(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024158338
(43)【公開日】2024-11-08
(54)【発明の名称】撮像装置
(51)【国際特許分類】
H04N 25/44 20230101AFI20241031BHJP
H04N 25/76 20230101ALI20241031BHJP
【FI】
H04N25/44
H04N25/76
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023073465
(22)【出願日】2023-04-27
(71)【出願人】
【識別番号】000236436
【氏名又は名称】浜松ホトニクス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100140442
【弁理士】
【氏名又は名称】柴山 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100174399
【弁理士】
【氏名又は名称】寺澤 正太郎
(72)【発明者】
【氏名】岩田 卓哉
(72)【発明者】
【氏名】波多野 克哉
【テーマコード(参考)】
5C024
【Fターム(参考)】
5C024GY31
5C024GY37
5C024GZ46
5C024GZ49
5C024HX23
5C024HX58
5C024JX08
5C024JX09
(57)【要約】 (修正有)
【課題】煩雑な制御をすることなく任意の関心領域の信号を読み出すことができる撮像装置を提供する。
【解決手段】撮像装置1は、第1の撮像部21と、第2の撮像部22と、第1の撮像部21の被読出領域に含まれる各行及び第2の撮像部22の被読出領域に含まれる各行を選択する行選択部3と、第1の撮像部21の被読出領域の各行から読み出された電気信号と第2の撮像部22の被読出領域の各行から読み出された電気信号とが交互に蓄積されてなる第1データを生成する蓄積部8と、第1の撮像部の被読出領域から読み出された電気信号を第1の撮像部21の被読出領域に対応する位置に、第2の撮像部22の被読出領域から読み出された電気信号を第2の撮像部22の被読出領域に対応する位置に、それぞれ並び替えることにより第2データを生成する並替部9と、第2データから関心領域REに対応する第3データを抽出する抽出部10と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1行~第M1行(M1は2以上の整数)に亘って配列された複数の画素を含む第1の撮像部と、
第1行~第M2行(M2は2以上の整数)に亘って配列された複数の画素を含み、該第1行が前記第1の撮像部の前記第1行と対向するように配置された第2の撮像部と、
前記第1の撮像部及び前記第2の撮像部の少なくとも一方に亘る関心領域を設定するための入力を受け付ける入力部と、
前記第1の撮像部の一部である被読出領域に含まれる各行、及び前記第2の撮像部の一部である被読出領域に含まれる各行を、前記第1の撮像部及び前記第2の撮像部の双方において昇順か、又は双方において降順にて選択する行選択部と、
前記行選択部により選択された前記第1の撮像部の前記被読出領域の各行から読み出された電気信号と、前記行選択部により選択された前記第2の撮像部の前記被読出領域の各行から読み出された電気信号とが交互に蓄積されてなる第1データを生成する蓄積部と、
前記第1データのうち前記第1の撮像部の前記被読出領域から読み出された電気信号を前記第1の撮像部の前記被読出領域に対応する位置に、前記第1データのうち前記第2の撮像部の前記被読出領域から読み出された電気信号を前記第2の撮像部の前記被読出領域に対応する位置に、それぞれ並び替えることにより第2データを生成する並替部と、
前記第2データから前記関心領域に対応する第3データを抽出する抽出部と、
を備え、
前記関心領域の少なくとも一部が前記第1の撮像部に設定され、少なくとも前記第1の撮像部の前記被読出領域の行番号群は前記関心領域の行番号群に基づいて設定され、
前記第1の撮像部の前記被読出領域の行番号群は、前記第1の撮像部における前記関心領域の行番号群を含む、撮像装置。
【請求項2】
前記第1の撮像部の前記被読出領域の行番号群は、前記第2の撮像部の前記被読出領域の行番号群と一致する、請求項1に記載の撮像装置。
【請求項3】
前記関心領域が前記第2の撮像部に設定され、少なくとも前記第2の撮像部の前記被読出領域の行番号群は、前記関心領域の行番号群に基づいて設定され、
前記第2の撮像部の前記被読出領域の行番号群は、前記第2の撮像部における前記関心領域の行番号群を含む、請求項1又は2に記載の撮像装置。
【請求項4】
前記抽出部は、前記第2データの一部を抽出して前記第3データを生成する、請求項1又は2に記載の撮像装置。
【請求項5】
前記抽出部は、前記第2データの全部を抽出して前記第3データを生成する、請求項1又は2に記載の撮像装置。
【請求項6】
前記行選択部は、前記第1の撮像部の前記被読出領域に含まれる各行、及び前記第2の撮像部の前記被読出領域に含まれる各行を、前記第1の撮像部及び前記第2の撮像部の双方において昇順にて選択する、請求項1に記載の撮像装置。
【請求項7】
前記行選択部は、前記第1の撮像部と前記第2の撮像部との双方において、共通の指示信号に基づいて同じ番号の行を同時に選択する、請求項1又は2に記載の撮像装置。
【請求項8】
前記第1の撮像部の前記複数の画素、及び前記第2の撮像部の前記複数の画素は、第1列~第L列(Lは2以上の整数)に亘って配列されており、
当該撮像装置は、
前記第1の撮像部の前記被読出領域の各行から読み出された電気信号を第1列から順に読み出す第1の読出回路と、
前記第2の撮像部の前記被読出領域の各行から読み出された電気信号を第1列から順に読み出す第2の読出回路と、
を更に備え、
前記第2の撮像部の前記第1列が、行方向において前記第1の撮像部の前記第1列とは反対側に位置する、請求項1又は2に記載の撮像装置。
【請求項9】
前記入力部は、前記第1の撮像部及び前記第2の撮像部の両方に設定され、前記第1の撮像部及び前記第2の撮像部の双方において前記第1行を含み、行範囲が前記第1の撮像部と前記第2の撮像部とにおいて互いに異なる前記関心領域を少なくとも受け付ける、請求項1又は2に記載の撮像装置。
【請求項10】
前記入力部は、前記第1の撮像部及び前記第2の撮像部のうち一方の撮像部に設定され、前記一方の撮像部において前記第1行を含まない前記関心領域を少なくとも受け付ける、請求項1又は2に記載の撮像装置。
【請求項11】
前記第1の撮像部の前記被読出領域の行数は、前記第2の撮像部の前記被読出領域の行数と一致する、請求項1又は2に記載の撮像装置。
【請求項12】
前記第1の撮像部の前記被読出領域に含まれる各行、及び前記第2の撮像部の前記被読出領域に含まれる各行から電気信号を読み出すモードと、
前記第1の撮像部及び前記第2の撮像部の全ての行から電気信号を読み出すモードと、を選択的に切り替える、制御部を更に備えた、請求項1又は2に記載の撮像装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の例示的実施形態は、撮像装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、撮像装置を開示する。この撮像装置は、被写体像を撮像し、画像信号を出力する撮像手段と、撮像手段の撮像面全体を2つに分割し、任意の1つのエリアを有効撮像エリアとし、有効撮像エリアを上段エリアと下段エリアとに分けて画像信号を同時に読み出す読み出し手段と、上段エリア及び下段エリアから読み出された画像信号を同時に格納する記憶手段と、記憶手段に格納された上段エリア及び下段エリアの画像信号を1つの画像に合成するように順次に読み出す制御手段と、を備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
撮像装置では、各画素からの信号の読み出しの高速化のため、撮像面の複数の行を少なくとも2つの行群(撮像部)に分割し、各撮像部の信号を並行して読み出す場合がある。一方、撮像面のうちの任意の領域(関心領域)の信号を選択的に読み出すことも、信号読み出しの高速化のためには有効である。それらの構成を併せて実現しようとする場合、次のような課題が生じる。
【0005】
すなわち、各撮像部間で非対称であるような任意の関心領域を設定することを望まれる場合がある。例えば、或る撮像部には関心領域が含まれるが、他の撮像部には関心領域が含まれないといった場合である。そのような場合、或る撮像部のみから信号を読み出し、他の撮像部からは信号を読み出さないといった煩雑な制御が必要となる。また、特許文献1の撮像装置では、上段エリア及び下段エリアの双方において、シフトレジスタがスイッチ用素子をONにするラインをm方向に順次変えている。この場合、上段エリア及び下段エリアでは共に、画像信号がm方向に沿って読み出されることになるため、上段エリアと下段エリアとの境界において、画像合成の際にずれが生じ得る。
