IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ブラザー工業株式会社の特許一覧

特開2024-158321読み取りシステム及び読み取り処理プログラム
<>
  • 特開-読み取りシステム及び読み取り処理プログラム 図1
  • 特開-読み取りシステム及び読み取り処理プログラム 図2
  • 特開-読み取りシステム及び読み取り処理プログラム 図3
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024158321
(43)【公開日】2024-11-08
(54)【発明の名称】読み取りシステム及び読み取り処理プログラム
(51)【国際特許分類】
   H04N 1/00 20060101AFI20241031BHJP
   G06F 21/31 20130101ALI20241031BHJP
【FI】
H04N1/00 838
G06F21/31
H04N1/00 127B
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023073438
(22)【出願日】2023-04-27
(71)【出願人】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003096
【氏名又は名称】弁理士法人第一テクニカル国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】松下 聡
(72)【発明者】
【氏名】野尻 弘也
(72)【発明者】
【氏名】宇野 暁仁
(72)【発明者】
【氏名】白木 智美
(72)【発明者】
【氏名】柳 哲
(72)【発明者】
【氏名】大宮 誉史
(72)【発明者】
【氏名】松本 大祐
(72)【発明者】
【氏名】グエン バン タイン
(72)【発明者】
【氏名】榎本 勝則
(72)【発明者】
【氏名】堀 俊和
(72)【発明者】
【氏名】本山 俊樹
【テーマコード(参考)】
5C062
【Fターム(参考)】
5C062AA05
5C062AA13
5C062AB17
5C062AB23
5C062AB38
5C062AB40
5C062AC02
5C062AC05
5C062AC34
5C062AE15
5C062AF12
(57)【要約】
【課題】読取装置側の認証によりセキュリティを確保しつつ、円滑にプルスキャンを実行する。
【解決手段】PC10は、読取装置20の能力値を取得する能力値取得コマンドを送信する第1コマンド送信処理を実行して能力値に応じてたスキャン実行コマンドを送信する。PC10は、読取装置20から認証エラー通知を受信した場合に、ID及びPWのユーザ入力を求めたうえで、そのID及びPWを利用した認証用情報要求コマンドを読取装置20に送信する。PC10は、読取装置20から送信された認証用情報を用いて被認証情報を作成するとともにスキャン実行コマンドを読取装置20に再び送信する。読取装置20は、送信された被認証情報及びスキャン実行コマンドを受信して認証を行い、その認証が成功した場合に認証成功をPC10に通知してスキャンの実行を報知する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1制御部及び記憶部を備えた端末装置と、第2制御部を備え、前記端末装置に対し接続されて読取対象物に対して読み取りを行う読取装置と、
を有する読み取りシステムであって、
前記第1制御部は、
前記読取装置の能力値を取得する能力値取得コマンドを送信する第1コマンド送信処理を実行し、
前記第2制御部は、
送信された前記能力値取得コマンドを受信する第1コマンド受信処理と、
受信した前記能力値取得コマンドに応じて、前記読取装置の前記能力値を送信する能力値送信処理と、
を実行し、
前記第1制御部は、
送信された前記能力値を受信する能力値受信処理と、
前記能力値の受信に応じて、スキャン実行コマンドを送信する第2コマンド送信処理と、
を実行し、
前記第2制御部は、
送信された前記スキャン実行コマンドを受信する第2コマンド受信処理と、
前記第2コマンド受信処理において前記読取装置における認証のための被認証情報が受信されなかった場合に、認証エラーとなったことを通知する認証エラー通知を送信する第1通知送信処理と、
を実行し、
前記第1制御部は、
送信された前記認証エラー通知を受信する第1通知受信処理と、
受信した前記認証エラー通知に対応した、ユーザ名及びパスワードの入力を受け付ける受付処理と、
