(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024158307
(43)【公開日】2024-11-08
(54)【発明の名称】配管の支持構造および消火栓
(51)【国際特許分類】
A62C 35/20 20060101AFI20241031BHJP
F16L 3/08 20060101ALI20241031BHJP
【FI】
A62C35/20
F16L3/08 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023073414
(22)【出願日】2023-04-27
(71)【出願人】
【識別番号】000229405
【氏名又は名称】日本ドライケミカル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100111235
【弁理士】
【氏名又は名称】原 裕子
(74)【代理人】
【識別番号】100170575
【弁理士】
【氏名又は名称】森 太士
(72)【発明者】
【氏名】森田 克久
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 亜良太
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 敦志
(72)【発明者】
【氏名】高橋 宏
【テーマコード(参考)】
2E189
3H023
【Fターム(参考)】
2E189EB01
3H023AA03
3H023AB07
3H023AC02
3H023AD26
3H023AE03
(57)【要約】
【課題】筐体の所定の部位と配管の所定の部位と支持部材で接続することによって配管を支持する場合、筐体の所定の部位に対する配管の位置が異なっていても、施工作業の手間と時間を極力少なくすることができる配管の支持構造を提供する。
【解決手段】筐体4と、筐体4内で所定の線に沿って移動し位置決めされ、筐体4に固定される筐体側支持部材5と、筐体4内で筐体側支持部材5に対して所定の他の線に沿って移動し位置決めされ、筐体側支持部材5に固定されるとともに、筐体4内の配管13を構成する複数の配管部品のうちの所定の配管部品である被支持配管部品15に固定される配管部品側支持部材7とを有する配管の支持構造1である。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体と、
前記筐体内で所定の線に沿って移動し位置決めされ、前記筐体に固定される筐体側支持部材と、
前記筐体内で前記筐体側支持部材に対して所定の他の線に沿って移動し位置決めされ、前記筐体側支持部材に固定されるとともに、前記筐体内の配管を構成する複数の配管部品のうちの所定の配管部品である被支持配管部品に固定される配管部品側支持部材と、
を有する配管の支持構造。
【請求項2】
前記筐体側支持部材は、平板状部位を備えて構成されており、
前記配管部品側支持部材も、平板状部位を備えて構成されており、
前記配管部品側支持部材が前記筐体側支持部材に係合している状態では、前記筐体側支持部材の平板状部位の厚さ方向と前記配管部品側支持部材の平板状部位の厚さ方向とが互いに一致している請求項1に記載の配管の支持構造。
【請求項3】
前記被支持配管部品は、バルブであり、
前記バルブは、前記配管の、前記筐体の内部で所定の方向に延びている所定の箇所の中間部に配置されており、
前記配管の所定の箇所における延伸方向と、前記配管部品側支持部材の平板状部位の厚さ方向とが互いに一致しており、
前記配管部品側支持部材の平板状部位が前記被支持配管部品に固定されている請求項2に記載の配管の支持構造。
【請求項4】
前記配管部品側支持部材は、ネジを用いて前記バルブの筐体に固定される請求項3に記載の配管の支持構造。
【請求項5】
前記筐体、前記配管部品は、消火栓を構成するものであり、
前記被支持配管部品は、消火栓弁と自動調圧弁であり、
前記筐体側支持部材として、消火栓弁用の筐体側支持部材と、自動調圧弁用の筐体側支持部材とが用いられ、
前記配管部品側支持部材として、消火栓弁用の配管部品側支持部材と、自動調圧弁用の配管部品側支持部材とが用いられる請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の配管の支持構造。
【請求項6】
前記配管の支持構造を備えた請求項5に記載の消火栓。
【請求項7】
前記所定の1本の線は、線分であり、
前記所定の他の線は、前記所定の線に対して直交する線分であり、
