IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ エイターリンク株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-無線給電システム 図1
  • 特開-無線給電システム 図2
  • 特開-無線給電システム 図3
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024158227
(43)【公開日】2024-11-08
(54)【発明の名称】無線給電システム
(51)【国際特許分類】
   H02J 50/80 20160101AFI20241031BHJP
   H02J 50/20 20160101ALI20241031BHJP
   H02J 50/40 20160101ALI20241031BHJP
【FI】
H02J50/80
H02J50/20
H02J50/40
【審査請求】有
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023073247
(22)【出願日】2023-04-27
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2024-01-11
(71)【出願人】
【識別番号】520354692
【氏名又は名称】エイターリンク株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002815
【氏名又は名称】IPTech弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】村井 彬人
(72)【発明者】
【氏名】小舘 直人
(57)【要約】      (修正有)
【課題】送信機と複数の受信機との間で通信を行う際に、通信電波の干渉を抑制する無線給電システムを提供する。
【解決手段】少なくとも1台の送信機と、複数の受信機から構成される無線給電システムにおいて、送信機は、複数の受信機に対して無線により電力供給が可能であり、複数の受信機は、それぞれ異なる時系列的な電波強度により、それぞれの受信機の干渉を抑制するように、送信機に対して無線通信を行うことが可能である。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1台の送信機と、複数の受信機から構成される無線給電システムにおいて、
前記送信機は、前記複数の受信機に対して無線により電力供給が可能であり、
前記複数の受信機は、それぞれ異なる時系列的な電波強度により、それぞれの受信機の干渉を抑制するように、前記送信機に対して無線通信を行うことが可能である、
無線給電システム。
【請求項2】
前記複数の受信機は、前記受信機が備えるセンシングデバイスが取得したセンシングデータを前記送信機へ前記無線通信を介して送信可能な、
請求項1記載の無線給電システム。
【請求項3】
前記複数の受信機は、それぞれ異なる時系列的な電波強度パターンにより無線通信を行うことが可能な、
請求項1または2記載の無線給電システム。
【請求項4】
前記複数の受信機は、それぞれ3段階以上の異なる電波強度レベルのうち所定の電波強度レベルの時系列的に連続する組み合わせからなる電波強度パターンにより無線通信を行うことが可能な、
請求項1から3のいずれか記載の無線給電システム。
【請求項5】
前記複数の受信機は、無線通信におけるデータ通信の送信スロットごとに、それぞれ異なる時系列的な電波強度パターンにより無線通信を行うことが可能な、
請求項1から4のいずれか記載の無線給電システム。
【請求項6】
前記複数の受信機は、それぞれの受信機に割り当てられた個体識別情報に応じた異なる時系列的な電波強度パターンにより、それぞれの受信機の干渉を抑制するように無線通信を行うことが可能な、
請求項1から5のいずれか記載の無線給電システム。
【請求項7】
前記複数の受信機の個体識別番号は、前記送信機と前記複数の受信機との通信接続が行われたタイミングで、前記送信機により割り当てられる、
請求項6記載の無線給電システム。
【請求項8】
前記複数の受信機は、時系列的にそれぞれの受信機ごとに独立した確率に応じて定まる電波強度で無線通信を行うことが可能な、
請求項1または2記載の無線給電システム。
【請求項9】
前記複数の受信機は、それぞれの受信機が時系列的にランダムな電波強度で無線通信を行うことが可能な、
請求項8記載の無線給電システム。
【請求項10】
前記複数の受信機は、前記送信機との通信に失敗した場合に、それぞれ異なる電波強度でそれぞれの受信機の干渉を抑制するように前記送信機に対して無線通信を行う制御を実行する、
請求項1から9のいずれか記載の無線給電システム。
【請求項11】
前記複数の受信機は、前記送信機との通信に失敗した場合に、失敗回数に応じて、それぞれ異なる電波強度で前記送信機に対して無線通信を行う制御を実行する、
請求項10記載の無線給電システム。
【請求項12】
前記複数の受信機は、前記送信機との通信に失敗した場合に、失敗回数が多いほど、より電波強度の平均が大きな電波強度により無線通信を行う制御を実行する、
請求項11記載の無線給電システム。
【請求項13】
前記複数の受信機は、前記送信機との通信に失敗した場合に、それぞれ異なる電波強度でそれぞれの受信機の干渉を抑制するように前記送信機に対して無線通信を行う制御を所定期間にわたって実行し、
前記所定期間において前記送信機との通信失敗が解消しない場合には、所定の管理者に対して通知が行われる、
請求項10記載の無線給電システム。
【請求項14】
FAまたはロボット機器の無線電力の送受信に用いられる、請求項1から13のいずれか一項記載の無線給電システム。



【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、無線給電システムに関する。
【背景技術】
【0002】
無線により電力を送電する技術が知られている。
特許文献1には、ワイヤレス電力伝送システムにおいて、フィードバック遅れが長くなっても、受信機の整流電圧に発散や振動を発生させない技術が開示されている。
特許文献2には、複数の受信機への無線電力の送達を最適化するのに有益である送信機アセンブリを用いて、パルス無線電力を最適に送達するシステム及び方法を提供する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2018-196290号公報
【特許文献2】特開2019-170154号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
送信機と複数の受信機との間で通信を行う際に、通信電波の干渉を抑制することができていないという課題がある。
