(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024158230
(43)【公開日】2024-11-08
(54)【発明の名称】センサ
(51)【国際特許分類】
G01L 9/00 20060101AFI20241031BHJP
H01L 29/84 20060101ALI20241031BHJP
B81B 3/00 20060101ALI20241031BHJP
【FI】
G01L9/00 303A
H01L29/84 B
B81B3/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023073254
(22)【出願日】2023-04-27
(71)【出願人】
【識別番号】000116024
【氏名又は名称】ローム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】櫻木 正広
【テーマコード(参考)】
2F055
3C081
4M112
【Fターム(参考)】
2F055AA40
2F055BB20
2F055CC02
2F055DD05
2F055EE14
2F055FF21
2F055GG11
3C081AA01
3C081AA13
3C081BA04
3C081BA22
3C081BA32
3C081BA45
3C081BA48
3C081CA02
3C081CA14
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3C081CA28
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3C081CA32
3C081CA42
3C081DA03
3C081DA22
3C081DA28
3C081DA43
3C081EA03
4M112AA01
4M112BA01
4M112CA03
4M112CA09
4M112CA12
4M112CA13
4M112CA14
4M112DA03
4M112DA06
4M112DA10
4M112DA11
4M112DA18
4M112EA03
4M112EA06
4M112EA07
(57)【要約】
【課題】キャビティの底面へのメンブレンの接触を抑制可能なセンサを提供する。
【解決手段】センサ(100)は、基板(10)を備える。基板の内部には、キャビティ(13)が形成されている。基板は、キャビティの底面と間隔を空けて対向しているメンブレン(14)を有する。キャビティの平面視における中央部には、第1凹部(13a)が形成されている。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を備え、
前記基板の内部には、キャビティが形成されており、
前記基板は、前記キャビティの底面と間隔を空けて対向しているメンブレンを有し、
前記キャビティの平面視における中央部には、第1凹部が形成されている、センサ。
【請求項2】
前記第1凹部は、平面視において矩形である、請求項1に記載のセンサ。
【請求項3】
前記第1凹部は、平面視において円形である、請求項1に記載のセンサ。
【請求項4】
前記第1凹部の側面は、前記第1凹部の底面に近づくにつれて前記第1凹部の幅が小さくなるように傾斜している、請求項1に記載のセンサ。
【請求項5】
前記第1凹部の周囲にある前記キャビティの底面と前記メンブレンとの間の距離は、前記基板の厚さの0.05倍以下であり、
前記第1凹部の底面と前記メンブレンとの間の距離は、前記基板の厚さの0.075倍以上である、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のセンサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、センサに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば特開2021-25966号公報(特許文献1)には、MEMS(Micro Electro Mechanical System)センサが記載されている。特許文献1に記載のMEMSセンサは、基板を有している。基板は、第1基板と、第2基板とを有している。第1基板及び第2基板は、単結晶のシリコンで形成されている。第1基板は、第1面と、第2面とを有している。