(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024015826
(43)【公開日】2024-02-06
(54)【発明の名称】釣り用リール
(51)【国際特許分類】
A01K 89/017 20060101AFI20240130BHJP
H05K 7/00 20060101ALI20240130BHJP
H02K 5/10 20060101ALI20240130BHJP
H02K 11/33 20160101ALI20240130BHJP
【FI】
A01K89/017
H05K7/00 F
H02K5/10 Z
H02K11/33
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022118152
(22)【出願日】2022-07-25
(71)【出願人】
【識別番号】000002439
【氏名又は名称】株式会社シマノ
(74)【代理人】
【識別番号】100117204
【弁理士】
【氏名又は名称】岩田 徳哉
(72)【発明者】
【氏名】山下 拓耶
(72)【発明者】
【氏名】津江 佑哉
【テーマコード(参考)】
2B108
4E352
5H605
5H611
【Fターム(参考)】
2B108GA18
2B108GA35
4E352AA17
4E352BB02
4E352BB04
4E352BB20
4E352CC52
4E352EE01
4E352EE03
4E352GG04
4E352GG30
5H605AA02
5H605BB05
5H605DD16
5H611BB01
5H611TT01
(57)【要約】
【課題】回路基板の接点における防水性を確保する。
【解決手段】モータと、モータを制御し、接点を有する回路基板と、回路基板を収容するケース本体と、接点に接続される芯線を有する配線と、接点を囲む部屋を形成する区画壁を有する区画部と、接点を覆うように部屋に充填される樹脂材と、を備え、区画壁は、芯線の径方向の両側に位置する一対の側壁と、一対の側壁の一端を連結する連結壁と、一対の側壁の他端に芯線が通るように設けられる挿通部と、を有する。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
モータと、
前記モータを制御し、接点を有する回路基板と、
前記回路基板を収容するケース本体と、
前記接点に接続される芯線を有する配線と、
前記接点を囲む部屋を形成する区画壁を有する区画部と、
前記接点を覆うように前記部屋に充填される樹脂材と、
を備える、釣り用リール。
【請求項2】
前記区画壁は、
前記芯線の径方向の両側に位置する一対の側壁と、
前記一対の側壁の一端を連結する連結壁と、
前記一対の側壁の他端に前記芯線が通るように設けられる挿通部と、
を有する、請求項1記載の釣り用リール。
【請求項3】
前記一対の側壁の他端は、前記挿通部を形成するように、前記芯線の径方向に離間し、
前記一対の側壁の他端のいずれか少なくとも一方は、前記芯線と前記回路基板との間に突出する下鍔を有する、請求項2記載の釣り用リール。
【請求項4】
前記一対の側壁の他端は、前記挿通部を形成するように、前記芯線の径方向に離間し、
前記一対の側壁の他端のいずれか少なくとも一方は、前記芯線に近づくように突出する袖壁を有する、請求項2記載の釣り用リール。
【請求項5】
前記袖壁は、前記芯線と前記回路基板との間に突出する下鍔を有する、請求項4記載の釣り用リール。
【請求項6】
前記区画部は、前記区画壁から前記部屋の外側に向けて突出する突出片をさらに有する、請求項1乃至5のいずれか1項に記載の釣り用リール。
【請求項7】
前記突出片の上面は、前記区画壁の上端面よりも低く、前記突出片の下面は、前記区画壁の下端面と面一である、請求項6記載の釣り用リール。
【請求項8】
前記回路基板は、前記接点を、互いに間隔を隔てて複数有し、
前記配線は、前記芯線を複数有し、
前記複数の芯線は、前記複数の接点にそれぞれ接続され、
前記区画部は、前記複数の接点を個別に囲む複数の部屋を形成する複数の区画壁を有し、
前記複数の部屋に前記樹脂材がそれぞれ充填される、請求項1記載の釣り用リール。
【請求項9】
前記複数の区画壁は、
前記複数の接点の間に位置する複数の側壁と、
前記複数の側壁の一端を連結する連結壁と、
前記複数の側壁の他端に前記複数の芯線がそれぞれ通るように設けられる複数の挿通部と、
を有する、請求項8記載の釣り用リール。
【請求項10】
前記複数の側壁の他端は、前記複数の挿通部を形成するように、前記芯線の径方向に離間し、
前記複数の側壁の他端の少なくとも1つは、前記芯線と前記回路基板との間に突出する下鍔を有する、請求項9記載の釣り用リール。
【請求項11】
前記複数の側壁の他端は、前記複数の挿通部を形成するように、前記芯線の径方向に離間し、
前記複数の側壁の他端の少なくとも一つは、前記芯線に近づくように突出する袖壁を有する、請求項9記載の釣り用リール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モータを備えた釣り用リールに関する。
【背景技術】
【0002】
釣り用リールは、モータを制御するための回路基板を備えている。回路基板には、例えば外部電源との間の配線や、モータとの間の配線が接続される。配線の芯線は、回路基板の接点に半田付けされる。これらの半田付け箇所を含む回路基板への浸水の多くは、配線を伝って浸水するものであり、屋外で使用される一般的は電気機器においても、これらの浸水を防止することが要求されるが、特に、塩分を含む海水にさらされる釣用リールにおいては、厳重に浸水を防止することが要求される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、回路基板の接点における防水性を確保することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の第1側面に係る釣り用リールは、モータと、回路基板と、ケース本体と、配線と、区画部と、樹脂材と、を備える。回路基板は、モータを制御する。回路基板は、接点を有する。ケース本体は、回路基板を収容する。配線は、芯線を有する。芯線は、接点に接続される。区画部は、区画壁を有する。区画壁は、部屋を形成する。部屋は、接点を囲む。樹脂材は、接点を覆うように部屋に充填される。
【0006】
この構成によれば、接点が樹脂材によって覆われる。そのため、接点における防水性が確保される。また、区画部の区画壁が接点を囲む部屋を形成する。そのため、樹脂材は、部屋の外部に漏れ出しにくく、接点が樹脂材によって確実に覆われる。
