(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024158397
(43)【公開日】2024-11-08
(54)【発明の名称】遠心ファンの製造方法、および遠心ファン
(51)【国際特許分類】
F04D 29/28 20060101AFI20241031BHJP
【FI】
F04D29/28 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023073558
(22)【出願日】2023-04-27
(71)【出願人】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【識別番号】110001128
【氏名又は名称】弁理士法人ゆうあい特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】井上 凌佑
(72)【発明者】
【氏名】石井 文也
(72)【発明者】
【氏名】山岡 潤
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 匠
【テーマコード(参考)】
3H130
【Fターム(参考)】
3H130AA13
3H130AB26
3H130AB46
3H130AC11
3H130AC13
3H130BA95C
3H130CB09
3H130EA02C
3H130EB01C
3H130ED01C
(57)【要約】
【課題】一体成型することを可能にした遠心ファンの製造方法、および遠心ファンを提供する。
【解決手段】製造方法は、下側金型100、複数の下側スライド金型110、複数の上側スライド金型120、軸線方向抜き金型130、およびリング金型140によって形成される成型領域150に流動性の樹脂材料を注入するステップS110の工程を備える。製造方法は、成型領域150に注入される樹脂材料を固化して、複数の翼40、リング部、および主板60が一体化されている一体化構成物155を成型領域150内に成型するステップS120の工程を備える。遠心ファン20の製造方法は、下側金型100、複数の下側スライド金型110、複数の上側スライド金型120、軸線方向抜き金型130、およびリング金型140と、一体化構成物155とを分離するステップS130の工程を備える。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
遠心ファンの製造方法であって、
軸線(Za)を中心とする周方向に間隔を開けて並べられている複数の翼(40)と、
前記軸線が延びる方向を軸線方向(Ga1)としたとき、前記軸線を中心とするリング状に形成され、かつ前記複数の翼のうち前記軸線方向の一方側に連結されているリング部(50)と、
前記軸線方向を厚みとして前記複数の翼のうち前記軸線方向の他方側に連結されている主板(60)と、を備え、
前記複数の翼、前記リング部、および前記主板が前記軸線を中心とする回転方向(Ro1)の前側に回転することにより、前記軸線方向の一方側から吸い込んだ空気を前記軸線を中心とする径方向(Ka1)の外側に吹き出し、
前記複数の翼は、それぞれ、前記リング部に対して前記軸線を中心とする前記径方向の内側に配置される前縁部(70)と、前記前縁部に対して前記径方向の外側に配置される後縁部(71)と、を備え、
前記複数の翼は、それぞれ、前記回転方向の前記前側に形成されている正圧面(41)と、前記回転方向の後側に形成されている負圧面(42)とを備え、
前記径方向に直交する仮想面で前記前縁部を切断した断面において、前記負圧面は、前記軸線方向の一方側に向かうほど前記回転方向の前側に延びる線(42a、42b)によって構成され、
前記断面において、前記正圧面は、前記軸線方向の一方側に向かうほど前記回転方向の前側に延びる線(41a)、および前記軸線に平行に形成されている線(41c)のうち少なくとも一方によって構成され、
前記前縁部の前記正圧面のうち最も前記軸線方向の一方側に位置する端部を正圧面端部(41b)とし、前記前縁部の前記負圧面のうち最も前記軸線方向の一方側に位置する端部を負圧面端部(42c)としたとき、前記前縁部は、前記正圧面端部および前記負圧面端部を結ぶ仮想線(KJ5)から膨らむように形成されている凸部(43)を備え、
前記断面において、前記正圧面端部を通り前記軸線方向に延びる仮想線を第1基準線(KJ4)とし、前記負圧面端部を通り前記回転方向に延びる仮想線を第2基準線(KJ3)としたとき、前記凸部は、前記第1基準線に対して前記回転方向の後側で、かつ前記第2基準線に対して前記軸線方向の他方側に配置されている遠心ファンを製造することを含み、
前記遠心ファンを製造することは、
前記主板のうち前記軸線方向の他方側を成型する第1金型(100)と、前記主板のうち前記複数の翼に対して前記径方向の内側に位置する主板内側領域(60b)において前記軸線方向の一方側と、前記凸部と、前記前縁部の前記負圧面と、前記主板のうち前記主板内側領域に対して前記径方向の外側に配置されて前記前縁部の前記負圧面に接続される第1領域(160)において前記軸線方向の一方側とを成型する第2金型(130)と、前記後縁部および前記前縁部のそれぞれの前記正圧面と、前記後縁部の前記負圧面と、前記主板のうち前記複数の翼のうち隣り合う2つの翼の間で、かつ前記第1領域に対して前記径方向の外側に位置する第2領域(161、60a)において前記軸線方向の一方側と、前記リング部のうち前記軸線方向の他方側領域とを成型する第3金型(110、120)と、前記リング部のうち前記軸線方向の一方側を成型する第4金型(140)とを組み立てることと、
前記第1金型、前記第2金型、前記第3金型、および前記第4金型によって形成される成型領域(150)に流動性を有する材料を注入することと、
前記成型領域に注入される材料を固化して、前記複数の翼、前記リング部、および前記主板が一体化されている一体化構成物(155)を前記成型領域内に成型することと、
前記第1金型、前記第2金型、前記第3金型、および前記第4金型と、前記一体化構成物とを分離することと、を含む遠心ファンの製造方法。
【請求項2】
前記第3金型は、
前記後縁部および前記前縁部のそれぞれの前記正圧面と、前記後縁部の前記負圧面と、前記第2領域のうち前記軸線方向の一方側とを成型する下側スライド金型(110)と、
前記下側スライド金型に対して前記軸線方向の一方側に配置されて、前記後縁部および前記前縁部のそれぞれの前記正圧面と、前記後縁部の前記負圧面と、前記リング部のうち前記軸線方向の他方側領域とを成型する上側スライド金型(120)と、