前記筐体側支持部材が前記所定の線に沿って移動するときにおける前記筐体側支持部材のふらつきを防ぐための筐体側支持部材ガイド部、前記配管部品側支持部材が前記所定の他の線に沿って移動するときにおける前記配管部品側支持部材のふらつきを防ぐための配管部品側支持部材ガイド部の少なくともいずれかを備えている請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の配管の支持構造。
【請求項8】
前記筐体、前記配管部品は、消火栓を構成するものであり、
前記被支持配管部品は、消火栓弁と自動調圧弁であり、
前記筐体側支持部材として、消火栓弁用の筐体側支持部材と、自動調圧弁用の筐体側支持部材とが用いられ、
前記配管部品側支持部材として、消火栓弁用の配管部品側支持部材と、自動調圧弁用の配管部品側支持部材とが用いられる請求項7に記載の配管の支持構造。
【請求項9】
前記配管の支持構造を備えた請求項8に記載の消火栓。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配管の支持構造および消火栓に係り、特に、筐体内の配管を支持するものに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、消火栓の筐体内で長く延びている配管としてフレキシブル配管を使用した消火栓が知られている(特許文献1参照)。また、消火栓の筐体内で長く延びている配管として、可撓性を備えていないパイプや配管継手を使用している消火栓が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、消火栓の筐体内で長く延びている配管(可撓性を備えていない配管を含む)を、たとえば強固に固定するために、筐体の所定の部位と配管の所定の部位との間に支持金具を設け支持する必要が生じる場合がある。この場合、筐体の所定の部位に対する配管の位置が、消火栓の機種によって異なる場合があり、また、同じ機種の消火栓であっても個体差によって異なる場合がある。
【0005】
一方、トンネル躯体にあらかじめ準備されている消火栓用箱抜きは当初の設計図面に対して若干誤差をもって準備されている。さらには配水本管の位置も誤差があるため、厳密な接続位置関係を必要とする配管では接続の手間を増大させることになる。
【0006】
そこで、配管の所定の部位と筐体の所定の部位との位置関係をわざわざ現場作業で採寸し、この採寸結果に応じて材料を手配し現場でこの材料を加工して得られた枝管あるいは現場で再加工した枝管を用いて、現場で消火栓と接続する。具体的にいえば、厳密な配管接続が可能となるようにミリ単位で加工組立する精度が必要であった。配管には高圧の消火用水が流れ、配管の振動などの強い力が配管と配管支持部にかかることから配管を強固に接続する必要がある。さらには配水枝管が埋設されている場合は、Z方向を調整するためにZ型枝管を予め作成する必要がある。
【0007】
これにより、配管の所定の部位と筐体の所定の部位とを互いに接続する施行作業に多くの手間と時間が必要になり、現場作業の効率化の足かせとなっていた。なお、この問題は、消火栓以外での配管の所定の箇所を支持する場合にも発生する問題である。
【0008】
本発明は、筐体の所定の部位と配管の所定の部位と支持部材で接続することによって配管を支持する場合、筐体の所定の部位に対する配管の位置が異なっていても、施工作業の手間と時間を極力少なくすることができる配管の支持構造および消火栓を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の態様に係る配管の支持構造は、筐体と、前記筐体内で所定の線に沿って移動し位置決めされ、前記筐体に固定される筐体側支持部材と、前記筐体内で前記筐体側支持部材に対して所定の他の線に沿って移動し位置決めされ、前記筐体側支持部材に固定されるとともに、前記筐体内の配管を構成する複数の配管部品のうちの所定の配管部品である被支持配管部品に固定される配管部品側支持部材とを有する配管の支持構造である。
【0010】
また、本発明の態様に係る配管の支持構造では、前記筐体側支持部材が、平板状部位を備えて構成されており、前記配管部品側支持部材も、平板状部位を備えて構成されており、前記配管部品側支持部材が前記筐体側支持部材に係合している状態では、前記筐体側支持部材の平板状部位の厚さ方向と前記配管部品側支持部材の平板状部位の厚さ方向とが互いに一致している。
【0011】
また、本発明の態様に係る配管の支持構造では、前記被支持配管部品が、バルブであり、前記バルブが、前記配管の、前記筐体の内部で所定の方向に延びている所定の箇所の中間部に配置されており、前記配管の所定の箇所における延伸方向と、前記配管部品側支持部材の平板状部位の厚さ方向とが互いに一致しており、前記配管部品側支持部材の平板状部位が前記被支持配管部品に固定されている。
