(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024158374
(43)【公開日】2024-11-08
(54)【発明の名称】分級機及び粉砕機並びに分級機の製造方法
(51)【国際特許分類】
B02C 23/12 20060101AFI20241031BHJP
B02C 15/04 20060101ALI20241031BHJP
B02C 23/16 20060101ALI20241031BHJP
B02C 25/00 20060101ALI20241031BHJP
B02C 17/18 20060101ALI20241031BHJP
B07B 7/083 20060101ALI20241031BHJP
【FI】
B02C23/12
B02C15/04
B02C23/16
B02C25/00 C
B02C17/18 E
B07B7/083
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023073526
(22)【出願日】2023-04-27
(71)【出願人】
【識別番号】000006208
【氏名又は名称】三菱重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100112737
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 考晴
(74)【代理人】
【識別番号】100136168
【弁理士】
【氏名又は名称】川上 美紀
(74)【代理人】
【識別番号】100172524
【弁理士】
【氏名又は名称】長田 大輔
(72)【発明者】
【氏名】吉岡 栄治
(72)【発明者】
【氏名】山口 聡太朗
(72)【発明者】
【氏名】最所 瑞城
【テーマコード(参考)】
4D021
4D063
4D067
【Fターム(参考)】
4D021FA23
4D021GA02
4D021GA18
4D021GA27
4D021HA01
4D063EE03
4D063EE12
4D063GA08
4D063GA10
4D063GC16
4D063GD02
4D067EE13
4D067EE23
4D067FF02
4D067GA04
4D067GA11
4D067GB02
(57)【要約】
【課題】ブレードに容易に取付部を設けることを目的とする。
【解決手段】上下方向に延在する中心軸線Cを中心として回転し、径方向の外側から搬送用ガスによって導かれた粒子を、所定粒子径よりも大きい粒子と所定粒子径以下の粒子とに分級する回転式分級機16であって中心軸線Cを中心として回転する本体部70と、本体部70に支持され、上下方向に延在し、中心軸線Cを中心として周方向に沿って所定の間隔で並んで配置され、所定粒子径よりも大きい粒子を衝突面で弾く複数のブレード60と、を備え、本体部70は、各ブレード60を支持する複数のブラケットを有し、ブレード60は、ステンレス鋼で形成された基部62と、基部62の回転方向の前面を覆い基部62よりも硬度が高い材料で形成された硬化部63と、基部62の回転方向の後面に固定されブラケットに取り付けられる取付部と、を有する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上下方向に延在する中心軸線を中心として回転し、径方向の外側から搬送用ガスによって導かれた粒子を、所定粒子径よりも大きい前記粒子と所定粒子径以下の前記粒子とに分級する分級機であって、
前記中心軸線を中心として回転する本体部と、
前記本体部に支持され、上下方向に延在し、前記中心軸線を中心として周方向に沿って所定の間隔で並んで配置され、所定粒子径よりも大きい前記粒子を衝突面で弾く複数のブレードと、を備え、
前記本体部は、各前記ブレードを支持する複数のブラケットを有し、
前記ブレードは、ステンレス鋼で形成された基部と、前記基部の回転方向の前面を覆い前記基部よりも硬度が高い材料で形成された硬化部と、前記基部の前記回転方向の後面に固定され前記ブラケットに取り付けられる取付部と、を有する分級機。
【請求項2】
前記ブラケットは、貫通孔が形成され、
前記取付部は、一端部が前記基部の前記後面に固定され、他端部の外面にネジが設けられ、前記貫通孔を挿通するボルト部と、前記ボルト部と螺合するナットと、を有する請求項1に記載の分級機。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の分級機を備えた粉砕機。
【請求項4】
上下方向に延在する中心軸線を中心として回転し、径方向の外側から搬送用ガスによって導かれた粒子を、所定粒子径よりも大きい前記粒子と所定粒子径以下の前記粒子とに分級する分級機の製造方法であって、
前記分級機は、前記中心軸線を中心として回転する本体部と、前記本体部に支持され、上下方向に延在し、前記中心軸線を中心として周方向に沿って所定の間隔で並んで配置され、所定粒子径よりも大きい前記粒子を衝突面で弾く複数のブレードと、を備え、前記本体部は、各前記ブレードを支持する複数のブラケットを有し、前記ブレードは、ステンレス鋼で形成された基部と、前記基部の回転方向の前面を覆い前記基部よりも硬度が高い材料で形成された硬化部と、前記基部の前記回転方向の後面に固定される取付部と、を有し、
前記ブラケットに対して前記ブレードの前記取付部を取り付ける取付工程を備える分級機の製造方法。
【請求項5】
各前記ブレードの重量を測定する工程を備え、
前記取付工程は、前記分級機を前記中心軸線方向から見た際の前記中心軸線を中心とした第1象限、第2象限、第3象限及び第4象限を規定した場合、重量の重い前記ブレードから順番に、前記第1象限、前記第3象限、前記第2象限、前記第4象限、前記第4象限、前記第2象限、前記第3象限、前記第1象限に含まれるように配置される請求項4に記載の分級機の製造方法。
【請求項6】
前記取付工程は、複数の前記ブレードを重量の順番に取り付ける請求項5に記載の分級機の製造方法。
【請求項7】
前記ブラケットに取り付けられた状態の前記ブレードの前記基部の前記前面に前記硬化部を肉盛溶接する肉盛溶接工程を備え、
前記肉盛溶接工程は、前記ブラケットにアースを設置する請求項4に記載の分級機の製造方法。
【請求項8】
前記硬化部は磁性体であり、
前記取付工程は、前記本体部に取り付けられた前記ブレードの前記硬化部に磁力で取り付けられた吊上げ部によって、他の前記ブレードを吊上げる請求項4に記載の分級機の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、分級機及び粉砕機並びに分級機の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、バイオマス燃料や石炭等の固体燃料は、粉砕機(ミル)で所定粒径範囲内の微粉状に粉砕して、燃焼装置へ供給される。ミルは、回転する粉砕テーブルへ投入された固体燃料を、粉砕テーブルと粉砕ローラの間に挟み込んで粉砕し、粉砕されて微粉状となった固体燃料のうち、所定粒径範囲内の微粉燃料を分級機で選別し、粉砕テーブルの外周から供給される搬送用ガス(一次空気)によって、ボイラへ搬送して燃焼装置で燃焼させている。火力発電プラントでは、ボイラで微粉燃料を燃焼して生成された燃焼ガスとの熱交換により蒸気を発生させ、該蒸気により蒸気タービンを回転駆動して、蒸気タービンに接続した発電機を回転駆動することで発電が行われる。
【0003】
