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特開2024-158337監視制御サーバ、監視制御システム、監視制御方法、および監視制御プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024158337
(43)【公開日】2024-11-08
(54)【発明の名称】監視制御サーバ、監視制御システム、監視制御方法、および監視制御プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06F 11/34 20060101AFI20241031BHJP
   G06F 11/30 20060101ALI20241031BHJP
【FI】
G06F11/34 176
G06F11/30 140A
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023073464
(22)【出願日】2023-04-27
(71)【出願人】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100118762
【弁理士】
【氏名又は名称】高村 順
(72)【発明者】
【氏名】浅利 大
【テーマコード(参考)】
5B042
【Fターム(参考)】
5B042MA08
5B042MA16
5B042MC22
5B042MC40
(57)【要約】
【課題】システム運用時に保存可能なデータのデータ量が少なくなることを抑制することができる監視制御サーバを得ること。
【解決手段】サーバ1Aは、自装置を含む接続済みの既設装置のデータである既設装置データ40Xと将来に既設装置に接続される予定の将来装置のデータである将来装置データ41Xとを記憶する記憶部50Aと、記憶部50Aの記憶領域のリソースを監視する監視部21Aと、監視部21Aが、リソースが不足していると判断した場合に、記憶領域のうちの将来装置データ41Xを格納していた領域である将来データ記憶領域を解放するイベント処理部22Aと、を備え、将来データ記憶領域が解放された後、監視部21Aが、リソースの不足が解消されたと判断した場合、記憶部50Aは、外部装置から送信される将来装置データ41Xを記憶することで将来装置データ41Xを復活させる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自装置を含む接続済みの既設装置のデータである既設装置データと将来に前記既設装置に接続される予定の将来装置のデータである将来装置データとを記憶する記憶部と、
前記記憶部の記憶領域のリソースを監視する監視部と、
前記監視部が、前記リソースが不足していると判断した場合に、前記記憶領域のうちの前記将来装置データを格納していた領域である将来データ記憶領域を解放するイベント処理部と、
を備え、
前記将来データ記憶領域が解放された後、前記監視部が、前記リソースの不足が解消されたと判断した場合、前記記憶部は、外部装置から送信される前記将来装置データを記憶することで前記将来装置データを復活させる、
ことを特徴とする監視制御サーバ。
【請求項2】
前記監視部が、前記リソースが不足していると判断した場合、前記イベント処理部は、前記将来装置データのうち前記将来装置データを復活させた後にリブートが不要な第1のデータを格納していた将来データ記憶領域を、前記将来装置データのうち前記将来装置データを復活させた後にリブートが必要な第2のデータを格納していた将来データ記憶領域よりも優先的に解放する、
ことを特徴とする請求項1に記載の監視制御サーバ。
【請求項3】
前記監視部が、前記リソースの残り容量が第1の閾値以下になったと判断すると、前記イベント処理部が、前記将来データ記憶領域を解放し、
前記監視部が、前記リソースの残り容量が第2の閾値以上になったと判断すると、前記将来装置データが復活され、
前記第2の閾値は、前記第1の閾値以上の値である、
ことを特徴とする請求項1に記載の監視制御サーバ。
【請求項4】
前記イベント処理部は、前記既設装置のうちの自装置以外の装置である他装置から、前記リソースの不足が解消されたことを示す通知があると、前記他装置に前記将来装置データを送信する、
ことを特徴とする請求項1に記載の監視制御サーバ。
【請求項5】
前記将来装置から、前記将来装置が前記既設装置に接続されたことを示す通知を受信すると、前記記憶部が記憶している前記将来装置を有効にし、有効にした前記将来装置を前記既設装置データとして前記記憶部に記憶させるデータ管理部をさらに備える、
ことを特徴とする請求項1から4の何れか1つに記載の監視制御サーバ。
【請求項6】
自装置を含む接続済みの既設装置である第1の監視制御サーバおよび第2の監視制御サーバと、
将来に前記既設装置に接続される予定の将来装置である第3の監視制御サーバと、
を有し、
前記第1の監視制御サーバは、
前記既設装置のデータである既設装置データと前記将来装置のデータである将来装置データとを記憶する記憶部と、
前記記憶部の記憶領域のリソースを監視する監視部と、
前記監視部が、前記リソースが不足していると判断した場合に、前記記憶領域のうちの前記将来装置データを格納していた領域である将来データ記憶領域を解放するイベント処理部と、
を備え、
前記将来データ記憶領域が解放された後、前記監視部が、前記リソースの不足が解消されたと判断した場合、前記記憶部は、前記第2の監視制御サーバから送信される前記将来装置データを記憶することで前記将来装置データを復活させる、
ことを特徴とする監視制御システム。
【請求項7】
監視制御サーバが、自装置を含む接続済みの既設装置のデータである既設装置データと将来に前記既設装置に接続される予定の将来装置のデータである将来装置データとを記憶する記憶部の記憶領域のリソースを監視する監視ステップと、
前記監視制御サーバが、前記リソースが不足していると判断した場合に、前記記憶領域のうちの前記将来装置データを格納していた領域である将来データ記憶領域を解放するイベント処理ステップと、
を含み、
前記監視制御サーバは、前記将来データ記憶領域を解放した後、前記リソースの不足が解消されたと判断した場合、前記記憶部に、外部装置から送信される前記将来装置データを記憶させることで前記将来装置データを復活させる、
ことを特徴とする監視制御方法。
【請求項8】
自装置を含む接続済みの既設装置のデータである既設装置データと将来に前記既設装置に接続される予定の将来装置のデータである将来装置データとを記憶する記憶部の記憶領域のリソースを監視する監視ステップと、
前記リソースが不足していると判断した場合に、前記記憶領域のうちの前記将来装置データを格納していた領域である将来データ記憶領域を解放するイベント処理ステップと、
をコンピュータに実行させ、
前記将来データ記憶領域を解放した後、前記リソースの不足が解消されたと判断した場合、前記記憶部に、外部装置から送信される前記将来装置データを記憶させることで前記将来装置データを復活させる、
