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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024158340
(43)【公開日】2024-11-08
(54)【発明の名称】位置センサユニット
(51)【国際特許分類】
   B66C 23/88 20060101AFI20241031BHJP
   B66C 13/00 20060101ALI20241031BHJP
   B66C 15/04 20060101ALI20241031BHJP
【FI】
B66C23/88 D
B66C13/00 D
B66C15/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023073467
(22)【出願日】2023-04-27
(71)【出願人】
【識別番号】000000549
【氏名又は名称】株式会社大林組
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 圭吾
(72)【発明者】
【氏名】三谷 祐哉
【テーマコード(参考)】
3F205
【Fターム(参考)】
3F205AA05
3F205AA07
3F205CA03
3F205CB02
3F205DA04
(57)【要約】
【課題】重機のアーム部の端部の位置を効率的かつ適切に特定するための位置センサユニットを提供する。
【解決手段】位置センサユニット20は、クレーンのジブの先端部材17の側面に設置される。この位置センサユニット20は、先端部材17の側面に取り付けられる第1取付板31と、アンテナA1を設けた第2取付板40と、第1取付板31に対して第2取付板40を回転可能に取り付ける回転軸とを備える。更に、位置センサユニット20は、着脱可能に取り付けるための磁石33と、第2取付板40に取り付けられアンテナA1に接続される受信機と、を備える。そして、アンテナA1の上端が上になるように、第2取付板40の重量配置を設定する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
重機のアーム部の先端の側面に取り付けられる位置センサユニットであって、
前記側面に取り付けられる取付固定部と、
位置を特定するために衛星からの信号を受信するアンテナを設けた可動部と、
前記取付固定部に対して前記可動部を回転可能に取り付ける回転軸と、
前記側面に着脱可能に取り付けるための磁石と、
前記アンテナに接続される受信機と、を備え、
前記アンテナの上端が上になるように、前記可動部の重量配置を設定することを特徴とする位置センサユニット。
【請求項2】
前記回転軸は、前記可動部に固定され、
前記取付固定部には、
前記回転軸の前記重機側の端部を回転可能に支持するベアリングと、
前記回転軸の中央部分を回転可能に支持するベアリングとが固定されていることを特徴とする請求項1に記載の位置センサユニット。
【請求項3】
前記受信機は、前記可動部のボックスに内蔵されており、
前記アンテナと前記受信機を接続する電気線が、前記ボックスの下面に形成された孔を挿通していることを特徴とする請求項1に記載の位置センサユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、高い位置にあるクレーンのジブ等の重機のアーム部の先端の位置を把握する位置センサを備えた位置センサユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
工事現場におけるクレーン同士の近接を回避するために、クレーンの先端部の位置の把握や警報を行なうシステムが検討されている(例えば、特許文献1参照。)。このクレーン近接警報システムは、クレーンの各ジブの先端部に装着したGPSアンテナと、各GPSアンテナの受信データに基づいて各ジブの先端部の位置を求める演算手段と、GPS補正情報を配信する配信サーバと、を備える。各演算手段は、GPSアンテナの受信データと配信サーバから配信されるGPS補正情報とに基づいて各ジブの先端部の位置を求める。そして、この求めた位置情報に基づいてジブ同士が接近したときに報知する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007-84336号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
