(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024158273
(43)【公開日】2024-11-08
(54)【発明の名称】プログラム
(51)【国際特許分類】
G08G 1/09 20060101AFI20241031BHJP
H04Q 9/00 20060101ALI20241031BHJP
G08G 1/16 20060101ALI20241031BHJP
【FI】
G08G1/09 V
H04Q9/00 301B
G08G1/16 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023073342
(22)【出願日】2023-04-27
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【弁理士】
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100147555
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 公一
(74)【代理人】
【識別番号】100123593
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 宣夫
(74)【代理人】
【識別番号】100133835
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 努
(72)【発明者】
【氏名】北島 伸幸
【テーマコード(参考)】
5H181
5K048
【Fターム(参考)】
5H181AA01
5H181BB04
5H181CC17
5H181FF05
5H181KK01
5H181LL01
5H181LL02
5H181LL04
5H181LL09
5H181LL17
5K048AA04
5K048BA42
5K048DC01
5K048EB02
5K048EB15
5K048FB10
5K048FB15
5K048FC01
(57)【要約】
【課題】遠隔操作デバイスの操作者が車両の状態を直観的に認識できる。
【解決手段】車両(1)の位置および車両(1)の進行方向に関する情報と、車両(1)の自動運転を遠隔操作する遠隔操作デバイス(25)の位置に関する情報を取得する。遠隔操作デバイス(25)の表示画面(24)上に、上方から見たときの車両(1)の形状を表す車両画像を表示し、その際、車両画像を、上述の情報に基づいて、遠隔操作デバイス(25)の位置から車両(1)を見たときの車両画像として表示させる。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の位置および車両の進行方向に関する情報と、車両の自動運転を遠隔操作する遠隔操作デバイスの位置に関する情報を取得し、該遠隔操作デバイスの表示画面上に、上方から見たときの該車両の形状を表す車両画像を表示し、その際、該車両画像を、上記情報に基づいて、遠隔操作デバイスの位置から車両を見たときの車両画像として表示させるよう、コンピュータに機能させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話端末による遠隔操作により車両を駐車させる遠隔駐車システムにおいて、車両駐車動作中における車両と目標駐車スペースと周辺障害物との位置関係をリアルタイムに検出し、これら車両と目標駐車スペースと周辺障害物との平面上にける位置関係を携帯電話端末の表示画面上にリアルタイムに表示するようにした遠隔駐車システムが公知である(例えば特許文献1を参照)。この携帯電話端末の表示画面上には、車両の駐車動作中、車両が表示画面の中央部に位置固定されていて車両周りの目標駐車スペースと周辺障害物がリアルタイムで移動するように表示される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】中国特許出願公開第111754809号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、このように表示画面の中央部に車両が位置固定されていると、携帯電話端末の操作者が目視している車両の向き、例えば、車両の進行方向と、表示画面上における車両の向き、例えば、車両の進行方向とが異なっている場合には、車両の状態、例えば、車両がどちらの方向に進行しているかを直観的に認識するのが困難であるという問題がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
