(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024158326
(43)【公開日】2024-11-08
(54)【発明の名称】遊技機
(51)【国際特許分類】
A63F 7/02 20060101AFI20241031BHJP
【FI】
A63F7/02 310C
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023073444
(22)【出願日】2023-04-27
(71)【出願人】
【識別番号】599104196
【氏名又は名称】株式会社サンセイアールアンドディ
(74)【代理人】
【識別番号】110000992
【氏名又は名称】弁理士法人ネクスト
(72)【発明者】
【氏名】永田 郁男
【テーマコード(参考)】
2C088
【Fターム(参考)】
2C088DA08
2C088DA13
2C088DA23
(57)【要約】
【課題】遊技盤の不具合の原因を判別する作業の容易化を図り得る遊技機を提供する。
【解決手段】パチンコ遊技機1は、遊技領域3を前面側に形成する平板状の遊技領域形成板2xが、遊技盤2の製造段階において位置データに基づく加工が施された加工対象部(ネジ穴313、装着口320、下穴314)と、位置データの原点位置に対応するようにその加工前に予め形成された基準穴315とを有している。遊技盤2は、前面に基準穴315が露出するように構成されている。
【選択図】
図20
【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技球が流下する遊技領域を前面側に形成する平板状の遊技領域形成板と、該遊技領域形成板に取り付けられた構成部材とからなる遊技盤を備えている遊技機であって、
前記遊技領域形成板は、
前記遊技盤の製造段階において位置データに基づく加工が施された加工対象部と、
前記位置データの原点位置又は該原点位置から所定寸法分だけ離間した位置に対応するようにその加工前に予め形成された基準部とを有し、
前記遊技盤は、前記基準部が前面側から視認できるように構成されている
ことを特徴とする遊技機。
【請求項2】
前記基準部は、前記遊技領域形成板を前後に貫通するように形成されて加工機との位置決めの対象となる貫通穴である請求項1に記載の遊技機。
【請求項3】
前記遊技盤は、前記遊技領域形成板の前面の一部を被覆する被覆部材を有し、
前記被覆部材は、前記基準部を露出する開口又は切欠きを有する請求項1に記載の遊技機。
【請求項4】
前記遊技盤を支持する内枠と、前記内枠に設けられた操作手段と、前記操作手段に対する遊技者の操作に応じて遊技球を発射する発射装置と、前記遊技盤に設けられて前記発射装置により発射された遊技球を前記遊技領域に向けて誘導するレール部材とを備え、
前記被覆部材は、前記レール部材を支持する支持部を有する請求項3に記載の遊技機。
【請求項5】
前記基準部は、前記加工機との位置決めの対象となる貫通穴に対し、所定の長さ単位において整数値で表すことが可能な寸法分だけ離間した位置に形成されている請求項1に記載の遊技機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パチンコ遊技機等の遊技機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
遊技機としては例えば、遊技球を用いて遊技を行うパチンコ遊技機が知られている。このパチンコ遊技機は、前面の窓から視認可能に配置された遊技盤の前面側に、遊技球が流下する遊技領域が形成されている。遊技領域には、遊技球が入球可能な入球口が複数箇所に設けられていると共に、遊技球の挙動に変化を与える遊技釘等が設けられている。遊技者は、パチンコ遊技機のハンドル等を操作して遊技球を打ち出し、その遊技球を遊技領域に流入させる。そして、遊技領域で遊技球が入球口に入球すると、予め定められた数の賞球や所定の抽選の機会が遊技者に付与される。このように遊技者は、パチンコ遊技機で遊技を行う場合、遊技球の挙動に応じて利益を得ることができる。
【0003】
ところで、前述の遊技盤は、アクリル樹脂等の透明な合成樹脂或いはベニヤ板からなる矩形状の平板(以下「遊技領域形成板」と称する)を基盤として各種部材を取り付けることで構成されている。遊技領域形成板の前面外周側にはレール部材等が環状に配置され、その内周側に遊技領域が形成されている。遊技領域には、前述した入球口を有する入球装置や電飾(発光装飾部材)等が設けられている。入球装置や電飾等は、遊技領域形成板の後面に設けられている中継基板や制御基板との配線接続のため、または入球口に入球した遊技球を処理するため、遊技領域形成板に貫通形成される開口(以下「装着口」と称する)との対応位置に前側から配置され、その上でネジ等の固定部材により固定される。このため、遊技盤の製造段階においては、先ず、前述した装着口やネジ固定用のネジ穴等が遊技領域形成板に形成され、次に遊技釘が遊技領域形成板の予め定められた位置に植設される。なお、比較的硬質なアクリル樹脂等の合成樹脂材からなる遊技領域形成板については、遊技釘の植設位置に下穴が予め形成される。このような加工が遊技領域形成板に施された後、入球装置や電飾等を含む各種部材が遊技領域形成板に取り付けられる(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、遊技盤に関して、構造上の不具合等が発覚した場合に、その原因を判別するための作業が行い難いという問題がある。
【0006】
本発明は、従来における問題点を解決するためになされたものであり、その目的は、遊技盤の不具合の原因を判別する作業の容易化を図り得る遊技機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するため本発明に係る遊技機は、遊技球が流下する遊技領域を前面側に形成する平板状の遊技領域形成板と、該遊技領域形成板に取り付けられた構成部材とからなる遊技盤を備えている遊技機であって、前記遊技領域形成板は、前記遊技盤の製造段階において位置データに基づく加工が施された加工対象部と、前記位置データの原点位置又は該原点位置から所定寸法分だけ離間した位置に対応するようにその加工前に予め形成された基準部とを有し、前記遊技盤は、前記基準部が前面側から視認できるように構成されていることを特徴とする。
【0008】
これによれば、遊技領域形成板に基準部が予め形成され、遊技盤の製造段階ではこの基準部を基準として加工が行われるので、製造後の完成した遊技盤において不具合が発覚した場合に、加工対象位置についての正誤判定として、遊技領域形成板の前面における加工対象位置についての寸法測定(基準部を基準とする離間寸法の測定)を実施することができる。遊技盤は、基準部が前面側から視認できるように構成されているので、作業者が遊技盤から構成部材を取り外すといった作業を行うことなしに基準部を目視することができ、速やかに寸法測定の作業に着手することができる。
【発明の効果】
【0009】
前記構成を有する本発明に係る遊技機によれば、遊技盤の不具合の原因を判別する作業の容易化を図り得る。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】第1実施形態におけるパチンコ遊技機の正面図である。
【
図3】球循環機構から球送り部を取り除いた状態の概略構成図である。
【
図5A】主制御基板及び周辺機器の電気的構成を示すブロック図である。
【
図5B】サブ制御基板及び周辺機器の電気的構成を示すブロック図である。
【
図6】(a)は、枠制御用マイコンのRAMの球数情報記憶部に関する説明図であり、(b)は、遊技時間の経過と差玉数の変化との関係の一例を示す曲線グラフである。
【
図7】性能表示モニタによる表示の種類及び内容の一覧表である。
【
図9】(a)は、第1特図用の大当たり種別判定テーブルの説明図であり、(b)は、第2特図用の大当たり種別判定テーブルの説明図である。
【
図10】小当たり種別判定テーブルの説明図である。
【
図11】(a)は、加工機における原位置の可動テーブルを平面視した状態で示す加工機の動作説明図であり、(b)は、原位置から移動した可動テーブルを平面視した状態で示す動作説明図である。
【
図12】初期状態の遊技領域形成板の正面図である。
【
図13】第1加工状態の遊技領域形成板の正面図である。
【
図14】第2加工状態の遊技領域形成板の正面図である。
【
図15】第3加工状態の遊技領域形成板の正面図である。
【
図16】第4加工状態の遊技領域形成板の正面図である。
【
図17】第5加工状態の遊技領域形成板の正面図である。
【
図19】遊技盤前面の要部拡大図であって、基準穴の中心(原点位置)及び左側の命釘の相対位置関係を示している。
【
図20】遊技領域形成板の加工対象部(左側の命釘)の寸法測定に関する説明図であって、
図19の直線D1に沿う部分だけを上方から見た状態で遊技領域形成板を示すと共に、測定対象に対応させて物差しを近づける状態を示している。
【
図21】第2実施形態のパチンコ遊技機における遊技盤前面の要部拡大図であり、基準穴及び補助穴の相対位置関係と、補助穴の中心(原点位置)及び左側の命釘の相対位置関係とを示している。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の実施形態に係る遊技機について図面を参照しつつ説明する。以下の説明では、遊技機として、遊技球を用いて遊技を行うパチンコ遊技機を例に挙げる。なお、パチンコ遊技機の各部について方向や位置関係を説明する場合は、このパチンコ遊技機と対向して遊技を行う遊技者から見た状態での「左」「右」及び「上」「下」を基準とする。また、遊技者から見て近い側(手前側)を「前」とし、遠い側(奥側)を「後」とする。
【0012】
[第1実施形態]
[パチンコ遊技機1の主要構成]
図1に示すように、第1実施形態に係るパチンコ遊技機1は、遊技機枠を備える。遊技機枠は、後述する遊技盤2(
図2参照)を保持する内枠(枠体)16と、この内枠16の前面を覆う扉状の前面枠18とを少なくとも含むように構成され、矩形枠状の外枠Wを介して遊技店内の設置島(図示せず)に設置される。前面枠18は、左サイドランプ23aと、右サイドランプ23bと、トップランプ23cとを備え、これらで囲まれる内側に窓18aが形成されている。窓18aは、遊技盤2の前面(盤面)で形成される遊技領域3を視認可能とする開口であり、この窓18aを塞ぐように透明窓板18bが設けられている。また、前面枠18の左右の上端部(トップランプ23cを挟む左右両側)には、各種の音(音楽、効果音、報知音等)を演出内容に応じて出力する音出力手段としてのスピーカ8が夫々設けられている。
【0013】
前面枠18(左サイドランプ23a、右サイドランプ23b、トップランプ23c等)は透光性を有し、その内側には複数のLED(図示せず)が配置されている。各LEDは複数色を発光可能であり、演出内容に応じて点灯または点滅し、発光色を変化させる。
なお、トップランプ23cの構成としては例えば、LEDの他に回転リフレクタを有する回転灯(図示せず)を採用可能である。回転リフレクタは、可動体モータ23d(
図5B参照)の駆動に応じてLEDの周囲で回転し、その光の反射方向を変化させる。
【0014】
本実施形態のパチンコ遊技機1は、機内部に封入された遊技球を循環させて使用するための構成(後述する球循環機構30、
図3参照)を有する。そして、遊技者による「持ち球数」等を電磁的に記憶・管理するようになっており、遊技球の物理的な払い出しを行わない。このような遊技機は一般に、「管理遊技機」等と呼称される(「スマートパチンコ」とも言う)。つまり、パチンコ遊技機1は、遊技者による球貸し操作が行われると、その遊技者に貸し出す分の遊技球数をデータ上で持ち球数に加算し、記憶する。遊技球が遊技に使われる(発射される)と、その分の遊技球数を持ち球数から減算し、記憶する。また、遊技者による遊技に伴って賞球が付与される場合も同様に、その賞球分の遊技球数をデータ上で持ち球数に加算し、記憶する。この持ち球数のカウント値が0個の場合は、遊技者が遊技に用いる遊技球を所有していない状態であり、遊技者は遊技を行うことができない(後述する「発射阻止状態」に移行する)。このようにパチンコ遊技機1は、遊技者が直接的に遊技球を取り扱う必要がないため、遊技球を出し入れ可能に貯留する球受け皿を備えておらず、その代わりに、操作台25(
図1)が前面枠18の下部に位置するように配置されている。
【0015】
前面枠18の右側部には、内枠16および前面枠18を施錠する施錠装置(不図示)を操作するための鍵挿入部262が設けられている。この鍵挿入部262に所定の鍵263を挿入して所定方向、例えば、右方向に回せば、施錠装置のロック状態が解除されて前面枠18のみが開く。一方、鍵挿入部262に鍵263を挿入して所定方向に対して反対側方向、例えば、左方向に回せば、施錠装置のロック状態が解除されて内枠16および前面枠18が一体的に開く。
【0016】
前面枠18の下部には、操作台25が、前方に張り出した形状、つまり遊技者側に接近するように設けられている。この操作台25には、ハンドル4と、演出ボタン5と、演出レバー6と、遊技球数表示器26と、計数ボタン18dとが設けられている。
【0017】
ハンドル4(操作手段、遊技操作手段)は、操作台25の右側部(前面枠18のうち右下)、つまり、パチンコ遊技機1と対向して遊技を行う遊技者が右手で握ることができる位置に設けられている。ハンドル4は、タッチスイッチ92(
図5A)と、発射レバー4aと、発射停止ボタン4bとを備えている。タッチスイッチ92は、遊技者がハンドル4に触れたことを示す信号を出力するものであり、ハンドル4を握った遊技者の右手が触れる部分に配置されている。発射レバー4aは、後述する発射槌90a(発射モータ91)による遊技球の発射強度を調整するためのものであり、ハンドル4に回動可能に設けられている。発射停止ボタン4bは、ハンドル4を操作したまま遊技球の発射を停止するためのものであり、ハンドル4を握った右手の親指により操作可能な位置に設けられている。
【0018】
演出ボタン5(演出操作手段)は、操作台25の上面に設けられている。演出ボタン5は、例えばプッシュオン式のボタンスイッチを採用することができる。演出ボタン5には、演出ボタン振動モータ5b(
図5B)と、演出ボタンランプ5c(
図5B)とが内蔵されている。演出ボタン振動モータ5bは、演出ボタン5を振動させるものであり、演出ボタン5の押下操作が有効な期間において所定のタイミングで振動する。本実施形態では、演出ボタンランプ5cはLEDである。演出ボタンランプ5cは、演出ボタン5の押下操作が有効な期間に演出ボタン5が押下操作されたときに点灯または点滅する。演出ボタン5の表面は透光性材料によって形成されており、演出ボタンランプ5cが発した光を遊技者が視認できるように工夫されている。演出ボタン5には、押下操作された演出ボタン5を押下操作前の位置に復帰させるためのバネ等の弾性部材(図示せず)が内蔵されており、演出ボタン5は、押下操作状態が解除されると、弾性部材の復元力によって押下操作前の状態に復帰する。
なお、演出ボタン5の押下操作を利用した演出(ボタン演出)が行われることがある。ボタン演出では、演出ボタン5の操作が有効な期間を設定し、その期間に遊技者が演出ボタン5を押下操作すると、特定の演出(操作時演出)が行われる。
【0019】
演出レバー6(演出操作手段)は、操作台25の左下部、つまり、前面枠18のうち下側の左端寄りに設けられている。演出レバー6は、左手で把持できる形状とされており、右回転または左回転の回転操作の他、上下左右の4方向に傾倒操作可能としている。更に、演出レバー6の天面部には、プッシュ式の押しボタン(レバーボタン)が設けられている。また、演出レバー6には、演出レバー振動モータ6c(
図5B)が設けられている。演出レバー振動モータ6cは、演出レバー6を振動させるものであり、演出レバー6の操作が有効な期間において所定のタイミングで振動する。
なお、演出レバー6の回転操作または傾倒操作を利用した演出(レバー演出)が行われることがある。レバー演出では、演出レバー6の回転操作または傾倒操作が有効な期間を設定し、その期間に遊技者が演出レバー6を回転操作または傾倒操作すると、特定の演出(操作時演出)が行われる。
【0020】
このように、パチンコ遊技機1は、遊技者による操作(演出操作)の対象となる演出操作手段として、演出ボタン5及び演出レバー6を備えている。
【0021】
遊技球数表示器26は、操作台25の上面(演出ボタン5の右方)に、表示面が水平またはやや前下がりの角度となるように設けられている。つまり、遊技球数表示器26の表示面は、遊技者の顔が位置する側(前上方)を向いており、遊技者が視線を下げた際に見易くなっている。この遊技球数表示器26には、遊技者が所有する遊技球数に相当する前述した「持ち球数」と、パチンコ遊技機1での遊技による獲得球数から消費球数を減算した遊技球数(「差玉数」)に関する球数とが表示される。
持ち球数は、球貸し操作に応じて後述する貸出ユニット76(専用ユニット)に対する球貸し操作に応じて貸し出された遊技球(貸球)の球数を加算し、ハンドル4の操作によって発射された遊技球(発射球)の球数をその発生毎に減算し、遊技に応じて付与された分の遊技球数(賞球)をその発生毎に加算することで算出計数される球数である。また後述するように、持ち球数は、遊技者が計数ボタン18dを操作することに応じて、貸出ユニット76の記憶媒体へと移動する。一方で、差玉数は、パチンコ遊技機1における稼働開始から稼働終了までの間に行われる遊技による獲得球数(セーフ)の総数および消費球数(アウト)の総数の関係で、「獲得球数-消費球数」の計算式により算出される球数である。
【0022】
なお、パチンコ遊技機1と持ち球数に関する通信を行う貸出ユニット76は、
図1に示すように、遊技店内でパチンコ遊技機1の左側方に隣接配置され、紙幣を投入する投入口231や、ICカード等の記憶媒体を挿脱する挿脱口232を備えていると共に、遊技者が操作可能な球貸ボタン251、返却ボタン252、及び再プレイボタン253と、残金額や計数済みの持ち球数を表示するユニット表示器254を備えている。この貸出ユニット76の内部には、貸出基板(SC基板、貸出制御基板)77(
図5A参照)が配置されている。貸出基板77は、パチンコ遊技機1の後述する枠制御基板150と電気的に接続されている。
貸出基板77は、持ち球数に関する持ち球情報や、遊技の結果に関する遊技情報や、不正行為が行われた可能性のある状態その他の異常状態等に関するセキュリティ情報等を、パチンコ遊技機1(枠制御基板150)との間で通信したり、遊技店の管理装置(ホールコンピュータ)に出力したりする制御を実行する制御手段としてのCPUを備えている。また、貸出基板77は、この制御手段が実行するプログラム等を記憶するROM等を備えている。更に、貸出基板77は、前述した持ち球情報、遊技情報、セキュリティ情報等を記憶するRAMを備えている。
この貸出基板77は、投入口231に投入された紙幣を識別して、対応する金額情報をRAMに記憶すると共に、ユニット表示器254に表示する。
また、貸出基板77は、球貸ボタン251が操作されたことに応じて、RAMに記憶している金額情報を減算し、その金額の減算に合わせてユニット表示器254の表示金額を変更する。また、その減額分に対応する遊技球数の貸球を示す貸球信号をパチンコ遊技機1(枠制御基板150)に向けて出力する。この貸球信号を受けたパチンコ遊技機1(枠制御基板150)では、貸球信号に対応する貸球が遊技者の持ち球に加算される。
また、貸出基板77は、遊技者が計数した持ち球数を管理する。具体的には、パチンコ遊技機1(枠制御基板150)で記憶された持ち球のうち、遊技者による後述する計数ボタン18dの計数操作に応じた遊技球数(計数済みの持ち球数)が、パチンコ遊技機1(枠制御基板150)から貸出基板77に伝達される。この計数済みの持ち球数を貸出基板77で管理し、ユニット表示器254に表示する。なお、貸出基板77は、計数済みの持ち球数を、貸出ユニット76の内部に保持している記憶媒体(ICカード等)に記憶するか、或いは、この記憶媒体に関連付けてインターネット上の所定の外部サーバに記憶させるようになっている。そして、貸出基板77は、再プレイボタン253が操作された場合、その操作に対応する遊技球数分の持ち球を示す信号をパチンコ遊技機1(枠制御基板150)に出力し、パチンコ遊技機1で使用できる持ち球に変更する。この場合には、貸出基板77側で管理する持ち球数を減算し、その減算分の持ち球数を示す信号を出力する。この信号を入力したパチンコ遊技機1(枠制御基板150)は、その信号に対応する遊技球数分の持ち球を加算する。
