(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024158334
(43)【公開日】2024-11-08
(54)【発明の名称】作業機
(51)【国際特許分類】
B25D 17/00 20060101AFI20241031BHJP
B25F 5/02 20060101ALI20241031BHJP
B25F 5/00 20060101ALI20241031BHJP
【FI】
B25D17/00
B25F5/02
B25F5/00 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023073460
(22)【出願日】2023-04-27
(71)【出願人】
【識別番号】000005094
【氏名又は名称】工機ホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002066
【氏名又は名称】弁理士法人筒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】川澄 正祥
【テーマコード(参考)】
2D058
3C064
【Fターム(参考)】
2D058AA14
2D058CA05
2D058CB07
2D058CB14
2D058DA00
3C064AA01
3C064AA04
3C064AB01
3C064AB02
3C064AC02
3C064AC10
3C064BA12
3C064BA34
3C064BB11
3C064BB61
3C064BB73
3C064BB82
3C064BB83
3C064CA01
3C064CA03
3C064CA06
3C064CA53
3C064CA60
3C064CA61
3C064CA62
3C064CB03
3C064CB05
3C064CB08
3C064CB13
3C064CB17
3C064CB19
3C064CB32
3C064CB33
3C064CB36
3C064CB62
3C064CB69
3C064CB73
3C064CB74
3C064CB75
3C064CB77
3C064CB82
3C064CB83
(57)【要約】
【課題】作業性を向上させることができる作業機を提供する。
【解決手段】ハンマドリル10は、モータ14と、打撃部102と、ハウジング22と、を備えている。打撃部102は、圧力室108を有し、圧力室108の圧力の変化により先端工具12に打撃力を付与する。ハウジング22は、モータ14及び打撃部102を支持する。ハウジング22は、モータ14を支持する第1ハウジング24と、第1ハウジング24の前側の部位に組付けられており打撃部102を支持する第2ハウジング56と、を有する。第1ハウジング24は、モータ14を支持するモータ支持部26と、操作部132が設けられたハンドル部32とを含む。第2ハウジング56の前後方向における後側の端部は、操作部132の前後方向における前側の端部よりも、前後方向の後側に位置する。
【選択図】
図11
【特許請求の範囲】
【請求項1】
モータと、
前記モータの駆動力を受けて圧力が変化する内部空間を形成する圧力室を有し、前記圧力室の圧力の変化により先端工具に第1方向の一方側に向かう打撃力を付与する打撃部と、
前記モータ及び前記打撃部を支持するハウジングと、を備え、
前記ハウジングは、
前記モータを支持する第1ハウジングと、
前記第1ハウジングの前記第1方向の一方側の部位に組付けられており、前記打撃部を支持する第2ハウジングと、を有し、
前記第1ハウジングは、
前記モータを支持するモータ支持部と、
前記第1方向の一方側に操作部が設けられたハンドル部と、を含み、
前記第2ハウジングの前記第1方向における他方側の端部は、前記操作部の前記第1方向における一方側の端部よりも、前記第1方向の他方側に位置する、作業機。
【請求項2】
作業機全体の重心の前記第1方向の位置が、前記操作部の前記第1方向の位置と同じ位置にある、請求項1に記載の作業機。
【請求項3】
前記第2ハウジングの前記第1方向における他方側の端部は、前記ハンドル部の前記第1方向における一方側の端部よりも、前記第1方向の他方側に位置する、請求項1に記載の作業機。
【請求項4】
前記打撃部は、第1位置と、前記第1位置よりも前記第1方向の他方側の第2位置との間を、前記モータの駆動力によって往復運動するピストンを有し、
前記ピストンが前記第1位置に位置した場合、前記ピストンの前記第1方向における他方側の端部は、前記操作部の前記第1方向における一方側の端部よりも、前記第1方向の他方側に位置する、請求項1に記載の作業機。
【請求項5】
前記ピストンが前記第1位置に位置した場合における作業機全体の重心の前記第1方向の位置を第1重心位置とし、前記ピストンが前記第2位置に位置した場合における作業機全体の重心の前記第1方向の位置を第2重心位置として、前記第1重心位置及び前記第2重心位置が、前記操作部の操作範囲の前記第1方向の位置と同じ位置にある、請求項4に記載の作業機。
【請求項6】
前記ハンドル部は、前記モータ支持部から前記第1方向と交差する第2方向の一方側に向かって延びており、
前記第2ハウジングは、前記モータ支持部から前記第1方向の一方側に延びるように前記モータ支持部に組み付けられており、
前記モータ支持部の前記第1方向における一方側の端部は、前記操作部の前記第1方向における一方側の端部よりも、前記第1方向の他方側に位置する、請求項1に記載の作業機。
【請求項7】
前記モータ支持部における前記第1方向の他方側の端部は、前記ハンドル部における前記第1方向の他方側の端部よりも前記第1方向の他方側に位置する、請求項6に記載の作業機。
【請求項8】
前記第1ハウジングは、前記ハンドル部における前記第2方向の一方側の端部に設けられたバッテリ取付部を含み、
前記バッテリ取付部に装着されるバッテリパックを備え、
前記バッテリパックの前記第2方向の一方端に位置する底面のうち、前記第1方向における一方側の端部は、前記操作部の前記第1方向における一方側の端部よりも、前記第1方向の一方側に位置する、請求項6に記載の作業機。
【請求項9】
作業機全体の重心の位置は、前記バッテリパックの底面に対して前記第2方向に並ぶ位置にある、請求項8に記載の作業機。
【請求項10】
前記バッテリ取付部は、
前記バッテリパックを前記第1方向に沿って案内する案内部と、
前記バッテリパックが前記バッテリ取付部に取り付けられる場合に、前記バッテリパックの前記第1方向の一方側の端部と接触する接触部と、
を有している、
請求項9に記載の作業機。
【請求項11】
前記第1ハウジングは、前記第2方向において前記ハンドル部と前記モータ支持部との間に位置する中間部を含み、
前記中間部は、前記第1方向に沿って延び且つ前記第2方向において前記操作部と前記第2ハウジングとの間に位置する延在部を含む、
請求項6に記載の作業機。
【請求項12】
前記モータの駆動力を受けることで回転するファンを有し、
前記モータ支持部は、前記ファンからの排気を前記延在部と前記第2ハウジングとの間に向けて案内する排気通路を有する、請求項11に記載の作業機。
【請求項13】
前記第1ハウジングは、前記モータ支持部と前記延在部とを繋ぐ外壁部を有する、
請求項11又は請求項12に記載の作業機。
【請求項14】
モータと、
