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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024158323
(43)【公開日】2024-11-08
(54)【発明の名称】企業情報提供装置
(51)【国際特許分類】
   G06Q 10/1053 20230101AFI20241031BHJP
   G06Q 50/20 20120101ALI20241031BHJP
【FI】
G06Q10/1053
G06Q50/20
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023073441
(22)【出願日】2023-04-27
(71)【出願人】
【識別番号】522289057
【氏名又は名称】リーダーを加速させる株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100185270
【弁理士】
【氏名又は名称】原田 貴史
(74)【代理人】
【識別番号】100225347
【弁理士】
【氏名又は名称】鬼澤 正徳
(72)【発明者】
【氏名】島谷 圭司
【テーマコード(参考)】
5L010
5L049
5L050
【Fターム(参考)】
5L010AA11
5L049AA11
5L049CC34
5L050CC34
(57)【要約】
【課題】就業してから速やかに業務を遂行し、就業後も高い定着率を実現する。
【解決手段】本発明の企業情報提供装置1は、人材データベース122における研修プログラムの組み合わせと受講状況とを用いて、求職者4ごとに定着率データベース124から定着率を導き出す定着率導出部111と、定着率導出部111により導き出された定着率が第1閾値以上である場合に、研修プログラムの組み合わせと一致する組み合わせを採用要件とした企業の情報を企業データベース123から抽出し、第1閾値以上の定着率を示した研修プログラムの組み合わせを受講した求職者4に提供する情報提供部112とを有している。
【選択図】図1

【特許請求の範囲】
【請求項1】
研修プログラムを受講した求職者の受講状況が、前記研修プログラムと前記求職者とに対応付けて記憶される人材データベースと、
前記研修プログラムの一種以上の受講の組み合わせを採用要件とする企業が、前記採用要件に対応付けて記憶される企業データベースと、
前記研修プログラムの組み合わせと前記受講状況とが、採用後の定着率に対応付けて記憶される定着率データベースと、
前記人材データベースにおける前記研修プログラムの組み合わせと前記受講状況とを用いて、前記求職者ごとに前記定着率データベースから前記定着率を導き出す定着率導出部と、
前記定着率導出部により導き出された前記定着率が第1閾値以上である場合に、前記研修プログラムの組み合わせと一致する組み合わせを採用要件とした企業の情報を前記企業データベースから抽出し、前記第1閾値以上の前記定着率を示した前記研修プログラムの組み合わせを受講した前記求職者に提供する情報提供部と
を有することを特徴とする企業情報提供装置。
【請求項2】
前記研修プログラムを受講した前記求職者の能力レベルを判定するレベル判定部と、
前記能力レベルが第2閾値以上に至った場合に、前記求職者に特典を付与する特典付与部と
を有することを特徴とする請求項1に記載の企業情報提供装置。
【請求項3】
前記人材データベースにおける前記受講状況に基づいて次に受講すべき研修プログラムを前記求職者に提示する研修プログラム提示部を有することを特徴とする請求項1に記載の企業情報提供装置。
【請求項4】
前記情報提供部において前記企業の情報を前記求職者に提供した場合に、前記人材データベースにおける前記求職者の前記研修プログラムの受講状況を前記企業に提供することを特徴とする請求項1に記載の企業情報提供装置。
【請求項5】
前記研修プログラムを前記求職者が受講した結果をブロックチェーンに記録する受講結果記録部を有することを特徴とする請求項1に記載の企業情報提供装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、企業情報提供装置に関する。
【背景技術】