また、貸出基板77は、返却ボタン252が操作されたことに応じて、貸出ユニット76の内部に保持している記憶媒体の一部を挿脱口232から露出させて持ち出し可能とする。遊技者が投入金額の全てを使い切らずに遊技を終了する場合は、この記憶媒体を遊技店内の交換機に挿入することで残金が返却される。また、遊技者がパチンコ遊技機1での計数操作によって計数した分の持ち球は、この記憶媒体と共に移動させることができる。
【0023】
計数ボタン18dは、操作台25の上面のうちハンドル4から離間する側(具体的には左側部であり、貸出ユニット76との隣接側)に設けられている。この計数ボタン18dは、パチンコ遊技機1(後述する枠制御基板150)で記憶する遊技者の持ち球(データ)の一部または全部を計数する(計数してその分を機外に移動させる)際、遊技者によって操作される。パチンコ遊技機1(枠制御基板150)は、この計数ボタン18dが操作されると、その時点で記憶している持ち球から、操作態様に応じた分を減算する。この場合に、持ち球の減算分が貸出ユニット76の貸出基板77に通知される。このように、計数ボタン18dを操作することにより、パチンコ遊技機1(枠制御基板150)から貸出基板77へと遊技者の持ち球が移動する。
なお、パチンコ遊技機1(枠制御基板150)は、計数ボタン18dの短押し操作(例えば1000ms未満の押下操作)が計数センサ18e(
図5A参照)により検出されたことに応じて、1個の持ち球を貸出基板77側に移動させる。一方、計数ボタン18dの長押し(例えば1000msの押下操作)が計数センサ18eにより検出された場合には、125個の持ち球を貸出基板77側に移動させる。
【0024】
(遊技盤2)
図2に示すように、遊技盤2は、縦横の寸法が400~500程度の平板状の遊技領域形成板2xを基盤とし、複数種類の部材が取り付けられたものである。この遊技領域形成板2xの前面側、すなわち遊技盤2の前面側には、遊技球が流下可能な遊技領域3が形成されている。遊技盤2は、内枠16によって遊技者の顔と略正対する高さ位置に保持され、前面枠18が閉じた状態では前述した透明窓板18bにより前から覆われて、機前方から透視可能となっている。なお、本実施形態の遊技領域形成板2xは、アクリル樹脂等の透明な合成樹脂材により形成されているが、当該遊技領域形成板2xをベニヤ板等によって不透明に形成してもよい。
【0025】
遊技盤2の前面には、円弧状のレール部材17等が配置されており(
図2参照)、このレール部材17等の内周側に、遊技球が流下する領域である遊技領域3が区画形成されている。なお、遊技盤2の前面の左側部には、レール部材17の右側面と遊技領域3との間に、円弧状の発射球誘導通路17aが形成されている。発射された遊技球は、この発射球誘導通路17aをレール部材17の右側面に沿って上昇移動して、遊技領域3の上部領域に到達する。
【0026】
なお、遊技盤2の前面のうち、レール部材17の外周側(左側及び上側)に、盤面カバー部材(側部カバー部材331及び上部カバー部材338)が設けられている。盤面カバー部材は、不透明な合成樹脂により形成されており、例えば、前面枠18を開放した場合に、透明な遊技領域形成板2xの後面側の構成(例えば基板や配線等)を機前方から視認できないように隠すための遮蔽部材として機能している。盤面カバー部材のうち、遊技盤2の前面上縁部に設けられる上部カバー部材338には、内枠16に対して遊技盤2を取り付ける際に内枠16のレバー(図示せず)を固定するための固定具339が設けられている。また、遊技盤2の前面左縁部に設けられる側部カバー部材331には、左側(外側)のレール部材17を支持するための支持部333が設けられている。
【0027】
遊技盤2の前面のうち遊技領域3の範囲には、複数の遊技釘22が打ち込まれている。このため、遊技領域3を流下する遊技球は、遊技釘22に接触してその挙動が変化する。遊技球は、遊技領域3を流下する過程で後述する入球口(入賞口)に入球するか、または入球せず遊技領域3を流下してアウト口19から遊技領域3外(内枠16側)へと排出される。アウト口19は遊技領域3に複数設けられており、その一つが遊技領域3の下端に位置している。
【0028】
ここで、遊技盤2の前面のうち遊技領域3の中央側(レール部材17等から内側に離間した位置)に、環状(枠状)のセンター装飾体20が配置されている。このセンター装飾体20の内側開口は、遊技盤2を前後に貫通する開口(後述する装着口320)と前後に重なっているので、その内側開口を通じて、遊技盤2の背後に位置する演出表示装置7(演出表示手段、画像表示手段、例えば液晶パネル)の画面の略全体が前面側に露出する。この場合に、パチンコ遊技機1の正面視では、センター装飾体20が、演出表示装置7の画面の周囲を装飾するように位置している。センター装飾体20は透光性を有し、遊技盤2の背後等に設けられる複数のLEDが演出内容に応じて点灯・点滅する際、その光を前方に向けて透過させる。
【0029】
センター装飾体20は、遊技盤2の前面より前側に環状(枠状)に突出しているので、遊技領域3を流下する遊技球がセンター装飾体20の内周側(画面の前方空間)に移動することが防止される。そしてこのセンター装飾体20により、遊技領域3がその上部で左右に分岐するように区画されている。すなわち、遊技領域3は、センター装飾体20の左側を流下する遊技球の経路である左遊技領域(第1の球流下領域)3Lと、センター装飾体20の右側を流下する遊技球の経路である右遊技領域(第2の球流下領域)3Rとを含む領域である。
【0030】
センター装飾体20の内側開口の下縁部に、遊技球が転動可能な転動面を形成するステージ20aが設けられている。また、センター装飾体20の左下部には、左遊技領域3Lを流下する遊技球を受け入れてステージ20aに導く球通路としてのワープ通路20bが設けられている。ステージ20aは、ワープ通路20bからの遊技球を転動させた後、前端側から下方(左遊技領域3Lの下部領域)に向けて落下させるように、やや前下がりの傾斜面状に形成されている。このため、左遊技領域3Lを流下する遊技球は、ワープ通路20b及びステージ20aを経由する場合の方が、これらを経由しない場合よりも高い確率で、所定の入球口(第1始動口10a)に入球する。
【0031】
ハンドル4を操作して比較的強い発射強度で遊技球を発射した場合、その遊技球は遊技領域3の上縁に沿って飛翔し、右遊技領域3Rの上部に設けられる緩衝部21と接触(衝突)する。緩衝部21はゴム等の弾性部材により形成されているので、緩衝部21は遊技球との接触(衝突)で破損することなく当該遊技球の衝撃を緩和するように機能し、当該遊技球を速やかに右遊技領域3Rの下流側へと流下させる。
【0032】
また、遊技盤2の背後等に発光手段(LED)が設けられており、その発光により遊技盤2を装飾するように構成されている。このように遊技盤2に設けられる装飾用の発光手段のことを、以下では「盤ランプ2a」と称することとする(
図5B参照)。盤ランプ2aを構成する各LEDは、複数色を発光可能であり、演出内容に応じて点灯または点滅し、更に発光色を変化させる。
【0033】
遊技盤2の前面には、
図2に示すように、第1始動入賞装置10と、一般入賞部材11と、第2始動入賞装置12及びゲート13を有する右入賞ユニット9と、第1大入賞装置14と、第2大入賞装置15とが、適宜位置に取り付けられている。これらの構成は、遊技領域3を流下する遊技球が入球可能な入球口(後述)を有している。また、第2始動入賞装置12、第1大入賞装置14及び第2大入賞装置15は、その入球口(第2始動口12a、第1大入賞口14a、第2大入賞口15a)への遊技球の入球し易さを変化させることが可能な可変入球手段として機能する。
以下の説明では、遊技領域3に存在する複数の入球口のうち、遊技球の入球に対して賞球を付与可能な入球口として定められているものを「入賞口」と称することがある。なお、入賞口への遊技球の入球のことを「入賞」と表現してもよい。また、入球口(入賞口)の一種である「始動口」とは、遊技球の入球が後述する特別図柄の変動表示の契機となる入賞口のことである(契機口と称してもよい)。この始動口への入球のことを「始動入球(始動入賞)」と表現することができる。
【0034】
第1始動入賞装置10は、センター装飾体20の下方領域の中央部に、遊技盤2の前面から前側(透明窓板18b側)に突出するように設けられている。この第1始動入賞装置10は、第1始動口10a及び第1始動口センサ10bを有する入賞装置(入賞部)である。第1始動口10aは、遊技領域3内で上方に向けて開口している。第1始動口センサ10b(
図5A参照)は、第1始動口10aに入球(始動入球)した遊技球を検出するセンサ(検出手段)であり、第1始動口10aに入球した遊技球を遊技盤2の後面側に導く入賞路(図示せず)の途中に配置されている。第1始動入賞装置10は、第1始動口10aを常に入球可能な状態に維持するように構成されており、第1始動口10aへの入球し易さや開口寸法を変化させる部材は備えていない。
【0035】
一般入賞部材11は、センター装飾体20の下方領域のうち左寄りの位置に、遊技盤2の前面から前側(透明窓板18b側)に突出するように設けられている。この一般入賞部材11は、一般入賞口11a及び一般入賞口センサ11bを有する入賞装置(入賞部)である。一般入賞口11aは、遊技領域3内で上方に向けて開口している。一般入賞口センサ11b(
図5A参照)は、一般入賞口11aに入球した遊技球を検出するセンサ(検出手段)であり、一般入賞口11aに入球した遊技球を遊技盤2の後面側に導く入賞路(図示せず)の途中に配置されている。一般入賞部材11は、一般入賞口11aを常に入球可能な状態に維持するように構成されており、一般入賞口11aへの入球し易さや開口寸法を変化させるような部材は備えていない。
【0036】
ゲート13(作動口)は、センター装飾体20の右方領域に、遊技盤2の前面から前側(透明窓板18b側)に突出するように設けられている。このゲート13には、通過する遊技球を検出するゲートセンサ13a(
図5A参照)が配置されている。なお、ゲート13は、遊技球が遊技領域3内で上下方向(上から下)に通過(入球)可能に構成されている。
【0037】
第2始動入賞装置12は、センター装飾体20の右方であってゲート13のやや下側に配置されている。この第2始動入賞装置12は、第2始動口12a、普通作動部材(作動部材)12b、第2始動口センサ12c(
図5A参照)及び普電ソレノイド12d(
図5A参照)を有する入賞装置(入賞部)であり、遊技盤2の前面から前側(透明窓板18b側)に突出するように設けられている。第2始動口12aは、遊技領域3内で左上方に向けて開口している。第2始動口センサ12cは、第2始動口12aに入球(始動入球)した遊技球を検出するセンサ(検出手段)であり、第2始動口12aに配置されている。普通作動部材12bは、傾斜面状の上面を有する板状部材であり、後側の通常姿勢(第1姿勢、入球阻止姿勢)と前側の補助姿勢(第2姿勢、入球許容姿勢)との間で前後にスライド可能に構成されている。普電ソレノイド12dは、普通作動部材12bと連結されており、消磁状態(非作動状態)において普通作動部材12bを通常姿勢に維持すると共に、励磁状態(作動状態)において普通作動部材12bを補助状態に維持する。そして、通常姿勢の普通作動部材12bは、遊技盤2の前面よりも後側に位置して上方(ゲート13側)からの遊技球を受けることなく下方へ通過させる。一方で、補助姿勢の普通作動部材12bは、遊技盤2の前面よりも前側に位置して上方(ゲート13側)からの遊技球を受け、上面を傾斜に沿って転動させる状態となることで第2始動口12aへの入球(始動入球)を補助する。すなわち、第2始動入賞装置12に設けられる第2始動口12aは、遊技球の入球し易さが普通作動部材12bの姿勢に応じて変動する入球口(可変入球口、可変始動口)である。
この第2始動口12aについて、実際には開口寸法が変化しているわけではないが、便宜上、普通作動部材12bが通常姿勢となっていて遊技球が入球し得ない状態を「閉鎖状態」と表現し、当該閉鎖状態に変化することを「閉鎖する」と表現してもよい。また、普通作動部材12bが補助姿勢となっていて遊技球が入球し得る状態を「開放状態」と表現し、当該開放状態に変化することを「開放する」と表現してもよい。
【0038】
第1大入賞装置14は、右遊技領域3Rの下部(第2始動入賞装置12に対して下方)に、遊技盤2の前面から前側(透明窓板18b側)に突出するように設けられている。この第1大入賞装置14は、第1大入賞口14a(特別入賞口、特別入球口)、第1特別作動部材14b、第1大入賞口センサ14c(
図5A参照)及び第1特電ソレノイド14d(
図5A参照)を有する入賞装置(入賞部)である。第1大入賞口14aは、遊技領域3内で上方に向けて開口している。第1大入賞口センサ14cは、第1大入賞口14aに入球した遊技球を検出するセンサ(検出手段)であり、第1大入賞口14aに入球した遊技球を遊技盤2の後面側に導く入賞路(図示せず)の途中に配置されている。第1特別作動部材14bは、傾斜面状の上面を有する板状部材であり、前側の入球阻止姿勢(第1姿勢)と後側の入球許容姿勢(第2姿勢)との間で前後にスライド可能に構成されている。第1特電ソレノイド14dは、第1特別作動部材14bと連結されており、消磁状態(非作動状態)において第1特別作動部材14bを入球阻止姿勢に維持すると共に、励磁状態(作動状態)において第1特別作動部材14bを入球許容姿勢に維持する。そして、入球阻止姿勢の第1特別作動部材14bは、遊技盤2の前面よりも前側に位置して第1大入賞口14aを閉鎖することで第1大入賞口14aへの遊技球の入球を阻止し、遊技球を傾斜状の上面によって下流側(左下方)へと流下させる。一方で、入球許容姿勢の第1特別作動部材14bは、遊技盤2の前面よりも後側に位置して第1大入賞口14aを開放し、第1大入賞口14aへの遊技球の入球を許容する。すなわち、第1大入賞装置14に設けられる第1大入賞口14aは、その開口寸法が変動する(遊技球の入球し易さが姿勢に応じて変動する)入賞口(可変入球口)である。
この第1大入賞口14aについて、以下の説明では、第1特別作動部材14bが入球阻止姿勢となっていて遊技球が入球し得ない状態を「閉鎖状態」と表現し、当該閉鎖状態に変化することを「閉鎖する」と表現することがある。また、第1特別作動部材14bが入球許容姿勢となっていて遊技球が入球し得る状態を「開放状態」と表現し、当該開放状態に変化することを「開放する」と表現することがある。
【0039】
第2大入賞装置15は、右遊技領域3Rの上部(第2始動入賞装置12に対して上方)に、遊技盤2の前面から前側(透明窓板18b側)に突出するように設けられている。この第2大入賞装置15は、第2大入賞口15a(特別入賞口、特別入球口)、第2特別作動部材15b、第2大入賞口センサ15c(
図5A参照)及び第2特電ソレノイド15d(
図5A参照)を有する入賞装置(入賞部)である。第2大入賞口15aは、遊技領域3内で上方に向けて開口している。第2大入賞口センサ15cは、第2大入賞口15aに入球した遊技球を検出するセンサ(検出手段)であり、第2大入賞口15aに入球した遊技球を遊技盤2の後面側に導く入賞路(図示せず)の途中に配置されている。第2特別作動部材15bは、傾斜面状の上面を有する板状部材であり、前側の入球阻止姿勢(第1姿勢)と後側の入球許容姿勢(第2姿勢)との間で前後にスライド可能に構成されている。第2特電ソレノイド15dは、第2特別作動部材15bと連結されており、消磁状態(非作動状態)において第2特別作動部材15bを入球阻止姿勢に維持すると共に、励磁状態(作動状態)において第2特別作動部材15bを入球許容状態に維持する。そして、入球阻止姿勢の第2特別作動部材15bは、遊技盤2の前面よりも前側に位置して第2大入賞口15aを閉鎖することで第2大入賞口15aへの遊技球の入球を阻止し、遊技球を傾斜上の上面によって下流側(左下方)へと流下させる。一方で、入球許容姿勢の第2特別作動部材15bは、遊技盤2の前面よりも後側に位置して第2大入賞口15aを開放し、第2大入賞口15aへの遊技球の入球を許容する。すなわち、第2大入賞装置15に設けられる第2大入賞口15aは、その開口寸法が変動する(遊技球の入球し易さが姿勢に応じて変動する)入賞口(可変入球口)である。
この第2大入賞口15aについて、以下の説明では、第2特別作動部材15bが入球阻止姿勢となっていて遊技球が入球し得ない状態を「閉鎖状態」と表現し、当該閉鎖状態に変化することを「閉鎖する」と表現することがある。また、第2特別作動部材15bが入球許容姿勢となっていて遊技球が入球し得る状態を「開放状態」と表現し、当該開放状態に変化することを「開放する」と表現することがある。
【0040】
また、第2大入賞装置15の内部の入賞路には、第2大入賞口15aに入球した遊技球が通過(入球)可能な特定領域が形成されており、第2大入賞口15aに入球した遊技球は特定領域を介して遊技盤2の後面側に排出されるようになっている。そして、入賞路には、前述した第2大入賞口センサ15cの他に、特定領域を通過(入球)する遊技球を検出する特定領域センサ55a(
図5A)が設けられている。本実施形態では、後述の小当たり状態中の特定領域への遊技球の通過が、後述のV当たり状態への移行(後述の2種大当たり状態への発展)の契機となっている。
【0041】
ところで、パチンコ遊技機1は、前述したハンドル4の操作に応じて遊技球の発射強度を調節することが可能であるので、発射強度の調節によって遊技球を左遊技領域3Lと右遊技領域3Rとに打ち分けることができる。本実施形態では、前述の盤面構成により、左遊技領域3Lに向かって発射(以下「左打ち」という)した遊技球が、左遊技領域3Lに設けられる入球口(第1始動口10a、一般入賞口11a)に入球する可能性がある。一方、右遊技領域3Rに向かって発射(以下「右打ち」という)した遊技球は、右遊技領域3Rに設けられる入球口(ゲート13、第2始動口12a、第1大入賞口14a、第2大入賞口15a)に入球する可能性がある。
【0042】
この他、
図2に示すように、遊技盤2の下端部(遊技領域3の下方)には、各種の遊技情報を表示する遊技情報表示手段である表示器類50(後述)が設けられている。
【0043】
(球循環機構30)
次に、内枠16のうち遊技盤2を保持する範囲よりも下側範囲に備えられる球循環機構30について、
図3及び
図4を参照しつつ説明する。球循環機構30は、機内部で所定個数(例えば45個)の遊技球(循環球)を循環させるための機構であり、
図3に示すように、集合部31と、回収部32と、球揚送部34と、発射待機部35と、球送り部36と、返戻部38と、実射センサ37(減算センサ、減算検出手段)と、循環球受け皿39とを備えており、回収部32には回収センサ33、返戻部38にはファール球センサ38aが配置されている。
【0044】
集合部31は、上方(遊技盤2の後面)から落下してくる遊技球を受け入れるよう、上方に開口する凹溝状に形成されている。集合部31の底面は、左右方向の両端側から中央側に向けて下方傾斜しており、その下流端となる中央側が下方に向けて開口している。集合部31は、遊技領域3に設けられる複数の入賞口(前述)の何れかに入球して遊技領域3外(遊技盤2の後面側)に排出された遊技球と、アウト口19を介して遊技領域3外(遊技盤2の後面側)に排出された遊技球とを底面上で集合させ、その底面の開口から落下させることで、回収部32へと導く。
【0045】
