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  • 特開-印刷版、および印刷物の製造方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024158283
(43)【公開日】2024-11-08
(54)【発明の名称】印刷版、および印刷物の製造方法
(51)【国際特許分類】
   B41N 1/24 20060101AFI20241031BHJP
   B41M 1/12 20060101ALI20241031BHJP
   H05K 3/12 20060101ALI20241031BHJP
【FI】
B41N1/24
B41M1/12
H05K3/12 610P
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023073364
(22)【出願日】2023-04-27
(71)【出願人】
【識別番号】000004547
【氏名又は名称】日本特殊陶業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100160691
【弁理士】
【氏名又は名称】田邊 淳也
(74)【代理人】
【識別番号】100195659
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 祐介
(72)【発明者】
【氏名】倉橋 元信
(72)【発明者】
【氏名】今西 豊
(72)【発明者】
【氏名】近藤 彩子
【テーマコード(参考)】
2H113
2H114
5E343
【Fターム(参考)】
2H113AA01
2H113AA02
2H113BA10
2H113DA04
2H113EA07
2H114AB04
2H114AB08
2H114DA04
2H114EA04
5E343AA02
5E343BB72
5E343DD01
5E343FF01
5E343GG08
(57)【要約】
【課題】印刷パターンの形成精度を向上することができる印刷版を提供する。
【解決手段】印刷版であって、被印刷物に形成される印刷パターンに対応して配置された複数の第1貫通孔を有するパターン形成層と、パターン形成層のうち印刷パターンの形成に用いられる印刷材料が供給される側に積層され、第1貫通孔に接続している複数の第2貫通孔を有する材料供給層と、を備え、材料供給層は、電気鋳造品であり、材料供給層の厚みは、10μm以上100μm以下であることを特徴とする。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷版であって、
被印刷物に形成される印刷パターンに対応して配置された複数の第1貫通孔を有するパターン形成層と、
前記パターン形成層のうち前記印刷パターンの形成に用いられる印刷材料が供給される側に積層され、前記第1貫通孔に接続している複数の第2貫通孔を有する材料供給層と、を備え、
前記材料供給層は、電気鋳造品であり、
前記材料供給層の厚みは、10μm以上100μm以下であることを特徴とする、印刷版。
【請求項2】
請求項1に記載の印刷版であって、
前記パターン形成層の厚みは、0.1μm以上50μm以下であることを特徴とする、印刷版。
【請求項3】
請求項2に記載の印刷版であって、
前記パターン形成層を構成する材料は、樹脂材料であることを特徴とする、印刷版。
【請求項4】
請求項2に記載の印刷版であって、
前記パターン形成層は、電気鋳造品であることを特徴とする、印刷版。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の印刷版であって、
少なくとも一部の前記第1貫通孔の幅は、50μm以下であることを特徴とする、印刷版。
【請求項6】
被印刷物に印刷パターンが転写された印刷物の製造方法であって、
請求項1または請求項2に記載の印刷版を使用して、前記被印刷物に前記印刷パターンを転写することを特徴とする、印刷物の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷版、および印刷物の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電子部品の配線や電極等の印刷パターンの形成には、その配線や印刷パターンに対応して配置された貫通孔を有する印刷版が用いられることが知られている。例えば、特許文献1には、印刷パターンの形成に用いられる印刷材料が供給される材料供給層として、スクリーンメッシュを備えた印刷版が開示されている。特許文献2,3には、材料供給層として、貫通孔が形成された金属製の板状部材を備えた印刷版がそれぞれ開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-24108号公報