前記モータの駆動力を受けて圧力が変化する内部空間を形成する圧力室を有し、前記圧力室の圧力の変化により先端工具に第1方向の一方側に向かう打撃力を付与する打撃部と、
前記モータ及び前記打撃部を支持するハウジングと、を備え、
前記ハウジングは、
前記モータを支持する第1ハウジングと、
前記打撃部を支持し、前記第1ハウジングから前記第1方向の一方側に突出するように前記第1ハウジングに組み付けられた第2ハウジングと、を有し、
前記第1ハウジングは、
前記モータを支持するモータ支持部と、
前記第1方向の一方側に操作部が設けられたハンドル部と、を含み、
作業機全体の重心の前記第1方向における位置が、前記操作部の前記第1方向の操作範囲内に位置する、作業機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モータの駆動により動作する作業機に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載されたハンマドリルは、前後方向に延在された本体ハウジングと、本体ハウジングの後端部から下側へ延出されたハンドルハウジングとを含んで構成されている。本体ハウジングの後部内には、モータが収容されている。本体ハウジングの前部内には、モータの駆動力によって駆動する駆動機構部が収容されている。ハンドルハウジングの上端部には、トリガが設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のハンマドリル(作業機)では、駆動機構部及びモータが操作部よりも前方に位置している。つまり、作業機の全体の重心が操作部よりも前方に位置している。このような構成では、操作部を操作するためにハンドルを持った場合、作業機の前部が下がるように姿勢が変わり易いため、作業機を用いた作業が行いにくくなる虞があった。
【0005】
本発明の目的は、作業性を向上させることができる作業機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一実施形態の作業機は、モータと、前記モータの駆動力を受けて圧力が変化する内部空間を形成する圧力室を有し、前記圧力室の圧力の変化により先端工具に第1方向の一方側に向かう打撃力を付与する打撃部と、前記モータ及び前記打撃部を支持するハウジングと、を備え、前記ハウジングは、前記モータを支持する第1ハウジングと、前記第1ハウジングの前記第1方向の一方側の部位に組付けられており、前記打撃部を支持する第2ハウジングと、を有し、前記第1ハウジングは、前記モータを支持するモータ支持部と、前記第1方向の一方側に操作部が設けられたハンドル部と、を含み、前記第2ハウジングの前記第1方向における他方側の端部は、前記操作部の前記第1方向における一方側の端部よりも、前記第1方向の他方側に位置する。
【0007】
一実施形態の作業機は、モータと、前記モータの駆動力を受けて圧力が変化する内部空間を形成する圧力室を有し、前記圧力室の圧力の変化により先端工具に第1方向の一方側に向かう打撃力を付与する打撃部と、前記モータ及び前記打撃部を支持するハウジングと、を備え、前記ハウジングは、前記モータを支持する第1ハウジングと、前記打撃部を支持し、前記第1ハウジングから前記第1方向の一方側に突出するように前記第1ハウジングに組み付けられた第2ハウジングと、を含み、前記第1ハウジングは、前記モータを支持するモータ支持部と、前記第1方向の一方側に操作部が設けられたハンドル部と、を含み、作業機全体の重心の前記第1方向における位置が、前記操作部の前記第1方向の操作範囲内に位置する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、作業機の作業性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本実施形態のハンマドリルを示す側面図である。
【
図2】バッテリパックを取り外した状態でバッテリパック以外の構造(
図5のA-A線で切った部分)を示す断面図である。
【
図3】第1ハウジング及び第2ハウジングを示す断面図である。
【
図4】第1ハウジングから第2ハウジングを取り外した状態を示す断面図である。
【
図6】ハンマドリルを斜め前方から見た分解斜視図である。
【
図7】ハンマドリルを斜め後方から見た分解斜視図である。
【
図8】
図1のB-B線で切った部分を前方から見た断面図である。
【
図9A】ギヤカバーが取り外され且つインナカバーが設けられた状態における排気通路を示す拡大図である。
【
図9B】ギヤカバーが設けられた状態における排気通路を示す拡大図である。
【
図10】ハンマドリルの上部の内部構造を示す断面図である。
【
図11】ピストンが後方に位置する場合のハンマドリルの重心位置についてサイドハンドルの有無での違いを示す断面図である。
【
図12】ピストンが前方に位置する場合のハンマドリルの重心位置についてサイドハンドルの有無での違いを示す断面図である。
【
図13】バッテリ取付部に各種のバッテリパックが取り付けられた状態を示す説明図である。
【
図14】ハンマドリルを用いた作業の対象領域に向けてLEDが発光している状態を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の一の実施形態について、
図1から
図13までを参照して説明する。なお、
図1から
図13までにおいて、同一又は同様の構成要素には、同一の符号を付して重複した説明を省略する。また、
図1から
図13までにおいては、各構成要素の縮尺や寸法が誇張されて示されている場合や、一部の構成要素が省略されている場合がある。
図4の一部を除いて、各構成要素と符号の対応を明確にするために、断面図でのハッチングを省略している。以下の説明では、特に言及がない場合、「第1」、「第2」等の用語は、構成要素を互いに区別するために使用されており、特定の順位や順番を表すものではない。
【0011】
以下の説明において、「前後方向」とは、後述する圧力室108と先端工具12とが並ぶ方向であり、「第1方向」の一例である。前後方向をX方向として、矢印Xで示す。矢印Xの先端側が前側に相当し、矢印Xの基端側が後側に相当する。前側は、第1方向の一方側の一例である。後側は、第1方向の他方側の一例である。なお、説明の便宜上、前後方向は水平方向に沿っており、上下方向は鉛直方向に沿っている。
【0012】
「上下方向」とは、後述するハンドル部32が延びる方向であり、前後方向と直交(交差)する方向である。換言すると、「上下方向」は、第1方向と交差する「第2方向」の一例である。上下方向をZ方向として、矢印Zで示す。矢印Zの先端側が上側に相当し、矢印Zの基端側が下側に相当する。下側は、第2方向の一方側の一例である。上側は、第2方向の他方側の一例である。
【0013】
「左右方向」とは、前後方向及び上下方向の両方と直交(交差)する方向である。左右方向をY方向として、矢印Yで示す。矢印Yの先端側が右側に相当し、矢印Yの基端側が左側に相当する。
【0014】
[ハンマドリルの概要]
図1には、作業機の一例であるハンマドリル10の外観が示されている。ハンマドリル10は、ハウジング22と、操作部132と、サイドハンドル78と、バッテリパックBPと、を含んでいる。
【0015】