【0002】
求職者に対して企業を紹介する技術に関し、特許文献1は、登録された求人データと求職データを照合して教育訓練の可否を判定する段階と、要員教育手段が事前に作成・登録された教育計画に基づいて、該当求職者に対する個別教育計画を作成・実施する段階と、要員教育手段が、所定の教育アプリを該当求職者のWEB端末に送信する段階と、該求職者が教育アプリとWEB端末を利用して、派遣要請先企業の遂行業務の教育訓練を受講習得する段階と、要員教育手段が、求職者の習熟度を認定しDB装置の派遣要員データに要員資格を追加登録する段階と、派遣管理手段が要員派遣計画を作成し、該DB装置より該当する派遣要員を抽出する段階と、該派遣管理手段が、該当する派遣要員に派遣指令を出す段階とを開始している。特許文献1の技術によれば、求職者が派遣要請先企業の派遣指令を受けたときに、既に、派遣要請先企業の遂行業務の教育訓練を受講習得しているため、派遣要請先企業に就業してから速やかに業務を追行することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003-6313号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の技術は、予め派遣要請先企業の遂行業務の教育訓練を受講習得しているため、派遣要請先企業に就業してから速やかに業務を追行することができるが、派遣要請先企業の業務が求職者の適性に合っていない場合もあるため、就業後に短期間で退職する場合があるという点においてさらなる改良の余地がある。
【0005】
本発明はかかる事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、就業してから速やかに業務を遂行し、就業後も高い定着率を実現することができることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、所定値以上の定着率を示す研修プログラムの組み合わせを受講した求職者に対して、同一の研修プログラムの組み合わせを採用要件とする企業の情報を提供することによって、上記の目的を達成できることを見いだした。そして、本発明者らは、本発明を完成させるに至った。具体的に、本発明は以下のものを提供する。
【0007】
本発明は、研修プログラムを受講した求職者の受講状況が、前記研修プログラムと前記求職者とに対応付けて記憶される人材データベースと、
前記研修プログラムの一種以上の受講の組み合わせを採用要件とする企業が、前記採用要件に対応付けて記憶される企業データベースと、
前記研修プログラムの組み合わせと前記受講状況とが、採用後の定着率に対応付けて記憶される定着率データベースと、
前記人材データベースにおける前記研修プログラムの組み合わせと前記受講状況とを用いて、前記求職者ごとに前記定着率データベースから前記定着率を導き出す定着率導出部と、
前記定着率導出部により導き出された前記定着率が第1閾値以上である場合に、前記研修プログラムの組み合わせと一致する組み合わせを採用要件とした企業の情報を前記企業データベースから抽出し、前記第1閾値以上の前記定着率を示した前記研修プログラムの組み合わせを受講した前記求職者に提供する情報提供部と
を有することを特徴とする企業情報提供装置。
【0008】
本発明の特徴によれば、第1閾値以上の定着率を示す研修プログラムの組み合わせを受講した求職者に対して、同一の研修プログラムの組み合わせを採用要件とした企業の情報を提供するため、就業してから速やかに業務を遂行し、就業後も高い定着率を実現することができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、就業してから速やかに業務を遂行し、就業後も高い定着率を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、本実施形態の企業情報提供装置と各端末との情報の流れを示す説明図である。
図2図2は、本実施形態の企業情報提供装置のハードウェア構成及びソフトウェア構成の一例を示すブロック図である。
図3図3は、人材データベースにデータが格納された状態を示す説明図である。
図4図4は、企業データベースにデータが格納された状態を示す説明図である。