【0006】
本開示は、複数の撮像部の信号を並行して読み出す撮像装置において、煩雑な制御をすることなく任意の関心領域の信号を読み出すことができる撮像装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一側面に係る撮像装置は、[1]「第1行~第M1行(M1は2以上の整数)に亘って配列された複数の画素を含む第1の撮像部と、第1行~第M2行(M2は2以上の整数)に亘って配列された複数の画素を含み、該第1行が前記第1の撮像部の前記第1行と対向するように配置された第2の撮像部と、前記第1の撮像部及び前記第2の撮像部の少なくとも一方に亘る関心領域を設定するための入力を受け付ける入力部と、前記第1の撮像部の一部である被読出領域に含まれる各行、及び前記第2の撮像部の一部である被読出領域に含まれる各行を、前記第1の撮像部及び前記第2の撮像部の双方において昇順か、又は双方において降順にて選択する行選択部と、前記行選択部により選択された前記第1の撮像部の前記被読出領域の各行から読み出された電気信号と、前記行選択部により選択された前記第2の撮像部の前記被読出領域の各行から読み出された電気信号とが交互に蓄積されてなる第1データを生成する蓄積部と、前記第1データのうち前記第1の撮像部の前記被読出領域から読み出された電気信号を前記第1の撮像部の前記被読出領域に対応する位置に、前記第1データのうち前記第2の撮像部の前記被読出領域から読み出された電気信号を前記第2の撮像部の前記被読出領域に対応する位置に、それぞれ並び替えることにより第2データを生成する並替部と、前記第2データから前記関心領域に対応する第3データを抽出する抽出部と、を備え、前記関心領域の少なくとも一部が前記第1の撮像部に設定され、少なくとも前記第1の撮像部の前記被読出領域の行番号群は前記関心領域の行番号群に基づいて設定され、前記第1の撮像部の前記被読出領域の行番号群は、前記第1の撮像部における前記関心領域の行番号群を含む、撮像装置」である。
【0008】
上記[1]に記載の撮像装置では、関心領域が第1の撮像部に設定され、少なくとも第1の撮像部の被読出領域の行番号群は、関心領域の行番号群に基づいて設定される。また、第1の撮像部の被読出領域の行番号群は、第1の撮像部における関心領域の行番号群を含む。これにより、関心領域の行番号群を含む被読出領域の行番号群の電気信号を、第1の撮像部の全体から選択的に読み出す。そのうえで、行選択部は、第1の撮像部の被読出領域に含まれる各行、及び第2の撮像部の被読出領域に含まれる各行を、第1の撮像部及び第2の撮像部の双方において昇順か、又は双方において降順にて選択する。これにより、第1の撮像部の行及び第2の撮像部の行から並行して電気信号を読み出すことができる。よって、仮に第1の撮像部のみに関心領域が設定された場合においても、第1の撮像部の行のみから電気信号を読み出し、第2の撮像部の行からは電気信号を読み出さないといった煩雑な制御をする必要がない。つまり、煩雑な制御をすることなく任意の関心領域の電気信号を読み出すことができる。また、蓄積部が第1データを生成することにより、例えば、第1の撮像部の行から読み出された電気信号と第2の撮像部の行から読み出された電気信号とを個別にデータ処理する場合に比べ、処理が容易となり得る。また、並び替え部が第1データを並び替えて第2データを生成し、抽出部が関心領域に対応した第3データを抽出する。これにより、関心領域を任意に設定することができる。更に、行選択方向が双方において昇順か、又は降順であることにより、第1の撮像部における行選択方向と、第2の撮像部における行選択方向とを反対方向とすることができる。これにより、第1の撮像部と第2の撮像部との間の境界線付近での電気信号の読み出しタイミングにずれが生じ難くすることができる。
【0009】
本開示の一側面に係る撮像装置は、[2]「前記第1の撮像部の前記被読出領域の行番号群は、前記第2の撮像部の前記被読出領域の行番号群と一致する、[1]に記載の撮像装置」であってもよい。この場合、第1の撮像部の行及び第2の撮像部の行から並行して電気信号を読み出すにあたって、読み出す行を一致させることができる。これにより、より簡易な制御によって任意の関心領域の電気信号を読み出すことができる。
【0010】
本開示の一側面に係る撮像装置は、[3]「前記関心領域が前記第2の撮像部に設定され、少なくとも前記第2の撮像部の前記被読出領域の行番号群は、前記関心領域の行番号群に基づいて設定され、前記第2の撮像部の前記被読出領域の行番号群は、前記第2の撮像部における前記関心領域の行番号群を含む、[1]又は[2]に記載の撮像装置」であってもよい。この場合、仮に第2の撮像部のみに関心領域が設定された場合においても、第2の撮像部の行のみから電気信号を読み出し、第1の撮像部の行からは電気信号を読み出さないといった煩雑な制御をする必要がない。つまり、煩雑な制御をすることなく任意の関心領域の電気信号を読み出すことができる。
【0011】
本開示の一側面に係る撮像装置は、[4]「前記抽出部は、前記第2データの一部を抽出して前記第3データを生成する、[1]~[3]のいずれか一つに記載の撮像装置」であってもよい。この場合、関心領域が第1の撮像部及び第2の撮像部のいずれか一方に設定された場合においても、関心領域に対応した第3データを生成することができる。
【0012】
本開示の一側面に係る撮像装置は、[5]「前記抽出部は、前記第2データの全部を抽出して前記第3データを生成する、[1]~[3]のいずれか一つに記載の撮像装置」であってもよい。この場合、関心領域が第1の撮像部及び第2の撮像部の双方に設定された場合においても、関心領域に対応した第3データを生成することができる。
【0013】
本開示の一側面に係る撮像装置は、[6]「前記行選択部は、前記第1の撮像部の前記被読出領域に含まれる各行、及び前記第2の撮像部の前記被読出領域に含まれる各行を、前記第1の撮像部及び前記第2の撮像部の双方において昇順にて選択する、[1]~[5]のいずれか一つに記載の撮像装置」であってもよい。関心領域は、第1の撮像部と第2の撮像部との境界線に近い領域に設定される場合が多い。上記撮像装置では、被読出領域に含まれる各行を昇順にて選択することにより、関心領域の電気信号を早いタイミングで読み出すことができる。これにより、関心領域に対して露光時間が長くなることで関心領域に含まれる画素が飽和することを抑制することができる。また、境界線付近の行の電気信号を最初に読み出す方が、最後に読み出す場合に比べ、境界線付近での読み出しタイミングにずれが生じ難くすることができる。
【0014】
本開示の一側面に係る撮像装置は、[7]「前記行選択部は、前記第1の撮像部と前記第2の撮像部との双方において、共通の指示信号に基づいて同じ番号の行を同時に選択する、[1]~[6]のいずれか一つに記載の撮像装置」であってもよい。この場合、行選択部は、第1の撮像部の各行と第2の撮像部の各行とを個別に選択する必要がないため、行選択部の負担を軽減させることができる。
【0015】
本開示の一側面に係る撮像装置は、[8]「前記第1の撮像部の前記複数の画素、及び前記第2の撮像部の前記複数の画素は、第1列~第L列(Lは2以上の整数)に亘って配列されており、当該撮像装置は、前記第1の撮像部の前記被読出領域の各行から読み出された電気信号を第1列から順に読み出す第1の読出回路と、前記第2の撮像部の前記被読出領域の各行から読み出された電気信号を第1列から順に読み出す第2の読出回路と、を更に備え、前記第2の撮像部の前記第1列が、行方向において前記第1の撮像部の前記第1列とは反対側に位置する、[1]~[7]のいずれかに記載の撮像装置」であってもよい。この場合、第2の撮像部の第1列が、行方向において第1の撮像部の第1列とは反対側に位置することにより、第1の読出回路と第1の撮像部との接続構成及び第2の読出回路と第2の撮像部との接続構成を同じ構成にすることができる。よって、第1の読出回路と第1の撮像部との接続構成及び第2の読出回路と第2の撮像部との接続構成の設計を容易にすることができる。
【0016】
本開示の一側面に係る撮像装置は、[9]「前記入力部は、前記第1の撮像部及び前記第2の撮像部の両方に設定され、前記第1の撮像部及び前記第2の撮像部の双方において前記第1行を含み、行範囲が前記第1の撮像部と前記第2の撮像部とにおいて互いに異なる前記関心領域を少なくとも受け付ける、[1]~[8]のいずれかに記載の撮像装置」であってもよい。関心領域が第1の撮像部及び第2の撮像部の両方に設定され、第1の撮像部における関心領域の行範囲が第2の撮像部における関心領域の行範囲と異なる場合においても、煩雑な制御をすることなく任意の関心領域の信号を読み出すことができる。
【0017】