回収部32は、遊技球が一列で流下可能な回収通路R1を内部に形成しており、この回収通路R1の上流端部は前述した集合部31の底面の開口に接続している。回収通路R1の途中には回収センサ33が配置されており、回収通路R1を通過する遊技球が回収センサ33によって1個ずつ検出されるようになっている。すなわち、遊技領域3を流下する遊技球は、入賞口(前述)に入球するかアウト口19から排出されるかに関わらず、集合部31で集合し、回収部32の回収通路R1に流入して一列となり、回収センサ33によって1個ずつ検出される。なお、球循環機構30で遊技球が正常に循環されている場合、遊技者によるハンドル4の操作に伴う遊技球の発射回数(実射回数、後述する実射センサ37による検出数)が、その後に回収センサ33で検出される遊技球数と一致することになる。この回収部32の下流端部は、縦長箱状の球揚送部34の下部に接続している。これにより、回収通路R1を通過した遊技球は、球揚送部34の下部に流入する。
【0046】
球揚送部34は、上下方向に延在する揚送通路R2を内部に形成しており、この揚送通路R2の下端部は前述した回収部32の回収通路R1に接続している。また、球揚送部34には、揚送通路R2に沿うように、上下に延在する円柱状の揚送軸34aが回転可能に収容されている。揚送軸34aは、外周面に螺旋状の球保持片34bが形成され、揚送モータ34c(
図5A参照)の正逆回転に応じて正逆回転する。ここで、揚送モータ34cの正回転に伴い、揚送軸34aの下端側で球保持片34bに保持された遊技球が揚送通路R2を上昇移動するように構成されている。この球揚送部34は、上端部が発射待機部35に接続しており、揚送通路R2の上端部が発射待機部35内に連通している。つまり、揚送軸34aの正回転によって揚送通路R2内を上昇移動した遊技球は、発射待機部35の内部に導かれる。一方、球循環機構30からの球抜きを行う場合には、遊技店員等が後述する所定の操作を行って揚送モータ34cを逆回転させることで、揚送通路R2内の遊技球が下降移動し、排球口34dから後述する循環球受け皿39に排出される。
【0047】
循環球受け皿39は、球抜き操作によって球循環機構30の排球口34dから排出される遊技球(循環球)を全て収容可能に構成されている。この循環球受け皿39は、球循環機構30に対して容易に着脱可能となっているので、球抜きされた遊技球を一度に持ち運ぶのに便利である。なお、球循環機構30内に遊技球を戻す場合は、必要数の遊技球を収容した循環球受け皿39の先細り状の端部(供給口)を遊技領域3下端部のアウト口19に近づけて遊技球を流し込むようにする。
【0048】
発射待機部35は、右端部から左端部に向けて下方傾斜する発射待機通路R3を内側に形成しており、その上流側が右方に向けて開口して、この開口に前述した揚送通路R2が接続している。また、発射待機通路R3の下流側は前方に向けて開口しており、この開口に、後述する球送り部36の内部通路R4の上流端部が接続している。
【0049】
球送り部36は、
図3に示すように発射待機部35の左部を前側から覆うように配置された箱状部材(
図4参照)であり、その内部に内部通路R4が形成されていると共に、球送り部材36c及び球送りソレノイド36bが取り付けられている。内部通路R4は、遊技球が一列で通過する通路幅で形成されており、その上流端部(右端部)が前述した発射待機通路R3に連通していると共に、下流端部(左端部)に対向して球送り部材36cが配置されている。また、この内部通路R4の下流端部の下方に、前後方向に貫通する(球送り部36からの遊技球の)出口36aが形成されている。球送り部材36cは、
図4に示すように、正面視での左端部を軸として、遊技球を1個保持可能な右端側(コ字状の部分)が上下に揺動可能に構成されている。この球送り部材36cは、揺動上端位置にある時に、内部通路R4の下流端部からの遊技球を受け取ることが可能であり、その受け取った遊技球を、揺動下端位置への移動によって球送り部36の出口36aに送り出すことが可能である。
【0050】
また、球循環機構30には、球送り部36によって覆われる範囲に、発射槌90aや発射レール29が設けられている。発射槌90aは、発射モータ91の駆動に伴う発射動作により、球送り部36の球送り部材36cが打球位置29aに1個ずつ供給する遊技球を遊技領域3に向けて発射するように構成されている。なお、打球位置29aは、発射槌90aによる打撃対象となる遊技球の停止位置であり、左上がりに設けられた発射レール29(
図3参照)上の右下端部(下流端部)に設けられている。打球位置29aの遊技球は、発射槌90aによる打撃を受けて発射レール29上を摺動し、その延長方向(左上方)へと飛翔して遊技盤2の発射球誘導通路17a(
図3参照)へと進入し、その先で遊技領域3へと流入する。
このような構成により、発射待機部35の発射待機通路R3を流れた遊技球は一列で球送り部36の内部通路R4に流入し、球送りソレノイド36b(
図4、
図5A参照)の駆動に伴う球送り部材36cの動作により、球送り部36の出口36aから1個ずつ打球位置29aに供給され、発射モータ91の駆動に伴う発射槌90aの動作により、発射レール29から発射球誘導通路17aを介して遊技領域3へと移動する。
【0051】
発射レール29からの遊技球の移動先側(本実施形態では、発射球誘導通路17aの入口近傍)に、実射センサ37が配置されている。この実射センサ37は、打球位置から遊技領域3に向けて移動する遊技球(すなわち、実際に発射された遊技球)を検出するように設けられている。ここで、パチンコ遊技機1では、実射センサ37による1回の検出を1個の消費球数の発生に相当するものとして判断するように制御を行う。つまり、実射センサ37による1回の検出が発生すると、パチンコ遊技機1(後述する枠制御基板150)において記憶する持ち球数のカウント値が1個分減算される。
【0052】
図3に示すように、発射レール29と遊技盤2(発射球誘導通路17a)とは離間しており、そのスペースの下側に返戻部38が設けられている。この返戻部38は、発射槌90aに発射され飛翔したものの遊技領域3まで到達できなかった遊技球を球揚送部34に誘導するためのファール球通路R5を形成している。ファール球通路R5は、発射レール29及び遊技盤2(発射球誘導通路17a)の間から下方に向けて延び、そこから僅かに後方へ延びて、更に右下方に向けて延びた先で、揚送通路R2に接続している。このファール球通路R5の途中位置には、ファール球通路R5を通過する遊技球(ファール球)を検出するファール球センサ38aが設けられている。なお、ファール球(ファール球センサ38aによる検出)が発生すると、パチンコ遊技機1(後述する枠制御基板150)において記憶する持ち球数のカウント値が1個分加算される(持ち球が1個戻される)。
【0053】
[パチンコ遊技機1の主な電気的構成]
次に、
図5A及び
図5Bを参照し、パチンコ遊技機1の主な電気的構成について説明する。パチンコ遊技機1には、複数の制御基板や装置等が設けられている。制御基板には、主制御基板60(第1制御手段、遊技制御基板)、電源基板70、枠制御基板150(枠側制御手段、外部出力手段、球数制御基板、所定の制御基板)、発射制御回路75、音声制御基板78、ランプ制御基板79、サブ制御基板100(第2制御手段、演出制御手段)、画像制御基板200等がある。ここで、遊技盤2に取り付けられた主制御基板60(第1制御基板)及びサブ制御基板100(第2制御基板)と、内枠16に取り付けられた枠制御基板150(枠側制御基板)とがあり、主制御基板60がサブ制御基板100及び枠制御基板150と電気的に接続するように構成されている。
これらの各制御基板は、透明な合成樹脂製の基板ケースに収容された状態でパチンコ遊技機1の後面側に配置される。但し、主制御基板60、音声制御基板78、ランプ制御基板79、サブ制御基板100、画像制御基板200については、遊技盤2(遊技領域形成板2x)の後面側に設置されている一方、電源基板70、枠制御基板150、発射制御回路75については、内枠16の後面側に設置されているという違いがある。この構成により、内枠16の後面側に設置される電源基板70、枠制御基板150、発射制御回路75は、パチンコ遊技機1の遊技盤2を交換する場合にも、新たな遊技盤2との組み合わせによる流用が可能となる。
【0054】
(主制御基板60)
主制御基板60は、その基板ケースが図示しない封印シールによって封印された状態で、遊技盤2の後面側に設置されている。封印シートには、主制御基板60の管理番号等といった固有の識別番号(以下「チップ番号」と称する)を記憶するICチップとそのアンテナ回路が埋設されている。従って、遊技店の店員等の点検作業者は、リーダ装置を使って当該封印シールのICチップから識別情報を読み取り、点検を行うことが可能である。
【0055】
図5Aに示すように、主制御基板60には、遊技制御用ワンチップマイコン(以下、遊技制御用マイコンという)61が実装されている。遊技制御用マイコン61は、CPU62と、ROM63と、RAM(RWM)64と、入出力回路65とを備えている。遊技制御用マイコン61は、大当たり乱数、大当たり種別乱数、小当たり種別乱数、リーチ乱数、変動パターン乱数、普図当たり乱数、普図当たり種別乱数等、各種の判定(抽選)にて使用する乱数を発生する。CPU62は、入球の検出、特図当たり判定、普図当たり判定、各種乱数の更新等を実行する。ROM63には、CPU62が実行するコンピュータプログラム等が記憶されている。例えば、後述する当否判定テーブルT1、大当たり種別判定テーブルT2,T3、小当たり種別判定テーブルT4、リーチ判定テーブルT5,T6、特図変動パターン選択テーブルT7,T8、普図当たり種別判定テーブルT10等の各種のテーブルは、このROM63に記憶されている。RAM64は、CPU62がコンピュータプログラムを実行するときのワークメモリ等として使用される。
【0056】
ROM63には、パチンコ遊技機1に固有の識別情報である「遊技機設置情報」が記憶されている。遊技機設置情報は、例えば、主制御基板60、遊技盤2或いはパチンコ遊技機1についての管理番号等の情報(前述したICチップの記憶データに含まれる識別情報)等を含んでいる。遊技制御用マイコン61は、電源投入時の初期設定が終了するタイミングで、ROM63から遊技機設置情報を読み出し、枠制御基板150(枠制御用マイコン151)等に向けて出力する。このため、枠制御基板150(枠制御用マイコン151)は、遊技機設置情報の入力により、遊技制御用マイコン61の電源投入時処理の完了を特定できると共に、固有情報の確認を行うことができる。
【0057】
また、RAM64には、第1特図保留記憶部64aと、第2特図保留記憶部64bと、普図保留記憶部64cと、ベース値記憶部64dとが設けられている。
【0058】
第1特図保留記憶部64aは、第1乃至第4記憶領域を備えている。つまり、記憶可能な第1特図保留数は最大4個である。各記憶領域には、遊技球が第1始動口10aに入球したことに起因して遊技制御用マイコン61が取得した大当たり乱数、大当たり種別乱数、小当たり種別乱数、リーチ乱数及び変動パターン乱数等の値(始動入賞情報)が記憶される。例えば第1特別図柄表示器51が第1特図を変動表示しているときに遊技球が第1始動口10aに入球すると、その入球に基づく第1特図の変動表示の実行はその時点では待機状態とされる。この場合、当該入球を契機として取得された始動入賞情報が第1特図保留記憶部64aに記憶され、その後に変動開始が可能となった時に、その始動入賞情報に基づく第1特図の変動表示が開始される。すなわち、第1始動口10aへの入球を契機として始動入賞情報が取得されたタイミングで特図変動表示を開始できない場合、その始動入賞情報に基づく第1特図の変動表示の実行は、変動開始条件(始動条件)が成立するまで保留(作動保留)される。
【0059】
第2特図保留記憶部64bは、第1乃至第2記憶領域を備えている。つまり、記憶可能な第2特図保留数は最大2個である。各記憶領域には、遊技球が第2始動口12aに入球したことに起因して遊技制御用マイコン61が取得した大当たり乱数、大当たり種別乱数、小当たり種別乱数、リーチ乱数及び変動パターン乱数等の値(始動入賞情報)が記憶される。例えば第2特別図柄表示器52が第2特図を変動表示しているときに遊技球が第2始動口12aに入球すると、その入球に基づく第2特図の変動表示の実行はその時点では待機状態とされる。この場合、当該入球を契機として取得された始動入賞情報が第2特図保留記憶部64bに記憶され、その後に変動開始が可能となった時に、その始動入賞情報に基づく第2特図の変動表示が開始される。すなわち、第2始動口12aへの入球を契機として始動入賞情報が取得されたタイミングで特図変動表示を開始できない場合、その始動入賞情報に基づく第2特図の変動表示の実行は、変動開始条件(始動条件)が成立するまで保留(作動保留)される。
このように、本実施形態では、第2特図保留数が最大2個であり、第1特図保留数(最大4個)よりも少なくなっている。すなわち、第2特図保留記憶部64bにより記憶可能な始動入賞情報の数(第2特図保留数の最大数、記憶領域の数)が、第1特図保留記憶部64aにより記憶可能な始動入賞情報の数(第1特図保留数の最大数、記憶領域の数)よりも少なく設定されている。なお、第2特図保留数を最大4個(第1特図保留数の最大数と同数)としてもよいし、最大1個としてもよい。また、第2特図保留記憶部64bによる第2特図の保留機能をなくし、特図変動表示中や大当たり遊技状態中ではない期間に第2始動口12aへの入球が発生した場合にのみ第2特図の始動入賞情報を取得して特図当たり判定を行ってもよい。
【0060】
大当たり乱数等の始動入賞情報は、作動保留の発生順、つまり、遊技制御用マイコン61による取得順に第1特図保留記憶部64a及び第2特図保留記憶部64bの各第1記憶領域から順番に記憶される。このため例えば、第1特図保留記憶部64aにおいて始動入賞情報が第1乃至第4記憶領域まで記憶されている場合は、第4記憶領域に記憶されている始動入賞情報が時間的に最も新しい情報であり、第1記憶領域に記憶されている始動入賞情報が時間的に最も古い情報である。また例えば、第2特図保留記憶部64bにおいて始動入賞情報が第1乃至第2記憶領域まで記憶されている場合は、第2記憶領域に記憶されている始動入賞情報が時間的に最も新しい情報であり、第1記憶領域に記憶されている始動入賞情報が時間的に最も古い情報である。各記憶領域に記憶されている始動入賞情報は、特別図柄の変動表示が1回終了する毎に、記憶の順番が古い方の記憶領域に1つずつシフトする。例えば、第2記憶領域に記憶されていた大当たり乱数等は第1記憶領域にシフトする。また、第1記憶領域に記憶されている始動入賞情報に基づく特図当たり判定等の判定(抽選)は、特別図柄表示器による特別図柄の当該変動表示が終了し、次の変動表示の開始タイミングが到来した際(変動表示の始動条件が成立した際)に実行される。
【0061】
なお、パチンコ遊技機1では、前述したように第2特図保留数の消化が第1特図保留数の消化に優先して実行される。つまり、第1特図保留数と第2特図保留数とが何れも複数存在する場合、先ず第2特図保留数が順に消化され、次に第1特図保留数が順に消化される。例えば、第1特図保留記憶部64aの第1記憶領域と、第2特図保留記憶部64bの第1記憶領域とに始動入賞情報が記憶されている状態で、特図の変動表示の開始タイミングが到来した場合は、第2特図保留記憶部64bの第1記憶領域に記憶されている始動入賞情報が実行エリア(実行対象領域)にシフトし、この始動入賞情報に基づく特図当たり判定等の判定が実行される。一方でこの時、第1特図保留記憶部64aでは第1記憶領域の始動入賞情報はシフトされず、その後に第2特図保留数が0の状態での特図の変動表示の開始タイミング到来時になると実行エリア(実行対象領域)にシフトして、この始動入賞情報に基づく特図当たり判定等の判定が実行される。
【0062】
普図保留記憶部64cは、第1乃至第4記憶領域を備えている。つまり、記憶可能な普図保留数は最大4個である。各記憶領域には、遊技球がゲート13に入球したことに起因して遊技制御用マイコン61が取得した普図当たり乱数等の値(作動入球情報)が記憶される。例えば普通図柄表示器53が普通図柄を変動表示しているときに遊技球がゲート13に入球すると、その入球に基づく普通図柄の変動表示の実行はその時点では待機状態とされる。この場合、当該入球を契機として取得された作動入球情報が普図保留記憶部64cに記憶され、その後に変動開始が可能となった時に、その作動入球情報に基づく普通図柄の変動表示が開始される。すなわち、ゲート13への入球を契機として作動入球情報が取得されたタイミングで普図変動表示を開始できない場合、その作動入球情報に基づく普通図柄の変動表示の実行は、変動開始条件(始動条件)が成立するまで保留(作動保留)される。
【0063】
ベース値記憶部64dは、遊技制御用マイコン61において算出されるベース値を記憶するための記憶領域である。なお、ベース値とは、非時短遊技状態(通常遊技状態)中の出玉率のことであり、非時短遊技状態中の獲得球数÷非時短遊技状態中の消費球数×100の計算式で算出される。ここで、遊技制御用マイコン61は、遊技領域3に設けられる各入賞口への入賞に対して付与された賞球数の合計により、獲得球数を算出する。また、遊技領域3に設けられる各入賞口への入賞球数と、複数のアウト口19による排出球数とに基づいて、消費球数を算出する。これに対し、後述する回収センサ33や実射センサ37による検出に応じて消費球数を計数するようにしてもよい。なお、本実施形態では回収センサ33や実射センサ37が枠制御基板150に接続されているので、これらのうち何れかのセンサの検出に応じて消費球数を計数する場合は、そのセンサを遊技制御用マイコン61に接続するか、そのセンサの検出を枠制御基板150に通知させるようにする。
ここで、本実施形態では、主制御基板60のベース値記憶部64dに記憶されているベース値を含むベース値コマンドを枠制御基板150に送信することにより、遊技制御用マイコン61が算出したベース値を、枠制御基板150に設けられる性能表示モニタ183において表示可能に構成されている。
【0064】
また、主制御基板60には、表示器類50が電気的に接続されている。
表示器類50は、
図5Aに示すように、第1特別図柄(第1特図または特
図1ともいう)を変動表示する第1特別図柄表示器51と、第2特別図柄(第2特図または特
図2ともいう)を変動表示する第2特別図柄表示器52と、普通図柄(普図ともいう)を変動表示する普通図柄表示器53とを備える。更に、表示器類50は、第1特別図柄表示器51での第1特図の作動保留の記憶数を表示する第1特図保留表示器51aと、第2特別図柄表示器52での第2特図の作動保留の記憶数を表示する第2特図保留表示器52aと、普通図柄表示器53での普通図柄の作動保留の記憶数を表示する普図保留表示器53aとを備える。
以下、第1特図及び第2特図に共通の事項を説明する際に、単に特別図柄または特図という場合がある。また、第1特別図柄表示器51及び第2特別図柄表示器52に共通の事項を説明する場合は、単に特別図柄表示器という場合がある。
【0065】
各特別図柄表示器51,52及び普通図柄表示器53の夫々は、複数のLEDにより構成されている。各特別図柄表示器51,52を構成する各LEDは、それぞれ所定の点灯パターンにて点灯し、点灯しているLED及び消灯しているLEDの組み合わせが特別図柄を表しており、点灯するLED及び消灯しているLEDの組み合わせが変化している状態が特別図柄の変動表示を表している。以下、特別図柄が変動表示を開始してから特別図柄が確定表示されるまでの特別図柄の変動パターンを特図変動パターンという。また、普通図柄表示器53を構成する各LEDは、それぞれ所定の点灯パターンにて点灯し、点灯しているLED及び消灯しているLEDの組み合わせが普通図柄を表しており、点灯するLED及び消灯しているLEDの組み合わせが変化している状態が普通図柄の変動表示を表している。以下、普通図柄が変動表示を開始してから普通図柄が確定表示されるまでの普通図柄の変動パターンを普図変動パターンという。
【0066】
遊技球が第1始動口10aに入球すると、当たり(大当たり)か否かを判定する特図当たり判定(内部判定、大当たり判定、小当たり判定等と称することもある)が実行され、第1特別図柄表示器51が第1特図を変動表示する。そして、第1特別図柄表示器51は、第1特図の変動表示を開始してから所定の変動時間の経過後に、特図当たり判定の結果に対応する第1特図を確定表示する。第1特別図柄表示器51での新たな第1特図の変動表示の開始が禁止されているとき(第1特別図柄表示器51が第1特図を変動表示しているときや、大当たり遊技状態が発生しているとき)に、遊技球が第1始動口10aに入球した場合は、その入球を契機とする第1特別図柄表示器51での第1特図の変動表示が保留(作動保留)され、その作動保留の数が第1特図保留表示器51aによって表示される。以下、第1特別図柄表示器51の作動保留数を第1特図保留数という。
