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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024158343
(43)【公開日】2024-11-08
(54)【発明の名称】電池パックおよびそのの制御方法
(51)【国際特許分類】
   H02H 7/18 20060101AFI20241031BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20241031BHJP
   H02J 7/02 20160101ALI20241031BHJP
   H02H 9/04 20060101ALI20241031BHJP
   H01M 10/48 20060101ALI20241031BHJP
【FI】
H02H7/18
H02J7/00 S
H02J7/02 H
H02H9/04 B
H01M10/48 P
H01M10/48 301
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023073475
(22)【出願日】2023-04-27
(71)【出願人】
【識別番号】000006231
【氏名又は名称】株式会社村田製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001357
【氏名又は名称】弁理士法人つばさ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 圭之
【テーマコード(参考)】
5G013
5G053
5G503
5H030
【Fターム(参考)】
5G013AA02
5G013AA04
5G013BA02
5G013DA05
5G053AA09
5G053BA04
5G053CA03
5G053DA01
5G053EC03
5G053EC05
5G053EC06
5G053FA02
5G503AA01
5G503BA03
5G503BB02
5G503CA01
5G503CA11
5G503CB11
5G503CC02
5G503FA16
5G503FA19
5H030AA03
5H030AA06
5H030AA10
5H030FF22
5H030FF42
5H030FF43
5H030FF44
5H030FF52
(57)【要約】
【課題】電池パックを使用すべきではない様々な状態において、充放電経路を遮断することができる電池パックを得る。
【解決手段】本開示の一実施の形態に係る電池パックは、第1の端子および第2の端子を結ぶ経路に設けられ、複数の電池セルを有する蓄電池と、複数の電池セルのそれぞれのセル電圧を検出可能な監視回路と、第1の経路を介して第1の端子に導かれた第1の接続端子と、第2の経路を介して第2の端子に導かれた第2の接続端子と、第1の経路に設けられた可溶体素子と、第1の経路と第2の経路とを結ぶ第3の経路に設けられ、可溶体素子を溶断可能な発熱体と、第3の経路に設けられたスイッチ素子と、監視回路の検出結果に基づいて、スイッチ素子のオン時間を所定の時間に保つとともに、蓄電池電圧に応じてスイッチ素子のオフ時間を変化させるようにPFM制御を行うことにより、スイッチ素子のスイッチング動作を制御可能な制御回路とを備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の端子および第2の端子を結ぶ経路に設けられ、直列に接続された複数の電池セルを有する蓄電池と、
前記複数の電池セルのそれぞれのセル電圧を検出可能な監視回路と、
第1の経路を介して前記第1の端子に導かれた第1の接続端子と、
第2の経路を介して前記第2の端子に導かれた第2の接続端子と、
前記第1の経路に設けられ、熱により溶断可能な可溶体素子と、
前記第1の経路と前記第2の経路とを結ぶ第3の経路に設けられ、発熱することにより前記可溶体素子を溶断可能な発熱体と、
前記第3の経路に設けられたスイッチ素子と、
前記監視回路の検出結果に基づいて、前記スイッチ素子のオン時間を所定の時間に保つとともに、前記蓄電池の両端間の電圧である蓄電池電圧に応じて前記スイッチ素子のオフ時間を変化させるようにPFM制御を行うことにより、前記スイッチ素子のスイッチング動作を制御可能な制御回路と
を備えた電池パック。
【請求項2】
前記制御回路は、
前記蓄電池電圧が第1の電圧である場合に、前記オフ時間を第1の時間に設定可能であり、
前記蓄電池電圧が第1の電圧よりも高い第2の電圧である場合に、前記オフ時間を前記第1の時間よりも長い第2の時間に設定可能である
請求項1に記載の電池パック。
【請求項3】
前記制御回路は、複数の前記セル電圧のうちのいずれか1つ以上が第1のしきい電圧より高い場合に、前記PFM制御を行うことが可能である
請求項1に記載の電池パック。
【請求項4】
前記制御回路は、さらに、複数の前記セル電圧のうちのいずれか1つ以上が第2のしきい電圧より低い場合に、前記PFM制御を行うことが可能であり、
前記第2のしきい電圧は、前記第1のしきい電圧より低い
請求項3に記載の電池パック。
【請求項5】
前記制御回路は、複数の前記セル電圧のうちのいずれか1つ以上が第2のしきい電圧より低い場合に、前記PFM制御を行うことが可能である
請求項1に記載の電池パック。
【請求項6】
前記監視回路は、さらに、前記蓄電池の温度を検出することが可能であり、
前記制御回路は、さらに、前記蓄電池の温度が所定の温度範囲の範囲外である場合に、前記PFM制御を行うことが可能である
請求項1に記載の電池パック。
【請求項7】
前記制御回路は、さらに、前記監視回路の検出結果に基づいて、前記監視回路が正常に動作しているかどうかを判断可能であり、前記監視回路が正常に動作していない場合に、前記PFM制御を行うことが可能である
請求項1に記載の電池パック。
【請求項8】
前記制御回路が前記PFM制御を開始してから、前記可溶体素子が溶断するまでの溶断時間は、1秒以内である
請求項1に記載の電池パック。
【請求項9】
前記制御回路は、次の式(1)を用いて、前記蓄電池電圧の電圧値Vに基づいて、前記スイッチ素子のスイッチング周期Tを算出することにより、前記PFM制御を行うことが可能である
請求項1に記載の電池パック。
T = C × V ・・・(1)
ここで、Cは所定の定数である
【請求項10】
前記制御回路は、次の式(1)を用いて算出された、前記蓄電池電圧の電圧値Vと前記スイッチ素子のスイッチング周期Tとの関係を示すテーブルデータを用いて、前記蓄電池電圧の電圧値Vに基づいて前記スイッチング周期Tを算出することにより、前記PFM制御を行うことが可能である
請求項1に記載の電池パック。
T = C × V ・・・(1)
【請求項11】
第1の端子および第2の端子を結ぶ経路に設けられ、直列に接続された複数の電池セルを有する蓄電池と、第1の経路を介して前記第1の端子に導かれた第1の接続端子と、第2の経路を介して前記第2の端子に導かれた第2の接続端子と、前記第1の経路に設けられ、熱により溶断可能な可溶体素子と、前記第1の経路と前記第2の経路とを結ぶ第3の経路に設けられ、発熱することにより前記可溶体素子を溶断可能な発熱体と、前記第3の経路に設けられたスイッチ素子とを備えた電池パックにおける、前記複数の電池セルのそれぞれのセル電圧を検出することと、
