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特開2024-158373柱固定金物、柱固定金物の製造方法、および建築物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024158373
(43)【公開日】2024-11-08
(54)【発明の名称】柱固定金物、柱固定金物の製造方法、および建築物
(51)【国際特許分類】
   E04B 1/58 20060101AFI20241031BHJP
   E04B 1/30 20060101ALI20241031BHJP
【FI】
E04B1/58 511L
E04B1/30 C
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023073525
(22)【出願日】2023-04-27
(71)【出願人】
【識別番号】000198787
【氏名又は名称】積水ハウス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】福元 大輝
(72)【発明者】
【氏名】土方 和己
(72)【発明者】
【氏名】柳沢 圭祐
(72)【発明者】
【氏名】今村 高明
【テーマコード(参考)】
2E125
【Fターム(参考)】
2E125AA04
2E125AA45
2E125AB12
2E125AC01
2E125AC23
2E125AG03
2E125AG12
2E125BA02
2E125BB00
2E125BB21
2E125CA79
(57)【要約】
【課題】高い強度の柱固定金物、その製造方法、および耐震性が高い建築物を提供する。
【解決手段】柱固定金物10は、基礎部に固定される第1プレート20と、第1プレート20に設けられる支持部30と、支持部30の上部に設けられる第2プレート40と、第2プレート40から延びて柱と結合する結合部50と、を備える。支持部30は、第1プレート20の上面に接触する第1端面34と、第1端面34に交差する側面35と、第1端面34と側面35との境界である第1境界線36と、を有する。第1境界線36は、第1境界部位36Aを有する。第2プレート40は、切欠縁42を含む切欠部41を有する。切欠縁42は、第1切欠部位42Aを有する。第1切欠部位42Aは、平面視において第1境界部位36Aに沿うように構成される。第1境界部位36Aを含む部分は、溶接によって第1プレート20に固定される。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
柱を基礎部に固定する柱固定金物であって、
前記基礎部に固定される第1プレートと、前記第1プレートに設けられる支持部と、前記支持部の上部に設けられる第2プレートと、前記第2プレートから上に延びて前記柱と結合する結合部と、を備え、
前記支持部は、前記第1プレートの上面に接触する第1端面と、前記第1端面に交差する側面と、前記第1端面と前記側面との境界である第1境界線と、を有し、
前記第1境界線は、第1境界部位を有し、
前記第2プレートは、切欠縁を含む切欠部を有し、
前記切欠部の前記切欠縁は、第1切欠部位を有し、
前記切欠部の前記第1切欠部位は、平面視において前記支持部の前記第1境界部位に沿うように構成され、
前記支持部において前記第1境界部位を含む部分は、溶接によって前記第1プレートに固定される、
柱固定金物。
【請求項2】
前記切欠部の前記切欠縁は、平面視において前記支持部の前記第1境界線に沿うように構成される、
請求項1に記載の柱固定金物。
【請求項3】
前記支持部は、第1支持部材と、第2支持部材と、を含み、
前記第1支持部材および前記第2支持部材は、角部を有するように構成され、
前記第1支持部材および前記第2支持部材は、前記第1支持部材の前記角部における凸部が前記第2支持部材の前記角部における凸部と対向するように、前記第1プレートに配置される、
請求項1に記載の柱固定金物。
【請求項4】
前記切欠部は、切欠角部を有し、
平面視において、前記第1支持部材の前記角部の二等分線は、前記切欠部の前記切欠角部の二等分線と同じ方向に延びる、
請求項3に記載の柱固定金物。
【請求項5】
前記第1境界線は、前記角部を構成する第1円弧部を有し、
前記切欠部は、前記切欠角部を構成する円弧状の第2切欠部位を有し、
前記第1円弧部は、
平面視において前記第2切欠部位を含む第2円と同心である同心円に沿うように構成され、
または、前記第2切欠部位を含む第2円の半径よりも小さい半径の円弧である、
請求項4に記載の柱固定金物。
【請求項6】
平面視において、前記第2プレートの外周は、前記第1プレートの外周の内側に位置する、
請求項1に記載の柱固定金物。
【請求項7】
建築物であって、
基礎部と、柱と、請求項1~請求項6のいずれか一項に記載の柱固定金物と、を備え、
前記基礎部に前記柱固定金物の前記第1プレートが固定され、前記柱が前記柱固定金物の前記結合部に結合される、
建築物。
【請求項8】
平面視において、前記柱の外周は、前記柱固定金物の前記第2プレートの外側に位置する、
請求項7に記載の建築物。
【請求項9】
柱固定金物の製造方法であって、
前記柱固定金物は、第1プレートと、支持部と、第2プレートと、柱と結合する結合部とを備えるものであり、
前記第2プレートと前記支持部とを仮固定する仮固定工程と、
前記支持部が前記第2プレートに仮固定された状態で、前記支持部と前記第1プレートとを溶接する第1溶接工程と、
前記第2プレートと前記支持部とを溶接する第2溶接工程と、
前記第2プレートに前記結合部を溶接する第3溶接工程と、
を含み、
前記支持部は、前記第1プレートの上面に接触する第1端面と、前記第1端面に交差する側面と、前記第1端面と前記側面との境界である第1境界線と、を有し、
前記第1境界線は、第1境界部位を有し、
前記第2プレートは、切欠縁を含む切欠部を有し、
前記第2プレートの前記切欠縁は、第1切欠部位を有し、
前記仮固定工程において、前記切欠部の前記第1切欠部位が前記第1境界線の前記第1境界部位に沿うように前記第2プレートを前記支持部に配置した状態で、前記第2プレートを前記支持部に仮固定し、
前記第1溶接工程において、溶接工具の溶接棒を前記第1切欠部位に沿わせるようにして、前記支持部の前記第1境界部位を含む部分を前記第1プレートに溶接する、
柱固定金物の製造方法。
【請求項10】
柱固定金物の製造方法であって、
前記柱固定金物は、第1プレートと、支持部と、第2プレートと、柱と結合する結合部とを備えるものであり、
前記第2プレートに前記支持部を溶接する第1溶接工程と、
前記支持部に前記第1プレートを溶接する第2溶接工程と、
前記第2プレートに前記結合部を溶接する第3溶接工程と、
を含み、
前記支持部は、前記第1プレートの上面に接触する第1端面と、前記第1端面に交差する側面と、前記第1端面と前記側面との境界である第1境界線と、を有し、
前記第1境界線は、第1境界部位を有し、
前記第2プレートは、切欠縁を含む切欠部を有し、
前記第2プレートの前記切欠縁は、第1切欠部位を有し、
前記第1溶接工程において、前記切欠部の前記第1切欠部位が前記第1境界線の前記第1境界部位に沿うように前記第2プレートを前記支持部に配置した状態で、前記第2プレートを前記支持部に溶接し、
前記第2溶接工程において、溶接工具の溶接棒を前記第1切欠部位に沿わせるようにして、前記支持部の前記第1境界部位を含む部分を前記第1プレートに溶接する、