図2に示されるように、ハンマドリル10は、具体的には、モータ14と、ハウジング22と、ファン96と、打撃部102と、を備えている。さらに、ハンマドリル10は、後述するサイドハンドル78と、操作部132と、バッテリパックBPと、LED(Light Emitting Diode)152と、を備えている。ハンマドリル10は、モータ14の動力を先端工具12に伝達することで先端工具12を回転させる機能と、モータ14の回転運動を往復運動に変換することで先端工具12に打撃力を与える機能とを有する。
【0016】
なお、
図2には、バッテリパックBP単独での重心BGと、バッテリパックBPを取り外した場合のハンマドリル10の重心Gと、バッテリパックBP及びサイドハンドル78を取り外した場合の重心Kとが示されている。
【0017】
〔モータ〕
モータ14は、後述するモータ支持部26に設けられている。モータ14は、モータ支持部26に固定されたステータ16と、回転可能なロータ17とを有するブラシレスモータである。ステータ16はコイルを有しており、中心線Aを中心とする半径方向で、ロータ17の外側に配置されている。中心線Aは、前後方向に沿っている。ロータ17は、中心線Aを中心として回転可能である。ロータ17は、出力軸18と、出力軸18に取り付けられた永久磁石19とを有している。出力軸18の前側部分の外周面には、出力ギヤ21が形成されている。
【0018】
モータ14は、バッテリパックBPから電力を供給されることで動作可能となっている。モータ14では、後述するトリガ136が操作された場合、バッテリパックBPからステータ16のコイルへ電流が流れることで、ステータ16とロータ17との間に磁界が形成され、ロータ17が回転するようになっている。
【0019】
〔ハウジング〕
図3に示されるように、ハウジング22は、ハンマドリル10の外郭部分を構成している。なお、
図3では、ハウジング22の内部に収容された各部品の図示が省略されている。ハウジング22は、モータ14及び打撃部102(
図2)を支持する。具体的には、ハウジング22は、第1ハウジング24と、第2ハウジング56とを有する。第2ハウジング56は、第1ハウジング24の前後方向の前端部に取り付けられている。
【0020】
<第1ハウジング>
図5及び
図6に示されるように、第1ハウジング24は、前後方向及び上下方向を含む分割面M(
図5)によって、左右に分割されている。第1ハウジング24のうち、右半分を右側ハウジング24Aとし、左半分を左側ハウジング24Bとする。
【0021】
図2に示されるように、第1ハウジング24は、モータ14を支持する。具体的には、第1ハウジング24は、モータ14を支持するモータ支持部26と、前後方向の一方側に操作部132が設けられたハンドル部32と、中間部36と、バッテリ取付部44と、を含む。さらに、第1ハウジング24は、外壁部54(
図6)を有する。
【0022】
(モータ支持部)
図6及び
図7に示されるように、モータ支持部26は、前後方向に沿った中心軸を有する筒形状に形成されている。モータ支持部26の後端は、後壁27により閉じられている。後壁27は、モータ支持部26の前後方向の後側の端部の一例である。モータ支持部26の前部は、後述する排気通路31(
図2)を除いて、前壁28により閉じられている。なお、モータ支持部26における前壁28よりも前側には、周壁部29(
図6)が設けられている。周壁部29は、モータ支持部26の前端部の一例である。
【0023】
図8に示されるように、周壁部29は、ファン96を囲んでいる。周壁部29には、排気通路31が形成されている。排気通路31は、モータ支持部26を前側から見た場合、周壁部29の下端の一部を上下方向に貫通している。排気通路31は、ファン96からの排気を、後述する延在部38と第2ハウジング56(
図3)との間に向けて前側に案内する。
【0024】
図9Aには、インナカバー84のみがモータ支持部26に取り付けられた状態で、排気通路31を前側から見た状態が示されている。インナカバー84とモータ支持部26との間から排気された空気は、排気通路31を通ってハンマドリル10の外部に排気される。
【0025】
図9Bには、ギヤカバー58がモータ支持部26に取り付けられた状態で、排気通路31を前側から見た状態が示されている。ギヤカバー58が取り付けられた状態であっても、ギヤカバー58と延在部38との間には、上下方向の隙間がある。このため、排気通路31から排気された空気は、ギヤカバー58と延在部38との間を通り、ハンマドリル10の外部へ排気可能となっている。
【0026】
図6及び
図7に示されるように、モータ支持部26には、第1ハウジング24の内部と外部とを連通する複数の貫通孔33が設けられている。複数の貫通孔33は、モータ14の駆動により生じた熱によって加熱された空気を外部に排出するために設けられている。
【0027】
(ハンドル部)
図6に示されるように、ハンドル部32は、モータ支持部26の下端部から上下方向の下側に向かって延びている。具体的には、ハンドル部32は、モータ支持部26の下端部における前側部分から斜め下方に延びている。ハンドル部32のうち、後述するトリガ136が突出される部位を前端部32Aとする。ハンドル部32の前後方向の後側の端部を後端部32Bとする。後端部32Bは、前後方向において後壁27よりも前側に位置している。
【0028】
(中間部)
図2に示されるように、中間部36は、上下方向においてハンドル部32とモータ支持部26との間に位置する部位である。中間部36は、一例として、モータ支持部26の下端部の一部を構成すると共に、ハンドル部32の上端部の一部を構成している。中間部36は、延在部38を含む。
【0029】
延在部38は、一例として、ハンドル部32の上端部から前後方向に沿って前側に延びている。延在部38は、上下方向において操作部132と第2ハウジング56との間に位置している。延在部38は、上下方向に所定の厚さを有する板状に形成されている。延在部38の上面38Aは、前後方向及び左右方向に沿った平面状に形成されている。
【0030】
第1ハウジング24の内側には、不図示のハーネスが設けられている。当該ハーネスは、不図示のコネクタを介して、モータ14及び後述するバッテリパックBP等に電気的に接続される。また、第1ハウジング24の内側には、制御回路部42が設けられている。制御回路部42は、バッテリパックBPから供給される電力を、モータ14に供給する制御等を行うものである。さらに、第1ハウジング24の後端部における下端部には、メインスイッチSWが設けられている。メインスイッチSWが操作されることで、モータ14の最高回転速度の変更やモータ14の自動停止機能の実施と非実施との間の切替などを行う。
【0031】
(バッテリ取付部)
図2に示されるように、バッテリ取付部44は、ハンドル部32における上下方向の下端部に設けられている。バッテリ取付部44は、一例として、前後方向に延びる案内部46と、案内部46の前端部46Aから上下方向に沿って下側に延びる接触部47と、端子部53(
図6)と、を有している。
【0032】
案内部46は、ハンドル部32の下端部に左右対称に1組設けられている。案内部46は、支持レール48と、凹部49と、凸部51と、レール溝部52とを有する。支持レール48は、上下方向に所定の厚さを有する板状に形成されている。凹部49は、支持レール48に対する後側に位置しており、左右方向の内側に向けて開口した部位である。凸部51は、凹部49に対する後側に位置しており、左右方向の内側に向けて突出した部位である。
