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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024158251
(43)【公開日】2024-11-08
(54)【発明の名称】光モジュール
(51)【国際特許分類】
   H01S 5/02253 20210101AFI20241031BHJP
   H01S 5/024 20060101ALI20241031BHJP
   H01S 5/02325 20210101ALI20241031BHJP
【FI】
H01S5/02253
H01S5/024
H01S5/02325
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023073292
(22)【出願日】2023-04-27
(71)【出願人】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100136722
【弁理士】
【氏名又は名称】▲高▼木 邦夫
(74)【代理人】
【識別番号】100176658
【弁理士】
【氏名又は名称】和田 謙一郎
(72)【発明者】
【氏名】中村 勇貴
(72)【発明者】
【氏名】中西 裕美
(72)【発明者】
【氏名】京野 孝史
【テーマコード(参考)】
5F173
【Fターム(参考)】
5F173MA10
5F173MB01
5F173MB03
5F173MC01
5F173ME22
5F173ME44
5F173MF03
5F173MF12
5F173MF28
5F173MF39
5F173MF40
(57)【要約】
【課題】大型化を防ぎながら、より大きなレンズをパッケージ内に配置できる光モジュールを提供する。
【解決手段】光モジュールは、主面を有する光源搭載部と、主面上に配置されるレーザ光源と、レーザ光源から出力されたレーザ光を集光するレンズと、光源搭載部、レーザ光源およびレンズを収容するパッケージと、を備え、パッケージは、パッケージ基板と、パッケージ基板に固定されるとともに、光源搭載部、レーザ光源およびレンズを覆うカバーと、を有し、光源搭載部は、パッケージ基板に固定されており、レンズは、レンズの側周面の一部がレンズ支持部材に固定されることによって光源搭載部から離間した状態で空中に配置されている。
【選択図】図4


【特許請求の範囲】
【請求項1】
主面を有する光源搭載部と、
前記主面上に配置されるレーザ光源と、
前記レーザ光源から出力されたレーザ光を集光するレンズと、
前記光源搭載部、前記レーザ光源および前記レンズを収容するパッケージと、
を備え、
前記パッケージは、
パッケージ基板と、
前記パッケージ基板に固定されるとともに、前記光源搭載部、前記レーザ光源および前記レンズを覆うカバーと、
を有し、
前記光源搭載部は、前記パッケージ基板に固定されており、
前記レンズは、前記レンズの側周面の一部がレンズ支持部材に固定されることによって前記光源搭載部から離間した状態で空中に配置されている、
光モジュール。
【請求項2】
前記側周面は、前記レンズ支持部材と接触している第1領域と、前記レンズ支持部材と接触していない第2領域とを有する、
請求項1に記載の光モジュール。
【請求項3】
前記レンズは、前記主面の法線方向からみて、前記レンズ支持部材を介して前記光源搭載部と離間している、
請求項1に記載の光モジュール。
【請求項4】
前記レンズ支持部材は、前記主面の法線方向と前記レンズからの前記レーザ光の出力方向とに垂直な方向から見て前記レンズと重なる第1部分と、前記主面の法線方向から見て前記主面と重なる第2部分とを有する、
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の光モジュール。
【請求項5】
前記光源搭載部は、温度調整面および放熱面を有するとともに、前記放熱面が前記パッケージ基板に固定されている温度調整器を有し、
前記温度調整面が前記主面である、
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の光モジュール。
【請求項6】
前記側周面は、前記レンズ支持部材と接触している第1領域と、前記レンズ支持部材と接触していない第2領域とを有し、
前記主面の法線方向において、前記第2領域の一部は、前記主面の法線方向と前記レンズからの前記レーザ光の出力方向とに垂直な方向から見て前記第2領域は、前記主面の法線方向において、前記温度調整面と前記放熱面との間に位置している、
請求項5に記載の光モジュール。
【請求項7】
前記主面の法線方向における前記主面と前記パッケージの天部との間の最小の長さより、前記法線方向における前記レンズの最大の長さの方が長い、
請求項5に記載の光モジュール。
【請求項8】
前記光源搭載部は、前記主面を有するとともに、前記主面が前記パッケージ基板と交差するように前記パッケージ基板に固定されている支持台である、
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の光モジュール。
【請求項9】
前記主面上に配置されているとともに、前記レンズから出力された前記レーザ光を走査する走査部を更に備え、
前記レンズは、前記走査部の一部上に前記走査部から離間した状態で配置されている、
請求項1または請求項2に記載の光モジュール。
【請求項10】
前記レーザ光源が搭載される台部を更に備え、
前記光源搭載部は、温度調整面および放熱面を有するとともに、前記放熱面が前記パッケージ基板に固定されている温度調整器を有し、
前記台部は、前記温度調整面に固定されており、
前記レンズ支持部材は、前記主面の法線方向と前記レンズからの前記レーザ光の出力方向とに垂直な方向から見て前記レンズと重なる第1部分と、前記主面の法線方向から見て前記台部と重なる第2部分とを有する、
請求項9に記載の光モジュール。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