第1面及び第2面は、第1基板の厚さ方向における端面である。第2面には、キャビティが形成されている。キャビティは、第1面に向かって凹んでいる。第2基板は、第2面上に配置されている。このように、キャビティは、基板の内部に形成されている。第1基板及び第2基板は、互いに接合されている。キャビティの底面と間隔を空けて対向している第2基板の部分は、メンブレン(ダイアフラム)を構成している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載のMEMSセンサでは、外部の圧力によりメンブレンが撓むことにより動作する。特許文献1に記載のMEMSセンサでは、通常の使用状態における圧力によりメンブレンとキャビティの底面とが接触しないように、キャビティの深さが設計されている。しかしながら、例えばブレードを用いたダイシング工程で使用される水の圧力や基板実装時の洗浄、超音波洗浄、ブロー等によりメンブレンがキャビティの底面に接触してしまうことがある。このようなキャビティの底面へのメンブレンの接触は、メンブレンを損傷させる原因となる。
【0005】
本開示は、上記のような従来技術の問題点に鑑みてなされたものである。より具体的には、本開示は、キャビティの底面へのメンブレンの接触を抑制可能なセンサを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示のセンサは、基板を備える。基板の内部には、キャビティが形成されている。基板は、キャビティの底面と間隔を空けて対向しているメンブレンを有する。キャビティの平面視における中央部には、第1凹部が形成されている。
【発明の効果】
【0007】
本開示のセンサによると、キャビティの底面へのメンブレンの接触を抑制可能である。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図3】
図2中のIII-IIIにおける断面図である。
【
図4】変形例1に係るセンサ100の断面図である。
【
図5】変形例2に係るセンサ100の断面図である。
【
図6】変形例3に係るセンサ100の断面図である。
【
図7】変形例4に係るセンサ100の断面図である。
【
図9】ハードマスク形成工程S2を説明する断面図である。
【
図10】レジストパターン形成工程S3を説明する断面図である。
【
図11】第1エッチング工程S4を説明する断面図である。
【
図12】第2エッチング工程S5を説明する断面図である。
【
図13】第3エッチング工程S6を説明する断面図である。
【
図14】基板貼り付け工程S7を説明する断面図である。
【
図15】第1絶縁膜形成工程S8を説明する断面図である。
【
図16】第1イオン注入工程S9を説明する断面図である。
【
図17】第2絶縁膜形成工程S10を説明する断面図である。
【
図18】コンタクトホール形成工程S11を説明する断面図である。
【
図19】第2イオン注入工程S12を説明する断面図である。
【
図20】パッド形成工程S13を説明する断面図である。
【
図21】保護膜形成工程S14を説明する断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本開示の実施形態を、図面を参照しながら説明する。以下の図面では、同一又は相当する部分に同一の参照符号を付し、重複する説明は繰り返さないものとする。実施形態に係るセンサを、センサ100とする。
【0010】
(センサ100の構成)
以下に、センサ100の構成を説明する。
【0011】
図1は、センサ100の平面図である。
図1中では、保護膜40の図示が省略されている。
図2は、
図1中のII-IIにおける断面図である。
図3は、
図2中のIII-IIIにおける断面図である。
図1から
図3に示されているように、センサ100は、基板10と、絶縁膜20と、複数のパッド31と、パッド32と、保護膜40とを有している。
【0012】
基板10は、第1面10aと、第2面10bとを有している。第1面10a及び第2面10bは、基板10の厚さ方向における両端面である。基板10は、例えば、第1基板11と、第2基板12とを有している。第1基板11及び第2基板12の構成材料は、例えば、単結晶のシリコンである。第1基板11の導電型及び第2基板12の導電型は、第1導電型である。第1導電型は、例えばn型である。
【0013】
