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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024158296
(43)【公開日】2024-11-08
(54)【発明の名称】遊技場用システム
(51)【国際特許分類】
   A63F 7/02 20060101AFI20241031BHJP
【FI】
A63F7/02 328
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023073387
(22)【出願日】2023-04-27
(71)【出願人】
【識別番号】000108937
【氏名又は名称】ダイコク電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000567
【氏名又は名称】弁理士法人サトー
(72)【発明者】
【氏名】奈良崎 哲太
(72)【発明者】
【氏名】射庭 弘貴
【テーマコード(参考)】
2C088
【Fターム(参考)】
2C088CA13
2C088CA35
(57)【要約】
【課題】遊技機や遊技装置のテストに立ち会う必要性の低い承認者の承認を条件としてテストモードを許容する場合に、当該承認者の負担を軽減する。
【解決手段】遊技場の従業員向けの通常ログイン、及び承認者向けの特別ログインを受付可能であり、通常ログインが受付られた場合に、遊技装置2のテストモードへの移行を抑制するが、承認者が特別ログインし、特別メンテナンス画面にて「テストモード操作権限」釦56を操作したことで承認者による承認が受付けられたことを条件として、通常ログインが受付けられた場合におけるテストモードへの移行の抑制を解除する。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技機に対応して設けられる遊技装置が、当該遊技機及び遊技装置の内、少なくとも何れか一方の状態を確認するためのテストモードへ移行可能な遊技場用システムであって、
遊技場の従業員向けの通常ログイン、及び承認者向けの特別ログインを受付けるログイン受付手段と、
前記ログイン受付手段により前記通常ログインが受付られた場合に、前記遊技装置の前記テストモードへの移行を抑制する抑制手段と、
前記ログイン受付手段により前記特別ログインが受付けられた場合に、承認者による承認を受付ける承認受付手段と、
前記承認受付手段により承認者による承認が受付けられたことを条件として、前記ログイン受付手段により前記通常ログインが受付けられた場合における前記テストモードへの移行の抑制を解除する抑制解除手段と、を備える遊技場用システム。
【請求項2】
前記抑制解除手段は、所定の抑制解除終了条件が成立することで、前記テストモードへの移行の抑制の解除を終了する請求項1に記載した遊技場用システム。
【請求項3】
前記抑制解除終了条件を、前記遊技装置が前記テストモードへ1回移行した場合であっても成立しない条件とすることで、当該抑制解除終了条件が成立するまで複数回の前記テストモードへの移行が許容される請求項2に記載した遊技場用システム。
【請求項4】
前記抑制解除終了条件は、前記遊技装置を営業状態とする開店処理が実行されることで成立する請求項2又は3に記載した遊技場用システム。
【請求項5】
遊技場に設けられる複数の遊技装置の内、一部の遊技装置が前記テストモードへ移行可能に構成され、
前記一部の遊技装置が前記テストモード中である場合に、前記遊技装置を営業状態とするための開店処理を抑制する開店処抑制手段を備える請求項1又は2に記載した遊技場用システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技場用システムに関する。
【背景技術】
【0002】
遊技場に設置される遊技機や貸出機能を備えた遊技装置は、例えば閉店中にテストモードとして状態を確認する必要があり、例えば特許文献1では遊技機の状態を確認するために、リモコン操作により試し打ち有効モードへ移行させることで、対価無で遊技媒体を払い出せるようにしたシステムが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011-160983号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
