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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024158223
(43)【公開日】2024-11-08
(54)【発明の名称】浴槽洗浄システム
(51)【国際特許分類】
   A47K 3/00 20060101AFI20241031BHJP
【FI】
A47K3/00 Q
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023073240
(22)【出願日】2023-04-27
(71)【出願人】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001461
【氏名又は名称】弁理士法人きさ特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】山岸 鈴奈
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼田 誠
(72)【発明者】
【氏名】安部 亮輔
(57)【要約】
【課題】浴槽洗浄に使用する水の量を削減することが可能な浴槽洗浄システムを提供することを目的とする。
【解決手段】浴槽洗浄システムは、浴槽に取り付けられ、浴槽内の浴水の吸入と、浴槽への浴水の吐出とを行う浴槽アダプタと、浴槽アダプタによって吸入された浴水が流れる循環回路と、浴槽洗浄運転を実施する制御装置と、を備え、循環回路は、循環回路を流れる浴水を浄化する浄化装置と、浄化された浴水を貯留するリザーブタンクと、浴水を循環回路に流す循環ポンプと、を備え、制御装置は、浴槽洗浄運転において、浴槽アダプタから吸入し、浄化装置で浄化した浴水を、浴槽アダプタから吐出させる第1工程と、浴槽アダプタから吸入し、浄化装置で浄化した浴水をリザーブタンクに貯留し、浴槽アダプタから吸入し、浄化装置で浄化した浴水と、リザーブタンクに貯留された浴水と、を浴槽アダプタから吐出させる第2洗浄工程とを実施する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
浴槽に取り付けられ、前記浴槽内の浴水の吸入と、前記浴槽への前記浴水の吐出とを行う浴槽アダプタと、
前記浴槽アダプタによって吸入された前記浴水が流れる循環回路と、
前記浴槽を洗浄するための浴槽洗浄運転を実施する制御装置と、を備え、
前記循環回路は、
前記循環回路を流れる前記浴水を浄化する浄化装置と、
前記浄化装置で浄化された前記浴水を貯留するリザーブタンクと、
前記浴水を前記循環回路に流す循環ポンプと、を備え、
前記制御装置は、前記浴槽洗浄運転において、第1洗浄工程と、第2洗浄工程とを順に実施し、
前記第1洗浄工程において、
前記浴槽アダプタから吸入し、前記浄化装置で浄化した前記浴水を、前記浴槽アダプタから吐出させ、
前記第2洗浄工程において、
前記浴槽アダプタから吸入し、前記浄化装置で浄化した前記浴水を前記リザーブタンクに貯留し、
前記浴槽アダプタから吸入し、前記浄化装置で浄化した前記浴水と、前記リザーブタンクに貯留された前記浴水と、を前記浴槽アダプタから吐出させる浴槽洗浄システム。
【請求項2】
前記制御装置は、前記第2洗浄工程の後に、前記リザーブタンクに貯留された前記浴水のみを前記浴槽アダプタから吐出する第3洗浄工程を実施する請求項1に記載の浴槽洗浄システム。
【請求項3】
前記リザーブタンクは、前記リザーブタンクに貯留されている前記浴水の量を検知する水量検知装置を備え、
前記制御装置は、前記水量検知装置の検知結果に基づき、前記第3洗浄工程を終了するか否かを判断する請求項2に記載の浴槽洗浄システム。
【請求項4】
前記浴槽内の前記浴水の水位を検知する水位検知装置をさらに備え、
前記制御装置は、前記第2洗浄工程において、前記水位検知装置の検知結果に応じて、前記リザーブタンクへ前記浴水の貯留する工程と、前記浴槽アダプタから前記浴水を吐出する工程とを切り換える請求項1又は2に記載の浴槽洗浄システム。
【請求項5】
前記浴槽アダプタは、
前記浴槽アダプタが設置された前記浴槽の壁面である設置壁面と平行な方向に前記浴水を吐出する第1吐水管と、
前記設置壁面と交差する方向に前記浴水を吐出する第2吐水管と、
前記浴水の吐出先を前記第1吐水管又は前記第2吐水管に切り換える切換装置と、を備え、
前記切換装置は、
前記第1洗浄工程において、前記第1吐水管から前記浴水を吐出させ、
前記第2洗浄工程において、前記第2吐水管から前記浴水を吐出させる請求項1又は2に記載の浴槽洗浄システム。
【請求項6】
前記浴槽アダプタの前記第1吐水管には、伸縮するノズルが設けられており、
前記第2洗浄工程において、前記ノズルは前記浴槽の底面に向かって伸びた状態とされ、前記ノズルから前記浴水が吸入される請求項5に記載の浴槽洗浄システム。
【請求項7】
前記浴槽アダプタは、前記第2吐水管からの前記浴水の吐出方向を調整する調整装置を備え、
前記第2洗浄工程において、前記調整装置は、前記第2吐水管からの前記浴水が、前記設置壁面と交差する複数の方向に吐出されるよう調整する請求項5に記載の浴槽洗浄システム。
【請求項8】
前記循環回路は、微細気泡を発生させ、前記循環回路を流れる前記浴水に前記微細気泡を混入させる気泡発生装置をさらに備える請求項1又は2に記載の浴槽洗浄システム。
【請求項9】
前記浄化装置は、
電解槽と、
前記電解槽に配置された一対の電極と、
前記電極に電圧を印加する電力供給装置と、を備え、
前記電力供給装置は、前記浴水の汚れの量に応じて、前記電極に印加する前記電圧を変更する請求項1又は2に記載の浴槽洗浄システム。
【請求項10】
前記制御装置は、前記浄化装置の汚れを除去する再生運転を実施するものであり、
前記再生運転において、
前記電極に逆電圧が印加され、
前記浄化装置において前記浴槽洗浄運転時とは逆方向に水が流れ、
前記浄化装置からの水が前記浴槽アダプタから吐出される請求項9に記載の浴槽洗浄システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、浴槽を洗浄する浴槽洗浄システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、入浴により人体に付着した皮脂、水垢、又は石鹸カス等の汚れが堆積した浴槽を自動的に洗浄する洗浄システムが知られている。例えば、特許文献1には、汚れを吸着する性質を有する微細気泡を含む水によって汚れが付着した浴槽を洗浄する浴槽洗浄装置が提案されている。特許文献1の浴槽洗浄装置によると、微細気泡を含む水で浴槽を洗浄することで、洗剤を用いることなく浴槽の汚れを取り除くことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2017-42420号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載される従来の浴槽洗浄装置では、浴槽洗浄の際に、入浴のために溜めた浴水を全て排出して、新たにきれいな水を浴槽に溜める必要がある。この場合、浴槽洗浄のために無駄に多くの水を使用してしまうという課題があった。