認証用情報要求コマンドを送信する第3コマンド送信処理と、
を実行し、
前記第2制御部は、
送信された前記認証用情報要求コマンドを受信する第3コマンド受信処理と、
受信した前記認証用情報要求コマンドに応じて、認証用情報を送信する情報送信処理と、
を実行し、
前記第1制御部は、
送信された前記認証用情報を受信する情報受信処理と、
受信した前記認証用情報を用いて、前記被認証情報を作成する情報作成処理と、
前記受付処理で受け付けた前記ユーザ名及び前記パスワード、並びに、前記情報作成処理で作成した前記被認証情報、とともに前記スキャン実行コマンドを再び送信する第4コマンド送信処理と、
を実行し、
前記第2制御部は、
送信された前記ユーザ名及び前記パスワードと前記被認証情報と前記スキャン実行コマンドとを受信する第4コマンド受信処理と、
受信した前記ユーザ名及び前記パスワードに基づき前記被認証情報を用いて認証を行い、認証が成功した場合には認証成功を通知する認証成功通知を送信する第2通知送信処理と、
を実行し、
前記第1制御部は、
送信された前記認証成功通知を受信する第2通知受信処理を実行する
ことを特徴とする読み取りシステム。
【請求項2】
前記端末装置は、表示部をさらに有し、
前記第1制御部は、さらに、
前記第1通知受信処理で受信した前記認証エラー通知に対応し、前記ユーザ名及び前記パスワードを入力するための入力画面を前記表示部に表示する表示処理
を実行し、
前記受付処理では、
前記表示部に表示された前記入力画面を介して前記ユーザ名及び前記パスワードの入力を受け付ける
ことを特徴とする、請求項1記載の読み取りシステム。
【請求項3】
前記第1制御部は、さらに、
前記能力値受信処理で受信した前記能力値に基づき、前記読取装置が認証機能を有するか否かを判定する第1判定処理を実行し、
前記第1判定処理で前記認証機能を有すると判定された場合に、
前記第1制御部は、前記第2コマンド送信処理と、前記第1通知受信処理と、前記受付処理と、前記第3コマンド送信処理と、前記情報受信処理と、前記情報作成処理と、前記第4コマンド送信処理と、前記第2通知受信処理と、を実行し、
前記第2制御部は、前記第2コマンド受信処理と、前記第1通知送信処理と、前記第3コマンド受信処理と、前記情報送信処理と、前記第4コマンド受信処理と、前記第2通知送信処理と、を実行することを特徴とする請求項1記載の読み取りシステム。
【請求項4】
前記第1制御部は、さらに、
前記第1通知受信処理での前記認証エラー通知の受信に応じ、前記記憶部に、前記被認証情報のキャッシュが記憶されているか否かを判定する第2判定処理
を実行し、
前記第2判定処理で前記キャッシュが記憶されていると判定された場合は、前記表示処理を行わず、
前記第2判定処理で前記キャッシュが記憶されていないと判定された場合に、前記表示処理を実行する
ことを特徴とする請求項2記載の読み取りシステム。
【請求項5】
読取対象物に対して読み取りを行う読取装置に接続され、演算部及び記憶部を備えた端末装置の前記演算部に対し、
前記読取装置の能力値を取得する能力値取得コマンドを送信する第1コマンド送信ステップと、
受信された前記能力値取得コマンドに応じて前記読取装置から送信された、前記読取装置の前記能力値を受信する能力値受信ステップと、
受信した前記能力値に応じて、スキャン実行コマンドを送信する第2コマンド送信ステップと、
前記スキャン実行コマンドが受信されかつ前記読取装置における認証のための被認証情報が受信されなかった場合に前記読取装置から送信された、認証エラーとなったことを通知する認証エラー通知を受信する第1通知受信ステップと、
受信した前記認証エラー通知に対応した、ユーザ名及びパスワードの入力を受け付ける受付ステップと、
認証用情報要求コマンドを送信する第3コマンド送信ステップと、
受信された前記認証用情報要求コマンドに応じて前記読取装置から送信された、認証用情報を受信する情報受信ステップと、
受信した前記認証用情報を用いて、前記被認証情報を作成する情報作成ステップと、
前記受付ステップで受け付けた前記ユーザ名及び前記パスワード、並びに、前記情報作成ステップで作成した前記被認証情報、とともに前記スキャン実行コマンドを再び送信する第4コマンド送信ステップと、
受信された前記ユーザ名及び前記パスワードに基づき前記被認証情報を用いて行われた認証に基づき認証が成功した場合に前記読取装置から送信された、認証成功を通知する認証成功通知を受信する第2通知受信ステップと、