このような問題を解決するために、本発明によれば、車両の位置および車両の進行方向に関する情報と、車両の自動運転を遠隔操作する遠隔操作デバイスの位置に関する情報を取得し、遠隔操作デバイスの表示画面上に、上方から見たときの車両の形状を表す車両画像を表示し、その際、この車両画像を、上述の情報に基づいて、遠隔操作デバイスの位置から車両を見たときの車両画像として表示させるよう、コンピュータに機能させるプログラムが提供される。
【発明の効果】
【0006】
車両の状態を直観的に認識することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は、車両の駐車スペースからの出庫処理を図解的に示す図である。
【
図3】
図3は、上方から見たときの車両の形状を示す図である。
【
図4】
図4は、携帯端末の表示画面上に表示される車両の画像を示す図である。
【
図5】
図5は、携帯端末の表示画面上に表示される車両の画像の変化を説明するための図である。
【
図6】
図6は、携帯端末の表示画面上に表示される車両画像等を調整するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
図1(A)および
図1(B)は、車両を自動運転により駐車スペースから出庫させる出庫処理の代表的な例を示している。なお、
図1(A)は、縦列駐車している多数の車両の中から或る車両1の出庫作業が行われる場合を示している。この場合、
図1(A)に示される例では、車両1は駐車スペース2から出庫位置3まで矢印で示されるように左前方に自動運転により移動せしめられる。一方、
図1(B)は、並列駐車している多数の車両の中から或る車両1の出庫作業が行われる場合を示している。この場合、
図1(B)に示される例では、車両1が駐車スペース2から出庫位置3aまで矢印で示されるように右前方に自動運転により旋回しつつ前進せしめられるか、車両1が駐車スペース2から出庫位置3bまで矢印で示されるように左前方に自動運転により旋回しつつ前進せしめられるか、車両1が駐車スペース2から出庫位置3cまで矢印で示されるように左後方に自動運転により旋回しつつ後退せしめられるか、車両1が駐車スペース2から出庫位置3dまで矢印で示されるように右後方に自動運転により旋回しつつ後退せしめられる。
【0009】
さて、本発明は、車両1が、自動運転による車両の出庫制御を行う出庫支援システムを具備しており、出庫支援システムによる出庫支援の開始および停止を遠隔操作デバイスの遠隔操作により行えるようにし、出庫支援システムによる車両1の出庫支援を開始したときに、遠隔操作デバイスの表示画面上に、上方から見たときの車両の形状を表す車両画像を表示させるようにした場合を対象としている。このような場合において、本発明による一実施例では、遠隔操作デバイスの表示画面上において、駐車スペース2からの車両1の出庫方向を、右前方、左前方、右後方、左後方のように設定し得るように構成されている。ところが、このように遠隔操作デバイスの表示画面上において、車両1の出庫方向を、右前方、左前方、右後方、左後方のように設定し得るようにした場合には、遠隔操作デバイスの表示画面上における車両の向き、例えば、車両の進行方向と、遠隔操作デバイスの操作者が目視している車両の向き、例えば、車両の進行方向とが異なってしまうと、車両1を駐車スペース2からどちらの方向に出庫させれば、車両1を遠隔操作者の希望する方向へ出庫できるかを直観的に認識するのが困難となる。
【0010】
例えば、
図1(A)に示される場合において、遠隔操作デバイスの遠隔操作者がP点に位置しているときに、遠隔操作デバイスの表示画面上の車両画像が、P点から見たときとは逆になるように、即ち、車両前方が左で車両後方が右となるように表示されていると、出庫位置3まで出庫させるのに、一瞬、出庫方向を左前方に設定してよいか戸惑うことになる。一方、