【特許文献2】特開2019-206088号公報
【特許文献3】特開2021-104686号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1~3のいずれの印刷版においても、印刷パターンの形成精度については、なお改善の余地があった。
【0005】
本発明は、上述した課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、印刷パターンの形成精度を向上することができる印刷版を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態として実現できる。
【0007】
(1)本発明の一形態によれば、印刷版が提供される。この印刷版は、被印刷物に形成される印刷パターンに対応して配置された複数の第1貫通孔を有するパターン形成層と、前記パターン形成層のうち前記印刷パターンの形成に用いられる印刷材料が供給される側に積層され、前記第1貫通孔に接続している複数の第2貫通孔を有する材料供給層と、を備え、前記材料供給層は、電気鋳造品であり、前記材料供給層の厚みは、10μm以上100μm以下である。
【0008】
この構成によれば、材料供給層は電気鋳造品であるため、第2貫通孔の横断面形状や横断面サイズを高精度かつ高い自由度で設計できるとともに、そのような第2貫通孔を任意の位置に精度良く配置することができる。このため、第1貫通孔に対して印刷材料を通過させる空間が広く確保された第2貫通孔の各々を材料供給層に形成することができる。したがって、印刷材料が第2貫通孔の各々に詰まるのを抑制することができる。また、この構成によれば、材料供給層は電気鋳造品であるため、高精度での膜厚調整が可能であることから、材料供給層の膜厚のばらつきを小さくすることができる。その結果、膜厚のばらつきが大きいことによって印刷材料が材料供給層を通過しにくくなるのを抑制できることから、印刷パターンの厚さが大きくばらつくことや、印刷パターンにかすみやにじみが生じることを抑制することができる。すなわち、これらの観点から、この構成によれば、材料供給層は電気鋳造品であることにより、印刷パターンの形成精度を向上することができる。また、この構成によれば、材料供給層の厚みは10μm以上100μm以下であることから、厚みが10μmより薄いことで材料供給層の強度が不足したり材料供給層に穴が開きやすくなったりすることや、厚みが100μmより厚いことで印刷パターンの厚さのばらつきが大きくなることを抑制することができる。このような観点からも、この構成によれば、印刷パターンの形成精度を向上することができる。
【0009】
(2)上記態様の印刷版において、前記パターン形成層の厚みは、0.1μm以上50μm以下であってもよい。
この構成によれば、パターン形成層の厚みが0.1μmより薄いことで印刷パターンにかすれが生じやすくなることや、パターン形成層の厚みが50μmより厚いことで印刷パターンの厚さのばらつきが大きくなることを抑制することができる。
【0010】
(3)上記態様の印刷版において、前記パターン形成層を構成する材料は、樹脂材料であってもよい。
この構成によれば、印刷パターンが形成される被印刷物に対して、パターン形成層の密着性を高めることができる。
【0011】
(4)上記態様の印刷版において、前記パターン形成層は、電気鋳造品であってもよい。
この構成によれば、パターン形成層における第1貫通孔の配置を精度良く調整できる。また、パターン形成層の膜厚のばらつきを小さくできることから、印刷パターンの厚さが大きくばらつくことや、印刷パターンにかすみやにじみが生じることをより一層抑制することができる。
【0012】
(5)上記態様の印刷版において、前記第1貫通孔の幅は、50μm以下であってもよい。
この構成によれば、50μm以下の幅の印刷パターンを被印刷物に形成することができる。
【0013】
(6)本発明の他の形態によれば、被印刷物に印刷パターンが転写された印刷物の製造方法が提供される。この製造方法では、上記形態に記載の印刷版を使用して、被印刷物に印刷パターンを転写する。
この構成によれば、少なくとも材料供給層が電気鋳造品であることにより印刷パターンの形成精度が向上された印刷版が印刷物の製造に使用されることから、精度良く印刷パターンが転写された印刷物を製造することができる。
【0014】
なお、本発明は、種々の態様で実現することが可能であり、例えば、印刷版、印刷版を含む印刷システム、印刷版に印刷材料を供給する装置および印刷版を含む印刷システム、およびこれらの製造方法等の形態で実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の一実施形態の印刷版の構成を模式的に示す平面図である。
図2】中央板部の一部を拡大した平面図である。