を備える請求項1に記載の遠心ファンの製造方法。
【請求項3】
遠心ファンであって、
軸線(Za)を中心とする周方向に間隔を開けて並べられている複数の翼(40)と、
前記軸線が延びる方向を軸線方向(Ga1)としたとき、前記軸線を中心とするリング状に形成され、かつ前記複数の翼のうち前記軸線方向の一方側に連結されているリング部(50)と、
前記軸線方向を厚みとして前記複数の翼のうち前記軸線方向の他方側に連結されている主板(60)と、を備え、
前記複数の翼、前記リング部、および前記主板が前記軸線を中心とする回転方向(Ro1)の前側に回転することにより、前記軸線方向の一方側から吸い込んだ空気を前記軸線を中心とする径方向(Ka1)の外側に吹き出し、
前記複数の翼は、それぞれ、前記リング部に対して前記軸線を中心とする前記径方向の内側に配置される前縁部(70)を備え、
前記複数の翼は、それぞれ、前記回転方向の前記前側に形成されている正圧面(41)と、前記回転方向の後側に形成されている負圧面(42)と、を備え、
前記径方向に直交する仮想面で前記前縁部を切断した断面において、前記負圧面は、前記軸線方向の一方側に向かうほど前記回転方向の前側に延びる線(42a、42b)によって構成され、
前記断面において、前記正圧面は、前記軸線方向の一方側に向かうほど前記回転方向の前側に延びる線(41a)、および前記軸線に平行に形成されている線(41c)のうち少なくとも一方によって構成され、
前記前縁部の前記正圧面のうち最も前記軸線方向の一方側に位置する端部を正圧面端部(41b)とし、前記前縁部の前記負圧面のうち最も前記軸線方向の一方側に位置する端部を負圧面端部(42c)としたとき、前記前縁部は、前記正圧面端部および前記負圧面端部を結ぶ仮想線(KJ5)から膨らむように形成されている凸部(43)を備え、
前記断面において、前記正圧面端部を通り前記軸線方向に延びる仮想線を第1基準線(KJ4)とし、前記負圧面端部を通り前記回転方向に延びる仮想線を第2基準線(KJ3)としたとき、
前記凸部は、前記第1基準線に対して前記回転方向の後側で、かつ前記第2基準線に対して前記軸線方向の他方側に配置されている遠心ファン。
【請求項4】
前記凸部は、前記断面において外形線(43a)が円弧状に形成されている請求項3に記載の遠心ファン。
【請求項5】
前記断面において、前記正圧面は、前記軸線方向の一方側に向かうほど前記回転方向の前側に延びる第1線分(41a)と、前記第1線分に連結され、かつ前記軸線方向の一方側に向かうほど前記回転方向の前側に延びる第2線分(41c)とによって構成され、
前記第1線分に交差し、かつ前記軸線方向に延びる仮想線を第3基準線(KJ1a)とし、前記第1線分と前記第3基準線との間に形成される狭角を第1傾斜角(Kθ1a)とし、前記第2線分に交差し、かつ前記軸線方向に延びる仮想線を第4基準線(KJ1b)とし、前記第2線分と前記第4基準線との間に形成される狭角を第2傾斜角(Kθ1b)としたとき、
前記第1傾斜角が前記第2傾斜角が互いに相違するように前記第1線分および前記第2線分が設定されている請求項3に記載の遠心ファン。
【請求項6】
前記前縁部の前記断面において、前記負圧面に交差し、かつ前記軸線に平行になる仮想線を傾斜基準線(KJ1)とし、前記負圧面と前記傾斜基準線との間に形成される狭角を傾斜角(Kθ2)としたとき
前記前縁部は、前記リング部に近づくほど、前記傾斜角が小さくなるように形成されている請求項3に記載の遠心ファン。
【請求項7】
前記前縁部は、前記傾斜角が零度よりも大きい傾斜領域(73a)と、前記傾斜領域に対して前記径方向の外側に配置されて前記傾斜角が零度となる非傾斜領域(73b)と、を備え、
前記傾斜領域は、前記非傾斜領域に近づくほど前記傾斜角が小さくなるように形成されている請求項6に記載の遠心ファン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遠心ファンの製造方法、および遠心ファンに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、遠心ファンでは、軸線を中心とする周方向に並べられている複数の翼、シュラウドリング、および主板を備えるものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。シュラウドリングは、複数の翼のうち軸線方向の一方側に連結されている。主板は、複数の翼のうち軸線方向の他方側に連結されている。
【0003】
複数の翼のうち隣り合う2つの翼の間には、空気流路が設けられている。このため、遠心ファンが軸線を中心として回転方向の前側に回転することにより、軸線方向の一方側から複数の空気流路に吸い込んだ空気を複数の空気流路から軸線を中心とする径方向外側に吹き出す。
【0004】
シュラウドリングは、軸線を中心とするリング状に形成されて複数の翼のそれぞれのうち軸線方向の一方側に連結されている。複数の翼は、それぞれ、シュラウドリングに対して径方向内側に位置する前縁部を備える。
【0005】
前縁部のうち軸線方向の一方側に位置する一方側部位は、前縁部のうち一方側部位よりも軸線方向の他方側に位置する他方側部位よりも、回転方向の前側に位置するように、傾斜されている。
【0006】
前縁部の負圧面は、軸線方向の一方側に進むほど、回転方向の前側に向かうように傾斜されている。このことにより、シュラウドリング付近において、複数の翼のそれぞれの前縁部の負圧面から空気流が剥離することを抑えることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明者等は、上述した遠心ファンにおいて、複数の翼およびシュラウドリングを金型を用いる射出成形により一体成型するための製造方法について検討した。
【0009】
例えば、前縁部のうち軸線方向の一方側の先端側から空気流が剥離することを抑制するために、前縁部のうち軸線方向の一方側の先端側に、凸状に形成されている凸部を設ける。
【0010】
この場合、上金型とこの上金型に対して軸線方向の他方側に配置される下金型とによって翼の前縁部を成型する場合には、次の通り、不具合が生じると考えられる。
【0011】
まず、翼の前縁部のうち最も回転方向の前側に位置する部位を最前部とする。凸部のうち、回転方向Ro1の前側で、かつ最も軸線方向の他方側に位置する部位を最下部とする。さらに、凸部のうち回転方向の前側で、かつ最下部よりも軸線方向の一方側の領域を正圧上側領域とする。