【0007】
本発明の第1側面に従う第2側面の釣り用リールは、区画壁は、一対の側壁と、連結壁と、挿通部と、を有する。一対の側壁は、芯線の径方向の両側に位置する。連結壁は、一対の側壁の一端を連結する。挿通部は、一対の側壁の他端に、芯線が通るように設けられる。この構成によれば、挿通部を通って芯線が部屋の内部に導入される。一対の側壁と連結壁が接点を囲むので、部屋の外部への樹脂材の漏出が抑制される。尚、挿通部は、孔であってもよい。
【0008】
本発明の第2側面に従う第3側面の釣り用リールにおいては、一対の側壁の他端は、挿通部を形成するように、芯線の径方向に離間する。一対の側壁の他端のいずれか少なくとも一方は、下鍔を有する。下鍔は、芯線と回路基板との間に突出する。この構成によれば、芯線が下鍔を回路基板に向けて押さえ付ける。そのため、区画壁と回路基板との間の隙間が抑制され、部屋の外部への樹脂材の漏出が抑制される。
【0009】
本発明の第2側面に従う第4側面の釣り用リールにおいては、一対の側壁の他端は、挿通部を形成するように、芯線の径方向に離間する。一対の側壁の他端のいずれか少なくとも一方は、袖壁を有する。袖壁は、芯線に近づくように突出する。この構成によれば、袖壁が、側壁の他端と芯線との間の隙間を減少させる。そのため、部屋の外部への樹脂材の漏出が抑制される。
【0010】
本発明の第4側面に従う第5側面の釣り用リールにおいては、袖壁は、下鍔を有する。下鍔は、芯線と回路基板との間に突出する。この構成によれば、部屋の外部への樹脂材の漏出が、より一層抑制される。
【0011】
本発明の第1側面乃至第5側面の何れか一つに従う第6側面の釣り用リールにおいては、区画部は、突出片をさらに有する。突出片は、区画壁から部屋の外側に向けて突出する。この構成によれば、樹脂材を部屋に充填する際に、突出片を回路基板に向けて押さえ付けることができる。そのため、区画壁が回路基板から浮き上がりにくく、樹脂材の部屋外部への漏出を抑制できる。突出片が区画壁から外側に突出しているため、突出片は、樹脂材の充填の際の邪魔になりにくい。
【0012】
本発明の第6側面に従う第7側面の釣り用リールにおいては、突出片の上面は、区画壁の上端面よりも低い。突出片の下面は、区画壁の下端面と面一である。この構成によれば、突出片の上面が区画壁の上端面よりも低いため、樹脂材を部屋に充填する際に、突出片を回路基板に向けて容易に押さえ付けることができる。そして、突出片の下面が区画壁の下端面と面一であるため、区画壁の回路基板からの浮き上がりを容易に抑制できる。
【0013】
本発明の第1側面に従う第8側面の釣り用リールにおいては、回路基板は、接点を互いに間隔を隔てて複数有する。配線は、芯線を複数有する。複数の芯線は、複数の接点にそれぞれ接続される。区画部は、複数の区画壁を有する。複数の区画壁は、複数の部屋を形成する。複数の部屋は、複数の接点を個別に囲む。複数の部屋に樹脂材がそれぞれ充填される。この構成によれば、複数の接点がそれぞれ個別の部屋によって囲まれ、複数の接点がそれぞれ樹脂材によって個別に覆われる。そのため、複数の接点がそれぞれ樹脂材によってバラツキが少ない状態で均質に覆われる。従って、複数の接点が一つの大きな部屋によって囲まれていて一括的に樹脂材によって覆われているような構成に比して、複数の接点のそれぞれの防水性が確保されやすい。
【0014】
本発明の第8側面に従う第9側面の釣り用リールにおいては、複数の区画壁は、複数の側壁と、連結壁と、複数の挿通部と、を有する。複数の側壁は、複数の接点の間に位置する。連結壁は、複数の側壁の一端を連結する。複数の挿通部は、複数の側壁の他端に、複数の芯線がそれぞれ通るように設けられる。この構成によれば、複数の芯線がそれぞれ個別に挿通部を通って各部屋に導入される。そのため、各接点の防水性が容易に確保される。
【0015】
本発明の第9側面に従う第10側面の釣り用リールにおいては、複数の側壁の他端は、複数の挿通部を形成するように、芯線の径方向に離間する。複数の側壁の他端の少なくとも1つは、下鍔を有する。下鍔は、芯線と回路基板との間に突出する。この構成によれば、芯線が下鍔を回路基板に向けて押さえ付ける。そのため、区画壁と回路基板との間の隙間が抑制され、部屋の外部への樹脂材の漏出を抑制される。
【0016】
本発明の第9側面に従う第11側面の釣り用リールにおいては、複数の側壁の他端は、複数の挿通部を形成するように、芯線の径方向に離間する。複数の側壁の他端の少なくとも一つは、袖壁を有する。袖壁は、芯線に近づくように突出する。この構成によれば、袖壁が、側壁の他端と芯線との間の隙間を減少させる。そのため、部屋の外部への樹脂材の漏出が抑制される。
【発明の効果】
【0017】
以上のように、回路基板の接点における防水性が確保される。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明の一実施形態における釣り用リールの斜視図。
【
図2】同釣り用リールのカウンターケースを示す斜視図。
【
図10】同カウンターケースの第1区画ケースの斜視図。
【
図12】(a)は同第1区画ケースの側面図、(b)は同第1区画ケースと芯線との関係を示す図。
【
図13】同カウンターケースの第2区画ケースの斜視図。
【
図15】(a)は同第2区画ケースの正面図、(b)は同第2区画ケースと芯線との関係を示す図。
【
図16】同カウンターケースの製造工程を示す要部平面図。
【
図17】同カウンターケースの製造工程を示す要部平面図。
【
図18】同カウンターケースの製造工程を示す要部平面図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の一実施形態に係る釣り用リールについて、
図1~
図18を参酌しつつ説明する。
【0020】
<全体構成>
図1に釣り用リールの概略斜視図を示している。釣り用リールは、両軸受けリールの一種で、モータ5で釣糸を巻き取ることができる電動リールである。電動リールは、釣竿に装着されるリール本体1と、リール本体1に回転可能に取り付けられるハンドル2とを備える。リール本体1は、釣竿に装着されるフレーム3と、フレーム3に回転可能に支持されて釣糸を巻き取るスプール4と、スプール4を駆動するモータ5と、フレーム3に取り付けられたカウンターケース6とを備える。尚、以下の説明において、第1方向Xは、スプール4の軸方向であって、左右方向である。第2方向Yは、平面視において第1方向と直交する方向であって、釣竿の軸方向であり、スプール4から釣糸が繰り出される方向であり、前後方向である。
【0021】
<カウンターケース6>