さて、このようなテストモードについて、特に貸出機能を備えた貨幣価値を取扱う遊技装置は不正を考慮する必要もあり、例えばシステムの製造元の承認を得る必要がある場合も見受けられる。この場合、テストは閉店中に行われることが多いが、システムの製造元の従業員がテスト自体に立ち会う必要がない場合であっても上記承認を行うために、遊技場に訪れたり、或いはリモートのような遠隔操作を行ったりする必要があり、このような承認を行う者の負担となっていた。
【0005】
このようなことは遊技装置に限った問題ではなく、例えば遊技機の試し打ちに経営者の承認を要するといった独自の取り決めがある場合にも承認者である経営者にとっての負担になり得るが、不正や独自の取り決め等を考慮すると承認者の承認を完全に省略することは難しく、この点でシステムの改善が望まれていた。
【0006】
本発明は、上記した事情に鑑みてなされたもので、その目的は、遊技機や遊技装置のテストに立ち会う必要性の低い承認者の承認を条件としてテストモードを許容する場合に、当該承認者の負担を軽減することが可能な遊技場用システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、遊技機に対応して設けられる遊技装置が、当該遊技機及び遊技装置の内、少なくとも何れか一方の状態を確認するためのテストモードへ移行可能な遊技場用システムであって、遊技場の従業員向けの通常ログイン、及び承認者向けの特別ログインを受付けるログイン受付手段(例えば管理装置6等)と、前記ログイン受付手段により前記通常ログインが受付られた場合に、前記遊技装置の前記テストモードへの移行を抑制する抑制手段(例えば管理装置6等)と、前記ログイン受付手段により前記特別ログインが受付けられた場合に、承認者による承認を受付ける承認受付手段(例えば管理装置6等)と、前記承認受付手段により承認者による承認が受付けられたことを条件として(例えば図5に示す特別メンテナンス画面にて「テストモード操作権限」釦56を操作する等)、前記ログイン受付手段により前記通常ログインが受付けられた場合における前記テストモードへの移行の抑制を解除する(例えばテストモードの開始操作を許容する等)抑制解除手段(例えば管理装置6等)と、を備える。
【0008】
上記した構成によれば、通常ログイン及び特別ログインを受付可能であり、通常ログインが受付られた場合に、遊技装置のテストモードへの移行を抑制するが、特別ログインが受付けられた場合に、承認者による承認が受付けられたことを条件として、通常ログインが受付けられた場合におけるテストモードへの移行の抑制を解除するようにしたので、遊技機や遊技装置のテストに立ち会う必要性の低い承認者の承認を条件としてテストモードを許容する場合に、当該承認者の負担を軽減することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】一実施形態における遊技場用システムの構成を示す概略図
図2】遊技機及び遊技装置の正面図
図3】遊技装置を中心に示す電気的ブロック図
図4】モード別スペック値を例示する図
図5】特別メンテナンス画面を示す図
図6】通常メニューを示す図
図7】テストモード移行画面を示す図
図8】開店処理画面を示す図
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、一実施形態について図面を参照して説明する。図1は、遊技場用システムの全体構成を示す概略図である。遊技場内には多数の遊技機1が設置されており、それら遊技機1と1対1で対応して遊技装置2及び情報表示装置3が付設されている。
【0011】
遊技機1は対応する遊技装置2に接続され、遊技装置2及び情報表示装置3は2台ずつ中継装置4に接続され、中継装置4はLAN5を介して管理装置6(ログイン受付手段、抑制手段、承認受付手段、抑制解除手段、開店処抑制手段に相当する)と接続されている。管理装置6は、遊技機1における遊技状況を示す遊技情報を受信することにより、遊技機1毎に遊技情報を管理する。この場合、遊技機1における遊技情報は、当該遊技機1側から遊技装置2、中継装置4を順次経由して管理装置6にて受信される。一方、管理装置6において設定される遊技装置2の各種設定情報は、当該管理装置6側から中継装置4を経由して遊技装置2にて受信される。
【0012】
