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特開2024-158236車両運転支援装置、車両運転支援方法及び車両運転支援プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024158236
(43)【公開日】2024-11-08
(54)【発明の名称】車両運転支援装置、車両運転支援方法及び車両運転支援プログラム
(51)【国際特許分類】
   B62D 6/00 20060101AFI20241031BHJP
   B62D 101/00 20060101ALN20241031BHJP
   B62D 113/00 20060101ALN20241031BHJP
【FI】
B62D6/00
B62D101:00
B62D113:00
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023073265
(22)【出願日】2023-04-27
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000213
【氏名又は名称】弁理士法人プロスペック特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】西郷 慎太朗
(72)【発明者】
【氏名】濱田 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】宮間 圭吾
(72)【発明者】
【氏名】濱口 剛
(72)【発明者】
【氏名】菅本 周作
【テーマコード(参考)】
3D232
【Fターム(参考)】
3D232CC03
3D232CC20
3D232DA03
3D232DA15
3D232DA23
3D232DA76
3D232DA84
3D232DA91
3D232DB12
3D232DC09
3D232DC33
3D232DC34
3D232DC38
3D232DD06
3D232DD08
3D232EB04
3D232EB12
3D232EC34
3D232GG01
(57)【要約】
【課題】運転者が交差点において車両を左折又は右折させる場面においても操舵操作をスムーズに行うことができるようにする操舵反力を操舵操作に付与することができる車両運転支援装置を提供する。
【解決手段】車両運転支援装置10は、車両100の運転者による操舵操作に付与する操舵反力を制御する制御装置90を備えている。車両運転支援装置は、運転者に車両を交差点300で左折又は右折させる意図がある場合、当該交差点の大きさを取得し、当該交差点で車両を左折又は右折させるために必要な車両の舵角を交差点の大きさに基づいてガイド舵角として設定し、設定したガイド舵角と実舵角との差に基づいて操舵反力を制御する。
【選択図】 図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の運転者による操舵操作に付与する操舵反力を制御する制御装置を備えた車両運転支援装置において、
前記制御装置は、
前記運転者に前記車両を交差点で左折又は右折させる意図がある場合、当該交差点の大きさを取得し、
当該交差点で前記車両を左折又は右折させるために必要な前記車両の舵角を前記交差点の大きさに基づいてガイド舵角として設定し、
前記設定したガイド舵角と実舵角との差に基づいて前記操舵反力を制御する、
ように構成されている、
車両運転支援装置。
【請求項2】
請求項1に記載の車両運転支援装置において、
前記制御装置は、
前記車両を左折させて進入させることができる道路である左折可能道路が2つ以上存在する交差点で前記運転者が前記車両を左折させる意図がある場合において前記左折可能道路の何れに前記車両を左折させて進入させる意図が前記運転者にあるのかが不明であるときには、前記左折可能道路のうち、前記車両から最も遠い左折可能道路を基準として前記交差点の大きさを取得し、
前記車両を右折させて進入させることができる道路である右折可能道路が2つ以上存在する交差点で前記運転者が前記車両を右折させる意図がある場合において前記右折可能道路の何れに前記車両を右折させて進入させる意図が前記運転者にあるのかが不明であるときには、前記右折可能道路のうち、前記車両から最も遠い右折可能道路を基準として前記交差点の大きさを取得する、
ように構成されている、
車両運転支援装置。
【請求項3】
請求項2に記載の車両運転支援装置において、
前記制御装置は、
前記左折可能道路が2つ以上存在する交差点で前記運転者が前記車両を左折させ始め、前記ガイド舵角と前記実舵角との差に基づく前記操舵反力の制御を開始した後、前記運転者が前記車両を左折させて進入させようとしている前記左折可能道路が判明した場合、該判明した左折可能道路に前記車両を進入させることを前提として設定した前記ガイド舵角と前記実舵角との差に基づく前記操舵反力の制御を行い、
前記右折可能道路が2つ以上存在する交差点で前記運転者が前記車両を右折させ始め、前記ガイド舵角と前記実舵角との差に基づく前記操舵反力の制御を開始した後、前記運転者が前記車両を右折させて進入させようとしている前記右折可能道路が判明した場合、該判明した右折可能道路に前記車両を進入させることを前提として設定した前記ガイド舵角と前記実舵角との差に基づく前記操舵反力の制御を行う、
ように構成されている、
車両運転支援装置。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3の何れか一項に記載の車両運転支援装置において、
前記制御装置は、
前記車両を基準として前記交差点の縦方向の大きさ及び横方向の大きさを取得し、
前記縦方向の大きさ及び前記横方向の大きさに基づいて前記交差点の大きさを取得する、
ように構成されている、
車両運転支援装置。
【請求項5】
車両の運転者による操舵操作に付与する操舵反力を制御する車両運転支援方法であって、
前記運転者に前記車両を交差点で左折又は右折させる意図がある場合、当該交差点の大きさを取得する工程と、
当該交差点で前記車両を左折又は右折させるために必要な前記車両の舵角を前記交差点の大きさに基づいてガイド舵角として設定する工程と、
前記設定したガイド舵角と実舵角との差に基づいて前記操舵反力を制御する工程と、
を具備する車両運転支援方法。
【請求項6】
車両の運転者による操舵操作に付与する操舵反力を制御する車両運転支援プログラムであって、
前記運転者に前記車両を交差点で左折又は右折させる意図がある場合、当該交差点の大きさを取得し、
当該交差点で前記車両を左折又は右折させるために必要な前記車両の舵角を前記交差点の大きさに基づいてガイド舵角として設定し、
前記設定したガイド舵角と実舵角との差に基づいて前記操舵反力を制御する、
ように構成されている車両運転支援プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両運転支援装置、車両運転支援方法及び車両運転支援プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
運転者が車両をカーブ路に沿って走行させるときに運転者によるハンドル操作(操舵操作)を支援するために、カーブ路の曲率半径を取得し、その曲率半径が小さい場合、即ち、カーブ路が急なカーブ路である場合、運転者がハンドルを切りやすくなるようにハンドルに付与する操舵反力を調整するように構成された車両運転支援装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2022-188735号公報
【発明の概要】
【0004】
上述した従来の車両運転支援装置は、車両をカーブ路に沿って走行させる場合、即ち、車両を進行させることができる道路が1つしかない場合には、その道路の曲率半径に応じた操舵反力の制御を行うことができる。しかしながら、交差点のように車両を進行させることができる道路が2つ以上ある場合、即ち、車両を左折又は右折させて進行させることができる道路が2つ以上ある場合には、車両を進行させるときの走路の曲率半径を特定することができず、その結果、運転者が車両を左折又は右折させるためのハンドル操作をスムーズに行うことができるようにする操舵反力をハンドル操作(操舵操作)に付与することができない。
【0005】
本発明の目的は、運転者が交差点において車両を左折又は右折させる場面においても操舵操作をスムーズに行うことができるようにする操舵反力を操舵操作に付与することができる車両運転支援装置を提供することにある。
【0006】
本発明に係る車両運転支援装置は、車両の運転者による操舵操作に付与する操舵反力を制御する制御装置を備えている。前記制御装置は、前記運転者に前記車両を交差点で左折又は右折させる意図がある場合、当該交差点の大きさを取得し、当該交差点で前記車両を左折又は右折させるために必要な前記車両の舵角を前記交差点の大きさに基づいてガイド舵角として設定し、前記設定したガイド舵角と実舵角との差に基づいて前記操舵反力を制御するように構成されている。
【0007】
本発明に係る車両運転支援装置によれば、運転者が交差点において車両を左折又は右折させる場面においても、交差点の大きさを用いてガイド舵角を設定することができる。従って、運転者が操舵操作をスムーズに行うことができるようにする操舵反力を操舵操作に付与することができる。
【0008】
尚、本発明に係る車両運転支援装置において、前記制御装置は、前記車両を左折させて進入させることができる道路である左折可能道路が2つ以上存在する交差点で前記運転者が前記車両を左折させる意図がある場合において前記左折可能道路の何れに前記車両を左折させて進入させる意図が前記運転者にあるのかが不明であるときには、前記左折可能道路のうち、前記車両から最も遠い左折可能道路を基準として前記交差点の大きさを取得するように構成され得る。そして、この場合において、前記制御層値は、前記車両を右折させて進入させることができる道路である右折可能道路が2つ以上存在する交差点で前記運転者が前記車両を右折させる意図がある場合において前記右折可能道路の何れに前記車両を右折させて進入させる意図が前記運転者にあるのかが不明であるときには、前記右折可能道路のうち、前記車両から最も遠い右折可能道路を基準として前記交差点の大きさを取得するように構成され得る。
【0009】
本発明に係る車両運転支援装置によれば、複数の左折可能道路を含む交差点又は複数の右折可能道路を含む交差点において運転者が車両を左折又は右折させる場面においても、運転者が操舵操作をスムーズに行うことができるようにする操舵反力を操舵操作に付与することができる。
【0010】
又、本発明に係る車両運転支援装置において、前記制御装置は、前記左折可能道路が2つ以上存在する交差点で前記運転者が前記車両を左折させ始め、前記ガイド舵角と前記実舵角との差に基づく前記操舵反力の制御を開始した後、前記運転者が前記車両を左折させて進入させようとしている前記左折可能道路が判明した場合、該判明した左折可能道路に前記車両を進入させることを前提として設定した前記ガイド舵角と前記実舵角との差に基づく前記操舵反力の制御を行うように構成され得る。そして、この場合において、前記制御装置は、前記右折可能道路が2つ以上存在する交差点で前記運転者が前記車両を右折させ始め、前記ガイド舵角と前記実舵角との差に基づく前記操舵反力の制御を開始した後、前記運転者が前記車両を右折させて進入させようとしている前記右折可能道路が判明した場合、該判明した右折可能道路に前記車両を進入させることを前提として設定した前記ガイド舵角と前記実舵角との差に基づく前記操舵反力の制御を行うように構成され得る。
