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特開2024-158312測定装置、測定システム、測定方法及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024158312
(43)【公開日】2024-11-08
(54)【発明の名称】測定装置、測定システム、測定方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   A61B 8/14 20060101AFI20241031BHJP
【FI】
A61B8/14
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023073424
(22)【出願日】2023-04-27
(71)【出願人】
【識別番号】504133110
【氏名又は名称】国立大学法人電気通信大学
(71)【出願人】
【識別番号】899000057
【氏名又は名称】学校法人日本大学
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【弁理士】
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100175824
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100152272
【弁理士】
【氏名又は名称】川越 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100181722
【弁理士】
【氏名又は名称】春田 洋孝
(72)【発明者】
【氏名】小泉 憲裕
(72)【発明者】
【氏名】西山 悠
(72)【発明者】
【氏名】野呂 悠紀
(72)【発明者】
【氏名】石川 智大
(72)【発明者】
【氏名】シュウ カイ
(72)【発明者】
【氏名】月原 弘之
(72)【発明者】
【氏名】松本 直樹
(72)【発明者】
【氏名】小川 眞広
【テーマコード(参考)】
4C601
【Fターム(参考)】
4C601DD01
4C601DD14
4C601EE11
4C601JB34
4C601JC06
4C601JC09
4C601JC37
(57)【要約】
【課題】測定対象となる血管を、隣接する血管とは区別して認識し、測定対象となる血管の内径を測定する。
【解決手段】測定装置は、測定対象となる動物に当接した測定プローブにより出力される超音波の反響を可視化した超音波画像を取得する取得部と、取得した前記超音波画像に映し出された前記動物の臓器の輪郭と、当該臓器に同期して変動する血管の輪郭とをそれぞれ検出する検出部と、検出された前記血管の輪郭に基づいて、前記血管の内径を測定する測定部と、を備える。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
測定対象となる動物に当接した測定プローブにより出力される超音波の反響を可視化した超音波画像を取得する取得部と、
取得した前記超音波画像に映し出された前記動物の臓器の輪郭と、当該臓器に同期して変動する血管の輪郭とをそれぞれ検出する検出部と、
検出された前記血管の輪郭に基づいて、前記血管の内径を測定する測定部と、
を備える測定装置。
【請求項2】
前記取得部は、異なる時刻において同一の測定対象が測定された複数の前記超音波画像を取得し、
前記測定部は、取得された複数の前記超音波画像について、それぞれ前記血管の内径を測定し、
測定された複数の内径のうち、最大値及び最小値を算出する算出部を更に備える
請求項1に記載の測定装置。
【請求項3】
前記検出部は、測定対象である前記血管と、測定対象でない血管とを区別して検出し、
前記測定部は、測定対象である前記血管については前記血管の内径を測定し、測定対象でない血管については血管の内径を測定しない
請求項1又は請求項2に記載の測定装置。
【請求項4】
測定対象である前記血管とは、下大静脈であり、
測定対象でない血管とは、腹部大動脈である、
請求項3に記載の測定装置。
【請求項5】
前記検出部は、前記超音波画像と、前記超音波画像に対応して定められた前記動物の臓器の輪郭と、当該臓器に同期して変動する血管の輪郭とを教師データとして、教師有り学習により予め学習された学習済みモデルを含み、
前記学習済みモデルは、前記取得部により取得された前記超音波画像に基づき、前記動物の臓器の輪郭と、当該臓器に同期して変動する血管の輪郭とをそれぞれ検出する、
請求項1又は請求項2に記載の測定装置。
【請求項6】
前記学習済みモデルは、前記超音波画像と、前記超音波画像に対応して定められ、測定対象でない血管の輪郭とを教師データとして予め学習され、前記取得部により取得された前記超音波画像に基づき、測定対象でない血管の輪郭を検出する、
請求項5に記載の測定装置。
【請求項7】
前記学習済みモデルは、少なくとも血管の壁の厚さと、前記動物の臓器からの距離とを特徴量として、測定対象である前記血管と、測定対象でない血管とを区別して検出する
請求項6に記載の測定装置。
【請求項8】
前記測定部は、前記動物の臓器に基づいて特定された所定の位置において、前記血管の内径を測定する
請求項1又は請求項2に記載の測定装置。
【請求項9】
前記測定部は、検出された前記血管の輪郭のうち両方の壁においてそれぞれ関心領域を特定し、特定された2つの関心領域それぞれにおいて、前記血管の傾きを算出し、算出された前記血管の傾きの平均に対して垂直に交わる線のうち、前記血管の輪郭の間の線分を前記血管の内径として測定する
請求項1又は請求項2に記載の測定装置。
【請求項10】
前記測定対象となる動物から、被測定対象となる信号を検出する前記測定プローブと、
前記測定プローブを、前記測定対象となる動物に対して移動させる駆動装置と、
請求項1又は請求項2に記載の測定装置と、
検出された前記動物の臓器の輪郭と、前記血管の輪郭とに基づく位置に前記測定プローブを移動させるよう前記駆動装置を制御する制御装置と、
を備える測定システム。
【請求項11】
測定対象となる動物に当接した測定プローブにより出力される超音波の反響を可視化した超音波画像を取得する取得工程と、
取得した前記超音波画像に映し出された前記動物の臓器の輪郭と、当該臓器に同期して変動する血管の輪郭とをそれぞれ検出する検出工程と、
