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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024158381
(43)【公開日】2024-11-08
(54)【発明の名称】撮像装置
(51)【国際特許分類】
   G03B 17/02 20210101AFI20241031BHJP
【FI】
G03B17/02
【審査請求】有
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023073534
(22)【出願日】2023-04-27
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2024-04-26
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100132241
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 博史
(74)【代理人】
【識別番号】100183265
【弁理士】
【氏名又は名称】中谷 剣一
(72)【発明者】
【氏名】和田 倫太郎
(72)【発明者】
【氏名】才木 淳
(72)【発明者】
【氏名】工藤 嘉晃
(57)【要約】
【課題】貫通穴状のねじ穴が形成され、ねじを介して他の部材に対して互いに固定される固定部材を備える撮像装置において、切り粉などの異物がねじ穴から他の場所に拡散することをより確実に抑制する。
【解決手段】撮像装置は、第1の面54bと反対側の第2の面54cとを備え、第1の面54bから第2の面54cに向かって貫通するねじ穴54aが形成されている固定部材54と、固定部材54の第1の面54bからねじ穴54aに螺合するねじ60と、固定部材54の第2の面54c上のねじ穴54aの開口を覆い、変形可能なシートフィルム62と、シートフィルム62を固定部材54の第2の面54cに固定する両面テープ64とを有する。ねじ60が、固定部材54の第2の面54cから突出し、両面テープ64を通過し、シートフィルム62に直接的に接触する。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の面と前記第1の面に対して反対側の第2の面とを備え、前記第1の面から前記第2の面に向かって貫通するねじ穴が形成されている固定部材と、
前記固定部材の前記第1の面から前記ねじ穴に螺合するねじと、
前記固定部材の前記第2の面上の前記ねじ穴の開口を覆い、変形可能なシートフィルムと、
前記シートフィルムを前記固定部材の前記第2の面に固定する両面テープと、を有し、
前記ねじが、前記固定部材の前記第2の面から突出し、前記両面テープを通過し、前記シートフィルムに直接的に接触する、撮像装置。
【請求項2】
前記両面テープが、前記ねじ穴の貫通方向視で前記ねじが前記両面テープの近傍を通過するように、前記固定部材の前記第2の面に貼り付けられている、請求項1に記載の撮像装置。
【請求項3】
前記両面テープが、前記貫通方向視で前記ねじ穴を内含する貫通穴を備える、請求項1に記載の撮像装置。
【請求項4】
前記ねじ穴が、複数あって、
前記シートフィルムが、前記複数のねじ穴それぞれの開口を覆い、互いに分離した複数の開口カバー部と、前記複数の開口カバー部を連結する連結部とを含み、
前記両面テープが、前記シートフィルムの前記連結部を前記固定部材の第2の面に固定する、請求項1または2に記載の撮像装置。
【請求項5】
前記シートフィルムを挟んで前記固定部材の前記第2の面に対向し、前記シートフィルムが前記固定部材の前記第2の面に接触し続けるように前記シートフィルムを支持するシートフィルム支持部材、をさらに有する、請求項1に記載の撮像装置。
【請求項6】
前記シートフィルム支持部材が、前記ねじ穴の貫通方向視で前記ねじ穴を少なくとも部分的に囲むように、前記シートフィルムに接触する、請求項5に記載の撮像装置。
【請求項7】
前記両面テープと前記シートフィルム支持部材が、前記貫通方向視で、前記ねじ穴を囲んでいる、請求項6に記載の撮像装置。
【請求項8】