【0033】
レール溝部52は、支持レール48に対して上側に位置している。レール溝部52は、前後方向から見た場合に、左右方向の内側に向けて開口するU字形状に形成されている。なお、支持レール48の上面は、レール溝部52の底面として機能する。案内部46は、支持レール48が後述するレール部142を支持することで、バッテリパックBPを前後方向に沿って案内する。
【0034】
端子部53(
図6)は、金属製の複数の端子から成る。端子部53は、1組の案内部46の間で且つ接触部47に対する後側に位置している。端子部53は、バッテリパックBPの不図示の端子部と接触可能である。
【0035】
図5に示されるように、接触部47は、前側から見た場合、バッテリパックBPの前面BFの大部分を覆う大きさを有する。バッテリパックBPがバッテリ取付部44に取り付けられる場合、接触部47の後端面は、接触部47に設けられた弾性体を介して前面BFと接触する。これにより、バッテリパックBPがバッテリ取付部44に対して前側に突出することが規制されている。
【0036】
(外壁部)
図1に示されるように、外壁部54は、モータ支持部26と延在部38とを繋いでいる。具体的には、外壁部54は、前壁28の左右方向の両端部と、延在部38の左右方向の両端部とを繋いでいる。ハンマドリル10を左右方向から見た場合、外壁部54は、後述するギヤカバー58の後端部における下部を覆っている。このように、外壁部54は、ギヤカバー58に対して左右方向の両外側に位置している。また、外壁部54は、左右方向から見た場合、直角三角形状に形成されている。外壁部54は、上面38Aに向けて斜め下方に延びる斜面54Aを有する。
【0037】
<第2ハウジング>
図3及び
図4に示されるように、第2ハウジング56は、第1ハウジング24の前後方向における前側の部位に組付けられている。さらに、第2ハウジング56は、第1ハウジング24から前後方向の前側に突出するように第1ハウジング24に組み付けられている。つまり、第2ハウジング56は、モータ支持部26から前側に延びるようにモータ支持部26に組み付けられている。第2ハウジング56は、後述する打撃部102(
図2)を支持する。
【0038】
具体的には、第2ハウジング56は、ギヤカバー58と、ギヤカバー58の内側に設けられたインナカバー84と、を有する。ギヤカバー58とインナカバー84とは、不図示の締結部材により固定されている。ギヤカバー58と第1ハウジング24とは、不図示の締結部材により固定されている。
【0039】
(ギヤカバー)
図10に示されるように、ギヤカバー58は、前後方向に沿った中心線を有する筒形状に形成されている。ギヤカバー58は、一例として、樹脂製の部材である。ギヤカバー58には、後述するインナカバー84によって後端部が覆われることで、収容室SVが形成されている。収容室SVには、中間シャフト62、2つの軸受66及び打撃部102等が設けられている。また、収容室SVには、不図示の潤滑油が封入されている。なお、インナカバー84には、不図示の孔部が形成されている。これにより、ハンマドリル10の動作中に、ギヤカバー58の内部の温度変化に伴って圧力が上昇する場合、当該孔部から圧力を開放することで、圧力上昇が抑制されている。なお、
図10では、サイドハンドル78(
図1)の図示が省略されている。
【0040】
中間シャフト62は、出力軸18の動力を先端工具12に伝達する機能を有する。中間シャフト62は、2つの軸受66により中心線Bを中心として回転自在に支持されている。中心線Bは、中心線Aと平行であり且つ非同軸となるように、上下方向にずれて配置されている。中間シャフト62の後部には、後側ギヤ63が設けられている。後側ギヤ63は、出力ギヤ21と噛み合わされている。中間シャフト62の前部には、前側ギヤ64が設けられている。
【0041】
ギヤカバー58の内部には、シリンダ68が設けられている。シリンダ68は、中間シャフト62のトルクを先端工具12に伝達する要素である。シリンダ68は、中心線Cを中心として同軸に設けられた第1円筒部71及び第2円筒部72を有する。第1円筒部71の内径は、第2円筒部72の内径よりも大きい。第1円筒部71の外周面には、ギヤ74が取り付けられている。ギヤ74は、シリンダ68と一体化されており、且つ前側ギヤ64と噛み合わされている。
【0042】
ギヤカバー58は、前後方向の中央よりも前側に前側円筒部76を有している。前側円筒部76の外周面には、後述するサイドハンドル78(
図1)が取り付けられている。前側円筒部76の内周面には、軸受82が取り付けられている。なお、ギヤカバー58のうち前後方向の最も後端に位置する部位を後端部59とする。後端部59は、第2ハウジング56の後側の端部に相当する。
【0043】
(インナカバー)
インナカバー84は、熱伝導性に優れた金属材料、例えば、アルミニウム等により構成されている。インナカバー84は、ギヤカバー58の後端部分を後側から覆っている。ハンマドリル10において、インナカバー84は、第1ハウジング24と第2ハウジング56とを前後方向に区画する隔壁としての機能を有している。
【0044】
インナカバー84の外周面とギヤカバー58の内周面との間には、Oリング85が設けられている。インナカバー84の上下方向の中央部には、内筒部84Aが設けられている。内筒部84Aには、軸受86が取り付けられている。出力軸18の前部は、軸受86によって回転自在に支持されている。出力軸18の後部は、不図示の軸受によって回転自在に支持されている。軸受86と内筒部84Aとの間には、Oリング87が設けられている。なお、出力ギヤ21の前端部は、インナカバー84を越えてギヤカバー58の内側に位置している。また、インナカバー84の内周面における前端部には、軸受88が取り付けられている。
【0045】
ギヤカバー58の軸受82と、インナカバー84の軸受88とは、同軸に配置されている。第1円筒部71は、軸受88により回転可能に支持されている。第2円筒部72は、軸受82により回転可能に支持されている。つまり、シリンダ68は、2つの軸受82、88により、中心線Cを中心として回転自在に設けられている。中心線Cは、中心線A及び中心線Bと平行に位置している。中心線Aは、中心線Cよりも下側に位置している。中心線Bは、中心線Aよりも下側に位置している。
【0046】
第2円筒部72の先端(前端)は、前側円筒部76の外部に向けて露出されている。先端工具12は、第2円筒部72内に挿入されている。先端工具12の外周面には、中心線Cに沿った方向の長さを有する不図示の溝が設けられている。
【0047】
第2円筒部72の前端部には、エンドカバー92が取り付けられている。エンドカバー92は、シリンダ68と一体に回転される。第2円筒部72は、ボール94を保持している。ボール94は先端工具12に係合することで、先端工具12の抜け止めを行う。また、シリンダ68には中心線Cに沿った方向に延びる突条が形成されており、この突条が先端工具12と係合することで、シリンダ68と先端工具12との相対回転が防止されている。これにより、シリンダ68のトルクが先端工具12に伝達されることで、先端工具12が回転する。なお、先端工具12は、エンドカバー92を前方に引き出すことで、交換が可能となる。
【0048】
〔ファン〕