【0005】
本開示は、上記のような課題を解決するものであり、浴槽洗浄に使用する水の量を削減することが可能な浴槽洗浄システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係る浴槽洗浄システムは、浴槽に取り付けられ、浴槽内の浴水の吸入と、浴槽への浴水の吐出とを行う浴槽アダプタと、浴槽アダプタによって吸入された浴水が流れる循環回路と、浴槽を洗浄するための浴槽洗浄運転を実施する制御装置と、を備え、循環回路は、循環回路を流れる浴水を浄化する浄化装置と、浄化装置で浄化された浴水を貯留するリザーブタンクと、浴水を循環回路に流す循環ポンプと、を備え、制御装置は、浴槽洗浄運転において、第1洗浄工程と、第2洗浄工程とを順に実施し、第1洗浄工程において、浴槽アダプタから吸入し、浄化装置で浄化した浴水を、浴槽アダプタから吐出させ、第2洗浄工程において、浴槽アダプタから吸入し、浄化装置で浄化した浴水をリザーブタンクに貯留し、浴槽アダプタから吸入し、浄化装置で浄化した浴水と、リザーブタンクに貯留された浴水と、を浴槽アダプタから吐出させる。
【発明の効果】
【0007】
本開示における浴槽洗浄システムによれば、浴槽内の浴水、又はリザーブタンクに貯留された浴水を用いて浴槽洗浄を行うことで、浴槽洗浄に使用する水の量を削減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施の形態1に係る浴槽洗浄システムの概略構成図である。
図2】実施の形態1に係る浴槽アダプタの概略構成図である。
図3】実施の形態1に係る浄化装置の断面模式図である。
図4】実施の形態1に係る浄化装置の断面模式図である。
図5】実施の形態1における浴槽洗浄運転の流れを示すフローチャートである。
図6】実施の形態1における第1洗浄工程の流れを示すフローチャートである。
図7】実施の形態1における第1洗浄工程時の浴水の流れを説明する図である。
図8】実施の形態1における第2洗浄工程の流れを示すフローチャートである。
図9】実施の形態1における第2洗浄工程のリザーブタンクに貯留される浴水の流れを説明する図である。
図10】実施の形態1における第2洗浄工程時の浴水の流れを説明する図である。
図11】実施の形態1における第3洗浄工程の流れを示すフローチャートである。
図12】実施の形態1における第3洗浄工程時の浴水の流れを説明する図である。
図13】実施の形態2に係る浴槽洗浄システムの概略構成図である。
図14】実施の形態3に係る浴槽洗浄システムの概略構成図である。
図15】実施の形態3における再生運転の流れを示すフローチャートである。
図16】実施の形態3における再生運転時の水の流れを説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面に基づいて実施の形態について説明する。なお、各図において、同一の符号を付したものは、同一の又はこれに相当するものであり、これは明細書の全文において共通している。また、以下の図面では各構成部材の大きさの関係が実際のものとは異なる場合がある。
【0010】
実施の形態1.
(浴槽洗浄システムの構成)
図1は、実施の形態1に係る浴槽洗浄システム100の概略構成図である。本実施の形態の浴槽洗浄システム100は、浴槽200内に設置された浴槽アダプタ1と、浴槽200外に設置された循環回路2と、浴槽200内の浴水の水位を検知する水位検知装置7と、制御装置8と、リモートコントローラ9と、を備える。
【0011】
浴槽アダプタ1は、直方体形状の浴槽200の短手側の壁面に設置されている。以降の説明において、浴槽アダプタ1が設置される浴槽200の壁面を「設置壁面200a」という。浴槽アダプタ1は、循環回路2の浴槽往き配管21及び浴槽戻り配管22と接続され、浴槽往き配管21から供給される水を浴槽200内に吐出するとともに、浴槽200の浴水を吸入して浴槽戻り配管22に供給する。
【0012】
図2は、実施の形態1に係る浴槽アダプタ1の概略構成図である。図2に示すように、浴槽アダプタ1は、設置壁面200aと平行な方向に水を吐出する第1吐水管11と、設置壁面200aと交差する方向に水を吐出する第2吐水管12と、水の吐出先を第1吐水管11又は第2吐水管12に切り換える切換装置13と、を有する。なお、図2では、浴槽アダプタ1の上面及び下面に吐出口をそれぞれ有する2つの第1吐水管11が示されているが、これらに加えて浴槽アダプタ1の側面に吐出口を有する複数の第1吐水管11が設けられてもよい。また、図2では、浴槽アダプタ1の正面(設置壁面200aと平行な面)に吐出口を有する1つの第2吐水管12が示されているが、これに加えて浴槽アダプタ1の正面に吐出口を有する複数の第2吐水管12が設けられてもよい。
【0013】
切換装置13は、第1吐水管11及び第2吐水管12における浴槽200への水の吐出と、浴槽200の浴水の吸入とを切り換える。具体的には、切換装置13は、第1吐水管11から水を吐出する場合は、第1吐水管11と浴槽往き配管21とを連通させ、第1吐水管11から浴水を吸入する場合は、第1吐水管11と浴槽戻り配管22とを連通させる。同様に、切換装置13は、第2吐水管12から水を吐出する場合は、第2吐水管12と浴槽往き配管21とを連通させ、第2吐水管12から浴水を吸入する場合は、第2吐水管12と浴槽戻り配管22とを連通させる。切換装置13は、制御装置8によって制御される。
【0014】
また、浴槽アダプタ1の下面に吐出口を有する第1吐水管11には、ノズル14が設けられている。ノズル14は、モータ等の駆動部を有し、自動で上下方向に伸縮する。ノズル14は、収縮状態の場合、図2に示すように浴槽アダプタ1の内部に収納される。また、ノズル14は、伸長状態の場合、浴槽200の底面に向かって伸びる。ノズル14は、伸長状態において、浴槽200の底面の近くまでは達するが、浴槽200の底面には接触することのない長さとされる。一般的に、浴槽アダプタ1は、浴槽200の底面から40cm~45cmの位置に取り付けられているため、伸長状態におけるノズル14の長さは、例えば約37cmとする。ノズル14の伸縮は、制御装置8によって制御される。
【0015】
また、浴槽アダプタ1は、第2吐水管12からの水の吐出方向を調整する調整装置15を有している。調整装置15は、第2吐水管12の軸を基準とした上下方向及び左右方向の角度を変えることで、第2吐水管12からの水の吐出方向を調整する。調整装置15は、制御装置8によって制御される。