カウンターケース6は、表示窓7を有し、表示窓7の第2方向Yの隣には、複数の操作ボタン8が設けられている。カウンターケース6は、表示装置10と、表示装置10を制御する第1回路基板11と、モータ5を制御する第2回路基板12と、表示装置10、第1回路基板11及び第2回路基板12を収容するケース本体13と、ケース本体13を覆う外装カバー14と、を備える。表示装置10、第1回路基板11及び第2回路基板12は、ケース本体13の内部に取り付けられ、外装カバー14は、ケース本体13の外部に取り付けられる。表示装置10は第1回路基板11に電気的に接続され、第1回路基板11は第2回路基板12に電気的に接続される。
【0022】
第1回路基板11は、表示装置10に種々の情報を表示させる。表示装置10に表示される情報は、例えば水深等である。表示窓7を介して表示装置10を視認できる。表示装置10は、例えば液晶パネルである。表示装置10は、平面視矩形状である。表示装置10は、第1方向Xと第2方向Yを、互いに直交する二辺の方向とする長方形あるいは正方形である。
【0023】
第2回路基板12の上面には複数の接点が設けられている。具体的には、第2回路基板12の上面の第1方向Xの第1側部に、第1接点21と第2接点22が設けられている。第1接点21と第2接点22は、第2方向Yに並んでいるものの、第1方向Xに所定距離位置ずれしている。第1接点21とケース本体13の後述の第1辺部34aとの間の第1方向Xの離間距離は、第2接点22と第1辺部34aとの間の第1方向Xの離間距離よりも大きい。
【0024】
第2回路基板12の上面における第2側部には、第3接点23と第4接点24と第5接点25が設けられている。第2側部は、第1側部に対して第1方向Xの反対側に位置する。第3接点23と第4接点24と第5接点25は、第2方向Yに並んでいる。第3接点23と第4接点24と第5接点25と、ケース本体13の後述の第2辺部34bとの間の第1方向Xの離間距離は、互いに等しい。また、第5接点25の第2方向Yの隣には、基板コネクタ26aが取り付けられた第6接点26が設けられ、第6接点26の第2方向Yの隣には、複数(具体的には6個)の第7接点27が一群となって設けられている。尚、第2回路基板12の下面にはMOSFET等の各種のトランジスタ(図示省略)が装着される。
【0025】
外装カバー14は、メインカバー14aとサブカバー14bとを備える。メインカバー14aは、ケース本体13の上部を覆う。サブカバー14bは、ケース本体13の前部の下部を覆う。メインカバー14aには、表示窓7を形成する表示開口部15が設けられている。
【0026】
操作ボタン8は、メインカバー14aを上下に挿通する。操作ボタン8の上部は、メインカバー14aから上側に突出する。操作ボタン8の下端部は、第1回路基板11に接触している。操作ボタン8を押すことにより、第1回路基板11に各種の情報を入力することができ、また、第1回路基板11を介して表示装置10に表示される情報を変更することができる。
【0027】
ケース本体13は、上ケース13aと下ケース13bとを備える。上ケース13aと下ケース13bは、互いに上下に接合される。接合構成は種々であってよく、例えば、ネジ止めであってもよいし、超音波溶着等の溶着であってもよいし、ネジ止めと溶着を併用するなど、複数の構成を併用するものであってもよい。上ケース13aと下ケース13bの間には、パッキン16が介装される。上ケース13aと下ケース13bは互いに気密に接合される。上ケース13aは、下面に開口部を有する下方開口形状であり、下ケース13bは、上面に開口部を有する上方開口形状である。上ケース13aと下ケース13bにより、表示装置10等を収容するための収容空間が形成される。収容空間は、外部と気密性を有して遮断される。
【0028】
上ケース13aは、好ましくは、樹脂製である。上ケース13aは、二種類以上の樹脂により一体成形された多色成形品であることが好ましい。上ケース13aは、天面部30と、天面部30の周縁に接続されて下方に延びる第1側面部31とを有する。上ケース13aの内面に、表示装置10と第1回路基板11が取り付けられる。天面部30の下側に表示装置10が対向し、表示装置10の下側に第1回路基板11が対向する。天面部30と表示装置10と第1回路基板11は互いに平行に配置される。天面部30は、透明な透過パネル部32を有する。透過パネル部32は、表示装置10の上側に対向している。外装カバー14は透過パネル部32を露出させる。即ち、外装カバー14の表示開口部15から透過パネル部32が露出する。透過パネル部32の上端部は表示開口部15に係合する。上ケース13aの透過パネル部32と外装カバー14の表示開口部15が表示窓7を構成する。透過パネル部32を介して外部から表示装置10を視認できる。透過パネル部32は、表示装置10に対応して平面視矩形状である。
【0029】
下ケース13bは、好ましくは、金属製である。下ケース13bが金属製であると、放熱特性に優れる。下ケース13bは、底面部33と、底面部33の周縁に接続されて上方に延びる第2側面部34とを有する。上ケース13aの第1側面部31の下端面と下ケース13bの第2側面部34の上端面とが接合される。パッキン16は、第1側面部31の下端面と第2側面部34の上端面との間に介装される。第2回路基板12は、下ケース13bの底面部33の上面に取り付けられる。第2回路基板12は、底面部33の上面の大部分を覆う。底面部33の下面には放熱フィン35が形成される。
【0030】
下ケース13bの第2側面部34には、複数の貫通孔が形成されており、各貫通孔を後述の芯線が挿通する。具体的には、第2側面部34には、第1貫通孔41から第7貫通孔47が形成されている。貫通孔は、第2側面部34の外面と内面とを結ぶように、第2側面部34を第1方向Xに貫通している。貫通孔の最下部48は、第2回路基板12の上面と同じ高さに位置するか、あるいは、若干上側に位置する。
【0031】
第2側面部34は、互いに第1方向Xに対向する第1辺部34aと第2辺部34bを有している。第1辺部34aは、第2回路基板12の第1側部に近接する。第2辺部34bは、第2回路基板12の第2側部に近接する。第1辺部34aには、第1接点21と第2接点22に対応して第1貫通孔41と第2貫通孔42が第2方向Yに並んで形成されている。第2辺部34bには、第3接点23から第5接点25に対応して第3貫通孔43と第4貫通孔44と第5貫通孔45が第2方向Yに並んで形成され、また、第6接点26と第7接点27に対応して第6貫通孔46と第7貫通孔47が第2方向Yに並んで形成されている。
【0032】