【0011】
本発明に係る車両運転支援装置によれば、運転者が左折又は右折させて進入させる左折可能道路又は右折可能道路が判明した後は、当該左折可能道路又は右折可能道路を基準として操舵反力の制御が行われる。従って、運転者の意図に沿った操舵反力を操舵操作に付与することができる。
【0012】
又、本発明に係る車両運転支援装置において、前記制御装置は、前記車両を基準として前記交差点の縦方向の大きさ及び横方向の大きさを取得し、前記縦方向の大きさ及び前記横方向の大きさに基づいて前記交差点の大きさを取得するように構成され得る。
【0013】
本発明に係る車両運転支援装置によれば、車両を基準として交差点の縦方向の大きさ及び横方向の大きさに基づいて交差点の大きさが取得される。これにより、交差点の大きさをより正確に取得することができる。
【0014】
又、本発明に係る車両運転支援方法は、車両の運転者による操舵操作に付与する操舵反力を制御する方法であり、前記運転者に前記車両を交差点で左折又は右折させる意図がある場合、当該交差点の大きさを取得する工程と、当該交差点で前記車両を左折又は右折させるために必要な前記車両の舵角を前記交差点の大きさに基づいてガイド舵角として設定する工程と、前記設定したガイド舵角と実舵角との差に基づいて前記操舵反力を制御する工程とを具備している。
【0015】
本発明に係る車両運転支援方法によれば、先に述べた理由と同じ理由から、運転者が操舵操作をスムーズに行うことができるようにする操舵反力を操舵操作に付与することができる。
【0016】
又、本発明に係る車両運転支援プログラムは、車両の運転者による操舵操作に付与する操舵反力を制御するプログラムであり、前記運転者に前記車両を交差点で左折又は右折させる意図がある場合、当該交差点の大きさを取得し、当該交差点で前記車両を左折又は右折させるために必要な前記車両の舵角を前記交差点の大きさに基づいてガイド舵角として設定し、前記設定したガイド舵角と実舵角との差に基づいて前記操舵反力を制御するように構成されている。
【0017】
本発明に係る車両運転支援プログラムによれば、先に述べた理由と同じ理由から、運転者が操舵操作をスムーズに行うことができるようにする操舵反力を操舵操作に付与することができる。
【0018】
本発明の構成要素は、図面を参照しつつ後述する本発明の実施形態に限定されるものではない。本発明の他の目的、他の特徴及び付随する利点は、本発明の実施形態についての説明から容易に理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1図1は、本発明の実施形態に係る車両運転支援装置を示した図である。
図2図2は、本発明の実施形態に係る車両運転支援装置が実行するルーチンを示したフローチャートである。
図3図3は、本発明の実施形態に係る車両運転支援装置が実行するルーチンを示したフローチャートである。
図4図4は、本発明の実施形態に係る車両運転支援装置が実行するルーチンを示したフローチャートである。
図5図5は、本発明の実施形態に係る車両運転支援装置が実行するルーチンを示したフローチャートである。
図6図6は、左折可能道路が1つのみ存在する交差点を示した図である。
図7図7は、左折可能道路が複数存在する交差点を示した図である。
図8図8は、走路曲率を取得するために用いられるテーブルを示した図である。
図9図9は、手前の左折可能道路の白線等の区画線がカメラ画像情報から検出することができる位置に自車両が到達した場面を示した図である。
図10図10の(A)は、自車両が手前の左折可能道路に進入する場面における舵角の変化を示した図であり、図10の(B)は、自車両が奥の左折可能道路に進入する場面における舵角の変化と、自車両が手前の左折可能道路に進入する場面における舵角の変化とを示した図である。
図11図11は、自車両の走行速度(自車速)とカーブ半径とに応じて判定される緊迫度の有無を示した図である。
図12図12の(A)は、自車両が緩いカーブ路に進入する場面を示した図であり、図12の(B)は、自車両が急なカーブ路に進入する場面を示した図である。
図13図13の(A)は、自車両が緩いカーブ路に進入する場面におけるガイド舵角と実際の舵角との関係を示した図であり、図13の(B)は、自車両が急なカーブ路に進入する場面におけるガイド舵角と実際の舵角との関係を示した図である。
図14図14の(A)は、カーブ半径が大きく、又、自車速が低いときに設定されるガイド舵角の変化及び目標舵角の変化を示した図であり、図14の(B)は、カーブ半径が小さく、又、自車速が高いときに設定されるガイド舵角の変化及び目標舵角の変化を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態に係る車両運転支援装置、車両運転支援方法及び車両運転支援プログラムについて説明する。図1に、車両運転支援装置10が示されている。車両運転支援装置10は、自車両100に搭載される。以下、自車両100の操作者が自車両100に乗車して当該自車両100の運転を行う者(即ち、自車両100の運転者)である場合を例にして、車両運転支援装置10について説明する。
【0021】
しかしながら、自車両100の操作者は、自車両100に乗車せずに当該自車両100の運転を遠隔で行う者(即ち、自車両100の遠隔操作者)であってもよい。自車両100の操作者が遠隔操作者である場合、車両運転支援装置10は、自車両100と、自車両100の運転を遠隔で行うために自車両100の外に設置された遠隔操作設備とにそれぞれ搭載され、以下で説明する車両運転支援装置10の機能は、自車両100に搭載された車両運転支援装置10と、遠隔操作設備に搭載された車両運転支援装置10とでそれぞれ分担して行われることになる。
【0022】
又、本発明は、操作者が自ら運転操作を行う手動運転と、操作者が自ら運転操作を行わずにECU等の制御装置が自動で又は自律的に運転操舵を行う自動運転又は自律運転とを適宜切り替えて走行される車両にも適用可能である。この場合、本発明は、手動運転により車両が走行されている場合に適用される。
【0023】
又、以下で説明する例は、車両が道路の左側を通行することが法令等により規制されている地域及び国を前提にした例である。従って、車両が道路の右側を通行することが法令等により記載されている地域及び国にて走行する車両に本発明を適用する場合、以下の説明における左右が逆になる。
【0024】
図1に示したように、車両運転支援装置10は、制御装置としてのECU(電子制御装置)90を備えている。ECU90は、マイクロコンピュータを主要部として備える。マイクロコンピュータは、CPU、ROM、RAM及び不揮発性メモリ等の記憶媒体並びにインターフェース等を含む。CPUは、記憶媒体に格納されたインストラクション又はプログラム又はルーチンを実行することにより、各種機能を実現するようになっている。特に、本例において、車両運転支援装置10は、当該車両運転支援装置10が実行する各種制御を実現するプログラムを記憶媒体に記憶している。
【0025】
尚、車両運転支援装置10は、記録媒体に記憶してあるプログラムを外部の装置との無線通信(例えば、インターネット通信)により更新(アップデート)することができるように構成されていてもよい。
【0026】
又、自車両100には、操舵装置20が搭載されている。操舵装置20は、自車両100を操舵するための装置であり、本例においては、パワーステアリング装置21及び反力アクチュエータ22を備えている。
【0027】
パワーステアリング装置21は、自車両100を操舵するための操舵トルク(操舵力)を出力する装置である。
【0028】
反力アクチュエータ22は、ハンドル31を回転操作する力がハンドル31に加えられたときにハンドル31に反力(操舵反力)を付与する装置である。別の言い方をすると、反力アクチュエータ22は、ハンドル31を回転操作する力が運転者によりハンドル31に加えられたときに当該回転操作(ハンドル操作又は操舵操作)に反力(操舵反力)を付与する装置である。
【0029】
パワーステアリング装置21及び反力アクチュエータ22は、ECU90に電気的に接続されている。ECU90は、パワーステアリング装置21の作動を制御することにより、パワーステアリング装置21から出力される操舵トルクを制御することができ、又、反力アクチュエータ22の作動を制御することにより、操舵反力を制御することができる。
【0030】
更に、自車両100には、ハンドル31、ステアリングシャフト32、舵角センサ33、操舵トルクセンサ34、方向指示操作器としてのウインカーレバー41、方向指示操作センサとしてのウインカーレバーセンサ42、車速検出装置50、周辺情報検出装置60及び方向指示装置80が搭載されている。
【0031】
舵角センサ33は、自車両100の舵角を検出するセンサであり、本例においては、中立位置に対するステアリングシャフト32の回転角度を検出するセンサである。舵角センサ33は、ECU90に電気的に接続されている。舵角センサ33は、検出したステアリングシャフト32の回転角度に関する情報をECU90に送信する。ECU90は、その情報に基づいてステアリングシャフト32の回転角度を実舵角δとして取得する。
【0032】
操舵トルクセンサ34は、運転者がハンドル31を介してステアリングシャフト32に入力したトルクを検出するセンサである。操舵トルクセンサ34は、ECU90に電気的に接続されている。操舵トルクセンサ34は、検出したトルクに関する情報をECU90に送信する。ECU90は、その情報に基づいて運転者がハンドル31を介してステアリングシャフト32に入力したトルク(ドライバー入力トルク)を取得する。ECU90は、実舵角δ、ドライバー入力トルク及び自車両100の走行速度(後述する自車速V)に基づいて要求操舵トルクを取得し、その要求操舵トルクが操舵装置20から出力されるように操舵装置20の作動を制御する。
【0033】
ウインカーレバー41は、方向指示装置80を作動させるために運転者により操作される機器である。方向指示装置80は、左方向指示器としての左ウインカー81及び右方向指示器としての右ウインカー82を備えている。
【0034】
ウインカーレバーセンサ42は、運転者によるウインカーレバー41に対する操作を検出する機器である。ウインカーレバーセンサ42は、ECU90に電気的に接続されている。ECU90は、ウインカーレバーセンサ42により左ウインカー81を作動させる操作が検出された場合、左ウインカー81を作動させ、ウインカーレバーセンサ42により右ウインカー82を作動させる操作が検出された場合、右ウインカー82を作動させる。
【0035】
尚、ECU90は、ウインカーレバーセンサ42により方向指示装置80の作動を停止させる操作が検出された場合、その時点で作動されている左ウインカー81又は右ウインカー82の作動を停止する。
【0036】