粉砕機に用いられる分級機として回転式分級機が知られている。回転式分級機は、粉砕機の上部に設置されていて、回転する複数のブレードを有している。気流搬送されてきた微粉粒子を回転するブレードに衝突させることで、微粉粒子に遠心力を与え、遠心力が向心力に勝る粗粒(粒径の大きい微粉粒子)は分級機外部へ弾き、向心力が遠心力に勝る微粒(粒径の小さい微粉粒子)は分級機内部へ通過させる。回転式分級機は、このようにして微粉粒子の分級を行うものである。ブレードは、微粉粒子が衝突するため摩耗し易い。このため、ブレードの前面(微粉粒子が主に衝突する面)に高硬度の高い材料で覆うことがある(例えば、特許文献1)。
【0004】
特許文献1には、ブレードの衝突面の全面が耐摩耗性を有する高硬度の材料で形成された硬化肉盛部によって覆われている回転式分級機が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
高硬度の材料は、耐摩耗性が高い反面、加工し難い。このため、ブレードの衝突面に耐摩耗性の高い高硬度の材料を設けた場合には、ブレードが加工し難くなる可能性があった。特許文献1では、この点について考慮されていない。このため、特許文献1に記載の回転式分級機では、例えば、ブレードを回転式分級機に取り付けるための取付部をブレードに対して設ける場合に、取付部が設置し難くなる可能性があった。
【0007】
本開示は、このような事情に鑑みてなされたものであって、ブレードに容易に取付部を設けることができる分級機及び粉砕機並びに分級機の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本開示の分級機及び粉砕機並びに分級機の製造方法は以下の手段を採用する。
本開示の一態様に係る分級機は、上下方向に延在する中心軸線を中心として回転し、径方向の外側から搬送用ガスによって導かれた粒子を、所定粒子径よりも大きい前記粒子と所定粒子径以下の前記粒子とに分級する分級機であって、前記中心軸線を中心として回転する本体部と、前記本体部に支持され、上下方向に延在し、前記中心軸線を中心として周方向に沿って所定の間隔で並んで配置され、所定粒子径よりも大きい前記粒子を衝突面で弾く複数のブレードと、を備え、前記本体部は、各前記ブレードを支持する複数のブラケットを有し、前記ブレードは、ステンレス鋼で形成された基部と、前記基部の回転方向の前面を覆い前記基部よりも硬度が高い材料で形成された硬化部と、前記基部の前記回転方向の後面に固定され前記ブラケットに取り付けられる取付部と、を有する。
【0009】
本開示の一態様に係る分級機の製造方法は、上下方向に延在する中心軸線を中心として回転し、径方向の外側から搬送用ガスによって導かれた粒子を、所定粒子径よりも大きい前記粒子と所定粒子径以下の前記粒子とに分級する分級機の製造方法であって、前記分級機は、前記中心軸線を中心として回転する本体部と、前記本体部に支持され、上下方向に延在し、前記中心軸線を中心として周方向に沿って所定の間隔で並んで配置され、所定粒子径よりも大きい前記粒子を衝突面で弾く複数のブレードと、を備え、前記本体部は、各前記ブレードを支持する複数のブラケットを有し、前記ブレードは、ステンレス鋼で形成された基部と、前記基部の回転方向の前面を覆い前記基部よりも硬度が高い材料で形成された硬化部と、前記基部の前記回転方向の後面に固定される取付部と、を有し、前記ブラケットに対して前記ブレードの前記取付部を取り付ける取付工程を備える。
【発明の効果】
【0010】
本開示によれば、ブレードに容易に取付部を設けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本開示の実施形態に係る固体燃料粉砕装置及びボイラを示す構成図である。
【
図2】本開示の実施形態に係る回転式分級機を示す縦断面図である。
【
図3】本開示の実施形態に係る回転式分級機を示す水平断面図である。
【
図5】本開示の実施形態に係るブレードの要部を示す側面図である。
【
図6】本開示の実施形態に係る回転式分級機のブレードを取り付ける順番を示す模式的な平面図である。
【
図7】本開示の実施形態に係るブレードの摩耗の進行を示す模式的な側面図である。
【
図8】本開示の比較例に係るブレードの摩耗の進行を示す模式的な側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に、本開示に係る分級機及び粉砕機並びに分級機の製造方法の一実施形態について、図面を参照して説明する。
図1に示すように、本実施形態に係る発電プラント1は、固体燃料粉砕装置100とボイラ200とを備えている。
以降の説明では、上方とは鉛直上側の方向を、上部や上面などの“上”とは鉛直上側の部分を示している。また同様に“下”とは鉛直下側の部分を示すものであり、鉛直方向は厳密ではなく誤差を含むものである。
【0013】
本実施形態の固体燃料粉砕装置100は、一例としてバイオマス燃料や石炭等の固体燃料を粉砕し、微粉燃料を生成してボイラ200のバーナ(燃焼装置)220へ供給する装置である。
図1に示す固体燃料粉砕装置100とボイラ200とを含む発電プラント1は、1台の固体燃料粉砕装置100を備えるものであるが、1台のボイラ200の複数のバーナ220のそれぞれに対応する複数台の固体燃料粉砕装置100を備えるシステムとしてもよい。
【0014】
本実施形態の固体燃料粉砕装置100は、ミル(粉砕部)10と、バンカ(貯蔵部)21と、給炭機(燃料供給機)25と、送風部(搬送用ガス供給部)30と、状態検出部40と、制御部50とを備えている。
【0015】
ボイラ200に供給する石炭やバイオマス燃料等の固体燃料を、微粉状の固体燃料である微粉燃料へと粉砕するミル10は、石炭のみを粉砕する形式であっても良いし、バイオマス燃料のみを粉砕する形式であっても良いし、石炭とともにバイオマス燃料を粉砕する形式であってもよい。
ここで、バイオマス燃料とは、再生可能な生物由来の有機性資源であり、例えば、間伐材、廃木材、流木、草類、廃棄物、汚泥、タイヤ及びこれらを原料としたリサイクル燃料(ペレットやチップ)などであり、ここに提示したものに限定されることはない。バイオマス燃料は、バイオマスの成育過程において二酸化炭素を取り込むことから、地球温暖化ガスとなる二酸化炭素を排出しないカーボンニュートラルとされるため、その利用が種々検討されている。
【0016】
ミル10は、ハウジング11と、粉砕テーブル12と、粉砕ローラ13と、減速機(駆動伝達部)14と、減速機14に接続され粉砕テーブル12を回転駆動させるミルモータ(駆動部)15と、回転式分級機(分級機)16と、給炭管(燃料供給部)17と、回転式分級機16を回転駆動させる分級機モータ18とを備えている。
ハウジング11は、鉛直方向に延びる筒状に形成されるとともに、粉砕テーブル12と粉砕ローラ13と回転式分級機16と、給炭管17とを収容する筐体である。
ハウジング11の天井部42の中央部には、給炭管17が取り付けられている。この給炭管17は、バンカ21から給炭機25を介して導かれた固体燃料をハウジング11内に供給するものであり、ハウジング11の中心位置に上下方向に沿って配置され、下端部がハウジング11内部まで延設されている。
【0017】
ハウジング11の底面部41付近には減速機14が設置され、この減速機14に接続されたミルモータ15から伝達される駆動力により回転する粉砕テーブル12が回転自在に配置されている。