【0012】
ここで、上金型によって前縁部の負圧面、および凸部を形成し、下金型によって前縁部の正圧面を成型する。特に、凸部のうち正圧上側領域を上金型によって成型する。
【0013】
この場合、前縁部の最前部が最下部に対して軸線方向の一方側に配置され、かつ上金型および下金型の間の成型領域に注入された樹脂材料が固化した状態では、上金型が前縁部の正圧上側領域に嵌合された状態になる。
【0014】
このため、上金型を前縁部から分離するために上金型を前縁部に対して軸線方向の一方側に移動させる際に、上金型が前縁部の正圧上側領域に干渉する。
【0015】
これにより、上金型を前縁部から分離することができなくなる。このため、遠心ファンを一体成型することができなくなる。
【0016】
本発明は上記点に鑑みて、一体成型することを可能にした遠心ファンの製造方法、および遠心ファンを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明では、遠心ファンの製造方法であって、
軸線(Za)を中心とする周方向に間隔を開けて並べられている複数の翼(40)と、
軸線が延びる方向を軸線方向(Ga1)としたとき、軸線を中心とするリング状に形成され、かつ複数の翼のうち軸線方向の一方側に連結されているリング部(50)と、
軸線方向を厚みとして複数の翼のうち軸線方向の他方側に連結されている主板(60)と、を備え、
複数の翼、リング部、および主板が軸線を中心とする回転方向(Ro1)の前側に回転することにより、軸線方向の一方側から吸い込んだ空気を軸線を中心とする径方向(Ka1)の外側に吹き出し、
複数の翼は、それぞれ、リング部に対して軸線を中心とする径方向の内側に配置される前縁部(70)と、前縁部に対して径方向の外側に配置される後縁部(71)と、を備え、
複数の翼は、それぞれ、回転方向の前側に形成されている正圧面(41)と、回転方向の後側に形成されている負圧面(42)とを備え、
径方向に直交する仮想面で前縁部を切断した断面において、負圧面は、軸線方向の一方側に向かうほど回転方向の前側に延びる線(42a、42b)によって構成され、
断面において、正圧面は、軸線方向の一方側に向かうほど回転方向の前側に延びる線(41a)、および軸線に平行に形成されている線(41c)のうち少なくとも一方によって構成され、
前縁部の正圧面のうち最も軸線方向の一方側に位置する端部を正圧面端部(41b)とし、前縁部の負圧面のうち最も軸線方向の一方側に位置する端部を負圧面端部(42c)としたとき、前縁部は、正圧面端部および負圧面端部を結ぶ仮想線(KJ5)から膨らむように形成されている凸部(43)を備え、
断面において、正圧面端部を通り軸線方向に延びる仮想線を第1基準線(KJ4)とし、負圧面端部を通り回転方向に延びる仮想線を第2基準線(KJ3)としたとき、凸部は、第1基準線に対して回転方向の後側で、かつ第2基準線に対して軸線方向の他方側に配置されている遠心ファンを製造することを含み、
遠心ファンを製造することは、
主板のうち軸線方向の他方側を成型する第1金型(100)と、主板のうち複数の翼に対して径方向の内側に位置する主板内側領域(60b)において軸線方向の一方側と、凸部と、前縁部の負圧面と、主板のうち主板内側領域に対して径方向の外側に配置されて前縁部の負圧面に接続される第1領域(160)において軸線方向の一方側とを成型する第2金型(130)と、後縁部および前縁部のそれぞれの正圧面と、後縁部の負圧面と、主板のうち複数の翼のうち隣り合う2つの翼の間で、かつ第1領域に対して径方向の外側に位置する第2領域(161、60a)において軸線方向の一方側と、リング部のうち軸線方向の他方側領域とを成型する第3金型(110、120)と、リング部のうち軸線方向の一方側を成型する第4金型(140)とを組み立てることと、
第1金型、第2金型、第3金型、および第4金型によって形成される成型領域(150)に流動性を有する材料を注入することと、
成型領域に注入される材料を固化して、複数の翼、リング部、および主板が一体化されている一体化構成物(155)を成型領域内に成型することと、
第1金型、第2金型、第3金型、および第4金型と、一体化構成物とを分離することと、を含む。
【0018】
請求項1に記載の発明によれば、凸部(43)は、正圧面端部および負圧面端部を結ぶ仮想線(KJ5)から膨らむように形成されている。凸部は、第1基準線に対して回転方向の後側で、かつ第2基準線に対して軸線方向の他方側に配置されている。
【0019】
したがって、第2金型が凸部に嵌め込まれる状態になることを避けることができる。このため、第2金型と凸部とを軸線方向に分離する際に、第2金型と凸部とが干渉することを避けることができる。以上により、第1金型、第2金型、第3金型、および第4金型と、一体化構成物とを分離することができる。よって、一体成型することを可能にした遠心ファンの製造方法を提供することができる。
【0020】
請求項3に記載の発明では、遠心ファンであって、
軸線(Za)を中心とする周方向に間隔を開けて並べられている複数の翼(40)と、
軸線が延びる方向を軸線方向(Ga1)としたとき、軸線を中心とするリング状に形成され、かつ複数の翼のうち軸線方向の一方側に連結されているリング部(50)と、
軸線方向を厚みとして複数の翼のうち軸線方向の他方側に連結されている主板(60)と、を備え、
複数の翼、リング部、および主板が軸線を中心とする回転方向(Ro1)の前側に回転することにより、軸線方向の一方側から吸い込んだ空気を軸線を中心とする径方向(Ka1)の外側に吹き出し、
複数の翼は、それぞれ、リング部に対して軸線を中心とする径方向の内側に配置される前縁部(70)を備え、
複数の翼は、それぞれ、回転方向の前側に形成されている正圧面(41)と、回転方向の後側に形成されている負圧面(42)と、を備え、
径方向に直交する仮想面で前縁部を切断した断面において、負圧面は、軸線方向の一方側に向かうほど回転方向の前側に延びる線(42a、42b)によって構成され、
断面において、正圧面は、軸線方向の一方側に向かうほど回転方向の前側に延びる線(41a)、および軸線に平行に形成されている線(41c)のうち少なくとも一方によって構成され、
前縁部の正圧面のうち最も軸線方向の一方側に位置する端部を正圧面端部(41b)とし、前縁部の負圧面のうち最も軸線方向の一方側に位置する端部を負圧面端部(42c)としたとき、前縁部は、正圧面端部および負圧面端部を結ぶ仮想線(KJ5)から膨らむように形成されている凸部(43)を備え、