図3図2のF3-F3線における断面図である。
図4】比較例の印刷版に形成された第1貫通孔を拡大した平面図である。
図5図4のF5-F5線における断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1は、本発明の一実施形態の印刷版1の構成を模式的に示す平面図である。図1には、相互に直交するXYZ軸が図示されている。このXYZ軸は、図1以降の各図においても共通する。印刷版1は、被印刷物の表面に印刷パターンを形成する際に用いられ、印刷パターンの形成に用いられる印刷材料を選択的に通過させる板状部材である。ここでいう印刷パターンとは、印刷版1を通過して被印刷物の表面に転写された印刷材料によって形成される模様のことである。図1において、印刷材料は、+Z軸方向側から-Z軸方向側に向けて印刷版1を通過することによって、印刷パターンを形成する。印刷版1は、フレーム10と、中央板部20と、を備えている。フレーム10は、金属製の枠状部材である。中央板部20は、フレーム10の内側に嵌められた板状部材である。図1に示す材料供給層24、第1貫通孔22hおよび第2貫通孔24hは、以降の図2,3を用いて説明する。
【0017】
図2は、中央板部20の一部を拡大した平面図である。図3は、図2のF3-F3線における断面図である。図3に示すように、中央板部20は、パターン形成層22と、材料供給層24と、を備える。パターン形成層22は、被印刷物の表面に印刷パターンを形成する際に、被印刷物と対向する側に配置される層である。本実施形態では、パターン形成層22を構成する材料は、樹脂材料である。樹脂材料としては、乳剤、ポリイミド等が挙げられる。また、パターン形成層22の厚み22Tは、0.1μm以上50μm以下の範囲内の厚みである。なお、厚み22Tは、パターン形成層22の平均厚みのことである。パターン形成層22は、複数の第1貫通孔22hを有する(図1参照)。図1,2において、第1貫通孔22hは、材料供給層24に隠れていることにより本来視認できないが、理解を容易にするために、図1では実線で図示し、図2では破線で図示している。第1貫通孔22hの各々は、被印刷物に形成される印刷パターンに対応して配置されている。ここで、第1貫通孔22hの各々が印刷パターンに対応して配置されているとは、第1貫通孔22hの各々を通過した印刷材料が所望の印刷パターンの各々を形成するよう、第1貫通孔22hの各々が配置されていることをいう。すなわち、第1貫通孔22hの各々は、印刷パターンの各々を画定するために配置されている。なお、複数の第1貫通孔22hのうち一部の第1貫通孔22hの幅L(図2,3参照)は、50μm以下である。すなわち、複数の第1貫通孔22hには、50μm以上の幅の第1貫通孔22hも含まれている。なお、ここでいう幅とは、第1貫通孔22hの横断面(図2,3ではXY平面に沿った断面)形状における短手方向の長さのことである。
【0018】
図3に示すように、材料供給層24は、被印刷物の表面に印刷パターンを形成する際に、印刷材料が供給される側に配置される層である。すなわち、材料供給層24は、パターン形成層22のうち印刷材料が供給される側(図3では+Z軸方向側)に積層されている。本実施形態では、材料供給層24は、電気鋳造により形成された電気鋳造品である。詳細には、材料供給層24は、ニッケル、もしくは、ニッケルおよびコバルト等の金属を電気鋳造で堆積させることによって形成されている。また、材料供給層24の厚み24Tは、10μm以上100μm以下の範囲内の厚みである。なお、厚み24Tは、材料供給層24の平均厚みのことである。材料供給層24は、複数の第2貫通孔24hを有する。第2貫通孔24hは、第1貫通孔22hに接続している。
【0019】
図2,3に示した第2貫通孔24hの横断面の断面積は、その第2貫通孔24hが接続している第1貫通孔22hの横断面の断面積より小さい。すなわち、図2,3で示した第1貫通孔22hには、複数の第2貫通孔24hが接続している。むろん、パターン形成層22が有する複数の第1貫通孔22hの中には、1つの第2貫通孔24hのみが接続している第1貫通孔22hが含まれていてもよい。
【0020】
印刷版1を用いて被印刷物の表面に印刷パターンを形成する場合、材料供給層24のうち+Z軸方向側の面に供給された印刷材料は、スキージで第2貫通孔24hに向けて押し出されたのち第1貫通孔22hを通過して、被印刷物の表面に転写される。第1貫通孔22hは、被印刷物に形成される印刷パターンに対応して配置されていることから、第1貫通孔22hを通過した印刷材料は、被印刷物の表面に配置される際には印刷パターンを形成する。
【0021】