粉砕テーブル12は、平面視円形の部材であり、給炭管17の下端部が対向するように配置されている。粉砕テーブル12の上面は、例えば、中心部が低く、外側に向けて高くなるような傾斜形状をなし、外周部が上方に曲折した形状をなしていてもよい。給炭管17は、固体燃料(本実施形態では例えば石炭やバイオマス燃料)を上方から下方の粉砕テーブル12に向けて供給し、粉砕テーブル12は供給された固体燃料を粉砕ローラ13との間に挟み込んで粉砕する。
【0018】
固体燃料が給炭管17から粉砕テーブル12の中央部へ向けて投入されると、粉砕テーブル12の回転による遠心力によって、固体燃料は粉砕テーブル12の外周側へと導かれ、粉砕テーブル12と粉砕ローラ13との間に挟み込まれて粉砕される。粉砕された固体燃料は、搬送用ガス流路(以降は、一次空気流路と記載する)110から導かれた搬送用ガス(以降は、一次空気と記載する)によって上方へと吹き上げられ、回転式分級機16へと導かれる。
粉砕テーブル12の外周には、一次空気流路110から流入する一次空気を、ハウジング11内の粉砕テーブル12の上方の空間に流出させる吹出口(図示省略)が設けられている。吹出口には旋回羽根(図示省略)が設置されており、吹出口から吹き出した一次空気に旋回力を与える。旋回羽根により旋回力が与えられた一次空気は、旋回する速度成分を有する気流となって、粉砕テーブル12上で粉砕された固体燃料を、ハウジング11内の上方にある回転式分級機16へと搬送する。なお、粉砕された固体燃料のうち、所定粒径より大きいものは回転式分級機16により分級されて、または、回転式分級機16まで到達することなく落下して、粉砕テーブル12上に戻されて、粉砕テーブル12と粉砕ローラ13との間で再度粉砕される。
【0019】
粉砕ローラ13は、給炭管17から粉砕テーブル12上に供給された固体燃料を粉砕する回転体である。粉砕ローラ13は、粉砕テーブル12の上面に押圧されて粉砕テーブル12と協働して固体燃料を粉砕する。
図1では、粉砕ローラ13が代表して1つのみ示されているが、粉砕テーブル12の上面を押圧するように、周方向に一定の間隔を空けて、複数の粉砕ローラ13が配置される。例えば、外周部上に120°の角度間隔を空けて、3つの粉砕ローラ13が周方向に均等な間隔で配置される。この場合、3つの粉砕ローラ13が粉砕テーブル12の上面と接する部分(押圧する部分)は、粉砕テーブル12の回転中心軸からの距離が等距離となる。
【0020】
粉砕ローラ13は、ジャーナルヘッド45によって、上下に揺動・変位可能となっており、粉砕テーブル12の上面に対して接近離間自在に支持されている。粉砕ローラ13は、外周面が粉砕テーブル12の上面の固体燃料に接触した状態で、粉砕テーブル12が回転すると、粉砕テーブル12から回転力を受けて連れ回りするようになっている。給炭管17から固体燃料が供給されると、粉砕ローラ13と粉砕テーブル12との間で固体燃料が押圧されて粉砕される。この押圧する力を、粉砕荷重と言う。
【0021】
ジャーナルヘッド45の支持アーム47は、中間部が水平方向に沿った支持軸48によって、ハウジング11の側面部に支持軸48を中心として粉砕ローラ13を上下方向に揺動・変位可能に支持されている。また、支持アーム47の鉛直上側にある上端部には、押圧装置(粉砕荷重付与部)46が設けられている。押圧装置46は、ハウジング11に固定されており、粉砕ローラ13を粉砕テーブル12に押し付けるように、支持アーム47等を介して粉砕ローラ13に粉砕荷重を付与する。粉砕荷重は、例えば、ミル10の外部に設置された油圧装置(図示省略)から供給される作動油の圧力により作動する油圧シリンダ(図示省略)によって与えられる。また、粉砕荷重は、ばね(図示省略)の反発力によって与えられてもよい。
【0022】
減速機14は、ミルモータ15に接続されており、ミルモータ15の駆動力を粉砕テーブル12に伝達し、粉砕テーブル12を中心軸回りに回転させる。
【0023】
回転式分級機16は、ハウジング11の上部に設けられ中空状の逆円錐状の外形を有している。回転式分級機16は、その外周位置に上下方向に延在する複数のブレード60を備えている。各ブレード60は、回転式分級機16の中心軸線周りに所定の間隔(均等間隔)で設けられている。
回転式分級機16は、粉砕テーブル12と粉砕ローラ13により粉砕された固体燃料(以降、粉砕された固体燃料を「粉砕燃料」という。)を、所定粒径(例えば、石炭では70~100μm)より大きいもの(以降、所定粒径を超える粉砕燃料を「粗粉燃料」という。)と、所定粒径以下のもの(以降、所定粒径以下の粉砕燃料を「微粉燃料」という。)に分級する装置である。回転式分級機16は、制御部50によって制御される分級機モータ18により回転駆動力を与えられ、ハウジング11の上下方向に延在する円筒軸71を中心に給炭管17の周りを回転する。
なお、分級機としては、固定された中空状の逆円錐形状のケーシングと、そのケーシングの外周位置にブレード60に替わって複数の固定旋回羽根とを備えた固定式分級機を用いてもよい。
【0024】
回転式分級機16に到達した粉砕燃料は、ブレード60の回転により生じる遠心力と、一次空気の気流による向心力との相対的なバランスにより、大きな径の粗粉燃料は、ブレード60によって叩き落とされ、粉砕テーブル12へと戻されて再粉砕され、微粉燃料はハウジング11の天井部42にある出口ポート19に導かれる。回転式分級機16によって分級された微粉燃料は、一次空気とともに出口ポート19から微粉燃料供給流路(微粉燃料供給管)120へ排出され、ボイラ200のバーナ220へ供給される。
【0025】
給炭管17は、ハウジング11の天井部42を貫通するように上下方向に沿って下端部がハウジング11内部まで延設されて取り付けられ、給炭管17の上部から投入される固体燃料を粉砕テーブル12の中央部に供給する。給炭管17の上端には、給炭機25が接続されており、固体燃料が供給される。
【0026】
給炭機25は、バンカ21の下端部から上下方向に延在する管であるダウンスパウト部22によって、バンカ21と接続されている。ダウンスパウト部22の途中には、バンカ21からの固体燃料の排出状態を切り替える弁(コールゲート、図示省略)を設けてもよい。給炭機25は、搬送部26と、給炭機モータ27とを備える。搬送部26は、例えばベルトコンベアであり、ダウンスパウト部22の下端部から排出される固体燃料を、給炭機モータ27の駆動力によって給炭管17の上部に搬送し、内部へ投入する。ミル10へ供給される固体燃料の供給量は、制御部50からの信号によって、例えば、搬送部26のベルトコンベアの移動速度を調整して制御される。
【0027】
通常、ミル10の内部には、微粉燃料をバーナ220へ搬送するための一次空気が供給されており、給炭機25やバンカ21よりも圧力が高くなっている。バンカ21と給炭機25を接続するダウンスパウト部22の内部は、燃料が積層状態となっている。この固体燃料層により、ミル10からバンカ21に向けて、一次空気と微粉燃料が逆流を抑制するためのシール性(マテリアルシール)を確保している。
【0028】
送風部30は、粉砕燃料を乾燥させるとともに、回転式分級機16へ搬送するための一次空気を、ハウジング11の内部へ送風する装置である。
送風部30は、ハウジング11の内部へ送風される一次空気の流量と温度を適切に調整するために、本実施形態では、一次空気通風機(PAF:Primary Air Fan)31と、熱ガス流路30aと、冷ガス流路30bと、熱ガスダンパ30cと、冷ガスダンパ30dとを備えている。
【0029】
