(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024158394
(43)【公開日】2024-11-08
(54)【発明の名称】射出成形による動力電池のトップカバー構造の作製方法
(51)【国際特許分類】
H01M 50/176 20210101AFI20241031BHJP
H01M 50/15 20210101ALI20241031BHJP
H01M 50/55 20210101ALI20241031BHJP
H01M 50/588 20210101ALI20241031BHJP
H01M 50/591 20210101ALI20241031BHJP
H01M 50/188 20210101ALI20241031BHJP
H01M 50/184 20210101ALI20241031BHJP
H01M 50/342 20210101ALI20241031BHJP
【FI】
H01M50/176
H01M50/15
H01M50/55 101
H01M50/588
H01M50/591
H01M50/188
H01M50/184 A
H01M50/342 101
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023073554
(22)【出願日】2023-04-27
(71)【出願人】
【識別番号】521262150
【氏名又は名称】寧波震裕科技股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】NINGBO ZHENYU TECHNOLOGY CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】Xidian, Ninghai County, Ningbo City, Zhejiang 315000 China
(74)【代理人】
【識別番号】100142804
【弁理士】
【氏名又は名称】大上 寛
(72)【発明者】
【氏名】何世亜
【テーマコード(参考)】
5H011
5H012
5H043
【Fターム(参考)】
5H011AA01
5H011AA09
5H011BB04
5H011DD02
5H011FF03
5H011GG05
5H012AA07
5H012BB02
5H012DD01
5H012GG01
5H043AA01
5H043AA19
5H043BA17
5H043BA19
5H043CA04
5H043DA09
5H043GA23
5H043JA12D
(57)【要約】 (修正有)
【課題】構造が強固であり、大規模製造のコストがより低い動力電池のトップカバー射出成形構造を提供する。
【解決手段】動力電池のトップカバー射出成形構造に関し、当該トップカバー射出成形構造は、トップカバー板と極柱アセンブリを含み、トップカバー板には、極柱アセンブリを嵌合するための極柱穴が設けられ、極柱穴の外周には複数の接続用ボスが設けられ、極柱アセンブリは、第1の成形部材21、極柱22およびシール部材23を含み、極柱がシール部材を介して極柱穴に組み立てられた後、極柱の外周に射出成形することにより第1の成形部材が得られ、第1の成形部材と接続用ボスとの凹凸嵌合により、極柱をトップカバー板に固定して接続し、極柱とトップカバー板との間は、第1の成形部材およびシール部材によって絶縁される。本発明のトップカバー射出成形構造は、接続が強固であり、製造コストが低く、リチウム電池の応用を促進することに役立つ。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
トップカバー板(10)と、極柱アセンブリ(20)と、を含み、
前記トップカバー板(10)に極柱穴(13)が貫通するように設けられ、極柱穴(13)の外周に複数の接続用ボス(12)が凸設され、前記接続用ボス(12)に第1の凹凸部材(121)が形成され、
前記極柱アセンブリ(20)は前記トップカバー板(10)に嵌合されて正極極柱(201)または負極極柱(202)として形成され、前記極柱アセンブリ(20)は、第1の成形部材(21)、極柱(22)およびシール部材(23)を含み、前記極柱(22)は極柱穴(13)に組み立てられ、前記シール部材(23)は、極柱(22)とトップカバー板(10)の間に設けられ、前記第1の成形部材(21)は、極柱(22)の外周に射出成形することにより形成され、前記第1の成形部材(21)内には、前記接続用ボス(12)を受け入れるためのボスキャビティ(213)が成形され、前記ボスキャビティ(213)には第2の凹凸部材(214)が成形され、前記第1の成形部材(21)は、前記第1の凹凸部材(121)と前記第2の凹凸部材(214)との凹凸嵌合によって前記トップカバー板(10)に接続され、それにより、前記極柱(22)とシール部材(23)は前記第1の成形部材(21)によって前記トップカバー板(10)に固定され、
ここで、前記極柱(22)と前記トップカバー板(10)との間は前記第1の成形部材(21)および前記シール部材(23)によって絶縁される、動力電池のトップカバー射出成形構造。
【請求項2】
第1の成形部材(21)の射出成形および冷却時に、極柱(22)に所定の圧力を加えて、シール部材(23)を圧力を受けて圧縮される状態にし、射出成形して冷却した後に外力を除去しても、前記第1の成形部材(21)の接続作用により前記シール部材(23)は圧縮状態に保持されることを特徴とする、請求項1に記載の動力電池のトップカバー射出成形構造。
【請求項3】
前記第1の成形部材(21)は、扁平な円環状であり、成形リング本体(211)と、成形リング本体(211)の中央に位置する成形リング内穴(212)とを含み、前記成形リング内穴(212)は、極柱(22)の少なくとも一部を嵌合するために使用され、前記ボスキャビティ(213)は、前記成形リング本体(211)の底面に形成されることを特徴とする、請求項2に記載の動力電池のトップカバー射出成形構造。
【請求項4】
前記極柱(22)には、上部極柱(221)、極柱固定部(222)および下部極柱(223)が順に形成され、前記上部極柱(221)および前記下部極柱(223)は、それぞれ前記極柱固定部(222)に対して上向き、下向きに凸設されるように設けられ、側方向において前記極柱固定部(222)は前記上部極柱(221)および前記下部極柱(223)に対して凸設されるように設けられ、前記極柱固定部(222)と前記接続用ボス(12)との間には隙間が形成され、前記隙間は、射出成形時に第1の成形部材(21)によって充填されて絶縁されることを特徴とする、請求項3に記載の動力電池のトップカバー射出成形構造。
【請求項5】
前記極柱固定部(222)または上部極柱(221)の周方向には第4の凹凸部材(224)が設けられ、前記第1の成形部材(21)には第3の凹凸部材(215)が対応して成形され、前記第4の凹凸部材(224)と第3の凹凸部材(215)との凹凸嵌合により前記極柱(22)の周方向の回転が規制されることを特徴とする、請求項4に記載の動力電池のトップカバー射出成形構造。
