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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024158272
(43)【公開日】2024-11-08
(54)【発明の名称】冷蔵庫
(51)【国際特許分類】
   F25D 11/00 20060101AFI20241031BHJP
   F25D 23/12 20060101ALI20241031BHJP
【FI】
F25D11/00 101A
F25D23/12 U
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023073339
(22)【出願日】2023-04-27
(71)【出願人】
【識別番号】503376518
【氏名又は名称】東芝ライフスタイル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【弁理士】
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100205785
【弁理士】
【氏名又は名称】▲高▼橋 史生
(74)【代理人】
【識別番号】100203297
【弁理士】
【氏名又は名称】橋口 明子
(74)【代理人】
【識別番号】100175824
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100135301
【弁理士】
【氏名又は名称】梶井 良訓
(72)【発明者】
【氏名】守谷 雅秀
【テーマコード(参考)】
3L045
【Fターム(参考)】
3L045AA04
3L045BA01
3L045BA05
3L045CA03
3L045CA04
3L045CA06
3L045CA08
3L045CA09
3L045DA02
3L045EA01
3L045KA11
3L045NA21
3L045PA04
(57)【要約】
【課題】ニーズに合わせた切り替えを容易に行え、かつ使い勝手がよい切替室を設けることが可能な冷蔵庫を提供する。
【解決手段】冷蔵室と、前記冷蔵室の下方に横並びで配置される第1切替室および第2切替室と、前記第1切替室および前記第2切替室の下方に配置される冷凍室と、を備える。前記第1切替室および前記第2切替室は、冷蔵温度帯と冷凍温度帯とを切り替え可能である構成を持つ。前記第1切替室および前記第2切替室と前記冷凍室との間を仕切る下仕切壁を持つ。前記下仕切壁の下側に位置する前記冷凍室内には少なくとも製氷装置の一部が配置される。前記下仕切壁は、前記製氷装置の一部と上下方向において重なる第1壁部と、第2壁部と、を持つ。前記第1壁部は、前記第2壁部より厚い壁厚で形成される構成を持つ。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷蔵室と、
前記冷蔵室の下方に横並びで配置される第1切替室および第2切替室と、
前記第1切替室および前記第2切替室の下方に配置される冷凍室と、を備え、
前記第1切替室および前記第2切替室は、冷蔵温度帯と冷凍温度帯とを切り替え可能である冷蔵庫。
【請求項2】
前記第1切替室および前記第2切替室と前記冷凍室との間を仕切る下仕切壁が設けられ、
前記下仕切壁の下側に位置する前記冷凍室内には少なくとも製氷装置の一部が配置され、
前記下仕切壁は、
前記製氷装置の一部と上下方向において重なる第1壁部と、
第2壁部と、を有し、
前記第1壁部は、前記第2壁部より厚い壁厚で形成される、請求項1に記載の冷蔵庫。
【請求項3】
前記第1切替室と前記第2切替室との間の壁厚は、前記第2壁部と同厚である、請求項2に記載の冷蔵庫。
【請求項4】
前記第1切替室および前記第2切替室と前記冷蔵室との間を仕切る上仕切壁の壁厚は、前記第2壁部と同厚である、請求項2に記載の冷蔵庫。
【請求項5】
前記冷蔵室の内部下方には、前記冷蔵室よりも温度帯が低く前記冷凍室よりも温度帯が高い第1貯蔵室と、前記冷蔵室よりも温度帯が高い第2貯蔵室と、が配置され、
前記第1貯蔵室は、前記第2貯蔵室の上方に配置される、請求項1に記載の冷蔵庫。
【請求項6】
前記第1切替室および前記第2切替室と前記冷蔵室との間を仕切る上仕切壁は、扉側の前端部が下方に突出する前端厚壁部を有する、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の冷蔵庫。
【請求項7】
前記第1切替室および前記第2切替室の上方に加熱手段が設けられ、
前記上仕切壁は、前記第1切替室および前記第2切替室の下方の下仕切壁よりも薄い、請求項6に記載の冷蔵庫。
【請求項8】
前記第1切替室および前記第2切替室よりも低い位置に冷却器が設けられる、請求項6に記載の冷蔵庫。
【請求項9】
