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特開2024-158226防水シート、及び防水コネクタハウジングの製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024158226
(43)【公開日】2024-11-08
(54)【発明の名称】防水シート、及び防水コネクタハウジングの製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01R 13/52 20060101AFI20241031BHJP
   H01R 43/00 20060101ALI20241031BHJP
【FI】
H01R13/52 301E
H01R13/52 301H
H01R43/00 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023073246
(22)【出願日】2023-04-27
(71)【出願人】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100111235
【弁理士】
【氏名又は名称】原 裕子
(74)【代理人】
【識別番号】100170575
【弁理士】
【氏名又は名称】森 太士
(72)【発明者】
【氏名】宮内 宏隆
(72)【発明者】
【氏名】松本 和弘
【テーマコード(参考)】
5E051
5E087
【Fターム(参考)】
5E051BA06
5E051BB04
5E087EE02
5E087EE14
5E087FF13
5E087LL03
5E087LL04
5E087LL12
5E087LL17
5E087MM05
5E087RR12
(57)【要約】
【課題】コネクタハウジングへの取り付けが容易であり、端子収容室内への水の侵入を抑制することが可能な防水シートを提供する。
【解決手段】防水シート1は、平面11を有する基部10と、基部10の平面11から膨出し、間隔を空けて配置された複数の膨出部20とを備え、膨出部20は、膨出部20の膨出方向とは反対側の面に設けられた凹部21を有し、膨出部20は、基部10と接続され、基部10から膨出方向に向かうにつれて膨出部20の幅が小さくなるように形成されたテーパー部22を含み、コネクタハウジング100の端子収容室102に膨出部20を挿入して端子収容室102を封じ、弾性部材によって形成されている。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
平面を有する基部と、
前記基部の平面から膨出し、間隔を空けて配置された複数の膨出部と、
を備え、
前記膨出部は、前記膨出部の膨出方向とは反対側の面に設けられた凹部を有し、
前記膨出部は、前記基部と接続され、前記基部から前記膨出方向に向かうにつれて前記膨出部の幅が小さくなるように形成されたテーパー部を含み、
コネクタハウジングの端子収容室に前記膨出部を挿入して前記端子収容室を封じ、弾性部材によって形成された防水シート。
【請求項2】
前記膨出部の形状は四角錐台である、請求項1に記載の防水シート。
【請求項3】
前記膨出部は、前記テーパー部と、前記基部とは反対側において、前記テーパー部の縁部に接続された底板部とを含み、
前記底板部は薄肉部を有し、前記薄肉部の厚さが周囲よりも薄い、請求項1又は2に記載の防水シート。
【請求項4】
前記薄肉部は、前記膨出方向に向かって窪んだ凹部が前記底板部に設けられることによって形成されている、請求項3に記載の防水シート。
【請求項5】
請求項1又は2に記載の防水シートの前記テーパー部を前記コネクタハウジングの前記端子収容室の入口の縁部全体に当接させた状態で、前記膨出部を前記端子収容室に挿入する、防水コネクタハウジングの製造方法。
【請求項6】
前記基部を前記端子収容室が設けられたコネクタハウジングの端子挿入面に貼り付ける工程を含む、請求項5に記載の防水コネクタハウジングの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、防水シート、及び防水コネクタハウジングの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、車両の軽量化によって燃費を向上させる観点から、電線の導体にアルミニウムを用いる例が増加している。しかしながら、電線の導体と圧着端子との間で材質が異なると、導体と圧着端子との接合部で腐食が発生しやすくなる。そのため、自動車のエンジンルーム内のように、高い防水性が求められる場所では、防水用に専用設計されたコネクタ付き電線が用いられる。
【0003】