【0016】
図1に戻って、浴槽アダプタ1の近傍には、浴槽200の底面に形成された排水口201が設けられている。排水口201には、排水栓202が設けられている。浴槽200に水を溜める場合、排水栓202によって排水口201が閉塞され、浴槽200の水を排出する場合、排水栓202が移動されて排水口201が開放される。排水栓202は、図示しない駆動機構を有し、上下方向に移動することで、排水口201を自動的に開放及び閉塞する。排水栓202の移動は、制御装置8によって制御される。
【0017】
循環回路2は、後述する浴槽洗浄運転時において、浴槽200の浴水が循環する回路である。循環回路2は、浄化装置3と、リザーブタンク4と、タンクポンプ40と、循環ポンプ5と、気泡発生装置6と、第1三方弁23、第2三方弁24及び第3三方弁25と、を備える。循環回路2の各装置は、浴槽往き配管21、浴槽戻り配管22、タンク流入管41及びタンク流出管42によって接続されている。
【0018】
循環回路2は、第1三方弁23を介して給湯装置300に接続されている。給湯装置300は、給水端から供給される水を加熱して、お湯を生成し、生成したお湯を循環回路2に供給する。給湯装置300は、例えば水を加熱するヒートポンプユニットと、ヒートポンプユニットで加熱されたお湯を貯留する貯湯タンクとを備えたヒートポンプ式の給湯機である。なお、給湯装置300の種類はヒートポンプ式に限定されるものではなく、電熱ヒータによって貯湯タンクの水を加熱する電熱ヒータ式の給湯機などであってもよい。
【0019】
第1三方弁23は、給湯装置300で生成された湯水を浴槽往き配管21に流す流路と、浴槽戻り配管22を流れる浴水を浴槽往き配管21に流す流路とを切り換える。第1三方弁23は、制御装置8によって制御される。
【0020】
浄化装置3は、浴槽戻り配管22に設けられ、浴槽200の浴水に含まれる汚れを除去し、浴水を浄化する。浄化装置3を浴槽戻り配管22の最も上流に配置することで、循環回路2に流入した浴水の汚れを最初に除去することができ、循環回路2内に汚れが付着することを抑制できる。図3及び図4は、実施の形態1に係る浄化装置3の断面模式図である。図3は、浄化装置3を浴水が流れる方向と垂直な面で切断した場合の断面模式図であり、図4は、浄化装置3を浴水が流れる方向と平行な面で切断した場合の断面模式図である。図4の白抜き矢印は、浄化装置3を通過する水の流れを示している。
【0021】
図3及び図4に示すように、浄化装置3は、電解槽31と、電解槽31内に設置される一対の電極32と、電解槽31の外に設置される電力供給装置33とを備える。一対の電極32は、電圧が印加されることでプラスに帯電するプラス電極32aと、マイナスに帯電するマイナス電極32bと、からなる。プラス電極32a及びマイナス電極32bは、くし型形状を有し、歯の部分が上下方向に交互に並ぶよう配置される。浄化装置3の浄化力を保つため、例えば5kVの電圧が印加される場合、プラス電極32aとマイナス電極32bの上下方向の間隔は10mm程度であることが望ましい。
【0022】
電力供給装置33は、導線34を介して電極32に接続されている。電力供給装置33は、制御装置8からの制御信号に基づいて電極32に電圧を印加する。
【0023】
なお、浴槽洗浄運転中に、浴槽アダプタ1から吐出する水の流量は、洗浄に適した水圧を保つために3.0L/min以上であることが望ましい。一方で、浄化装置3においては、水の流量が小さい方が静電気力の影響が大きくなり、浄化効果を発揮することができる。そこで、浄化装置3の電解槽31の水が流れる方向と垂直な断面の断面積は、循環回路2の浴槽戻り配管22の断面積よりも大きくなっている。電解槽31を通過する水の流速Q31は、浴槽戻り配管22を流れる水の流速をQ22、電解槽31の断面積をA31、浴槽戻り配管22の配管断面積をA22とした場合、下記の式(1)から求められる。
31=Q22×A22/A31 ・・・(1)
【0024】
図1に戻って、リザーブタンク4は、浄化装置3で浄化された浴水を貯留するタンクである。リザーブタンク4の容量は、最大で浴槽200に溜められた浴水を全て貯留できる容量であればよい。リザーブタンク4は、タンク流入管41及びタンク流出管42を介して浴槽戻り配管22に接続されている。タンク流入管41及びタンク流出管42と、浴槽戻り配管22との間には、第2三方弁24及び第3三方弁25が設けられている。第2三方弁24は、浄化装置3から流出した浴水をリザーブタンク4に流す流路と、浄化装置3から流出した浴水を第3三方弁25へ流す流路とを切り換える。第3三方弁25は、第2三方弁24から流出した浴水を第1三方弁23へ流す流路と、リザーブタンク4に貯留された水を第1三方弁23へ流す流路とを切り換える。第2三方弁24及び第3三方弁25は、制御装置8によって制御される。
【0025】
タンク流入管41には、浄化装置3から流出した浴水をリザーブタンク4に貯留するためのタンクポンプ40が設けられている。タンクポンプ40は、図示しないインバータ回路を備え、制御装置8からの制御信号に従って駆動される。また、リザーブタンク4の内部には、リザーブタンク4内の水の量を検知する水量検知装置43が設けられている。水量検知装置43は、静電容量式、圧力式、光学式又は超音波式などの水位センサである。水量検知装置43の検知結果は、有線又は無線通信により、制御装置8に送信される。
【0026】
循環ポンプ5は、浴槽往き配管21において、第1三方弁23と、気泡発生装置6との間に配置される。循環ポンプ5は、図示しないインバータ回路を備え、制御装置8からの制御信号に従って駆動される。循環ポンプ5が駆動されると、循環回路2において水流が発生される。
【0027】
気泡発生装置6は、浴槽往き配管21に設けられている。気泡発生装置6は、図示しない気体供給部に接続されており、マイクロバブルと呼ばれる微細気泡を発生させ、浴槽往き配管21を流れる水に混入させる。気泡発生装置6による気泡の発生は、制御装置8によって制御される。
【0028】
水位検知装置7は、浴槽200の下部に設けられ、浴槽200内の浴水の水位を検知する。水位検知装置7は、例えば圧力式の水位センサである。水位検知装置7によって検知された浴水の水位は、有線又は無線通信により、制御装置8に送信される。なお、水位検知装置7は、圧力式の水位センサに限定されるものではない。例えば、浴槽200の上部に光学式の水位センサからなる水位検知装置7を設け、浴水の反射光から水位を検知してもよい。又は、静電容量式の水位検知装置7を浴槽200の上下方向に複数配置して、浴水の水位を検知してもよい。
【0029】