レーザ光を走査して映像を描画する映像表示装置、レーザ光を検知範囲内で走査し、物体からの反射光を検出することによって物体を検知する検知装置(更に、物体までの距離を測定する測距装置)では、レーザ光を出力する光モジュールが使用される。このような光モジュールは、パッケージ内に収容されたレーザ光源と、レーザ光源が搭載される光源搭載部およびレーザ光源からのレーザ光を集光するレンズを有する。レーザ光源、光源搭載部およびレンズの配置関係としては、特許文献1および特許文献2に開示された配置が知られている。具体的には、レーザ光源が搭載されるキャリア(光源搭載部)上にレンズが固定されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2020/157853号
【特許文献2】特表2018-516452号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
レンズを備える光モジュールでは、より大きなレンズを使用することが望まれている場合がある。特許文献1および特許文献2に開示されているように、レンズが光源搭載部上に固定されている場合、より大きなレンズを使用すると、光モジュールが大きくなりやすい。
【0005】
本開示は、大型化を防ぎながら、より大きなレンズをパッケージ内に配置できる光モジュールを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一実施形態に係る光モジュールは、主面を有する光源搭載部と、前記主面上に配置されるレーザ光源と、前記レーザ光源から出力されたレーザ光を集光するレンズと、前記光源搭載部、前記レーザ光源および前記レンズを収容するパッケージと、を備え、前記パッケージは、パッケージ基板と、前記パッケージ基板に固定されるとともに、前記光源搭載部、前記レーザ光源および前記レンズを覆うカバーと、を有し、前記光源搭載部は、前記パッケージ基板に固定されており、前記レンズは、前記レンズの側周面の一部がレンズ支持部材に固定されることによって前記光源搭載部から離間した状態で空中に配置されている。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、大型化を防ぎながら、より大きなレンズをパッケージ内に配置できる光モジュールを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、第1実施形態に係る光モジュールの斜視図である。
図2図2は、図1に示したカバーが取り外された状態の光モジュールの斜視図である。
図3図3は、図2に示した光モジュールの平面図である。
図4図4は、図3に示した光モジュールのA-A線に沿った断面図である。
図5図5は、レンズの大きさの一例を説明するための模式図である。
図6図6は、第2実施形態に係る光モジュールの斜視図である。
図7図7は、図6に示したカバーが取り外された状態の光モジュールの斜視図である。
図8図8は、図8は、第3実施形態に係る光モジュールの斜視図である。
図9図9は、図8に示したカバーが取り外された状態の光モジュールの斜視図である。
図10図10は、図9に示した光モジュールの平面図である。
図11図11は、図10に示した光モジュールのB―B線に沿った断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[本開示の実施形態の説明]
最初に、本開示の実施形態の内容を列記して説明する。
【0010】
[1]一実施形態に係る光モジュールは、主面を有する光源搭載部と、前記主面上に配置されるレーザ光源と、前記レーザ光源から出力されたレーザ光を集光するレンズと、前記光源搭載部、前記レーザ光源および前記レンズを収容するパッケージと、を備え、前記パッケージは、パッケージ基板と、前記パッケージ基板に固定されるとともに、前記光源搭載部、前記レーザ光源および前記レンズを覆うカバーと、を有し、前記光源搭載部は、前記パッケージ基板に固定されており、前記レンズは、前記レンズの側周面の一部がレンズ支持部材に固定されることによって前記光源搭載部から離間した状態で空中に配置されている。
【0011】
上記[1]に記載の光モジュールでは、レンズは光源搭載部から離間して空中に配置されている。そのため、レンズが光源搭載部の主面に固定されている場合より、レンズの大きさを選択できる自由度が大きく、より大きなレンズを採用できる。光源搭載部から離間して空中にレンズが配置されているから、パッケージ内の収容空間を有効に利用できていることから、光モジュールの大型化を防げる。したがって、上記光モジュールでは、大型化を防ぎながら、より大きなレンズをパッケージ内に配置できる。
【0012】
[2]上記[1]に記載の光モジュールにおいて、前記側周面は、前記レンズ支持部材と接触している第1領域と、前記レンズ支持部材と接触していない第2領域とを有してよい。側周面すべてにレンズ支持部材が接触する構成と比べ、レンズとレンズ支持部材の接着面を小さくでき、環境温度の変化によるレンズの変形、屈折率の変動などを抑制できるので、レーザ光に対するレンズの光軸のズレ、集光位置のズレ等を抑えることができる。
【0013】
[3]上記[1]または[2]に記載の光モジュールにおいて、前記レンズは、前記主面の法線方向からみて、前記レンズ支持部材を介して前記光源搭載部と離間していてよい。このようにすることで、レンズが光源搭載部と干渉することを防止できることから、より大きなレンズをパッケージ内に配置できる。
【0014】
[4]上記[1]から[3]のいずれかに記載の光モジュールにおいて、前記レンズ支持部材は、前記主面の法線方向と前記レンズからの前記レーザ光の出力方向とに垂直な方向から見て前記レンズと重なる第1部分と、前記主面の法線方向から見て前記主面と重なる第2部分とを有してよい。レンズ支持部材を主面に設置してからレンズを設置できるため、レンズを設置する際の光軸のズレ、集光位置のズレ等を抑えることができる。
【0015】
[5]上記[1]から[4]のいずれかに記載の光モジュールにおいて、前記光源搭載部は、温度調整面および放熱面を有するとともに、前記放熱面が前記パッケージ基板に固定されている温度調整器を有し、前記温度調整面が前記主面であってよい。この場合、レンズを温度調整器による環境温度の調整範囲内に配置しやすい。そのため、温度変化によるレンズの変形、屈折率の変動等を抑制できるので、レーザ光に対するレンズの光軸のズレ、集光位置のズレ等が生じにくい。