一方、上記のような防水コネクタは複雑であり、コストが高くなる。そのため、車室内のように、高い防水性が求められない場所では、コネクタハウジングの端子挿入面に防水カバーを接着することが知られている。特許文献1には、防水カバーの端子収容室と対応する位置にスリットからなる電線挿通部が設けられ、スリットを捲って電線端末の端子接続部が端子収容室内に挿入係止されるコネクタの防水構造が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2017-195166号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来技術では、防水カバーの一面に接着剤を塗布し、防水カバーをコネクタハウジングの端子挿入面に接着固定している。しかしながら、コネクタハウジングの端子挿入面には端子収容室が設けられており、端子収容室が設けられている部分においては、防水カバーを接着剤で固定できない。そのため、従来の防水カバーでは、端子収容室内が十分に密封されていないおそれがある。
【0006】
本発明は、このような従来技術が有する課題に鑑みてなされたものである。そして本発明の目的は、コネクタハウジングへの取り付けが容易であり、端子収容室内への水の侵入を抑制することが可能な防水シート、及びこれを用いた防水コネクタハウジングの製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の態様に係る防水シートは、平面を有する基部と、基部の平面から膨出し、間隔を空けて配置された複数の膨出部とを備えている。膨出部は、膨出部の膨出方向とは反対側の面に設けられた凹部を有している。膨出部は、基部と接続され、基部から膨出方向に向かうにつれて膨出部の幅が小さくなるように形成されたテーパー部を含んでいる。防水シートは、コネクタハウジングの端子収容室に膨出部を挿入して端子収容室を封じる。防水シートは、弾性部材によって形成されている。
【0008】
本発明の他の態様に係る防水コネクタハウジングの製造方法は、防水シートのテーパー部をコネクタハウジングの端子収容室の入口の縁部全体に当接させた状態で、膨出部を端子収容室に挿入する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、コネクタハウジングへの取り付けが容易であり、端子収容室内への水の侵入を抑制することが可能な防水シート、及びこれを用いた防水コネクタハウジングの製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】一実施形態に係る防水シートをコネクタハウジングの端子挿入面に取り付ける前の様子を示す斜視図である。
図2】一実施形態に係る防水シートをコネクタハウジングの端子挿入面に取り付けた後の様子を示す斜視図である。
図3】一実施形態に係る防水シートの一例を示す概略的な平面図である。
図4図3のIII-III線で切断した面における断面図である。
図5】防水シートの薄肉部を拡大した拡大断面図である。
図6】大判の状態で成形された防水シートの一例を示す平面図である。
図7】大判の防水シートからのコネクタハウジングの端子挿入面に取り付ける分を切り分けた後の様子を示す平面図である。
図8】防水シートに接着剤を塗布した状態を示す断面図である。
図9】防水シートをコネクタハウジングの端子挿入面に取り付ける前の様子を示す断面図である。
図10】防水シートをコネクタハウジングの端子挿入面に取り付けた後の様子を示す断面図である。
図11】端子収容室に端子付き電線を挿入する様子を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を用いて本実施形態に係る防水シート、防水コネクタハウジングの製造方法、及び防水コネクタの製造方法について詳細に説明する。なお、図面の寸法比率は説明の都合上誇張されており、実際の比率と異なる場合がある。
【0012】
[防水シート]
まず、本実施形態に係る防水シート1について説明する。図1は、一実施形態に係る防水シート1をコネクタハウジング100の端子挿入面101に取り付ける前の様子を示す斜視図である。図2は、一実施形態に係る防水シート1をコネクタハウジング100の端子挿入面101に取り付けた後の様子を示す斜視図である。
【0013】
図1に示すように、コネクタハウジング100は、端子挿入面101に設けられた複数の端子収容室102を含んでいる。コネクタハウジング100には、上側に4つ、下側に4つの合計8つの端子収容室102が設けられている。そして、図2に示すように、コネクタハウジング100の端子収容室102が設けられた端子挿入面101に防水シート1を貼り付けることによって防水コネクタハウジング200が形成される。具体的には、後述するように、コネクタハウジング100の端子収容室102に膨出部20を挿入して端子収容室102を封じている。
【0014】