工事現場のクレーン等の重機では、電線への接触や、工事現場外の飛び出しを抑制する必要がある。このために、重機のアーム部の先端の位置を特定している。
しかしながら、アンテナにおいて、衛星信号の受信状態が悪いと、正確な位置の特定が困難である。そこで、アンテナを障害物が少ないジブの最上端に設けることも想定できる。しかし、クレーンのジブの先端部は、クレーン作業によって角度が変わる。このため、角度によっては、衛星信号の取得が難しい場合がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決する位置センサユニットは、重機のアーム部の先端の側面に設置される位置センサユニットであって、前記側面に取り付けられる取付固定部と、位置を特定するために衛星からの信号を受信するアンテナを設けた可動部と、前記取付固定部に対して前記可動部を回転可能に取り付ける回転軸と、前記側面に着脱可能に取り付けるための磁石と、前記アンテナに接続される受信機と、を備え、前記アンテナの上端が上になるように、前記可動部の重量配置を設定する。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、重機のアーム部の端部の位置を効率的かつ適切に特定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】実施形態の位置センサユニットを取り付けるクレーンの全体を示す斜視図である。
図2】実施形態におけるクレーンのジブの先端に位置センサユニットを取り付けた状態の斜視図である。
図3】実施形態の位置センサユニットの側面図である。
図4】実施形態の位置センサユニットのボックスを開けた状態の正面図である。
図5】実施形態の位置センサユニットを取り付けるクレーンの制御装置の構成を説明する説明図である。
図6】実施形態のハードウェア構成の説明図である。
図7】実施形態においてクレーンのジブの先端の動きに応じて位置センサユニットの動きを説明する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図1図7を用いて、位置センサユニットを具体化した一実施形態を説明する。本実施形態では、重機としてのクレーンのジブ(アーム部)の先端の位置を特定するために用いる位置センサユニットを説明する。
【0009】
まず、図1を用いて、位置センサユニットの説明の前に、この位置センサユニットを取り付けるクレーン10の構成について説明する。
図1に示す本実施形態のクレーン10は、テレスコピック構造(伸縮構造)を備えたクローラクレーンである。このクレーン10は、ベースマシン11及びジブ15を備えている。ベースマシン11は、クローラ12を含む下部走行体と、操作室13を含む上部旋回体とを備える。
【0010】
上部旋回体には、箱型の長尺形状のジブ15の下端部及び起伏シリンダ16の下端部が回転可能に設けられる。起伏シリンダ16の上端部は、ジブ15の中央に取り付けられる。ジブ15の先端部には、伸縮構造が設けられているとともに、この伸縮構造よりも更に先端側には、先端部材17が設けられている。先端部材17には、フック18が吊り下げられる。
【0011】
更に、上部旋回体は、警報を行なう積層回転灯14及び制御装置60を備える。積層回転灯14は、複数の色の異なる回転灯を積層している。この積層回転灯14は、回転灯を点灯する場合には、各回転灯に応じた警告音を出力する。
【0012】
制御装置60は、下部走行体に対する上部回転体の旋回、上部回転体に対するジブ15の旋回やジブ15の伸縮構造の伸縮、フック18の昇降等を制御する。この制御装置60の詳細については、後述する。
【0013】
更に、先端部材17の側面には、位置センサユニット20が設けられる。ここでは、位置センサユニット20の後述する回転軸35が、先端部材17のジブポイントに位置するように取り付けられる。
【0014】
(位置センサユニット20)
次に、図2図4を用いて、位置センサユニット20について説明する。
図2及び図3は、位置センサユニット20をジブ15の先端部材17に取り付けた斜視図及び側面図を示す。図4は、位置センサユニット20のボックス21の蓋部材21cを開いた状態を示した正面図である。
【0015】
図2に示すように、位置センサユニット20は、アンテナA1、ボックス21及びブラケット30を備える。