検出された複数の前記セル電圧に基づいて、前記スイッチ素子のオン時間を所定の時間に保つとともに、前記蓄電池の両端間の電圧である蓄電池電圧に応じてオフ時間を変化させるようにPFM制御を行うことにより、前記スイッチ素子の動作を制御することと
を含む
電池パックの制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、蓄電池を備えた電池パック、およびそのような電池パックにおいて用いられる電池パックの制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
蓄電池を備えた電池パックでは、例えば、蓄電池が過充電状態になった場合に、充放電経路が遮断される。例えば、特許文献1には、過充電状態になったときに、充放電経路に設けられた可溶体素子を溶断させる技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2015-53780号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
電池パックでは、過充電状態だけでなく、電池パックを使用すべきではない他の様々な状態でも、充放電経路を遮断することが望ましい。
【0005】
電池パックを使用すべきではない様々な状態において、充放電経路を遮断することができる電池パックおよび電池パックの制御方法を提供することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一実施の形態における電池パックは、蓄電池と、監視回路と、第1の接続端子と、第2の接続端子と、可溶体素子と、発熱体と、スイッチ素子と、制御回路とを備えている。蓄電池は、第1の端子および第2の端子を結ぶ経路に設けられ、直列に接続された複数の電池セルを有するものである。監視回路は、複数の電池セルのそれぞれのセル電圧を検出可能なものである。第1の接続端子は、第1の経路を介して第1の端子に導かれたものである。第2の接続端子は、第2の経路を介して第2の端子に導かれたものである。可溶体素子は、第1の経路に設けられ、熱により溶断可能なものである。発熱体は、第1の経路と第2の経路とを結ぶ第3の経路に設けられ、発熱することにより可溶体素子を溶断可能なものである。スイッチ素子は、第3の経路に設けられたものである。制御回路は、監視回路の検出結果に基づいて、スイッチ素子のオン時間を所定の時間に保つとともに、蓄電池の両端間の電圧である蓄電池電圧に応じてスイッチ素子のオフ時間を変化させるようにPFM制御を行うことにより、スイッチ素子のスイッチング動作を制御可能なものである。
【0007】
本開示の一実施の形態における電池パックの制御方法は、第1の端子および第2の端子を結ぶ経路に設けられ、直列に接続された複数の電池セルを有する蓄電池と、第1の経路を介して第1の端子に導かれた第1の接続端子と、第2の経路を介して第2の端子に導かれた第2の接続端子と、第1の経路に設けられ、熱により溶断可能な可溶体素子と、第1の経路と第2の経路とを結ぶ第3の経路に設けられ、発熱することにより可溶体素子を溶断可能な発熱体と、第3の経路に設けられたスイッチ素子とを備えた電池パックにおける、複数の電池セルのそれぞれのセル電圧を検出することと、検出された複数のセル電圧に基づいて、スイッチ素子のオン時間を所定の時間に保つとともに、蓄電池の両端間の電圧である蓄電池電圧に応じてオフ時間を変化させるようにPFM制御を行うことにより、スイッチ素子の動作を制御することとを含む。
【0008】
本開示の一実施の形態における電池パックおよび電池パックの制御方法によれば、電池パックを使用すべきではない様々な状態において、充放電経路を遮断することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、本開示の一実施の形態に係る電池パックの一構成例を表すブロック図である。
図2図2は、図1に示した電池セルの一特性例を表す説明図である。
図3図3は、図1に示した制御信号の波形の一例を表す波形図である。
図4図4は、図1に示した制御回路の一動作例を表すフローチャートである。
図5図5は、蓄電池電圧の電圧範囲の一例を表す説明図である。
図6図6は、図1に示した保護回路の一特性例を表す特性表である。
図7図7は、図1に示した保護回路の一特性例を表す特性図である。
図8図8は、図1に示した制御信号の波形の一例を表す他の波形図である。
図9図9は、図1に示した保護回路の一特性例を表す他の特性表である。
図10図10は、図1に示した保護回路の一特性例を表す他の特性図である。
図11図11は、図1に示した保護回路の一特性例を表す他の特性表である。
図12図12は、PFM制御のパラメータを決定する手順を表すフローチャートである。
図13図13は、PWM制御を行う場合における、制御信号の波形の一例を表す波形図である。
図14図14は、PWM制御を行う場合における、保護回路の一特性例を表す特性表である。
図15A図15Aは、図1に示した保護回路の一例を表す回路図である。
図15B図15Bは、変形例に係る保護回路の一例を表す回路図である。
図15C図15Cは、他の変形例に係る保護回路の一例を表す回路図である。
図16図16は、他の変形例に係る電池パックの一構成例を表すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本開示の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0011】
<実施の形態>
[構成例]
図1は、一実施の形態に係る電池パック(電池パック1)の一構成例を表すものである。電池パック1は、正端子TPと、負端子TNと、蓄電池11と、保護回路20と、監視回路30と、制御回路12と、トランジスタ13とを備えている。
【0012】
正端子TPおよび負端子TNは、電池パック1と、電池パック1が装着された機器とを電気的に接続するように構成される。機器は、例えば、電池パック1に電力を供給する充電器であってもよいし、電池パック1の電力に基づいて動作する負荷機器であってもよい。正端子TPは、電源線PL1を介して蓄電池11の正極EPに導かれる。ここで、「導かれる」ことは、図1に示したように、正端子TPが蓄電池11の正極EPに、保護回路20を介して接続される場合のみを含むのではなく、例えば、さらに、図示しないスイッチや抵抗素子などを介して接続される場合も含む。負端子TNは、電源線PL2を介して蓄電池11の負極ENに導かれる。ここで、「導かれる」ことは、図1に示したように、負端子TNが蓄電池11の負極ENに、直接接続される場合のみを含むのではなく、例えば、さらに、図示しないスイッチや抵抗素子などを介して接続される場合も含む。
【0013】
蓄電池11は、電力を蓄えるように構成される。例えば、電池パック1が充電器に接続された場合には、正端子TP、保護回路20、蓄電池11、負端子TNの順に充電電流が流れることにより、蓄電池11は充電される。また、電池パック1が負荷機器に接続された場合には、負端子TN、蓄電池11、保護回路20、正端子TPの順に放電電流が流れることにより、蓄電池11は放電されるようになっている。
【0014】