ことを特徴とする監視制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、リソースの状態を監視する監視制御サーバ、監視制御システム、監視制御方法、および監視制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
分散システムの1つにリソースの状態を監視しながら動作する監視制御システムがある。この監視制御システムは、監視制御システムの構成などが変更される場合、監視制御システムを構成する構成装置のデータを更新する必要があった。
【0003】
特許文献1に記載のシステムでは、構成装置のデータの保存領域が、システムを構成する構成装置に予め配置されており、構成装置のデータが更新される際には、保存領域に対して更新データがブロードキャスト配信される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平6-318956号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1の技術では、更新データを保存する保存領域がデータの保存領域を圧迫するので、システム運用時に使用可能なデータの保存領域が制限されて、システム運用時に保存可能なデータのデータ量が少なくなるという問題があった。
【0006】
本開示は、上記に鑑みてなされたものであって、システム運用時に保存可能なデータのデータ量が少なくなることを抑制することができる監視制御サーバを得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本開示の監視制御サーバは、自装置を含む接続済みの既設装置のデータである既設装置データと将来に既設装置に接続される予定の将来装置のデータである将来装置データとを記憶する記憶部を備える。また、本開示の監視制御サーバは、記憶部の記憶領域のリソースを監視する監視部と、監視部が、リソースが不足していると判断した場合に、記憶領域のうちの将来装置データを格納していた領域である将来データ記憶領域を解放するイベント処理部とを備える。将来データ記憶領域が解放された後、監視部が、リソースの不足が解消されたと判断した場合、記憶部は、外部装置から送信される将来装置データを記憶することで将来装置データを復活させる。
【発明の効果】
【0008】
本開示にかかる監視制御サーバは、システム運用時に保存可能なデータのデータ量が少なくなることを抑制することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施の形態にかかる監視制御システムの構成を示す図
図2】実施の形態にかかる監視制御システムでリソースが枯渇した場合に、監視制御システムで実行される処理を説明するための図
図3】実施の形態にかかる監視制御システムでリソースが枯渇した場合に、リソースが枯渇したサーバが実行する処理の処理手順を示すフローチャート
図4】実施の形態にかかる監視制御システムでリソースが枯渇した場合に、リソースが枯渇していないサーバが実行する処理の処理手順を示すフローチャート
図5】実施の形態にかかる監視制御システムでリソースが復活した際に、監視制御システムで実行される処理を説明するための図
図6】実施の形態にかかる監視制御システムでリソースが復活した際に、リソースが復活したサーバが実行する処理の処理手順を示すフローチャート
図7】実施の形態にかかる監視制御システムでリソースが復活した際に、リソースが枯渇していないサーバが実行する処理の処理手順を示すフローチャート
図8】実施の形態にかかる監視制御システムにサーバが追加された場合に、監視制御システムで実行される処理を説明するための図
図9】実施の形態にかかる監視制御システムにサーバが追加された場合に、追加されたサーバが実行する処理の処理手順を示すフローチャート
図10】実施の形態にかかる監視制御システムにサーバが追加された場合に、サーバの代表既設装置が実行する処理の処理手順を示すフローチャート
図11】実施の形態にかかる監視制御システムにサーバが追加された場合に、サーバの非代表既設装置が実行する処理の処理手順を示すフローチャート
図12】実施の形態にかかるサーバが備える処理回路をプロセッサおよびメモリで実現する場合の処理回路の構成例を示す図
図13】実施の形態にかかるサーバが備える処理回路を専用のハードウェアで実現する場合の処理回路の例を示す図
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、本開示の実施の形態にかかる監視制御サーバ、監視制御システム、監視制御方法、および監視制御プログラムを図面に基づいて詳細に説明する。
【0011】
実施の形態.
図1は、実施の形態にかかる監視制御システムの構成を示す図である。監視制御システム5は、複数のサーバを備えた分散システムである。図1では、監視制御システム5がサーバ1A,1Bを備えている場合を示している。監視制御システム5は、サーバ1A,1B以外のサーバ(後述するサーバ1C)を追加可能となっている。実施の形態1では、監視制御システム5が、サーバ1A,1Bを用いて動作し、その後、サーバ1Cが追加されてサーバ1A~1Cを用いて動作する場合について説明する。
【0012】
監視制御システム5では、サーバ1A,1Bが、将来にサーバ1A,1Bに接続(設置)される予定のサーバ1Cのデータ(後述する将来装置データ41X)を無効化した状態で保存しておき、サーバ1Cが接続された際に、将来装置データ41Xを有効化する。
【0013】
サーバ1A,1Bの一方は、サーバ1Cが接続されていない状況で、リソースの残り容量が第1の閾値以下になると、将来装置データ41Xの保存領域を解放し、リソースの残り容量が第2の閾値以上になると、他方のサーバから将来装置データ41Xのコピーを取得して保存することで、将来装置データ41Xを復活させる。
【0014】
サーバ1A~1Cは、リソースの状態を監視しながら動作する監視制御サーバである。サーバ1A~1Cは、同様の構成を有しているので、ここでは、サーバ1Aの構成について説明する。
【0015】
サーバ1Aは、サーバ1Aの構成を管理する構成管理部10Aと、種々のデータを記憶する記憶部50Aとを有している。記憶部50Aは、リソース情報30Aと、既設装置データ40Xと、将来装置データ41Xとを記憶する。
【0016】
リソース情報30Aは、サーバ1Aのリソースの情報である。リソース情報30Aは、サーバ1Aが用いるソフトウェア、ハードウェア、ファームウェアなどを動作させるために必要なメモリ容量およびハードウェア容量の情報を含んでいる。リソース情報30Aには、使用中のリソース容量の情報と、未使用のリソース容量の情報とが含まれている。
【0017】
既設装置データ40Xは、監視制御システム5に接続されて監視制御システム5内で動作しているサーバ(既設装置)のデータである。すなわち、既設装置データ40Xは、自装置を含む既に設置済み(接続済み)の既設装置のデータである。ここでの既設装置データ40Xは、監視制御システム5内で動作しているサーバ1A,1Bのデータである。サーバ1A,1Bは、既設装置データ40Xを用いて、サーバ1A,1B間のデータ送受信などを実行する。