車速検出装置50は、自車両100の走行速度を検出する装置であり、例えば、車輪速センサである。車速検出装置50は、ECU90に電気的に接続されている。車速検出装置50は、検出した自車両100の走行速度に関する情報をECU90に送信する。ECU90は、その情報に基づいて自車両100の走行速度を自車速Vとして取得する。
【0037】
周辺情報検出装置60は、自車両100の周辺に関する情報を検出する装置であり、本例においては、画像センサ61及び電磁波センサ62を備えている。
【0038】
画像センサ61は、自車両100の周辺の画像を取得するセンサであり、例えば、自車両100の周辺を撮像するカメラである。画像センサ61は、ECU90に電気的に接続されている。画像センサ61は、取得した画像に関する情報をECU90に送信する。ECU90は、その情報(カメラ画像情報IC)に基づいて自車両100の周辺に関する情報を周辺検出情報ISとして取得する。
【0039】
又、電磁波センサ62は、自車両100の周辺の物体を検出するセンサであり、例えば、レーダセンサ(ミリ波レーダ等)又は超音波センサ(クリアランスソナー)等の音波センサ又はレーザーレーダ(LiDAR)等の光センサである。電磁波センサ62は、ECU90に電気的に接続されている。電磁波センサ62は、電波を発信するとともに、物体で反射した電波(反射波)を受信する。電磁波センサ62は、発信した電波及び受信した電波(反射波)に関する情報をECU90に送信する。別の言い方をすると、電磁波センサ62は、自車両100の周辺に存在する物体を検知し、その検知した物体に関する情報をECU90に送信する。ECU90は、その情報(物体情報IO)に基づいて自車両100の周辺に存在する物体に関する情報を周辺検出情報ISとして取得する。尚、本例において、物体は、車両、自動二輪車、自転車及び人等である。
【0040】
<車両運転支援装置の作動>
次に、車両運転支援装置10の作動について説明する。車両運転支援装置10は、自車両100の運転者によるハンドル31に対する操作(ハンドル操作又は操舵操作)に対して付与する操舵反力を制御する操舵反力制御を実行する。
【0041】
特に、車両運転支援装置10は、運転者に自車両100を交差点300で左折又は右折させる意図がある場合、当該交差点300の大きさを取得し、当該交差点300で自車両100を左折又は右折させるために必要な自車両100の舵角を交差点300の大きさに基づいてガイド舵角δguideとして設定し、設定したガイド舵角δguideと実舵角δとの差(ガイド舵角差Δδguide)に基づいて操舵反力を制御する。
【0042】
このために、車両運転支援装置10は、図2に示したルーチンを所定演算間隔で実行することにより、操舵反力制御を実行する。従って、所定のタイミングになると、車両運転支援装置10は、図2に示したルーチンのステップS200から処理を開始し、その処理をステップS205に進め、交差点300が検出されたか否かを判定する。
【0043】
本例において、車両運転支援装置10は、自車両100の前方の自車走行道路RD上に存在する交差点300がカメラ画像情報ICから検出された場合、交差点300が検出されたと判定する。先に述べたように、自車走行道路RDは、自車両100が現在走行している道路である。
【0044】
車両運転支援装置10は、ステップS205にて「Yes」と判定した場合、処理をステップS210に進め、図3に示したルーチンを実行する。従って、車両運転支援装置10は、処理をステップS210に進めると、図3に示したルーチンのステップS300から処理を開始し、その処理をステップS305に進め、自車両100が左折許可車線を走行しているか否かを判定する。左折許可車線は、検出されている交差点300で自車両100が左折することが許可されている車線である。
【0045】
車両運転支援装置10は、カメラ画像情報ICに基づいて自車両100が左折許可車線を走行しているか否かを判定する。しかしながら、車両運転支援装置10は、GPS信号に基づいて自車両100の位置を取得し、取得した自車両100の位置に基づいて地図情報データベースの地図情報から自車両100が走行している車線に関する情報を取得し、取得した情報に基づいて自車両100が左折許可車線を走行しているか否かを判定するように構成されてもよい。
【0046】
車両運転支援装置10は、ステップS305にて「Yes」と判定した場合、処理をステップS310に進め、左ウインカー81が作動されているか否かを判定する。
【0047】
車両運転支援装置10は、ステップS310にて「Yes」と判定した場合、処理をステップS315に進め、交差点入口距離Lcrinが所定の距離(所定交差点入口距離Lcrin_th)以下であるか否かを判定する。
【0048】
交差点入口距離Lcrinは、自車両100と交差点300の入口との間の距離である。本例において、交差点入口距離Lcrinは、図6に示したように、自車両100と自車停止線401との間の距離である。自車停止線401は、自車走行車線LNegoに設けられた停止線であって、自車両100から見て交差点300の入口に設けられた停止線である。別の言い方をすると、自車停止線401は、自車両100が交差点300に進入する直前に通過する停止線である。尚、自車走行車線LNegoは、自車両100が現在走行している車線である。
【0049】
車両運転支援装置10は、ステップS315にて「Yes」と判定した場合、処理をステップS320に進め、左折フラグXleftの値を「1」に設定する。
【0050】
次いで、車両運転支援装置10は、処理をステップS325に進め、右折フラグXrightの値を「0」に設定(リセット)し、処理をステップS330に進める。
【0051】
一方、車両運転支援装置10は、ステップS305又はステップS310又はステップS315にて「No」と判定した場合、処理をステップS330に直接進める。
【0052】
車両運転支援装置10は、処理をステップS330に進めると、自車両100が右折許可車線を走行しているか否かを判定する。右折許可車線は、検出されている交差点300で自車両100が右折することが許可されている車線である。
【0053】
車両運転支援装置10は、カメラ画像情報ICに基づいて自車両100が右折許可車線を走行しているか否かを判定する。しかしながら、車両運転支援装置10は、GPS信号に基づいて自車両100の位置を取得し、取得した自車両100の位置に基づいて地図情報データベースの地図情報から自車両100が走行している車線に関する情報を取得し、取得した情報に基づいて自車両100が右折許可車線を走行しているか否かを判定するように構成されてもよい。
【0054】
車両運転支援装置10は、ステップS330にて「Yes」と判定した場合、処理をステップS335に進め、右ウインカー82が作動されているか否かを判定する。
【0055】
車両運転支援装置10は、ステップS335にて「Yes」と判定した場合、処理をステップS340に進め、交差点入口距離Lcrinが所定交差点入口距離Lcrin_th以下であるか否かを判定する。
【0056】
車両運転支援装置10は、ステップS340にて「Yes」と判定した場合、処理をステップS345に進め、右折フラグXrightの値を「1」に設定する。
【0057】
次いで、車両運転支援装置10は、処理をステップS350に進め、左折フラグXleftの値を「0」に設定(リセット)し、ステップS395を経由して図2に示したルーチンのステップS215に処理を進める。
【0058】
一方、車両運転支援装置10は、ステップS330又はステップS335又はステップS340にて「No」と判定した場合、ステップS395を経由して図2に示したルーチンのステップS215に処理を直接進める。
【0059】
車両運転支援装置10は、処理を図2に示したルーチンのステップS215に進めると、左折フラグXleftの値及び右折フラグXrightの値の一方が「1」であるか否かを判定する。
【0060】
車両運転支援装置10は、ステップS215にて「Yes」と判定した場合、処理をステップS220に進め、走路曲率ρmを取得する。
【0061】
ステップS220にて取得される走路曲率ρmは、自車両100が交差点300で左折又は右折するのに適した走路であると推定される走路の曲率である。従って、ステップS220にて取得される走路曲率ρmは、自車両100が交差点300で左折又は右折するときの仮想の走路の曲率であるとも言える。
【0062】
車両運転支援装置10は、左折フラグXleftの値が「1」である場合、自車両100が交差点300で左折するのに適した走路の曲率を走路曲率ρmとして取得する。一方、車両運転支援装置10は、右折フラグXrightの値が「1」である場合、自車両100が交差点300で右折するのに適した走路の曲率を走路曲率ρmとして取得する。
【0063】
走路曲率ρmの取得方法は、種々の方法があるが、本例においては、以下に述べる2つの方法のうちの1つが採用される。
【0064】
1つ目の方法においては、まず、車両運転支援装置10は、カメラ画像情報ICから交差点入口距離Lcrin及び交差点出口距離Lcroutを取得する。先に述べたように、交差点入口距離Lcrinは、自車両100と交差点300の入口との間の距離である。又、交差点出口距離Lcroutは、自車両100と交差点300の出口との間の距離である。
【0065】
例えば、図6に示した交差点300において、交差点入口距離Lcrinは、自車両100と自車停止線401との間の距離であり、交差点出口距離Lcroutは、自車両100と対向車停止線402との間の距離である。
【0066】
先に述べたように、自車停止線401は、自車走行車線LNegoに設けられている停止線であって、自車両100から見て交差点300の入口に設けられた停止線である。又、対向車停止線402は、自車走行車線LNegoにとっての対向車線LNoppに設けられた停止線であって、自車両100から見て交差点300の出口に設けられた停止線である。
【0067】
尚、図6に示した交差点300は、左折可能道路500が1つのみであってその左折可能道路500が自車走行道路RDに略垂直に交差しており且つ右折可能道路600が1つのみであってその右折可能道路600が自車走行道路RDに略垂直に交差している交差点である。左折可能道路500は、自車両100が左折して進入することができる道路であり、右折可能道路600は、自車両100が右折して進入することができる道路である。
【0068】
又、図7に示した交差点300においても、同じく、交差点入口距離Lcrinは、自車両100と自車停止線401との間の距離である。一方、交差点出口距離Lcroutは、右折フラグXrightの値が「1」である場合には、自車両100と対向車停止線402との間の距離であるが、左折フラグXleftの値が「1」である場合には、自車両100と自車走行道路接続部550との間の距離である。
【0069】
自車走行道路接続部550は、自車両100から最も遠い左折可能道路501の右側道路境界RErightと自車両100から見て交差点300の向こう側の自車走行道路RDの左側道路境界REleftとが繋がる部分である。右側道路境界RErightは、道路の両側の端のうち、自車両100から見て右側の端であり、左側道路境界REleftは、道路の両側の端のうち、自車両100から見て左側の端である。