【請求項6】
前記第4の凹凸部材(224)および前記第3の凹凸部材(215)は、それぞれ切欠部およびバンプであり、かつ周方向に沿って複数設けられることを特徴とする、請求項5に記載の動力電池のトップカバー射出成形構造。
【請求項7】
前記成形リング本体(211)は、前記上部極柱(221)および前記極柱固定部(222)の側壁を包み込むように設けられ、それにより、前記成形リング本体(211)内にキャビティ(216)が形成され、射出成形後に前記極柱(22)は上面のみが露出し、
前記接続用ボス(12)の設定領域には、陥没して設けられた陥没台(17)が形成され、前記陥没台(17)は、射出成形後に第1の成形部材(21)によって充填され、前記極柱穴(13)の周囲にはさらに凸台(15)と、前記凸台(15)の外周に設けられる凹型リング(16)が設けられ、前記凹型リング(16)は円環状であり、前記陥没台(17)に対して凹設されるように設けられ、それにより、前記シール部材(23)は前記凸台(15)および前記凹型リング(16)に位置決めされることを特徴とする、請求項4に記載の動力電池のトップカバー射出成形構造。
【請求項8】
前記トップカバー板(10)の下方には、絶縁材料で製造された第2の成形部材(40)がさらに設けられ、前記トップカバー板(10)の底面には、第1の接続部材(19)が設けられ、前記第2の成形部材(40)には、第2の接続部材(41)が対応して設けられ、前記第2の接続部材(41)と第1の接続部材(19)との係合または熱融着による接続係合により、前記第2の成形部材(40)は前記トップカバー板(10)の下方に固定して接続されることを特徴とする、請求項1に記載の動力電池のトップカバー射出成形構造。
【請求項9】
前記トップカバー板(10)には、防爆弁(30)または液体注入口(14)がさらに設けられ、
前記防爆弁(30)は、分離型防爆弁であり、防爆弁ピース(32)と防爆弁フィルム(33)を含み、前記トップカバー板(10)には防爆弁穴(31)が貫通するように設けられ、防爆弁ピース(32)は防爆弁穴(31)の下方に溶接され、防爆弁フィルム(33)は前記防爆弁穴(31)の上方に貼着され、または、前記防爆弁(30)は、一体型防爆弁であり、前記トップカバー板(10)に一体的に成形された防爆弁ピース(32)と、前記防爆弁ピース(32)に貼着された防爆弁フィルム(33)とを含むことを特徴とする、請求項1に記載の動力電池のトップカバー射出成形構造。
【請求項10】
前記正極極柱(201)と負極極柱(202)は、同一のトップカバー板(10)に設けられて、一体型動力電池トップカバーアセンブリとして形成され、または、前記正極極柱(201)と負極極柱(202)は、それぞれ別々のトップカバー板(10)に設けられて、分離型動力電池トップカバーアセンブリとして形成され、
前記接続用ボス(12)は、前記トップカバー板(10)にプレス加工により形成され、前記接続用ボス(12)は、柱状構造であり、その下方に成形穴(18)が設けられ、上部にキャップ形状の第1の凹凸部材(121)が成形され、
前記接続用ボス(12)は、極柱穴(13)と同心のリングに沿って均一に分布し、
前記極柱穴(13)の周囲には極柱取付穴位置(11)が形成されることを特徴とする、請求項9に記載の動力電池のトップカバー射出成形構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リチウム電池の分野に属し、具体的に、動力電池のトップカバー射出成形構造に関する。
【背景技術】
【0002】
動力電池は新エネルギー自動車の重要な構成部品であり、既存の新エネルギー電池のほとんどはその動力電池としてリチウムイオン電池を使用している。動力リチウム電池では、セルやBMSなどの主要な部品に加え、電池ケース構造もその安全性に関連する要因の1つである。ここで、極柱は、電池モジュールの構成要素でもあり、電気伝導を行うためにモジュール内のセルの正極と負極に接続されるだけでなく、新エネルギー自動車の応用要件を満たすために対応する構造強度と密封要件も必要とする。
【0003】
しかし、既存の電池のトップカバーは構造が複雑で製造コストが高いため、リチウム電池の大規模な応用は制限された。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】中国特許出願公開第110048037号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、構造が強固であり、大規模製造のコストがより低い動力電池のトップカバー射出成形構造を提供することである。
【0006】
上記の目的を達成するために、本発明で採用される解決手段は以下のとおりである。
【0007】
動力電池のトップカバー射出成形構造であって、トップカバー板と、極柱アセンブリと、を含み、
前記トップカバー板に極柱穴が貫通するように設けられ、極柱穴の外周に複数の接続用ボスが凸設され、前記接続用ボスに第1の凹凸部材が形成され、
前記極柱アセンブリは前記トップカバー板に嵌合されて正極極柱または負極極柱として形成され、前記極柱アセンブリは、第1の成形部材、極柱およびシール部材を含み、前記極柱は極柱穴に組み立てられ、前記シール部材は、極柱とトップカバー板の間に設けられ、前記第1の成形部材は、極柱の外周に射出成形することにより形成され、前記第1の成形部材内には、前記接続用ボスを受け入れるためのボスキャビティが成形され、前記ボスキャビティには第2の凹凸部材が成形され、前記第1の成形部材は、前記第1の凹凸部材と前記第2の凹凸部材との凹凸嵌合によって前記トップカバー板に接続され、それにより、前記極柱とシール部材は前記第1の成形部材によって前記トップカバー板に固定され、
ここで、前記極柱と前記トップカバー板との間は前記第1の成形部材および前記シール部材によって絶縁される。
【0008】
本出願の一実施例では、第1の成形部材の射出成形および冷却時に、極柱に所定の圧力を加えて、シール部材を圧力を受けて圧縮される状態にし、射出成形して冷却した後に外力を除去しても、前記第1の成形部材の接続作用により前記シール部材は圧縮状態に保持される。
【0009】
本出願の一実施例では、前記第1の成形部材は、扁平な円環状であり、成形リング本体と、成形リング本体の中央に位置する成形リング内穴とを含み、前記成形リング内穴は、極柱の少なくとも一部を嵌合するために使用される。
【0010】
本出願の一実施例では、前記ボスキャビティは、前記成形リング本体の底面に形成される。
【0011】