図3は、一実施形態に係る防水シート1の一例を示す概略的な平面図である。図4は、図3のIII-III線で切断した面における断面図である。図3及び図4に示すように、防水シート1は、基部10と、複数の膨出部20とを備えている。
【0015】
基部10は、膨出部20の膨出方向側に平面11を有しており、コネクタハウジング100の端子挿入面101に接するように構成されている。基部10は、本実施形態は平板状に形成されており、膨出方向とは反対側の面も平面になっている。基部10は、膨出部20の間を接続している。
【0016】
膨出部20は、基部10の平面11から膨出している。複数の膨出部20は、それぞれ、平面11上に、間隔を空けて配置されており、各膨出部20は、端子挿入面101における端子収容室102に対応する位置にそれぞれ配置されている。本実施形態では、コネクタハウジング100には、横方向に4つ、高さ方向に2つ並んで端子収容室102が設けられている。そのため、端子挿入面101における端子収容室102の位置に対応するように、防水シート1には、2行4列の合計8つの膨出部20が設けられている。
【0017】
膨出部20は、膨出部20の膨出方向とは反対側の面に設けられた凹部21を有している。本実施形態において、膨出部20の形状は四角錐台である。膨出部20がこのような形状をしていることにより、一般的なコネクタハウジング100の端子収容室102に適合することができる。また、本実施形態に係る凹部21の形状は、膨出部20の形状と同様に四角錐台である。そのため、膨出部20における防水シート1の厚さを薄くすることができる。
【0018】
膨出部20は、テーパー部22と底板部23とを含んでいる。テーパー部22は、基部10と接続され、基部10から膨出方向に向かうにつれて膨出部20の幅が小さくなるように形成されている。底板部23は、基部10とは反対側において、テーパー部22の縁部に接続されている。底板部23は、基部10と平行に設けられている。テーパー部22は、膨出方向において基部10から底板部23に向かうにつれて、平面方向において膨出部20の中心に向かって傾斜している。
【0019】
テーパー部22は、膨出方向から見た平面視において、端子収容室102の入口の縁部の形状と一致するように形成されている。すなわち、テーパー部22と底板部23との接続部分であるテーパー部22の内縁が端子収容室102の入口よりも小さくなるように膨出部20が形成されている。また、テーパー部22と基部10との接続部分であるテーパー部22の外縁が端子収容室102の入口よりも大きくなるように膨出部20が形成されている。すなわち、平面視において、膨出部20の大きさが端子収容室102の入口よりも大きい。そのため、膨出部20を端子収容室102へ挿入した場合に、テーパー部22が端子収容室102の入口の縁部と密接する。そのため、端子収容室102に対する防水シート1の密封性を高くすることができる。
【0020】
なお、膨出部20及び凹部21の形状は、コネクタハウジング100の端子収容室102の入口の縁部にテーパー部22を当接させることができればよい。そのため、膨出部20及び凹部21の形状は四角錐台に限定されず、四角錐などであってもよい。すなわち、凹部21は、底板部23を含んでいなくてもよい。また、膨出部20及び凹部21の形状は、同じであってもよく、異なっていてもよい。また、一般的なコネクタハウジング100の端子収容室102の入口の形状が四角形であるため、膨出部20及び凹部21の形状を四角錐台にしているが、端子収容室102の入口の形状に合わせて膨出部20及び凹部21の形状を変更してもよい。
【0021】
図5は、防水シート1の薄肉部24を拡大した拡大断面図である。図5に示すように、底板部23は、薄肉部24を有している。薄肉部24の厚さが周囲よりも薄い。底板部23が薄肉部24を有するため、端子で防水シート1を突き破りやすくなる。薄肉部24は、膨出方向に向かって窪んだ凹部が底板部23に設けられることによって形成されている。このような凹部は、端子で防水シート1を突き破りやすくなるだけでなく、端子を挿入する場所の目印としての役割を果たすこともできる。
【0022】
なお、本実施形態においては、薄肉部24は、半球形状の凹部である。しかしながら、凹部の形状は特に限定されず、半楕円体、又は、四角錐のような多角錐などであってもよい。また、薄肉部24は、スリットでもよい。また、本実施形態において、薄肉部24は、平面視において底板部23の中央に配置されているが、中央でなく、中央からずれた位置に配置することもできる。
【0023】
薄肉部24の厚さT2は、周囲の厚さT1よりも薄ければよく、周囲の厚さT1の5%~80%であってもよい。薄肉部24の厚さT2は、周囲の厚さT1の10%超、30%超、50%超、又は70%超であってもよい。また、薄肉部24の厚さT2は、周囲の厚さT1の60%未満、40%未満、又は20%未満であってもよい。
【0024】