本開示の一側面に係る撮像装置は、[10]「前記入力部は、前記第1の撮像部及び前記第2の撮像部のうち一方の撮像部に設定され、前記一方の撮像部において前記第1行を含まない前記関心領域を少なくとも受け付ける、[1]~[4]及び[6]~[8]のいずれかに記載の撮像装置」であってもよい。関心領域が第1の撮像部及び第2の撮像部のうち一方の撮像部に設定された場合においても、煩雑な制御をすることなく任意の関心領域の信号を読み出すことができる。
【0018】
本開示の一側面に係る撮像装置は、[11]「前記第1の撮像部の前記被読出領域の行数は、前記第2の撮像部の前記被読出領域の行数と一致する、[1]~[10]のいずれかに記載の撮像装置」であってもよい。この場合、第1の撮像部21の行及び第2の撮像部22の行から並行して電気信号を読み出すにあたって、読み出す行数を一致させることで簡易な制御を実現しつつ、読み出しの自由度を向上させることができる。
【0019】
本開示の一側面に係る撮像装置は、[12]「前記第1の撮像部の前記被読出領域に含まれる各行、及び前記第2の撮像部の前記被読出領域に含まれる各行から電気信号を読み出すモードと、前記第1の撮像部及び前記第2の撮像部の全ての行から電気信号を読み出すモードと、を選択的に切り替える、制御部を更に備えた、[1]~[11]のいずれかに記載の撮像装置」であってもよい。この場合、第1の撮像部及び第2の撮像部の全ての行から電気信号を読み出すモードと、第1の撮像部の被読出領域に含まれる各行、及び第2の撮像部の被読出領域に含まれる各行から電気信号を読み出すモードとを同一のインタフェースで行うことができ、読み出しの自由度を向上させることができる。
【発明の効果】
【0020】
一つの例示的実施形態によれば、複数の撮像部の信号を並行して読み出す撮像装置において、煩雑な制御をすることなく任意の関心領域の信号を読み出すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本開示に係る一実施形態の撮像装置を示すブロック図である。
【
図2】撮像部と、行選択部と、複数の読出回路とを示す図である。
【
図3】第1の撮像部の一部を拡大した平面図である。
【
図4】第1の撮像部の一部を更に拡大した平面図である。
【
図6】画素、積分回路、及び保持回路の詳細な回路構成例を示す図である。
【
図7】第1の行選択部の詳細な構成を示す回路図である。
【
図8】第1の行選択部の動作を示すタイミングチャートである。
【
図9】関心領域の設定の一例について説明するための図である。
【
図10】被読出領域について説明するための図である。
【
図11】複数の読出回路,複数のFIFOメモリ、及びマルチプレクサの動作について説明するための図である。
【
図12】蓄積部によって生成された第1データの一例を示す図である。
【
図13】並替部によって生成された第2データの一例を示す図である。
【
図14】抽出部によって生成された第3データの一例を示す図である。
【
図15】第1変形例に係る被読出領域を説明するための図である。
【
図16】関心領域の設定の別の一例について説明するための図である。
【
図17】第2変形例に係る被読出領域を説明するための図である。
【
図18】第3変形例に係る被読出領域を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図面を参照しながら、本開示の一実施形態に係る撮像装置の好適な実施形態について詳細に説明する。
[撮像装置の構成及び動作]
【0023】
図1は、本開示に係る一実施形態の撮像装置を示すブロック図である。撮像装置1は、対象物を透過したX線を検出することにより、対象物のX線画像を取得する装置である。撮像装置1は、撮像部2と、行選択部3と、複数の読出回路5と、FPGA(Field-Programmable Gate Array)20と、IF(インタフェース)部30と、解析部50とを備えている。FPGA20は、制御部4と、複数のFIFOメモリ6と、マルチプレクサ7とを有している。IF部30は、蓄積部8と、並替部9と、抽出部10とを有している。
【0024】
図2は、撮像部2と、行選択部3と、複数の読出回路5とを示す図である。撮像部2は、シンチレータを含む。撮像部2は、X線をシンチレータによって光に変換し、更に光を電気信号に変換する機能部である。撮像部2は、第1の撮像部21と、第2の撮像部22とを有している。第1の撮像部21は、第1行~第M
1行(M
1は2以上の整数)に亘って配列された複数の画素を含んでいる。第2の撮像部22は、第1行~第M
2行(M
2は2以上の整数)に亘って配列された複数の画素を含んでいる。本実施形態では、第1の撮像部21の行数M
1と第2の撮像部22の行数M
2とが互いに等しい。ここで、説明の便宜上、複数の画素が第1行~第M
1行に並んでいる方向を列方向とし、列方向と垂直な方向を行方向とする。第2の撮像部22は、第1の撮像部21と列方向に沿って並んでいる。第2の撮像部22の第1行は、第1の撮像部21の第1行と対向するように配置されている。第1の撮像部21及び第2の撮像部22は、一つの撮像部2が二分割されることによって構成されてもよい。具体的には、複数の画素で生成された電気信号の読出し方向が、第1の撮像部21及び第2の撮像部22のそれぞれにおいて互いに反対方向になるように、一つの撮像部2が二分割されてもよい。電気信号の読出しについては後述する。或いは、第1の撮像部21及び第2の撮像部22は、それぞれ独立した撮像部であり、撮像部2は、第1の撮像部21及び第2の撮像部22がタイリングされることにより構成されてもよい。
【0025】
第1の撮像部21及び第2の撮像部22において、複数の画素は、列方向に加え、更に行方向に沿って配列されている。第1の撮像部21の複数の画素、及び第2の撮像部22の複数の画素は、第1列~第L列(Lは2以上の整数)に亘って配列されている。複数の画素は、第1の撮像部21及び第2の撮像部22のそれぞれにおいて、例えば、行方向に3072画素、列方向に1536画素が配列されている。
図3は、第1の撮像部21の一部を拡大した平面図である。
図3に示された第1の撮像部21の一部では、複数の画素P
1,1~P
M1,NがM
1行及びN列(Nは2以上L以下の整数である)にわたって二次元配列されている。複数の画素Pは、行方向において、第1列~第N列に亘って配列されている。
【0026】
行選択部3は、撮像部2に含まれる複数の画素Pを行単位で選択する機能部である。行選択部3は、第1の撮像部21の各行を選択する第1の行選択部31と、第2の撮像部22の各行を選択する第2の行選択部32とを有している。第1の行選択部31及び第2の行選択部32は、制御部4から送信される共通の指示信号Saに基づいて制御される。本実施形態では、第1の行選択部31は、第1の撮像部21の各行を昇順において選択する。第2の行選択部32は、第2の撮像部22の各行を昇順において選択する。第1の行選択部31及び第2の行選択部32は、共通の指示信号Saに基づいて同じ番号の行を同時に選択する。具体的には、以下の通りである。第1の行選択部31は、第1の撮像部21と第2の撮像部22との境界線BDに最も近い行(第1行)と境界線BDから最も遠い行(第M1行)との間において、第1の方向A1に沿って、第1の撮像部21の行を順番に選択する。これと並行して、第2の行選択部32は、境界線BDに最も近い行(第1行)と境界線BDから最も遠い行(第M2行)との間において、第2の方向A2に沿って、第2の撮像部22の行を順番に選択する。第1の方向A1は、第1の撮像部21において境界線BDに最も近い行から境界線BDから最も遠い行に向かう方向である。第2の方向A2は、第2の撮像部22において境界線BDに最も近い行から境界線BDから最も遠い行に向かう方向である。第2の方向A2は、第1の方向A1とは反対の方向である。
【0027】
複数の読出回路5は、行選択部3に選択された行に含まれる画素Pにおいて生成された電気信号を読み出す機能部である。複数の読出回路5は、第1の撮像部21の行の電気信号を読み出す複数の第1の読出回路51と、第2の撮像部22の行の電気信号を読み出す複数の第2の読出回路52とを有している。複数の第1の読出回路51及び複数の第2の読出回路52のそれぞれは、ROIC(ReadOut IC)として図示されている。
図3の例では、一つ当たりの第1の読出回路51には、N列の画素Pが割り当てられている。
【0028】
複数の第1の読出回路51は、制御部4から送信される指示信号Sbに基づいて制御される。複数の第2の読出回路52は、制御部4から送信される指示信号Scに基づいて制御される。複数の第1の読出回路51は、第1の撮像部21の第1行の電気信号S11から第1の撮像部21の第M1行の電気信号S1M1までを順番に読み出す。この際に、複数の第1の読出回路51のそれぞれは、各行の信号を、第3の方向A3に沿って、第1列から順にN列毎に読み出す。複数の第2の読出回路52は、第2の撮像部22の第1行の電気信号S21から第2の撮像部22の第M2行の電気信号S2M2までを順番に読み出す。この際に、複数の第2の読出回路52のそれぞれは、各行の信号を、第4の方向A4に沿って、第1列から順にN列毎に読み出す。第3の方向A3は、第4の方向A4とは反対の方向である。第2の撮像部22の第1列は、行方向において第1の撮像部21の第1列とは反対側に位置する。
