(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024158371
(43)【公開日】2024-11-08
(54)【発明の名称】冷凍装置
(51)【国際特許分類】
F25B 1/00 20060101AFI20241031BHJP
【FI】
F25B1/00 351E
F25B1/00 101F
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023073523
(22)【出願日】2023-04-27
(71)【出願人】
【識別番号】516299338
【氏名又は名称】三菱重工サーマルシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100112737
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 考晴
(74)【代理人】
【識別番号】100136168
【弁理士】
【氏名又は名称】川上 美紀
(74)【代理人】
【識別番号】100172524
【弁理士】
【氏名又は名称】長田 大輔
(72)【発明者】
【氏名】呉 文平
(72)【発明者】
【氏名】末光 亮介
(72)【発明者】
【氏名】河野 剛洋
(72)【発明者】
【氏名】横山 明正
(72)【発明者】
【氏名】石黒 達男
(57)【要約】
【課題】圧縮機の損傷を抑制することを目的とする。
【解決手段】冷凍装置10は、冷媒を圧縮する圧縮機11と、蒸発器14で蒸発した冷媒を圧縮機11へ導く吸入配管15と、圧縮機11で圧縮された冷媒が吐出され、吐出された冷媒を凝縮器12へ導く吐出配管16と、吸入配管15と吐出配管16とを接続するホットガスバイパス配管17と、ホットガスバイパス配管17に設けられるバイパス弁20と、バイパス弁20の開閉動作を制御する制御装置と、を備える。制御装置は、第1所要時間でバイパス弁20を閉状態から開状態に切り替える第1切替モードと、第1所要時間よりも短い時間である第2所要時間でバイパス弁20を閉状態から開状態に切り替える第2切替モードと、を有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷媒を圧縮する圧縮機と、
蒸発器で蒸発した冷媒を前記圧縮機へ導く吸入配管と、
前記圧縮機で圧縮された冷媒が吐出され、吐出された冷媒を凝縮器へ導く吐出配管と、
前記吸入配管と前記吐出配管とを接続するバイパス配管と、
前記バイパス配管に設けられるバイパス弁と、
前記バイパス弁の開閉動作を制御する制御装置と、を備え、
前記制御装置は、第1所要時間で前記バイパス弁を閉状態から開状態に切り替える第1切替モードと、前記第1所要時間よりも短い時間である第2所要時間で前記バイパス弁を閉状態から開状態に切り替える第2切替モードと、を有する冷凍装置。
【請求項2】
前記制御装置は、前記圧縮機が運転中は前記第1切替モードで前記バイパス弁を制御し、前記圧縮機が停止する際に前記第2切替モードで前記バイパス弁を制御する請求項1に記載の冷凍装置。
【請求項3】
前記バイパス弁は、前記第1所要時間で閉状態から開状態に切り替える第1切替部と、前記第2所要時間で閉状態から開状態に切り替える第2切替部と、を有する請求項1に記載の冷凍装置。
【請求項4】
冷媒を圧縮する圧縮機と、
蒸発器で蒸発した冷媒を前記圧縮機へ導く吸入配管と、
前記圧縮機で圧縮された冷媒が吐出され、吐出された冷媒を凝縮器へ導く吐出配管と、
前記吸入配管と前記吐出配管とを接続するバイパス配管と、
前記バイパス配管に設けられるバイパス弁と、を備え、
前記バイパス弁は、第1所要時間で閉状態から開状態に切り替える第1切替部と、前記第1所要時間よりも短い時間である第2所要時間で閉状態から開状態に切り替える第2切替部と、を有する冷凍装置。
【請求項5】
前記バイパス弁は、前記バイパス配管を閉鎖する位置である閉位置と前記バイパス配管を閉鎖しない位置である開位置とを移動可能な弁体部を有し、
前記第2切替部は、前記開位置となるように前記弁体部を付勢する付勢部と、前記弁体部の前記開位置への移動を規制する規制部と、前記規制部の規制を解除する解除部と、有する請求項3または請求項4に記載の冷凍装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、冷凍装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