【0016】
[6]上記[5]に記載の光モジュールにおいて、前記側周面は、前記レンズ支持部材と接触している第1領域と、前記レンズ支持部材と接触していない第2領域とを有し、前記主面の法線方向において、前記第2領域の一部は、前記主面の法線方向と前記レンズからの前記レーザ光の出力方向とに垂直な方向から見て前記第2領域は、前記主面の法線方向において、前記温度調整面と前記放熱面との間に位置してよい。このような構成では、大型化を防ぎながら、より大きなレンズをパッケージ内に配置できる。
【0017】
[7]上記[5]または[6]に記載の光モジュールにおいて、前記主面の法線方向における前記主面と前記パッケージの天部との間の最小の長さより、前記法線方向における前記レンズの最大の長さが長くてもよい。このようなサイズのレンズを採用することで、たとえば、レンズによってレーザ光をコリメートした場合、コリメート光の広がり角を抑制し易い。
【0018】
[8]上記[1]から[6]のいずれかに記載の光モジュールにおいて、前記光源搭載部は、前記主面が前記パッケージ基板と交差するように前記パッケージ基板に固定されている支持台であってよい。CAN型の光モジュールにおいて、大型化を防ぎながら、より大きなレンズをパッケージ内に配置できる。
【0019】
[9]上記[1]または[2]に記載の光モジュールは、前記主面上に配置されているとともに、前記レンズから出力された前記レーザ光を走査する走査部を更に備え、前記レンズは、前記走査部の一部上に前記走査部から離間した状態で配置されていてもよい。この場合、走査されたレーザ光を光モジュールから出力可能である、レンズは、走査部の一部上に走査部から離間した状態で配置されていていることから、走査部上に空間を有効に利用できている。その結果、光モジュールの大型化をより防ぎやすい。
【0020】
[10]上記[9]に記載の光モジューは、前記レーザ光源が搭載される台部を更に備え、 前記光源搭載部は、温度調整面および放熱面を有するとともに、前記放熱面が前記パッケージ基板に固定されている温度調整器を有し、前記台部は、前記温度調整面に固定されており、前記レンズ支持部材は、前記主面の法線方向と前記レンズからの前記レーザ光の出力方向とに垂直な方向から見て前記レンズと重なる第1部分と、前記主面の法線方向から見て前記台部と重なる第2部分とを有してよい。この場合、レンズを温度調整器による環境温度の調整範囲内に配置しやすい。そのため、温度変化によるレンズの変形、屈折率の変動等を抑制できるので、レーザ光に対するレンズの光軸のズレ、集光位置のズレ等が生じにくい。
【0021】
[本開示の実施形態の詳細]
本開示の実施形態の具体例を、以下に図面を参照しつつ説明する。本発明はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。図面の説明においては同一要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
【0022】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態に係る光モジュールの斜視図である。図2は、図1に示したカバー52が取り外された状態の光モジュール1の斜視図である。図3は、図2に示した光モジュール1の平面図である。図4は、図3に示した光モジュールのA-A線に沿った断面図である。
【0023】
光モジュール1は、検知対象範囲内の任意の物体を検知するリモートセンサ(たとえば検知装置、測距装置など)の光源として使用できる。たとえば、光モジュール1は、LiDAR(Light Detection and Ranging、あるいはLaser Imaging Detection and Ranging)の光源である。検知すべき物体の例は、人、自動車、標識などである。光モジュール1は、自動車、ドローンなどに搭載される。光モジュール1は、レーザ光を用いて映像を描画する映像表示装置の光源としても使用できる。
【0024】
光モジュール1は、光出力部10、光源搭載部20、レンズ30およびパッケージ50を備える。
【0025】
光出力部10は、光源搭載部20の主面20aに搭載されている。光出力部10は、少なくとも1つのレーザ光源を有する。したがって、主面20aは、上記レーザ光源の実装面として機能する。第1実施形態では、図2に示したように、光出力部10が、第1レーザ光源11a、第2レーザ光源11bおよび第3レーザ光源11cを有する形態を説明する。説明の便宜のため、図2に示したX軸方向、Y軸方向およびZ軸方向を用いる場合もある。Z軸方向は、主面20aの法線nの方向(以下、単に「法線方向」と称す)である。X軸方向、Y軸方向およびZ軸方向は互いに直交する。図2において法線nを破線で示している。
【0026】
図3に示したように、第1レーザ光源11aは、第1レーザ光L1を出力する半導体レーザ素子である。第2レーザ光源11bは、第2レーザ光L2を出力する半導体レーザ素子である。第2レーザ光源11bは、第3レーザ光源11cは、第3レーザ光L3を出力する半導体レーザ素子である。第1レーザ光源11a、第2レーザ光源11bおよび第3レーザ光源11cの例は、レーザダイオード(LD:Laser Diode)である。第1レーザ光源11a、第2レーザ光源11bおよび第3レーザ光源11cは、LDチップでもよい。
【0027】
第1レーザ光L1、第2レーザ光L2および第3レーザ光L3の波長は、光モジュール1の用途に応じて設定される。第1レーザ光L1、第2レーザ光L2および第3レーザ光L3の波長は、同じでもよいし、異なっていてもよい。第1レーザ光L1、第2レーザ光L2および第3レーザ光L3の波長が異なって場合は、第1レーザ光L1、第2レーザ光L2および第3レーザ光L3の波長は、30nm以上異なっていてよい。
【0028】
光モジュール1がLiDARなどのリモートセンサの光源として使用される場合、第1レーザ光L1、第2レーザ光L2および第3レーザ光L3の波長はたとえば赤外線領域(より具体的には近赤外線領域)の波長でよい。また、走査領域を目視するため、第1レーザ光L1、第2レーザ光L2および第3レーザ光L3の波長のいずれかを可視光としてもよい。