前記固定部材の前記ねじ穴の下方に配置された撮像素子を、さらに有する、請求項1に記載の撮像装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1には、撮像装置において、貫通穴状のねじ穴の開口が形成された固定部材(ねじによって他の部材に対して互いに固定される部材)の表面に、ねじ穴を覆うように遮光シート(カバーフィルム)を貼り付けることが開示されている。これにより、ねじ穴にねじが螺合されたとき、ねじ穴内の切り粉などの異物がねじ穴の開口から外部に出ることが抑制されている。その結果、異物が撮影画像に写ることが抑制されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009-139513号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1に記載された撮像装置の場合、ねじの先端がねじ穴の開口から突出すると、遮光シートが、ねじの先端に押され、ねじ穴の開口が形成された部品の表面から部分的にはく離する可能性がある。遮光シートが部分的にはく離すると、その剥離したシートの部分と固定部材の表面との間の隙間を介して、ねじ穴内の異物が他の場所、例えば撮像素子の受光面に向かう光路上に拡散する可能性がある。
【0005】
そこで、本開示は、貫通穴状のねじ穴が形成され、ねじを介して他の部材に対して互いに固定される固定部材を備える撮像装置において、切り粉などの異物がねじ穴から他の場所に拡散することをより確実に抑制することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述の課題を解決するために、本開示の一態様によれば、
第1の面と前記第1の面に対して反対側の第2の面とを備え、前記第1の面から前記第2の面に向かって貫通するねじ穴が形成されている固定部材と、
前記固定部材の前記第1の面から前記ねじ穴に螺合するねじと、
前記固定部材の前記第2の面上の前記ねじ穴の開口を覆い、変形可能なシートフィルムと、
前記シートフィルムを前記固定部材の前記第2の面に固定する両面テープと、を有し、
前記ねじが、前記固定部材の前記第2の面から突出し、前記両面テープを通過し、前記シートフィルムに直接的に接触する、撮像装置が提供される。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、貫通穴状のねじ穴が形成され、ねじを介して他の部材に対して互いに固定される固定部材を備える撮像装置において、切り粉などの異物がねじ穴から他の場所に拡散することをより確実に抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本開示の実施の形態1に係る撮像装置の斜視図
図2】撮像装置の分解斜視図
図3】撮像ユニットの分解斜視図
図4】伝熱ユニットの斜視図
図5】伝熱ユニットの部分透視斜視図
図6】伝熱ユニットの分解斜視図
図7】伝熱ユニットの部分断面図
図8】伝熱ユニットの異なる部分断面図
図9】伝熱ユニットにおける伝熱部材と接続部材との接続を示す斜視図
図10】シートフィルム支持部材を示す斜視図
図11】実施の形態2に係る撮像装置における、伝熱ユニットの一部分の分解斜視図
図12】実施の形態2に係る撮像装置における、伝熱ユニットにおける伝熱部材と接続部材との接続を示す斜視図
図13】実施の形態2に係る撮像装置における、伝熱ユニットの部分断面図
図14】実施の形態3に係る撮像装置における、伝熱ユニットの一部分の分解斜視図
図15】実施の形態3に係る撮像装置における、伝熱ユニットにおける伝熱部材と接続部材との接続を示す斜視図
図16】実施の形態3に係る撮像装置における、伝熱ユニットの部分断面図
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、適宜図面を参照しながら、実施の形態を詳細に説明する。但し、必要以上に詳細な説明は省略する場合がある。例えば、既によく知られた事項の詳細説明や実質的に同一の構成に対する重複説明を省略する場合がある。これは、以下の説明が不必要に冗長になるのを避け、当業者の理解を容易にするためである。
【0010】
なお、発明者(ら)は、当業者が本開示を十分に理解するために添付図面および以下の説明を提供するのであって、これらによって特許請求の範囲に記載の主題を限定することを意図するものではない。
【0011】
以下、本開示の実施の形態に係る撮像装置について図面を参照しながら説明する。
【0012】
(実施の形態1)
図1は、本開示の実施の形態1に係る撮像装置の斜視図である。また、図2は、撮像装置の分解斜視図である。さらに、図3は、撮像ユニットの分解斜視図である。
【0013】
