(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024158250
(43)【公開日】2024-11-08
(54)【発明の名称】ボールジョイントの製造方法
(51)【国際特許分類】
F16C 11/06 20060101AFI20241031BHJP
【FI】
F16C11/06 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023073290
(22)【出願日】2023-04-27
(71)【出願人】
【識別番号】519184930
【氏名又は名称】株式会社ソミックマネージメントホールディングス
(74)【代理人】
【識別番号】100092565
【弁理士】
【氏名又は名称】樺澤 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100112449
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 哲也
(72)【発明者】
【氏名】小田 悠生
【テーマコード(参考)】
3J105
【Fターム(参考)】
3J105AA23
3J105AA33
3J105AB49
3J105AC03
3J105AC04
3J105CA17
3J105CD00
3J105CE02
3J105CE12
(57)【要約】
【課題】工数及びコストを低減しつつ、抜け強度向上と低トルク化とを両立できるボールジョイントの製造方法を提供する。
【解決手段】ベアリングシート10及びボール部16を内部に収容した中間体20の一部をかしめ変形してかしめ部11を形成することで、ボール部16を回動可能に保持したベアリングシート10を保持したハウジング2を構成し、ハウジング2の外側部にレーザ23を照射してかしめ部11の少なくとも一部を含む領域に熱処理を施す。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口部を有する金属製のハウジングと、このハウジングに収容される合成樹脂製のベアリングシートと、このベアリングシートに回動可能に保持されるボール部と、を備えるボールジョイントを製造するボールジョイントの製造方法であって、
前記ベアリングシート及び前記ボール部を内部に収容した中間体の一部をかしめ変形してかしめ部を形成することで、前記ボール部を回動可能に保持した前記ベアリングシートを保持した前記ハウジングを構成し、
前記ハウジングの外側部にレーザを照射して前記かしめ部の少なくとも一部を含む領域に熱処理を施す
ことを特徴とするボールジョイントの製造方法。
【請求項2】
ハウジングの外側部に対し開口部側から前記かしめ部の少なくとも一部を含む領域にレーザを照射して熱処理を施す
ことを特徴とする請求項1記載のボールジョイントの製造方法。
【請求項3】
ハウジングを回転させつつ前記ハウジングの外側部にレーザを少なくとも一周照射する
ことを特徴とする請求項1または2記載のボールジョイントの製造方法。
【請求項4】
レーザは、少なくともハウジングの軸方向または回転方向の一方に幅を有する四角形状である
ことを特徴とする請求項3記載のボールジョイントの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属製のハウジングに収容される合成樹脂製のベアリングシートを備えるボールジョイントの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば自動車等の車両に用いられるボールジョイントは、円筒状の金属製のハウジングの内部に、ボールスタッドのボール部を回動可能に保持した合成樹脂製のベアリングシートが収容され、ハウジングの一部をかしめ変形することにより、ベアリングシートがボール部とともにハウジングに対して抜け止め保持されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
従来、ボールジョイントにおいては、ボールスタッド(ボール部)のハウジングからの抜け不具合の対策として、ハウジング全面に熱処理(焼き入れ)を施すことでハウジングの硬度を上昇させる方法、及び、ハウジングのサイズを大きく(厚く)し、強度を確保する方法とがある。
【0004】