検出された前記血管の輪郭に基づいて、前記血管の内径を測定する測定工程と、
を有する測定方法。
【請求項12】
コンピュータに、
測定対象となる動物に当接した測定プローブにより出力される超音波の反響を可視化した超音波画像を取得する取得ステップと、
取得した前記超音波画像に映し出された前記動物の臓器の輪郭と、当該臓器に同期して変動する血管の輪郭とをそれぞれ検出する検出ステップと、
検出された前記血管の輪郭に基づいて、前記血管の内径を測定する測定ステップと、
を実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、測定装置、測定システム、測定方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、超音波プローブを生体に押し当て、生体内の注目部位についての超音波画像を得ることが行われる。超音波画像を取得する対象となる注目部位が、生体内を概周期的に運動するような場合、超音波プローブの位置や押し当て角度等を変化させることにより、注目部位を追跡する技術があった(例えば、特許文献1を参照。)。また、特許文献1に記載されたような技術を用いて、追跡した注目部位に対して超音波を収束し、患部を焼灼するシステムがあった。このような治療法は、HIFU(High Intensity Focused Ultrasound)治療として知られており、現在では主に前立線癌の治療に用いられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2016-158890号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
注目部位を追跡することにより取得された超音波画像は、熟練の技術者により診断が行われる。診断の具体的な一例としては、下大静脈の内径の測定を挙げることができる。下大静脈の内径を測定する場合、まず、超音波画像に映し出された血管のうち、下大静脈を腹部大動脈と区別して認識することを要する。しかしながら、下大静脈と腹部大動脈とを互いに区別して認識することは、熟練の技術者でなければ困難であった。また、熟練の技術者であっても、下大静脈の同一断面を追跡して内径を測定することは容易ではなく、技術者ごとの癖によりばらつきが生じるといった問題があった。
【0005】
本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、測定対象となる血管を、隣接する血管とは区別して認識し、測定対象となる血管の内径を測定することが可能な測定装置、測定システム、測定方法及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)本発明の一態様は、測定対象となる動物に当接した測定プローブにより出力される超音波の反響を可視化した超音波画像を取得する取得部と、取得した前記超音波画像に映し出された前記動物の臓器の輪郭と、当該臓器に同期して変動する血管の輪郭とをそれぞれ検出する検出部と、検出された前記血管の輪郭に基づいて、前記血管の内径を測定する測定部と、を備える測定装置である。
【0007】
(2)また、本発明の一態様は、上述した(1)の測定装置において、前記取得部は、異なる時刻において同一の測定対象が測定された複数の前記超音波画像を取得し、前記測定部は、取得された複数の前記超音波画像について、それぞれ前記血管の内径を測定し、測定された複数の内径のうち、最大値及び最小値を算出する算出部を更に備えるものである。
【0008】
(3)また、本発明の一態様は、上述した(1)又は(2)の測定装置において、前記検出部は、測定対象である前記血管と、測定対象でない血管とを区別して検出し、前記測定部は、測定対象である前記血管については前記血管の内径を測定し、測定対象でない血管については血管の内径を測定しないものである。
【0009】
(4)また、本発明の一態様は、上述した(3)に記載の測定装置において、測定対象である前記血管とは、下大静脈であり、測定対象でない血管とは、腹部大動脈である。
【0010】
(5)また、本発明の一態様は、上述した(1)から(4)のいずれかに記載の測定装置において、前記検出部は、前記超音波画像と、前記超音波画像に対応して定められた前記動物の臓器の輪郭と、当該臓器に同期して変動する血管の輪郭とを教師データとして、教師有り学習により予め学習された学習済みモデルを含み、前記学習済みモデルは、前記取得部により取得された前記超音波画像に基づき、前記動物の臓器の輪郭と、当該臓器に同期して変動する血管の輪郭とをそれぞれ検出するものである。
【0011】
(6)また、本発明の一態様は、上述した(5)に記載の測定装置において、前記学習済みモデルは、前記超音波画像と、前記超音波画像に対応して定められ、測定対象でない血管の輪郭とを教師データとして予め学習され、前記取得部により取得された前記超音波画像に基づき、測定対象でない血管の輪郭を検出するものである。
【0012】
(7)また、本発明の一態様は、上述した(6)に記載の測定装置において、前記学習済みモデルは、少なくとも血管の壁の厚さと、前記動物の臓器からの距離とを特徴量として、測定対象である前記血管と、測定対象でない血管とを区別して検出するものである。
【0013】
(8)また、本発明の一態様は、上述した(1)から(7)のいずれかに記載の測定装置において、前記測定部は、前記動物の臓器に基づいて特定された所定の位置において、前記血管の内径を測定するものである。
【0014】
(9)また、本発明の一態様は、上述した(1)から(8)のいずれかに記載の測定装置において、前記測定部は、検出された前記血管の輪郭のうち両方の壁においてそれぞれ関心領域を特定し、特定された2つの関心領域それぞれにおいて、前記血管の傾きを算出し、算出された前記血管の傾きの平均に対して垂直に交わる線のうち、前記血管の輪郭の間の線分を前記血管の内径として測定するものである。
【0015】
(10)また、本発明の一態様は、前記測定対象となる動物から、被測定対象となる信号を検出する前記測定プローブと、前記測定プローブを、前記測定対象となる動物に対して移動させる駆動装置と、上述した(1)から(8)のいずれかに記載の測定装置と、検出された前記動物の臓器の輪郭と、前記血管の輪郭とに基づく位置に前記測定プローブを移動させるよう前記駆動装置を制御する制御装置と、を備える測定システムである。