第1辺部34aの外面には、側方に突出する第1筒状壁36が形成されている。第1筒状壁36は、第1貫通孔41と第2貫通孔42を一括して包囲するように形成されている。第2辺部34bの外面には、側方に突出する第2筒状壁37と第3筒状壁38が形成されている。第2筒状壁37は、第3貫通孔43と第4貫通孔44と第5貫通孔45を一括して包囲するように形成されている。第3筒状壁38は、第2筒状壁37の第2方向Yの隣りに位置し、第6貫通孔46と第7貫通孔47を一括して包囲するように形成されている。
【0033】
<配線>
第2回路基板12には、第1配線51、第2配線52、第3配線53、第4配線54、及び第5配線55が接続される。第1配線51は、第2回路基板12の上面の第1側部に接続される。第2配線52、第3配線53、第4配線54及び第5配線55は、第2回路基板12の上面の第2側部に接続される。第1配線51、第2配線52、第3配線53、第4配線54及び第5配線55は、第2側面部34を第1方向Xに挿通する。
【0034】
<第1配線51>
第1配線51は、外部電源との間の配線である。第1配線51は、一端に丸形の本体コネクタ56を備える。第1配線51の他端が第2回路基板12に接続される。本体コネクタ56には、ケーブルが着脱可能に接続される。ケーブルは、外部電源であるバッテリーに接続される。バッテリーからケーブルと第1配線51を介して第2回路基板12に電力が供給される。第1配線51は、第2回路基板12へ電力を供給するための電力線である。第1配線51は、プラスとマイナスの二本の芯線を有する。即ち、第1配線51は、プラス側の第1芯線51aと、マイナス側の第2芯線51bを有する。尚、第1芯線51aがマイナス側で、第2芯線51bがプラス側であってもよく、プラスとマイナスは任意である。第1芯線51aと第2芯線51bは、第2回路基板12上において第1方向Xに沿うと共に互いに平行に並んでいる。
【0035】
第1芯線51aと第2芯線51bは、第1貫通孔41と第2貫通孔42を個別に挿通する。第1芯線51a及び第2芯線51bは、第2回路基板12の上面に沿って延びる。第2回路基板12の上面と第1芯線51a及び第2芯線51bの外周面とが上下に対峙する。第1芯線51a及び第2芯線51bの外周面は、それぞれ第2回路基板12の上面と接触するか、あるいは、第2回路基板12の上面に対して僅かな隙間をあけて位置する。
【0036】
第1芯線51aと第2芯線51bは共に第1筒状壁36の内側を通り、その後分かれて第1貫通孔41と第2貫通孔42をそれぞれ挿通する。第1筒状壁36と第1芯線51a及び第2芯線51bとの間の隙間には封止材57が充填される。封止材57は熱硬化性樹脂であって、例えばシリコン樹脂やウレタン樹脂、エポキシ樹脂等である。封止材57により、第1貫通孔41と第2貫通孔42がまとめて封止される。
【0037】
第1芯線51aと第2芯線51bは、それぞれ第1貫通孔41と第2貫通孔42を通って下ケース13bの内部に引き込まれる。第1芯線51aと第2芯線51bの他端は、第2側面部34の第2辺部34bを向いている。第1芯線51aと第2芯線51bの他端は、第2回路基板12の第1接点21と第2接点22にそれぞれ径方向に接触して半田付けされる。第1芯線51aの下ケース13bの内部への引き出し長さは、第2芯線51bの引き出し長さよりも長い。
【0038】
<第2配線52>
第2配線52は、モータ5に接続される。第2回路基板12から第2配線52を介してモータ5に電力が供給される。第2配線52は、モータ5に電力を供給するための電力線である。本実施形態においては、モータ5は三相モータ5である。そのため、第2配線52は、三本の芯線を有する。即ち、第2配線52は、第3芯線52aと第4芯線52bと第5芯線52cを有する。第3芯線52aと第4芯線52bと第5芯線52cは、第2回路基板12上において第1方向Xに沿うと共に互いに平行に並んでいる。
【0039】
第3芯線52aと第4芯線52bと第5芯線52cは、第3貫通孔43と第4貫通孔44と第5貫通孔45を個別に挿通する。第3芯線52aと第4芯線52bと第5芯線52cは、第2回路基板12の上面に沿って延びる。第2回路基板12の上面と第3芯線52aと第4芯線52bと第5芯線52cの外周面とが上下に対峙する。第3芯線52aと第4芯線52bと第5芯線52cの外周面は、それぞれ第2回路基板12の上面と接触するか、あるいは、第2回路基板12の上面に対して僅かな隙間をあけて位置する。
【0040】
第3芯線52aと第4芯線52bと第5芯線52cは共に第2筒状壁37の内側を通り、その後分かれて第3貫通孔43と第4貫通孔44と第5貫通孔45をそれぞれ挿通する。第2筒状壁37の内部には封止材57が充填される。封止材57により、第3貫通孔43と第4貫通孔44と第5貫通孔45がまとめて封止される。
【0041】
第3芯線52aと第4芯線52bと第5芯線52cは、それぞれ第3貫通孔43と第4貫通孔44と第5貫通孔45を通って下ケース13bの内部に引き込まれる。第3芯線52aと第4芯線52bと第5芯線52cの他端は、第2側面部34の第1辺部34aを向いている。第3芯線52aと第4芯線52bと第5芯線52cの他端は、第2回路基板12の第3接点23と第4接点24と第5接点25にそれぞれ径方向に接触して半田付けされる。第3芯線52aと第4芯線52bと第5芯線52cのそれぞれの下ケース13bの内部への引き出し長さは、互いに等しい。
【0042】
<第3配線53と第4配線54と第5配線55>
第3配線53と第4配線54と第5配線55は、それぞれ各種の電気素子58に接続される。電気素子58は、例えばポテンショメータや、ソレノイド、各種のセンサ等である。第3配線53は、複数の第6芯線53aを有する。第4配線54は、複数の第7芯線54aを有する。複数の第6芯線53aと複数の第7芯線54aは、第3筒状壁38の内側を通り、その後まとめて第6貫通孔46を挿通し、基板コネクタ26aに接続される。第5配線55は、複数の第8芯線55aを有する。複数の第8芯線55aは、第3筒状壁38の内側を通り、その後まとめて第7貫通孔47を挿通し、複数の第7接点27に個別に半田付けされる。第3筒状壁38の内部には封止材57が充填される。封止材57により、第6貫通孔46と第7貫通孔47がまとめて封止される。
【0043】
尚、第1芯線51a乃至第5芯線52cは、互いに同じ太さである。第1芯線51a乃至第5芯線52cは、電力線であり、第6芯線53a乃至第8芯線55aは、信号線である。そのため、第1芯線51a乃至第5芯線52cは、第6芯線53a乃至第8芯線55aよりも太い。
【0044】
<ポッティング>