遊技場には、景品交換端末(以下、POSと称する)7や図示しない精算機も設置されており、POS7や精算機もLAN5を介して管理装置6と接続されている。POS7は、遊技装置2で発行された会員カード10aや一般カード10bといったICカード10(図3参照)により特定される持玉や貯玉等の遊技価値に基づいて景品交換処理を実行する。POS7は、景品交換処理する場合、遊技者が獲得した持玉や持メダルをICカード10から読取ったり、景品交換を希望する会員を特定することで当該会員としての遊技者が遊技場へ預入れた貯蓄価値(貯玉、貯メダル)を管理装置6からオンラインで取得することで景品交換可能な遊技価値を特定したりする。
【0013】
図示は省略するが、精算機は、ICカード10がカード挿入口に挿入されると、挿入されたICカード10を受付け、当該ICカード10に記録されている入金残高(貨幣価値、以下、残高と称する場合がある)をカードリーダ(図示せず)により読取り、その読取った残高に対応する紙幣や硬貨を返却口から返却する。又、精算機には、紙幣が投入される紙幣投入口が設けられており、ICカード10に記録されている入金残高に投入金額を加算可能となっている。
【0014】
ICカード10としての会員カード10aと一般カード10bは、何れも図示しないICチップが内蔵され、遊技価値と残高(貨幣価値)とを特定可能な記録媒体である。このうち、一般カード10bは、不特定多数の一般遊技者に対して発行される一般記録媒体であり、予め会員登録を行った会員に対して発行される会員カード10aと区別する。
【0015】
管理装置6は、遊技場内の例えば事務室等に設置されており、遊技場の管理者が操作するキーボード14、モニタ15、図示しないプリンタ等が接続されている。図1では図示を省略したが、実際には例えば数百台の遊技機1が管理装置6の管理対象となっている。管理装置6は、遊技場内に設置された遊技機1、遊技装置2、POS7、精算機等の稼動状況を管理する。
【0016】
遊技機1は、所謂封入式のパチンコ機を例とする。遊技機1は、遊技者が所有する残高、持玉、貯玉を換算した遊技玉を記憶及び管理している管理遊技機であり、その記憶している遊技玉が残っていることを条件として内部のパチンコ玉を発射装置に供給して盤面に発射し、入賞して遊技者が遊技玉を獲得すると、遊技玉を払出すことなくデータ上の獲得玉として加算するといったように、その増減につき主となって管理する。
【0017】
遊技機1各々において、遊技者が遊技により獲得した遊技価値であって、遊技機1側で主として管理される遊技玉を遊技機価値とも称し、遊技装置2側で主として管理される持玉を装置価値とも称する。
【0018】
図2に示すように、遊技機1は、パチンコ玉が発射される盤面1a、発射装置を構成する操作ハンドル16、残高を遊技玉に換算するための貸出釦17、会員カード10aや一般カード10bを発行するための返却釦18、残高を表示する残高表示部19、遊技玉を持玉に換算するための計数釦20、遊技玉数を表示する遊技玉表示部21を有する。盤面1aには、普図表示部22、普図保留表示部23、特図表示部24、普図入賞口25、一般入賞口26,27、第1保留数表示部28、第2保留数表示部29、第1始動口30、第2始動口31、大入賞口32を有する。又、計数釦20及び遊技玉表示部21の下方に、装飾用パネル33を有する。
【0019】
遊技機1は以下のように動作する。
(1)第1始動口30は入賞率が変動しない入賞口(所謂ヘソ入賞口)であり、第2始動口31は入賞率が変動する入賞口(所謂電チュー)である。各始動口30,31への入賞(始動入賞)に応じて大当り抽選を行い、抽選結果を特図表示部24にて行う図柄変動(単位遊技)にて報知し、その変動結果に応じて大当りとなる。
【0020】
(2)図柄変動中に始動入賞した場合には所定の保留上限値(例えば各4つ)まで図柄変動を累積的に保留し、図柄変動終了後に保留している図柄変動を開始する。尚、保留している図柄変動数(保留数)が上限値である状態で始動入賞した場合、図柄変動は保留されない。
【0021】
(3)遊技機設定値(モード)が6段階で設けられている。このモードにより、図4に示すモード別スペック値の通り、大当り抽選の当選確率(大当り確率)を通常遊技状態(通常状態、通常)と確変状態(確変状態、確変)とを対象として調整可能となっている。大当りがその後に確変となる大当り(確変大当り)となる割合である確変率(例えば66%で全モード共通)も定められている。又、通常状態と確変の大当り確率は、高設定ほど高い確率に設定されているが、当該大当り確率をモードにより不変とする一方、確変率を調整可能とするように、通常状態と確変の大当り確率や確変率、後述するラウンド振分率等の少なくとも1つがモードにより調整可能であれば良い。
【0022】