【0016】
(11)また、本発明の一態様は、測定対象となる動物に当接した測定プローブにより出力される超音波の反響を可視化した超音波画像を取得する取得工程と、取得した前記超音波画像に映し出された前記動物の臓器の輪郭と、当該臓器に同期して変動する血管の輪郭とをそれぞれ検出する検出工程と、検出された前記血管の輪郭に基づいて、前記血管の内径を測定する測定工程と、を有する測定方法である。
【0017】
(12)また、本発明の一態様は、コンピュータに、測定対象となる動物に当接した測定プローブにより出力される超音波の反響を可視化した超音波画像を取得する取得ステップと、取得した前記超音波画像に映し出された前記動物の臓器の輪郭と、当該臓器に同期して変動する血管の輪郭とをそれぞれ検出する検出ステップと、検出された前記血管の輪郭に基づいて、前記血管の内径を測定する測定ステップと、を実行させるプログラムである。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、測定対象となる血管を、隣接する血管とは区別して認識し、測定対象となる血管の内径を測定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】実施形態に係る測定システムの概要について説明するための図である。
図2】実施形態に係る測定装置により行われる測定処理の流れについて説明するための図である。
図3】実施形態に係る測定装置の機能構成の一例を示す機能構成図である。
図4】実施形態に係る測定装置により出力される超音波画像の一例を示す図である。
図5】実施形態に係る超音波画像に映し出された下大静脈及び腹部大動脈の一例を示す第1の図である。
図6】実施形態に係る超音波画像に映し出された下大静脈及び腹部大動脈の一例を示す第2の図である。
図7】実施形態に係る測定処理において、関心領域の傾きに基づき下大静脈の内径を測定する場合について説明するための第1の図である。
図8】実施形態に係る測定処理において、関心領域の傾きに基づき下大静脈の内径を測定する場合について説明するための第2の図である。
図9】実施形態に係る測定処理において、関心領域の傾きに基づき下大静脈の内径を測定する場合について説明するための第3の図である。
図10】実施形態に係る測定システムの一連の動作の一例を示すフローチャートである。
図11】実施形態に係る測定装置の内部構成の一例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
[実施形態]
以下、本発明の態様に係る測定装置、測定システム、測定方法及びプログラムについて、好適な実施の形態を掲げ、添付の図面を参照しながら、詳細に説明する。なお、本発明の態様は、これらの実施の形態に限定されるものではなく、多様な変更または改良を加えたものも含まれる。つまり、以下に記載した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のものが含まれる。また、以下に記載した構成要素は適宜組み合わせることが可能である。また、本発明の要旨を逸脱しない範囲で構成要素の種々の省略、置換または変更を行うことができる。また、以下の図面においては、各構成をわかりやすくするために、各構造における縮尺および数等を、実際の構造における縮尺、及び数等と異ならせる場合がある。
【0021】
図1は、実施形態に係る測定システムの概要について説明するための図である。まず、同図を参照しながら、測定システム1の概要について説明する。測定システム1は、測定装置10と、制御装置20と、駆動装置30と、測定プローブ40と、診察台60と、表示装置71と、入力装置72とを備える。測定システム1は、これら各装置を備えることにより、被験者Sが有する特定の部位(例えば臓器や血管等)についての測定を行う。以下の説明において、測定システム1の測定対象となる部位であって、被験者Sが有する部位を、注目部位と記載する場合がある。また、以下の説明において、測定システム1を操作するオペレータを、操作者Oと記載する場合がある。なお、操作者Oの代わりに、所定の装置が測定システム1の操作を行ってもよい。
【0022】
測定システム1により行われる測定とは、具体的には、注目部位を所定の方法により撮影することであってもよい。測定システム1により行われる測定とは、より具体的には、X線透視撮影、CT(Computed Tomography)、MRI(Magnetic Resonance Imaging)、SPECT(Single Photon Emission Computed Tomography)-CT、又はトモシンセシス等であってもよい。なお、以下の説明においては、測定システム1が、超音波検査を行う場合の一例について説明する。また、測定システム1により、測定が行われた後、測定の結果に基づいた所定の施術が行われてもよい。
【0023】
なお、以下の説明においては、測定システム1の測定対象となる被験者Sが、ヒトである場合の一例について説明する。しかしながら本実施形態はこの一例に限定されず、被験者Sとは、ヒト以外の動物であってもよい。
【0024】
診察台60の上には、被験者Sが、測定対象となる箇所(例えば肝臓に隣接する下大静脈)のうち測定される側を、測定プローブ40側に向けた状態で載置される。被験者Sは、診察台60の上に、例えば仰向けになって横たわる。被験者Sが診察台60の上に仰向けになって横たわることにより、被験者Sの前面から注目部位を測定することが可能となる。診察台60は、駆動装置30により駆動され、水平方向及び垂直方向の位置や、角度が変化する。
【0025】
駆動装置30は、診察台60について、水平方向及び垂直方向の位置や角度を変化させることにより、被験者Sと、測定プローブ40との相対位置を変化させる。なお、駆動装置30は、診察台60の位置や角度を変化させることに代えて、又は加えて、測定プローブ40の水平方向及び垂直方向の位置や角度を変化させてもよい。
【0026】
測定プローブ40は、制御装置20により被験者Sとの位置関係が制御され、被験者Sに押し当てられる。測定プローブ40は、被験者Sから、被測定対象となる信号を検出する。具体的に、測定システム1が超音波検査を行う場合、測定プローブ40は、被験者Sから超音波画像を取得する。測定プローブ40は、取得した超音波画像を測定装置10に出力する。なお、以下の説明において、測定プローブ40を、単にプローブと記載する場合がある。