図5図5は、定着率データベースにデータが格納された状態を示す説明図である。
図6図6は、レベル判定部における情報の流れを示す説明図である。
図7図7は、企業情報提供プログラムのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下は、本発明の実施形態の一例について、図面を参照しながら詳細に説明するものである。
(企業情報提供装置1)
図1に示すように、企業情報提供装置1は、所定値以上の定着率を示す研修プログラムの組み合わせを受講した求職者4に対して、同一の研修プログラムの組み合わせを採用要件とした企業の情報を提供するように構成されている
【0012】
具体的な一例を示すと、企業情報提供装置1は、研修プログラムを受講した求職者4の受講状況が、研修プログラムと求職者4とに対応付けて記憶される人材データベース122と、研修プログラムの一種以上の受講の組み合わせを採用要件とする企業が、採用要件に対応付けて記憶される企業データベース123と、研修プログラムの組み合わせと受講状況とが、採用後の定着率に対応付けて記憶される定着率データベース124と、人材データベース122における研修プログラムの組み合わせと受講状況とを用いて、求職者4ごとに定着率データベース124から定着率を導き出す定着率導出部111と、定着率導出部111により導き出された定着率が第1閾値以上である場合に、研修プログラムの組み合わせと一致する組み合わせを採用要件とした企業の情報を企業データベース123から抽出し、第1閾値以上の定着率を示した研修プログラムの組み合わせを受講した求職者4に提供する情報提供部112とを有している。
【0013】
ここで、「研修プログラム」は、研修プログラムデータベース121に記憶されている。研修プログラムは、求職者4及び企業の要請により作成されており、例えば、プログラミング基礎AやWebアプリケーション開発B、ビジネスマナー講座C、プレゼンテーション技術講座D、英会話講座E、データ分析F、機械学習コースG等が例示される。各研修プログラムは、複数のチャプターからなっている。各チャプターの最後には、チャプターの内容についての質問が設けられている。尚、質問は、「はい」及び「いいえ」の何れかを回答させるものであってもよいし、内容の説明や感想を求めるものであってもよい。質問の回答は、5段階等の複数段階の能力レベルの判定に用いられる。
【0014】
また、求職者4に対する質疑応答時において、求職者4の全身及び顔がそれぞれ撮影される。全身の撮影情報は、求職者4の仕草の識別に用いられる一方、顔の撮影情報は、求職者4の微表情の識別に用いられる。尚、「微表情」は、一瞬で顔に表れて消え去る「真の感情」を示す表情のことである。そして、複数回の質疑応答により得られた求職者4の仕草及び微表情は、求職者4が研修プログラムの内容について、どの程度の興味を持っているかを示す興味レベルの数値に定量化される。これにより、研修プログラムは、求職者4にプログラム内容の知識を提供すると同時に、プログラム内容についての求職者4の能力レベルと興味レベルとを判定することを可能にしている。
【0015】
「受講状況」は、研修プログラムの未受講と受講中と受講終了と受講中断(受講済みのチャプター)との4種類からなる。研修プログラムの受講終了により何らかの資格が受講結果として得られた場合には、この資格も受講状況に含まれる。「定着率」は、採用後の所定期間が経過した時に求職者4が企業に在籍している割合を示す値である。定着率は、求職者4や企業により就業期間等の基礎データが書き込まれ、この基礎データに基づいて算出される。採用後の所定期間を示す「第1閾値」は、1年等の固定された値(期間)であってもよいし、1年、3年、5年等の複数の値を選択可能にされ、求職者4や企業に選択された値であってもよい。また、「第1閾値」は、企業や職種、業界に応じて、異なる値が設定されてもよい。
【0016】
