(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024158266
(43)【公開日】2024-11-08
(54)【発明の名称】車載制御方法及び車載制御装置
(51)【国際特許分類】
G06F 3/04817 20220101AFI20241031BHJP
【FI】
G06F3/04817
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023073325
(22)【出願日】2023-04-27
(71)【出願人】
【識別番号】000003997
【氏名又は名称】日産自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000486
【氏名又は名称】弁理士法人とこしえ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】志小田 雄宇
【テーマコード(参考)】
5E555
【Fターム(参考)】
5E555AA04
5E555AA07
5E555AA26
5E555AA44
5E555AA48
5E555BA23
5E555BB23
5E555BC01
5E555CA15
5E555CA42
5E555CB34
5E555DB16
5E555DB18
5E555DC29
5E555EA03
5E555EA05
5E555FA00
(57)【要約】
【課題】ユーザの操作性を高めた表示を可能とする車載制御方法を提供するを提供する。
【解決手段】
本実施形態に係る車両制御方法は、多機能ボタン4の操作対象となる操作対象機器がもつ機能の要点を抽出し、抽出された要点に応じて、機器画像をデータベースから取得し、取得された機器画像から、操作対象機器を表すアイコンを生成し、アイコンを多機能ボタン4に表示する表示指令を出力する。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一つの操作部により、設定された制御内容で複数の機器を制御する車載制御装置により実行される車載制御方法において、
前記車載制御装置は、
前記操作部の操作対象となる操作対象機器がもつ機能の要点を抽出し、
前記要点に応じて、機器画像をデータベースから取得し、
前記機器画像から、前記操作対象機器を表すアイコンを生成し、
前記アイコンを前記操作部に表示する表示指令を出力する車載制御方法。
【請求項2】
請求項1記載の車載制御方法において、
前記車載制御装置は、
前記機器を機能させるための動作条件と前記機器を機能させた時の前記制御内容とを示す機器条件データを記憶する前記データベースを参照して、車両の状態と前記車両の環境から、前記動作条件を満たす前記機器条件データを特定し、
特定された前記機器条件データから、前記操作対象機器の要点を抽出する車載制御方法。
【請求項3】
請求項1又は2記載の車載制御方法において、
前記機器画像は、前記操作対象機器の機能を表すイラスト、及び/又は、前記操作対象機器の機能を表すアニメーションを含む車載制御方法。
【請求項4】
請求項1又は2記載の車載制御方法において、
前記車載制御装置は、
車載カメラの撮像画像及び/又は車載センサの検出データから、前記操作部に表示する表示用アイコンを生成する車載制御方法。
【請求項5】
請求項1又は2記載の車載制御方法において、
前記車載制御装置は、
前記機器画像から、前記アイコンの位置、大きさ、及び種類のうち少なくとも1つの要素が異なる複数の候補アイコンを生成し、
ユーザにより選択された前記候補アイコンを、前記操作部に表示させる表示用アイコンに設定する車載制御方法。
【請求項6】
請求項2記載の車載制御方法において、
前記操作部に表示させる表示用アイコンは、前記動作条件を示す条件アイコンを含む車載制御方法。
【請求項7】
請求項2記載の車載制御方法において、
前記車載制御装置は、
前記動作条件及び前記制御内容の少なくとも一方を示すノードと前記ノード同士をつなげるリンクにより構築されるプログラムを、前記データベースから取得し、
前記機器の使用履歴から、前記ノードと前記リンクの関連性と前記ノードの重要度を、学習モデルとして学習させて、
ユーザの指令に基づき生成された前記プログラムを前記学習モデルに入力して、前記プログラムに含まれる前記ノードの重要度を、前記学習モデルから出力して、
前記重要度のより高い前記ノードと関連する前記機器画像から、前記操作部に表示する表示用アイコンを生成する車載制御方法。
【請求項8】
請求項1又は2記載の車載制御方法において、
前記機器を機能させるための動作条件及び前記制御内容の少なくとも一方を示すノードと前記ノード同士をつなげるリンクにより構築されるプログラムを生成し、