断面において、正圧面端部を通り軸線方向に延びる仮想線を第1基準線(KJ4)とし、負圧面端部を通り回転方向に延びる仮想線を第2基準線(KJ3)としたとき、
凸部は、第1基準線に対して回転方向の後側で、かつ第2基準線に対して軸線方向の他方側に配置されている。
【0021】
請求項3に記載の発明によれば、一体成型することを可能にした遠心ファンの製造方法に適した遠心ファンを提供することができる。
【0022】
なお、各構成要素等に付された括弧付きの参照符号は、その構成要素等と後述する実施形態に記載の具体的な構成要素等との対応関係の一例を示すものである。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】第1実施形態における送風装置の正面図であり、送風ケーシング、複数の翼、および主板の説明を補助するための図である。
【
図2】
図1の第1実施形態における送風装置の斜視図であり、複数の翼、および送風ケーシングの説明を補助するための図である。
【
図3】
図1中の送風装置のIII-III断面図であり、複数の翼、シュラウドリング、および主板の説明を補助するための図である。
【
図4】
図1中の遠心ファンを軸線を含む仮想面で切断した断面図であり、複数の翼のそれぞれの後縁部、前縁部、およびシュラウドリングの外側領域、内側領域の説明を補助するための図である。
【
図5】
図4中のV-V断面図であり、翼の前縁部の任意の点を通る径方向に直交して任意の点を含む仮想面で前縁部を切断した断面図であり、翼の前縁部の傾斜形状、および主板の中間内側領域、および中間外側領域の説明を補助するための図である。
【
図6】
図5中の一部を拡大した部分拡大図であり、翼の前縁部の円弧状凸部の説明を補助するための図である。
【
図7】
図1中の遠心ファンの一部をシュラウドリングを透視した状態を示す透視図であり、主板を構成する主板外側領域、主板内側領域、主板中間領域、中間内側領域、および中間外側領域の説明を補助するための図である。
【
図8】
図1の第1実施形態における遠心ファンの製造方法の詳細の説明を補助するためのフローチャートである。
【
図9】第1実施形態における
図8の遠心ファンの製造方法の金型配置工程において、下側金型、下側スライド金型、上側スライド金型、軸線方向抜き金型、およびリング金型を組み立てた状態で成型領域に樹脂材料を注入する前の状態を示す図である。
【
図10】第1実施形態における
図8の遠心ファンの製造方法の下側金型、下側スライド金型、上側スライド金型、軸線方向抜き金型、およびリング金型を組み立てた状態で成型領域に樹脂材料を注入した状態を示す図である。
【
図11】第1実施形態の
図8の下側スライド金型、上側スライド金型、および軸線方向抜き金型が遠心ファンの翼の前縁部を成型することの説明を補助するための図であり、
図5の断面図に相当する断面図である。
【
図12】第1実施形態の
図8の遠心ファンの製造方法において、一体化構成物から下側スライド金型、上側スライド金型、軸線方向抜き金型を分離する分離工程の説明を補助するための断面図である。
【
図13】第1実施形態における
図10中XIII-XIII断面図であり、第1実施形態の
図8の遠心ファンの製造方法の分離工程の説明を補助するための図であり、一体化構成物から下側スライド金型、上側スライド金型を分離する状態を示す断面図である。
【
図14】対比例の遠心ファンの製造方法において、上金型が遠心ファンの翼の前縁部の円弧状凸部に干渉している状態を示す図である。
【
図15】第1実施形態の遠心ファンの製造方法において、軸線方向抜き金型が遠心ファンの翼の前縁部の円弧状凸部を形成している状態を示す図である。
【
図16】対比例の遠心ファンにおいて、翼の前縁部の負圧面に対して空気流が剥離している状態を示す図である。
【
図17】第1実施形態の遠心ファンにおいて、負圧面に対する空気流の剥離が解消されて負圧面に沿って空気流が流れる状態を示す図である。
【
図18】第2実施形態の遠心ファンにおいて、翼の前縁部を径方向に直交する仮想面で切断した断面図であり、前縁部の正圧面の形状の説明を補助するための図であり、上記第1実施形態の
図5に相当する断面図である。
【
図19】第3実施形態の遠心ファンにおいて、翼の前縁部を径方向に直交する仮想面で切断した断面図であり、前縁部の正圧面の形状の説明を補助するための図であり、上記第1実施形態の
図5に相当する断面図である。
【
図20】第4実施形態の遠心ファンにおいて、翼の前縁部を径方向に直交する仮想面で切断した断面図であり、前縁部の正圧面の形状の説明を補助するつぁめの図であり、上記第1実施形態の
図5に相当する断面図である。
【
図21】第5実施形態の遠心ファンにおいて、翼の前縁部を径方向に直交する仮想面で切断した断面図であり、前縁部の正圧面の形状の説明を補助するつぁめの図であり、上記第1実施形態の
図5に相当する断面図である。
【
図22】第6実施形態の遠心ファンにおいて、翼、およびシュラウドリングの一部を示す部分拡大図である。
【
図23】第6実施形態の
図22中の遠心ファンを軸線を含む仮想面で切断した断面図であり、複数の翼のそれぞれの前縁部の前縁傾斜部、および前縁非傾斜部の説明を補助するための断面図である。
【
図24】第6実施形態の
図23中のXXIV-XXIV断面図であり、複数の翼のそれぞれの前縁部の負圧面の傾斜角の説明を補助するための断面図である。
【
図25】第6実施形態の
図23中のXXV-XXV断面図であり、複数の翼のそれぞれの前縁部の負圧面の傾斜角の説明を補助するための断面図である。
【
図26】第6実施形態の
図23中のXXVI-XXVI断面図であり、複数の翼のそれぞれの前縁部の負圧面の傾斜角の説明を補助するための断面図である。
【
図27】第7実施形態の遠心ファンの翼の前縁部を径方向に直交する仮想面で切断した断面図であり、複数の翼のそれぞれの前縁部の負圧面、正圧面の形状の説明を補助するための断面図であり、上記第1実施形態の
図5に相当する断面図である。
【
図28】第8実施形態の遠心ファンの翼の前縁部を径方向に直交する仮想面で切断した断面図であり、複数の翼のそれぞれの前縁部の負圧面、正圧面の形状の説明を補助するための断面図であり、上記第1実施形態の
図5に相当する断面図である。
【
図29】第9実施形態の遠心ファンの翼の前縁部を径方向に直交する仮想面で切断した断面図であり、複数の翼のそれぞれの前縁部の負圧面、正圧面の形状の説明を補助するための断面図であり、上記第1実施形態の