【0070】
尚、図7に示した交差点300は、左折可能道路500が2つであり且つ右折可能道路600が1つのみであってその右折可能道路600が自車走行道路RDに略垂直に交差している交差点である。
【0071】
又、図7に示したように、自車両100を左折させて進入させることができる道路である左折可能道路500が2つ以上存在する交差点300で運転者が自車両100を左折させる意図がある場合において左折可能道路500の何れに自車両100を左折させて進入させる意図が運転者にあるのかが不明であるときには、車両運転支援装置10は、後述するように、左折可能道路500のうち、自車両100から最も遠い左折可能道路501を基準として交差点300の大きさを取得する。そして、車両運転支援装置10は、取得した交差点300の大きさを用いて操舵反力を制御する。
【0072】
同様に、自車両100を右折させて進入させることができる道路である右折可能道路600が2つ以上存在する交差点300で運転者が自車両100を右折させる意図がある場合において右折可能道路600の何れに自車両100を右折させて進入させる意図が運転者にあるのかが不明であるときには、車両運転支援装置10は、後述するように、右折可能道路600のうち、自車両100から最も遠い右折可能道路を基準として交差点300の大きさを取得する。そして、車両運転支援装置10は、取得した交差点300の大きさを用いて操舵反力を制御する。
【0073】
更に、車両運転支援装置10は、図7に示したように、左折可能道路500が2つ以上存在する交差点300で運転者が自車両100を左折させ始め、ガイド舵角δguide(当該交差点300で自車両100を左折させるために必要な自車両100の舵角)と実舵角δとの差(ガイド舵角差Δδguide)に基づく操舵反力の制御を開始した後、運転者が自車両100を左折させて進入させようとしている左折可能道路500(502)が判明した場合、その判明した左折可能道路500(502)に自車両100を進入させることを前提として設定したガイド舵角δguideと実舵角δとの差(ガイド舵角差Δδguide)に基づく操舵反力の制御を行う。
【0074】
同様に、車両運転支援装置10は、右折可能道路600が2つ以上存在する交差点300で運転者が自車両100を右折させ始め、ガイド舵角δguide(当該交差点300で自車両100を右折させるために必要な自車両100の舵角)と実舵角δとの差(ガイド舵角差Δδguide)に基づく操舵反力の制御を開始した後、運転者が自車両100を右折させて進入させようとしている右折可能道路600が判明した場合、その判明した右折可能道路600に自車両100を進入させることを前提として設定したガイド舵角δguideと実舵角δとの差(ガイド舵角差Δδguide)に基づく操舵反力の制御を行う。
【0075】
又、ステップS220にて走路曲率ρmが取得される直前に目標操舵反力RFtgtの設定に用いられた走路曲率ρm又は後述する注視地点曲率ρwと今回、ステップS220にて取得された走路曲率ρmとの差が所定値よりも大きい場合、その差が所定値以下の値となるように補正した走路曲率ρmをステップS220にて取得される走路曲率ρmとしてもよい。即ち、ステップS220にて取得される走路曲率ρmを徐変させるようにしてもよい。
【0076】
次いで、車両運転支援装置10は、交差点入口距離Lcrin及び交差点出口距離Lcroutを用いて交差点縦幅Lcrrngを取得する。
【0077】
図6に示したように、交差点縦幅Lcrrngは、自車両100を基準とした縦方向における交差点300の距離であり、自車両100を基準として交差点300の縦方向の大きさを表している。本例において、交差点縦幅Lcrrngは、下式1に従った演算により取得される。
【0078】
Lcrrng=Lcrout-Lcrin …(1)
【0079】
尚、カメラ画像情報ICから交差点縦幅Lcrrngを直接取得することができるのであれば、交差点縦幅Lcrrngは、カメラ画像情報ICから直接取得されてもよい。
【0080】
更に、車両運転支援装置10は、交差点横幅Wcrrngを取得する。
【0081】
図6に示したように、交差点横幅Wcrrngは、自車両100を基準とした横方向における交差点300の距離であり、自車両100を基準として交差点300の横方向の大きさを表している。本例において、車両運転支援装置10は、下式2に示したように、交差点縦幅Lcrrngを交差点横幅Wcrrngとして取得する。
【0082】
Wcrrng=Lcrrng …(2)
【0083】
次いで、車両運転支援装置10は、道路幅Wtotalを取得する。図6に示したように、道路幅Wtotalは、自車両100を基準とした横方向における自車走行道路RDの幅であり、本例においては、カメラ画像情報ICに基づいて取得される。
【0084】
次いで、車両運転支援装置10は、道路幅Wtotal及び交差点横幅Wcrrngを用いて路肩幅Wsldを取得する。図6に示したように、路肩幅Wsldは、自車走行道路RDの左脇及び右脇に設けられている路肩の幅である。本例において、路肩幅Wsldは、下式3に従った演算により取得される。
【0085】
Wsld=(Wcrrng-Wtotal)/2 …(3)
【0086】
但し、車両運転支援装置10は、式3から取得した値がゼロよりも大きい場合には、その値を路肩幅Wsldとして取得するが、式3から取得した値がゼロ以下である場合には、路肩幅Wsldをゼロとする。
【0087】
次いで、車両運転支援装置10は、カメラ画像情報ICに基づいて自車線幅Wegoを取得する。自車線幅Wegoは、自車両100を基準とした横方向における自車走行車線LNegoの幅である。
【0088】
次いで、車両運転支援装置10は、自車線幅Wego及び路肩幅Wsldを用いて旋回半径Rcrestを取得する。旋回半径Rcrestは、自車両100が交差点300を左折又は右折するのに適した走路の半径である。本例において、旋回半径Rcrestは、左折フラグXleftの値が「1」である場合、下式4に従った演算により取得され、右折フラグXrightの値が「1」である場合、下式5に従った演算により取得される。
【0089】
Rcrest=Wego/2+Wsld …(4)
Rcrest=(Wtotal-Wego/2)+Wsld …(5)
【0090】
尚、本例において、同じ交差点300においては、式4から取得される旋回半径Rcrestは、式5から取得される旋回半径Rcrestよりも小さい。
【0091】
そして、車両運転支援装置10は、下式6に示したように、旋回半径Rcrestの逆数を走路曲率ρmとして取得する。
【0092】
ρm=1/Rcrest …(6)
【0093】
或いは、車両運転支援装置10は、以下のようにして走路曲率ρmを取得する。即ち、車両運転支援装置10は、まず、上述したようにして交差点縦幅Lcrrng及び道路幅Wtotalを取得する。
【0094】
そして、左折フラグXleftの値が「1」である場合において、交差点縦幅Lcrrngが第1縦幅閾値L1thよりも小さく且つ道路幅Wtotalが第1道路幅閾値W1よりも小さい場合、車両運転支援装置10は、第1左折曲率ρleft_1を走路曲率ρmとして取得する(図8の(A)参照)。
【0095】
一方、右折フラグXrightの値が「1」である場合において、交差点縦幅Lcrrngが第1縦幅閾値L1thよりも小さく且つ道路幅Wtotalが第1道路幅閾値W1よりも小さい場合、車両運転支援装置10は、第1右折曲率ρright_1を走路曲率ρmとして取得する(図8の(B)参照)。
【0096】
又、左折フラグXleftの値が「1」である場合において、交差点縦幅Lcrrngが第1縦幅閾値L1thよりも小さく且つ道路幅Wtotalが第1道路幅閾値W1以上であって第2道路幅閾値W2以下である場合も、車両運転支援装置10は、第1左折曲率ρleft_1を走路曲率ρmとして取得する(図8の(A)参照)。尚、第2道路幅閾値W2は、第1道路幅閾値W1よりも大きい値に設定されている。
【0097】
一方、右折フラグXrightの値が「1」である場合において、交差点縦幅Lcrrngが第1縦幅閾値L1thよりも小さく且つ道路幅Wtotalが第1道路幅閾値W1以上であって第2道路幅閾値W2以下である場合も、車両運転支援装置10は、第1右折曲率ρright_1を走路曲率ρmとして取得する(図8の(B)参照)。
【0098】
又、左折フラグXleftの値が「1」である場合いおいて、交差点縦幅Lcrrngが第1縦幅閾値L1thよりも小さく且つ道路幅Wtotalが第2道路幅閾値W2よりも大きい場合、車両運転支援装置10は、第2左折曲率ρleft_2を走路曲率ρmとして取得する(図8の(A)参照)。尚、第2左折曲率ρleft_2は、第1左折曲率ρleft_1よりも小さい値に設定されている。
【0099】
一方、右折フラグXrightの値が「1」である場合いおいて、交差点縦幅Lcrrngが第1縦幅閾値L1thよりも小さく且つ道路幅Wtotalが第2道路幅閾値W2よりも大きい場合、車両運転支援装置10は、第2右折曲率ρright_2を走路曲率ρmとして取得する(図8の(B)参照)。尚、第2右折曲率ρright_2は、第1右折曲率ρright_1よりも小さい値に設定されている。
【0100】
又、左折フラグXleftの値が「1」である場合において、交差点縦幅Lcrrngが第1縦幅閾値L1th以上であって第2縦幅閾値L2th以下であり且つ道路幅Wtotalが第1道路幅閾値W1よりも小さい場合、車両運転支援装置10は、第1左折曲率ρleft_1を走路曲率ρmとして取得する(図8の(A)参照)。尚、第2縦幅閾値L2thは、第1縦幅閾値L1thよりも大きい値に設定されている。
【0101】
一方、右折フラグXrightの値が「1」である場合において、交差点縦幅Lcrrngが第1縦幅閾値L1th以上であって第2縦幅閾値L2th以下であり且つ道路幅Wtotalが第1道路幅閾値W1よりも小さい場合、車両運転支援装置10は、第1右折曲率ρright_1を走路曲率ρmとして取得する(図8の(B)参照)。
【0102】
又、左折フラグXleftの値が「1」である場合において、交差点縦幅Lcrrngが第1縦幅閾値L1th以上であって第2縦幅閾値L2th以下であり且つ道路幅Wtotalが第1道路幅閾値W1以上であって第2道路幅閾値W2以下である場合、車両運転支援装置10は、第2左折曲率ρleft_2を走路曲率ρmとして取得する(図8の(A)参照)。
【0103】
一方、右折フラグXrightの値が「1」である場合において、交差点縦幅Lcrrngが第1縦幅閾値L1th以上であって第2縦幅閾値L2th以下であり且つ道路幅Wtotalが第1道路幅閾値W1以上であって第2道路幅閾値W2以下である場合、車両運転支援装置10は、第2右折曲率ρright_2を走路曲率ρmとして取得する(図8の(B)参照)。
【0104】
又、左折フラグXleftの値が「1」である場合において、交差点縦幅Lcrrngが第1縦幅閾値L1th以上であって第2縦幅閾値L2th以下であり且つ道路幅Wtotalが第2道路幅閾値W2よりも大きい場合、車両運転支援装置10は、第3左折曲率ρleft_3を走路曲率ρmとして取得する(図8の(A)参照)。尚、第3左折曲率ρleft_3は、第2左折曲率ρleft_2よりも小さい値に設定されている。
