IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ グローリー株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-移動ロボット及びロボットシステム 図1
  • 特開-移動ロボット及びロボットシステム 図2
  • 特開-移動ロボット及びロボットシステム 図3
  • 特開-移動ロボット及びロボットシステム 図4
  • 特開-移動ロボット及びロボットシステム 図5
  • 特開-移動ロボット及びロボットシステム 図6
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024158355
(43)【公開日】2024-11-08
(54)【発明の名称】移動ロボット及びロボットシステム
(51)【国際特許分類】
   B25J 19/00 20060101AFI20241031BHJP
【FI】
B25J19/00 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023073496
(22)【出願日】2023-04-27
(71)【出願人】
【識別番号】000001432
【氏名又は名称】グローリー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114306
【弁理士】
【氏名又は名称】中辻 史郎
(74)【代理人】
【識別番号】100148655
【弁理士】
【氏名又は名称】諏訪 淳一
(72)【発明者】
【氏名】池澤 正浩
【テーマコード(参考)】
3C707
【Fターム(参考)】
3C707BS10
3C707CS08
3C707CY12
3C707HS27
3C707KS27
3C707WA16
(57)【要約】
【課題】作業ロボットを搭載する移動ロボットの汎用性を向上する。
【解決手段】移動用バッテリによる駆動で移動可能に構成され、バッテリ残量の低下時には給電装置の設置場所へ移動して給電装置から供給される電力によって移動用バッテリを充電する移動ロボットを、作業用バッテリによる駆動で作業を行ってバッテリ残量の低下時には受電口に受けた電力によって作業用バッテリを充電する作業ロボットを、着脱可能に搭載する台部と、台部に搭載された作業ロボットの受電口と電気接続可能に設けられた給電口と、給電装置から電力の供給を受けているときに給電口から受電口に電力を給電して作業用バッテリを充電させる充電制御部とによって構成する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動用バッテリによる駆動で移動可能に構成され、バッテリ残量の低下時には給電装置の設置場所へ移動して前記給電装置から供給される電力によって前記移動用バッテリを充電する移動ロボットであって、
作業用バッテリによる駆動で作業を行ってバッテリ残量の低下時には受電口に受けた電力によって前記作業用バッテリを充電する作業ロボットを、着脱可能に搭載する台部と、
前記台部に搭載された作業ロボットの受電口と電気接続可能に設けられた給電口と、
前記給電装置から電力の供給を受けているときに前記給電口から前記受電口に電力を給電して前記作業用バッテリを充電させる充電制御部と
を備えることを特徴とする移動ロボット。
【請求項2】
前記充電制御部は、前記給電装置から供給される電力を前記給電口から前記受電口に給電して前記作業用バッテリを充電させることを特徴とする請求項1に記載の移動ロボット。
【請求項3】
前記充電制御部は、前記給電装置から供給される電力によって前記移動用バッテリを充電して、前記移動用バッテリから得られる電力を前記給電口から前記受電口に給電して前記作業用バッテリを充電させることを特徴とする請求項1に記載の移動ロボット。
【請求項4】
前記給電装置から供給される電力によって、前記移動用バッテリと前記作業用バッテリとが同時に充電されることを特徴とする請求項1に記載の移動ロボット。
【請求項5】
前記給電装置から供給される電力によって、前記移動用バッテリと前記作業用バッテリのいずれか一方が充電されて、該充電の完了後に他方が充電されることを特徴とする請求項1に記載の移動ロボット。
【請求項6】
前記給電装置から電力が供給されていないときに、前記充電制御部は、前記移動用バッテリから得られた電力を前記給電口から前記受電口に給電して前記作業用バッテリを充電させることを特徴とする請求項1に記載の移動ロボット。
【請求項7】
前記給電装置から電力が供給されていないときに、前記充電制御部は、前記給電口及び前記受電口を介して前記作業用バッテリから電力を得て前記移動用バッテリを充電することを特徴とする請求項1に記載の移動ロボット。
【請求項8】
前記移動用バッテリ及び前記作業用バッテリの充電要否を示す充電状態を検出する充電状態検出部
をさらに備え、
前記充電制御部は、前記充電状態検出部による検出結果に基づいて、前記移動用バッテリの充電及び前記作業用バッテリの充電を制御する
ことを特徴とする請求項1に記載の移動ロボット。
【請求項9】
移動用バッテリによる駆動で移動可能に構成され、前記移動用バッテリの残量低下時には給電装置の設置場所へ移動して前記給電装置から供給される電力によって前記移動用バッテリを充電する移動ロボットと、
前記移動ロボットに着脱可能に搭載されて前記移動ロボットと共に移動しながら作業用バッテリによる駆動で作業を行い、前記作業用バッテリの残量低下時には前記移動ロボットから給電される電力によって前記作業用バッテリを充電する作業ロボットと
を含み、
前記移動ロボットは、前記給電装置から電力の供給を受けているときに前記作業ロボットに電力を給電して前記作業用バッテリを充電させる