【0027】
測定装置10は、測定プローブ40から超音波画像を取得する。測定装置10は、取得した超音波画像に映し出された測定対象となる血管を検出し、検出した血管に基づいた測定を行う。検出した血管に基づいた測定とは、例えば血管の内径を測定することであってもよい。また、測定対象となる血管とは、下大静脈であってもよい。
【0028】
制御装置20は、測定装置10により測定された結果に基づき、駆動装置30及び測定プローブ40に対する制御信号を出力する。制御装置20は、当該制御信号を出力することにより、測定プローブ40と、被験者Sとの相対関係を制御する。測定装置10により測定された結果とは、例えば、測定プローブ40により取得された超音波画像に映し出された測定対象となる血管の位置等であってもよい。
【0029】
駆動装置30は、不図示の駆動機構を備える。当該駆動機構は、モータ、ギヤ、ピニオン、ラック等の部品を含で構成される。駆動装置30は、被験者Sと測定プローブ40との位置関係を制御する。駆動装置30は、当該位置関係を制御することにより、測定プローブ40を、被験者Sの測定対象となる位置に対して移動させる。
【0030】
表示装置71及び入力装置72は、操作者Oとの間のユーザーインターフェースである。表示装置71は、例えば、液晶ディスプレイ、有機EL(Electroluminescence)ディスプレイ等であってもよい。入力装置72は、操作者Oからの操作を受け付ける。入力装置72は、例えば、キーボード、タッチパネル又はマイク等であってもよい。表示装置71には、測定プローブ40により取得された超音波画像や、当該超音波画像に基づいた測定が行われた結果等が表示される。入力装置72は、操作者Oからの操作を受け付ける。当該操作は、表示装置71に表示された表示画面に基づくものであってもよいし、測定システム1を操作するために要するものであってもよい。
【0031】
図2は、実施形態に係る測定装置により行われる測定処理の流れについて説明するための図である。同図を参照しながら、測定装置10により行われる測定処理の流れについて説明する。以下の説明においては、測定装置10が、下大静脈の内径について測定する場合の一例について説明する。しかしながら、本実施形態はこの一例に限定されず、その他、広範な測定に適用されることが可能である。測定装置10の測定対象となる血管は、所定の臓器に同期して変動するものであることが好適である。なお、以下の具体例における下大動脈は、肝臓に同期して変動するものである。
【0032】
図2(A)は、測定プローブ40により測定される超音波画像の一例である。測定装置10は、このような超音波画像に基づき、セグメンテーション処理を行う。当該セグメンテーション処理においては、各臓器の輪郭部分が特定される。図示する一例では、肝臓(Liver)の輪郭部分と、下大静脈(IVC;Inferior Vena Cava)の輪郭部分とが、それぞれ特定されている。図2(B)は、肝臓及び下大動脈の輪郭部分を示している。図2(C)は、肝臓の輪郭部分を示している。図2(D)は、下大動脈の輪郭部分を示している。
【0033】
図示するように、測定装置10は、まず図2(B)のような肝臓及び下大動脈の輪郭部分を特定した後、図2(C)のような肝臓の輪郭部分、及び図2(D)のような下大動脈の輪郭部分を特定してもよい。また、測定装置10は、直接的に図2(C)のような肝臓の輪郭部分、及び図2(D)のような下大動脈の輪郭部分を特定してもよい。この場合、図2(B)は、説明のための補助的な図であるということができる。
【0034】
次に、測定装置10は、内径の測定箇所を特定する。ここで、内径の測定箇所によっては、結果が異なる場合がある。したがって、測定装置10は、内径の測定箇所を固定することにより、測定ごとのばらつきを軽減する。測定箇所の特定は、隣接する臓器の位置に基づいて行われる。隣接する臓器とは、測定対象となる血管が同期して変動する臓器である。測定対象となる血管が下大静脈である場合、具体的に隣接する臓器とは、肝臓である。
【0035】
内径の測定箇所を特定するため、測定装置10は、肝臓のうち所定の場所を特定する。図示する一例では、肝臓の重心を二次元座標(xLM,yLM)として特定している。特定された肝臓の重心を、図2(E)に図示する。ここで、肝臓の重心は、肝臓の輪郭全てが超音波画像に映し出されているような場合に用いられることが有効である。しかしながら、肝臓の輪郭の一部が超音波画像から見切れているような場合、撮影箇所の変動により重心位置が変動してしまうような恐れがある。したがって、肝臓の重心を特定することに代えて、例えば肝臓の輪郭の左端から所定の距離離れた位置を特定してもよい。このように肝臓の位置を特定することにより、撮影箇所の変動による測定箇所の変動を抑止することができる。
【0036】
次に、測定装置10は、特定された肝臓の位置(重心、又は左端から所定の距離離れた位置等)に基づき、測定対象となる血管(下大静脈)の測定箇所を特定する。血管の測定箇所を、図2(F)に図示する。図示する一例では、肝臓の重心と同一のx座標を有し、下大静脈の上壁と交差する点を二次元座標(xLM,y)として示している。また、肝臓の重心と同一のy座標を有し、下大静脈の下壁と交差する点を二次元座標(xLM,y)として示している。これら2つの座標間の距離が、下大静脈の内径として測定される。
【0037】
具体的に、下大静脈の内径は、d=|y-y|により算出される。算出された下大静脈の内径は、測定対象となった超音波画像(すなわち図2(A)に示した超音波画像)に重畳して表示される。内径が表示された画像を、図2(G)に図示する。当該画像は、表示装置71に表示されてもよい。また、当該画像には、検出された臓器(肝臓及び下大静脈)の位置を示すバウンディングボックス及びそのクラス、尤度等が示されていてもよい。また、その他の臓器が検出された場合は、その他の臓器についても示されていてもよい。
【0038】
図3は、実施形態に係る測定装置の機能構成の一例を示す機能構成図である。同図を参照しながら、測定装置10の機能構成の一例について説明する。測定装置10は、画像取得部11と、検出部12と、測定部13と、記憶部14と、算出部15と、出力部16とを含んで構成される。これらの各機能部は、例えば、電子回路を用いて実現される。また、各機能部は、必要に応じて、半導体メモリや磁気ハードディスク装置などといった記憶手段を内部に備えてよい。また、各機能を、CPU(Central Processing Unit)を有するコンピュータおよびソフトウェアによって実現するようにしてもよい。