そこで、本開示は、上記課題を解決すべくなされたものであって、その目的は、送信機と複数の受信機との間で通信を行う際に、通信電波の干渉を抑制する技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
少なくとも1台の送信機と、複数の受信機から構成される無線給電システムにおいて、送信機は、複数の受信機に対して無線により電力供給が可能であり、複数の受信機は、それぞれ異なる時系列的な電波強度により、それぞれの受信機の干渉を抑制するように、送信機に対して無線通信を行うことが可能である、無線給電システム。
【発明の効果】
【0006】
本開示によれば、送信機と複数の受信機との間で通信を行う際に、通信電波の干渉を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本実施形態に係るWPTシステム1の全体の構成を示す図である。
図2】送信機100と、受信機200との構成例を表すブロック図である。
図3】コンピュータ90の基本的なハードウェア構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本開示の実施形態について図面を参照して説明する。実施形態を説明する全図において、共通の構成要素には同一の符号を付し、繰り返しの説明を省略する。なお、以下の実施形態は、特許請求の範囲に記載された本開示の内容を不当に限定するものではない。また、実施形態に示される構成要素のすべてが、本開示の必須の構成要素であるとは限らない。また、各図は模式図であり、必ずしも厳密に図示されたものではない。
【0009】
<概要>
<1 システム全体の構成図>
図1は、本実施形態に係るWPTシステム1の全体の構成を示す図である。
【0010】
図1に示すWPTシステム1は、例えば、送信機100、受信機200、第1情報処理装置300、及び第2情報処理装置400を備える。図1に示すWPTシステム1は、例えば、ビル、又は工場等で利用される。なお、送信機100と第1情報処理装置300との接続、及び第1情報処理装置300と第2情報処理装置400との接続は、有線であっても無線であっても構わない。
【0011】
本開示における、WPTシステム1は、FA(Factory Automation)機器、ロボット機器等の分野に適用可能である。
具体的に、WPTシステム1を、FA機器、ロボット機器等に適用することにより、配線のコストや、配線に伴うメンテナンスコストを削減することができる。また、断線による故障等を抑制することができる。
【0012】
WPTシステム1は、自動搬送ロボット(AGV)および自律移動ロボット(AMR)等へ適用できる。自動搬送ロボットや自律移動ロボットは、工場内で部品や製品を運搬するために使用される。無線給電システムを利用することで、ロボットは停止中でも給電が可能となり、稼働時間の延長や充電所での待ち時間の削減が可能となる。
【0013】
WPTシステム1は、産業用ロボットアームへ適用できる。産業用ロボットアームは、組み立てや検査、溶接などのタスクに使用される。無線給電システムを導入することで、電源ケーブルがなくなり、ロボットの動きがより自由になる。これにより、作業効率が向上し、設置場所の制約が緩和される。また、配線に伴うメンテナンスコストや、断線による故障等を抑制できる。
【0014】
WPTシステム1は、センサーおよび監視カメラへ適用できる。工場内の温度、湿度、振動などを監視するためのセンサーや監視カメラに無線給電システムを適用することで、電池交換や配線作業が不要になる。これにより、メンテナンスコストが削減され、より多くのセンサーを容易に設置できる。
【0015】
WPTシステム1は、スマート向上へ適用できる。WPTシステム1は、スマート工場において、機器やデバイス間の接続を容易にし、リアルタイムでの情報交換や遠隔制御を可能にする。これにより、スマート向上の生産効率が向上し、ダウンタイムを減少させることができる。
【0016】
図1において、WPTシステム1が送信機100を3台含む例を示しているが、WPTシステム1に含まれる送信機100の数は、3台に限定されない。WPTシステム1に含まれる送信機100は、2台以下であってもよいし、4台以上であってもよい。
【0017】
図1において、WPTシステム1が受信機200を7台含む例を示しているが、WPTシステム1に含まれる受信機200の数は、7台に限定されない。WPTシステム1に含まれる受信機200は、6台以下であってもよいし、8台以上であってもよい。
【0018】
図1において、WPTシステム1が第1情報処理装置300を2台含む例を示しているが、WPTシステム1に含まれる第1情報処理装置300の数は、2台に限定されない。WPTシステム1に含まれる第1情報処理装置300は、1台であってもよいし、3台以上であってもよい。
【0019】
送信機100は、複数の受信機200に対して無線により電力供給が可能である。
具体的に、送信機100は、例えば、受信機200へ給電信号、又はデータ信号(以下、まとめて無線信号)を送信する。送信機100は、例えば、920MHz帯の電波により、受信機200へ給電信号を送信する(無線電力を供給する)。送信機100は、例えば、2.4GHz帯の電波により、受信機200へデータ信号を送信する。送信機100は、データ信号を、920MHz帯の電波により送信してもよい。
【0020】
送信機100は、例えば、1台の受信機200へ給電信号を送信してもよいし、複数台の受信機200へ給電信号を送信してもよい。送信機100は、例えば、1台の受信機200へデータ信号を送信してもよいし、複数台の受信機200へデータ信号を送信してもよい。送信機100は、例えば、他の送信機100と同じデータ信号を送信してもよいし、他の送信機100と異なるデータ信号を送信してもよい。送信機100は、例えば、所定のコマンド信号をデータ信号として受信機200へ送信してもよいし、予め設定された信号をデータ信号として受信機200へ送信してもよい。
【0021】
送信機100は、例えば、受信機200から送信されるデータ信号を受信する。送信機100は、例えば、1台の受信機200から送信されるデータ信号を受信してもよいし、複数の受信機200から送信されるデータ信号を受信してもよい。送信機100は、受信機200から送信されるデータ信号を第1情報処理装置300へ送信する。送信機100は、送信機100の状態に関する情報を第1情報処理装置300へ送信する。
【0022】
受信機200は、例えば、送信機100から送信される給電信号、又はデータ信号を受信する。受信機200は、例えば、バッテリを有する場合、送信機100から送信される給電信号を電力へ変換し、変換した電力をバッテリに貯える。受信機200は、例えば、所定のセンサを有する場合、送信機100から送信される給電信号を電力へ変換し、変換した電力によりセンサを駆動させる。
