第2方向へ移動可能に係合する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1方向に燃料ガスを噴射しつつ燃焼炎を形成する炎孔が設けられたバーナと、
前記バーナを固定するバーナ固定部と、
前記バーナ固定部に取り付けられ、前記バーナを囲いつつ前記第1方向に延びる防風部材と、
前記燃焼炎を検知する炎検知器とを備え、
前記防風部材には挿通孔が貫設され、
前記炎検知器は、前記挿通孔に挿通されつつ前記バーナ固定部に取り付けられることによって、前記炎孔に臨んでいる燃焼装置であって、
前記バーナ固定部は係合部を有し、
前記防風部材は、前記係合部に係合することにより、前記防風部材を前記バーナ固定部に取り付ける被係合部を有し、
前記係合部と前記被係合部とは、前記炎検知器と前記挿通孔との干渉を防止する範囲において、前記防風部材が前記バーナ固定部に対して前記第1方向及び前記第1方向に交差する第2方向へ移動可能に係合することを特徴とする燃焼装置。
【請求項2】
前記防風部材は、前記炎孔に臨む第1面と、前記第1面の反対側に位置する第2面とを有し、
前記炎検知器は、本体部と、前記挿通孔に挿通されて前記炎孔に臨む先端部とを有し、
前記本体部は、前記バーナ固定部に取り付けられて前記第2面側に位置している請求項1記載の燃焼装置。
【請求項3】
請求項1又は2記載の燃焼装置と、
被乾燥物を収容するとともに、前記燃焼装置によって加熱された空気が供給されるドラムとを備えていることを特徴とする乾燥機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は燃焼装置及び乾燥機に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に従来の燃焼装置が開示されている。この燃焼装置は、バーナと、バーナ固定部と、防風部材と、炎検知器とを備えている。バーナには複数の炎孔が設けられている。各炎孔は、燃焼装置の上方に向けて燃料ガスを噴射しつつ燃焼炎を形成する。バーナ固定部はバーナの下方に位置しており、バーナを固定している。
【0003】
防風部材は矩形の略箱状に形成されており、バーナ固定部に取り付けられている。これにより、防風部材は、バーナ固定部から燃焼装置の上方に延びつつ、バーナの周囲を囲っている。また、防風部材には挿通孔が貫設されている。炎検知器は、先端部を挿通孔に挿通させつつ防風部材に取り付けられている。これにより、炎検知器では、先端部が防風部材の内側で炎孔に臨んだ状態となっている。
【0004】
この燃焼装置は、暖房機器としてのファンヒータに用いられている。そして、ファンヒータは、燃焼装置によって加熱された空気を室内に供給して暖房を行う。ここで、この燃焼装置では、燃焼炎によって炎検知器の先端部が加熱されることにより、炎検知器が発電する。こうして、この燃焼装置では、炎検知器が燃焼炎を検出するとともに、発電した電力の大きさによって、燃焼炎が正常に燃焼しているか否かを検出する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
この種の燃焼装置では、燃焼炎が正常に燃焼しているか否かを精度高く検出できることが要求される。そこで、炎検知器が燃焼炎を精度高く検出し得るように、炎孔と炎検知器との位置関係を設計している。
【0007】
しかし、上記従来の燃焼装置では、挿通孔が防風部材に形成されており、この挿通孔に炎検知器が挿通されている。このため、この燃焼装置では、燃焼炎の熱によって防風部材が膨張すれば、炎検知器に対して防風部材が変位する。これにより、この燃焼装置では、挿通孔と炎検知器とが干渉し得る。これにより、この燃焼装置では、本来の設計よりも炎孔と炎検知器の位置関係にずれが生じ易く、炎検知器が燃焼炎を精度高く検出し得なくなるおそれがある。
【0008】
さらに、この燃焼装置では、炎検知器を防風部材に取り付ける際に挿通孔と炎検知器とが干渉しないように、挿通孔と炎検知器との位置決めについても高い精度が要求される。加えて、この燃焼装置では、バーナ固定部に防風部材を取り付けるに当たって、挿通孔と炎孔との位置決めを精度高く行うことも要求される。これらにより、この燃焼装置では製造が困難となることから、製造コストの増大化を招いてしまう。
【0009】
本発明は、上記従来の実情に鑑みてなされたものであって、炎検知器が燃焼炎を精度高く検出可能であるとともに、製造コストの低廉化を実現可能な燃焼装置及び乾燥機を提供することを解決すべき課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の燃焼装置は、第1方向に燃料ガスを噴射しつつ燃焼炎を形成する炎孔が設けられたバーナと、
前記バーナを固定するバーナ固定部と、
前記バーナ固定部に取り付けられ、前記バーナを囲いつつ前記第1方向に延びる防風部材と、
前記燃焼炎を検知する炎検知器とを備え、
前記防風部材には挿通孔が貫設され、
前記炎検知器は、前記挿通孔に挿通されつつ前記バーナ固定部に取り付けられることによって、前記炎孔に臨んでいる燃焼装置であって、
前記バーナ固定部は係合部を有し、
前記防風部材は、前記係合部に係合することにより、前記防風部材を前記バーナ固定部に取り付ける被係合部を有し、
前記係合部と前記被係合部とは、前記炎検知器と前記挿通孔との干渉を防止する範囲において、前記防風部材が前記バーナ固定部に対して前記第1方向及び前記第1方向に交差する第2方向へ移動可能に係合することを特徴とする。
【0011】
本発明の燃焼装置では、防風部材に挿通孔が貫設されており、炎検知器はこの挿通孔に挿通されつつバーナ固定部に取り付けられる。また、この燃焼装置では、バーナ固定部の係合部と、防風部材の被係合部とが係合することにより、防風部材がバーナ固定部に取り付けられる。ここで、係合部と被係合部とは、炎検知器と挿通孔との干渉を防止する範囲において、防風部材がバーナ固定部に対して第1方向及び第2方向へ移動可能に係合する。