冷凍装置に設けられる圧縮機が急停止した場合、圧縮機の吐出側と吸入側との圧力差によって、冷媒が逆流し圧縮機を損傷する可能性がある。このため、冷媒の逆流を抑制するための対策を設ける場合がある(例えば、特許文献1)。
【0003】
特許文献1には、圧縮機の吸込口に連通する吸込管と、吐出口に通通する吐出管と、吸込管と吐出管との間に連結管路として設けられる流路管と、流路管の管路上に設けられるバイパスバルブと、が含まれる装置が開示されている。この装置は、圧縮機に供給される電源が遮断されたり、圧縮機の異常動作により電源が遮断されたりして圧縮機が急停止したときには、圧縮機の吐出口から吸込口側に向けて発生する冷媒の逆流を遮断するために、制御部によりバイパスバルブが開放するように制御する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、一般的にバイパスバルブは、圧縮機の吐出側の冷媒の一部を吸込側へ導くことで圧縮機の容量を調整するためのものであり、迅速に開閉を切り替えることを想定して作られていない。このため、バイパスバルブは、開放する(すなわち、全閉状態から全開状態とする)のにある程度の時間(例えば、40秒から60秒程度)を要する。したがって、特許文献1に記載の装置は、圧縮機が急停止した際にバイパスバルブの開放動作を開始しても、全開状態となる前に冷媒が逆流し、圧縮機が逆回転してしまう可能性があった。圧縮機が逆回転すると、圧縮機の各種部品(例えば、軸を支持する軸受等)に過大な荷重が作用し損傷する可能性があった。
【0006】
本開示は、このような事情に鑑みてなされたものであって、圧縮機の損傷を抑制することができる冷凍装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本開示の冷凍装置は以下の手段を採用する。
本開示の一態様に係る冷凍装置は、冷媒を圧縮する圧縮機と、蒸発器で蒸発した冷媒を前記圧縮機へ導く吸入配管と、前記圧縮機で圧縮された冷媒が吐出され、吐出された冷媒を凝縮器へ導く吐出配管と、前記吸入配管と前記吐出配管とを接続するバイパス配管と、前記バイパス配管に設けられるバイパス弁と、前記バイパス弁の開閉動作を制御する制御装置と、を備え、前記制御装置は、第1所要時間で前記バイパス弁を閉状態から開状態に切り替える第1切替モードと、前記第1所要時間よりも短い時間である第2所要時間で前記バイパス弁を閉状態から開状態に切り替える第2切替モードと、を有する。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、圧縮機の損傷を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本開示の実施形態に係る冷凍装置の概略構成図である。
【
図2】本開示の実施形態に係るバイパス弁を示す平面図である。
【
図3】本開示の実施形態に係る第1切替部を示す概略構成図である。
【
図4】本開示の実施形態に係る第2切替部を示す概略構成図である。
【
図5】本開示の実施形態に係る圧縮機の停止後における圧力差の変動を示すグラフである。
【
図6】本開示の実施形態に係る圧縮機の停止後における回転方向及び回転速度を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本開示の実施形態に係る冷凍装置ついて、
図1から
図6を用いて説明する。
図1に示すように、冷凍装置10は、圧縮機11、凝縮器12、膨張弁13及び蒸発器14等の機器が冷媒配管によって接続されることで構成されている。冷媒配管内には冷媒が充填されている。
【0011】
圧縮機11は、蒸発器14から導かれた低圧のガス冷媒を圧縮して高温高圧のガス冷媒を吐出する。蒸発器14と圧縮機11とは、吸入配管15で接続されている。吸入配管15は、蒸発器14で蒸発した冷媒を圧縮機11へ導く。
【0012】
凝縮器12は、圧縮機11から吐出されたガス冷媒を熱交換によって凝縮させて高圧の液冷媒とする。圧縮機11と凝縮器12とは、吐出配管16で接続されている。吐出配管16は、圧縮機11から吐出された冷媒を凝縮器12へ導く。
【0013】
膨張弁13は、凝縮器12から導かれた高圧の液冷媒を膨張によって蒸発させて低温低圧の気液混合冷媒とする。
【0014】
