(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024158339
(43)【公開日】2024-11-08
(54)【発明の名称】コンロバーナ装置
(51)【国際特許分類】
F24C 3/12 20060101AFI20241031BHJP
F23N 5/20 20060101ALI20241031BHJP
F23N 1/00 20060101ALI20241031BHJP
【FI】
F24C3/12 E
F23N5/20 A
F23N5/20 H
F23N1/00 104
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023073466
(22)【出願日】2023-04-27
(71)【出願人】
【識別番号】000115854
【氏名又は名称】リンナイ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000305
【氏名又は名称】弁理士法人青莪
(72)【発明者】
【氏名】稲熊 富世
(72)【発明者】
【氏名】上野 貴大
【テーマコード(参考)】
3K005
3K068
【Fターム(参考)】
3K005GB08
3K005HB06
3K005JA03
3K068FA01
3K068FB02
3K068FC02
3K068FC06
3K068FD01
3K068GA07
3K068HA08
(57)【要約】
【課題】押し操作と押し操作とは異なる方向の操作である火力調節操作とが可能な手動操作子7を備えるコンロバーナ装置であって、手動操作子7の押し操作を含む所定の点火操作が行われたときに、コンロバーナの火力が所定の点火火力になるように火力調節手段4を制御した状態で点火手段3を作動させる点火制御を実行し、手動操作子7の火力調節操作が行われたときに、火力調節操作に応じて火力調節手段4を制御する火力調節制御を実行するものにおいて、点火制御の開始直後の手動操作子7の火力調節操作による火力調節制御で燃焼が不安定になることを防止できるようにする。
【解決手段】点火制御の開始後、所定時間経過といった所定条件が成立するまでは、手動操作子7の火力調節操作が行われても火力調節制御を実行しない。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンロバーナと、コンロバーナに点火する点火手段と、コンロバーナの火力を調節する火力調節手段と、押し操作と押し操作とは異なる方向の操作である火力調節操作とが可能な手動操作子と、制御手段とを備えるコンロバーナ装置であって、
制御手段は、手動操作子の押し操作を含む所定の点火操作が行われたときに、コンロバーナの火力が所定の点火火力になるように火力調節手段を制御した状態で点火手段を作動させる点火制御を実行し、手動操作子の火力調節操作が行われたときに、火力調節操作に応じて火力調節手段を制御する火力調節制御を実行するように構成されるものにおいて、
制御手段は、点火制御の開始後、所定条件が成立するまでは、手動操作子の火力調節操作が行われても火力調節制御を実行しないように構成されることを特徴とするコンロバーナ装置。
【請求項2】
前記所定条件は、点火制御を開始してから所定時間経過であることを特徴とする請求項1記載のコンロバーナ装置。
【請求項3】
前記所定条件は、前記コンロバーナに付設した火炎検知素子によるコンロバーナの火炎の検知であることを特徴とする請求項1記載のコンロバーナ装置。
【請求項4】
前記点火操作は、前記手動操作子の押し操作と押し操作後の火力調節操作との2段階の操作であることを特徴とする請求項1~3の何れか1項記載のコンロバーナ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンロバーナと、コンロバーナに点火する点火手段と、コンロバーナの火力を調節する火力調節手段と、押し操作と押し操作とは異なる方向の操作である火力調節操作とが可能な手動操作子と、制御手段とを備えるコンロバーナ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種のコンロバーナ装置において、制御手段は、手動操作子の押し操作を含む所定の点火操作が行われたときに、コンロバーナの火力が所定の点火火力になるように火力調節手段を制御した状態で点火手段を作動させる点火制御を実行し、手動操作子の火力調節操作(例えば回転操作)が行われたときに、火力調節操作に応じて火力調節手段を制御する火力調節制御を実行するように構成されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