柱固定金物の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、柱固定金物、柱固定金物の製造方法、および建築物に関する。
【背景技術】
【0002】
建築物において、柱を基礎に固定する柱固定金物が知られている(例えば、特許文献1)。特許文献1に示される例では、柱固定金物(特許文献1では固定金具)は、第1プレート(特許文献1ではベースプレート)と、第2プレート(特許文献1では支持プレート)と、支持部(特許文献1では直立板)と、を備える。支持部は、第1プレートおよび第2プレートが互いに平行になるように、第1プレートおよび第2プレートに溶接される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002-115339号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
支持部は、第1プレートおよび第2プレートに挟まれるように溶接される。このような構造の場合、支持部およびプレートにおける溶接部分に溶接棒を当て難いため、溶接を円滑に行えない虞がある。溶接を円滑に行えないことによって、適切に溶接ができず柱固定金物の強度が低下する虞がある。柱固定金物、柱固定金物の製造方法、および建築物について、柱固定金物の強度の観点から改善の余地がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
(1)上記課題を解決する柱固定金物は、柱を基礎部に固定する柱固定金物であって、前記基礎部に固定される第1プレートと、前記第1プレートに設けられる支持部と、前記支持部の上部に設けられる第2プレートと、前記第2プレートから上に延びて前記柱と結合する結合部と、を備え、前記支持部は、前記第1プレートの上面に接触する第1端面と、前記第1端面に交差する側面と、前記第1端面と前記側面との境界である第1境界線と、を有し、前記第1境界線は、第1境界部位を有し、前記第2プレートは、切欠縁を含む切欠部を有し、前記切欠部の前記切欠縁は、第1切欠部位を有し、前記切欠部の前記第1切欠部位は、平面視において前記支持部の前記第1境界部位に沿うように構成され、前記支持部において前記第1境界部位を含む部分は、溶接によって前記第1プレートに固定される。
【0006】
この構成によれば、支持部の第1境界部位を含む部分が第1プレートに溶接される際、第1切欠部位に溶接工具の溶接棒を沿わせることによって、第1境界部位を含む部分が、第1プレートに円滑に溶接される。このように、柱固定金物は、円滑に溶接できる構造を含むため、溶接部分の強度が低い柱固定金物の個数を少なくできる。このように、高い強度の柱固定金物を提供できる。
【0007】
(2)上記(1)の柱固定金物において、前記切欠部の前記切欠縁は、平面視において前記支持部の前記第1境界線に沿うように構成される。この構成によれば、切欠縁に溶接工具の溶接棒を沿わせることによって、支持部および第1プレートの上面は、円滑に溶接される。このため、高い強度の柱固定金物を提供できる。
【0008】
(3)上記(1)の柱固定金物において、前記支持部は、第1支持部材と、第2支持部材と、を含み、前記第1支持部材および前記第2支持部材は、角部を有するように構成され、前記第1支持部材および前記第2支持部材は、前記第1支持部材の前記角部における凸部が前記第2支持部材の前記角部における凸部と対向するように、前記第1プレートに配置される。この構成によれば、第1支持部材および第2支持部材によって第2プレートを支持することができる。
【0009】
(4)上記(3)の柱固定金物において、前記切欠部は、切欠角部を有し、平面視において、前記第1支持部材の前記角部の二等分線は、前記切欠部の前記切欠角部の二等分線と同じ方向に延びる。この構成によれば、切欠角部に溶接工具の溶接棒を沿わせることによって、支持部の角部に溶接工具の溶接棒の先端を合わせ易い。これにより、角部が第1プレートに適切に溶接される。このため、支持部と第1プレートとの接合強度が向上する。
【0010】
(5)上記(4)の柱固定金物において、前記第1境界線は、前記角部を構成する第1円弧部を有し、前記切欠部は、前記切欠角部を構成する円弧状の第2切欠部位を有し、前記第1円弧部は、平面視において前記第2切欠部位を含む第2円と同心である同心円に沿うように構成され、または、前記第2切欠部位を含む第2円の半径よりも小さい半径の円弧である。この構成によれば、第2切欠部位に溶接工具の溶接棒を沿わせることによって、支持部の第1円弧部に溶接工具の溶接棒の先端を合わせ易い。これにより、支持部の第1円弧部を含む部分が第1プレートに適切に溶接される。このため、支持部と第1プレートとの接合強度が向上する。
【0011】
(6)上記(1)の柱固定金物において、平面視において、前記第2プレートの外周は、前記第1プレートの外周の内側に位置する。この構成によれば、柱固定金物を基礎部に載置した状態において、第1プレートの状態を確認し易い。
【0012】
(7)上記課題を解決する建築物は、基礎部と、柱と、上記(1)~上記(6)のいずれか1つに記載の柱固定金物と、を備え、前記基礎部に前記柱固定金物の前記第1プレートが固定され、前記柱が前記柱固定金物の前記結合部に結合される。この構成によれば、建築物において、基礎部に対する柱の結合強度を向上できるため、建築物の耐震性が向上する。
【0013】
(8)上記(7)の建築物において、平面視において、前記柱の外周は、前記柱固定金物の前記第2プレートの外側に位置する。柱の外周が第2プレートの内側に位置する場合、柱に結露した水が第2プレートで溜まる虞がある。この点、上記構成によれば、結露した水は、第2プレートに妨げられずに柱の下端から下に滴り落ち易くなる。これによって、第2プレートで水が溜まることが抑制されるようになるため、水による柱の経年劣化を抑制できる。
【0014】
(9)上記課題を解決する柱固定金物の製造方法は、柱固定金物の製造方法であって、前記柱固定金物は、第1プレートと、支持部と、第2プレートと、柱と結合する結合部とを備えるものであり、前記第2プレートと前記支持部とを仮固定する仮固定工程と、前記支持部が前記第2プレートに仮固定された状態で、前記支持部と前記第1プレートとを溶接する第1溶接工程と、前記第2プレートと前記支持部とを溶接する第2溶接工程と、前記第2プレートに前記結合部を溶接する第3溶接工程と、を含み、前記支持部は、前記第1プレートの上面に接触する第1端面と、前記第1端面に交差する側面と、前記第1端面と前記側面との境界である第1境界線と、を有し、前記第1境界線は、第1境界部位を有し、前記第2プレートは、切欠縁を含む切欠部を有し、前記第2プレートの前記切欠縁は、第1切欠部位を有し、前記仮固定工程において、前記切欠部の前記第1切欠部位が前記第1境界線の前記第1境界部位に沿うように前記第2プレートを前記支持部に配置した状態で、前記第2プレートを前記支持部に仮固定し、前記第1溶接工程において、溶接工具の溶接棒を前記第1切欠部位に沿わせるようにして、前記支持部の前記第1境界部位を含む部分を前記第1プレートに溶接する。この構成によれば、溶接工具の溶接棒を第1切欠部位に沿わせながら溶接するため、第1境界部位を含む部分と第1プレートとを適切に溶接できる。
【0015】