また、ボールジョイントにおいては、車両組み付け性を向上するために、低トルク化が求められる。低トルク化の方法としては、ハウジングにベアリングシート及びボール部を組み付けた状態でベアリングシートに対し熱処理(アニール処理)を施すことで、ベアリングシートを構成する合成樹脂内の残留応力を除去して寸法精度を安定させる(例えば、特許文献2参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第5168574号公報
【特許文献2】特許第5975531号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記のような方法でボールスタッドの抜け不具合対策を行う場合、ハウジングを構成する金属組織を整えるために高温での熱処理が必要とされるので、大きなエネルギーが必要であり、また加熱と冷却とに時間を要する。
【0007】
また、低トルク化のための熱処理の場合、ハウジングに収容されたベアリングシートをソケット経由で加熱する必要があるため、合成樹脂材であるベアリングシート単体を加熱するよりも多くのエネルギーと加熱時間とが必要となる。
【0008】
そして、これら双方を実施する場合には、前者では高温領域での熱処理をするのに対し、後者では合成樹脂が溶解しない中温領域での熱処理をするため、これらの熱処理温度の違いから同時に処理することが困難であり別個に実施する必要があるとともに、実施設備間の移送の手間等も必要となる。
【0009】
したがって、工数及びコストを低減しつつ、ボール部の抜け防止と低トルク化とを両立することが望まれている。このような課題は、車両用以外のボールジョイントでも生じる。
【0010】
本発明は、このような点に鑑みなされたもので、工数及びコストを低減しつつ、抜け強度向上と低トルク化とを両立できるボールジョイントの製造方法を供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
請求項1記載のボールジョイントの製造方法は、開口部を有する金属製のハウジングと、このハウジングに収容される合成樹脂製のベアリングシートと、このベアリングシートに回動可能に保持されるボール部と、を備えるボールジョイントを製造するボールジョイントの製造方法であって、前記ベアリングシート及び前記ボール部を内部に収容した中間体の一部をかしめ変形してかしめ部を形成することで、前記ボール部を回動可能に保持した前記ベアリングシートを保持した前記ハウジングを構成し、前記ハウジングの外側部にレーザを照射して前記かしめ部の少なくとも一部を含む領域に熱処理を施すものである。
【0012】
請求項2記載のボールジョイントの製造方法は、請求項1記載のボールジョイントの製造方法において、ハウジングの外側部に対し開口部側から前記かしめ部の少なくとも一部を含む領域にレーザを照射して熱処理を施すものである。
【0013】
請求項3記載のボールジョイントの製造方法は、請求項1または2記載のボールジョイントの製造方法において、ハウジングを回転させつつ前記ハウジングの外側部にレーザを少なくとも一周照射するものである。
【0014】
請求項4記載のボールジョイントの製造方法は、請求項3記載のボールジョイントの製造方法において、レーザは、少なくともハウジングの軸方向または回転方向の一方に幅を有する四角形状であるものである。
【発明の効果】
【0015】
請求項1記載のボールジョイントの製造方法によれば、レーザを照射する工程のみで抜け強度向上と低トルク化とを実現できるため、工数及びコストを低減しつつ、抜け強度向上と低トルク化とを両立できる。
【0016】
請求項2記載のボールジョイントの製造方法によれば、請求項1記載のボールジョイントの製造方法の効果に加えて、かしめ部の少なくとも一部に対して直接、確実に焼き入れを行うことができる。
【0017】
請求項3記載のボールジョイントの製造方法によれば、請求項1または2記載のボールジョイントの製造方法の効果に加えて、ハウジングの全周に対し容易にレーザを照射できる。
【0018】
請求項4記載のボールジョイントの製造方法によれば、請求項3記載のボールジョイントの製造方法の効果に加えて、レーザの幅をハウジングの大きさに応じて調整することによって短時間で効率よく熱処理を施すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明の一実施の形態のボールジョイントの製造方法の熱処理工程を示し、(a)は側面図、(b)は正面図、(c)は断面図である。