ことを特徴とするロボットシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、複数種類の作業ロボットを搭載可能な移動ロボット及び該移動ロボットを含むロボットシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、物品や作業ロボットを載せて移動可能な移動ロボットが様々な場所で利用されている。例えば、無人搬送車と呼ばれるAGV(Automatic Guided Vehicle)、自律走行移動ロボットと呼ばれるAMR(Autonomous Mobile Robot)等の車両型の移動ロボットが知られている。工場内で部品置き場から作業場まで部品を運ぶ作業、倉庫内で物品を移動する作業等が移動ロボットを利用して行われている。
【0003】
移動ロボットはバッテリによる駆動で走行する。移動ロボットのバッテリには、充電して繰り返し利用可能な二次電池が用いられる。例えば、特許文献1には、作業ロボットを取付可能な移動ロボットである無人搬送台車が開示されている。二次電池から電力を得て走行する無人搬送台車は、給電装置の設置場所まで走行して、給電装置から供給される電力によって二次電池を充電する。充電を終えた無人搬送台車は、給電装置から離れて、作業ロボットの作業場所へ移動する。無人搬送台車は、二次電池から得られる直流電圧24V又は48Vの出力を、作業ロボットが必要とする三相交流200Vに変換して出力することができる。これにより、作業ロボットは、無人搬送台車の二次電池から電力を得て作業を行うことができる。また、無人搬送台車は、作業ロボットの作業場所に設けられた給電装置の出力を三相交流200Vに変換して作業ロボットに給電することができる。作業ロボットは、無人搬送台車を介して、給電装置から得た電力で作業を行うことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第6779484号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記従来技術では、作業ロボットの種類に応じた移動ロボットを準備する必要がある。例えば、作業ロボットが必要とする電源電圧や消費電力に応じて、二次電池の容量を変更した移動ロボットや、出力電圧を変更した移動ロボットを準備する必要がある。作業ロボットの種類毎に移動ロボットを準備するとシステム構築に係るコストも高くなる。このため、複数種類の作業ロボットに対応可能な汎用性の高い移動ロボットの登場が望まれていた。
【0006】
本開示は、上記従来の課題に鑑みてなされたもので、その目的の1つは、汎用性の高い移動ロボット及び概移動ロボットを含むロボットシステムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示に係る移動ロボットは、移動用バッテリによる駆動で移動可能に構成され、バッテリ残量の低下時には給電装置の設置場所へ移動して前記給電装置から供給される電力によって前記移動用バッテリを充電する移動ロボットであって、作業用バッテリによる駆動で作業を行ってバッテリ残量の低下時には受電口に受けた電力によって前記作業用バッテリを充電する作業ロボットを、着脱可能に搭載する台部と、前記台部に搭載された作業ロボットの受電口と電気接続可能に設けられた給電口と、前記給電装置から電力の供給を受けているときに前記給電口から前記受電口に電力を給電して前記作業用バッテリを充電させる充電制御部とを備える。
【0008】
上記構成において、前記充電制御部は、前記給電装置から供給される電力を前記給電口から前記受電口に給電して前記作業用バッテリを充電させてもよい。
【0009】
上記構成において、前記充電制御部は、前記給電装置から供給される電力によって前記移動用バッテリを充電して、前記移動用バッテリから得られる電力を前記給電口から前記受電口に給電して前記作業用バッテリを充電させてもよい。
【0010】
上記構成において、前記給電装置から供給される電力によって、前記移動用バッテリと前記作業用バッテリとが同時に充電されてもよい。
【0011】
上記構成において、前記給電装置から供給される電力によって、前記移動用バッテリと前記作業用バッテリのいずれか一方が充電されて、該充電の完了後に他方が充電されてもよい。
【0012】
上記構成において、前記給電装置から電力が供給されていないときに、前記充電制御部は、前記移動用バッテリから得られた電力を前記給電口から前記受電口に給電して前記作業用バッテリを充電させてもよい。
【0013】
上記構成において、前記給電装置から電力が供給されていないときに、前記充電制御部は、前記給電口及び前記受電口を介して前記作業用バッテリから電力を得て前記移動用バッテリを充電してもよい。
【0014】
上記構成において、前記移動用バッテリの充電要否及び前記作業用バッテリの充電要否を示す充電状態を検出する充電状態検出部をさらに備え、前記充電制御部は、前記充電状態検出部による検出結果に基づいて、前記移動用バッテリの充電及び前記作業用バッテリの充電を制御してもよい。
【0015】
本開示に係るロボットシステムは、移動用バッテリによる駆動で移動可能に構成され、前記移動用バッテリの残量低下時には給電装置の設置場所へ移動して前記給電装置から供給される電力によって前記移動用バッテリを充電する移動ロボットと、前記移動ロボットに着脱可能に搭載されて前記移動ロボットと共に移動しながら作業用バッテリによる駆動で作業を行い、前記作業用バッテリの残量低下時には前記移動ロボットから給電される電力によって前記作業用バッテリを充電する作業ロボットとを含み、前記移動ロボットは、前記給電装置から電力の供給を受けているときに前記作業ロボットに電力を給電して前記作業用バッテリを充電させる。
【発明の効果】
【0016】
本開示に係る移動ロボットは、複数種類の作業ロボットの中から選択されたバッテリ駆動の作業ロボットを搭載することができる。移動ロボットは、バッテリ仕様が異なる複数種類のロボットに電力を給電可能な汎用性の高い移動ロボットであるため、ロボットシステム構築に係るコストを削減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1図1は、本実施形態に係るロボットシステムの概要を説明するための図である。
図2図2は、車両型の無人搬送車を含むロボットシステムの構成例を示すブロック図である。
図3図3は、無人搬送車及び作業ロボットの例を示す外観図である。
図4図4は、図3に示す無人搬送車及び作業ロボットの充電方法を説明するための図である。