前記第1切替室および前記第2切替室の下方には、複数の前記冷凍室が上下方向に重ねて配置され、
前記冷蔵室の底面の高さは、製品高さの1/2以下である、請求項6に記載の冷蔵庫。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、冷蔵庫に関する。
【背景技術】
【0002】
冷蔵庫として、近年では、冷凍室を大きくしたいというニーズが増えたことに伴い、野菜専用の部屋を無くし、その代わり冷蔵室内に野菜ケースを設けた冷蔵庫が知られている。また、冷蔵室の下方の大きな2部屋(例えば野菜室と冷凍室)のそれぞれを冷蔵温度帯と冷凍温度帯に切り替えられる冷蔵庫もあり、ユーザーは各々の使い勝手を重視しながら、多数あるレイアウトから自分に適したレイアウトを選択できる冷蔵庫も知られている。しかしながら、大きな部屋を異なる温度帯に調整するためには時間を要することから、多様化するニーズに合わせて温度帯を容易に切り替え可能で、かつ使い勝手がよい冷蔵庫が求められていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003-314945号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、ニーズに合わせた切り替えを容易に行え、かつ使い勝手がよい切替室を設けることが可能な冷蔵庫を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態の冷蔵庫は、冷蔵室と、前記冷蔵室の下方に横並びで配置される第1切替室および第2切替室と、前記第1切替室および前記第2切替室の下方に配置される冷凍室と、を備える。前記第1切替室および前記第2切替室は、冷蔵温度帯と冷凍温度帯とを切り替え可能である構成を持つ。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】第1実施形態の冷蔵庫の正面図。
図2図1に示す冷蔵庫において冷蔵室扉を開いた正面図。
図3図1に示された冷蔵庫のF1-F1線に沿う断面図。
図4図3において冷蔵室扉を開いた断面図。
図5】切替室の拡大斜視図。
図6図5に示された切替室の正面図。
図7図5に示された切替室の側面図。
図8】冷蔵庫における冷気の循環路を示す側面図。
図9】第2実施形態による冷蔵庫を示す正面図。
図10】第3実施形態による冷蔵庫の切替室の一部を破断した斜視図。
図11図10に示す切替室の側面図。
【発明を実施するための形態】
【0007】
(第1実施形態)
以下、実施形態の冷蔵庫を、図面を参照して説明する。以下の説明では、同一または類似の機能を有する構成に同一の符号を付す。そして、それら構成の重複する説明は省略する場合がある。
【0008】
本明細書では、冷蔵庫の正面に立つ利用者から冷蔵庫を見た方向を基準に、左右を定義している。また、冷蔵庫から見て冷蔵庫の正面に立つ利用者に近い側を「前」、遠い側を「後ろ」と定義している。本明細書において「幅方向」とは、上記定義における左右方向を意味する。本明細書において「奥行方向」とは、上記定義における前後方向を意味する。本明細書において「幅方向」とは、上記定義における左右方向を意味する。本明細書において「上下方向」とは、冷蔵庫の高さ方向を意味する。
【0009】
図1図3を参照し、実施形態の冷蔵庫1について説明する。まず、冷蔵庫1の全体構成について説明する。ただし、冷蔵庫1は、以下に説明する構成の全てを有する必要はなく、いくつかの構成が適宜省略されてもよい。
【0010】
図1は、冷蔵庫1を示す正面図である。図2は、図1中に示された冷蔵庫1の冷蔵室扉を開いた状態の正面図である。図3は、図1中に示された冷蔵庫1のF1-F1線に沿う断面図である。冷蔵庫1は、例えば、本体10と、複数の扉20とを備えている。
【0011】
図1図3に示すように、本体10は、上壁10a、下壁10b、左右の側壁10c,10d、および後壁10eを有する。上壁10aおよび下壁10bは、水平方向に広がる。左右の側壁10c,10dは、下壁10bの左右の端部から上方に起立し、上壁10aの左右の端部に繋がっている。左側壁10cは、後述する左切替室11Baに露出して左切替室11Baの左側面を形成する左側壁部を含む。右側壁10dは、後述する右切替室11Bbに露出して右切替室11Bbの右側面を形成する右側壁部を含む。後壁10eは、下壁10bの後端部から上方に起立し、上壁10aの後端部に繋がっている。
【0012】
本体10は、本体10の内面を形成する内箱10iと、内箱10iの外側に位置して本体10の外面を形成する外箱10jと、内箱10iと外箱10jとの間に設けられた発泡ウレタンのような発泡断熱材10kとを含み、断熱性を有する。また、後壁10eにおいて、内箱10iと外箱10jとの間の断熱空間には、板状の真空断熱材55が設けられている。真空断熱材55は、貯蔵室11全体の背面に配置されている。