【
図2】同上ボールジョイントの製造方法の組み付け工程を示す断面図である。
【
図3】同上ボールジョイントの製造方法の組み付け工程により中間体にベアリングシートとボール部とを組み付けた状態を示す断面図である。
【
図4】同上ボールジョイントの製造方法のかしめ変形工程を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の一実施の形態について、図面を参照して説明する。
【0021】
図1(c)において、1はボールジョイントである。本実施の形態において、ボールジョイント1は、自動車等の車両の懸架装置や操舵装置等に用いられる車両用のボールジョイントを例に挙げ、特に図示される例では、操舵装置のラックエンドに用いられるインナボールジョイント(IBJ)を例に挙げる。
【0022】
ボールジョイント1は、ハウジング2を備える。ハウジング2は、ソケット等とも呼ばれる。ハウジング2は、金属製であり、鍛造や鋳造等により製造される。ハウジング2は、少なくとも一端部に開口部3を有する円筒状に形成されている。本実施の形態では、ハウジング2は、有底円筒状に形成されている。すなわち、ハウジング2は、一端部に開口部3を有し、他端部が閉塞されて、内部に開口部3と連通する内室4が形成されている。すなわち、本実施の形態のハウジング2は、他端部を閉塞する底部5と、底部5の外縁部から立ち上がる円筒状の側壁部6と、を一体に有する。底部5には、接続部7が突設されている。接続部7は、ボールジョイント1と他部材、例えばラックバーとを接続するためのものである。接続部7は、ハウジング2と同軸状に形成されて円柱状に突出する雄ねじ部である。
【0023】
内室4には、摺動部材であるベアリングシート10が収容されている。ベアリングシート10は、ボールシート等とも呼ばれる。ベアリングシート10は、耐摩耗性に優れる合成樹脂製である。ベアリングシート10は、内室4に嵌着される円筒状に形成されている。ベアリングシート10は、一つの部品により構成されていてもよいし、複数の部品により構成されていてもよい。ベアリングシート10は、ハウジング2の開口部3の縁部にて側壁部6の端部に形成されたかしめ部11によりハウジング2の内室4に対し抜け止めされている。かしめ部11は、側壁部6がハウジング2の内側に向かって、すなわちハウジング2の中心軸に向かって外側から内側へとかしめ変形されることで形成される。かしめ部11の形成により、側壁部6は一端部に向かい徐々に縮径するように湾曲している。また、ハウジング2の外側部には、硬化部12が形成されている。硬化部12は、ハウジング2の表面に薄膜状に形成され、ハウジング2のその他の部分(一般部)よりも高硬度に形成されている。本実施の形態では、硬化部12は、かしめ部11の少なくとも一部を含むハウジング2の外側部の領域に形成されている。図示される例では、硬化部12は、かしめ部11全体を含むハウジング2の側壁部6の開口部3側の領域に、全周に亘り連なって形成されている。硬化部12は、熱処理(焼き入れ)により形成される。硬化部12の形成の詳細については後述する。
【0024】
ベアリングシート10には、ボール側部材であるボールスタッド15が保持されている。ボールスタッド15は、ボールジョイント1を他部材と接続する接続部材である。ボールスタッド15は、球状のボール部16を有する。ボール部16は、例えば鋼鉄製等である。ボール部16は、ベアリングシート10に回動可能に保持される。ボール部16の外周面とベアリングシート10の内周面との間には、潤滑剤が配置される。ボール部16は、ベアリングシート10とともにハウジング2の内室4に位置する。すなわち、ボール部16は、ハウジング2の内部に回動可能に保持されている。
【0025】