図5図5は、充電時の無人搬送車と給電装置の接続方法を説明するための図である。
図6図6は、無人搬送車の充電制御部が実行する処理の例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、添付図面を参照しながら、本開示に係る移動ロボット及び該移動ロボットを含むロボットシステムの実施の形態について説明する。図1は、本実施形態に係るロボットシステム1の概要を説明するための図である。
【0019】
ロボットシステム1は、移動ロボット100と、移動ロボット100に取り付けて使用される作業ロボット200と、移動ロボット100に電力を供給する給電装置300とを含む。移動ロボット100は、バッテリ110と、充電制御部131と、充電状態検出部132と、バッテリ110による駆動で動作する移動部120とを含む。作業ロボット200は、バッテリ210と、バッテリ210による駆動で動作して所定作業を行う作業部220とを含む。給電装置300は、移動ロボット100と接続して、移動ロボット100に電力を供給するように構成されている。
【0020】
移動ロボット100のバッテリ110及び作業ロボット200のバッテリ210は、充電して繰り返し使用することができる充電式の二次電池である。鉛蓄電池、ニッケルカドミウム電池、ニッケル水素電池、リチウムイオン電池、ナトリウムイオン電池等の二次電池が知られているが、バッテリ110、210の種類は特に限定されない。移動ロボット100及び作業ロボット200のサイズ、重量、作業内容、利用目的等に応じて、バッテリ110、210に利用する二次電池を適宜選択すればよい。
【0021】
移動ロボット100は、作業ロボット200を搭載した状態で、バッテリ駆動の移動部120によって移動可能に構成されている。例えば、移動部120は、モータ等の駆動部と、駆動部によって駆動される車輪と、移動方向や移動速度を決定するために利用するセンサ部と、移動部120の動作を制御する制御部とを含む。移動ロボット100の種類は特に限定されない。例えば、移動ロボット100は、磁気テープ等の誘導体によって設定された固定のルートを走行するAGVであってもよいし、センサを利用して自律走行するAMRであってもよい。
【0022】
作業ロボット200は、バッテリ駆動の作業部220によって所定作業を実行可能に構成されている。例えば、作業部220は、モータ等の駆動部と、駆動部によって駆動されるロボットハンドやロボットアームと、作業部220の動作を制御する制御部とを含む。作業ロボット200の種類は特に限定されない。例えば、作業ロボット200は、工場で部品の運搬作業を行う産業用ロボットであってもよいし、倉庫等の物流拠点で物品のピッキング作業や運搬作業を行う物流ロボットであってもよい。作業ロボット200がバッテリ駆動の電気式アクチュエータを利用する態様に限定されず、油圧や空気等の流体式のアクチュエータを利用して、その制御がバッテリ駆動の制御部によって行われる態様であってもよい。
【0023】
例えば、移動ロボット100が運搬対象物の保管場所である運搬元へ移動して、移動ロボット100に取り付けられた作業ロボット200が運搬対象物をつかむ。移動ロボット100が運搬対象物の運搬先へ移動して、作業ロボット200が運搬対象物を降ろして離すことによって、運搬対象物が所定の目的地まで運搬される。誘導体に基づく移動や自律走行による移動によって部品や物品のピッキング作業や運搬作業を行うAGV、AMR等から成るロボットは従来知られているため、移動ロボット100の移動及び作業ロボット200の作業に関する詳細な説明は省略する。
【0024】
本実施形態に係る移動ロボット100及び作業ロボット200はそれぞれが動作に必要なバッテリ110、210を有し、これらのバッテリ110、210が給電装置300や互いの電力を利用して充電される点に、1つの特徴を有している。以下、バッテリ110、210の充電方法を説明する。
【0025】
作業ロボット200を搭載した移動ロボット100は、給電装置300の設置場所まで移動して、図1に示すように、給電装置300から電力の供給を受ける(A)。給電装置300には、工場や物流拠点における配電盤、分電盤、コンセント等の電力源から電力が供給されている。給電装置300は、電気接続された移動ロボット100に対して、移動ロボット100が必要とする電力を供給する。
【0026】
移動ロボット100の充電状態検出部132は、移動ロボット100のバッテリ110の充電状態と、作業ロボット200のバッテリ210の充電状態とを検出する(B)。充電状態に基づいて、バッテリ110、210の充電要否が判定される。充電状態は、バッテリ残量を含む。充電状態が、バッテリ容量、充電電圧等のバッテリ仕様に関する情報を含んでいてもよい。バッテリ残量は、バッテリの充電最大容量を100%としたときの現在のバッテリ容量の割合を示す値である。
【0027】
充電制御部131は、充電状態検出部132による検出結果に基づいて、移動ロボット100のバッテリ110及び作業ロボット200のバッテリ210を充電する。例えば、充電状態検出部132によって検出されたバッテリ残量が所定の値以下である場合に、充電制御部131がバッテリ充電を行う。例えば、充電状態検出部132によって検出されるバッテリ残量が所定の値に達するまで、充電制御部131がバッテリ充電を行う。
【0028】
充電制御部131は、給電装置300から供給される電力によって、移動ロボット100のバッテリ110を充電することができる(C)。充電制御部131は、給電装置300から供給される電力によって、作業ロボット200のバッテリ210を充電することができる(D)。
【0029】