図1(B)に示される場合において、例えば、遠隔操作デバイスの遠隔操作者がQ点に位置しているときに、遠隔操作デバイスの表示画面上の車両画像が、Q点から見たときとは逆になるように、即ち、車両後方が手前で車両前方が向こう側となるように表示されていると、車両1を駐車スペース2からどちらの方向に出庫させれば、車両1を遠隔操作者の希望する方向へ出庫できるかを直観的に認識し得なくなる。
【0011】
そこで本発明では、このような場合でも、車両1を遠隔操作者の希望する方向へ出庫できるかを直観的に認識し得るように、遠隔操作デバイスの表示画面上に表示される車両画像を、遠隔操作デバイスの位置から車両を見たときの車両画像として表示させるようにしている。なお、本発明は、このように駐車スペース2からの車両1の出庫方向を、右前方、左前方、右後方、左後方のように設定し得るようにした場合に特に効果的に適用することができるが、このような場合に限らず、種々の自動運転状態に対して適用可能である。
【0012】
例えば、車両1が周囲の状況から最適な出庫方向を自ら決定し、車両1が決定した最適な出庫方向に向かう車両1を遠隔操作デバイスの表示画面上に表示するように構成されている場合にも、車両1がどちらの方向へ出庫されるかを直観的に認識するのが困難となる。従って、このような場合にも、本発明を適用可能である。また、本発明は、車両1を自動運転により駐車スペースへ駐車させる入庫処理において車両1を遠隔操作デバイスの表示画面上に表示するようにした場合にも適用可能であり、また、車両1の入出庫処理とは関係なく、車両1を遠隔操作により自動運転するときにも適用可能である。
【0013】
なお、以下、駐車スペース2からの車両1の出庫方向を、右前方、左前方、右後方、左後方のように設定し得るようにした場合を例にとって、本発明による一実施例について説明する。最初に、
図2を参照しつつ、本発明を実施するのに適した自動運転可能な車両1の構成について説明する。
図2を参照すると、10は車両1の駆動輪に駆動力を与えるための車両駆動部、11は車両1を制動するための制動装置、12は車両1を操舵するための操舵装置、13は車両1内に搭載された電子制御ユニットを夫々示す。
図2に示されるように、電子制御ユニット13はデジタルコンピュータからなり、双方向性バス14によって互いに接続されたCPU(マイクロプロセッサ)15、ROMおよびRAMからなるメモリ16および入出力ポート17を具備する。
【0014】
一方、
図2に示されるように、車両1には、車両1が自動運転を行うのに必要な各種センサ18、即ち、車両1の状態を検出するセンサおよび車両1の周辺を検出するセンサが設置されている。この場合、車両1の状態を検出するセンサとしては、加速度センサ、速度センサ、方位角センサ、地磁気センサが用いられており、車両1の周辺を検出するセンサとしては、車両1の前方、側方、後方を撮影するカメラ、ライダ(LIDAR)、レーダ等が用いられる。また、車両1には、GNSS(Global Navigation Satellite System:全球測位衛星システム)受信装置19、地図データ記憶装置20、ナビゲーション装置21および各種操作を行うための操作部22が設けられている。GNSS受信装置19は、複数の人工衛星から得られる情報に基づいて、車両1の現在位置(例えば車両1の緯度及び経度)を検出することができる。従って、このGNSS受信装置19により車両1の現在位置を取得することができる。このGNSS受信装置19として、例えば、GPS受信装置が用いられる。
【0015】
地図データ記憶装置20には、車両1が自動運転を行うのに必要な地図データ等が記憶されている。この地図データには、道路や駐車場等に設けられている駐車スペースの位置に関する情報も含まれている。これらの各種センサ18、GNSS受信装置19、地図データ記憶装置20、ナビゲーション装置21および操作部22は、電子制御ユニット13に接続されている。また、車両1には、電子制御ユニット13に接続された通信装置35が搭載されている。一方、
図2には、表示画面24を有する遠隔操作デバイス25が描かれている。この遠隔操作デバイス25は、
図2に示される例では、携帯端末からなり、この携帯端末25は車両1に搭載されている通信装置23との間で近距離通信が可能である。
【0016】