【0013】
本体10の内部には、複数の貯蔵室11が設けられている。複数の貯蔵室11は、例えば、冷蔵室11Aと、冷蔵室11Aの下方に配置される一対の切替室11Bと、一対の切替室11Bの下方に配置される上冷凍室11Cと、上冷凍室11Cの下方に配置される主冷凍室11Dと、を備える。冷蔵室11Aの内部下方には、チルド室11Aa(第1貯蔵室)と野菜室11Ab(第2貯蔵室)とを含む。チルド室11Aaは、野菜室11Abの上側に配置される。
【0014】
切替室11Bは、冷蔵室11Aの下方に横並びで配置される左切替室11Ba(第1切替室)および右切替室11Bb(第2切替室)を有する。上冷凍室11Cは、左切替室11Baの下方に配置される製氷室11Caと、右切替室11Bbの下方に配置される小冷凍室11Cbと、を有する。第1切替室11Baおよび第2切替室11Bbの下方には、複数(ここでは2段)の冷凍室11C、11Dが上下方向に重ねて配置される。
【0015】
図3に示すように、野菜室11Abの上端から下端までの高さ寸法h1は、上冷凍室11Cの扉(上冷凍室扉20C)の上端から下端までの高さ寸法h2よりも長い。これにより、冷蔵室11Aの底面(後述する上仕切壁15の上面15a)の床面からの高さh3(ベルトラインともいう)は、製品高さ(冷蔵庫全高)の1/2以下に設定されている。例えば、本冷蔵庫1では、例えばキッチンカウンターの標準高さである850mmに近い高さをベルトラインに設定できる。ここで、キッチンカウンターの標準高さとは、一般的にワークトップの高さを指し、ワークトップの高さは日本工業規格(JIS)により800mm、850mm、900mm、950mmに定められている。
【0016】
図4に示すように、野菜室11Abを最も手前側まで引き出した状態において、野菜室11Abの野菜室容器42の底面42aと後面42bとを接続する頂部42cが、冷蔵室扉20Aの内側に設けられる扉ポケット18とチルド室11Aaの下方仕切19の前端19aとを結ぶ仮想直線K上(図4に示す状態)、またはその仮想直線Kよりも手前側にある。このように構成することにより、野菜室11Abの内部の視認性が良好となる。これは、後述する上仕切壁15の上面15aが平坦に形成される効果である。すなわち、上仕切壁15の上面15aを平坦にすることで、冷蔵室11Aの容積を増やすことができ、且つ野菜室11Abを庫内空間の手前側まで最大限に引き出すことを可能にしている。また、上述したように、扉ポケット18をチルド室11Aaの下方仕切19の前端19aより前側で上方に配置することで、扉ポケット18と野菜室11Abとの干渉により野菜室11Abの引き出し量が制限されることを抑制できる。
【0017】
図1図3に示すように、冷蔵室11Aは、例えば、約2℃~6℃である冷蔵温度帯に冷却される。チルド室11Aaは、例えば、約-1℃~+1℃であるチルド温度帯に冷却される。野菜室11Abは、例えば、約3℃~7℃である野菜室温度帯に冷却される。なお、本実施形態では、チルド温度帯および野菜室温度帯は冷蔵温度帯に含まれる。製氷室11Ca、小冷凍室11Cb、および主冷凍室11Dは、例えば、約-20℃~-18℃である冷凍温度帯に冷却される。そして、左切替室11Baおよび右切替室11Bbは、それぞれは冷蔵温度帯と冷凍温度帯とを切り替え可能である。例えば、左切替室11Baおよび右切替室11Bbは、-18℃~+11℃の範囲で温度を切り替えることができる。
【0018】
本体10は、各貯蔵室11の前面側に、各貯蔵室11に対して食材の出し入れを可能にする開口を有する。貯蔵室11の冷蔵室11A、左切替室11Ba、右切替室11Bb、上小冷凍室11C、および主冷凍室11Dは、それぞれが断熱壁によって仕切られ、かつ室毎に異なる扉20が設けられている。すなわち、冷蔵室11A、左切替室11Ba、右切替室11Bb、上冷凍室11C、および主冷凍室11Dは、それぞれ異なる扉20(後述する冷蔵室扉20Aa,20Ab、左仕切壁扉20Ba、右仕切り壁扉20Bb、上冷凍室扉20C、および主冷凍室扉20D)によって各室が区切られて設けられている。
【0019】
チルド室11Aaは、冷蔵室11Aの下部の一画で野菜室11Ab上に設けられている。チルド室11Aaは、「特別貯蔵室」の一例である。本明細書で「特別貯蔵室」とは、冷蔵室11Aよりも温度帯が低く、冷凍室11C、11Dよりも温度帯が高い貯蔵室である。「特別貯蔵室」は、チルド室11Aaに限定されず、パーシャル温度帯(約-4℃~-2℃)に冷却されるパーシャル室などでもよい。このため、以下の説明における「チルド室11Aa」は、「特別貯蔵室」または「パーシャル室」と読み替えられてもよい。
【0020】