(4)大当りが発生すると対応するラウンド(R)分だけ大入賞口32を開放する。1Rの上限入賞数は10個、上限開放期間は30秒であり、上限入賞数又は上限開放期間の何れか満たされた場合に1Rを終了する。対応するラウンドも大当り抽選と同様に抽選され、その振分率は、第1始動口30に入賞した場合は、2Rが10%、8Rが50%、15Rが40%であるが、第2始動口31に入賞した場合は、8Rが10%、15Rが90%であり、入賞に応じた図柄変動の保留消化優先順位は第1始動口30よりも第2始動口31の方が高く設定される。
【0023】
(5)確変中は大当り確率が向上すると共に、第2始動口31の入賞率が高くなる時短状態(時短)になる。又、確変大当りでない大当り(通常大当り)が発生した場合は大当り後に確変でない時短(単独時短)となり、所定の時短回数(例えば100回)分の図柄変動を行うか大当りが発生するまで時短を継続し、大当りが発生せずに時短回数分の図柄変動を行うと通常状態に戻る。
【0024】
(6)第2始動口31は普図入賞口25への入賞に応じて変動する普通図柄(普図)が当りとなった場合に通常の状態よりも入賞率の高い開放状態となる。この場合、普図1回の変動期間は通常状態では30秒であり、時短状態では3秒である。又、開放期間は通常状態では0.3秒であり、時短では5秒である。即ち、時短では通常状態と比較して普図変動期間が短くなる一方、開放期間が長くなることで開放状態になり易くなり、第2始動口31の入賞率が高くなる。
【0025】
(7)大入賞口32や第2始動口31が盤面1aの右側にあることから時短中や大当り中には盤面1aの右側を狙って打つ所謂右打ちが行われる。以上は機種Aを例にして説明したが、例示した値は例えば機種Bであればラウンドの振分が異なる等、機種に応じて様々な値となり、遊技性も異なる。又、遊技機1の構成については、貸出釦17や、カード10の発行時に操作される返却釦18を遊技装置2側に設ける等、適宜変更可能である。
【0026】
遊技機1は、遊技者による玉の打ち込みや各始動口30,31への始動入賞等の遊技の進行に伴って、以下に示すデータ項目を出力する。
「アウト」=前回データ送信時からの消費(使用、打込)価値(アウト)を1玉単位で示すデータ項目。
「セーフ」=前回データ送信時からの入賞に応じて付与された入賞付与価値(セーフ)を1玉単位で示すデータ項目。
「S入賞(回数)」=前回データ送信時からの始動入賞(S入賞)を1回単位で示すデータ項目。
「スタート(回数)」=前回データ送信時からのS入賞により作動(変動)する役物(特図表示部24)のスタート(図柄変動数、役物作動数、単位遊技数)を示すデータ項目。確定した時点で計数されるが、開始した時点で計数しても良い。
【0027】
「作動中(状態)」=データ送信時に図柄変動中等の役物が作動中であればオン、非作動中ならオフを示すデータ項目。オンとなってからオフとなるまでの期間が役物作動中として特定される。
「大当り(回数)」=前回データ送信時から発生した大当り数を1回単位で示すデータ項目。発生した時点で計数されるが、終了した時点で計数しても良い。
「大当り(状態)」=データ送信時に大当り状態の発生中であればオン、大当り状態の発生中でなければオフを示すデータ項目。オンとなってからオフとなるまでの期間が大当り中として特定される。
【0028】
「甘中(状態)」=データ送信時に、特別状態中(甘中)或いは大当り状態の発生中であればオン、それ以外であればオフを示すデータ項目。オンとなってからオフとなるまでの期間が甘中或いは大当り中として特定される。例えば甘中(状態)がオンの場合、大当り(状態)がオンであれば大当り中、オフなら甘中と特定される。又、大当り(状態)と甘中(状態)の何れもオフであれば通常状態と特定される。尚、大当り中では、甘中が必ずしもオンにならなくても良い。甘中は、上記した時短や確変といった特別状態に対応しており、甘中或いは大当り中は、特賞中に相当する。
「遊技玉数」=遊技機1にて記憶している遊技玉数であって、当該遊技機1での遊技に使用可能な遊技玉の数を1玉単位で示すデータ項目。
【0029】
上記のデータ項目は、これを特定可能な電文のようなデータ信号として、前回送信時からの累計データ(更新データ)が遊技機1から遊技装置2に対して一定間隔(例えば200ミリ秒毎)で送信され、上記のデータ項目以外の不正情報等も出力対象となる。
【0030】