ところで、使用者によっては、点火制御の開始直後に手動操作子の火力調節操作を行ってしまうことがある。この場合、点火直後で燃焼が安定しない状態で、火力が点火に適した火力である点火火力よりも大きくなったり小さくなったりし、燃焼が不安定になる可能性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、以上の点に鑑み、点火制御の開始直後の手動操作子の火力調節操作による火力調節制御で燃焼が不安定になることを防止できるようにしたコンロバーナ装置を提供することをその課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明は、コンロバーナと、コンロバーナに点火する点火手段と、コンロバーナの火力を調節する火力調節手段と、押し操作と押し操作とは異なる方向の操作である火力調節操作とが可能な手動操作子と、制御手段とを備えるコンロバーナ装置であって、制御手段は、手動操作子の押し操作を含む所定の点火操作が行われたときに、コンロバーナの火力が所定の点火火力になるように火力調節手段を制御した状態で点火手段を作動させる点火制御を実行し、手動操作子の火力調節操作が行われたときに、火力調節操作に応じて火力調節手段を制御する火力調節制御を実行するように構成されるものにおいて、制御手段は、点火制御の開始後、所定条件が成立するまでは、手動操作子の火力調節操作が行われても火力調節制御を実行しないように構成されることを特徴とする。
【0007】
ここで、上記所定条件を、例えば、点火制御を開始してから所定時間経過とし、或いは、コンロバーナに付設した火炎検知素子によるコンロバーナの火炎の検知とすれば、所定条件が成立したときには、燃焼が安定する。本発明によれば、上記所定条件が成立するまでは、即ち、点火直後で燃焼が安定しない状態では、火力調節制御が実行されることはない。従って、点火直後で燃焼が安定しない状態での火力調節制御により、火力が点火火力よりも大きくなったり小さくなったりして、燃焼が不安定になることを防止できる。
【0008】
また、本発明において、点火操作は、手動操作子の押し操作と押し操作後の火力調節操作との2段階の操作とすることが望ましい。これによれば、手動操作子が不用意に押し操作されても、点火制御は実行されず、安全性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の実施形態のコンロバーナ装置を示す説明図。
【
図2】実施形態のコンロバーナ装置の制御手段による制御内容を示すフロー図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1を参照して、本発明の実施形態のコンロバーナ装置は、コンロバーナ1と、コンロバーナ1に燃料ガスを供給するガス供給路2とを備えている。ガス供給路2には、点火手段3の構成要素となる開閉弁31が介設されると共に、火力調節手段たる火力調節弁4が介設されている。また、コンロバーナ1には、点火手段3の構成要素である点火電極32と、熱電対から成る火炎検知素子5とが付設されている。点火電極32には、点火手段3の構成要素であるイグナイタ33から高電圧が印加される。
【0011】
コンロバーナ装置は、更に、コンロの操作盤6の表面側に突出するように配置した手動操作子7と、開閉弁31と火力調節弁4とイグナイタ33とを制御する制御手段たるコントローラ8とを備えている。手動操作子7は、操作盤6から突出する位置に付勢保持されており、押し操作と回転操作である火力調節操作とが可能である。そして、手動操作子7が押し操作されたときにオンするスイッチ71と、手動操作子7の回転方向及び回転角度を検出するエンコーダ72とからの信号がコントローラ8に入力されている。また、コントローラ8には、電源スイッチ9からの信号と火炎検知素子5からの信号も入力されている。尚、操作盤6には、手動操作子7の上方に位置させて、コントローラ8により点灯制御される複数のLED61が横1列に配置されている。
【0012】
コントローラ8は、電源スイッチ9からのオン信号が入力されたときに、
図2に示す制御を行う。この制御では、先ず、STEP1において、手動操作子7が押し操作されてその後押し操作が解除されたか否か、即ち、手動操作子7の押し離し操作が行われたか否かを判別する。具体的には、スイッチ71が一旦オンした後にオフしたか否かを判別する。尚、図示していないが、スイッチ71がオンしたまま所定時間(例えば、15秒)経過したときは、スイッチ71のオン故障を生じたものと判断して、全てのLED61を点滅する等のエラー表示を行う。