各種のデータベース121~124は、記憶部12に記憶されている。データベース121~124の詳細については後述する。図2に示すように、記憶部12は、企業情報提供装置1に備えられた通信部13及びインターネット等の情報通信網7を介して求職者端末3や企業端末6、研修装置2にデータ通信可能に接続されている。尚、記憶部12は、企業情報提供装置1とは別に、情報通信網7に接続されたデータサーバであってもよい。また、記憶部12は、データベース121~124毎に設けられた複数のデータサーバで構成されていてもよい。求職者端末3及び企業端末6は、一般的な据置型の情報処理装置、スマートフォン、タブレット端末等の携帯端末装置が例示される。また、情報提供部112における「求職者4に提供」は、電子メールの配信形式である「Eメールマガジン」等の電子メール配信や、LINE(登録商標)等のインスタントメッセージングアプリケーションにより行われている。
【0017】
上記の構成によれば、第1閾値以上の定着率を示す研修プログラムの組み合わせを受講した求職者4に対して、同一の研修プログラムの組み合わせを採用要件とする企業の情報を提供するため、就業してから速やかに業務を遂行し、就業後も高い定着率を実現することができる。
【0018】
さらに、企業情報提供装置1は、図2に示すように、入力受付部118に接続された入力装置15と、表示制御部117に接続された表示装置14とを有している。入力装置15は、キーボードやマウス、タッチパネル、音声入力装置等が例示される。表示装置14は、液晶表示装置等が例示される。これにより、企業情報提供装置1は、一般的なパーソナルコンピュータやラップトップコンピュータ、スマートフォン、タブレット端末等の情報処理装置により構成することが可能になっている。尚、企業情報提供装置1は、入力装置15及び表示装置14の少なくとも一つが欠如されていてもよい。この場合は、入力装置15及び表示装置14が図示しない外部端末に備えられるため、企業情報提供装置1を企業情報提供サーバとして使用し、例えば企業情報提供装置1を運営する担当者が端末装置を所持し、求職者4や企業担当者に出向けば、求職者4や企業担当者の端末3・6と運営担当者の端末装置とを用いて各種のアドバイスやサービスを対面で行うことができる。
【0019】
(データベース)
研修プログラムデータベース121は、プログラミング基礎AやWebアプリケーション開発B等の各種の研修プログラムを記憶している。研修プログラムは、チャプター毎に書き換え可能にされており、技術動向により一部や全部のチャプターが最新版に更新されるようになっている。これにより、求職者4は、常に最新の技術を研修プログラムにより習得することが可能になっている。尚、研修プログラムは、離職率と連動し、更新により離職率が高くなったと判定された場合は、更新前の内容に戻されるようになっていることが好ましい。
【0020】
図3に示すように、人材データベース122は、研修プログラムを受講した求職者4の受講状況を研修プログラムと求職者4とに対応付けて記憶している。具体的には、人材データベース122は、求職者ID項目と求職者名項目と研修プログラム名項目と受講状況項目とを対応付けて有している。受講状況項目は、受講経過項目と複数の質問項目と興味レベル項目と能力レベル項目とを対応付けて有している。質問項目は、「はい」、「いいえ」、回答がなかった場合の「―」の三種類からなっている。
【0021】
例えば、求職者IDがA001の求職者4は、名前が山田太郎であり、プログラミング基礎Aを受講済みで、質問1~nに対する応答に基づいて、プログラミング基礎Aに対する興味レベルが10段階評価の8、能力レベルが5段階評価の4であることが分かる。即ち、A001の求職者4は、プログラミング基礎Aに対して強い興味があると共に能力的にも優れていることが分かる。さらに、A001の求職者4は、ビジネスマナー講座Cを受講中であることが分かる。また、求職者IDがA002の求職者4は、名前が田中花子であり、プログラミング基礎Aを受講済みで、興味レベルが10段階評価の6、能力レベルが5段階評価の3であることが分かる。さらに、A002の求職者4は、英会話講座Eを受講済みで、興味レベルが10段階評価の9、能力レベルが5段階評価の5であることが分かる。これにより、人材データベース122は、求職者ID単位で集計することによって、各求職者4が受講した研修プログラムの組み合わせと評価と能力とを把握することを可能にしている。
【0022】