図1に示すように、複数の貯蔵室11は、複数の扉20によって開閉可能に閉じられる。複数の扉20は、冷蔵室11Aの開口を閉じる左右の冷蔵室扉20Aa,20Ab、左切替室11Baの開口を閉じる左切替室扉20Ba、右切替室11Bbの開口を閉じる右切替室扉20Bb、上冷凍室11Cの開口を閉じる上冷凍室扉20C、および主冷凍室11Dの開口を閉じる主冷凍室扉20Dを含む。製氷室11Caと小冷凍室11Cbは1つの上冷凍室扉20Cによって一体で開閉される。左右の冷蔵室扉20Aa,20Abは、例えばフレンチ扉(観音開き扉)を構成する。左右の切替室11Ba、11Bb、上冷凍室扉20C、および主冷凍室扉20Dの各々は、冷蔵庫1の前側に引き出し可能な引出扉である。チルド室11Aaおよび野菜室11Abは、冷蔵室11A内において前側に引き出し可能に設けられている。
【0021】
図5図7に示すように、本体10は、上仕切壁15および下仕切壁16を有する(図2参照)。上仕切壁15および下仕切壁16は、例えば、それぞれ略水平方向に沿う仕切壁である。例えば、上仕切壁15および下仕切壁16は、断熱性を有する仕切壁である。上仕切壁15は、本体10と一体に設けられていてもよく、本体10とは別体に設けられて本体10内に取り付けられていてもよい。上仕切壁15と下仕切壁16との壁厚は、少なくとも一部が同厚である。具体的には、下仕切壁16の一部の端部(下仕切壁16のうち小冷凍室11Cbに面する部分)をなす第2壁部16B(後述する)と、上仕切壁15の前端15cを除く後部15dと、が同厚に形成されている。
【0022】
上仕切壁15は、冷蔵室11Aおよび野菜室11Abと、左切替室11Baおよび右切替室11Bbと、を仕切る。
【0023】
下仕切壁16は、左切替室11Baおよび右切替室11Bbと、上冷凍室11Cと、を仕切る。下仕切壁16の冷凍室11C側には、製氷機14(製氷装置)の一部である製氷皿141が配置される。製氷機14は、自動で製氷される自動製氷機が採用され、製氷室11Caに設けられている。下仕切壁16は、製氷皿141と上下方向に重なる第1壁部16Aと、製氷皿141と上下方向に重ならない第2壁部16Bと、を有する。すなわち第1壁部16Aは製氷室11Caに面し、第2壁部16Bは小冷凍室11Cbに面している。第2壁部16Bは、第1壁部16Aよりも薄い壁厚で形成されている。第2壁部16Bは、真空断熱材55を備える。すなわち、製氷室11Caの天面に位置する第1壁部16Aは、製氷皿141に水を供給するための給水管(図示省略)が配置され、真空断熱材55等を配置することが困難であるため、十分な断熱厚みを確保するため厚みを大きくしている。なお、給水管は、第1壁部16A内に配置されることに限定されることはなく、例えば下仕切壁16を迂回して冷蔵庫の背面側から製氷皿141に接続される構成とすることも可能である。
【0024】
左切替室11Baおよび右切替室11Bbの下面には、それぞれ加熱ヒータ13が設けられている。加熱ヒータ13は、下仕切壁16の上面16aに埋め込まれている。加熱ヒータ13は、切替室11Bにおいて、冷凍温度帯から冷蔵温度帯に切り替える際に使用される。このとき、加熱ヒータ13は、切替室11Bの底面側に設けられているので、下に落ちてくる冷えた冷気Eを暖めることができ、効率が良い。
【0025】
一対の切替室11Ba、11Bbの周囲の断熱構造について、詳細に説明する。一対の切替室11Ba、11Bbは、全周が断熱材(真空断熱材、ウレタン、発泡スチロール)によって囲まれている。上仕切壁15、下仕切壁16、および中央仕切壁17は、それぞれ真空断熱材55と発泡断熱材56とを含む。すなわち、各仕切壁15、16、17は、発泡断熱材56に真空断熱材55が埋設されている。
【0026】
ここで、「真空断熱材」とは、VIP(Vacuum Insulation Panel)とも呼ばれ、例えば、袋を形成する外包材、および減圧状態で前記外包材に密閉して収容された芯材を含む断熱材である。芯材は、例えば、グラスウールのような繊維素材、または発泡体のような多孔質体である。さらに、真空断熱材に代えて、エアロゲル、キセロゲル、またはクライオゲルのうち1つ以上を含む特定断熱材を採用することも可能である。
【0027】
発泡断熱材56は、ウレタン等の発泡材料であって、冷蔵庫1の製造時において、これら仕切壁15、16、17の外殻体内に流し込むことにより製造される。なお、上仕切壁15、下仕切壁16、および中央仕切壁17は、ビーズ法ポリスチレンフォーム(EPS)等の成形断熱材を採用することも可能である。
【0028】
図7に示すように、上仕切壁15は、扉側の前端部15cが下方に突出する前端厚壁部15cを有する。前端厚壁部15cの壁厚は、この前端厚壁部15cより後方の後部15dよりも厚い。上仕切壁15の前端部15cは、左切替室扉20Baおよび右切替室扉20Bbの上部と前後に重なっている。冷蔵室扉20Aと切替室扉20Bとの間には、隙間Sが形成されている。