【0018】
将来装置データ41Xは、監視制御システム5に、この後に接続されて監視制御システム5内で動作することとなるサーバ(将来装置)のデータである。ここでの将来装置データ41Xは、監視制御システム5内で動作することとなるサーバ1Cのデータである。将来装置データ41Xは、サーバ1Cが監視制御システム5に接続されるまでは無効化されており、サーバ1Cが監視制御システム5に接続されると有効化される。
【0019】
将来装置データ41Xに含まれるデータの種類は、例えば、サーバ1Cが追加された場合の監視制御システム5の構成などを定義したシステム定義データ、監視制御システム5に含まれる局(サーバ1C)の構成などを定義した局定義データ、サーバ1Cに関連する項目を定義した項目定義データなどである。システム定義データは、監視制御システム5を構成する装置に関する定義のデータである。局定義データは、監視制御を行う局の構成に関する定義のデータであり、項目定義データは、具体的な監視項目(現場に設置したセンサから得られる値など)に関する定義のデータである。システム定義データがないと監視制御システム5の稼働継続自体が難しいのに対して、局定義データおよび項目定義データがなくても、監視制御が機能しなくなるだけで、監視制御システム5の稼働継続は可能であるので、局定義データおよび項目定義データから優先して削除される。
【0020】
監視制御システム5がサーバ1Cに接続されると、サーバ1Cは、将来装置から既設装置になる。すなわち、監視制御システム5がサーバ1Cに接続されると、将来装置データ41Xは、サーバ1A~1Cの既設装置データとなり、既設装置データ40Xに含まれることとなる。
【0021】
サーバ1A,1Bは、監視制御システム5がサーバ1Cに接続された後、サーバ1A~1Cのデータを含んだ既設装置データ40Xを用いて動作する。例えば、サーバ1Aは、最新の既設装置データ40Xを用いて、サーバ1B,1Cとの間のデータ送受信などを実行する。なお、サーバ1Cも、最新の既設装置データ40Xと同様のデータを有しており、サーバ1Cが監視制御システム5に接続された後、最新の既設装置データ40Xを用いて、サーバ1A,1Bとの間のデータ送受信などを実行する。
【0022】
構成管理部10Aは、リソース管理部11Aと、警告管理部12Aと、状態管理部13Aと、通信管理部14Aと、データ管理部15Aとを具備している。リソース管理部11Aは、サーバ1Aのリソースを示すリソース情報30Aを管理する。
【0023】
リソース管理部11Aは、監視部21Aと、イベント処理部22Aとを備えている。監視部21Aは、記憶部50Aが記憶しているリソース情報30Aを監視する。監視部21Aは、リソース情報30Aで示されるリソースの残り容量が第1の閾値以下になると、リソースが枯渇しているので将来装置データ41Xの削除を依頼するための削除依頼通知をイベント処理部22Aに送る。また、監視部21Aは、将来装置データ41Xが削除された後に、リソース情報30Aで示されるリソースの残り容量が第2の閾値(≧第1の閾値)以上になると、リソースの不足が解消されたと判断し、リソースの復活を依頼するための復活依頼通知をイベント処理部22Aに送る。
【0024】
イベント処理部22Aは、削除依頼通知を受け付けると、記憶部50Aから将来装置データ41Xを削除して、将来装置データ41Xが格納されていたデータ格納領域を解放する。すなわち、イベント処理部22Aは、削除依頼通知を受け付けると、記憶部50Aの記憶領域のうちの将来装置データ41Xを格納していたデータ格納領域(将来データ記憶領域)を解放する。これにより、将来装置データ41Xが格納されていたデータ格納領域は、サーバ1Aが動作する際のリソースとして使用可能となる。この後、サーバ1Aは、将来装置データ41Xが格納されていたデータ格納領域に、任意のデータを格納することが可能となる。
【0025】
なお、イベント処理部22Aは、将来装置データ41Xのうちの一部のみを削除してもよい。この場合、将来装置データ41Xが格納されていたデータ格納領域(記憶領域)のうちの一部(データが削除された領域)が、サーバ1Aが動作する際のリソースとして使用可能となる。
【0026】
サーバ1A,1Bは、リブートを発生させずに監視制御システム5の稼働を継続するには、リソース情報30Aに含まれているシステム定義データが必須となる。すなわち、サーバ1A,1Bは、システム定義データを復活させて新たに用いる際には、リブートが必要になる。一方、サーバ1A,1Bは、局定義データおよび項目定義データを新たに用いる際には、リブートが不要である。
【0027】
サーバ1A,1Bは、リブートの回数を減らすために、リブートが不要な局定義データおよび項目定義データを優先的に削除する。サーバ1A,1Bは、リソース不足が解消して局定義データおよび項目定義データを復活させる場合に、リブートすることなく局定義データおよび項目定義データを用いることができる。これにより、サーバ1A,1Bは、リブートを発生させることなく稼働を継続することができる。
【0028】
このように、将来装置データ41Xに、システム定義データ、局定義データ、および項目定義データが含まれている場合、イベント処理部22Aは、局定義データおよび項目定義データを先に削除する。すなわち、イベント処理部22Aは、将来装置データ41Xのうち将来装置データ41Xを復活させた後にリブートが不要なデータ(第1のデータ)を格納していたデータ記憶領域を、将来装置データ41Xのうち将来装置データ41Xを復活させた後にリブートが必要なデータ(第2のデータ)を格納していたデータ記憶領域よりも優先的に解放する。これにより、サーバ1Aは、リブートを実行することなく局定義データおよび項目定義データを復活させることができる。
【0029】
イベント処理部22Aは、リソースの残り容量に応じて、削除するデータを選択する。イベント処理部22Aは、例えば、項目定義データを削除してもリソースが不足する場合には、局定義データを削除する。また、イベント処理部22Aは、例えば、項目定義データおよび局定義データを削除してもリソースが不足する場合には、システム定義データを削除する。
【0030】
また、イベント処理部22Aは、将来装置データ41Xを削除すると、将来装置データ41Xを削除したことを示す削除完了通知を、警告管理部12A、状態管理部13A、および通信管理部14Aに送る。
【0031】
また、イベント処理部22Aは、復活依頼通知を受け付けると、この復活依頼通知を、警告管理部12A、状態管理部13A、および通信管理部14Aに送る。なお、イベント処理部22Aは、サーバ1Bから将来装置データ41Xのコピーが送られてきて記憶部50Aに格納された後に、復活が完了したことを示す復活完了通知を、警告管理部12Aおよび状態管理部13Aに送ってもよい。
【0032】