充電制御部131は、移動ロボット100のバッテリ110と、作業ロボット200のバッテリ210とを、同時に充電することができる。充電制御部131は、移動ロボット100のバッテリ110と、作業ロボット200のバッテリ210とのいずれか一方を先に充電して、該充電の完了後に他方を充電することもできる。作業ロボット200のバッテリ210を充電する際、充電制御部131は、給電装置300から供給される電力を作業ロボット200に給電してバッテリ210を充電することができる。給電装置300から供給される電力の全てが作業ロボット200に給電される態様であってもよいし、一部が作業ロボット200に給電される態様であってもよい。充電制御部131は、給電装置300から供給される電力によって移動ロボット100のバッテリ110を充電して、バッテリ110から得られる電力を作業ロボット200に給電してバッテリ210を充電することもできる。充電制御部131が行う充電方法は、設定により変更できるようになっている。
【0030】
例えば、移動ロボット100のバッテリ110の残量が減少して、充電状態検出部132が検出するバッテリ110の残量が所定の閾値に達すると、充電制御部131はバッテリ110の充電が必要であると判定する。充電制御部131による判定結果に基づいて移動部120が動作することにより、移動ロボット100が給電装置300の設置場所へ移動して給電装置300と接続され、給電装置300から移動ロボット100へ電力が供給される。給電装置300からの電力供給を検知した充電制御部131は、給電装置300から供給される電力により、移動ロボット100のバッテリ110及び作業ロボット200のバッテリ210を充電する。充電制御部131は、充電状態検出部132による検出結果に基づいて、2つのバッテリ110、210の残量が、予め設定された所定値となるまで充電する。例えば、充電制御部131は、2つのバッテリ110、210が満充電(残量100%)となるまで充電する。
【0031】
充電制御部131は、移動ロボット100のバッテリ110から電力を得て、該電力によって、作業ロボット200のバッテリ210を充電することもできる(E)。充電制御部131は、作業ロボット200のバッテリ210から電力を得て、該電力によって、移動ロボット100のバッテリ110を充電することもできる(F)。
【0032】
例えば、移動ロボット100が給電装置300から離れた場所へ移動して作業ロボット200が作業を行っている間に、充電状態検出部132が検出するバッテリ210の残量が減少して所定の閾値に達すると、充電制御部131はバッテリ210の充電が必要であると判定する。充電制御部131は、給電装置300から電力が供給されていないことを検知すると、移動ロボット100のバッテリ110から得た電力を作業ロボット200へ給電する。充電制御部131は、充電状態検出部132が検出するバッテリ残量が所定残量となるまでバッテリ210を充電する。
【0033】
同様に、給電装置300から離れた場所で、充電状態検出部132が検出するバッテリ110の残量が減少して所定の閾値に達すると、充電制御部131はバッテリ110の充電が必要であると判定する。充電制御部131は、給電装置300から電力が供給されていないことを検知すると、作業ロボット200のバッテリ210から得た電力を移動ロボット100へ給電して、充電状態検出部132による検出結果に基づいて、バッテリ残量が所定残量となるまでバッテリ110を充電する。
【0034】
充電状態検出部132によるバッテリ残量の検出方法は特に限定されない。例えば、バッテリ110、210が、それぞれのバッテリ残量を管理する制御基板を有し、充電状態検出部132が、バッテリ残量を示す情報を制御基板から取得する態様であってもよい。また、例えば、充電状態検出部132が、バッテリ110、210の電圧やインピーダンスを測定し、測定結果に基づいてバッテリ残量を検出する態様であってもよい。二次電池の充電方法として、定電圧充電、定電流充電、定電力充電、定電流定電圧充電、パルス充電、トリクル充電等の充電方法が知られているが、充電制御部131によるバッテリ110、210の充電方法も特に限定されない。バッテリ110、210の残量検出方法及び充電方法は、バッテリ110、210の種類、充電電圧、充電容量、充電速度等に応じて適宜選択すればよい。
【0035】
充電制御部131が、作業ロボット200のバッテリ210の充電仕様に応じて、作業ロボット200に給電する電力を変換する態様であってもよい。例えば、充電制御部131は、作業ロボット200のバッテリ210が交流で充電される場合は交流電力を出力して、直流で充電される場合は直流電力を出力すればよい。充電制御部131が、バッテリ210の充電仕様に応じて、交流電力を単相交流又は三相交流に変換して出力してもよい。充電制御部131が、バッテリ210の充電仕様に応じて、出力する電力の電流、電圧、電力のいずれかを変更して出力してもよい。例えば、充電制御部131が、バッテリ210の充電仕様に応じて、作業ロボット200に給電する電力を、単相交流の100V、三相交流の200V、直流の12V、24V、48V等に切り換える態様であってもよい。移動ロボット100から作業ロボット200へ給電される電力の切り換えは、充電状態検出部132がバッテリ210の仕様を検出して自動的に行う態様であってもよいし、移動ロボット100が操作部を含み、該操作部を操作して手動で設定を変更することによって行われる態様であってもよい。
【0036】
作業ロボット200のバッテリ210の充電は、移動ロボット100の充電制御部131によって行われる態様に限定されず、作業ロボット200が充電制御部を有し、該充電制御部によって行われる態様であってもよい。具体的には、作業ロボット200の充電制御部が、移動ロボット100の充電制御部131から給電される電力により、バッテリ210の充電を制御する態様であってもよい。すなわち、移動ロボット100が作業ロボット200に対する給電装置として動作して、作業ロボット200が自らバッテリ210の充電を行う態様であってもよい。
【0037】
同様に、バッテリ210を充電する際の直流と交流の変換、単相交流と三相交流の変換、電流や電圧の変換等の変換処理についても、充電制御部131によって行われる態様に限定されず、作業ロボット200で行われる態様であってもよい。具体的には、例えば充電制御部131が単相交流100Vの電力を出力して、移動ロボット100に取り付けられた作業ロボット200が、これを所定の直流電力又は交流電力に変換してバッテリ210を充電する態様であってもよい。