【0023】
受信機200は、例えば、受信機200の状態に関する情報、又はセンサによる計測結果に関する情報を、データ信号として送信機100へ送信する。つまり、複数の受信機200は、受信機200が備えるセンシングデバイスが取得したセンシングデータを送信機100へ無線通信を介して送信可能である。
【0024】
第1情報処理装置300は、WPTシステム1に収容される送信機100、受信機200の動作を監視する情報処理装置である。例えば、第1情報処理装置300は、送信機100から送信される、送信機100、及び受信機200の状態に関する情報に基づき、送信機100、又は受信機200が予め設定された状態になっているか否かを判断する。予め設定された状態になっていると判断した場合、第1情報処理装置300は、所定の情報を第2情報処理装置400へ送信する。
【0025】
また、第1情報処理装置300は、WPTシステム1に収容される送信機100、受信機200についての情報を蓄積する。例えば、第1情報処理装置300は、送信機100から送信される、送信機100及び受信機200の状態に関する情報を、第1情報処理装置300に設けられる記憶部に記憶する。
【0026】
また、第1情報処理装置300は、WPTシステム1に収容される送信機100の動作を制御する。
【0027】
また、第1情報処理装置300は、WPTシステム1に収容される送信機100の動作を制御する。例えば、第1情報処理装置300は、所定の指示、又は情報を送信機100へ送信する。
【0028】
また、第1情報処理装置300は、第2情報処理装置400の動作を制御する。
【0029】
第2情報処理装置400は、例えば、WPTシステム1の管理者が操作する情報処理装置である。第2情報処理装置400は、WPTシステム1に収容される送信機100、受信機200、又はこれらの両方が所定の状態になっている旨の連絡を第1情報処理装置300から受信すると、送信機100、受信機200、又はこれらの両方が所定の状態になっていることをユーザに提示する。
【0030】
また、第2情報処理装置400は、第1情報処理装置300に蓄積されている、送信機100及び受信機200の状態に関する情報を分析し、所定の情報をユーザに提示する。所定の情報は、例えば、以下である。
・送信機100の配置に関する情報
・受信機200の配置に関する情報
・消費電力に関する情報
・電力強度に関する情報
【0031】
<1.1 送信機と受信機の構成>
図2は、図1に示す送信機100と、受信機200との構成例を表すブロック図である。図2に示すように、送信機100と受信機200とは、例えば、互いに所定間隔で離間する。例えば、送信機100と受信機200とは、数m程度の距離だけ隔てられて設置される。具体的には、例えば、送信機100は、屋内の高所、例えば、天井、又は壁に設けられた所定の高位置に固定して設置される。受信機200は、屋内の所定のデバイスに設置されたり、給電が必要なデバイスの近傍に載置されたりする。また、受信機200は、ユーザにより携帯されてもよい。送信機100は、所定の周波数、例えば、920MHz帯の電波により、受信機200へ給電信号を送信する。受信機200は、送信機100から送信される給電信号を電力へ変換し、変換した電力を充電するか、又は、変換した電力を所定のデバイスへ供給する。
【0032】
送信機100は、例えば、発振器101、送信アンテナ102、マイコン(制御器)103、データ送受信機104、データ送受信アンテナ105を有する。発振器101、マイコン103、データ送受信機104、データ送受信アンテナ105、又はこれらのうち少なくともいずれかの組み合わせは、例えば、PCB(プリント基板)に実装されていてもよい。
【0033】
発振器101は、所定周波数帯、例えば、920MHz帯の信号を発振させる。発振された信号は、必要に応じて、増幅されて、不要周波数成分が除去されてもよい。
【0034】
送信アンテナ102は、例えば、920MHz帯の電波を効率的に送信可能に形成されている。送信アンテナ102は、発振器101で発振された信号を、給電信号として放射する。
【0035】
マイコン103は、送信機100の動作を制御する。マイコン103は、例えば、ARMプロセッサを搭載したシングルボードコンピュータにより実現される。マイコン103は、例えば、送信アンテナ102による電波の送信を制御する。
【0036】
データ送受信機104は、デジタルデータのアナログ化、アナログデータの変調等の処理を実施する。また、データ送受信機104は、データ送受信アンテナ105で受信されるデータ信号の復調、復調されたデータのデジタル化等の処理を実施する。データ送受信機104は、例えば、データ送受信アンテナ105で受信されるデータ信号から所定の信号を抽出し、デジタルデータに変換してマイコン103へ送信する。
【0037】
データ送受信アンテナ105は、例えば、2.4GHz帯の電波を効率的に送受信可能に形成されている。データ送受信アンテナ105は、データ送受信機104から供給されるデータ信号を放射する。また、データ送受信アンテナ105は、受信機200から送信されたデータ信号を受信する。
【0038】
受信機200は、例えば、受信アンテナ201、整流器202、電力管理部203、バッテリ204、マイコン205、データ送受信機206、データ送受信アンテナ207を有する。受信アンテナ201、整流器202、電力管理部203、バッテリ204、マイコン205、データ送受信機206、データ送受信アンテナ207、又はこれらのうち少なくともいずれかの組み合わせは、例えば、PCB又はFPC(フレキシブル基板)に実装されていてもよい。
【0039】
受信アンテナ201は、例えば、920MHz帯の電波を効率的に受信可能に形成されている。受信アンテナ201は、送信アンテナ102から放射された給電信号を受信する。
【0040】
整流器202は、給電信号として受信した電波を整流し、直流電圧に変換する。
【0041】
電力管理部203は、直流電圧を管理する。例えば、電力管理部203は、直流電圧に基づいて充電電圧を制御する。電力管理部203は、充電電圧を制御することで、バッテリ204を充電する。また、電力管理部203は、例えば、バッテリ204に所定容量以上の電力が蓄えられると、直流電圧を、接続される部材へ供給する。
【0042】
また、電力管理部203は、マイコン205からの制御に応じ、バッテリ204に蓄えられた電力を放出させる。
【0043】
バッテリ204は、電力管理部203からの指示に応じて電力を蓄える。また、バッテリ204は、電力管理部203からの指示に応じて蓄えている電力を放出する。