【0012】
また、本発明の態様に係る配管の支持構造では、前記配管部品側支持部材が、ネジを用いて前記バルブの筐体に固定される。
【0013】
また、本発明の態様に係る配管の支持構造では、前記筐体、前記配管部品が、消火栓を構成するものであり、前記被支持配管部品が、消火栓弁と自動調圧弁であり、前記筐体側支持部材として、消火栓弁用の筐体側支持部材と、自動調圧弁用の筐体側支持部材とが用いられ、前記配管部品側支持部材として、消火栓弁用の配管部品側支持部材と、自動調圧弁用の配管部品側支持部材とが用いられる。
【0014】
また、本発明の態様に係る配管の支持構造では、前記所定の線が、線分であり、前記所定の他の線が、前記所定の線に対して直交する線分であり、前記筐体側支持部材が前記所定の線に沿って移動するときにおける前記筐体側支持部材のふらつきを防ぐための筐体側支持部材ガイド部、前記配管部品側支持部材が前記所定の他の線に沿って移動するときにおける前記配管部品側支持部材のふらつきを防ぐための配管部品側支持部材ガイド部の少なくともいずれかを備えている。
【0015】
また、本発明の態様に係る配管の支持構造では、前記筐体、前記配管部品が、消火栓を構成するものであり、前記被支持配管部品が、消火栓弁と自動調圧弁であり、前記筐体側支持部材として、消火栓弁用の筐体側支持部材と、自動調圧弁用の筐体側支持部材とが用いられ、前記配管部品側支持部材として、消火栓弁用の配管部品側支持部材と、自動調圧弁用の配管部品側支持部材とが用いられる。
【0016】
本発明の態様に係る消火栓は、前記配管の支持構造を備えた消火栓である。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、筐体の所定の部位と配管の所定の部位と支持部材で接続することによって配管を支持する場合、筐体の所定の部位に対する配管の位置が異なっていても、施工作業の時間を極力少なくすることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明の実施形態に係る配管の支持構造が採用されている消火栓を斜め前側から見た斜視図である。
【
図2】本発明の実施形態に係る配管の支持構造を消火栓とともに斜め後側から拡大して見た斜視図である。
【
図3】本発明の実施形態に係る1つ目の配管の支持構造の平面図である。
【
図5】(a)は
図3におけるVA矢視図であり、(b)は
図3におけるVB-VB断面を示す図であり、(c)は(b)に相当する図であって(b)で示す構造の変形例を示す図である。
【
図6】本発明の実施形態に係る2つ目の配管の支持構造の正面図である。
【
図9】消火栓と消火配管(C型配管)の接続を説明する図である。
【
図10】消火栓と消火配管(D型配管)の接続を説明する図である。
【
図11】本発明の実施形態に係る1つ目の配管の支持構造で使用される配管部品側支持部材の斜視図である。
【
図12】本発明の実施形態に係る1つ目の配管の支持構造で使用される筐体側支持部材の斜視図である。
【
図13】本発明の実施形態に係る1つ目の配管の支持構造で使用される筐体側支持部材が設置される部材(筐体側支持部材用固定材)を示す斜視図である。
【
図14】本発明の実施形態に係る2つ目の配管の支持構造で使用される配管部品側支持部材の斜視図である。
【
図15】本発明の実施形態に係る2つ目の配管の支持構造で使用される筐体側支持部材の斜視図である。
【
図16】1つ目の変形例に係る配管の支持構造を示す図であって、(b)は(a)におけるXVIB矢視図であり、(c)は(a)におけるXVIC矢視図である。
【
図17】2つ目の変形例に係る管の支持構造を示す図である。
【
図18】3つ目の変形例に係る管の支持構造を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の実施形態に係る配管の支持構造(消火栓の配管の支持構造)1(1a、1b)は、
図1、
図2等で示すように消火栓3に使用され、筐体(箱体)4と筐体側支持部材5(5a、5b)と配管部品側支持部材7(7a、7b)とを備えて構成される。消火栓3は、たとえばトンネル内でトンネルの側壁部に一定の間隔で設置される。
【0020】
ここで説明の便宜のために、水平な所定の一方向をX方向(左右方向)とし、水平な所定の他の一方向であってX方向に対して直交する方向をZ方向(前後方向)とし、X方向とZ方向とに対して直交する方向をZ方向(上下方向)とする。