警告管理部12Aは、イベント処理部22Aから削除完了通知を受け付けると、リソース不足(リソースの枯渇)が発生し、将来装置データ41Xを削除したことをユーザに警告する。警告管理部12Aは、例えば、警告を表示装置に表示することでユーザに警告する。また、警告管理部12Aは、イベント処理部22Aから復活依頼通知または復活完了通知を受け付けると、リソース不足が解消したことをユーザに通知する。
【0033】
状態管理部13Aは、記憶部50Aなどの状態を管理する。状態管理部13Aは、記憶部50Aに将来装置データ41Xが格納されると、記憶部50Aが将来装置データ41Xを記憶している状態であることを記憶しておく。
【0034】
また、状態管理部13Aは、イベント処理部22Aから削除完了通知を受け付けると、記憶部50Aの将来装置データ41Xが削除された状態であることを記憶しておく。また、状態管理部13Aは、イベント処理部22Aから復活依頼通知または復活完了通知を受け付けると、記憶部50Aが将来装置データ41Xを記憶している状態であることを記憶しておく。
【0035】
通信管理部14Aは、他のサーバ(ここでは、サーバ1B)との間の通信を管理する。通信管理部14Aは、サーバ1Cが監視制御システム5に接続されると、サーバ1B,1Cとの間の通信を管理する。
【0036】
通信管理部14Aは、イベント処理部22Aから削除完了通知を受け付けると、削除完了通知をサーバ1Bに送信する。また、通信管理部14Aは、イベント処理部22Aから復活依頼通知を受け付けると、復活依頼通知をサーバ1Bに送信する。なお、通信管理部14Aは、イベント処理部22Aから復活完了通知を受け付けると、復活完了通知をサーバ1Bに送信してもよい。
【0037】
また、通信管理部14Aは、新たに接続されたサーバ1Cから、サーバ1Cが監視制御システム5に追加されたことを示す通知(サーバ1Cが指定された装置追加通知)を受け付けると、サーバ1Cが指定された装置追加通知をサーバ1Bおよびデータ管理部15Aに送信する。
【0038】
データ管理部15Aは、サーバ1Cが指定された装置追加通知を受け付けると、記憶部50A内の将来装置データ41Xを有効化する。これにより、記憶部50A内の将来装置データ41Xは、既設装置データ40Xに含まれることとなる。
【0039】
サーバ1Bは、サーバ1Aと同様の構成要素を備えている。すなわち、サーバ1Bは、構成管理部10Aと同様の構成管理部10Bと、記憶部50Aと同様の記憶部50Bとを有している。記憶部50Bは、リソース情報30Bと、既設装置データ40Xと、将来装置データ41Xとを記憶する。リソース情報30Aが、サーバ1Aのリソースの情報であったのに対し、リソース情報30Bは、サーバ1Bのリソースの情報である。
【0040】
構成管理部10Bは、構成管理部10Aと同様の構成要素を備えている。すなわち、構成管理部10Bは、リソース管理部11Aと同様のリソース管理部11Bと、警告管理部12Aと同様の警告管理部12Bと、状態管理部13Aと同様の状態管理部13Bと、通信管理部14Aと同様の通信管理部14Bと、データ管理部15Aと同様のデータ管理部15Bとを具備している。リソース管理部11Bは、サーバ1Bのリソースを示すリソース情報30Bを管理する。
【0041】
リソース管理部11Bは、リソース管理部11Aと同様の構成要素を備えている。すなわち、リソース管理部11Bは、監視部21Aと同様の監視部21Bと、イベント処理部22Aと同様のイベント処理部22Bとを備えている。
【0042】
監視制御システム5では、サーバ1A,1Bが既設装置であり、サーバ1Cが将来に既設装置に接続される将来装置である。以下の説明では、サーバ1Aが、既設装置のうちの代表装置(代表既設装置)であり、サーバ1Bが、既設装置のうちのその他の装置(非代表の装置)である場合について説明する。
【0043】
監視制御システム5では、将来装置であるサーバ1Cが監視制御システム5に追加される際に、サーバ1Cが、代表既設装置であるサーバ1Aに装置追加通知を送信する。代表既設装置であるサーバ1Aは、装置追加通知を受信すると、既設装置のうちの非代表の装置(非代表既設装置)となっているサーバ(図1では、サーバ1B)に対して装置追加通知を送信する。
【0044】
なお、監視制御システム5では、サーバ1Bが代表既設装置であってもよい。この場合、サーバ1Aは、非代表既設装置となる。監視制御システム5にサーバ1Cが追加された後は、サーバ1Cは既設装置となる。この状態でさらに別の将来装置がある場合には、サーバ1A~1Cは、別の将来装置の将来装置データ41Xを記憶しておく。
【0045】
つぎに、監視制御システム5のサーバ1Aでリソースが枯渇した際の、サーバ1A,1Bの動作について説明する。図2は、実施の形態にかかる監視制御システムでリソースが枯渇した場合に、監視制御システムで実行される処理を説明するための図である。図3は、実施の形態にかかる監視制御システムでリソースが枯渇した場合に、リソースが枯渇したサーバが実行する処理の処理手順を示すフローチャートである。なお、図2では、データ管理部15A,15Bの図示を省略している。
【0046】
ここでは、リソースが枯渇したサーバがサーバ1Aであり、リソースが枯渇していないサーバがサーバ1Bである場合について説明する。サーバ1Aでは、監視部21Aが、リソース情報30Aに基づいて、自装置(サーバ1A)のリソースを監視している(ステップS10、st1)。監視部21Aは、リソース情報30Aに基づいて、サーバ1Aでリソース不足が発生しているか否かを判定する(ステップS20)。
【0047】
サーバ1Aでリソース不足が発生していない場合(ステップS20、No)、監視部21Aは、リソース情報30Aに基づいて、自装置のリソースを監視する処理を継続する(ステップS10、st1)。
【0048】
サーバ1Aでリソース不足が発生した場合(ステップS20、Yes)、監視部21Aは、リソースが枯渇していることをイベント処理部22Aに通知する(ステップS30、st2)。すなわち、監視部21Aは、リソース情報30Aで示されるリソースの残り容量が第1の閾値以下になると、削除依頼通知をイベント処理部22Aに送る。
【0049】
イベント処理部22Aは、削除依頼通知を受け付けると、記憶部50Aから将来装置データ41Xを削除する(ステップS40、st3)。これにより、将来装置データ41Xが格納されていたデータ格納領域が解放される。
【0050】
また、イベント処理部22Aは、将来装置データ41Xを削除すると、将来装置データ41Xを削除したことを警告管理部12Aに通知する(ステップS50、st4)。すなわち、イベント処理部22Aは、将来装置データ41Xを削除すると、将来装置データ41Xを削除したことを示す削除完了通知を、警告管理部12Aに送る。警告管理部12Aは、イベント処理部22Aから削除完了通知を受け付けると、ユーザにリソース不足を通知する(ステップS60)。
【0051】