【0029】
図3~
図8を参照して、撮像部2、行選択部3、及び複数の読出回路5の詳細な構成及び動作について説明する。なお、第1の撮像部21、第1の行選択部31、及び複数の第1の読出回路51を例として説明するが、第2の撮像部22、第2の行選択部32、及び複数の第2の読出回路52の構成及び動作も同様である。画素P
1,1~P
M1,Nそれぞれは、トランジスタ211及びフォトダイオード212を含んで構成されている。トランジスタ211は、好適には電界効果トランジスタ(FET)によって構成されるが、バイポーラトランジスタによって構成されてもよい。以下では、トランジスタ211がFETであるものとして説明する。この場合、制御端子はゲートを意味する。トランジスタ211がバイポーラトランジスタである場合には、制御端子はベースを意味する。
【0030】
フォトダイオード212は、入射光強度に応じた量の電荷を発生し、その発生した電荷を接合容量部に蓄積する。トランジスタ211の一端(例えばこれらのソース領域)は、フォトダイオード212と電気的に接続されている。なお、第1の撮像部21の上には図示しないシンチレータが設けられている。シンチレータは、入射したX線に応じてシンチレーション光を発生してX線像を光像へと変換し、この光像をフォトダイオード212へ出力する。
【0031】
第1の撮像部21は、各行に配設されたM
1本の行選択用配線QA
1~QA
M1(
図4にはQA
m1-1、QA
m1及びQA
m1+1を代表して示す)と、各列に配設された複数の読出用配線R
1~R
L(
図4にはR
n-1、R
n、及びR
n+1を代表して示す)とを更に備えている。第m
1行の行選択用配線QA
m1は、対応する行の画素P
m1,1~P
m1,Lに含まれるトランジスタ211の開閉状態を制御するための制御端子(例えばゲート端子)と第1の行選択部31とを互いに電気的に接続している。
【0032】
第1の行選択部31は、制御部4から送信される共通の指示信号Saに基づいて、トランジスタ211の開閉状態を行毎に制御するための行選択信号を生成し、第m1行の行選択用配線QAm1に対して行選択信号を提供する。第L列の読出用配線RLは、対応する列の画素P1,L~PM1,Lに含まれるトランジスタ211の他端(例えばこれらのドレイン領域)と電気的に接続されている。行選択用配線QA1~QAM1及び読出用配線R1~RLは、例えば金属からなる。
【0033】
続いて、第1の撮像部21の回路構成について詳細に説明する。
図5は、第1の撮像部21の内部構成を示す図である。同図に示されるように、第1の撮像部21は、M
1本の行選択用配線QA
1~QA
M1それぞれに各出力端が接続されたM
1個のバッファBA
1~BA
M1を備えている。そして、第1の行選択部31は、画素P
1,1~P
M1,Nのトランジスタ211の開閉状態を行毎に制御するための行選択信号VS
1~VS
M1を生成する。
【0034】
第1の行選択部31は、行選択信号VS1~VSM1を出力するために行毎に一つずつ設けられたM1個の信号出力端311を有しており、各信号出力端311が、対応する行のバッファBA1~BAM1の入力端に接続されている。そして、第1の行選択部31は、第m1行の行選択信号VSm1を、バッファBAm1の入力端に提供する。バッファBAm1からは、行選択信号VSm1に基づく行選択信号VSAm1が出力される。第1の行選択部31において、行選択信号VS1~VSM1は順次に有意値とされる。
【0035】
一つあたりの第1の読出回路51は、列毎に設けられたN個の積分回路511と、N個の保持回路512とを有している。積分回路511及び保持回路512は、列毎に互いに直列に接続されている。N個の積分回路511それぞれは、読出用配線R1~RNそれぞれに接続された入力端を有しており、読出用配線R1~RNから入力された電荷を蓄積し、その蓄積電荷量に応じた電圧値を出力端からN個の保持回路512それぞれへ出力する。また、N個の積分回路511それぞれは、N個の積分回路511に対して共通に設けられたリセット用配線514に接続されている。
【0036】
撮像装置1は、第1の列選択部60を更に備えている。N個の保持回路512それぞれは、積分回路511の出力端に接続された入力端を有し、この入力端に入力される電圧値を保持し、その保持した電圧値を出力端から電圧出力用配線515へ出力する。N個の保持回路512それぞれは、N個の保持回路512に対して共通に設けられた保持用配線513に接続されている。また、N個の保持回路512それぞれは、第1列選択用配線U1~第N列選択用配線UNそれぞれを介して第1の列選択部60に接続されている。
【0037】
第1の列選択部60は、列選択信号HS1~HSNを生成する。第1の列選択部60は、例えば、複数の第1の読出回路51が制御部4から受信した指示信号Sbを複数の第1の読出回路51から受け取り、指示信号Sbに基づいて、列選択信号HS1~HSNを生成する。第1の列選択部60は、列選択用配線U1~UNを介してN個の保持回路512それぞれに提供する。列選択信号HS1~HSNは順次に有意値とされる。また、N個の積分回路511それぞれには、リセット用配線514を介してリセット制御信号RSTが提供される。N個の保持回路512それぞれには、保持用配線513を介して保持制御信号Hdが提供される。
【0038】
図6は、画素P
m1,n、積分回路511、及び保持回路512の詳細な回路構成例を示す図である。ここでは、M
1×N個の画素P
1,1~P
M1,Nを代表して第m
1行第n列の画素P
m1,nの回路図を示している。
【0039】
図6に示されるように、画素P
m1,nのフォトダイオード212のアノード端子は接地され、カソード端子は、トランジスタ211を介して読出用配線R
nに接続されている。画素P
m1,nのトランジスタ211には、バッファBA
m1から行選択用配線QA
m1を介して行選択信号VSA
m1が提供される。行選択信号VSA
m1は、第m
1行のN個の画素P
m1,1~P
m1,Nに含まれるトランジスタ211の開閉動作を指示する。
【0040】
行選択信号VSAm1が非有意値(トランジスタ211の制御端子のオフ電圧)であるとき、フォトダイオード212において発生した電荷は、読出用配線Rnへ出力されることなくフォトダイオード212の接合容量部に蓄積される。一方、行選択信号VSAm1が有意値(トランジスタ211の制御端子のオン電圧)であるとき、トランジスタ211が接続状態となる。このとき、フォトダイオード212の接合容量部に蓄積されていた電荷は、トランジスタ211を経て読出用配線Rnへ出力される。画素Pm1,nのフォトダイオード212から出力された電荷は、読出用配線Rnを通って積分回路511へ送られる。
【0041】
積分回路511は、アンプ511a、容量素子511b、及び放電用スイッチ511cを含む、いわゆる電荷積分型の構成を備えている。容量素子511b及び放電用スイッチ511cは、互いに並列に接続され、且つアンプ511aの入力端子と出力端子との間に接続されている。アンプ511aの入力端子は、読出用配線Rnに接続されている。放電用スイッチ511cには、リセット用配線514を介してリセット制御信号RSTが提供される。
【0042】
リセット制御信号RSTは、N個の積分回路511それぞれの放電用スイッチ511cの開閉動作を指示する。例えば、リセット制御信号RSTが非有意値(例えばハイレベル)であるときに、放電用スイッチ511cが閉じて、容量素子511bが放電され、積分回路511の出力電圧値が初期化される。また、リセット制御信号RSTが有意値(例えばローレベル)であるときに、放電用スイッチ511cが開いて、積分回路511に入力された電荷が容量素子511bに蓄積され、その蓄積電荷量に応じた電圧値が積分回路511から出力される。
【0043】
保持回路512は、入力用スイッチ512a、出力用スイッチ512b、及び容量素子512cを含む。容量素子512cの一端は、接地されている。容量素子512cの他端は、入力用スイッチ512aを介して積分回路511の出力端に接続され、且つ、出力用スイッチ512bを介して電圧出力用配線515と接続されている。入力用スイッチ512aには、保持用配線513を介して保持制御信号Hdが与えられる。保持制御信号Hdは、N個の保持回路512それぞれの入力用スイッチ512aの開閉動作を指示する。保持回路512の出力用スイッチ512bには、第n列の選択用配線Unを介して第n列の列選択信号HSnが与えられる。第n列の列選択信号HSnは、保持回路512の出力用スイッチ512bの開閉動作を指示する。
【0044】