なお、図に示すX-Y-Z直交座標系は、本開示の実施の形態の理解を容易にするためのものであって、本開示の実施の形態を限定するものではない。X軸方向は撮像装置の前後方向であって、Y軸方向は左右方向であって、Z軸方向は高さ方向である。撮影するときに被写体が存在する側が撮像装置の前側であって、撮像装置の右側および左側は、撮像装置をその前方から見た場合における(正面視における)右側および左側である。
【0014】
図1図3に示すように、本実施の形態1に係る撮像装置10は、ハウジング12を有する。ハウジング12の前面12aにはレンズ(図示せず)が着脱可能に取り付けられるレンズマウント14が設けられている。また、ハウジング12の上面12bには、シャッタボタン16が設けられている。
【0015】
図2に示すように、本実施の形態1の場合、撮像装置10のハウジング12は、レンズマウント14が設けられ、ハウジング12の前面12aを含むフロントケーシング18と、シャッタボタン16が設けられ、ハウジング12の上面12bを含むトップケーシング20と、ハウジング12の後面12cを含むリアケーシング22とから構成されている。
【0016】
図2および図3に示すように、ハウジング12内には、レンズマウント14に取り付けられたレンズを透過した被写体の像を画像データに変換する撮像ユニット24が搭載されている。また、撮像ユニット24などを制御する制御基板26がハウジング12内に搭載されている。さらに、撮像ユニット24、制御基板26などに電力供給を行うバッテリ28がハウジング12内に搭載されている。
【0017】
撮像ユニット24は、図3に示すように、被写体の像を画像データに変換する撮像素子30を含んでいる。撮像素子30は、レンズマウント14に取り付けられたレンズを透過した被写体の像が入射する受光面30aを備える。
【0018】
また、撮像ユニット24は、撮像素子30を撮像装置10の左右方向(Y軸方向)および高さ方向(Z軸方向)に変位させる手ブレ補正ユニット32を含んでいる。
【0019】
手ブレ補正ユニット32は、ユーザの手から撮像装置10に伝わる振動によって生じる画像ブレを抑制するためのユニットである。そのために、手ブレ補正ユニット32は、受光面30aに直交する光軸Cの延在方向(前後方向(X軸方向))に対して直交する2方向(左右方向(Y軸方向)および高さ方向(Z軸方向))に、撮像素子30を変位するように構成されている。具体的には、撮像装置10のハウジング12が変位した方向に対して逆方向に手ブレ補正ユニット32が撮像素子30を変位させることにより、画像ブレが抑制される。
【0020】
さらに、撮像ユニット24は、撮像素子30の受光面30aに対して前方に配置され、被写体からの光に含まれる赤外線をカットする赤外線フィルタ、受光面30aを保護する保護ガラスなどの複数のフィルタを含むフィルタユニット34を含んでいる。
【0021】
さらにまた、撮像ユニット24は、フィルタユニット34の前方に配置され、露光時間を調節するシャッタユニット36を含んでいる。シャッタボタン16が押されると、シャッタユニット36内のシャッタ36aが閉じ、撮像素子30の受光面30aに向かう光が遮断される。
【0022】
手ブレ補正ユニット32が適切に撮像素子30を変位させるために、図2に示すように、撮像装置10の振動を検出するためのセンサ40が、撮像装置10に設けられている。本実施の形態の場合、センサ40は、ジャイロセンサである。センサ40は、センサ支持部材42を介して、ハウジング12のトップケーシング20に固定されている。
【0023】
さらに、本実施の形態1の場合、撮像装置10は、ハウジング12内に搭載された構成要素から発生した熱をハウジング12に伝熱する伝熱ユニットを備えている。
【0024】
図4は、伝熱ユニットの斜視図である。また、図5は、伝熱ユニットの部分透視斜視図である。さらに、図6は伝熱ユニットの分解斜視図である。そして、図7および図8は、伝熱ユニットの異なる部分断面図である。
【0025】
図4に示すように、本実施の形態1の場合、伝熱ユニット50は、制御基板26上のICチップなどの発熱源と接触して熱を吸収する吸熱部材52と、ハウジング12のトップケーシング20と接触してトップケーシング20に熱を伝える伝熱部材(固定部材)54と、吸熱部材52と伝熱部材54とを接続する接続部材56とを含んでいる。吸熱部材52、伝熱部材54、および接続部材56は、例えば高い熱伝導性を備える金属材料から作製されている。
【0026】