また、イベント処理部22Aは、将来装置データ41Xを削除すると、将来装置データ41Xを削除したことを状態管理部13Aに通知する(ステップS70、st5)。すなわち、イベント処理部22Aは、将来装置データ41Xを削除すると、将来装置データ41Xを削除したことを示す削除完了通知を、状態管理部13Aに送る。状態管理部13Aは、イベント処理部22Aから削除完了通知を受け付けると、記憶部50Aの将来装置データ41Xが削除された状態であることを記憶しておく。
【0052】
また、イベント処理部22Aは、将来装置データ41Xを削除すると、将来装置データ41Xを削除したことを通信管理部14Aに通知する(ステップS80、st6)。すなわち、イベント処理部22Aは、将来装置データ41Xを削除すると、将来装置データ41Xを削除したことを示す削除完了通知を、通信管理部14Aに送る。
【0053】
通信管理部14Aは、イベント処理部22Aから削除完了通知を受け付けると、他装置(リソースが枯渇していない装置)にリソース不足が発生してリソースを解放したことを通知する(ステップS90)。すなわち、通信管理部14Aは、イベント処理部22Aから削除完了通知を受け付けると、記憶部50Aから将来装置データ41Xが削除されたことを示す削除完了通知をサーバ1Bに送信する(st7)。
【0054】
なお、ステップS50,S70,S80の処理は、何れの処理が先に実行されてもよい。また、ステップS60の処理は、ステップS50の処理以降であれば、何れのタイミングで実行されてもよい。また、ステップS90の処理は、ステップS80の処理以降であれば、何れのタイミングで実行されてもよい。
【0055】
なお、状態管理部13Aが、サーバ1Bにおいて将来装置データ41Xが削除されていることを記憶している場合、イベント処理部22Aは、将来装置データ41Xを削除しない。すなわち、監視制御システム5では、何れかのサーバが将来装置データ41Xを保存している状態を維持し、全てのサーバから将来装置データ41Xが削除されることを防止する。
【0056】
なお、イベント処理部22Aは、リソースが枯渇した際に、CD(Compact Disc)、DVD(Digital Versatile Disc)、USB(Universal Serial Bus)メモリなどの記録媒体に将来装置データ41Xを退避させてもよい。すなわち、イベント処理部22Aは、リソースが枯渇した際に、記憶部50Aから将来装置データ41Xを読み出して記録媒体に保存し、記憶部50Aからは将来装置データ41Xを削除してもよい。
【0057】
図4は、実施の形態にかかる監視制御システムでリソースが枯渇した場合に、リソースが枯渇していないサーバが実行する処理の処理手順を示すフローチャートである。
【0058】
サーバ1Bの通信管理部14Bは、他装置(リソースが枯渇したサーバ1A)から、削除完了通知を受信する(ステップS110)。通信管理部14Bは、削除完了通知を状態管理部13Bに通知する(ステップS120、st8)。これにより、状態管理部13Bは、サーバ1Aの将来装置データ41Xが削除された状態であることを記憶しておく。
【0059】
つぎに、監視制御システム5のサーバ1Aでリソースが復活(リソース不足が解消)した際の、サーバ1A,1Bの動作について説明する。図5は、実施の形態にかかる監視制御システムでリソースが復活した際に、監視制御システムで実行される処理を説明するための図である。図6は、実施の形態にかかる監視制御システムでリソースが復活した際に、リソースが復活したサーバが実行する処理の処理手順を示すフローチャートである。なお、図5では、データ管理部15A,15Bの図示を省略している。
【0060】
ここでは、リソースが復活したサーバがサーバ1Aであり、リソースが枯渇も復活もしていないサーバがサーバ1Bである場合について説明する。サーバ1Aでは、監視部21Aが、リソース情報30Aに基づいて、自装置(サーバ1A)のリソースを監視している(ステップS210、st11)。監視部21Aは、リソース情報30Aに基づいて、サーバ1Aでリソースが復活しているか否かを判定する(ステップS220)。監視部21Aは、将来装置データ41Xよりも多くのデータをリソースに格納できる場合に、リソースが復活していると判定する。
【0061】
サーバ1Aでリソースが復活していない場合(ステップS220、No)、監視部21Aは、リソース情報30Aに基づいて、自装置のリソースを監視する処理を継続する(ステップS210、st11)。
【0062】
サーバ1Aでリソースが復活している場合(ステップS220、Yes)、監視部21Aは、リソースが復活していることをイベント処理部22Aに通知する(ステップS230、st12)。すなわち、監視部21Aは、リソース情報30Aで示されるリソースの残り容量が第2の閾値以上になると、将来装置データ41Xの復活を依頼するための復活依頼通知をイベント処理部22Aに送る。
【0063】
イベント処理部22Aは、復活依頼通知を受け付けると、将来装置データ41Xを復活可能な状態であることを警告管理部12Aに通知する(ステップS240、st13)。なお、イベント処理部22Aは、記憶部50Aが将来装置データ41Xを記憶した後に、将来装置データ41Xの復活が完了したことを示す復活完了通知を警告管理部12Aに送ってもよい。
【0064】
警告管理部12Aは、イベント処理部22Aから復活依頼通知または復活完了通知を受け付けると、ユーザにリソース復活を通知する(ステップS250)。すなわち、イベント処理部22Aは、復活依頼通知を受け付けると、サーバ1Aのリソースに余裕ができて将来装置データ41Xを復活可能なこと、または復活が完了したことを示す通知を警告管理部12Aに送る。
【0065】
また、イベント処理部22Aは、復活依頼通知を受け付けると、将来装置データ41Xを復活可能な状態であることを状態管理部13Aに通知する(ステップS260、st14)。すなわち、イベント処理部22Aは、復活依頼通知を受け付けると、復活依頼通知を状態管理部13Aに送る。なお、イベント処理部22Aは、記憶部50Aが将来装置データ41Xを記憶した後に、将来装置データ41Xの復活が完了したことを示す復活完了通知を状態管理部13Aに送ってもよい。
【0066】
状態管理部13Aは、イベント処理部22Aから復活依頼通知または復活完了通知を受け付けると、記憶部50Aで将来装置データ41Xが記憶されている状態であることを記憶しておく。
【0067】
また、イベント処理部22Aは、復活依頼通知を受け付けると、将来装置データ41Xを復活可能な状態であることを通信管理部14Aに通知する(ステップS270、st15)。すなわち、イベント処理部22Aは、復活依頼通知を受け付けると、復活依頼通知を通信管理部14Aに送る。
【0068】
通信管理部14Aは、復活依頼通知を受け付けると、他装置(リソースが枯渇していない装置)に、将来装置データ41Xを復活可能な状態であることを通知する(ステップS280、st16)。
【0069】