第1基板11は、第1面11aと、第2面11bとを有している。第1面11a及び第2面11bは、第1基板11の厚さ方向における両端面である。第1面11aは、第1面10aを構成している。第2基板12は、第2面11b上に配置されている。第1基板11及び第2基板12は、互いに接合されている。
【0014】
第2面11bには、キャビティ13が形成されている。キャビティ13は、平面視において、矩形である。ここで、「矩形」には、角部が丸まっている場合が含まれる。第2面11bは、キャビティ13において、第1面11a(第1面10a)に向かって凹んでいる。上記のとおり、第2面11b上には第2基板12が配置されているため、キャビティ13は、基板10の内部に形成されていることになる。
【0015】
キャビティ13の底面には、第1凹部13aが形成されている。第1凹部13aは、平面視において矩形である。キャビティ13の底面は、第1凹部13aにおいて、第1面11a(第1面10a)に向かって凹んでいる。
【0016】
第2基板12は、メンブレン14を有している。メンブレン14は、キャビティ13の底面と間隔を空けて対向している第2基板12の部分である。メンブレン14とキャビティ13の底面との間の距離は、基板10の厚さの0.05倍以下であることが好ましい。メンブレン14と第1凹部13aの底面との間の距離は、基板10の厚さの0.075倍以上であることが好ましい。
【0017】
メンブレン14には、複数の抵抗15が形成されている。抵抗15は、第2面10bに形成されている。抵抗15は、ドーパントを注入することにより形成されている。抵抗15の導電型は、第2導電型である。第2導電型は、例えばp型である。
図1に示されている例では、複数の抵抗15の数は、4つである。複数の抵抗15の各々は、平面視において、メンブレン14の各辺に沿うように、メンブレン14の外周縁部に配置されている。
【0018】
基板10には、複数の配線16がさらに形成されている。配線16は、第2面10bに形成されている。配線16は、主としてメンブレン14以外に配置されている。配線16は、ドーパントを注入することにより形成されている。配線16の導電型は、第2導電型である。
【0019】
配線16は、第1部分16aと、2つの第2部分16bとを有している。第1部分16aの一方端部は、コンタクト16cに電気的に接続されている。コンタクト16cは、ドーパントを注入することにより形成されている。コンタクト16cの導電型は、第2導電型である。コンタクト16cは、平面視において、パッド31に重なっている。
【0020】
配線16は、第1部分16aの一方端部において、2つの第2部分16bに分岐している。第2部分16bの1つは複数の抵抗15のうちの1つに電気的に接続されており、第2部分16bの他の1つは複数の抵抗15のうちの他の1つに電気的に接続されている。このようにして、複数の抵抗15は、複数の配線16で接続することにより、ブリッジ回路を構成している。
【0021】
基板10には、配線17がさらに形成されている。配線17は、第2面10bに形成されている。配線17は、メンブレン14以外に配置されている。配線17は、ドーパントを注入することにより形成されている。配線17の導電型は、第1導電型である。配線17は、第1部分17aと、第2部分17bとを有している。第1部分17aは、平面視において環状に形成されている。第2部分17bの一方端部は、第1部分17aに電気的に接続されている。第2部分17bの他方端部は、コンタクト17cに電気的に接続されている。コンタクト17cは、ドーパントを注入することにより形成されている。コンタクト17cの導電型は、第1導電型である。コンタクト17cは、平面視において、パッド32と重なっている。
【0022】
絶縁膜20は、第2面10b上に配置されている。絶縁膜20は、例えば、第1絶縁膜21と、第2絶縁膜22とを有している。第1絶縁膜21は、第2面10b上に配置されている。第2絶縁膜22は、第1絶縁膜21上に配置されている。第1絶縁膜21及び第2絶縁膜22は、例えば、シリコン酸化物で形成されている。絶縁膜20には、コンタクトホール20aが形成されている。図示されていないが、絶縁膜20には、コンタクトホール20bが形成されている。コンタクトホール20a及びコンタクトホール20bは、絶縁膜20を厚さ方向に沿って貫通している。コンタクトホール20a及びコンタクトホール20bからは、それぞれ、コンタクト16c及びコンタクト17cが露出している。