図2に示される例では、車両1は手動運転が可能であり、車両1に対して自動運転による走行制御要請があったときには、車両1に自動運転による走行制御を行わせることが可能である。なお、
図2に示される例では、車両1の車両駆動部10は、2次電池により駆動される電気モータ、或いは、燃料電池により駆動される電気モータより構成されており、駆動輪は、電子制御ユニット13の出力信号に従って、これらの電気モータにより駆動制御される。また、
図2に示される例では、車両1に対して自動運転による走行制御要請があったときには、車両1の制動制御は、電子制御ユニット13の出力信号に従って制動装置11により行われ、車両1の操舵制御も、電子制御ユニット13の出力信号に従って操舵装置12により行われる。
【0017】
さて、本発明による一実施例では、車両1が、自動運転による車両1の出庫制御を行う出庫支援システムを具備しており、この出庫支援システムは、出庫支援システムによる出庫支援の開始および停止を携帯端末25により行え、出庫支援システムによる車両1の出庫支援を開始したときに、携帯端末25の表示画面24上に、上方から見たときの車両の形状を表す車両画像を表示させ、携帯端末25の表示画面24上において、駐車スペース2からの車両1の出庫方向を、右前方、左前方、右後方、左後方のように設定し得るように構成されている。
【0018】
この場合、この出庫支援システムでは、電子制御ユニット13のメモリ16内に記憶されていて、各種センサ18、GNSS受信装置19および地図データ記憶装置20の検出結果に基づき、駐車スペース2から、携帯端末25の表示画面24上において設定された出庫方向に、周辺の障害物と接触することなく、自動運転により車両1を走行させることのできる出庫制御プログラムが用いられており、この出庫制御プログラムが起動されると、この出庫制御プログラムに従って、車両1の出庫制御が行われる。なお、この出庫制御プログラムの詳細については、説明を省略する。
【0019】
一方、この出庫支援は、携帯端末25にダウンロード可能な、例えば、出庫支援アプリを用いて行われる。この出庫支援アプリを携帯端末25にダウンロードすると、例えば、最初に、携帯端末25の表示画面24上に、上方から見たときの車両の形状を表す車両画像が表示される。更にこのとき、携帯端末25の表示画面24上には、例えば、駐車スペース2からの車両1の出庫方向についての四つの選択欄「右前方」、「左前方」、「右後方」、「左後方」が表示される。このとき、いずれかの選択欄にタッチすると、選択欄に対応した車両1の進行方向を示す矢印が携帯端末25の表示画面24上に表示され、同時に、携帯端末25の表示画面24上には出庫要請ボタンが表示される。
【0020】
矢印で表示された車両1の進行方向で問題がないと認識したときには、出庫要請ボタンにタッチする。出庫要請ボタンにタッチすると、車両1のメモリ16内に記憶されている出庫制御プログラムが起動され、出庫支援システムによる出庫支援が開始される。出庫支援が開始されると、車両1は設定された目的位置に向けて自動運転により走行を開始する。一方、出庫支援が開始されると、携帯端末25の表示画面24上には出庫停止ボタンが表示される。車両1が設定された目的位置に到達する前に車両1を停止させたいときには、この出庫停止ボタンにタッチする。出庫停止ボタンにタッチすると、出庫制御プログラムが停止されて出庫支援システムによる出庫支援が停止され、車両1が停止する。なお、この出庫支援アプリの制御プログラムの詳細についても、説明を省略する。
【0021】
次に、
図3から
図6を参照しつつ、本発明をこのような出庫支援に適用した場合の一実施例について説明する。
図3は上方から見たときの車両1の形状を示しており、
図3に示される車両1は、駐車スペースから出庫しようとしているところを示している。また、
図3において、矢印は車両1の進行方向を示している。本発明による実施例では、この車両1の進行方向は、携帯端末25の表示画面24上のいずれかの選択欄にタッチすることにより決定される。従って、
図3は、携帯端末25の表示画面24上において、四つの選択欄「右前方」、「左前方」、「右後方」、「左後方」の中から「右前方」が選択され、「右前方」にタッチされた場合が示されている。一方、
図3のA、B,C,Dは、携帯端末25を操作している端末操作者の位置を示している。
【0022】