なお、ステップS240,S260,S270の処理は、何れの処理が先に実行されてもよい。また、ステップS250の処理は、ステップS240の処理以降であれば、何れのタイミングで実行されてもよい。また、ステップS280の処理は、ステップS270の処理以降であれば、何れのタイミングで実行されてもよい。
【0070】
なお、イベント処理部22Aは、リソースが枯渇した際に記録媒体に将来装置データ41Xを退避させていた場合、記録媒体から将来装置データ41Xを取得して記憶部50Aに保存する。
【0071】
図7は、実施の形態にかかる監視制御システムでリソースが復活した際に、リソースが枯渇していないサーバが実行する処理の処理手順を示すフローチャートである。
【0072】
サーバ1Bの通信管理部14Bは、リソースが枯渇した枯渇発生装置(リソースが枯渇した後に復活したサーバ1A)から、復活依頼通知を受信する(ステップS310)。通信管理部14Bは、将来装置データ41Xを復活させるための復活依頼通知を状態管理部13Bに通知する(ステップS320、st17)。
【0073】
状態管理部13Bは、サーバ1Aに将来装置データ41Xを復活させるための復活依頼通知を、イベント処理部22Bに通知する(ステップS330、st18)。イベント処理部22Bは、記憶部50Bから将来装置データ41Xのコピーデータを読み出す(st19)。
【0074】
イベント処理部22Bは、将来装置データ41Xのコピーデータをサーバ1Aの記憶部50Aに書き込む。すなわち、イベント処理部22Bは、自装置(サーバ1B)にある将来装置データ41Xをリソースの枯渇発生装置であるサーバ1Aにコピーする(ステップS340、st20)。
【0075】
この後、状態管理部13Bは、サーバ1Aの将来装置データ41Xが復活したことを記憶しておく。すなわち、状態管理部13Bは、サーバ1Aが将来装置データ41Xを格納した状態であることを記憶しておく。なお、状態管理部13Bは、復活依頼通知を受けた後であれば、何れのタイミングで、サーバ1Aが将来装置データ41Xを格納した状態であることを記憶してもよい。
【0076】
なお、サーバ1Bのイベント処理部22Bは、将来装置データ41Xのコピーデータをサーバ1Aのイベント処理部22Aに提供してもよい。この場合、サーバ1Aのイベント処理部22Aが、将来装置データ41Xを記憶部50Aに保存する。
【0077】
サーバ1Aは、将来装置データ41Xを記憶部50Aに保存した後は、任意のタイミングでリブートが可能となる。サーバ1Aは、監視制御システム5が適用されるシステムに応じたタイミングでリブートを実行する。この場合のリブートの日時は、ユーザによって設定されてもよいし、サーバ1Aに予め設定されていてもよい。また、サーバ1Aが、監視制御システム5が適用されるシステムから種々の情報を取得し、取得した情報に基づいてリブートの日時を決定してもよい。例えば、監視制御システム5が、電車の運行システムに適用される場合、サーバ1Aは、運行システムにおける運行の情報(運行情報)に基づいてリブートの日時を決定してもよい。この場合、サーバ1Aは、電車の運行、保守などの作業、営業に影響を与えない日時をリブートの日時に設定する。サーバ1Aは、任意のタイミングでリブートが可能となるので、監視制御システム5の稼働に影響を与える回数を減らすことができる。なお、将来装置データ41Xが、局定義データおよび項目定義データである場合には、リブートは不要である。
【0078】
つぎに、監視制御システム5に新たなサーバ(将来装置)であるサーバ1Cが追加された際の、サーバ1A~1Cの動作について説明する。図8は、実施の形態にかかる監視制御システムにサーバが追加された場合に、監視制御システムで実行される処理を説明するための図である。図9は、実施の形態にかかる監視制御システムにサーバが追加された場合に、追加されたサーバが実行する処理の処理手順を示すフローチャートである。
【0079】
ここでは、監視制御システム5に追加されるサーバがサーバ1Cであり、サーバの代表既設装置がサーバ1Aであり、サーバの非代表既設装置がサーバ1Bである場合について説明する。
【0080】
サーバ1Cは、サーバ1A,1Bと同様の構成要素を備えている。すなわち、サーバ1Cは、構成管理部10Aと同様の構成管理部10Cと、記憶部50Aと同様の記憶部50Cとを有している。記憶部50Cは、リソース情報(図示せず)と、既設装置データ40Xと、自装置データ41Yとを記憶する。サーバ1Aは、サーバ1Aのリソース情報30Aを記憶しているのに対し、サーバ1Cは、サーバ1Cのリソース情報を記憶している。自装置データ41Yは、将来装置データ41Xと同じデータである。
【0081】
構成管理部10Cは、構成管理部10Aと同様の構成要素を備えている。すなわち、構成管理部10Cは、リソース管理部11Aと同様のリソース管理部(図示せず)、警告管理部12Aと同様の警告管理部(図示せず)と、状態管理部13Aと同様の状態管理部13Cと、通信管理部14Aと同様の通信管理部14Cと、データ管理部15Aと同様のデータ管理部(図示せず)とを具備している。図8では、サーバ1A~1Cの構成要素のうちの一部のみを図示している。
【0082】
監視制御システム5に既設装置としてサーバ1A,1Bが接続された状態で、監視制御システム5にサーバ1Cが接続されると、サーバ1Cの状態管理部13Cが、通信管理部14Cに、サーバ1Cの起動準備が完了したことを通知する。すなわち、状態管理部13Cは、通信管理部14Cに、システム起動準備完了を通知する(ステップS410、st21)。
【0083】
サーバ1Cの通信管理部14Cは、代表既設装置であるサーバ1Aの通信管理部14Aにサーバ1Cの起動準備が完了したことを通知する(ステップS420)。すなわち、通信管理部14Cは、通信管理部14Aにサーバ1Cの起動準備完了通知を送信する(st22)。
【0084】
この後、サーバ1Cは、代表既設装置であるサーバ1Aから、将来装置データ41Xの有効化が完了したことを示す通知(有効化完了通知)を待つ(ステップS430)。サーバ1Cは、有効化完了通知があったか否かを判定する(ステップS440)。有効化完了通知がない場合(ステップS440、No)、サーバ1Cは、有効化完了通知を待つ(ステップS430)。
【0085】
有効化完了通知があった場合(ステップS440、Yes)、サーバ1Cの通信管理部14Cは、有効化完了通知を受信し、将来装置データ41Xの有効化が完了したことを状態管理部13Cに通知する(ステップS450、st32)。これにより、状態管理部13Cは、サーバ1Cのシステムを起動する(ステップS460)。
【0086】
図10は、実施の形態にかかる監視制御システムにサーバが追加された場合に、サーバの代表既設装置が実行する処理の処理手順を示すフローチャートである。
【0087】
代表既設装置であるサーバ1Aでは、通信管理部14Aが、装置追加通知をサーバ1Cから受信する(ステップS510)。すなわち、通信管理部14Aは、サーバ1Cが監視制御システム5に追加されたことを示す通知である装置追加通知を、サーバ1Cの通信管理部14Cから受信する。