【0067】
また、遊技球が第2始動口12aに入球すると、当たり(大当たり)か否かを判定する特図当たり判定(内部判定、大当たり判定、小当たり判定等とも称する)が実行され、第2特別図柄表示器52が第2特図を変動表示する。そして、第2特別図柄表示器52は、第2特図の変動表示を開始してから所定の変動時間の経過後に、特図当たり判定の結果に対応する第2特図を確定表示する。第2特別図柄表示器52での新たな第2特図の変動表示の開始が禁止されているとき(第2特別図柄表示器52が第2特図を変動表示しているときや、大当たり遊技状態が発生しているとき)に、遊技球が第2始動口12aに入球した場合は、その入球を契機とする第2特別図柄表示器52での第2特図の変動表示が保留(作動保留)され、その作動保留の数が第2特図保留表示器52aによって表示される。以下、第2特別図柄表示器52の作動保留数を第2特図保留数という。また、第1特図保留数及び第2特図保留数に共通の事項を説明する場合は、単に特図保留数という。
【0068】
更に、遊技球がゲート13を通過(入球)すると、当たり(普図当たり)か否かを判定する普図当たり判定(内部判定等とも称する)が実行され、普通図柄表示器53が普通図柄を変動表示する。そして、普通図柄表示器53は、普通図柄の変動表示を開始してから所定の変動時間の経過後に、普図当たり判定の結果に対応する普通図柄を確定表示する。普通図柄表示器53での新たな普通図柄の変動表示の開始が禁止されているとき(普通図柄53が普通図柄を変動表示しているときや、普図当たり状態が発生しているとき)に、遊技球がゲート13に入球した場合は、その入球を契機とする普通図柄表示器53での普通図柄の変動表示が保留(作動保留)され、その作動保留の数が普図保留表示器53aによって表示される。以下、普通図柄表示器53の作動保留数を普図保留数という。
なお、普通図柄表示器53が確定表示した普通図柄が、当たりを示す普通図柄であった場合は、第2始動入賞装置12の普通作動部材12bが入球許容姿勢となることで、第2始動口12aが開放して普図当たり状態(補助遊技)が発生する。
【0069】
以下、特別図柄表示器が特別図柄の変動表示を開始してから特別図柄を確定表示するまでを1回の特図変動(または特別図柄の1回の変動)という。また、特図変動の実行によって特図保留数が1個ずつ減少することを特図保留の消化という。パチンコ遊技機1では、特別図柄表示器の作動保留がその発生タイミングの時系列順に特別図柄の変動表示に用いられ、特図保留数が消化される。但し、第2特図保留数の消化が第1特図保留数の消化に優先して実行される(第2特図の変動表示が第1特図の変動表示よりも優先的に実行される)。なお、特別図柄表示器において特別図柄の変動表示が終了してから特図保留数の消化によって次の特別図柄の変動表示が開始されるまでの間に、所定の変動インターバル(特別図柄の停止時間)が設けられている。
【0070】
更に、主制御基板60には、第1始動口センサ10b、一般入賞口センサ11b、第2始動口センサ12c、第1大入賞口センサ14c、第2大入賞口センサ15c、ゲートセンサ13a、特定領域センサ55a、複数のアウト口センサ19a等の遊技球検出用のセンサが、中継基板74を介して電気的に接続されている。
【0071】
第1始動口センサ10bは、第1始動口10aに入球した遊技球を検出して検出信号を主制御基板60へ出力する。一般入賞口センサ11bは、一般入賞口11aに入球した遊技球を検出して検出信号を主制御基板60へ出力する。第2始動口センサ12cは、第2始動口12aに入球した遊技球を検出して検出信号を主制御基板60へ出力する。第1大入賞口センサ14cは、第1大入賞口14aに入球した遊技球を検出して検出信号を主制御基板60へ出力する。第2大入賞口センサ15cは、第2大入賞口15aに入球した遊技球を検出して検出信号を主制御基板60へ出力する。ゲートセンサ13aは、ゲート13に入球した(通過している)遊技球を検出して検出信号を主制御基板60へ出力する。アウト口センサ19aは、アウト口19から排出される遊技球を検出して検出信号を主制御基板60へ出力する。これらのセンサのうち、入賞口に対応するセンサによって遊技球が検出されると、センサ毎に予め定めた個数の賞球の付与条件がそれぞれ成立する。
【0072】
ここで、本実施形態では、第1始動口センサ10bによる1回の検出(第1始動口10aへの入球1個)に対する賞球が「2個」と定められており、第2始動口センサ12cによる1回の検出(第2始動口12aへの入球1個)に対する賞球が「1個」と定められており、第1大入賞口センサ14cによる1回の検出(第1大入賞口14aへの入球1個)に対する賞球が「15個」と定められており、第2大入賞口センサ15cによる1回の検出(第2大入賞口15aへの入球1個)に対する賞球が「15個」と定められており、一般入賞口センサ11bによる1回の検出(一般入賞口11aへの入球1個)に対する賞球が「15個」と定められている。
【0073】
また、特定領域センサ55aは、第2大入賞装置15内部の特定領域を通過する遊技球を検出して検出信号を主制御基板60へ出力する。
【0074】
また、主制御基板60には、中継基板74を介して、普電ソレノイド12dと、第1特電ソレノイド14dと、第2特電ソレノイド15dとが電気的に接続されている。普電ソレノイド12dは、主制御基板60の制御に基づいて励磁され、普通作動部材12bを入球阻止姿勢から入球許容姿勢へと変更する。第1特電ソレノイド14dは、主制御基板60の制御に基づいて励磁され、第1特別作動部材14bを入球阻止姿勢から入球許容姿勢へと変更する。第2特電ソレノイド15dは、主制御基板60の制御に基づいて励磁され、第2特別作動部材15bを入球阻止姿勢から入球許容姿勢へと変更する。
【0075】
(枠制御基板150)
図5Aに示すように、枠制御基板150(枠側制御手段、球数制御手段)には、枠制御用ワンチップマイコン(以下、枠制御用マイコンという)151が実装されている。枠制御用マイコン151は、CPU152と、ROM160(記憶手段)と、RAM(RWM)170と、入出力回路153とを備えている。枠制御用マイコン151のCPU152は、遊技者による持ち球その他の遊技球数の管理、遊技状況に関する情報(例えば、始動入賞の回数、特図変動表示の実行回数、現在の遊技状態等)の管理、パチンコ遊技機1の性能に関する性能値の算出や表示、発射モータ91や球送りソレノイド36b、揚送モータ34cの駆動、貸出ユニット76(貸出基板77)との間での情報の送受信(信号の入出力)等を実行する。また入出力回路153を介して、扉開放センサ18c、実射センサ37、ファール球センサ38a、回収センサ33等からの検出信号を入力する。また、枠制御用マイコン151には、サブ制御基板100に実装されている後述するRTC(リアルタイムクロック)124からの時刻情報が入力されるようになっている。
【0076】
この枠制御基板150には、発射制御回路75を介して、発射機構90が電気的に接続されている。枠制御基板150は、発射機構90の駆動制御を制限または停止すべき事由(発射阻止事由)が生じていない場合(発射可能状態の時)、発射制御回路75に発射許可信号を出力する。また、発射阻止事由が生じている場合には、その発射阻止事由に応じて、発射許可信号を停止して空打ち信号を出力するか、または、発射許可信号及び空打ち信号の両方を停止する(後述する)。
この発射制御回路75と電気的に接続されている発射機構90は、球送り部36(内部通路R4)の遊技球を1個ずつ打球位置に送るための球送り部材36cを駆動する球送りソレノイド36bと、打球位置29aにある遊技球を打撃して発射する発射槌90aを駆動する発射モータ91と、遊技者がハンドル4に触れたことを示す信号を出力するタッチスイッチ92と、発射レバー4aの回転に伴う変位量に応じて発射槌90aが遊技球を打撃する強度を調節する発射ボリューム93とを備えている。発射制御回路75は、発射許可信号と、遊技者のハンドル4への接触を示すタッチスイッチ92からの信号とを入力する状態で、発射ボリューム93の変位量に応じた打撃強度で発射槌90aを駆動するように発射モータ91を制御すると共に、球送りソレノイド36bの駆動により打球位置に1個ずつ遊技球を供給して、定期的に(例えば600ms間隔で)遊技球を発射させる。一方で、発射制御回路75は、発射許可信号を入力していない状態(後述する遊技不能状態)では発射モータ91および球送りソレノイド36bの駆動を停止する。
【0077】
この他、枠制御基板150には、前面枠18の開放状態を検出する扉開放センサ18c、計数ボタン18dの操作を検出する計数センサ18e、前述した持ち球数や差玉数(特定差玉数)を表示する遊技球数表示器26、球循環機構30を構成する電気部品(揚送モータ34c、回収センサ33、実射センサ37、ファール球センサ38a)等が電気的に接続されていると共に、接続端子盤80を介して貸出ユニット76の貸出基板77が電気的に接続されている。
【0078】
枠制御用マイコン151のROM160には、CPU152が実行するコンピュータプログラムや、具体的な演出内容を決定するための各種の判定テーブル等が記憶されている。RAM170は、CPU152がコンピュータプログラムを実行するときのワークメモリ等として使用される。
【0079】
また、RAM170には、遊技球数の分類毎の計数値(「抽出値」)や、その抽出値から算出された各種の「性能値」が記憶されている。以下、抽出値や性能値を記憶する記憶領域を「球数情報記憶部171」と称する。
この球数情報記憶部171は、
図6(a)に示すように、持ち球数記憶エリア172(持ち球数記憶手段)と、獲得球数記憶エリア174(獲得球数記憶手段)と、消費球数記憶エリア173(消費球数記憶手段)と、差玉数記憶エリア175(差玉数記憶手段)と、出玉率記憶エリア176(出玉率記憶手段)と、ベース値記憶エリア177(ベース値記憶手段)と、主制御ベース値記憶エリア178(主制御ベース値記憶手段)と、役物比率記憶エリア179(役物比率記憶手段)と、連続役物比率記憶エリア180(連続役物比率記憶手段)と、分間獲得球数記憶エリア181(分間獲得球数記憶手段)と、を有している。なお、獲得球数記憶エリア174や消費球数記憶エリア173のことを「抽出値記憶手段」と称し、抽出値から算出される性能値を記憶する各種の記憶エリアのことを「性能値記憶手段」と称することがある。
ここで、持ち球数記憶エリア172に記憶される持ち球数は、貸出ユニット76での貸球の発生毎にその球数を加算し、発射球の発生毎にその球数を減算し、賞球付与の発生毎にその球数を加算した値であり、計数ボタン18dの操作に応じて貸出ユニット76側(貸出基板77のRAM)に移動させることが可能である(この場合は移動分の球数が減算される)。
また、獲得球数記憶エリア174に記憶される獲得球数(抽出値)は、パチンコ遊技機1における稼働開始から稼働終了までの間に行われる遊技で獲得された球数(賞球)の総数(総獲得球数)や、遊技状態毎の獲得球数であり、賞球付与の発生に応じてその球数が記憶値に加算される。
また、消費球数記憶エリア173に記憶される消費球数(抽出値)は、パチンコ遊技機1における稼働開始から稼働終了までの間に行われる遊技で消費された球数(発射球=実射センサ37による検出数、但しファール球となった球数は除く)の総数(総消費球数)や、遊技状態毎の消費球数であり、遊技球の発射に応じてその球数が記憶値に加算される。
差玉数記憶エリア175に記憶される差玉数(性能値)は、パチンコ遊技機1における稼働開始から稼働終了までの間に行われる遊技による獲得球数(セーフ)の総数および消費球数(アウト)の総数の関係で、「獲得球数-消費球数」の計算式により算出される球数である。この差玉数記憶エリア175には、差玉数として、現在の差玉数である現在差玉数の他に、最高差玉数、最低差玉数、特定差玉数、最大差玉数が記憶される。
【0080】
図6(b)の曲線グラフは、遊技中の差玉数(現在差玉数)の変化(増減)の一例を表している。ここで、初期値(すなわち0個)を基準とした上昇方向(Y1方向)への最大変動値として算出される差玉数のことを「最高差玉数」と称し、初期値(すなわち0個)を基準とした下降方向(Y2方向)への最大変動値として算出される差玉数のことを「最低差玉数」と称する。また、現在差玉数及び最低差玉数の間の差分として算出される差玉数のことを「特定差玉数」と称し、最高差玉数及び最低差玉数の間の差分(差玉数の高低差の最大値)として算出される差玉数のことを「最大差玉数」と称する。これらの差玉数(現在差玉数、最高差玉数、最低差玉数、特定差玉数、最大差玉数)の記憶値は、前述した持ち球数と異なり、遊技者が遊技を終える際(計数ボタン18dが操作された際)にはクリアされず、遊技店員による差玉クリアボタン185の操作に基づいてリセットされる。
本実施形態のパチンコ遊技機1は、獲得球数の増加により特定差玉数が(最大差玉数として)予め定めた「基準数」(95000個)に達した場合(獲得球数>消費球数が前提)に、遊技者が遊技を行うことが不可能な遊技不能状態(その日の遊技を終了した状態)に移行する(遊技停止処理を実行する)ように構成されている。このように、遊技店の営業日毎(稼働毎)にカウントされる特定差玉数(最大差玉数)に応じてパチンコ遊技機1で行われるその日の遊技が終了されることから、前述した差玉数に関する遊技球数の各記憶値を遊技店員がリセットする場合、その操作(状態復帰操作)は通常、営業時間(パチンコ遊技機1の稼働時間)の終了後に行うことと定められている。
【0081】
出玉率記憶エリア176に記憶される出玉率(性能値)は、前述した獲得球数及び消費球数の関係に基づき、「獲得球数÷消費球数×100」の計算式で算出される値である。
また、ベース値記憶エリア177に記憶されるベース値(性能値)は、非時短遊技状態(通常遊技状態)中における出玉率のことであり、「非時短遊技状態中の獲得球数÷非時短遊技状態中の消費球数×100」の計算式で算出される値である。
また、主制御ベース値記憶エリア178に記憶されるベース値(性能値)は、遊技制御用マイコン61が算出したベース値(遊技制御用マイコン61における前述したベース値記憶部64dに記憶された値であり、かつ遊技制御用マイコン61が送信したベース値コマンドが示す値)である。
また、役物比率記憶エリア179に記憶される役物比率(性能値)は、前述した獲得球数のうちで、可変入球口(第1大入賞口14a、第2大入賞口15a、第2始動口12a)の開放(すなわち、普通作動部材12b、第1特別作動部材14b、第2特別作動部材15bの作動)中(以下「役物作動中」と表現する)に獲得された球数(賞球)の割合のことであり、「役物作動中の獲得球数÷全ての状態での獲得球数×100」の計算式で算出される値である。
また、連続役物比率記憶エリア180に記憶される連続役物比率(性能値)は、前述した獲得球数のうちで、大当たり遊技状態における大入賞口(第1大入賞口14a)の開放(すなわち、第1特別作動部材14bの作動)中(以下「連続役物作動中」と表現する)に獲得された球数(賞球)の割合のことであり、「連続役物作動中の獲得球数÷全ての状態での獲得球数×100」の計算式で算出される値である。
また、分間獲得球数記憶エリア181に記憶される分間獲得球数(球数、性能値)は、役物非作動中(非時短遊技状態中)において遊技球を1分間(60個)継続的に発射する間に獲得可能な球数(賞球)の期待値のことであり、「ベース値÷100×60」の計算式で算出される値である。なお、分間獲得球数の算出に用いられるベース値としては、前述した主制御ベース値記憶エリア178に記憶されるベース値(性能値)が使用される。
【0082】
更に、本実施形態の枠制御基板150上には、RAMクリアスイッチ182、性能表示モニタ183、計数クリアボタン184、差玉クリアボタン185、球抜きボタン186等が配置されている。
【0083】
RAMクリアスイッチ182は、枠制御用マイコン151のRAM170に記憶されている情報や、遊技制御用マイコン61のRAM64に記憶されている情報の初期化(RAMクリア)を行うための操作手段である。パチンコ遊技機1は、RAMクリアスイッチ182が押下された状態で起動(電源スイッチ72をON)すると、枠制御用マイコン151(CPU152)及び遊技制御用マイコン61(CPU62)に対してRAMクリア信号を出力し、RAM170及びRAM64を初期化させる。
【0084】
性能表示モニタ183(報知手段)は、横方向に並んだ6個の7セグメントにより構成されている。図示省略するが、6個の各7セグメントは、「0」~「9」までの数字と、「A」~「Z」までの各アルファベットとを表示することができる。枠制御用マイコン151はこの性能表示モニタ183を利用して、常にはベース値を表示するように制御を行う。また、枠制御用マイコン151は、パチンコ遊技機1において枠制御基板150に関する複数種類の異常状態(エラー)の何れかが生じた場合、その異常状態の種類を表示する。具体的には、
図7に示す異常状態(RAMクリア、扉開放、計数クリア、主枠不一致、揚送異常、貸出ユニット未接続)等の何れかが生じた場合に、その生じた異常状態の種類を示す表示が実行される。
「RAMクリア」は、枠制御用マイコン151のRAM170の記憶情報(性能値や持ち球数等は除く)をクリアする処理が実行されている状態である。「扉開放」は、前面枠18の開放を検出する扉開放センサ18cがON(開放検出状態)となって300msが経過した時点から再びOFFとなって100msが経過した時点までの状態である。「計数クリア」は、持ち球をパチンコ遊技機1から貸出ユニット76側(貸出基板77のRAM)に移動させるための計数ボタン18dの操作が行われた状態である。「主枠不一致」は、パチンコ遊技機1に設けられている主制御基板60と、枠制御基板150上の枠制御用マイコン151とを、同じパチンコ遊技機1において組み合わせて使用することが、不適切である、と判定された状態である。「揚送異常」は、球循環機構30の揚送軸34a(揚送モータ34c)の回転不良が検出された状態である。「貸出ユニット未接続」は、貸出ユニット76の貸出基板77から枠制御基板150(枠制御用マイコン151)に対して出力される接続信号(接続状態を示す信号)が100ms以上の時間にわたってOFFのままとなっている状態である。
【0085】
なお、右側4個の7セグメントを用いてベース値が表示されるのに対し、異常状態の種類は左側2個の7セグメントを用いて表示されるので、ベース値と異常状態の種類とを同時に表示可能である。但し、複数の異常状態が生じている状況では、予め定められた優先順位において上位の異常状態についての表示が行われる。
本実施形態では、性能表示モニタ183に表示されるベース値を、遊技制御用マイコン61の制御により算出される値(ベース値コマンドとして枠制御用マイコン151に通知される)としている。これに対し、枠制御用マイコン151が算出したベース値を表示するようにしてもよい。
【0086】
計数クリアボタン184は、枠制御基板150上に操作可能に設けられている。パチンコ遊技機1は、計数クリアボタン184が押下された状態で起動(電源スイッチ72をON)すると、枠制御用マイコン151(CPU152)に対して計数クリア信号を出力し、RAM170の持ち球数記憶エリア172に記憶される持ち球数をクリアして初期値「0」に戻すようにする。
なお、この計数クリアボタン184または別の操作手段の操作に応じて、球数情報記憶部171における持ち球数記憶エリア172以外の記憶エリアの何れかに記憶されている記憶値もクリアできるようにしてもよい。
【0087】
差玉クリアボタン185は、枠制御基板150上に操作可能に設けられている。パチンコ遊技機1は、差玉クリアボタン185が押下された状態で起動(電源スイッチ72をON)すると、枠制御用マイコン151(CPU152)に対して差玉クリア信号を出力し、RAM170の差玉数記憶エリア175に記憶される各種の差玉数をクリアして初期値「0」に戻すようにする。なお、前述した計数クリアボタン184と同じ操作手段としてもよい。