なお、前述したように、本発明による実施例では、車両1の出庫方向についての四つの選択欄「右前方」、「左前方」、「右後方」、「左後方」の中からいずれかの選択欄にタッチすると、選択欄に対応した車両1の進行方向を示す矢印が携帯端末25の表示画面24上に表示される。従って、
図3に示される例では、携帯端末25の表示画面24上に、「右前方」を示す矢印が表示されることになる。
【0023】
図4には、
図3のA、B,C,Dの位置に端末操作者がいるときに、携帯端末25の表示画面24上に表示される車両画像および車両1の進行方向を示す矢印が、夫々、A、B,C,Dに示されている。
図3および
図4を参照すると、
図3のAに示されるように端末操作者が車両1の進行方向後方に位置しているときには、
図4のAに示されるように車両1の進行方向後方において上方から見たときの車両1の形状を表す車両画像および車両1の進行方向を示す矢印が携帯端末25の表示画面24上に表示され、
図3のBに示されるように端末操作者が車両1の側方に位置しているときには、
図4のBに示されるように車両1の側方(
図3のB側)において上方から見たときの車両1の形状を表す車両画像および車両1の進行方向を示す矢印が携帯端末25の表示画面24上に表示される。
【0024】
また、
図3のCに示されるように端末操作者が車両1の進行方向前方に位置しているときには、
図4のCに示されるように車両1の進行方向前方において上方から見たときの車両1の形状を表す車両画像および車両1の進行方向を示す矢印が携帯端末25の表示画面24上に表示され、
図3のDに示されるように端末操作者が車両1の側方に位置しているときには、
図4のDに示されるように車両1の側方(
図3のD側)において上方から見たときの車両1の形状を表す車両画像および車両1の進行方向を示す矢印が携帯端末25の表示画面24上に表示される。このように本発明による実施例では、上方から見たときの車両1の形状を表す車両画像および車両1の進行方向を示す矢印が、携帯端末25の位置から車両1を見たときの車両画像および車両1の進行方向を示す矢印として携帯端末25の表示画面24上に表示される。
【0025】
このように、上方から見たときの車両1の形状を表す車両画像および車両1の進行方向を示す矢印が、携帯端末25の位置から車両1を見たときの車両画像および車両1の進行方向を示す矢印として携帯端末25の表示画面24上に表示されると、端末操作者が車両1の周囲のどこの場所にいても、車両1がどちらの方向に進行しようとしているかを直観的に認識することができる。従って、車両1の出庫処理を適切に行うことが可能となる。
【0026】
次に、
図5を参照しつつ、携帯端末25の表示画面24上における車両画像および車両1の進行方向を示す矢印の表示方法の一例について説明する。
図5に示される例では、基準となる携帯端末25の標準位置が予め設定されている。この標準位置は、例えば、
図5において、車両1の中心Gを通り車両1の進行方向に延びる中心軸線Pであって車両1の後方に位置する後方位置Aとされ、端末操作者がこの標準位置Aにいるときに、上方から見たときの車両1の形状を表す車両画像の表示、即ち、
図4のAに示される車両画像の表示が標準表示、即ち、デフォルト表示とされる。この車両画像の標準表示、即ち、デフォルト表示が、車両画像として、車両1から近距離通信により携帯端末25に送信され、携帯端末25内に記憶される。なお、携帯端末25の表示画面24上に表示される車両1の進行方向を示す矢印は、車両1の進行方向に応じて車両1に対し夫々予め定められている位置に表示される。
【0027】
一方、
図5において、端末操作者が、車両1の中心Gを通り車両1の横方向に延びる軸線Q上の側方位置Bに位置したとする。即ち、端末操作者が、
図5において、標準位置Aに対し、車両1の中心Gの周りに角度Θだけ右回りに回転した軸線Q上の側方位置Bに位置したとする。このとき、位置Bにおいて端末操作者が、上方から見たときの車両1の形状を表す車両画像は、
図4のBに示されるように、
図4のAに示される標準表示、即ち、デフォルト表示の車両画像および車両1の進行方向を示す矢印の表示を、
図5において、標準位置Aに対し、車両1の中心Gの周りに角度Θだけ左回りに回転した表示となる。このように携帯端末25の表示画面24上における車両画像および車両1の進行方向を示す矢印の表示は、標準位置Aに対する端末操作者の位置Bが決まると、即ち、