【0012】
このため、この燃焼装置では、たとえ防風部材が熱膨張しても、防風部材がバーナ固定部、ひいては、バーナ固定部に取り付けられた炎検知器に対して第1方向及び第2方向に移動できる。これにより、この燃焼装置では、熱膨張に起因する挿通孔と炎検知器との干渉が生じ難く、炎孔と炎検知器との位置関係を適正に維持し易い。
【0013】
さらに、この燃焼装置では、バーナ固定部に対する炎検知器の取り付けを行う際、挿通孔を含め防風部材を第1方向及び第2方向へ移動させつつ、挿通孔に対する炎検知器の位置決めを行うことができる。これにより、この燃焼装置では、バーナ固定部に対する防風部材の取り付けについて過度に高い精度を要求することなく、挿通孔と炎検知器との位置決めを好適に行うことができる。この結果、この燃焼装置では、バーナ本体に炎検知器を取り付ける際に挿通孔と炎検知器とが干渉することも好適に防止できる。
【0014】
そして、この燃焼装置では、挿通孔と炎検知器との干渉を防止するために、炎検知器に比べて挿通孔を過度に大径に形成する必要もない。このため、この燃焼装置では、挿通孔と炎検知器との干渉を防止しつつも、挿通孔に炎検知器が挿通された際の挿通孔と炎検知器との隙間を可及的に小さくすることができる。これにより、この燃焼装置では、挿通孔と炎検知器との隙間から炎孔側に空気が流入し難く、この空気によって燃焼炎に揺らぎが生じることも防止できる。
【0015】
したがって、本発明の燃焼装置は、炎検知器が燃焼炎を精度高く検出可能であるとともに、製造コストの低廉化を実現できる。
【0016】
防風部材は、炎孔に臨む第1面と、第1面の反対側に位置する第2面とを有し得る。また、炎検知器は、本体部と、挿通孔に挿通されて炎孔に臨む先端部とを有し得る。そして、本体部は、バーナ固定部に取り付けられて第2面側に位置していることが好ましい。
【0017】
この場合には、炎検知器の本体部を炎孔、ひいては燃焼炎から離隔して配置することができるため、本体部が燃焼炎によって過度に加熱されることを防止できる。
【0018】
本発明の乾燥機は、上記本発明の燃焼装置と、
被乾燥物を収容するとともに、前記燃焼装置によって加熱された空気が供給されるドラムとを備えていることを特徴とする。
【0019】
本発明の乾燥機が備える燃焼装置は上述の作用効果を奏する。また、上述のように燃焼装置の製造を容易化できる分、この乾燥機では製造を容易化できる。
【0020】
したがって、本発明の乾燥機は、炎検知器が燃焼炎を精度高く検出可能であるとともに、製造コストの低廉化を実現できる。
【発明の効果】
【0021】
本発明の燃焼装置は、炎検知器が燃焼炎を精度高く検出可能であるとともに、製造コストの低廉化を実現できる。また、本発明の乾燥機は、炎検知器が燃焼炎を精度高く検出可能であるとともに、製造コストの低廉化を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】
図1は、実施例の乾燥機の模式断面図である。
【
図2】
図2は、実施例の乾燥機に係り、燃焼装置の斜視図である。
【
図3】
図3は、燃焼装置における
図2のA-A断面を示す断面図である。
【
図4】
図4は、燃焼装置における
図3のB-B断面を示す断面図である。
【
図5】
図5は、燃焼装置において、バーナ固定部に対する防風部材の取り付けを示す斜視図である。
【
図6】
図6は、燃焼装置において、バーナ固定部に防風部材が取り付けられた状態での
図5のX1部分を示す要部拡大側面図である。
【
図7】
図7は、燃焼装置において、バーナ固定部に防風部材が取り付けられた状態での
図5のX2部分を示す要部拡大断面図である。
【
図8】
図8は、燃焼装置において、バーナ固定部に防風部材が取り付けられた状態での
図5のX3部分を示す要部拡大側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明を具体化した実施例を図面を参照しつつ説明する。
【0024】
図1に示すように、実施例1の乾燥機1は、筐体3と、ドラム5と、電動モータ7と、ファン9と、駆動プーリ11と、従動プーリ13と、第1プーリベルト15aと、第2プーリベルト15bと、ガス供給弁装置17と、ガス噴射ノズル19と、燃焼装置21と、制御装置23とを備えている。
【0025】
本実施例では、
図1に示す矢印によって、燃焼装置21、ひいては乾燥機1の上下方向及び前後方向を規定している。また、
図2以降では、
図1に対応して乾燥機1の上下方向及び前後方向を規定している。さらに
図2等では、乾燥機1の使用者(図示略)が乾燥機1の前方から対向した際に使用者の右方を乾燥機1の右方とし、使用者の左方を乾燥機1の左方として乾燥機1の左右方向を規定している。これらの上下方向、前後方向及び左右方向は互いに直交している。
【0026】
また、本実施例では、上下方向が本発明における「第1方向」に対応しており、前後方向が本発明における「第2方向」に対応している。なお、上下方向、前後方向及び左右方向と、第1方向及び第2方向との対応関係は、燃焼装置21が乾燥機1に取り付けられた際の燃焼装置21の姿勢に応じて適宜変更される。
【0027】
筐体3は略矩形の箱状をなしており、前壁3aと、後壁3bと、上壁3cと、下壁3dとを有している他、左右一対の側壁(図示略)を有している。これらの前壁3a、後壁3b、上壁3c、下壁3d及び両側壁により、筐体3の内部には内部空間10が形成されている。内部空間10には、ドラム5、電動モータ7、ファン9、駆動プーリ11、従動プーリ13、第1プーリベルト15a、第2プーリベルト15b、ガス供給弁装置17、ガス噴射ノズル19、燃焼装置21及び制御装置23がそれぞれ収容されている。さらに内部空間10には、給気ダクト25及び排気ダクト27が収容されている。