【0088】
通信管理部14Aは、非代表既設装置であるサーバ1Bの通信管理部14Bに、サーバ1Cが監視制御システム5に追加されたことを通知する(ステップS520、st23)。また、通信管理部14Aは、サーバ1Cが監視制御システム5に追加されたことを、データ管理部15Aに通知する(ステップS530、st24)。
【0089】
データ管理部15Aは、記憶部50A内の将来装置データ41Xを有効化する(ステップS540、st25)。データ管理部15Aは、将来装置データ41Xの有効化完了(有効化が完了したことを示す情報)を、通信管理部14Aに通知する(ステップS550、st26)。
【0090】
なお、ステップS520の処理とステップS530の処理とは、何れの処理が先に実行されてもよい。また、ステップS540の処理は、ステップS530の処理以降であれば、何れのタイミングで実行されてもよい。また、ステップS550の処理は、ステップS540の処理以降であれば、何れのタイミングで実行されてもよい。
【0091】
通信管理部14Aは、サーバ1Cが監視制御システム5に追加されたことを非代表既設装置に通知した後は、非代表既設装置からの有効化完了通知を待つ(ステップS560)。すなわち、通信管理部14Aは、その他の既設装置であるサーバ1Bの通信管理部14Bから、将来装置データ41Xの有効化が完了したことを示す通知を待つ。
【0092】
サーバ1Aは、有効化完了通知があったか否かを判定する(ステップS570)。有効化完了通知がない場合(ステップS570、No)、サーバ1Aは、有効化完了通知を待つ(ステップS560)。
【0093】
有効化完了通知があった場合(ステップS570、Yes)、サーバ1Aの通信管理部14Aは、追加装置であるサーバ1Cの通信管理部14Cに、全ての既設装置において将来装置データ41Xの有効化が完了したことを通知する(ステップS580、st31)。
【0094】
なお、通信管理部14Aは、将来装置データ41Xの有効化完了を、データ管理部15Aから受け付けるまでは、通信管理部14Cに将来装置データ41Xの有効化が完了したことを通知しない。
【0095】
すなわち、通信管理部14Aは、将来装置データ41Xの有効化完了を、データ管理部15Aおよび通信管理部14Bの両方から受け付けると、通信管理部14Cに、全ての既設装置において将来装置データ41Xの有効化が完了したことを通知する。
【0096】
図11は、実施の形態にかかる監視制御システムにサーバが追加された場合に、サーバの非代表既設装置が実行する処理の処理手順を示すフローチャートである。
【0097】
非代表既設装置であるサーバ1Bでは、通信管理部14Bが、代表既設装置であるサーバ1Aの通信管理部14Aから装置追加通知を受信する(ステップS610)。通信管理部14Bが、通信管理部14Aから受信する装置追加通知は、サーバ1Cが監視制御システム5に追加されたことを示す通知である。
【0098】
通信管理部14Bは、サーバ1Cが監視制御システム5に追加されたことを、データ管理部15Bに通知する(ステップS620、st27)。
【0099】
データ管理部15Bは、記憶部50B内の将来装置データ41Xを有効化する(ステップS630、st28)。データ管理部15Bは、将来装置データ41Xの有効化完了を、通信管理部14Bに通知する(ステップS640、st29)。
【0100】
通信管理部14Bは、代表既設装置であるサーバ1Aの通信管理部14Aに、有効化完了を通知する(ステップS650、st30)。これにより、サーバ1Aは、サーバ1Cに有効化完了を通知し、サーバ1Cは、システムを起動する。
【0101】
なお、監視制御システム5へは、4台目以降のサーバも追加可能である。サーバ1A,1Bが接続された状態の監視制御システム5において、N台(Nは自然数)のサーバが追加予定の場合、サーバ1A,1Bは、N台分の将来装置データ41Xと、2台分の既設装置データ40Xとを保存しておく。また、サーバ1A~1Cが接続された状態の監視制御システム5では、サーバ1A~1Cは、(N-1)台分の将来装置データ41Xと、3台分の既設装置データ40Xとを保存しておく。
【0102】
ここで、サーバ1A~1Cのハードウェア構成について説明する。なお、サーバ1A~1Cは、同様のハードウェア構成を有しているので、ここではサーバ1Aのハードウェア構成について説明する。サーバ1Aは、処理回路により実現される。処理回路は、メモリに格納されるプログラムを実行するプロセッサおよびメモリであってもよいし、専用のハードウェアであってもよい。
【0103】
図12は、実施の形態にかかるサーバが備える処理回路をプロセッサおよびメモリで実現する場合の処理回路の構成例を示す図である。図12に示す処理回路90は、プロセッサ91およびメモリ92を備える。処理回路90がプロセッサ91およびメモリ92で構成される場合、処理回路90の各機能は、ソフトウェア、ファームウェア、またはソフトウェアとファームウェアとの組み合わせにより実現される。ソフトウェアまたはファームウェアはデータの監視制御プログラムとして記述され、メモリ92に格納される。処理回路90では、メモリ92に記憶された監視制御プログラムをプロセッサ91が読み出して実行することにより、各機能を実現する。すなわち、処理回路90は、サーバ1Aの処理が結果的に実行されることになる監視制御プログラムを格納するためのメモリ92を備える。この監視制御プログラムは、処理回路90により実現される各機能をサーバ1Aに実行させるためのプログラムであるともいえる。この監視制御プログラムは、監視制御プログラムが記憶された記憶媒体により提供されてもよいし、通信媒体など他の手段により提供されてもよい。
【0104】
上記監視制御プログラムは、構成管理部10Aを含むモジュール構成となっており、これらが主記憶装置上にロードされ、これらが主記憶装置上に生成される。
【0105】
ここで、プロセッサ91は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、処理装置、演算装置、マイクロプロセッサ、マイクロコンピュータ、またはDSP(Digital Signal Processor)などである。また、メモリ92は、例えば、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリ、EPROM(Erasable Programmable ROM)、EEPROM(登録商標)(Electrically EPROM)などの、不揮発性または揮発性の半導体メモリ、磁気ディスク、フレキシブルディスク、光ディスク、コンパクトディスク、ミニディスク、またはDVDなどが該当する。
【0106】