前記プログラムに含まれる前記ノードと関連する前記機器画像から、前記操作部に表示させるアイコンを生成する車載制御方法。
【請求項9】
一つの操作部により、設定された制御内容で複数の機器を制御する車載制御装置において、
前記車載制御装置は、
前記操作部の操作対象となる操作対象機器がもつ機能の要点を抽出し、
前記要点に応じて、機器画像をデータベースから取得し、
前記機器画像から、前記操作対象機器を表すアイコンを生成し、
前記アイコンを前記操作部に表示する表示指令を出力する車載制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車載制御方法及び車載制御装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1記載の車載制御装置は、ユーザ操作に応じて、複数の異なる制御対象機器を制御対象とする複数の操作を規定したショートカットを記憶媒体に記憶させ、ユーザの選択スイッチに対する1回のショートカット実行指示に応じてショートカットに規定された複数の操作を実行するための複数のコマンドを複数の制御対象機器に送信する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら上記の車載制御装置は、ショートカットスイッチ設定画面には、操作対象となる機器を直感的に理解できる画像が表示されないため、ユーザの操作性が低いという問題がある。
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、ユーザの操作性を高めた表示を可能とする車載制御方法及び車載制御装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、多機能ボタンの操作対象機器がもつ機能の要点を抽出し、抽出された要点に応じて、機器画像をデータベースから取得し、取得された機器画像から、操作対象機器を表すアイコンを生成し、アイコンを多機能ボタンに表示する表示指令を出力することによって、上記課題を解決する。
【発明の効果】
【0007】
本発明は、ユーザの操作性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、本実施形態に係る多機能ボタンシステム、ECU、及びユーザ端末を示すブロック図である。
【
図2】
図2は、スポークの一部及び多機能ボタンの平面図をある。
【
図3】
図3は、プログラム生成方法を説明するための概要図である。
【
図4】
図4は、アイコンの一例を示す概要図である。
【
図5】
図5は、アイコンの生成に使用される犬の画像である。
【
図6】
図6は、車載制御装置により実行される車両制御方法の制御フローを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る多機能ボタンシステム1、ECU4、及びユーザ端末5を示すブロック図である。多機能ボタンシステム1は、車両の状態と車両の環境の変化に応じて、多機能ボタン14のボタン表示と、多機能ボタン14の操作により制御される車載機器の制御内容を制御するシステムである。
図1に示すように、多機能ボタンシステム1は、撮像装置11、走行状態検出装置12、自車位置検出装置13、多機能ボタン14、車載制御装置2及びデータベース3を備える。ECU4は車載機器を制御するコントローラであり、CAN等の車両通信ネットワークを介して多機能ボタンシステム1と接続されている。ユーザ端末5は、携帯情報端末であり、インターネット通信ネットワークを介して多機能ボタンシステム1と接続されている。
【0010】
撮像装置11は、対象物の画像を取得する装置であり、例えば、CCDなどの撮像素子を備えるカメラ、超音波カメラ、赤外線カメラなどのカメラである。撮像装置11は、車両の周囲の対象物の画像を取得する車外カメラと、車室内の対象物の画像を取得する車内カメラとを含む。撮像装置11は、一台の車両に複数台設けることができる。
【0011】
対象物は、車外及び車室内の物体である。車外の物体としては、道路の車線境界線、道路標識、信号機、横断歩道、他車両、歩行者などが挙げられる。車室内の物体としては、乗員、動物などが挙げられる。
【0012】
走行状態検出装置12は、車両の走行状態を検出する装置である。走行状態検出装置12としては、車速センサ、加速度センサ、ヨーレートセンサ、舵角センサなどが挙げられる。また、走行状態検出装置12は、車両の走行環境を検出する装置として、車室内及び車外の気温を測定する温度センサを含む。
【0013】