図4に示すように、人材データベース122は、企業ID項目と企業名項目と採用要件項目(研修プログラムの組み合わせ)とを対応付けて有している。例えば、企業IDがC001の場合は、会社名が「株式会社1」であり、採用要件としてプログラミング基礎AとWebアプリケーション開発Bとを採用要件としていることが分かる。また、企業IDがC002の場合は、会社名が「株式会社2」であり、採用要件としてビジネスマナー講座Cとプレゼンテーション技術講座Dとを採用要件としていることが分かる。
【0023】
図5に示すように、企業データベース123は、求職者ID項目と、研修プログラム組み合わせ項目と、受講状況項目と、定着率項目とを対応付けて有している。受講状況項目は、受講経過項目と興味レベル項目と能力レベル項目とを対応付けて有している。例えば、求職者IDがA001の求職者4は、プログラミング基礎Aを完了し、興味レベルが10段階評価の8、能力レベルが5段階評価の4、定着率が0.8であることが分かる。また、求職者IDがA002の求職者4は、プログラミング基礎Aとビジネスマナー講座Cとプレゼンテーション技術講座Dとを受講し、少なくとも一部の研修プログラムを途中終了し、興味レベルが10段階評価の6、能力レベルが5段階評価の3、定着率が0.6であることが分かる。これにより、企業データベース123は、研修プログラムの組み合わせと定着率とに基づいて、長期間就業することが可能な企業の情報を求職者4に提供することが可能になっていると共に、企業にとってもニーズに一致した求職者4を採用することが可能になっている。
【0024】
尚、本実施形態においては、求職者4や企業により就業期間等の基礎データが書き込まれ、この基礎データに基づいて定着率が求められるが、定着率データベース124のデータが十分に蓄積された段階で、この定着率データベース124を機械学習の学習データとして用いて定着率が求められてもよい。具体的には、研修プログラムの受講による能力レベルや興味レベル、研修プログラムの組み合わせからなる複数の入力要素を学習データとして用意する。そして、学習データとして用意された入力要素と、この入力要素に対応する出力値である定着率とを用いて学習を行うことによって、多層のニューラルネットワークを構築し、入力層に入力されたデータを隠れ層で処理し、最終的に出力層で定着率を予測するように学習を進める。学習の際には、入力要素と定着率とのデータセットを訓練データとテストデータとに分割し、訓練データを用いて予測や分類のためのモデルを学習させ、テストデータで性能評価を行うことにより学習精度を確認する。そして、学習済みのモデルを用いて、新たな研修プログラムの組み合わせや求職者4の能力レベル、興味レベルを入力として与えることで、定着率の予測値を出力させるという処理により定着率を求めることができる。
【0025】
以上の各データベース121・122・123・124は、単独の記憶部12に記憶されていてもよいし、複数のデータサーバに分散して記憶されていてもよい。各データベース121・122・123・124が複数のデータサーバに分散して記憶された場合は、求職者4の人数や研修プログラムの種類等が多くなった場合でも、情報の更新処理に要する負荷を軽減することができる。
【0026】
(研修装置2)
図1及び図2に示すように、以上のように構成された企業情報提供装置1は、研修装置2にデータ通信可能に接続されている。研修装置2は、求職者4が個別に研修プログラムを受講することができるようにパーテンション23で区切られた個室を有している。パーテンション23には、受講中の求職者4の全身を撮影する全身撮影カメラ22が設けられている。また、研修装置2は、受講に用いられる研修端末21と、研修端末21に備えられた顔撮影カメラ211とを有している。顔撮影カメラ211は、受講中の求職者4の顔を撮影するように設定されている。また、研修端末21は、キーボードやマイク、スピーカが受講中の質疑応答に用いられるようになっている。そして、全身撮影カメラ22及び顔撮影カメラ211により撮影された撮影情報、研修端末21により得られた応答情報が企業情報提供装置1に送信され、研修プログラムに対する求職者4の好き嫌いを示す興味レベルや、研修プログラムに対応した業務を遂行する能力レベルの判定に用いられるようになっている。
【0027】
以上の企業情報提供装置1は、さらに、以下の構成1~4を備えていてもよい。