【0029】
光モジュール1が映像表示装置の光源に使用される場合、第1レーザ光L1、第2レーザ光L2および第3レーザ光L3は、赤色レーザ光、緑色レーザ光および青色レーザ光のうちから選択されるレーザ光でよい。一実施形態において、第1レーザ光L1は赤色レーザ光であり、第2レーザ光L2が緑色レーザ光であり、第3レーザ光L3が青色レーザ光であってもよい。
【0030】
以下では、断らない限り、第1レーザ光L1、第2レーザ光L2および第3レーザ光L3の波長が異なっている形態を説明する。
【0031】
図2に示した形態において、第1レーザ光源11aからの第1レーザ光L1の出力方向方がX軸方向である。第1レーザ光源11aは、第1台部61aに搭載されていてよい。第1台部61aは主面20aに固定されている。第1台部61aの材料には、後述する温度調整板21の材料と線膨張係数の近い材料を用いることができる。第1台部61aの材料の例は、アルミナ、窒化アルミニウム、コバール等である。
【0032】
第2レーザ光源11bおよび第3レーザ光源11cは、第2レーザ光L2および第3レーザ光L3の出力方向が、第1レーザ光L1と交差するように配置されている。第1実施形態では、第2レーザ光源11bおよび第3レーザ光源11cは、図3に示したように、第2レーザ光L2および第3レーザ光L3の出力方向が第1レーザ光L1と直交するように配置されている。第2レーザ光源11bは、第2台部61bに搭載されていてよい。第3レーザ光源11cは、第3台部61cに搭載されていてよい。第2台部61bおよび第3台部61cは主面20aに固定されている。第2台部61bおよび第3台部61cの材料の例は、第1台部61aの場合と同じである。第1台部61a、第2台部61bおよび第3台部61は、光源搭載部20の構成要素であってもよい。
【0033】
光出力部10は、第1レーザ光L1、第2レーザ光L2および第3レーザ光L3を合波する合波部12を有する。図2および図3に示した形態に基づいて、合波部12の一例を説明する。合波部12は、第1フィルタ12aと第2フィルタ12bを有する。
【0034】
第1フィルタ12aは、第1レーザ光L1と第2レーザ光L2を合波する。具体的には、第1フィルタ12aは、第1レーザ光L1を透過するとともに、第2レーザ光L2を第1レーザ光L1の透過方向に反射する。
【0035】
第2フィルタ12bは、第1レーザ光L1および第2レーザ光L2の合波光と、第3レーザ光L3を合波する。具体的には、第2フィルタ12bは、第1レーザ光L1および第2レーザ光L2を透過するとともに、第3レーザ光L3を第1レーザ光L1(または第2レーザ光L2)の透過方向に反射する。第2フィルタ12bから出力される合波光がレーザ光Lである。
【0036】
波長の異なる第1レーザ光L1、第2レーザ光L2および第3レーザ光L3を合波するための第1フィルタ12aおよび第2フィルタ12bは、波長選択性フィルタでよい。
【0037】
第1実施形態において、光源搭載部20は、温度調整器の一例であるペルチェ素子(熱電冷却素子)である。ペルチェ素子はTEC(Therm Electric Cooler)とも称される。光源搭載部20は、温度調整板(吸熱板)21と、放熱板22と、複数の半導体柱23を有する。複数の半導体柱23は、温度調整板21と放熱板22を連結している。複数の半導体柱23は、互いに離間して配置されている。温度調整板21において放熱板22と反対の温度調整面21aが光源搭載部20の主面20aである。
【0038】
レンズ30は、レーザ光Lの光路上に配置されている。レンズ30は、レーザ光Lを集光する。以下、断らない限り、レンズ30は、レーザ光Lをコリメートする。この場合、レンズ30から出力されるレーザ光Lはコリメート光である。レーザ光Lは、第1レーザ光L1、第2レーザ光L2および第3レーザ光L3を含む。よって、レンズ30によって、第1レーザ光L1、第2レーザ光L2および第3レーザ光L3がコリメートされている。第1レーザ光源11a、第2レーザ光源11bおよび第3レーザ光源11cそれぞれとレンズ30との光学的な距離は、レンズ30の焦点距離に実質的に一致する。レンズ30の焦点距離の例は、1mm以上且つ3mm以下である。
【0039】
レンズ30は、レンズ30の側周面31の一部がレンズ支持部材40に固定されることによって、光源搭載部20から離間した状態で空中に配置されている。第1実施形態では、レンズ30は、図3に示したように、Z軸方向(主面20aの法線方向)からみて、レンズ支持部材40を介して光源搭載部20から離間されている。レンズ30は、たとえば紫外線硬化樹脂によってレンズ支持部材40に固定されている。
【0040】
側周面31は、レンズ支持部材40に接触する第1領域311と、レンズ支持部材40に接触していない第2領域312とを有する。本実施形態では、図4に示したように、Y軸方向から見て、第2領域312の一部は、Z軸方向において温度調整面21aと放熱面22aとの間に位置する。放熱面22aは、放熱板22において主面20aに固定されている面である。
【0041】
X軸方向からみた場合、レンズ30が正方形または矩形である形態では、側周面31は、第1側面31a、第2側面31b、第3側面31cおよび第4側面31dを有する。第1側面31aと第2側面31bはZ軸方向において対向している。第3側面31cおよび第4側面31dは、第1側面31aと第2側面31bを繋いでいる。第3側面31cおよび第4側面31dは、Y軸方向において対向している。
【0042】
一実施形態において、第3側面31cにレンズ支持部材40が固定されている。この場合、上記第3側面31cの一部が第1領域311である。第3側面31c全体を第1領域311と称してもよい。Z軸方向において、第2側面31bが第1側面31aより放熱板22に近い側面である。図4に示した形態では、第2側面31bが主面20aのZ軸方向において光出力部10と反対に位置している。レンズ30は空中に配置されていることから、第2側面31bと、主面20aとは離間している。なお、側周面31がレンズ支持部材40に接触する第1領域311と、レンズ支持部材40に接触していない第2領域312とを有する、とは以下の意味も含む。図4に示すように、第1側面31aは、レンズ支持部材40に接触する領域と、レンズ支持部材40に接触しない領域とを有する。