吸熱部材52は、図2に示すように、プレート状であって、撮像ユニット24と制御基板26との間に、且つ、制御基板26上のICチップなどの複数の発熱源と接触するように配置されている。これにより、吸熱部材52と制御基板26上の発熱源が熱的に接続されている。
【0027】
伝熱部材54は、図2および図6に示すように、略「L」字に曲げられた薄板状の部材であって、センサ支持部材42に支持されている。具体的には、図7および図8に示すように、伝熱部材54は、センサ支持部材42に形成された貫通穴42aに挿入されることにより、センサ支持部材42に支持されている。センサ支持部材42がトップケーシング20に取り付けられると、伝熱部材54は、トップケーシング20の内面に接触する。これにより、伝熱部材54とトップケーシング20が熱的に接続されている。
【0028】
図9は、伝熱ユニットにおける伝熱部材と接続部材との接続を示す斜視図である。
【0029】
図5図6、および図9に示すように、接続部材56は、吸熱部材52と伝熱部材54とを接続する部材である。接続部材56により、吸熱部材52と伝熱部材54とが熱的に接続される。その結果、制御基板26の熱は、吸熱部材52、接続部材56、および伝熱部材54を介してハウジング12のトップケーシング20に伝わり、そのトップケーシング20から撮像装置10の外部に放出される。
【0030】
接続部材56は、図6に示すように、複数のねじ58、60を介して、吸熱部材52と伝熱部材54それぞれに面接触した状態で固定されている。具体的には、接続部材56は、通し穴56a、56bを備える。通し穴56aを通過して吸熱部材52のねじ穴52aに螺合する複数のねじ58により、接続部材56と吸熱部材52が互いに固定されている。また、通し穴56bを通過して伝熱部材54のねじ穴54aに螺合する複数のねじ60により、接続部材56と伝熱部材54が互いに固定されている。
【0031】
図7に示すように、伝熱部材54のねじ穴54aは、貫通穴状である。ねじ穴54aは、接続部材56と面接触する第1の面54bからその反対側の面である第2の面54cに向かって貫通し、そのために第2の面54c上で開口している。
【0032】
伝熱部材54の第2の面54c上のねじ穴54aの開口を覆うように、シートフィルム62が、両面テープ64を介して、伝熱部材54の第2の面54cに固定されている(貼り付けられている)。本実施の形態1の場合、シートフィルム62と両面テープ64は、実質的に同一の矩形状である。
【0033】
これらのシートフィルム62と両面テープ64とにより、ねじ穴54a内に切り粉などの異物が存在するとき、その異物が第2の面54c上の開口を介してねじ穴54aから他の場所に拡散することが抑制されている。すなわち、ねじ60が第1の面54bからねじ穴54aに螺合し、そのねじ60の先端に押された異物が第2の面54c上の開口を介して他の場所に拡散することが抑制されている。
【0034】
このようにシートフィルム62により伝熱部材54の第2の面54c上のねじ穴54aの開口を覆う理由は、本実施の形態1においては、図2に示すように、伝熱部材54のねじ穴54aの下方に、撮像ユニット24(すなわち撮像素子30)が存在するからである。シートフィルム62が存在しない場合、ねじ60がねじ穴54aに螺合すると、そのねじ穴54a内の異物が撮像ユニット24に向かって落下する可能性がある。落下した異物が、撮像素子30の受光面30aに向かう光路上に侵入すると、異物が撮影画像に写る可能性がある。また、落下した異物が手ブレ補正ユニット32内に侵入すると、手ブレ補正ユニット32が撮像素子30を正常に変位させることができなくなる可能性がある。
【0035】
なお、ねじ穴54a内には、切り粉などの異物以外にも、ねじゆるみ止め剤が存在する場合がある。その場合、ねじゆるみ止め剤の一部が、ねじ60の螺合によってねじ穴54aの外部に押し出される可能性がある。
【0036】
また、図7に示すように、ねじ60は、伝熱部材54の第2の面54cから突出する。これは、伝熱部材54の肉厚が薄く、そのために、ねじ穴54aの深さが小さいからである。
【0037】