【0029】
左右一対の左切替室11Ba及び右切替室11Bbについて詳しく説明する。図5図7に示すように、左切替室11Ba及び右切替室11Bbは、中央仕切壁17で左右に仕切られている。本実施形態において、左切替室11Baは、右切替室11Bbより左右方向の長さが短く、室容量が小さくなっている。左切替室11Baと右切替室11Bbとの間の中央仕切壁17の壁厚は、下仕切壁16の少なくとも一部(ここでは第2壁部16B)と同厚である。本実施形態では、上仕切壁15と下仕切壁16の一部(第2壁部16B)とが同厚であるので、上仕切壁15、下仕切壁16(第2壁部16B)、および中央仕切壁17は同厚に設定されている。これにより、切替室11Ba、11Bbの周囲の仕切壁15、16、17の少なくとも一部の部品を共通化しやすい。
【0030】
左切替室11Baおよび右切替室11Bbはそれぞれ同様の構成であるので、ここでは左切替室11Baについて説明する。図7に示すように、左切替室11Baは、扉本体21と、レール部材(図示省略)とを含む。扉本体21は、本体10の外部に位置し、冷蔵庫1の前側から切替室11Ba、11Bbの開口に向かい合う。扉本体21は、切替室11Ba、11Bbの開口よりも大きな外形を有し、切替室11Ba、11Bbの開口を開閉可能に閉じる。扉本体21の上端部には、左切替室11Baを開くときに利用者が手を掛ける取手が設けられている。レール部材は、扉本体21の内面(後面)に取り付けられ、扉本体21から後方に延びている。レール部材は、本体10の左側壁部および右側壁部に設けられたレール受け部によって支持されている。これにより、左切替室11Baは、本体10に対して冷蔵庫1の前後方向にスライド移動可能である。
【0031】
左切替室11Baおよび右切替室11Bbは、それぞれ冷気Eの吹き出し量を調整するためのダンパー65が設けられている。ダンパー65は、各切替室11Ba、11Bbの後面に配置され、第2ダクト空間D2(後述する)に連通し、第2ダクト空間D2内で後述する冷却器62で冷却された冷気Eを切替室11Ba、11Bb内に吹き出す。ダンパー65は、開口の大きさを調整可能である。これにより、各切替室11Ba、11Bb内を、所定の温度に調整することができる。例えば、切替室11Bを冷凍温度帯から冷蔵温度帯に切り替える際には、室内の温度を上げる必要があるので、ダンパー65を閉じ、冷気Eが切替室11Bに入らないように調整する。
【0032】
図2及び図3に示すように、冷蔵庫1は、例えば、複数の棚30、複数の容器40、流路形成部品50、冷却ユニット60、および制御装置70を備えている。
【0033】
複数の棚30は、冷蔵室11Aのチルド室11Aaの上方に上下方向に間隔をあけて配置されている。
【0034】
複数の容器40は、チルド室11Aaに収容されたチルド室容器41、野菜室11Abに収容された野菜室容器42、製氷室11Caに収容された製氷室容器43、および主冷凍室11Dに収容された第1~第3主冷凍室容器44、45、46を含む。これらの容器41~46の各室における数は、適宜変更可能である。例えば、主冷凍室11Dに配置される主冷凍室容器は、2つ、あるいは1つだけでもよい。
【0035】
流路形成部品50は、冷蔵用ダクト51と、冷凍用ダクト52とを含む。冷蔵用ダクト51は、本体10内の冷蔵室11Aに設けられ、後壁10eに沿って鉛直方向に延びている。冷蔵用ダクト51は、本体10の後壁10eの近くに、冷気が流れる通路である第1ダクト空間D1を形成している。本明細書で「ダクト」とは、筒状の部品に限定されず、他の部品(例えば本体10の後壁10e)と協働することで冷気の通路の少なくとも一部を規定する部品を含み得る。例えば、本実施形態の冷蔵用ダクト51は、本体10の後壁10eに取り付けられ、本体10の後壁10eとの間に第1ダクト空間D1を形成する板状のカバー部材である。
【0036】
冷蔵用ダクト51は、冷気吹出口51aおよび冷気戻り口51bを有する。冷気吹出口51aは、不図示の冷蔵用熱交換器により冷却された冷気を冷蔵室11Aの空間やチルド室11Aaに供給する。冷気戻り口51bは、野菜室11Abに開口し、冷蔵室11Aおよび野菜室11Abを通過することで温められた冷気を第1ダクト空間D1に向けて導く。
【0037】
冷蔵用ダクト51は、基礎絶縁を確保可能な厚さ1mm以上の絶縁体から形成されることが好ましい。具体的に冷蔵用ダクト51の材質としては、例えばポリプロピレン(PP)やABS等の樹脂が採用できる。
【0038】