図13は、実施の形態にかかるサーバが備える処理回路を専用のハードウェアで実現する場合の処理回路の例を示す図である。図13に示す処理回路93は、例えば、単一回路、複合回路、プログラム化したプロセッサ、並列プログラム化したプロセッサ、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)、またはこれらを組み合わせたものが該当する。処理回路93については、一部を専用のハードウェアで実現し、一部をソフトウェアまたはファームウェアで実現するようにしてもよい。このように、処理回路93は、専用のハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、またはこれらの組み合わせによって、上述の各機能を実現することができる。
【0107】
このように実施の形態のサーバ1Aは、リソースが不足していると判断した場合に、記憶部50Aの記憶領域のうちの将来装置データ41Xを格納していた領域を解放している。そして、サーバ1Aは、リソースの不足が解消されたと判断した場合、外部装置であるサーバ1Bから送信される将来装置データ41Xを記憶部50Aで記憶することで将来装置データ41Xを復活させている。これにより、サーバ1Aは、システム運用時に保存可能なデータのデータ量が少なくなることを抑制することができる。
【0108】
また、サーバ1Aは、将来装置データ41Xのうちのリブートが不要なデータを優先的に削除するので、リブートの回数を減らすことができる。また、サーバ1Aは、将来装置データ41Xを記憶部50Aに保存した後は、任意のタイミングでリブートが可能となるので、監視制御システム5の稼働に影響を与える回数を減らすことができる。
【0109】
以上の実施の形態に示した構成は、一例を示すものであり、別の公知の技術と組み合わせることも可能であるし、要旨を逸脱しない範囲で、構成の一部を省略、変更することも可能である。
【0110】
以下、本開示の諸態様を付記としてまとめて記載する。
【0111】
(付記1)
自装置を含む接続済みの既設装置のデータである既設装置データと将来に前記既設装置に接続される予定の将来装置のデータである将来装置データとを記憶する記憶部と、
前記記憶部の記憶領域のリソースを監視する監視部と、
前記監視部が、前記リソースが不足していると判断した場合に、前記記憶領域のうちの前記将来装置データを格納していた領域である将来データ記憶領域を解放するイベント処理部と、
を備え、
前記将来データ記憶領域が解放された後、前記監視部が、前記リソースの不足が解消されたと判断した場合、前記記憶部は、外部装置から送信される前記将来装置データを記憶することで前記将来装置データを復活させる、
ことを特徴とする監視制御サーバ。
(付記2)
前記監視部が、前記リソースが不足していると判断した場合、前記イベント処理部は、前記将来装置データのうち前記将来装置データを復活させた後にリブートが不要な第1のデータを格納していた将来データ記憶領域を、前記将来装置データのうち前記将来装置データを復活させた後にリブートが必要な第2のデータを格納していた将来データ記憶領域よりも優先的に解放する、
ことを特徴とする付記1に記載の監視制御サーバ。
(付記3)
前記監視部が、前記リソースの残り容量が第1の閾値以下になったと判断すると、前記イベント処理部が、前記将来データ記憶領域を解放し、
前記監視部が、前記リソースの残り容量が第2の閾値以上になったと判断すると、前記将来装置データが復活され、
前記第2の閾値は、前記第1の閾値以上の値である、
ことを特徴とする付記1または2に記載の監視制御サーバ。
(付記4)
前記イベント処理部は、前記既設装置のうちの自装置以外の装置である他装置から、前記リソースの不足が解消されたことを示す通知があると、前記他装置に前記将来装置データを送信する、
ことを特徴とする付記1から3の何れか1つに記載の監視制御サーバ。
(付記5)
前記将来装置から、前記将来装置が前記既設装置に接続されたことを示す通知を受信すると、前記記憶部が記憶している前記将来装置を有効にし、有効にした前記将来装置を前記既設装置データとして前記記憶部に記憶させるデータ管理部をさらに備える、
ことを特徴とする付記1から4の何れか1つに記載の監視制御サーバ。
(付記6)
自装置を含む接続済みの既設装置である第1の監視制御サーバおよび第2の監視制御サーバと、
将来に前記既設装置に接続される予定の将来装置である第3の監視制御サーバと、
を有し、
前記第1の監視制御サーバは、
前記既設装置のデータである既設装置データと前記将来装置のデータである将来装置データとを記憶する記憶部と、
前記記憶部の記憶領域のリソースを監視する監視部と、
前記監視部が、前記リソースが不足していると判断した場合に、前記記憶領域のうちの前記将来装置データを格納していた領域である将来データ記憶領域を解放するイベント処理部と、
を備え、
前記将来データ記憶領域が解放された後、前記監視部が、前記リソースの不足が解消されたと判断した場合、前記記憶部は、前記第2の監視制御サーバから送信される前記将来装置データを記憶することで前記将来装置データを復活させる、
ことを特徴とする監視制御システム。
(付記7)
監視制御サーバが、自装置を含む接続済みの既設装置のデータである既設装置データと将来に前記既設装置に接続される予定の将来装置のデータである将来装置データとを記憶する記憶部の記憶領域のリソースを監視する監視ステップと、
前記監視制御サーバが、前記リソースが不足していると判断した場合に、前記記憶領域のうちの前記将来装置データを格納していた領域である将来データ記憶領域を解放するイベント処理ステップと、
を含み、
前記監視制御サーバは、前記将来データ記憶領域を解放した後、前記リソースの不足が解消されたと判断した場合、前記記憶部に、外部装置から送信される前記将来装置データを記憶させることで前記将来装置データを復活させる、
ことを特徴とする監視制御方法。
(付記8)
自装置を含む接続済みの既設装置のデータである既設装置データと将来に前記既設装置に接続される予定の将来装置のデータである将来装置データとを記憶する記憶部の記憶領域のリソースを監視する監視ステップと、
前記リソースが不足していると判断した場合に、前記記憶領域のうちの前記将来装置データを格納していた領域である将来データ記憶領域を解放するイベント処理ステップと、
をコンピュータに実行させ、
前記将来データ記憶領域を解放した後、前記リソースの不足が解消されたと判断した場合、前記記憶部に、外部装置から送信される前記将来装置データを記憶させることで前記将来装置データを復活させる、
ことを特徴とする監視制御プログラム。
【符号の説明】
【0112】
1A~1C サーバ、5 監視制御システム、10A~10C 構成管理部、11A,11B リソース管理部、12A,12B 警告管理部、13A~13C 状態管理部、14A~14C 通信管理部、15A,15B データ管理部、21A,21B 監視部、22A,22B イベント処理部、30A,30B リソース情報、40X 既設装置データ、41X 将来装置データ、41Y 自装置データ、50A~50C 記憶部、90,93 処理回路、91 プロセッサ、92 メモリ。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13