【0105】
一方、右折フラグXrightの値が「1」である場合において、交差点縦幅Lcrrngが第1縦幅閾値L1th以上であって第2縦幅閾値L2th以下であり且つ道路幅Wtotalが第2道路幅閾値W2よりも大きい場合、車両運転支援装置10は、第3右折曲率ρright_3を走路曲率ρmとして取得する(図8の(B)参照)。尚、第3右折曲率ρright_3は、第2右折曲率ρright_2よりも小さい値に設定されている。
【0106】
又、左折フラグXleftの値が「1」である場合において、交差点縦幅Lcrrngが第2縦幅閾値L2thよりも大きく且つ道路幅Wtotalが第1道路幅閾値W1よりも小さい場合、車両運転支援装置10は、第2左折曲率ρleft_2を走路曲率ρmとして取得する(図8の(A)参照)。
【0107】
一方、右折フラグXrightの値が「1」である場合において、交差点縦幅Lcrrngが第2縦幅閾値L2thよりも大きく且つ道路幅Wtotalが第1道路幅閾値W1よりも小さい場合、車両運転支援装置10は、第2右折曲率ρright_2を走路曲率ρmとして取得する(図8の(B)参照)。
【0108】
又、左折フラグXleftの値が「1」である場合において、交差点縦幅Lcrrngが第2縦幅閾値L2thよりも大きく且つ道路幅Wtotalが第1道路幅閾値W1以上であって第2道路幅閾値W2以下である場合、車両運転支援装置10は、第3左折曲率ρleft_3を走路曲率ρmとして取得する(図8の(A)参照)。
【0109】
又、右折フラグXrightの値が「1」である場合において、交差点縦幅Lcrrngが第2縦幅閾値L2thよりも大きく且つ道路幅Wtotalが第1道路幅閾値W1以上であって第2道路幅閾値W2以下である場合、車両運転支援装置10は、第3右折曲率ρright_3を走路曲率ρmとして取得する(図8の(B)参照)。
【0110】
又、左折フラグXleftの値が「1」である場合において、交差点縦幅Lcrrngが第2縦幅閾値L2thよりも大きく且つ道路幅Wtotalが第2道路幅閾値W2よりも大きい場合、車両運転支援装置10は、第3左折曲率ρleft_3を走路曲率ρmとして取得する(図8の(A)参照)。
【0111】
又、右折フラグXrightの値が「1」である場合において、交差点縦幅Lcrrngが第2縦幅閾値L2thよりも大きく且つ道路幅Wtotalが第2道路幅閾値W2よりも大きい場合、車両運転支援装置10は、第3右折曲率ρright_3を走路曲率ρmとして取得する(図8の(B)参照)。
【0112】
又、車両運転支援装置10は、運転者が交差点300において自車両100を左折させる意図があると判定された場合(即ち、左折フラグXleftの値が「1」である場合)において、図7に示したように、当該交差点300に左折可能道路500が2つ以上あるときにそれら左折可能道路500の何れか1つについて、走路曲率ρmの算出を開始した後、運転者が進入させる左折可能道路500を確定することができた場合、当該確定した左折可能道路500を進入左折道路500tgtとして走路曲率ρmの算出を行うように構成されてもよい。
【0113】
この場合、車両運転支援装置10は、カメラ画像情報ICから左折可能道路500の何れかの白線等を検出することができるようになり、その左折可能道路500の車線を特定することができ且つ当該左折可能道路500に自車両100が進入すると予測された場合、当該左折可能道路500を運転者が進入させる左折可能道路500(進入左折道路500tgt)として確定する。
【0114】
例えば、図9に示したように、運転者が自車両100を手前の左折可能道路502に進入させようとして自車両100を左折させている間に、自車両100が当該左折可能道路502に近づくと、カメラ画像情報ICから当該左折可能道路502に設けられている白線等を検出することができるようになる。すると、車両運転支援装置10は、当該左折可能道路502を運転者が進入させる左折可能道路500(進入左折道路500tgt)として確定することができる。
【0115】
或いは、車両運転支援装置10は、各左折可能道路500に進入するものとした場合に設定されるべきガイド舵角δguideのうち、実際の舵角の収束値に近いガイド舵角δguideが特定された場合、当該ガイド舵角δguideに対応する左折可能道路500を運転者が進入させる左折可能道路500(進入左折道路500tgt)として確定する。
【0116】
例えば、図9に示したように、交差点300に左折可能道路500が2つ存在する場合、自車両100が左折を開始するときには、奥側の左折可能道路501についてのガイド舵角δguide(ガイド舵角δguide_1)が取得されるとともに、手前の左折可能道路502についてのガイド舵角δguide(ガイド舵角δguide_2)が取得される。
【0117】
尚、手前の左折可能道路502についてのガイド舵角δguide_2の取得の際に用いる交差点300の横方向の大きさを示すパラメータとしては、上述した交差点横幅Wcrrngと同じものが用いられるが、交差点300の横方向の大きさを示すパラメータとしては、自車走行道路接続部550を基準として取得した交差点縦幅Lcrrngに代えて、自車走行車線LNegoの中央ラインと手前の左折可能道路502において自車両100が走行する車線の中央ラインとの交点を基準として取得した交差点縦幅Lcrrngが用いられる。
【0118】
そして、この場合、図10の(A)に示したように、奥側の左折可能道路501についてのガイド舵角δguide_1よりも、手前の左折可能道路502についてのガイド舵角δguide_2のほうが大きい。このとき、運転者が自車両100を手前の左折可能道路502に進入させようとしている場合、実際の舵角は、奥側の左折可能道路501についてのガイド舵角δguide_1を超えて、手前の左折可能道路502についてのガイド舵角δguide_2に近くなる。このとき、車両運転支援装置10は、手前の左折可能道路502を運転者が進入させようとしている左折可能道路500(進入左折道路500tgt)として確定する。
【0119】
或いは、車両運転支援装置10は、各左折可能道路500に進入するものとした場合に設定されるべきガイド舵角δguideに基づいて想定される実際の舵角の上昇率(舵角速度Rρ)のうち、実際の舵角速度(実際の舵角の上昇率)に近い舵角速度Rρが特定された場合、当該舵角速度Rρに対応する左折可能道路500を進入左折道路500tgtとして確定する。
【0120】
例えば、図9に示したように、交差点300に左折可能道路500が2つ存在する場合、自車両100が左折を開始するときには、自車両100から最も遠い左折可能道路501、即ち、奥側の左折可能道路501についてのガイド舵角δguide_1が取得されるとともに、手前の左折可能道路502についてのガイド舵角δguide_2が取得される。
【0121】
そして、この場合、先に述べたように、図10の(B)に示したように、奥側の左折可能道路501についてのガイド舵角δguide_1よりも、手前の左折可能道路502についてのガイド舵角δguide_2のほうが大きい。このとき、運転者が自車両100を手前の左折可能道路502に進入させようとしている場合、実際の舵角速度Rρ(実際の舵角の上昇率)は、奥側の左折可能道路501に自車両100を進入させようとしているときの舵角速度Rρ_1ではなく、手前の左折可能道路502に自車両100を進入させようとしているときの舵角速度Rρ_2に近くなる。このとき、車両運転支援装置10は、手前の左折可能道路502を進入左折道路500tgtとして確定する。
【0122】
同様に、車両運転支援装置10は、運転者が交差点300において自車両100を右折させる意図があると判定された場合(即ち、右折フラグXrightの値が「1」である場合)において、交差点300に右折可能道路600が2つ以上あるときにそれら右折可能道路600の何れか1つについて、走路曲率ρmの算出を開始した後、運転者が進入させる右折可能道路600を確定することができた場合、当該確定した右折可能道路600を進入右折道路600tgtとして走路曲率ρmの算出を行うように構成されてもよい。
【0123】
尚、以上の説明から判るように、車両運転支援装置10は、自車両100を基準として交差点300の縦方向の大きさ(交差点縦幅Lcrrng)及び横方向の大きさ(交差点横幅Wcrrng)を取得し、縦方向の大きさ及び横方向の大きさに基づいて交差点300の大きさを取得する。そして、車両運転支援装置10は、その交差点300の大きさに基づいて走路曲率ρmを取得する。
【0124】
次いで、車両運転支援装置10は、処理をステップS225に進め、ガイド舵角δguideを設定する。本例において、車両運転支援装置10は、ステップS220にて取得した走路曲率ρmが小さいほど小さいガイド舵角δguideを設定する。言い換えれば、車両運転支援装置10は、交差点300の規模が大きいほど小さいガイド舵角δguideを設定する。
【0125】
交差点300の規模が大きい場合、その交差点300を左折又は右折するときに必要な舵角は小さくてよい。従って、運転者がハンドル31を過剰に操作してしまうと、自車両100が適切な走路に沿って左折又は右折することができない。
【0126】
車両運転支援装置10によれば、交差点300の規模が大きい場合、ハンドル31に付与される操舵反力が大きくなる。このため、運転者がハンドル31を過剰に操作してしまうことを抑制することができる。
【0127】
一方、交差点300の規模が小さい場合、その交差点300を左折又は右折するときに必要な舵角は大きくなければならない。従って、運転者によるハンドル操作が不足すると、自車両100が適切な走路に沿って左折又は右折することができない。
【0128】
車両運転支援装置10によれば、交差点300の規模が小さい場合、ハンドル31に付与される操舵反力が小さくなる。このため、運転者によるハンドル操作が不足してしまうことを抑制することができる。
【0129】
次いで、車両運転支援装置10は、処理をステップS230に進め、ガイド舵角差Δδguideを取得する。ここで取得されるガイド舵角差Δδguideは、ステップS225にて取得したガイド舵角δguideとその時点の実舵角δとの差である。本例において、ガイド舵角差Δδguideは、下式7から取得される。
【0130】
Δδguide=δguide-δ …(7)
【0131】
次いで、車両運転支援装置10は、処理をステップS235に進め、ステップS230で取得したガイド舵角差Δδguideに基づいて目標操舵反力RFtgtを設定する。
【0132】
このとき、車両運転支援装置10は、ステップS230にて取得したガイド舵角差Δδguideが正の方向に大きいほど小さい目標操舵反力RFtgtを設定し、ステップS230にて取得したガイド舵角差Δδguideが負の方向に大きいほど大きい目標操舵反力RFtgtを設定する。即ち、車両運転支援装置10は、ガイド舵角差Δδguideを小さくするように、即ち、実舵角δをガイド舵角δguideに近づけるようにハンドル31に操舵反力が付与されるように目標操舵反力RFtgtを設定する。