本実施形態では、熱ガス流路30aは、一次空気通風機31から送出された空気の一部を、空気予熱器(熱交換器)34を通過して加熱された熱ガスとして供給する。熱ガス流路30aには、熱ガスダンパ30cが設けられている。熱ガスダンパ30cの開度は、制御部50によって制御される。熱ガスダンパ30cの開度によって、熱ガス流路30aから供給する熱ガスの流量が決定される。
【0030】
冷ガス流路30bは、一次空気通風機31から送出された空気の一部を常温の冷ガスとして供給する。冷ガス流路30bには、冷ガスダンパ30dが設けられている。冷ガスダンパ30dの開度は、制御部50によって制御される。冷ガスダンパ30dの開度によって、冷ガス流路30bから供給する冷ガスの流量が決定される。
【0031】
一次空気の流量は、本実施形態では、熱ガス流路30aから供給する熱ガスの流量と冷ガス流路30bから供給する冷ガスの流量の合計の流量となり、一次空気の温度は、熱ガス流路30aから供給する熱ガスと冷ガス流路30bから供給する冷ガスの混合比率で決まり、制御部50によって制御される。
また、熱ガス流路30aから供給する熱ガスに、例えば、ガス再循環通風機(図示省略)によってボイラ200から排出された燃焼ガスの一部を導き、混合することで、一次空気流路110からハウジング11の内部へ送風する一次空気中の酸素濃度を調整してもよい。一次空気中の酸素濃度を調整することによって、例えば、着火性の高い(着火しやすい)固体燃料を使用する場合、ミル10からバーナ220に至るまでの経路において、固体燃料が着火することを抑制することができる。
【0032】
本実施形態では、ミル10の状態検出部40により計測または検出したデータを、制御部50に送信する。本実施形態の状態検出部40は、例えば、差圧計測手段であり、一次空気流路110からハウジング11の内部へ一次空気が流入する部分における圧力と、ハウジング11の内部から微粉燃料供給管120へ一次空気と微粉燃料が排出される出口ポート19における圧力との差圧を、ミル10の差圧として計測する。このミル10の差圧の増減は、回転式分級機16の分級効果によってハウジング11内部の回転式分級機16付近と粉砕テーブル12付近の間を循環している粉砕燃料の循環量の増減に対応する。すなわち、このミル10の差圧に応じて回転式分級機16の回転数を調整することで、出口ポート19から排出される微粉燃料の量と粒径範囲を調整することができるので、微粉燃料の粒径をバーナ220における固体燃料の燃焼性に影響しない範囲に維持しつつ、ミル10への固体燃料の供給量に対応した量の微粉燃料を、ボイラ200に設けられたバーナ220に安定して供給することができる。
また、本実施形態の状態検出部40は、例えば、温度計測手段であり、ハウジング11の内部へ供給される一次空気の温度(ミル入口一次空気温度)や、出口ポート19における一次空気と微粉燃料との混合気体の温度(ミル出口一次空気温度)を検出して、それぞれの上限温度を超えないように送風部30を制御する。各上限温度は、固体燃料の性状に応じた着火の可能性等を考慮して決定される。なお、一次空気は、ハウジング11の内部において、粉砕燃料を乾燥しながら搬送することによって冷却されるため、ミル入口の一次空気温度は、例えば常温から約300度程度、ミル出口の一次空気温度は、例えば常温から約90度程度となる。
【0033】
制御部50は、固体燃料粉砕装置100の各部を制御する装置である。
制御部50は、例えば、ミルモータ15に駆動指示を伝達して粉砕テーブル12の回転速度を制御してもよい。
制御部50は、例えば、分級機モータ18へ駆動指示を伝達して回転式分級機16の回転速度を制御して分級性能を調整し、微粉燃料の粒径をバーナ220における固体燃料の燃焼性に影響しない範囲に維持しつつ、ミル10への固体燃料の供給量に対応した量の微粉燃料を、バーナ220へ安定して供給することができる。
また、制御部50は、例えば給炭機モータ27へ駆動指示を伝達することにより、ミル10へ供給する固体燃料の供給量(給炭量)を調整することができる。
また、制御部50は、送風部30へ開度指示を伝達することにより、熱ガスダンパ30cおよび冷ガスダンパ30dの開度を制御して一次空気の流量と温度を調整することができる。具体的には、制御部50は、ハウジング11の内部へ供給される一次空気の流量と、出口ポート19における一次空気の温度(ミル出口一次空気温度)が、固体燃料の種別毎に、給炭量に対応して設定された所定値となるように、熱ガスダンパ30cおよび冷ガスダンパ30dの開度を制御する。なお、一次空気の温度の制御は、ミル入口における温度(ミル入口一次空気温度)に対して行ってもよい。
【0034】
制御部50は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、及びコンピュータ読み取り可能な記憶媒体等から構成されている。そして、各種機能を実現するための一連の処理は、一例として、プログラムの形式で記憶媒体等に記憶されており、このプログラムをCPUがRAM等に読み出して、情報の加工・演算処理を実行することにより、各種機能が実現される。なお、プログラムは、ROMやその他の記憶媒体に予めインストールしておく形態や、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体に記憶された状態で提供される形態、有線又は無線による通信手段を介して配信される形態等が適用されてもよい。コンピュータ読み取り可能な記憶媒体とは、磁気ディスク、光磁気ディスク、CD-ROM、DVD-ROM、半導体メモリ等である。また、HDDはソリッドステートディスク(SSD)等で置き換えられてもよい。
【0035】
次に、固体燃料粉砕装置100から供給される微粉燃料の燃焼によって蒸気を発生させるボイラ200について説明する。ボイラ200は、火炉210とバーナ220とを備えている。
【0036】
バーナ220は、微粉燃料供給管120から供給される微粉燃料と一次空気との混合気と、押込通風機(FDF:Forced Draft Fan)32から送出される空気(外気)を空気予熱器34で加熱して供給される二次空気とを用いて、微粉燃料を燃焼させて火炎を形成する装置である。微粉燃料の燃焼は火炉210内で行われ、高温の燃焼ガスは、蒸発器、過熱器、節炭器などの熱交換器(図示省略)を通過した後にボイラ200の外部に排出される。
【0037】
ボイラ200から排出された燃焼ガスは、環境装置(脱硝装置、集塵装置、脱硫装置などで図示省略)で所定の処理を行うとともに、空気予熱器34で一次空気や二次空気との熱交換が行われ、誘引通風機(IDF:Induced Draft Fan)33を介して煙突(図示省略)へと導かれて外気へと放出される。空気予熱器34において燃焼ガスにより加熱された一次空気通風機31から送出される空気は、前述した熱ガス流路30aに供給される。
ボイラ200の各熱交換器への給水は、節炭器(図示省略)において加熱された後に、蒸発器(図示省略)および過熱器(図示省略)によって更に加熱されて高温高圧の過熱蒸気が生成され、発電部である蒸気タービン(図示省略)へと送られて蒸気タービンを回転駆動し、蒸気タービンに接続した発電機(図示省略)を回転駆動して発電が行われ、発電プラント1を構成する。
【0038】
次に、回転式分級機16の詳細について説明する。なお、以下の説明において、「周方向」及び「径方向」は、中心軸線Cを中心とした際の「周方向」及び「径方向」を意味する。
【0039】
回転式分級機16は、
図1に示すように、ハウジング11内の上部に設けられている。回転式分級機16は、