カウンターケース6は、接点を囲む部屋を形成する区画壁を有する区画部の一例として、第1区画ケース17と第2区画ケース18を備えている。第1区画ケース17と第2区画ケース18は、何れも、ケース本体13とは別体に形成されている。第1区画ケース17と第2区画ケース18は、それぞれ第2回路基板12の上面に載置される。第1区画ケース17は、第2回路基板12の上面の第1側部に載置され、第2区画ケース18は、第2回路基板12の上面の第2側部に載置される。第1区画ケース17は、第1接点21と第2接点22をそれぞれ囲む部屋を形成し、その部屋に樹脂材19を充填する(ポッティングする)ためのものである。第1区画ケース17は、第1接点21と第2接点22を個別に区画する。第2区画ケース18は、第3接点23と第4接点24と第5接点25をそれぞれ囲む部屋を形成し、その部屋に樹脂材19を充填する(ポッティングする)ためのものである。第2区画ケース18は、第3接点23と第4接点24と第5接点25を個別に区画する。
【0045】
<第1区画ケース17>
図10乃至
図12には、接点を囲む部屋を形成する区画壁を有する区画部の一例としての第1区画ケース17を示している。第1区画ケース17は、第1区画壁60と、第1突出片61と、第2突出片62を有している。第1区画壁60は、第1接点21を囲む第1部屋91、及び、第2接点22を囲む第2部屋92を形成する。第1部屋91と第2部屋92は、何れも上下に開口していて、その上面及び下面は開放されている。但し、第1区画ケース17が第2回路基板12に載置されることにより、各部屋の下面は第2回路基板12により塞がれる。第1区画壁60の第1上端面60aと第1下端面60bは、何れも高さ変化なく、その高さは一定である。第1区画壁60は、第1側壁71、第2側壁72、第3側壁73、第4側壁74、第1連結壁81、及び第2連結壁82を有する。第1側壁71乃至第4側壁74は、第1方向Xに沿って延びている。第1側壁71乃至第4側壁74は、第2方向Yに対向する。尚、方向は、第2回路基板12への装着状態を基準とする。第1側壁71乃至第4側壁74の幅方向は、第2方向Yである。第1側壁71乃至第4側壁74の幅寸法は、高さ寸法よりも小さい。第1側壁71乃至第4側壁74は、互いに平行である。第2側壁72と第3側壁73は、平面視において互いに同一線上に位置していてもよいが、本実施形態では、第2方向Yに位置ずれしている。
【0046】
第1側壁71と第2側壁72と第3側壁73と第1連結壁81により第1部屋91が画成される。第1側壁71乃至第3側壁73と第1連結壁81は、平面視において第1接点21を三方から囲む。第1側壁71と第2側壁72は、第1接点21の第2方向Yの両側に位置する。第1連結壁81は、第1接点21の第1方向Xの一方側の隣に位置する。
【0047】
第1連結壁81は、第1側壁71と第2側壁72の一端を第2方向Yに連結する。第1側壁71の他端は自由端である。第2側壁72の他端は第2連結壁82に接続する。第1側壁71の他端は、第3側壁73の隣に間隔をあけて位置する。第1側壁71の他端と第3側壁73の間に、第1芯線51aが通る第1挿通部101が設けられる。第1側壁71と第3側壁73との間の第2方向Yの離間距離は、第1側壁71と第2側壁72との間の第2方向Yの離間距離よりも小さい。
【0048】
第1側壁71の他端には、第3側壁73に向けて突出する第1袖壁111が形成されている。第1袖壁111は、第1側壁71の全高に亘って形成されている。第1袖壁111は、第1側壁71から第2方向Yに突出する。第1袖壁111の下端部には第1下鍔121が形成されている。第1下鍔121は、第3側壁73に向けて、即ち、第2方向Yに向けて突出している。第1下鍔121は、平面視において、第1袖壁111と同幅である。第1下鍔121の上下方向の寸法は、第1袖壁111のそれよりも小さい。第1袖壁111の下面と第1下鍔121の下面は、第1側壁71の下面と面一である。第1下鍔121は、
図12(b)のように、第1芯線51aの外周面と第2回路基板12の上面との間に入り込む。
【0049】
第3側壁73と第4側壁74と第2連結壁82により第2部屋92が画成される。第3側壁73と第4側壁74と第2連結壁82は、平面視において第2接点22を三方から囲む。第3側壁73と第4側壁74は、第2接点22の第2方向Yの両側に位置する。第2連結壁82は、第2接点22の第1方向Xの一方側の隣に位置する。
【0050】
第2連結壁82は、第3側壁73と第4側壁74の一端を第2方向Yに連結する。第2連結壁82は、第1連結壁81に対して第1方向Xに位置ずれしている。第3側壁73の他端と第4側壁74の他端は何れも自由端である。第3側壁73の他端と第4側壁74の他端は互いに第2方向Yに離間していると共に互いに第2方向Yに対向している。第3側壁73の他端と第4側壁74の他端の間に、第2芯線51bが通る第2挿通部102が設けられる。
【0051】
第3側壁73の他端には、第4側壁74に向けて突出する第2袖壁112が形成されている。第2袖壁112は、第3側壁73の全高に亘って形成されている。第2袖壁112には下鍔が形成されていない。第4側壁74の他端には、第3側壁73に向けて突出する第3袖壁113が形成されている。第3袖壁113は、第4側壁74の全高に亘って形成されている。第3袖壁113の下端部には、第2下鍔122が形成されている。第2下鍔122は、第3側壁73に向けて突出している。第2下鍔122は、第2芯線51bの外周面と第2回路基板12の上面との間に入り込む。
【0052】
第2袖壁112と第3袖壁113は互いに対向している。第2袖壁112と第3袖壁113が設けられることにより、第3側壁73と第4側壁74との間の離間距離が狭くなる。第2側壁72と第3側壁73との間の空間が第2挿通部102となる。
【0053】
このように、第1区画壁60は、突出方向が互いに反対方向である二つの下鍔(第1下鍔121と第2下鍔122)を有している。そして、二つの下鍔は、第1側壁71乃至第4側壁74のうち両端に位置する第1側壁71と第4側壁74にそれぞれ設けられている。
【0054】
第1突出片61と第2突出片62は、第1区画壁60の外面から外側に向けて突出する。第1突出片61は、第1連結壁81から第1方向Xに突出する。第1突出片61の第1上面61aは、第1区画壁60の第1上端面60aよりも低く、第1連結壁81の上端面よりも低い。第1突出片61の第1下面61bは、第1区画壁60の第1下端面60bと面一であって、第1連結壁81の下端面と連続している。第2突出片62は、第4側壁74から第2方向Yに突出する。第2突出片62の第2上面62aは、第1区画壁60の第1上端面60aよりも低く、第4側壁74の上端面よりも低い。第2突出片62の第2下面62bは、第1区画壁60の第1下端面60bと面一であって、第4側壁74の下端面と連続している。このように第1区画ケース17の下面は一つの連続した平面を構成している。第1区画ケース17の下面は、第2回路基板12の上面に載置される載置面である。