制御装置8は、例えばCPUなどのプロセッサと、プロセッサで実行されるソフトウェア及び各種機器からの信号に含まれる命令又はデータを記憶するメモリとにより構成される。なお、制御装置8は、その機能を実現する回路デバイスのようなハードウェアにより構成されてもよい。制御装置8は、給湯装置300に内蔵されてもよいし、給湯装置300とは別の場所に設けられてもよい。制御装置8は、リモートコントローラ9を介して入力されるユーザからの指示及び浴槽洗浄システム100の各検知装置の検知結果に基づいて、浴槽洗浄システム100の各装置を制御し、浴槽洗浄運転を実施する。
【0030】
リモートコントローラ9は、浴槽200が設けられた浴室の壁又は居室などに取り付けられている。リモートコントローラ9は、浴槽洗浄システム100の運転状態等を表示する表示部と、浴槽洗浄システム100に対するユーザの指示の入力を受け付ける操作部とを備える。本実施の形態では、リモートコントローラ9を介して、給湯運転の開始及び停止、浴槽洗浄運転の開始及び停止などの指示が入力される。
【0031】
(浴槽洗浄システムの動作)
続いて、浴槽洗浄システム100の動作について説明する。まず、入浴のための給湯運転時には、制御装置8は、給湯装置300の湯水が浴槽往き配管21に供給されるよう第1三方弁23を切り換える。また、制御装置8は、浴槽アダプタ1の第1吐水管11及び第2吐水管12の両方から湯水が吐出されるように切換装置13を制御し、循環ポンプ5を駆動する。これにより、給湯装置300からの湯水が、第1三方弁23及び浴槽往き配管21を通って浴槽アダプタ1から浴槽200内に供給される。そして、入浴の終了後、浴槽洗浄システム100による浴槽洗浄運転が実施される。
【0032】
図5は、実施の形態1における浴槽洗浄運転の流れを示すフローチャートである。図5のフローチャートは、制御装置8によって実施される。まず、浴槽洗浄システム100による浴槽洗浄運転を開始するか否かが判断される(S1)。制御装置8は、ユーザによりリモートコントローラ9を介して浴槽洗浄運転の開始が指示された場合、浴槽洗浄運転を開始すると判断する。もしくは、制御装置8は、入浴の終了後の経過時間に応じて浴槽洗浄運転を開始するか否かを判断してもよい。
【0033】
浴槽洗浄運転は、入浴後できるだけ早く実施されることが望ましい。これは、浴槽200内の浴水の温度が高いほど、汚れの原因の一つである皮脂が溶けやすくなり、洗浄効果が高まるためである。そこで、リモートコントローラ9を介して予め入浴の利用人数を設定し、制御装置8にて全員の入浴が終了したと判断した場合に、浴槽洗浄運転を開始してもよい。具体的には、人が入浴することにより浴槽200内の浴水の水位が上がり、入浴を済ませたことで水位が下がる。そこで、制御装置8は、水位検知装置7によって検知された水位から入浴の開始と入浴の終了とを判断し、この一連の動作が予め設定された人数分繰り返された場合に、全員の入浴が終了したと判断してもよい。その結果、浴槽200内の浴水が冷める前に浴槽洗浄運転を開始することができ、洗浄効果を高めることができる。
【0034】
浴槽洗浄運転を開始しない場合は(S1:NO)、そのまま待機する。浴槽洗浄運転を開始する場合(S1:YES)、制御装置8は、第1洗浄工程(S2)と、第2洗浄工程(S3)と、第3洗浄工程(S4)と、の3つの洗浄工程を順に実施する。
【0035】
まず、最初に第1洗浄工程が実施される(S2)。図6は、実施の形態1における第1洗浄工程の流れを示すフローチャートである。図6に示すように、第1洗浄工程において、制御装置8は、第1三方弁23、第2三方弁24及び第3三方弁25を切り換える(S21)。具体的には、制御装置8は、浴槽戻り配管22を流れる水が浴槽往き配管21に供給されるよう第1三方弁23を切り換える。また、制御装置8は、浄化装置3から流出した水が第3三方弁25へ流れるよう第2三方弁24を切り換え、第2三方弁24から流出した水が第1三方弁23へ流れるよう第3三方弁25を切り換える。
【0036】
そして、制御装置8は、浴槽アダプタ1の吐出先及び吸入先を切り換える(S22)。具体的には、制御装置8は、第1吐水管11から水が吐出され、第2吐水管12から水が吸入されるように、切換装置13を制御する。そして、制御装置8は、浄化装置3を起動する(S23)。具体的には、制御装置8は、電力供給装置33に制御信号を送信し、電力供給装置33によって電極32に電圧が印加される。これにより、プラス電極32aとマイナス電極32bとの間に電界が形成される。続いて、制御装置8は、気泡発生装置6を起動する(S24)。これにより、気泡発生装置6において微細気泡が発生される。そして、制御装置8は、循環ポンプ5を起動する(S25)。
【0037】
図7は、実施の形態1における第1洗浄工程時の浴水の流れを説明する図である。図7の矢印は、第1洗浄工程における浴水の流れを示している。循環ポンプ5が起動されると、浴槽200内の浴水が、第2吐水管12から吸入され、浴槽戻り配管22を通って浄化装置3に流入する。浄化装置3において、浴水に含まれるマイナスに帯電した汚れはプラス電極32aに吸着し、プラスに帯電した汚れはマイナス電極32bに吸着する。このように、浴水中の極性を持った汚れが電極32に吸着されることで、浴水から汚れを除去することができる。
【0038】
浄化装置3で浄化された浴水は、第2三方弁24、第3三方弁25、第1三方弁23、及び循環ポンプ5を通って、気泡発生装置6に流入する。そして、気泡発生装置6において、微細気泡が混入された浴水は、浴槽往き配管21を通って、浴槽アダプタ1の第1吐水管11から吐出される。このとき、第1吐水管11から浴水を吐出することにより、設置壁面200aと平行な上下左右方向に浴水が吐出されるため、浴槽200の設置壁面200a及び設置壁面200aの近傍の壁面を洗浄することができる。このとき、浴槽200の洗浄によって汚れを含んだ浴水は、浴槽アダプタ1から循環回路2に再度取り込まれ、浄化装置3を通過することで汚れが除去される。そのため、浴水を繰り返し何度も洗浄に使うことが可能である。
【0039】
図6に戻って、制御装置8は、第1洗浄工程を終了するか否かを判断する(S26)。制御装置8は、第1洗浄工程を開始してから、予め設定された第1時間が経過した場合、第1洗浄工程を終了すると判断する。第1洗浄工程を終了しない場合は(S26:NO)、第1洗浄工程を継続する。第1洗浄工程を終了する場合(S26:YES)、制御装置8は、循環ポンプ5を停止し(S27)、第1洗浄工程を終了する。これにより、浴槽アダプタ1の第1吐水管11からの浴水の吐出が停止される。
【0040】
なお、第1洗浄工程の開始時に、給湯装置300から予め設定された量の湯水を浴槽200に供給してもよい。これにより、浴槽200内の浴水の水位を喫水線より上にすることができる。この状態で第1洗浄工程を実施することで、喫水線に蓄積した汚れを除去できるため、洗浄効果をより高めることができる。
【0041】