実行させるための、読み取り処理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、いわゆるプルスキャンを行う読み取りシステム及び読み取り処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、通信インタフェースとユーザインタフェースとを備える端末が、通信インタフェースを介して、スキャナに実行要求を送信することでスキャナにプルスキャン処理を実行させ、プルスキャン処理により作成された前記スキャンデータを保存する技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2022-071300号公報(段落[0047]等)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来技術では、端末装置側から読取装置に対し、いわゆるプルスキャンが実行される。その際、そのままでは、読取装置に読み取り対象物をセットした本来のユーザでない別ユーザが読み取り画像を取得する恐れがある。
【0005】
本発明の目的は、読取装置側の認証によりセキュリティを確保しつつ、円滑にプルスキャンを実行することができる読み取りシステム及び読み取り処理プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本願発明は、第1制御部及び記憶部を備えた端末装置と、第2制御部を備え、前記端末装置に対し接続されて読取対象物に対して読み取りを行う読取装置と、を有する読み取りシステムであって、前記第1制御部は、 前記読取装置の能力値を取得する能力値取得コマンドを送信する第1コマンド送信処理を実行し、前記第2制御部は、送信された前記能力値取得コマンドを受信する第1コマンド受信処理と、受信した前記能力値取得コマンドに応じて、前記読取装置の前記能力値を送信する能力値送信処理と、を実行し、前記第1制御部は、送信された前記能力値を受信する能力値受信処理と、前記能力値の受信に応じて、スキャン実行コマンドを送信する第2コマンド送信処理と、を実行し、前記第2制御部は、送信された前記スキャン実行コマンドを受信する第2コマンド受信処理と、前記第2コマンド受信処理において前記読取装置における認証のための被認証情報が受信されなかった場合に、認証エラーとなったことを通知する認証エラー通知を送信する第1通知送信処理と、を実行し、 前記第1制御部は、送信された前記認証エラー通知を受信する第1通知受信処理と、受信した前記認証エラー通知に対応した、ユーザ名及びパスワードの入力を受け付ける受付処理と、認証用情報要求コマンドを送信する第3コマンド送信処理と、を実行し、前記第2制御部は、送信された前記認証用情報要求コマンドを受信する第3コマンド受信処理と、受信した前記認証用情報要求コマンドに応じて、認証用情報を送信する情報送信処理と、を実行し、前記第1制御部は、送信された前記認証用情報を受信する情報受信処理と、受信した前記認証用情報を用いて、前記被認証情報を作成する情報作成処理と、前記受付処理で受け付けた前記ユーザ名及び前記パスワード、並びに、前記情報作成処理で作成した前記被認証情報、とともに前記スキャン実行コマンドを再び送信する第4コマンド送信処理と、を実行し、前記第2制御部は、送信された前記ユーザ名及び前記パスワードと前記被認証情報と前記スキャン実行コマンドとを受信する第4コマンド受信処理と、受信した前記ユーザ名及び前記パスワードに基づき前記被認証情報を用いて認証を行い、認証が成功した場合には認証成功を通知する認証成功通知を送信する第2通知送信処理と、を実行し、前記第1制御部は、送信された前記認証成功通知を受信する第2通知受信処理を実行することを特徴とする。
【0007】
本願発明の読み取りシステムでは、端末装置側から読取装置に対し、いわゆるプルスキャンが実行される。その際、そのままでは、読取装置に読み取り対象物をセットした本来のユーザでない別ユーザが読み取り画像を取得する恐れがある。
【0008】
そこで本願発明においては、上記別ユーザによる読み取り画像の取得を防止しセキュリティを確保するために、端末装置からのアクセスに対し読取装置側でユーザ名等の認証が行われる。
【0009】
すなわち、まず端末装置の第1制御部は、第1コマンド送信処理において能力値取得コマンドを送信する。読取装置の第2制御部は、送信された上記能力値取得コマンドを第1コマンド受信処理において受信した後、読取装置の能力値を能力値送信処理において送信する。
【0010】