図2に示すように、上下方向に延在する中心軸線Cを中心として回転する。本実施形態では、回転式分級機16は、
図2及び
図3の矢印A1で示すように、平面視した際に時計回りに回転する。回転式分級機16の回転方向は、吹出口に設置された旋回羽根によって形成される一次空気の旋回方向と反対方向とされている。回転式分級機16は、モータ(図示省略)によって回転駆動力が与えられる。モータの回転数は、制御部50によって制御されるようになっている。
【0040】
回転式分級機16は、
図2及び
図3に示すように、中空状の本体部70と、本体部70の外周位置に設けられる複数のブレード60と、ブレード60を補強する補強部材80と、を備えている。
【0041】
本体部70は、中心軸線Cを中心として回転する。本体部70は、内部に空間(内部空間S1)が形成されている。本体部70は、給炭管17を覆い中心軸線Cに沿って延在する円筒軸71と、円筒軸71の上端部分の半径方向の外側に設けられる上端部72と、円筒軸71の下端部分から半径方向に延在する下端部73と、を一体的に有している。上端部72は、円環状の部材である。下端部73は、内部空間S1の下端を区画している。上端部72の上方には、ハウジング11の天井部42が設けられている。上端部72と天井部42とは近接している。内部空間S1内のガスや微粉燃料は、上端部72の内側を通過し、天井部42に形成された開口72aを介してハウジング11の外部へ排出される。天井部42に形成された開口72aには、出口ポート19(
図1参照)が接続される。
【0042】
各ブレード60は、上下方向に延在している。各ブレード60は、平板状の部材である。各ブレード60は、上端が上端部72に固定されている。また、各ブレード60は、下端が下端部73に固定されている。各ブレード60は、下端側が上端側よりも中心軸線Cに近づくように傾斜している。
【0043】
複数のブレード60は、
図3に示すように、回転式分級機16の中心軸線Cから径方向に所定の距離離間した位置に配置されている。複数のブレード60は、中心軸線Cを中心として周方向に所定の間隔(均等間隔)を空けて並列に設けられている。また、各ブレード60は、平面視した際に、径方向に対して所定の角度傾斜するように配置されている。また、周方向に隣接するブレード60同士の間には、隙間が形成されている。当該隙間は、複数のブレード60の径方向の内側の空間である内部空間S1と、ブレード60の径方向の外側の空間である外部空間S2とを連通している。各ブレード60には、径方向の外側から内側に向かう一次空気とともに粉砕燃料が導かれる。
【0044】
各ブレード60は、回転方向の前方側の面である衝突面61と、回転方向の後方側の面である背面65と、を有している。
衝突面61には、
図3に示すように、微粉燃料B2と粗粉燃料B1とを含む粉砕燃料が衝突する。衝突面61に衝突した粉砕燃料には、矢印A4で示す径方向の外向きの力(遠心力等による外部空間S2側に向かう力)と、矢印A5で示す径方向の内向きの力(一次空気の流れによる内部空間S1に向かう力)とが作用する。粗粉燃料B1は重量が大きいので、衝突面61に衝突した粗粉燃料B1には、遠心力の影響により外向きの力が強く作用する。これにより、粗粉燃料B1は、内向きの力に逆らって、矢印A2に示すように、ブレード60の外側(外部空間S2側)へ弾かれる。一方、微粉燃料B2は重量が小さいので、一次空気の流れによる内向きの力が強く作用する。これにより、微粉燃料B2に作用する力は、内向きの力が支配的になるので、微粉燃料B2は、矢印A3で示すように、ブレード60の内側(内部空間S1側)へ弾かれる。
回転式分級機16は、このような原理で、粗粉燃料B1と微粉燃料B2とを分級している。
【0045】
補強部材80は、
図3に示すように、円環状の部材である。補強部材80は、
図2に示されているように、周方向の断面(周方向に直交する面で切断した際の断面)の形状が略円形状とされている。
【0046】
補強部材80の外周面は、周方向に並んで配置される全てのブレード60と固定されている。詳細には、補強部材80の外周面は、各ブレード60の径方向の内端部と固定されている。補強部材80は、周方向に並ぶ全てのブレード60同士を連結している。
【0047】
補強部材80は、
図2に示すように、ブレード60を支持・固定する上端部72と下端部73との間に位置し、詳しくは上下方向の略中央に固定されている。
【0048】
回転式分級機16が回転すると、各ブレード60に遠心力が作用する(
図2の矢印F1及びF2参照)。各ブレード60は、上述のように、上端及び下端が本体部70に固定されている。このため、各ブレード60の上下方向の中央部には、径方向外側に撓もうとする力が作用する。このとき、各ブレード60は、補強部材80によって連結されていることから、補強部材80によって径方向内側に引っ張られる力が作用する。これにより、ブレード60の径方向外側への撓み(変形)を抑制することができる。
【0049】
次に、本実施形態のブレード60について
図3から
図5を用いて詳細に説明する。
本実施形態に係るブレード60は、
図4に示すように、回転方向の後ろ側に位置する基部62と、基部62よりも回転方向の前側に位置する硬化肉盛部(硬化部)63と、基部62の回転方向の後面に固定される取付部64と、を有する。
【0050】
基部62の回転方向の後面には、本体部70に設けられた板状のブラケット75が面接触している。
図4に示すように、ブラケット75は、板状の部材である。ブラケット75には、板厚方向に貫通する貫通孔(図示省略)が形成されている。ブラケット75は、本体部70の上端部72又は下端部73に固定されている。上端部72に固定されているブラケット75は、上端部72の下端に固定され、下端から下方に突出している。下端部73に固定されているブラケット75は、下端部73の上端に固定され、上端から上方に突出している。
【0051】
ブレード60は、
図3及び
図4に示すように、衝突面61の全面が耐摩耗性を有する高硬度の材料で形成された硬化肉盛部(硬化部)63で形成されている。また、ブレード60は、背面65が基部62で形成されている。換言すれば、本実施形態では、ブレード60と肉盛硬化部63とが板厚方向に重なっている。ブレード60の板厚方向の長さと、肉盛硬化部63の板厚方向の長さは、略同一とされてもよい。
【0052】
基部62は、肉盛硬化部63よりも耐食性の高い材料で形成されている。
肉盛硬化部63は、基部62の回転方向の前面を覆っている。肉盛硬化部63は、基部62の材料よりも硬度が高い材料で形成されている。肉盛硬化部63は、磁性体とされている。
基部62の材料の例としては、例えば、ステンレス鋼材(例えば、SUS304等)が挙げられる。また、肉盛硬化部63の材料の例としては、例えば、高クロム鋳鉄系材等が挙げられる。
【0053】
図5に示すように、基部62の回転方向の後面には、後面から突出する取付部64が固定されている。取付部64は、基部62の回転方向の後面に溶接で固定されている。したがって、取付部64と基部62の後面との接続部分には溶接部Wが設けられている。
取付部64は、所定方向(基部62の後面と直交する方向)に延在する円柱状の部材である。取付部64は、スタッドボルトであってもよい。取付部64の長手方向の一端部は、基部62の後面に溶接固定されている。また、取付部64の他端部には、外周面にネジ山又はネジ溝が形成されている。
【0054】