【0088】
球抜きボタン186は、枠制御基板150上に操作可能に設けられている。枠制御用マイコン151は、球抜きボタン186が対応の操作有効期間中に操作された場合に、球循環機構30の駆動制御モードを通常モードから球抜きモードに移行させる。この球抜きモードでは、球循環機構30の揚送モータ34cが逆回転を行うことで、揚送軸34aが循環球を排球口34dへと移動させて循環球受け皿39へと排出(球抜き)する。
【0089】
なお、枠制御基板150は、サブ制御基板100への情報出力を、主制御基板60を経由して実行可能に構成されている。例えば、枠制御基板150は、遊技球数に関する情報(持ち球数や差玉数)や、球循環機構30の異常状態に関する情報等をサブ制御基板100に出力可能である。この他、枠制御基板150とサブ制御基板100とを直接的に配線接続し、枠制御基板150からサブ制御基板100に直接情報を出力してもよい。
【0090】
(電源基板70)
また、パチンコ遊技機1は、電源基板70を備えている。電源基板70は、主制御基板60及び枠制御基板150等の各制御基板に電力を供給する。また、電源基板70は、枠制御基板150に電気的に接続された各装置に対して、枠制御基板150を介して電力を供給する。また、電源基板70は、中継基板74に電気的に接続された各センサ及びソレノイドに対して、主制御基板60から中継基板74を介して電力を供給する。また、電源基板70は、主制御基板60に電気的に接続された表示器類50に対して、主制御基板60を介して電力を供給する。
【0091】
電源基板70には、電源基板70へ電力を供給する主電源をオンオフするための電源スイッチ72が設けられている。また、電源基板70には、バックアップ電源回路71が設けられている。バックアップ電源回路71は、パチンコ遊技機1に対して外部から電力が供給されていない場合に、外部から供給される電源電圧が規定電圧よりも低下すると、電源断検出信号を枠制御基板150(枠制御用マイコン151)及び主制御基板60(遊技制御用マイコン61)に出力する。そして、枠制御基板150(枠制御用マイコン151)のRAM170、主制御基板60(遊技制御用マイコン61)のRAM64に対し、情報の保持に必要な電力を供給する。この他、バックアップ電源回路71は、サブ制御基板100上の後述するRTC124等にも電力を供給する。
【0092】
図5Bに示すように、サブ制御基板100には、演出制御用ワンチップマイコン(以下、演出制御用マイコンという)101が実装されている。演出制御用マイコン101は、CPU102と、ROM110と、RAM(RWM)120と、入出力回路103とを備えている。CPU102は、遊技に伴って演出を制御する。ROM110には、CPU102が演出を制御するためのコンピュータプログラムの他、各種のテーブルが記憶されている。RAM120は、CPU102がコンピュータプログラムを実行するときのワークメモリとして使用される。
【0093】
サブ制御基板100は、主制御基板60によって(主制御基板60を介して)送信される各種コマンドを受信する。なお、主制御基板60は、コマンドをサブ制御基板100へ送信することはできるが、サブ制御基板100は、主制御基板60へコマンドを送信することができない。つまり、主制御基板60とサブ制御基板100との通信は、主制御基板60からサブ制御基板100へ送信することのみが可能な単方向通信となっている。
【0094】
RAM120には、第1特図保留演出記憶部121と、第2特図保留演出記憶部122と、当該変動用演出記憶部123とが設けられている。
第1特図保留演出記憶部121は、第1乃至第4記憶領域から成る4つの記憶領域を有し、各記憶領域は、主制御基板60から出力(送信)される第1始動入賞コマンドが示す始動入賞情報(乱数値等)を記憶する。第1始動入賞コマンドは、遊技球が第1始動口10aに入球したことを契機として、遊技制御用マイコン61が取得した始動入賞情報(大当たり乱数、大当たり種別乱数、変動パターン乱数及びリーチ乱数等の値)を含むコマンドである。
一方、第2特図保留演出記憶部122は、第1乃至第2記憶領域から成る2つの記憶領域を有し、各記憶領域は、主制御基板60から出力(送信)される第2始動入賞コマンドが示す始動入賞情報(乱数値等)を記憶する。第2始動入賞コマンドは、遊技球が第2始動口12aに入球したことを契機として、遊技制御用マイコン61が取得した始動入賞情報(大当たり乱数、大当たり種別乱数、小当たり種別乱数、変動パターン乱数及びリーチ乱数等の値)を含むコマンドである。
当該変動用演出記憶部123は、変動演出パターンの当該変動に用いる第1始動入賞コマンドまたは第2始動入賞コマンドが示す始動入賞情報(乱数値等)を記憶する。入出力回路103は、サブ制御基板100に接続された各基板等との間でデータの送信または受信を行う。
【0095】
また、サブ制御基板100には、リアルタイムクロック(RTC)124が実装されている。RTC124は、現在(現時点)の日時(日付及び時刻)を計測するものである。RTC124は、例えば、外部の電源装置からパチンコ遊技機1へ電力が供給されているときにはその電力によって動作し、外部の電源装置から電力が供給されていないときには、電源基板70が備えるバックアップ電源回路71から供給される電力によって動作する。このため、RTC124は、パチンコ遊技機1の電源が投入されていないときや、RAM120の記憶内容がクリアされたときでも、現在の日時を計測することが可能である。なお、RTC124へ電力を供給するバックアップ電源回路をサブ制御基板100に設けてもよい。パチンコ遊技機1では、RTC124による計時の結果に基づいて特別な演出を実行することが可能となっている。
【0096】
サブ制御基板100には、画像制御基板200が電気的に接続されている。画像制御基板200には、VDP201(Video DiSplay ProceSSor)と、画像制御用CPU202と、制御用ROM203と、制御用RAM204と、CGROM(Character Generator Read Only Memory)205と、VRAM(Video Random AcceSS Memory)206とが実装されている。画像制御用CPU202は、変動演出パターン、ボタン演出画像、及び予告画像等の演出画像を表示するよう演出表示装置7を制御する。制御用ROM203には、画像制御用CPU202が演出表示装置7を制御するためのコンピュータプログラムが記憶されている。制御用RAM204は、画像制御用CPU202がコンピュータプログラムを実行するときのワークメモリとして使用される。CGROM205には、演出表示装置7が演出画像を表示するための画像データが記憶されている。VDP201は、画像制御用CPU202によって作成されるディスプレイリストに従って、CGROM205から画像データを読み出し、その読み出した画像データをVRAM206内の展開領域に展開する。そして、VDP201は、VRAM206内に展開した画像データを合成し、その合成した画像データをVRAM206内のフレームバッファに記憶する。そして、VDP201は、VRAM206内のフレームバッファに記憶した画像データをRGB信号に変換して演出表示装置7に出力する。これにより、演出表示装置7は演出画像を表示する。
【0097】
演出表示装置7は、演出画像、メッセージ画像、デモンストレーション画像等の動画像及び静止画像を表示する。遊技者は、パチンコ遊技機1の前方からそれらの画像を見ながら遊技を行う。演出表示装置7は、演出画像として、演出(装飾)図柄を特別図柄の変動表示と同期させて変動表示する。演出図柄は、算用数字(例えば、1~10)を表した図柄である。なお、演出図柄には、アルファベットや特別なキャラクタ等、数字以外を表した図柄を含めてもよいし、数字以外を表した図柄と組み合わせてもよい。演出表示装置7(
図2)が演出図柄を変動表示する領域として、左から順に、左演出図柄表示領域、中演出図柄表示領域、右演出図柄表示領域が設定されている。左演出図柄表示領域では左演出図柄7Lが、中演出図柄表示領域では中演出図柄7Cが、右演出図柄表示領域では右演出図柄7Rがそれぞれ変動表示される。以下、左演出図柄表示領域、中演出図柄表示領域及び右演出図柄表示領域に共通の事項を説明する場合は、単に演出図柄表示領域という。
【0098】
各演出図柄の変動態様としては例えば、演出図柄が表す数字が昇順となるように画面の上から下に移動する態様、つまり、縦方向にスクロールする態様がある。なお、他の変動態様として、演出図柄が画面の左右の一方から他方へ移動する横スクロール方式、演出図柄が同じ表示位置にて数字の昇順に順番に表示される切替方式等を用いることもできる。また、演出表示装置7は、演出画像として各演出図柄の背景に背景画像を表示する。例えば、背景画像は、テレビドラマや映画等の動画像、その動画像をアニメ化した動画像、アニメーション、パチンコ遊技機メーカーオリジナルの動画像等である。演出表示装置7は、液晶表示装置である。なお、演出表示装置7として、有機EL表示装置、ドットマトリクスLEDを使った表示装置等を用いることもできる。
【0099】
演出表示装置7は、前述した特別図柄表示器51,52での特別図柄の変動表示と同期させて各演出図柄を変動表示し、特別図柄が確定表示されると同時に各演出図柄を確定表示し、特図当たり判定の結果を演出的に表示する。ここで、左演出図柄7L、中演出図柄7C及び右演出図柄7Rは、同じ演出図柄が上下や左右に揺れながら停止位置に存在する表示状態(仮停止表示)となった後に、完全に停止した表示状態(確定表示)となってその変動表示が終了する。なお、全ての演出図柄7L,7C,7Rが同時に確定表示される。
【0100】
以下、特図当たり判定(大当たり判定)の結果が大当たりであったことを表す組み合わせの演出図柄を「大当たり演出図柄」といい、特図当たり判定(小当たり判定)の結果が小当たりであったことを表す組み合わせの演出図柄を「小当たり演出図柄」といい、特図当たり判定の結果がハズレ(小当たり以外)であったことを表す組み合わせの演出図柄を「ハズレ演出図柄」という。本実施形態において、大当たり演出図柄や小当たり演出図柄は、各演出図柄が同じ数字を表す演出図柄で揃った状態、いわゆる、ぞろ目の状態である。例えば、
図1に示すように、確定表示された左演出図柄7L、中演出図柄7C及び右演出図柄7Rがそれぞれ「7」で揃った状態である。また、ハズレ演出図柄は、大当たり演出図柄・小当たり演出図柄以外の演出図柄の組み合わせである。以下、演出表示装置7が特別図柄表示器での特別図柄の変動表示(特図変動)と同期させて行う演出図柄の変動表示を「変動演出」という。また、変動演出中、左演出図柄7L及び右演出図柄7Rが互いに同じ数字を表す演出図柄で揃って仮停止表示しており、残りの中演出図柄7Cが仮停止表示前である状態(大当たり演出図柄または小当たり演出図柄となる期待度が高められる状態)を「リーチ(リーチ状態)」という。この他、変動演出での演出図柄の背後に表示される画像を「背景画像」という。なお、変動演出以外の演出や報知等についても、演出表示装置7に表示する主たる表示画像に対してその背後に表示する画像のことを「背景画像」ということがある。背景画像は、静止画像または動画像である。
【0101】
演出図柄の変動演出は、特図の変動表示と同期して行われ、特別図柄表示器の作動保留が発生した場合は、演出表示装置7の作動も保留される。つまり、特別図柄表示器の作動保留数と、演出表示装置7の作動保留数とは一致する。なお、特図保留数に対応する演出表示装置7の作動保留数は、
図1に示すように、保留画像によって演出表示装置7の予め定められた表示領域(以下「演出保留表示領域7Ba,7Bb」という)に表示される。従って、遊技者は、演出表示装置7(演出保留表示領域7Ba,7Bb)に表示される保留画像の数を数えることにより、特別図柄の変動表示の作動保留数(第1特図保留数や第2特図保留数)を知ることができる。本実施形態では、遊技状態毎に、入球が生じ易い側の始動口(第1始動口10aまたは第2始動口12a)に対応する一方の特別図柄(第1特図または第2特図)の作動保留数を、左側のメイン演出保留表示領域7Baで表示し、他方の特別図柄の作動保留数を、右側のサブ演出保留表示領域7Bbで表示する。また、演出表示装置7の画面において、演出保留表示領域7Ba,7Bbの左側に、実行中の変動演出の存在を示すための当該変動用表示領域7Bcが設けられている。なお、演出保留表示領域7Ba,7Bbや当該変動用表示領域7Bcは、演出表示装置7の画面に設けられる必要はなく、別の表示装置の画面上に設けるようにしてもよいし、LED等を用いたランプ(発光手段)により構成するようにしてもよい。
【0102】
この他、パチンコ遊技機1では、変動演出の結果(演出図柄の停止表示)による特図当たり判定の結果の報知に加えて、その変動演出の結果を示唆したりその結果表示までの過程を盛り上げたりする演出等を行う。このような演出は、演出表示装置7に表示される画像、スピーカ8から出力される音、遊技盤2や前面枠18のランプ(盤ランプ2a、左サイドランプ23a、右サイドランプ23b、トップランプ23c)の点灯等を複合的に用いて行われる。すなわち、パチンコ遊技機1に設けられる演出表示装置7、スピーカ8、ランプ2a,23a,23b,23cは、演出を実行する演出実行手段として機能する。
なお、演出表示装置7、スピーカ8、ランプ2a,23a,23b,23cは、パチンコ遊技機1に生じた異常状態を報知するための異常報知手段としても機能する。
【0103】
サブ制御基板100には、ランプ制御基板79を介して盤ランプ2a、演出ボタンランプ5c、左サイドランプ23a、右サイドランプ23b、トップランプ23cおよび可動体モータ23dが電気的に接続されている。演出制御用マイコン101は、ROM110に記憶されているデータを用いて各ランプの発光態様を決める発光パターンデータを作成し、その発光パターンデータをランプ制御基板79に送信する。そして、ランプ制御基板79は、受信した発光パターンデータに従って各ランプの発光制御を行う。また、演出制御用マイコン101は、ROM110に記憶されているデータを用いて、トップランプ23c内の回転リフレクタの動作態様を決める回転動作パターンデータを作成し、その回転動作パターンデータをランプ制御基板79に送信する。そして、ランプ制御基板79は、受信した回転動作パターンデータに従って可動体モータ23dの駆動制御を行う。
【0104】
サブ制御基板100には、音声制御基板78を介して各スピーカ8が電気的に接続されている。音声制御基板78には、音声制御用CPU(図示せず)と、音声データROM(図示せず)と、音声合成回路(図示せず)と、アンプ(図示せず)とが搭載されている。音声データROMには、各スピーカ8が音楽や効果音等の音を出力するための音声データが記憶されている。音声制御用CPUは、サブ制御基板100から受信したコマンドに基づいて音声データROMから音声データを読み出し、その読み出した音声データを音声合成回路に出力する。音声合成回路は、入力した音声データを合成するとともに、その合成した合成音声データをアナログの音声信号に変換してアンプに出力する。アンプは、入力した音声信号を増幅して各スピーカ8に出力する。そして、各スピーカ8は、入力した音声信号により示される音を出力する。
【0105】
また、サブ制御基板100には、演出ボタン検出スイッチ5aと、演出レバー押込検出スイッチ6aと、演出レバー回転検出スイッチ6bと、演出ボタン振動モータ5bと、演出レバー振動モータ6cとが電気的に接続されている。
【0106】
演出ボタン検出スイッチ5aは、演出ボタン5が押下操作されたことを示す信号をサブ制御基板100に出力する。また、演出レバー押込検出スイッチ6aは、演出レバー6が押込操作されたことを示す信号をサブ制御基板100に出力する。更に、演出レバー回転検出スイッチ6bは、演出レバー6が回転操作されたことを示す信号をサブ制御基板100に出力する。これに対し、演出制御用マイコン101は、演出の一種であるボタン演出の期間中、演出ボタン検出スイッチ5aから入力した信号に基づいて、ボタン演出の演出内容に変化を付与する。また、演出制御用マイコン101は、演出の一種であるレバー演出(遊技者に押込操作や回転操作を促すレバー演出)の期間中、演出レバー押込検出スイッチ6aや演出レバー回転検出スイッチ6bから入力した信号に基づいて、レバー演出の演出内容に変化を付与する。
【0107】
演出ボタン振動モータ5bは、演出ボタン5を振動させる部材であり、演出ボタン5の内部に収容されている。演出レバー振動モータ6cは、演出レバー6を振動させる部材であり、演出レバー6と接する部位または演出レバー6の内部に設けられている。ROM110には、演出ボタン振動モータ5bの動作パターンを決める動作パターンデータと、演出レバー振動モータ6cの動作パターンを決める動作パターンデータとが記憶されている。演出制御用マイコン101は、演出ボタン5を振動させる演出タイミングになったときに、ROM110から動作パターンデータを読み出し、その読み出した動作パターンデータに基づいて演出ボタン振動モータ5bを駆動制御する。また、演出制御用マイコン101は、演出レバー6を振動させる演出タイミングになったときに、ROM110から動作パターンデータを読み出し、その読出した動作パターンデータに基づいて演出レバー振動モータ6cを駆動制御する。
【0108】
[遊技状態の説明]
次に、パチンコ遊技機1の遊技状態について説明する。
【0109】
(大当たり遊技状態、小当たり状態)
本実施形態のパチンコ遊技機1は、いわゆる1種2種混合機と呼ばれる機種である。このパチンコ遊技機1では、始動口への入球を契機とする特図当たり判定において大当りに当選した場合に大当たり遊技状態(以下「1種大当たり状態」ということがある)を生じさせる。また、始動口への入球を契機とする特図当たり判定において、小当たり判定が当たりの結果となった場合(小当たりに当選した場合)には、大入賞口を開放する小当たり状態を生じさせ、この小当たり状態中に大入賞口に入球した遊技球が特定領域に入球した場合に限り、大当たり遊技状態(以下「2種大当たり状態」ということがある)へと発展させる。なお、2種大当たり状態は、前述の如く小当たり状態から発展するものであるので、小当たり状態を1ラウンドとみなし、特定領域への入球後に生じる開放(V当たり状態)については2ラウンド以降のラウンドとして計数する。すなわち、小当たり状態とその後のV当たり状態とによって2種大当たり状態が構成される。これに対し、V当たり状態のみを大当り遊技状態と捉えることも可能である。
【0110】
但し、本実施形態では、小当たり状態として、遊技球が特定領域を通過可能な小当たり状態(以下「有利小当たり状態」と称する)と、遊技球が特定領域を通過不可能な小当たり状態(以下「不利小当たり状態」と称する)とが設けられている。なお、本実施形態において、第2大入賞口15aに入球した遊技球は必ず特定領域を通過するようになっている。そして、有利小当たり状態は、第2大入賞口15aを開放する状態、不利小当たり状態は、特定領域を有しない第1大入賞口14aを開放する状態、となっている。これに対し、第2大入賞口15aに入球した遊技球を特定領域及び非特定領域に振り分ける振分手段を設けて、この振分手段の動作タイミングの違いによって有利小当たり状態及び不利小当たり状態を生じさせるようにしてもよい。この場合、小当たり状態では必ず第2大入賞口15aが開放する(第1大入賞口14aは開放しない)ことになる。
【0111】
大当たり遊技状態は、オープニング期間、複数回のラウンド(遊技球の入球を狙うことのできる期間)が生じる連続作動期間、エンディング期間の順に状態が変化する。ラウンド中は、第2特電ソレノイド15dを駆動することにより第2特別作動部材15bを作動させて、第2大入賞口15aを開放する。ここで、2種大当たり状態の1ラウンド(小当たり状態)を除いた大当たり遊技状態の各ラウンドは、第2大入賞口15aに入球した遊技球の個数が予め定めた上限個数(例えば10球)に達するか、所定の開放時間(例えば30000ms)が経過するかの何れか早い方のラウンド終了条件が成立することに応じて終了する。一方で2種大当たり状態の1ラウンド(有利小当たり状態)は、それ以外のラウンドよりも短い開放時間(例えば1800ms)だけ第2大入賞口15aが開放するか、第2大入賞口15aに入球した遊技球の個数が予め定めた上限個数(10球以下の所定個数)に達するかの何れか早い方のラウンド終了条件(基本的には開放時間の経過)が成立することに応じて終了する。なお、ラウンドとラウンドの間にインターバル時間(ラウンドインターバル)が設定されており、少なくともこのインターバル時間には第1大入賞口14a及び第2大入賞口15aが閉鎖状態を維持するように設定(第1特電ソレノイド14d及び第2特電ソレノイド15dが非作動に制御)される。