例えば、保持制御信号Hdがハイレベルからローレベルに転じると、入力用スイッチ512aが閉状態から開状態に転じて、そのときに保持回路512に入力されている電圧値が容量素子512cに保持される。また、第n列の列選択信号HSnがローレベルからハイレベルに転じると、出力用スイッチ512bが閉じて、容量素子512cに保持されている電圧値が電圧出力用配線515へ出力される。
【0045】
図7は、本実施形態の第1の行選択部31の詳細な構成を示す回路図である。
図7に示されるように、第1の行選択部31は、シフトレジスタアレイ312と、M
1個の論理回路LO
1~LO
M1(図にはLO
1~LO
4を代表して示す)とを有している。
【0046】
シフトレジスタアレイ312は、M
1個のシフトレジスタ回路313が直列に接続されることによって構成されている。これらのシフトレジスタ回路313は、行毎に一つずつ配置されている。シフトレジスタ回路313は、例えば
図4に示されたトランジスタ211と同様の構造を有する複数のFETによって構成されている。各シフトレジスタ回路313にはクロック配線Lcが接続されており、一定周期のクロック信号clkがクロック配線Lcから各シフトレジスタ回路313に提供される。
【0047】
M1個の論理回路LO1~LOM1は各行に対応して配置されており、第m1行の論理回路LOm1の出力端は、行毎に一つずつ設けられた信号出力端311を介して、前述したバッファBAm1の入力端に接続されている。また、論理回路LO1~LOM1の一方の入力端にはイネーブル配線Enが接続されており、制御入力信号enableがイネーブル配線Enから論理回路LO1~LOM1に提供される。論理回路LO1~LOM1それぞれの他方の入力端には、当該行に対応するシフトレジスタ回路313の出力端が接続されている。
【0048】
M
1個の論理回路LO
1~LO
M1それぞれは、制御入力信号enableと、対応するシフトレジスタ回路313からの出力信号Sout
1~Sout
M1とが共に有意値であるときに、トランジスタ211を閉じるように行選択信号VS
1~VS
M1それぞれを出力する。例えば、制御入力信号enableの有意値がハイレベルであり、シフトレジスタ回路313からの出力信号Sout
1~Sout
M1の有意値がハイレベルである場合には、第m
1行の論理回路LO
m1は、制御入力信号enableと、シフトレジスタ回路313からの出力信号Sout
m1との論理積(AND)を出力する。なお、
図7ではAND回路を表す記号でもって論理回路LO
1~LO
M1が図示されているが、論理回路LO
1~LO
M1は、他の種々の論理回路の組み合わせによって構成されてもよい。
【0049】
図8は、本実施形態の第1の行選択部31の動作を示すタイミングチャートである。
図8には、上から順に、(a)スタート信号Start、(b)クロック信号clk、(c)第1行のシフトレジスタ回路313からの出力信号Sout
1、(d)第2行のシフトレジスタ回路313からの出力信号Sout
2、(e)第3行のシフトレジスタ回路313からの出力信号Sout
3、(f)第4行のシフトレジスタ回路313からの出力信号Sout
4、(g)制御入力信号enable、(h)第1行選択信号VSA
1、(i)第2行選択信号VSA
2、(j)第3行選択信号VSA
3、(k)第4行選択信号VSA
4がそれぞれ示されている。
【0050】
まず、時刻t10から時刻t13までの期間、スタート信号Startがハイレベルとされる。この間に、クロック信号clkが立ち上がると、第1行のシフトレジスタ回路313からの出力信号Sout1が立ち上がる(時刻t11)。この出力信号Sout1は、次のクロック信号clkの立ち上がりに応じて下がる(時刻t15)。そして、出力信号Sout1がハイレベルである時刻t11から時刻t15までの間に含まれる所定の期間内(時刻t12~t14)に、制御入力信号enableがハイレベルとされる。これにより、第1行選択信号VSA1がハイレベルとなって、第1行の各画素P1,1~P1,Lに含まれるトランジスタ211が導通状態となる。
【0051】
また、第1行のシフトレジスタ回路313からの出力信号Sout1が下がると同時に、第2行のシフトレジスタ回路313からの出力信号Sout2が立ち上がる(時刻t15)。この出力信号Sout2は、次のクロック信号clkの立ち上がりに応じて下がる(時刻t18)。そして、出力信号Sout2がハイレベルである時刻t15から時刻t18までの間に含まれる所定の期間内(時刻t16~t17)に、制御入力信号enableが再びハイレベルとされる。これにより、第2行選択信号VSA2がハイレベルとなって、第2行の各画素P2,1~P2,Lに含まれるトランジスタ211が接続状態となる。以降、第2行と同様の動作によって、第3行以降の行選択信号VSAm1が順次ハイレベルとなり、各画素に含まれるトランジスタ211が行毎に順次接続状態となる。
[関心領域の設定、読み出し、及び抽出]
【0052】
続いて、関心領域について説明する。
図1に示されるように、撮像装置1は、入力部40を更に備えている。入力部40は、第1の撮像部21及び第2の撮像部22の少なくとも一方に亘る関心領域REを設定するための入力Srを外部から受け付ける。入力部40は、受け付けた入力Srを制御部4に送信する。
図9は、関心領域REの設定の一例について説明するための図である。関心領域REは、例えば、撮像部2のうち、X線が入射する領域である。撮像部2を行方向において対向する一対の第1の辺E1,E2、及び列方向において対向する一対の第2の辺E3,E4に囲われた矩形状の領域とした際に、ユーザーは、矩形状の領域のうちの任意の領域に関心領域REを予め設定することができる。ユーザーは、第1の撮像部21及び第2の撮像部22のそれぞれに対して、個別に関心領域REを設定することができる。第1の撮像部21の関心領域REと第2の撮像部22の関心領域REとは、互いに非対称であってもよい。関心領域REの最小単位は、複数の画素Pのうちの一画素である。本実施形態では、関心領域REが、第1の撮像部21のみに設定されており、第2の撮像部22には設定されていない。ユーザーは、関心領域の幅Width、関心領域の高さHeight、第1の辺E1から関心領域REまでの行方向におけるオフセットXoffset、及び第2の辺E4から関心領域REまでの列方向におけるオフセットYoffsetを設定する。
【0053】
図10は、被読出領域について説明するための図である。被読出領域とは、撮像部2のうち、読出回路5によって電気信号が読み出される領域である。関心領域REは、第1の撮像部21において、第K行から第Q行にかけて設定されている。ここで、Kは、2以上Q以下の整数であり、Qは、K以上M
1以下の整数である。言い換えれば、関心領域REは、境界線BDからK-1行空けた位置において、列方向に沿ってQ行とK行との差分の行数に亘るように設定されている。つまり、関心領域REは、少なくとも第1行を含まないといえる。また、
図10では、第2の撮像部22において、関心領域REに対応する領域を対応領域R0として図示している。対応領域R0は、関心領域REに含まれる行に対応する行を含んでいる。対応領域R0は、第2の撮像部22において、第K行から第Q行にかけて設定されている。撮像部2において、関心領域RE及び対応領域R0を除く領域を非関心領域RNとする。
【0054】
図10の例では、関心領域REが第1の撮像部21の被読出領域となる。第K行から第Q行を行番号群とすると、第1の撮像部21の被読出領域の行番号群は、第1の撮像部21における関心領域REの行番号群を含んでいる。また、対応領域R0が第2の撮像部22の被読出領域となる。第1の撮像部21及び第2の撮像部22の被読出領域の行番号群は、関心領域REの行番号群に基づいて設定される。また、第1の撮像部21の被読出領域(関心領域RE)の行番号群は、第2の撮像部の被読出領域(対応領域R0)の行番号群と一致している。また、第1の撮像部21の被読出領域の行数は、第2の撮像部22の被読出領域の行数と一致している。
【0055】
制御部4は、入力部40から入力Srを受信し、設定された関心領域REを認識する。制御部4は、共通の指示信号Saに基づいて、第1の行選択部31を制御して、第1の撮像部21のうち関心領域REに含まれる行を選択する。これと並行して、制御部4は、共通の指示信号Saに基づいて、第2の行選択部32を制御して、第2の撮像部22のうち対応領域R0に含まれる行を選択する。具体的には、制御部4は、第1の行選択部31を制御して、第1の撮像部21の第K行から第1の撮像部21の第Q行にかけて、第1の方向A1に沿って、第1の撮像部21の行を昇順において選択する。これと並行して、制御部4は、第2の行選択部32を制御して、第2の撮像部22の第K行から第2の撮像部22の第Q行にかけて、第2の方向A2に沿って、第2の撮像部22の行を昇順において選択する。複数の第1の読出回路51は、第1の撮像部21の第K行の電気信号S1Kから第1の撮像部21の第Q行の電気信号S1Qまでを、順番に読み出す。複数の第2の読出回路52は、第2の撮像部22の第K行の電気信号S2Kから第2の撮像部22の第Q行の電気信号S2Qまでを順番に読み出す。