ボックス21は、全体として上下方向が長い略直方体形状を有し、本体部21bと、本体部21bの開口部を覆って開閉可能な蓋部材21cとを有する。具体的には、蓋部材21cは、本体部21bの一方の長辺において一列に並んだ複数のヒンジを用いて回転可能に、本体部21bに支持される。
【0016】
図3に示すように、ボックス21の本体部21bの下面には、ソケット23が固定される。このソケット23は、アンテナA1に接続される電気線(有線)24が挿入される。
図4に示すように、この電気線24は、本体部21bの下面に形成された孔を挿通してボックス21の受信機25に接続されている。受信機25は、アンテナA1から少し空間をおいて、ボックス21の内部の少し下方に配置される。この受信機25は、アンテナA1が受信したGNSS(Global Navigation Satellite System;全球測位衛星システム)信号を受信する。更に、この受信機25は、通信機能を備え、取得したGNSS信号を、携帯電話網を介して接続されるインターネット(クラウド)を経由して、RTK(Real Time Kinematic)の測位コアシステムに送信する。なお、この測位コアシステムにおいてGNSS信号に基づいて特定した緯度経度・標高は、クレーン10の制御装置60に送信される。
【0017】
また、蓋部材21cの裏面には、バッテリ26が着脱可能に固定される。このバッテリ26は、受信機25に有線で接続され、受信機25に電力を供給する。このバッテリ26は、1日にクレーン10が稼働している時間は、受信機25が動作できる電力量を供給する。
【0018】
図3に示すように、ブラケット30は、略長方形の板形状を有する第1取付板31を有している。この第1取付板31の各角(四角)の近傍には、脚部32をそれぞれ設ける。各脚部32の先端には、磁石33を設ける。この磁石33は、ネオジム磁石であって、位置センサユニット20を、ジブ15の先端部材17に着脱可能に取り付ける。
【0019】
第1取付板31には、先端部材17の反対側(図3の左側)であって、中心位置に円板形状の軸支持部材34が取り付けられる。この軸支持部材34には、ベアリング34bが内蔵される。このベアリング34bは、回転軸35の先端部材17側(図の右側)の端部35aを回動可能に支持する。
【0020】
更に、第1取付板31には、軸支持部材34の周囲であって、脚部32より内側となる位置に、離間した4個の固定部材36の右側端部が固定される。固定部材36の左側端部は、中間支持板37に固定される。この中間支持板37の中央には、先端部材17側(右側)に中間固定部材38が固定される。この中間固定部材38には、ベアリング38bが内蔵される。このベアリング38bには、回転軸35が貫通しており、ベアリング38bによって回転軸35の中央部分を回転可能に支持する。なお、上述した第1取付板31、軸支持部材34、固定部材36、中間支持板37、中間固定部材38,ベアリング34b,38b等は、先端部材17に一体的に取り付けられる取付固定部を構成し、先端部材17の傾きに応じて傾く。
【0021】
回転軸35の先端部材17側(図の右側)の端部35aと反対側の端部は、ボックス21側の第2取付板40に固定される。第2取付板40は、板状に立設した垂直面部41と、垂直面部41の上端部に続く上面部42と、を備える。
【0022】
上面部42の上面には、アンテナA1が固定される。このアンテナA1は、ジブ15の先端部材17の側面から距離L1をおいた位置にある。アンテナA1は、GNSS信号を受信するアンテナである。このアンテナA1は、受信機25に、電気線24で接続される。
【0023】
垂直面部41の上部には、回転軸35が固定される。
更に、垂直面部41の下端部には、取付部材や錘取付板45を介して直方体形状の錘46が取り付けられる。位置センサユニット20は、この錘46の重さにより、ジブ15の先端部材17の姿勢が変更されることにより鉛直方向に対する角度が変化しても、常に錘46が下となる姿勢を取る。
【0024】
ここで、錘46及び空のボックス21の重さは、それぞれ900g、受信機25及びバッテリ26の重さは、それぞれ320gである。更に、ブラケット30単体の重さは2850g、アンテナA1の重さは385g、取付用ねじや電気線24等の配線を含む部分は525gである。なお、位置センサユニット20を取り付けた先端部材17の総重量は6.2kgである。
【0025】
また、第2取付板40の垂直面部41には、回転軸35とは反対側(図の左側)の面に、上述したボックス21が固定される。なお、回転軸35、第2取付板40、アンテナA1、ボックス21、受信機25、バッテリ26、錘取付板45及び錘46等が可動部を構成する。この可動部は、先端部材17の傾きが変わった場合においても、常に、アンテナA1の上端が上になるように、先端部材17に対して相対的に回転する。