【0028】
(構成1)
企業情報提供装置1は、研修プログラムを受講した求職者4の能力レベルを判定するレベル判定部113と、能力レベルが第2閾値以上に至った場合に、求職者4に特典を付与する特典付与部114とを有してもよい。ここで、「第2閾値」は、企業や職種、業界に応じて、異なる値が設定されてもよい。「特典」は、求職者4にとって利益になるものであれば、どのようなものであってもよい。例えば、特典は、現金や金券、クレジットカードのポイント、暗号資産であってもよい。上記の構成によれば、能力レベルが上がって第2閾値以上に至った場合に特典が付与されるため、求職者に対して研修プログラムを受講する意欲を付与することができる。
【0029】
レベル判定部113における動作を詳細に説明すると、図6に示すように、求職者4が第1研修プログラムを受講した場合、最初の第1チャプターが終了したときに、1番目の質問Q1(1)が行われる。研修プログラムの受講時においては、研修端末21や全身撮影カメラ22、顔撮影カメラ211から得られた求職者4の受け答えや、仕草、表情等の他、研修端末21からのキー入力のデータやタイミング等の複数の応答項目が収集される。
【0030】
具体的には、質問Q1(1)に対する求職者4の応答A1(1)として、音声の応答、映像の応答(仕草)、映像の応答(表情)、キー入力の応答等の各種の応答A1(1)が、第1チャプターの応答情報として取得される。また、第2チャプター終了後の2番目の質問Q1(2)の場合は、応答情報A2(1)が取得される。そして、これら複数の質問Qi(1)~Qi(n)に対する応答情報Ai(1)~Ai(n)が得られると、応答情報Ai(1)~Ai(n)が定量化され、数値で示された能力レベルbi(1)~bi(n)が求められる。これらの能力レベルbi(1)~bi(n)の合計値B1が、第1研修プログラムを受講した求職者4の能力レベルとして決定される。
【0031】
また、レベル判定部113は、質疑応答時における感情の種類を判別する処理を実行し、感情の判別結果を興味レベルとして数値化すると共に、能力レベルbi(1)~bi(n)に関連付けている。具体的に説明すると、研修内容の紹介時において、求職者4の映像情報に基づいて一定期間内における表情の平均化が実行されることによって、微表情を検出するための基準となる平均顔画像が形成される。この後、求職者4に対して1番目の質問Q1(1)が行われると、質問Q1(1)に対する求職者4の表情の応答が取得される。表情の応答と平均顔画像とが比較され、表情の変化が分析される。そして、微表情に基づいて感情が判定されることになる。
【0032】
ここで、感情の種類は、「嫌悪」、「恐怖」、「怒り」、「幸福」、「悲しみ」、「軽蔑」及び「驚き」の7種類が存在する。例えば、「嫌悪」の微表情は、鼻にしわを寄せる動作である。「恐怖」の微表情は、両眉を上げる動作と、両眉を中央に引き寄せる動作と、目を見開く動作と、まぶたに力を入れる動作と、口角を横に引く動作との組み合わせである。このように、レベル判定部113は、研修装置2で取得された顔の映像情報に基づいて求職者4の様子を分析し、質疑応答時における感情の種類を判別する。尚、感情の種類を判別する方法は、特に限定されるものではないが、微表情に基づいて判別することが好ましい。この場合は、微表情の分析により求職者4の質疑応答時における感情の種類を容易に判別することができる。
【0033】
さらに、レベル判定部113は、体全体の映像情報に基づいて求職者4の仕草を分析すると共に、質疑応答時における感情の種類を判別し、仕草の分析による感情の種類を、微表情による感情の種類の判別の信頼性に関連付けるように構成されている。これにより、企業情報提供装置1は、微表情と仕草とで感情の種類を判別することによって、微表情による感情の種類の判別についての信頼性を高め、結果として研修プログラムに対する求職者4の好き嫌いを示す興味レベルの信頼性を高めることが可能になっている。
【0034】
尚、表情及び仕草の分析の結果、喜び等の肯定的感情である場合は、能力を定量化する際に、能力レベルがレベルアップするように補正し、悲しみ等の否定的感情である場合は、能力を定量化する際に、能力レベルがレベルダウンするように補正することが好ましい。この場合は、好き嫌いの感情を考慮した能力レベルを求めることができる。