【0028】
前壁3aの略中央には、内部空間10に連通する連通口31が設けられている他、連通口31を開閉可能な開閉扉33が設けられている。また、前壁3aにおいて、開閉扉33よりも下方となる位置には、操作部35が設けられている。詳細な図示を省略するものの、操作部35は、複数の操作スイッチ及びディスプレイを有している。各操作スイッチを操作することにより、使用者は、乾燥機1の運転開始の指示や運転モードの選択等の操作を行う。ディスプレイには、乾燥機1の運転時間の他、エラーメッセージ等の乾燥機1の運転状態が表示される。
【0029】
後壁3bには、前後方向に水平に延びる第1回転軸心O1を中心とするドラム支持軸5aが固定されている。上壁3cには、排気口37が形成されている。下壁3dには、複数の給気口39が形成されている。
【0030】
ドラム5は、第1回転軸心O1を中心とする円筒形状に形成されており、内部に乾燥室50を形成している。乾燥室50は、使用者が連通口31から投入した被乾燥物C1を収容可能となっている。被乾燥物C1としては、例えば衣類の他、毛布やカーペット等が挙げられる。また、ドラム5の後端には、通気部52が設けられている。
【0031】
電動モータ7は内部空間10において、ドラム5よりも下方に配置されている。電動モータ7には、第2回転軸心O2を中心とする駆動軸7aが設けられている。駆動軸7aは、電動モータ7を前後方向に貫通している。ここで、第2回転軸心O2は、第1回転軸心O1と平行である。つまり、駆動軸7aは、ドラム支持軸5aと平行で前後方向に延びている。
【0032】
ファン9は排気ダクト27内に配置されており、ドラム支持軸5aが挿通された従動プーリ13に挿通されている。これにより、ファン9は、排気ダクト27内において、第1回転軸心O1周りに回転可能となっている。
【0033】
駆動プーリ11は、第1駆動プーリ11aと、第2駆動プーリ11bとからなる。第1駆動プーリ11aは、駆動軸7aの前部に固定されている。第2駆動プーリ11bは、駆動軸7aの後部に固定されている。第1駆動プーリ11a及び第2駆動プーリ11bは、駆動軸7aが回転することにより、第2回転軸心O2周りに回転可能となっている。つまり、第1駆動プーリ11aと第2駆動プーリ11bとは、同軸かつ同時に回転する。
【0034】
従動プーリ13は、ドラム支持軸5aを挿通している。また、従動プーリ13は排気ダクト27内においてファン9に挿通されている。これにより、従動プーリ13はファン9と接続されつつ、ファン9に固定されている。こうして、従動プーリ13は、ファン9と一体で第1回転軸心O1周りに回転可能となっている。
【0035】
第1プーリベルト15a及び第2プーリベルト15bは、それぞれ合成ゴム等の弾性材料によって形成されている。第1プーリベルト15aは、第1駆動プーリ11aとドラム5とに巻き掛けられている。こうして、電動モータ7の駆動力が第1駆動プーリ11a及び第1プーリベルト15aを通じてドラム5に伝達されるようになっている。一方、第2プーリベルト15bは、第2駆動プーリ11bと従動プーリ13とに巻き掛けられている。こうして、電動モータ7の駆動力は、第2駆動プーリ11b及び第2プーリベルト15bを通じて従動プーリ13、ひいてはファン9にも伝達されるようになっている。
【0036】
ガス供給弁装置17及びガス噴射ノズル19は、内部空間10において、ドラム5の下方に配置されている。ガス供給弁装置17は、乾燥機1の外部に設けられたガス供給源(図示略)と接続されている。これにより、ガス供給弁装置17には、ガス供給源から燃料ガスが供給される。
【0037】
ガス噴射ノズル19はガス供給弁装置17の前方に位置しており、ガス供給弁装置17と接続されている。ガス噴射ノズル19は、ガス供給弁装置17から燃料ガスの供給を受けつつ、燃料ガスを燃焼装置21に向けて噴射する。
【0038】
図2に示すように、燃焼装置21は、バーナ61と、バーナ固定部62と、第1防風板63と、第2防風板64と、第1ブラケット65と、第2ブラケット66と、点火器67と、炎検知器68とを備えている。第1防風板63及び第2防風板64は、本発明における「防風部材」の一例である。燃焼装置21は、上下方向及び左右方向の各長さに比べて前後方向の長さが長く形成されている。これにより、燃焼装置21における全体としての形状は、前後方向が長手方向となる略矩形状となっている。
【0039】
図3及び
図4に示すように、バーナ61は、第1ガス通路61a、第2ガス通路61b、第1バーナ本体61c及び第2バーナ本体61dを有している。第1ガス通路61aと第2ガス通路61bとは、左右方向に離隔して配置されている。
【0040】
図3に示すように、第1ガス通路61aは後端が開口している。第1ガス通路61aは筒状に延びており、前端で略U字形状に湾曲している。また、第1ガス通路61aは、上端が開口している。なお、第2ガス通路61bは、第1ガス通路61aと同一の形状である。
【0041】
図4に示すように、第1バーナ本体61cは第1ガス通路61aの上部に固定されている。同様に、第2バーナ本体61dは第2ガス通路61bの上部に固定されている。第1バーナ本体61c及び第2バーナ本体61dは、それぞれ第1ガス通路61a及び第2ガス通路61bから上方に延びている。また、
図2に示すように、第1バーナ本体61c及び第2バーナ本体61dは、それぞれ前後方向に二列で延びている。
【0042】
第1バーナ本体61c及び第2バーナ本体61dには、それぞれ複数の炎孔610が設けられている。各炎孔610は、略矩形状に形成されており、第1バーナ本体61c及び第2バーナ本体61dを上下方向に貫通している。これにより、第1バーナ本体61cに設けられた各炎孔610は、下端で第1ガス通路61aと連通している。同様に、第2バーナ本体61dに設けられた各炎孔610は、下端で第2ガス通路61bと連通している。また、各炎孔610の上端は、第1バーナ本体61c及び第2バーナ本体61dの上部に開口している。各炎孔610は、それぞれ燃焼炎99を形成する。なお、各炎孔610の形状及び個数は適宜設計可能である。