蒸発器14は、膨張弁13から導かれた気液冷媒を熱交換によって蒸発させて低圧のガス冷媒とする。
【0015】
吐出配管16と吸入配管15とはホットガスバイパス配管(バイパス配管)17によって接続されている。ホットガスバイパス配管17は、円管部材であって、吐出配管16内を流通する高圧の冷媒ガスを吸入配管15へ導いている。ホットガスバイパス配管17には、開度を調整することで内部を流通する冷媒の流量を調整するバイパス弁20が設けられている。ホットガスバイパス配管17によって、圧縮機11の吐出側の冷媒の一部を吸込側へ導くことで、冷媒供給先の負荷に応じて圧縮機11の容量を調整している。
【0016】
次に、バイパス弁20について、
図2から
図4を用いて説明する。
図2に示すように、バイパス弁20は、ホットガスバイパス配管17(
図1参照)を閉鎖する位置である閉位置とホットガスバイパス配管17を閉鎖しない位置である開位置とを移動可能な弁体部21と、駆動源であるモータ22を有している。
バイパス弁20は、弁体部21の位置を変化させることで開度を調節可能とされている。バイパス弁20は、開度0%(全閉状態)以上、開度100%(全開状態)以下の範囲で開度を調節することができる。弁体部21は、全閉状態において閉位置に位置し、全開状態において開位置に位置する。
【0017】
また、バイパス弁20は、第1所要時間で閉状態から開状態に切り替える第1切替部23と、第1所要時間よりも短い時間である第2所要時間で閉状態から開状態に切り替える第2切替部24を有している。すなわち、バイパス弁20は、閉状態から開状態に切り替えるのに要する時間(以下、「切替所要時間」と称する。)の異なる複数(本実施形態では、2つ)の切替部を有している。
【0018】
第1切替部23は、
図3に示すように、弁体部21を閉位置と開位置との間で移動させるモータ22と、モータ22を制御する制御装置30と、制御装置30に電力を供給する電源ユニット25と、制御装置30を操作可能な操作盤26と、を有する。
【0019】
第1切替部23は、電源ユニット25からの電力を制御装置30で制御してモータ22に送っている。第1切替部23は、モータ22の駆動力によって弁体部21を移動させる。第1切替部23は、開度0%(全閉状態)以上、開度100%(全開状態)以下の範囲でバイパス弁20の開度を調節することができる。
第1切替部23は、全閉状態から全開状態に切り替える場合、徐々に開度を上げていくことになり、切換完了まで40秒から60秒の時間を要する。すなわち、第1切替部23の切替所要時間は、40秒から60秒程度(第1所要時間)とされている。
第1切替部23は、ホットガスバイパス配管17によって、圧縮機11の吐出側の冷媒の一部を吸込側へ導くことで、圧縮機11の容量を調整する場合等に主に使用される。
【0020】
第2切替部24は、
図4に示すように、弁体部21を閉位置と開位置との間で移動させる押圧部27と、押圧部27に圧縮空気を送るコンプレッサ28と、押圧部27とコンプレッサ28とが連通する状態と連通しない状態とを切り替え可能な電磁弁(規制部)29と、を有する。
【0021】
押圧部27は、外殻を為すシリンダ27aと、シリンダ27aに収容されるバネ(付勢部)27bと、バネ27bの先端に設けられるピストン27cと、を有する。
【0022】
シリンダ27aは、所定方向に延在する有底の筒状の部材であって、内部に閉空間が形成されている。シリンダ27a内には、バネ27b及びピストン27cが収容されている。また、シリンダ27aの側面の一端部には、空気配管27dが接続されている。
【0023】
バネ27bは、基端がシリンダ27aの他端に固定されている。また、バネ27bは、先端にピストン27cが固定されている。バネ27bは、シリンダ27aの一端側(
図4の紙面右側)に向かってピストン27cを付勢している。
【0024】
ピストン27cは、外径がシリンダ27aの内径よりも僅かに小さい。ピストン27cは、外周面がシリンダ27aの内周面と当接した状態で、シリンダ27a内を摺動可能とされている。ピストン27cは、弁体部21と連動している。ピストン27cは、シリンダ27aの一端側に位置している状態において、弁体部21を開位置に位置させる。すなわち、バイパス弁20を全開状態とする。また、ピストン27cは、シリンダ27aの他端側に位置している状態において、弁体部21を閉位置に位置させる。すなわち、バイパス弁20を全閉状態とする。
【0025】