(10)上記課題を解決する柱固定金物の製造方法は、柱固定金物の製造方法であって、前記柱固定金物は、第1プレートと、支持部と、第2プレートと、柱と結合する結合部とを備えるものであり、前記第2プレートに前記支持部を溶接する第1溶接工程と、前記支持部に前記第1プレートを溶接する第2溶接工程と、前記第2プレートに前記結合部を溶接する第3溶接工程と、を含み、前記支持部は、前記第1プレートの上面に接触する第1端面と、前記第1端面に交差する側面と、前記第1端面と前記側面との境界である第1境界線と、を有し、前記第1境界線は、第1境界部位を有し、前記第2プレートは、切欠縁を含む切欠部を有し、前記第2プレートの前記切欠縁は、第1切欠部位を有し、前記第1溶接工程において、前記切欠部の前記第1切欠部位が前記第1境界線の前記第1境界部位に沿うように前記第2プレートを前記支持部に配置した状態で、前記第2プレートを前記支持部に溶接し、前記第2溶接工程において、溶接工具の溶接棒を前記第1切欠部位に沿わせるようにして、前記支持部の前記第1境界部位を含む部分を前記第1プレートに溶接する。この構成によれば、第1切欠部位が平面視において第1境界部位に沿う状態において、支持部が第1プレートに溶接される。このとき、第1切欠部位に溶接工具の溶接棒を沿わせるようにして、第1境界部位を含む部分を第1プレートに溶接する。このため、第1境界部位を含む部分と第1プレートとを適切に溶接できる。
【発明の効果】
【0016】
本開示の柱固定金物、および、柱固定金物の製造方法によれば、高い強度の柱固定金物を提供できる。建築物によれば、建築物の耐震性を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】建築物の模式図である。
図2】第1実施形態について、柱固定金物の斜視図である。
図3図2の3-3線に沿う柱固定金物の断面図である。
図4図2の4-4線に沿う柱固定金物の断面図である。
図5】柱固定金物の正面図である。
図6】柱固定金物の平面図である。
図7】建築物における柱固定金物まわりの分解斜視図である。
図8】柱固定金物の製造方法の第1溶接工程の一過程を示す、柱固定金物の平面図である。
図9図8の9-9線に沿う柱固定金物の断面図である。
図10】柱固定金物の製造方法の第1溶接工程の他の過程を示す平面図である。
図11図10の11-11線に沿う柱固定金物の断面図である。
図12】第3実施形態について、柱固定金物の斜視図である。
図13】第3実施形態について、柱固定金物の正面図である。
図14】第4実施形態について、柱固定金物の斜視図である。
図15】第4実施形態について、柱固定金物の正面図である。
図16】第5実施形態について、柱固定金物の斜視図である。
図17】変形例の(1)について、柱固定金物の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
<第1実施形態>
図1図11を参照して、建築物1、および、柱2を基礎部3に固定する柱固定金物10について説明する。
【0019】
図1に示されるように、柱固定金物10は、建築物1の柱2を基礎部3に固定する。建築物1として、戸建ての住宅、集合住宅、および、公共施設が挙げられる。第1実施形態における建築物1は、戸建ての住宅である。
【0020】
<柱固定金物>
図2に示されるように、柱固定金物10は、基礎部3(図1参照)に固定される第1プレート20と、第1プレート20に設けられる支持部30と、支持部30の上部に設けられる第2プレート40と、を備える。さらに、柱固定金物10は、第2プレート40から上に延びて柱2(図1参照)と結合する結合部50を備える。
【0021】
図3に示されるように、平面視において、第1プレート20は、正方形に形成される。第1プレート20の四隅には、アンカーボルト120(図7参照)を挿通させる挿通孔21が設けられる。挿通孔21の外径は、アンカーボルト120の外径よりわずかに大きくなるように形成される。また、第1プレート20の外縁のそれぞれには、位置決め部22が設けられる。第1プレート20の平面視において、位置決め部22は、第1プレート20の各辺の中央部分に設けられる。支持部30(後述)の端部は、位置決め部22の近くに位置する。位置決め部22は、第1プレート20に対する支持部30の端部の位置を示す。位置決め部22は、柱固定金物10の製造において第1プレート20に支持部30を溶接するとき、支持部30の位置決めの目印として利用される。
【0022】
支持部30は、第1支持部材31と、第2支持部材32と、を含む。第1支持部材31および第2支持部材32は、第1プレート20の上面から突出するように、第1プレート20に設けられる。本実施形態において、第1支持部材31および第2支持部材32は、角部33を有するように構成される。一例では、第1支持部材31および第2支持部材32は、金属板の折り曲げによって構成される。第1支持部材31は金属板の折り曲げによって形成される角部33を有する。第2支持部材32は金属板の折り曲げによって形成される角部33を有する。第1支持部材31の角部33は平面視で90度をなす。第2支持部材32の角部33は平面視で90度をなす。第1支持部材31および第2支持部材32は、第1支持部材31の角部33における凸部が第2支持部材32の角部33における凸部と対向するように、第1プレート20に配置される。第1支持部材31の端部は、第1プレート20の位置決め部22の近くに配置される。第2支持部材32の端部は、第1プレート20の位置決め部22の近くに配置される。
【0023】
図2および図3に示されるように、支持部30は、第1プレート20の上面に接触する第1端面34と、第1端面34に交差する側面35と、第1端面34と側面35との境界である第1境界線36と、を有する。支持部30は、さらに、第1端面34と側面35との境界であって第1境界線36と別の部分の第3境界線39を有する。本実施形態では、第1支持部材31および第2支持部材32それぞれが、第1端面34と、側面35と、第1境界線36と、第3境界線39と、を有する。側面35は、凹曲面を含む面と、凹曲面の反対側の面であって凸曲面を含む面とを有する。第1境界線36は、側面35における凹曲面を含む面と第1端面34との境界である。第3境界線39は、側面35における凸曲面を含む面と第1端面34との境界である。
【0024】
第1境界線36は、第1境界部位36Aを有する。第1境界部位36Aは、複数あってもよい。一例では、第1境界線36は、直線状の2つの第1境界部位36Aを含む。2つの第1境界部位36Aの延長線は互いに直交する。支持部30において第1境界部位36Aを含む部分は、溶接によって第1プレート20に固定される。第1境界線36は、角部33を構成する第1円弧部36Bを有する。第1円弧部36Bは、平面視において円弧、または、円弧に準じた曲線に構成される。本実施形態においては、第1円弧部36Bは平面視において円弧になるように構成される。第1円弧部36Bは、平面視において、2つの第1境界部位36Aを繋ぐ。第1円弧部36Bは、第1円弧部36Bの一方の端である第1円弧点100で一方の第1境界部位36Aに繋がる。第1円弧部36Bは、第1円弧部36Bの他方の端である第2円弧点101で他方の第1境界部位36Aに繋がる。
【0025】