ボール部16には、スタッド部17が突設されている。スタッド部17は、例えば鋼鉄製等である。スタッド部17は、他部材に接続されて荷重が加わる部分である。スタッド部17は、円柱状に形成されている。スタッド部17は、ボール部16の上部に一体的に配置されている。また、スタッド部17は、ボール部16と同軸または略同軸に配置されている。すなわち、スタッド部17の中心軸は、ボール部16の中心または略中心を通るように配置されている。スタッド部17は、開口部3を介してハウジング2の外部に突出している。スタッド部17の先端部は、他部材と接続される接続部となっている。例えば、接続部は、スタッド部17の先端部の外周面に形成された雄ねじ部であり、他部材に対し締結可能となっている。本実施の形態において、接続部は、タイヤ側、例えばタイロッドと螺着される。なお、スタッド部17は、ボール部16と一体に形成されていてもよいし、ボール部16に対し溶接等により一体的に連結されていてもよい。そして、スタッド部17とハウジング2が、塵埃の侵入を阻止するためのダストカバー(ブーツ)により覆われている。
【0026】
次に、ボールジョイント1の製造方法を説明する。
【0027】
図2に示すように、まず、予め鍛造等により形成された後、切削等により成形された中間体20に対し、ベアリングシート10及びボール部16(ボールスタッド15)を組み付ける(組み付け工程)。図面においては、予めボール部16とスタッド部17とが連結されたボールスタッド15のボール部16を組み付ける例を示すが、ボール部16のみを組み付け、後工程でスタッド部17をボール部16に溶接等により連結するようにしてもよい。中間体20は、底部5及び未変形状態の側壁部6を有してハウジング2を構成する金属製であり、円筒状に成形されている。ベアリングシート10及びボール部16は、中間体20の開口部3から、中間体20の内部に挿入されて組み付けられる。ベアリングシート10を中間体20の内部に挿入した後にボール部16をベアリングシート10内に挿入してもよいし、ボール部16を保持したベアリングシート10を中間体20の内部に挿入してもよい。ベアリングシート10とボール部16との間の潤滑剤については、表面に潤滑剤を塗布したボール部16をベアリングシート10に挿入するようにしてもよいし、ベアリングシート10にボール部16を組み付けた後に注入されてもよい。または、ベアリングシート10に潤滑剤を注入した後にボール部16をベアリングシート10に組み付けてもよい。
【0028】
次いで、
図3に示すように、ベアリングシート10とボール部16とが組み付けられた中間体20の一部、本実施の形態では側壁部6の先端部を、
図4に示すように中心軸側へとかしめ変形してかしめ部11を形成することで、ボール部16を回動可能に保持したベアリングシート10を保持したハウジング2を構成する(かしめ変形工程)。かしめ部11は、ハウジング2の側壁部6の先端部を内側に突出させるようにかしめ手段によって湾曲させることで形成される。このかしめ部11のかしめ変形により、ベアリングシート10の外周面がハウジング2の内室4に密着され、ベアリングシート10に対し予圧が付与される。
【0029】
次いで、このハウジング2を回転装置にセットし、
図1(a)に示すように、中心軸周りに回転させながら、レーザ照射装置22からレーザ23をハウジング2の外側部に照射し、かしめ部11の少なくとも一部を含む領域に熱処理を施す(熱処理工程)。
【0030】
レーザ23は、ハウジング2の軸方向とハウジング2の回転方向との少なくとも一方に幅を有する四角形状である。本実施の形態では、レーザ23は、
図1(b)に示すように、正面視でハウジング2の軸方向及び回転方向に幅を有する四角形状であり、ハウジング2の側壁部6をその周方向に所定幅で分割した形状となっている。レーザ23の照射面積は、ハウジング2(ボールジョイント1)の大きさ等に応じて任意に変えることが可能である。また、照射するレーザ23の強度(加熱エネルギー量)は任意に設定してよく、その設定された一定または略一定の強度で照射される。
【0031】
レーザ23は、ハウジング2の外側部として側壁部6に照射される。好ましくは、レーザ23は、