自車位置検出装置13は、車両の現在位置を検出する測位システムである。自車位置検出装置13は、例えば、GPS(Global Positioning System)用の衛星から受信した電波などから車両の現在位置を算出する。
【0014】
多機能ボタン14は、ユーザにより操作される部位又は部品であり、車両に搭載される。多機能ボタン14は、ユーザの操作に応じて、機器を動作するための指令を出力する。多機能ボタン14は、複数の機器に対して指令を出力できる。多機能ボタン14により操作可能な機器や機器の制御内容は、車両の状態と車両の環境に応じて、システム又はユーザにより設定できる。また多機能ボタン14は、操作対象となる機器や機器の機能を表すアイコンを表示画面上に表示する。なお、以下の説明において、「機器」は主に車載機器を指しているが、「機器」は車載機器に限らず、例えばユーザ端末5や、タブレット機器等の端末等であってよい。
【0015】
図2はスポーク6の一部及び多機能ボタン14の平面図をある。
図2に示すように、多機能ボタン14は、ステアリングホイールのスポーク6に設けられる。多機能ボタン14は円形状の表示画面141を有している。アイコンは、表示画面141に表示される。表示画面141は例えばタッチパネルディスプレイである。表示画面141には、現在ユーザが求めていると推測される、機器や機器の機能がアイコンとして表示される。ユーザは、表示画面141に表示されるアイコンから、多機能ボタン14を押す(タップする)ことによって操作できる機器や、操作時の制御内容を確認できる。なお、多機能ボタン14は本発明の「操作部」に相当する。
【0016】
車載制御装置2は、一つの多機能ボタン14(操作部)を操作することで、設定された制御内容に従い車両の複数の機器を制御する。制御内容とは、機器を制御する場合に制御対象となる機器を機能させた時の機器の状態又は動きであり、機器ごとに設定される。制御内容を設定する場合に、全ての機器について、それぞれの制御内容を網羅的にディスプレイ等に表示すると、ユーザにとって複雑になる。そのため、本実施形態では、多機能ボタン14の表示画面141に、多機能ボタン14の操作により操作可能な機器の機能を表示できる。
【0017】
車載制御装置2のROMには、多機能ボタン14の制御用プログラムや多機能ボタン14の操作指令に基づき機器を制御するためのプログラムが格納されている。車載制御装置2は、ユーザによる車載機器の操作情報を蓄積する機能、多機能ボタン14を制御する機能、アイコンを生成する機能などを有している。車載制御装置2は、各機能を実現するための機能ブロックとして、記憶部21、ボタン制御部22及びアイコン生成部23を有している。なお、記憶部21、ボタン制御部22及びアイコン生成部23は、車載制御装置2に含まれる機能ブロックの一例であり、車載制御装置2は、他の機能ブロックを有してもよい。また車載制御装置2は、機能ブロックの他に、プログラムを格納するためのメモリや、通信網を介してECU4やユーザ端末5と通信するための通信部等を有している。以下、
図1に示す各機能ブロックが有する機能について説明する。
【0018】
記憶部21は、ユーザが車両に対して行った操作に関する操作情報をデータベース3に蓄積する機能を有する。操作は、ユーザが行った操作であれば特に限定されず、多機能ボタン14、車両の機器のスイッチ、ステアリングホイール、方向指示レバー、シフトレバーなどに入力されたあらゆる操作が含まれる。操作情報は、機器を操作したユーザの個人情報、ユーザが操作した機器の情報、機器を操作した時の車両の状態情報、機器を操作した時の環境情報等を含む。ユーザの個人情報は、例えばユーザの顔画像や、ユーザ端末5の識別情報等に相当する。機器の情報は、操作対象となる機器の識別情報、機器の機能に関する情報、機器の使用履歴の情報等である。車両の状態情報は、車両の車速、車両の位置、車両の走行シーン等を示す。環境情報は、助手席や後部座席に乗車している乗員や動物、車室内外の温度/湿度、気象条件、時刻情報、及び車室内の状況等で示される。車室内の状況とは、車両の乗員の人数、乗員の状態(話している、眠っている、機器を操作しているなど)などである。例えば、車両の走行中にユーザがエアーコンディショナーを操作した場合には、記憶部は、エアーコンディショナーを使用したユーザの個人情報、エアーコンディショナーの設定温度、エアーコンディショナーをオンにした時の気象条件、時刻情報などを操作情報として、データベース3に記憶する。
【0019】
記憶部21は、ユーザが車両に対して行った操作を、車両の走行状況に基づき、ユーザが車両を使用する使用状況に応じた所定区分に関連付けて蓄積してもよい。使用状況とは、車両の使用シーンであり、具体的には、出社、帰宅、旅行、買い物などが挙げられる。操作情報は、ユーザごとに蓄積される。