防水シート1は、弾性部材によって形成されている。防水シート1は、例えば、ゴム又はエラストマーなどのような樹脂材料から形成されていてもよい。これらの材料は、弾性及び伸縮性があり、水分を通さないため、防水シート1として特に適している。
【0025】
以上のように、防水シート1は、コネクタハウジング100の端子収容室102に膨出部20を挿入して端子収容室102を封じることができる。そのため、コネクタハウジング100への取り付けが容易であり、コネクタハウジング100の端子収容室102に膨出部20を挿入する事で端子収容室内102への水の侵入を抑制することができる。
【0026】
なお、防水シート1は、任意の端子収容室102の数及び配列形態に合わせてカットすれば、複数種類のコネクタにも対応できる。例えば、図6及び図7に示すように、本実施形態に係る防水シート1は、大判の状態で形成しておいてもよい。そして、端子収容室102の数及び配列形態に合わせて、大判の防水シート1Aからコネクタハウジング100の端子挿入面101に取り付ける分を切り分けて用いてもよい。
【0027】
[防水コネクタハウジングの製造方法]
次に、本実施形態に係る防水コネクタハウジング200の製造方法について説明する。本実施形態に係る方法は、コネクタハウジング100の端子収容室102に膨出部20を挿入して端子収容室102を封じる防水コネクタハウジング200の製造方法である。具体的には、防水コネクタハウジング200の製造方法は、準備工程と、挿入工程とを含んでいる。
【0028】
準備工程では、上述したコネクタハウジング100と、防水シート1とを準備する。準備工程は、接着剤塗布工程を含んでいてもよい。
【0029】
接着剤塗布工程では、防水シート1に接着剤30を塗布する。図8は、防水シート1に接着剤30を塗布した状態を示す断面図である。図8に示すように、接着剤30は、防水シート1の膨出方向側の面における、基部10に塗布してもよい。接着剤30は、基部10に加え、防水シート1の膨出方向側の面における、テーパー部22に塗布してもよい。
【0030】
接着剤30は、アクリル系接着剤、ウレタン系接着剤、エポキシ系接着剤、シリコーン樹脂系接着剤、又は、ホットメルト接着剤であってもよい。ホットメルト接着剤は、例えば、エチレン-酢酸ビニル共重合体、ポリオレフィン、ポリアミド、又はアクリル樹脂などのような熱可塑性樹脂であってもよい。接着剤30は、熱硬化性接着剤、湿気硬化性接着剤、二液反応硬化性接着剤、又は、光硬化性接着剤であってもよい。
【0031】
なお、本実施形態では、防水シート1に接着剤30を塗布したが、防水シート1の膨出部20を、コネクタハウジング100の端子収容室102に嵌合することによって密封性を得ることができるため、接着剤30は必須ではない。また、防水シート1に接着剤30を塗布することに代えて、コネクタハウジング100に接着剤30を塗布してもよい。また、防水シート1にエラストマーなどを用いることによって、防水シート1自体に粘着性を持たせてもよい。
【0032】
挿入工程では、図9及び図10に示すように、防水シート1のテーパー部22をコネクタハウジング100の端子収容室102の入口の縁部全体に当接させた状態で、膨出部20を端子収容室102に挿入する。膨出部20はテーパー部22を含んでおり、テーパー部22は端子収容室102の入口の縁部よりも、やや大きいサイズである。そのため、膨出部20を端子収容室102内に押し込むことで、テーパー部22の反発力によって端子収容室102を封じることができ、端子収容室102の密封性を高くすることができる。
【0033】
防水コネクタハウジング200の製造方法は、基部10を端子収容室102が設けられたコネクタハウジング100の端子挿入面101に貼り付ける工程を含んでいてもよい。防水シート1又はコネクタハウジング100に接着剤30が塗布されている場合、防水シート1が接着性を有する場合などには、基部10を端子挿入面101に貼り付けることができる。基部10を端子挿入面101に貼り付けることにより、さらに密封性が高くなることから、防水シート1の防水性をさらに高くすることができる。
【0034】
[防水コネクタの製造方法]
防水コネクタ300の製造方法は、図11に示すように、防水コネクタハウジング200の複数の膨出部20のうちの少なくとも1つの膨出部20を端子付き電線310の端子311で突き破って端子収容室102に端子311を挿入する工程を含んでいる。
【0035】
端子付き電線310は、端子311と、電線312とを含んでいる。電線312の導体には、端子311が電気的かつ機械的に接続されている。本実施形態では、膨出部20を端子311で突き破って端子収容室102に端子311を挿入するため、端子311に防水シート1の膨出部20が密接した状態で端子収容室102に端子311が挿入される。防水シート1の弾性力によって端子311と防水シート1との間の隙間が小さくなるため、端子収容室102の密封性を高くすることができる。