【0043】
図2~
図5に示すように、バーナ固定部62は、本体パネル62aと、前側パネル62bと、後側パネル62cと、下側パネル62dとを有している。これらの本体パネル62a、前側パネル62b、後側パネル62c及び下側パネル62dは、それぞれ金属板にプレス加工を施すことによって形成されている。
【0044】
図4に示すように、本体パネル62aは、前後方向及び上下方向に延びる右側面621及び左側面622と、右側面621と左側面622との間に位置して前後方向に延びる上面623とを有している。本体パネル62aの右側面621、左側面622及び上面623は、それぞれバーナ固定部62の右側面、左側面及び上面を構成している。
【0045】
図2に示すように、本体パネル62aの右側面621には、右側第1係止片71と、右側第2係止片72とが形成されている。右側第1係止片71と右側第2係止片72とは、前後方向に離隔して配置されている。
図3に示すように、右側第1係止片71及び右側第2係止片72は、それぞれ右側面621から右方向に突出しつつ上方に向かって延びている。
【0046】
また、
図4に示すように、本体パネル62aの左側面622には、左側第1係止片73と、図示しない左側第2係止片とが形成されている。左側第1係止片73と左側第2係止片とについても前後方向に離隔して配置されている。また、左側第1係止片73及び左側第2係止片は、それぞれ左側面622から左方向に突出しつつ上方に向かって延びている。これらの右側第1係止片71、右側第2係止片72、左側第1係止片73及び左側第2係止片は、本発明における「係合部」の一例である。なお、右側面621に対して右側第1係止片71及び右側第2係止片72の一方のみを形成しても良く、右側第1係止片71及び右側第2係止片72に加えて係止片を形成しても良い。左側面622についても同様である。
【0047】
図2に示すように、本体パネル62aの上面623には、第1開口623a及び第2開口623bが形成されている。第1開口623aと第2開口623bとは、互いに左右方向に離隔している。また、第1開口623a及び第2開口623bは、前後方向に平行に延びている。
【0048】
本体パネル62aは、第1開口623aから第1バーナ本体61cを突出させるとともに、第2開口623bから第2バーナ本体61dを突出させた状態で、複数のボルト81によってバーナ61に固定されている。これにより、
図3及び
図4に示すように、本体パネル62aは、第1ガス通路61a及び第2ガス通路61bを自己の内部に配置するとともに、第1バーナ本体61c及び第2バーナ本体61dの各一部を自己の内部に配置した状態でバーナ61を固定している。
【0049】
前側パネル62bは、複数のボルト82によって本体パネル62aの前部に固定されている。これにより、前側パネル62bはバーナ固定部62の前面を構成しており、バーナ61を前方から覆っている。
【0050】
図5に示すように、前側パネル62bは、第1係合孔74と、第2係合孔75と、第3係合孔76とが形成されている。これらの第1~3係合孔74~76も本発明における「係合部」の一例である。
【0051】
第1~3係合孔74~76は、矩形状に形成されており、前側パネル62bを前後方向に貫通している。また、第1~3係合孔74~76は、左右方向に整列して配置されている。ここで、第3係合孔76は、第1係合孔74と、第2係合孔75との間に配置されている。また、第3係合孔76は、第1係合孔74及び第2係合孔75に比べて左右方向に長く形成されている。なお、前側パネル62bに対して第3係合孔76の形成を省略したり、第1~3係合孔74~76の他に係合孔を形成したりしても良い。
【0052】
図2及び
図3に示すように、後側パネル62cは、複数のボルト83によって本体パネル62aの前部に固定されている。これにより、後側パネル62cはバーナ固定部62の後面を構成しており、バーナ61を後方から覆っている。
【0053】
また、
図3に示すように、後側パネル62cの下部には連絡孔624が形成されている。詳細な図示を省略するものの、連絡孔624は後側パネル62cに対して2つ形成されており、互いに左右方向に離隔して配置されている。連絡孔624は円形に形成されており、後側パネル62cを前後方向に貫通している。連絡孔624は、それぞれ第1ガス通路61a及び第2ガス通路61bの後端と連通している。
【0054】
さらに、
図6に示すように、後側パネル62cの上部には、第4係合孔77が形成されている。詳細な図示を省略するものの、第4係合孔77は、後側パネル62cに対して一対で形成されており、それぞれ、後側パネル62cの右端と左端とに配置されている。第4係合孔77も本発明における「係合部」の一例である。第4係合孔77は、上下方向に延びる矩形状に形成されており、後側パネル62cを前後方向に貫通している。なお、後側パネル62cの右端及び左端に対して、上下方向に複数の第4係合孔77を形成しても良い。
【0055】
図3及び
図4に示すように、下側パネル62dは本体パネル62aの下部に固定されている。この際、下側パネル62dは、各ボルト82によって前側パネル62bと共締めされることによって本体パネル62aに固定されている。これにより、下側パネル62dはバーナ固定部62の底面を構成しており、バーナ61を下方から覆っている。
【0056】
また、