そのため、シートフィルム62は、変形可能な厚さおよび材料で作製されている。具体的には、シートフィルム62は、延伸可能な材料、例えばポリエステル樹脂から作製されている。また、シートフィルム62は、例えば0.04mmの厚さである。このような延伸性により、図9に示すように、ねじ60に押されたシートフィルム62の部分に、伝熱部材54から離れる方向に突出し、第2の面54cから突出したねじ60の部分を収容する凸部をなすエンボス部62aが形成される。その結果、シートフィルム62は、第2の面54cから突出したねじ60に押されても、破れることなく、ねじ穴54aの開口を覆い続けることができる。また、ねじ60に押されても、シートフィルム62は、両面テープ64に接着し続けることができる。
【0038】
さらに、図7に示すように、ねじ60は、シートフィルム62を伝熱部材54に固定する両面テープ64を通過する。本実施の形態1の場合、図6図8に示すように、両面テープ64は、伝熱部材54の第2の面54cに貼り付けられたときにねじ穴54aの貫通方向(X軸方向)視でねじ穴54aを内含する貫通穴64aを備えている。これにより、ねじ穴54aに螺合して伝熱部材54の第2の面54cから突出するねじ60は、両面テープ64の貫通穴64aを通過する。すなわち、両面テープ64に接触することなく、ねじ60は両面テープ64を通過(貫通)し、直接的にシートフィルム62に接触する。その結果、ねじ60が両面テープ64を通過しない場合(すなわちねじ60がシートフィルム62と両面テープ64の両方を押す場合)に比べて、両面テープ64が伝熱部材54の第2の面54cから剥離することが抑制される。
【0039】
さらにまた、本実施の形態1の場合、撮像装置10は、ねじ60によって押されるシートフィルム62を反対側から支持するシートフィルム支持部材を備える。
【0040】
図10は、シートフィルム支持部材を示す斜視図である。
【0041】
図7図8、および図10に示すように、本実施の形態1の場合、シートフィルム62を支持するシートフィルム支持部材42bは、センサ支持部材42に形成された複数のリブである。複数のシートフィルム支持部材42bは、シートフィルム62を挟んで伝熱部材54の第2の面54cに対向し、シートフィルム62を支持する。具体的には、複数のシートフィルム支持部材42bは、ねじ穴54aが形成されていない伝熱部材54の第2の面54cの部分に対向する。その結果、ねじ60は、シートフィルム支持部材42bに邪魔されることなく、伝熱部材54の第2の面54cから突出することができる。
【0042】
また、シートフィルム支持部材42bは、図7および図8に示すように、ねじ穴54aの貫通方向(X軸方向)視で、ねじ穴54aを少なくとも部分的に囲むように、シートフィルム62に接触する。本実施の形態1の場合、図8に示すように、ねじ穴54aは、その貫通方向(X軸方向)視で、リブ状の複数のシートフィルム支持部材42bの間に位置する。
【0043】
このようなシートフィルム支持部材42bにシートフィルム62が支持されることにより、両面テープ64を介して、シートフィルム62と伝熱部材54の第2の面54cとが接触し続ける。それにより、シートフィルム62と両面テープ64との間での剥離と、両面テープ64と伝熱部材54との間での剥離とが抑制される。具体的には、ねじ60によってシートフィルム62が押されるとシートフィルム62全体が伝熱部材54の第2の面54cから離れる方向に変位しようとするが、その全体の変位をシートフィルム支持部材42bが規制する。ただし、ねじ60が接触して且つシートフィルム支持部材42bに支持されていないシートフィルム62の部分は変位する。すなわち、ねじ60の押圧力が、シートフィルム62と両面テープ64との間および/または両面テープ64と伝熱部材54との間での剥離にではなく、図9に示すエンボス部62aの形成に利用される。
【0044】
以上のような本実施の形態1によれば、貫通穴状のねじ穴54aが形成され、ねじ60を介して接続部材56(他の部材)に対して互いに固定される伝熱部材54(固定部材)を備える撮像装置において、切り粉などの異物がねじ穴54aから他の場所へ拡散することをより確実に抑制することができる。
【0045】
具体的には、伝熱部材54の第2の面54cにおけるねじ穴54aの開口を囲む開口縁部分に、シートフィルム62が両面テープ64を介して固定されている。また、伝熱部材54の第2の面54cから突出したねじ60が、シートフィルム62に直接的に接触し、その接触した部分を破ることなくエンボス状に変形させる。それにより、ねじ60が伝熱部材54の第2の面54cから突出しても、両面テープ64と伝熱部材54との間で剥離が実質的に生じない。その結果、剥離によって生じた両面テープ64と伝熱部材54との間の隙間を介して、切り粉などの異物がねじ穴54aから他の場所へ拡散することが抑制されている。