【0112】
(時短遊技状態、非時短遊技状態)
以下、一般的な時短遊技状態の各機能(特別図柄の変動時間短縮機能、普通図柄の変動短縮機能、第2始動口12aの開放時間延長機能、第2始動口12aの開放回数増加機能)について説明する。
なお、本実施形態のパチンコ遊技機1は、以下に説明する機能のうち、特別図柄の変動時間短縮機能と、普通図柄の変動時間短縮機能と、第2始動口12aの開放時間延長機能とを有し、これらの機能を作動させることによって時短遊技状態を生起させる。
【0113】
普通図柄表示器53での表示(普通図柄)の確率変動機能が作動する遊技状態を時短遊技状態とし、当該機能が作動しない遊技状態を非時短遊技状態とすることができる。この普通図柄の確率変動機能が作動すると、作動していないときに比して普図当たり判定の当たり確率が向上する。その結果、普通図柄の確率変動機能が作動する状態では、普通作動部材12bが作動して第2始動口12aが開放する頻度を高めることが可能である。
但し、本実施形態のパチンコ遊技機1(遊技制御用マイコン61)は、普通図柄の確率変動機能を有しない。これに対し、当該機能を有することとしてもよい。
また、本実施形態のパチンコ遊技機1は、第1特別図柄表示器51及び第2特別図柄表示器52での各表示(特別図柄)についての確率変動機能(特図当たり判定の当たり確率を向上させる機能)も備わっておらず、通常(低確率状態)よりも大当たり確率が高い遊技状態(所謂「確変遊技状態」)は存在しない。これに対し、特別図柄の確率変動機能を作動させる確変遊技状態を生起可能としてもよい。なおこの場合、確変遊技状態は時短遊技状態と同時に生起させてもよい。
【0114】
特別図柄の変動時間短縮機能が作動する遊技状態を時短遊技状態とし、当該機能が作動しない遊技状態を非時短遊技状態とすることができる。特別図柄の変動時間短縮機能が作動すると、作動していないときに比して特別図柄の変動時間として短い変動時間が選択され易くなる。その結果、特別図柄の変動時間短縮機能が作動する状態では、例えば特図変動表示の結果が導出される頻度を高めることができ、大当たり遊技状態等が生起するまでの遊技時間を短縮することが可能である。また、特図保留の消化ペースが早いことで始動口への有効な入球(特図保留)が発生し易くなるため、スムーズな遊技進行を実現可能である。
また、普通図柄の変動時間短縮機能が作動する遊技状態を時短遊技状態とし、当該機能が作動しない遊技状態を非時短遊技状態とすることができる。普通図柄の変動時間短縮機能が作動すると、作動していないときに比して、普通図柄の変動時間が短くなる。本実施形態のパチンコ遊技機1は当該機能を有しており、普通図柄の変動時間は、変動時間短縮機能が作動していない状態では30000ms、変動時間短縮機能が作動している状態では100msとなるように設定されている。これに対し、普通図柄の変動時間短縮機能を有しないようにしてもよい。
更に、第2始動口12aについての開放時間延長機能及び開放回数増加機能の少なくとも何れかが作動する遊技状態を時短遊技状態とし、当該機能が作動しない遊技状態を非時短遊技状態とすることができる。普通図柄が予め定めた普通図柄で確定表示された場合に、現在の遊技状態に応じた作動パターンにて第2始動口12aを開閉させる補助遊技が行われる。この補助遊技における第2始動口12aの開放時間が、開放時間延長機能によって非時短遊技状態の場合よりも長くなる。また、この補助遊技における第2始動口12aの開放回数が、開放回数増加機能によって非時短遊技状態の場合よりも多くなる。従って、開放時間延長機能や開放回数増加機能が作動する状況下では、第2始動口12aへの遊技球の入球頻度が高められる。その結果、発射球数に対する賞球数の割合が高くなるため、遊技者は、手持ちの遊技球を大きく減らすことなく大当たり(又は小当たり)を狙うことができる。
【0115】
このように、特別図柄や普通図柄についての変動時間短縮機能と、第2始動口12aについての開放時間延長機能及び開放回数増加機能とは、第2始動口12aへの遊技球の入球頻度を高めるためのサポート機能である。これらのうち特に、普通作動部材12bの動作(普電ソレノイド12dの駆動)に関する開放時間延長機能及び開放回数増加機能について、その少なくとも1つの機能を作動させる制御のことを、「電サポ制御」ということがある。
【0116】
本実施形態のパチンコ遊技機1は、上記機能のうち、特別図柄の変動時間短縮機能と、普通図柄の変動時間短縮機能と、第2始動口12aの開放時間延長機能とを作動可能であり、遊技状態として、これら3つの機能が共に作動しない非時短遊技状態と、これら3つの機能が共に作動する時短遊技状態とを生起させ得るようになっている。但し、時短遊技状態は、少なくとも1つの機能を作動させる状態であればよく、例えば、上記3つの機能に加えてまたは少なくとも1つの機能に替えて、普通図柄の確率変動機能を作動する遊技状態としてもよい。
【0117】
なお、本実施形態における「時短遊技状態」は、(開放時間延長機能による)電サポ制御がなされる状態であり、発射球数に対する賞球数の割合が高くなるため、「高ベース状態(有利遊技状態)」と言い換えることができる。一方で「非時短遊技状態」は、前述した高ベース状態に対して「低ベース状態(通常遊技状態)」と言い換えることができる。
【0118】
パチンコ遊技機1における時短遊技状態の付与条件としては例えば、予め定められた大当たり図柄(特別図柄)を決定したことに基づく大当たり遊技状態(1種大当たり状態)が終了すること、予め定められた小当たり図柄(特別図柄)を決定した場合の小当たり状態で遊技球が特定領域を通過したことに基づく大当たり遊技状態(2種大当たり状態)が終了すること、予め定められた時短図柄(特別図柄)を決定した際の特図当たり判定の結果に基づく特図変動表示が終了すること、等を設定することができる。
また、パチンコ遊技機1における時短遊技状態の終了条件としては例えば、予め定められた回数の特図変動表示が実行されること、予め定められた回数の普図変動表示が実行されること、予め定められた回数の特図変動表示(または予め定められた回数の普図変動表示)が実行されるまでの間に大当たりが決定されて対応する特図変動表示が終了(大当たり遊技状態が開始)すること、予め定められた回数の特図変動表示(または予め定められた回数の普図変動表示)が実行されるまでの間に予め定められた回数目の小当たりが決定されて対応する特図変動表示が終了(小当たり状態が開始)すること、予め定められた回数の特図変動表示(普図変動表示)が実行されるまでの間に予め定められた小当たり図柄(特別図柄)が決定されて対応する特図変動表示が終了(小当たり状態が開始)すること、等を設定することができる。
【0119】
[主な判定テーブル]
次に、パチンコ遊技機1の遊技制御用マイコン61が参照する主な判定テーブルについて説明する。
【0120】
(当否判定テーブルT1)
図8に示す当否判定テーブルT1は、遊技制御用マイコン61が特図当たり判定(大当たり判定、小当たり判定)を実行する際に参照するテーブルである。当否判定テーブルT1は、特図当たり判定の種類(第1特図・第2特図のどちらに対応するか)と、大当たり乱数値とを対応付けて構成されている。大当たり乱数値は、大当たり乱数カウンタが発生させる値である。大当たり乱数カウンタを動作させるためのコンピュータプログラムは、ROM63に記憶されており、そのコンピュータプログラムをCPU62が実行することにより、大当たり乱数カウンタが動作して大当たり乱数値が発生する。大当たり乱数カウンタは、カウンタIC等の乱数生成回路を利用したものでもよい。パチンコ遊技機1の大当たり乱数カウンタは、0~65535の計65536個の値をカウントする。つまり、0~65535の計65536個の大当たり乱数値を発生させ得る。
【0121】
当否判定テーブルT1には、第1特図の特図当たり判定用の大当たり乱数値として、0~327の計328個の値が設定されている。遊技制御用マイコン61は、大当たり乱数カウンタから取得した大当たり乱数値が0~327の範囲内の値であった場合は大当たりと判定し、0~65535のうち0~327以外(328~65535)であった場合は、大当たりではない、つまり、ハズレと判定する。
【0122】
また、当否判定テーブルT1には、第2特図の特図当たり判定用の大当たり乱数値として、0~327の計328個の値が設定されている。遊技制御用マイコン61は、取得した大当たり乱数値が0~327の範囲内の値であった場合は大当たりと判定し、0~65535のうち0~327以外(328~65535)であった場合は、大当たりではない、つまり、ハズレと判定する。但し、ハズレ(大当たりではない)と判定される大当たり乱数値のうち、328~6882の範囲内の値であった場合は、小当たりと判定される。すなわち、第1特図の当たり判定と第2特図の当たり判定とでは、大当たりと判定される確率は変わらないが、大当たりではないと判定された場合、第2特図の判定では小当たりと判定されることがあり、その当選確率は大当たりに比べて非常に高い。また、本実施形態では、第1特図の当たり判定で小当たりと判定されることがないため、第2特図の判定では、第1特図の当たり判定に比して小当たりと判定される確率が非常に高い。
【0123】
(大当たり種別判定テーブルT2,T3)
図9(a)および
図9(b)に示す大当たり種別判定テーブルT2,T3は、特図当たり判定において大当たりと判定された場合に遊技制御用マイコン61が大当たりの種別判定を実行する際に参照するテーブルである。大当たり種別判定テーブルは、大当たり種別(大当たり図柄種別)毎に所定個数の大当たり種別乱数値を対応付けて構成されている。大当たり種別乱数値は、大当たり種別乱数カウンタが発生させる値である。大当たり種別乱数カウンタを動作させるためのコンピュータプログラムは、ROM63に記憶されており、そのコンピュータプログラムをCPU62が実行することにより、大当たり種別乱数カウンタが動作して大当たり種別乱数値が発生する。大当たり種別乱数カウンタは、カウンタIC等の乱数生成回路を利用したものでもよい。本実施形態において大当たり種別乱数カウンタは、0~99の計100個の大当たり種別乱数をカウントする。つまり、0~99の計100個の大当たり種別乱数値を発生させ得る。
【0124】
ここで、特別図柄のうち第1特図として、大当たりしたこと(大当たり遊技状態が生起すること)を示す1種類の大当たり図柄1-1と、大当たりや小当たりではないことを示す少なくとも1種類のハズレ図柄とが設定されている。なお、第1特図については、小当たりしたこと(小当たり状態が生起すること)を示す小当たり図柄は設定されていない。第1特図の特図当たり判定で大当たりと判定した場合は、
図9(a)に示す大当たり種別判定テーブルT2に基づいて、大当たり図柄(大当たり種別)が決定され、この大当たり図柄の決定により、大当たり遊技状態の種類やその後の遊技状態の種類が決定される。なお、各大当たり遊技状態では、各ラウンドでの第2大入賞口15aの開放時間の上限が30000msに設定されている。
【0125】
第1特図の大当たり種別を決定する際、大当たり種別乱数値が0~99の何れの値であっても(100パーセント)、大当たり図柄として「大当たり図柄1-1」が決定され、大当たり遊技状態の種類(ラウンド数)として、3ラウンド大当たりが決定され、大当たり遊技状態後の遊技状態として、時短遊技状態が決定される。この場合の時短遊技状態としては、「大当たり図柄1-1」に対応する大当たり遊技状態の終了を契機に開始され、特図変動表示が50回実行されるか、または、その途中で大当たり遊技状態の生起が決定されるか、または、1回目(第1上限回数目)の小当たり状態の生起が決定されることに応じて終了する時短1(不利な時短遊技状態)が決定される。
【0126】
一方で、特別図柄のうち第2特図としては、大当たりしたこと(大当たり遊技状態が生起すること)を示す2種類の大当たり図柄2-1,2-2と、小当たりしたこと(小当たり状態が生起すること)を示す2種類の小当たり図柄a,bと、大当たりや小当たりではないことを示す少なくとも1種類のハズレ図柄とが設定されている。第2特図の特図当たり判定で大当たりと判定した場合は、
図9(b)に示す大当たり種別判定テーブルT2に基づいて、大当たり図柄(大当たり種別)が決定され、この大当たり図柄の決定により大当たり遊技状態の種類やその後の遊技状態の種類が決定される。なお、大当たり遊技状態では、各ラウンドでの第2大入賞口15aの開放時間の上限が30000msに設定されている。
【0127】
本実施形態では、第2特図の特図当たり判定が大当たりの判定結果である場合、大当たり種別乱数値が0~19の範囲内であれば(20パーセント)、大当たり図柄として「大当たり図柄2-1」が決定され、大当たり遊技状態の種類(ラウンド数)として、3ラウンド大当たりが決定され、大当たり遊技状態後の遊技状態として、時短遊技状態が決定される。この場合の時短遊技状態としては、「大当たり図柄2-1」に対応する大当たり遊技状態の終了を契機に開始され、特図変動表示が50回実行されるか、または、その途中で大当たり遊技状態の生起が決定されるか、または、1回目の小当たり状態の生起が決定されることに応じて終了する時短1(不利な時短遊技状態)が決定される。
また、第2特図の特図当たり判定が大当たりの判定結果で、大当たり種別乱数値が20~99の範囲内であれば(80パーセント)、大当たり図柄として「大当たり図柄2-2」が決定され、大当たり遊技状態の種類(ラウンド数)として、10ラウンド大当たりが決定され、大当たり遊技状態後の遊技状態として、時短遊技状態が決定される。この場合の時短遊技状態としては、「大当たり図柄2-2」に対応する大当たり遊技状態の終了を契機に開始され、特図変動表示が1000回実行されるか、または、その途中で大当たり遊技状態の生起が決定されるか、または、100回目(第2上限回数目)の小当たり状態の生起が決定されることに応じて終了する時短2(有利な時短遊技状態)が決定される。
【0128】
(小当たり種別判定テーブル)
図10に示す小当たり種別判定テーブルT4は、小当たりと判定された場合に遊技制御用マイコン61が小当たりの種別判定を実行する際に参照するテーブルである。小当たり種別判定テーブルT4は、小当たり種別(小当たり図柄種別)毎に所定個数の小当たり種別乱数値を対応付けて構成されている。小当たり種別乱数値は、小当たり種別乱数カウンタが発生する値である。小当たり種別乱数カウンタを動作させるためのコンピュータプログラムは、ROM63に記憶されており、そのコンピュータプログラムをCPU62が実行することにより、小当たり種別乱数カウンタが動作して小当たり種別乱数値を発生させる。小当たり種別乱数カウンタは、カウンタIC等の乱数生成回路を利用したものでもよい。本実施形態において小当たり種別乱数カウンタは、0~99の計100個の値をカウントする。つまり、0~99の計100個の小当たり種別乱数値を発生させ得る。本実施形態では前述のように、小当たり図柄として「小当たり図柄a」及び「小当たり図柄b」の2種類が設定されている。この小当たり図柄により、生起させる小当たり状態の種類(有利小当たり状態または不利小当たり状態)が決定する。
【0129】
小当たり図柄が決定された場合に、小当たり状態が生起する。有利小当たり状態では、第2大入賞口15aが前述した大当たり遊技状態の各ラウンドの開放時間(30000ms)よりも短い時間(1800ms)だけ開放するように設定されている。また、不利小当たり状態では、第1大入賞口14aが前述した大当たり遊技状態の各ラウンドの開放時間(30000ms)よりも短い時間(1800ms)だけ開放するように設定されている。有利小当たり状態で第2大入賞口15aに入球した遊技球が特定領域を通過した場合には、小当たり状態から2種大当たり状態(大当たり遊技状態)に発展(V当たり状態に移行)する。この2種大当たり状態の各ラウンド(2ラウンド以降のV当たり状態)での第2大入賞口15aの開放時間の上限は、1種大当たり状態と同様に30000msに設定されている。
【0130】
第2特図の特図当たり判定において小当たりの判定結果が導出された場合に、小当たり種別乱数値が0~44の範囲内であれば(45パーセント)、小当たり図柄として「小当たり図柄a」が決定される。遊技制御用マイコン61は、この「小当たり図柄a」の決定により、有利小当たり状態(第2大入賞口15aを開放することで遊技球が特定領域を通過可能な小当たり状態)を生起させることを決定する。一方で、第2特図の特図当たり判定において小当たりの判定結果が導出された場合の小当たり種別乱数値が45~99の範囲内であれば(80パーセント)、小当たり図柄として「小当たり図柄b」が決定される。遊技制御用マイコン61は、この「小当たり図柄b」の決定により、不利小当たり状態(第1大入賞口14aを開放することで遊技球が特定領域を通過不可能な小当たり状態)を生起させることを決定する。
【0131】
ここで、
図10に示すように、遊技制御用マイコン61は、小当たり状態(有利小当たり状態)中に遊技球が特定領域を通過したことを契機として大当たり遊技状態(2種大当たり状態)に発展させる場合に、その大当たり遊技状態の終了後の遊技状態を、遊技球が特定領域を通過した時点(すなわち大当たり遊技状態に発展させることを決定した時点)の遊技状態に応じて決定する。具体的には、遊技球が特定領域を通過した時点が時短1(不利な時短遊技状態)であった場合には、大当たり遊技状態の終了後の遊技状態として時短1を決定する。これに対し、遊技球が特定領域を通過した時点が非時短遊技状態または時短2(有利な時短遊技状態)であった場合には、大当たり遊技状態の終了後の遊技状態として時短2を決定する。すなわち、時短1中に有利小当たり状態が発生して遊技球が特定領域を通過した場合は、大当たり遊技状態の後に再び時短1となる。また、時短2中に有利小当たり状態が発生して遊技球が特定領域を通過した場合は、大当たり遊技状態の後に再び時短2となる。これに対し、非時短遊技状態中については、特図当たり判定が大当たりの判定結果となったことによる1種大当たり遊技状態の後には時短1に移行し、有利小当たり状態が発生して遊技球が特定領域を通過した場合の2種大当たり状態の後には時短2に移行する。
【0132】
(遊技盤2の基準穴315について)
前述した遊技盤2は、平板状の遊技領域形成板2xに対して複数種類の加工を施し、その加工後の遊技領域形成板2xに対して複数種類の部材を組み付けることで構成される。この遊技盤2の製造段階で、遊技領域形成板2xには、遊技盤2の種類(機種)に応じて定められた位置(加工対象部)に加工が施され、その位置に対応して部材が取り付けられる。遊技領域形成板2xに加工を施す加工機300は、遊技領域形成板2xとの位置決めを行うボス303の位置を基準とする位置データに基づいて、遊技領域形成板2xの加工動作を実行する。後述するが、本実施形態のパチンコ遊技機1は、加工機300のボス303との位置決めに用いられる位置決め穴311(
図12~
図17参照)の一つ(基準穴315)を、加工及び組み付け後の完成した遊技盤2(
図2、
図19参照)において露出状態とすることで、この基準穴315を遊技盤2の検査(加工対象部の正誤判定、
図20参照)に利用し易くすることを、特徴の一つとしている。以下の記載では、この特徴点に関して説明する。なお、加工機300の構成及び加工の種類について先ず説明して、次に、完成した遊技盤2において基準穴315を露出させるための構成(側部カバー部材331)について説明する。なお、基準穴315を使った遊技盤2の検査(加工対象部の正誤判定)については後述する。
【0133】
先ず、遊技盤2の製造段階で遊技領域形成板2xに加工を施す加工機300と、その加工の種類とについて、
図11~
図17を参照しながら説明する。
【0134】