蓄電池11は、複数の電池セルBC(この例では5つの電池セルBC1~BC5)を有している。電池セルBC1~BC5のそれぞれは、この例ではリチウムイオン二次電池を用いて構成される。電池セルBC1~BC5は直列に接続される。具体的には、電池セルBC1の正極は電池セルBC2の負極に接続され、負極は蓄電池11の負極ENに接続される。電池セルBC2の正極は電池セルBC3の負極に接続され、負極は電池セルBC1の正極に接続される。電池セルBC3の正極は電池セルBC4の負極に接続され、負極は電池セルBC2の正極に接続される。電池セルBC4の正極は電池セルBC5の負極に接続され、負極は電池セルBC3の正極に接続される。電池セルBC5の正極は蓄電池11の正極EPに接続され、負極は電池セルBC4の正極に接続される。
【0015】
電池セルBCのセル電圧VBCは、その電池セルBCの正極および負極の間の電圧である。具体的には、電池セルBC1のセル電圧VBC1は、電池セルBC1の正極および負極の間の電圧である。電池セルBC2のセル電圧VBC2は、電池セルBC2の正極および負極の間の電圧である。電池セルBC3のセル電圧VBC3は、電池セルBC3の正極および負極の間の電圧である。電池セルBC4のセル電圧VBC4は、電池セルBC4の正極および負極の間の電圧である。電池セルBC5のセル電圧VBC5は、電池セルBC5の正極および負極の間の電圧である。セル電圧VBCは、その電池セルBCにおける蓄電量に応じて変化し得る。
【0016】
図2は、セル電圧VBCの一例を表すものである。セル電圧VBCが電圧V11(この例では1.5[V])以上であり、かつ電圧V12(この例では4.3[V])以下である場合には、その電池セルBCは通常状態S2であり、使用可能な状態である。例えば、セル電圧VBCがこの電圧V12より高い場合には、その電池セルBCは過充電状態S3であり、使用されることができない。また、例えば、セル電圧VBCが電圧V11より低い場合には、その電池セルBCは過放電状態S1であり、使用されることができない。電池パック1では、5つの電池セルBC1~BC5の5つのセル電圧VBC1~VBC5のそれぞれは、監視回路30により監視されるようになっている。
【0017】
保護回路20は、電源線PL1に設けられ、蓄電池11の充放電経路を遮断可能に構成される。保護回路20は、可溶体素子21と、発熱体22とを有する。保護回路20は、この例では、1つのパッケージに納められたものである。なお、これに限定されるものではなく、個別部品の組合せであってもよい。可溶体素子21は、電源線PL1に設けられ、発熱体22の熱により溶断可能に構成される。可溶体素子21の一端は蓄電池11の正極EPに接続され、可溶体素子21の他端は電池パック1の正端子TPに接続される。発熱体22は、電源線PL1と電源線PL2とを結ぶ経路に設けられ、発熱体22に流れる電流に応じて発熱するように構成される。発熱体22の一端は、正端子TPに接続され、発熱体22の他端はトランジスタ13のドレインに接続される。
【0018】
監視回路30は、蓄電池11における電池セルBC1~BC5のセル電圧VBC1~VBC5、および蓄電池11の温度を監視するように構成される。監視回路30は、温度センサ31と、アナログフロントエンド回路32とを有している。
【0019】
温度センサ31は、例えばサーミスタを含んで構成され、蓄電池11の温度を検出するように構成される。温度センサ31は、例えば、蓄電池11の近くに設けられ、蓄電池11の温度を検出する。そして、温度センサ31は、検出結果をアナログフロントエンド回路32に供給するようになっている。
【0020】
アナログフロントエンド回路32は、電源線PL2の電圧を基準として、蓄電池11の電圧V1~V5を検出することにより、電池セルBC1~BC5のセル電圧VBC1~VBC5を検出し、この検出結果を、温度センサ31の検出結果ととともに、制御回路12に供給するように構成される。
【0021】
制御回路12は、例えばマイクロコントローラを用いて構成され、監視回路30の検出結果に基づいて、電池パック1の使用を停止すべきかどうかを判断するように構成される。具体的には、制御回路12は、例えば、蓄電池11における電池セルBC1~BC5のうちのいずれか1つ以上が過充電状態S3である場合、蓄電池11における電池セルBC1~BC5のうちのいずれか1つ以上が過放電状態S1である場合、蓄電池11の温度が所定の温度範囲の範囲外の温度である場合、監視回路30が正常に動作していない場合に、電池パック1の使用を停止すべきと判断する。そして、制御回路12は、電池パック1の使用を停止すべき場合に、蓄電池11の正極EPおよび負極ENの間の電圧(蓄電池電圧VB)に基づいてPFM(Pulse Frequency Modulation)制御を行うことにより制御信号CTLを生成し、この制御信号CTLを用いてトランジスタ13のスイッチング動作を制御するようになっている。このPFM制御では、制御回路12は、トランジスタ13のオン時間Tonを所定の時間に保つとともに、蓄電池11の正極EPおよび負極ENの間の電圧(蓄電池電圧VB)に応じてトランジスタ13のオフ時間Toffを変化させるようになっている。
【0022】
トランジスタ13は、制御信号CTLに基づいてスイッチング動作を行うように構成される。トランジスタ13は、この例ではN型のFET(Field Effect Transistor)であり、ゲートには制御信号CTLが供給され、ドレインは発熱体22の他端に接続され、ソースは電源線PL2に接続される。
【0023】
この構成により、電池パック1では、制御回路12がPFM制御を行うことにより制御信号CTLを生成すると、発熱体22は、制御信号CTLのデューティ比に応じた電力を消費して、発熱する。そして、この発熱体22の熱により、可溶体素子21が溶断する。このようにして、電池パック1では、電池パック1の使用を停止すべき場合に、充放電経路が不可逆的に遮断されるようになっている。
【0024】
ここで、蓄電池11は、本開示の一実施の形態における「蓄電池」の一具体例に対応する。電池セルBC1~BC5は、本開示の一実施の形態における「複数の電池セル」の一具体例に対応する。正極EPは、本開示の一実施の形態における「第1の端子」の一具体例に対応する。負極ENは、本開示の一実施の形態における「第2の端子」の一具体例に対応する。監視回路30は、本開示の一実施の形態における「監視回路」の一具体例に対応する。正端子TPは、本開示の一実施の形態における「第1の接続端子」の一具体例に対応する。電源線PL1は、本開示の一実施の形態における「第1の経路」の一具体例に対応する。負端子TNは、本開示の一実施の形態における「第2の接続端子」の一具体例に対応する。電源線PL2は、本開示の一実施の形態における「第2の経路」の一具体例に対応する。可溶体素子21は、本開示の一実施の形態における「可溶体素子」の一具体例に対応する。発熱体22は、本開示の一実施の形態における「発熱体」の一具体例に対応する。トランジスタ13は、本開示の一実施の形態における「スイッチ素子」の一具体例に対応する。制御回路12は、本開示の一実施の形態における「制御回路」の一具体例に対応する。電圧V12は、本開示の一実施の形態における「第1のしきい電圧」の一具体例に対応する。電圧V11は、本開示の一実施の形態における「第2のしきい電圧」の一具体例に対応する。
【0025】
[動作および作用]