図2に示すように、遊技装置2は、遊技機1の遊技状態や遊技装置2の状態を示す状態表示灯34、貨幣(貨幣価値)が投入される貨幣投入口35、遊技者からの操作入力を受付けると共に後述する各種の遊技データを表示するタッチパネル式の液晶表示部36、持玉(会員であれば貯玉も含む)を払出すための遊技釦37、会員カード10a或いは一般カード10bが挿入されるカード挿入口38、遊技者の顔を含む上半身を撮影するカメラ39(図2では保護カバーのみ図示)、従業員が携帯して操作する従業員リモコン42(図1参照)からの信号を受信するリモコン受光部41等を有する。
【0031】
図3に示すように、遊技装置2は、電気的な構成として、CPU40a、ROM40b、RAM40c、I/O40d等を有するマイクロコンピュータを主体に構成されている制御部40を有する。制御部40に接続された周辺部としては、上記した状態表示灯34を構成するLED、液晶表示部36及び当該表示部36上に設けられたタッチパネル36a、遊技釦37、リモコン受光部41を含むと共に、管理装置6や遊技機1との間で各種信号や各種データを送受信するI/F部40e、貨幣投入口35に投入された紙幣の真贋を判定する紙幣処理部35a、カード挿入口38に挿入されたカード10a,10bに記録されている各種情報を読取ったり、書込んだりするカードRW(リーダライタ)38a、最大10枚の一般カード10bをストック可能なカードストック部38b等を含む。
【0032】
遊技装置2は以下のように動作する。
(1)貨幣を受付けると(貨幣受付処理)、遊技機1と遊技装置2との双方に入金額を残高に加算して表示し、残高がある状態で遊技機1の貸出釦17の操作(貸出操作)が行われると、貸出1単位(例えば125玉)分を貸出玉として遊技機1の遊技玉を加算し(貸出処理、対価付与処理)、レートに応じた対価分を残高から引落とす。尚、貨幣は複数回の対価付与処理の対応分を受付可能である(例えば1万円まで)。又、レートには、例えば貸出単価が1玉4円の4円レートや、1玉1円の1円レートといった複数種別のものがある。このうち、対応する遊技機1で用いられるレート(例えば4円レート)とは異なるレート(例えば1円レート)の遊技価値を他レート価値とも称し、係る他レート価値と、残高と、のうち少なくとも一方を他有価価値とも称する。
【0033】
(2)遊技機1では遊技玉を管理しており、盤面1aへの玉の打出し(使用)に応じて遊技玉を減算し、入賞に応じて遊技玉を加算する。遊技装置2は持玉を管理し、持玉は直接的には遊技に使用できないが、遊技釦37の操作(再プレイ操作、付与操作)に応じて払出1単位分の持玉を遊技玉に変換する付与処理(再プレイ処理)を行う。この場合、換算率を別途設けても良い(次の計数処理についても同様)。又、遊技玉が基準値に達しなくなったが持玉は残存している場合に再プレイ操作を伴うことなく再プレイ処理を実行するようにしても良い。
【0034】
(3)遊技に応じて遊技機1の遊技玉が増加した場合、遊技機1の計数釦20の操作(計数操作)に応じて遊技玉を持玉へ変換する計数処理を行う。この場合、1回の操作に応じて1玉を換算対象とするが、操作した状態を継続させると連続的、且つ加速的に換算可能となる。
【0035】
(4)計数処理により遊技玉と持玉とを更新し、遊技装置2では残高が0の状態(貨幣価値が残存する状態)或いは持玉が残存する状態で遊技機1の返却釦18を操作するといった発行操作を行うと、その残高や持玉を特定可能な一般カード10bを発行する(発行処理)。このように、制御部40及び返却釦18は発行手段として機能し、遊技者による返却釦18の操作(所定の発行操作)に基づいて、残高や持玉を対応付け可能な記録媒体の発行処理を行わしめる。
【0036】
(5)一般カード10bが挿入口38に挿入されている状態で返却釦18が操作されたときには、その挿入口38に挿入されている一般カード10bに残高及び持玉の情報を記録して発行し、一般カード10bが挿入口38に挿入されていない状態で返却釦18が操作されたときには、カードストック部38bにストックしているカード10bをカードRW38a側に繰出して残高及び持玉を記録する(対応付ける)ことで、一般カード10bとして挿入口38外側へ繰り出して発行する(発行処理)。一般カード10bを発行すると、自装置2を特定可能な情報(遊技装置ID)、発行した一般カード10bを特定可能な情報(カードID)、一般カード10bに記録した残高や持玉の情報等を含む発行情報を管理装置6に送信する。又、必ずしもカード10bに残高や持玉を直接的に記録する必要はなく、例えばカード10bに記録されるカードIDにより管理装置6へ残高や持玉を問合わせるような構成であれば、持玉や残高を特定可能な情報はカードIDとなるので、残高や持玉を直接的に記録する必要はなくなる。即ち、記録媒体に残高や持玉等を対応付ければどのような対応付けを採用しても良い。尚、残高や持玉の一部を発行対象とする分割発行も可能とする。