【0044】
マイコン205は、受信機200の動作を制御する。マイコン205は、電力管理部203から供給される直流電圧、又はバッテリ204に蓄えられた電力により駆動される。マイコン205は、電力管理部203を制御し、バッテリ204に蓄えられた電力を放出させる。
【0045】
受信機200には、例えば、種々のセンサが接続可能である。例えば、熱センサ、温度センサ、光センサ、湿度センサ、振動センサ等が受信機200に接続される。受信機200に接続されたセンサは、例えば、電力管理部203から供給される直流電圧、又はバッテリ204から放出される電力により駆動される。マイコン205は、受信機200の所定部位における電圧値、受信機200に接続されるセンサの状況、センサにより検出された情報等を、継続的又は断続的に監視する。マイコン205は、受信機200の所定部位における電圧値、受信機200に接続されるセンサの状況、センサにより検出された情報等をデジタルデータとしてデータ送受信機206へ送信する。なお、センサは、受信機200に内蔵されていてもよい。
【0046】
データ送受信機206は、マイコン205から供給されるデジタルデータのアナログ化、アナログデータの変調等の処理を実施する。また、データ送受信機206は、データ送受信アンテナ207で受信されるデータ信号の復調、復調されたデータのデジタル化等の処理を実施する。データ送受信機206は、例えば、電力管理部203から供給される直流電圧、又はバッテリ204から放出される電力により駆動される。
【0047】
データ送受信アンテナ207は、例えば、2.4GHz帯の電波を効率的に送受信可能に形成されている。データ送受信アンテナ207は、データ送受信機206から供給されるデータ信号を放射する。また、データ送受信アンテナ207は、送信機100から送信されたデータ信号を受信する。例えば、データ送受信アンテナ207は、例えば、電力管理部203から供給される直流電圧、又はバッテリ204から放出される電力により駆動される。
【0048】
また、上述した各実施形態においては交流信号からなる送信電力を送信機100から無線で受信機200に送信する、いわゆるWPTシステム1への適用について説明していたが、それ以外の手法により受信機200に電力を提供するシステムへの適用も当然に可能である。このようなシステムは既知であるので詳細な説明は割愛するが、一例として、太陽光発電により生成した電力を有線/無線を問わずに受信機200に送出するシステム、さらには、レーザー光により電力を有線/無線を問わずに受信機200に送出するシステム等が挙げられる。他に、振動や音を受信機200に与え、受信機200が振動等のパワーを電力に変換する構成であっても適用可能である。加えて、交流信号からなる送信電力を無線で受電する以外の、既知の非接触給電技術、一例として磁界結合方式による非接触給電技術を用いたシステムにも当然に適用可能である。
【0049】
<WPTシステム1の動作>
以下、WPTシステム1の各処理について説明する。
【0050】
受信機200のマイコン205は、以下の第一実施形態~第三実施形態にかかる無線通信の電波制御を制御することが可能である。以下、無線制御の詳細について説明する。
本開示においては、受信機200が送信する無線信号(データ信号)を一例として開示する。なお、送信機100が送信する無線信号(給電信号およびデータ信号のうちの少なくともいずれか)に対して適用しても良い。
【0051】
<第一実施形態>
複数の受信機200は、送信機100に対してそれぞれ異なる時系列的な電波強度により、それぞれの受信機200の干渉を抑制するように無線通信を行うことが可能である。
具体的に、受信機200は、無線信号を送信する際に、電波強度をLv1、Lv2、Lv3、Lv4、Lv5の5段階のうち1の電波強度レベルを選択して送信することができる。例えば、複数段階の電波強度レベル、Lv1、Lv2、Lv3、Lv4、Lv5は、それぞれ、電波強度レベル、-10dBm、-5dBm、0dBm、+3dBm、+5dBmに対応するものとする。なお電波強度レベルは、上記の5段階に限られる必要はなく、5段階未満のレベルに分けられていても良いし、5段階よりも多いレベルに分けられていても良い。
【0052】
複数の受信機200は、無線通信の送信電波の強度がそれぞれ異なる時系列的な電波強度パターンにより無線通信を行うことが可能である。
具体的に、受信機200は、無線信号を送信する際に、例えば所定期間(1m秒)ごとに、Lv1、Lv3、Lv5、Lv2、LV4・・・のように時系列的に変化させつつ無線信号を送信する。この場合、Lv1、Lv3、Lv5、Lv2、LV4・・・からなる、時系列的に並べた電波強度レベルの配列を電波強度パターンと呼ぶ。電波強度パターンは、所定個数の電波強度レベルの配列(有限長の配列)を繰り返したものとしても良い。また、所定個数の電波強度レベルの配列を組み合わせたものとしても良い。
また、電波強度パターンは、繰り返しではない電波強度レベルの配列(無限長の配列)としても良い。本開示においては、複数の受信機200のそれぞれが、それぞれ異なる電波強度パターンに基づき、無線信号を送信する。なお、異なる電波強度パターンとは、電波強度パターンの全体として共通していない場合を示し、一部期間における電波強度パターンが共通しており他の期間における電波強度パターンが共通していない場合は含まれる。
これにより、複数の受信機200から近接する周波数帯を利用して無線信号を送信した場合も、電波強度レベルが高い1の受信機200から送信された無線信号については、送信機100との間で通信を確実に成功させることができる。また、違うタイミングにおいて他の受信機200から送信された無線信号は、1の受信機200から送信された無線信号よりも電波強度レベルが高くなることがあることから、他の受信機200についても送信機100との間で通信を成功させることができる。つまり、複数の全ての受信機200が送信機100と通信できない状態となることを避けることができる。
これにより、送信機と複数の受信機との間で通信を行う際に、通信電波の干渉を抑制することができる。
【0053】
複数の受信機200は、それぞれ3段階以上の異なる電波強度レベルのうち所定の電波強度レベルの時系列的に連続する組み合わせからなる電波強度パターンにより無線通信を行うことが可能である。
具体的に、受信機200は、3段階以上の電波強度レベルのうち所定の電波強度レベルを選択可能な構成とすることが好適である。これにより、送信機と複数の受信機との間で通信を行う際に、通信電波の干渉をより抑制することができる。
【0054】
複数の受信機200は、無線通信におけるデータ通信の送信スロットごとに、それぞれ異なる時系列的な電波強度パターンにより無線通信を行うことが可能である。