【0026】
更に、位置センサユニット20には、先端にカラビナが固定されたストラップ(図示せず)が設けられる。そして、このカラビナは、クレーン10のジブ15の先端部材17に掛止される。これにより、磁石33の磁力が弱まること等により位置センサユニット20が、先端部材17から外れたとしても、位置センサユニット20の落下を抑制することができる。
【0027】
<作業監視システム>
図5に示すように、クレーン10に搭載された位置センサユニット20は、クレーン10の上部旋回体に取り付けられた制御装置60とともに作業監視システムS1を構成している。
【0028】
(ハードウェア構成例)
図6を用いて、制御装置60を構成する情報処理装置H10のハードウェア構成を説明する。情報処理装置H10は、通信装置H11、入力装置H12、表示装置H13、記憶装置H14、プロセッサH15を備える。なお、このハードウェア構成は一例であり、他のハードウェアにより実現することも可能である。
【0029】
通信装置H11は、他の装置との間で通信経路を確立して、データの送受信を実行するインタフェースである。
入力装置H12は、クレーン10の動作を監視する監視員等からの入力を受け付ける装置である。表示装置H13は、各種情報を表示するディスプレイ等である。
【0030】
記憶装置H14は、制御装置60の各種機能を実行するためのデータや各種プログラムを格納する記憶装置である。
プロセッサH15は、記憶装置H14に記憶されるプログラムやデータを用いて、制御装置60における各処理を制御する。プロセッサH15の一例としては、例えばCPUやMPU等がある。このプロセッサH15は、ROM等に記憶されるプログラムをRAMに展開して、クレーン10を用いた作業における監視を行なうための各種プロセスを実行する。
【0031】
(制御装置60)
図5に示す制御装置60は、クレーン10の作業を監視するためのコンピュータシステムである。制御装置60は、制御部61及びエリア情報記憶部62を備える。
【0032】
制御部61は、制御手段(CPU、RAM、ROM等)を備え、後述する処理(エリア設定段階、監視段階及び警報段階等の各処理)を行なう。そのために、メモリに記憶された作業監視プログラムを実行することにより、制御部61は、エリア設定部611、監視部612及び警報部613として機能する。
【0033】
エリア設定部611は、クレーン10の先端が侵入した場合に警告を出力する範囲(警告区域)を取得し、エリア情報記憶部62に記憶する。
【0034】
監視部612は、位置センサユニット20の受信機25から取得した位置情報を取得し、位置センサユニット20が取り付けられたクレーン10のジブ15の先端部(位置センサユニット20)の位置(緯度、経度及び高さとしての標高)を特定する。
【0035】
警報部613は、警告区域内にクレーン10のジブ15の先端部が至ったときに、積層回転灯14の1つを点灯するとともに付属のスピーカから警告音を発生する。
【0036】
エリア情報記憶部62には、警告区域についてのエリアが記録されている。具体的には、登録された地図の3次元座標に応じて、警告区域の座標(緯度経度、高さ)が、クレーン10を特定するクレーン識別子に関連付けられて記憶される。
【0037】
(クレーン10の作業中における位置センサユニット20の動作)
次に、クレーン10の動作について説明する。
図7に示すように、クレーン10の作業中に、ジブ15の先端部材17が動いた場合には、位置センサユニット20は、常に、アンテナA1の軸方向が、鉛直方向(上下方向)に一致するとともに、アンテナA1の上端が上になり、錘46が下になるような姿勢を保つ。具体的には、クレーン10のジブ15の先端部材17が、左側の二点鎖線で示す位置から、右側の実線で示す位置に移動したと仮定する。
【0038】
クレーン10のジブ15の先端部材17が、二点鎖線で示す位置にある場合、位置センサユニット20は、アンテナA1が上で、錘46が下となる姿勢となる。この場合において、アンテナA1は、ジブ15の先端部材17から距離L1離れているので、衛星からの信号を効率的に受信することができる。
【0039】