図5に相当する断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の実施形態について図に基づいて説明する。なお、以下の各実施形態相互において、互いに同一もしくは均等である部分には、説明の簡略化を図るべく、図中、同一符号を付してある。
【0025】
【0026】
図1は、本実施形態における送風装置1の正面図であり、
図2は、本実施形態における送風装置の斜視図であり、
図3は、
図1中の本実施形態における送風装置1のIII-III断面図である。
図4は、
図1中の翼40単体を示す図であり、
図5は、
図4中のV-V断面図である。
図6は、
図5中の翼40単体の一部を拡大した拡大図である。
図7は、
図1中の遠心ファン20のうちシュラウドリング50を透視した状態で主板60の一部を示す透視図である。
【0027】
本実施形態の送風装置1は、車両用空調装置を構成する遠心送風装置である。本実施形態の送風装置1は、
図1、
図2、および
図3に示すように、送風ケーシング10、遠心ファン20、および電動モータ30を備える。
【0028】
送風ケーシング10は、上ケーシング部11、下ケーシング部12を備える。上ケーシング部11は、軸線Zaを中心とする円盤状に形成されている。上ケーシング部11には、軸線方向Ga1に開口されている空気吸入口13が設けられている。空気吸入口13は、軸線Zaを中心とする円形に形成されている。
【0029】
下ケーシング部12は、上ケーシング部11に対して軸線方向Ga1の他方側に配置されている。上ケーシング部11および下ケーシング部12の間において、軸線Zaを中心とする径方向Ka1の外側には、空気吹出口14が設けられている。
【0030】
本実施形態において、空気吹出口14は、軸線Zaを中心とする周方向に亘って形成されている。上ケーシング部11および下ケーシング部12は、図示しない連結部によって連結されている。
【0031】
遠心ファン20は、送風ケーシング10の上ケーシング部11および下ケーシング部12の間に配置されている。遠心ファン20は、
図3に示すように、複数の翼40、シュラウドリング50、および主板60を備えるターボファンである。
【0032】
ここで、複数の翼40は、軸線Zaを中心とする周方向に間隔を開けて並べられている。複数の翼40のうち隣合う2つの翼40の間において、上記間隔は、空気が流れる空気流路400を構成する。複数の翼40は、それぞれ、径方向Ka1の内側から外側に進むほど回転方向Ro1の後側に進むように形成されている。
【0033】
複数の翼40は、それぞれ、正圧面41、および負圧面42を備える。正圧面41は、複数の翼40のそれぞれにおいて、回転方向Ro1の前側に形成されている。回転方向Ro1の前側は、遠心ファン20が回転する向きである。
【0034】
負圧面42は、複数の翼40のそれぞれにおいて、回転方向Ro1の後側に形成されている。回転方向Ro1の後側は、回転方向Ro1の前側に対して反対側の向きである。空気流路400における正圧面41、および負圧面42の間の距離は、径方向Ka1の内側から外側に向かって大きくなるように複数の翼40が形成されている。
【0035】
シュラウドリング50は、軸線Zaを中心とするリング状に形成されている。シュラウドリング50は、複数の翼40に対して軸線方向Ga1の一方側に配置されている。シュラウドリング50は、複数の翼40のうち軸線方向Ga1の一方側に連結されている。シュラウドリング50は、複数の翼40の強度を補強するために用いられる。具体的には、シュラウドリング50は、外側領域52、および内側領域51を備える。
【0036】
外側領域52は、軸線Zaを中心とするリング状に形成されている。外側領域52は、径方向Ka1に亘って拡がる板状に形成されている。内側領域51は、外側領域52に対して径方向Ka1の内側に配置されている。
【0037】
内側領域51は、軸線Zaを中心とする円筒状に形成されている。外側領域52、および内側領域51は、互いに連結されている。
【0038】
ここで、
図4に示すように、複数の翼40は、それぞれ、前縁部70および後縁部71を備える。前縁部70は、複数の翼40のそれぞれにおいて、シュラウドリング50に対して径方向Ka1の内側に配置されている。
【0039】
後縁部71は、複数の翼40のそれぞれにおいて、前縁部70に対して径方向Ka1の外側に配置されている。すなわち、後縁部71は、複数の翼40のそれぞれにおいて、シュラウドリング50に対して軸線方向Ga1の他方側に配置されている。
【0040】
本実施形態では、前縁部70は、
図4に示すように、軸線方向Ga1に対して回転方向Ro1の前側に傾斜する傾斜状に形成されている。
図5に示すように、前縁部70のうち一部である一方側部位70aは、前縁部70のうち一方側部位70aよりも軸線方向Ga1他方側に位置する他方側部位70bに対して、回転方向Ro1の前側に位置する。
【0041】
図5は、径方向Ka1に直交して任意の点70Xを含む仮想面で
図4の前縁部70を切断した断面図である。径方向Ka1は、
図4の前縁部70のうち任意の点70Xを通る径方向である。
図6は、
図5中の前縁部70の一部を拡大した図である。
【0042】
前縁部70の正圧面41は、
図5の断面図において、軸線方向Ga1の一方側に進むほど回転方向Ro1の前側に真っ直ぐ延びる線41aによって形成されている。線41aに交差して軸線方向Ga1に延びる仮想線(すなわち、第1基準線)を基準線KJ1としたとき、線41aと基準線KJ1との間に形成される狭角である傾斜角Kθ1は、回転方向Ro1に亘って一定になっている。
【0043】
前縁部70の負圧面42は、
図5の断面図において、軸線方向Ga1の一方側に進むほど回転方向Ro1の前側に延びる線42a、42bによって形成されている。線42aは、主板60から軸線方向Ga1の一方側に進むほど、回転方向Ro1の前側に真っ直ぐ延びるように形成されている。
【0044】
線42aと基準線KJ1との間に形成される狭角である傾斜角Kθ2は、回転方向Ro1に亘って一定になっている。
【0045】
本実施形態では、正圧面41の傾斜角Kθ1は、負圧面42の傾斜角Kθ2は、同一になっている。狭角は零度以上で有り、かつ180度未満である角度である。
【0046】
線42bは、線42aのうち軸線方向Ga1一方側端部から軸線方向Ga1一方側に進むほど回転方向Ro1の前側に延びるように形成されている。具体的には、線42bは、