【0043】
レンズ支持部材40は、一方向に延在した棒状または柱状の部材である。レンズ支持部材40は、図2に示したように、四角柱部材でよい。
【0044】
図3および図4に示したように、レンズ支持部材40は、主面20aの法線方向とレンズ30からのレーザ光Lの出力方向とに垂直な方向から見てレンズ30と重なる第1部分41と、主面20aの法線方向から見て主面20aと重なる第2部分42とを有することができる。主面20aの法線方向とレンズ30からのレーザ光Lの出力方向とに垂直な方向は、図3に示したY軸方向に相当する。図3では、第1部分41を示すために、第1部分41における第2部分42寄りの境界を一点鎖線で模式的に示している。図4では、第2部分42を示すために、第2部分42のうち第1部分41寄りの境界を一点鎖線で模式的に示している。レンズ支持部材40は、金錫(AuSn)合金ペーストで主面20aに固定されてもよいし、接着剤で主面20aに固定されてもよい。レンズ支持部材40の材料は、温度調整板21の材料と同じでよい。レンズ支持部材40の材料には、温度調整板21の材料と線膨張係数の近い材料を用いることができる。レンズ支持部材40の材料の例は、アルミナ、窒化アルミニウム、コバール等である。
【0045】
上記のように、レンズ30がレンズ支持部材40に支持されることによって、光出力部10からのレーザ光Lの出力方向において光源搭載部20の前方にレンズ30が配置されている。
【0046】
パッケージ50は、光出力部10、光源搭載部20およびレンズ30を収容する収容部である。図1に示したように、パッケージ50は、パッケージ基板51と、カバー52とを有する。カバー52は、パッケージ基板51に固定されている。これにより、パッケージ基板51とカバー52とによって、光出力部10、光源搭載部20およびレンズ30が収容される収容空間が形成されている。上記収容空間は、パッケージ基板51とカバー52とによって気密封止(ハーメチックシール)されてよい。
【0047】
図2から図3に示したように、パッケージ基板51は、光源搭載部20が固定される板状部材である。具体的には、光源搭載部20が有する放熱板22の放熱面22a(図4参照)がパッケージ基板51に固定されている。放熱面22aは、放熱板22において温度調整板21と反対の面である。パッケージ基板51は、例えばステムである。第1実施形態において、パッケージ基板51の平面視形状は矩形である。パッケージ基板51の平面視形状は正方形でもよいし、四角形以外の多角形、または、円形でもよい。
【0048】
パッケージ基板51には複数の導電部材56が設けられている。導電部材56は、例えば棒状部材である。導電部材56の一例はリードピンである。各導電部材56は、パッケージ基板51を貫通している。複数の導電部材56は、パッケージ50内の電子部品を制御装置(または制御回路)に電気的に接続するための端子として機能する。上記電子部品は、たとえば、第1レーザ光源11a、第2レーザ光源11b、第3レーザ光源11c、温度調整器としての光源搭載部20などである。
【0049】
カバー52は、胴部53および天部54を有する。カバー52の例はキャップである。胴部53は中空体である。胴部53は、例えば溶接によってパッケージ基板51に固定されている。天部54は、胴部53においてパッケージ基板51と反対に位置する開口を塞いでいる。天部54は、パッケージ基板51と対向している壁部である。胴部53と天部54は一体化している。
【0050】
パッケージ50は、窓部55を有する。窓部55は、レーザ光Lをパッケージ50の外部に出力するための部分である。窓部55は、胴部53に形成された開口53aに取り付けられている。
【0051】
図5は、光モジュール1におけるレンズ30の大きさの一例を説明するための模式図である。図5では、パッケージ基板51、光源搭載部20、レンズ支持部材40、レンズ30および天部54を抜粋して図示している。
【0052】
図5に示したようにZ軸方向において温度調整面21A(主面20a)と天部54との間においても最小の長さをT[mm]とし、Z軸方向におけるレンズ30の最大の長さをS[mm]とする。この場合、一実施形態において長さSは長さTより大きい。すなわち、レンズ30の大きさの例は、S>Tという条件を満たす大きさである。Z軸方向におけるレンズ30の最大の長さS[mm]は、レンズ30のうち天部54に最も近い部分と、天部54から最も遠い部分またはZ軸方向において放熱面22aに最も近い部分との間の長さである。前述したようにレンズ30が第1側面31aと第2側面31bを有する場合、レンズ30の長さS[mm]は第1側面31aと第2側面31b間の長さである。
【0053】
光モジュール1は、第1レーザ光源11a、第2レーザ光源11bおよび第3レーザ光源11cなどの周囲の温度を測定するための温度計測器(例えばサーミスタ)を少なくとも1つ備えてよい。このよう温度計測器は、パッケージ50内に配置される。
【0054】
上記光モジュール1では、光出力部10から出力されたレーザ光Lは、レンズ30によってコリメートされた後、窓部55からパッケージ50の外部に出力される。光モジュール1をLiDARなどのリモートセンサ、映像表示装置などに使用する場合、光モジュール1から出力されたレーザ光Lを走査すればよい。
【0055】
上記のように光出力部10から出力されたレーザ光Lは、レンズ30によってコリメートされる。理想的には、レンズ30から出力されたレーザ光Lは、伝播してもレーザ光Lの径(ビーム径)は一定であるが、実際にはわずかな広がりが生じている。
【0056】
コリメート光の広がり角が大きいと、レーザ光Lのスポット径が大きくなり、映像を描画する際、リモートセンサにおいて物体を検知する際などにおける分解能が低下する。このようなコリメート光の広がり角を低減するためには、原理的には焦点距離の長いレンズ30を使用すればよい。この場合、レンズ30に伝播してきたレーザ光Lをロス無く有効に利用するためには、より大きなレンズ30(具体的には、有効径の大きなレンズ30)を用いる必要がある。しかしながら、光源搭載部20の主面20a上に大きなレンズ30を直接又は台部を利用して固定する場合、光モジュールのサイズが大きくなりやすい。