本出願の一実施例では、前記極柱には、上部極柱、極柱固定部および下部極柱が順に形成され、前記上部極柱および前記下部極柱は、それぞれ前記極柱固定部に対して上向き、下向きに凸設されるように設けられ、側方向において前記極柱固定部は前記上部極柱および前記下部極柱に対して凸設されるように設けられる。
【0012】
本出願の一実施例では、前記極柱固定部と前記接続用ボスとの間には隙間が形成され、前記隙間は、射出成形時に第1の成形部材によって充填されて絶縁される。
【0013】
本出願の一実施例では、前記極柱固定部または上部極柱の周方向には第4の凹凸部材が設けられ、前記第1の成形部材には第3の凹凸部材が対応して成形され、前記第4の凹凸部材と第3の凹凸部材との凹凸嵌合により前記極柱の周方向の回転が規制される。
【0014】
本出願の一実施例では、前記第4の凹凸部材および前記第3の凹凸部材は、それぞれ切欠部およびバンプであり、かつ周方向に沿って複数設けられる。
【0015】
本出願の一実施例では、前記成形リング本体は、前記上部極柱および前記極柱固定部の側壁を包み込むように設けられ、それにより、前記成形リング本体内にキャビティが形成され、射出成形後に前記極柱は上面のみが露出している。
【0016】
本出願の一実施例では、前記接続用ボスの設定領域には、陥没して設けられた陥没台が形成され、前記陥没台は、射出成形後に第1の成形部材によって充填され、前記極柱穴の周囲には、さらに凸台と、前記凸台の外周に設けられる凹型リングが設けられ、前記凹型リングは円環状であり、前記陥没台に対して凹設されるように設けられ、それにより、前記シール部材は前記凸台および前記凹型リングに位置決めされる。
【0017】
本出願の一実施例では、前記トップカバー板の下方には、絶縁材料で製造された第2の成形部材がさらに設けられ、前記トップカバー板の底面には、第1の接続部材が設けられ、前記第2の成形部材には、第2の接続部材が対応して設けられ、前記第2の接続部材と第1の接続部材との係合または熱融着による接続係合により、前記第2の成形部材は前記トップカバー板の下方に固定して接続される。
【0018】
本出願の一実施例では、前記トップカバー板には、防爆弁または液体注入口がさらに設けられる。
【0019】
本出願の一実施例では、前記防爆弁は、分離型防爆弁であり、防爆弁ピースと防爆弁フィルムを含み、前記トップカバー板には防爆弁穴が貫通するように設けられ、防爆弁ピースは防爆弁穴の下方に溶接され、防爆弁フィルムは前記防爆弁穴の上方に貼着される。
【0020】
本出願の一実施例では、前記防爆弁は、一体型防爆弁であり、前記トップカバー板に一体的に成形された防爆弁ピースと、前記防爆弁ピースに貼着された防爆弁フィルムとを含む。
【0021】
本出願の一実施例では、前記正極極柱と負極極柱は、同一のトップカバー板に設けられて、一体型動力電池トップカバーアセンブリとして形成される。
【0022】
本出願の一実施例では、前記正極極柱と負極極柱は、それぞれ別々のトップカバー板に設けられて、分離型動力電池トップカバーアセンブリとして形成される。
【0023】
本出願の一実施例では、前記接続用ボスは、前記トップカバー板にプレス加工により形成され、前記接続用ボスは、柱状構造であり、その下方に成形穴が設けられ、上部にキャップ形状の第1の凹凸部材が成形される。
【0024】
本出願の一実施例では、前記接続用ボスは、極柱穴と同心のリングに沿って均一に分布する。
【0025】
本出願の一実施例では、前記極柱穴の周囲には極柱取付穴位置が形成される。
【0026】
本発明に係るトップカバー射出成形構造は以下の有益な効果を有する。
【0027】
1. 製造過程において、工程が簡素化され、部品点数が少なく、しかも自動的に組み立てることが可能であるため、既存の生産ラインと比較して作業者数が50%削減され、生産量が30%向上し、総コストが35%以上削減された。
【0028】
2. 第1の成形部材を射出成形する時に接続・固定するための接続用ボスは、製造工程の複雑さを増さずに、トップカバー板の成形時に一括加工して得ることができる。
【0029】
3. 第1の成形部材とトップカバー板の間において、上部にキャップ形状を有する第1の凹凸部材と、射出成形時に第1の成形部材内に形成された第2の凹凸部材との凹凸嵌合により、第1の成形部材は引き寄せられ、レーザー溶着工程による完成品の廃棄が回避される。
【0030】
4. 本出願のいくつかの実施例では、前記第1の成形部材は、全ての接続用ボスを包み込み、かつ前記第1の成形部材と極柱との間も凹凸構造により、極柱のねじれ性が向上する。
【0031】
5. 第1の成形部材の射出成形時に、第1の成形部材が完全に冷却定形されるまで極柱に所定の圧力を加えることにより、極柱の密封性が要件を満たすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【
図1】本発明の一実施例に係る動力電池のトップカバー射出成形構造を示す構造模式図である。
【
図2】
図1の実施例の構造を示す分解模式図である。
【
図3】
図1の実施例の断面を示す分解模式図である。
【
図4】
図1の実施例におけるトップカバー板を示す上面図である。
【
図6】
図1の実施例における第1の成形部材の下面から見た時の構造を示す模式図である。
【
図7】
図1の実施例における正極極柱における断面構造を示す模式図である。
【
図8】
図1の実施例における極柱の構造を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
当業者に本発明をよりよく理解させ、本発明が保護を請求している範囲をより明確に限定するために、以下は本発明のいくつかの具体的な実施例について本発明を詳細に説明する。なお、以下は本発明の構造に基づくいくつかの具体的な実施形態であり、本発明の実施例の一部に過ぎず、その中の関連構造についての具体的かつ直接的な記述は、本発明を容易に理解させるためのものに過ぎず、具体的な各特徴は本発明の実施範囲を事実上かつ直接的に限定するものではない。当業者によって本発明の構想に基づいて行われた従来の選択と置換は、いずれも本発明が保護を請求している範囲に含まれると考えられるべきである。
【0034】
動力電池用トップカバーアセンブリであって、射出成形工程によって製造される。ここで、当該トップカバーアセンブリは、トップカバー射出成形構造を含み、それにより、極柱アセンブリ20をトップカバー板10に固定して正極極柱201または負極極柱202として形成する。
【0035】
例えば、
図1に示すように、正極極柱201と負極極柱202は、1つのトップカバー板10に間隔をおいて形成され、それにより、一体型の動力電池トップカバーアセンブリが形成される。もちろん、他の実施例では、正極極柱201と負極極柱202とがそれぞれ1つのトップカバー板10に設けられる場合、分離型動力電池トップカバーアセンブリとして形成することも可能である。
【0036】