【0039】
画像取得部11は、測定プローブ40により測定された超音波画像を取得する。測定プローブ40は、被験者Sに当接した状態において超音波画像を取得する。本実施形態において被験者Sとは、ヒトに限定されず、測定対象となる動物であればよい。また、当該超音波画像とは、測定プローブ40により出力される超音波の反響を可視化した画像であるともいうことができる。画像取得部11により取得される超音波画像には、被験者Sの臓器と、当該臓器に同期して変動する血管とが映し出されている。なお、以下の説明において、画像取得部11を、単に取得部と記載する場合がある。
【0040】
検出部12は、画像取得部11により取得された超音波画像に映し出された臓器の輪郭と、血管の輪郭とをそれぞれ区別して検出する。なお、検出部12は、検出処理を機械学習により行ってもよい。機械学習により検出処理を行う場合、検出部12は、不図示の学習済みモデルを含んでいてもよい。当該学習済みモデルは、学習段階において、所定の教師データを用いて、教師有り学習により予め学習される。学習のために用いられる教師データは、超音波画像と、当該超音波画像に対応して定められた動物の臓器の輪郭と、当該臓器に同期して変動する血管の輪郭とが互いに対応付けられたものである。また、当該学習済みモデルは、推論段階において、画像取得部11により取得された超音波画像に基づき、動物の臓器の輪郭と、当該臓器に同期して変動する血管の輪郭とをそれぞれ区別して検出する。
【0041】
ここで、画像取得部11により取得される超音波画像には、測定対象である血管と、測定対象でない血管とが映し出されている場合がある。また、測定対象である血管、又は測定対象でない血管のいずれか一方が映し出されている場合がある。検出部12は、測定対象である血管と、測定対象でない血管とを互いに区別して検出する。そのため、検出処理が機械学習により行われる場合、学習段階において、測定対象でない血管について、測定対象である血管と区別して検出可能なよう学習されていることが好適である。より具体的には、検出部12に含まれる学習済みモデルは、学習段階において、測定対象でない血管を含むデータを教師データとして予め学習される。測定対象でない血管を含むデータを教師データとは、超音波画像と、超音波画像に対応して定められた血管の輪郭であって、測定対象でない血管の輪郭とが対応付けられたデータである。このようにして学習された学習済みモデルは、推論段階において、画像取得部11により取得された超音波画像に基づき、測定対象でない血管の輪郭を検出することができる。なお、測定対象である血管とは、例えば下大静脈であり、測定対象でない血管とは、例えば腹部大動脈であってもよい。
【0042】
なお、機械学習には、いかなる特徴量が用いられてもよい。具体的に、特徴量の一例として、血管の壁の厚さと、動物の臓器(例えばヒトの肝臓)からの距離等を例示することができる。これらを特徴量として学習することにより、測定対象である血管(例えば下大静脈)と、測定対象でない血管(例えば腹部大動脈)とを互いに区別して検出することができる。
【0043】
測定部13は、検出部12により検出された血管の輪郭に基づいて、血管の内径を測定する。血管の内径とは、例えば血管が超音波画像の水平方向に映し出されている場合、画像の上下方向における幅であってもよい。この場合、同一のx座標における血管の上壁から下壁までの距離であってもよい。具体的には、血管の内径とは、血管の傾き具合に応じたものであってもよい。より具体的には、血管の内径とは、血管の一方の壁の傾き具合と、他方の壁の傾き具合とに応じたものであってもよい。
【0044】
ここで、検出部12は、測定対象である血管と、測定対象でない血管とを互いに区別して検出する場合がある。測定部13は、検出部12により測定対象である血管が検出された場合、当該血管については血管の内径を測定する。また、測定部13は、検出部12により測定対象でない血管が検出された場合、当該血管については血管の内径を測定しない。
【0045】
また、検出部12により測定される箇所は、図2(E)及び図2(F)を参照しながら説明したように、肝臓の位置に基づくものであってもよい。換言すれば、測定部13は、動物の臓器に基づいて特定された所定の位置において、血管の内径を測定するということもできる。所定の位置とは、例えば超音波画像に映し出された肝臓の重心位置であってもよいし、肝臓の左端から所定の距離における位置であってもよい。
【0046】
記憶部14は、測定部13により測定された血管の内径を記憶する。ここで、本実施形態において、測定装置10は、リアルタイムで連続的に取得された超音波画像についての測定を行う。したがって、記憶部14は、リアルタイムで連続的に取得された超音波画像について、測定部13により測定された血管の内径を記憶する。測定された血管の内径値は、測定の対象である超音波画像が取得された時刻情報と対応付けられていてもよい。
【0047】
算出部15は、記憶部14に記憶された血管の内径のうち、最大値及び最小値を算出する。この場合、画像取得部11は、異なる時刻において同一の測定対象が測定された複数の超音波画像を取得し、測定部13は、取得された複数の超音波画像について、それぞれ血管の内径を測定し、測定結果を記憶部14に記憶させる。算出部15は、測定部13により測定された複数の内径のうち、最大値及び最小値を算出する。算出部15により算出される値は、最大値及び最小値に限定されず、例えば平均値等のその他の統計演算値が算出されてもよい。
【0048】
出力部16は、算出部15により算出された値を出力する。算出部15により算出される値には、最大値及び最小値が含まれる。したがって、出力部16は、算出部15により算出された最大値及び最小値を出力するということもできる。なお、出力部16は、現在測定プローブ40により取得された超音波画像を、最大値及び最小値と併せて出力してもよい。また、出力部16は、最大値及び最小値に関する情報(数字情報)が重畳された画像であって、現在測定プローブ40により取得された超音波画像を出力してもよい。
【0049】