冷凍用ダクト52は、本体10内の切替室11B、冷凍室11C、11Dに設けられ、後壁10eに沿って鉛直方向に延びている。冷凍用ダクト52は、本体10の後壁10eの近くに、冷気Eが流れる通路である第2ダクト空間D2を形成している。冷凍用ダクト52は、冷気吹出口52aおよび冷気戻り口52bを有する。冷気吹出口52aは、切替室11Ba、11Bb、製氷室11Ca、小冷凍室11Cb、および主冷凍室11Dに開口し、後述する冷凍用冷却器64により冷却された冷気Eを、切替室11Ba、11Bb、製氷室11Ca、小冷凍室11Cb、および主冷凍室11Dに供給する。冷気戻り口52bは、主冷凍室11D下部に開口し、切替室11Ba、11Bb、製氷室11Ca、小冷凍室11Cb、および主冷凍室11Dのうち1つ以上を通過することで温められた冷気をダクト空間D2に導く。
【0039】
冷却ユニット60は、冷凍用ダクト52に配置されており、冷蔵室11A、切替室11Ba、11Bb、製氷室11Ca、小冷凍室11Cb、および主冷凍室11Dを冷却する冷却サイクルに使用される。
【0040】
冷却ユニット60は、例えば、圧縮器61、冷却器62、冷却ファン63を含み、ダクト空間D2に配置されている。圧縮器61により圧縮された冷媒は、冷却器62で冷却され、第2ダクト空間D2から第1ダクト空間D1に供給される。冷却器62は、圧縮器61により圧縮された冷媒が供給され、第2ダクト空間D2を流れる冷気を冷却する。冷却器62は、第1切替室11Baおよび第2切替室11Bbよりも低い位置に設けられる。
【0041】
冷却ファン63は、冷却器62の下流側(上側)に配置される。冷却ファン63が駆動されると、冷却器62により冷却された冷気が冷気吹出口51a,51bから冷蔵室11A、切替室11B、および冷凍室11C、11Dに供給される。冷蔵室11Aまたはチルド室11Aaを通った冷気Eは、野菜室11Abに流入する。そして、冷蔵室11A、チルド室11Aa、および野菜室11Abのうち1つ以上で温められた冷気が冷気戻り口51c,51dから第2ダクト空間D2に戻る。
【0042】
図8は、冷蔵庫1における冷気Eの循環路を示す側面図である。冷蔵室11Aのチルド室11Aaと野菜室11Abとの間は断熱材が設けられず、野菜室11Abは密閉空間であり、前側からも冷気Eは供給しない。そのため、冷蔵室11A内の冷気Eは、野菜室11Abの周りを循環する。これにより、野菜室11Ab内に収容される野菜が冷風により乾燥されることを抑制できる。
【0043】
制御装置70は、回路基板と、回路基板に実装された電子部品とを有する。制御装置70は、冷蔵庫1の全体を統括的に制御する。例えば、制御装置70は、上述した圧縮器61、および冷却ファン63の動作などを制御する。
【0044】
次に、冷蔵庫1の動作および作用について説明する。
【0045】
本実施形態に係る冷蔵庫1によれば、冷蔵室11Aと、冷蔵室11Aの下方に横並びで配置される左切替室11Baおよび右切替室11Bbと、左切替室11Baおよび右切替室11Bbの下方に配置される冷凍室11C、11Dと、を備える。左切替室11Baおよび右切替室11Bbは、冷蔵温度帯と冷凍温度帯とを切り替え可能である。
【0046】
本実施形態に係る冷蔵庫1によれば、専用の野菜・果物向けの部屋(野菜室11Ab)を無くすことができる。あるいは、冷蔵室11Aの内側に野菜室11Abを設ける構造となる。そのため、従来の冷蔵庫のような冷蔵室の下に大きな野菜室と冷凍室とを専用で設けられる場合に比べて、専用の野菜室を無くすレイアウトにすることで、野菜室があった高さ分、ベルトラインを下げることができる。そして、本実施形態では、横並びで配置される一対の左切替室11Baおよび右切替室11Bbが設けられるので、これらを使用者の様々なニーズに合わせた温度帯に調整して使用することができる。そのため、例えば切替室11Bを野菜室の温度帯に設定することで、野菜室として使用することも可能であり、また、本実施形態のように野菜室11Abを冷蔵室11A内に配置するレイアウトとすることも可能である。また、本実施形態では、一対の切替室11Ba、11Bbを小さくコンパクトな大きさに設定することで、使用する設定温度への切り替えを早く行うことができる。このように、本実施形態では、使用者のニーズに合わせた切り替えを容易に行え、かつ使い勝手がよい切替室11Bを設けることができる。
【0047】
本実施形態に係る冷蔵庫1によれば、第1切替室11Baおよび第2切替室11Bbと冷凍室11C、11Dとの間を仕切る下仕切壁16が設けられる。下仕切壁16の下側に位置する冷凍室11C、11D内には少なくとも製氷機14の一部(本実施形態では製氷皿141)が配置される。下仕切壁16は、製氷皿141と上下方向において重なる第1壁部16Aと、第2壁部16Bと、を有する。第1壁部16Aは、第2壁部16Bより厚い壁厚で形成される。
【0048】