図4に示すように、下側パネル62dには、円筒状に形成された第1進入部625及び第2進入部626が形成されている。第1進入部625は前後方向で第1、2ガス通路61a、61bと後側パネル62cとの間に位置している。第1進入部625は連絡孔624の一方と連通しつつ、第1ガス通路61a内に進入している。同様に、第2進入部626は連絡孔624の他方と連通しつつ、第2ガス通路61b内に進入している。
【0057】
図2に示す第1防風板63及び第2防風板64についても、それぞれ金属板にプレス加工を施すことによって形成されている。第1防風板63と第2防風板64とは、挿通孔93及び保持孔94の有無を除いて左右対称の形状をなしている。このため、以下では、第1防風板63と第2防風板64とで共通する構成については同一の符号を付しつつ、主に第1防風板63を基に構成を説明する。
【0058】
第1防風板63は、側面部91と前面部92とを有している。側面部91は、前後方向及び上下方向に延びる板状をなしている。前面部92は、左右方向及び上下方向に延びる板状をなしている。前面部92は側面部91の前端と接続しており、側面部91から離隔するように左方に延びる状態となっている。これにより、第1防風板63は、平面視で略L字形状をなしている。
【0059】
図3に示すように、側面部91は第1面901と第2面902とを有している。第1面901は、第1防風板63がバーナ固定部62に取り付けられることにより、各炎孔610と面するようになっている。第2面902は、第1面901の反対側に位置しており、第1防風板63がバーナ固定部62に取り付けられることにより、燃焼装置21の外部に面するようになっている。
【0060】
また、
図5に示すように、側面部91は係止縁部91a及び規制縁部91bを有している他、係合突起91cを有している。係止縁部91a及び規制縁部91bは、側面部91の下部に位置している。係止縁部91aは前後方向に水平に延びている。規制縁部91bは係止縁部91aの後方に位置しており、係止縁部91aよりも下方に延びている。
【0061】
係合突起91cは側面部91の後端に位置している。係合突起91cは側面部91と一体をなしつつ、側面部91から後方に向かって突出している。係合突起91cは、後側パネル62cの第4係合孔77に進入可能に形成されている。
【0062】
前面部92は第1係合爪92a及び第2係合爪92bを有している。第1係合爪92a及び第2係合爪92bは、前面部92の下端に位置している。第1係合爪92a及び第2係合爪92bは、前面部92と一体をなしつつ、前面部92から後方に向かって突出している。ここで、第1係合爪92aと第2係合爪92bとは、左右方向に離隔して配置されている。また、第1係合爪92a及び第2係合爪92bは、それぞれ前側パネル62bの第1、3係合孔74、76に進入可能に形成されている。係止縁部91a、係合突起91c及び第1、2係合爪92a、92bは、本発明における「被係合部」の一例である。
【0063】
また、第1防風板63では、側面部91に対して挿通孔93が形成されている。挿通孔93は、側面部91において前後方向の中央よりも後方となる個所に配置されている。挿通孔93は円形をなしており、側面部91を左右方向に貫通している。なお、側面部91における挿通孔93の位置や形状は、後述する炎検知器68の先端部の位置及び形状に応じて適宜設計可能である。
【0064】
一方、
図2に示すように、第2防風板64では、側面部91に対して保持孔94が形成されている。保持孔94は、側面部91において前後方向の中央よりも後方となる個所に配置されている。保持孔94は矩形状をなしており、側面部91を左右方向に貫通している。なお、側面部91における保持孔94の位置や形状は適宜設計可能である。また、保持孔94の形成を省略しても良い。さらに、挿通孔93を第1防風板63の側面部91に形成し、保持孔94を第2防風板64の側面部91に形成しても良い。
【0065】
これらの第1防風板63及び第2防風板64は、それぞれバーナ61を固定した状態にあるバーナ固定部62に取り付けられている。第1防風板63をバーナ固定部62に取り付けるに当たっては、
図5に示すように、バーナ固定部62に対して第1防風板63を前方から接近させる。そして、第1防風板63を前方から後方に移動させつつ、係合突起91cを後側パネル62cの右端に形成された第4係合孔77に進入させる。さらに、第1防風板63では、第1係合爪92aを前側パネル62bの第1係合孔74に進入させるとともに、第2係合爪92bを前側パネル62bの第3係合孔76に進入させる。また、第1防風板63では、側面部91の係止縁部91aを本体パネル62aの右側第1係止片71及び右側第2係止片72に進入させる。なお、第1防風板63では、係合突起91cを第4係合孔77に進入させると同時に、第1係合爪92aが第1係合孔74に進入し、第2係合爪92bが第3係合孔76に進入し、係止縁部91aが右側第1係止片71及び右側第2係止片72に進入する。
【0066】
また、このように係合突起91cが第4係合孔77に進入することにより、第1防風板63は、後側パネル62cによって後方への移動が規制される。こうして、第1防風板63では、係合突起91cが第4係合孔77に係合し、第1、2係合爪92a、92bがそれぞれ第1、3係合孔74、76に係合し、側面部91の係止縁部91aが右側第1係止片71及び右側第2係止片72に係合する。この結果、
図2に示すように、第1防風板63は、バーナ固定部62の右方に取り付けられている。この際、右側第1係止片71及び右側第2係止片72は、係止縁部91aと係合した状態で第1防風板63を下方から支持している。
【0067】
また、このように第1防風板63がバーナ固定部62に取り付けられた状態において、
図8に示すように、側面部91の規制縁部91bは、右側第1係止片71よりも後方に位置している。
【0068】