第1制御部は、送信された能力値を能力値受信処理で受信した後、その受信に応じて第2コマンド送信処理においてスキャン実行コマンドを送信する。第2制御部は、送信されたスキャン実行コマンドを受信した後、そのままでは認証を行えない旨の認証エラー通知を第1通知送信処理において送信する。
【0011】
第1制御部は、送信された認証エラー通知を第1通知受信処理において受信した後、その通知に対応してユーザ名及びパスワードの入力をユーザに要求し、それらの入力を受付処理において受け付ける。そして、第1制御部は、第3コマンド送信処理において、読取装置での認証用に被認証情報を作成するにあたり必要な認証用情報を要求する、認証用情報要求コマンドを送信する。
【0012】
第2制御部は、第3コマンド受信処理において上記認証用情報要求コマンドを受信すると、それに応じて情報送信処理において認証用情報を送信する。第1制御部は、送信された認証用情報を情報受信処理において受信した後、それを用いて情報作成処理において上記被認証情報を作成する。そして、第1制御部は、作成した被認証情報及び上記受け付けたユーザ名、前記パスワードとともに、第4送信処理においてスキャン実行コマンドを再送信する。
【0013】
第2制御部は、送信された被認証情報、ユーザ名、パスワード、及びスキャン実行コマンドを受信した後、ユーザ名及びパスワードに基づき被認証情報を用いてユーザ認証を実行し、認証に成功した場合には第2通知送信処理において対応する認証成功通知を送信する。送信された認証成功通知は、第2通知受信処理において第1制御部により受信される。
【0014】
以上のようにして、本願発明においては、読取装置が、端末装置側から送信された被認証情報及びスキャン実行コマンドに応じて認証を行うことができる。この結果、認証が成功した場合に限り読取対象物の読み取り画像を端末装置へと送信して、プルスキャンを実行することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、読取装置側の認証によりセキュリティを確保しつつ、円滑にプルスキャンを実行することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の実施の形態に係る読み取りシステムの構成及び処理手順を示す説明図である。
図2】本発明の実施の形態に係るTWAINドライバを利用したスキャン実行画面の一例を示す説明図である。
図3】本発明の実施の形態に係るユーザ名(ID)及びパスワード(PW)の入力画面の一例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
次に、本発明の一実施形態に係る読み取りシステムについて、図面を参照して説明する。
【0018】
図1は、本発明の実施の形態に係る読み取りシステムの構成及び処理手順を示す説明図である。この図1では、本実施の形態の読み取りシステムを利用するユーザP(以下、「利用者」又は「操作者」とも称する場合がある)と、ユーザPが操作する端末装置としての汎用のパーソナルコンピュータ10(以下、単に「PC10」とも称する。)と、図示を略す本や書類等の読取対象物(以下、「被読取媒体」とも称する場合がある。)の読み取りを実行することができる読取装置20、との間の処理が表されている。
【0019】
なお、PC10は、ここでは図示を省略するが、例えば、第1制御部としてのCPU及び大容量ハードディスクドライブ・ROM・RAM等の記憶媒体からなる記憶部等を備える本体11と、表示画面12と、操作部としてのキーボード13及びマウス14と、を備える。したがって、以下の説明においては、第1制御部及び記憶部が実行する処理においては単にPC10が処理するものとして説明する。
【0020】
なお、端末装置としてのPC10には、上述したデスクトップ型のパーソナルコンピュータの他、ノート型のパーソナルコンピュータ、あるいは、タブレット端末(スマートフォン等を含む)のようにコンピュータ機能を備えた端末装置の全般にて適用可能である。
【0021】
PC10(の記憶部)は、読取装置20を利用して読み取り(スキャン)を実行するためのTWAINドライバ、このTWAINドライバを読み出すアプリケーション、後述するユーザ名(ユーザ識別情報。以下、「ID」とも称する他、図面上で表記する。)及びパスワード(以下、「PW」とも称する他、図面上で表記する。)、を記憶するツール(媒体)としての機能を備える。
【0022】
また、PC10の基本動作を制御するためのOS(オペレーティングシステムで用いられている設定情報のデータベースであるレジストリには、OSに関する基本情報、アプリケーションの設定情報、拡張情報、拡張子の関連付け等の他、ユーザ名(ID)やパスワード(PW)を含んでいる。