【0023】
パッド31は、絶縁膜20上に配置されている。パッド31は、コンタクトホール20aに埋め込まれることにより、コンタクト16cに電気的に接続されている。パッド32は、絶縁膜20上に配置されている。パッド32は、コンタクトホール20bに埋め込まれることにより、コンタクト17cに電気的に接続されている。複数のパッド31及びパッド32は、例えば、平面視において1列をなすように並んでいる。
【0024】
抵抗15に電気的に接続されている一対のパッド31には、例えば、電源電圧が供給されている。外部の圧力(例えば、気圧)が変化すると、キャビティ13の内部の圧力との差に起因して、メンブレン14が撓む。メンブレン14の撓むと、抵抗15の電気抵抗値が変化する。抵抗15の電気抵抗値が変化すると、抵抗15に電気的に接続されている一対のパッド31の間の電圧が変化する。センサ100は、この電圧の変化を検知することで、外部の圧力を検知可能である。すなわち、センサ100は、例えば気圧センサ等の圧力センサである。基板10には、パッド32を介して、例えば基板電位が供給される。
【0025】
保護膜40は、複数のパッド31及びパッド32を覆うように絶縁膜20上に配置されている。保護膜40には、複数の開口部40aが形成されている。図示されていないが、保護膜40には、開口部40bが形成されている。開口部40a及び開口部40bは、保護膜40を厚さ方向に沿って貫通している。複数の開口部40aの各々からは、複数のパッド31の各々が露出している。開口部40bからは、パッド32が露出している。保護膜40は、例えばシリコン窒化物により形成されている。
【0026】
(変形例1)
図4は、変形例1に係るセンサ100の断面図である。
図4には、
図3に対応する位置における断面が示されている。
図4に示されているように、キャビティ13及び第1凹部13aは、平面視において、円形であってもよい。すなわち、キャビティ13の平面形状及び第1凹部13aの平面形状は、特に限定されない。
【0027】
(変形例2及び変形例3)
図5は、変形例2に係るセンサ100の断面図である。
図6は、変形例3に係るセンサ100の断面図である。
図5及び
図6には、
図2に対応する位置における断面が示されている。
図5及び
図6に示されているように、第1凹部13aの側面は、第1凹部13aの底面に近づくにつれて第1凹部13aの幅が小さくなるように傾斜していてもよい。
図6に示されているように、第1凹部13aの側面の上端は、キャビティ13の側面の下端に連なっていてもよい。
【0028】
(変形例4)
図7は、変形例4に係るセンサ100の断面図である。
図7に示されているように、第1凹部13aの底面の平面視における中央部には、第2凹部13bが形成されていてもよい。第1凹部13aの底面は、第2凹部13bにおいて、第1面11a(第1面10a)に向かって凹んでいる。上記においては、キャビティ13の底面に2段の凹部を形成する例を示したが、キャビティ13の底面に形成される凹部の段数は、これに限定されるものではなく、例えば3段以上であってもよい。
【0029】
(センサ100の製造方法)
以下に、センサ100の製造方法を説明する。
【0030】
図8は、センサ100の製造工程図である。
図8に示されているように、センサ100の製造方法は、準備工程S1と、ハードマスク形成工程S2と、レジストパターン形成工程S3と、第1エッチング工程S4と、第2エッチング工程S5と、第3エッチング工程S6と、基板貼り付け工程S7と、第1絶縁膜形成工程S8と、第1イオン注入工程S9と、第2絶縁膜形成工程S10と、コンタクトホール形成工程S11と、第2イオン注入工程S12と、パッド形成工程S13と、保護膜形成工程S14と、ダイシング工程S15とを有している。
【0031】
準備工程S1では、第1基板11が準備される。準備工程S1の後には、ハードマスク形成工程S2が行われる。
【0032】
図9は、ハードマスク形成工程S2を説明する断面図である。