図1に示す一体型動力電池トップカバーアセンブリにおいて、正極極柱201と負極極柱202の間には防爆弁30および液体注入口14がさらに設けられ、ここで、防爆弁30は、電池内部の圧力が高すぎる場合に開放して圧力を逃して電池の安全性を確保するために用いられ、液体注入口14は、電池を組み立てた後にその中に電解液を注入するために使用される。本実施例では、防爆弁30および液体注入口14は、本分野において公知であるため、本出願では限定されない。
【0037】
図1を参照すると、トップカバー板10の下方には、絶縁材料で製造された第2の成形部材40がさらに設けられ、その絶縁性および材料強度は、動力電池の絶縁性および接続要件を満たし、本分野において公知であるため限定されない。
【0038】
図2を参照すると、トップカバー板10には、極柱穴13が貫通するように設けられ、極柱穴13の周囲には、極柱22を取り付けて設けるための極柱取付穴位置11が形成される。本実施例では、前記極柱22とトップカバー板10との間には、両者を絶縁させて密封するためのシール部材23が設けられる。図示するように、シール部材23はガスケットであり、その材料の絶縁性と圧縮弾性は使用要件を満たしている。
【0039】
図2を参照すると、トップカバー板10には、極柱穴13の外周に複数の接続用ボス12が凸設される。好ましくは、各接続用ボス12は、極柱穴13と同心のリングに沿って均一に分布する。ここで、前記接続用ボス12は、トップカバー板10の成形時にそれと一体的に成形されてもよいし、トップカバー板10の製造過程で対応するステップを用いて得られてもよい。好ましくは、前記トップカバー板10は、アルミニウム合金などの成形性に優れた合金からなり、それにより、トップカバー板10の成形時に下から上へのプレス加工によって前記の接続用ボス12を形成することができ、かつ接続用ボス12には、第1の成形部材21をそれと接続するための第1の凹凸部材121がさらに成形される。
【0040】
例えば、いくつかの実施例では、第1の凹凸部材121を備える接続用ボス12は、2つのステップで製造される。ステップ1では、まず、トップカバー板10を下から上に向かってプレス加工して円筒形状の凸台を形成し、当該凸台の下部を中空にして成形穴18を形成し、ステップ2では、成形した凸台に対して上から下に向かってプレス加工して、その上部を側方に向けて成形してキャップ形状の第1の凹凸部材121を形成する。
【0041】
もちろん、上述した第1の凹凸部材121の形状は例示的なものであり、当該形状に限定されるものではない。
【0042】
ここで、前記の第1の成形部材21は、極柱22への圧力を維持しながらトップカバー板10に射出成形することにより得られ、それにより、第1の成形部材21が冷却定形された後に前記シール部材23は圧力を受けて圧縮される状態となっている。しかも、前記極柱22とトップカバー板10との間は、第1の成形部材21またはシール部材23によって絶縁されることを確保する。ここで、シール部材23の圧縮程度は、限定されるものではなく、必要に応じて設定されてもよい。
【0043】
図4を参照すると、本実施例では、トップカバー板10における前記接続用ボス12の設定領域には、トップカバー板10の他の領域に対して陥没した陥没台17が形成され、陥没台17は、極柱アセンブリ20とトップカバー板10が一体型構造として形成されるように、射出成形後に第1の成形部材21によって充填される。また、極柱穴13の周囲には、凸台15と、凸台15の外周に設けられる凹型リング16がさらに設けられ、ここで、凹型リング16は円環状であり、陥没台17に対して凹設される。
【0044】
図6、7を参照すると、本実施例では、前記第1の成形部材21は実質的に、扁平な円環状である。第1の成形部材21は、成形リング本体211と、成形リング本体211の中央に位置する成形リング内穴212とを含み、前記成形リング本体211は、極柱22の外周に射出成形されることにより得られ、成形リング内穴212は、極柱22の少なくとも一部を嵌合するために使用される。
【0045】
前記成形リング本体211の底面には、同様に射出成形時に得られる、接続用ボス12を受け入れるためのボスキャビティ213が形成され、かつボスキャビティ213内には第2の凹凸部材214がさらに設けられ、第2の凹凸部材214は、接続用ボス12の第1の凹凸部材121と嵌合して凹凸嵌合による接続関係を形成し、それにより、第1の成形部材21は、トップカバー板10に固定されても、接続用ボス12に接続される。
【0046】
上述したように、第1の成形部材21の射出成形および冷却時に、極柱22に一定の圧力を加えて、シール部材23を圧力を受けて圧縮される状態にし、射出成形して冷却した後に外力を除去しても、第1の成形部材21の作用によりシール部材23は上記圧縮状態に保持される。また、極柱22とトップカバー板10または接続用ボス12との間は、第1の成形部材21またはシール部材23によって絶縁され、それにより、トップカバー板10は極柱22に電気的に接続されない。
【0047】
図8を参照すると、前記極柱22は、上から下へ、それぞれ上部極柱221、極柱固定部222および下部極柱223として形成され、ここで、上部極柱221および下部極柱223は、それぞれ極柱固定部222に対して上向き、下向きに凸設されるように設けられ、側方向において上部極柱固定部222は上部極柱221および下部極柱223に対して凸設される。
【0048】
したがって、極柱22が極柱穴13に取り立てられた後、極柱固定部222の下面は、シール部材23の上面に接触し、下部極柱223は少なくとも部分的に極柱穴13に挿入されると共にシール部材23によって絶縁され、また、極柱固定部222と接続用ボス12との間に隙間が形成され、この隙間は、射出成形時に第1の成形部材21によって充填されて絶縁される。
【0049】
射出成形後の極柱22の耐ねじれ性を高めるために、極柱固定部222または上部極柱221には第4の凹凸部材224が設けられ、また、射出成形中で第4の凹凸部材224と凹凸嵌合できる第3の凹凸部材215は第1の成形部材21に成形することができることにより、極柱22の周方向の回転が規制され、極柱22の耐ねじれ性が高まる。
【0050】
本実施例では、前記第4の凹凸部材224は、前記極柱固定部222の側壁に凹設された切欠部であり、それに対応して、前記第3の凹凸部材215は、射出成形時に形成された成形リング本体211に位置するバンプであり、両者の凹凸嵌合により極柱22の回転が規制されることで、極柱22に対する第1の成形部材21の射出成形密着性に加えて、回転制限構造も有する。
【0051】
本実施例では、前記成形リング本体211は、極柱22の上部極柱221および極柱固定部222の側壁を包み込むように設けられ、それにより、成形リング本体211内にキャビティ216が形成され、射出成形後に前記極柱22は実質的に上面のみが露出している。
【0052】