コンプレッサ28は、空気を圧縮する。コンプレッサ28は、空気配管27dを介して圧縮した空気をシリンダ27aの内部へ供給する。
電磁弁29は、空気配管27dに設けられている。電磁弁29は、制御装置30によって開閉動作を制御される。
【0026】
第2切替部24は、圧縮機11が停止する際に主に使用される。
【0027】
第2切替部24がバイパス弁20の開状態と閉状態とを切り替える方法について説明する。なお、
図4では、弁体部21が開位置に位置している状態を示している。すなわち、バイパス弁20の開状態を示している。
【0028】
バイパス弁20を閉状態とするには、まず、コンプレッサ28を駆動させて空気配管27dを介してシリンダ27aの内部へ圧縮空気を供給する。この時、電磁弁29は開状態とされている。シリンダ27a内に空気が供給されると、空気に押圧されてピストン27cがシリンダ27aの他端側(
図4の紙面左側)に向かって移動する。シリンダ27aの移動に伴って、バネ27bが縮む。ピストン27cが所定の位置(弁体部21が閉位置となる位置)まで移動すると、制御装置30からの指令により電磁弁29を閉状態に切り替える。これにより、ピストン27cが停止する。すなわち、電磁弁29によって、ピストン27cの移動(換言すれば、弁体部21の移動)を規制している。このようにして、第2切替部24は、バイパス弁20を開状態から閉状態に切り替える。
【0029】
バイパス弁20を閉状態から開状態に切り替える場合には、制御装置30からの指令により電磁弁29を開状態とする。これにより、シリンダ27a内の圧縮空気が空気配管27dを介して外部へ排出される。これにより、ピストン27cの移動の規制が解除される。バネ27bは、ピストン27cをシリンダ27aの一端側(
図4の紙面左側)に向かって付勢しているので、圧縮空気の排出に伴って、ピストン27cがシリンダ27aの一端側(
図4の紙面左側)に向かって移動する。ピストン27cの移動によって、弁体部21も開位置へ移動する。このようにして、第2切替部24は、バイパス弁20を閉状態から開状態に切り替える。なお、閉状態から開状態への切り替えは、2秒から3秒程度で行われる。すなわち、第2切替部24の切替所要時間は、2秒から3秒程度(第2所要時間)とされている。
【0030】
また、冷凍装置10は、制御装置30を備えている。
制御装置30は、(Controller)は、例えば、CPU(Central Processing Unit:プロセッサ)、主記憶装置(Main Memory)、二次記憶装置(Secondary storage:メモリ)等を備えている。更に、制御装置30は、他の装置と情報の送受信を行うための通信部を備えていてもよい。
主記憶装置は、例えば、キャッシュメモリ、RAM(Random Access Memory)等の書き込み可能なメモリで構成され、CPUの実行プログラムの読み出し、実行プログラムによる処理データの書き込み等を行う作業領域として利用される。
二次記憶装置は、非一時的なコンピュータ読み取り可能な記録媒体(non-transitory computer readable storage medium)である。二次記憶装置は、例えば、磁気ディスク、光磁気ディスク、CD-ROM、DVD-ROM、半導体メモリなどである。
各種機能を実現するための一連の処理は、一例として、プログラムの形式で二次記憶装置に記憶されており、このプログラムをCPUが主記憶装置に読み出して、情報の加工・演算処理を実行することにより、各種機能が実現される。なお、プログラムは、二次記憶装置に予めインストールしておく形態や、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体に記憶された状態で提供される形態、有線又は無線による通信手段を介して配信される形態等が適用されてもよい。コンピュータ読み取り可能な記憶媒体とは、磁気ディスク、光磁気ディスク、CD-ROM、DVD-ROM、半導体メモリ等である。
【0031】
制御装置30は、第1切替部23でバイパス弁20を全閉状態から全開状態へ切り替える第1切替モードと、第2切替部24でバイパス弁20を全閉状態から全開状態へ切り替える第2切替モードと、を有する。
第1切替モードでは、第1切替部23でバイパス弁20の切り替えを行うので、切替所要時間が40秒から60秒程度(第1所要時間)とされている。また、第2切替モードでは、第2切替部24でバイパス弁20の切り替えを行うので、切替所要時間が2秒から3秒程度(第2所要時間)とされている。