図4は、比較例の印刷版1Cに形成された第1貫通孔22ch(後述する)を拡大した平面図である。図5は、図4のF5-F5線における断面図である。印刷版1Cは、印刷版1が備える中央板部20の代わりに、中央板部20c(図5に図示)を備える点が、印刷版1と異なる。中央板部20cは、パターン形成層22cと、メッシュ層24cと、を備えている。パターン形成層22cは、印刷版1におけるパターン形成層22と同様に、被印刷物に形成される印刷パターンに対応して配置された複数の第1貫通孔22chを有する。
【0022】
メッシュ層24cは、線材を編んで形成された編組層であり、パターン形成層22cのうち印刷材料が供給される側(図5では+Z軸方向側)に配置されている。メッシュ層24cのうち第1貫通孔22chの+Z軸方向側に配置されていない部分は、パターン形成層22cに埋設されている。メッシュ層24cは、第1貫通孔22chに接続した複数のメッシュ孔24chを有する。
【0023】
図4で示すように、メッシュ孔24chが一定間隔で配列されているメッシュ層24cは、パターン形成層22cの+Z軸方向側に無作為に配置されている。そのため、印刷版1Cにおいては、印刷材料が供給される側(図4では+Z軸方向側)から見て、第1貫通孔22chに一部しか重なっていないメッシュ孔24ch(図4ではメッシュ孔24Laとして図示)が配置されることがある。このようなメッシュ孔24Laでは、一部がパターン形成層22cに埋設されていることで横断面サイズが小さくなっているため、第1貫通孔22hに対して印刷材料を通過させる空間が狭くなっていることから、印刷材料が詰まりやすくなっている。一方、本実施形態の印刷版1においては、材料供給層24は電気鋳造品であるため、第2貫通孔24hの横断面形状や横断面サイズを高精度かつ高い自由度で設計できるとともに、そのような第2貫通孔24hを任意の位置に精度良く配置することができる(例えば図2参照)。このため、第1貫通孔22hに対して印刷材料を通過させる空間が広く確保された第2貫通孔24hの各々を材料供給層24に形成することができる。したがって、印刷材料が第2貫通孔24hの各々に詰まるのを抑制することができる。
【0024】
また、図4,5で示した印刷版1Cのように、印刷材料を供給される層がメッシュ層24cである場合、線材同士の交点部分ISは他の部分と比べて膜厚が厚くなっているためにメッシュ層24cの膜厚のばらつきは大きくなっている。このように膜厚が大きくばらついているメッシュ層24cでは、印刷材料が通過しにくくなることがある。その結果、印刷パターンの厚さが大きくばらついたり、印刷パターンにかすみやにじみが生じたりする場合がある。一方、本実施形態の印刷版1においては、材料供給層24は電気鋳造品であるため、高精度での膜厚調整が可能であることから、材料供給層24の膜厚のばらつきを小さくすることができる。その結果、膜厚のばらつきが大きいことによって印刷材料が材料供給層24を通過しにくくなるのを抑制できることから、印刷パターンの厚さが大きくばらつくことや、印刷パターンにかすみやにじみが生じることを抑制することができる。
【0025】
以上説明したように、本実施形態の印刷版1によれば、材料供給層24は電気鋳造品であることにより、印刷パターンの形成精度を向上することができる。また、材料供給層24の厚みは10μm以上100μm以下であることから、厚みが10μmより薄いことで材料供給層24の強度が不足したり材料供給層24に穴が開きやすくなったりすることや、厚みが100μmより厚いことで印刷パターンの厚さのばらつきが大きくなることを抑制することもできる。このような観点からも、本実施形態の印刷版1によれば、印刷パターンの形成精度を向上することができる。すなわち、本実施形態の印刷版1を使用して印刷物を製造した場合、精度良く印刷パターンが転写された印刷物を製造することができる。
【0026】
また、本実施形態の印刷版1では、パターン形成層22の厚みは、0.1μm以上50μm以下である。このため、パターン形成層22の厚みが0.1μmより薄いことで印刷パターンにかすれが生じやすくなることや、パターン形成層22の厚みが50μmより厚いことで印刷パターンの厚さのばらつきが大きくなることを抑制することができる。
【0027】
また、本実施形態の印刷版1では、パターン形成層22を構成する材料は、樹脂材料である。このため、印刷パターンが形成される被印刷物に対して、パターン形成層22の密着性を高めることができる。
【0028】