【0037】
(6)発行処理には遊技機1における遊技玉に応じた発行条件が設けられている。例えば、一般カード10bの発行条件は、残高が予め定められた残高基準値(貨幣価値が残存しない旨を判定するための基準値、例えば1円)に達していない場合、保有玉が予め定められた発行基準値(発行処理を行うために必要な保有玉数の基準値、例えば25玉)に達していることを条件とする。このため、例えば残高が0で貨幣価値が残存しない場合に、保有玉が25玉に達していなければ発行操作に応じて発行処理を行わない(抑制する)。この場合、その旨を注意表示しても良いし、従業員の認証を条件として従業員リモコン42を用いた発行処理を行っても良い。
【0038】
(7)遊技機1から送信される遊技情報には、遊技への使用や計数処理等により遊技玉が「0」になった旨の情報(遊技玉数に係る情報)も含むことから、遊技装置2における、発行条件の成否の判定や、遊技玉並びにこれと持玉を合算した保有玉の特定(管理)をも可能としている。尚、持玉が主に遊技装置2にて管理されている点に関して、遊技装置2では管理装置6や従業員リモコン42からの指令操作や自装置2自体への操作入力等により持玉をクリアすることや発行処理の対象とすることは可能だが、遊技玉をクリアすることや発行処理の対象とすることは不能としていること等を例示できる。
【0039】
(8)中継装置4とのシリアル通信により管理装置6にて貨幣受付処理や対価付与処理、残高や持玉、貸出玉数、換算(変換)玉数、入金額、計数玉数や貸出玉数や貸出玉の対価となる売上額、及び持玉券(カード10b)の受付や発行処理等の各種情報を特定可能とするが、これらをパルス信号(例えば入金1000円毎に1パルス、売上100円毎に1パルス等)にて特定可能としても良い。
【0040】
(9)従業員リモコン42からの指令をリモコン受光部41で受信(受光)し、指令内容に応じた各種処理(エラー解除や前記発行処理の認証等)を実行する。
【0041】
さて、[発明が解決しようとする課題]にて説明した通り、以下に説明する承認者による承認が必要となるテストモードへ移行させる場合、承認者となる例えばシステムの製造元の従業員がテスト自体に立ち会う必要がない場合であっても承認を行うために、遊技場に訪れたり、或いはリモートのような遠隔操作を行ったりすることが負担となっていた。この点に関し、本実施形態では以下に説明する構成を採用している。
【0042】
管理装置6へのログイン方法として、遊技場の従業員向けの通常処理用の通常ログインと、承認者向けの承認用の特別ログインとがある。この他に例えば通常ログインを複数に区分して適宜権限を設けるといったように、ログイン方法は少なくとも通常ログインと特別ログインとを区分可能であればどのように構成しても良い。
【0043】
承認者が特別ログインすると、図5に示す特別メンテナンス画面が表示される。特別メンテナンス画面では、上下2段に複数の項目釦が配置されており、上段の「管理」釦51を操作すると、図6に示す通常メニューが表示され、通常メニューにおける「テストモード操作」釦52を操作すると、図7に示すテストモード移行画面が表示される。
【0044】
テストモード移行画面では、フロア(例えば遊技場の1階と2階とで区分)単位でテストモードに移行するかを選択した上で、「テストモード開始/終了選択」欄53にて「テストモード開始」を選択し、「実行」釦54を操作すると、遊技装置2にてテストモードを開始する。
【0045】
遊技装置2においてテストモードを開始すると、入金、消費(貸出処理)、再プレイのテスト等が可能になるが、これは例えば営業中の遊技情報と区別するためだけとしても良いが、仮にテストモードで入金した残高を全て消費していない場合はテストモード終了にて残高を無効とし(従業員による不正を考慮)、営業中に使用できないようにするといった状態を持越さないためでもある。尚、テストモード中の情報は別途管理しても良いし、テストモード終了時に消去しても良い。「テストモード開始/終了選択」欄53にて「テストモード終了」を選択し、「実行」釦54を操作すると、遊技装置2にてテストモードを終了する。
【0046】
図8に示す開店処理画面では、全てのフロアにてテストモードを終了していれば、「開店」釦55が操作可能となり、「開店」釦55を操作すると、開店処理が行われるが、何れかのフロアにてテストモードを終了していなければ、「開店」釦55を非活性化することで、「開店」釦55を操作不能となる(一部の遊技装置がテストモード中である場合に、遊技装置を営業状態とするための開店処理を抑制する)。尚、一部のフロアにてテストモードが終了していない場合、終了しているフロアだけを対象として開店処理を行っても良い。