【0046】
また、本実施の形態1の場合、シートフィルム支持部材42bによるシートフィルム62の支持により、シートフィルム62と両面テープ64との間の剥離および両面テープ64と伝熱部材54との間の剥離が抑制されている。その結果、切り粉などの異物がねじ穴54aから他の場所へ拡散することがさらに抑制されている。
【0047】
(実施の形態2)
本実施の形態2は、シートフィルムと両面テープを除いて、上述の実施の形態1と実質的に同一である。したがって、上述の実施の形態1と異なるシートフィルムと両面テープを中心にして、本実施の形態2について説明する。なお、上述の実施の形態1の構成要素と実質的に同一の本実施の形態2の構成要素には、同一の符号が付されている。
【0048】
図11は、本実施の形態2に係る撮像装置における伝熱ユニットの一部分の分解斜視図である。また、図12は、本実施の形態2に係る撮像装置における、伝熱ユニットにおける伝熱部材と接続部材との接続を示す斜視図である。そして、図13は、本実施の形態2に係る撮像装置における、伝熱ユニットの部分断面図である。
【0049】
図11および図13に示すように、本実施の形態2の係る撮像装置において、シートフィルム162は、伝熱部材54の複数のねじ穴54aそれぞれの開口を覆い、互いに分離した複数の開口カバー部162aと、複数の開口カバー部162aを連結する連結部162bとを含んでいる。本実施の形態2の場合、連結部162bは、複数の開口カバー部162aの下方に位置し、開口カバー部162aそれぞれの下部を連結している。また、連結部162bは、ねじ穴54aの貫通方向(X軸方向)視でねじ穴54aに対して一方に(本実施の形態2の場合には下方に)隣接する。
【0050】
両面テープ164は、シートフィルム162の連結部162bを伝熱部材54の第2の面54cに固定する。なお、本実施の形態2における両面テープ164は、上述の実施の形態1における両面テープ64と異なり、ねじ穴54aの貫通方向(X軸方向)視でねじ穴54aを内含する貫通穴を備えていない。
【0051】
また、図13に示すように、本実施の形態2も、上述の実施の形態1と同様に、複数のシートフィルム支持部材42bが、シートフィルム162が伝熱部材54の第2の面54cに接触し続けるように、シートフィルム162を支持している。
【0052】
このような本実施の形態2によれば、上述の実施の形態1と同様に、伝熱部材54の第2の面54cから突出したねじ60が、図11および図13に示すように、両面テープ164の上方を通過してシートフィルム162に直接的に接触する。それにより、図12に示すように、複数の開口カバー部162aを、破ることなく、エンボス状に変形させる(エンボス部162cを形成する)。その結果、ねじ60が伝熱部材54の第2の面54cから突出しても、両面テープ64と伝熱部材54との間で剥離が実質的に生じない。
【0053】
なお、本実施の形態2の場合、伝熱部材54の第2の面54cにおけるねじ穴54aの下方の部分に、シートフィルム162の連結部162bが両面テープ164を介して固定されている。これにより、第2の面54c上のねじ穴54aの開口から下方に向かう(すなわち撮像素子に向かう)、シートフィルム162と伝熱部材54との間を介する異物の移動が制限されている。なお、ねじ穴54aの開口から下方以外の方向に向かう、シートフィルム162と伝熱部材54との間を介する異物の移動は、シートフィルム支持部材42bがシートフィルム162と伝熱部材54の第2の面54cとの接触を維持することによって制限されている。すなわち、ねじ穴54aは、その貫通方向(X軸方向)視で、両面テープ164とシートフィルム支持部材42bによって囲まれている。
【0054】
(実施の形態3)
本実施の形態3は、上述の実施の形態2の改良形態であって、両面テープを除いて、上述の実施の形態2と実質的に同一である。したがって、上述の実施の形態2と異なる両面テープを中心にして、本実施の形態3について説明する。なお、上述の実施の形態2の構成要素と実質的に同一の本実施の形態3の構成要素には、同一の符号が付されている。
【0055】
図14は、本実施の形態3に係る撮像装置における伝熱ユニットの一部分の分解斜視図である。また、図15は、本実施の形態3に係る撮像装置における、伝熱ユニットにおける伝熱部材と接続部材との接続を示す斜視図である。そして、図16は、本実施の形態3に係る撮像装置における、伝熱ユニットの部分断面図である。