【0021】
筐体側支持部材5は、筐体4内で筐体4に対して所定の線(たとえば1本の線)に沿って移動し(1本の線の延伸方向と平行にスライドし)位置決めされ、
図3~
図8で示すように、筐体4に、たとえばボルト9とナット11とを用いて固定される。
【0022】
配管部品側支持部材7は、筐体4内で筐体4に固定されている筐体側支持部材5に対して所定の他の1本の線(たとえば他の1本の線であって上記1本の線に対して交差する方向に延びている他の1本の線)に沿って移動する。すなわち、他の1本の線の延伸方向と平行にスライドする、そして位置決めされる。
【0023】
また、配管部品側支持部材7は、筐体4に固定されている筐体側支持部材5に、たとえばボルト9とナット11とを用いて固定される。さらに、配管部品側支持部材7は、筐体4内の配管(筐体4内で延びている配管)13を構成する複数の配管部品(配管材)のうちの所定の配管部品である被支持配管部品(たとえばバルブ)15に固定される。なお、配管13は、配管の支持構造1が採用されていなくとも、筐体4と一応一体化している。
【0024】
上記所定の1本の線は、所定の1本の線分(2つの点を通る直線の、上記2つの点の間にある部分)、もしくは、所定の長さの1本の曲線(たとえば所定の長さの円弧)、もしくは、線分と所定の長さの1本の曲線とをつないだもので形成される。
【0025】
配管部品として、筒状のパイプ、エルボ17やユニオン等の配管継手、バルブ等を掲げる。バルブとして、配管内を流れる水の方向・圧力・流量の制御を行う機器を掲げる。配管13は、様々な配管部品を適宜つなげることによって形成される。配管13の内部をたとえば消火用の水が流れる。
【0026】
配管の支持構造1は、被支持配管部品15を含む配管13の振動を防止するために設けられる。配管13の振動は、たとえば、バルブによって配管13の流路を開閉するときに発生する。
【0027】
配管の支持構造(消火栓の配管の支持構造)1における筐体4、配管部品は、上述したように、消火栓3を構成するものである。被支持配管部品15として、バルブの一種である消火栓弁15(15a)とバルブの一種である自動調圧弁15(15b)とを掲げる。
【0028】
この場合、筐体側支持部材5として、消火栓弁15a用の筐体側支持部材5aと、自動調圧弁15b用の筐体側支持部材5bとが用いられる。配管部品側支持部材7として、消火栓弁15a用の配管部品側支持部材7aと、自動調圧弁15b用の配管部品側支持部材7bとが用いられる。
【0029】
筐体側支持部材5は、平板状部位19を備えて構成される。配管部品側支持部材7も、平板状部位21を備えて構成される。そして、配管部品側支持部材7が筐体側支持部材5に係合している状態(固定されている状態を含む)では、筐体側支持部材5の平板状部位19の厚さ方向と配管部品側支持部材7の平板状部位21の厚さ方向とが互いに一致する。
【0030】
上述した所定の1本の線、上述した所定の他の1本の線は、筐体側支持部材5の平板状部位19および配管部品側支持部材7の平板状部位21の展開方向に延びる。
【0031】
配管部品側支持部材7が筐体側支持部材5に固定されている状態では、筐体側支持部材5の平板状部位19と配管部品側支持部材7の平板状部位21とが互いに接して重なっている(
図5、
図7参照)。また、配管部品側支持部材7の平板状部位21が被支持配管部品15に固定される。なお、配管部品側支持部材7が筐体側支持部材5に固定されている状態で、筐体側支持部材5の平板状部位19と配管部品側支持部材7の平板状部位21とがスペーサ23を間にして互いに重なっていてもよい(
図5(c)参照)。
【0032】
図5(c)で示す構成において、スペーサ23の厚さ寸法を適宜変更(適宜調整)することで、配管部品側支持部材7と筐体側支持部材5との厚さ方向で、配管部品側支持部材7と筐体側支持部材5との間の距離を調整できる。
【0033】
さらに説明すると、
図5(b)で示す態様では、筐体側支持部材5がたとえばX方向で筐体4に対して移動し位置決めされ、配管部品側支持部材7が筐体側支持部材5に対してたとえばZ方向で移動し位置決めされる。すなわち、配管部品側支持部材7が筐体4に対してX方向およびZ方向で筐体4に対して移動し位置決めされる。しかし、配管部品側支持部材7が筐体4に対してY方向では移動し位置決めされない。これに対して、
図5(c)で示す態様では、スペーサ23の厚さ寸法を適宜調整することで、配管部品側支持部材7が筐体4に対してX方向、Z方向およびY方向で移動し位置決めされる。
【0034】