【0047】
一方、従業員が通常ログインした場合でも、上記した図6に示した通常メニューを表示可能ではあるが、上記した特別ログイン時とは異なり、「テストモード操作」釦52が表示されず、テストモードへ移行不能である。即ち、従業員が通常ログインするだけではテストモードへ移行不能であり、上記した承認者による特別ログインが必要である。尚、承認者による承認が不要なテストモード(例えば対価なく再プレイを許容するテストモード)を別途設けても良く、その場合、以下のような承認者による承認を受けることなく、通常ログインだけでその別途設けたテストモードへ移行可能としても良い。
【0048】
上記承認者による特別ログインが必要である点に関し、本実施形態では、上記した図5に示した特別メンテナンス画面にて「テストモード操作権限」釦56が配置されており、承認者が特別ログインし、特別メンテナンス画面にて「テストモード操作権限」釦56を操作すると(承認者による承認が受付けられたことを条件として)、その後に従業員が通常ログインした場合であっても図6に示した「テストモード操作」釦52を操作可能とし、図7に示したテストモード移行画面への移行を許容し、テストモード移行画面におけるテストモードの開始操作を許容している(テストモードへの移行の抑制を解除する)。
【0049】
上記の通り通常ログインした場合による「テストモード操作」釦52を操作可能とするのは次の開店処理が実行されるまでとしており、次の開店処理が実行されると(所定の抑制解除終了条件が成立することで)、通常ログインした場合による「テストモード操作」釦52は操作不能となる(テストモードへの移行の抑制の解除を終了する)。この場合、次の開店処理までであれば、テストモードの開始後にテストモードを一旦終了してもテストモードの再開や最初に開始したフロアとは異なるフロアのテストモードの開始といったことも可能である(抑制解除終了条件が成立するまで複数回のテストモードへの移行が許容される)。つまり、テストモードの移行の抑制の解除を終了するための抑制解除終了条件を、テストモードへ1回移行した場合であっても成立しない条件としているが、これ以外に、最初のテストモードの開始から終了及び再開の繰り返し操作に上限を設け、当該終了及び再開の繰り返しの操作回数が上限に達した場合、或いは上限となる入金額や消費額に達した場合等に抑制解除終了条件が成立したとして「テストモード操作」釦52を操作不能とすることで、複数回のテストモードへの移行を許容しても良い。
【0050】
図8に示した開店処理画面にて操作可能な閉店処理(テストモードでない場合、システム上の開店中は「閉店」釦、閉店中は「開店」釦が操作可能)が行われ、システム上、閉店していることを条件として、図7に示したテストモード移行画面へ移行可能となる。即ち、図6の「テストモード操作」釦52は上記した「テストモード操作権限」釦56の操作により開店中でも操作可能であるが、開店中に操作しても「営業中のため操作できません」といったポップアップ表示を行い、テストモード移行画面への移行を抑制する。尚、テストモードへの移行を抑制すれば、テストモード移行画面への移行を許容するが「実行」釦54の操作を抑制するといったように抑制方法はどのような方法を採用しても良い。
【0051】
以上に説明した実施形態によれば、次のような作用効果を得るこができる。
通常ログイン及び特別ログインを受付可能であり、通常ログインが受付られた場合に、遊技装置2のテストモードへの移行を抑制するが、承認者が特別ログインし、特別メンテナンス画面にて「テストモード操作権限」釦56を操作したことで承認者による承認が受付けられたことを条件として、通常ログインが受付けられた場合におけるテストモードへの移行の抑制を解除するようにしたので、遊技機1や遊技装置2のテストに立ち会う必要性の低い承認者の承認を条件としてテストモードを許容する場合に、当該承認者の負担を軽減することが可能となる。
【0052】
所定の抑制解除条件が成立することで、テストモードへの移行の抑制の解除を終了するようにしたので、承認した場合にテストモードの抑制の解除を適切に行うことが可能となる。
抑制解除終了条件を、遊技装置2がテストモードへ1回移行した場合であっても成立しない条件とすることで、当該抑制解除終了条件が成立するまで複数回のテストモードへの移行が許容されるようにしたので、例えばテストモードを一旦終了したものの確認漏れがありテストモードを再開したいような場合に、特別ログインを再度行う必要性を低減した上でテストモードが実行可能となる。