この場合には、製氷機14の一部(製氷皿141)に上下方向に重なる第1壁部16Aが第2壁部16Bより壁厚が厚いので、例えば本実施形態のように第1壁部16A内に水タンクから製氷皿141に水を供給するための給水管を配置したうえで、その給水管の周囲に適宜な断熱材を設けることができる。一方で、第1壁部16Aの内部に給水管が配置される場合には、第1壁部16Aに真空断熱材55やエアロゲル等の特定断熱材を設けることが困難である。これに対して、製氷皿141が設けられる製氷室11Caに隣接する小冷凍室11Cbと第2切替室11Bbとの間を仕切る第2壁部16Bには上記給水管などの部材が配置されないため、真空断熱材55やエアロゲル等の特定断熱材で構成することができる。しかも、この場合には、第2壁部16Bの厚みを第1壁部16Aよりも薄くすることが可能となり、上冷凍室11Cの内容積を拡大することができる。また、下仕切壁16の一部である第2壁部16Bに断熱性能の高い真空断熱材55やエアロゲル等の特定断熱材を使用することで、省エネ効果、及び結露抑制する効果が得られる。なお、給水管が第1壁部16Aの内部に配置されずに下仕切壁16を迂回する場合においても、第1壁部16Aを厚く形成してその第1壁部16Aに凹凸や溝状の切欠きを設けて給水管を迂回しやすい形状にすることがある。その場合には、上記と同様に第1壁部16Aに真空断熱材55やエアロゲル等の特定断熱材を設けることが難しいことから、下仕切壁16の一部である第2壁部16Bに断熱性能の高い真空断熱材55やエアロゲル等の特定断熱材を使用する構成となる。
【0049】
本実施形態に係る冷蔵庫1によれば、冷蔵室11Aの内部下方には、冷蔵室11Aよりも温度帯が低く冷凍室11C、11Dよりも温度帯が高いチルド室11Aaと、冷蔵室11Aよりも温度帯が高い野菜室11Abと、が配置される。チルド室11Aaは、野菜室11Abの上方に配置される。
【0050】
この場合には、野菜室11Abを冷蔵室11Aに設けることで、左切替室11Baおよび右切替室11Bbの両方とも冷凍温度帯で使用することができる。そして、本実施形態では、冷蔵室11Aよりも温度帯が高い野菜室11Abが冷蔵室11Aの上下方向中央部に配置されることがないことから、冷蔵室11A及びチルド室11Aaの温度管理がし易くなる。また、冷蔵室11Aのチルド室11Aaより下となる最下段に野菜室11Abを配置することで、野菜室11Abが腰の高さに近い位置となり、野菜室11Abに対して重たい野菜などを出し入れしやすい位置にすることができる。そして、本実施形態のように野菜室11bを冷蔵室11内に設けることで、従来機種のように冷蔵室とは別で専用の大きな野菜室を無くすことができ、大容量の冷凍室を提供できる。
【0051】
本実施形態に係る冷蔵庫1によれば、左切替室11Baおよび右切替室11Bbと冷蔵室11Aとの間を仕切る上仕切壁15は、扉側の前端部が下方に突出する前端厚壁部15cを有する。
【0052】
この場合には、上仕切壁15の前端厚壁部15cの厚みを大きくすることで、切替室扉20Bに対して気密性を維持するためのパッキン等を設けるための配置代を十分に確保することができる。すなわち、冷蔵室扉20Aと切替室扉20Bとの間の隙間Sを大きく確保することができ、冷蔵室扉20Aの扉下がりを許容でき、冷蔵室扉20Aが切替室扉20Bに干渉することを防止できる。例えば、冷蔵室扉20Aが回転扉であって、扉の荷重により扉下がりが生じた場合であっても、冷蔵室扉20Aと切替室扉20Bとの間の隙間Sが大きいことから、回転扉と干渉しにくい位置に切替室扉20Bを配置でき、かつ切替室扉20Bの気密性を確保できる。さらに、上仕切壁15の後部15dに真空断熱材55やウレタン等の断熱材を使用することで、前端厚壁部15cよりも薄くしても結露等の発生が無い。また、上仕切壁15の後部15dの断熱厚を薄くすることで内容積を拡大することが可能となる。
【0053】
本実施形態に係る冷蔵庫1によれば、左切替室11Baおよび右切替室11Bbよりも低い位置に冷却器62が設けられる。
【0054】
この場合には、切替室11Bより下方に冷凍室11C、11Dが配置されるため、冷凍用の冷却器62は温度帯が略同等で温度差が小さい冷凍室11C,11Dの背面に配置されることで、冷却性能を高めることができる。
【0055】
本実施形態に係る冷蔵庫1によれば、左切替室11Baおよび右切替室11Bbの下方には、複数(ここでは2段)の冷凍室11C,11Dが上下方向に重ねて配置される。冷蔵室11Aの底面の高さは、製品高さの1/2以下である。
【0056】
この場合には、冷蔵室11Aの底面の位置を示すベルトラインが腰の位置高さになるので、切替室11Bや野菜室11Abの使い勝手が良好となる。
【0057】
以上説明した少なくともひとつの実施形態によれば、ニーズに合わせた切り替えを容易に行え、かつ使い勝手がよい切替室11Bを設けることが可能な冷蔵庫を提供することができる。
【0058】
(第2実施形態)