その後、クレーン10のジブ15の先端部材17が実線で示す位置に移動すると、位置センサユニット20のベアリング34b,38bで支持されている回転軸35が、錘46の重さで、矢印R1の方向に回転する。このため、一点鎖線で示す斜めの姿勢にならずに、実線で示すように、常に、アンテナA1が上で、錘46が下となる姿勢となる。
【0040】
(クレーン10の作業監視方法)
次に、上述したクレーン10の動作中に実行される作業監視システムS1の処理について説明する。
【0041】
クレーン10で作業を実行する前に、制御装置60の制御部61は、エリア設定処理を実行する。具体的には、制御部61のエリア設定部611は、作業を行なう範囲の地図を取得して、エリア情報記憶部62に記憶するとともに、表示装置H13に地図を表示する。次に、エリア設定部611は、管理者による指示に応じて、地図上の座標を用いて警告区域を特定して、エリア情報記憶部62に記憶する。
【0042】
その後、クレーン10の稼働中、制御装置60の制御部61は、監視処理を実行する。具体的には、制御部61の監視部612は、位置センサユニット20のアンテナA1が取得したGNSS信号を、電気線24を介して受信機25に供給する。受信機25は、位置情報を、記憶しているクレーン識別子とともに、ネットワークを介して測位コアシステムに送信する。測位コアシステムにおいては、取得したGNSS信号と、独自基準点からのGNSS信号を用いて補正情報を生成し、アンテナA1の位置(緯度経度及び標高)情報を、制御装置60に送信する。
【0043】
制御装置60の制御部61は、このクレーン10のジブ15の先端が警告区域に至っていないか否かの判定処理を実行する。具体的には、制御部61の監視部612は、取得したクレーン識別子に対応する警告区域の座標を、エリア情報記憶部62から抽出する。そして、監視部612は、取得したアンテナA1の位置と、抽出した警告区域の座標とを比較する。
【0044】
比較した結果、制御装置60の制御部61は、アンテナA1の位置が警告区域に到達していると判定した場合には、警報処理を実行する。具体的には、制御部61の警報部613は、積層回転灯14を点灯させて回転させた後、警告音を発生する。
【0045】
(作用)
位置センサユニット20のアンテナA1は、ジブ15側の第1取付板31に回転可能に支持される回転軸35が固定された第2取付板40に支持される。第2取付板40における重量バランスにより、ジブ15の先端部材17の傾きに関わらず、アンテナA1は、ジブ15から回転軸35の長さに応じた距離L1分、離れた状態で、位置センサユニット20の上部に配置された姿勢を維持する。
【0046】
本実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)本実施形態の位置センサユニット20は、ジブ15側の第1取付板31から回転軸35の長さに応じた距離L1で配置されるアンテナA1と、受信機25を内蔵したボックス21とが取り付けられた第2取付板40を備える。アンテナA1は、回転軸35の長さに応じてジブ15から常に距離L1分、離れるため、効率的にGNSS信号を取得することができる。更に、受信機25は、アンテナA1が取得したGNSS信号を取得してネットワークを介して送信し、アンテナA1に基づく位置(緯度経度及び標高)情報を制御装置60に送信する。これにより、位置センサユニット20を、クレーン10のジブ15の先端部材17に取り付けるだけで、制御装置60は、ジブ15の先端部の位置情報を取得することができる。
【0047】
(2)本実施形態の位置センサユニット20は、ブラケット30の磁石33によって、クレーン10のジブ15の先端部材17の側面に、着脱可能に取り付けられる。これにより、複数の異なるクレーン10で、位置センサユニット20を共用できる。
【0048】
(3)本実施形態の位置センサユニット20における第2取付板40の垂直面部41に固定された回転軸35は、第1取付板31の軸支持部材34のベアリング34bで支持される。第2取付板40において、回転軸35より下の部分を上の部分より重くする。これにより、位置センサユニット20の向きが変更になった場合においても、第2取付板40の重量バランスにより、アンテナA1が常に上を向く姿勢を維持することができる。
【0049】
(4)本実施形態の位置センサユニット20の第1取付板31は、固定部材36及び中間支持板37を介して固定されている中間固定部材38を備える。この中間固定部材38には、回転軸35の中間部分を回転可能に支持するベアリング38bが内蔵されている。これにより、回転軸35を、その中央においても支持することができる。