【0053】
抑制解除条件を次の開店処理とするので、遊技機1や遊技装置2のテストが次の営業開始時には終了している場合が多いので、テストモードの抑制の解除を適切に行うことが可能となる。
【0054】
テストモードを遊技場の一部を対象として(例えばフロア単位で)実行可能であり、遊技場の一部がテストモード中であれば開店処理を抑制するようにしたので、テストモードを終了することを忘れた状態で営業を迎える虞を低減することが可能となる。
【0055】
本発明は、上記した実施形態に限定されることなく、次のように変形又は拡張するようにしても良い。又、例示した構成は変形例も含めて、どのように組み合わせても良いし、適宜、採用しない構成としても良い。
【0056】
テストモードとして入金や消費といった処理を例示したが、例えば対価がなくとも貸出処理を行うような例示していないテストモードを対象としても良い。
【0057】
特別ログインした場合にも「テストモード操作」釦52を操作可能とすることを例示したが、特別ログインは上記した承認操作を可能とすれば必ずしも「テストモード操作」釦52の操作、或いはテストモードへの移行を可能としなくとも良い。
【0058】
特別ログインにて承認した場合に「テストモード操作」釦52の操作を次の開店処理まで可能とすることを例示したが、例えば次の閉店処理や、他に特定の時刻となるまで(例えば翌朝9:00)といったようにどのように期限を定めても良いし、当該期限を定めなくとも良い。期限を定めない場合は、次の特別ログインまでといった条件で終了させても良いし、一度承認したらそのまま「テストモード」操作を抑制しないようにしても良い。
【0059】
フロア単位でテストモードへ移行することを例示したが、例えば台番単位、遊技島単位、機種単位等、どのような単位でテストモードを実行可能としても良いし、遊技場全体でしかテストモードへ移行しないようにしても良い。
【0060】
テストモードへの移行の抑制として不能とすることを例示したが、例えばテストモードへ移行する遊技装置2の台数の限定や、テストモード期間を例えば10分といった期間とするといったように、可能とするものの制限するような構成を採用しても良い。
【0061】
特別ログインした場合に移行可能なテストモードに対して、通常ログインした場合に移行可能となるテストモードに例えば移行する遊技装置2の台数やテストモード期間等の何らかの制限を設けても良い。この場合、特別ログインにて承認しない場合にはテストモードの移行を不能とする一方、承認した場合は上記制限を設けることや、承認しない場合に上記制限を行う一方、承認した場合に上記制限を一部解除する、或いは全て解除するといった構成により、テストモードを抑制すれば良い。
承認者としてシステムの製造元の従業員を例示したが、遊技場における経営者や管理職、遊技機の製造元の従業員、或いは所轄の警察署の職員等、テストモードに対する承認者であればどのような承認者を対象としても良い。
【0062】
封入式の遊技機1を例示したが、所謂メダルレス遊技機、遊技媒体を払出す払出式の遊技機といった例示した以外の態様についても同様に適用することが可能である。
各設定値は管理者が任意に操作入力により設定しても、予め管理装置6の製造メーカにて設定しても、外部(例えばチェーン店本部等)のサーバから設定情報をダウンロードして設定しても良い。尚、この場合もサーバにて操作入力により入力された設定値となる。
【0063】
例示した全ての遊技情報は入力した信号により直接的に特定しても演算式を利用して間接的に特定しても良い。又、遊技信号としてデータ信号を例示したがパルス信号のような他の信号を採用しても良い。
数値、桁数、項目等は例示であり、どのような数値を採用しても良い。
以上と超過についてはどちらを採用してもよく、「達した」等の表現は以上となった或いは超過した、の何れにも対応する表現となる。以下と未満についても同様で、「達していない」等の表現は双方に対応する表現となる。
管理装置6が行う処理の一部を中継装置4、遊技装置2等にて行ってもよく、どのように構成しても良い。
【符号の説明】
【0064】
図面中、1は遊技機、2は遊技装置、6は管理装置(ログイン受付手段、抑制手段、承認受付手段、抑制解除手段、開店処抑制手段)である。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8