【0038】
次に、ロボットシステム1の具体例について説明する。移動ロボット100の種類は特に限定されないが、移動ロボット100が車輪駆動によって移動する車両型の無人搬送車である場合を例に説明を続ける。
【0039】
図2は、車両型の無人搬送車(移動ロボット)100を含むロボットシステム1の構成例を示すブロック図である。無人搬送車100に対して着脱可能な作業ロボット200は、無人搬送車100に固定されて、無人搬送車100と共に移動しながら作業を行う。
【0040】
作業ロボット200は、図1に示した構成部に加えて、無人搬送車100から電力の供給を受けるための受電口202を有する。無人搬送車100に作業ロボット200を取り付ける際に、受電口202が無人搬送車100の給電口101と電気接続されて、無人搬送車100から給電される電力によってバッテリ210が充電される。
【0041】
給電装置300は床面に固定されている。給電装置300は、コンセント等の電力源から電力を受ける受電部310と、受電部310に受けた電力を出力する給電口301とを有する。給電装置300は、無人搬送車100が必要とする電力を出力する。無人搬送車100の仕様に応じて、給電装置300が、電力源から受けた電力をそのまま給電口301から出力する態様であってもよいし、交流と直流の変換、単相交流と三相交流の変換、出力電圧の変換等を行ってから出力する態様であってもよい。
【0042】
無人搬送車100は、図1に示した構成部に加えて、制御部130及び記憶部140と、作業ロボット200の受電口202に対応する給電口101と、給電装置300の給電口301に対応する受電口102とを有する。充電制御部131及び充電状態検出部132は制御部130に含まれている。
【0043】
無人搬送車100は、複数の車輪150によって移動可能に構成されている。具体的には、複数の車輪150のうち少なくとも1つの車輪150の向き、回転方向及び回転速度が移動部120によって制御されることにより、無人搬送車100が移動する。車輪150の向きによって無人搬送車100の進行方向が制御され、回転方向によって前進するか後退するかが制御され、回転速度によって移動速度が制御される。
【0044】
記憶部140は、無人搬送車100の機能及び動作に必要な各種情報を記憶する不揮発性の記憶装置である。例えば、制御部130、すなわち充電制御部131及び充電状態検出部132に対応するプログラムが、記憶部140に予め記憶されており、このプログラムがCPU等のハードウェアによって実行されることにより、充電制御部131及び充電状態検出部132の機能及び動作が実現される。
【0045】
記憶部140には、無人搬送車100のバッテリ110及び作業ロボット200のバッテリ210の充電に関する設定情報が保存されている。例えば、バッテリ110、210の充電要否の判定に利用する判定条件、判定用の閾値、充電方法等を含む設定情報が記憶部140に保存される。ロボットシステム1の利用者は、設定情報の選択、追加、更新、変更等の操作を行うことができる。操作の方法は特に限定されない。例えば、無人搬送車100が操作部を含み、該操作部によって行われる態様であってもよいし、無人搬送車100の制御部と有線又は無線で通信可能に接続された操作端末によって行われる態様であってもよい。充電制御部131は、記憶部140に保存された設定情報と、充電状態検出部132による検出結果とに基づいて、バッテリ110、210の充電を行う。例えば、複数種類の作業ロボット200それぞれに対応する設定情報が予め準備され、作業ロボット200の種類に応じて自動又は手動で選択された設定情報に基づいて充電制御部131が動作するが、これについては後述する。
【0046】
図3は、無人搬送車100及び作業ロボット200の例を示す外観図である。図3に示すように、無人搬送車100は、本体部100aと、本体部100aの上面に固定された台部100bとを含む。
【0047】
本体部100aには、複数のセンサ170及び報知ランプ180が設けられている。無人搬送車100の移動部120は、本体部100aの側面に配置された複数のセンサ170によって、誘導体や障害物を検知することができる。移動部120は、本体部100aの前面及び後面それぞれの左右に設けられた、4つの報知ランプ180を点灯又は点滅して、無人搬送車100の移動を周囲に報知することができる。例えば、移動部120は、停止時には全ての報知ランプ180を消灯して、無人搬送車100の移動時に報知ランプ180を点灯して移動開始を周囲に報知する。また、例えば、無人搬送車100の移動方向を変える際に、自動車の方向指示器のように移動方向の報知ランプ180を点滅させて移動方向を周囲に報知する。
【0048】
台部100bには、作業ロボット200の固定に利用する複数のネジ穴161及び貫通穴162が形成されている。複数種類の作業ロボット200の中から、無人搬送車100に搭載する作業ロボット200を選択し、ネジ穴161及び貫通穴162を利用して、ネジ、ボルト及びナット等の締結部材によって作業ロボット200を台部100bに固定できるようになっている。ただし、固定方法は特に限定されず、例えば、クランプ式、バヨネット式、ラッチ式等のマウント方法を利用して、作業ロボット200が台部100bに着脱可能に固定される態様であってもよい。
【0049】
図3に示す作業ロボット200は、多関節型のアームの先端に、把持型のロボットハンドを有している。これにより、無人搬送車100は、作業ロボット200と共に移動して、ロボットハンド及びアームによって、部品や物品のピッキング作業や運搬作業を行うことができる。図3は例示であって、作業ロボット200の種類を限定するものではない。例えば、ロボットハンドが、空気圧や磁気を利用して対象物を吸着する態様であってもよいし、アームが水平多関節型であってもよい。作業ロボット200が、直交座標、円筒座標、極座標等の座標系で動作する座標ロボットであってもよいし、双腕型のロボットであってもよい。作業ロボット200が、ロボットハンドやアームを含んでいなくてもよい。
【0050】