【0057】
光モジュール1では、レンズ30は光源搭載部20から離間して空中に配置されている。つまり、Z軸方向から見てレンズ30は光源搭載部20と重ならない。そのため、レンズ30が光源搭載部20の主面20aに固定されている場合より、レンズ30の大きさを選択できる自由度が大きく、より大きなレンズ30を採用できる。たとえば、図4に例示した形態のように、Y軸方向から見て、第2領域312の一部が、Z軸方向において温度調整面21aと放熱面22aとの間に位置するレンズ30を使用できる。この場合、このような構成では、大型化を防ぎながら、より大きなレンズをパッケージ内に配置できる。レンズ30は光源搭載部20から離間して空中に配置されていることから、図5に例示したように、長さT[mm]より長さS[mm]が大きいレンズ30を採用することも可能である。したがって、レンズ30は光源搭載部20から離間して空中に配置されている場合、大型化を防ぎながら、より大きなレンズをパッケージ内に配置できる。
【0058】
Z軸方向からみて、レンズ30が、レンズ支持部材40を介して光源搭載部20と離間している形態では、上記のように、レンズ30は光源搭載部20から離間して空中に配置できる。この場合、レンズ30と光源搭載部20の干渉を防止できることから、より大きなレンズ30をパッケージ50内に配置できる。
【0059】
レンズ30は、光源搭載部20から離間して空中に配置されていることから、パッケージ50内の収容空間を有効に利用できている。そのため、光モジュール1では、大型化を防ぎながら、より大きなレンズをパッケージ50内に配置できる。
【0060】
より大きなレンズ30を用いることによって、コリメート光であるレーザ光Lの広がり角を低減できるので、映像を描画する際、物体を検知する際などにおける分解能を向上できる。
【0061】
光モジュール1を映像表示装置に使用した場合、光モジュール1が小型であれば、映像表示装置の小型化も図ることが可能である。この場合、映像表示装置または光モジュール1を、狭い空間に設置できる。その結果、映像表示装置または光モジュール1が搭載されるべき搭載対象物の意匠性を確保しやすい。
【0062】
光モジュール1をLiDARなどのリモートセンサ(検知装置、測距装置などを含む)に使用する場合においても同様である。たとえば、光モジュール1を備えるリモートセンサを無人搬送機(たとえばドローン)に搭載した場合でもあって、光モジュール1およびそれを備えたリモートセンサが小型である場合、周囲の物体との干渉が生じにくい。
【0063】
レンズ30は、パッケージ50内に配置されている。そのため、たとえば窓部55の代わりにレンズ30が配置される場合より、光モジュール1の外部の温度の影響を受けにくい。その結果、レンズ30の変形、、屈折率の変動等が抑制されるので、レーザ光Lに対するレンズ30の光軸のズレ、集光位置のズレ等が生じにくい。
【0064】
光源搭載部20が温度調整器(たとえばペルチェ素子)であり、レンズ30を支持するレンズ支持部材40が温度調整面21a(主面20a)に固定されている形態では、レンズ30は、熱的に温度調整面21aに接続されている。そのため、温度調整器による環境温度の調整範囲内にレンズ30を配置できる。この場合、温度変化によるレンズ30の変形、屈折率の変動等を抑制できるので、上述したレーザ光Lに対するレンズ30の光軸のズレ、集光位置のズレ等が生じにくい。
【0065】
レンズ30の側周面31が、第1領域311と第2領域312とを有する形態では、側周面31すべてにレンズ支持部材40が接触する構成と比べ、レンズ30とレンズ支持部材40の接着面を小さくでき、環境温度の変化によるレンズ30の光軸のズレを抑えることができる。レンズ30は側周面31のうち一カ所(たとえば第3側面31c)でレンズ支持部材40に接触している形態では、側周面31すべてにレンズ支持部材40が接触する構成と比べ、レンズ30とレンズ支持部材40の接着面を小さくでき、環境温度の変化によるレンズ30の光軸のズレを抑えることができる。側周面31のうち一カ所でレンズ30をレンズ支持部材40に固定する場合、側周面31のうち二カ所以上でレンズ30をレンズ支持部材40に固定する場合より、光モジュール1の製造時間を短縮可能である。
【0066】
レンズ支持部材40が、Y軸方向から見てレンズ30と重なる第1部分41と、Z軸方向から見て主面20aと重なる第2部分42とを有する形態では、レンズ支持部材40を主面20aに設置してからレンズ30を設置できる。この場合、レンズ30を設置する場合の光軸ズレ、集光位置のズレ等を抑えることができる。
【0067】
光モジュール1の構成では、レンズ支持部材40の光源搭載部20への固定位置、レンズ支持部材40へのレンズ30の固定位置などを調整することによって、レンズ30の位置を調整可能である。そのため、たとえば、第1レーザ光源11a、第2レーザ光源11bおよび第3レーザ光源11cから第1レーザ光L1、第2レーザ光L2および第3レーザ光L3を出力しながら、レンズ30の光軸調整が可能である。
【0068】
(第2実施形態)
図6は、第2実施形態に係る光モジュール1Aの斜視図である。図7は、図6に示したカバー52が取り外された状態の光モジュール1Aの斜視図である。光モジュール1Aは、CAN型の光モジュールである。第2実施形態においても、図6および図7に示したX軸方向、Y軸方向およびZ軸方向を使用して光モジュール1Aを説明する。X軸方向、Y軸方向およびZ軸方向は互いに直交する。図7においても、レンズ支持部材40において、第1部分41および第2部分42を示すために、第1部分41のうち第2部分42寄りの境界および第2部分42のうち第1部分41寄りの境界を一点鎖線で示している。
【0069】
光モジュール1Aは、パッケージ50の代わりにパッケージ50Aを備える点および光源搭載部20の代わりに光源搭載部70を備える点で、主に光モジュール1と相違する。上記相違点を中心にして光モジュール1Aを説明する。
【0070】