【0055】
<第2区画ケース18>
図13乃至
図15に、第2区画ケース18を示している。第2区画ケース18は、第2区画壁63と第3突出片64を有する。第2区画壁63は、第3接点23を囲む第3部屋93、第4接点24を囲む第4部屋94、及び第5接点25を囲む第5部屋95を形成する。三つの部屋は、第2方向Yに並んでいる。第2区画ケース18は、第1方向Xに沿った中心線を対称軸とした線対称形状である。中央の第4部屋94を中心として、両端の第3部屋93と第5部屋95は、対象に配置されている。各部屋は、何れも上下に開口していて、その上面及び下面は開放されている。但し、第2区画ケース18が第2回路基板12に載置されることにより、各部屋の下面は第2回路基板12により塞がれる。第2区画壁63の第2上端面63aと第2下端面63bは、何れも高さ変化なく、その高さは一定である。
【0056】
第2区画壁63は、第5側壁75、第6側壁76、第7側壁77、第8側壁78、第3連結壁83、第4連結壁84及び第5連結壁85を有する。各側壁は、第1方向Xに沿って延びている。各側壁は、互いに平行であり、互いに第2方向Yに離間している。各側壁の第2方向Yの寸法が幅寸法である。各側壁の幅寸法は、各側壁の高さ寸法よりも小さい。第5側壁75と第8側壁78は、第2区画壁63の第2方向Yの両端に位置する。第5側壁75と第8側壁78の第1方向Xの長さは、互いに等しい。第6側壁76と第7側壁77は、第5側壁75と第8側壁78の間に位置する。第6側壁76と第7側壁77の第1方向Xの長さは、互いに等しい。第5側壁75と第8側壁78の第1方向Xの長さは、第6側壁76と第7側壁77の第1方向Xの長さよりも長い。第3連結壁83と第4連結壁84と第5連結壁85は、平面視において同一線上に位置して、一つの連続した壁を構成している。
【0057】
第5側壁75と第6側壁76と第3連結壁83により第3部屋93が画成される。第5側壁75と第6側壁76と第3連結壁83は、平面視において第3接点23を三方から囲む。第5側壁75と第6側壁76は、第3接点23の第2方向Yの両側に位置する。第3連結壁83は、第3接点23の第1方向Xの隣に位置する。
【0058】
第3連結壁83は、第5側壁75と第6側壁76の一端を第2方向Yに連結する。第5側壁75の他端と第6側壁76の他端は、何れも自由端である。第5側壁75の他端と第6側壁76の他端は、互いに第1方向Xに位置ずれしている。第5側壁75の他端は、第6側壁76の他端よりも第3連結壁83から第1方向Xに遠い。第5側壁75の他端と第6側壁76の他端の間に、第3芯線52aが通る第3挿通部103が設けられる。
【0059】
第5側壁75の他端には、第6側壁76に向けて突出する第4袖壁114が形成されている。第4袖壁114の下端部には、第3下鍔123が形成されている。第3下鍔123は、第6側壁76に向けて突出している。
図15(b)のように、第3下鍔123は、第3芯線52aの外周面と第2回路基板12の上面との間に入り込む。第6側壁76の他端には、第5側壁75に向けて突出する第5袖壁115が形成されている。第5袖壁115の下端部には、下鍔が形成されていない。第4袖壁114と第5袖壁115が設けられることにより、第5側壁75と第6側壁76との間の離間距離が狭くなる。第4袖壁114と第5袖壁115との間の通路が、第3芯線52aが第3部屋93に入るための第3挿通部103となる。
【0060】
第6側壁76と第7側壁77と第4連結壁84により第4部屋94が画成される。第6側壁76と第7側壁77と第4連結壁84は、平面視において第4接点24を三方から囲む。第6側壁76と第7側壁77は、第4接点24の第2方向Yの両側に位置する。第4連結壁84は、第4接点24の第1方向Xの隣に位置する。
【0061】
第4連結壁84は、第6側壁76と第7側壁77の一端を第2方向Yに連結する。第7側壁77の他端は、自由端である。第6側壁76の他端と第7側壁77の他端は、第1方向Xの位置が互いに等しい。第6側壁76の他端と第7側壁77の他端の間に、第4芯線52bが通る第4挿通部104が設けられる。
【0062】
第6側壁76の他端と第7側壁77の他端には、それぞれ第6袖壁116と第7袖壁117が形成されている。第6袖壁116は、第7側壁77に向けて突出し、第7袖壁117は、第6側壁76に向けて突出する。第6袖壁116と第7袖壁117の下端部には、何れも下鍔が形成されていない。第6袖壁116と第7袖壁117が設けられることにより、第6側壁76と第7側壁77との間の離間距離が狭くなる。第6袖壁116と第7袖壁117との間の通路が、第4芯線52bが第4部屋94に入るための第4挿通部104となる。
【0063】
第7側壁77と第8側壁78と第5連結壁85により第5部屋95が画成される。第7側壁77と第8側壁78と第5連結壁85は、平面視において第5接点25を三方から囲む。第7側壁77と第8側壁78は、第5接点25の第2方向Yの両側に位置する。第5連結壁85は、第5接点25の第1方向Xの隣に位置する。
【0064】
第5連結壁85は、第7側壁77と第8側壁78の一端を第2方向Yに連結する。第8側壁78の他端は、自由端である。第7側壁77の他端と第8側壁78の他端は、互いに第1方向Xに位置ずれしている。第8側壁78の他端は、第7側壁77の他端よりも第5連結壁85から第1方向Xに遠い。第7側壁77の他端と第8側壁78の他端の間に、第5芯線52cが通る第5挿通部105が設けられる。
【0065】
第7側壁77の他端には、第8側壁78に向けて突出する第8袖壁118が形成されている。第8袖壁118の下端部には、下鍔が形成されていない。第8側壁78の他端には、第7側壁77に向けて突出する第9袖壁119が形成されている。第9袖壁119の下端部には、第4下鍔124が形成されている。第4下鍔124は、第7側壁77に向けて突出している。
図15(b)のように、第4下鍔124は、第5芯線52cの外周面と第2回路基板12の上面との間に入り込む。第8袖壁118と第9袖壁119が設けられることにより、第7側壁77と第8側壁78との間の離間距離が狭くなる。第8袖壁118と第9袖壁119との間の通路が、第5芯線52cが第5部屋95に入るための第5挿通部105となる。
【0066】