上述したように、被支持配管部品15はバルブであり、バルブ15は、配管の、筐体4の内部で所定の方向(たとえば、上下方向もしくは左右方向)に延びている所定の箇所の中間部に配置される。そして、配管の所定の箇所における延伸方向と、配管部品側支持部材7の平板状部位21の厚さ方向および筐体側支持部材5の平板状部位19の厚さ方向とが互いに一致しており、配管部品側支持部材7の平板状部位21が被支持配管部品(バルブ)15に固定される。
【0035】
配管部品側支持部材7は、ネジを用いてバルブ15の筐体25に固定される。たとえば、
図5、
図6等で示すように、配管部品側支持部材7は、ボルト27とバルブ15の筐体25に設けられているメスネジ(ボルト27に螺合するメスネジ)とを用いて、バルブ15に固定される。
【0036】
ここで、消火栓3について詳しく説明する。筐体4の外形形状は、直方体状になる。
図2は、筐体4の後側の外板を取り除いて、配管の支持構造1(1a、1b)とこの近傍の箇所を拡大して示した図である。
【0037】
図9、
図10で示すように、筐体4内の配管13は、外部配管(枝管)31を介して、主配管33から水が供給される。主配管33は、たとえば、消火栓3が設置される床35の下で延伸する。筐体4内の配管13は、すでに理解されるように、消火栓弁15aと自動調圧弁15bとを備える。
【0038】
ここで、1つ目の配管の支持構造1aについて、
図3~
図5、
図11~
図13を参照しつつ、さらに詳しく説明する。1つ目の配管の支持構造1aは、消火栓弁15aを筐体4に固定する。消火栓弁15aは、筐体4内でY方向に延びている配管13の中間部に配置される。
【0039】
配管の支持構造1aでの、筐体側支持部材5a、配管部品側支持部材7aの移動についてさらに説明する。上記所定の1本の線は、線分のみで構成される。上記所定の他の1本の線は、上記所定の1本の線(線分)に対して直交する線分のみで構成される。
【0040】
1つ目の配管の支持構造1aの配管部品側支持部材7aは、平板状に形成される。配管部品側支持部材7aには、
図11で示すように、切り欠き37、39と、2つの長円孔41と、4つの円形状のボルト貫通孔(いわゆるバカ孔)43とが設けられる。配管部品側支持部材7aは、使用されるときに、この厚さ方向がY方向なる。
【0041】
配管部品側支持部材7aをこの厚さ方向で見る。1つ目の切り欠き37は、「U」字状に形成されており、配管部品側支持部材7aをこの厚さ方向(Y方向)で貫通する。2つ目の切り欠き39は、矩形状に形成されており配管部品側支持部材7aをこの厚さ方向で貫通する。長円孔41はZ方向に長く延びており配管部品側支持部材7aをこの厚さ方向で貫通する。ボルト貫通孔43も、配管部品側支持部材7aをこの厚さ方向で貫通する。
【0042】
1つ目の切り欠き37を、消火栓弁15aの筐体25aが貫通する。長円孔41を、配管部品側支持部材7aを筐体側支持部材5aに固定するためのボルト9が貫通する。ボルト貫通孔43を、消火栓弁15aの筐体25aを配管部品側支持部材7aに固定するためのボルト27が貫通する。
【0043】
1つ目の配管の支持構造1aの筐体側支持部材5aは、
図12で示すように、3つの平板状部位19、45、47とを備えて構成される。筐体側支持部材5aが使用されるとき、平板状部位19はこの厚さ方向がY方向になり、平板状部位45はこの厚さ方向がX方向になり、平板状部47はこの厚さ方向がY方向になる。平板状部位19をこの厚さ方向で見ると、切り欠き49が設けられる。
【0044】
平板状部位19には、長円孔51と2つの円形状のボルト貫通孔(いわゆるバカ孔)53とが設けられ。平板状部位47には、長円孔55が設けられる。長円孔51、ボルト貫通孔53は、平板状部位19、47をこれらの厚さ方向で貫通する。長円孔51、53はX方向に長く延びる。
【0045】
ボルト貫通孔53を、配管部品側支持部材7aを筐体側支持部材5aに固定するためのボルト9が貫通する。長円孔51、55を、筐体側支持部材5aを筐体4に固定するためのボルト9が貫通する。
【0046】
筐体側支持部材5aは、筐体側支持部材用固定材57(
図13参照)を介して、筐体4に固定される。筐体側支持部材用固定材57は所定の長さの溝形鋼で形成される。筐体側支持部材用固定材57には、切り欠き59と2つの円形状のボルト貫通孔(いわゆるバカ孔)61とが設けられる。筐体側支持部材用固定材57は、底板部の厚さ方向がZ方向になり、長手方向がX方向になるようにして、筐体4に固定される。ボルト貫通孔61を、筐体側支持部材5aを筐体4(筐体側支持部材用固定材57)に固定するためのボルト9が貫通する。なお筐体側支持部材用固定材57がたとえば筐体4の一部を構成する。