続いて、本実施の形態の電池パック1の動作および作用について説明する。
【0026】
(全体動作概要)
まず、図1を参照して、電池パック1の全体動作概要を説明する。蓄電池11は電力を蓄える。監視回路30は、電池セルBC1~BC5のセル電圧VBC1~VBC5、および蓄電池11の温度を監視する。制御回路12は、監視回路30の検出結果に基づいて、電池パック1の使用を停止すべきかどうかを判断する。そして、制御回路12は、電池パック1の使用を停止すべき場合に、蓄電池電圧VBに基づいてPFM制御を行うことにより制御信号CTLを生成し、この制御信号CTLを用いてトランジスタ13のスイッチング動作を制御する。トランジスタ13は、制御信号CTLに基づいてスイッチング動作を行う。発熱体22は、制御信号CTLのデューティ比に応じた電力を消費することにより発熱し、可溶体素子21は、発熱体22からの熱により溶断する。
【0027】
(詳細動作)
制御回路12は、例えば、蓄電池11における電池セルBC1~BC5のうちのいずれか1つ以上が過充電状態S3である場合、蓄電池11における電池セルBC1~BC5のうちのいずれか1つ以上が過放電状態S1である場合、蓄電池11の温度が所定の温度範囲の範囲外の温度である場合、監視回路30が正常に動作していない場合に、電池パック1の使用を停止すべきと判断する。そして、制御回路12は、電池パック1の使用を停止すべき場合に、蓄電池電圧VBに基づいてPFM制御を行うことにより制御信号CTLを生成する。トランジスタ13は、この制御信号CTLに基づいてスイッチング動作を行う。
【0028】
図3は、制御信号CTLの一例を表すものである。制御回路12は、このPFM制御において、トランジスタ13のオン時間Tonを所定の時間に保つとともに、蓄電池電圧VBに応じてトランジスタ13のオフ時間Toffを変化させる。具体的には、制御回路12は、例えば、蓄電池電圧VBが高い場合には、オン時間Tonを維持しつつオフ時間Toffを長くすることにより、スイッチング周期Tを長くし、デューティ比を低くする。ここで、デューティ比は、スイッチング周期Tにおけるオン時間Tonの割合である。また、制御回路12は、例えば、蓄電池電圧VBが低い場合には、オン時間Tonを維持しつつオフ時間Toffを短くすることにより、スイッチング周期Tを短くし、デューティ比を高くする。制御回路12は、このように、蓄電池電圧VBに基づいてデューティ比を調節することにより、発熱体22において消費される電力を調節し、発熱体22における発熱量を調節する。そして、可溶体素子21は、この発熱体22からの熱により溶断し、充放電経路が不可逆的に遮断される。可溶体素子21が溶断すると、制御回路12は、PFM制御を終了する。PFM制御が開始されたタイミングt1から、PFM制御が終了したタイミングt2までの時間が、可溶体素子21の溶断にかかった溶断時間Tfである。
【0029】
図4は、制御回路12の一動作例を表すものである。
【0030】
まず、制御回路12は、セル電圧VBC1~VBC5および蓄電池11の温度に基づいて、監視回路30が正常に動作しているかどうかを確認する(ステップS101)。具体的には、制御回路12は、例えば、セル電圧VBC1~VBC5のそれぞれが、想定される電圧範囲の範囲外の電圧である場合や、蓄電池11の温度が、想定された温度範囲の範囲外の電圧である場合には、監視回路30が正常に動作していないと判断する。監視回路30が正常に動作していない場合(ステップS102において“N”)には、処理はステップS106に進む。
【0031】
ステップS101において、監視回路30が正常に動作している場合(ステップS102において“Y”)には、制御回路12は、セル電圧VBC1~VBC5のうちのいずれか1つ以上が電圧V12(例えば4.3V)より高いかどうかを確認する(ステップS103)。言い換えれば、制御回路12は、セル電圧VBC1~VBC5に基づいて、電池セルBC1~BC5のうちのいずれか1つ以上が過充電状態S3であるかどうかを確認する。セル電圧VBC1~VBC5のうちのいずれか1つ以上が電圧V12より高い場合(ステップS103において“Y”)には、処理はステップS106に進む。
【0032】
ステップS103において、セル電圧VBC1~VBC5のうちの全てが電圧V12以下である場合(ステップS103において“N”)には、制御回路12は、セル電圧VBC1~VBC5のうちのいずれか1つ以上が電圧V11(例えば1.5V)より低いかどうかを確認する(ステップS104)。言い換えれば、制御回路12は、セル電圧VBC1~VBC5に基づいて、電池セルBC1~BC5のうちのいずれか1つ以上が過放電状態S1であるかどうかを確認する。セル電圧VBC1~VBC5のうちのいずれか1つ以上が電圧V11より低い場合(ステップS104において“Y”)には、処理はステップS106に進む。
【0033】
ステップS104において、セル電圧VBC1~VBC5のうちの全てが電圧V11以上である場合(ステップS103において“N”)には、制御回路12は、蓄電池11の温度が、所定の温度範囲の範囲外であるかどうかを確認する(ステップS105)。この所定の温度範囲は、電池パック1の通常の動作温度範囲である。例えば、電池パック1が、動作異常により発熱している場合には、蓄電池11の温度は、所定の温度範囲よりも高い温度になり得る。蓄電池11の温度が、所定の温度範囲の範囲外である場合(ステップS105において“Y”)には、処理はステップS106に進む。
【0034】
ステップS105において、蓄電池11の温度が、所定の温度範囲の範囲内である場合(ステップS105において“N”)には、この処理は終了する。
【0035】
監視回路30が正常に動作していない場合(ステップS102において“N”)、セル電圧VBC1~VBC5のうちのいずれか1つ以上が電圧V12より高い場合(ステップS103において“Y”)、セル電圧VBC1~VBC5のうちのいずれか1つ以上が電圧V11より低い場合(ステップS104において“Y”)、または蓄電池11の温度が、所定の温度範囲の範囲外である場合(ステップS105において“Y”)には、制御回路12は、蓄電池電圧VBに基づいて、スイッチング周期Tを算出する(ステップS106)。具体的には、制御回路12は、例えば、蓄電池電圧VBが高い場合には、オン時間Tonを維持しつつオフ時間Toffを長くすることにより、スイッチング周期Tを長くする。また、制御回路12は、例えば、蓄電池電圧VBが低い場合には、オン時間Tonを維持しつつオフ時間Toffを短くすることにより、スイッチング周期Tを短くする。
【0036】
そして、制御回路12は、ステップS106において算出したスイッチング周期Tを用いてPFM制御を開始する(ステップS107)。このようにして、制御回路12は、図3に示したような制御信号CTLを生成する。
【0037】
以上で、この処理は終了する。
【0038】
(PFM制御のパラメータ設定について)
次に、PFM制御における以下のパラメータの設定について、詳細に説明する。
(1)蓄電池電圧VBの電圧範囲W
(2)オン時間Ton
(3)スイッチング周期Tと溶断時間Tf
【0039】
(1)蓄電池電圧VBの電圧範囲W
制御回路12は、蓄電池電圧VBに基づいてPFM制御を行う。まず、この蓄電池電圧VBの電圧範囲Wを設定する。