詳細な図示を省略するものの、第2防風板64についても第1防風板63と同様にしてバーナ固定部62に取り付けられている。この際、第2防風板64では、第1係合爪92aが前側パネル62bの第2係合孔75に進入し、第2係合爪92bが前側パネル62bの第3係合孔76に進入している。つまり、第3係合孔76には、2つの第2係合爪92bが左右に並んだ状態で侵入しつつ係合している(
図4参照)。これにより、第2防風板64は、バーナ固定部62の左方に取り付けられている。
【0069】
こうしてバーナ固定部62に取り付けられた第1防風板63及び第2防風板64は、それぞれバーナ固定部62から上方に向かって延びている。これにより、第1防風板63及び第2防風板64は上下方向に延びつつ、各炎孔610を含め第1バーナ本体61c及び第2バーナ本体61dの周囲を囲っている。より具体的には、第1防風板63及び第2防風板64は、バーナ固定部62の後側パネル62cと共同して、第1バーナ本体61c及び第2バーナ本体61dの周囲を囲っている。
【0070】
図2に示すように、第1ブラケット65は、ボルト84によって後側パネル62cに固定されている。より具体的には、第1ブラケット65は、バーナ固定部62に第1防風板63及び第2防風板64が取り付けられた後に、後側パネル62cに固定されている。この際、第1ブラケット65は、前部に設けられた保持爪65aを第2防風板64の保持孔94に進入させつつ、保持孔94に保持爪65aを保持させている。第1ブラケット65には取付孔65bが形成されている。
【0071】
図4に示すように、第2ブラケット66は、ボルト85によって本体パネル62aの右側面621に固定されている。第2ブラケット66についても、バーナ固定部62に第1防風板63及び第2防風板64が取り付けられた後に、右側面621に固定されている。これにより、第2ブラケット66は、バーナ固定部62及び第1防風板63の右方であって、第1防風板63の挿通孔93の近傍となる個所に配置されている。
【0072】
図2に示すように、点火器67は、第1ブラケット65の取付孔65bに挿通された状態で第1ブラケット65に取り付けられている。これにより、点火器67は、前端部分が炎孔610に臨んでいる。点火器67は通電によって火花を生じさせる。
【0073】
図4に示すように、炎検知器68は、本体部68aと先端部68bとを有している。本体部68aは略円柱状に形成されており、左右方向に延びている。本体部68aの右端には、通電ケーブル681、682の各一端が接続されている。
【0074】
先端部68bは、本体部68aの左端と接続しており、本体部68aから左方に向かって延びている。先端部68bは本体部68aよりも小径の円柱状に形成されている。また、先端部68bの内部には熱電素子(図示略)が設けられている。熱電素子は燃焼炎99によって加熱されることにより電力を発生させる。
【0075】
炎検知器68では、先端部68bが第1防風板63の挿通孔93に挿通されている。これにより、先端部68bは炎孔610の上方に位置しつつ炎孔610に臨んでいる。一方、本体部68aは第2ブラケット66上に載置されている。そして、本体部68aは、第2ブラケット66に設けられた保持ピン69によって上方から押し付けられつつ、第2ブラケット66に取り付けられている。こうして、炎検知器68は、先端部68bを挿通孔93に挿通させつつ、本体部68aが第2ブラケット66を介してバーナ固定部62に固定されている。この結果、炎検知器68では、本体部68aが第1防風板63及びバーナ固定部62よりも右方、つまり、第1防風板63の第2面902側に位置している。
【0076】
図1に示すように、燃焼装置21は、内部空間10において、給気ダクト25の下方であって、ガス供給弁装置17及びガス噴射ノズル19の前方となる位置に配置されている。この際、燃焼装置21は、第1ガス通路61a及び第2ガス通路61bの各後端がガス噴射ノズル19と前後方向で対向する姿勢、すなわち、第1ガス通路61a及び第2ガス通路61bの各後端が内部空間10の後方に臨む姿勢で内部空間10に配置されている。
【0077】
制御装置23は、電動モータ7、ガス供給弁装置17、ガス噴射ノズル19及び操作部35と接続されている。また、制御装置23は、燃焼装置21の点火器67と接続されている他、通電ケーブル681、682を通じて炎検知器68と接続されている。制御装置23は、乾燥機1の作動制御を行うための制御プログラムを記憶している。
【0078】
以上のように構成されたこの乾燥機1では、被乾燥物C1の乾燥を行う場合、使用者は、開閉扉33及び連通口31を通じて、乾燥を所望する被乾燥物C1を乾燥室50内に投入する。そして、使用者は、操作部35を操作して、被乾燥物C1に対応した乾燥時間等を入力する。これにより、制御装置23が電動モータ7を作動させることでドラム5及びファン9が第1回転軸心O1周りで回転する。そして、ファン9の回転により、乾燥機1の外部の空気が給気口39から内部空間10内に流入する。
【0079】
また、制御装置23は、ガス供給弁装置17及びガス噴射ノズル19を作動させる。これにより、ガス噴射ノズル19は、燃焼装置21の第1ガス通路61a及び第2ガス通路61bに向けて燃料ガスを噴射する。ガス噴射ノズル19から噴射された燃料ガスは、内部空間10内の空気と混合しつつ第1ガス通路61a及び第2ガス通路61bを流通し、第1バーナ本体61c及び第2バーナ本体61dに至る。そして、第1バーナ本体61c及び第2バーナ本体61dでは、各炎孔610が空気と混合した燃料ガスを下方から上方に向けて噴射させる。この状態で制御装置23は点火器67を作動させて火花を生じさせる。こうして、燃料ガスが燃焼されることにより、各炎孔610は燃焼炎99を形成する。
【0080】
これにより、燃焼装置21は周囲の空気を燃焼炎99によって加熱する。こうして燃焼炎99によって加熱された空気は、ファン9の回転によって、給気ダクト25に案内され、温風として乾燥室50内に供給される(