【0036】
全ての膨出部20を端子311で突き破る必要はなく、必要に応じて、複数の膨出部20のうちの一部の膨出部20を端子311で突き破ればよい。端子収容室102に挿入された膨出部20のうち、一部の膨出部20だけを端子311で突き破って挿入することができるため、端子311が挿入されていない膨出部20は、突き破られず、そのままの形状を保っている。突き破られなかった膨出部20には、貫通孔がないため、端子収容室102を防水シート1で密封した状態にすることができる。
【0037】
以上説明したように、本実施形態に係る防水シート1は、平面11を有する基部10と、基部10の平面11から膨出し、間隔を空けて配置された複数の膨出部20とを備えている。膨出部20は、膨出部20の膨出方向とは反対側の面に設けられた凹部21を有している。膨出部20は、基部10と接続され、基部10から膨出方向に向かうにつれて膨出部20の幅が小さくなるように形成されたテーパー部22を含んでいる。防水シート1は、コネクタハウジング100の端子収容室102に膨出部20を挿入して端子収容室102を封じる。
【0038】
本実施形態に係る防水シート1は、コネクタハウジング100の端子収容室102に挿入される膨出部20を備えているため、端子収容室102を封じることができ、端子収容室102内へ水が浸入するのを抑制することができる。さらに、膨出部20は、膨出部20がテーパー部22を含んでいるため、端子付き電線310の端子311を挿入した際に、膨出部20が端子収容室102に押し込まれ、押込み量が大きくなるほど、膨出部20と端子収容室102との密着性が高くなる。
【0039】
したがって、本実施形態に係る防水シート1は、コネクタハウジング100の端子収容室102に膨出部20を挿入する事で端子収容室102内への水の侵入を抑制することができる。そのため、車室内のように、高い防水性が求められない場所で用いることにより、防水用に専用設計されたコネクタ付き電線を用いる場合と比較し、簡易で安価である。
【0040】
膨出部20は、凹部21を有しているため、膨出部20を容易に突き破って端子311を端子収容室102に挿入することができる。また、端子311を挿入しない膨出部20には、貫通孔がないため、端子311が挿入されなかった端子収容室102は密閉された状態を維持することができる。
【0041】
膨出部20の形状は四角錐台であってもよい。膨出部20がこのような形状をしていることにより、一般的なコネクタハウジング100の端子収容室102に適合することができる。
【0042】
膨出部20は、テーパー部22と、基部10とは反対側において、テーパー部22の縁部に接続された底板部23とを含んでいてもよい。底板部23は薄肉部24を有し、薄肉部24の厚さが周囲よりも薄くてもよい。薄肉部24の突き刺し強度は、周囲の突き刺し強度よりも低い。そのため、端子311で防水シート1を突き破りやすくなる。
【0043】
薄肉部24は、膨出方向に向かって窪んだ凹部が底板部23に設けられることによって形成されていてもよい。このような凹部は、視認が容易である。そのため、端子311で防水シート1を突き破りやすくなるだけでなく、端子311を挿入する場所の目印としての役割を果たすこともできる。
【0044】
本実施形態に係る防水コネクタハウジング200の製造方法は、防水シート1のテーパー部22をコネクタハウジング100の端子収容室102の入口の縁部全体に当接させた状態で、膨出部20を端子収容室102に挿入する。膨出部20のテーパー部22は、端子収容室102の入口の縁部よりも、やや大きいサイズである。そのため、膨出部20を端子収容室102内に挿入することで、テーパー部22の反発力によって端子収容室102を封じることができ、端子収容室102の密封性を高くすることができる。
【0045】
防水コネクタハウジング200の製造方法は、基部10を端子収容室102が設けられたコネクタハウジング100の端子挿入面101に貼り付ける工程を含んでいてもよい。基部10を端子挿入面101に貼り付けることにより、水が浸入する隙間を減らすことができる。そのため、防水シート1の防水性をさらに高くすることができる。
【0046】
以上、本実施形態を説明したが、本実施形態はこれらに限定されるものではなく、本実施形態の要旨の範囲内で種々の変形が可能である。
【符号の説明】
【0047】
1 防水シート
10 基部
11 平面
20 膨出部
21 凹部
22 テーパー部
23 底板部
24 薄肉部
100 コネクタハウジング
101 端子挿入面
102 端子収容室
200 防水コネクタハウジング
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11