図4に示されるように、支持部30は、第2プレート40の下面に接触する第2端面130と、第2端面130と側面35との境界である第2境界線131と、を有する。第2境界線131は、第2境界部位131Aを有する。支持部30は、さらに、第2端面130と側面35との境界であって第2境界線131と別の部分の第4境界線139を有する。本実施形態では、第1支持部材31および第2支持部材32それぞれが、第2端面130と、第2境界線131と、第4境界線139とを有する。第2境界線131は、側面35における凹曲面を含む面と第2端面130との境界である。第4境界線139は、側面35における凸曲面を含む面と第2端面130との境界である。
【0026】
第2境界線131は、第2境界部位131Aを有する。第2境界部位131Aは、複数あってもよい。一例では、第2境界線131は、直線状の2つの第2境界部位131Aを含む。2つの第2境界部位131Aの延長線は互いに直交する。支持部30において第2境界部位131Aを含む部分は、溶接によって第2プレート40に固定される。第2境界線131は、角部33を構成する第2円弧部131Bを有する。第2円弧部131Bは、平面視において円弧、または、円弧に準じた曲線に構成される。本実施形態においては、第2円弧部131Bは平面視において円弧になるように構成される。第2円弧部131Bは、平面視において、2つの第2境界部位131Aを繋ぐ。第2円弧部131Bは、第2円弧部131Bの一方の端である第3円弧点103で一方の第2境界部位131Aに繋がる。第2円弧部131Bは、第2円弧部131Bの他方の端である第4円弧点104で他方の第2境界部位131Aに繋がる。第3円弧点103は、平面視で、第1円弧点100と重なる位置にある。第4円弧点104は、平面視で、第2円弧点101と重なる位置にある。
【0027】
図3および図4に示されるように、第2プレート40は、支持部30に対して第1プレート20と反対の位置に設けられる。すなわち、支持部30は、第1プレート20と第2プレート40との間に配置される。第2プレート40は、切欠縁42を含む切欠部41を有する。切欠部41は、切欠角部49を含む。切欠部41の切欠角部49は、平面視で90度をなす。切欠角部49の角度は、平面視において、2つの第1切欠部位42A(後述参照)の延長線のなす角度として定義される。
【0028】
本実施形態では、第2プレート40は、2つの切欠部41を有する。また、第2プレート40は、2つの出隅部48を有する。2つの切欠部41は、2つの出隅部48を繋ぐ線に対して互いに対称となるように構成される。2つの切欠部41それぞれは、平面視において、1つの挿通孔21を露出させるように切り欠かれる。例えば、本実施形態において、2つの切欠部41は、平面視において第1プレート20の四隅のうち、対角関係にある隅に設けられる2つの挿通孔21を露出させる(図6参照)。
【0029】
切欠縁42は、第1切欠部位42Aを有する。第1切欠部位42Aは直線に延びる。本実施形態において、切欠縁42は、2つの第1切欠部位42Aを有する。さらに、切欠縁42は、切欠角部49を構成する第2切欠部位42Bを有する(図6参照)。すなわち、切欠縁42は、2つの第1切欠部位42Aと、2つの第1切欠部位42Aを繋ぐ第2切欠部位42Bを有する。2つの第1切欠部位42Aの延長線は互いに直交する。第2切欠部位42Bは、平面視において円弧状に構成される。
【0030】
切欠縁42は、第1境界部位36Aとの関係で次のように構成される。
2つの第1切欠部位42Aは、それぞれ、支持部30の第1境界部位36Aに沿うように構成される。具体的には、平面視において、第1切欠部位42Aの延長線と、第1境界線36の第1境界部位36Aの延長線との間のなす角度は、0度以上5度以下である。好ましくは、平面視において、第1切欠部位42Aは、第1境界線36の第1境界部位36Aと平行である(図6参照)。
【0031】
切欠部41の切欠縁42は、全体として、平面視において支持部30の第1境界線36に沿うように構成されてもよい。具体的には、2つの第1切欠部位42Aは、それぞれ、支持部30の第1境界部位36Aに沿うように構成され、かつ、第2切欠部位42Bは、支持部30の第1円弧部36Bに沿うように構成される。
【0032】
また、平面視において、第1支持部材31の角部33の二等分線106は、切欠部41の切欠角部49の二等分線107と同じ方向に延びるように構成されてもよい(図6参照)。同様に、平面視において、第2支持部材32の角部33の二等分線106は、他の切欠部41の切欠角部49の二等分線107と同じ方向に延びるように構成されてもよい(図6参照)。
【0033】
図5に示されるように、結合部50は、第2プレート40の上面から突出するように、第2プレート40に設けられる。結合部50は、第2プレート40に対して支持部30と反対の位置に設けられる。結合部50は、平面視で、第1プレート20における互いに反対の位置にある2つの位置決め部22を通る直線に沿うように配置される。結合部50は、金属板によって構成される。結合部50には、柱2と結合部50とを結合させるためのドラフトピン51(図7参照)を通すための、複数の結合孔52が設けられる。本実施形態では、第1結合孔52A、第2結合孔52B、および第3結合孔52Cが結合部50に設けられる。結合部50は、結合部50の主面に交差する面であって縦方向LBに延びる結合端面53を有する。横方向LAに沿う結合部50の横幅は、柱2の横幅以下の大きさを有する。
【0034】
結合部50の正面視において、複数の結合孔52は、結合部50の所定の位置に設けられる。複数の結合孔52は、結合部50において所定の間隔を空けて設けられる。本実施形態では、結合部50において3個の結合孔52が設けられる。結合部50において3個の結合孔52を所定の間隔を空けて設けるために、3個の結合孔52のうちの2個の結合孔52は、横方向LAに所定の間隔を空けて配置される。残りの1個の結合孔52は、2個の結合孔52に対して横方向LAおよび縦方向LBに対してずれた位置に配置される。そして、縦方向LBに斜めに交差する斜め方向(以下、「斜め方向」)に隣り合う2個の結合孔52は、所定の間隔を空けて設けられる。本実施形態において、第1結合孔52Aおよび第2結合孔52Bは、横方向LAに隣り合い、所定の間隔を空けて設けられる。第3結合孔52Cは、第1結合孔52Aおよび第2結合孔52Bに対して斜め方向に離れた位置に設けられる。
【0035】
一例では、横方向LAに隣り合う第1結合孔52Aおよび第2結合孔52Bについて、第1結合孔52Aの中心から第2結合孔52Bの中心までの距離は45mm以上である。斜め方向に隣り合う第1結合孔52Aおよび第3結合孔52Cについて、第3結合孔52Cの中心から第1結合孔52Aの中心までの距離は、25mm以上である。斜め方向に隣り合う第2結合孔52Bおよび第3結合孔52Cについて、第3結合孔52Cの中心から第2結合孔52Bの中心までの距離は、25mm以上である。
【0036】
3個の結合孔52のこのような配置によって、結合孔52同士の距離が確保されるため、結合部50の強度が確保される。このため、結合部50の大きさを小さく出来る。具体的には、正面視における結合部50の面積を狭くできる。このような構造によって、柱固定金物10は、従来に比べて断面積が小さい柱2に対応した幅狭の結合部50を備えることができる。そして、柱固定金物10は、幅狭の結合部50を有する場合においても、結合部50の強度が確保されているため、断面積が小さい柱2と適切な強度で結合できる。
【0037】