図9は、第2実施形態による冷蔵庫1Aを示す正面図である。第2実施形態による冷蔵庫1Aは、冷蔵室11Aにおいてチルド室11Aaを設けず、野菜室11Abのみを配置した構成である。この場合、例えば、左右一対の左切替室11Baおよび右切替室11Bbのうち少なくとも一方を約-1℃~+1℃であるチルド温度帯に冷却して、チルド室として使用できる。
【0059】
第2実施形態による冷蔵庫1Aでは、冷蔵室11A内に野菜室11Abが配置される場合であっても、冷蔵室11A内を広く使用することができる。また、上述した第1実施形態のように野菜室11Abの上にチルド室11Aaが配置される場合(図2参照)のように、高い位置までチルド室11Aaの前壁が位置し、冷蔵室扉20Aを開いたときに感じる圧迫感を軽減できる。さらに、野菜室11Abの上にチルド室11Aaが設けられる場合には。チルド室11Aaの天井板の位置が高くなり、使い勝手が悪くなるが、このような不具合を無くすことができる。
【0060】
また、第2実施形態のように専用のチルド室を設けない場合の別の使用方法として、冷蔵室11Aの全体をチルド温度帯にすることも可能である。
【0061】
(第3実施形態)
図10は、第3実施形態による冷蔵庫1Bの切替室11Bの一部を破断した斜視図である。図11は、図10に示す切替室11Bの側面図である。冷蔵庫1Bは、切替室11Bの天井部に、切替室11B内の温度を調整するための赤外線ヒータ71(加熱手段)と赤外線温度センサ72とを備えている。赤外線ヒータ71および赤外線温度センサ72は、上仕切壁15の下面15bにおいて、前端15c側に配置される。上仕切壁15の前端15cの厚肉部151の後側には、加熱部収容カバー73を備える。加熱部収容カバー73の内側には、前方に赤外線ヒータ71が配置され、赤外線ヒータ71の後側に赤外線温度センサ72が配置されている。
【0062】
赤外線温度センサ72は、センサ周辺の温度と赤外線の範囲内の2種類の温度を同時に検知できる。赤外線温度センサ72の温度検知機能は、切替室11B内の温度管理、あるいは切替室11B内に収容される対象物の温度管理を行うためのものである。赤外線温度センサ72で対象物の温度管理する場合には、対象物の温度を直接検知し、温度のムラが小さい解凍(すなわちスポット解凍)を行うことができる。
【0063】
このよう本実施形態では、各々の切替室11Bに赤外線ヒータ71を設けることで、高温設定時にはダンパー65を閉じ、赤外線ヒータ71を起動させることで切替室11Bの温度を上昇させることができる。
【0064】
また、本第3実施形態において、上仕切壁15は、左切替室11Baおよび右切替室11Bbの下方の下仕切壁16よりも薄い。このように構成することにより、切替室11Bのスペースを確保しつつ、赤外線ヒータ71と赤外線温度センサ72を設置する十分な領域を確保することができる。
【0065】
本発明の実施形態を説明したが、この実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【0066】
上述した、実施形態では、切替室11B、および冷凍室11C、11Dの背面の第2ダクト空間D2に1つの冷却器62のみを設けた構成としているが、これに限定されることはなく、冷蔵用冷却器と冷凍用冷却器との2つの冷却器を設ける構成であってもよい。この場合、冷凍用冷却器は上記冷却器62と同じ位置に設けられ、切替室11B上方の上仕切壁15を内箱と一体に形成する場合は冷蔵用冷却器の少なくとも一部が野菜室の後方に位置し、上仕切壁15を内箱と一体に形成しない場合は冷蔵用冷却器を冷凍用冷却器と略同一の高さで横並びに配置する構成にできる。
【0067】
上仕切壁15、下仕切壁16および中央仕切壁17の壁厚は、上述した実施形態に限定されることはなく、適宜な厚みに設定することが可能である。そのため、各仕切壁15、16、17は全体にわたって一定の厚みである必要はなく、また部分的に厚い(薄い)部分があってもかまわない。
【符号の説明】
【0068】
1、1A、1B…冷蔵庫、10…本体、10e…後壁、10h…収容部、11…貯蔵室、11A…冷蔵室(貯蔵室)、11Aa…チルド室(貯蔵室、第1貯蔵室)、11Ab…野菜室(貯蔵室、第2貯蔵室)、11Ba…左切替室(貯蔵室、第1切替室)、11Bb…右切替室(貯蔵室、第2切替室)、11C…上冷凍室(貯蔵室、冷凍室)、11Ca…製氷室、11Cb…小冷凍室、11D…主冷凍室(貯蔵室、冷凍室)、13…加熱ヒータ、14…製氷機(製氷装置)、15…上仕切壁、15c…前端厚壁部、15d…後部、16…下仕切壁、17…中央仕切壁、20…扉、20A…切替室扉、55…真空断熱材、56…発泡断熱材、60…冷却ユニット、62…冷却器、65…ダンパー、71…赤外線ヒータ(加熱手段)72…赤外線温度センサ、141…製氷皿、S…隙間。
図1
図2
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図11