図9に示されているように、ハードマスク形成工程S2では、ハードマスク50が形成される。ハードマスク50は、例えば、シリコン酸化物で形成されている。ハードマスク50は、開口部50aを有している。ハードマスク形成工程S2では、第1に、第2面11b上にハードマスク50の構成材料が、例えば熱酸化により成膜される。第2に、成膜されたハードマスク50の構成材料の上に、レジストパターンが形成される。レジストパターンは、フォトレジストを塗布するとともに、塗布されたフォトレジストを露光及び現像することにより形成される。第3に、レジストパターンをマスクとして、成膜されたハードマスク50の構成材料がエッチングされる。ハードマスク形成工程S2の後には、レジストパターン形成工程S3が行われる。
【0033】
図10は、レジストパターン形成工程S3を説明する断面図である。
図10に示されているように、レジストパターン形成工程S3では、ハードマスク50上にレジストパターン51が形成される。レジストパターン51は、開口部51aを有している。開口部50aの開口縁は、開口部51aの開口縁よりも内側にある。レジストパターン51は、フォトレジストをハードマスク50上に塗布するとともに、塗布されたフォトレジストを露光及び現像することにより形成される。レジストパターン形成工程S3の後には、第1エッチング工程S4が行われる。
【0034】
図11は、第1エッチング工程S4を説明する断面図である。
図11に示されているように、第1エッチング工程S4では、ハードマスク50を用いて、第1基板11に対するエッチングが行われる。エッチングは、例えば、異方性のドライエッチングにより行われる。これにより、第2面11bに凹部13cが形成される。第1エッチング工程S4の後には、第2エッチング工程S5が行われる。
【0035】
図12は、第2エッチング工程S5を説明する断面図である。
図12に示されているように、第2エッチング工程S5では、レジストパターン51を用いて、ハードマスク50に対するエッチングが行われる。エッチングは、例えば、異方性のドライエッチングにより行なわれる。これにより、開口部50aの開口縁が、開口部51aの開口縁まで後退する。第2エッチング工程S5の後には、第3エッチング工程S6が行われる。
【0036】
図13は、第3エッチング工程S6を説明する断面図である。
図13に示されているように、第3エッチング工程S6では、ハードマスク50及びレジストパターン51を用いて、第1基板11に対するエッチングが行われる。エッチングは、例えば、異方性のドライエッチングにより行われる。これにより、開口部50a(開口部51a)から露出している第2面11bが掘り下げられ、キャビティ13及び第1凹部13aが形成される。第3エッチング工程S6の後には、ハードマスク50及びレジストパターン51が除去される。第3エッチング工程S6の後には、基板貼り付け工程S7が行われる。
【0037】
図14は、基板貼り付け工程S7を説明する断面図である。
図14に示されているように、基板貼り付け工程S7では、第2基板12が第1基板11(第2面11b)に貼り付けられる。基板貼り付け工程S7では、第1に、第2基板12が第2面11b上に配置される。第2に、第2基板12が、第2面11bに向かって加圧されながら加熱される。これにより、第2基板12が第2面11bに接合される。基板貼り付け工程S7の後には、第1絶縁膜形成工程S8が行われる。
【0038】
図15は、第1絶縁膜形成工程S8を説明する断面図である。
図15に示されているように、第1絶縁膜形成工程S8では、例えば基板10に対する熱酸化が行われることにより、第2面10b上に第1絶縁膜21が形成される。第1絶縁膜形成工程S8の後には、第1イオン注入工程S9が行われる。
【0039】
図16は、第1イオン注入工程S9を説明する断面図である。
図16に示されているように、第1イオン注入工程S9では、イオン注入により、抵抗15、配線16及び配線17が形成される。第1イオン注入工程S9の後には、第2絶縁膜形成工程S10が行われる。
図17は、第2絶縁膜形成工程S10を説明する断面図である。
図17に示されているように、第2絶縁膜形成工程S10では、例えばCVD(Chemical Vapor Deposition)により、第2絶縁膜22が形成される。第2絶縁膜形成工程S10の後には、コンタクトホール形成工程S11が行われる。
【0040】
図18は、コンタクトホール形成工程S11を説明する断面図である。
図18に示されているように、コンタクトホール形成工程S11では、例えば異方性のドライエッチングにより、絶縁膜20にコンタクトホール20aが形成される。図示されていないが、コンタクトホール形成工程S11では、例えば異方性のドライエッチングにより、コンタクトホール20bも形成されることになる。コンタクトホール形成工程S11の後には、第2イオン注入工程S12が行われる。