このように、第2区画壁63は、突出方向が互いに反対方向である二つの下鍔(第3下鍔123と第4下鍔124)を有している。そして、二つの下鍔は、第5側壁75乃至第8側壁78のうち両端に位置する第5側壁75と第8側壁78にそれぞれ設けられていて互いに対向配置されている。
【0067】
第2区画ケース18は、第2区画壁63の外面から外側に向けて突出する第3突出片64を有する。第3突出片64は、第4連結壁84から第1方向Xに突出する。第3突出片64の第3上面64aは、第2区画壁63の第2上端面63aよりも低く、第4連結壁84の上端面よりも低い。第3突出片64の第3下面64bは、第2区画壁63の第2下端面63bと面一であって、第4連結壁84の下端面と連続している。このように第2区画ケース18の下面は一つの連続した同一平面を構成している。第2区画ケース18の下面は、第2回路基板12の上面に載置される載置面である。
【0068】
第1区画ケース17と第2区画ケース18は、好ましくは、合成樹脂製である。第1区画ケース17において、第1連結壁81を支点として、第1側壁71が第2方向Yに撓むように弾性変形する。第1側壁71が第2方向Yに弾性変形することで、第1挿通部101が拡縮する。即ち、第1挿通部101は、
図11に示すような通常状態よりも拡大でき、また、通常状態に復元できる。同様に、第3側壁73と第4側壁74は、第2連結壁82を支点として第2方向Yに撓むように弾性変形する。第3側壁73と第4側壁74が第2方向Yに弾性変形することで、第2挿通部102が拡縮する。即ち、第2挿通部102は、通常状態よりも拡大でき、また、通常状態に復元できる。尚、第3側壁73の弾性変形は、第1挿通部101の拡縮にも寄与する。
【0069】
第1区画ケース17と同様に、第2区画ケース18においては、第3連結壁83乃至第5連結壁85を支点として、第5側壁75乃至第8側壁78がそれぞれ第2方向Yに撓むように弾性変形する。第5側壁75と第6側壁76が第2方向Yに弾性変形することで、第3挿通部103が拡縮し、第6側壁76と第7側壁77が第2方向Yに弾性変形することで、第4挿通部104が拡縮し、第7側壁77と第8側壁78が第2方向Yに弾性変形することで、第5挿通部105が拡縮する。
【0070】
図6のように、第1区画ケース17は、第1挿通部101と第2挿通部102が下ケース13bの第2側面部34の第1辺部34aを向くようにして第2回路基板12の上面に載置される。第1区画ケース17は、第1辺部34aに近接して配置されることが好ましく、第2回路基板12の周縁よりも更に第1辺部34aに接近していることが好ましい。第1区画ケース17が第1辺部34aの内面に当接していることも好ましい。具体的には、第3側壁73の他端と第4側壁74の他端が第1辺部34aの内面に当接していることが好ましい。第3側壁73の他端と第4側壁74の他端が第1辺部34aの内面に当接していると、第1区画ケース17の第1方向Xの位置が定まる。
【0071】
第2区画ケース18は、第3挿通部103乃至第5挿通部105が下ケース13bの第2側面部34の第2辺部34bを向くようにして第2回路基板12の上面に載置される。第2区画ケース18は、第2辺部34bに近接して配置されることが好ましく、第2回路基板12の周縁よりも更に第2辺部34bに接近していることが好ましい。第2区画ケース18が第2辺部34bの内面に当接していることも好ましい。具体的には、第5側壁75の他端と第8側壁78の他端が第2辺部34bの内面に当接していることが好ましい。第5側壁75の他端と第8側壁78の他端が第2辺部34bの内面に当接していると、第2区画ケース18の第1方向Xの位置が定まる。
【0072】
第1区画ケース17の各部屋及び第2区画ケース18の各部屋にはそれぞれ樹脂材19が上から個別に充填される。尚、
図6乃至
図9において、樹脂材19には多数のドットを付して示している。樹脂材19は、ポッティング材である。樹脂材19は、熱硬化性樹脂であって、ウレタン樹脂やエポキシ樹脂、シリコン樹脂等からなる。樹脂材19は、封止材57と同じ種類の樹脂から構成することができる。各部屋に樹脂材19が充填されることにより、各接点と各芯線の端部が樹脂材19で覆われることになる。そのため、各接点における気密性、防水性が確保される。
【0073】
樹脂材19により樹脂材19の充填時に、第1突出片61と第2突出片62の各上面を下方に押して第2回路基板12に押圧することにより、第1区画ケース17の第2回路基板12からの浮き上がりを抑制することができ、樹脂材19の各部屋からの漏出を抑制できる。同様に、第3突出片64の上面を下方に押して第2回路基板12に押圧することにより、第2区画ケース18の第2回路基板12からの浮き上がりを抑制することができ、樹脂材19の各部屋からの漏出を抑制できる。
【0074】
図16~
図18に組立手順を示している。まず、
図16のように、第1接点21から第5接点25にそれぞれ第1芯線51aから第5芯線52cを半田付けする。この状態では、第1区画ケース17と第2区画ケース18は装着されていない。その後、第1区画ケース17と第2区画ケース18を第2回路基板12の上面の所定位置に装着する。その際、第1区画ケース17と第2区画ケース18をそれぞれ第1方向Xに沿ってスライドさせる。第1区画ケース17は、第2回路基板12の上面を第1辺部34aに向けてスライドし、第2区画ケース18は、第2回路基板12の上面を第2辺部34bに向けてスライドする。
図17は、スライド途中の状態を示しており、
図18はスライド完了の状態を示している。
【0075】
第1区画ケース17を第1方向Xにスライドさせて第1辺部34aに接近させる。第1区画ケース17の第1側壁71と第3側壁73と第4側壁74が第2方向Yに弾性変形できるので、第1挿通部101と第2挿通部102にそれぞれ第1芯線51aと第2芯線51bを容易に挿通させることができ、また、第1下鍔121と第2下鍔122をそれぞれ第1芯線51aと第2芯線51bの下側にスムーズに入り込ませることができる。
【0076】