台部100bには、作業ロボット200の受電口202と接続される給電口101が設けられている。図3は、台部100bに設けられたソケット形状の給電口101に、作業ロボット200に設けられたケーブル先端のプラグ形状の受電口202を差し込んで接続する例を示している。図3は例示であって、給電口101及び受電口202の位置や形状は特に限定されない。例えば、無人搬送車100の給電口101が本体部100aの側面等に設けられる態様であってもよい。作業ロボット200の受電口202が、作業ロボット200の底面に設けられ、これに対応して設けられた無人搬送車100の給電口101と電気接続される態様であってもよい。給電口101と受電口202を電気接続する方法についても、差し込み型の接続方法に限定されず、例えばポゴピン型のコネクタ等を利用した接触型の接続方法を利用する態様であってもよい。
【0051】
無人搬送車100の充電状態検出部132が、作業ロボット200のバッテリ210の制御基板から充電状態に関する情報を取得する場合、給電口101と受電口202とを接続するソケットとプラグ又はコネクタに、給電用の電力線に加えて、情報取得に利用する信号線を含めればよい。ソケットとプラグの接続又はコネクタの接続によって、信号線が接続されることにより、充電状態検出部132は、信号線を利用してバッテリ210の情報を取得することができる。
【0052】
図4は、図3に示す無人搬送車100及び作業ロボット200の充電方法を説明するための図である。図5は、充電時の無人搬送車100と給電装置300の接続方法を説明するための図である。図4及び図5には、各図の関係が分かるように、直交するX、Y、Zの3軸を示している。図5では、作業ロボット200を含む一部の図示を省略している。
【0053】
図4に示す給電装置300は、本体部320と、ガイド部330と、ベース部340(340a、340b)とを含む。本体部320は、箱形状を有し、コンセント等の電力源から電力を受けて給電口301から電力を出力する受電部310が内部に収められている。ガイド部330は、無人搬送車100の前面形状に対応する形状を有し、本体部320に固定されている。ベース部340は、充電台部340aと、床面と充電台部340aとの間を接続する傾斜部340bとを含む。
【0054】
図4に矢印で示すように、無人搬送車100は給電装置300に向かって自走移動する。充電台部340aは、無人搬送車100が作業時に走行する床面より高くなっているが、充電台部340aと床面との間が、傾斜部340bによって滑らかに接続されているため、無人搬送車100は、大きな衝撃を受けることなく充電台部340aへ乗り上げることができる。
【0055】
無人搬送車100は、図5(a)に示すように、前面が、給電装置300のガイド部330と接触する充電位置まで移動する。この充電位置で、給電装置300の給電口301と無人搬送車100の受電口102とが電気的に接続されるようになっている。
【0056】
図5(b)に示すように、給電装置300の本体部320のX軸負方向側に、給電口301(301a、301b)が設けられている。充電台部340aの上面に設けられた箱体の上蓋部分が給電口301になっている。給電口301は、位置が固定された固定部301aと、図5(b)に矢印で示すように移動するスライド部301bとを含む。平板形状のスライド部301bは、図5(b)に示す閉塞位置から、図5(c)に示すように固定部301aの下面下方へ収まる開放位置までスライド移動する。スライド部301bの移動に伴って給電口301の上面一部が開放されて、図5(c)に示すように2つの電極350が露出する。
【0057】
例えば、スライド部301bはバネ部材によってX軸負方向へ付勢され、通常は、充電台部340a上面の箱体内部に収められた電極350が外へ露出しないようになっている。無人搬送車100の底面には、スライド部301bに対応する凸部が形成されている。無人搬送車100がX軸正方向へ移動する際に、この凸部が、平板形状を有するスライド部301bのX軸負方向側縁部に接触して、スライド部301bをX軸正方向へ移動させる。無人搬送車100の移動に伴って、無人搬送車100の下面下方で、図5(c)に示すようにスライド部301bが開放位置へ移動して、給電口301の電極350が露出する。
【0058】
無人搬送車100の下面には、2つの電極350それぞれに対応して、受電口102の2つの電極が設けられている。受電口102の各電極は、無人搬送車100が図5(a)に示す充電位置へ移動して、図5(c)に示すように給電口301の電極350が露出した際に、対応する各電極350と接触するように配置されている。これにより、給電装置300の給電口301と、無人搬送車100の受電口102とが、給電口301の2つの電極350と受電口102の2つの電極とを介して電気接続され、給電装置300から無人搬送車100へ電力が供給される。
【0059】
無人搬送車100が、図5(a)に示す充電位置からX軸負方向へ移動して給電口301から離れると、バネ部材によって付勢されたスライド部301bは、図5(c)に示す開放位置から図5(b)に示す閉塞位置へ戻る。このように、無人搬送車100が充電位置に移動した際にのみ給電装置300の給電口301に設けられた電極350が露出する構成とすることで、給電装置300の電極350に何かが触れて短絡したり、人が触れて感電したりすることを防止している。
【0060】
無人搬送車100の充電制御部131は、記憶部140に予め準備されている設定情報に基づいて、無人搬送車100のバッテリ110の充電要否と、作業ロボット200のバッテリ210の充電要否とを判定し、判定結果に基づいてバッテリ充電を行う。
【0061】
図6は、充電制御部131が実行する処理の例を示すフローチャートである。例えば、無人搬送車100が給電装置300から離れて移動しながら作業ロボット200による作業を行っているときに、図6に示す処理が実行される。
【0062】