図5において、中心軸線Pと軸線Qとの間の角度Θが決まると、それに応じて表示形態を決めることが可能である。
【0028】
この場合、車両1の進行方向と、中心軸線Pと、車両1の中心Gの位置と、端末操作者の位置、即ち、携帯端末25の位置がわかると、
図5における中心軸線Pと軸線Qとの間の角度Θがわかり、角度Θがわかると、
図4のAに示される標準表示、即ち、デフォルト表示の車両画像をこの角度Θだけ回転させることにより、携帯端末25の表示画面24上における車両画像および車両1の進行方向を示す矢印の表示を、端末操作者にいる位置において、上方から見たときの車両1の形状を表す車両画像および車両1の進行方向を示す矢印の表示とすることができる。そこで本発明による実施例では、中心軸線Pと、車両1の位置と、携帯端末25の位置とを検出し、車両1の進行方向、および、検出された中心軸線Pと、車両1の位置と、携帯端末25の位置に基づいて、携帯端末25の位置に応じた
図4のA、B,C,Dで示されるような車両画像および車両1の進行方向を示す矢印の表示を行うようにしている。
【0029】
図6は、携帯端末25の表示画面24上に表示される車両画像および車両1の進行方向を示す矢印の表示を調整するための表示調整ルーチンを示している。この表示調整ルーチンを実行するためのプログラムは、携帯端末25にダウンロードされる出庫支援アプリの制御プログラムに含まれており、この表示調整ルーチンは携帯端末25内において実行される。
【0030】
図6を参照すると、最初に、ステップ30において、支援が開始されたか否かが判別される。本発明による実施例では、車両1の出庫方向についての四つの選択欄「右前方」、「左前方」、「右後方」、「左後方」の中からいずれかの選択欄がタッチされたときに出庫支援が開始されたと判別される。例えば、「右前方」がタッチされると、支援が開始されたと判別され、その後、出庫方向を「右前方」から「左前方」に変更するために「左前方」がタッチされると、そのときも支援が開始されたと判別される。支援が開始されたと判別されると、ステップ31に進む。一方、支援が開始されていないと判別されたときには、処理サイクルを終了する。
【0031】
ステップ31では、車両1の位置、車両1の進行方向、および車両1の中心軸線Pの方向が車両1から近距離通信により取得される。即ち、車両1では、GNSS受信装置19により車両1の現在位置が検出されており、また、車両1では、地磁気センサにより車両1の方向、即ち、車両1の中心軸線Pの方向が検出されている。従って、ステップ31では、車両1において検出されている車両1の現在位置および車両1の中心軸線Pの方向が、車両1の進行方向とともに、車両1から近距離通信により取得される。次いで、ステップ32では、遠隔操作デバイス25の遠隔操作者の位置、即ち、携帯端末25の端末操作者の位置が取得される。なお、携帯端末25はGPS受信装置を内蔵しており、従って、ステップ32では、このGPS受信装置により携帯端末25の位置、即ち、携帯端末25の端末操作者の位置が取得される。
【0032】
次いで、ステップ33では、デフォルト表示における車両の形状、即ち、
図4のAに示される車両の形状が、端末操作者の位置において、上方から見たとの車両1の形状と同じであるか否かが判別される。この場合、デフォルト表示における車両の形状が、端末操作者の位置において、上方から見たとの車両1の形状と同じになるのは、
図5において、端末操作者が、中心軸線P上であって車両1の後方位置Aにいるときとである。従って、ステップ33では、車両1から取得された車両1の進行方向、中心軸線Pの方向および取得された携帯端末25の位置に基づいて、端末操作者が、中心軸線P上であって車両1の後方位置Aにいるか否かが判別され、端末操作者が、中心軸線P上であって車両1の後方位置Aにいると判別されたときには、デフォルト表示における車両の形状が、端末操作者の位置において、上方から見たとの車両1の形状と同じであると判別される。
【0033】
ステップ33において、デフォルト表示における車両の形状が、端末操作者の位置において、上方から見たとの車両1の形状と同じであると判別されたときには、ステップ34に進み、携帯端末25の表示画面24上には、車両画像がデフォルト表示で表示される。このとき、この実施例では、携帯端末25の表示画面24上に、