ファン96は、出力軸18に取り付けられている。また、ファン96は、前壁28に対して前側に位置している。つまり、ファン96は、第1ハウジング24の前端部且つ内側に位置している。ファン96は、モータ14の駆動力を受けることで回転する。ファン96は、遠心ファンとして構成されている。ファン96は、第2ハウジング56及び後述する打撃部102等を冷却する空気の流れを形成するための機構部である。
【0049】
具体的には、第2ハウジング56の収容室SVで生じた熱は、インナカバー84に伝達される。インナカバー84に伝達された熱によって、インナカバー84が加熱される。ここで、ファン96からの送風によって熱交換が行われることで、インナカバー84が冷却される。そして、温度が上昇した空気は、貫通孔33(
図1)及び排気通路31を通って第2ハウジング56の外部に排出される。このようにして、ハンマドリル10の動作時には、第2ハウジング56及び第2ハウジング56の内部の温度上昇が抑制されるようになっている。
【0050】
第2ハウジング56の内部の温度上昇が抑制されていることで、潤滑油の粘度が低下することが抑制される。これにより、潤滑油が第2ハウジング56の外部に漏れること等が抑制される。また、第2ハウジング56の内部の温度上昇が抑制されることで、後述する圧力室108の空気圧が、目標値に対して変化することが抑制されている。
【0051】
〔打撃部〕
打撃部102は、シリンダ68の内側に位置するピストン104を有する。ピストン104は、第1位置P1(
図12)と、第1位置P1よりも前後方向の後側の第2位置P2(
図11)との間を、モータ14の駆動力によって前後方向に往復運動する。ピストン104は、モータ14の駆動力を受けて圧力が変化する内部空間を形成する圧力室108を有する。つまり、打撃部102は、圧力室108を有する。打撃部102は、圧力室108の圧力の変化によって、先端工具12に前後方向の前側に向かう打撃力を付与する部位である。
【0052】
具体的には、ピストン104は、第1円筒部71内で前後方向に移動可能に設けられている。ピストン104は、前後方向に延びる円筒部105と、円筒部105の後端を塞ぐ底部106とを有する。底部106は、ピストン104の後端部の一例である。円筒部105には、径方向に貫通する通気孔107が設けられている。前側円筒部76の内側には、打撃子110が挿入されている。
【0053】
打撃子110は、ピストン104の内側で前後方向に移動可能に設けられている。円筒部105の内側で且つ打撃子110と底部106との間の部分が、圧力室108に相当する。圧力室108の容積は、ピストン104が前後方向に往復運動した場合に生じる打撃力が目標値となるように、予め設定されている。打撃子110の一部の外周面には、Oリング111が取り付けられている。Oリング111は、打撃子110と円筒部105との間を気密に維持している。
【0054】
シリンダ68内において、打撃子110と先端工具12との間には、中間子112が設けられている。中間子112は、圧力室108の圧力の上昇に伴って打撃子110に加えられた打撃力を、打撃子110から受けると共に先端工具12に伝達する。
【0055】
一方、第2ハウジング56の内部には、中間シャフト62の回転運動をピストン104の往復運動に変換するレシプロベアリング114が設けられている。レシプロベアリング114は、内輪114A及び外輪114Bを有する。内輪114Aは、中間シャフト62の外周面に取り付けられている。内輪114Aは、中間シャフト62と相対回転が可能である。内輪114Aの外周面には、不図示の溝が形成されている。外輪114Bと内輪114Aとの間には、転動体116が周方向に複数設けられている。また、外輪114Bには、連結棒118が設けられている。連結棒118は、ピストン104に連結されている。このため、外輪114Bは、中心線Bを中心として回転することはない。
【0056】
第2ハウジング56の内部には、クラッチ122が設けられている。クラッチ122は、内輪114Aと中間シャフト62との間の動力伝達経路を接続及び遮断するための機構部である。クラッチ122は、中間シャフト62と一体に回転すると共に、中間シャフト62に対して中心線Bに沿った方向に移動可能である。クラッチ122が、中心線Bに沿って後側に移動して停止した場合、中間シャフト62と内輪114Aとの間の動力伝達経路が接続される。つまり、クラッチ122が係合状態となる。
【0057】
クラッチ122が、中心線Bに沿って前側に移動して停止した場合、中間シャフト62と内輪114Aとの間の動力伝達経路が遮断される。つまり、クラッチ122が解放状態となる。クラッチ122の係合状態、解放状態は、作業者が切替レバー124を操作することで切り替えられる。
【0058】
クラッチ122が係合状態で且つ中間シャフト62が回転された場合、転動体116が溝に沿って転動し、外輪114Bは、中心線Bを中心として所定の角度の範囲内で揺動される。外輪114Bが揺動されることで、ピストン104が中心線Cに沿った方向に往復運動する。
【0059】
切替レバー124は、第2ハウジング56の左側面に揺動可能に設けられている。切替レバー124は、後述するトリガ136に対して上側に位置している。作業者が、切替レバー124の位置を揺動方向の一方側の位置又は他方側の位置に切り替えることで、ハンマドリル10の動作モードが切り替わる。ハンマドリル10の動作モードには、打撃を行わないドリルモードと、打撃を行うハンマドリルモードとがある。例えば、切替レバー124の操作によって、ハンマドリルモードからドリルモードに切り替わる場合、レシプロベアリング114とクラッチ122との係合が外れてドリルモードとなる。
【0060】
〔サイドハンドル〕
図1及び
図5に示されるように、サイドハンドル78は、筒状の取付部78Aと、取付部78Aの左側部から上下方向の下側へ延びる円柱状のハンドル本体部78Bとを有する。取付部78Aは、ギヤカバー58の前側円筒部76に取り付けられている。作業者は、ハンマドリル10を操作する場合、左手でハンドル本体部78Bを掴んだ状態で、右手で操作部132を操作する。なお、サイドハンドル78は、バッテリ取付部44の接触部47に対して、前後方向の前側に位置している。このため、サイドハンドル78とバッテリパックBPとが接触(干渉)することはない。
【0061】
〔操作部〕
図11及び
図12に示されるように、操作部132は、ハンドル部32の上部の内側で、且つ延在部38よりも下側の部位に設けられている。操作部132は、一例として、スイッチ本体部134と、レバー135と、トリガ136とを有する。
【0062】
<スイッチ本体部>
スイッチ本体部134は、ハンドル部32の内側に固定されている。スイッチ本体部134は、バッテリパックBPから電力が供給される。スイッチ本体部134は、左右方向から見た場合、四角形状に形成されている。スイッチ本体部134の前端部には、レバー135が設けられている。レバー135は、トリガ136に向けてスイッチ本体部134から突出されている。
【0063】
レバー135は、不図示のばね部材によって前側に向けた弾性力を受けており、トリガ136を操作前の位置へ復帰可能に構成されている。レバー135がトリガ136によって後側に押された場合、スイッチ本体部134から制御回路部42に動作開始の信号が送信される。なお、スイッチ本体部134の前後方向の後端に位置する部位を後端部134Aとする。