【0013】
手動操作子7の押し離し操作が行われたときは、STEP2に進み、点火待機状態となったことを表すために、LED61を1個ずつ順番に所定時間間隔(例えば、0.2秒)で点灯する。次に、STEP3で手動操作子7が再押し操作されたか否かを判別し、再押し操作されていなければ、STEP4で手動操作子7の押し離し操作から所定の待ち時間(例えば、10秒)が経過したか否かを判別する。そして、待ち時間が経過していなければ、STEP5で手動操作子7の回転操作、即ち、火力調節操作が行われたか否かを判別し、火力調節操作が行われていない場合はSTEP3に戻る。手動操作子7が再押し操作されたり、待ち時間が経過する前に手動操作子7の火力調節操作が行われなかったときは、STEP1に戻り、後述の点火制御は実行されない。
【0014】
待ち時間が経過する前に手動操作子7の火力調節操作が行われたときは、STEP6に進み、火力調節弁4をコンロバーナ1の火力が点火に適した点火火力(例えば、中間火力)になるように制御した状態で、点火手段3を作動、即ち、開閉弁31を開弁させると共にイグナイタ33をオンして点火電極32で火花放電させる点火制御を開始する。尚、図示しないが、点火制御は、火炎検知素子5によるコンロバーナ1の火炎の検知がなされたとき、即ち、火炎検知素子5の出力が所定レベルに上昇したときに、終了する。
【0015】
点火制御を開始した後は、STEP7で手動操作子7の火力調節操作が行われたか否かを判別し、火力調節操作が行われていなければ、後述するSTEP10に進む。火力調節操作が行われたときは、STEP8に進んで、点火制御を開始してから所定時間(例えば、0.3秒)経過したか否かを判別する。そして、所定時間経過前は、STEP10に進み、所定時間経過したときに、STEP9に進んで、火力調節操作に応じて火力調節弁4を制御する火力調節制御を実行する。次に、STEP10で手動操作子7の再押し操作が行われたか否かを判別し、再押し操作が行われるまでは、STEP7に戻ることを繰り返す。再押し操作が行われたときは、STEP11に進み、開閉弁31を閉弁させてコンロバーナ1を消火する消火制御を行い、一連の処理を終了する。尚、図示しないが、点火後に火炎検知素子5の出力が低下して失火を生じたと判断したときも、消火制御を行う。
【0016】
上記の制御によれば、点火制御を開始してから所定時間経過するまでは、手動操作子7の火力調節操作が行われても火力調節制御は実行されない。ここで、点火制御を開始してから所定時間経過すれば、燃焼が安定する。そのため、点火直後で燃焼が安定しない状態での火力調節制御により、火力が点火火力よりも大きくなったり小さくなったりして、燃焼が不安定になることを防止できる。
【0017】
また、点火制御は、手動操作子7の押し操作(正確には押し離し操作)と火力調節操作とを行わないと実行されない。即ち、点火制御を実行させるための操作である点火操作は、手動操作子7の押し操作と火力調節操作との2段階の操作になる。これによれば、手動操作子7が不用意に押し操作されても、点火制御は実行されず、安全性が向上する。
【0018】
以上、本発明の実施形態について図面を参照して説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、上記実施形態では、点火制御の開始後、火力調節制御を開始するための条件を、点火制御を開始してから所定時間経過としているが、火炎検知素子5によるコンロバーナ1の火炎の検知としてもよい。具体的には、
図2のSTEP8で火炎検知されたか否かを判別し、火炎検知されたときに、STEP9に進んで火力調節制御を行うようにしてもよい。火炎検知される状態では、燃焼が安定している。そのため、上記実施形態と同様に、点火直後で燃焼が安定しない状態での火力調節制御により、火力が点火火力よりも大きくなったり小さくなったりして、燃焼が不安定になることを防止できる。
【0019】
また、上記実施形態では、手動操作子7が操作盤6から常時突出しているが、手動操作子を、常時は、手動操作子の表面が操作盤の表面と面一になる没入位置に存し、手動操作子の押し離し操作により、プッシュプッシュ機構の働きで操作盤から突出して回転操作可能となるようにしたものとすることも可能である。更に、上記実施形態では、手動操作子7の火力調節操作が回転操作であるが、手動操作子を押し操作及びスライド操作可能とし、火力調節操作を手動操作子のスライド操作とすることも可能である。
【符号の説明】
【0020】
1…コンロバーナ、3…点火手段、4…火力調節弁(火力調節手段)、5…火炎検知手段、7…手動操作子、8…コントローラ(制御手段)。