【0047】
ここで、1つ目の配管の支持構造1aでの設置動作について例を掲げて説明する。
図9に示すように、初期状態では、消火栓3が床35上の所定の位置に設置されており、消火栓3の配管13が、外部配管31を介して主配管33に接続される。
【0048】
図3、
図4で示すように、上記初期状態で、配管部品側支持部材7aを消火栓弁15aの筐体25aにボルト27を用いて固定する。続いて、筐体側支持部材5aを、ボルト9とナット11とを仮締めし筐体4と配管部品側支持部材7aとに設置する。この仮締め状態で、X方向、Z方向で、筐体側支持部材5aを移動し位置決めし、筐体側支持部材5aを、配管部品側支持部材7aと筐体側支持部材用固定材57とに、ボルト9とナット11とを本締めして固定する。
【0049】
なお、上述しまた
図5(c)で示すように、スペーサ23を用いることで、X方向およびZ方向だけでなくY方向で、配管部品側支持部材7aに対する筐体側支持部材5aの位置を調整できる。ここで、スペーサ23を用いる変わりに、筐体側支持部材5aや配管部品側支持部材7aと同様な板状に形成された中間支持部材(図示せず)を介して、筐体側支持部材5aを配管部品側支持部材7aに固定するようにしてもよい。そして、X方向およびZ方向だけでなくY方向で、配管部品側支持部材7aに対する筐体側支持部材5aの位置を調整できるようにしてもよい。
【0050】
次に、2つ目の配管の支持構造1bについて、
図6~
図8、
図14、
図15を参照しつつさらに詳しく説明する。2つ目の配管の支持構造1bは、自動調圧弁15bを筐体4に固定する。自動調圧弁15bは、筐体4内でX方向に延びている配管13の中間部に配置される。
【0051】
配管の支持構造1bでの、筐体側支持部材5b、配管部品側支持部材7bの移動についてさらに説明する。上記所定の1本の線は、線分のみで構成される。配管の支持構造1aと同様に、上記所定の他の1本の線は、上記所定の1本の線(線分)に対して直交する線分のみで構成される。
【0052】
図14で示すように、2つ目の配管の支持構造1bの配管部品側支持部材7bは、平板状に形成される。配管部品側支持部材7bには、切り欠き63と、4つの円形状のボルト貫通孔(いわゆるバカ孔)65とが設けられる。なお、4つの円形状のボルト貫通孔のうちの2つのボルト貫通孔65は、円形に近い長円になっている。配管部品側支持部材7bは、使用されるときに、この厚さ方向がX方向なる。
【0053】
配管部品側支持部材7bをこの厚さ方向で見る。切り欠き63は、「U」字状に形成されており、配管部品側支持部材7bをこの厚さ方向(X方向)で貫通する。ボルト貫通孔65も、配管部品側支持部材7bをこの厚さ方向で貫通する。
【0054】
図6、
図7に示すように、切り欠き63を、自動調圧弁15bの筐体25bが貫通する。2つのボルト貫通孔65を、自動調圧弁15bの筐体25bを配管部品側支持部材7bに固定するためのボルト27が貫通する。他の2つのボルト貫通孔65を、筐体側支持部材5bを配管部品側支持部材7bに固定するためのボルト9が貫通する。
【0055】
図15で示すように、2つ目の配管の支持構造1bの筐体側支持部材5bは、2つの平板状部位19、67を備えて構成される。筐体側支持部材5bが使用されるとき、平板状部位19はこの厚さ方向がX方向になり、平板状部位67はこの厚さ方向がZ方向になる。平板状部位19をこの厚さ方向で見ると、切り欠き69が設けられる。
【0056】
平板状部位19には、2つの長円孔71が設けられる。平板状部位67にも、2つの長円孔73が設けられる。長円孔71、73は、平板状部位19、67をこれらの厚さ方向で貫通する。長円孔71はZ方向に長く延びており、長円孔73はX方向に長く延びる。
【0057】
長円孔71を、筐体側支持部材5bを配管部品側支持部材7bに固定するためのボルト27が貫通する。長円孔73を、筐体側支持部材5bを筐体4に固定するためのボルト9が貫通する。なお、筐体側支持部材5bは、
図7等で示すように、筐体側支持部材用固定材75を介するとともに、ボルト9とナット11とを用いて筐体4に固定される。筐体側支持部材用固定材75はたとえば筐体4の一部を構成する。
【0058】
ここで、2つ目の配管の支持構造1bでの設置動作について例を掲げて説明する。
図9で示すように、初期状態では、配管の支持構造1aの場合と同様にして、消火栓3が床35上の所定の位置に設置されており、消火栓3の配管13が、外部配管31を介して主配管33に接続される。
【0059】
図7、