【0032】
また、制御装置30は、圧縮機11が運転中は第1切替モードでバイパス弁20を制御し、圧縮機11が停止する際に第2切替モードでバイパス弁20を制御する。
詳細には、制御装置30は、ホットガスバイパス配管17によって、圧縮機11の吐出側の冷媒の一部を吸込側へ導くことで圧縮機11の容量を調整する場合等には、第1切替モードでバイパス弁20を制御する。
また、制御装置30は、圧縮機11が停止する際(通常に停止する場合及び緊急に停止する場合の両方を含む)に、第2切替モードでバイパス弁20を制御する。すなわち、制御装置30は、圧縮機11に停止指令を送るとともに、バイパス弁20に第2切替モードで全開状態へ切り替える指令を送る。
なお、圧縮機11への通電の遮断を検知する通電遮断検知部を設けて、通電遮断検知部によって圧縮機11への通電の遮断を検知した場合に、第2切替モードで全開状態へ切り替える指令をバイパス弁20へ送ってもよい。圧縮機11への通電が遮断される場合とは、例えば、停電時等である。
【0033】
本実施形態によれば、以下の作用効果を奏する。
本実施形態では、制御装置30は、第1所要時間でバイパス弁20を閉状態から開状態に切り替える第1切替モードと、第1所要時間よりも短い時間である第2所要時間でバイパス弁20を閉状態から開状態に切り替える第2切替モードと、を有する。また、本実施形態では、バイパス弁20が、第1所要時間で閉状態から開状態に切り替える第1切替部23と、第2所要時間で閉状態から開状態に切り替える第1切替部23と、を有する。
これにより、バイパス弁20を閉状態から開状態に切り替えるのに要する時間(以下、「切替所要時間」と称する。)を第1所要時間及び第2所要時間から選択することができる。したがって、バイパス弁20の切替所要時間を圧縮機11の状況に応じた時間とすることができる。
よって、例えば、圧縮機11に電気が供給されなくなり停止した場合には、吸入配管15と吐出配管16との圧力差によって冷媒が逆流(すなわち、吐出配管16から吸入配管15に向かって流れる)が発生する可能性があるが、第2切替モードで迅速にバイパス弁20を開状態に切り替えることで吸入配管15と吐出配管16との圧力差を迅速に低減することができるので、冷媒の逆流が発生し難くすることができる。よって、圧縮機11の損傷を抑制することができる。
【0034】
また、本実施形態では、圧縮機11が停止する際に第2切替モードでバイパス弁20を制御する。これにより、圧縮機11が停止した際(例えば、圧縮機11の通常停止時、緊急停止時、停電時等)に、迅速にバイパス弁20を開状態に切り替えて、吸入配管15と吐出配管16との圧力差を迅速に低減することができる。したがって、冷媒の逆流が発生し難くすることができる。よって、圧縮機11の損傷を抑制することができる。
【0035】
冷媒の逆流の抑制効果について、
図5及び
図6を用いて詳細に説明する。
図5は、横軸が圧縮機11の停止後の時間の経過を示しており、縦軸が凝縮器12と蒸発器14との圧力差を示している。また、
図6は、横軸が圧縮機11の停止後の時間の経過を示しており、縦軸が圧縮機11の回転方向及び回転速度を示している。また、縦軸は、横軸よりも上方が正回転を示し、下方が逆回転を示している。正回転とは、圧縮機11が通常運転時に冷媒を圧縮するために回転する方向である。また、
図5及び
図6では、バイパス弁20を第1切替モードで全開状態に切り替えた場合を破線で示し、第2切替モードで全開状態に切り替えた場合を実線で示している。
【0036】
図5に示すように、第1切替モードでバイパス弁20を切り替えた場合でも、第2切替モードでバイパス弁20を切り替えた場合でも、圧縮機11の停止後に時間の経過に伴って圧力差が低減していく。これは、ホットガスバイパス配管17を介して、吐出配管16内の高圧の冷媒が吸入配管15へ移動していることによる。また、
図5からは、第2切替モードでバイパス弁20を切り替えた場合の方が、迅速に圧力差が低減していることがわかる。
【0037】
また、
図6に示すように、第1切替モードでバイパス弁20を切り替えた場合には、圧縮機11の停止直後に正回転から逆回転に回転方向が逆転している。これは、バイパス弁20が全開状態に切り替わるのが遅く、ホットガスバイパス配管17による冷媒の移動が迅速に行われないことで、冷媒が圧縮機11内を逆流しているからである。