【0050】
(5)本実施形態の位置センサユニット20において、第2取付板40に固定した回転軸35を回転可能に支持するベアリング34b,38bは、第1取付板31に取り付ける。これにより、回転軸35の端部35aと反対側の端部に加わる荷重を小さくすることができる。
【0051】
(6)本実施形態の位置センサユニット20は、アンテナA1を固定した第2取付板40に設けたボックス21内に、受信機25を配置する。これにより、受信機25が雨風に晒されることがない。更に、アンテナA1と受信機25とを接続する電気線24を短くすることができる。
【0052】
本実施形態は、以下のように変更して実施することができる。本実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
・上記実施形態の位置センサユニット20は、第2取付板40の下端部に設けた錘46を備える。回転軸35の上下における重量バランスにより、アンテナA1を常に上にするような姿勢が取れる場合には、錘46を省略してもよい。
【0053】
・上記実施形態の位置センサユニット20においては、回転軸35を第2取付板40に固定するとともに、第1取付板31には、ベアリング34b,38bを介して、回転軸35を回転可能に支持した。これに代えて、重機側となる第1取付板に回転軸を固定し、第2取付板にベアリングを介して回転軸を回転可能に支持してもよい。
【0054】
・上記実施形態においては、クレーン10のジブ15の先端部材17の側面に、1個の位置センサユニット20を着脱可能に取り付けた。位置センサユニット20は、1つに限られず、例えば、対向する両側面に2個取り付けてもよい。また、クレーン10の向きを特定する向き特定センサとともに用いてもよい。このようにすることにより、アンテナA1と先端部材17との相対位置を把握することができるので、アンテナA1とジブ15の先端部材17との距離L1を用いて、先端部材17の位置を、精度よく特定することができる。
【0055】
・上記実施形態においては、クレーン10の制御装置60の制御部61は、クレーン10のジブ15の先端が警告区域に至っている場合には、警報処理を実行する。これに加えて、禁止区域を設定し、設定した禁止区域にジブ15の先端が至った場合に、クレーン10の動きを停止してもよい。具体的には、制御装置60に、クレーン10の上部回転体やジブ15の旋回を停止する緊急停止装置(図示せず)を設ける。そして、制御装置60の制御部61は、例えば、緊急停止の条件を満たすとともに、アンテナA1の位置が禁止区域に到達していると判定した場合には、停止処理を実行する。具体的には、制御部61は、緊急停止装置を作動させることにより、クレーン10の旋回やジブ15の動きを停止する。これにより、強制的に、ジブ15の先端やクレーン10の旋回を停止することもできる。
【0056】
・上記実施形態の位置センサユニット20は、クレーン10のジブ15の先端部材17の位置を特定するために用いた。位置センサユニット20は、クレーン10に限られず、位置を把握したい重機のアーム部の先端に設ければよい。
【0057】
次に、上記実施形態及び別例から把握できる技術的思想について、以下に追記する。
(a)前記ボックスには、前記受信機に電力を供給するバッテリが更に内蔵されていることを特徴とする請求項3に記載の位置センサユニット。
(b)前記第2取付部材の下端部には、錘が設けられていることを特徴とする請求項2,3又は前記(a)に記載の位置センサユニット。
【符号の説明】
【0058】
A1…アンテナ、L1…距離、S1…作業監視システム、10…重機としてのクレーン、11…ベースマシン、12…クローラ、13…操作室、14…積層回転灯、15…長尺部としてのジブ、16…起伏シリンダ、17…先端部材、18…フック、20…位置センサユニット、21…ボックス、21b…本体部、21c…蓋部材、23…ソケット、24…電気線、25…受信機、26…バッテリ、30…ブラケット、31…第1取付板、32…脚部、33…磁石、34…軸支持部材、34b…ベアリング、35…回転軸、35a…端部、36…固定部材、37…中間支持板、38…中間固定部材、38b…ベアリング、40…第2取付板、41…垂直面部、42…上面部、45…錘取付板、46…錘、60…制御装置、61…制御部、62…エリア情報記憶部、611…エリア設定部、612…監視部、613…警報部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7