【0023】
読取装置20は、被読取媒体を載置する透明ガラス等からなる読取面21を備えると共に、図示を省略するが、第2制御部としてのCPU、画像読み取りのための読取ユニット、読取ユニットで読み取った画像の画像データの一時的な保存や読取ユニットの駆動制御を含むCPUで読み取りを実行するためのアプリケーションを記憶したハードディスクドライブ・ROM・RAM等の記憶媒体からなる記憶部を備える。したがって、以下の説明においては、第2制御部及び記憶部が実行する処理においては単に読取装置20が処理するものとして説明する。
【0024】
また、読取装置20は、PC10と有線又は無線で接続されており、少なくともユーザPがPC10を操作して読取装置20による被読取媒体の読み取りを実行させるプルダウン読み取りを可能としている。なお、ユーザPが読取装置20を操作してPC10或いは他のパーソナルコンピュータや記憶媒体(例えば、SDカード等)に読み取った画像データを送信するプッシュダウン読み取りをプルダウン読み取りと併用することができる読取装置とすることも可能である。
【0025】
ところで、TWAINドライバには、ドライバのユーザインタフェース(以下、「UI」とも称する。)を利用せずにアプリケーションのUIのみでスキャンを実行できるモードがある(以下、「NonUIモード」とも称する。)
【0026】
ここで、ユーザPが所有するPC10に読取装置20を接続する際には、例えば、読取装置20の機種毎に対応したアプリケーションのNonUIモードが利用されることが多い。
【0027】
これに対し、TWAINドライバのUIを表示するUIモードでは、認証を行うためのIDとPWは、TWAINドライバのUIを用いて入力を行う。
【0028】
よって、専用のアプリケーションによるNonUIモードのときには、何かしらの方法でID及びPWを取得しないと、セキュリティを確保した認証ありのスキャンを実現することができない。
【0029】
そこで、図1に示すように、本実施の形態では、以下に示す各処理を実行するようになっている。なお、図1においては、特許請求の範囲で示す各種処理手順を含む処理内容の概要を文字記載すると共にその処理順序例を括弧書きの数字で示す。ただし、この図1に示す処理順序は、特許請求の範囲で示す各種処理手順に対する処理順序(及び処理手順の内容)を限定するものではなく、必要に応じた処理手順の順序の変更、或いは、割り込みを含む処理手順の追加等は任意である。
【0030】
まず、PC10(の第1制御部)は、読取装置20の能力値を取得するための能力値取得コマンドを送信する第1コマンド送信処理(図1の「能力値取得コマンド送信(1)」)を実行する。
【0031】
これにより、読取装置20(の第2制御部)は、送信されてきた能力値取得コマンドを受信する第1コマンド受信処理(図1の「受信(2)」)と、受信した能力値取得コマンドに応じて読取装置20の能力値を送信する能力値送信処理(図1の「能力値送信(3)」)と、を実行する。
【0032】
次に、PC10(の第1制御部)は、送信されてきた能力値を受信する能力値受信処理(図1の「受信(4)」)と、例えば、ユーザPの操作部の操作によって立ち上げたTWAINドライバによるスキャン実行画面(図2参照)が操作されたことを契機として(図1の「「スキャン実行」を操作(5)」)、能力値の受信に応じてスキャン実行コマンドを送信する第2コマンド送信処理(図1の「第2コマンド送信(6)」)と、を実行する。なお、上述した処理(1)~(4)は、例えば、PC10を起動させた際の周辺機器との接続関係をチェックした際に、読取装置20が接続されていることを確認した際に実行される。また、ここでの周辺機器には、例えば、キーボード13やマウス14、インターネット等のネットワーク、等との接続関係を含む。
【0033】
そして、読取装置20(の第2制御部)は、送信されたスキャン実行コマンド(図1の「第2コマンド送信(6)」)を受信する第2コマンド受信処理(図1の「受信(7)」)と、第2コマンド受信処理において読取装置20における認証処理(図1の「認証(8)」)を経て、その認証のための被認証情報が受信されなかった場合に、認証エラーとなったことを通知する認証エラー通知を送信する第1通知送信処理(図1の「認証エラー送信(9)」)と、を実行する。
【0034】