図4のAに示される車両画像および選択された車両1の進行方向を示す矢印が表示される。次いで、ステップ36に進む。
【0034】
一方、ステップ33において、デフォルト表示における車両の形状が、端末操作者の位置において、上方から見たとの車両1の形状と同じでないと判別されたときには、ステップ34に進み、前述した方法でもって、携帯端末25の表示画面24上に表示される車両画像が、端末操作者の位置において、上方から見たとの車両1の形状となるように変更される。即ち、取得された車両1の進行方向と、中心軸線Pと、車両1の位置と、携帯端末25の位置に基づいて、携帯端末25の表示画面24上の車両の形状を、端末操作者の位置において、上方から見たときの車両1の形状に一致させるのに必要なデフォルト表示の車両画像の回転角度Θが求められ、携帯端末25の表示画面24上には、
図4のAに示される標準表示、即ち、デフォルト表示の車両画像をこの角度Θだけ回転させた車両画像および選択された車両1の進行方向を示す矢印が表示される。次いで、ステップ36に進む。
【0035】
ステップ36では、支援が終了したか否かが判別される。本発明による実施例では、携帯端末25の表示画面24上には出庫要請ボタンが表示されており、この出庫要請ボタンにタッチしたときに、支援が終了したと判別される。ステップ36において、支援が終了していないと判別されたときには、ステップ31に戻り、携帯端末25の表示画面24上の車両の形状が、端末操作者の位置において、上方から見たときの車両1の形状に一致するように、端末操作者の位置に応じて、デフォルト表示の車両画像が回転される。即ち、出庫要請ボタンにタッチしない限り、携帯端末25の表示画面24上に表示される車両画像および選択された車両1の進行方向を示す矢印が、端末操作者の位置に応じて、
図4のA、B,C,Dで示されるように変化され続ける。一方、ステップ36において支援が終了したと判別されたとき、即ち、出庫要請ボタンにタッチしたときには、処理サイクルを終了する。なお、前述したように、本発明による実施例では、出庫要請ボタンにタッチすると、車両1のメモリ16内に記憶されている出庫制御プログラムが起動され、出庫支援システムによる出庫支援が開始される。
【0036】
これまで本発明を、車両1の出庫制御に適用した場合について説明してきたが、本発明は、このような場合に限らず、前述したように、車両1が周囲の状況から最適な出庫方向を自ら決定している場合にも適用可能であり、車両1の入庫処理、或いは、車両1の入出庫処理とは関係なく、車両1を遠隔操作により自動運転するときにも適用可能である。また、本発明は、車両1の進行方向を示す矢印を表示しない場合にも適用可能である。
従って、本発明によれば、車両1の位置および車両1の進行方向に関する情報と、車両1の自動運転を遠隔操作する遠隔操作デバイス25の位置に関する情報を取得し、遠隔操作デバイス25の表示画面24上に、上方から見たときの車両1の形状を表す車両画像を表示し、その際、車両画像を、これらの情報に基づいて、遠隔操作デバイス25の位置から車両1を見たときの車両画像として表示させるよう、コンピュータに機能させるプログラムが提供される。
【0037】
なお、車両1の進行方向、中心軸線P、車両1の位置、或いは、携帯端末25の位置の取得が不可能な場合には、携帯端末25のカメラにより車両1を撮影し、撮影データに基づいて、車両1の進行方向、車両1の中心軸線Pの方向、携帯端末25の位置に対する車両1の位置を求め、この求めた結果に基づいて、携帯端末25の表示画面24上に表示される車両画像を、携帯端末25の位置から車両1を見たときの車両画像として表示させるよう、コンピュータに機能させることも可能である。また、端末操作者が、携帯端末25の表示画面24上への表示について、車両1を前方から見たときの車両画像の表示、車両1を後方から見たときの車両画像の表示、又は、車両1を側方から見たときの車両画像の表示を任意に設定できるように携帯端末25を構成することも可能である。
【符号の説明】
【0038】
1 車両
2 駐車スペース
13 電子制御ユニット
24 表示画面
25 携帯端末