図1(c)に示すように、開口部3側からかしめ部11の少なくとも一部を含む領域に照射されるが、ハウジング2の伝熱によってかしめ部11の少なくとも一部を含む領域に熱処理を生じさせることができる位置であれば、任意の位置に照射してよい。レーザ23をハウジング2の少なくとも一周照射することで、ハウジング2の表面のレーザ23が照射された位置に焼き入れと同様の効果が生じ、ハウジング2の表面に薄膜状の硬化部12が形成され、ボール部16の抜けに対する強度すなわち抜け強度が向上する。また、その加工で発生した熱Hが熱伝播により急速的にハウジング2の内室4側に熱伝導していき、内室4に収容されたベアリングシート10を適度な温度領域(常温~200℃、好ましくは50℃~100℃)でハウジング2の内周面からベアリングシート10の外周面に伝わってベアリングシート10を加熱することでベアリングシート10が軟化し、ベアリングシート10の外周面がハウジング2の内周面に対し馴染み、ベアリングシート10の内周面がボール部16の外周面に対して馴染むように、ベアリングシート10が塑性変形する、アニール処理と同等の効果が生じ、ベアリングシート10の内部応力が均等化され、ボール部16のトルクが低減される。
【0032】
このように、ベアリングシート10及びボール部16を内部に収容した中間体20の一部をかしめ変形してかしめ部11を形成してボール部16を回動可能に保持したベアリングシート10を保持したハウジング2を構成した後、ハウジング2の外側部にレーザ23を照射してかしめ部11の少なくとも一部を含む領域に熱処理を施すことで、レーザ23の照射による焼き入れによってハウジング2のかしめ部11の少なくとも一部を含む領域に硬化部12を形成し、抜け強度を向上できるとともに、レーザ23の照射による熱の伝達によって、ハウジング2の内部に保持されたベアリングシート10にアニール効果が生じ、低トルク化が可能となる。したがって、レーザ23を照射する熱処理工程のみで抜け強度向上と低トルク化とを実現できるため、例えば焼き入れ工程(及び焼き戻し工程)と、アニール工程と、を個別に実施する場合と比較して、処理スペースや各工程の設備間移動の手間等を省くこともでき、工数(リードタイム)及びコストを低減しつつ、抜け強度向上と低トルク化とを両立できる。
【0033】
また、レーザ23の照射が、ハウジング2にかしめ部11を形成した後であるため、レーザの照射による焼き入れ後にかしめ変形する場合と比較して、かしめ変形によりハウジング2に割れが生じる等の不具合が生じることがない。
【0034】
さらに、レーザ23の照射により形成された硬化部12により十分な抜け強度を得ることができるため、ハウジング2のサイズを大きく(厚く)しなくてよいので、小型で高強度のボールジョイント1を提供できる。
【0035】
熱処理工程は、ボールジョイント1をセット可能な回転装置とレーザ照射装置22との簡素な構成で省スペースに実施できるため、インライン化(一貫ライン化)が容易に可能であるとともに、小ロットでのボールジョイント1の製造も期待できる。
【0036】
ハウジング2の外側部に対し開口部3側からかしめ部11の少なくとも一部を含む領域にレーザ23を照射して熱処理を施すことで、かしめ部11の少なくとも一部に対して直接、確実に焼き入れを行うことができる。
【0037】
ハウジング2を回転させつつハウジング2の外側部にレーザ23を少なくとも一周照射することで、ハウジング2の全周に対し容易にレーザ23を照射できる。
【0038】
レーザ23を、少なくともハウジング2の軸方向または回転方向の一方に幅を有する四角形状とすることで、レーザ23の幅(面積)をハウジング2の大きさに応じて調整することによって短時間で効率よく熱処理を施すことができ、例えば、一つのボールジョイント1に対して、10~12秒程度で熱処理が可能となる。
【0039】
特に、ラックエンドのボールジョイント1については、タイロッド側に位置するかしめ部11側に大きな引っ張り力が作用するため、かしめ部11の少なくとも一部を含む領域に硬化部12を形成することにより、抜け強度の向上に大きく寄与できる。
【0040】
なお、一実施の形態において、ボールジョイント1は、例えばタイロッドエンドに用いられるアウタボールジョイント(OBJ)等、車両用または自動車用の任意のものとしてもよい。
【0041】
また、ボールジョイント1は、自動車用または車両用に限られず、その他の任意の機器に用いてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0042】
本発明は、例えば自動車のラックエンドのボールジョイントに好適に用いることができる。
【符号の説明】
【0043】
1 ボールジョイント
2 ハウジング
3 開口部
10 ベアリングシート
11 かしめ部
16 ボール部
20 中間体
23 レーザ