【0040】
図5は、蓄電池電圧VBの一例を表すものである。蓄電池電圧VBの電圧範囲Wは、例えば図2に示した電池セルBCの特性に基づいて、蓄電池電圧VBがどのような電圧になり得るかを検討することにより設定される。この例では、蓄電池電圧VBの電圧範囲Wの下限電圧V21を7.5[V]に設定し、上限電圧V22を21.5[V]に設定している。この下限電圧V21(7.5[V])は、5つの電池セルBCの全てのセル電圧VBCが電圧V11(1.5[V])であることを想定して見積もられ、上限電圧V22(21.5[V])は、5つの電池セルBCの全てのセル電圧VBCが電圧V12(4.3[V])であることを想定して見積もられる。なお、これに限定されるものではなく、下限電圧V21および上限電圧V22は、適宜設定可能である。制御回路12は、蓄電池電圧VBが下限電圧V21以上であり、上限電圧V22以下である場合に、制御信号CTLを生成する。
【0041】
例えば、蓄電池11における電池セルBC1~BC5のうちのいずれか1つ以上が過充電状態S3である場合には、蓄電池電圧VBは、電圧範囲Wの範囲内における高い電圧になり得る。また、蓄電池11における電池セルBC1~BC5のうちのいずれか1つ以上が過放電状態S1である場合には、蓄電池電圧VBは、電圧範囲Wの範囲内における低い電圧になり得る。また、例えば、蓄電池11の温度が所定の温度範囲の範囲外の温度である場合や、監視回路30が正常に動作していない場合に、蓄電池電圧VBは、電圧範囲Wの範囲内におけるどのような電圧にもなり得る。蓄電池電圧VBの電圧範囲Wは、このような様々な状況において、蓄電池電圧VBが電圧範囲Wの範囲内になるような電圧範囲に設定される。
【0042】
(2)オン時間Tonについて
オン時間Tonでは、発熱体22に電力が印加され、発熱体22が発熱する。このオン時間Tonが長すぎると、ストレスにより、例えば発熱体22の抵抗値が大きくなり、発熱体22が故障する可能性がある。そこで、蓄電池電圧VBの電圧範囲W(図5)を想定し、発熱体22に13.3[V]から21.5[V]までの様々な直流電圧を印加して、発熱体22が故障するまでの時間(故障時間)を確認する実験を行った。
【0043】
図6,7は、故障時間の実験結果の一例を表すものである。ここで、印加電力は、発熱体への印加電力であり、発熱体22に印加した電圧と、電圧印加前の発熱体22の抵抗値に基づいて算出された電力である。例えば、発熱体22に21.5[V]の電圧を印加したときの印加電力は530[W]である。この例では、所定時間の間、発熱体22に電圧を印加しても、発熱体22の抵抗値が大きくなり可溶体素子21が溶断しなかった場合に、発熱体22が故障したと判断している。
【0044】
図6,7に示したように、印加電力が大きくなるほど、発熱体22によりストレスがかかるので、故障時間は短くなり、発熱体22は早く故障する。例えば、発熱体22に21.5[V]の電圧を印加した場合の故障時間は6[msec.]である。この結果は、PFM制御を行う場合におけるオン時間Tonは、少なくとも6[msec.]以下にすべきことを示している。この例では、マージンを考慮し、以下の式EQ1を用いて、オン時間Tonを設定することとした。
オン時間Ton = 故障時間 × 定格電力 / 印加電力 ・・・(EQ1)
ここで、定格電力は、発熱体22の定格電力であり、この例では100[W]である。例えば、印加電力が530[W]、定格電力が100[W]、故障時間が6[msec.]である場合には、オン時間Tonは、1[sec.]である。よって、この例では、オン時間Tonを1[sec.]にした。
【0045】
(3)スイッチング周期Tと溶断時間Tfについて
PFM制御では、図3に示したように、オン時間Tonにおいて発熱体22に電力が印加され、オフ時間Toffには電力は印加されない。よって、発熱体22に印加される電力は、制御信号CTLのデューティ比により調節される。
【0046】
図8は、発熱体22に21.5[V]の電圧を印加する場合における制御信号CTLの一例を表すものである。図6に示したように、発熱体22に21.5[V]の電圧を印加する場合には、印加電力は530[W]である。図8(A)は、スイッチング周期Tの期間における発熱体22への印加電力(以下、周期内平均電力Paveとも呼ぶ)を100[W]にする場合の波形例を示し、図8(B)は、周期内平均電力Paveを400[W]にする場合の波形例を示す。
【0047】
周期内平均電力Paveを100[W]にする場合には、図8(A)に示したように、デューティ比は18.9%(=1/5.3)に設定される。すなわち、印加電力は530[W]であるので、これにより、周期内平均電力Paveを100[W](=530[W]×1/5.3)にすることができる。オン時間Tonは1[msec.]に固定されるので、オフ時間Toffは4.3[msec.]であり、スイッチング周期Tは5.3[msec.]である。このように、デューティ比が18.9%である場合には、周期内平均電力Paveを、発熱体22の定格電力(100[W])に等しくすることができる。
【0048】
周期内平均電力Paveを400[W]にする場合には、図8(B)に示したように、デューティ比は75.2%(=1/1.33)に設定される。すなわち、印加電力は530[W]であるので、これにより、周期内平均電力Paveを400[W](=530[W]×1/1.33)にすることができる。オン時間Tonは1[msec.]に固定されるので、オフ時間Toffは0.33[msec.]であり、スイッチング周期Tは1.33[msec.]である。
【0049】
図9は、周期内平均電力Paveを100[W]から450[W]まで変化させたときの、可溶体素子21の溶断時間Tfの実験結果の一例を表すものである。例えば、周期内平均電力Paveが100[W]である場合には、スイッチング周期Tは5.3[msec.]であり、溶断時間Tfは430[msec.]である。例えば、周期内平均電力Paveが400[W]である場合には、スイッチング周期Tは1.33[msec.]であり、溶断時間Tfは110[msec.]である。このように、周期内平均電力Paveが大きくなるほど、溶断時間Tfは短くなる。すなわち、スイッチング周期Tが短くなるほど、溶断時間Tfは短くなる。
【0050】
図10は、周期内平均電力Paveを30[W]から450[W]まで変化させたときの、溶断時間Tfの実験結果の一例を表すものである。例えば、周期内平均電力Paveが低くなると、溶断時間Tfは、より急激に増加する。発熱体22の熱は、可溶体素子21だけでなく、保護回路20の周囲の基板パターン、セルタブ、バスバー等にも伝わる。例えば、溶断時間Tfが1[sec.]以上になると、このような基板パターン、セルタブ、バスバーの熱容量の影響により、溶断時間Tfが長くなる。よって、この例では、溶断時間Tfは、1[sec.]以内になるように設定することとした。
【0051】
図11は、蓄電池電圧VBに応じたスイッチング周期Tの設定の一例を表すものである。この例では、蓄電池電圧VBの電圧範囲W(図5)におけるスイッチング周期Tを示している。なお、蓄電池電圧VBが8.9[V]以下である場合には、連続的に電圧を印加しても、印加電力が発熱体22の定格電力よりも小さいので、PFM制御を行わないこととした。よって、蓄電池電圧VBが8[V]の場合には、スイッチング周期Tおよびスイッチング周波数を「-」で示している。PFM制御を行う場合、スイッチング周期Tは、以下の式EQ2を用いて算出される。