具体的に、受信機200は、送信機100と通信する際に、一定期間ごとにデータを送受信するための時間枠である通信スロット単位で無線通信を行う。通信スロットは、通信方式や規格によって異なり、例えばBluetooth(登録商標)では1.25m秒の倍数単位で設定され、Wi-Fiでは10m秒の倍数単位で設定される場合が多い。
本開示においては、受信機200は、電波強度レベルの配列の要素ごとに、通信スロットを割り当て、無線信号を送信する。受信機200は、第1スロットにおいてLv1、第2スロットにおいてLv3、第3スロットにおいてLv5、第4スロットにおいてLv2、第5スロットにおいてLv4の電波強度レベルで無線信号を送信する。
なお、受信機200は、スロット単位ではなく、パケット単位、フレーム単位で電波強度レベルを制御しても良い。これにより、スロット単位、パケット単位、フレーム単位で通信電波の干渉を抑制することができる。
【0055】
複数の受信機200は、それぞれの受信機200に対して割り当てられた個体識別情報に応じた異なる時系列的な電波強度パターンにより、それぞれの受信機の干渉を抑制するように無線通信を行うことが可能である。
具体的に、受信機200は、自身に割り当てられた個体識別番号に応じて、複数の電波強度パターンのうち所定の電波強度パターンを選択し、当該電波強度パターンに従った時系列的な電波強度に基づき、無線信号を送信する。例えば、受信機200は、0~15の16個の独立した個体識別番号のうち、所定の個体識別番号が割り当てられているものとする。
例えば、個体識別番号が0の受信機200は、電波強度パターンAに従った電波強度で無線信号を送信する。個体識別番号が1の受信機200は、電波強度パターンBに従った電波強度で無線信号を送信する。個体識別番号が1の受信機200は、電波強度パターンCに従った電波強度で無線信号を送信する。電波強度パターンA、B、Cはそれぞれ異なる時系列的な電波強度パターンであるとする。
これにより、送信機と複数の受信機との間で通信を行う際に、通信電波の干渉を抑制することができる。
【0056】
複数の受信機200の個体識別番号は、送信機100と複数の受信機200との通信接続が行われたタイミングで、送信機により割り当てられる。
具体的に、受信機200の個体識別番号は、送信機100との無線通信の通信確率時(ハンドシェイク時)に、送信機100から割り当てられる構成としても良い。例えば、送信機100は、複数の受信機200ごとにユニークな個体識別番号を割り当てる。
なお、無線通信における通信確立時のハンドシェイクとは、送信機100と受信機200が通信を開始する前に交換する信号のことを指す。この信号交換によって、双方が通信可能な状態になるための手続きが行われる。具体的には、送信機100が「通信を開始したい」という信号を受信機200に送信し、受信機200がその信号を受け取ると、受信機200が応答信号を返す。この応答信号を受け取った送信機100は、通信が確立したと判断し、データの送信を開始する。このようなハンドシェイクによって、双方が通信可能な状態になり、データの送受信が始まる
【0057】
<第二実施形態>
複数の受信機200は、時系列的にそれぞれの受信機ごとに独立した確率に応じて定まる電波強度で無線通信を行う。複数の受信機200は、それぞれの受信機200が時系列的にランダムな電波強度で無線通信を行うこととしても良い。
具体的に、受信機200は、無線信号を送信する際に、例えば所定期間(1m秒)ごとに、Lv1、Lv3、Lv5、Lv2、LV4・・・のうち所定の電波強度レベルを確率的に選択し、当該選択された電波強度レベルで無線信号を送信する。例えば、選択される確率は、全ての電波強度レベルで均等(ランダム)であっても良いし、電波強度レベルごとに選択される確率に偏りがあっても良い。例えば、Lv1は選択されにくいといったものであっても良い。なお、第二実施形態においても、選択される電波強度レベルは3段階以上の電波強度レベルのうち所定の電波強度レベルが選択される構成としても良い。
受信機200は、無線通信におけるデータ通信の送信スロットごとに、電波強度レベルを確率的に選択し、当該選択した電波強度レベルで無線信号を送信する。なお、受信機200は、スロット単位ではなく、パケット単位、フレーム単位で電波強度レベルを制御しても良い。なお、複数の受信機200は、それぞれの受信機ごとに独立して電波強度レベルを選択する。これにより、複数の受信機200が選択する無線信号の強度レベルが重複することを避けることができる。
これにより、複数の受信機200から近接する周波数帯を利用して無線信号を送信した場合も、電波強度レベルが高い1の受信機200から送信された無線信号については、送信機100との間で通信を確実に成功させることができる。また、違うタイミングにおいて他の受信機200から送信された無線信号は、1の受信機200から送信された無線信号よりも電波強度レベルが高くなることがあることから、他の受信機200についても送信機100との間で通信を成功させることができる。つまり、複数の全ての受信機200が送信機100と通信できない状態となることを避けることができる。
これにより、送信機と複数の受信機との間で通信を行う際に、通信電波の干渉を抑制することができる。
【0058】
第一実施形態において、複数の受信機200ではなく単数の受信機200において、時系列的に異なる電波強度、電波強度パターンにより、無線通信を行っても良い。
第二実施形態において、複数の受信機200ではなく単数の受信機200において、独立した確率に応じて定まる電波強度で無線通信を行っても良い。単数の受信機200は、時系列的にランダムな電波強度で無線通信を行うこととしても良い。
これにより、単数の受信機200の場合においても、WPTシステム1以外の他の無線機器との通信電波の干渉を抑制することができる。
【0059】
<第三実施形態>
複数の受信機200は、送信機100との通信に失敗した場合に、送信機に対してそれぞれ異なる電波強度でそれぞれの受信機200の干渉を抑制するように無線信号を送信する制御を実行する。
具体的に、受信機200は、送信機100に対して送信した無線信号に対して、送信機100から適切な応答が得られなかった場合に送信機100との通信に失敗したと判定する。その他、受信機200は、送信機100に対して無線信号を送信した後、例えば一定期間以内に応答がないなどの所定条件を満たした場合に通信に失敗したと判定しても良い。通信失敗の条件は、任意の条件を定めることが可能である。
受信機200は、送信機100との通信に失敗したと判定した場合に、第一実施形態、第二実施形態にかかる無線通信にかかる電波制御を所定期間に渡って実行する。例えば、受信機200は、所定期間(干渉抑制制御実施期間)に渡って第一実施形態、第二実施形態にかかる無線通信にかかる電波制御(干渉抑制制御)を実行しても良い。