【0056】
制御部4は、共通の指示信号Saに基づいて、関心領域RE及び対応領域R0に含まれない行は選択しないように、第1の行選択部31及び第2の行選択部32を制御する。
図10の例では、関心領域RE及び対応領域R0に含まれない行は、第1行目から第M
1行又は第M
2行のうち、第K行から第Q行を除いた行である。これにより、複数の第1の読出回路51及び複数の第2の読出回路52は、関心領域RE及び対応領域R0に含まれない行の電気信号を読み出さない。言い換えれば、複数の第1の読出回路51及び複数の第2の読出回路52は、関心領域RE及び対応領域R0に含まれない行の電気信号については、読み飛ばす。或いは、制御部4は、関心領域RE及び対応領域R0に含まれない行の電気信号については、スキップしてもよい。スキップとは、例えば、以下のような動作である。第1の行選択部31は、バッファBA
m1を介して、有意値である期間が短い行選択信号VSA
m1を関心領域RE及び対応領域R0に含まれない行に対して出力する。関心領域RE及び対応領域R0に含まれない行から読み出された電気信号は、容量素子512cに保持され、電圧出力用配線515へ出力される前に、リセットされる。スキップの場合、関心領域RE及び対応領域R0に含まれない行から電気信号を読み出すため、読み飛ばしに比べ、関心領域RE及び対応領域R0に含まれない行に含まれる画素が飽和してしまうおそれが抑制される。
【0057】
再び
図1を参照する。複数のFIFOメモリ6は、複数の第1のFIFOメモリ61と、複数の第2のFIFOメモリ62とを有している。複数の第1のFIFOメモリ61の個数は、複数の第1の読出回路51の個数と同じである。複数の第2のFIFOメモリ62の個数は、複数の第2の読出回路52の個数と同じである。複数の第1のFIFOメモリ61は、複数の第1の読出回路51から読み出された電気信号を順番に格納する。具体的には、
図10に示されるように、第1の撮像部21の第K行の電気信号S1
Kから第1の撮像部21の第Q行の電気信号S1
Qまでを順番に格納する。この際に、複数の第1のFIFOメモリ61のそれぞれは、第1の撮像部21における各行の信号を、N列毎に格納する。複数の第2のFIFOメモリ62は、複数の第2の読出回路52から読み出された電気信号を順番に格納する。具体的には、
図10に示されるように、第2の撮像部22の第K行の電気信号S2
Kから第2の撮像部22の第Q行の電気信号S2
Qまでを順番に格納する。この際に、複数の第2のFIFOメモリ62のそれぞれは、第2の撮像部22における各行の信号を、N列毎に格納する。
【0058】
マルチプレクサ7は、複数の入力端子71と、一つの出力端子72とを有している。複数の入力端子71の個数は、複数のFIFOメモリ6の個数と同じである。マルチプレクサ7は、複数の第1のFIFOメモリ61に格納された電気信号のうち、関心領域REの列に対応する電気信号を複数の入力端子71に入力する。マルチプレクサ7は、複数の第2のFIFOメモリ62に格納された電気信号のうち、対応領域R0の列に対応する電気信号を複数の入力端子71に入力する。
【0059】
ここで、複数の読出回路5,複数のFIFOメモリ6、及びマルチプレクサ7の動作について、具体例を示して説明する。
図11は、複数の第1の読出回路51、複数の第1のFIFOメモリ61、及びマルチプレクサ7の一例を示す。説明の便宜のため、
図11では、複数の第1の読出回路51及び複数の第1のFIFOメモリ61は、行方向に沿って5個並んでいるものとする。
図11の例では、各行の電気信号は、第1のN列群N1~第5のN列群N5に5分割されている。そして、5個の第1の読出回路51のそれぞれは、第1のN列群N1~第5のN列群N5それぞれの電気信号を読み出すものとする。ここで、第1のN列群N1の電気信号及び第5のN列群N5の電気信号は、非関心領域RNの電気信号に該当し、第2のN列群N2~第4のN列群N4の電気信号は、関心領域REの電気信号に該当する。
【0060】
5個の第1の読出回路51に読み出された第1のN列群N1~第5のN列群N5の電気信号は、5個の第1のFIFOメモリ61にそれぞれ格納される。マルチプレクサ7は、5個の第1のFIFOメモリ61に格納された電気信号のうち、第2のN列群N2~第4のN列群N4の電気信号を複数の入力端子71に入力する。これにより、マルチプレクサ7は、関心領域REの電気信号のみを複数の入力端子71に入力する。複数の第2の読出回路52及び複数の第2のFIFOメモリ62が対応領域R0の電気信号を読み出し、格納し、マルチプレクサ7へ出力をする動作も上述の動作と同様である。
【0061】
マルチプレクサ7は、一つの出力端子72から、電気信号を一行ずつ後段の蓄積部8に出力する。この際に、マルチプレクサ7は、関心領域REの各行に対応する電気信号と対応領域R0の各行に対応する電気信号とを交互に出力する。まず、マルチプレクサ7は、第1の撮像部21の第K行の電気信号S1Kのうち、関心領域REの列に対応する電気信号を出力する。続いて、マルチプレクサ7は、第2の撮像部22の第K行の電気信号S2Kのうち、対応領域R0の列に対応する電気信号を出力する。続いて、マルチプレクサ7は、第1の撮像部21の第K+1行の電気信号S1K+1のうち、関心領域REの列に対応する電気信号を出力する。続いて、マルチプレクサ7は、第2の撮像部22の第K+1行の電気信号S2K+1のうち、対応領域R0の列に対応する電気信号を出力する。以上の出力の動作を第2の撮像部22の第Q行の電気信号S2Qが出力されるまで繰り返す。
【0062】
図12は、蓄積部8によって生成された第1データD1の一例を示す図である。蓄積部8は、マルチプレクサ7から入力された電気信号の入力順に従い、第1の撮像部21の各行の電気信号のうち関心領域REの列に対応する電気信号と、第2の撮像部22の各行の電気信号のうち対応領域R0の列に対応する電気信号とを交互に蓄積することにより、第1データD1を生成する。第1データD1は、第1の撮像部21の第K行の電気信号S1
Kのうち関心領域REの列に対応する電気信号から第2の撮像部22の第Q行の電気信号S2
Qのうち対応領域R0の列に対応する電気信号までが列方向に沿って並んだデータである。言い換えれば、第1データD1は、第1の行選択部31により選択された第1の撮像部21の被読出領域(関心領域RE)の各行から読み出された電気信号と、第2の行選択部32により選択された第2の撮像部22の被読出領域(対応領域R0)の各行から読み出された電気信号とが交互に蓄積されたデータである。蓄積部8は、第1データD1を並替部9に出力する。
【0063】
図13は、並替部9によって生成された第2データD2の一例を示す図である。並替部9は、第1データD1のうち第1の撮像部21の被読出領域(関心領域RE)から読み出された電気信号を、第1の撮像部21の被読出領域(関心領域RE)に対応する位置に並び替える。具体的には、並替部9は、第1データD1を、第1の撮像部21の各行の電気信号のうち関心領域REの列に対応する電気信号が第1の撮像部21の各行に対応するように順番に並び替える。これと並行して、並替部9は、第1データD1のうち第2の撮像部22の被読出領域(対応領域R0)から読み出された電気信号を、第2の撮像部22の被読出領域(対応領域R0)に対応する位置に並び替える。具体的には、並替部9は、第1データD1を、第2の撮像部22の各行の電気信号のうち対応領域R0の列に対応する電気信号が第2の撮像部22の各行に対応するように順番に並び替える。並替部9は、これらの並び替え動作によって、第2データD2を生成する。第2データD2では、第1の撮像部21の第K行の電気信号S1
Kのうち関心領域REの列に対応する電気信号から、第1の撮像部21の第Q行の電気信号S1
Qのうち関心領域REの列に対応する電気信号までが、第1の方向A1に沿って並んでいる。同様に、第2データD2では、第2の撮像部22の第K行の電気信号S2
Kのうち対応領域R0の列に対応する電気信号から、第2の撮像部22の第Q行の電気信号S2
Qのうち対応領域R0の列に対応する電気信号までが、第2の方向A2に沿って並んでいる。並替部9は、第2データD2を抽出部10に出力する。
【0064】
図14は、抽出部10によって生成された第3データD3の一例を示す図である。抽出部10は、第2データD2のうち、関心領域REに含まれる電気信号に対応する第3データD3のみを抽出し、対応領域R0の電気信号を排除する。言い換えれば、抽出部10は、第2データの一部を抽出して第3データを生成する。第3データD3では、第1の撮像部21の第K行の電気信号S1
Kのうち関心領域REの列に対応する電気信号から、第1の撮像部21の第Q行の電気信号S1
Qのうち関心領域REの列に対応する電気信号までが、第1の方向A1に沿って並んでいる。抽出部10は、第3データD3を解析部50に出力する。
【0065】
解析部50は、第3データD3に基づいて、例えば、被写体のX線画像を取得する。解析部50は、例えばパーソナルコンピュータ(PC)である。