【0020】
記憶部21は、データベース3に蓄積された操作情報から、車両の状態及び車両の環境に応じた機器条件データを、データベース3上で構築する機能を有している。機器条件データは、機器を機能させるための動作条件と機器を機能させた時の制御内容を示す情報である。車両の状態及び車両の環境から動作条件を満たす場合には、機器条件データにより、満たした動作条件と対応づけれている機器を、機器条件データで示される制御内容で動作させることができる。例えば、ユーザが、ある時刻やある気象条件下で、頻繁に特定の機器を操作した場合には、同じような操作情報がデータベース3に蓄積される。記憶部21は、共通項目の多い操作情報を集約して、共通する情報あるいは類似する情報から、機器の動作条件と制御内容を設定して、機器条件データとしてデータベース3に構築する。そして、現在の車両状態及び車両環境が、過去に同じように機器を操作した時の車両状態及び車両環境となった場合に、動作条件が満たされ、過去に操作した時の機器の制御内容で、機器を動作させることができる。これにより、ユーザが操作を求めている機器及びその機器の制御内容を推測する。
【0021】
ボタン制御部22は、多機能ボタン14に対して制御内容を設定する場合に、蓄積した操作情報に基づき、ユーザに提示する制御項目を生成する機能を有する。制御項目とは、多機能ボタン4により操作する機器とその制御内容とを関連付けた情報である。ボタン制御部22は、機器条件データに基づき制御項目を設定する。ボタン制御部22は、運転席に乗車したユーザ、現在の車両状態及び/又は車両環境に応じて、制御項目を設定する。例えば、ユーザが車両に乗車した時には、ボタン制御部22は、カメラ画像からユーザを識別し、データベース3を参照して、識別されたユーザ及び当該ユーザの乗車タイミングに対応する機器条件データを抽出する。そして、ボタン制御部22は、機器条件データで示される機器及び制御内容で機器を操作できるように、多機能ボタン14の操作対象機器を設定する。なお、多機能ボタン14に対する1回のタップ操作で、複数の機器を操作することも可能である。またボタン制御部22は、機器のオン、オフだけでなく、機器を機能させた時の制御内容を設定した上で、多機能ボタン14の操作対象機器を設定してもよい。これにより、多機能ボタン14が操作されると、ボタン制御部22は、操作対象機器が設定された制御内容で機能するように、制御指令を出力する。制御指令は、ボタン制御部22からECU4を介して機器に送信される。なお、操作対象機器にユーザ端末5等、車載機器以外の機器を含む場合には、ボタン制御部22は、操作対象機器に含まれるユーザ端末5等の機器に制御指令を出力する。
【0022】
またボタン制御部22は、多機能ボタン14の表示画面141上で、多機能ボタン14の操作対象機器をアイコンで表示する。アイコンは、後述するアイコン生成部23で生成される。アイコンは、操作対象機器を記号や絵柄等で表記したものであり、操作対象機器自体を表してもよく、操作対象機器の機能を表してもよい。例えばアイコンとして、エアーコンディショナーのファンの図柄が表示画面141上に表示されると、ユーザは、多機能ボタン14をタップすると、エアーコンディショナーをオンにできることを確認できる。このとき、ファンが回転する動画で表された場合には、エアーコンディショナーの風量レベルを、ファンの回転速度で表すこともできる。
【0023】
ボタン制御部22は、ユーザが現在求める機能を推測し、多機能ボタン14の表示表示で、推測した機能を提案する機能(リコメンデーション機能)を有している。ボタン制御部22は、車載カメラやセンサ等を用いて、ユーザを検知し、現在の車両状態及び/又は車両環境を検知する。ボタン制御部22は、データベース3を参照して、識別されたユーザ、当該ユーザの乗車タイミングに対応する機器条件データを抽出する。ボタン制御部22は、抽出した機器条件データのうち、現在の車両状態及び/又は車両環境から、動作条件を満たす機器条件データを特定する。そして、ボタン制御部22は、特定した機器条件データで示される制御対象機器と制御内容を、ユーザが求める機能として推測する。アイコン生成部23は、推測された制御対象機器がもつ機能の要点に基づき、操作対象機器のアイコンを生成する。なおアイコンの生成方法は後述する。そして、ボタン制御部22は、生成されたアイコンを多機能ボタン14の表示画面141に表示させることで、推測した機能をユーザに提案する。ユーザは、表示画面141のアイコン表示から、多機能ボタンシステム1で提案されている操作対象機器及び制御内容を確認できる。