スイッチング周期T = (蓄電池電圧VB)/ 発熱体22の抵抗値
/ 周期内平均電力Pave × オン時間Ton ・・・(EQ2)
【0052】
蓄電池電圧VBが8[V]の場合の溶断時間Tfは、420[msec.]である。また、PFM制御を行う、蓄電池電圧VBが10[V]~21.5[V]の電圧範囲では、蓄電池電圧VBが高くなるほど、溶断時間Tfは長くなる。溶断時間Tfは、蓄電池電圧VBの電圧範囲Wの全体において、1[sec.]以内に収まる。よって、この例では、制御回路12は、図11に示したスイッチング周期Tを用いて、PFM制御を行うことができる。
【0053】
(PFM制御のパラメータの設定手順)
図12は、PFM制御のパラメータの設定手順の一例を表すものである。例えば、電池パック1を開発するエンジニアは、この手順に沿って、PFM制御のパラメータを設定することができる。
【0054】
まず、エンジニアは、上記(1)に示したように、蓄電池電圧VBの下限電圧V21および上限電圧V22を決定する(ステップS201)。
【0055】
次に、エンジニアは、蓄電池電圧VBが下限電圧V21である場合において可溶体素子21が溶断可能な保護回路20を選定する(ステップS202)。すなわち、蓄電池電圧VBが低い場合には、発熱体22に印加される電力が小さくなるので、発熱体22が、可溶体素子21が溶断できる程度の熱を可溶体素子21に供給できない場合がありえる。そこで、エンジニアは、蓄電池電圧VBが下限電圧V21である場合において可溶体素子21が溶断可能な保護回路20を選定する。
【0056】
次に、エンジニアは、上記(2)に示したように、保護回路20に上限電圧V22を印加し、発熱体22が故障するまでの故障時間を測定し(ステップS203)、式EQ1および上限電圧V22での測定結果を用いてオン時間Tonを決定する(ステップS204)。
【0057】
次に、エンジニアは、上記(3)に示したように、周期内平均電力Paveを発熱体22の定格電力と等しい値に設定し(ステップS205)、PFM制御を行う様々な蓄電池電圧VBについて、式EQ2を用いてスイッチング周期Tを算出し、溶断時間Tfを測定する(ステップS206)。
【0058】
次に、エンジニアは、ステップS206により測定された全ての溶断時間Tfが1[sec.]以内であるかどうかを確認する(ステップS207)。溶断時間Tfが1[sec.]より長いデータがある場合(ステップS207において“N”)には、エンジニアは、周期内平均電力Paveをより高い値に設定し(ステップS208)。ステップS206に戻る。エンジニアは、全ての溶断時間Tfが1[sec.]以内になるまで、ステップS206~S208の処理を繰り返す。
【0059】
全ての溶断時間Tfが1[sec.]以内である場合(ステップS207において“Y”)には、この手順は終了する。
【0060】
エンジニアは、この手順により、PFM制御において用いる各種パラメータを決定する。そして、エンジニアは、例えば、式EQ2を、制御回路12が、式EQ2を用いて、蓄電池電圧VBに基づいてスイッチング周期Tを算出するように、制御回路12に実装する。この式EQ2において、発熱体22の抵抗値、周期内平均電力Pave、およびオン時間Tonは固定値である。よって、スイッチング周期Tは、定数Cを用いて、以下の式EQ3で表すことができる。
スイッチング周期T = C × (蓄電池電圧VB) ・・・(EQ3)
ここで、定数Cは、以下の式EQ4により表される。
C = オン時間Ton / 発熱体22の抵抗値 / 周期内平均電力Pave
・・・(EQ4)
【0061】
なお、この例では、制御回路12が、式EQ2を用いて蓄電池電圧VBに基づいてスイッチング周期Tを算出するようにしたが、これに限定されるものではない。これに代えて、例えば、制御回路12は、式EQ2に基づいて算出された、蓄電池電圧VBとスイッチング周期Tとの関係を示すルックアップテーブルを記憶し、このルックアップテーブルを用いて、蓄電池電圧VBに基づいてスイッチング周期Tを算出してもよい。
【0062】
(PFM制御とPWM制御の比較)
制御回路12は、電池パック1の使用を停止すべき場合に、蓄電池電圧VBに基づいてPFM制御を行うことにより制御信号CTLを生成し、この制御信号CTLを用いてトランジスタ13のスイッチング動作を制御する。これにより、例えば、PWM(Pulse Width Modulation)制御を行う場合に比べて、発熱体22が故障する可能性を低減することができ、可溶体素子21をより確実に溶断させることができる。以下に、PFM制御とPWM制御の比較について説明する。
【0063】
図13は、PWM制御を行う場合における制御信号CTLの一例を表すものである。この例では、PFM制御の場合(図8)と同様に、発熱体22に21.5[V]の電圧を印加する場合の例である。図13(A)は、周期内平均電力Paveを100[W]にする場合の波形例を示し、図13(B)は、周期内平均電力Paveを400[W]にする場合の波形例を示す。
【0064】
周期内平均電力Paveを100[W]にする場合には、図13(A)に示したように、デューティ比は18.9%(=1/5.3)に設定される。すなわち、印加電力は530[W]であるので、これにより、周期内平均電力Paveを100[W](=530[W]×1/5.3)にすることができる。PFM制御の場合(図8)と同様に、スイッチング周期を5.3[msec.]とすると、オン時間Tonは1[msec.]であり、オフ時間Toffは4.3[msec.]である。この図13(A)の波形は、図8(A)の波形と同じである。
【0065】
周期内平均電力Paveを400[W]にする場合には、図13(B)に示したように、デューティ比は75.2%(=1/1.33)に設定される。すなわち、印加電力は530[W]であるので、これにより、周期内平均電力Paveを400[W](=530[W]×1/1.33)にすることができる。スイッチング周期は5.3[msec.]に固定されるので、オン時間Tonは4[msec.]であり、オフ時間Toffは1.3[msec.]である。図13(B)の波形は、図8(B)の波形における4つのパルスを1つにまとめたような波形である。すなわち、PFM制御の場合(図8(B))では、4つのパルスを用いて発熱体22に電力を印加しているが、PWM制御の(図13(B))では、1つのパルスを用いて発熱体22に電力をまとめて印加している。
【0066】
図14は、周期内平均電力Paveを100[W]から450[W]まで変化させたときの、可溶体素子21の溶断時間Tfの実験結果の一例を表すものである。この図14は、PFM制御の場合を示す図9に対応している。例えば、周期内平均電力Paveが100[W]である場合には、オン時間Tonは1[msec.]であり、溶断時間Tfは448[msec.]である。PFM制御の場合と同様に、周期内平均電力Paveが大きくなるほど、溶断時間Tfは短くなる。
【0067】