【0056】
図14および図16に示すように、本実施の形態3に係る撮像装置において、両面テープ264は、上述の実施の形態2の両面テープ164と異なり、また、上述の実施の形態1の両面テープ64と同様に、貫通穴264aを備える。両面テープ264が伝熱部材54の第2の面54cに貼り付けられたとき、図16に示すように、貫通穴264aは、ねじ穴54aの貫通方向(X軸方向)視で、ねじ穴54aを内含している。
【0057】
また、図16に示すように、本実施の形態3も、上述の実施の形態1と同様に、複数のシートフィルム支持部材42bが、シートフィルム162が伝熱部材54の第2の面54cに接触し続けるように、シートフィルム162を支持している。
【0058】
このような本実施の形態3によれば、上述の実施の形態1と同様に、伝熱部材54の第2の面54cから突出したねじ60が、図14に示すように、両面テープ264の貫通穴264aを通過してシートフィルム162に直接的に接触する。それにより、図15に示すように、複数の開口カバー部162aを、破ることなく、エンボス状に変形させる(エンボス部162cを形成する)。その結果、ねじ60が伝熱部材54の第2の面54cから突出しても、両面テープ64と伝熱部材54との間で剥離が実質的に生じない。
【0059】
なお、本実施の形態3の場合、伝熱部材54の第2の面54cにおけるねじ穴54aの開口を囲む開口縁部分に、シートフィルム62が両面テープ264を介して固定されている。これにより、シートフィルム162と伝熱部材54との間を介するねじ穴54aから他の場所への異物の移動が制限されている。
【0060】
以上、上述の実施の形態を挙げて本開示の実施の形態を説明したが、本開示の実施の形態はこれに限らない。
【0061】
例えば、上述の実施の形態1の場合、シートフィルム62が両面テープ64を介して固定される固定部材は、熱を伝導するための伝熱部材54であるが、本開示の実施の形態はこれに限らない。固定部材は、ねじによって他の部材に対して互いに固定される部材であればよい。
【0062】
また、上述の実施の形態1の場合、シートフィルム62を支持するシートフィルム支持部材42bは、図7および図10に示すように、センサ支持部材42のリブであるが、本開示の実施の形態は、これに限らない。シートフィルム支持部材は、ねじ穴の開口が形成された固定部材の第2の面におけるねじ穴の開口を除く部分の少なくとも一部に対してシートフィルムを挟んで対向し、シートフィルムと固定部材の第2の面との接触し続けるようにシートフィルムを支持する部材であればよい。
【0063】
さらに、上述の実施の形態1および3の場合、図8および図16に示すように、両面テープ64、264は、伝熱部材54の第2の面54cに貼り付けられたときにねじ穴54aを内含する貫通穴64a、264aを備えている。それにより、伝熱部材54の第2の面54cにおけるねじ穴54aの開口を囲む開口縁部分に、シートフィルム62、162が両面テープ64、264を介して固定されている。このように、ねじ穴54aの開口縁部分全体または半分以上に対してシートフィルムが両面テープを介して固定される場合、場合によってはシートフィルム支持部材を省略することができる。例えば、シートフィルムが伝熱部材54の第2の面54cから突出したねじ60に押されたときに塑性変形する場合、シートフィルム支持部材を省略することができる。すなわち、この場合、シートフィルムを押すねじ60からの力が、シートフィルムと両面テープとの間の剥離および/または両面テープと伝熱部材との間の剥離に使用されることなく、シートフィルムの塑性変形に使用される。
【0064】
さらにまた、上述の実施の形態1および3の場合、図8および図16に示すように、ねじ穴54aに螺合するねじ60は、両面テープ64、264の貫通穴64a、264aを通過する。また、上述の実施の形態2の場合、図13に示すように、ねじ穴54aに螺合するねじ60は、両面テープ164のそば(すなわち近傍)を通過する。すなわち、ねじ60は、非接触で両面テープ64、164、264を通過し、シートフィルム62、162に直接的に接触している。しかしながら、本開示の実施の形態はこれに限らない。例えば、両面テープに形成されたスリットまたはねじ径に比べて小さい直径の貫通穴をこじ開けてねじが両面テープを通過してもよい。
【0065】