遊技領域形成板2xの加工として、加工対象部にネジ穴313を形成するネジ穴加工、加工対象部に装着口320(321~327)を形成する切り出し加工、加工対象部に(遊技釘22やレール部材17を固定するための)下穴314を形成する下穴加工、加工対象部(下穴314)に遊技釘22を植設する釘打ち加工、加工対象部(下穴314)にレール部材17を嵌め込むレール嵌め込み加工等があり、その加工の種類に応じた加工機300が用いられて遊技領域形成板2xの加工が行われる。一般的には、これらの加工の種類に応じて異なる加工機300が用いられる。加工機300は夫々、上面に遊技領域形成板2xを載置した状態で移動する可動テーブル301と、その可動テーブル301上の遊技領域形成板2xに対して上方から加工を施す加工ヘッド302とを備え、加工の種類毎に加工ヘッド302の構造が異なるが、それ以外の基本的な構造及び動作自体は同じである。従って、以下、遊技盤2の製造段階で遊技領域形成板2xの加工のために使用する1種類または複数種類の加工機300(レール嵌め込み用の嵌め込み装置を除く)の基本的な構造及び動作に関して、まとめて説明する。
なお、可動テーブル301上で遊技領域形成板2xは、遊技領域3を形成する面(遊技盤2の前面となる面)が上に向くことになるが、以下の遊技領域形成板2xの説明では、遊技盤2としてパチンコ遊技機1(内枠16)に設置された状態での前面・後面を、そのまま遊技領域形成板2xの前面・後面と称することとする。
【0135】
図11(a)及び
図11(b)は、水平方向に移動可能に構成されている可動テーブル301の平面図であり、更に、水平方向に移動不可の加工ヘッド302を簡易形状で示すことで、加工ヘッド302(加工動作点KP)及び可動テーブル301の位置関係を理解し易く表したものである。なお、
図11(a)における三点鎖線による囲みKRは、可動テーブル301の移動限界位置を示している。
可動テーブル301は、その上面に1枚の遊技領域形成板2xを位置決めして載置できるように構成されていると共に、下面側にあるスライド機構(図示せず)の駆動に応じて水平方向(X軸方向、Y軸方向)に移動可能に構成されている。スライド機構は、X軸方向に可動テーブル301を移動させる機構部分と、Y軸方向に可動テーブル301を移動させる機構部分とからなり、両機構部分が同時に駆動可能となっている。このため、加工機300は、
図11(a)及び
図11(b)に示す囲みKRの範囲内で略自由な方向に可動テーブル301を移動させることができる。
なお、加工機300は、本実施形態のように可動テーブル301のみを水平方向(X軸方向、Y軸方向)に移動させる構成以外に、可動テーブル301をY軸方向(X軸方向)、加工ヘッド302をX軸方向(Y軸方向)に夫々移動させる構成を採用することもできる。
【0136】
可動テーブル301の上面には、上方に突出する円錐状のボス303が複数(本実施形態では3個)設けられている。このボス303は、遊技盤2の基礎となる遊技領域形成板2x(一点鎖線で示してある)を可動テーブル301上に位置決め固定するためのものである。
【0137】
図11(a)は、可動テーブル301が原位置にある状態であり、加工ヘッド302の加工動作点KPとの対向位置に遊技領域形成板2xの略中央が位置している。なお、この場合の「原位置」とは、加工機300が稼働を開始及び終了する場合の可動テーブル301の位置であって、可動テーブル301の位置データの基準となる原点位置GP(ゼロ座標位置)とは別である。加工機300は、各種制御を実行する制御盤(図示せず)を備え、この制御盤が、遊技盤2の種類(機種)毎に異なる位置データに基づいて、加工動作を制御する。この加工動作に用いられる位置データは、可動テーブル301の上面に設けられている特定のボス303(基準ボス305)の中心を原点位置GPとし、この原点位置GPからの離間寸法(長さの単位は例えばミリメートル(mm))を、X軸方向の位置とY軸方向の位置とからなる座標位置により示すものである。基準ボス305を含む複数のボス303によって、可動テーブル301上に遊技領域形成板2xが位置決め固定されるので、この位置データに基づいて加工機300が、可動テーブル301上の遊技領域形成板2xの加工対象ポイントを特定することができる。そして、加工機300は、加工対象ポイントが加工ヘッド302の加工動作点KPとの対向位置(例えば、可動テーブル301が原位置(
図11(a)に示す位置)にある時の「225.0,240.0」の座標位置)に位置するように、可動テーブル301を移動させ、その上で、加工ヘッド302による加工動作を実行する。これにより、加工機300は、位置データで定められる遊技領域形成板2x上の加工対象ポイントに、加工を施すことができる。
【0138】
例えば、
図11(a)で示す遊技領域形成板2xにおける所定の加工対象ポイント(点TPとする)が、加工機300における制御盤の記憶手段(ROM)が記憶する位置データ上において「300.0,380.0」の座標位置であるとする。すなわち、この座標位置は、基準ボス305の中心に対してX軸方向のプラス側に300.0mm離間し、かつY軸方向のプラス側に380.0mm離間した位置であることを示している。ここで、加工機300が点TPの位置に加工を施す場合、位置データ上での座標位置(300.0,380.0)に相当する点TPの位置を、
図11(b)に示すように、加工ヘッド302の加工動作点KPとの対向位置(可動テーブル301が原位置にある時の「225.0,240.0」の座標位置)まで移動させる。従って、例えば
図11(a)の状態から
図11(b)に変化させる場合、加工機300は可動テーブル301を、X軸方向のマイナス側に75.0mm、Y軸方向のマイナス側に140.0mm、移動させることになる。
【0139】
図12は、加工機300による加工が施される前(初期状態)の遊技領域形成板2xの正面図である。このように、遊技領域形成板2xには予め、製造する遊技盤2の種類(機種)に関わらず共通の穴(3個の位置決め穴311及び2個の固定穴312)が形成されている。そして、各位置決め穴311に対して可動テーブル301の対応するボス303を係合させて位置決め固定することで、加工機300による加工が行われる。この場合に、遊技領域形成板2xの左下隅部に形成されている位置決め穴311が、位置データの基準となる基準ボス305と位置決めされる。すなわち、左下隅部の位置決め穴311の中心は、可動テーブル301上に遊技領域形成板2xを位置決めした状態では基準ボス305の中心と一致することから、遊技領域形成板2xを加工機300から取り外したとしても、遊技領域形成板2xにおける左下隅部の位置決め穴311の中心に位置データの原点位置GPがあったと推定することができる。このように、遊技領域形成板2xにおける左下隅部の位置決め穴311の中心は、加工機300の可動テーブル301上に載置された状態での基準ボス305の中心に一致するものであり、加工に用いられた位置データの原点位置GP(ゼロ座標)でもあることから、基準ボス305と同様、加工に用いられる位置データの基準になっていると言える。そこで、以下、遊技領域形成板2xがその初期状態から有する3個の位置決め穴311のうち左下隅部の位置決め穴311のことを「基準穴315」と称する。
【0140】
また、初期状態の遊技領域形成板2xに形成されている固定穴312は、遊技領域形成板2xの前面上縁部に取り付けられる上部カバー部材338の固定具339を位置させるための穴である。この固定穴312も、製造する遊技盤2の種類(機種)に関わらず共通の位置及び形状で形成されている。
【0141】
図13は、前述した初期状態の遊技領域形成板2xに対して、加工機300によるネジ穴加工(第1の加工)が施された後(第1加工状態)の遊技領域形成板2xの正面図である。このネジ穴加工では、遊技領域形成板2xの前面に組み付けられる各種部材をネジにより固定するためのネジ穴313を、加工対象部に形成する。このネジ穴313は、遊技領域形成板2xの前面に開口する円筒状の凹部であり、その内周面に、ネジを螺合するための螺旋状の溝を有する。このネジ穴加工を行う加工機300は、ネジ穴313を形成する加工対象部の中心点である加工対象ポイントを位置データの座標位置に基づいて特定し、その座標位置に対応する加工対象ポイントを加工ヘッド302の加工動作点KPとの対向位置に移動させる。そして、加工ヘッド302のドリル(における加工動作点KP)を回転させながらその先端部を遊技領域形成板2xの前面の加工対象ポイントに押し付けて穿孔を進めることで、加工対象部にネジ穴313を形成する。
【0142】
図14は、前述した第1加工状態の遊技領域形成板2xに対して、加工機300による切り出し加工(第2の加工)が施された後(第2加工状態)の遊技領域形成板2xの正面図である。この切り出し加工では、遊技領域形成板2xの前面に組み付けられる各種部材との対向位置である加工対象部に、装着口320を形成する。この装着口320は、遊技領域形成板2xを前後に貫通する貫通穴であり、その前側に取り付けられる部材に応じて、例えばその部材からの配線を通したり、その部材に入球した遊技球を処理するため等に利用される。この切り出し加工を行う加工機300は、装着口320を切り出すための外形(すなわち切り出し形状)上の一点である加工対象ポイントを位置データの座標位置に基づいて特定し、その加工対象ポイントを加工ヘッド302の加工動作点KPとの対向位置に移動させる。そして、加工ヘッド302を構成するルータ(における加工動作点KP)によって遊技領域形成板2xの切り出しを行う。ここで、個々の装着口320を切り出すための位置データとして、その加工対象部の外形に沿う連続した複数の加工対象ポイントを示す複数の座標位置が設定されている。そして、切り出しの進行に合わせて加工対象ポイントを変化させるように可動テーブル301を移動させることで、所定形状の加工対象部に合わせて装着口320を形成する。
【0143】
なお、装着口320としては、センター装飾体20を取り付ける位置(遊技領域3の中央部)に設けられて当該センター装飾体20の内側開口から演出表示装置7の表示画面を露出するための中央装着口321と、第1始動入賞装置10を取り付ける位置(遊技領域3の中央下部)に設けられて第1始動口10aに入球した遊技球を処理する入賞路(図示せず)や第1始動口センサ10bの配線等を通過させるための中下装着口322と、一般入賞部材11を取り付ける位置(遊技領域3の左下部)に設けられて一般入賞口11aに入球した遊技球を処理する入賞路(図示せず)や一般入賞口センサ11b及びLED基板等の配線を通過させるための左下装着口323と、右入賞ユニット9を取り付ける位置(遊技領域3の右中部)に設けられて第2始動口12aに入球した遊技球を処理する入賞路(図示せず)やゲートセンサ13a、第2始動口センサ12c及び普電ソレノイド12dの配線等を通過させるための右中装着口324と、第1大入賞装置14を取り付ける位置(遊技領域3の右下部)に設けられて第1大入賞口14aに入球した遊技球を処理する入賞路(図示せず)や第1大入賞口センサ14c及び第1特電ソレノイド14dの配線等を通過させるための右下装着口325と、第2大入賞装置15を取り付ける位置(遊技領域3の右上部)に設けられて第2大入賞口15aに入球した遊技球を処理する入賞路(図示せず)や第2大入賞口センサ15c、第2特電ソレノイド15d及び特定領域センサ55aの配線等を通過させるための右上装着口326と、表示器類50(側部カバー部材331)を取り付ける位置(遊技領域3の外側)に設けられて当該表示器類50に内蔵されるLED基板の配線を通過させるための外側装着口327と、が形成される。
【0144】
図15は、前述した第2加工状態の遊技領域形成板2xに対して、加工機300による下穴加工(第3の加工)が施された後(第3加工状態)の遊技領域形成板2xの正面図である。この下穴加工では、遊技領域形成板2xの前面に遊技釘22やレール部材17を固定するための下穴314を、加工対象部に形成する。下穴314は、遊技領域形成板2xの前面に開口する円筒状の凹部である。なお、レール部材17を固定するための下穴314は、レール部材17のうち遊技領域形成板2xと対向する後端面から後方へ突出している釘部を打ち込む箇所に形成される。下穴加工を行う加工機300は、下穴314を形成する加工対象部の中心点である加工対象ポイントを位置データの座標位置に基づいて特定し、その座標位置に対応する加工対象ポイントを加工ヘッド302の加工動作点KPとの対向位置に移動させる。そして、加工ヘッド302のポンチの先端部を例えばバネ力等で遊技領域形成板2xの前面の加工対象ポイントに強く押し付けることで、加工対象部に下穴314を形成する。なお、下穴314はこの他、加工ヘッド302から照射するレーザー等により穿設してもよい。
【0145】
図16は、前述した第3加工状態の遊技領域形成板2xに対して、加工機300による釘打ち加工(第4の加工)が施された後(第4加工状態)の遊技領域形成板2xの正面図である。この釘打ち加工では、前述した下穴314の位置(加工対象部)に対して遊技釘22を植設する。この釘打ち加工を行う加工機300は、加工ヘッド302の構成として、遊技釘を一本ずつ加工動作点KPに移動させて保持するアーム(図示せず)と、このアームに保持された遊技釘を下穴314に向けて打撃するハンマとを有する。釘打ち加工を行う場合は、下穴314の中心点である加工対象ポイントを位置データの座標位置に基づいて特定し、その座標位置に対応する加工対象ポイントを加工ヘッド302の加工動作点KPとの対向位置に移動させる。そして、加工ヘッド302のアームで加工動作点KPに保持した遊技釘をハンマにより打撃することで、加工対象部に下穴314を形成する。なお、遊技釘の先端部にネジ山を形成しておき、ネジ溝を有する下穴314に螺設するようにしてもよい。
【0146】
前述した釘打ち加工の後、(第4加工状態の)遊技領域形成板2xの前面に、レール部材17が専用のレール嵌め込み装置(図示せず)によって設置される。
図17は、レール部材17が遊技領域形成板2xの前面に取り付けられた状態(第5加工状態)の遊技領域形成板2xである。レール嵌め込み装置は、帯状のレール部材17を円弧状に曲げた状態で遊技領域形成板2xの前面の取り付け位置(加工対象部)に対向させて押し付けることで、レール部材17の後端面の釘部(図示せず)を対応する下穴314に嵌入させるようにする。この場合にレール嵌め込み装置は、前述した各種の加工で用いる加工機300と同様に、可動テーブル301上の基準ボス305の中心(遊技領域形成板2xの基準穴315の中心)を基準とする位置データの座標位置に基づいてレール部材17の取り付け位置を特定する。
【0147】
以上のように、遊技盤2の基礎となる遊技領域形成板2xは、その初期状態で、基準穴315を含む位置決め穴311等が予め形成されている。そして、遊技盤2の製造段階において加工機300により遊技領域形成板2xを加工する際に、基準穴315の中心(加工機300の基準ボス305の中心)を基準(原点位置GP)とした座標位置により特定される加工対象ポイントに対して、加工が施される。複数種類の加工が終了すると、その加工が施された遊技領域形成板2x、すなわち第5加工状態の遊技領域形成板2xに対して、複数種類の部材が組み付けられ、遊技盤2が構成される。
なお、センター装飾体20、第1始動入賞装置10、一般入賞部材11、右入賞ユニット9、第1大入賞装置14、第2大入賞装置15、上部カバー部材338、側部カバー部材331(表示器類50を含む)等は、遊技領域形成板2xの対応する装着口320に前側から位置合わせされ、前述したネジ穴313を利用してネジ固定される。またこの他、遊技領域形成板2xの後面には、例えば裏箱(図示せず)等が組み付けられる。この裏箱は、基板ケースに収容した各種の制御基板(主制御基板60、音声制御基板78、ランプ制御基板79、サブ制御基板100、画像制御基板200)や中継基板74、演出表示装置7、その他の演出用の可動体や装飾体等を取り付けるための台座となっている。
【0148】
次に、遊技盤2において基準穴315を露出させるための構成(側部カバー部材331)について、
図2及び
図18等を参照しながら説明する。
【0149】
本実施形態のパチンコ遊技機1は、遊技盤2(遊技領域形成板2x)の前面の左側部に前述のレール部材17が設けられており、その右側面に沿って発射球誘導通路17aが形成されている。ここで、パチンコ遊技機1は、発射モータ91の駆動に伴う発射動作(発射槌90aによる打撃)に応じて発射された遊技球を、内枠16(球循環機構30)の発射レール29に沿って左上がりに飛翔させ、これをレール部材17の下端部の右側面で受け、このレール部材17の右側面に接触させながら発射球誘導通路17aを通過させて、遊技領域3に到達させる。このため、レール部材17の状態が安定していないと、遊技領域3に向けた遊技球の進行に悪影響を及ぼす。このような事情を考慮して、本実施形態では、遊技盤2の左側部に側部カバー部材331を取り付け、この側部カバー部材331の右側面を形成する正面視円弧状の支持部333によってレール部材17を支持するように構成している。この支持部333は、右側面によってレール部材17の左側面を支持すると共に、前端部から発射球誘導通路17a側に延出する支持片335を備え、この支持片335によってレール部材17の前面を支持するように構成されている。なお、支持部333(支持片335を含む)の前端面334は、側部カバー部材331を遊技領域形成板2xに取り付けた状態で、当該遊技領域形成板2xの前面と略平行な平面となっている。
側部カバー部材331(
図18参照)は、遊技盤2(遊技領域形成板2x)の前面かつレール部材17より左側の領域のうち、上部を除く広い面積を覆うように、上下に長く形成され、その上端が、遊技領域形成板2xの左側縁にレール部材17が最も接近する位置(
図17に示すレール部材17の左端部17L)よりも上側に位置している。このため、側部カバー部材331は、レール部材17の左端部17Lを支持する部材中部331Cの横幅寸法が小さく、それよりも上方である部材上部331T及び下方である部材中部331Uの横幅寸法が大きく形成されている。そして、部材上部331T及び部材中部331Uの各々に、ネジ固定用のネジ挿通穴332が形成されている。すなわち、側部カバー部材331は、レール部材17を安定的に支持することができるように構成されている。
【0150】
また、側部カバー部材331は、
図18に示すように、表示器類50を備えている。前述のように表示器類50は、第1特別図柄表示器51、第1特図保留表示器51a、第2特別図柄表示器52、第2特図保留表示器52a、普通図柄表示器53、普図保留表示器53aを備えている(
図5A参照)。すなわち、側部カバー部材331は、レール部材17を支持する他に、各種の遊技情報をまとめて表示する機能を有する。
【0151】
ここで、側部カバー部材331が取り付けられる遊技領域形成板2xの左側部には、前述の基準穴315が形成されている。すなわち、基準穴315は、側部カバー部材331を遊技領域形成板2xに取り付けることで被覆され得る位置に形成されている。しかしながら、本実施形態では、基準穴315を利用して、後述する遊技盤2の検査(加工対象部の正誤判定)を行うことが想定されており、この検査の際に側部カバー部材331を取り外す必要があると、その作業に手間がかかり好ましくない。この場合に側部カバー部材331を省略できればよいが、側部カバー部材331は前述のように、遊技盤2の構成部材として重要な役割を果たし、省略することができない部材の一つである。
そこで、本実施形態では、
図18に示すように、側部カバー部材331のうち遊技領域形成板2xの基準穴315との対向位置に、基準穴315を前面側から視認できるようにするための視認口336が形成されている。この視認口336は、遊技盤2を設置する対象である内枠16の構成によって遮蔽されない位置にあり、パチンコ遊技機1の前面枠18を開放して遊技盤2の前面を露出させた場合に、同時に基準穴315を視認できる状態(露出状態)とするように設けられている。
【0152】
視認口336は、後述する遊技盤2の検査(加工対象部の正誤判定)を行うために遊技盤2を正面側から視認する作業者が、基準穴315の中心(位置データの原点位置GP)を特定できるように、基準穴315の開口縁のうち少なくとも一部(本実施形態では半分以上の部分)を露出可能な大きさに形成されている(