図4は、実施形態に係る測定装置により出力される超音波画像の一例を示す図である。同図には、測定装置10により出力される出力結果の一例を示している。図示するように、測定装置10より出力される出力結果には、現在測定プローブ40により取得された画像に対し、複数の情報が重畳して表示される。
【0050】
具体的に、同図には、肝臓の位置を示すバウンディングボックスが示されている。当該バウンディングボックスには、肝臓のクラス“major-liver”が記載されている。また、当該バウンディングボックスには、肝臓である尤度“1.00”が記載されている。同様に、同図には、下大静脈の位置を示すバウンディングボックスが示されている。当該バウンディングボックスには、下大静脈のクラス“major-ivc”が記載されている。また、当該バウンディングボックスには、下大静脈である尤度“0.49”が記載されている。
【0051】
同図の左下には、測定された下大静脈の内径が記載されている。具体的には、“inner diameter:13.1mm”と記載されている。すなわち、測定された下大静脈の内径は、13.1[mm(ミリメートル)]である。また、同図には、下大静脈の内径を測定した位置が太い縦線により示されている。当該縦線は、下大静脈のバウンディングボックス中に図示されている。
【0052】
同図の右下には、測定プローブ40により撮影される速度が示されている。具体的には、“FPS=15.0”と記載されている。すなわち、測定プローブ40は、15.0[FPS(Frames Per Second)]のスピードで超音波画像を取得する。すなわち、図示する一例においては、1秒間に15回の超音波画像が取得され、超音波画像が取得されるごとに血管の内径が測定され、測定結果が更新される。
【0053】
次に、図5及び図6を参照しながら、測定対象である血管と、測定対象でない血管とを互いに区別して検出した場合の具体的な検出結果の一例について説明する。図5は、実施形態に係る超音波画像に映し出された下大静脈及び腹部大動脈の一例を示す第1の図である。図6は、実施形態に係る超音波画像に映し出された下大静脈及び腹部大動脈の一例を示す第2の図である。これらの図を参照しながら、超音波画像に、測定対象である血管として下大静脈が映し出された場合の一例、及び超音波画像に測定対象でない血管として腹部大動脈が映し出された場合の一例について説明する。
【0054】
図5(A)は、超音波画像に下大静脈が映し出された場合の超音波画像の一例を示している。図5(B)は、超音波画像に腹部大動脈が映し出された場合の超音波画像の一例を示している。図6は、図5(A)及び図5(B)の超音波画像について、検出部12による物体検出処理が行われた後の検出結果の一例を示す。図6(A)には、肝臓(major-liver)の輪郭と、下大静脈(major-ivc)の輪郭とが検出されている。肝臓として検出された部分と、下大静脈として検出された部分については、説明のためハッチング処理を行っている。また、図6(B)には、肝臓(major-liver)の輪郭と、腹部大動脈(aorta)の輪郭とが検出されている。肝臓として検出された部分と、腹部大動脈として検出された部分については、説明のためハッチング処理を行っている。図示するように、肝臓及び下大静脈の互いの位置関係と、肝臓及び腹部大動脈の互いの位置関係とは、それぞれ異なるものである。検出部12は、肝臓と、下大静脈又は腹部大動脈との位置関係を特徴量として学習し、血管の種類(下大静脈又は腹部大動脈)を精度よく検出する。
【0055】
次に、図7から図9を参照しながら、血管の内径をより精度よく測定するための変形例について説明する。上述した実施形態においては、血管の内径を、超音波画像の垂直方向に測定していた。ここで、超音波画像には、血管の方向が水平方向に映し出されているとは限られない。例えば、血管が水平方向に傾いて映し出されているような場合、超音波画像の垂直方向に血管の内径を測定すると、実際の径よりも大きく測定されてしまう場合がある。そこで、本変形例においては、血管の上壁の傾きと、血管の下壁の傾きに応じて、測定方向を決定する。以下、詳細な手順について説明する。
【0056】
図7は、実施形態に係る測定処理において、関心領域の傾きに基づき下大静脈の内径を測定する場合について説明するための第1の図である。同図には、超音波画像のうち下大静脈以外の部分についてハッチング処理をして示している。測定部13は、まず、関心領域を決定する。同図には、肝臓の位置に応じた点である特定点SPが示されている。特定点SPとは、肝臓の重心であってもよく、肝臓の左端から所定の距離離れた点であってもよい。また、同図には、説明のため、特定点SPから垂直方向に下に伸びた線を線L1として記載している。測定部13は、当該特定点SPから垂直方向に下の点(線L1上の点)を中心とする領域であって、血管の上壁と交わる点を中心とする領域を、第1関心領域ROI1として特定する。また、測定部13は、当該特定点SPから垂直方向に下の点(線L1上の点)を中心とする領域であって、血管の下壁と交わる点を中心とする領域を、第2関心領域ROI2として特定する。
【0057】
図8は、実施形態に係る測定処理において、関心領域の傾きに基づき下大静脈の内径を測定する場合について説明するための第2の図である。次に、測定部13は、第1関心領域ROI1における上壁の傾きを算出する。図8(A)には、第1関心領域ROI1の内部における血管の上壁の傾きが示されている。血管の上壁の傾きを、線L21として示している。線L21の傾きは、y1/x1として表すこともできる。次に、測定部13は、第2関心領域ROI2における上壁の傾きを算出する。図8(B)には、第2関心領域ROI2の内部における血管の上壁の傾きが示されている。血管の下壁の傾きを、線L22として示している。線L22の傾きは、y2/x2として表すこともできる。
【0058】
図9は、実施形態に係る測定処理において、関心領域の傾きに基づき下大静脈の内径を測定する場合について説明するための第3の図である。次に、測定部13は、第1関心領域ROI1において算出された上壁の傾きと、第2関心領域ROI2において算出された下壁の傾きとに基づき、血管の傾きを算出する。一例として、測定部13は、第1関心領域ROI1において算出された上壁の傾きと、第2関心領域ROI2において算出された下壁の傾きとの平均を、血管の傾きとして算出する。図9には、算出された血管の傾きを有する線を、線L3として示している。線L3の傾きは、y3/x3として表すこともできる。次に、測定部13は、線L3と垂直に交わる線であって、線L1と交わる線を、血管の径方向として特定する。同図には、血管の径方向を、線L4として示している。測定部13は、線L4上の点であって血管の上壁と交わる点から、線L4上の点であって血管の下壁と交わる点までの距離を血管の内径として測定する。