複数の結合孔52のうち、横方向LAにおいて結合端面53に最も近い結合孔52は、結合端面53から所定間隔を空けるように結合部50に設けられる。例えば、本実施形態において、第1結合孔52Aの中心は、横方向LAにおいて結合端面53から15mm以上の間隔を隔てた位置にある。
【0038】
図6に示されるように、平面視において、第2プレート40の外周47は、第1プレート20の外周27の内側に位置する。また、結合部50の結合端面53は、第2プレート40の外周47よりも内側に位置する。
【0039】
<柱を基礎部に固定する手順>
図7を参照して、柱固定金物10によって、柱2を基礎部3に固定させる手順について説明する。柱2は、木材により構成される。柱2は、結合部50を挿入させるスリット60と、ドラフトピン51が挿通する複数のピン挿通孔61とを有する。ピン挿通孔61は、スリット60に結合部50を挿入させた際、結合孔52と重なることによって、ドラフトピン51が挿通する貫通孔を構成する。貫通孔の外径は、ドラフトピン51の外径よりもわずかに大きくなるように構成される。
【0040】
図7に示されるように、まず、基礎部3に設置されたアンカーボルト120を第1プレート20の挿通孔21に挿通させる。次に、アンカーボルト120にナット122を係合することによって柱固定金物10を基礎部3に締結する。そして、結合部50を柱2のスリット60に挿入させるように柱2を柱固定金物10の上に配置する。結合孔52とピン挿通孔61とによって形成された貫通孔それぞれに、ドラフトピン51を挿入する。これによって、柱2が柱固定金物10に結合される。このとき、柱2の下面と柱固定金物10の第2プレート40との間に隙間が設けられる。隙間があることによって、柱2の下面と柱固定金物10の第2プレート40との間の通気性が向上する。このため、柱2の下面の劣化が抑制される。
【0041】
<柱固定金物の製造方法>
図8図11を参照して、本実施形態における柱固定金物10の製造方法について説明する。柱固定金物10の製造方法では、支持部30に第1プレート20および第2プレート40を溶接する前に、支持部30を第2プレート40に仮固定する。溶接および仮溶接の方法には、アーク溶接、プラズマアーク溶接、ガス溶接などが挙げられる。溶接工具140は、対象部材を溶接する装置である。一例として、溶接工具140は、対象部材をアーク溶接によって溶接する装置である。本実施形態において、溶接工具140は溶接棒140Aを含む。
【0042】
柱固定金物10の製造方法は、仮固定工程と、第1溶接工程と、第2溶接工程と、第3溶接工程と、を含む。以下に各工程について説明する。図8図11は、第1プレート20に支持部30を溶接する方法を説明する際に参照する図である。
【0043】
仮固定工程では、第2プレート40と支持部30とを仮固定する。切欠部41の第1切欠部位42Aが第1境界線36の第1境界部位36Aに沿うように第2プレート40を支持部30に配置した状態で、第2プレート40を支持部30に仮固定する。本実施形態においては、切欠部41は、2つの第1切欠部位42Aを有する。第1支持部材31は、2つの第1境界部位36Aを有する。本実施形態では、一方の第1境界部位36Aが一方の第1切欠部位42Aと平行になるように、かつ、他方の第1境界部位36Aが他方の第1切欠部位42Aと平行になるように、支持部30を第2プレート40に仮固定する。また、平面視において、第1支持部材31の角部33の二等分線106が切欠部41の切欠角部49の二等分線107と同じ方向に延びるように、第1支持部材31を仮固定する。第2支持部材32についても、第2プレート40の他の切欠部41に対して、第1支持部材31の仮固定に準じた方法によって仮固定する。
【0044】
仮固定の方法として、治具による方法、溶接による方法、等が挙げられる。例えば、溶接によって、第1支持部材31の端部のみを第2プレート40に溶接する。また、溶接によって、第2支持部材32の端部のみを第2プレート40に溶接する。
【0045】
第1溶接工程では、支持部30が第2プレート40に仮固定された状態で、支持部30と第1プレート20とを溶接する。上述の仮固定工程における第2プレート40と支持部30(第1支持部材31および第2支持部材32)との仮固定によって、第1切欠部位42Aは、第1境界線36の第1境界部位36Aに沿うように位置する。この状態で、第1支持部材31の端部および第2支持部材32の端部が第1プレート20の位置決め部22の近くに位置するように、第1支持部材31を第1プレート20に配置する。その後、溶接棒140Aを第1切欠部位42Aに沿わせるようにして、支持部30の第1境界部位36Aを含む部分を第1プレート20に溶接する。
【0046】
図8および図9に示されるように、第1支持部材31と第1プレート20の上面との溶接では、まず、溶接棒140Aを2つの第1切欠部位42Aのうち一方の第1切欠部位42Aに沿わせつつ、溶接棒140Aの先端を一方の第1切欠部位42Aに沿う第1境界部位36Aに向けて溶接する。その後、溶接棒140Aが切欠縁42の第2切欠部位42B(図10参照)に差し掛かる場合、溶接棒140Aを第2切欠部位42Bに沿わせて溶接する。
【0047】
図10および図11に示されるように、溶接棒140Aを第2切欠部位42Bに沿わせつつ、溶接棒140Aの先端を第1円弧部36Bに向けて溶接する。その後、溶接棒140Aが他方の第1切欠部位42Aに進行する場合、溶接棒140Aを他方の第1切欠部位42Aに沿わせる。このとき、溶接棒140Aの先端を他方の第1切欠部位42Aに沿う第1境界部位36Aに向けて溶接する。
【0048】
第1支持部材31と第1プレート20の上面との溶接において、第1支持部材31の第1境界線36を含む部分の溶接が完了した後、残りの部分の溶接を行う。具体的には、第1プレート20の上面と第1支持部材31の第3境界線39を含む部分との溶接を行う。
【0049】
第1支持部材31と第1プレート20の上面との溶接が完了した後、第2支持部材32と第1プレート20の上面との溶接においても同様の手順によって溶接を行う。以上の手順によって、第1プレート20に支持部30を溶接する。
【0050】
第1支持部材31および第2支持部材32を第1プレート20の上面に溶接する手順は、任意に順番を入れ替えて行ってもよい。例えば、第2支持部材32を第1プレート20の上面に溶接してから第1支持部材31を第1プレート20の上面に溶接してもよい。また、第1円弧部36Bを含む角部33を第1プレート20の上面に先に溶接してから、第1境界部位36Aを第1プレート20の上面に溶接してもよい。また、支持部30と第1プレート20の上面との溶接において、第1境界線36部分を除く部分の溶接を終えた後に、第1境界線36部分の溶接をしてもよい。
【0051】
第2溶接工程では、支持部30と第2プレート40とを溶接する。具体的には、第1支持部材31と第2プレート40の下面とを溶接する。第2支持部材32と第2プレート40の下面とを溶接する。
【0052】
支持部30と第2プレート40の下面との溶接において、第2境界線131部分の溶接が完了した後、残りの部分の溶接を行う。具体的には、第2プレート40の下面と第1支持部材31の第4境界線139を含む部分との溶接を行う。第2プレート40の下面と第2支持部材32の第4境界線139を含む部分との溶接を行う。
【0053】