図8で示すように、上記初期状態で、配管部品側支持部材7bを自動調圧弁15bの筐体25bにボルト27を用いて固定する。続いて、筐体側支持部材5bを、ボルト9とナット11とを仮締めし筐体4と配管部品側支持部材7bとに設置する。この仮締め状態でX方向、Z方向で筐体側支持部材5bを移動し位置決めし、筐体側支持部材5bを、配管部品側支持部材7bと筐体側支持部材用固定材75とに、ボルト9とナット11とを本締めして固定する。
【0060】
なお、1つ目の配管の支持構造1aでの設置動作で説明した場合と同様にして、筐体側支持部材5bを、配管部品側支持部材7bに対して、X方向、Z方向およびY方向で、移動し固定する構成であってもよい。
【0061】
配管の支持構造1は、筐体側支持部材5と配管部品側支持部材7とを備えて構成される。筐体側支持部材5は、所定の線に沿って移動し位置決めされ筐体4に固定される。配管部品側支持部材7は、所定の他の線に沿って移動し位置決めされ、筐体側支持部材5に固定され、さらに、筐体4内の被支持配管部品15に固定される。
【0062】
これにより、位置のアジャストができる筐体側支持部材5と配管部品側支持部材7との位置を適宜調整することで、筐体4の所定の部位に対する配管13の位置が異なっていても、筐体側支持部材5と配管部品側支持部材7とを容易に設置することができる。そして、配管13を支持するための施工作業の手間(工数)と時間を極力少なくすることができる。
【0063】
また、配管の支持構造1では、配管部品側支持部材7が筐体側支持部材5に係合している状態で、筐体側支持部材5の平板状部位19の厚さ方向と配管部品側支持部材7の平板状部位21の厚さ方向とが互いに一致する。これにより、筐体側支持部材5に対する配管部品側支持部材7の移動可能な係合状態を簡素な構成で実現することができる。
【0064】
また、配管の支持構造1では、配管部品側支持部材7が筐体側支持部材5に固定されている状態でも、筐体側支持部材5の平板状部位19の厚さ方向と配管部品側支持部材7の平板状部位21の厚さ方向とが互いに一致する。これにより、筐体側支持部材5と配管部品側支持部材7とが互いに面接触しており、筐体側支持部材5に配管部品側支持部材7を強固に固定することができる。
【0065】
また、配管の支持構造1では、バルブ15が長く延びている配管13の中間部に配置されており、配管13の延伸方向と、配管部品側支持部材7および筐体側支持部材5の平板状部位19、21の厚さ方向とが互いに一致しており、配管部品側支持部材7の平板状部位21がバルブ15に固定される。
【0066】
これにより、配管13の延伸方向での配管部品側支持部材7および筐体側支持部材5の剛性が低くなっている。すなわち、配管13の延伸方向では配管部品側支持部材7および筐体側支持部材5が僅かな弾性を備える。そして、配管13の延伸方向での、バルブ15に対する配管部品側支持部材7および筐体側支持部材5の位置が若干異なっていても、配管部品側支持部材7をバルブ15に固定することができ、配管の支持構造1の構成の簡素化をはかることができる。さらに、配管部品側支持部材7および筐体側支持部材5を僅かに弾性変形させてバルブ15に固定することで、付勢力をもってバルブ15を支持することができ、バルブ15等で発生する振動を一層抑えることができる。
【0067】
また、配管の支持構造1では、配管部品側支持部材7が、バルブ15の筐体25に設けられているメスネジを用いて、バルブ15に固定されるよう構成される。これにより、簡素な構成で、配管部品側支持部材7をバルブ15に固定することができる。
【0068】
また、消火栓3では、自動調圧弁15bの近くからは可撓性のあるホース(図示せず)が延びる。自動調圧弁15bの筐体側支持部材5bと配管部品側支持部材7bとによって、自動調圧弁15bが筐体4に支持される。これにより、ホースの引き出し等によってホースに外力が加わった場合における自動調圧弁15bを含む配管13の捻じれ等の変形を的確に防止することができる。
【0069】
ここで、1つ目の変形例に係る配管の支持構造1aについて
図16を用いて説明する。1つ目に変形例に係る配管の支持構造1aでの、筐体側支持部材5、配管部品側支持部材7の移動について説明すると、上記所定の1本の線は、線分のみで構成される。上記所定の他の1本の線は、上記所定の1本の線(線分)に対して直交する線分のみで構成される。
【0070】
1つ目の変形例に係る配管の支持構造1aは、筐体側支持部材ガイド部77、配管部品側支持部材ガイド部79の少なくともいずれかを備えている点が、本発明の実施形態に係る配管の支持構造1と異なり、その他の点は、配管の支持構造1と同様に構成される。
【0071】