図6の断面図において、外側に膨らむ円弧状に形成されている。線42a、42bは、互いに、連結部42Xで連結されている。
【0047】
図6の前縁部70の断面図において、線41a(すなわち、正圧面41)のうち最も軸線方向Ga1の一方側に位置する端部を正圧面端部41bとする。
図6の前縁部70の断面図において、線42a、42b(すなわち、負圧面42)のうち最も軸線方向Ga1一方側に位置する端部を負圧面端部42cとする。
【0048】
前縁部70のうち軸線方向Ga1一方側には、
図6の前縁部70の断面図において、正圧面端部41bおよび負圧面端部42cから膨らんで外形線43aが円弧状に形成されている円弧状凸部43が設けられている。
【0049】
具体的には、正圧面端部41bおよび負圧面端部42cを結ぶ仮想線を基準線KJ5とする。
図6の前縁部70の断面図において、円弧状凸部43は、基準線KJ5から膨らむように形成されている。
【0050】
図6の断面図において、負圧面42の負圧面端部42cを通り回転方向Ro1に延びる仮想線を基準線KJ3とする。正圧面41の正圧面端部41bを通り軸線方向Ga1に延びる仮想線を基準線KJ4とする。
【0051】
本実施形態では、
図6の断面図において、円弧状凸部43は、基準線KJ3に対して軸線方向Ga1の他方側に配置されている。これに加えて、円弧状凸部43は、基準線KJ4に対して回転方向Ro1の後側に配置されている。
【0052】
本実施形態では、複数の翼40の後縁部71は、径方向Ka1に亘って軸線Zaに平行になるように形成されている。
【0053】
主板60は、
図1、
図2、および
図3に示すように、軸線方向Ga1を厚みとして軸線Zaを中心とする円板状に形成されている。主板60は、複数の翼40に対して軸線方向Ga1の他方側に配置されている。主板60は、複数の翼40のそれぞれの軸線方向Ga1の他方側に連結されている。主板60は、複数の翼40の強度を補強するために用いられる。
【0054】
主板60は、
図7に示すように、主板外側領域60a、主板内側領域60b、および主板中間領域60cを備える。
図7は、遠心ファン20のうちシュラウドリング50を透視した状態で主板60の一部を示す図であり、遠心ファン20の複数の翼40、および主板60の一部を軸線方向Ga1の一方側から視た図である。
【0055】
主板外側領域60aは、主板60のうちシュラウドリング50によって軸線方向Ga1の一方側から覆われている円環状領域である。主板外側領域60aは、主板60のうち主板内側領域60b、主板中間領域60cに対して径方向Ka1の外側に配置されている。
【0056】
主板内側領域60bは、主板60のうち複数の翼40に対して径方向Ka1の内側に配置されている円板状領域である。 主板内側領域60bは、主板60のうちシュラウドリング50に対して径方向Ka1の内側に配置されている。
【0057】
主板内側領域60bは、主板60のうち、主板中間領域60c、主板外側領域60aに対して径方向Ka1の内側に配置されている。 主板中間領域60cは、主板60のうち主板外側領域60aおよび主板内側領域60bの間に配置されている円環状領域である。
【0058】
主板中間領域60cは、中間内側領域160および中間外側領域161を備える。中間内側領域160は、主板60の主板中間領域60cのうち前縁部70の負圧面42に接続されている。中間外側領域161は、主板60の主板中間領域60cのうち前縁部70の正圧面41に接続されている領域である。
【0059】
本実施形態の電動モータ30は、
図3に示すように、回転軸が遠心ファン20の主板60に連結されている。電動モータ30は、その回転軸によって、遠心ファン20の主板60に回転力を与える。電動モータ30は、下ケーシング部12および主板60の間に配置されている。電動モータ30は、下ケーシング部12によって支持されている。
【0060】
次に、本実施形態の送風装置1の作動について説明する。
【0061】
まず、遠心ファン20が電動モータ30によって駆動されて軸線Zaを中心として回転する。
【0062】
すると、遠心ファン20は、軸線方向Ga1の一方側から送風ケーシング10の空気吸入口13を通して空気を複数の空気流路400に吸い込んでこの吸い込んだ空気を複数の空気流路400から径方向Ka1の外側に吹き出さす。これら複数の空気流路400から吹き出される空気は、送風ケーシング10の空気吹出口14から吹き出される。
【0063】
【0064】
図8は、遠心ファン20を樹脂成形するための製造方法の詳細を示すためのフローチャートである。
図9は、
図8のステップS100における金型配置工程において、下側金型100、複数の下側スライド金型110、複数の上側スライド金型120、軸線方向抜き金型130、およびリング金型140を組み立てた状態を示す図である。
【0065】
図10は、下側金型100、複数の下側スライド金型110、複数の上側スライド金型120、軸線方向抜き金型130、およびリング金型140によって形成される成型領域150に一体化構成物155が形成されている状態を示す図である。
図11は、複数の下側スライド金型110、複数の上側スライド金型120、軸線方向抜き金型130の役割の説明を補助するための図であり、
図5に相当する図である。
【0066】
図12は、一体化構成物155から、複数の下側スライド金型110、複数の上側スライド金型120、軸線方向抜き金型130を分離することを説明するための図である。
図13は、一体化構成物155から、複数の下側スライド金型110、複数の上側スライド金型120分離することを説明するための図である。
【0067】
以下、説明の便宜上、複数の翼40のうち隣り合う2つの翼40のうち回転方向Ro1の前側に位置する翼40を前翼40aともいう。複数の翼40のうち隣り合う2つの翼40のうち回転方向Ro1の後側に位置する翼40を後翼40bともいう。
【0068】
まず、ステップS100における金型配置工程において、下側金型100、複数の下側スライド金型110、複数の上側スライド金型120、軸線方向抜き金型130、およびリング金型140を準備して組み立てる。
【0069】
ここで、下側金型100は、主板60のうち軸線方向Ga1の他方側を成型する第1金型である。複数の下側スライド金型110は、それぞれ、軸線Zaを中心とする円周方向に並べられている第3金型である。
【0070】
複数の下側スライド金型110は、それぞれ、後翼40bの前縁部70および後縁部71のそれぞれの正圧面41と、前翼40aの後縁部71の負圧面42とを成型する。