【0133】
尚、車両運転支援装置10は、演算式により目標操舵反力RFtgtを設定するように構成されてもよいし、ガイド舵角差Δδguideを引数とした目標操舵反力RFtgtのマップを記憶しておき、そのマップにガイド舵角差Δδguideを適用して目標操舵反力RFtgtを設定するように構成されてもよい。
【0134】
尚、車両運転支援装置10は、ステップS230にて取得したガイド舵角差Δδguideがゼロである場合には、ゼロよりも大きい通常の操舵反力(通常操舵反力RFnormal)を目標操舵反力RFtgtとして設定するように構成されている。
【0135】
次いで、車両運転支援装置10は、処理をステップS240に進め、ステップS235にて設定した目標操舵反力RFtgtに相当する操舵反力をハンドル31に付与し、その後、処理をステップS295に進め、本ルーチンの処理を一旦終了する。
【0136】
これによれば、運転者が交差点300において自車両100を左折又は右折させる場面においても、交差点300の大きさを用いてガイド舵角δguideを設定することができる。従って、運転者が操舵操作をスムーズに行うことができるようにする操舵反力を操舵操作(ハンドル31)に付与することができる。
【0137】
一方、車両運転支援装置10は、ステップS205又はステップS215にて「No」と判定した場合、処理をステップS245に進め、左折フラグXleftの値を「0」に設定する(リセットする)。次いで、車両運転支援装置10は、処理をステップS250に進め、右折フラグXrightの値を「0」に設定する(リセットする)。
【0138】
次いで、車両運転支援装置10は、処理をステップS255に進め、カーブ進入条件CCが成立したか否かを判定する。
【0139】
カーブ進入条件CCは、自車両100が所定時間以内に進入するものと予測されるカーブ路(進入予測カーブ路)が検出されたとの条件である。従って、カーブ進入条件CCは、進入予測カーブ路が検出されたときに成立し、その後、自車両100がその進入予測カーブ路を走行し終えたときに非成立となる。従って、カーブ進入条件CCは、進入予測カーブ路が検出された後、自車両100がその進入予測カーブ路を走行している間、成立しており、それ以外のときには、非成立となっている。
【0140】
尚、車両運転支援装置10は、カーブ進入条件CCが成立するか否かを、カメラ画像情報ICに基づいて判定する。しかしながら、車両運転支援装置10は、GPS信号から特定される自車両100の位置と地図情報データベースの地図情報とに基づいてカーブ進入条件CCが成立するか否かを判定するように構成されてもよい。
【0141】
運転者は、自車両100をカーブ路に沿って走行させる場合、ハンドル31を回転操作する。このとき、運転者は、急なカーブ路に沿って自車両100を走行させる場合には、緩いカーブ路に沿って自車両100を走行させる場合に比べ、ハンドル31を速やかに回転操作する必要がある。ここで、急なカーブ路に沿って自車両100を走行させるときと緩いカーブ路に沿って自車両100を走行させるときとで、ハンドル31に付与される操舵反力が一定であると、急なカーブ路に沿って自車両100を走行させるときにハンドル操作が遅れ、カーブ路に沿った自車両100のスムーズな走行を実現することができない可能性がある。
【0142】
そこで、車両運転支援装置10は、運転者が自車両100を走行させようとするカーブ路の曲率に応じて操舵反力を調整することにより、運転者がカーブ路に沿って自車両100をスムーズに走行させることができるようにする。
【0143】
このために、車両運転支援装置10は、ステップS255において、カーブ進入条件CCが成立しているか否かを判定する。
【0144】
車両運転支援装置10は、ステップS255にて「Yes」と判定した場合、処理をステップS260に進め、図4又は図5に示したルーチンを実行する。従って、車両運転支援装置10は、図4に示したルーチンを実行するようになっている場合、処理をステップS260に進めると、図4のステップS400から処理を開始し、その処理をステップS405に進め、カーブ半径Rを取得する。
【0145】
カーブ半径Rは、自車両100が進入することが予測されるカーブ路(進入予測カーブ路)の最小曲線半径である。特に、本例において、カーブ半径Rは、進入予測カーブ路における自車走行車線LNegoを画定する左側の白線MB_Lと右側の白線MB_Rとの中間のラインの最小曲率半径である。
【0146】
尚、左側の白線MB_L及び右側の白線MB_Rは、カメラ画像情報ICから取得される。従って、カーブ半径Rは、カメラ画像情報ICから取得される。
【0147】
次いで、車両運転支援装置10は、処理をステップS410に進め、緊迫度がないか否かを判定する。
【0148】
本例における緊迫度は、運転者が自車両100をカーブ路に進入させるに当たり、運転者が注視しているであろうと推定される自車両100の前方の地点(前方注視地点)を表すものであり、緊迫度が大きいと判定される場合(即ち、緊迫度があると判定される場合)、その緊迫度は、前方注視地点が自車両100から前方に比較的遠い地点であることを示しており、緊迫度が小さいと判定される場合(即ち、緊迫度がないと判定される場合)、その緊迫度は、前方注視地点が自車両100から前方に比較的近い地点であることを示している。
【0149】
本例において、緊迫度の有無は、ステップS405にて取得したカーブ半径Rとその時点の自車速Vとに基づいて判定される。
【0150】
より具体的には、車両運転支援装置10は、図11に示したように、自車速Vが所定車速Vthよりも低い範囲にあるときには、カーブ半径Rが所定値(第1半径Rth_1)よりも大きい場合、緊迫度はないと判定するが、カーブ半径Rが第1半径Rth_1以下である場合、緊迫度があると判定する。
【0151】
又、車両運転支援装置10は、自車速Vが所定車速Vth以上の範囲にあるときには、カーブ半径Rが第1半径Rth_1よりも大きい所定値(第2半径Rth_2)よりも大きい場合、緊迫度はないと判定するが、カーブ半径Rが第2半径Rth_2以下である場合、緊迫度があると判定する。
【0152】
尚、本例において、車両運転支援装置10は、カーブ半径Rと自車速Vとの両方に基づいて緊迫度の有無を判定するが、カーブ半径Rのみに基づいて緊迫度の有無を判定するように構成されてもよい。
【0153】
車両運転支援装置10は、ステップS410にて「Yes」と判定した場合、処理をステップS415に進め、前方注視時間Tを第1時間T1に設定する。
【0154】
次いで、車両運転支援装置10は、処理をステップS420に進め、ステップS415にて設定した前方注視時間T(第1時間T1)及び自車速Vを用いて前方注視距離Dを取得する。
【0155】
前方注視距離Dは、運転者が注視しているであろうと推定される地点(前方注視地点)までの自車両100からの距離である。本例において、前方注視距離Dは、下式8に従った演算により取得される。
【0156】
D=V×T …(8)
【0157】
次いで、車両運転支援装置10は、処理をステップS425に進め、カメラ画像情報ICに基づいて自車走行車線LNegoの左側の白線MB_L及び右側の白線MB_Rを検出し、これら左側の白線MB_L及び右側の白線MB_R並びにステップS420にて取得した前方注視距離Dを用いて注視地点曲率ρwを取得する(図12参照)。
【0158】
注視地点曲率ρwは、自車両100から前方注視距離Dだけ前方の自車走行車線LNegoの曲率、即ち、カーブ半径Rのカーブ路を前にした運転者が注視しているであろうと推定される自車両100の前方の地点における自車走行車線LNegoの曲率である。カーブ半径Rが小さい場合、カーブ半径Rが大きい場合に比べ、自車両100から前方に、より遠い地点における自車走行車線LNegoの曲率が注視地点曲率ρwとして取得される。
【0159】
例えば、図12の(A)に示したように、カーブ半径Rが大きい場合(即ち、自車両100が進入することが予測されるカーブ路が緩いカーブ路である場合)、車両運転支援装置10は、自車両100から第1距離D1だけ前方の自車走行車線LNegoの曲率を注視地点曲率ρwとして取得する。
【0160】
一方、図12の(B)に示したように、カーブ半径Rが小さい場合(即ち、自車両100が進入することが予測されるカーブ路が急なカーブ路である場合)、車両運転支援装置10は、自車両100から第1距離D1よりも長い第2距離D2だけ前方の自車走行車線LNegoの曲率を注視地点曲率ρwとして取得する。
【0161】
このように、車両運転支援装置10は、取得したカーブ半径Rが小さい場合、取得したカーブ半径Rが大きい場合に比べ、自車両100から前方に、より遠い地点における自車走行道路RDの曲率を注視地点曲率ρwとして取得する。
【0162】
尚、ステップS425にて注視地点曲率ρwが取得される直前に目標操舵反力RFtgtの設定に用いられた注視地点曲率ρw又は走路曲率ρmと今回、ステップS425にて取得された注視地点曲率ρwとの差が所定値よりも大きい場合、その差が所定値以下の値となるように補正した注視地点曲率ρwをステップS425にて取得される注視地点曲率ρwとしてもよい。即ち、ステップS425にて取得される注視地点曲率ρwを徐変させるようにしてもよい。
【0163】
次いで、車両運転支援装置10は、処理をステップS430に進め、ステップS425にて取得した注視地点曲率ρwを用いてガイド舵角δguideを取得する。
【0164】
本例において、ガイド舵角δguideは、下式9に従った演算により取得される。式9において、「n」は、ステアリングボックスのギア比、「K」は、上式8により取得されるガイド舵角δguideが自車両100をカーブ路に沿ってスムーズに走行させることができる値として取得されるように実験等により求めた係数(適合値)であり、「A」は、いわゆるスタビリティファクターであり、「V」は、自車速であり、「L」は、自車両100のホイールベースである。
【0165】
δguide=n×K×(1+A×V)×L×ρw …(9)
【0166】
次いで、車両運転支援装置10は、処理をステップS455に進め、ガイド舵角差Δδguideを取得する。ここで取得されるガイド舵角差Δδguideは、ステップS430にて取得したガイド舵角δguideとその時点の実舵角δとの差である。本例において、ガイド舵角差Δδguideは、下式10から取得される。
【0167】
Δδguide=δguide-δ …(10)
【0168】
次いで、車両運転支援装置10は、処理をステップS460に進め、ステップS455にて取得したガイド舵角差Δδguideを用いて目標操舵反力RFtgtを取得する。
【0169】
このとき、車両運転支援装置10は、ステップS460にて取得したガイド舵角差Δδguideが正の方向に大きいほど小さい目標操舵反力RFtgtを設定し、ステップS460にて取得したガイド舵角差Δδguideが負の方向に大きいほど大きい目標操舵反力RFtgtを設定する。即ち、車両運転支援装置10は、ガイド舵角差Δδguideを小さくするように、即ち、実舵角δをガイド舵角δguideに近づけるようにハンドル31に操舵反力が付与されるように目標操舵反力RFtgtを設定する。
【0170】