しかしながら、このPWM制御では、周期内平均電力Paveが350[W]以上になると、例えば、発熱体22の抵抗値が上昇することにより発熱体22が故障し、可溶体素子21は溶断しない。例えば、図6に示したように、400[W]の電力を連続して発熱体22に印加した場合には、故障時間は43[msec.]であるが、図13(B)の例では、オン時間Tonが4[msec.]であるにもかかわらず、発熱体22が故障している。これは、PWM制御では、パルスが繰り返されることにより、発熱体22のダメージが蓄積されたためと考えられる。
【0068】
このように、PWM制御では、図14に示したように、周期内平均電力Paveが350[W]以上になると、発熱体22が故障している。一方、PFM制御では、図9に示したように、周期内平均電力Paveが350[W]以上でも、発熱体22は故障せず、可溶体素子21は溶断可能である。例えば、周期内平均電力Paveが400[W]の場合における、PFM制御での制御信号CTLの波形(図8(B))と、PWM制御での制御信号CTLの波形(図13(B))とを比較すると、周期内平均電力Paveは互いに同じであるが、オン時間Tonが異なる。すなわち、PFM制御の場合(図8(B))では、PWM制御の場合(図13(B))に比べて、こまめにオンオフを繰り返すので、ダメージの蓄積が小さいと考えられる。
【0069】
以上のように、PFM制御を行う場合には、PWM制御を行う場合に比べて、発熱体22が故障する可能性を低減することができ、可溶体素子21をより確実に溶断させることができる。
【0070】
このように、電池パック1では、正極EPおよび負極ENを結ぶ経路に設けられ、直列に接続された5つの電池セルBC1~BC5を有する蓄電池11と、5つの電池セルBC1~BC5のそれぞれのセル電圧VBCを検出可能な監視回路30と、第1の経路(電源線PL1)を介して正極EPに導かれた正端子TPと、第2の経路(電源線PL2)を介して負極ENに導かれた負端子TNと、第1の経路(電源線PL1)に設けられ、熱により溶断可能な可溶体素子21と、第1の経路(電源線PL1)と第2の経路(電源線PL2)とを結ぶ第3の経路に設けられ、発熱することにより可溶体素子21を溶断可能な発熱体22と、第3の経路に設けられたトランジスタ13と、監視回路30の検出結果に基づいて、トランジスタ13のオン時間Tonを所定の時間に保つとともに、蓄電池11の両端間の電圧である蓄電池電圧VBに応じてトランジスタ13のオフ時間Toffを変化させるようにPFM制御を行うことにより、トランジスタ13のスイッチング動作を制御可能な制御回路12とを備えるようにした。これにより、例えば、蓄電池電圧VBに応じて、発熱体22への印加電力を調節することができるので、様々な蓄電池電圧VBに応じて、可溶体素子21を溶断させることができる。その結果、電池パックを使用すべきではない様々な状態において、充放電経路を遮断することができる。
【0071】
すなわち、例えば、特許文献1に記載の技術では、蓄電池電圧VBが高い場合には、可溶体素子を溶断させることができるが、蓄電池電圧VBが低い場合には、可溶体素子を溶断させることが難しい。一方、電池パック1では、蓄電池電圧VBに応じてトランジスタ13のオフ時間Toffを変化させるようにした。例えば、制御回路12は、蓄電池電圧VBが第1の電圧である場合に、オフ時間Toffを第1の時間に設定し、蓄電池電圧VBが第1の電圧よりも高い第2の電圧である場合に、オフ時間Toffを第1の時間よりも長い第2の時間に設定するようにすることができる。これにより、電池パック1では、例えば、蓄電池電圧VBが低い場合でも、可溶体素子21を溶断させることができる。その結果、電池パック1では、電池パックを使用すべきではない様々な状態において、充放電経路を遮断することができる。
【0072】
また、電池パック1では、PFM制御を行うようにしたので、例えばPWM制御を行う場合に比べて、発熱体22が故障する可能性を低減することができ、可溶体素子21をより確実に溶断させることができる。
【0073】
また、電池パック1では、制御回路12は、5つのセル電圧VBC1~VBC5のうちのいずれか1つ以上が第1のしきい電圧(電圧V12)より高い場合に、PFM制御を行うことが可能にした。また、制御回路12は、5つのセル電圧VBC1~VBC5のうちのいずれか1つ以上が第2のしきい電圧(電圧V11)より低い場合に、PFM制御を行うことが可能にした。また、監視回路30は、蓄電池11の温度を検出し、制御回路12は、蓄電池11の温度が所定の温度範囲の範囲外である場合に、PFM制御を行うことが可能にした。また、制御回路12は、監視回路30の検出結果に基づいて、監視回路30が正常に動作しているかどうかを判断可能であり、監視回路30が正常に動作していない場合に、PFM制御を行うことが可能にした。このように、電池パック1では、電池パックを使用すべきではない様々な状態において、充放電経路を遮断することができる。
【0074】
また、電池パック1では、制御回路12がPFM制御を開始してから、可溶体素子21が溶断するまでの溶断時間Tfが1秒以内になるようにした。これにより、保護回路20の周囲の基板パターン、セルタブ、バスバーの溶断時間Tfへの影響を抑えることができ、溶断時間Tfを短くすることができる。
【0075】
[効果]
以上のように本実施の形態では、正極および負極を結ぶ経路に設けられ、直列に接続された5つの電池セルを有する蓄電池と、5つの電池セルのそれぞれのセル電圧を検出可能な監視回路と、第1の経路を介して正極に導かれた正端子と、第2の経路を介して負極に導かれた負端子と、第1の経路に設けられ、熱により溶断可能な可溶体素子と、第1の経路と第2の経路とを結ぶ第3の経路に設けられ、発熱することにより可溶体素子を溶断可能な発熱体と、第3の経路に設けられたトランジスタと、監視回路の検出結果に基づいて、トランジスタのオン時間を所定の時間に保つとともに、蓄電池の両端間の電圧である蓄電池電圧に応じてトランジスタのオフ時間を変化させるようにPFM制御を行うことにより、トランジスタのスイッチング動作を制御可能な制御回路とを備えるようにしたので、電池パックを使用すべきではない様々な状態において、充放電経路を遮断することができる。
【0076】
本実施の形態では、PFM制御を行うようにしたので、例えばPWM制御を行う場合に比べて、可溶体素子をより確実に溶断させることができる。
【0077】
[変形例1]
上記実施の形態では、図15Aに示したように、可溶体素子21および発熱体22を有する保護回路20を設けたが、これに限定されるものではない。これに代えて、例えば、図15Bに示すように、可溶体素子23および発熱体22を有する保護回路20Aを設けてもよい。この可溶体素子23の一端は、蓄電池11の正極EPおよび発熱体22の一端に接続され、可溶体素子23の他端は、電池パック1の正端子TPに接続される。また、例えば、図15Cに示すように、可溶体素子21,23および発熱体22を有する保護回路20Bを設けてもよい。可溶体素子21の一端は蓄電池11の正極EPに接続され、可溶体素子21の他端は発熱体22の一端および可溶体素子23の一端に接続される。可溶体素子23の一端は、可溶体素子21の他端および発熱体22の一端に接続され、他端は電池パック1の正端子TPに接続される。
【0078】
[変形例2]