第1側壁71と第4側壁74にはそれぞれ第1下鍔121と第2下鍔122が設けられる一方、第3側壁73には下鍔が設けられていない。そのため、第1側壁71は第3側壁73から離れるようにスムーズに弾性変形して第1挿通部101を拡大させる。同様に、第4側壁74は第3側壁73から離れるようにスムーズに弾性変形して第2挿通部102を拡大させる。そして、第1下鍔121が第1芯線51aの外周面と第2回路基板12の間に位置すると、第1芯線51aの外周面が第1下鍔121に当接して第1下鍔121を下方に押す。同様に、第2下鍔122が第2芯線51bの外周面と第2回路基板12の間に位置すると、第2芯線51bの外周面が第2下鍔122に当接して第2下鍔122を下方に押す。そのため、第1区画ケース17の第2回路基板12からの浮き上がりが抑制され、特に、第1側壁71や第4側壁74の他端側の浮き上がりが抑制される。第1接点21と第2接点22が第2側面部34の第1辺部34aに近いので、下ケース13b内に引き出された第1芯線51aと第2芯線51bの引き出し長さが短い。そのため、第1芯線51aと第2芯線51bが第2回路基板12から上側に大きく離間しておらず、第1芯線51aと第2芯線51bによって第1区画ケース17の浮上を効果的に抑制することができる。
【0077】
尚、ポッティングの際には、更に第1突出片61の上面を治具等で押すことにより、第1側壁71の一端側の浮き上がり、即ち第1連結壁81側の浮き上がりも抑制される。このように、第1下鍔121及び第2下鍔122と第1突出片61とが、第1区画ケース17の第1方向Xの反対側に位置しているので、第1区画ケース17の浮き上がりを効果的に抑制できる。また更に、第1突出片61と共に第2突出片62の上面を治具等で押すことにより、第1区画ケース17の浮き上がりをより一層抑制できる。
【0078】
第2区画ケース18を第1方向Xにスライドさせて第2辺部34bに接近させる。第2区画ケース18の第5側壁75と第6側壁76と第7側壁77と第8側壁78が第2方向Yに弾性変形できるので、第3挿通部103と第4挿通部104と第5挿通部105にそれぞれ第3芯線52aと第4芯線52bと第5芯線52cを容易に挿通させることができ、また、第3下鍔123と第4下鍔124をそれぞれ第3芯線52aと第5芯線52cの下側にスムーズに入り込ませることができる。
【0079】
第5側壁75と第8側壁78にはそれぞれ第3下鍔123と第4下鍔124が設けられる一方、第6側壁76と第7側壁77には下鍔が設けられていない。そのため、第5側壁75は第6側壁76から離れるようにスムーズに弾性変形して第3挿通部103を拡大させ、第8側壁78は第7側壁77から離れるようにスムーズに弾性変形して第5挿通部105を拡大させる。そして、第3下鍔123と第4下鍔124がそれぞれ第3芯線52aと第5芯線52cの下側に入り込むと、第3芯線52aが第3下鍔123を下方に押し、第5芯線52cが第4下鍔124を下方に押す。そのため、第2区画ケース18の第2回路基板12からの浮き上がりが抑制され、特に、第5側壁75や第8側壁78の他端側の浮き上がりが抑制される。第3接点23乃至第5接点25が第2側面部34の第2辺部34bに近いので、下ケース13b内に引き出された各芯線の引き出し長さが短い。そのため、各芯線が第2回路基板12から上側に大きく離間しておらず、第3芯線52aと第5芯線52cによって第2区画ケース18の浮上を効果的に抑制することができる。
【0080】
尚、ポッティングの際には、第3突出片64の上面を治具等で押すことにより、第5側壁75乃至第8側壁78の一端側の浮き上がりも抑制される。このように、第3下鍔123及び第4下鍔124と第3突出片64とが、第2区画ケース18の第1方向Xの反対側に位置しているので、第2区画ケース18の浮き上がりを効果的に抑制できる。
【0081】
尚、本実施形態では下鍔が袖壁の下端部に設けられたが、袖壁が設けられずに下鍔のみが設けられていてもよい。また、区画ケースは複数の接点を囲む構成の他、一つの接点のみを囲む構成であってもよい。区画部としてケース本体13とは別体の区画ケースを備えたが、ケース本体13等に区画部が一体的に形成されていてもよい。他の配線、例えば第5配線55の第8芯線55aについても、区画ケースを設けて樹脂材19を充填してもよい。
【0082】
このように、本実施形態において、第1芯線51a、第2芯線51bを伝い、第1貫通孔41、第2貫通孔42から侵入する海水等を封止材57により、第1貫通孔41、第2貫通孔42が封止されるとともに、第1区画ケース17と第2区画ケース18によって、第1接点21、第2接点22、第3接点23、第4接点24及び第5接点25をそれぞれ囲む部屋を形成し、その部屋に樹脂材19を充填する(ポッティングする)ことで、屋外、特に海水にさらされる環境においても、確実に浸水を防ぐことができる。
【符号の説明】
【0083】
1 リール本体
2 ハンドル
3 フレーム
4 スプール
5 モータ
6 カウンターケース
7 表示窓
8 操作ボタン
10 表示装置
11 第1回路基板
12 第2回路基板
13 ケース本体
13a 上ケース
13b 下ケース
14 外装カバー
14a メインカバー
14b サブカバー
15 表示開口部
16 パッキン
17 第1区画ケース(区画部)
18 第2区画ケース(区画部)
19 樹脂材
21 第1接点
22 第2接点
23 第3接点
24 第4接点
25 第5接点
26 第6接点
26a 基板コネクタ
27 第7接点
30 天面部
31 第1側面部
32 透過パネル部
33 底面部
34 第2側面部
34a 第1辺部
34b 第2辺部
35 放熱フィン
36 第1筒状壁
37 第2筒状壁
38 第3筒状壁
41 第1貫通孔
42 第2貫通孔
43 第3貫通孔
44 第4貫通孔
45 第5貫通孔
46 第6貫通孔
47 第7貫通孔
48 最下部
51 第1配線
51a 第1芯線
51b 第2芯線
52 第2配線
52a 第3芯線
52b 第4芯線
52c 第5芯線
53 第3配線
53a 第6芯線
54 第4配線
54a 第7芯線
55 第5配線
55a 第8芯線
56 本体コネクタ
57 封止材
58 電気素子
60 第1区画壁
60a 第1上端面
60b 第1下端面
61 第1突出片
61a 第1上面
61b 第1下面
62 第2突出片
62a 第2上面
62b 第2下面
63 第2区画壁
63a 第2上端面
63b 第2下端面
64 第3突出片
64a 第3上面
64b 第3下面
71 第1側壁
72 第2側壁
73 第3側壁
74 第4側壁
75 第5側壁
76 第6側壁
77 第7側壁
78 第8側壁
81 第1連結壁
82 第2連結壁
83 第3連結壁
84 第4連結壁
85 第5連結壁
91 第1部屋
92 第2部屋
93 第3部屋
94 第4部屋
95 第5部屋
101 第1挿通部
102 第2挿通部
103 第3挿通部
104 第4挿通部
105 第5挿通部
111 第1袖壁
112 第2袖壁
113 第3袖壁
114 第4袖壁
115 第5袖壁
116 第6袖壁
117 第7袖壁
118 第8袖壁
119 第9袖壁
121 第1下鍔
122 第2下鍔
123 第3下鍔
124 第4下鍔
X 第1方向
Y 第2方向