図4に示すように、取付部64は、ブラケット75に形成された貫通孔を挿通している。取付部64の他端部は、ブラケット75の貫通孔を挿通した状態において、ブラケット75から突出している。取付部64の他端部には、ナット66が螺合する。ナット66は、ブレード60の基部62との間にブラケット75を挟んでいる。ナット66とブラケット75との間にはワッシャ(図示省略)が設けられている。
【0055】
隣接するブレード60同士の間隔は、ブレード60の下部に行くに従って狭くなる。ブレード60が単純な平板形状である場合には、隙間の狭いブレード60の下部においても、ブレード60の設置時に引っかかるものはない。一方で、本実施形態のように、基部62に肉盛硬化部63を設けたような構成では、ブレード60の設置時に取付部64が隣接するブラケット75と干渉する可能性がある。このため、取付部64の長手方向の長さは、ブラケット75の板厚とワッシャの板厚とナット66の高さと略同一とされることが好ましい。取付部64の長さをこのような長さとすることで、ナット66の後端から突出する取付部64の長さを最小限とすることができるので、取付部64と隣接するブラケット75とが干渉し難くすることができる。
【0056】
次に、本実施形態に係る分級機の製造方法について説明する。
本実施形態では、基部62に肉盛硬化部63を設けた状態のブレード60を本体部70に取り付ける。したがって、まず、本体部70に取り付けられていない状態の基部62に対して、硬化肉盛溶接を施して肉盛硬化部63を設ける。なお、基部62に対する取付部64の溶接固定は、肉盛硬化部63を設ける前であっても、肉盛硬化部63を設けた後であってもよい。
【0057】
[複数のブレードの設置の順番]
次に、ブレード60を本体部70に取り付ける順番について
図6を用いて説明する。以下の説明では、周方向に所定の間隔で並んだ60本のブレード60を取り付ける例について説明する。本体部70には、各ブレード60の設置位置に上下方向に並ぶ一対のブラケット75が設けられている。
【0058】
本体部70は回転体であり、ミル10の中でも比較的高速で回転する部位である。このため、ブレード60の取付時には、本体部70の周方向の重量のバランス(釣り合い良さ)を考慮する必要がある。しかしながら、本実施形態のブレード60は、基部62に肉盛溶接を施すことで肉盛硬化部63が設けられている。このため、特に板厚方向の加工・施工精度が低下する。よって、ブレード60同士の重量偏差が大きくなり、本体部70の重量のバランスが取り難くなる。このような観点から、本実施形態では、以下の方法で重量分配をより正確に行っている。
【0059】
まず、各ブレード60の重量を計測する。ブレード60の重量の計測は、ブレード60の重量の5%以下の精度(例えば、100g単位)まで計測する。次に、ブレード60を重量の重い順に並べ替える。次に、中心軸線C方向から見た際の回転式分級機16の本体部70を、中心軸線Cを中心として仮想的に4つの象限に分ける。
図6では、Aが第1象限であり、Bが第2象限であり、Cが第3象限であり、Dが第4象限である。
第1象限、第2象限、第3象限及び第4象限は、各々、本体部70を中心軸線C方向から見た際に、中心軸線Cを中心として90度の範囲の領域であって、重複せずに周方向に順番に並んでいる。すなわち、第1象限と第3象限とは、中心軸線Cを中心として対角に位置している。換言すれば、第1象限と第3象限とは、中心軸線Cを中心として点対称となるように位置している。第2象限及び第4象限も、第1象限及び第3象限と同様の相対位置とされている。
【0060】
次に、重量の重いブレード60から順番に、第1象限、第3象限、第2象限、第4象限、第4象限、第2象限、第3象限、第1象限に含まれるようにブレード60を設置していく。すなわち、最も重いブレード60は、第1象限に含まれるように設置され、2番目に重いブレード60は第3象限に含まれるように設置される。
換言すれば、以下の式(1)又は式(2)を満たす順番(重さの順番)のブレード60を第1象限に設置し、式(3)又は式(4)を満たす順番のブレード60を第3象限に設置し、式(5)又は式(6)を満たす順番のブレード60を第2象限に設置し、式(7)又は式(8)を満たす順番のブレード60を第4象限に設置する。
【0061】
8n-7・・・(1)
8n・・・(2)
8n-6・・・(3)
8n-1・・・(4)
8n-5・・・(5)
8n-2・・・(6)
8n-4・・・(7)
8n-3・・・(8)
但し、nは自然数である。
【0062】
また、本実施形態では、重量の重いブレード60から順番に取り付ける。すなわち、第1象限、第3象限、第2象限、第4象限、第4象限、第2象限、第3象限、第1象限の順番を繰り返してブレード60を設置していく。
具体的には、最初に第1象限の任意の位置にブレード60を設置する。次に、第3象限にブレード60を設置する。このとき、最初に設置したブレード60と中心軸線Cを基準として点対称となる位置にブレード60を設置する。次に、第2象限、第4象限の順番で、1つ前のブレード60と点対称となるようにブレード60を設置する。第4象限にブレード60を設置すると、次に、再度第4象限にブレード60を設置する。このとき、1つ前に設置したブレード60の隣にブレード60を設置する。次に、第2象限、第3象限、第1象限の順番で1つ前のブレード60と点対称となるようにブレード60を設置する。第1象限にブレード60を設置すると、次に、再度第1象限にブレード60を設置する。このとき、1つ前に設置したブレード60の隣にブレード60を設置する。このような順番を繰り返し、全てのブレード60を設置する。
【0063】
なお、
図6にカッコで囲う数字は、当該位置に設置されるブレード60の重量の順番を示すとともに、設置される順番を示している。すなわち、
図6中の(1)は、(1)の位置に設置されるブレード60が最も重いブレード60であり、かつ、最初に設置されるブレード60であることを示している。
【0064】
[ブレードの設置方法]
各ブレード60を本体部70のブラケット75に固定する際には、取付部64をブラケット75に形成された貫通孔に挿通する。貫通孔を挿通した状態の取付部64の先端にナット66を螺合する。このようにして、本体部70にブレード60を取り付ける。
なお、本体部70にブレード60を取り付ける作業は、ミル10内の作業員が粉砕テーブル12(
図1参照)上に立って行うこととなる。しかしながら、ブレード60は重量物であるため、作業員が本体部70の位置までブレード60を持ち上げることは難しい。このため、本実施形態では、既に設置したブレード60の肉盛硬化部63に磁力で取り付けられた吊上げ装置(図示省略)でブレード60を吊上げる。
【0065】
[補強部材の設置方法]
また、本実施形態では、全てのブレード60を取り付けた後に、ブレード60の内端に補強部材80を溶接固定する。このとき、補強部材80の位置決めを行うために、ブレード60の肉盛硬化部63に磁力で取り付けられた円環状の位置決め部材81(
図2参照)を取り付ける。そして、位置決め部材81の上に補強部材80を載置し、その状態で補強部材80とブレード60との溶接を行う。
【0066】
本実施形態によれば、以下の作用効果を奏する。