【0064】
<トリガ>
トリガ136は、スイッチ本体部134に対して前側に位置している。トリガ136は、ハンドル部32に設けられた案内壁138に案内されることで、前後方向に移動可能とされている。トリガ136は、左右方向から見た場合、前後方向に沿った下面136A及び上面136Bと、上下方向に沿った後面136Cと、曲面から成る前面136Dとを有するブロック状に形成されている。前面136Dは、操作部132の前側の端部の一例である。
【0065】
トリガ136が操作されていない状態において、トリガ136の前後方向の中央よりも前側の部分は、ハンドル部32の前端部よりも前側に突出されている。トリガ136は、作業者によって前後方向に操作される。トリガ136が操作前の位置にある場合、ハンマドリル10は動作OFFの状態にある。トリガ136が操作前の位置に対して後側に位置している場合、ハンマドリル10は動作ONの状態にある。なお、前面136Dの前後方向の位置は、延在部38の前端部の位置よりも後側にある。
【0066】
〔バッテリパック〕
図2に示されるように、バッテリパックBPは、バッテリ取付部44に装着される。バッテリパックBPは、前面BFと、底面BMとを含んでいる。底面BMのうち、前後方向の前側の端部を前端部BMFとする。バッテリパックBPの上部には、バッテリパックBPの左右方向の中央部分から左側及び右側にそれぞれ突出した、フランジ状のレール部142が設けられている。レール部142の下側には、前後方向に延びる係合溝143が形成されている。係合溝143の後部には、ラッチ部144が設けられている。ラッチ部144は、係合溝143から左右方向の両側へ突出されている。ラッチ部144は、不図示のばねから弾性力を受けており、左右方向に変位可能である。
【0067】
ここで、バッテリパックBPをバッテリ取付部44に対して後側から前側に向けて移動させることで、レール部142が、レール溝部52と係合する。そして、レール部142が支持レール48に沿って前側へ案内されることで、バッテリパックBPの前面BFの一部が弾性体を介して接触部47と接触する。このとき、ラッチ部144が凹部49と係合する。これにより、バッテリパックBPがバッテリ取付部44に取り付けられる。
【0068】
図13に示されるように、本実施形態では、バッテリ取付部44に取り付け可能なバッテリパックBPの例として、容量及び大きさが異なる3種類のバッテリパックBP1、BP2、BP3がある。バッテリパックBP2は、バッテリパックBP1よりも大きい。バッテリパックBP3は、バッテリパックBP2よりも大きい。なお、バッテリパックBPは、大型になるほど、バッテリ取付部44に対して前後方向の後側への突出量が大きくなっている。なお、
図13には、バッテリパックBP2のみについての重心BGが示されている。
【0069】
〔LED〕
図14に示されるように、LED152は、バッテリ取付部44の前端且つ上端の部位に取り付けられている。LED152は、トリガ136が操作されることで点灯する。LED152は、LED152から出射された光LTが、先端工具12が孔をあける対象領域を照らすように、LED152の設置角度及び照射範囲(角度θ)が決定されている。
【0070】
〔ハンマドリルの各部の位置関係〕
図11及び
図12に示されるように、第2ハウジング56の前後方向における後側の端部(後端部59)は、操作部132の前後方向における前側の端部(前面136D)よりも、前後方向の後側に位置している。なお、以後の説明において、ハンマドリル10全体とは、サイドハンドル78、先端工具12及びバッテリパックBPも含めたものを意味する。
【0071】
図10に示されるように、バッテリパックBP(
図1)が無い場合において、ハンマドリル10全体の重心Gとする。また、バッテリパックBP及びサイドハンドル78(
図1)が無い場合において、ハンマドリル10全体の重心Kとする。前後方向において、重心Gの位置は、重心Kの位置よりも僅かに前側にある。前後方向において、重心G、重心Kの位置は、操作部132の位置と同じ位置にある。また、重心G、重心Kの位置は、操作部132の位置に対して上下方向の上側にある。
【0072】
操作部132の前後方向の位置とは、非操作時における前面136Dから後端部134Aまでの前後方向の位置(範囲)を意味する。第2ハウジング56の前後方向における後側の端部(後端部59)は、ハンドル部32の前後方向における前側の端部(前端部32A)よりも、前後方向の後側に位置している。
【0073】
図11に示されるように、ピストン104が第2位置P2に位置する場合、ピストン104の前後方向における後端部109は、前後方向において、前面136Dよりも後側に位置している。ピストン104が第2位置P2に位置した場合におけるハンマドリル10全体の重心Gを重心G2とする。サイドハンドル78を含まない場合のものを重心K2とする。また、重心G2の前後方向の位置を第2重心位置PCとする。重心K2の前後方向の位置を位置PDとする。前後方向において、第2重心位置PCは、位置PDよりも僅かに前側にある。
【0074】
図12に示されるように、ピストン104が第1位置P1に位置した場合におけるハンマドリル10全体の重心Gを重心G1とする。サイドハンドル78を含まない場合のものを重心K1とする。また、重心G1の前後方向の位置を第1重心位置PAとする。重心K1の前後方向の位置を位置PBとする。前後方向において、第1重心位置PAは、位置PBよりも僅かに前側にある。
【0075】
図11及び
図12に示されるように、前後方向において、第1重心位置PAと第2重心位置PCは、操作部132(トリガ136)の操作範囲SAの位置と同じ位置にある。なお、「前後方向において同じ位置にある」とは、前後方向において同じ位置で且つ上下方向において異なる位置にあることを含む。
【0076】
操作範囲SAは、トリガ136が前後方向に操作された場合に、トリガ136の全体が通過する範囲全体を意味する。つまり、操作範囲SAは、前面136Dが移動した範囲に限られるものではない。なお、前後方向において、位置PB及び位置PDも操作範囲SAの位置と同じ位置にある。
【0077】
モータ支持部26の前後方向における前側の端部(周壁部29の前端)は、前面136Dよりも、前後方向の後側に位置している。モータ支持部26の後壁27は、ハンドル部32の後端部32Bよりも前後方向の後側に位置している。
【0078】
バッテリパックBPの上下方向の一方端(下端)に位置する底面BMのうち、前端部BMFは、前面136Dよりも前後方向の前側に位置している。
【0079】
ハンマドリル10全体の重心G、Kの前後方向における第1重心位置PA、位置PB、第2重心位置PC、位置PDは、バッテリパックBPの底面BMに対して、それぞれ上下方向に並ぶ位置にある。
【0080】
なお、ハンマドリル10の重心の位置を求める方法の一例として、ハンマドリル10の任意の1点に紐をつけて垂らし、紐の第1延長線を引いた後で、ハンマドリル10の他の1点に紐をつけて垂らし、同様に第2延長線を引く方法がある。この方法では、第1延長線と第2延長線との交点が重心となる。
【0081】
[本実施形態の作用]