図5を参照すると、前記トップカバー板10の底面には、第2の成形部材40を接続するための第1の接続部材19がさらに成形され、それに対応して、第2の成形部材40には第2の接続部材41が成形され、第1の接続部材19と第2の接続部材41は凹凸嵌合された対応構造であり、それにより、第2の成形部材40は、トップカバー板10の下方に係止されるように接続され得るか、または第2の接続部材41を熱融着して第1の接続部材19に嵌合し成形することにより凹凸接続構造を形成する。
【0053】
図2、3を参照すると、前記防爆弁30は、分離型防爆弁であり、トップカバー板10には防爆弁穴31が貫通するように設けられ、防爆弁ピース32は、下から上に向かって防爆弁穴31に溶接され、防爆弁フィルム33は前記防爆弁穴31の上方に貼着される。もちろん、他の実施例では、分離型防爆弁を設けなくてもよく、その代わりに、トップカバー板10の成形工程でその上に一体型防爆弁を一体成形するように形成し、すなわち、前記トップカバー板10に防爆弁ピース32を一体成形するように形成し、かつその上に防爆弁フィルム33を貼着して前記防爆弁30を形成する。
【符号の説明】
【0054】
トップカバー板10、極柱アセンブリ20、防爆弁30、第2の成形部材40、正極極柱201、負極極柱202、
極柱取付穴位置11、接続用ボス12、極柱穴13、液体注入口14、凸台15、凹型リング16、陥没台17、成形穴18、第1の接続部材19、
第1の成形部材21、極柱22、シール部材23、
防爆弁穴31、防爆弁ピース32、防爆弁フィルム33、第2の接続部材41、
第1の凹凸部材121、
成形リング本体211、成形リング内穴212、ボスキャビティ213、第2の凹凸部材214、第3の凹凸部材215、キャビティ216、
上部極柱221、極柱固定部222、下部極柱223、第4の凹凸部材224。
【手続補正書】
【提出日】2024-09-24
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
トップカバー板(10)を作製し、前記トップカバー板(10)において、それを貫通するように極柱穴(13)を設け、極柱穴(13)の外周において、第1の凹凸部材(121)が形成された接続用ボス(12)を複数凸設するステップと、
第1の成形部材(21)と、極柱(22)と、シール部材(23)とを含む極柱アセンブリ(20)を作製し、前記極柱アセンブリ(20)を前記トップカバー板(10)に嵌合することによって正極極柱(201)または負極極柱(202)を形成するステップであって、前記極柱(22)が極柱穴(13)に組み立てられ、前記シール部材(23)が、極柱(22)とトップカバー板(10)の間に設けられ、前記第1の成形部材(21)が、極柱(22)の外周において射出成形することにより形成され、前記第1の成形部材(21)内において、前記接続用ボス(12)を受け入れるためのボスキャビティ(213)が成形され、前記ボスキャビティ(213)内において、第2の凹凸部材(214)が成形され、前記第1の成形部材(21)が、前記第1の凹凸部材(121)と前記第2の凹凸部材(214)との凹凸嵌合によって前記トップカバー板(10)に接続され、それにより、前記極柱(22)とシール部材(23)が、前記第1の成形部材(21)によって前記トップカバー板(10)に固定され、
前記極柱(22)と前記トップカバー板(10)との間が、前記第1の成形部材(21)および前記シール部材(23)によって絶縁されるステップと、を含み、
第1の成形部材(21)の射出成形および冷却時に、極柱(22)に所定の圧力を加えて、シール部材(23)を圧力を受けて圧縮される状態にし、これにより、射出成形して冷却した後に外力を除去したとしても、前記第1の成形部材(21)の接続作用により前記シール部材(23)は圧縮状態に保持され、
前記第1の成形部材(21)は、扁平な円環状であり、成形リング本体(211)と、成形リング本体(211)の中央に位置する成形リング内穴(212)とを含み、前記成形リング内穴(212)は、極柱(22)の少なくとも一部を嵌合するために使用され、前記ボスキャビティ(213)は、前記成形リング本体(211)の底面に形成され、
前記極柱(22)には、上部極柱(221)、極柱固定部(222)および下部極柱(223)が順に形成され、前記上部極柱(221)および前記下部極柱(223)は、それぞれ前記極柱固定部(222)に対して上向き、下向きに凸設されるように設けられ、側方向において前記極柱固定部(222)は前記上部極柱(221)および前記下部極柱(223)に対して凸設されるように設けられ、前記極柱固定部(222)と前記接続用ボス(12)との間には隙間が形成され、前記隙間は、射出成形時に第1の成形部材(21)によって充填されて絶縁され、
前記極柱固定部(222)または上部極柱(221)の周方向において第4の凹凸部材(224)が設けられ、前記第1の成形部材(21)において第3の凹凸部材(215)が対応して成形され、前記第4の凹凸部材(224)と第3の凹凸部材(215)との凹凸嵌合により前記極柱(22)の周方向の回転が規制され、
前記第4の凹凸部材(224)および前記第3の凹凸部材(215)は、それぞれ切欠部およびバンプであり、かつ周方向に沿って複数設けられる、射出成形による動力電池のトップカバー構造の作製方法。
【請求項2】
前記成形リング本体(211)は、前記上部極柱(221)および前記極柱固定部(222)の側壁を包み込むように設けられ、それにより、前記成形リング本体(211)内にキャビティ(216)が形成され、射出成形後に前記極柱(22)は上面のみが露出し、
前記接続用ボス(12)の設定領域には、陥没して設けられた陥没台(17)が形成され、前記陥没台(17)は、射出成形後に第1の成形部材(21)によって充填され、前記極柱穴(13)の周囲にはさらに凸台(15)と、前記凸台(15)の外周に設けられる凹型リング(16)が設けられ、前記凹型リング(16)は円環状であり、前記陥没台(17)に対して凹設されるように設けられ、それにより、前記シール部材(23)は前記凸台(15)および前記凹型リング(16)に位置決めされることを特徴とする、請求項1に記載の射出成形による動力電池のトップカバー構造の作製方法。
【請求項3】
前記トップカバー板(10)の下方において、さらに絶縁材料で製造された第2の成形部材(40)を設け、前記トップカバー板(10)の底面において、第1の接続部材(19)を設け、前記第2の成形部材(40)において、第2の接続部材(41)を対応して設け、前記第2の接続部材(41)と第1の接続部材(19)との係合または熱融着による接続係合により、前記第2の成形部材(40)を前記トップカバー板(10)の下方に固定的に接続することを特徴とする、請求項1に記載の射出成形による動力電池のトップカバー構造の作製方法。
【請求項4】
前記トップカバー板(10)において、さらに防爆弁(30)または液体注入口(14)を設け、