【0024】
アイコン生成部23は、多機能ボタン4の操作対象機器がもつ機能の要点を抽出する。多機能ボタン4の操作により操作対象機器が動作する機能は、機器条件データで示される制御内容に相当する。アイコン生成部23で抽出される機能の要点は、制御内容の少なくとも一部を示したものである。例えば、制御内容として、エアーコンディショナーの設定温度が25度であり、風の吹き出しが前方座席のみである場合には、機能の要点は、少なくとも、エアーコンディショナーがオンになることを含み、設定温度や、風の吹き出し口の位置、風量などを含んでもよい。すなわち、機能の要点は、制御内容の全てを含める必要はない。操作対象機器が複数ある場合には、アイコン生成部23は、複数の操作対象機器がもつ、それぞれの機能の要点を抽出すればよい。またアイコン生成部23は、1つの操作対象機器に対して、複数の機能の要点を抽出してもよい。
【0025】
アイコン生成部23は、抽出された要点に応じて機器画像をデータベース3から取得する。機器画像は、車載機器やユーザ端末5等、操作対象機器になり得る機器の画像である。例えば、操作対象機器がエアーコンディショナーであれば機器画像はファンのイラストであり、操作対象機器がヘッドライトやパワーウィンドウであれば、機器画像はライトやウィンドウガラスのイラストである。撮像画像は、操作対象機器の機能を表すイラストでもよい。例えば、ファンに回転方向を示す矢印をイラストに加えて、矢印の長さや数によって、エアーコンディショナーの風量を表すことができる。また撮像画像は、操作対象機器の機能を表すアニメーション(動画)であってもよい。
【0026】
例えば、抽出された操作対象機器の機能の要点が、「エアーコンディショナーをオンにする」である場合には、アイコン生成部23は、データベース3からファンのイラストを機器画像として取得する。このとき、例えば、冬場で車外の温度が低い場合には、アイコン生成部23は、赤色のファンのイラストをデータベース3から取得してもよい。アイコン生成部23は、複数の機能の要点を抽出した場合には、それぞれの要点に応じた複数の機器画像を取得してもよく、1つの操作対象機器に対して複数の機能の要点を取得した場合には、1つの操作対象機器の画像を取得してもよい。
【0027】
アイコン生成部23は、取得された機器画像から、操作対象機器を表すアイコンを生成する。例えば、機器画像としてファンのイラストを取得した場合には、アイコン生成部23は、表示画面141の画面のうちアイコン表示部分に合わせて、ファンのイラストを加工して、アイコンを生成する。そして、アイコン生成部23は、アイコンを表示する表示指令を多機能ボタン4に出力することで、アイコンを表示画面141に表示させる。
【0028】
アイコン生成部23は、機器画像に限らず、車載カメラの撮像画像(車室内又は車室外のカメラ映像)及び/又は車載センサの検出データから、表示画面141に表示させる表示用アイコンを生成してもよい。例えば、アイコン生成部23は、ユーザの顔画像から、ユーザの顔を示すアイコンを生成する。アイコン生成部23は、操作対象機器を表すアイコンと合わせて、顔のアイコンを表示画面141に表示させる。これにより、ユーザは、多機能ボタン4の制御内容が自分用に設定されていることを確認できる。
【0029】
車載制御装置2は、ユーザの指令に応じて、多機能ボタン4の操作をトリガとして操作対象機器を制御するためのプログラム(制御プログラム)を生成し、プログラムに含まれるノードに基づきアイコンを生成してもよい。プログラムの生成方法、及び、ノードに基づくアイコン生成方法について、以下説明する。
【0030】
例えば、車両が駐車中で、外気温度が所定温度以上の高温であり、車室内に犬がいる場合には、ユーザは、窓を少し開けて、エアーコンディショナーをオンにしたいとする(以下、リクエスト例とも称する)。このような車載機器の操作を、多機能ボタン14の1回のタップで実現するために、車載制御装置2はプログラムを生成する。プログラムは、機器を機能させるための動作条件を満たすか否か判定するためのコード、操作対象機器を特定するためのコード、操作対象機器を設定した制御内容で機能させるためのコードを含む。例えばリクエスト例では、車両が駐車中であること、外気温度がユーザ指定の温度以上であること、車室内に犬がいることが、動作条件に相当する。また、窓の開度、エアーコンディショナーをオンにすることが、制御内容に相当する。
【0031】