【0059】
換言すれば、測定部13は、検出された血管の輪郭のうち両方の壁においてそれぞれ関心領域を特定し、特定された2つの関心領域それぞれにおいて、血管の傾きを算出し、算出された血管の傾きの平均に対して垂直に交わる線のうち、血管の輪郭の間の線分を血管の内径として測定するということもできる。
【0060】
図10は、実施形態に係る測定システム1の一連の動作の一例を示すフローチャートである。同図を参照しながら、測定システム1の一連の動作の一例について説明する。
【0061】
(ステップS11)まず、測定装置10の画像取得部11は、測定プローブ40により撮影された超音波画像を取得する。当該工程を、取得工程又は取得ステップと記載する場合がある。
【0062】
(ステップS12)次に、測定装置10の検出部12は、画像取得部11により取得された超音波画像に含まれる臓器又は血管等の物体を検出する。検出部12により検出される臓器又は血管等の物体には、肝臓等の臓器と、下大静脈や腹部大動脈等の血管等が含まれる。当該工程を、検出工程又は検出ステップと記載する場合がある。
【0063】
(ステップS13)次に、測定装置10は、測定対象となる血管(例えば、下大静脈;IVC)が検出された場合、処理をステップS14に進める。また、測定装置10は、測定対象となる血管が検出されない場合、処理をステップS15に進める。
【0064】
(ステップS14)次に、測定装置10の測定部13は、測定対象となる血管(例えば、下大静脈;IVC)の内径を測定する。内径の測定には、図7から図9を参照しながら説明したような測定方法が用いられてもよい。当該工程を、測定工程又は測定ステップと記載する場合がある。
【0065】
(ステップS15)測定対象となる血管が検出されなかった場合、測定システム1の制御装置20は、測定対象となる血管が超音波画像に映し出されるような位置に、測定プローブの位置を移動させるよう、駆動装置30を制御する。測定対象となる血管が超音波画像に映し出されるような位置とは、検出された臓器の輪郭と、血管の輪郭とに基づく位置であってもよい。
【0066】
図11は、実施形態に係る測定装置の内部構成の一例を示すブロック図である。測定装置10の少なくとも一部の機能は、コンピュータを用いて実現され得る。図示するように、そのコンピュータは、中央処理装置901と、RAM902と、入出力ポート903と、入出力デバイス904や905等と、バス906と、を含んで構成される。コンピュータ自体は、既存技術を用いて実現可能である。中央処理装置901は、RAM902等から読み込んだプログラムに含まれる命令を実行する。中央処理装置901は、各命令にしたがって、RAM902にデータを書き込んだり、RAM902からデータを読み出したり、算術演算や論理演算を行ったりする。RAM902は、データやプログラムを記憶する。RAM902に含まれる各要素は、アドレスを持ち、アドレスを用いてアクセスされ得るものである。なお、RAMは、「ランダムアクセスメモリー」の略である。入出力ポート903は、中央処理装置901が外部の入出力デバイス等とデータのやり取りを行うためのポートである。入出力デバイス904や905は、入出力デバイスである。入出力デバイス904や905は、入出力ポート903を介して中央処理装置901との間でデータをやりとりする。バス906は、コンピュータ内部で使用される共通の通信路である。例えば、中央処理装置901は、バス906を介してRAM902のデータを読んだり書いたりする。また、例えば、中央処理装置901は、バス906を介して入出力ポートにアクセスする。
【0067】
[実施形態のまとめ]
以上説明した実施形態によれば、測定装置10は、画像取得部11を備えることにより、測定対象となる動物に当接した測定プローブ40により出力される超音波の反響を可視化した超音波画像を取得し、検出部12を備えることにより、取得した超音波画像に映し出された動物の臓器の輪郭と、当該臓器に同期して変動する血管の輪郭とをそれぞれ検出し、測定部13を備えることにより、検出された血管の輪郭に基づいて、血管の内径を測定する。ここで、下大静脈の内径を測定するような場合、誤って腹部大動脈のような血管が超音波画像に映し出されるような場合があり、これらの測定対象ではない血管を、測定対象である血管と区別して認識することは、熟練の技術者であっても容易ではなかった。本実施形態によれば、例えば下大静脈が肝臓に同期して変動する血管であるという特徴を利用し、測定対象となる下大静脈の位置を検出する。また、検出した位置に基づいて、下大静脈の内径が測定される。よって、本実施形態によれば、測定対象となる血管を、隣接する血管とは区別して認識し、測定対象となる血管の内径を測定することができる。
【0068】
また、以上説明した実施形態によれば、画像取得部11は、異なる時刻において同一の測定対象が測定された複数の超音波画像を取得し、測定部13は、取得された複数の超音波画像について、それぞれ血管の内径を測定する。また、測定装置10は、算出部15を備えることにより、測定された複数の内径のうち、最大値及び最小値を算出する。すなわち、本実施形態によれば、測定装置10は、血管の内径と最大値及び最小値を測定する。ここで、1つの超音波画像に基づいた1回の測定では、測定結果にばらつきが生じてしまう場合がある。本実施形態によれば、血管の内径と最大値及び最小値を測定するため、ばらつきの少ない測定結果を提供することができる。
【0069】
また、以上説明した実施形態によれば、検出部12は、測定対象である血管(例えば下大静脈)と、測定対象でない血管(腹部大動脈)とを区別して検出し、測定部13は、測定対象である血管については血管の内径を測定し、測定対象でない血管については血管の内径を測定しない。すなわち、本実施形態によれば、測定対象でない血管についても、検出対象としている。よって、本実施形態によれば、測定対象である血管か否かを精度よく検出することができる。
【0070】