支持部30を第2プレート40の下面に溶接する手順は、任意に順番を入れ替えて行ってもよい。例えば、第2円弧部131Bを含む角部33を第2プレート40の下面に先に溶接してから、第2境界部位131Aを第2プレート40の下面に溶接してもよい。また、支持部30と第2プレート40の下面との溶接において、第2境界線131部分を除く部分の溶接を終えた後に、第2境界線131部分の溶接をしてもよい。
【0054】
第3溶接工程は、第2プレート40に結合部50を溶接する。以上の製造方法によって、柱固定金物10は製造される。
【0055】
<建築物>
図7に示されるように、建築物1は、基礎部3と、柱2と、柱固定金物10とを備える。建築物1は、横架材、および、屋根を構成する勾配部材を含んでもよい。基礎部3は、基礎を含む。基礎部3は、基礎と、基礎の上に設けられる土台とを含んでもよい。土台は、木材によって構成される。本実施形態では、基礎部3は、土台を含まず、鉄筋コンクリートの基礎を含む。
【0056】
基礎部3は、鉄製のアンカーボルト120を有する。アンカーボルト120は、アンカーボルト120の頭部が基礎部3の上面3Aから突出するように基礎部3に設置されている。基礎部3において、アンカーボルト120は所定箇所に設けられる。基礎部3の所定箇所には、2つのアンカーボルト120が設けられる。所定箇所に設けられる2つのアンカーボルト120は所定間隔をあけて配置される。一例では、平面視において2つのアンカーボルト120は、2つのアンカーボルト120を通る線が基礎部3の側面3Bに対して45度の角度で交差するように、配置される(図7参照)。
【0057】
柱固定金物10は、2つのアンカーボルト120を介してナット122によって基礎部3に固定される。具体的には、柱固定金物10の第1プレート20がアンカーボルト120を介してナット122によって基礎部3に固定される。
【0058】
柱2は、ドラフトピン51によって柱固定金物10の結合部50に結合される。柱として次の構成の柱2が使用される。断面における柱2の縦幅および横幅が平面視における第2プレート40の縦幅および横幅よりも大きい柱が、使用される。柱2の外周2Aは、第2プレート40の外側に位置する。
【0059】
柱2と柱固定金物10の結合孔52とは、次の関係を有することが好ましい。柱固定金物10において複数の結合孔52のうち、横方向LAにおいて柱2の側面に最も近い結合孔52は、柱2の側面から所定間隔を空けたところに位置する。例えば、第1結合孔52Aの中心は、柱2の側面から16mm以上の間隔を隔てた位置にある。
【0060】
横架材は、複数の柱2に渡るように柱2に結合される。柱2および横架材によって外壁、および、内壁等が構成される。勾配部材は、横架材または柱2に結合される。勾配部材によって屋根が構成される。
【0061】
本実施形態の作用を説明する。
柱固定金物10において第2プレート40には2つの切欠部41が設けられる。このため、第2プレート40に孔が設けられる場合に比べて、アンカーボルト120を第1プレート20の挿通孔21に挿通させ易い。また、挿通孔21におけるアンカーボルト120の位置を確認し易い。
【0062】
柱固定金物10の支持部30は、第1プレート20の上面に接触する第1端面34と第1端面34に交差する側面35とを有する。支持部30は、第1端面34と側面35との境界に第1境界線36を有する。第1境界線36は、第1境界部位36Aを有する。柱固定金物10の第2プレート40は、切欠縁42を含む切欠部41を有する。切欠縁42は、第1切欠部位42Aを有する。第1切欠部位42Aは、平面視において第1境界部位36Aに沿うように構成される。支持部30において第1境界部位36Aを含む部分は、溶接によって第1プレート20に固定される。
【0063】
従来において、柱固定金物は、支持部を第1プレートに円滑に溶接することを考慮したものではなかった。この点、本実施形態によれば、上述のように第1切欠部位42Aが平面視において第1境界部位36Aに沿うように、第2プレート40が切り欠かれる。これにより、第1切欠部位42Aに溶接工具140の溶接棒140Aを沿わせることによって、第1境界部位36Aは、第1プレート20に円滑に溶接され易くなる。このため、第1プレート20に適切に支持部30が溶接される。この結果、柱固定金物10の製造において、強度の低い柱固定金物10が少なくなる。例えば、溶接された部分が所定の位置からずれている柱固定金物10が少なくなる。したがって、このような柱固定金物10の構造によれば、柱固定金物10の個々の強度のばらつきが少なくなる結果、柱固定金物10の平均の強度が高くなる。
【0064】
本実施形態の効果を説明する。
(1)柱固定金物10は、第1プレート20と、支持部30と、第2プレート40と、を備える。支持部30は第1境界線36を有する。第1境界線36は、第1境界部位36Aを有する。第2プレート40における切欠部41の切欠縁42は、第1切欠部位42Aを有する。第1切欠部位42Aは、平面視において支持部30の第1境界部位36Aに沿うように構成される。支持部30において第1境界部位36Aを含む部分は、溶接によって第1プレート20に固定される。
【0065】
この構成によれば、支持部30の第1境界部位36Aを含む部分が第1プレート20に溶接される際、第1切欠部位42Aに溶接工具140の溶接棒140Aを沿わせることによって、第1境界部位36Aを含む部分が、第1プレート20に円滑に溶接される。このように、柱固定金物10は、円滑に溶接できる構造を含むため、溶接部分の強度が低い柱固定金物10の個数を少なくできる。したがって、柱固定金物10の強度の平均をとったときに、柱固定金物10の平均強度が高くなる。このように、平均の強度として、高い強度の柱固定金物10を提供できる。また、製造において、柱固定金物10の歩留りを高くできる。
【0066】
(2)切欠部41の切欠縁42は、平面視において支持部30の第1境界線36に沿うように構成される。すなわち、切欠部41の切欠縁42の全体が、平面視において支持部30の第1境界線36に沿う。この構成によれば、切欠縁42に溶接工具140の溶接棒140Aを沿わせることによって、支持部30および第1プレート20の上面は、円滑に溶接される。このため、高い強度の柱固定金物10を提供できる。
【0067】
(3)支持部30は、第1支持部材31と、第2支持部材32と、を含む。第1支持部材31および前記第2支持部材32は、角部33を有するように構成される。第1支持部材31の角部33における凸部が第2支持部材32の角部33における凸部と対向するように、支持部30は、第1プレート20に配置される。この構成によれば、第1支持部材31および第2支持部材32によって第2プレート40を支持することができる。第1支持部材31および第2支持部材32によって第2プレート40を支持する構造によれば、4つの板状の支持部材によって第2プレート40を支持する構造に比べて柱固定金物10の製造工程を簡略化できる。よって、この構造によれば、柱固定金物10を製造し易くできる。
【0068】
(4)平面視において、第1支持部材31の角部33の二等分線106は、切欠部41の切欠角部49の二等分線107と同じ方向に延びる。この構成によれば、切欠角部49に溶接工具140の溶接棒140Aを沿わせることによって、支持部30の角部33に溶接工具140の溶接棒140Aの先端を合わせ易い。これにより、角部33が第1プレート20に適切に溶接される。このため、支持部30と第1プレート20との接合強度が向上する。
【0069】