例えば、データベース3には、プログラムを生成するためのアプリが保存されており、車載制御装置2のボタン制御部22は、ユーザの指令に応じて、プログラム生成アプリを実行して、プログラムを生成するための案内画面を車載ディスプレイ等に表示する。ユーザは、車載ディスプレイにおいて、案内画面に沿ってタップして、プログラムを生成する。なお、ボタン制御部22は、機器条件データを参照し、指令を入力したユーザが過去に操作した機器や制御内容、機器を操作した時の車両状態及び/又は車両環境を案内画面に表示して、ユーザに選択させるような形式で案内して、ユーザの希望に沿ったプログラムを生成してもよい。
【0032】
図3は、プログラム生成方法を説明するための概要図である。プログラムは、機器を機能させるための動作条件及び機器を機能させた時の制御内容の少なくとも一方を示すノードと、ノード同士をつなげるリンクにより構築される。ノードは、車両の制御内容に限らず、ユーザ端末5へのデータ送信、ユーザ端末5の動作条件などを示してもよい。
図3に示す5つのブロックがノードを表している。ノード301は駐車条件ノードであり、車両の駐車を条件とする。車両が駐車している場合には、ノード301の条件を満たす。なお、ノード301の条件は特定の場所のみで有効としてもよい。ノード302は高温条件ノードであり、外気温度がユーザ指定の気温以上になった場合に、ノード302の条件を満たす。ノード303は犬検知条件ノードであり、車室内に犬が検知した場合に、ノード303の条件を満たす。ノード301~303が、機器を機能させるための動作条件を示す条件ノードである。
【0033】
ノード304は、ウィンドウノードであり、パワーウィンドウが少し(開度が10~20%程度になる)空いている状態(制御内容)を示している。ノード305は、ファンノードであり、エアーコンディショナーがオンであることを示している。ノード304、305が、操作対象機器の制御内容を示す制御内容ノードである。
【0034】
上記リクエスト例を実現するためのプログラムを生成するために、ユーザが、プログラム生成アプリ上で、リクエスト例を満たすような動作条件及び制御内容を指定すると、車載制御装置2は、多機能ボタン4の操作機器対象及び制御内容を設定する。このとき、車載制御装置2のボタン制御部22は、ノード301~303とノード304との間をリンク311で繋ぎ、ノード304とノード305との間をリンク312でつなぎ合わせる。ノードが複数ある場合には、ボタン制御部22は、ノードの重要度を付与してもよい。ノードの重要度は、アイコン化の優先順位であり、ノードとリンクとの関係性に応じてランク付けされる。例えば、操作対象機器を含むノードの重要度は高い。また、ペットやユーザの個人情報等、ユーザとの関連性の高いノードの重要度も高い。これによりボタン制御部22はプログラムを生成する。記憶部21は、生成されたプログラムをデータベース3に記憶する。
【0035】
次に、ノードに基づくアイコン生成方法を説明する。
図4は、アイコンの一例を示す概要図である。ボタン制御部22でプログラムが生成されると、アイコン生成部23は、データベース3から、プログラムに含まれるノードと関連する機器画像を取得し、機器画像から多機能ボタン4に表示する表示用アイコンを生成する。ノードが複数ある場合には、アイコン生成部23は、重要度のより高いノードを選択した上で、選択されたノードと関連する機器画像を取得してもよい。また、アイコンの対象とするノードをユーザにより指定してもよい。ノードと関連する機器画像は、
図3の例では、犬の画像、パワーウィンドウを示す画像、ファンの画像である。すなわち、ノード303~305がアイコン化の対象となるノード(アイコン対象ノード)である。データベース3は、これら画像を、グラフィック・シンボルのイラストで格納する。そして、アイコン生成部23は、
図4のアイコン401に示すようなアイコンを生成する。なお、アイコン生成に使用される機器画像は、ユーザの好みのイラストや画像でもよい。
【0036】
アイコン生成部23は、他のアイコン例として、
図4のアイコン402に示すようなアイコンを生成してもよい。アイコン生成部23は、データベース3から、機器画像として、エアーコンディショナー(ファン)とパワーウィンドウのグラフィック・シンボルのイラスト、及び、犬の画像を取得する。犬の画像は、過去に車室内で、車内カメラで撮影された画像であればよい。そして、アイコン生成部23は、
図5に示す犬の画像をトリミングして表示用アイコンの大きさに加工し、イラストを含めることで、アイコン402を生成する。アイコン生成部23は、他のアイコン例として、
図4のアイコン403に示すようなアイコンを生成してもよい。アイコン403は、犬の画像を画像処理によって輪郭抽出とイラスト化した、犬のイラストを含む。
【0037】