干渉抑制制御期間は、高い応答性が求められるFA機器、ロボット機器等に用いられる受信機の場合は、1ミリ秒~50ミリ秒、特に5ミリ秒~50ミリ秒が好適である。干渉抑制制御期間は、監視用のセンサに用いられる受信機の場合は、数十ミリ秒~1秒程度でも構わない。
なお、第1情報処理装置は、干渉抑制制御期間にわたって、干渉抑制制御を実施した場合において、通信失敗が解消しない場合には、所定の管理者へメッセージを通知する。例えば、干渉抑制制御期間にわたって、通信失敗が解消しない場合には、FA機器、ロボット機器が設置されている生産ラインのオペレータ、作業者等へメッセージを通知する。また、所定の警告等を点灯させることにより通知しても良い。これにより、生産ラインのオペレータは、受信機200が適切に通信が行えていないことを確認することができる。具体的に、生産ラインのオペレータは、受信機200が適切に通信を行えるように、設置環境の変更などを行うことができる。
これにより、送信機と複数の受信機との間で通信に失敗した場合においても、リトライ時の再干渉を抑制することができ、遅延なく送信機と複数の受信機との間の通信を行うことができる。例えば、複数の受信機200が同じ電波強度でリトライを繰り返してしまうと、それぞれの無線電波が干渉し、複数の全ての受信機200が送信機100と通信できない状態となってしまう。
【0060】
複数の受信機200は、送信機100との通信に失敗した場合に、失敗回数に応じて、送信機に対してそれぞれ異なる電波強度で無線通信を行う制御を実行する。
具体的に、受信機200は、送信機100との通信に失敗したと判定した場合に、失敗回数をカウントする。受信機200は、失敗回数が所定回数以上になった場合に、第一実施形態、第二実施形態にかかる無線通信にかかる電波制御を実行する。具体的に、受信機200は、失敗回数に応じて異なる電波強度パターンが記憶されたテーブル等を参照することにより、失敗回数に応じた電波強度パターンを選択する。例えば、テーブルには、失敗回数1回、2回、3回のそれぞれに、パターンA、パターンB、パターンCが記憶されているものとする。なお、テーブルを用いる必要は必ずしもなく、所定のルールに応じて失敗回数に応じて電波強度パターンが選択される構成としても良い。
また、受信機200は、失敗回数が多いほど他の受信機200に比べて優先度が高い電波強度パターンが選択される構成としても良い。例えば、受信機200は、失敗回数が多いほど、電波強度レベルの平均が高い電波強度パターンが選択される構成としても良い。また、電波強度レベルの平均が高いランダムな電波強度で無線信号を送信する構成としても良い。これにより、失敗回数が多い受信機200ほど、送信機100と通信しやすい状態となり、他の受信機200に比べて優遇される構成とすることができる。失敗回数が多い受信機200ほど、送信機100との無線通信を優遇したい場合が多いためである。
【0061】
例えば、受信機200は、失敗回数に応じて、異なる時系列的な電波強度パターンにより、無線通信にかかる電波制御を実行しても良い。具体的に、受信機200は、複数の時系列的な電波強度パターンのうち、失敗回数に応じて所定の電波強度パターンを選択し、当該所定の電波強度パターンにより、無線通信にかかる電波制御を実行しても良い。
例えば、受信機200は、失敗回数に応じて、異なる確率分布に応じて定まる電波強度で、無線通信にかかる電波制御を実行しても良い。具体的に、受信機200は、複数の確率分布のうち、失敗回数に応じて所定の確率分布を選択し、当該所定の確率分布に応じて定まる電波強度で、無線通信にかかる電波制御を実行しても良い。
例えば、受信機200は、それぞれの受信機200に対して割り当てられた個体識別情報および失敗回数に応じた異なる時系列的な電波強度パターンにより、無線通信にかかる電波制御を実行しても良い。
【0062】
<コンピュータの基本ハードウェア構成>
図3は、コンピュータ90の基本的なハードウェア構成を示すブロック図である。コンピュータ90は、プロセッサ901、主記憶装置902、補助記憶装置903、通信IF991(インタフェース、Interface)を少なくとも備える。これらは通信バス921により相互に電気的に接続される。
【0063】
プロセッサ901とは、プログラムに記述された命令セットを実行するためのハードウェアである。プロセッサ901は、演算装置、レジスタ、周辺回路等から構成される。
【0064】
主記憶装置902とは、プログラム、及びプログラム等で処理されるデータ等を一時的に記憶するためのものである。例えば、DRAM(Dynamic Random Access Memory)等の揮発性のメモリである。
【0065】
補助記憶装置903とは、データ及びプログラムを保存するための記憶装置である。例えば、フラッシュメモリ、HDD(Hard Disc Drive)、光磁気ディスク、CD-ROM、DVD-ROM、半導体メモリ等である。
【0066】
通信IF991とは、有線又は無線の通信規格を用いて、他のコンピュータとネットワークを介して通信するための信号を入出力するためのインタフェースである。
ネットワークは、インターネット、LAN、無線基地局等によって構築される各種移動通信システム等で構成される。例えば、ネットワークには、3G、4G、5G移動通信システム、LTE(Long Term Evolution)、所定のアクセスポイントによってインターネットに接続可能な無線ネットワーク(例えばWi-Fi(登録商標))等が含まれる。無線で接続する場合、通信プロトコルとして例えば、Z-Wave(登録商標)、ZigBee(登録商標)、Bluetooth(登録商標)等が含まれる。有線で接続する場合は、ネットワークには、USB(Universal Serial Bus)ケーブル等により直接接続するものも含む。
【0067】
なお、各ハードウェア構成の全部または一部を複数のコンピュータ90に分散して設け、ネットワークを介して相互に接続することによりコンピュータ90を仮想的に実現することができる。このように、コンピュータ90は、単一の筐体、ケースに収納されたコンピュータ90だけでなく、仮想化されたコンピュータシステムも含む概念である。
【0068】
<コンピュータ90の基本機能構成>
コンピュータ90の基本ハードウェア構成(図3)により実現されるコンピュータの機能構成を説明する。コンピュータは、制御部、記憶部、通信部の機能ユニットを少なくとも備える。
【0069】
なお、コンピュータ90が備える機能ユニットは、それぞれの機能ユニットの全部または一部を、ネットワークで相互に接続された複数のコンピュータ90に分散して設けても実現することができる。コンピュータ90は、単一のコンピュータ90だけでなく、仮想化されたコンピュータシステムも含む概念である。