(5)平面視において、第2プレート40の外周47は、第1プレート20の外周27の内側に位置する。この構成によれば、柱固定金物10を基礎部3に載置した状態において、第1プレート20の状態を確認し易い。例えば、第1プレート20の外周27のうちの一辺と基礎部3の側面3Bとが平行であるか否かを確認する場合に、その確認を行い易い。
【0070】
(6)建築物1は、基礎部3と、柱2と、上記(1)~上記(5)のいずれか1つに記載の柱固定金物10と、を備える。基礎部3に柱固定金物10の第1プレート20が固定され、柱2が柱固定金物10の結合部50に結合される。この構成によれば、建築物1において、基礎部3に対する柱2の結合強度を向上できるため、建築物1の耐震性が向上する。
【0071】
(7)建築物1の平面視において、柱2の外周2Aは、柱固定金物10の第2プレート40の外側に位置する。柱2の外周2Aが第2プレート40の内側に位置する場合、柱2に結露した水が第2プレート40で溜まる虞がある。この点、上記構成によれば、結露した水は、第2プレート40に妨げられずに柱2の下端から下に滴り落ち易くなる。これによって、第2プレート40で水が溜まることが抑制されるようになるため、水による柱2の経年劣化を抑制できる。
【0072】
(8)柱固定金物10の製造方法は、第2プレート40と支持部30とを仮固定する仮固定工程と、支持部30が第2プレート40に仮固定された状態で、支持部30と第1プレート20とを溶接する第1溶接工程と、第2プレート40と支持部30とを溶接する第2溶接工程と、第2プレート40に結合部50を溶接する第3溶接工程と、を含む。第1境界線36は、第1境界部位36Aを有する。第2プレート40は、切欠縁42を含む切欠部41を有する。第2プレート40の切欠縁42は、第1切欠部位42Aを有する。仮固定工程において、切欠部41の第1切欠部位42Aが第1境界線36の第1境界部位36Aに沿うように第2プレート40を支持部30に配置した状態で、第2プレート40を支持部30に仮固定する。第1溶接工程において、溶接工具140の溶接棒140Aを第1切欠部位42Aに沿わせるようにして、支持部30の第1境界部位36Aを含む部分を第1プレート20に溶接する。この構成によれば、溶接工具140の溶接棒140Aを第1切欠部位42Aに沿わせながら溶接するため、第1境界部位36Aを含む部分と第1プレート20とを適切に溶接できる。
【0073】
<第2実施形態>
第2実施形態の柱固定金物10の製造方法を説明する。本実施形態において、第1実施形態と共通する構成については、第1実施形態の構成と同一の符号を付し、重複する構成についてはその説明を省略する。
【0074】
本実施形態の柱固定金物10の製造方法は、第1溶接工程と、第2溶接工程と、第3溶接工程と、を含む。本実施形態においては、第1実施形態の仮固定の溶接を行わなくてもよい。
【0075】
第1溶接工程では、支持部30に第2プレート40を溶接する。具体的には、第1溶接工程において、切欠部41の第1切欠部位42Aが第1境界線36の第1境界部位36Aに沿うように第2プレート40を支持部30に配置した状態で、第2プレート40を支持部30に溶接する。
【0076】
第2溶接工程は、基礎部3に固定される第1プレート20に支持部30を溶接する。そして、第3溶接工程では、第2プレート40に柱2と結合する結合部50を溶接する。溶接手順は、第1実施形態の第3溶接工程の手順に準ずる。以上の製造方法によって、柱固定金物10は製造される。
【0077】
本実施形態の構成によれば、第1切欠部位42Aが平面視において第1境界部位36Aに沿う状態において、支持部30を第1プレート20に溶接できる。このとき、第1切欠部位42Aに溶接工具140の溶接棒140Aを沿わせるようにして、第1境界部位36Aを含む部分を第1プレート20に溶接できる。このため、第1境界部位36Aを含む部分と第1プレート20とを適切に溶接できる。
【0078】
<第3実施形態>
図12および図13を参照して、第3実施形態の柱固定金物10を説明する。本実施形態において、第1実施形態と共通する構成については、第1実施形態の構成と同一の符号を付し、重複する構成についてはその説明を省略する。
【0079】
図12および図13に示されるように、本実施形態の結合部50には、第4結合孔52D、第5結合孔52E、第6結合孔52F、および第7結合孔52Gが設けられる。
【0080】
結合部50の正面視において、複数の結合孔52は、結合部50の所定の位置に設けられる。例えば、本実施形態において、横方向LAに隣り合う複数の結合孔52は、所定の間隔を空けて設けられる。具体的には、横方向LAに沿って隣り合う第4結合孔52Dおよび第5結合孔52Eは、第4結合孔52Dの中心から第5結合孔52Eの中心まで、35mm以上の間隔が空けられるように配置される。また、横方向LAに沿って隣り合う第6結合孔52Fおよび第7結合孔52Gは、第6結合孔52Fの中心から第7結合孔52Gの中心まで、35mm以上の間隔が空けられるように配置される。
【0081】
また、正面視において、縦方向LBに隣り合う複数の結合孔52は、結合部50に所定の間隔を空けて設けられる。具体的には、縦方向LBに沿って隣り合う第4結合孔52Dおよび第6結合孔52Fは、第4結合孔52Dの中心から第6結合孔52Fの中心まで、45mm以上の間隔が空けられるように配置される。また、縦方向LBに沿って隣り合う第5結合孔52Eおよび第7結合孔52Gは、第5結合孔52Eの中心から第7結合孔52Gの中心まで、45mm以上の間隔が空けられるように配置される。
【0082】
また、正面視において、複数の結合孔52のうち、横方向LAにおいて結合端面53に最も近い結合孔52は、結合端面53から所定の間隔を空けて結合部50に設けられる。例えば、本実施形態において、第4結合孔52Dの中心は、横方向LAにおいて結合端面53から20mm以上の間隔を隔てた位置にある。
【0083】
本実施形態の構成によれば、4つのドラフトピン51によって柱2と結合部50とを結合させることができる。また、本実施形態の柱固定金物10は、第1実施形態の(1)に準じた効果を奏する。
【0084】
<第4実施形態>
図14および図15を参照して、第4実施形態の柱固定金物10を説明する。本実施形態において、第1実施形態と共通する構成については、第1実施形態の構成と同一の符号を付し、重複する構成についてはその説明を省略する。
【0085】
図14および図15に示されるように、本実施形態の結合部50には、第8結合孔52H、第9結合孔52I、第10結合孔52J、第11結合孔52K、および第12結合孔52Lが設けられる。
【0086】
結合部50の正面視において、複数の結合孔52は、結合部50の所定の位置に設けられる。例えば、本実施形態において、横方向LAに隣り合う複数の結合孔52は、所定の間隔を空けて設けられる。具体的には、横方向LAに沿って隣り合う第8結合孔52Hおよび第9結合孔52Iは、第8結合孔52Hの中心から第9結合孔52Iの中心まで、35mm以上の間隔が空けられるように配置される。また、横方向LAに沿って隣り合う第11結合孔52Kおよび第12結合孔52Lは、第11結合孔52Kの中心から第12結合孔52Lの中心まで、35mm以上の間隔が空けられるように配置される。
【0087】