一方で、第2切替モードでバイパス弁20を切り替えた場合には、圧縮機11の停止後に徐々に回転数が少なくなり、正回転を維持したまま回転数が十分に低減する。このように、第2切替モードでバイパス弁20を切り替えた場合には、圧縮機11が逆回転しない(すなわち、圧縮機11内を冷媒が逆流しない)ので、圧縮機11の損傷を抑制することができる。
【0038】
また、本実施形態では、第2切替部24が、弁体部21を付勢するバネ27bと、弁体部21の開位置への移動を規制する電磁弁29と、電磁弁29の規制を解除する制御装置30と、有する。これにより、制御装置30で電磁弁29の規制を解除することで、弁体部21がバネ27bの付勢力によって開位置へ移動する。したがって、迅速に弁体部21を閉位置へ移動させ、バイパス弁20を閉状態に切り替えることができる。
【0039】
また、冷媒の逆流を抑制する手段として、本実施形態の手段の他に、吐出配管16に逆止弁を設けることも考えられる。しかしながら、逆止弁を設ける場合には、吐出配管16に逆止弁を設置するスペースを作る必要があることから、冷凍装置10が大型化する可能性がある。また、通常運転時には、逆止弁が抵抗となることから、冷凍装置10のエネルギ効率が低下する可能性がある。また、逆止弁を設けることで可動部品が増加するため、冷凍装置10のメンテナンス性が悪化する可能性がある。
一方で、本実施形態では、既存のバイパス弁20で冷媒の逆流を抑制しているので、冷凍装置10の大型化を抑制することができる。また、冷凍装置10のエネルギ効率の低下を抑制することができる。また、メンテナンス性の悪化も抑制することができる。
【0040】
なお、本開示は、上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において、適宜変形が可能である。
例えば、上記実施形態では、コンプレッサ28からの圧縮空気を電磁弁29で閉鎖することでバネ27bを縮めるとともに縮めた状態を維持する例について説明したが、本開示はこれに限定されない。例えば、専用のモータ(図示省略)を設けて、当該モータの駆動力でバネ27bを縮めるとともに縮めた状態を維持してもよい。この場合には、制御装置30から第2切替モードで閉状態へ切り替える信号が送られてきた場合には、モータへの通電を解除することで、バネ27bを伸長させてバイパス弁20を開状態に切り替えることができる。
【0041】
以上説明した実施形態に記載の冷凍装置は、例えば以下のように把握される。
本開示の第1態様に係る冷凍装置は、冷媒を圧縮する圧縮機(11)と、蒸発器(14)で蒸発した冷媒を前記圧縮機(11)へ導く吸入配管(15)と、前記圧縮機(11)で圧縮された冷媒が吐出され、吐出された冷媒を凝縮器(13)へ導く吐出配管(16)と、前記吸入配管(15)と前記吐出配管(16)とを接続するバイパス配管(17)と、前記バイパス配管(17)に設けられるバイパス弁(20)と、前記バイパス弁(20)の開閉動作を制御する制御装置(30)と、を備え、前記制御装置(30)は、第1所要時間で前記バイパス弁(20)を閉状態から開状態に切り替える第1切替モードと、前記第1所要時間よりも短い時間である第2所要時間で前記バイパス弁(20)を閉状態から開状態に切り替える第2切替モードと、を有する。
【0042】
上記構成では、制御装置は、第1所要時間でバイパス弁を閉状態から開状態に切り替える第1切替モードと、第1所要時間よりも短い時間である第2所要時間でバイパス弁を閉状態から開状態に切り替える第2切替モードと、を有する。これにより、バイパス弁を閉状態から開状態に切り替えるのに要する時間(以下、「切替所要時間」と称する。)を第1所要時間及び第2所要時間から選択することができる。したがって、バイパス弁の切替所要時間を圧縮機の状況に応じた時間とすることができる。
よって、例えば、圧縮機に電気が供給されなくなり停止した場合には、吸入配管と吐出配管との圧力差によって冷媒が逆流(すなわち、吐出配管から吸入配管に向かって流れる)が発生する可能性があるが、第2切替モードで迅速にバイパス弁を開状態に切り替えることで吸入配管と吐出配管との圧力差を迅速に低減することができるので、冷媒の逆流が発生し難くすることができる。よって、圧縮機の損傷を抑制することができる。
【0043】