[作用及び効果]
【0066】
撮像装置1では、関心領域REが第1の撮像部21に設定され、少なくとも第1の撮像部21の被読出領域の行番号群(第K行~第Q行)は関心領域REの行番号群に基づいて設定される。また、第1の撮像部21の被読出領域の行番号群は、第1の撮像部21における関心領域REの行番号群を含む。これにより、関心領域REの行番号群を含む被読出領域の行番号群の電気信号を、第1の撮像部21の全体から選択的に読み出す。そのうえで、行選択部3は、第1の撮像部21の被読出領域に含まれる各行、及び第2の撮像部22の被読出領域に含まれる各行を、第1の撮像部21及び第2の撮像部22の双方において昇順か、又は双方において降順にて選択する。これにより、第1の撮像部21の行及び第2の撮像部22の行から並行して電気信号を読み出すことができる。よって、第1の撮像部21のみに関心領域REが設定された場合においても、第1の撮像部21の行のみから電気信号を読み出し、第2の撮像部22の行からは電気信号を読み出さないといった煩雑な制御をする必要がない。つまり、煩雑な制御をすることなく任意の関心領域REの電気信号を読み出すことができる。また、蓄積部8が第1データD1を生成することにより、例えば、第1の撮像部21の行から読み出された電気信号と第2の撮像部22の行から読み出された電気信号とを個別にデータ処理する場合に比べ、処理が容易となり得る。また、並替部9が第1データD1を並び替えて第2データD2を生成し、抽出部10が関心領域REに対応した第3データD3を抽出する。これにより、関心領域REを任意に設定することができる。更に、行選択方向が双方において昇順か、又は降順であることにより、第1の撮像部21における行選択方向と、第2の撮像部22における行選択方向とを反対方向とすることができる。これにより、仮に、撮像装置1がローリングシャッター方式で電気信号を読み出す場合に、第1の撮像部21と第2の撮像部22との間の境界線BD付近での電気信号の読み出しタイミングにずれが生じ難くすることができる。
【0067】
第1の撮像部21の被読出領域の行番号群は、第2の撮像部22の被読出領域の行番号群と一致する。この場合、第1の撮像部21の行及び第2の撮像部22の行から並行して電気信号を読み出すにあたって、読み出す行を一致させることができる。これにより、より簡易な制御によって任意の関心領域REの電気信号を読み出すことができる。
【0068】
抽出部10は、第2データD2の一部を抽出して第3データD3を生成する。この場合、関心領域REが第1の撮像部21及び第2の撮像部22のいずれか一方に設定された場合においても、関心領域REに対応した第3データD3を生成することができる。
【0069】
行選択部3は、第1の撮像部21の被読出領域に含まれる各行、及び第2の撮像部22の被読出領域に含まれる各行を、第1の撮像部21及び第2の撮像部22の双方において昇順にて選択する。この場合、関心領域REは、第1の撮像部21と第2の撮像部22との境界線BDに近い領域に設定される場合が多い。撮像装置1では、被読出領域に含まれる各行を昇順にて選択することにより、関心領域REの電気信号を早いタイミングで読み出すことができる。これにより、関心領域REに対して露光時間が長くなることで関心領域REに含まれる画素P1,1~PM1,Nが飽和することを抑制することができる。また、境界線BD付近の行の電気信号を最初に読み出す方が、最後に読み出す場合に比べ、境界線BD付近での読み出しタイミングにずれが生じ難くすることができる。さらに、例えば、撮像対象が動画である場合には、境界線BD付近での読み出しタイミングにずれがより生じ難くすることができる。
【0070】
行選択部3は、第1の撮像部21と第2の撮像部22との双方において、共通の指示信号Saに基づいて同じ番号の行を同時に選択する。この場合、行選択部3は、第1の撮像部21の各行と第2の撮像部22の各行とを個別に選択する必要がないため、行選択部3の負担を軽減させることができる。
【0071】
第1の撮像部21の行数M1と第2の撮像部22の行数M2とが互いに等しい。この場合、第1の行選択部31及び第2の行選択部32の構成を同じ構成にすることができる。よって、第1の行選択部31及び第2の行選択部32の設計を容易にすることができる。
【0072】
第1の撮像部21の複数の画素、及び第2の撮像部22の複数の画素は、第1列~第L列(Lは2以上の整数)に亘って配列されており、撮像装置1は、第1の撮像部21の被読出領域の各行から読み出された電気信号を第1列から順に読み出す第1の読出回路51と、第2の撮像部22の被読出領域の各行から読み出された電気信号を第1列から順に読み出す第2の読出回路52と、を更に備え、第2の撮像部22の第1列が、行方向において第1の撮像部21の第1列とは反対側に位置する。この場合、第2の撮像部22の第1列が、行方向において第1の撮像部21の第1列とは反対側に位置することにより、第1の読出回路51と第1の撮像部21との接続構成、及び第2の読出回路52と第2の撮像部22との接続構成を同じ構成にすることができる。よって、第1の読出回路51と第1の撮像部21との接続構成、及び第2の読出回路52と第2の撮像部22との接続構成の設計を容易にすることができる。
[変形例]
【0073】
以上、本開示の実施形態について説明してきたが、本開示は必ずしも上述した実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変更が可能である。
【0074】
第1の行選択部31は、第1の撮像部21の各行を降順において選択してもよい。第2の行選択部32は、第2の撮像部22の各行を降順において選択してもよい。具体的には、以下の通りである。第1の行選択部31は、境界線BDに最も遠い行(第M1行)から境界線BDに最も近い行(第1行)に向かう方向に沿って、第1の撮像部21の行を順番に選択してもよい。これと並行して、第2の行選択部32は、境界線BDに最も遠い行(第M2行)から境界線BDに最も近い行(第1行)に向かう方向に沿って、第2の撮像部22の行を順番に選択してもよい。第1の撮像部21及び第2の撮像部22の双方において降順にて選択することにより、第1の撮像部21における行選択方向と、第2の撮像部22における行選択方向とを反対方向とすることができる。これにより、第1の撮像部21と第2の撮像部22との間の境界線付近での電気信号の読み出しタイミングにずれが生じ難くすることができる。
【0075】
第1の撮像部21の行数M1と第2の撮像部22の行数M2とが異なる行数であってもよい。異なる行数であったとしても、関心領域REの行番号群を含む被読出領域の行番号群から選択的に電気信号を読み出すことができ、全ての行から電気信号を読み出す場合に比べ、処理速度が向上する。
【0076】
図15は、第1変形例に係る被読出領域を説明するための図である。第1変形例に係る被読出領域では、関心領域REが、第2の撮像部22のみに設定されており、第1の撮像部21には設定されていない。関心領域REは、第2の撮像部22において、第K行から第Q行にかけて設定されている。ここで、Kは、2以上Q以下の整数であり、Qは、K以上M
1以下の整数である。言い換えれば、関心領域REは、境界線BDからK-1行空けた位置において、列方向に沿ってQ行とK行との差分の行数に亘るように設定されている。つまり、関心領域REは、少なくとも第1行を含まないといえる。また、
図15では、第1の撮像部21において、関心領域REに対応する領域を対応領域R0として図示している。対応領域R0は、関心領域REに含まれる行に対応する行を含んでいる。対応領域R0は、第1の撮像部21において、第K行から第Q行にかけて設定されている。
【0077】
第1変形例では、関心領域REが第2の撮像部22の被読出領域となる。第K行から第Q行を行番号群とすると、第2の撮像部22の被読出領域の行番号群は、第2の撮像部22における関心領域REの行番号群を含んでいる。また、対応領域R0が第1の撮像部21の被読出領域となる。第1の撮像部21及び第2の撮像部22の被読出領域の行番号群は、関心領域REの行番号群に基づいて設定される。また、第2の撮像部22の被読出領域(関心領域RE)の行番号群は、第1の撮像部の被読出領域(対応領域R0)の行番号群と一致している。第1変形例では、被読出領域の行番号群は、関心領域REの行番号群に基づいて設定され、第2の撮像部22の被読出領域の行番号群は、第2の撮像部22における関心領域REの行番号群を含む。これにより、関心領域REの行番号群を含む被読出領域の行番号群から選択的に電気信号を読み出すことができ、全ての行から電気信号を読み出す場合に比べ、処理速度が向上する。
【0078】