【0035】
(構成2)
企業情報提供装置1は、人材データベースにおける受講状況に基づいて次に受講すべき研修プログラムを求職者4に提示する研修プログラム提示部115を有してもよい。ここで、「次に受講すべき研修プログラム」は、企業が採用要件とする研修プログラムの組み合わせに一致する組み合わせとなる研修プログラムであってもよいし、受講状況に含まれる求職者4の興味レベルに基づいて、どのような企業が求職者4に向いているかを判定した後、判定した企業の採用要件の組み合わせとなる研修プログラムであってもよい。上記の構成によれば、受講状況に基づいて次に受講すべき研修プログラムが求職者4に提示されることによって、効率良く研修プログラムの受講を進めることができる。
【0036】
(構成3)
企業情報提供装置1は、情報提供部112において企業の情報を求職者4に提供した場合に、人材データベース122における求職者4の研修プログラムの受講状況を企業に提供してもよい。上記の構成によれば、求職者4と企業とに互いの情報が提供されることによって、採用に至るまでの期間を短縮することができる。
【0037】
(構成4)
企業情報提供装置1は、研修プログラムを求職者4が受講した結果をブロックチェーンに記録する受講結果記録部116を有してもよい。上記の構成によれば、研修プログラムを受講した結果である成績や資格がブロックチェーンからなる分散型台帳5により管理されることによって、改竄を非常に困難にすることができる。
【0038】
尚、ブロックチェーンの一つのブロックに保存できるデータ量は、使用されるブロックチェーンのプロトコルや実装形態により異なるが、一般的には小さなデータ量しか格納できない。そのため、受講した結果や資格の種類、内容等をテキストデータとして保存する場合は、トランザクションに書き込んで管理することができる。一方、受講時における音声や動画、証明書等の画像のように大きなデータ量の情報までもブロックチェーンで管理する場合は、ブロックチェーン上に、データを複数のノードに分割して保存する分散型ストレージを実装し、トランザクションに分散型ストレージの内容を示すハッシュ値等の情報を格納することによって、受講結果を管理することが好ましい。
【0039】
(企業情報提供プログラム)
定着率導出部111、情報提供部112、レベル判定部113、特典付与部114、研修プログラム提示部115、表示制御部117、及び入力受付部118は、ハードウェア及びソフトウェアの何れで構成されていてもよい。これらの各部111~118は、少なくとも制御部11の一部を構成している。各部111~118がソフトウェアにより構成されている場合は、制御部11であるコンピュータに、所定値以上の定着率を示す研修プログラムの組み合わせを受講した求職者4に対して、同一の研修プログラムの組み合わせを採用要件とした企業の情報を提供する企業情報提供プログラムを実行させるようになっている。
【0040】
図7を用いて具体的に説明すると、研修プログラムを受講した求職者4の受講状況が、研修プログラムと求職者4とに対応付けて記憶される人材データベース122と、研修プログラムの一種以上の受講の組み合わせを採用要件とする企業が、採用要件に対応付けて記憶される企業データベース123と、研修プログラムの組み合わせと受講状況とが、採用後の定着率に対応付けて記憶される定着率データベース124と、を備えた企業情報提供装置1の企業情報提供プログラムは、制御部11であるコンピュータに、人材データベース122における研修プログラムの組み合わせと受講状況とを用いて、求職者4ごとに定着率データベース124から定着率を導き出す定着率導出ステップ(S1)と、定着率導出部111により導き出された定着率が第1閾値以上である場合に、研修プログラムの組み合わせと一致する組み合わせを採用要件とした企業の情報を企業データベース123から抽出し、第1閾値以上の定着率を示した研修プログラムの組み合わせを受講した求職者4に提供する情報提供ステップ(S2)とを実行させる。
【0041】