【0071】
複数の下側スライド金型110は、それぞれ、主板外側領域60aのうち軸線方向Ga1の一方側と、中間外側領域161のうち軸線方向Ga1の一方側とをそれぞれ成型する。
【0072】
中間外側領域161は、
図7に示すように、主板中間領域60cのうち、後翼40bの前縁部70の正圧面41に接続されている接続領域である。中間外側領域161および主板外側領域60aは、第2領域を構成する。中間外側領域161および主板外側領域60aは、後述する中間内側領域160に対して径方向Ka1の外側に配置されている。
【0073】
複数の上側スライド金型120は、複数の下側スライド金型110とともに、第3金型を構成する。複数の上側スライド金型120は、それぞれ、複数の下側スライド金型110のうち対応する下側スライド金型110に対して軸線方向Ga1の一方側に配置されている。
【0074】
複数の上側スライド金型120は、それぞれ、後翼40bの前縁部70および後縁部71のそれぞれの正圧面41と、前翼40aの後縁部71の負圧面42とを成型する。複数の上側スライド金型120は、それぞれ、シュラウドリング50のうち軸線方向Ga1の他方側を成型する。
【0075】
軸線方向抜き金型130は、
図11および
図13に示すように、主板内側領域60bおよび中間内側領域160のそれぞれの軸線方向Ga1の一方側と、円弧状凸部43とを成型する第2金型である。
【0076】
中間内側領域160は、
図7に示すように、主板中間領域60cのうち前翼40aの前縁部70の負圧面42に接続されている第1領域である。ここで、中間内側領域160は、中間外側領域161に対して径方向Ka1の内側に配置されている。
【0077】
中間内側領域160は、主板内側領域60bに連結されている。主板外側領域60aと中間外側領域161は、主板60のうち、後翼40bの正圧面41と前翼40aの負圧面42との間において、中間内側領域160に対して径方向Ka1の外側に配置されている。
【0078】
中間内側領域160および中間外側領域161は、境界線162で区分けされている。境界線162は、後翼40bのうち径方向Ka1の内側端部と、前翼40aの前縁部70のうち径方向Ka1の外側端部とを結ぶ線である。
【0079】
リング金型140は、軸線Zaを中心とするリング状に形成されている第4金型である。リング金型140は、シュラウドリング50のうち軸線方向Ga1の一方側を成型する。
【0080】
このような下側金型100、複数の下側スライド金型110、複数の上側スライド金型120、軸線方向抜き金型130、およびリング金型140を組み立てることにより、遠心ファン20を成型するための成型領域150が形成される。
【0081】
成型領域150は、下側金型100、複数の下側スライド金型110、複数の上側スライド金型120、軸線方向抜き金型130、およびリング金型140によって囲まれている領域である。
【0082】
次のステップS110の樹脂注入工程において、流動性を樹脂材料を注入孔151を通して成型領域150に注入する。
【0083】
次のステップS120の固化工程において、成型領域150内の樹脂材料を固化する。このことにより、一体化構成物155が成型領域150内に成型されることになる。一体化構成物155は、複数の翼40、シュラウドリング50、および主板60が一体化されている構成物である。
【0084】
このステップS120の固化工程では、複数の下側スライド金型110は、それぞれ、前翼40aの前縁部70および後縁部71のそれぞれの正圧面41と、後翼40bの後縁部71の負圧面42との間に配置されている。複数の上側スライド金型120は、それぞれ、前翼40aの前縁部70および後縁部71のそれぞれの正圧面41と、後翼40bの後縁部71の負圧面42との間に配置されている。
【0085】
次に、ステップS130の分離工程において、下側金型100、複数の下側スライド金型110、複数の上側スライド金型120、軸線方向抜き金型130、およびリング金型140から、一体化構成物155を分離する。
【0086】
このとき、複数の翼40のうち隣合う2つの翼40の間から、複数の下側スライド金型110を、
図12、
図13中の矢印Yaの如く取り出す。その後、複数の翼40のうち隣合う2つの翼40の間から、複数の上側スライド金型120を、
図13中の矢印Ybの如く取り出す。
【0087】
また、軸線方向抜き金型130、およびリング金型140を一体化構成物155に対して軸線方向Ga1の一方側に移動させる。下側金型100を一体化構成物155に対して軸線方向Ga1の他方側に移動させる。このように一体化構成物155としての遠心ファン20が射出成型されることになる。
【0088】
以上説明した本実施形態によれば、遠心ファン20は、軸線Zaを中心とする周方向に空気流路400である間隔を開けて並べられている複数の翼40を備える。遠心ファン20は、軸線Zaが延びる方向を軸線方向Ga1としたとき、軸線Zaを中心とするリング状に形成され、かつ複数の翼40のうち軸線方向Ga1の一方側に連結されているシュラウドリング50を備える。
【0089】
遠心ファン20は、複数の翼40に対して軸線方向Ga1の他方側に配置され、かつ軸線方向Ga1を厚みとして複数の翼40のうち軸線方向Ga1の他方側に連結されている主板60を備える。複数の翼40、シュラウドリング50、および主板60は、一体化されている一体化構成物155を構成する。
【0090】
複数の翼40、シュラウドリング50、および主板60が軸線Zaを中心とする回転方向Ro1の前側に回転して、軸線方向Ga1の一方側から空気を空気流路400に吸い込んでこの空気を空気流路400から軸線Zaを中心とする径方向Ka1の外側に吹き出す。
【0091】
複数の翼40は、それぞれ、シュラウドリング50に対して径方向Ka1の内側に配置される前縁部70を有している。
【0092】
複数の翼40は、それぞれ、回転方向Ro1の前側に形成されている正圧面41と、回転方向Ro1の後側に形成されている負圧面42とを備える。
【0093】
図6に、
図4の前縁部70の任意の点70Xを通る径方向Ka1に直交して任意の点70Xを含む仮想面で前縁部70を切断した断面図を示す。前縁部70の正圧面41は、
図6に示すように、軸線方向Ga1の一方側に向かうほど回転方向Ro1の前側に延びる線41aによって構成されている。
【0094】
図6の断面において、前縁部70の負圧面42は、軸線方向Ga1の一方側に向かうほど回転方向Ro1の前側に延びる線42a、42bによって構成されている。