【0041】
図19は、第2イオン注入工程S12を説明する断面図である。
図19に示されているように、第2イオン注入工程S12では、イオン注入により、コンタクト16cが形成される。図示されていないが、第2イオン注入工程S12では、イオン注入により、コンタクト17cも形成されることになる。第2イオン注入工程S12の後には、パッド形成工程S13が行われる。
【0042】
図20は、パッド形成工程S13を説明する断面図である。
図20に示されているように、パッド形成工程S13では、絶縁膜20上にパッド31が形成される。パッド形成工程S13では、第1に、パッド31の構成材料が、例えばスパッタリングにより、絶縁膜20上に成膜される。この際、パッド31の構成材料は、コンタクトホール20aにも埋め込まれる。第2に、成膜されたパッド31の構成材料の上に、レジストパターンが形成される。レジストパターンは、フォトレジストを塗布するとともに、塗布されたフォトレジストを露光及び現像することにより形成される。第3に、レジストパターンを用いて例えば異方性のドライエッチングを行うことにより、成膜されたパッド31の構成材料がパターンニングされる。図示されていないが、これらの工程により、パッド32も形成されることになる。パッド形成工程S13の後には、保護膜形成工程S14が行われる。
【0043】
図21は、保護膜形成工程S14を説明する断面図である。
図21に示されているように、保護膜形成工程S14では、保護膜40が形成される。保護膜形成工程S14では、第1に、保護膜40の構成材料が、例えばCVDによりパッド31及びパッド32(図示せず)を覆うように成膜される。第2、成膜された保護膜40の構成材料の上に、レジストパターンが形成される。レジストパターンは、フォトレジストを塗布するとともに、塗布されたフォトレジストを露光及び現像することにより形成される。第3に、レジストパターンを用いて例えば異方性のドライエッチングを行うことにより、成膜された保護膜40の構成材料がパターンニングされて開口部40aが形成される。図示されていないが、ドライエッチングにより、開口部40bも形成されることになる。保護膜形成工程S14の後には、ダイシング工程S15が行われる。
【0044】
ダイシング工程S15では、基板10、絶縁膜20及び保護膜40が例えばブレードを用いて切断されることにより、複数のセンサ100に個片化される。ブレードを用いた切断は、例えば水を供給しながら行われる。以上により、
図1から
図3に示されているセンサ100の構造が形成される。
【0045】
(センサ100の効果)
以下に、センサ100の効果を、比較例1に係るセンサ及び比較例2に係るセンサと対比しながら説明する。比較例1に係るセンサをセンサ100Aとし、比較例2に係るセンサをセンサ100Bとする。
【0046】
図22は、センサ100Aの断面図である。
図22には、
図2に対応する位置における断面が示されている。
図22に示されているように、センサ100Aでは、キャビティ13の底面に第1凹部13aが形成されていない。この点を除いて、センサ100Aの構成はセンサ100の構成と共通している。センサ100Aでは、外部の圧力が上昇した際にメンブレン14が撓むが、通常の使用状態における圧力ではメンブレン14がキャビティ13の底面に接触しないようにキャビティ13の深さが設計されている。しかしながら、例えばダイシング工程S15において供給される水により、メンブレン14に通常の使用状態における圧力以上の圧力が加わることがある。その結果、センサ100Aでは、メンブレン14がキャビティ13の底面に接触し、メンブレン14が損傷することがある。
【0047】
他方で、センサ100では、キャビティ13の底面に第1凹部13aが形成されているため、撓み量が大きくなるメンブレン14の平面視における中央部においてキャビティ13の底面との間の距離が部分的に大きくなっている。その結果、センサ100によると、メンブレン14がキャビティ13の底面に接触すること、ひいてはメンブレン14の損傷が抑制されている。
【0048】
図23は、センサ100Bの断面図である。
図23には、
図2に対応する位置における断面が示されている。