図1の白色矢印参照)。ここで、この燃焼装置21では、燃焼装置21の周囲の空気が燃焼炎99に不必要に当たることを第1防風板63及び第2防風板64によって防止する。
【0081】
この結果、乾燥機1では、ドラム5の回転によって乾燥室50内で被乾燥物C1を回転させつつ、乾燥室50内に供給された温風によって被乾燥物C1の乾燥を行う。なお、被乾燥物C1の乾燥に用いられた温風、つまり排気は、ファン9の回転によって、通気部52及び排気ダクト27を経て、排気口37から乾燥機1の外部に排出される。
【0082】
また、このように燃焼炎99によって空気の加熱が行われている間、燃焼装置21では、炎検知器68が燃焼炎99の検知を行う。具体的には、炎検知器68は、先端部68bに設けられた熱電素子が燃焼炎99によって加熱されることで電力を発生させる。そして、炎検知器68は、このような熱電素子による電力の発生によって燃焼炎99を検知する。ここで、炎検知器68は、熱電素子が発生させた電力が予め設定された設定値であれば、燃焼炎99が正常に燃焼していることを検知する。一方、熱電素子が発生させた電力が設定値を下回っていたり、熱電素子が電力を発生させていなかったりすれば、炎検知器は、燃焼炎99が不完全燃焼であったり、燃焼炎99が失火していることを検知する。
【0083】
また、炎検知器68は、燃焼炎99が正常に燃焼していることを検知した場合には正常信号を制御装置23に送信する。一方、炎検知器68は、燃焼炎99が不完全燃焼であったり、失火していることを検知した場合には異常信号を制御装置23に送信する。そして、制御装置23は、炎検知器68から異常信号を受信した際には、操作部35のディスプレイにエラーメッセージを表示させつつ、乾燥機1の作動を停止させる。なお、炎検知器68は燃焼炎99の検知のみを行い、燃焼炎99の燃焼が正常であるか不完全燃焼等であるか否かの検知及び判断は制御装置23が行っても良い。
【0084】
この乾燥機1が備える燃焼装置21では、挿通孔93に炎検知器68の先端部68bが挿通され、かつ、炎検知器68の本体部68aが第2ブラケット66を介してバーナ固定部62に固定された状態において、先端部68bが燃焼炎99を精度高く検出することが可能となっている。これにより、この乾燥機1では、炎検知器68において、燃焼炎99の燃焼が正常であるか否かを精度高く検出することが可能となっている。以下、この作用について具体的に説明する。
【0085】
すなわち、燃焼装置21では、上述のように第1防風板63に挿通孔93が形成されている。そして、バーナ固定部62に第1防風板63を取り付けるに当たっては、
図5に示すように、バーナ固定部62に対して、第1防風板63を前方から後方に移動させつつ、係合突起91cを第4係合孔77に係合させ、第1、2係合爪92a、92bを第1、3係合孔74、76に係合させ、側面部91の係止縁部91aを右側第1係止片71及び右側第2係止片72に係合させる。つまり、バーナ固定部62に第1防風板63を取り付けるに当たって、この燃焼装置21では、溶接等による固定は行わない。
【0086】
また、
図6に示すように、係合突起91cが第4係合孔77に進入しつつ第4係合孔77に係合した状態において、係合突起91c上端は、第4係合孔77の上端から下方に離隔している。換言すれば、係合突起91c上端と、第4係合孔77の上端とは非接触となっている。つまり、この燃焼装置21では、係合突起91c上端と第4係合孔77の上端との間に第1隙間S1を有した状態で、係合突起91cが第4係合孔77に係合している。
【0087】
図7に示すように、第1係合爪92aについても同様であり、第1係合爪92aが第1係合孔74に係合した状態において、第1係合爪92aは第1係合孔74の上端から下方に離隔している。図示を省略するものの、第2係合爪92bについても、第3係合孔76に係合した状態において、第3係合孔76の上端から下方に離隔している。こうして、第1係合爪92a及び第2係合爪92bも、それぞれ第1係合爪92aの上端及び第3係合孔76の上端との間にそれぞれ第1隙間S1を有した状態で第1係合孔74及び第3係合孔76に係合している。なお、
図7では、説明を容易にするため、バーナ61の図示を省略している。
【0088】
さらに、
図8に示すように、側面部91の係止縁部91aが右側第1係止片71及び右側第2係止片72に係合した状態において、側面部91の規制縁部91bは、右側第1係止片71よりも後方に離隔している。このため、規制縁部91bと右側第1係止片71とは非接触となっている。こうして、係止縁部91aは、規制縁部91bと右側第1係止片71の間に第2隙間S2を有した状態で、右側第1係止片71及び右側第2係止片72と係合している。
【0089】
この結果、第1防風板63は、バーナ固定部62に取り付けられた状態において、
図6及び
図7に示す第1隙間S1の範囲でバーナ固定部62に対して上下方向に移動することが可能となっている。また、第1防風板63は、後側パネル62cによって後方への移動が規制されつつも、バーナ固定部62に取り付けられた状態において、
図8に示す第2隙間S2の範囲でバーナ固定部62に対して前後方向に移動することが可能となっている。ここで、これらの第1隙間S1及び第2隙間S2の各大きさは、炎検知器68の先端部68bと、挿通孔93との干渉を防止する範囲で設計されている。
【0090】
このため、この乾燥機1では、燃焼装置21において、たとえ燃焼炎99の熱によって第1防風板63が熱膨張しても、第1防風板63はバーナ固定部62に取り付けられた状態で、バーナ固定部62、ひいては炎検知器68に対して第1隙間S1及び第2隙間S2の範囲で上下方向及び前後方向に相対移動することができる。
【0091】