第1洗浄工程の終了後、第2洗浄工程が実施される(S3)。図8は、実施の形態1における第2洗浄工程の流れを示すフローチャートである。図8に示すように、第2洗浄工程において、制御装置8は、第2三方弁24を切り換える(S31)。具体的には、制御装置8は、浄化装置3から流出した水がリザーブタンク4に流入するよう第2三方弁24を切り換える。
【0042】
また、制御装置8は、第1吐水管11のノズル14を浴槽200の底面に向かって伸ばす(S32)。そして、制御装置8は、浴槽アダプタ1の吐出先及び吸入先を切り換える(S33)。具体的には、制御装置8は、第2吐水管12から浴水が吐出され、第1吐水管11から浴水が吸入されるように、切換装置13を制御する。続いて、制御装置8は、タンクポンプ40を起動する(S34)。これにより、リザーブタンク4に浴水が貯留される。
【0043】
図9は、実施の形態1における第2洗浄工程のリザーブタンク4に貯留される浴水の流れを説明する図である。タンクポンプ40が起動されると、浴槽200内の浴水がノズル14から吸入され、浴槽戻り配管22を通って浄化装置3に流入する。このとき、図9に示すように、ノズル14は、浴槽アダプタ1から下方に延びているため、浴槽200内の水位が低い場合にも、浴水を吸入することができる。
【0044】
浄化装置3に流入した浴水は、電極32によって汚れが除去され、浄化される。浄化装置3で浄化された浴水は、第2三方弁24からタンク流入管41及びタンクポンプ40を通って、リザーブタンク4に流入する。リザーブタンク4のタンク流出管42は、第3三方弁25によって浴槽戻り配管22と連通されていないため、リザーブタンク4に浴水が貯留される。浴水は浄化装置3を通過した後に、リザーブタンク4に流入するため、リザーブタンク4には常に浄化された浴水を溜めることができる。
【0045】
図8に戻って、制御装置8は、リザーブタンク4への浴水の貯留を終了するか否かを判断する(S35)。ここでは、制御装置8は、水位検知装置7の検知結果に応じて、リザーブタンク4への浴水の貯留を終了するか否かを判断する。具体的には、水位検知装置7により検知された水位が、浴槽200の底面より約10cm上の位置となった場合、制御装置8は、リザーブタンク4への浴水の貯留を終了すると判断する。リザーブタンク4への浴水の貯留を終了しない場合(S35:NO)、リザーブタンク4への浴水の貯留を継続する。
【0046】
リザーブタンク4への浴水の貯留を終了する場合(S35:YES)、制御装置8は、タンクポンプ40を停止する(S36)。そして、制御装置8は、第2三方弁24及び第3三方弁25を切り換える(S37)。具体的には、制御装置8は、浄化装置3から流出した水が第3三方弁25へ流れるように第2三方弁24を切り換え、リザーブタンク4から流出した水と、第2三方弁24から流出した水の両方が浴槽戻り配管22を流れるよう第3三方弁25を切り換える。
【0047】
続いて、制御装置8は、循環ポンプ5を起動する(S38)。図10は、実施の形態1における第2洗浄工程時の浴水の流れを説明する図である。図10の矢印は、第2洗浄工程における浴水の流れを示している。循環ポンプ5が起動されると、浴槽200内の浴水が、第1吐水管11のノズル14から吸入され、浴槽戻り配管22を通って浄化装置3に流入する。浄化装置3に流入した浴水は、汚れが除去され浄化される。
【0048】
浄化装置3で浄化された浴水は、第2三方弁24、第3三方弁25、第1三方弁23、及び循環ポンプ5を通って、気泡発生装置6に流れる。また、リザーブタンク4に貯留された浴水も、タンク流出管42、第3三方弁25、第1三方弁23、及び循環ポンプ5を通って、気泡発生装置6に流れる。そして、気泡発生装置6において、微細気泡が混入された浴水は、浴槽往き配管21を通って、浴槽アダプタ1の第2吐水管12から吐出される。
【0049】
このように、第2洗浄工程では、リザーブタンク4に浴水を貯留して浴槽200内の水位を下げた後に、第2吐水管12から水を吐出することで、浴槽200の設置壁面200aと対向する壁面に水を直接当てて洗浄することができる。このとき、制御装置8によって調整装置15を制御し、第2吐水管12の角度を調整することで、第2吐水管12から吐出される水の方向を上下左右方向に変更することができる。これにより、設置壁面200aと交差する複数の方向に第2吐水管12から浴水が吐出され、浴槽200の側壁面についても洗浄することができる。
【0050】
また、浴槽200の洗浄力を高めるためには、吐出される水の流量が3.0L/min以上であることが望ましい。ただし、第2洗浄工程においては、ノズル14から浴水を吸入しているため、浴槽200から浴槽戻り配管22に取り込まれる水の流量が3.0L/min未満となる場合がある。そこで、第2洗浄工程では、浴槽アダプタ1から取り込まれた浴水に加え、リザーブタンク4に貯留された浴水を利用することで、洗浄に適した吐出水量を確保することができる。これにより、浴槽200の設置壁面200a以外の壁面の洗浄力を高めることができる。
【0051】
なお、浴槽往き配管21に水の流量を検知する流量検知装置を設け、吐出される浴水の流量が3.0L/min未満である場合にのみ、リザーブタンク4からの水を用いてもよい。この場合、制御装置8は、流量検知装置の検知結果に応じて、第3三方弁25を制御する。
【0052】
図8に戻って、制御装置8は、第2洗浄工程を終了するか否かを判断する(S39)。制御装置8は、第2洗浄工程を開始してから、予め設定された第2時間が経過した場合、第2洗浄工程を終了すると判断する。第2洗浄工程を終了しない場合(S39:NO)、制御装置8は、浴槽200内の浴水の水位が閾値以上であるか否かを判断する(S40)。浴槽200内の浴水の水位は、水位検知装置7によって検知される。また、閾値は、例えば浴槽200の高さの1/2であり、予め設定され制御装置8のメモリに記憶されている。
【0053】
浴槽200内の浴水の水位が閾値未満である場合(S40:NO)、浴槽アダプタ1の第2吐水管12からの水の吐出による洗浄が継続される。一方、浴槽200内の浴水の水位が閾値以上である場合(S40:YES)、制御装置8は、循環ポンプ5を停止し(S41)、第2三方弁24及び第3三方弁25を切り換える(S42)。ここでは、制御装置8は、浄化装置3から流出した水がリザーブタンク4へ流れるように第2三方弁24を切り換え、リザーブタンク4から流出した水が浴槽戻り配管22に流れないように第3三方弁25を切り換える。そして、制御装置8は、ステップS33に戻ってタンクポンプ40を起動し、以降の処理を繰り返す。
【0054】