プログラム及びアイコンの生成後に、現在の車両状態及び車両環境がノード301~303の3条件が満たすと、ボタン制御部22は、アイコン生成部23で生成されたアイコン(アイコン対象ノードに基づくアイコン)を、多機能ボタン4の表示画面141に表示させる。そして、ユーザが多機能ボタン4をタップすると、ノード303及びノード304で示される操作対象機器が、設定した制御内容で動作する。これにより、例えば、上記リクエスト例に応じた、操作対象機器を機能させることができる。
【0038】
次に、
図6を参照し、車載制御装置2による車両制御方法を説明する。
図6は、プログラムを作成し、アイコンを生成し、アイコンを表示するまでの制御フローを示すフローチャートである。
【0039】
ステップS1にて、車載制御装置2のボタン制御部22は、ユーザの指令に応じてプログラムを生成する。ステップS2にて、アイコン生成部23は、プログラムに含まれるノードの中に、アイコン化するノードの指定があるか否か判定する。プログラム生成時に、ユーザが予めアイコン化するノードを指定していた場合には、指定されたノードがアイコン対象ノードなる。
【0040】
アイコン化するノードの指定がないと判定した場合には、ステップS3にて、アイコン生成部23は、重要度の高いノード(重要度が所定値より高いノード)をアイコン対象ノードに指定する。ステップS4にて、アイコン生成部23は、アイコン対象ノードと関連する機器の機能の要点を抽出する。ノードのデータが、操作対象機器を識別するデータ、操作対象機器の制御内容の制御処理を示すデータで構成される場合には、アイコン生成部23は、ノードを構成するデータの中から、機能の要点を示すデータを抽出すればよい。なお、ノードが機器の要点を示す場合には、アイコン生成部23は、ノードのデータをそのまま使用すればよい。
【0041】
ステップS5にて、アイコン生成部23は、抽出された要点に応じて機器画像をデータベース3から取得する。ステップS6にて、アイコン生成部23は複数の候補アイコンを生成する。アイコン生成部23は、
図4を参照して説明した上記アイコン生成方法でアイコンを生成した後に、アイコンの位置、大きさ、及び種類のうち少なくとも1つの要素を変更することで他のアイコンを生成する。要素変更前のアイコン及び要素変更後のアイコンが候補アイコンとなる。
【0042】
ステップS7にて、アイコン生成部23は候補アイコンをユーザに提示する。ステップS8にて、アイコン生成部23は、ユーザにより候補アイコンが選択された否か判定する。候補アイコンが選択されていない場合には、車載制御装置2はステップS1に戻り、制御フローを実行する。候補アイコンが選択された場合には、ステップS8にて、アイコン生成部23は選択された候補アイコンを多機能ボタン4に表示する表示指令を出力する。そして、車載制御装置2は制御フローを終了する。
【0043】
上記のとおり、本実施形態に係る車両制御方法及び車載制御装置2は、多機能ボタン4の操作対象となる操作対象機器がもつ機能の要点を抽出し、抽出された要点に応じて、機器画像をデータベースから取得し、取得された機器画像から、操作対象機器を表すアイコンを生成し、アイコンを多機能ボタン4に表示する表示指令を出力する。これにより、ユーザは、多機能ボタン4の表示から操作対象機器を直感的に理解できるため、ユーザの操作性を高めた表示を可能とする。
【0044】
また本実施形態において車載制御装置2は、機器を機能させるための動作条件と機器を機能させた時の制御内容とを示す機器条件データを記憶するデータベース3を参照して、車両の状態と車両の環境から、動作条件を満たす機器条件データを特定し、特定された機器条件データから、操作対象機器の要点を抽出する。これにより、現在の車両状態や車両環境に応じたアイコンを多機能ボタン4に表示でき、ユーザの操作性を高めた表示を可能とする。
【0045】
また本実施形態において、機器画像は、操作対象機器の機能を表すイラスト、及び/又は、操作対象機器の機能を表すアニメーションを含む。これにより、アイコン生成の素材となるイラストやアニメーションがデータベース3に記憶されているので、データベースに記録された画像を利用することで、操作対象機器の機能を直感的に理解できる。
【0046】
また本実施形態において車載制御装置2は、車載カメラの撮像画像及び/又は車載センサの検出データから、多機能ボタン4に表示する表示用アイコンを生成する。これにより、カメラやセンサ等で検知したオブジェクト等をアイコンの素材として利用できるので、ユーザの車両の利用状況や環境に合わせたアイコンを生成できる。
【0047】