パッケージ50Aは、窓部55が天部54に形成されている点でパッケージ50と相違する。窓部55は、天部54に形成された開口54aに取り付けられている。図6に示した形態ではパッケージ50が有するパッケージ基板51は、図6においてX軸方向からみた場合の形状が円形の板状部材である。図6に示した形態ではパッケージ50が有するカバー52の胴部53は円筒であり、天部54の平面視形状も円形である。第2実施形態においてもパッケージ基板51には複数の導電部材56が設けられている。
【0071】
第2実施形態における光源搭載部70は、光出力部10が固定される主面70aを有する支持台である。主面70aの法線nの方向がZ軸方向である。図7では、法線nを破線で示している。光源搭載部70は、パッケージ基板51に固定されている。具体的には、光源搭載部70は、パッケージ基板51の表面と主面70aが交差するようにパッケージ基板51に固定されている。パッケージ基板51の表面と主面70aは直交してよい。
【0072】
主面70aに搭載された光出力部10は、第1実施形態の光出力部10と同じであるため、光出力部10の説明を省略する。光出力部10が有する第1フィルタ12aは、図7に示したように台部62に搭載されていてもよい。
【0073】
レンズ30がレンズ支持部材40によって光源搭載部70から離間した状態で空中に配置されている点も第1実施形態の場合と同じである。したがって、光モジュール1Aにおいても、大型化を防ぎながら、より大きなレンズ30をパッケージ50A内に配置できる。光モジュール1Aは、CAN型の光モジュールである。よって、CAN型の光モジュール1Aにおいても、大型化を防ぎながら、より大きなレンズ30をパッケージ50A内に配置できる。
【0074】
レンズ30がパッケージ50A内に配置されていることにより、光モジュール1において述べたように、レンズ30は、光モジュール1Aの外部温度の影響を受けにくい。その結果、レンズ30の変形が抑制されるので、レーザ光Lに対するレンズ30の光軸のズレが生じにくい。
【0075】
光モジュール1Aにおいても、レンズ支持部材40へのレンズ30の固定位置、レンズ支持部材40の光源搭載部20への固定位置などを調整することによって、レンズ30の位置を調整可能である。そのため、たとえば、第1レーザ光源11a、第2レーザ光源11bおよび第3レーザ光源11cから第1レーザ光L1、第2レーザ光L2および第3レーザ光L3を出力しながら、レンズ30の光軸調整が可能である。
【0076】
(第3実施形態)
図8は、第3実施形態に係る光モジュール1Bの斜視図である。図9は、図8に示したカバー52が取り外された状態の光モジュール1Bの斜視図である。図10は、図9に示した光モジュール1Bの平面図である。図11は、図10に示した光モジュール1BのB―B線に沿った断面図である。第2実施形態においても、図8から図11に示したX軸方向、Y軸方向およびZ軸方向を使用して光モジュール1Bを説明する。X軸方向、Y軸方向およびZ軸方向は互いに直交する。
【0077】
光モジュール1Bは、レーザ光Lを走査しながら出力する。第3実施形態では、2本のレーザ光Lを出力する光モジュール1Bを説明する。光モジュール1Bは、リモートセンサの光源として使用される。
【0078】
光モジュール1Bは、パッケージ50B、一対のレーザ光源11d、光源搭載部20、一対のレンズ30およびMEMS(走査部)80を備える。
【0079】
パッケージ50Bは、窓部55が天部54に形成されている点でパッケージ50と相違する。窓部55は、天部54に形成された開口54aに取り付けられている。窓部55は、走査された2本のレーザ光Lを出力可能な大きさを有する。第3実施形態においてもパッケージ基板51には複数の導電部材56が設けられている。
【0080】
光モジュール1Bが備える光源搭載部20は、第1実施形態において説明した光源搭載部20と同じであることから説明を省略する。
【0081】
一対のレーザ光源11dはレーザ光Lを出力する半導体レーザ素子である。上記半導体レーザ素子の例は、第1実施形態の場合と同じである。レーザ光源11dが出力するレーザ光Lの波長、赤外線領域(例えば近赤外線領域)の波長でよい。一対のレーザ光源11dは、主面20aに固定された台部64に固定されている。台部64は、第1面64aと第2面64bとを有する。第1面64aは主面20aに固定されている。第2面64bは、第1面64aと反対の面である。一対のレーザ光源11dは、第2面64bに固定されている。台部64の材料の例は、第1台部61aの場合と同じである。台部64は光源搭載部20の構成要素であってもよい。一対のレーザ光源11dは、Y軸方向において離間して配置されている。一対のレーザ光源11dは、主面20aに垂直な仮想平面P(図10参照)に対して対称に配置されている。仮想平面Pは、Y軸方向に直交する平面である。一対のレーザ光源11dは、各レーザ光源11dから出力されたレーザ光Lの出力方向がX軸方向(または仮想平面P)と交差するように配置されている。
【0082】
一対のレンズ30は、一対のレーザ光源11dに対応している。具体的には、各レーザ光源11dから出力されたレーザ光Lの光路上に対応するレンズ30が配置されている。レンズ30は、レーザ光源11dから出力されたレーザ光Lを集光する。第3実施形態においても、レンズ30は、レーザ光Lをコリメートする。各レンズ30は、レンズ支持部材40に支持されることによって、光源搭載部20から離間した状態で空中に配置されている。
【0083】
レンズ30およびレンズ支持部材40は、第1実施形態で説明したレンズ30およびレンズ支持部材40と同じである。レンズ支持部材40は、主面20aの法線方向とレンズ30からのレーザ光Lの出力方向とに垂直な方向から見てレンズ30と重なる第1部分41と、主面20aの法線方向から見て台部64と重なる第2部分42とを有する。第2部分42は台部64に固定されている。図10においても、レンズ支持部材40が有する第1部分41を示すために、第1部分41のうち第2部分42寄りの境界を一点鎖線で示している。第3実施形態において、レンズ30からのレーザ光Lの出力方向は、レンズ30の光軸方向に対応している。第3実施形態において、レンズ30からのレーザ光Lの出力方向は、レーザ光源11dからのレーザ光Lの出力方向に対応している。第3実施形態においても、レンズ30の側周面31のうちの一部がレンズ支持部材40に固定されている。従って、レンズ30の側周面31は、レンズ支持部材40と接する第1領域311と、レンズ支持部材40と接していない第2領域312を有する。図9および図10に示した形態では、レンズ30の第3側面31cにレンズ支持部材40が固定されている。