記憶部140に予め準備された複数の設定情報のうち、無人搬送車100に搭載された作業ロボット200に対応する設定情報に基づいて、図6に示す処理が実行される。設定情報の選択は、利用者によって手動で行われる態様であってもよいし、充電状態検出部132による検出結果等に基づいて自動で行われる態様であってもよい。例えば、バッテリ110、210の種類、充電電圧、充電容量、充電速度、充電方法や、無人搬送車100及び作業ロボット200の利用方法等に応じて、利用者が設定情報を手動で選択すればよい。例えば、作業ロボット200毎に、具体的にはバッテリ210の仕様毎に、複数の設定情報が準備され、充電状態検出部132による検出結果に基づいてバッテリ仕様が特定されて、対応する設定情報が自動的に選択される態様であってもよい。
【0063】
充電制御部131は、無人搬送車100のバッテリ110を充電する必要があるか否かを判定する(ステップS1)。バッテリ110の充電を開始するバッテリ残量の閾値は、設定情報に含まれている。充電制御部131は、充電状態検出部132が検出したバッテリ110の残量が、閾値より高い値であれば充電不要と判定して(ステップS1;No)、閾値以下であれば充電が必要であると判定する(ステップS1;Yes)。
【0064】
無人搬送車100のバッテリ残量の閾値は、無人搬送車100が、給電装置300の設置場所まで自走移動して、バッテリ充電を開始できる容量に設定されている。これにより、バッテリ110が切れて無人搬送車100が移動できなくなることを防止している。
【0065】
無人搬送車100のバッテリ充電が不要である場合(ステップS1;No)、続いて、充電制御部131は、作業ロボット200のバッテリ210を充電する必要があるか否かを判定する(ステップS2)。
【0066】
バッテリ210の充電を開始するバッテリ残量の閾値は、設定情報に含まれている。充電制御部131は、充電状態検出部132が検出したバッテリ210の残量が閾値より高い値であれば、充電不要と判定して(ステップS2;No)、ステップS1へ戻り、バッテリ110、210の残量監視を継続する。充電状態検出部132が検出したバッテリ210の残量が閾値以下である場合、充電制御部131は、バッテリ210の充電が必要であると判定する(ステップS2;Yes)。
【0067】
なお、バッテリ210の充電要否の判定が、作業ロボット200によって行われる態様であってもよい。例えば、作業ロボット200が、バッテリ210の充電要否を判定して、判定結果を充電状態検出部132に通知してもよい。通知は、例えば作業ロボット200の受電口202と無人搬送車100の給電口101とを利用して接続された信号線を介して行えばよい。
【0068】
作業ロボット200のバッテリ充電が必要になると(ステップS2;Yes)、続いて、充電制御部131は、無人搬送車100のバッテリ110を利用して、作業ロボット200のバッテリ210を充電可能であるか否かを判定する(ステップS3)。
【0069】
判定に使用するバッテリ110のバッテリ残量の閾値は、予め記憶部140に保存されている。ステップS1の判定用の閾値とは別にステップS3の判定用の閾値が準備される。例えば、無人搬送車100が給電装置300の設置場所まで戻るために20%のバッテリ110の残量が必要であれば、ステップS1の閾値は20%以上に設定される。一方、バッテリ210を充電することでバッテリ110の残量が10%減少する場合、ステップS3の閾値は、給電装置300の設置場所まで戻るための残量を加算した30%(=10%+20%)以上に設定される。ステップS3の判定用の閾値は、バッテリ210の充電によって消費されるバッテリ110の電力量に応じて変更される。すなわち、作業ロボット200のバッテリ210の充電容量に応じて閾値が変更される。
【0070】
充電制御部131は、充電状態検出部132が検出したバッテリ110の残量が閾値より高い値であれば、充電可能と判定する(ステップS3;Yes)。一方、充電状態検出部132が検出したバッテリ210の残量が閾値以下である場合、充電制御部131は、バッテリ110によるバッテリ210の充電は不可能であると判定する(ステップS3;No)。
【0071】
充電を要する作業ロボット200のバッテリ210を、無人搬送車100のバッテリ110を利用して充電可能である場合(ステップS3;Yes)、充電制御部131は、バッテリ210の充電を開始する(ステップS4)。充電は、無人搬送車100が給電装置300の設置場所まで戻ることなく開始される。無人搬送車100による移動と作業ロボット200による作業とを行いながら、無人搬送車100のバッテリ110から給電される電力によって、作業ロボット200のバッテリ210が充電される。バッテリ210の充電が完了すると、ステップS1へ戻って、充電制御部131がバッテリ110、210の残量監視を継続する。
【0072】
無人搬送車100のバッテリ110の充電が必要である場合(ステップS1;Yes)、作業ロボット200のバッテリ210の充電が必要であるが無人搬送車100のバッテリ110から充電を行うことができない場合(ステップS3;No)、無人搬送車100のバッテリ110充電が行われる(ステップS5)。
【0073】
無人搬送車100のバッテリ110の充電が必要になると、充電制御部131が、これを移動部120に通知する。通知を受けた移動部120が無人搬送車100を給電装置300の設置場所まで移動させることにより、図4及び図5で説明したように、無人搬送車100の受電口102が、給電装置300の給電口301と電気接続されてバッテリ充電が開始される。
【0074】
充電制御部131は、設定情報に基づいて、無人搬送車100のバッテリ110の充電と、作業ロボット200のバッテリ210の充電とを行う。例えば、充電制御部131は、無人搬送車100のバッテリ110を優先して、給電装置300から供給される電力によってバッテリ110を先に充電する。バッテリ110の充電が完了すると、充電制御部131は、給電装置300から供給される電力によって、作業ロボット200のバッテリ210の充電を開始する。バッテリ210の充電が完了すると、無人搬送車100は給電装置300から離れて、作業ロボット200による作業場所へ移動し、作業ロボット200による作業が開始される。
【0075】