また、正面視において、縦方向LBに隣り合う複数の結合孔52は、結合部50に所定の間隔を空けて設けられる。具体的には、縦方向LBに沿って隣り合う第8結合孔52Hおよび第11結合孔52Kは、第8結合孔52Hの中心から第11結合孔52Kの中心まで、45mm以上の間隔が空けられるように配置される。また、縦方向LBに沿って隣り合う第9結合孔52Iおよび第12結合孔52Lは、第9結合孔52Iの中心から第12結合孔52Lの中心まで、45mm以上の間隔が空けられるように配置される。
【0088】
第10結合孔52Jは、他の結合孔52と所定の間隔を置いて設けられる。本実施形態において、第10結合孔52Jは、第10結合孔52Jの中心から他の結合孔52の中心まで等間隔を空けるように位置する。
【0089】
また、正面視において、複数の結合孔52のうち、横方向LAにおいて結合端面53に最も近い結合孔52は、結合端面53から所定の間隔を空けて結合部50に設けられる。例えば、本実施形態において、第8結合孔52Hの中心は、横方向LAにおいて結合端面53から20mm以上の間隔を隔てた位置にある。
【0090】
本実施形態の構成によれば、5つのドラフトピン51によって柱2と結合部50とを結合させることができる。また、本実施形態の柱固定金物10は、第1実施形態の(1)に準じた効果を奏する。
【0091】
<第5実施形態>
図16を参照して、第5実施形態の柱固定金物10を説明する。本実施形態において、第1実施形態と共通する構成については、第1実施形態の構成と同一の符号を付し、重複する構成についてはその説明を省略する。
【0092】
本実施形態の第2プレート40には、第2プレート40から上に延びて柱2と結合する複数の結合部50が設けられる。本実施形態においては、2つの結合部50が設けられる。一方の結合部50は、他方の結合部50と平行に第2プレート40に設けられる。
【0093】
本実施形態の構成によれば、柱固定金物10は、2つの結合部50によって柱2と結合される。このため、強固に柱2と結合部50とを結合させることができる。
【0094】
<変形例>
上記各実施形態は、柱固定金物10、柱固定金物10の製造方法、および建築物1が取り得る形態の例示であり、その形態を制限することを意図していない。柱固定金物10、柱固定金物10の製造方法、および建築物1は、上記各実施形態に例示された形態とは異なる形態を取り得る。その一例は、実施形態の構成の一部を置換、変更、もしくは、省略した形態、または、実施形態に新たな構成を付加した形態である。以下に実施形態の変形例の一例を示す。
【0095】
(1)図17に示されるように、第1プレート20は、位置決め部22の近辺にアンカーボルト120を挿通させる挿通孔21が設けられてもよい。この場合、支持部30の端部は、第1プレート20の隅部に向かって延びるように第1プレート20に設けられる。そして、第1切欠部位42Aは、平面視において第1境界部位36Aに沿うように切り欠かれる。
【0096】
この構成によれば、第1切欠部位42Aは、平面視において第1境界部位36Aに沿うように切り欠かれる。これにより、支持部30の第1境界部位36Aを含む部分が第1プレート20に溶接される際、第1切欠部位42Aに溶接工具140の溶接棒140Aを沿わせることによって、第1境界部位36Aを含む部分が、第1プレート20に円滑に溶接される。このように、柱固定金物10は、円滑に溶接できる構造を含むため、溶接部分の強度が低い柱固定金物10の個数を少なくできる。したがって、柱固定金物10の強度の平均をとったときに、柱固定金物10の平均強度が高くなる。このように、平均の強度として、高い強度の柱固定金物10を提供できる。また、製造において、柱固定金物10の歩留りを高くできる。
【0097】
(2)第1支持部材31の角部33または第2支持部材32の角部33は、次のように構成されてもよい。例えば、第1円弧部36Bは、柱固定金物10の平面視において、第2切欠部位42Bを含む第2円と同心である同心円に沿うように構成される。また、第1支持部材31の角部33または第2支持部材32の角部33は、次のように構成されてもよい。例えば、第1円弧部36Bを含む第1円が第2切欠部位42Bを含む第2円よりも小さい円となるように、第1円弧部36Bが構成される。第1円弧部36Bは、第2切欠部位42Bを含む第2円の半径よりも小さい半径の円弧である。
【0098】
この構成によれば、第2切欠部位42Bに溶接工具140の溶接棒140Aを沿わせることによって、支持部30の第1円弧部36Bに溶接工具140の溶接棒140Aの先端を合わせ易い。これにより、角部33が第1プレート20に適切に溶接される。このため、支持部30と第1プレート20との接合強度が向上する。
【0099】
(3)第2プレート40の出隅部48には、第1切欠部位42Aまたは第2切欠部位42Bに準じた切欠部位が設けられてもよい。この構成によれば、第1実施形態に準じた効果を奏することができる。具体的には、第1支持部材31および第2支持部材32それぞれの第3境界線39を含む部分を第1プレート20に円滑に溶接できる。
【0100】
(4)柱固定金物10の平面視において、結合部50の結合端面53は、第2プレート40の外周47よりも外側に位置してもよい。この構成によれば、柱2と結合部50とを結合させる場合において、柱2と結合部50との結合する面積を広くすることができる。このため、柱2と結合部50との間の結合強度を高めることができる。
【0101】
(5)第1円弧部36Bは、平面視において曲線となるように構成されてもよい。第2切欠部位42Bは、平面視において第1円弧部36Bに沿うように構成される。この構成によれば、第2切欠部位42Bに溶接工具140の溶接棒140Aを沿わせることによって、支持部30の第1円弧部36Bの部分は、第1プレート20の上面と円滑に溶接される。
【0102】
(6)第1実施形態の柱固定金物10の製造方法において、仮固定工程の次に第2溶接工程を行い、第2溶接工程の次に第1溶接工程を行ってもよい。仮固定工程では、第1支持部材31の端部のみを第2プレート40に仮固定する。また、第2支持部材32の端部のみを第2プレート40に仮固定する。第2溶接工程では、仮固定工程によって端部のみを第2プレート40に仮固定された支持部30と第2プレート40とを溶接する。
【0103】
この構成によれば、第1切欠部位42Aが平面視において第1境界部位36Aに沿う状態において、支持部30を第1プレート20に溶接できる。このとき、第1切欠部位42Aに溶接工具140の溶接棒140Aを沿わせるようにして、第1境界部位36Aを含む部分を第1プレート20に溶接できる。このため、第1境界部位36Aを含む部分と第1プレート20とを適切に溶接できる。
【符号の説明】
【0104】
1…建築物、2…柱、2A…柱2の外周、3…基礎部、10…柱固定金物、20…第1プレート、27…第1プレート20の外周、30…支持部、31…第1支持部材、32…第2支持部材、33…角部、34…第1端面、35…側面、36…第1境界線、36A…第1境界部位、36B…第1円弧部、40…第2プレート、41…切欠部、42…切欠縁、42A…第1切欠部位、42B…第2切欠部位、47…第2プレート40の外周、49…切欠角部、50…結合部、106…第1支持部材31の角部33の二等分線、107…第2支持部材32の角部33の二等分線、140…溶接工具、140A…溶接棒。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
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図16
図17