第2洗浄工程では、洗浄のために吐出される浴水の量が、ノズル14から取込まれる浴水の量を上回るため、浴槽200内の浴水の水位は第2洗浄工程の時間の経過とともに上昇する。浴水の水位が上昇すると、洗浄可能な浴槽200の壁面の範囲が小さくなってしまう。そのため、第2洗浄工程では、浴槽200内の水位に応じてリザーブタンク4の浴水を洗浄に利用する工程と、リザーブタンク4に浴水を貯留する工程とを、交互に切り換えて繰り返す。これにより、洗浄のための吐出水量を確保しながら、浴槽200の壁面全体を洗浄することができる。
【0055】
そして、第2洗浄工程を終了する場合(S39:YES)、制御装置8は、循環ポンプ5を停止し(S43)、ノズル14を収縮させ、浴槽アダプタ1内に収納する(S44)。これにより、浴槽アダプタ1の第2吐水管12からの浴水の吐出が停止され、第2洗浄工程が終了する。
【0056】
第2洗浄工程の終了後、第3洗浄工程が実施される(S4)。図11は、実施の形態1における第3洗浄工程の流れを示すフローチャートである。図11に示すように、第3洗浄工程において、まず、制御装置8は、浴槽200内の浴水を排水口201から排出する(S51)。ここでは、制御装置8は、排水口201に設けられた排水栓202を移動させることで、排水口201を開放し、浴槽200内の浴水を自動的に排出する。このとき、浴槽200内の浴水を完全に排出するため、予め設定された時間(例えば3分間)待機する。なお、第3洗浄工程の実施の際に、ユーザが手動で排水栓202を移動させてもよい。
【0057】
次に、制御装置8は、リザーブタンク4から流出した水が浴槽戻り配管22を流れるよう第3三方弁25を切り換える(S52)。そして、制御装置8は、循環ポンプ5を起動する(S53)。図12は、実施の形態1における第3洗浄工程時の浴水の流れを説明する図である。図12に示す矢印は、第3洗浄工程における浴水の流れを示している。循環ポンプ5が起動されると、リザーブタンク4に貯留された浴水が、タンク流出管42、第3三方弁25、第1三方弁23、及び循環ポンプ5を通って、気泡発生装置6に流れる。そして、気泡発生装置6において、微細気泡が混入された浴水は、浴槽往き配管21を通って、浴槽アダプタ1の第2吐水管12から吐出される。すなわち、第3洗浄工程においては、浴槽200内には浴水がない状態であるため、洗浄にはリザーブタンク4に貯留された浴水のみが用いられる。
【0058】
このとき、制御装置8によって調整装置15を制御し、第2吐水管12の角度を調整することで、第2吐水管12から吐出される水の方向を上下左右方向に変更することができる。第3洗浄工程における第2吐水管12の角度は、浴水の吐出方向が第2洗浄工程時の吐出方向よりも低い位置となるよう設定される。これにより、浴槽200の壁面の下部及び底面を洗浄することができる。
【0059】
制御装置8は、第3洗浄工程を終了するか否かを判断する(S54)。ここでは、制御装置8は、リザーブタンク4に設けられた水量検知装置43の検知結果に基づき、第3洗浄工程を終了するか否かを判断する。具体的には、水量検知装置43によって検知された水量が下限値(例えば0)以下となった場合、制御装置8は、第3洗浄工程を終了すると判断する。なお、制御装置8は、第3洗浄工程を開始してから、予め設定された第3時間が経過した場合、第3洗浄工程を終了すると判断してもよい。この場合は、リザーブタンク4の水量検知装置43を省略することができる。
【0060】
第3洗浄工程を終了しない場合(S54:NO)、第3洗浄工程が継続される。第3洗浄工程を終了する場合(S54:YES)、制御装置8は、循環ポンプ5を停止する(S55)。これにより、浴槽アダプタ1の第2吐水管12からの浴水の吐出が停止される。そして、制御装置8は、浄化装置3を停止し(S56)、気泡発生装置6を停止する(S57)。これにより、第3洗浄工程が終了し、浴槽洗浄システム100による浴槽洗浄運転が終了する。
【0061】
以上のように、本実施の形態の浴槽洗浄システム100では、入浴後の浴水を利用して浴槽200を洗浄することで、洗浄の際に利用する水の量を削減することができる。また、第2洗浄工程において、リザーブタンク4に浴水を溜めて洗浄に利用することで、浴槽200内の水位を下げて壁面の下部を洗浄する際も、浴水を排出する必要がなく、無駄なく浴水を利用できる。そのため、水の利用量を抑えながら、浴槽200の壁面全体を洗浄することができる。
【0062】
実施の形態2.
実施の形態2について説明する。実施の形態2の浴槽洗浄システム100Aは、循環回路2Aが汚れ検知装置26を備える点において実施の形態1と相違する。実施の形態2における浴槽洗浄システム100Aのその他の構成は実施の形態1と同じである。以下、実施の形態1と構成の異なる点について説明し、実施の形態1と同様の構成については説明を省略する。
【0063】
図13は、実施の形態2に係る浴槽洗浄システム100Aの概略構成図である。図13に示すように、本実施の形態の循環回路2Aは、浴槽戻り配管22に流入した浴水の汚れの量を検知する汚れ検知装置26を備えている。汚れ検知装置26は、浴槽戻り配管22において浴槽アダプタ1と浄化装置3との間に設けられている。汚れ検知装置26は、例えば光の透過又は反射を検知する光学的センサ、又は浴水の導電率などの電気的物性量を検知する電気的センサである。汚れ検知装置26の検知結果は、有線又は無線通信により、制御装置8に送信される。
【0064】
次に、本実施の形態の浴槽洗浄システム100Aの動作について説明する。本実施の浴槽洗浄システム100Aによる浴槽洗浄運転の流れは、実施の形態1と同じである。ただし、本実施の形態において、制御装置8は、浄化装置3の起動中、汚れ検知装置26の検知結果に応じて、電極32に印加される電圧を制御する。
【0065】
具体的には、制御装置8は、汚れ検知装置26の検知結果から浴水の汚れの量又は大きさを判断し、浴水の汚れの量が基準値より多い場合又は汚れが基準値より大きい場合は、電極32に印加する電圧を基準値よりも大きくするよう、電力供給装置33を制御する。基準値は、平均的な汚れの量又は大きさと、当該汚れに対応する電圧値であり、予め実験等により求められる。また、制御装置8は、浴水の汚れの量が基準値より少ない場合は、電極32に印加する電圧を基準値よりも小さくするよう、電力供給装置33を制御する。又は、制御装置8は、浴水の汚れの量が予め設定された下限値よりも少ない場合は、浄化装置3を停止してもよい。
【0066】
もしくは、制御装置8は、浴水内の汚れ量又は汚れの大きさに応じて、汚れの除去に必要な電圧の大きさを計算し、計算した電圧が電極32に印加されるよう電力供給装置33を制御してもよい。
【0067】
以上のように、本実施の形態の浴槽洗浄システム100Aでは、浴水の汚れに応じて浄化装置3の電極32に印加される電圧を制御することで、効率よく浄化装置3を起動することができる。これにより、実施の形態1に比べて浄化装置3の消費電力を削減することができる。
【0068】
実施の形態3.