この結果、この燃焼装置21では、熱膨張に起因する挿通孔93と炎検知器68の先端部68bとの干渉が生じ難くなっており、炎孔610と先端部68bとの位置関係を適正に維持することが可能となっている。このため、先端部68bは、燃焼炎99を精度高く検出することが可能となっている。
【0092】
また、この燃焼装置21では、炎検知器68の本体部68aが第2ブラケット66を介してバーナ固定部62に固定されている。この際、この燃焼装置21では、挿通孔93を含め第1防風板63を第1隙間S1及び第2隙間S2の範囲で上下方向及び前後方向に移動させつつ、挿通孔93に対する先端部68bの位置決めを行うことが可能となっている。この結果、この燃焼装置21では、バーナ固定部62に対する第1防風板63の取り付けについて過度に高い精度を要求することなく、挿通孔93と先端部68bとの位置決めを好適に行うことが可能となっている。この点においても、この燃焼装置21では、炎孔610と先端部68bとの位置関係を適正に維持することが可能となっている。
【0093】
また、バーナ固定部62に対する第1防風板63の取り付けに対して過度に高い精度を要求する必要がないことから、燃焼装置21、ひいては、乾燥機1の製造が容易となっている。
【0094】
さらに、このように第1防風板63をバーナ固定部62に対して上下方向及び左右方向へ移動させることができるため、この燃焼装置21では、第2ブラケット66を介してバーナ固定部62に本体部68aを固定するに際して、挿通孔93と先端部68bとが干渉することも好適に防止可能となっている。このため、第2ブラケット66に対する本体部68aの固定も容易となっている。この点においても、乾燥機1の製造が容易となっている。
【0095】
そして、この燃焼装置21では、挿通孔93と先端部68bとの干渉を防止するために、先端部68bの外径に比べて挿通孔93を過度に大径に形成したり、挿通孔93を長孔形状としたりする必要がない。このため、この燃焼装置21では、挿通孔93と先端部68bとの干渉を防止しつつも、挿通孔93に先端部68bが挿通された際の挿通孔93と先端部68bとの隙間を可及的に小さくすることが可能となっている。これにより、この燃焼装置21では、内部空間10内の空気が挿通孔93と先端部68bとの隙間から炎孔610側に流入し難くなっており、この空気によって燃焼炎99に揺らぎが生じることも好適に防止している。この点においても、この燃焼装置21では、先端部68bが燃焼炎99を精度高く検出することが可能となっている。
【0096】
したがって、実施例の乾燥機1は、炎検知器68が燃焼炎99を精度高く検出可能であるとともに、製造コストの低廉化を実現できる。
【0097】
また、この燃焼装置21では、第2防風板64についても第1防風板63と同様にバーナ固定部62に取り付けられる。このため、第2防風板64もバーナ固定部62に取り付けられた状態で、バーナ固定部62に対して第1隙間S1及び第2隙間S2の範囲で上下方向及び前後方向に移動することが可能となっている。これにより、この燃焼装置21では、保持孔94と第1ブラケット65の保持爪65aとの位置決めについても好適に行うことが可能となっている。
【0098】
さらに、これらの第1隙間S1及び第2隙間S2の各大きさは、炎検知器68の先端部68bと、挿通孔93との干渉を防止する範囲で設計されている。このため、この燃焼装置21では、上述の作用効果を奏しつつも、バーナ固定部62に取り付けられた第1防風板63及び第2防風板64には、大きなガタツキが生じ難くなっている。
【0099】
また、炎検知器68の本体部68aは、第2ブラケット66を介してバーナ固定部62に固定されることにより、第1防風板63の第2面902側に位置している。つまり、本体部68aは、第1防風板63を挟んで炎孔610の反対側に位置している。これにより、本体部68aを燃焼炎99から左方に好適に離隔させることができるため、本体部68aは、燃焼炎99によって過度に加熱され難くなっている。
【0100】
以上において、本発明を実施例に即して説明したが、本発明は上記実施例に制限されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更して適用できることはいうまでもない。
【0101】
例えば、実施例1の乾燥機1において、ガス噴射ノズル19の上方に燃焼装置21を配置することにより、燃焼装置21は、第1ガス通路61a及び第2ガス通路61bがガス噴射ノズル19対して上方から臨む姿勢となっていても良い。この場合、ガス噴射ノズル19から第1ガス通路61a及び第2ガス通路61bを経て炎孔610に至った燃料ガスは、乾燥機1の後方から前方に向かって噴射される。このため、燃焼装置21がこのような姿勢であるときには、乾燥機1の前後方向が本発明における「第1方向」に相当し、乾燥機1の上下方向が本発明における「第2方向」に相当することになる。
【0102】
また、実施例1の乾燥機1は、衣類等の洗濯物の洗濯を行うとともに、洗濯が終了した洗濯物の乾燥を行う洗濯乾燥機であっても良い。
【0103】
また、燃焼装置21は、乾燥機1や洗濯乾燥機に限らず、温風ヒータ等の暖房機器に用いられても良い。
【産業上の利用可能性】
【0104】
本発明は、乾燥機の他、暖房機器等に利用可能である。
【符号の説明】
【0105】
1…乾燥機
5…ドラム
21…燃焼装置
61…バーナ
62…バーナ固定部
63…第1防風板(防風部材)
64…第2防風板(防風部材)
68…炎検知器
68a…本体部
68b…先端部
71…右側第1係止片(係合部)
72…右側第2係止片(係合部)
73…左側第1係止片(係合部)
74~77…第1~4係合孔(係合部)
91a…係止縁部(被係合部)
91c…係合突起(被係合部)
92a…第1係合爪(被係合部)
92b…第2係合爪(被係合部)
93…挿通孔
99…燃焼炎
610…炎孔
901…第1面
902…第2面