第1変形例では、関心領域REが第2の撮像部22に設定され、少なくとも第2の撮像部22の被読出領域の行番号群は、関心領域REの行番号群に基づいて設定され、第2の撮像部22の被読出領域の行番号群は、第2の撮像部22における関心領域REの行番号群を含む。この場合、第2の撮像部22のみに関心領域REが設定された場合においても、第2の撮像部22の行のみから電気信号を読み出し、第1の撮像部21の行からは電気信号を読み出さないといった煩雑な制御をする必要がない。つまり、煩雑な制御をすることなく任意の関心領域REの電気信号を読み出すことができる。
【0079】
本実施形態及び第1変形例では、入力部40は、第1の撮像部21及び第2の撮像部22のうち一方の撮像部に設定され、一方の撮像部において第1行を含まない関心領域REを少なくとも受け付ける。関心領域REが第1の撮像部21及び第2の撮像部22のうち一方の撮像部に設定された場合においても、煩雑な制御をすることなく任意の関心領域REの電気信号を読み出すことができる。
【0080】
続いて、第2変形例及び第3変形例に係る読出領域について説明する。第2変形例及び第3変形例では、関心領域REが、第1の撮像部21及び第2の撮像部22それぞれに設定されている。
図16は、関心領域の設定の別の一例について説明するための図である。関心領域REは、境界線BDに跨るように設定されている。つまり、関心領域REは、第1の撮像部21及び第2の撮像部22の双方において第1行を含んでいる。ユーザーは、関心領域の幅Width、関心領域の高さHeight、第1の辺E1から関心領域REまでの行方向におけるオフセットXoffset、及び第2の辺E4から関心領域REまでの列方向におけるオフセットYoffsetを設定する。
図16の例では、高さHeightは、第1の撮像部21に設定された関心領域REの高さであるHbottomと第2の撮像部22に設定された関心領域REの高さであるHtopとを合計した値である。
【0081】
図17は、第2変形例に係る被読出領域を説明するための図である。第1の撮像部21に設定された関心領域REの行範囲は、第2の撮像部22に設定された関心領域REの行範囲と異なる。第2変形例では、第1の撮像部21に設定された関心領域REは、第1の撮像部21において、第1行から第R行にかけて設定されている。ここで、Rは、1以上M
1以下の整数である。一方で、第2の撮像部22に設定された関心領域REは、第2の撮像部22において、第1行から第T行にかけて設定されている。ここで、Tは、1以上R未満の整数である。第2の撮像部22では、第1の撮像部21に設定された関心領域REと第2の撮像部22に設定された関心領域REとの差分となる領域が、対応領域R0として設定されている。
図16の例では、対応領域R0は、第2の撮像部22において、列方向に沿ってT行とR行との差分の行数に亘るように設定されている。第1の撮像部21における関心領域REが第1の撮像部21の被読出領域となる。第2の撮像部22における関心領域RE及び第2の撮像部22における対応領域R0が第2の撮像部22の被読出領域となる。
【0082】
第2変形例では、入力部40は、第1の撮像部21及び第2の撮像部22の両方に設定され、第1の撮像部21及び第2の撮像部22の双方において第1行を含み、行範囲が第1の撮像部21と第2の撮像部22とにおいて互いに異なる関心領域REを少なくとも受け付ける。関心領域REが第1の撮像部21及び第2の撮像部22の両方に設定され、第1の撮像部21における関心領域REの行範囲が第2の撮像部22における関心領域REの行範囲と異なる場合においても、煩雑な制御をすることなく任意の関心領域REの電気信号を読み出すことができる。
【0083】
図18は、第3変形例に係る被読出領域を説明するための図である。第3変形例に係る被読出領域では、第1の撮像部21に設定された関心領域REの行範囲は、第2の撮像部22に設定された関心領域REの行範囲と等しい。第3変形例では、第1の撮像部21に設定された関心領域REは、第1の撮像部21において、第1行から第R行にかけて設定されている。ここで、Rは、1以上M
1以下の整数である。同様に、第2の撮像部22に設定された関心領域REは、第2の撮像部22において、第1行から第R行にかけて設定されている。第3変形例では、第1の撮像部21に設定された関心領域REの行範囲は、第2の撮像部22に設定された関心領域REの行範囲と等しいことから、対応領域R0が設定されない。第1の撮像部21における関心領域REが第1の撮像部21の被読出領域となる。第2の撮像部22における関心領域REが第2の撮像部22の被読出領域となる。第3変形例では、対応領域R0が設定されないことから、抽出部10は、第2データD2の全部を抽出して第3データを生成する。これにより、関心領域REが第1の撮像部21及び第2の撮像部22の双方に設定された場合においても、関心領域REに対応した第3データD3を生成することができる。
【0084】
制御部4は、第1の撮像部21の被読出領域に含まれる各行、及び第2の撮像部22の被読出領域に含まれる各行から電気信号を読み出すモードと、第1の撮像部21及び第2の撮像部22の全ての行から電気信号を読み出すモードと、を外部からの入力に応じて、選択的に切り替えてもよい。全ての行から電気信号を読み出すモードが選択された場合の動作は以下の通りである。第1の行選択部31は、制御部4から送信される共通の指示信号Saに基づいて、第1の撮像部21の全ての行を選択してもよい。これと並行して、第2の行選択部32は、制御部4から送信される共通の指示信号Saに基づいて、第2の撮像部22の全ての行を選択してもよい。そして、複数の第1の読出回路51は、第1の撮像部21の全ての行の電気信号を順番に読み出してもよい。複数の第2の読出回路52は、第2の撮像部22の全ての行の電気信号を順番に読み出してもよい。その後、蓄積部8は、マルチプレクサ7から入力された電気信号の入力順に従い、第1の撮像部21の全ての行の電気信号と、第2の撮像部22の全ての行の電気信号とを交互に蓄積することにより、第1データD1を生成してもよい。そして、並替部9は、第1データD1のうち第1の撮像部21の全ての行から読み出された電気信号を、第1の撮像部21の各行に対応する位置に並び替えてもよい。これと並行して、並替部9は、第1データD1のうち第2の撮像部22の全ての行から読み出された電気信号を、第2の撮像部22の各行に対応する位置に並び替えてもよい。この場合、第1の撮像部21及び第2の撮像部22の全ての行から電気信号を読み出すモードと、第1の撮像部21の被読出領域に含まれる各行、及び第2の撮像部22の被読出領域に含まれる各行から電気信号を読み出すモードとを同一のインタフェースで行うことができ、読み出しの自由度を向上させることができる。
【0085】
第1の撮像部21の被読出領域の行数が第2の撮像部22の被読出領域の行数と一致していれば、第1の撮像部21の被読出領域(関心領域RE)の行番号群は、第2の撮像部の被読出領域(対応領域R0)の行番号群と必ずしも一致しなくてもよい。言い換えれば、第1の撮像部21の被読出領域は、境界線BDに対して、第2の撮像部22の被読出領域と線対称でなくてもよい。例えば、第1の撮像部21の被読出領域(関心領域RE)の行番号群は第K行~第Q行であり、第2の撮像部の被読出領域(対応領域R0)の行番号群は第K+1行~第Q+1行であってもよい。この場合、第1の撮像部21の行及び第2の撮像部22の行から並行して電気信号を読み出すにあたって、読み出す行数を一致させることで簡易な制御を実現しつつ、読み出しの自由度を向上させることができる。
【0086】
第1の撮像部21の被読出領域の行数は、第2の撮像部22の被読出領域の行数と一致していなくてもよい。第1の撮像部21の被読出領域の行数は、第2の撮像部22の被読出領域の行数に対して、1行多い、又は1行少なくてもよい。言い換えれば、第1の撮像部21の被読出領域は、境界線BDに対して、第2の撮像部22の被読出領域と線対称でなくてもよい。この場合においても、蓄積部8は、第1の撮像部21の各行の電気信号のうち関心領域REの列に対応する電気信号と、第2の撮像部22の各行の電気信号のうち対応領域R0の列に対応する電気信号とを交互に蓄積することにより、第1データD1を生成する。例えば、第1の撮像部21の被読出領域(関心領域RE)の行番号群が第K行~第Q+1行であり、第2の撮像部の被読出領域(対応領域R0)の行番号群が第K行~第Q行である場合、第1データD1は、第1の撮像部21の第K行の電気信号S1Kのうち関心領域REの列に対応する電気信号から第1の撮像部21の第Q+1行の電気信号S1Q+1のうち関心領域REの列に対応する電気信号までが列方向に沿って並んだデータである。この場合、第1の撮像部21の行及び第2の撮像部22の行から並行して電気信号を読み出すにあたって、読み出しの自由度を更に向上させることができる。
【符号の説明】
【0087】
1…撮像装置、2…撮像部、21…第1の撮像部、22…第2の撮像部、3…行選択部、51…第1の読出回路、52…第2の読出回路、8…蓄積部、9…並替部、10…抽出部、40…入力部、D1…第1データ、D2…第2データ、D3…第3データ、RE…関心領域、R0…対応領域、Sa…共通の指示信号、Sr…入力。