そして、PC10(の第1制御部)は、送信された認証エラー通知を受信する第1通知受信処理(図1の「受信(10)」)により、図3に示す入力画面を表示画面12に表示する表示処理(図1の「表示(11)」)を実行し、ユーザPによって受信した認証エラー通知に対応した、ユーザ名(ID)及びパスワード(PW)の入力(図1の「ID及びPWを入力(12)」)を受け付ける受付処理(図1の「受信(13)」)と、認証用情報要求コマンドを送信する第3コマンド送信処理(図1の「認証用情報要求コマンド送信(14)」)と、を実行する。
【0035】
これにより、読取装置20(の第2制御部)は、送信された認証用情報要求コマンドを受信する第3コマンド受信処理(図1の「受信(15)」)と、受信した認証用情報要求コマンドに応じて、認証用情報(例えば、「nonce」や「realm」)の生成処理(図1の「生成(16)」)を実行したうえで、その認証用情報を送信する情報送信処理(図1の「認証用情報を送信(17)」)と、を実行する。
【0036】
したがって、PC10(の第1制御部)は、送信された認証用情報を受信する情報受信処理(図1の「受信(18)」)に基づいて、受信した認証用情報を用いて、被認証情報を作成する情報作成処理(図1の「認証用情報作成(19)」)と、作成した被認証情報とともにスキャン実行コマンドを再び送信する第4コマンド送信処理(図1の「被認証情報を含むコマンド送信(20)」)と、を実行する。
【0037】
これにより、読取装置20(の第2制御部)は、送信された被認証情報及びスキャン実行コマンドを受信する第4コマンド受信処理(図1の「受信(21)」)と、受信した被認証情報に応じた認証処理(図1の「認証(22)」)を行い、認証が成功した場合には認証成功を通知する認証成功通知を送信する第2通知送信処理(図1の「認証成功通知送信(23)」)と、を実行する。また、この送信処理と略並行して、読取装置20によって画像の読み取るスキャン処理(図1の「読取(22)」)が実行されるとともに、そのスキャンした画像データが送信(図1の「画像データ送信(26)」)される。
【0038】
したがって、PC10(の第1制御部)は、これら送信された認証成功通知を受信する第2通知受信処理(図1の「受信(24)」)並びに画像データを受信する画像データ受信処理(図1の「受信(27)」)を実行する。なお、PC10(の第1制御部)は、第2プログラム(TWAINドライバ)を用いて読取装置20で読み取った画像データを受信すると、例えば、その画像データをPC10の記憶部に記憶、或いは、他の可搬式記憶媒体(SDカードメモリやUSBメモリ等)に記憶、することができる。また、画像データに基づく画像を表示画面12に表示して画像編集アプリ等を用いた画像編集作業等に利用することができる。
【0039】
このように、本実施の形態に係る読み取りシステムでは、PC10から読取装置20に対し、いわゆるプルスキャンが実行される。その際、そのままでは、読取装置20に読み取り対象物をセットした本来のユーザでない別ユーザが読み取り画像を取得する恐れがある。
【0040】
そこで、上記別ユーザによる読取画像の取得を防止しセキュリティを確保するために、PC10からのアクセスに対し読取装置20でユーザ名(ID)等の認証が行われる。
【0041】
すなわち、まずPC10(の第1制御部)は、第1コマンド送信処理(1)において能力値取得コマンドを送信する。読取装置20(の第2制御部)は、送信された上記能力値取得コマンドを第1コマンド受信処理(1)において受信した後、読取装置20の能力値を能力値送信処理(3)において送信する。
【0042】
また、PC10(の第1制御部)は、送信された能力値を能力値受信処理(4)受信した後、その受信に応じて第2コマンド送信処理(6)においてスキャン実行コマンドを送信する。読取装置20(の第2制御部)は、送信されたスキャン実行コマンドを受信した後、そのままでは認証を行えない旨の認証エラー通知を第1通知送信処理(9)において送信する。
【0043】
PC10(の第1制御部)は、送信された認証エラー通知を第1通知受信処理(10)において受信した後、その通知に対応してユーザ名(ID)及びパスワードの入力をユーザに要求する入力画面を表示画面12に表示する表示処理(11)を実行することで、それらの入力を受付処理(13)において受け付ける。
【0044】
そして、PC10(の第1制御部)は、第3コマンド送信処理(14)において、読取装置20での認証用に被認証情報を作成するにあたり必要な認証用情報を要求する、認証用情報要求コマンドを送信する。
【0045】