本開示の第2態様に係る冷凍装置は、上記第1態様において、前記制御装置(30)は、前記圧縮機(11)が運転中は前記第1切替モードで前記バイパス弁(20)を制御し、前記圧縮機(11)が停止する際に前記第2切替モードで前記バイパス弁(20)を制御する。
【0044】
上記構成では、圧縮機が停止する際に第2切替モードでバイパス弁を制御する。これにより、圧縮機が停止した際に、迅速にバイパス弁を開状態に切り替えて、吸入配管と吐出配管との圧力差を迅速に低減することができる。したがって、冷媒の逆流が発生し難くすることができる。よって、圧縮機の損傷を抑制することができる。
【0045】
本開示の第3態様に係る冷凍装置は、上記第1態様または第2態様において、前記バイパス弁(20)は、前記第1所要時間で閉状態から開状態に切り替える第1切替部(23)と、前記第2所要時間で閉状態から開状態に切り替える第2切替部(24)と、を有する。
【0046】
上記構成では、バイパス弁が、第1所要時間で閉状態から開状態に切り替える第1切替部と、第2所要時間で閉状態から開状態に切り替える第2切替部と、を有する。これにより、バイパス弁を閉状態から開状態に切り替えるのに要する時間(以下、「切替所要時間」と称する。)を第1所要時間及び第2所要時間から選択することができる。したがって、バイパス弁の切替所要時間を圧縮機の状況に応じた時間とすることができる。
【0047】
本開示の第4態様に係る冷凍装置は、冷媒を圧縮する圧縮機(11)と、蒸発器(14)で蒸発した冷媒を前記圧縮機(11)へ導く吸入配管(15)と、前記圧縮機(11)で圧縮された冷媒が吐出され、吐出された冷媒を凝縮器(13)へ導く吐出配管(16)と、前記吸入配管(15)と前記吐出配管(16)とを接続するバイパス配管(17)と、前記バイパス配管(17)に設けられるバイパス弁(20)と、を備え、前記バイパス弁(20)は、第1所要時間で閉状態から開状態に切り替える第1切替部(23)と、前記第1所要時間よりも短い時間である第2所要時間で閉状態から開状態に切り替える第2切替部(24)と、を有する。
【0048】
上記構成では、バイパス弁が、第1所要時間で閉状態から開状態に切り替える第1切替部と、第2所要時間で閉状態から開状態に切り替える第2切替部と、を有する。これにより、バイパス弁を閉状態から開状態に切り替えるのに要する時間(以下、「切替所要時間」と称する。)を第1所要時間及び第2所要時間から選択することができる。したがって、バイパス弁の切替所要時間を圧縮機の状況に応じた時間とすることができる。
よって、例えば、圧縮機に電気が供給されなくなり停止した場合には、吸入配管と吐出配管との圧力差によって冷媒が逆流(すなわち、吐出配管から吸入配管に向かって流れる)が発生する可能性があるが、第2切替モードで迅速にバイパス弁を開状態に切り替えることで吸入配管と吐出配管との圧力差を迅速に低減することができるので、冷媒の逆流が発生し難くすることができる。よって、圧縮機の損傷を抑制することができる。
【0049】
本開示の第5態様に係る冷凍装置は、上記第3態様または第4態様において、前記バイパス弁(20)は、前記バイパス配管(17)を閉鎖する位置である閉位置と前記バイパス配管(17)を閉鎖しない位置である開位置とを移動可能な弁体部(21)を有し、前記第2切替部(24)は、前記開位置となるように前記弁体部(21)を付勢する付勢部(27b)と、前記弁体部(21)の前記開位置への移動を規制する規制部(29)と、前記規制部(29)の規制を解除する解除部(30)と、有する。
【0050】
上記構成では、第2切替部が開位置となるように弁体部を付勢する付勢部と、弁体部の開位置への移動を規制する規制部と、規制部の規制を解除する解除部と、有する。これにより、解除部で規制部の規制を解除することで、弁体部が付勢部の付勢力によって開位置へ移動する。したがって、迅速に弁体部を閉位置へ移動させ、バイパス弁を閉状態に切り替えることができる。
【符号の説明】
【0051】
10 :冷凍装置
11 :圧縮機
12 :凝縮器
13 :膨張弁
14 :蒸発器
15 :吸入配管
16 :吐出配管
17 :ホットガスバイパス配管(バイパス配管)
20 :バイパス弁
21 :弁体部
22 :モータ
23 :第1切替部
24 :第2切替部
25 :電源ユニット
26 :操作盤
27 :押圧部
27a :シリンダ
27b :バネ(付勢部)
27c :ピストン
27d :空気配管
28 :コンプレッサ
29 :電磁弁(規制部)
30 :制御装置(解除部)