前記防爆弁(30)は、分離型防爆弁であり、防爆弁ピース(32)と防爆弁フィルム(33)を含み、前記トップカバー板(10)には防爆弁穴(31)が貫通するように設けられ、防爆弁ピース(32)は防爆弁穴(31)の下方に溶接され、防爆弁フィルム(33)は前記防爆弁穴(31)の上方に貼着され、または、前記防爆弁(30)は、一体型防爆弁であり、前記トップカバー板(10)に一体的に成形された防爆弁ピース(32)と、前記防爆弁ピース(32)に貼着された防爆弁フィルム(33)とを含むことを特徴とする、請求項1に記載の射出成形による動力電池のトップカバー構造の作製方法。
【請求項5】
前記正極極柱(201)と負極極柱(202)は、同一のトップカバー板(10)に設けられて、一体型動力電池トップカバーアセンブリとして形成され、または、前記正極極柱(201)と負極極柱(202)は、それぞれ別々のトップカバー板(10)に設けられて、分離型動力電池トップカバーアセンブリとして形成され、
前記接続用ボス(12)は、前記トップカバー板(10)にプレス加工により形成され、前記接続用ボス(12)は、柱状構造であり、その下方に成形穴(18)が設けられ、上部にキャップ形状の第1の凹凸部材(121)が成形され、
前記接続用ボス(12)は、極柱穴(13)と同心のリングに沿って均一に分布し、
前記極柱穴(13)の周囲には極柱取付穴位置(11)が形成されることを特徴とする、請求項4に記載の射出成形による動力電池のトップカバー構造の作製方法。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リチウム電池の分野に属し、具体的に、射出成形による動力電池のトップカバー構造の作製方法に関する。
【背景技術】
【0002】
動力電池は新エネルギー自動車の重要な構成部品であり、既存の新エネルギー電池のほとんどはその動力電池としてリチウムイオン電池を使用している。動力リチウム電池では、セルやBMSなどの主要な部品に加え、電池ケース構造もその安全性に関連する要因の1つである。ここで、極柱は、電池モジュールの構成要素でもあり、電気伝導を行うためにモジュール内のセルの正極と負極に接続されるだけでなく、新エネルギー自動車の応用要件を満たすために対応する構造強度と密封要件も必要とする。
【0003】
しかし、既存の電池のトップカバーは構造が複雑で製造コストが高いため、リチウム電池の大規模な応用は制限された。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】中国特許出願公開第110048037号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、構造が強固であり、大規模製造のコストがより低い射出成形による動力電池のトップカバー構造の作製方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するために、本発明で採用される解決手段は以下のとおりである。
【0007】
射出成形による動力電池のトップカバー構造の作製方法であって、トップカバー板と、極柱アセンブリと、を含み、
前記トップカバー板に極柱穴が貫通するように設けられ、極柱穴の外周に複数の接続用ボスが凸設され、前記接続用ボスに第1の凹凸部材が形成され、
前記極柱アセンブリは前記トップカバー板に嵌合されて正極極柱または負極極柱として形成され、前記極柱アセンブリは、第1の成形部材、極柱およびシール部材を含み、前記極柱は極柱穴に組み立てられ、前記シール部材は、極柱とトップカバー板の間に設けられ、前記第1の成形部材は、極柱の外周に射出成形することにより形成され、前記第1の成形部材内には、前記接続用ボスを受け入れるためのボスキャビティが成形され、前記ボスキャビティには第2の凹凸部材が成形され、前記第1の成形部材は、前記第1の凹凸部材と前記第2の凹凸部材との凹凸嵌合によって前記トップカバー板に接続され、それにより、前記極柱とシール部材は前記第1の成形部材によって前記トップカバー板に固定され、
ここで、前記極柱と前記トップカバー板との間は前記第1の成形部材および前記シール部材によって絶縁される。
【0008】
本出願の一実施例では、第1の成形部材の射出成形および冷却時に、極柱に所定の圧力を加えて、シール部材を圧力を受けて圧縮される状態にし、これにより、射出成形して冷却した後に外力を除去したとしても、前記第1の成形部材の接続作用により前記シール部材は圧縮状態に保持される。
【0009】
本出願の一実施例では、前記第1の成形部材は、扁平な円環状であり、成形リング本体と、成形リング本体の中央に位置する成形リング内穴とを含み、前記成形リング内穴は、極柱の少なくとも一部を嵌合するために使用される。
【0010】
本出願の一実施例では、前記ボスキャビティは、前記成形リング本体の底面に形成される。
【0011】
本出願の一実施例では、前記極柱には、上部極柱、極柱固定部および下部極柱が順に形成され、前記上部極柱および前記下部極柱は、それぞれ前記極柱固定部に対して上向き、下向きに凸設されるように設けられ、側方向において前記極柱固定部は前記上部極柱および前記下部極柱に対して凸設されるように設けられる。
【0012】
本出願の一実施例では、前記極柱固定部と前記接続用ボスとの間には隙間が形成され、前記隙間は、射出成形時に第1の成形部材によって充填されて絶縁される。
【0013】
本出願の一実施例では、前記極柱固定部または上部極柱の周方向には第4の凹凸部材が設けられ、前記第1の成形部材には第3の凹凸部材が対応して成形され、前記第4の凹凸部材と第3の凹凸部材との凹凸嵌合により前記極柱の周方向の回転が規制される。
【0014】
本出願の一実施例では、前記第4の凹凸部材および前記第3の凹凸部材は、それぞれ切欠部およびバンプであり、かつ周方向に沿って複数設けられる。
【0015】
本出願の一実施例では、前記成形リング本体は、前記上部極柱および前記極柱固定部の側壁を包み込むように設けられ、それにより、前記成形リング本体内にキャビティが形成され、射出成形後に前記極柱は上面のみが露出している。
【0016】
本出願の一実施例では、前記接続用ボスの設定領域には、陥没して設けられた陥没台が形成され、前記陥没台は、射出成形後に第1の成形部材によって充填され、前記極柱穴の周囲には、さらに凸台と、前記凸台の外周に設けられる凹型リングが設けられ、前記凹型リングは円環状であり、前記陥没台に対して凹設されるように設けられ、それにより、前記シール部材は前記凸台および前記凹型リングに位置決めされる。
【0017】
本出願の一実施例では、前記トップカバー板の下方には、絶縁材料で製造された第2の成形部材がさらに設けられ、前記トップカバー板の底面には、第1の接続部材が設けられ、前記第2の成形部材には、第2の接続部材が対応して設けられ、前記第2の接続部材と第1の接続部材との係合または熱融着による接続係合により、前記第2の成形部材は前記トップカバー板の下方に固定して接続される。