図23に示されているように、センサ100Bでは、キャビティ13の深さが、センサ100Aよりも大きくなっている。この点を除いて、センサ100Bの構成は、センサ100Aの構成と共通している。基板10の側面とキャビティ13の側面との間の距離をa、基板10の厚さをb、キャビティ13の底面とメンブレン14との間の距離をcとする(
図21参照)と、横方向の応力に対する応力耐性は、k×a×b÷c(kは定数)で表せる。
【0049】
センサ100Bでは、キャビティ13の深さが大きくなっているため、キャビティ13の底面とメンブレン14との接触及びそれに起因したメンブレン14の損傷を抑制可能である。しかしながら、センサ100Bでは、上記のcの値が大きくなってしまうため、横方向の応力に対する応力耐性が低下してしまう。他方で、センサ100では、上記のa、b及びcの値がセンサ100Aと変わらないため、センサ100Aと同等の横方向の応力に対する応力耐性を示す。このように、センサ100によると、横方向の応力に対する応力耐性を維持しつつ、メンブレン14がキャビティ13の底面に接触することを抑制可能である。
【0050】
メンブレン14とキャビティ13の底面との間の距離が基板10の厚さの0.05倍以下であるとともにメンブレン14と第1凹部13aの底面との間の距離が基板10の厚さの0.075倍以上である場合、横方向の応力に対する応力耐性をさらに確保しつつ、メンブレン14がキャビティ13の底面に接触することをさらに抑制可能である。第1凹部13aの幅が第1凹部13aの側面に近づくにつれて小さくなるように第1凹部13aの側面が傾斜している場合、第1凹部13aの側面と基板10の側面との間にある基板10の厚さをさらに確保することができるため、横方向の応力に対する応力耐性をさらに確保することが可能となる。
【0051】
(付記)
上記の実施形態には、以下の構成が含まれている。
【0052】
<付記1>
基板を備え、
前記基板の内部には、キャビティが形成されており、
前記基板は、前記キャビティの底面と間隔を空けて対向しているメンブレンを有し、
前記キャビティの平面視における中央部には、第1凹部が形成されている、センサ。
【0053】
<付記2>
前記第1凹部は、平面視において矩形である、付記1に記載のセンサ。
【0054】
<付記3>
前記第1凹部は、平面視において円形である、付記1に記載のセンサ。
【0055】
<付記4>
前記第1凹部の側面は、前記第1凹部の底面に近づくにつれて前記第1凹部の幅が小さくなるように傾斜している、付記1から付記3のいずれか1項に記載のセンサ。
【0056】
<付記5>
前記第1凹部の周囲にある前記キャビティの底面と前記メンブレンとの間の距離は、前記基板の厚さの0.05倍以下であり、
前記第1凹部の底面と前記メンブレンとの間の距離は、前記基板の厚さの0.075倍以上である、付記1から付記4のいずれか1項に記載のセンサ。
【0057】
以上のように本開示の実施形態について説明を行ったが、上述の実施形態を様々に変形することも可能である。また、本発明の範囲は、上述の実施形態に限定されるものではない。本発明の範囲は、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更を含むことが意図される。
【符号の説明】
【0058】
S1 準備工程、S2 ハードマスク形成工程、S3 レジストパターン形成工程、S4 第1エッチング工程、S5 第2エッチング工程、S6 第3エッチング工程、S7 基板貼り付け付け工程、S8 第1絶縁膜形成工程、S9 第1イオン注入工程、S10 第2絶縁膜形成工程、S11 コンタクトホール形成工程、S12 第2イオン注入工程、S13 パッド形成工程、S14 保護膜形成工程、S15 ダイシング工程、10 基板、10a 第1面、10b 第2面、11 第1基板、11a 第1面、11b 第2面、12 第2基板、13 キャビティ、13a 第1凹部、13b 第2凹部、13c 凹部、14 メンブレン、15 抵抗、16 配線、16a 第1部分、16b 第2部分、16c コンタクト、17 配線、17a 第1部分、17b 第2部分、17c コンタクト、20 絶縁膜、20a,20b コンタクトホール、21 第1絶縁膜、22 第2絶縁膜、31 パッド、32 パッド、40 保護膜、40a,40b 開口部、50 ハードマスク、50a 開口部、51 レジストパターン、51a 開口部、 100 センサ、100A,100B センサ。