尚、車両運転支援装置10は、演算式により目標操舵反力RFtgtを設定するように構成されてもよいし、ガイド舵角差Δδguideを引数とした目標操舵反力RFtgtのマップを記憶しておき、そのマップにガイド舵角差Δδguideを適用して目標操舵反力RFtgtを設定するように構成されてもよい。
【0171】
尚、車両運転支援装置10は、ガイド舵角差Δδguideがゼロである場合には、ゼロよりも大きい通常の操舵反力(通常操舵反力RFnormal)を目標操舵反力RFtgtとして設定するように構成されている。
【0172】
次いで、車両運転支援装置10は、処理をステップS465に進め、ステップS460にて取得した目標操舵反力RFtgtに相当する操舵反力をハンドル31に付与し、その後、車両運転支援装置10は、処理をステップS495に進め、本ルーチンの処理を一旦終了する。
【0173】
尚、本例においては、注視地点曲率ρwが大きいほど小さい操舵反力がハンドル31に付与される。
【0174】
一方、車両運転支援装置10は、ステップS410にて「No」と判定した場合、処理をステップS435に進め、前方注視時間Tを第1時間T1よりも長い第2時間T2に設定する。
【0175】
次いで、車両運転支援装置10は、処理をステップS440に進め、ステップS435にて設定した前方注視時間T(第2時間T2)を用いて上式8に従った演算により前方注視距離Dを取得する。
【0176】
尚、第2時間T2は、第1時間T1よりも長いので、緊迫度があると判定された場合に取得される前方注視距離Dは、緊迫度がないと判定された場合に取得される前方注視距離Dよりも長い距離である。
【0177】
次いで、車両運転支援装置10は、処理をステップS445に進め、ステップS440にて取得した前方注視距離Dを用いて先に述べたようにして注視地点曲率ρwを取得する。
【0178】
尚、ステップS445にて注視地点曲率ρwが取得される直前に目標操舵反力RFtgtの設定に用いられた注視地点曲率ρw又は走路曲率ρmと今回、ステップS445にて取得された注視地点曲率ρwとの差が所定値よりも大きい場合、その差が所定値以下の値となるように補正した注視地点曲率ρwをステップS445にて取得される注視地点曲率ρwとしてもよい。即ち、ステップS445にて取得される注視地点曲率ρwを徐変させるようにしてもよい。
【0179】
次いで、車両運転支援装置10は、処理をステップS450に進め、ステップS445にて取得した注視地点曲率ρwを用いて上式9に従った演算によりガイド舵角δguideを取得する。
【0180】
尚、緊迫度がある場合の前方注視距離Dは、緊迫度がない場合の前方注視距離Dよりも長い距離であるので、緊迫度がある場合に取得される注視地点曲率ρwは、緊迫度がない場合に取得される注視地点曲率ρwよりも大きい傾向にある。
【0181】
次いで、車両運転支援装置10は、処理をステップS455に進め、ステップS450にて取得したガイド舵角δguideを用いて上式10に従った演算によりガイド舵角差Δδguideを取得する。
【0182】
次いで、車両運転支援装置10は、処理をステップS460に進め、ステップS455にて取得したガイド舵角差Δδguideを用いて先に述べたようにして目標操舵反力RFtgtを取得する。
【0183】
次いで、車両運転支援装置10は、処理をステップS465に進め、ステップS460にて取得した目標操舵反力RFtgtに相当する操舵反力をハンドル31に付与し、その後、処理をステップS495に進め、本ルーチンの処理を一旦終了する。
【0184】
これによれば、自車両100が緩いカーブ路に進入することが予測された場合、取得されるガイド舵角δguideは、図13の(A)に示したように推移する。図13の(A)において、ラインLgは、ガイド舵角δguideの推移を示しており、ラインLaは、実舵角δの推移を示しており、時刻t120にてガイド舵角δguideがゼロから大きくなり始め、時刻t121にて実舵角δがゼロから大きくなり始めている。
【0185】
一方、自車両100が急なカーブ路に進入することが予測された場合、取得されるガイド舵角δguideは、図13の(B)に示したように推移する。図13の(B)において、ラインLgは、ガイド舵角δguideの推移を示しており、ラインLaは、実舵角δの推移を示しており、時刻t120にてガイド舵角δguideがゼロから大きくなり始め、時刻t121にて実舵角δがゼロから大きくなり始めている。
【0186】
図13の(A)に示したガイド舵角δguideの推移と図13の(B)に示したガイド舵角δguideの推移とを比較すると判るように、自車両100が進入するものと予測されるカーブ路(進入予測カーブ路)が急なカーブ路であるときには、進入予測カーブ路が緩いカーブ路であるときよりも、早いタイミングでガイド舵角δguideが大きくなっている。従って、進入予測カーブ路が急なカーブ路であるときには、進入予測カーブ路が緩いカーブ路であるときよりも、早いタイミングで操舵反力が小さくされる。このため、自車両100が急なカーブ路にさしかかり、運転者がハンドル31の回転操作を開始するときに操舵反力が小さくなっているので、運転者は、ハンドル31を速やかに回転操作することができ、その結果、カーブ路が急なカーブ路であっても、そのカーブ路に沿って自車両100をスムーズに走行させることができる。従って、車両運転支援装置10は、運転者がカーブ路に沿って自車両100をスムーズに走行させることができるように操舵反力を調整することができる。
【0187】
又、進入予測カーブ路が急なカーブ路であるときには、自車両100がその進入予測カーブ路を走行している間、実際の実舵角δの変化に先行する形でガイド舵角δguideが大きくなり、又、小さくなる。このため、カーブ路が急なカーブ路であっても、そのカーブ路に沿って自車両100をスムーズに走行させることができる。
【0188】
尚、進入予測カーブ路が緩いカーブ路であるときには、自車両100がその進入予測カーブ路を走行している間、実際の実舵角δの変化に近い形でガイド舵角δguideが大きくなり、又、小さくなる。従って、運転者による実際のハンドル回転操作に近い形での操舵反力の調整が行われることになる。
【0189】
一方、車両運転支援装置10は、図5に示したルーチンを実行するようになっている場合、処理を図2に示したルーチンのステップS260に進めると、図5のステップS500から処理を開始し、その処理をステップS505に進め、目標舵角δtgtを取得する。
【0190】
目標舵角δtgtは、カーブ路に沿って自車両100を好適に走行させるための舵角の変化の目標(舵角変化目標)に沿った実舵角δである。本例において、目標舵角δtgtは、下式11に従った演算により取得される。
【0191】
δtgt=f(t) …(11)
【0192】
式11において、「t」は、自車両100をカーブ路に沿って走行させるために運転者がハンドル31を中立位置から回転させ始める時刻(ハンドル操作開始時刻)である。従って、式11において、「f(t)」は、ハンドル操作開始時刻tを変数とする関数である。
【0193】
次いで、車両運転支援装置10は、処理をステップS510に進め、カーブ半径R及び自車速Vを取得する。
【0194】
次いで、車両運転支援装置10は、処理をステップS515に進め、ステップS510にて取得したカーブ半径R及び自車速Vを用いて先読み時間τ及びゲインaを取得する。
【0195】
先読み時間τは、ガイド舵角δguideの設定を開始する時刻を早めるための時間である。本例において、先読み時間τ及びゲインaは、カーブ半径R及び自車速Vを下式12及び下式13にそれぞれ適用して取得される。
【0196】
τ=H(R,V) …(12)
a=G(R,V) …(13)
【0197】
式12において、「H(R,V)」は、カーブ半径R及び自車速Vを変数とする関数である。式12によれば、カーブ半径Rが小さい場合、カーブ半径Rが大きい場合に比べ、長い先読み時間τが取得され、特に、カーブ半径Rが小さいほど長い先読み時間τが取得される。又、式12によれば、カーブ半径Rがゼロよりも大きい場合、ゼロよりも長い先読み時間τが取得される。又、式12によれば、自車速Vが高い場合、自車速Vが低い場合に比べ、長い先読み時間τが取得され、特に、自車速Vが高いほど長い先読み時間τが取得される。
【0198】
又、式13において、「G(R,V)」は、カーブ半径R及び自車速Vを変数とする関数である。式13によれば、カーブ半径Rが小さい場合、カーブ半径Rが大きい場合に比べ、小さい値のゲインaが取得され、特に、カーブ半径Rが小さいほど小さい値のゲインaが取得される。又、式13によれば、自車速Vが高い場合、自車速Vが低い場合に比べ、小さいゲインaが取得され、特に、自車速Vが高いほど小さいゲインaが取得される。又、式13から取得されるゲインaは、ゼロよりも大きく且つ「1」以下の値である。又、式13によれば、カーブ半径Rがゼロよりも大きい場合、少なくとも、「1」よりも小さいゲインaが取得される。
【0199】
尚、関数H(R,V)や関数G(R,V)としては、一次式、二次式或いはシグモイド関数を利用することができる。或いは、関数H(R,V)や関数G(R,V)をマップ(又はルックアップテーブル)の形で記憶しておき、そのマップにカーブ半径R及び自車速Vを適用することにより、先読み時間τ及びゲインaを取得してもよい。或いは、先に述べたように、自車速V及びカーブ半径Rに基づいて緊迫度の有無を判定し、緊迫度がない場合には、比較的短い時間を先読み時間τとして設定し、緊迫度がある場合には、その時間よりも長い時間を先読み時間τとして設定するようにしてもよい。
【0200】
次いで、車両運転支援装置10は、処理をステップS520に進め、ステップS515にて取得した先読み時間τ及びゲインaを用いてガイド舵角δguideを取得する。本例において、ガイド舵角δguideは、下式14に従った演算により取得される。
【0201】
δguide=a×f(t-τ) …(14)
【0202】
式14において、「t」は、ハンドル操作開始時刻である。
【0203】
式14から取得される目標舵角δtgtは、図14にラインLaで示したように、時刻t131(ハンドル操作開始時刻t)においてゼロよりも大きくなり始め、その後、時間の経過と共に、徐々に大きくなり、その最大値に達した後、徐々に小さくなり、自車両100がカーブ路を走行し終えた時刻t133においてゼロとなる。
【0204】
一方、式14から取得されるガイド舵角δguideは、図14にラインLgで示したように、時刻t131(ハンドル操作開始時刻t)よりも早い時刻t130においてゼロよりも大きくなり始め、その後、時間の経過と共に、徐々に大きくなり、その最大値δmaxに達した後、徐々に小さくなり、自車両100がカーブ路を走行し終えた時刻t133よりも早い時刻t132においてゼロとなる。
【0205】
このように、本例においては、カーブ路が検出され、そのカーブ路のカーブ半径Rが取得された場合、ゼロよりも長い先読み時間τが設定されるので、ガイド舵角δguideの設定は、ハンドル操作開始時刻t(時刻t131)よりも早い時刻t130で開始される。言い方を換えると、ハンドル操作開始時刻t(時刻t131)よりも早い時刻t130からガイド舵角δguideがゼロよりも大きくなる。