また、企業情報提供プログラムは、研修プログラム提示部115の処理を実行する研修プログラム提示ステップ(S3)と、レベル判定部113の処理を実行するレベル判定ステップ(S5)及び特典付与部114の処理を実行する特典付与ステップ(S6)と、受講結果記録部116の処理を実行する受講結果記録ステップ(S4)とを、制御部11であるコンテンツに実行させてもよい。
【0042】
上記のプログラムによれば、第1閾値以上の定着率を示す研修プログラムの組み合わせを受講した求職者4に対して、同一の研修プログラムの組み合わせを採用要件とする企業の情報を提供するため、就業してから速やかに業務を遂行し、就業後も高い定着率を実現することができる。さらに、プログラムをパーソナルコンピュータやタブレット端末等の情報処理装置にインストールするだけの作業で、情報処理装置を企業情報提供装置1として機能させることができる。尚、プログラムは、CDROMやUSBメモリ等の記録媒体に記録された状態で配布されてもよいし、インターネット等の双方向やテレビ放送等の一方向の通信網や通信回線を介して配付されてもよい。
【0043】
(企業情報提供方法)
企業情報提供プログラムにおける一部や全部のステップがハードウェアにより構成されていてもよい。即ち、企業情報提供装置1は、企業情報提供方法を実行可能に構成されていればよい。具体的に説明すると、企業情報提供方法は、研修プログラムを受講した求職者4の受講状況が、研修プログラムと求職者4とに対応付けて記憶される人材データベース122と、研修プログラムの一種以上の受講の組み合わせを採用要件とする企業が、採用要件に対応付けて記憶される企業データベース123と、研修プログラムの組み合わせと受講状況とが、採用後の定着率に対応付けて記憶される定着率データベース124と、を備えた企業情報提供装置1において実行されるものであり、定着率導出ステップ(S1)と情報提供ステップ(S2)とを有している。尚、企業情報提供方法は、研修プログラム提示ステップ(S3)やレベル判定ステップ(S5)、特典付与ステップ(S6)、受講結果記録ステップ(S4)の処理ステップを備えてもよい。
【0044】
(その他の構成)
研修プログラムデータベース121に記憶された研修プログラムは、無料で受講可能な研修プログラムを含むことが好ましい。これにより、企業情報提供装置1は、無料の研修プログラムを提供できる。これにより、職を求めている又は探している求職者等は、無料で様々な研修、学習等のコンテンツを受講できる。
【0045】
企業情報提供装置1は、企業サイドが自社の求人等との紐付けを行うことが可能な情報を提供可能であることが好ましい。該情報は、例えば、人材データベース122に格納された受講状況(求職者の学習ログ)等を含む。
【0046】
企業情報提供装置1は、第1の企業にエントリーがあったものの不採用とした求職者が第2の企業に採用された場合に、第1の企業に各種インセンティブを与える処理を実行可能であることが好ましい。これにより、企業情報提供装置1は、第1の企業の採用活動を、コストセッターから該インセンティブに対応するプロフィットを生むものに変えることができる。
【0047】
なお、本発明の思想の範疇において、当業者であれば各種の変更例及び修正例に想到し得るものである。よって、それら変更例及び修正例は、本発明の範囲に属するものと了解される。例えば、前述の実施の形態に対して、当業者が適宜、構成要素の追加、削除若しくは設計変更を行ったもの、又は、工程の追加、省略若しくは条件変更を行ったものも、本発明の要旨を備えている限り、本発明の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0048】
1 企業情報提供装置
2 研修装置
21 研修端末
211 顔撮影カメラ
22 全身撮影カメラ
3 求職者端末
4 求職者
5 分散型台帳
6 企業端末
11 制御部
111 定着率導出部
112 情報提供部
113 レベル判定部
114 特典付与部
115 研修プログラム提示部
116 受講結果記録部
117 表示制御部
118 入力受付部
12 記憶部
121 研修プログラムデータベース
122 人材データベース
123 企業データベース
124 定着率データベース
13 通信部
14 表示装置
15 入力装置

図1
図2
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図7