【0070】
制御部は、プロセッサ901が補助記憶装置903に記憶された各種プログラムを読み出して主記憶装置902に展開し、当該プログラムに従って処理を実行することにより実現される。制御部は、プログラムの種類に応じて様々な情報処理を行う機能ユニットを実現することができる。これにより、コンピュータは情報処理を行う情報処理装置として実現される。
【0071】
記憶部は、主記憶装置902、補助記憶装置903により実現される。記憶部は、データ、各種プログラム、各種データベースを記憶する。また、プロセッサ901は、プログラムに従って記憶部に対応する記憶領域を主記憶装置902または補助記憶装置903に確保することができる。また、制御部は、各種プログラムに従ってプロセッサ901に、記憶部に記憶されたデータの追加、更新、削除処理を実行させることができる。
【0072】
データベースは、リレーショナルデータベースを指し、行と列によって構造的に規定された表形式のテーブル、マスタと呼ばれるデータ集合を、互いに関連づけて管理するためのものである。データベースでは、表をテーブル、マスタ、表の列をカラム、表の行をレコードと呼ぶ。リレーショナルデータベースでは、テーブル、マスタ同士の関係を設定し、関連づけることができる。
通常、各テーブル、各マスタにはレコードを一意に特定するための主キーとなるカラムが設定されるが、カラムへの主キーの設定は必須ではない。制御部は、各種プログラムに従ってプロセッサ901に、記憶部に記憶された特定のテーブル、マスタにレコードを追加、削除、更新を実行させることができる。
また、記憶部に、データ、各種プログラム、各種データベースを記憶させることにより、本開示にかかる情報処理装置、情報処理システムが製造されたものとして捉えることができる。
【0073】
なお、本開示におけるデータベース、マスタは、情報が構造的に規定された任意のデータ構造体(リスト、辞書、連想配列、オブジェクトなど)を含み得る。データ構造体には、データと、任意のプログラミング言語により記述された関数、クラス、メソッドなどを組み合わせることにより、データ構造体と見なし得るデータも含むものとする。
【0074】
通信部は、通信IF991により実現される。通信部は、ネットワークを介して他のコンピュータ90と通信を行う機能を実現する。通信部は、他のコンピュータ90から送信された情報を受信し、制御部へ入力することができる。制御部は、各種プログラムに従ってプロセッサ901に、受信した情報に対する情報処理を実行させることができる。また、通信部は、制御部から出力された情報を他のコンピュータ90へ送信することができる。
【0075】
<付記>
以上の各実施形態で説明した事項を以下に付記する。
【0076】
(付記1)
少なくとも1台の送信機と、複数の受信機から構成される無線給電システムにおいて、送信機(100)は、複数の受信機に対して無線により電力供給が可能であり、複数の受信機(200)は、それぞれ異なる時系列的な電波強度により、それぞれの受信機の干渉を抑制するように、送信機に対して無線通信を行うことが可能である、無線給電システム。
これにより、送信機と複数の受信機との間で通信を行う際に、通信電波の干渉を抑制することができる。
【0077】
(付記2)
複数の受信機(200)は、受信機が備えるセンシングデバイスが取得したセンシングデータを送信機へ無線通信を介して送信可能な、付記1記載の無線給電システム。
これにより、受信機が備えるセンサ等のセンシングデバイスによりセンシングされたデータを、通信電波の干渉を抑制することにより、低遅延で送信機は取得することができる。
【0078】
(付記3)
複数の受信機(200)は、それぞれ異なる時系列的な電波強度パターンにより無線通信を行うことが可能な、付記1または2記載の無線給電システム。
これにより、送信機と複数の受信機との間で通信を行う際に、通信電波の干渉をより確実に抑制することができる。
【0079】
(付記4)
複数の受信機(200)は、それぞれ3段階以上の異なる電波強度レベルのうち所定の電波強度レベルの時系列的に連続する組み合わせからなる電波強度パターンにより無線通信を行うことが可能な、付記1から3のいずれか記載の無線給電システム。
これにより、送信機と複数の受信機との間で通信を行う際に、通信電波の干渉をより確実に抑制することができる。
【0080】
(付記5)
複数の受信機(200)は、無線通信におけるデータ通信の送信スロットごとに、それぞれ異なる時系列的な電波強度パターンにより無線通信を行うことが可能な、付記1から4のいずれか記載の無線給電システム。
これにより、送信機と複数の受信機との間で通信を行う際に、通信スロット単位で通信電波の干渉を抑制することができる。
【0081】
(付記6)
複数の受信機(200)は、それぞれの受信機に割り当てられた個体識別情報に応じた異なる時系列的な電波強度パターンにより、それぞれの受信機の干渉を抑制するように無線通信を行うことが可能な、付記1から5のいずれか記載の無線給電システム。
これにより、送信機と複数の受信機との間で通信を行う際に、通信電波の干渉を抑制することができる。
【0082】
(付記7)
複数の受信機の個体識別番号は、送信機と複数の受信機との通信接続が行われたタイミングで、送信機により割り当てられる、付記6記載の無線給電システム。
これにより、送信機と受信機との間で通信接続が行われたタイミングで受信機に割り当てられる個体識別番号に応じて、無線通信を行うことができる。送信機と複数の受信機との間で通信を行う際に、通信電波の干渉を抑制することができる。
【0083】
(付記8)
複数の受信機(200)は、時系列的にそれぞれの受信機ごとに独立した確率に応じて定まる電波強度で無線通信を行うことが可能な、付記1または2記載の無線給電システム。
これにより、送信機と複数の受信機との間で通信を行う際に、通信電波の干渉を抑制することができる。
【0084】
(付記9)
複数の受信機(200)は、それぞれの受信機が時系列的にランダムな電波強度で無線通信を行うことが可能な、付記8記載の無線給電システム。
これにより、送信機と複数の受信機との間で通信を行う際に、通信電波の干渉を抑制することができる。
【0085】
(付記10)
複数の受信機(200)は、送信機との通信に失敗した場合に、それぞれ異なる電波強度でそれぞれの受信機の干渉を抑制するように送信機に対して無線通信を行う制御を実行する、付記1から9のいずれか記載の無線給電システム。
これにより、送信機と複数の受信機との間で通信に失敗した場合においても、リトライ時の再干渉を抑制することができ、遅延なく送信機と複数の受信機との間の通信を行うことができる。