回転式分級機16のブレード60は、ミル10の運転中、常時粗粒に曝されるため、耐摩耗性の高い材料を使用する必要がある。また、ブレード60は同時に耐食性も求められる。例えば、炭素鋼のように酸化しやすい材料でブレードを形成した場合、空気中の酸素や水分によりブレードの表面が酸化し、脆い酸化水酸化鉄(所謂赤錆)が生成される。酸化水酸化鉄は粗粒の衝突により容易に削り取られてしまう。このため、ブレードの摩耗(化学摩耗)が促進する。仮に、ブレードを空気中の酸素や水分から保護するため、ブレードに対して塗装やメッキ等の表面コーティングを施しても、粗粒の衝突によりコーティングが削り取られてしまうことになる。このため、ブレードは、素材そのものに耐食性が求められる。
【0067】
ブレードの耐食性を向上させるために、ブレード全体を耐食性を有するSUS材(例えば、SUS304)でブレード全体を形成することが考えられる。SUS材は、鉄にクロムとニッケルを添加した合金であり、空気中で表面に不動体被膜を生じることから、酸化されにくく、化学摩耗が生じ難い特性を持つ。また、仮に粗粒の衝突により表面の不動体被膜が削り取られたとしても、直ちに空気中の酸素と反応して不動体被膜が再生される為、長期間に渡って耐食性が維持され化学摩耗が生じにくい特性を持つ。このため、ブレードをSUS材で形成することで、ブレードの耐食性を向上させることができる。
【0068】
しかしながら、SUS材は、耐摩耗性(例えば、SUS304)が高くない。これは耐食性の高いオーステナイト系ステンレスは、焼入等により硬度が上げられないためである。硬度は素材の耐摩耗性に大きく影響することから、SUS材では耐摩耗性を高くすることができない可能性があった。よって、SUS材でブレードを形成した場合には、摩耗が進行し易いので、頻繁なブレードの交換が必要となる可能性があった。
【0069】
一方で、本実施形態では、ブレード60のステンレス鋼材で形成された基部62の回転方向の前面に、高硬度の肉盛硬化部63を設けている。これにより、耐摩耗性と耐食性の両方を向上させることができる。
また、基部62の前面を肉盛硬化部63で覆っているので、基部62の摩耗を抑制することができる。また、粒子は摩耗し難い肉盛硬化部63に衝突することとなることから、ブレード60の摩耗量を抑制することができる。したがって、ブレード60を長寿命化することができる。よって、回転式分級機16のメンテナンスコストを低減することができる。
【0070】
摩耗抑制効果について
図7及び
図8を用いて説明する。
図7は本実施形態に係るブレード60を示している。
図8は、本開示の比較例に係るブレード60である。比較例に係るブレード60は、低炭素鋼で形成された基部162の前面に肉盛硬化部63を設けている。
一般的に、ブレード60の基部62は、肉盛硬化部63を支持する機能のみが求められるため、入手性及び溶接性、加工性の良い低炭素鋼とされる。しかしながら上述の通り、回転式分級機16のブレード60は、耐摩耗性と同時に耐食性も求められる。しかしながら、低炭素鋼は、耐摩耗性及び耐食性が低い。このため、
図8に示すように、低炭素鋼から形成される基部162を有するブレード60の場合、肉盛硬化部63が摩耗し低炭素鋼の基部162が露出すると、急速に摩耗する。
一方で、
図7に示すように、本実施形態に係るブレード60は、基部62に耐摩耗性及び耐食性の高いステンレス鋼材を使用しているので、基部62が露出しても摩耗が進行し難い。このため、本実施形態に係るブレード60は、比較例に係るブレードと比較して、摩耗量を低減することができる。よって、ブレード60を長寿命化することができる。
【0071】
また、本実施形態では、基部62のうち、肉盛硬化部63に覆われていない後面に取付部64が固定されている。これにより、肉盛硬化部63に対して加工を施さずにブレード60に取付部64を設けることができる。したがって、硬度が高く加工し難い肉盛硬化部63に加工を施さずに済むので、ブレード60に容易に取付部64を設けることができる。
【0072】
また、本実施形態では、取付部64が基部62の後面に固定されている。これにより、取付部64に対する粒子の衝突を抑制することができる。したがって、取付部64の摩耗を抑制することができる。
【0073】
また、本実施形態では、ブラケット75に形成された貫通孔を挿通するボルト部と、ボルト部と螺合するナット66と、を取付部64が有している。これにより、ブラケット75に対して取付部64を強固に取り付けることができる。したがって、本体部70に対してブレード60を強固に取り付けることができる。
【0074】
また、本実施形態では、重いブレード60から順番に取り付けるとともに、第1象限、第3象限、第4象限、第2象限、第2象限、第4象限、第3象限、第1象限の順番、又は、第1象限、第3象限、第2象限、第4象限、第4象限、第2象限、第3象限、第1象限の順番にブレード60を取り付けている。これにより、各象限におけるブレード60の総重量を均一化することができる。したがって、回転式分級機16の周方向における重量を均一化することができる。したがって、回転式分級機16の回転に伴う振動を低減することができる。また、回転式分級機16を損傷し難くすることができる。
【0075】
また、本実施形態では、取付工程において、本体部に取り付けられたブレード60の肉盛硬化部63に磁力で取り付けられた吊上げ部によって、他のブレード60を吊上げる。これにより、ブレード60を容易に本体部まで吊り上げることができるので、回転式分級機16の製造作業の作業性を向上させることができる。
また、マグネット式の位置決め部材81で補強部材80を位置決めすることができるので、補強部材80を容易に取り付けることができる。したがって、回転式分級機16の製造作業の作業性を向上させることができる。
【0076】
なお、本開示は、上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において、適宜変形が可能である。
例えば、使用する固体燃料は、本開示に限定されず、石炭、バイオマス燃料、石油コークス(PC:Petroleum Coke)などを用いることができる。さらに、それらの固体燃料を組み合わせて使用してもよい。
【0077】
また、上記実施形態では、基部62に肉盛硬化部63を設けた状態のブレード60を本体部70に取り付ける例について説明したが、本開示はこれに限定されない。例えば、摩耗により肉盛硬化部63が低減したブレード60に対して、本体部70に取り付けられた状態で、基部62に肉盛溶接を施すことで再度肉盛硬化部63を形成してもよい。すなわち、ブレード60を補修してもよい。
ブレード60は下半部が摩耗し易い傾向にある。このため、摩耗した部分に対して硬化肉盛溶接を施して補修することで、ブレード60の長寿命化を図ることができる。すなわち、ブレード60を長期間交換せずに使用することできる。
ブレード60が取り付けられている本体部70は、回転体とされている。このため、本体部70は、軸受を介してミル10に設置されている。硬化肉盛溶接を行う際に発生する電流が軸受に流れると、軸受の転動面を損傷する可能性がある。このため、肉盛溶接を行う際には、電流が軸受に流れないように、ブレード60の直近に複数のアースを設置する。具体的には、例えば、ブラケット75にアースを設置してもよい。
上記構成では、肉盛溶接工程において、ブラケットにアースを設置する。これにより、肉盛溶接時に生じる電流がアースを介して分級機の外部へ流れる。したがって、電流が分級機の他の部品に流れることによる当該部品の損傷を抑制することができる。
【0078】
以上説明した実施形態に記載の分級機及び粉砕機並びに分級機の製造方法は、例えば以下のように把握される。