実施の形態3について説明する。実施の形態3の浴槽洗浄システム100Bは、浄化装置3Aの再生運転を行う点において実施の形態1と相違する。実施の形態3に係る浴槽洗浄システム100Bのその他の構成は実施の形態1と同じである。以下、実施の形態1と構成の異なる点について説明し、実施の形態1と同様の構成については説明を省略する。
【0069】
図14は、実施の形態3に係る浴槽洗浄システム100Bの概略構成図である。図14に示すように、本実施の形態の循環回路2Bは、浴槽往き配管21と浴槽戻り配管22とを接続するバイパス配管27と、バイパス配管27と浴槽往き配管21とを接続する第4三方弁28と、を備えている。第4三方弁28は、気泡発生装置6から流出した水を浴槽アダプタ1に流す流路と、浄化装置3Aへ流す流路とを切り換える。
【0070】
また、本実施の形態の浄化装置3Aは、電極32の汚れを検知する汚れ検知装置35を備えている。汚れ検知装置35は、例えば電極32からの光の反射を検知する光学的センサ、又は電極32の導電率を測定する電気的センサなどである。汚れ検知装置35の検知結果は、有線又は無線通信により、制御装置8に送信される。
【0071】
さらに、本実施の形態の浴槽洗浄システム100Bは、浄化装置3Aに汚れが蓄積されたことをユーザに報知するための報知装置90を備えている。報知装置90は、例えばランプであり、制御装置8が、汚れ検知装置35の検知結果に基づいて電極32に汚れが蓄積されていると判断した場合に、点灯される。なお、リモートコントローラ9を用いて、浄化装置3Aに汚れが蓄積されたことをユーザに報知してもよい。この場合は、報知装置90を省略することができる。
【0072】
次に、本実施の形態の浴槽洗浄システム100Bの動作について説明する。本実施の形態の浴槽洗浄システム100Bによる浴槽洗浄運転の流れは、実施の形態1と同じである。また、本実施の形態の制御装置8は、浴槽洗浄運転の終了後、浄化装置3Aを再生する再生運転を実施する。
【0073】
図15は、実施の形態3における再生運転の流れを示すフローチャートである。まず、制御装置8は、汚れ検知装置35の検知結果に基づいて浄化装置3Aの電極32が汚れているか否かを判断する(S61)。ここでは、制御装置8は、汚れ検知装置35によって検知された汚れの量が予め設定された閾値以上である場合に、電極32が汚れていると判断する。そして、電極32が汚れていると判断された場合(S61:YES)、制御装置8は、報知装置90を点灯し、ユーザに浄化装置3Aの電極32が汚れていることを報知する(S62)。
【0074】
そして、制御装置8は、再生運転を開始するか否かを判断する(S63)。ここでは、ユーザによってリモートコントローラ9を介して、再生運転の開始が指示された場合に、制御装置8は再生運転を開始すると判断する。再生運転を開始しない場合(S63:NO)、再生運転の開始が指示されるまで待機する。
【0075】
一方、再生運転を開始する場合(S63:YES)、制御装置8は、第1三方弁23、第2三方弁24及び第4三方弁28を切り換える(S64)。具体的には、制御装置8は、給湯装置300からの湯水が浴槽往き配管21に供給されるよう第1三方弁23を切り換える。また、制御装置8は、浄化装置3Aから流出した水がリザーブタンク4及び第3三方弁25の何れにも流れないように第2三方弁24を切り換え、気泡発生装置6から流出した水がバイパス配管27へ流れるよう第4三方弁28を切り換える。
【0076】
そして、制御装置8は、気泡発生装置6を起動し(S65)、循環ポンプ5を起動する(S66)。そして、制御装置8は、浄化装置3Aを起動する(S67)。ここでは、制御装置8は、10kVの電圧が浴槽洗浄運転時と逆方向に電極32に印加されるよう、電力供給装置33を制御する。これにより、プラス電極32aはマイナスに帯電し、マイナス電極32bはプラスに帯電する。プラス電極32aにはマイナスに帯電した汚れが蓄積し、マイナス電極32bにはプラスに帯電した汚れが蓄積しているため、逆電圧を印加することにより、蓄積した汚れが各電極から離脱して浮遊する。
【0077】
その後、制御装置8は、電極32への電圧の印加を停止し、浄化装置3Aを停止する(S68)。ここで、電極32に逆電圧を印加する時間が長い場合、又は電極32への逆電圧の印加を停止している時間が短い場合、電極32から離れた汚れが再び電極32に付着してしまう恐れがある。そのため、例えば5秒~10秒ごとに浄化装置3Aの逆電圧での起動と、浄化装置3Aの停止とを繰り返す。
【0078】
図16は、実施の形態3における再生運転時の水の流れを説明する図である。図16に示すように、再生運転時では、給湯装置300から供給された湯水が第1三方弁23、及び循環ポンプ5を通って気泡発生装置6に流れる。そして、気泡発生装置6において微細気泡が発生され、湯水に混入される。微細気泡を含む湯水は、第4三方弁28及びバイパス配管27を通って浄化装置3Aに流入する。そして、浄化装置3Aに流入した湯水は、電極32から離れて浮遊する汚れを流し、浴槽戻り配管22を逆流して浴槽アダプタ1から吐出される。浴槽200内に吐出された汚れを含む湯水は、浴槽200の排水口201から排出される。
【0079】
図15に戻って、制御装置8は、再生運転を終了するか否かを判断する(S69)。ここでは、制御装置8は、汚れ検知装置35の検知結果に基づき、汚れの量が予め設定された閾値以下となった場合に、再生運転を終了すると判断する。又は、制御装置8は、再生運転を開始してから予め設定された第4時間が経過した場合に再生運転を終了すると判断してもよい。再生運転を終了しない場合(S69:NO)、制御装置8は、ステップS67に戻り、浄化装置3Aの逆電圧での起動と、停止とを繰り返す。これにより、電極32に蓄積した汚れを取り除き、浄化装置3Aから排出することができる。
【0080】
一方、再生運転を終了する場合(S69:YES)、制御装置8は、循環ポンプ5を停止し(S70)、気泡発生装置6を停止する(S71)。これにより、浄化装置3Aの再生運転が終了する。
【0081】
以上のように、本実施の形態の浴槽洗浄システム100Bでは、浄化装置3A内の電極32に汚れが蓄積した場合に、再生運転を行って電極32の汚れを離脱させて排出することができる。これにより、浄化装置3Aの使用可能期間を延ばすことができる。
【0082】