図10に示されるように、ハンマドリル10には、先端工具12が取り付けられている。ハンマドリル10では、作業者によって、サイドハンドル78(
図1)が掴まれた状態でハンドル部32が掴まれる。ここで、先端工具12が対象物に押し付けられた状態で、トリガ136が引かれる(操作される)。これにより、モータ14に電力が供給されてロータ17(
図2)が回転され、出力軸18のトルクが、出力ギヤ21及び後側ギヤ63を経由して、中間シャフト62に伝達される。中間シャフト62のトルクは、前側ギヤ64及びギヤ74を経由して、シリンダ68に伝達される。シリンダ68のトルクは先端工具12に伝達される。
【0082】
切替レバー124が他方側に操作されることで、ドリルモードが選択された場合、クラッチ122は解放状態となる。このため、中間シャフト62の回転運動は、ピストン104の往復運動に変換されなくなる。これにより、先端工具12には、打撃力が加えられない。
【0083】
一方、切替レバー124が一方側に操作されることで、ハンマドリルモードが選択された場合、クラッチ122は係合状態となる。このため、中間シャフト62の回転運動は、ピストン104の往復運動に変換される。
【0084】
打撃子110のOリング111が、通気孔107よりも前側に位置している場合、圧力室108は、通気孔107を介してピストン104の外部と連通している。なお、先端工具12を対象物に押付けた場合、打撃子110が後側に動作する。このため、通気孔107は、打撃子110により閉じられるようになっている。
【0085】
ピストン104が前側に動作した場合、圧力室108の圧力が上昇し、打撃力が発生する。発生した打撃力は、打撃子110及び中間子112を経由して先端工具12に伝達される。これにより、先端工具12は、回転しながら打撃される。なお、打撃子110が前側に移動した場合、通気孔107が開放されることで、圧力室108が大気と連通して圧力が低下する。これにより、打撃力が低下して打撃子110が停止する。その後、ピストン104の前後方向の往復運動に伴い、上記の作用が繰り返される。
【0086】
以下、
図1から
図14までを参照して、ハンマドリル10の各作用について説明する。なお、個別の図番の記載は省略する。
【0087】
ハンマドリル10では、第2ハウジング56の後端部59が、操作部132の前面136Dよりも後側に位置している。このため、打撃部102の前後方向における位置を、前面136Dの位置を基準として、モータ支持部26側(後側)に近づけることが可能となる。換言すると、打撃部102が、モータ14及び操作部132に対して前後方向に離れた位置に配置されにくくなるので、操作部132に対するモータ14及び打撃部102の重量バランスを向上させることができる。これにより、ハンマドリル10の作業性を向上させることができる。
【0088】
ハンマドリル10では、前後方向において、ハンマドリル10全体の重心Gの位置が操作部132の位置にあることで、操作部132が操作されても、重心Gの位置が前後方向にずれにくい。このため、操作部132が操作された場合に、ハンマドリル10が前後方向と交差する方向に傾倒されにくくなる。これにより、ハンマドリル10を用いた作業を行い易くすることができる。
【0089】
ハンマドリル10では、打撃部102がハンドル部32の前端部32Aよりも前後方向の後側に位置している。このため、ハンドル部32が握られた場合、重心Gの位置が前側へずれにくいので、ハンマドリル10が前後方向の前側へ傾倒されにくくなる。これにより、ハンマドリル10を取り扱いやすくなる。
【0090】
ピストン104が第1位置P1にある場合の方が、第2位置P2にある場合に比べて、ハンマドリル10の前後方向の前側部分が重くなり易い。ここで、ハンマドリル10では、ピストン104が第1位置P1にある場合でも、ピストン104の前後方向における後端部109が、操作部132の前面136Dよりも前後方向の後側に位置する。つまり、打撃部102が打撃動作を行っているときに、重量が比較的重い部分が、操作部132に対して前後方向の前側に偏りにくいので、ハンマドリル10の重量バランスが打撃動作中に崩れることを抑制することができる。
【0091】
ハンマドリル10では、前後方向において、第1重心位置PA及び第2重心位置PCが、操作部132の操作範囲SAの位置と同じ位置にある。これにより、操作部132を操作している途中で、ハンマドリル10全体の重心Gの位置が前後方向の前側へずれにくくなるので、操作部132を操作し易くなる。
【0092】
ハンマドリル10では、モータ支持部26が、操作部132よりも前後方向の前側に位置していないことで、操作部132に対して、前後方向の前側に重量が比較的重い部分が偏りにくくなっている。これにより、操作部132に対するモータ14及び打撃部102の重量バランスを向上させることができる。
【0093】
ハンマドリル10では、モータ支持部26の後端部(後壁27)が、ハンドル部32の後端部32Bよりも前後方向の後側に位置している。これにより、モータ14の中心の位置が、ハンドル部32に対して前後方向の後側に位置し易くなるので、前後方向の前側に位置する打撃部102との重量バランスをとり易くすることができる。
【0094】
ハンマドリル10では、比較的重量のあるバッテリパックBPの一部が、操作部132よりも前後方向の前側に位置することで、バッテリパックBPの前後方向の位置を、打撃部102の前後方向の位置に近づけることができる。これにより、バッテリパックBPが打撃部102に対して前後方向の後側へ離れて位置する構成と比べて、ハンマドリル10の重量バランスを取り易くすることができる。
【0095】
ハンマドリル10では、ハンマドリル10全体の重心Gの位置が、バッテリパックBPの底面BMに対して上下方向に並ぶ位置にある。換言すると、ハンマドリル10全体の重心Gの前後方向における位置が、バッテリパックBPから離れた位置に設定されていない。これにより、ハンマドリル10が前後方向の前側に傾倒することを抑制できるので、ハンマドリル10を自立させ易くすることができる。
【0096】
ハンマドリル10では、バッテリパックBPが、案内部46に案内されることで前後方向に移動可能となっている。そして、バッテリパックBPは、前後方向の前側に位置する接触部47と弾性体を介して接触することで、前後方向の移動が規制されると共に、バッテリ取付部44に取り付けられる。このように、バッテリパックBPが前後方向の後側から前側に向けてバッテリ取付部44に取り付けられることで、前後方向の前側に位置する打撃部102との重量バランスをとり易くなる。これにより、バッテリパックBPがバッテリ取付部44に取り付けられる場合に、ハンマドリル10が傾倒するのを抑制することができる。
【0097】
ハンマドリル10では、中間部36に含まれる延在部38が、操作部132と第2ハウジング56との間で前後方向に延びている。ここで、打撃部102の動作によって第2ハウジング56の内部の温度が上昇し、且つ第2ハウジング56の周囲の空気の温度が上昇した場合、延在部38が、第2ハウジング56から操作部132へ向かう空気の流れを制限するので、操作部132(トリガ136)の温度上昇を抑制することができる。
【0098】