また、以上説明した実施形態によれば、測定対象である血管とは下大静脈であり、測定対象でない血管とは腹部大動脈である。したがって、本実施形態によれば、測定対象である下大静脈の内径を測定することができ、測定対象でない腹部大動脈について、誤って内径を測定してしまうような事態を抑止することができる。
【0071】
また、以上説明した実施形態によれば、検出部12は、超音波画像と、超音波画像に対応して定められた動物の臓器の輪郭と、当該臓器に同期して変動する血管の輪郭とを教師データとして、教師有り学習により予め学習された学習済みモデルを含む。また、当該学習済みモデルは、画像取得部11により取得された超音波画像に基づき、動物の臓器の輪郭と、当該臓器に同期して変動する血管の輪郭とをそれぞれ検出する。すなわち、本実施形態によれば、機械学習アルゴリズムによる物体検出を行う。したがって、本実施形態によれば、精度よく測定対象となる血管を特定することができる。
【0072】
また、以上説明した実施形態によれば、当該学習済みモデルは、超音波画像と、超音波画像に対応して定められ、測定対象でない血管の輪郭とを教師データとして予め学習され、取得部により取得された超音波画像に基づき、測定対象でない血管の輪郭を検出する。すなわち、本実施形態によれば、測定対象でない血管についても、教師データとして学習済みモデルを学習させる。したがって、本実施形態によれば、誤って測定対象でない血管について、内径を測定してしまうような事態を抑止することができる。
【0073】
また、以上説明した実施形態によれば、当該学習済みモデルは、少なくとも血管の壁の厚さと、動物の臓器からの距離とを特徴量として、測定対象である血管と、測定対象でない血管とを区別して検出する。ここで、下大静脈と腹部大動脈のような血管は、血管の壁の厚さが異なる。また、下大静脈から肝臓までの距離と、腹部大動脈から肝臓までの距離とは、互いに異なる。したがって、本実施形態によれば、少なくとも血管の壁の厚さと、動物の臓器からの距離とを特徴量とすることにより、測定対象となる血管を精度よく検出することができる。よって、本実施形態によれば、誤って測定対象でない血管について、内径を測定してしまうような事態を抑止することができる。
【0074】
また、以上説明した実施形態によれば、測定部13は、動物の臓器に基づいて特定された所定の位置において、血管の内径を測定する。すなわち、測定部13は、複数回の測定において、所定の位置における内径を測定する。ここで、血管の内径は、測定箇所が異なれば測定結果が異なり、測定結果がばらつくような場合がある。本実施形態によれば、血管の同一断面を追従し、測定するということもできる。したがって、本実施形態によれば、測定結果のばらつきを低減することができる。
【0075】
また、以上説明した実施形態によれば、測定部13は、検出された血管の輪郭のうち両方の壁においてそれぞれ関心領域を特定し、特定された2つの関心領域それぞれにおいて、血管の傾きを算出し、算出された血管の傾きの平均に対して垂直に交わる線のうち、血管の輪郭の間の線分を血管の内径として測定する。すなわち、本実施形態によれば、血管の傾きに応じた方向で内径を測定することができる。ここで、血管の上壁の傾きと、下壁の傾きとは、互いに異なる場合がある。また、本実施形態によれば、血管の上壁の傾きと下壁の傾きとに応じて内径を測定する。よって、本実施形態によれば、精度よく血管の内径を測定することができる。
【0076】
また、以上説明した実施形態によれば、測定システム1は、測定プローブ40を備えることにより、測定対象となる動物から、被測定対象となる信号を検出し、駆動装置30を備えることにより、測定プローブ40を、測定対象となる動物に対して移動させ、制御装置20を備えることにより、検出された動物の臓器の輪郭と、血管の輪郭とに基づく位置に測定プローブ40を移動させるよう駆動装置30を制御する。本実施形態によれば、このような構成を採用することにより、測定対象となる血管の同一断面を追従して測定することができる。また、本実施形態によれば、血管の同一断面を追従して測定することにより、当該断面について好適な措置を施すことができるようになる。
【0077】
なお、上述した実施形態における測定装置10が備える各部の機能全体あるいはその一部は、これらの機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することによって実現しても良い。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。
【0078】
また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD-ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶部のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線のように、短時間の間、動的にプログラムを保持するもの、その場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリのように、一定時間プログラムを保持しているものも含んでも良い。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良く、さらに前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであっても良い。
【0079】
以上、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明したが、具体的な構成が上述した実施形態に限られるわけではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲での設計変更等も含まれる。
また、上記に示した各実施形態は独立した実施形態であってもよいし、任意の実施形態を組み合わせることとしてもよい。
【符号の説明】
【0080】
1…測定システム、10…測定装置、20…制御装置、30…駆動装置、40…測定プローブ、60…診察台、71…表示装置、72…入力装置、S…被験者、11…画像取得部、12…検出部、13…測定部、14…記憶部、15…算出部、16…出力部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11