読取装置20(の第2制御部)は、第3コマンド受信処理(15)において上記認証用情報要求コマンドを受信すると、それに応じて情報送信処理(17)において認証用情報を送信する。
【0046】
PC10(の第1制御部)は、送信された認証用情報を情報受信処理(18)において受信した後、それを用いて情報作成処理(19)において上記被認証情報を作成する。さらに、PC10(の第1制御部)は、作成した被認証情報、及び上記ユーザ名及びパスワードとともに、第4送信処理(20)において被認証情報を含むスキャン実行コマンドを再送信する。
【0047】
読取装置20(の第2制御部)は、送信されたユーザ名、パスワード、被認証情報及びスキャン実行コマンドを受信(21)した後、ユーザ名、パスワードに基づき被認証情報を用いてユーザ認証(22)を実行し、認証に成功した場合には第2通知送信処理(23)において対応する認証成功通知を送信する。送信された認証成功通知は、第2通知受信処理(24)においてPC10(の第1制御部)により受信される。
【0048】
以上のようにして、本実施の形態においては、読取装置20が、PC10から送信された被認証情報及びスキャン実行コマンドに応じて認証を行うことができる。この結果、認証が成功した場合に限り読取対象物の読み取り画像をPC10へと送信(26)して、プルスキャンを実行することができ、読取装置20の認証によりセキュリティを確保しつつ、円滑にプルスキャンを実行することができる。
【0049】
なお、本発明は、上記実施形態に限られるものではなく、その趣旨及び技術的思想を逸脱しない範囲内で種々の変形が可能である。以下、そのような変形例を順を追って説明する。
【0050】
具体的には、PC10は表示部として表示画面12を備えていることにより、PC10(の第1制御部)は、第1通知受信処理(9)で受信した認証エラー通知に対応し、ユーザ名(ID)及びパスワード(PW)を入力するための入力画面を表示画面12に表示する表示処理(11)を実行するとともに、受付処理(13)では、表示画面12に表示された入力画面を介してユーザ名(ID)及びパスワード(PW)の入力を受け付けることにより、ユーザの特定(本人)である旨を容易かつ確実に特定することができる。
【0051】
さらに、PC10(の第1制御部)は、能力値受信処理(4)で受信した能力値に基づき、読取装置20が認証機能を有するか否かを判定する第1判定処理を受信処理(4)と並行して実行することにより、この第1判定処理で認証機能を有すると判定された場合に、第2コマンド送信処理(6)と、第1通知受信処理(10)と、受付処理(13)と、第3コマンド送信処理(14)と、情報受信処理(18)と、情報作成処理(19)と、第4コマンド送信処理(20)と、第2通知受信処理824)と、を実行する。同様に、読取装置20(の第2制御部)は、第2コマンド受信処理(7)と、第1通知送信処理(8)と、第3コマンド受信処理(15)と、情報送信処理(17)と、第4コマンド受信処理(21)と、第2通知送信処理(23)と、を実行するようにしてもよい。
【0052】
また、PC10(の第1制御部)は、第1通知受信処理(10)での認証エラー通知の受信に応じ、記憶部に、被認証情報のキャッシュが記憶されているか否かを判定する第2判定処理を実行し、この第2判定処理でキャッシュが記憶されていると判定された場合は表示処理(11)を行わず、第2判定処理でキャッシュが記憶されていないと判定された場合にのみ表示処理(11)を実行することにより、ID及びPWの有効活用並びにスキャン操作の簡素化に貢献することができる。
【0053】
以上、添付図面を参照しながら本発明の実施の形態について詳細に説明した。しかしながら、本発明の技術的思想の範囲は、ここで説明した実施の形態に限定されないことは言うまでもない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された本発明の技術的思想の範囲内において、様々な変更や修正、組み合わせなどを行うことに想到できることは明らかである。従って、これらの変更や修正、組み合わせなどの後の技術も、当然に本発明の技術的思想の範囲に属するものである。例えば、送受信される各種データは、暗号化されていても良いし、ハッシュ化されていても良い。
【0054】
その他、一々例示はしないが、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲内において、種々の変更が加えられて実施されるものである。
【符号の説明】
【0055】
10 端末装置(PC)
12 表示画面(表示部)
20 読取装置
図1
図2
図3