【0018】
本出願の一実施例では、前記トップカバー板には、防爆弁または液体注入口がさらに設けられる。
【0019】
本出願の一実施例では、前記防爆弁は、分離型防爆弁であり、防爆弁ピースと防爆弁フィルムを含み、前記トップカバー板には防爆弁穴が貫通するように設けられ、防爆弁ピースは防爆弁穴の下方に溶接され、防爆弁フィルムは前記防爆弁穴の上方に貼着される。
【0020】
本出願の一実施例では、前記防爆弁は、一体型防爆弁であり、前記トップカバー板に一体的に成形された防爆弁ピースと、前記防爆弁ピースに貼着された防爆弁フィルムとを含む。
【0021】
本出願の一実施例では、前記正極極柱と負極極柱は、同一のトップカバー板に設けられて、一体型動力電池トップカバーアセンブリとして形成される。
【0022】
本出願の一実施例では、前記正極極柱と負極極柱は、それぞれ別々のトップカバー板に設けられて、分離型動力電池トップカバーアセンブリとして形成される。
【0023】
本出願の一実施例では、前記接続用ボスは、前記トップカバー板にプレス加工により形成され、前記接続用ボスは、柱状構造であり、その下方に成形穴が設けられ、上部にキャップ形状の第1の凹凸部材が成形される。
【0024】
本出願の一実施例では、前記接続用ボスは、極柱穴と同心のリングに沿って均一に分布する。
【0025】
本出願の一実施例では、前記極柱穴の周囲には極柱取付穴位置が形成される。
【0026】
本発明に係る射出成形による動力電池のトップカバー構造の作製方法は以下の有益な効果を有する。
【0027】
1. 製造過程において、工程が簡素化され、部品点数が少なく、しかも自動的に組み立てることが可能であるため、既存の生産ラインと比較して作業者数が50%削減され、生産量が30%向上し、総コストが35%以上削減された。
【0028】
2. 第1の成形部材を射出成形する時に接続・固定するための接続用ボスは、製造工程の複雑さを増さずに、トップカバー板の成形時に一括加工して得ることができる。
【0029】
3. 第1の成形部材とトップカバー板の間において、上部にキャップ形状を有する第1の凹凸部材と、射出成形時に第1の成形部材内に形成された第2の凹凸部材との凹凸嵌合により、第1の成形部材は引き寄せられ、レーザー溶着工程による完成品の廃棄が回避される。
【0030】
4. 本出願のいくつかの実施例では、前記第1の成形部材は、全ての接続用ボスを包み込み、かつ前記第1の成形部材と極柱との間も凹凸構造により、極柱のねじれ性が向上する。
【0031】
5. 第1の成形部材の射出成形時に、第1の成形部材が完全に冷却定形されるまで極柱に所定の圧力を加えることにより、極柱の密封性が要件を満たすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【
図1】本発明の一実施例に係る動力電池のトップカバ
ー構造を示す構造模式図である。
【
図2】
図1の実施例の構造を示す分解模式図である。
【
図3】
図1の実施例の断面を示す分解模式図である。
【
図4】
図1の実施例におけるトップカバー板を示す上面図である。
【
図6】
図1の実施例における第1の成形部材の下面から見た時の構造を示す模式図である。
【
図7】
図1の実施例における正極極柱における断面構造を示す模式図である。
【
図8】
図1の実施例における極柱の構造を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
当業者に本発明をよりよく理解させ、本発明が保護を請求している範囲をより明確に限定するために、以下は本発明のいくつかの具体的な実施例について本発明を詳細に説明する。なお、以下は本発明の構造に基づくいくつかの具体的な実施形態であり、本発明の実施例の一部に過ぎず、その中の関連構造についての具体的かつ直接的な記述は、本発明を容易に理解させるためのものに過ぎず、具体的な各特徴は本発明の実施範囲を事実上かつ直接的に限定するものではない。当業者によって本発明の構想に基づいて行われた従来の選択と置換は、いずれも本発明が保護を請求している範囲に含まれると考えられるべきである。
【0034】
動力電池用トップカバーアセンブリであって、射出成形工程によって製造される。ここで、当該トップカバーアセンブリは、トップカバー構造を含み、それにより、極柱アセンブリ20をトップカバー板10に固定して正極極柱201または負極極柱202として形成する。
【0035】
例えば、
図1に示すように、正極極柱201と負極極柱202は、1つのトップカバー板10に間隔をおいて形成され、それにより、一体型の動力電池トップカバーアセンブリが形成される。もちろん、他の実施例では、正極極柱201と負極極柱202とがそれぞれ1つのトップカバー板10に設けられる場合、分離型動力電池トップカバーアセンブリとして形成することも可能である。
【0036】
図1に示す一体型動力電池トップカバーアセンブリにおいて、正極極柱201と負極極柱202の間には防爆弁30および液体注入口14がさらに設けられ、ここで、防爆弁30は、電池内部の圧力が高すぎる場合に開放して圧力を逃して電池の安全性を確保するために用いられ、液体注入口14は、電池を組み立てた後にその中に電解液を注入するために使用される。本実施例では、防爆弁30および液体注入口14は、本分野において公知であるため、本出願では限定されない。
【0037】
図1を参照すると、トップカバー板10の下方には、絶縁材料で製造された第2の成形部材40がさらに設けられ、その絶縁性および材料強度は、動力電池の絶縁性および接続要件を満たし、本分野において公知であるため限定されない。
【0038】
図2を参照すると、トップカバー板10には、極柱穴13が貫通するように設けられ、極柱穴13の周囲には、極柱22を取り付けて設けるための極柱取付穴位置11が形成される。本実施例では、前記極柱22とトップカバー板10との間には、両者を絶縁させて密封するためのシール部材23が設けられる。図示するように、シール部材23はガスケットであり、その材料の絶縁性と圧縮弾性は使用要件を満たしている。
【0039】
図2を参照すると、トップカバー板10には、極柱穴13の外周に複数の接続用ボス12が凸設される。好ましくは、各接続用ボス12は、極柱穴13と同心のリングに沿って均一に分布する。ここで、前記接続用ボス12は、トップカバー板10の成形時にそれと一体的に成形されてもよいし、トップカバー板10の製造過程で対応するステップを用いて得られてもよい。好ましくは、前記トップカバー板10は、アルミニウム合金などの成形性に優れた合金からなり、それにより、トップカバー板10の成形時に下から上へのプレス加工によって前記の接続用ボス12を形成することができ、かつ接続用ボス12には、第1の成形部材21をそれと接続するための第1の凹凸部材121がさらに成形される。