図2の要部拡大図を参照)。また、この視認口336は、前述した表示器類50の角との隣接位置に形成されており、作業者が表示器類50の位置を目安として視認口336を容易に発見できるように構成されている。なお、本実施形態では
図18のように、視認口336を矩形状の開口として形成したが、他の形状の開口(例えば円形状等)或いは切欠きとして形成するようにしてもよい。
【0153】
(遊技盤2の検査について)
次に、基準穴315を使った遊技盤2の検査(加工対象部の正誤判定)を行う場合の一例として、第1始動口10aへの入球頻度に異常が生じたことにより検査(正誤判定)を行う場合について、
図19及び
図20等を参照しながら一例を挙げて説明する。
【0154】
前述のように、本実施形態の遊技盤2(遊技領域形成板2x)の前面には、第1始動入賞装置10等の各種の部材が取り付けられている(
図2参照)。この第1始動入賞装置10の上方にはセンター装飾体20が取り付けられており、このセンター装飾体20にはステージ20aが設けられている。このステージ20aは、その前端の左右及び中央から真下に向けて遊技球を夫々落下させる構成となっており、中央に設けられる中央凹部20cは、
図19に示すように、常に上方に向けて開口している第1始動口10aの直上に設けられている。また、センター装飾体20及び第1始動入賞装置10の間には、第1始動口10aの左縁に対する上方位置に遊技釘22が設けられていると共に、第1始動口10aの右縁に対する上方位置に遊技釘22が設けられている。これらの一対の遊技釘22(以下、「命釘22L,22R」と称する)は、遊技球の直径よりもやや大きな寸法分だけ、左右方向に離間して設けられている。
このような構成の遊技盤2において、遊技者の左打ちにより遊技球が左遊技領域3Lを流下する場合、センター装飾体20のステージ20aに導かれた遊技球が、ある程度の確率で中央凹部20cから下方に放出され、その放出された遊技球が更に所定の確率で前述した命釘22L,22Rの間を通って第1始動口10aへと入球するように設計されている。このため例えば、ステージ20aに導かれた遊技球が第1始動口10aに殆ど入球しない、といった場合等には、前述した遊技盤2の構成部材(命釘22L,22R、第1始動入賞装置10及びセンター装飾体20の何れか)が誤った位置関係になっている可能性があり、製造段階に問題があった(前述した複数種類の加工の何れかによる加工対象部に誤りがある)ことが疑われる。
このような場合には、遊技店の店員等の作業者が、前面枠18を開放して遊技盤2の前面に対面した状態で、命釘22L,22Rや第1始動入賞装置10やセンター装飾体20の位置が正確であるか否かの正誤判定を行う。
【0155】
命釘22L,22Rについての正誤判定を行う場合には、視認口336によって露出される基準穴315の中心と、命釘22L,22Rの位置との間の寸法を測定し、その寸法が、遊技盤2の製造段階で加工機300の加工に用いられた位置データに対応しているか否かを判定する。
また、第1始動入賞装置10についての正誤判定を行う場合には、視認口336によって露出される基準穴315の中心と、第1始動入賞装置10を固定しているネジ337の頭部の中心(対応するネジ穴313の中心)との間の寸法を測定し、その寸法が位置データに対応しているか否かを判定する。
また、センター装飾体20についての正誤判定を行う場合には、視認口336によって露出される基準穴315の中心と、センター装飾体20を固定しているネジ337の頭部の中心(対応するネジ穴313の中心)との間の寸法を測定し、その寸法が位置データに対応しているか否かを判定する。この他、センター装飾体20を取り外し、前述した中央装着口321と基準穴315の中心との位置関係に基づいて正誤判定を行ってもよい。
【0156】
ここで、正誤判定の一例として、左側の命釘22Lについての正誤判定を行う場合について説明する。この場合に作業者は、下穴加工及び釘打ち加工で用いられた位置データの値のうち、左側の命釘22Lの座標位置の値を確認する。この位置データにおいて、左側の命釘22Lの座標位置が「205.8,60.6」であった場合、左側の命釘22Lの頭部の中心が、
図19における矢印Yy1方向、すなわち、基準穴315の中心の高さ位置に対して上方(Y軸方向のプラス側)に、60.6mm離間した高さ位置にあることを示していると共に、
図19における矢印Yx1方向、すなわち、基準穴315の中心の左右位置に対して右方(X軸方向のプラス側)に、205.8mm離間した左右位置にあることを示している。この場合、基準穴315の中心及び左側の命釘22Lの頭部の中心の間を結ぶ直線D1の寸法は、214.5mm程度となる。従って、作業者は、基準穴315の中心及び左側の命釘22Lの頭部の中心の間の寸法を、例えば物差しMS等を用いて手作業で測定する(
図20参照)。そして、測定した寸法が214.5mm程度となれば、左側の命釘22Lが正常な位置に設けられていると判断することができ、測定した寸法が214.5mmと大きく異なっていれば、左側の命釘22Lが誤った位置に設けられていると判断することができる。
なお、
図20に示すように、視認口336(基準穴315)と左側の命釘22Lとの間(直線D1に沿う位置)では、側部カバー部材331の前述した支持部333の前端面334が最も前方(遊技領域形成板2xの前面から離間した位置)にあり、かつ遊技領域形成板2xの前面と平行な平面となっている。このため、物差しMSを用いて手作業で寸法の測定を行う場合には、支持部333の前端面334に物差しMSを押し当てて寸法測定を行うことにより、測定作業を正確かつ容易に行うことができる。
【0157】
以上、正誤判定の一例として左側の命釘22Lの場合について説明したが、遊技領域形成板2xの前面に設けられる他の部材についても同様に、基準穴315の中心との離間寸法を測定することによって正誤判定を行うことができる。例えば前述のように、ステージ20aに導かれた遊技球が第1始動口10aに殆ど入球しない、といった場合等には、左側の命釘22Lの他、右側の命釘22Rや、第1始動入賞装置10を固定するネジ337や、センター装飾体20を固定するネジ337等について正誤判定を行うことで、これらの部材の位置が正常であるか誤っているかを判定することができる。これにより、第1始動口10aへの遊技球の入球頻度が低いことの原因を究明することが可能となる。
またこの他、第1始動口10a以外の入球口への入球頻度に異常がある場合や、遊技領域3の所定箇所で頻繁に球詰まりが生じる場合や、部材の取り付け状態に異常がある(ネジ固定が不充分であったり部材に変形が生じている)場合等には、その異常に関係する加工対象部(部材の位置)と基準穴315の中心との間の寸法を測定し、位置データの座標位置に基づく寸法と比較することで、状況に応じた正誤判定を行うことができる。
【0158】
[第1実施形態の効果]
上述した第1実施形態のパチンコ遊技機1は、以下の作用効果を奏する。
(1-1)第1実施形態のパチンコ遊技機1は、遊技球が流下する遊技領域3を前面側に形成する平板状の遊技領域形成板2xと、この遊技領域形成板2xに取り付けられた構成部材(センター装飾体20、第1始動入賞装置10、一般入賞部材11、右入賞ユニット9、第1大入賞装置14、第2大入賞装置15、上部カバー部材338、側部カバー部材331等)とからなる遊技盤2を備えていると共に、遊技領域形成板2xは、遊技盤2の製造段階において位置データに基づく加工が施された加工対象部(ネジ穴313、装着口320、下穴314)と、位置データの原点位置に対応するようにその加工前に予め形成された基準穴315(基準部)とを有しているので、例えば、製造後の完成した遊技盤2において不具合(所定の入球口への遊技球の入球頻度に関する異常、球詰まりの発生頻度に関する異常、部材の取り付け状態の異常等)が発覚した場合に、ネジ穴313や装着口320や下穴314(遊技釘22)等の加工対象部についての正誤判定(位置データの座標位置にあるかの判定)として、遊技領域形成板2xの前面における加工対象部についての寸法測定(基準穴315の中心を基準とする離間寸法の測定)を実施することができる。遊技盤2は、基準穴315を前面側から視認できるように構成されているので、作業者が遊技盤2から構成部材を取り外すといった作業を行うことなしに基準穴315を目視することができ、速やかに寸法測定の作業に着手することができる。
(1-2)また、第1実施形態のパチンコ遊技機1は、基準穴315が、遊技領域形成板2xを前後に貫通するように形成されて加工機300との位置決めの対象となる貫通穴であり、基準穴315の位置は加工機300の位置データに対応するので、加工対象部の正誤判定(位置データの座標位置にあるかの判定)を行う場合、この基準穴315を基準とすれば寸法測定を正確に行うことができる。
(1-3)また、第1実施形態のパチンコ遊技機1は、遊技盤2が、遊技領域形成板2xの前面の左側部(一部)を被覆する側部カバー部材331(被覆部材)を有し、この側部カバー部材331が、基準穴315を露出する開口(又は切欠き)としての視認口336を有するので、遊技領域形成板2xの前面のうち基準穴315を含む領域に取り付けられる側部カバー部材331の視認口336(開口又は切欠き)によって基準穴315を露出させることができる。これにより、側部カバー部材331を遊技領域形成板2xに取り付けたとしても、その視認口336から露出する基準穴315の位置に基づいて、遊技領域形成板2xの前面についての寸法測定を行うことが可能である。
(1-4)また、第1実施形態のパチンコ遊技機1は、遊技盤2を支持する内枠16と、この内枠16に設けられたハンドル4(操作手段)と、ハンドル4に対する遊技者の操作に応じて遊技球を発射する発射槌90a(発射装置)と、遊技盤2に設けられて発射槌90aにより発射された遊技球を遊技領域3に向けて誘導するレール部材17とを備えており、側部カバー部材331は、レール部材17を支持する支持部333を有するので、遊技領域形成板2xに側部カバー部材331を取り付けることで遊技領域形成板2xに対するレール部材17の取り付け状態を安定させることができ、遊技領域3に向けた遊技球の軌道を安定させることができる。
【0159】
[第2実施形態]
次に、第2実施形態に係るパチンコ遊技機1について説明する。
前述した第1実施形態のパチンコ遊技機1では、遊技領域形成板2xの前面の左側部(基準穴315が形成される範囲)に取り付けられる側部カバー部材331(被覆部材)に対して、開口又は切欠きによる視認口336を形成することで、この視認口336から基準穴315を遊技盤2の前面側に露出するように構成した。しかし、場合によっては、被覆部材に視認口336を形成困難な場合も生じ得る。
そこで、本実施形態では、側部カバー部材331(被覆部材)によって被覆される基準穴315(貫通口)とは別の補助穴316(基準部)を、初期状態の遊技領域形成板2xに予め形成する。この補助穴316(
図21参照)は、基準穴315と同時に形成される穴であり、基準穴315との位置関係は一定である。すなわち、補助穴316は、基準穴315の中心から所定寸法分だけ離間した位置に形成されている。
【0160】
ここで、補助穴316は、基準穴315の中心(位置データの原点位置)に対して整数値で表すことが可能な特定寸法Dxだけ離間した位置に中心が位置するように、形成されている。具体的には、基準穴315の中心に対して、X軸方向のプラス側に丁度90.0mm離間した位置に、補助穴316の中心が位置している。すなわち、前述した原点位置(基準穴315の中心)を基準とするが特定できれば、その座標位置を示す数値に対して前述した特定寸法Dxに相当する整数値を加減算することにより、補助穴316の中心を基準とする座標位置を特定することができるようになっている。このため、本実施形態では、側部カバー部材331によって被覆されている基準穴315ではなく、露出状態の補助穴316を利用して、所定の加工対象部(所定の構成部材)の位置についての正誤判定(遊技盤2の検査)を行うことが可能である。
なお、補助穴316は、遊技領域形成板2xの加工の際には使用されず、遊技盤2の検査(加工対象部の正誤判定)が必要になった場合にのみ利用される。これに対し、基準穴315以外の位置決め穴311の何れかを補助穴316として用いてもよい。
【0161】
ここで、補助穴316の位置を基準とする正誤判定の一例として、左側の命釘22Lについての正誤判定を行う場合について説明する。この場合に作業者は、下穴加工及び釘打ち加工で用いられた位置データの値から、左側の命釘22Lの座標位置の値を確認する。但し、位置データにおける左側の命釘22Lの座標位置を示す「205.8,60.6」の値は、側部カバー部材331によって被覆されている基準穴315(貫通穴)の中心に対する離間寸法に対応している。この基準穴315の位置を利用して正誤判定を行う場合は、側部カバー部材331を取り外す必要がある。そこで、この基準穴315の中心に対して右方向に丁度90.0mm離間した位置を中心として遊技盤2の前面に露出している補助穴316を、左側の命釘22Lの位置についての正誤判定を行うために利用する(
図21参照)。
先ず、位置データによる座標位置の値から、補助穴316の中心を基準とする離間寸法を算出する。そして、その寸法との比較によって正誤判定を行う。基準穴315の中心と補助穴316の中心とは、X軸方向において90.0mm離間し、Y軸方向において0.0mm離間している(Y軸方向の位置は同じである)ので、正常な位置にある場合の左側の命釘22Lの位置(補助穴316の中心との離間寸法)を容易に算出することができる。この場合、位置データにおける左側の命釘22Lの座標位置は、補助穴316の中心の高さ位置に対して上方(Y軸方向のプラス側、
図21における矢印Yy2方向)に60.6mm離間した位置であり、かつ、補助穴316の中心の左右位置に対して右方(X軸方向のプラス側、
図21における矢印Yx2方向)に115.8mm離間した位置であると特定できる。すなわち、補助穴316の中心及び左側の命釘22Lの頭部の中心の間を結ぶ直線D2の寸法は、正常であれば130.7mm程度となる。従って作業者は、補助穴316の中心及び左側の命釘22Lの頭部の中心の間の寸法を、例えば物差しMS等を用いて手作業で測定する。そして、測定した寸法が130.7mm程度となれば、左側の命釘22Lが正常な位置に設けられていると判断することができ、測定した寸法が130.7mmと大きく異なっていれば、左側の命釘22Lが誤った位置に設けられていると判断することができる。
【0162】
[第2実施形態の効果]
上述した第2実施形態のパチンコ遊技機1は、以下の作用効果を奏する。
(2-1)第2実施形態のパチンコ遊技機1は、基準穴315の中心(位置データの原点位置)に対して特定寸法Dx(所定寸法)分だけ離間した位置に対応するように、遊技盤2の製造段階における加工が行われる前に予め形成された補助穴316(基準部)とを有しているので、遊技領域形成板2xに予め形成される基準穴315を遊技盤2の前面に露出させることが困難な構造とする場合にも、基準穴315の中心を基準(原点位置)とする位置データの座標位置に基づいて、基準穴315及び補助穴316の位置関係を特定することができる。補助穴316は、基準穴315(貫通穴)に対し、センチメートル単位又はミリメートル単位(所定の長さ単位)において整数値で表すことが可能な寸法(特定寸法Dx)分だけ離間した位置に形成されているので、遊技盤2から側部カバー部材331を取り外す手間なく、遊技領域形成板2xにおける加工対象部(構成部材の位置)についての寸法測定を行うことができる。
【0163】
<他の実施形態>
・前述した第1実施形態では、遊技領域形成板の位置決め穴の一つである基準部(基準穴)を、被覆部材(側部カバー部材)に形成した開口(視認口)によって露出するように構成した。これに対し、基準部を、透明な被覆部材によって視認可能に被覆するようにしてもよい。なお、被覆部材の全体を透明にしてその一部で基準穴を被覆するようにしてもよいし、被覆部材の一部を透明にして(例えば、開口又は切欠きによる視認口に透明板を取り付けた構成とし、その透明板で)基準部を被覆するようにしてもよい。
・また、前述した第1実施形態では、遊技領域形成板の左下隅部に予め形成される穴(位置決め穴)を、基準部(基準穴)として利用し、この遊技領域形成板の前面左側部を被覆する被覆部材(側部カバー部材)の視認口によって基準部を露出するように構成した。これに対し、遊技領域形成板に予め形成される他の穴を基準部として使用し、側部カバー部材以外の被覆部材に視認口を形成して基準部を露出するようにしてもよい。例えば、遊技領域形成板の上部の位置決め穴を基準部として利用する場合には、遊技領域形成板の前面上部を被覆する被覆部材(上部カバー部材)に開口又は切欠き(視認口)を形成して基準部を露出するようにすることができる。
・また、前述した第1実施形態では、遊技領域形成板の基準部(基準穴)を、レール部材を支持するための支持部を有する被覆部材(側部カバー部材)の視認口によって露出するよう構成した。これに対し、レール部材を支持する以外の機能を有する被覆部材に形成した視認口によって基準穴を露出するように構成してもよい。例えば、遊技領域形成板の上部の位置決め穴を基準部として利用する場合には、遊技盤を遊技機(パチンコ遊技機)に設置するための固定具を有する被覆部材(上部カバー部材)に開口又は切欠き(視認口)を形成して基準部を露出するようにすることができる。
・また、前述した第2実施形態では、遊技盤の製造段階において、遊技領域形成板に予め形成される位置決め穴(貫通穴)の一つ(基準穴)を基準として加工が行われ、その基準とする貫通穴(基準穴)を露出させることができない場合に、この貫通穴との離間寸法を整数値(ミリメートル)で表すことができる位置に基準部(補助穴)予め形成しておくことで、この基準部(補助穴)を基準として遊技盤の検査(加工対象部の正誤判定)を行うことができるように構成した。ここで、第2実施形態では、発射球誘導通路の位置に補助穴が形成されるようにしたが、他の位置に形成されるものであってもよい。
例えば、前述した第2実施形態では、遊技領域形成板の加工の際に基準(原点位置)とされる貫通穴(基準穴)の近傍(遊技領域形成板の左下隅部)基準部(補助穴)を設けるようにしたが、貫通穴(基準穴)に対して大きく離間する遊技領域形成板の右側部等に、基準部(補助穴)を設けてもよい。
なお、遊技領域形成板の前面における補助穴が形成される範囲に被覆部材が取り付けられる場合は、その被覆部材に開口又は切欠きによる視認口を形成することで、遊技盤の前面側に補助穴を露出することができる。
・また、前述した第2実施形態では、遊技盤製造段階での加工の際の位置データの基準(原点位置)となる貫通穴(基準穴)の中心に対してX軸方向に整数値(単位はミリメートル)だけ離間した位置に基準部(補助穴)の中心が位置し、貫通穴(基準穴)及び基準部(補助穴)の各中心が同じ高さ位置(Y軸方向において同じ位置)となるように構成した。これに対し、各中心がY軸方向に整数値(単位はミリメートル)だけ離間する位置関係で貫通穴(基準穴)及び基準部(補助穴)を設けてもよいし、各中心がX軸方向及びY軸方向の両方において整数値(単位はミリメートル)だけ離間する位置関係で、貫通穴(基準穴)及び基準部(補助穴)を設けてもよい。すなわち、貫通穴及び基準部の各中心の離間寸法が、X軸方向及びY軸方向の何れにおいても整数値(または一方がゼロ)となるように設けることが好ましい。
【符号の説明】
【0164】
1…パチンコ遊技機、2…遊技盤、2x…遊技領域形成板、3…遊技領域、4…ハンドル(操作手段)、9…右入賞ユニット(構成部材)、10…第1始動入賞装置(構成部材)、11…一般入賞部材(構成部材)、14…第1大入賞装置(構成部材)、15…第2大入賞装置15(構成部材)、16…内枠、17…レール部材、20…センター装飾体(構成部材)、90a…発射槌(発射装置)、300…加工機、313…ネジ穴313(加工対象部)、314…下穴(加工対象部)、315…基準穴(基準部)、316…補助穴(基準部)、320…装着口(加工対象部)、331…側部カバー部材(被覆部材)、333…支持部、336…視認口(開口又は切欠き)。