上記実施の形態では、1つの温度センサ31を設けるようにしたが、これに限定されるものではない。これに代えて、例えば、図16に示す電池パック1Cのように、複数の温度センサを設けてもよい。この電池パック1Cは、監視回路30Cと、制御回路12Cとを備えている。監視回路30Cは、温度センサ31,33と、アナログフロントエンド回路32Cとを有している。温度センサ33は、この例では、図示しない基板に設けられ、基板の温度を検出するように構成される。そして、温度センサ33は、検出結果をアナログフロントエンド回路32Cに供給するようになっている。アナログフロントエンド回路32Cは、セル電圧VBC1~VBC5の検出結果と、温度センサ31,33の検出結果とを、制御回路12Cに供給するように構成される。制御回路12Cは、例えば、基板の温度が所定の温度範囲の範囲外の温度である場合に、電池パック1Cの使用を停止すべきと判断する。
【0079】
[変形例3]
上記実施の形態では、制御回路12は、蓄電池11における電池セルBC1~BC5のうちのいずれか1つ以上が過充電状態S3である場合、蓄電池11における電池セルBC1~BC5のうちのいずれか1つ以上が過放電状態S1である場合、蓄電池11の温度が所定の温度範囲の範囲外の温度である場合、監視回路30が正常に動作していない場合に、電池パック1の使用を停止すべきと判断したが、これに限定されるものではない。電池パック1の使用を停止すべきケースは、この4つに限定されず、この4つのうちの一部が無くてもよいし、他のケースがあってもよい。
【0080】
[その他の変形例]
また、これらの変形例のうちの2以上を組み合わせてもよい。
【0081】
以上、実施の形態を挙げて本技術を説明したが、本技術はこれらの実施の形態等には限定されず、種々の変形が可能である。
【0082】
例えば、上記の実施の形態等では、図1に示したように、5つの電池セルBCを設けたが、これに限定されるものではなく、4つ以下の電池セルBCまたは6つ以上の電池セルBCを設けてもよい。
【0083】
本明細書中に記載された効果はあくまで例示であり、本開示の効果は、本明細書中に記載された効果に限定されない。よって、本開示に関して、他の効果が得られてもよい。
【0084】
さらに、本開示は、以下の態様を取り得る。
<1>
第1の端子および第2の端子を結ぶ経路に設けられ、直列に接続された複数の電池セルを有する蓄電池と、
前記複数の電池セルのそれぞれのセル電圧を検出可能な監視回路と、
第1の経路を介して前記第1の端子に導かれた第1の接続端子と、
第2の経路を介して前記第2の端子に導かれた第2の接続端子と、
前記第1の経路に設けられ、熱により溶断可能な可溶体素子と、
前記第1の経路と前記第2の経路とを結ぶ第3の経路に設けられ、発熱することにより前記可溶体素子を溶断可能な発熱体と、
前記第3の経路に設けられたスイッチ素子と、
前記監視回路の検出結果に基づいて、前記スイッチ素子のオン時間を所定の時間に保つとともに、前記蓄電池の両端間の電圧である蓄電池電圧に応じて前記スイッチ素子のオフ時間を変化させるようにPFM制御を行うことにより、前記スイッチ素子のスイッチング動作を制御可能な制御回路
を備えた電池パック。
<2>
前記制御回路は、
前記蓄電池電圧が第1の電圧である場合に、前記オフ時間を第1の時間に設定可能であり、
前記蓄電池電圧が第1の電圧よりも高い第2の電圧である場合に、前記オフ時間を前記第1の時間よりも長い第2の時間に設定可能である
<1>記載の電池パック。
<3>
前記制御回路は、複数の前記セル電圧のうちのいずれか1つ以上が第1のしきい電圧より高い場合に、前記PFM制御を行うことが可能である
<1>または<2>記載の電池パック。
<4>
前記制御回路は、さらに、複数の前記セル電圧のうちのいずれか1つ以上が第2のしきい電圧より低い場合に、前記PFM制御を行うことが可能であり、
前記第2のしきい電圧は、前記第1のしきい電圧より低い
<3>記載の電池パック。
<5>
前記制御回路は、複数の前記セル電圧のうちのいずれか1つ以上が第2のしきい電圧より低い場合に、前記PFM制御を行うことが可能である
<1>または<2>記載の電池パック。
<6>
前記監視回路は、さらに、前記蓄電池の温度を検出することが可能であり、
前記制御回路は、さらに、前記蓄電池の温度が所定の温度範囲の範囲外である場合に、前記PFM制御を行うことが可能である
<1>から<4>のいずれか1つに記載の電池パック。
<7>
前記制御回路は、さらに、前記監視回路の検出結果に基づいて、前記監視回路が正常に動作しているかどうかを判断可能であり、前記監視回路が正常に動作していない場合に、前記PFM制御を行うことが可能である
<1>から<4>のいずれか1つに記載の電池パック。
<8>
前記制御回路が前記PFM制御を開始してから、前記可溶体素子が溶断するまでの溶断時間は、1秒以内である
<1>から<7>のいずれか1つに記載の電池パック。
<9>
前記制御回路は、式(1)を用いて、前記蓄電池電圧の電圧値Vに基づいて、前記スイッチ素子のスイッチング周期Tを算出することにより、前記PFM制御を行うことが可能である
<1>から<8>のいずれか1つに記載の電池パック。
T = C × V ・・・(1)
ここで、Cは所定の定数である
<10>
前記制御回路は、次の式(1)を用いて算出された、前記蓄電池電圧の電圧値Vと前記スイッチ素子のスイッチング周期Tとの関係を示すテーブルデータを用いて、前記蓄電池電圧の電圧値Vに基づいて前記スイッチング周期Tを算出することにより、前記PFM制御を行うことが可能である
<1>から<8>のいずれか1つに記載の電池パック。
T = C × V ・・・(1)
<11>
第1の端子および第2の端子を結ぶ経路に設けられ、直列に接続された複数の電池セルを有する蓄電池と、第1の経路を介して前記第1の端子に導かれた第1の接続端子と、第2の経路を介して前記第2の端子に導かれた第2の接続端子と、前記第1の経路に設けられ、熱により溶断可能な可溶体素子と、前記第1の経路と前記第2の経路とを結ぶ第3の経路に設けられ、発熱することにより前記可溶体素子を溶断可能な発熱体と、前記第3の経路に設けられたスイッチ素子とを備えた電池パックにおける、前記複数の電池セルのそれぞれのセル電圧を検出することと、
検出された複数の前記セル電圧に基づいて、前記スイッチ素子のオン時間を所定の時間に保つとともに、前記蓄電池の両端間の電圧である蓄電池電圧に応じてオフ時間を変化させるようにPFM制御を行うことにより、前記スイッチ素子の動作を制御することと
を含む
電池パックの制御方法。
【符号の説明】
【0085】
1,1C…電池パック、11…蓄電池、12,12C…制御回路、13…トランジスタ、20,20A,20B…保護回路、21,23…可溶体素子、22…発熱体、30,30C…監視回路、31,33…温度センサ、32,32C…アナログフロントエンド回路、BC,BC1,BC2,BC3,BC4,BC5…電池セル、CTL…制御信号、EN…負極、EP…正極、Pave…周期内平均電力、PL1,PL2…電源線、S1…過放電状態、S2…通常状態、S3…過充電状態、T…スイッチング周期、Tf…溶断時間、TN…負端子、Ton…オン時間、Toff…オフ時間、TP…正端子、VB…蓄電池電圧、V1~V5,V11,V12…電圧、V21…下限電圧、V22…上限電圧、W…電圧範囲。
図1
図2
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