筐体側支持部材ガイド部77は、筐体側支持部材5が上記所定の1本の線に沿って移動するときにおける筐体側支持部材5のふらつきを防ぐためのものである。配管部品側支持部材ガイド部79は、配管部品側支持部材7が上記所定の他の1本の線に沿って移動するときにおける配管部品側支持部材7のふらつきを防ぐためのものである。ガイド部77、79は、たとえば、配管部品側支持部材7の端部に設けられた折り曲げ部81と、筐体側支持部材5の端面83とを備えて構成される。折り曲げ部81に端面83が接触しつつ筐体側支持部材5に対して配管部品側支持部材7が相対的に移動することで、配管部品側支持部材7がガイドされ一層直線的に移動する。
【0072】
ガイド部77、79が設けられていることで、筐体側支持部材5や配管部品側支持部材7を移動して位置の決定をする作業がしやすくなり、筐体側支持部材5および配管部品側支持部材7の設置作業を短時間ですることができる。
【0073】
なお、
図16示す構成において、ガイド部77、79を削除すると、筐体側支持部材5に対して配管部品側支持部材7がふらついてしまう。すなわち、ボルト9のネジ部(首下部)が貫通する長円孔の幅寸法の値がボルト9のネジ部の外径の値よりも僅かに大きくなっていることで、筐体側支持部材5に対して配管部品側支持部材7が
図16(a)の紙面に対して直交する軸まわりで僅かに回動してしまう。
【0074】
次に、2つ目に変形例に係る配管の支持構造1bについて
図17を用いて説明する。上述した配管の支持構造1、1aでは、筐体側支持部材5や配管部品側支持部材7を直線(線分)に沿って移動しているが、2つ目に変形例に係る配管の支持構造1bでは、筐体側支持部材5や配管部品側支持部材7を円弧(円弧状の長円孔)85に沿って移動する。
図17に参照符号C1で示すものは、上記円弧の中心である。
【0075】
次に、3つ目に変形例に係る配管の支持構造1cについて
図18を用いて説明する。配管の支持構造1cでは、筐体側支持部材5に長円孔87を設け、配管部品側支持部材7にも長円孔85と交差する(たとえば直交する)長円孔89を設ける。そして、長円孔85と長円孔89との両方にボルト9を貫通させて、筐体側支持部材5を配管部品側支持部材7に固定する。
【0076】
なお、配管の支持構造1において、筐体側支持部材が、移動位置決めされることなく筐体に固定され、代わりに、配管部品側支持部材が、筐体側支持部材に対して、所定の1本の線に沿って移動し位置決めされ、さらに、所定の他の1本の線に沿って移動し位置決めされ、筐体に固定されている筐体側支持部材に固定される構成であってもよい。
【0077】
すなわち、筐体と、前記筐体内で前記筐体に固定される筐体側支持部材と、前記筐体内で前記筐体側支持部材に対して所定の1本の線に沿って移動し位置決めされ、また、前記筐体内で前記筐体側支持部材に対して所定の他の1本の線に沿って移動し位置決めされ、前記筐体に固定されている前記筐体側支持部材に固定されるとともに、前記筐体内の配管を構成する複数の配管部品のうちの所定の配管部品である被支持配管部品に固定される配管部品側支持部材とを有する配管の支持構造としてもよい。この場合、筐体側支持部材を筐体の一部と見なしてもよい。
【0078】
また、配管の支持構造1において、筐体側支持部材が、移動位置決めされることなく筐体に固定され、代わりに、配管部品側支持部材が、筐体側支持部材に対して、所定の1本の線に沿って移動し位置決めされて、筐体側支持部材に固定され、配管部品側支持部材が、被支持配管部品に対して所定の他の1本の線に沿って移動し位置決めされて被支持配管部品に固定される構成であってもよい。
【0079】
すなわち、筐体と、前記筐体内で前記筐体に固定される筐体側支持部材と、前記筐体内で前記筐体側支持部材に対して所定の1本の線に沿って移動し位置決めされ、また、前記筐体内の配管を構成する複数の配管部品のうちの所定の配管部品である被支持配管部品に所定の他の1本の線に沿って移動し位置決めされ、前記被支持配管部品に固定される配管部品側支持部材とを有する配管の支持構造としてもよい。この場合も、筐体側支持部材を筐体の一部と見なしてもよい。
【0080】
以上、本実施形態を説明したが、本実施形態はこれらに限定されるものではなく、本実施形態の要旨の範囲内で種々の変形が可能である。
【符号の説明】
【0081】
1 配管の支持構造
3 消火栓
4 筐体
5 筐体側支持部材
7 配管部品側支持部材
13 筐体内の配管
15 被支持配管部品
15a 消火栓弁
15b 自動調圧弁
19 筐体側支持部材の平板状部位
21 配管部品側支持部材の平板状部位
25 バルブの筐体
77 筐体側支持部材ガイド部
79 配管部品側支持部材ガイド部