また、本実施形態の印刷版1では、複数の第1貫通孔22hのうち一部の第1貫通孔22hの幅は、50μm以下である。このため、50μm以下の幅の印刷パターンを被印刷物に形成することができる。50μm以下の幅の印刷パターンを形成するための印刷版として、図4,5で説明した比較例の印刷版1Cを用いた場合、印刷材料が供給される側から見て、50μm以下の幅の第1貫通孔22hに一部しか重なっていないメッシュ孔24chが配置されたり(図4参照)、メッシュ層24cを形成している線材の太さによっては、印刷材料が供給される側から見て、メッシュ層24cのうち第1貫通孔22chの+Z軸方向側に配置された部分において線材が占める面積の割合が多くなったりすることがある。このような印刷版1Cでは、印刷材料がメッシュ層24cを通過できる空間が狭くなっていることから、印刷パターンの形成精度は低くなりやすい。一方、本実施形態の印刷版1では、材料供給層24は電気鋳造品であるため、印刷材料を通過させる空間が広く確保された第2貫通孔24hを材料供給層24に形成することができることから、第1貫通孔22hの幅が50μm以下であったとしても、精度良く印刷パターンを形成できる。
【0029】
<本実施形態の変形例>
本発明は上記の実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様において実施することが可能であり、例えば次のような変形も可能である。
【0030】
上記実施形態では、パターン形成層22を構成する材料は、樹脂材料であったが、これに限られない。例えば、パターン形成層22を構成する材料は、金属材料であってもよい。さらに、パターン形成層22は、電気鋳造品であってもよい。このような構成の印刷版によれば、パターン形成層22における第1貫通孔22hの配置を精度良く調整できる。また、パターン形成層22の膜厚のばらつきを小さくできることから、印刷パターンの厚さが大きくばらつくことや、印刷パターンにかすみやにじみが生じることをより一層抑制することができる。さらに、パターン形成層22が材料供給層24と共に電気鋳造により一体成形されている印刷版では、剛性を高くすることができる。
【0031】
上記実施形態では、パターン形成層22の厚み22Tは、0.1μm以上50μm以下の範囲内の厚みであったが、これに限られない。パターン形成層22の厚み22Tは、0.1μmより小さくてもよいし、50μmよりも大きくてもよい。
【0032】
上記実施形態では、図2に示すように、第2貫通孔24hの横断面形状は、矩形状であったが、これに限られない。第2貫通孔24hの横断面形状は、楕円形状や多角形状であってもよいし、直線部分と湾曲部分とを共に含む形状であってもよい。また、上記実施形態では、図2に示すように、1つの第1貫通孔22hに接続している第2貫通孔24hの各々の横断面形状は同一形状であったが、これに限られず、1つの第1貫通孔22hに接続している第2貫通孔24hの各々の横断面形状は、異なる形状であってもよい。また、第2貫通孔24hの横断面サイズについても、第1貫通孔22hに対して印刷材料を通過させる空間が広く確保されている限り、任意に調整可能である。
【0033】
以上、実施形態、変形例に基づき本態様について説明してきたが、上記した態様の実施の形態は、本態様の理解を容易にするためのものであり、本態様を限定するものではない。本態様は、その趣旨並びに特許請求の範囲を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本態様にはその等価物が含まれる。また、その技術的特徴が本明細書中に必須なものとして説明されていなければ、適宜、削除することができる。
【0034】
本発明は、以下の形態としても実現することが可能である。
[適用例1]
印刷版であって、
被印刷物に形成される印刷パターンに対応して配置された複数の第1貫通孔を有するパターン形成層と、
前記パターン形成層のうち前記印刷パターンの形成に用いられる印刷材料が供給される側に積層され、前記第1貫通孔に接続している複数の第2貫通孔を有する材料供給層と、を備え、
前記材料供給層は、電気鋳造品であり、
前記材料供給層の厚みは、10μm以上100μm以下であることを特徴とする、印刷版。
[適用例2]
適用例1に記載の印刷版であって、
前記パターン形成層の厚みは、0.1μm以上50μm以下であることを特徴とする、印刷版。
[適用例3]
適用例1または適用例2に記載の印刷版であって、
前記パターン形成層を構成する材料は、樹脂材料であることを特徴とする、印刷版。
[適用例4]
適用例1から適用例3までのいずれかに記載の印刷版であって、
前記パターン形成層は、電気鋳造品であることを特徴とする、印刷版。
[適用例5]
適用例1から適用例4までのいずれかに記載の印刷版であって、
少なくとも一部の前記第1貫通孔の幅は、50μm以下であることを特徴とする、印刷版。
[適用例6]
被印刷物に印刷パターンが転写された印刷物の製造方法であって、
適用例1から適用例5のいずれかに記載の印刷版を使用して、被印刷物に印刷パターンを転写することを特徴とする、印刷物の製造方法。
【符号の説明】
【0035】
1…印刷版
10…フレーム
20…中央板部
22…パターン形成層
22h…第1貫通孔
24…材料供給層
24h…第2貫通孔
図1
図2
図3
図4
図5