すなわち、本開示の実施の形態に係る撮像装置は、広義には、第1の面と前記第1の面に対して反対側の第2の面とを備え、前記第1の面から前記第2の面に向かって貫通するねじ穴が形成されている固定部材と、前記固定部材の前記第1の面から前記ねじ穴に螺合するねじと、前記固定部材の前記第2の面上の前記ねじ穴の開口を覆い、変形可能なシートフィルムと、前記シートフィルムを前記固定部材の前記第2の面に固定する両面テープと、を有し、前記ねじが、前記固定部材の前記第2の面から突出し、前記両面テープを通過し、前記シートフィルムに直接的に接触する。
【0066】
以上のように、本開示における技術の例示として、上述の実施の形態を説明してきた。そのために、図面および詳細な説明を提供している。したがって、図面及び詳細な説明に記載された構成要素の中には、課題解決のために必須な構成要素だけでなく、上述の技術を例示するために、課題解決のためには必須でない構成要素も含まれ得る。そのため、それらの必須ではない構成要素が図面や詳細な説明に記載されていることをもって、直ちに、それらの必須ではない構成要素が必須であるとの認定をするべきではない。
【0067】
また、上述の実施の形態は、本開示における技術を例示するためのものであるから、特許請求の範囲又はその均等の範囲において種々の変更、置き換え、付加、省略等を行うことができる。
【産業上の利用可能性】
【0068】
本開示は、ねじによって他の部材に対して互いに固定される固定部材を含み、ねじ穴内の切り粉などの異物が悪影響しうる撮像装置に適用可能である。
【符号の説明】
【0069】
54 固定部材(伝熱部材)
54a ねじ穴
54b 第1の面
54c 第2の面
60 ねじ
62 シートフィルム
64 両面テープ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
【手続補正書】
【提出日】2024-03-01
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジングと、
第1の面と前記第1の面に対して反対側の第2の面とを備え、前記第1の面から前記第2の面に向かって貫通するねじ穴が形成されている固定部材と、
前記固定部材の前記第1の面から前記ねじ穴に螺合するねじと、
前記固定部材の前記第2の面上の前記ねじ穴の開口を覆い、変形可能なシートフィルムと、
前記シートフィルムを前記固定部材の前記第2の面に固定する両面テープと、
前記シートフィルムを挟んで前記固定部材の前記第2の面に対向し、前記シートフィルムが前記固定部材の前記第2の面に接触し続けるように前記シートフィルムを支持するシートフィルム支持部材と、を有し、
前記固定部材、前記ねじ、前記シートフィルム、前記両面テープ、前記シートフィルム支持部材はそれぞれ前記ハウジング内に配置され、
前記ねじが、前記固定部材の前記第2の面から突出し、前記両面テープを通過し、前記シートフィルムに直接的に接触する、撮像装置。
【請求項2】
前記両面テープが、前記ねじ穴の貫通方向視で前記ねじが前記両面テープの近傍を通過するように、前記固定部材の前記第2の面に貼り付けられている、請求項1に記載の撮像装置。
【請求項3】
前記両面テープが、前記ねじ穴の貫通方向視で前記ねじ穴を内含する貫通穴を備える、請求項1に記載の撮像装置。
【請求項4】
前記ねじ穴が、複数あって、
前記シートフィルムが、前記複数のねじ穴それぞれの開口を覆い、互いに分離した複数の開口カバー部と、前記複数の開口カバー部を連結する連結部とを含み、
前記両面テープが、前記シートフィルムの前記連結部を前記固定部材の第2の面に固定する、請求項1または2に記載の撮像装置。
【請求項5】
前記シートフィルム支持部材が、前記ねじ穴の貫通方向視で前記ねじ穴を少なくとも部分的に囲むように、前記シートフィルムに接触する、請求項に記載の撮像装置。
【請求項6】
前記両面テープと前記シートフィルム支持部材が、前記貫通方向視で、前記ねじ穴を囲んでいる、請求項に記載の撮像装置。
【請求項7】
前記シートフィルム支持部材が、前記ねじ穴の貫通方向視で、前記ねじ穴を少なくとも部分的に囲みつつ、前記両面テープが貼り付けられている前記シートフィルムの領域に対して接触する、請求項1に記載の撮像装置。
【請求項8】
前記シートフィルム支持部材が、前記ねじ穴の貫通方向視で、前記ねじ穴を少なくとも部分的に囲みつつ、前記両面テープが貼り付けられていない前記シートフィルムの領域に対して接触する、請求項7に記載の撮像装置。
【請求項9】
前記固定部材の前記ねじ穴の下方に配置された撮像素子を、さらに有する、請求項1に記載の撮像装置。