【0206】
又、本例においては、カーブ路が検出され、そのカーブ路のカーブ半径Rが取得された場合、「1」よりも小さいゲインaが設定されるので、ガイド舵角δguideの最大値δmaxは、目標舵角δtgtの最大値よりも小さくなる。
【0207】
更に、先読み時間τは、カーブ半径Rが小さい場合、カーブ半径Rが大きい場合に比べ、長い時間に設定されるので、ガイド舵角δguideの設定が開始される時刻t130は、カーブ半径Rが小さい場合、カーブ半径Rが大きい場合に比べ、ハンドル操作開始時刻t(時刻t131)よりも、より早い時刻となる。
【0208】
又、先読み時間τは、自車速Vが高い場合、自車速Vが低い場合に比べ、長い時間に設定されるので、ガイド舵角δguideの設定が開始される時刻t130は、自車速Vが高い場合、自車速Vが低い場合に比べ、ハンドル操作開始時刻t(時刻t131)よりも、より早い時刻となる。
【0209】
更に、ゲインaは、カーブ半径Rが小さい場合、カーブ半径Rが大きい場合に比べ、小さい値に設定されるので、ガイド舵角δguideの最大値δmaxは、カーブ半径Rが小さい場合、カーブ半径Rが大きい場合に比べ、より小さい値に設定される。
【0210】
又、ゲインaは、自車速Vが高い場合、自車速Vが低い場合に比べ、小さい値に設定されるので、ガイド舵角δguideの最大値δmaxは、自車速Vが高い場合、自車速Vが低い場合に比べ、より小さい値に設定される。
【0211】
以上のことから、ガイド舵角δguideは、カーブ半径Rが大きく、又、自車速Vが低い場合、時間の経過と共に、図14の(A)にラインLgで示したように変化し、カーブ半径Rが小さく、又、自車速Vが高い場合、時間の経過と共に、図14の(B)にラインLgで示したように変化する。
【0212】
次いで、車両運転支援装置10は、処理をステップS525に進め、ステップS520にて取得したガイド舵角δguideと実舵角δとの差を上式10に従った演算によりガイド舵角差Δδguideとして取得する。
【0213】
次いで、車両運転支援装置10は、処理をステップS530に進め、ステップS525にて取得したガイド舵角差Δδguideに基づいて上述したようにして目標操舵反力RFtgtを取得する。
【0214】
次いで、車両運転支援装置10は、処理をステップS535に進め、ステップS530にて取得した目標操舵反力RFtgtに相当する操舵反力をハンドル31に付与し、その後、処理をステップS595に進め、本ルーチンの処理を一旦終了する。
【0215】
このように、車両運転支援装置10は、実際の舵角がガイド舵角δguideよりも小さい場合、ガイド舵角δguideに対する実際の舵角の差(ガイド舵角差Δδguide)が大きいほど操舵反力を通常の操舵反力よりも小さくする。一方、車両運転支援装置10は、実際の舵角がガイド舵角δguideよりも大きくなると、ガイド舵角δguideに対する実際の舵角の差(ガイド舵角差Δδguide)が大きいほど操舵反力を通常の操舵反力よりも大きくする。
【0216】
運転者が自車両100をカーブ路に沿って走行させるためのハンドル操作を開始する時刻(ハンドル操作開始時刻t)となったときに操舵反力を小さくすると、運転者は、自車両100をカーブ路に沿って走行させるためのハンドル操作を行いやすくはなるが、そのハンドル操作が遅れ、自車両100をカーブ路に沿って好適に走行させることができない可能性がある。
【0217】
本例に係る車両運転支援装置10によれば、ハンドル操作開始時刻t(操舵操作開始時刻)よりも、より早いタイミングでガイド舵角δguide(ガイド操舵操作量)の設定が開始され、その結果、より早いタイミングで操舵反力が小さくされる。このため、カーブ半径Rが小さい場合(カーブ路の曲がり具合が大きい場合)においても、自車両100をカーブ路に沿って走行させるためのハンドル操作(操舵操作)を遅れることなく行い、その結果、自車両100をカーブ路に沿って好適に走行させることができるようになる。
【0218】
又、カーブ半径Rが小さい場合、運転者は、そのカーブ路に沿って自車両100を走行させるためには、より大きくハンドル操作を行う必要があるので、運転者によるハンドル操作が遅れる可能性が高くなる。
【0219】
本例に係る車両運転支援装置10によれば、カーブ半径Rが小さいときには、ガイド舵角δguideの設定を開始するタイミングを早めるための先読み時間τ(所定時間)が長い時間に設定されるので、運転者が自車両100を当該カーブ路に沿って走行させるためのハンドル操作を開始する時点よりも、より早いタイミングでガイド舵角δguideの設定が開始され、その結果、より早いタイミングで操舵反力が小さくされる。このため、運転者によるハンドル操作が遅れることを抑制することができる。従って、自車両100がカーブ路を走行している間、実際の舵角が目標舵角δtgtに一致した(又は略一致した)状態で変化するので、自車両100をカーブ路に沿って好適に走行させることができるようになる。
【0220】
又、自車速Vが高い場合、運転者は、カーブ路に沿って自車両100を走行させるためには、より速くハンドル操作を行う必要があるので、運転者によるハンドル操作が遅れる可能性が高くなる。
【0221】
本例に係る車両運転支援装置10によれば、自車速Vが高いときには、ガイド舵角δguideの設定を開始するタイミングを早めるための先読み時間τが長い時間に設定されるので、運転者が自車両100を当該カーブ路に沿って走行させるためのハンドル操作を開始する時点よりも、より早いタイミングでガイド舵角δguideの設定が開始され、その結果、より早いタイミングで操舵反力が小さくされる。このため、運転者によるハンドル操作が遅れることを抑制することができる。従って、自車両100がカーブ路を走行している間、実際の舵角が目標舵角δtgtに一致した(又は略一致した)状態で変化するので、自車両100をカーブ路に沿って好適に走行させることができるようになる。
【0222】
又、運転者は、自車両100をカーブ路に沿って走行させる場合、舵角(操舵操作の量)を大きくした後、舵角を小さくする。このとき、舵角が舵角変化目標で規定される目標舵角δtgt(目標操舵操作量)の最大値に近づくと、その最大値を越えて大きくされてしまうことがある。
【0223】
本例に係る車両運転支援装置10によれば、ガイド舵角δguideの最大値δmaxが目標舵角δtgtの最大値よりも所定値だけ小さい値に制限される。このため、舵角が目標舵角δtgtの最大値に近づいたときに、操舵反力が大きくされる。このため、運転者によるハンドル操作が目標舵角δtgtの最大値を越えて大きくなることを抑制することができる。従って、自車両100がカーブ路を走行している間、実際の舵角が目標舵角δtgtに一致した(又は略一致した)状態で変化するので、自車両100をカーブ路に沿って好適に走行させることができるようになる。
【0224】
又、自車速Vが高い場合、運転者は、カーブ路に沿って自車両100を走行させるためには、ハンドル操作の速度が大きくなる傾向にあるため、適切な舵角でハンドル操作を止めることができず、舵角が大きくなり過ぎることが起こりやすい。
【0225】
本例に係る車両運転支援装置10によれば、自車速Vが高いときには、ガイド舵角δguideの最大値δmaxを目標舵角δtgtの最大値よりも小さくするための所定値が大きい値に設定されるので、自車速Vが高い状態で舵角がガイド舵角δguideを超えて目標舵角δtgtの最大値に近づいたときに、操舵反力が大きくなる程度が大きくなる。このため、舵角が目標舵角δtgtの最大値を越えて大きくなることを適切に抑制することができる。従って、自車両100がカーブ路を走行している間、実際の舵角が目標舵角δtgtに一致した(又は略一致した)状態で変化するので、自車両100をカーブ路に沿って好適に走行させることができるようになる。
【0226】
尚、上述した例においては、自車両100が同じカーブ半径Rのカーブ路を走行する場合で比較すると、自車速Vが高い場合、実際の舵角が目標舵角δtgtを大きく超えてしまうことを抑制するために、自車速Vが低い場合に比べ、ゲインaが小さい値に設定され、その結果、ガイド舵角δguideの最大値が小さくされ、それにより、より大きい操舵反力がハンドル操作に与えられるようになっている。しかしながら、自車両100が同じカーブ半径Rのカーブ路を走行する場合でも、自車速Vが高い場合、そのカーブ路に沿って自車両100を適切に走行させるためには、自車速Vが低い場合に比べ、より大きくハンドル操作を行う必要があるため、実際の舵角がより大きな値となる。このとき、より大きい操舵反力がハンドル操作に与えられると、運転者がハンドル操作を行いづらくなってしまう。
【0227】
そこで、車両運転支援装置10は、自車速Vが高い場合、自車速Vが低い場合に比べ、実際の舵角が目標舵角δtgtを大きく超えてしまうことを抑制することができるようにゲインaを小さい値に設定するが、そのようにゲインaを小さくする値を、運転者がハンドル操作を行いづらくなることを抑制することができる値に制限するように構成されてもよい。
【0228】
又、カーブ半径Rが小さい場合、運転者は、そのカーブ路に沿って自車両100を走行させるためには、より大きくハンドル操作を行う必要があるので、舵角が舵角変化目標で規定される目標舵角δtgtの最大値を越えて大きくなる可能性が高くなる。
【0229】
本例に係る車両運転支援装置10によれば、カーブ半径Rが小さいときには、ガイド舵角δguideの最大値δmaxを目標舵角δtgtの最大値よりも小さくするための所定値が大きい値に設定されるので、カーブ半径Rが小さい場合において舵角が目標舵角δtgtの最大値に近づいたときに、操舵反力が小さくされる程度が小さくなる。即ち、操舵反力が大きくなる。このため、舵角が目標舵角δtgtの最大値を越えて大きくなることを適切に抑制することができる。従って、自車両100がカーブ路を走行している間、実際の舵角が目標舵角δtgtに一致した(又は略一致した)状態で変化するので、自車両100をカーブ路に沿って好適に走行させることができるようになる。
【0230】
このように、車両運転支援装置10は、自車両100がカーブ路に進入することが予測された場合、そのカーブ路に沿って自車両100を好適に走行させるための舵角の変化の目標を舵角変化目標として設定し、自車両100がそのカーブ路に沿って走行するときに舵角変化目標に沿った舵角の変化が達成されるように運転者によるハンドル操作を誘導するガイド舵角δguideを設定し、舵角がガイド舵角δguideよりも小さい場合、操舵反力を小さくし、舵角がガイド舵角δguideよりも大きい場合、操舵反力を大きくするように構成される。
【0231】
尚、本発明は、上記実施形態に限定されることはなく、本発明の範囲内において種々の変形例を採用することができる。
【符号の説明】
【0232】
10…車両運転支援装置、20…操舵装置、22…反力アクチュエータ、31…ハンドル、37…舵角センサ、60…周辺情報検出装置、61…画像センサ、90…ECU、100…自車両、300…交差点、500…左折可能道路、600…右折可能道路

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