また本実施形態において車載制御装置2は、機器画像から、アイコンの位置、大きさ、及び種類のうち少なくとも1つの要素が異なる複数の候補アイコンを生成し、ユーザにより選択された候補アイコンを、多機能ボタン4に表示させる表示用アイコンに設定する。これにより、アイコンは複数案作成されるため、ユーザは好みに合わせたアイコンを選択できる。
【0048】
また本実施形態において車載制御装置2は、ノードとノード同士をつなげるリンクにより構築されるプログラムを生成し。プログラムに含まれるノードと関連する機器画像から、多機能ボタン4に表示させるアイコンを生成する。これにより、ユーザがプログラミングに応じた画像(イラスト、アニメーション、動画像等)をアイコン素材として利用できるので、多機能ボタン4の操作でプログラムを実行させた場合に、操作対象機器を直感的に理解でき、ユーザの操作性を高めた表示を可能とする。
【0049】
なお、多機能ボタン4に表示させる表示用アイコンは、動作条件を示す条件アイコンを含んでもよい。
図3の例では、ノード301~303がアイコン対象ノードであってもよい。そして、ボタン制御部22はノード301~303と関連する機器画像(例えば、
図4のノード301~303のブロック内に示されるイラスト)を取得し、アイコンを生成すればよい。これにより、ユーザは、操作対象機器の動作条件を直感的に理解できる。
【0050】
また、車載制御装置2は、プログラムをデータベース3から取得し、機器の使用履歴から、ノードとリンクの関連性とノードの重要度を、学習モデルとして学習させて、ユーザの指令に基づき生成されたプログラムを学習モデルに入力して、プログラムに含まれるノードの重要度を、学習モデルから出力して、重要度のより高いノードと関連する機器画像から、多機能ボタン4に表示する表示用アイコンを生成してよい。車載制御装置2は、学習モデルをデータベース3に記憶する。学習モデルは、機器の使用履歴から、ノードとリンクの関連性とノードの重要度を決定するために学習されたモデルである。学習モデルは、ユーザの指令に基づき生成されたプログラムを含む入力データと、ノードの重要度とを対応づけた教師データを用いて学習されたモデルである。学習モデルは、ひとつ以上のニューロンからなる入力層、出力層及び少なくともひとつの中間層を含むニューラルネットワークにより構成され、入力層には、上記入力データが入力され、出力層から、上記出力データを出力する。学習済みモデルは、ソフトウェアのプログラムモジュールとして利用される。学習済みモデルとしては、車載制御装置2によって、教師データを用いて学習させた学習済みモデルを用いてもよいし、車載制御装置2外部で教師データを用いて学習させた学習済みモデルを取得して用いることとしてもよい。
【0051】
なお、アイコン401~403に含まれるパワーウィンドウのアイコンにおいて、ウィンドウの位置を、開度(例えば30%、50%)に応じて変えてもよい。また車載制御装置2は、新たな操作情報の蓄積に応じて、機器条件データを更新してもよい。そして、車載制御装置2は、機器条件データの更新により、作成済みのプログラムの動作条件や制御内容を変更した場合には、プログラムに含まれるノードを変更してもよい。また、車載制御装置2はノードの変更に応じて、アイコンを変えてもよい。
【0052】
なお多機能ボタン4にアイコンを表示している状態で、ノードの変更によって、アイコンが変更になった場合、あるいは、新たなアイコンが追加された場合には、車載制御装置2は、変更又は追加後のアイコンの表示を、所定時間の間、他のアイコンをよりも目立つような表示としてもよい。目立つ表示は、色や明るさを変えればよい。
【0053】
また車載制御装置2は、ユーザの指令に応じて、多機能ボタン4の操作対象機器及び操作対象機器の制御内容を変更した場合に、プログラムを変更する。このとき、車載制御装置2は、他のユーザ用のプログラムを援用して、変更後のプログラムとしてもよい。プログラムの援用は、他のユーザ用のプログラムをそのままコピーしてもよく、1部のノードのみをコピーしてよい。なお、アイコンの色がユーザ毎に統一されている場合には、援用した部分のアイコンの色は、援用元のユーザの色をそのまま使用してもよい。例えば、ユーザA用のアイコンは緑で、ユーザB用のアイコンが青で統一されていたとする。ユーザBの指令に応じて、車載制御装置2が、ユーザAのプログラムの一部を用いて、新たなプログラムを生成した場合に、ユーザAのプログラムのうち、援用したノードに基づくアイコンの色を緑として、他のアイコンの色と青とすればよい。
【符号の説明】
【0054】
1 多機能ボタンシステム
2 車載制御装置
3 データベース
4 多機能ボタン
5 ユーザ端末
11 撮像装置
12 走行状態検出装置
13 自車位置検出装置
14 多機能ボタン
21 記憶部
22 ボタン制御部
23 アイコン生成部