なお、上記では、ユーザの指示に応じて再生運転を実施することとしたが、制御装置8が、汚れ検知装置35の検知結果に基づいて浄化装置3Aの電極32が汚れていると判断した場合に、自動的に再生運転を実施してもよい。また、上記では、浴槽洗浄運転の終了後に再生運転を実施することとしたが、浴槽洗浄運転中に再生運転を行ってもよい。
【0083】
さらに、再生運転において、入浴後の浴水を再利用してもよい。この場合は、第2洗浄工程と同様に、リザーブタンク4に浴水を貯留し、タンクポンプ40を逆回転させることで、リザーブタンク4に貯留した浴水を用いて電極32から汚れを除去することができる。又は、図示しない給水端から供給される水を利用して再生運転を実施してもよい。
【0084】
以上が実施の形態の説明であるが、本開示は、上記の実施の形態に限定されるものではなく、本開示の主旨を逸脱しない範囲で種々に変形することが可能である。また、本開示は、上記の実施の形態及びその変形例に示す構成のうち、組み合わせ可能な構成のあらゆる組み合わせを含むものである。例えば、浴槽アダプタ1の構成は、上記実施の形態の構成に限定されるものではなく、浴水を吐出する吐水配管と、浴水を吸入する吸入配管とを別々に備える構成としてもよい。
【0085】
また、実施の形態2における汚れ検知装置26で検知された浴水の汚れに応じて、第1洗浄工程、第2洗浄工程及び第3洗浄工程を継続する第1時間、第2時間及び第3時間を変更してもよい。例えば、汚れ検知装置26で検知された浴水の汚れの量が少ないほど、第1時間、第2時間及び第3時間を短くしてもよい。又は、第2洗浄工程において、汚れ検知装置26で検知された浴水の汚れに応じて、水位を徐々に下げて洗浄を行ってもよい。
【0086】
以下、本開示の諸態様を付記としてまとめて記載する。
【0087】
(付記1)
浴槽に取り付けられ、前記浴槽内の浴水の吸入と、前記浴槽への前記浴水の吐出とを行う浴槽アダプタと、
前記浴槽アダプタによって吸入された前記浴水が流れる循環回路と、
前記浴槽を洗浄するための浴槽洗浄運転を実施する制御装置と、を備え、
前記循環回路は、
前記循環回路を流れる前記浴水を浄化する浄化装置と、
前記浄化装置で浄化された前記浴水を貯留するリザーブタンクと、
前記浴水を前記循環回路に流す循環ポンプと、を備え、
前記制御装置は、前記浴槽洗浄運転において、第1洗浄工程と、第2洗浄工程とを順に実施し、
前記第1洗浄工程において、
前記浴槽アダプタから吸入し、前記浄化装置で浄化した前記浴水を、前記浴槽アダプタから吐出させ、
前記第2洗浄工程において、
前記浴槽アダプタから吸入し、前記浄化装置で浄化した前記浴水を前記リザーブタンクに貯留し、
前記浴槽アダプタから吸入し、前記浄化装置で浄化した前記浴水と、前記リザーブタンクに貯留された前記浴水と、を前記浴槽アダプタから吐出させる浴槽洗浄システム。
(付記2)
前記制御装置は、前記第2洗浄工程の後に、前記リザーブタンクに貯留された前記浴水のみを前記浴槽アダプタから吐出する第3洗浄工程を実施する付記1に記載の浴槽洗浄システム。
(付記3)
前記リザーブタンクは、前記リザーブタンクに貯留されている前記浴水の量を検知する水量検知装置を備え、
前記制御装置は、前記水量検知装置の検知結果に基づき、前記第3洗浄工程を終了するか否かを判断する付記2に記載の浴槽洗浄システム。
(付記4)
前記浴槽内の前記浴水の水位を検知する水位検知装置をさらに備え、
前記制御装置は、前記第2洗浄工程において、前記水位検知装置の検知結果に応じて、前記リザーブタンクへ前記浴水の貯留する工程と、前記浴槽アダプタから前記浴水を吐出する工程とを切り換える付記1~3の何れか一つに記載の浴槽洗浄システム。
(付記5)
前記浴槽アダプタは、
前記浴槽アダプタが設置された前記浴槽の壁面である設置壁面と平行な方向に前記浴水を吐出する第1吐水管と、
前記設置壁面と交差する方向に前記浴水を吐出する第2吐水管と、
前記浴水の吐出先を前記第1吐水管又は前記第2吐水管に切り換える切換装置と、を備え、
前記切換装置は、
前記第1洗浄工程において、前記第1吐水管から前記浴水を吐出させ、
前記第2洗浄工程において、前記第2吐水管から前記浴水を吐出させる付記1~4の何れか一つに記載の浴槽洗浄システム。
(付記6)
前記浴槽アダプタの前記第1吐水管には、伸縮するノズルが設けられており、
前記第2洗浄工程において、前記ノズルは前記浴槽の底面に向かって伸びた状態とされ、前記ノズルから前記浴水が吸入される付記5に記載の浴槽洗浄システム。
(付記7)
前記浴槽アダプタは、前記第2吐水管からの前記浴水の吐出方向を調整する調整装置を備え、
前記第2洗浄工程において、前記調整装置は、前記第2吐水管からの前記浴水が、前記設置壁面と交差する複数の方向に吐出されるよう調整する付記5又は6に記載の浴槽洗浄システム。
(付記8)
前記循環回路は、微細気泡を発生させ、前記循環回路を流れる前記浴水に前記微細気泡を混入させる気泡発生装置をさらに備える付記1~3の何れか一つに記載の浴槽洗浄システム。
(付記9)
前記浄化装置は、
電解槽と、
前記電解槽に配置された一対の電極と、
前記電極に電圧を印加する電力供給装置と、を備え、
前記電力供給装置は、前記浴水の汚れの量に応じて、前記電極に印加する前記電圧を変更する付記1~8の何れか一つに記載の浴槽洗浄システム。
(付記10)
前記制御装置は、前記浄化装置の汚れを除去する再生運転を実施するものであり、
前記再生運転において、
前記電極に逆電圧が印加され、
前記浄化装置において前記浴槽洗浄運転時とは逆方向に水が流れ、
前記浄化装置からの水が前記浴槽アダプタから吐出される付記9に記載の浴槽洗浄システム。
【符号の説明】
【0088】
1 浴槽アダプタ、2、2A、2B 循環回路、3、3A 浄化装置、4 リザーブタンク、5 循環ポンプ、6 気泡発生装置、7 水位検知装置、8 制御装置、9 リモートコントローラ、11 第1吐水管、12 第2吐水管、13 切換装置、14 ノズル、15 調整装置、21 浴槽往き配管、22 浴槽戻り配管、23 第1三方弁、24 第2三方弁、25 第3三方弁、26、35 汚れ検知装置、27 バイパス配管、28 第4三方弁、31 電解槽、32 電極、32a プラス電極、32b マイナス電極、33 電力供給装置、34 導線、40 タンクポンプ、41 タンク流入管、42 タンク流出管、43 水量検知装置、90 報知装置、100、100A、100B 浴槽洗浄システム、200 浴槽、200a 設置壁面、201 排水口、202 排水栓、300 給湯装置。
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