先端工具12が打撃部102から衝撃力を受けることで、作業の対象領域からハンマドリル10の周囲に埃等が飛散する可能性がある。ここで、ハンマドリル10では、ファン96からの排気が、排気通路31を通って延在部38と第2ハウジング56との間に流れることで、埃等を除去するので、延在部38と第2ハウジング56との間に埃等が堆積することを抑制することができる。
【0099】
ハンマドリル10では、モータ支持部26と延在部38とを繋ぐ外壁部54が、延在部38の基端部とモータ支持部26との間に作用する応力の一部を受けるので、延在部38の基端部とモータ支持部26との間に応力が集中するのを抑制することができる。
【0100】
ハンマドリル10では、ハンマドリル10全体の重心Gの前後方向における位置が、操作部132の前後方向の操作範囲SA内に位置している。つまり、操作部132を操作しているときに、ハンマドリル10全体の重心Gの前後方向における位置が前側又は後側にずれにくいので、操作部132に対するモータ14及び打撃部102の重量バランスを向上させることができる。これにより、ハンマドリル10の作業性を向上させることができる。
【0101】
ハンマドリル10では、操作部132の前後方向及び上下方向の位置が、第2ハウジング56の位置に近い配置となっていることで、切替レバー124と操作部132とが近い位置にある。このため、作業者が操作部132の操作をするときに、切替レバー124によるモード切替を行い易くなる。
【0102】
ハンマドリル10では、ハンドル部32(バッテリ取付部44)がハンマドリル10の後端部よりも前側に位置している。これにより、先端工具12が孔をあける対象領域に対して、LED152を近づけることができるので、LED152からの光LTによって、対象領域を明るく照らすことができる。
【0103】
ハンマドリル10では、接触部47がバッテリ取付部44の前端部に位置している。これにより、先端工具12を下側に向けて作業するとき、バッテリパックBPが、弾性体を介して接触部47と接触することで落下しにくくなる。また、ハンマドリル10を用いて上向きに作業する場合、作業中に粉塵が生じるが、接触部47が粉塵と接触することで、バッテリ取付部44とバッテリパックBPとの間に粉塵が侵入することを抑制できる。
【0104】
〔本実施形態の変形例〕
本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。以下、変形例について説明する。
【0105】
ハンマドリル10全体の重心Gの前後方向の位置が、操作部132の前後方向の位置とは異なる位置にあってもよい。第2ハウジング56の前後方向における後側の端部は、ハンドル部32の前後方向における前側の端部よりも、前後方向の前側に位置してもよい。換言すると、第2ハウジング56の後端部が、操作部132の前端部よりも後側に位置していればよい。
【0106】
ピストン104が第1位置P1に位置した場合、ピストン104の前後方向における後側の端部は、操作部132の前側の端部よりも、前側に位置してもよい。第1重心位置PA及び第2重心位置PCが、操作部132の操作範囲SAの前後方向の位置と異なる位置にあってもよい。
【0107】
モータ支持部26の前後方向における前側の端部は、操作部132の前後方向における前側の端部よりも後側に位置してもよい。モータ支持部26における前後方向の後側の端部は、ハンドル部32における前後方向の後側の端部よりも前側に位置してもよい。
【0108】
バッテリパックBPの底面BMのうち、前後方向における前側の端部は、操作部132の前後方向の前側の端部よりも、後側に位置してもよい。ハンマドリル10全体の重心Gの位置は、バッテリパックBPの底面BMに対して上下方向に並ぶ位置になくてもよい。
【0109】
案内部46は、バッテリパックBPを前後方向と交差する斜め方向に案内するものであってもよい。接触部47は、バッテリパックBPがバッテリ取付部44に取り付けられる場合に、バッテリパックBPの後側の端部と接触するものであってもよい。中間部36は、延在部38を含んでいなくてもよい。モータ支持部26では、ファン96からの排気を延在部38と第2ハウジング56との間に向けて案内せずに、他の部位から排気が行われてもよい。第1ハウジング24は、モータ支持部26と延在部38とを繋ぐ外壁部54を有していなくてもよい。
【0110】
作業機は、先端工具12に打撃力を与えるのみで、先端工具12を回転運動させることができない構成であってもよい。ハンマドリル10は、ドリルモード、ハンマドリルモードに加えて、打撃のみのハンマモードを有していてもよい。先端工具12は、ねじ部材を締め付けるためのドライバビットでもよい。ファン96は、軸流ファンでもよい。排気通路31には、孔の他、切欠部、溝等が含まれる。
【0111】
第1方向は前後方向に限定されず、第2方向は上下方向に限定されない。つまり、ハンマドリル10は、水平方向に沿った状態、垂直方向に沿った状態、水平方向及び垂直方向の両方と交差する交差方向に沿った状態の何れの状態でも使用することができる。
【0112】
ハンマドリル10がサイドハンドル78を有さない構成である場合、重心Gに代えて重心Kを用いて、位置PBを第1重心位置とし、位置PDを第2重心位置としてもよい。
【符号の説明】
【0113】
10:ハンマドリル、12:先端工具、14:モータ、16:ステータ、17:ロータ、18:出力軸、19:永久磁石、21:出力ギヤ、22:ハウジング、24:第1ハウジング、24A:右側ハウジング、24B:左側ハウジング、26:モータ支持部、27:後壁、28:前壁、29:周壁部、31:排気通路、32:ハンドル部、32A:前端部、32B:後端部、33:貫通孔、36:中間部、38:延在部、38A:上面、42:制御回路部、44:バッテリ取付部、46:案内部、46A:前端部、47:接触部、48:支持レール、49:凹部、51:凸部、52:レール溝部、53:端子部、54:外壁部、54A:斜面、56:第2ハウジング、58:ギヤカバー、59:後端部、62:中間シャフト、63:後側ギヤ、64:前側ギヤ、66:軸受、68:シリンダ、71:第1円筒部、72:第2円筒部、74:ギヤ、76:前側円筒部、78:サイドハンドル、78A:取付部、78B:ハンドル本体部、82:軸受、84:インナカバー、84A:内筒部、85:Oリング、86:軸受、87:Oリング、88:軸受、92:エンドカバー、94:ボール、96:ファン、102:打撃部、104:ピストン、105:円筒部、106:底部、107:通気孔、108:圧力室、109:後端部、110:打撃子、111:Oリング、112:中間子、114:レシプロベアリング、114A:内輪、114B:外輪、116:転動体、118:連結棒、122:クラッチ、124:切替レバー、132:操作部、134:スイッチ本体部、134A:後端部、135:レバー、136:トリガ、136A:下面、136B:上面、136C:後面、136D:前面、138:案内壁、142:レール部、143:係合溝、144:ラッチ部、152:LED、A:中心線、B:中心線、BF:前面、BG:重心、BM:底面、BMF:前端部、BP:バッテリパック、BP1:バッテリパック、BP2:バッテリパック、BP3:バッテリパック、C:中心線、G:重心、G1:重心、G2:重心、K:重心、K1:重心、K2:重心、LT:光、M:分割面、P1:第1位置、P2:第2位置、PA:第1重心位置、PB:位置、PC:第2重心位置、PD:位置、SA:操作範囲、SV:収容室、SW:メインスイッチ、θ:角度