【0084】
MEMS80は、走査ミラー81を有する。走査ミラー81は枠体82に支持されている。図9から図11ではMEMS80を模式的に示している。MEMS80は、走査ミラー81を振ることによって(または揺動することによって)、レーザ光源11dから出力されたレーザ光Lを走査する。MEMS80はMEMSチップでよい。走査ミラー81は、可動軸が1つの1次元タイプの走査ミラーでもよいし、可動軸が2つの2次元タイプの走査ミラーでもよい。
【0085】
MEMS80は、レーザ光源11dより主面20aに近い位置に配置されている。上記仮想平面Pは、走査ミラー81の中心と通るように設定された面である。MEMS80は、走査ミラー81が停止された状態で、走査ミラー81の反射面が主面20aに平行になるように配置されていてよい。MEMS80は、後述するミラー90を支持する支持板65に取り付けられていてよい。
【0086】
光モジュール1Bは、レーザ光源11dから出力されたレーザ光Lを走査ミラー81に向けて反射するミラー90を有する。ミラー90は、支持板65によって支持されている。
【0087】
光モジュール1Bでは、レーザ光源10dから出力されたレーザ光Lは、ミラー90によって反射された後、走査ミラー81に入射する。レーザ光Lは走査ミラー81によって走査され、窓部55を通して光モジュール1Bの外部に出力される。
【0088】
光モジュール1Bでは、レンズ30は光源搭載部20から離間して空中に配置されている。したがって、光モジュール1Bにおいても、大型化を防ぎながら、より大きなレンズ30をパッケージ50B内に配置できる。
【0089】
レンズ30は、レーザ光源11dから出力されたレーザ光Lの光路においてレーザ光源11dとミラー90の間で且つMEMS80の一部(具体的には枠体82)の上方に配置されている。そのため、MEMS80を備える光モジュール1Bにおいて、MEMS80の上方の空間を有効に利用できている。特に、光モジュール1Bでは、MEMS80は、レーザ光源11dより光源搭載部20の近くに配置されている。よって、Z軸方向においてレーザ光源11dとMEMS80の位置は異なることから、MEMS80の上方には空きスペースが存在する。光モジュール1Bでは、MEMS80の上方の上記空きスペースにレンズ30が配置できる。その結果、より大きなレンズ30を採用しても光モジュール1Bの大型化を抑制しやすい。
【0090】
レンズ30がパッケージ50B内に配置されていることにより、光モジュール1において述べたように、レンズ30は光モジュール1Bno外部温度の影響を受けにくい。その結果、レンズ30の変形、屈折率の変動等が抑制されるので、レーザ光Lに対するレンズ30の光軸のズレ、集光位置のズレ等が生じにくい。
【0091】
図8から図11を利用して説明した光モジュール1Bの一実施形態では、光源搭載部20は温度調整器(たとえばペルチェ素子)である。レンズ30を支持するレンズ支持部材40は第1部分41および第2部分42を有し、第2部分42は台部64に固定されている。台部64は、温度調整面21aに固定されている。このような形態では、レンズ30は温度調整面21aと熱的に接続される。この場合、レンズ30を温度調整器による環境温度の調整範囲内に配置できる。そのため、温度変化によるレンズ30の変形、屈折率の変動等を抑制できるので、上述したレーザ光Lに対するレンズ30の光軸のズレ、集光位置のズレ等が更に生じにくい。
【0092】
光モジュール1Bにおいても、レンズ支持部材40へのレンズ30の固定位置、レンズ支持部材40の台部64への固定位置などを調整することによって、レンズ30の位置を調整可能である。そのため、たとえば、レーザ光源11dからレーザ光Lを出力しながら、レンズ30の光軸調整が可能である。
【0093】
以上、本開示に係る種々の実施形態および変形例を説明したが、本開示は、例示した実施形態に限定されない。
【0094】
レンズ支持部材の固定位置は、レーザ光源から出力されるレーザ光を集光するレンズがパッケージ内において、光源搭載部から離間され且つ空中に配置されていれば、例示した固定位置に限定されない。例えば、第3実施形態において、レンズ支持部材40の第2部分42は、主面20aに固定されていてもよい。レンズ支持部材の形状も一方向に延在した棒状または柱状部材に限定されず、屈曲した形状を有してもよい。
【0095】
上記において、光モジュールが備えるレーザ光源の数が3つである場合を説明したが、レーザ光源の数は1つでもよいし、4つ以上でもよい。第3実施形態で説明したように、光モジュールがレーザ光を走査する走査部を備える場合、走査部はMEMSに限定されない。
【0096】
以上説明した種々の実施形態および変形例は、本開示の趣旨を逸脱しない範囲で適宜組み合わされてもよい。
【符号の説明】
【0097】
1,1A,1B…光モジュール
10…光出力部
11a…第1レーザ光源
11b…第2レーザ光源
11c…第3レーザ光源
11d…レーザ光源
12…合波部
12a…第1フィルタ
12b…第2フィルタ
20…光源搭載部(温度調整器)
20a…主面
21…温度調整板
21a…温度調整面
22…放熱板
22a…放熱面
23…半導体柱
30…レンズ
31…側周面
31a…第1側面
31b…第2側面
31c…第3側面
31d…第4側面
311…第1領域
312…第2領域
40…レンズ支持部材
50,50A,50B…パッケージ
41…第1部分
42…第2部分
51…パッケージ基板
52…カバー
53…胴部
53a…開口
54…天部
54a…開口
55…窓部
56…導電部材
61a…第1台部
61b…第2台部
61c…第3台部
62…台部
64…台部
65…支持板
70…光源搭載部(支持台)
70a…主面
80…MEMS(走査部)
81…走査ミラー
82…枠体
90…ミラー
L…レーザ光
L1…第1レーザ光
L2…第2レーザ光
L3…第3レーザ光
n…法線
P…仮想平面


図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11