【0086】
(付記11)
複数の受信機(200)は、送信機との通信に失敗した場合に、失敗回数に応じて、それぞれ異なる電波強度で送信機に対して無線通信を行う制御を実行する、付記10記載の無線給電システム。
これにより、送信機と複数の受信機との間で通信に失敗した場合においても、リトライ時の再干渉を抑制することができ、遅延なく送信機と複数の受信機との間の通信を行うことができる。
【0087】
(付記12)
複数の受信機(200)は、送信機との通信に失敗した場合に、失敗回数が多いほど、より電波強度の平均が大きな電波強度により無線通信を行う制御を実行する、付記11記載の無線給電システム。
これにより、失敗回数が多い受信機200ほど、送信機100と通信しやすい状態となり、他の受信機200に比べて優遇することができる。
【0088】
(付記13)
複数の受信機(200)は、送信機との通信に失敗した場合に、それぞれ異なる電波強度でそれぞれの受信機の干渉を抑制するように送信機に対して無線通信を行う制御を所定期間にわたって実行し、所定期間において送信機との通信失敗が解消しない場合には、所定の管理者に対して通知が行われる、付記10記載の無線給電システム。
これにより、生産ラインのオペレータは、受信機200が適切に通信が行えていないことを確認することができる。
【0089】
(付記14)
FAまたはロボット機器の無線電力の送受信に用いられる、付記1から13のいずれか一項記載の無線給電システム。
送信機と受信機との間で干渉を抑制しつつ、低遅延の無線通信を確立することができる。これにより、FA(Factory Automation)、ロボット機器等の制御などのリアルタイム性が要求される技術領域においても、低遅延でFA、ロボット機器等を制御することができる。
【符号の説明】
【0090】
1 WPTシステム、300 第1情報処理装置、3001 記憶部、3004 制御部、3006 入力装置、3008 出力装置、400 第2情報処理装置、4001 記憶部、4004 制御部、4006 入力装置、4008 出力装置、100 送信機、200 受信機
図1
図2
図3
【手続補正書】
【提出日】2023-08-22
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1台の送信機と、複数の受信機から構成される無線給電システムにおいて、
前記送信機は、前記複数の受信機に対して無線により電力供給が可能であり、
前記複数の受信機は、それぞれ異なる時系列的な電波強度により、それぞれの受信機の干渉を抑制するように、前記送信機に対して無線通信を行うことが可能であり、
前記複数の受信機は、時系列的にそれぞれの受信機ごとに独立した確率に応じて定まる電波強度で無線通信を行うことが可能な、
無線給電システム。
【請求項2】
前記複数の受信機は、それぞれの受信機が時系列的にランダムな電波強度で無線通信を行うことが可能な、請求項1記載の無線給電システム。
【請求項3】
少なくとも1台の送信機と、複数の受信機から構成される無線給電システムにおいて、
前記送信機は、前記複数の受信機に対して無線により電力供給が可能であり、
前記複数の受信機は、それぞれ異なる時系列的な電波強度により、それぞれの受信機の干渉を抑制するように、前記送信機に対して無線通信を行うことが可能であり、
前記複数の受信機は、それぞれ3段階以上の異なる電波強度レベルのうち所定の電波強度レベルの時系列的に連続する組み合わせからなる電波強度パターンにより無線通信を行うことが可能な、
無線給電システム。
【請求項4】
少なくとも1台の送信機と、複数の受信機から構成される無線給電システムにおいて、
前記送信機は、前記複数の受信機に対して無線により電力供給が可能であり、
前記複数の受信機は、それぞれ異なる時系列的な電波強度により、それぞれの受信機の干渉を抑制するように、前記送信機に対して無線通信を行うことが可能であり、
前記複数の受信機は、無線通信におけるデータ通信の送信スロットごとに、それぞれ異なる時系列的な電波強度パターンにより無線通信を行うことが可能な、
無線給電システム。
【請求項5】
少なくとも1台の送信機と、複数の受信機から構成される無線給電システムにおいて、
前記送信機は、前記複数の受信機に対して無線により電力供給が可能であり、
前記複数の受信機は、それぞれ異なる時系列的な電波強度により、それぞれの受信機の干渉を抑制するように、前記送信機に対して無線通信を行うことが可能であり、
前記複数の受信機は、それぞれの受信機に割り当てられた個体識別情報に応じた異なる時系列的な電波強度パターンにより、それぞれの受信機の干渉を抑制するように無線通信を行うことが可能な、
無線給電システム。
【請求項6】
前記複数の受信機の個体識別番号は、前記送信機と前記複数の受信機との通信接続が行われたタイミングで、前記送信機により割り当てられる、請求項5記載の無線給電システム。
【請求項7】
少なくとも1台の送信機と、複数の受信機から構成される無線給電システムにおいて、
前記送信機は、前記複数の受信機に対して無線により電力供給が可能であり、
前記複数の受信機は、それぞれ異なる時系列的な電波強度により、それぞれの受信機の干渉を抑制するように、前記送信機に対して無線通信を行うことが可能であり、
前記複数の受信機は、前記送信機との通信に失敗した場合に、それぞれ異なる電波強度でそれぞれの受信機の干渉を抑制するように前記送信機に対して無線通信を行う制御を実行する、
無線給電システム。
【請求項8】
前記複数の受信機は、前記送信機との通信に失敗した場合に、失敗回数に応じて、それぞれ異なる電波強度で前記送信機に対して無線通信を行う制御を実行する、請求項7記載の無線給電システム。
【請求項9】
前記複数の受信機は、前記送信機との通信に失敗した場合に、失敗回数が多いほど、より電波強度の平均が大きな電波強度により無線通信を行う制御を実行する、請求項8記載の無線給電システム。
【請求項10】
前記複数の受信機は、前記送信機との通信に失敗した場合に、それぞれ異なる電波強度でそれぞれの受信機の干渉を抑制するように前記送信機に対して無線通信を行う制御を所定期間にわたって実行し、
前記所定期間において前記送信機との通信失敗が解消しない場合には、所定の管理者に対して通知が行われる、請求項7記載の無線給電システム。
【請求項11】
前記複数の受信機は、前記受信機が備えるセンシングデバイスが取得したセンシングデータを前記送信機へ前記無線通信を介して送信可能な、
請求項1から10のいずれか一項に記載の無線給電システム。
【請求項12】
前記複数の受信機は、それぞれ異なる時系列的な電波強度パターンにより無線通信を行うことが可能な、
請求項1から10のいずれか一項に記載の無線給電システム。