設定情報におけるバッテリ充電の方法を、充電制御部131が、作業ロボット200のバッテリ210を優先して充電する設定とすることもできる。この場合、充電制御部131は、給電装置300から供給される電力によって、作業ロボット200のバッテリ210を先に充電する。バッテリ210の充電が完了すると、充電制御部131は、給電装置300から供給される電力によって、無人搬送車100のバッテリ110の充電を開始する。
【0076】
設定情報におけるバッテリ充電の方法を、充電制御部131が、給電装置300から供給される電力を振り分けて、無人搬送車100のバッテリ110の充電と、作業ロボット200のバッテリ210の充電とを並列して実行する設定とすることもできる。この場合、バッテリ110とバッテリ210の充電を同時に開始して、いずれか一方の充電が完了すると、充電制御部131は、給電装置300から供給される電力全てを他方の充電に利用する。
【0077】
設定情報におけるバッテリ充電の方法を、充電制御部131が、無人搬送車100のバッテリ110の残量と作業ロボット200のバッテリ210との残量を比較して、比較結果に基づいて優先順位を変更する設定とすることもできる。例えば、2つのバッテリ110、210のうち、バッテリ残量の低い一方を先に充電して、充電完了後に、他方のバッテリを充電する設定とすることができる。例えば、2つのバッテリ110、210のうち、バッテリ残量の高い一方を先に充電して、充電完了後に、他方のバッテリを充電する設定とすることができる。例えば、2つのバッテリ110、210のうち、バッテリ残量の低い一方を先に充電してバッテリ残量の高い他方と同じ残量に達したら、2つのバッテリ110、210を並列して同時に充電する設定とすることができる。
【0078】
設定情報におけるバッテリ充電の方法を、充電制御部131が、無人搬送車100のバッテリ110のみを充電する設定とすることもできる。言い換えれば、作業ロボット200のバッテリ210を充電しない設定とすることもできる。例えば、無人搬送車100のバッテリ110の充電容量に比べて、作業ロボット200のバッテリ210の充電容量が小さく、バッテリ110の電力によってバッテリ210を充電すればよい場合に、バッテリ110のみを充電する設定とすればよい。この場合、給電装置300を利用して無人搬送車100のバッテリ110の充電を終えた後、充電制御部131が、バッテリ110の電力を作業ロボット200に給電して、作業ロボット200のバッテリ210を充電すればよい。バッテリ210の充電は、無人搬送車100が、給電装置300から離れた後に行われてもよい。
【0079】
このように、作業ロボット200のバッテリ210を充電する必要が生じた場合に、無人搬送車100のバッテリ110から得た電力でバッテリ210の充電を行うことで、無人搬送車100及び作業ロボット200による作業を中断することなく継続して行うことができる。
【0080】
無人搬送車100のバッテリ110の充電が必要になった場合も、設定を変更することによって、バッテリ110と作業ロボット200のバッテリ210の充電順序を変更したり、いずれか一方のバッテリのみを充電したりすることができる。これにより、ロボットシステム1の利用者が、作業ロボット200の種類や利用方法に応じた充電方法を設定することができる。
【0081】
本実施形態では、主に、バッテリ110、210を満充電となるまで充電する例を説明したが、バッテリ残量が所定容量に達するまで、或いは、充電時間が所定時間に達するまで、充電する設定とすることもできる。例えば、移動ロボット100のバッテリ110と作業ロボット200のバッテリ210との少なくともいずれか一方を、所定のバッテリ残量まで充電する設定とすることができる。例えば、充電開始後に経過時間をカウントして、経過時間が所定の閾値に達したら、バッテリ残量によらず充電を終了して、作業へ戻る設定とすることができる。
【0082】
本実施形態では、主に、移動ロボット100が車両型の無人搬送車である例を説明したが、移動ロボット100の種類は特に限定されない。例えば、移動ロボット100が、空中、水上又は水中を移動するドローン型のロボットであってもよい。移動ロボット100が、モータ等のアクチュエータによって駆動される無限軌道によって走行する態様であってもよいし、プロペラによって飛行する態様であってもよいし、スクリューによって水上又は水中を移動する態様であってもよい。
【0083】
本実施形態では、移動ロボット100及び作業ロボット200がそれぞれ1つずつバッテリ110、210を有する例を説明したが、各ロボットに複数のバッテリが設けられる態様であってもよい。複数のバッテリが設けられる場合でも、各バッテリの充電容量の合計を1つのバッテリの充電容量とみなして上述したように各バッテリの充電を行えばよい。
【0084】
上述したように、移動ロボットは、作業ロボットを着脱可能に構成されている。作業ロボットはバッテリ駆動であるため、移動ロボットによって移動しながら作業ロボットによって作業を行うことができる。作業ロボットは、バッテリ充電が必要になった場合でも、移動ロボットのバッテリから電力を得て作業を続けることができる。移動ロボットのバッテリ充電が必要になった場合、給電装置の設置場所へ移動して、給電装置から移動ロボットに受けた電力によって、移動ロボットのバッテリと作業ロボットのバッテリとを充電することができる。移動ロボットは、複数種類の作業ロボットを付け替えて利用できるように構成されているため、従来に比べて汎用性が高く、様々な作業ロボットを利用してロボットシステムを構築することができる。
【産業上の利用可能性】
【0085】
以上のように、本開示に係る移動ロボット及びロボットシステムは、複数種類の作業ロボットを選択的に搭載可能な汎用性の高い移動ロボットを実現するために有用である。
【符号の説明】
【0086】
1 ロボットシステム
100 移動ロボット(無人搬送車)
101、301 給電口
102、202 受電口
110、210 バッテリ
131 充電制御部
132 充電状態検出部
140 記憶部
200 作業ロボット
300 給電装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6