本開示の第1態様に係る分級機は、上下方向に延在する中心軸線(C)を中心として回転し、径方向の外側から搬送用ガスによって導かれた粒子を、所定粒子径よりも大きい前記粒子と所定粒子径以下の前記粒子とに分級する分級機(16)であって、前記中心軸線(C)を中心として回転する本体部(70)と、前記本体部(70)に支持され、上下方向に延在し、前記中心軸線(C)を中心として周方向に沿って所定の間隔で並んで配置され、所定粒子径よりも大きい前記粒子を衝突面で弾く複数のブレード(60)と、を備え、前記本体部(70)は、各前記ブレード(60)を支持する複数のブラケット(75)を有し、前記ブレード(60)は、ステンレス鋼で形成された基部(62)と、前記基部(62)の回転方向の前面を覆い前記基部(62)よりも硬度が高い材料で形成された硬化部(63)と、前記基部(62)の前記回転方向の後面に固定され前記ブラケット(75)に取り付けられる取付部(64)と、を有する。
【0079】
上記構成では、ブレードの基部の回転方向の前面が硬化部で覆われている。このように、基部の前面を硬化部で覆っているので、基部の摩耗を抑制することができる。また、粒子は摩耗し難い硬化部に衝突することとなることから、ブレード全体の摩耗を抑制することができる。したがって、ブレードを長寿命化することができる。よって、分級機のメンテナンスコストを低減することができる。
【0080】
また、上記構成では、基部のうち、硬化部に覆われていない後面に取付部が固定されている。これにより、硬化部に対して加工を施さずにブレードに取付部を設けることができる。したがって、硬度が高く加工し難い硬化部に加工を施さずに済むので、ブレードに容易に取付部を設けることができる。
また、上記構成では、取付部が基部の後面に固定されている。これにより、取付部に対する粒子の衝突を抑制することができる。したがって、取付部の摩耗を抑制することができる。
【0081】
また、本開示の第2態様に係る分級機は、上記第1態様において、前記ブラケット(75)は、貫通孔が形成され、前記取付部(64)は、一端部が前記基部(62)の前記後面に固定され、他端部の外面にネジが設けられ、前記貫通孔を挿通するボルト部と、前記ボルト部と螺合するナット(66)と、を有する。
【0082】
上記構成では、ブラケットに形成された貫通孔を挿通するボルト部と、ボルト部と螺合するナットとを取付部が有している。これにより、ブラケットに対して取付部を強固に取り付けることができる。したがって、本体部に対してブレードを強固に取り付けることができる。
【0083】
また、本開示の第1態様に係る粉砕機は、上記第1態様または第2態様の分級機を備える。
【0084】
本開示の第1態様に係る分級機の製造方法は、上下方向に延在する中心軸線(C)を中心として回転し、径方向の外側から搬送用ガスによって導かれた粒子を、所定粒子径よりも大きい前記粒子と所定粒子径以下の前記粒子とに分級する分級機(16)の製造方法であって、前記分級機(16)は、前記中心軸線(C)を中心として回転する本体部(70)と、前記本体部(70)に支持され、上下方向に延在し、前記中心軸線(C)を中心として周方向に沿って所定の間隔で並んで配置され、所定粒子径よりも大きい前記粒子を衝突面で弾く複数のブレード(60)と、を備え、前記本体部(70)は、各前記ブレード(60)を支持する複数のブラケット(75)を有し、前記ブレード(60)は、ステンレス鋼で形成された基部(62)と、前記基部(62)の回転方向の前面を覆い前記基部(62)よりも硬度が高い材料で形成された硬化部(63)と、前記基部(62)の前記回転方向の後面に固定される取付部(64)と、を有し、前記ブラケット(75)に対して前記ブレード(60)の前記取付部(64)を取り付ける取付工程を備える。
【0085】
また、本開示の第2態様に係る分級機の製造方法は、上記第1態様において、各前記ブレード(60)の重量を測定する工程を備え、前記取付工程は、前記分級機(16)を前記中心軸線(C)方向から見た際の前記中心軸線(C)を中心とした第1象限、第2象限、第3象限及び第4象限を規定した場合、重量の重い前記ブレード(60)から順番に、前記第1象限、前記第3象限、前記第2象限、前記第4象限、前記第4象限、前記第2象限、前記第3象限、前記第1象限に含まれるように配置される。
【0086】
また、本開示の第3態様に係る分級機の製造方法は、上記第2態様において、前記取付工程は、複数の前記ブレード(60)を重量の順番に取り付ける。
【0087】
上記構成では、重いブレードから順番に取り付けるとともに、第1象限、第3象限、第4象限、第2象限、第2象限、第4象限、第3象限、第1象限の順番、又は、第1象限、第3象限、第2象限、第4象限、第4象限、第2象限、第3象限、第1象限の順番にブレードを取り付けている。これにより、各象限におけるブレードの総重量を均一化することができる。したがって、分級機の周方向における重量を均一化することができる。したがって、分級機の回転効率を向上させることができる。また、分級機を損傷し難くすることができる。
【0088】
また、本開示の第4態様に係る分級機の製造方法は、上記第1態様から第3態様のいずれかにおいて、前記ブラケット(75)に取り付けられた状態の前記ブレード(60)の前記基部(62)の前記前面に前記硬化部(63)を肉盛溶接する肉盛溶接工程を備え、前記肉盛溶接工程は、前記ブラケット(75)にアースを設置する。
【0089】
上記構成では、肉盛溶接工程において、ブラケットにアースを設置する。これにより、肉盛溶接時に生じる電流がアースを介して分級機の外部へ流れる。したがって、電流が分級機の他の部品に流れることによる当該部品の損傷を抑制することができる。
【0090】
また、本開示の第5態様に係る分級機の製造方法は、上記第1態様から第4態様のいずれかにおいて、前記硬化部(63)は磁性体であり、前記取付工程は、前記本体部(70)に取り付けられた前記ブレード(60)の前記硬化部(63)に磁力で取り付けられた吊上げ部によって、他の前記ブレード(60)を吊上げる。
【0091】
上記構成では、取付工程において、本体部に取り付けられたブレードの硬化部に磁力で取り付けられた吊上げ部によって、他のブレードを吊上げる。これにより、ブレードを容易に本体部まで吊り上げることができるので、分級機の製造作業の作業性を向上させることができる。
【符号の説明】
【0092】
1 :発電プラント
10 :ミル
11 :ハウジング
12 :粉砕テーブル
13 :粉砕ローラ
14 :減速機
15 :ミルモータ
16 :回転式分級機(分級機)
17 :給炭管
18 :分級機モータ
19 :出口ポート
21 :バンカ
22 :ダウンスパウト部
25 :給炭機
26 :搬送部
27 :給炭機モータ
30 :送風部
30a :熱ガス流路
30b :冷ガス流路
30c :熱ガスダンパ
30d :冷ガスダンパ
31 :一次空気通風機
34 :空気予熱器
40 :状態検出部
41 :底面部
42 :天井部
45 :ジャーナルヘッド
46 :押圧装置
47 :支持アーム
48 :支持軸
50 :制御部
60 :ブレード
61 :衝突面
62 :基部
63 :肉盛硬化部(硬化部)
64 :取付部
65 :背面
66 :ナット
70 :本体部
71 :円筒軸
72 :上端部
72a :開口
73 :下端部
75 :ブラケット
80 :補強部材
81 :位置決め部材
100 :固体燃料粉砕装置
110 :一次空気流路
120 :微粉燃料供給管
162 :基部
200 :ボイラ
210 :火炉
220 :バーナ
S1 :内部空間
S2 :外部空間
W :溶接部