【0040】
例えば、いくつかの実施例では、第1の凹凸部材121を備える接続用ボス12は、2つのステップで製造される。ステップ1では、まず、トップカバー板10を下から上に向かってプレス加工して円筒形状の凸台を形成し、当該凸台の下部を中空にして成形穴18を形成し、ステップ2では、成形した凸台に対して上から下に向かってプレス加工して、その上部を側方に向けて成形してキャップ形状の第1の凹凸部材121を形成する。
【0041】
もちろん、上述した第1の凹凸部材121の形状は例示的なものであり、当該形状に限定されるものではない。
【0042】
ここで、前記の第1の成形部材21は、極柱22への圧力を維持しながらトップカバー板10に射出成形することにより得られ、それにより、第1の成形部材21が冷却定形された後に前記シール部材23は圧力を受けて圧縮される状態となっている。しかも、前記極柱22とトップカバー板10との間は、第1の成形部材21またはシール部材23によって絶縁されることを確保する。ここで、シール部材23の圧縮程度は、限定されるものではなく、必要に応じて設定されてもよい。
【0043】
図4を参照すると、本実施例では、トップカバー板10における前記接続用ボス12の設定領域には、トップカバー板10の他の領域に対して陥没した陥没台17が形成され、陥没台17は、極柱アセンブリ20とトップカバー板10が一体型構造として形成されるように、射出成形後に第1の成形部材21によって充填される。また、極柱穴13の周囲には、凸台15と、凸台15の外周に設けられる凹型リング16がさらに設けられ、ここで、凹型リング16は円環状であり、陥没台17に対して凹設される。
【0044】
図6、7を参照すると、本実施例では、前記第1の成形部材21は実質的に、扁平な円環状である。第1の成形部材21は、成形リング本体211と、成形リング本体211の中央に位置する成形リング内穴212とを含み、前記成形リング本体211は、極柱22の外周に射出成形されることにより得られ、成形リング内穴212は、極柱22の少なくとも一部を嵌合するために使用される。
【0045】
前記成形リング本体211の底面には、同様に射出成形時に得られる、接続用ボス12を受け入れるためのボスキャビティ213が形成され、かつボスキャビティ213内には第2の凹凸部材214がさらに設けられ、第2の凹凸部材214は、接続用ボス12の第1の凹凸部材121と嵌合して凹凸嵌合による接続関係を形成し、それにより、第1の成形部材21は、トップカバー板10に固定されても、接続用ボス12に接続される。
【0046】
上述したように、第1の成形部材21の射出成形および冷却時に、極柱22に一定の圧力を加えて、シール部材23を圧力を受けて圧縮される状態にし、これにより、射出成形して冷却した後に外力を除去したとしても、第1の成形部材21の作用によりシール部材23は上記圧縮状態に保持される。また、極柱22とトップカバー板10または接続用ボス12との間は、第1の成形部材21またはシール部材23によって絶縁され、それにより、トップカバー板10は極柱22に電気的に接続されない。
【0047】
図8を参照すると、前記極柱22は、上から下へ、それぞれ上部極柱221、極柱固定部222および下部極柱223として形成され、ここで、上部極柱221および下部極柱223は、それぞれ極柱固定部222に対して上向き、下向きに凸設されるように設けられ、側方向において上部極柱固定部222は上部極柱221および下部極柱223に対して凸設される。
【0048】
したがって、極柱22が極柱穴13に取り立てられた後、極柱固定部222の下面は、シール部材23の上面に接触し、下部極柱223は少なくとも部分的に極柱穴13に挿入されると共にシール部材23によって絶縁され、また、極柱固定部222と接続用ボス12との間に隙間が形成され、この隙間は、射出成形時に第1の成形部材21によって充填されて絶縁される。
【0049】
射出成形後の極柱22の耐ねじれ性を高めるために、極柱固定部222または上部極柱221には第4の凹凸部材224が設けられ、また、射出成形中で第4の凹凸部材224と凹凸嵌合できる第3の凹凸部材215は第1の成形部材21に成形することができることにより、極柱22の周方向の回転が規制され、極柱22の耐ねじれ性が高まる。
【0050】
本実施例では、前記第4の凹凸部材224は、前記極柱固定部222の側壁に凹設された切欠部であり、それに対応して、前記第3の凹凸部材215は、射出成形時に形成された成形リング本体211に位置するバンプであり、両者の凹凸嵌合により極柱22の回転が規制されることで、極柱22に対する第1の成形部材21の射出成形密着性に加えて、回転制限構造も有する。
【0051】
本実施例では、前記成形リング本体211は、極柱22の上部極柱221および極柱固定部222の側壁を包み込むように設けられ、それにより、成形リング本体211内にキャビティ216が形成され、射出成形後に前記極柱22は実質的に上面のみが露出している。
【0052】
図5を参照すると、前記トップカバー板10の底面には、第2の成形部材40を接続するための第1の接続部材19がさらに成形され、それに対応して、第2の成形部材40には第2の接続部材41が成形され、第1の接続部材19と第2の接続部材41は凹凸嵌合された対応構造であり、それにより、第2の成形部材40は、トップカバー板10の下方に係止されるように接続され得るか、または第2の接続部材41を熱融着して第1の接続部材19に嵌合し成形することにより凹凸接続構造を形成する。
【0053】
図2、3を参照すると、前記防爆弁30は、分離型防爆弁であり、トップカバー板10には防爆弁穴31が貫通するように設けられ、防爆弁ピース32は、下から上に向かって防爆弁穴31に溶接され、防爆弁フィルム33は前記防爆弁穴31の上方に貼着される。もちろん、他の実施例では、分離型防爆弁を設けなくてもよく、その代わりに、トップカバー板10の成形工程でその上に一体型防爆弁を一体成形するように形成し、すなわち、前記トップカバー板10に防爆弁ピース32を一体成形するように形成し、かつその上に防爆弁フィルム33を貼着して前記防爆弁30を形成する。
【符号の説明】
【0054】
トップカバー板10、極柱アセンブリ20、防爆弁30、第2の成形部材40、正極極柱201、負極極柱202、
極柱取付穴位置11、接続用ボス12、極柱穴13、液体注入口14、凸台15、凹型リング16、陥没台17、成形穴18、第1の接続部材19、
第1の成形部材21、極柱22、シール部材23、
防爆弁穴31、防爆弁ピース32、防爆弁フィルム33、第2の接続部材41、
第1の凹凸部材121、
成形リング本体211、成形リング内穴212、ボスキャビティ213、第2の凹凸部材214、第3の凹凸部材215、キャビティ216、
上部極柱221、極柱固定部222、下部極柱223、第4の凹凸部材224。