【0095】
図6の断面において、前縁部70の正圧面41のうち、最も軸線方向Ga1の一方側に位置する端部を正圧面端部41bとし、負圧面42のうち、最も回転方向Ro1の前側に位置する端部を負圧面端部42cとしている。
【0096】
前縁部70は、正圧面端部41bおよび負圧面端部42cを結ぶ基準線KJ5から膨らんで、外形線43aが
図6の断面において円弧状に形成されている円弧状凸部43を備える。
【0097】
図6の断面において、正圧面端部41bを通り軸線方向Ga1に延びる仮想線(すなわち、第1基準線)を基準線KJ4とする。
図6の断面において、負圧面端部42cを通り回転方向Ro1に延びる仮想線(すなわち、第2基準線)を基準線KJ3とする。
【0098】
円弧状凸部43は、基準線KJ3に対して軸線方向Ga1の他方側で、かつ基準線KJ4に対して回転方向Ro1の後側に配置されている。
【0099】
さらに、本実施形態の遠心ファン20の製造方法は、下側金型100、複数の下側スライド金型110、複数の上側スライド金型120、軸線方向抜き金型130、およびリング金型140を組み立てるステップS100の工程を備える。
【0100】
下側金型100は、主板60のうち軸線方向Ga1の他方側を成型する金型である。軸線方向抜き金型130は、主板内側領域60bのうち軸線方向Ga1の一方側と、中間内側領域160のうち軸線方向Ga1の一方側と、前縁部70の円弧状凸部43と、前縁部70の負圧面42とを成型する金型である。
【0101】
主板内側領域60bは、主板60のうち複数の翼40に対して径方向Ka1の内側に位置する領域である。中間内側領域160は、主板60のうち主板内側領域60bに対して径方向Ka1の外側に配置され、かつ前縁部70の負圧面42に接続される第1領域である。
【0102】
複数の下側スライド金型110は、それぞれ、翼40毎における前縁部70および後縁部71のそれぞれの正圧面41と、翼40毎における後縁部71の負圧面42と、主板外側領域60aのうち軸線方向Ga1の一方側とを成型する。
【0103】
主板外側領域60aは、主板60のうちシュラウドリング50によって軸線方向Ga1の一方側から覆われる領域である。複数の下側スライド金型110は、それぞれ、中間外側領域161のうち軸線方向Ga1の一方側を成型する。
【0104】
主板外側領域60aと中間外側領域161とは、第2領域を構成する。主板外側領域60aと中間外側領域161は、主板60のうち、後翼40bの正圧面41と前翼40aの負圧面42との間において、中間内側領域160に対して径方向Ka1の外側に配置されている。
【0105】
複数の上側スライド金型120は、それぞれ、後翼40bの前縁部70および後縁部71のそれぞれの正圧面41と、前翼40aの後縁部71の負圧面42と、シュラウドリング50のうち軸線方向Ga1の他方側領域とを成型する。リング金型140は、シュラウドリング50のうち軸線方向Ga1の一方側を成型する。
【0106】
遠心ファン20の製造方法は、下側金型100、複数の下側スライド金型110、複数の上側スライド金型120、軸線方向抜き金型130、リング金型140によって形成される成型領域150に流動性の樹脂材料を注入するステップS110の工程を備える。
【0107】
遠心ファン20の製造方法は、成型領域150に注入される樹脂材料を固化して、複数の翼40、リング部、および主板60が一体化されている一体化構成物155を成型領域150内に成型するステップS120の工程を備える。
【0108】
遠心ファン20の製造方法は、下側金型100、複数の下側スライド金型110、複数の上側スライド金型120、軸線方向抜き金型130、およびリング金型140と、一体化構成物155とを分離するステップS130の工程を備える。
【0109】
例えば、
図14に示すように、翼40の前縁部70のうち最も回転方向Ro1の前側に位置する部位を最前部41yとする。円弧状凸部43のうち、回転方向Ro1の前側で、かつ最も軸線方向Ga1の他方側に位置する部位を最下部41xとする。さらに、円弧状凸部43のうち回転方向Ro1の前側で、かつ最下部41xよりも軸線方向Ga1の一方側の領域を正圧上側領域41fとする。
【0110】
ここで、上金型200によって前縁部70の負圧面42、および円弧状凸部43を形成し、下金型210によって前縁部70の正圧面41を成型する。特に、円弧状凸部43のうち正圧上側領域41fを上金型200によって成型する。
【0111】
この場合、前縁部70の最前部41yが最下部41xに対して軸線方向Ga1の一方側に配置される。さらに、上金型200および下金型210の間の成型領域に注入された樹脂材料が固化した状態では、
図14に示すように、上金型200が前縁部70の正圧上側領域41fに嵌合された状態になる。
【0112】
このため、上金型200を前縁部70から分離するために上金型200を前縁部70に対して軸線方向Ga1の一方側に移動させる際に、上金型200が前縁部70の正圧上側領域41fに干渉する。
【0113】
これにより、上金型200を前縁部70を分離することができなくなる。このため、遠心ファン20を一体成型することができなくなる。
【0114】
これに対して、本実施形態では、
図15に示すように、円弧状凸部43は、正圧面端部41bおよび負圧面端部42cを結ぶ基準線KJ5から膨らんで外形線43aが円弧状に形成されている。
図15は、下側スライド金型110、上側スライド金型120、軸線方向抜き金型130によって成型されている遠心ファン20の一部を示す断面図である。
【0115】
図15は、
図5と同様に、翼40の前縁部70の任意の点を通る径方向に直交して前記任意の点を含む仮想面で前縁部70を切断した断面図である。
図15は、射出成型の製造工程において、下側スライド金型110、上側スライド金型120、軸線方向抜き金型130によって成型された前縁部70を示している。負圧面42の負圧面端部42cを通り回転方向Ro1に延びる仮想線を基準線KJ3とする。
【0116】
正圧面41の正圧面端部41bを通り軸線方向Ga1に延びる仮想線を基準線KJ4とする。本実施形態では、
図6の断面図において、円弧状凸部43は、基準線KJ3に対して軸線方向Ga1の他方側で、かつ基準線KJ4に対して回転方向Ro1の後側に配置されている。
【0117】
このため、軸線方向抜き金型130が翼40の前縁部70の円弧状凸部43に嵌合することはない。したがって、軸線方向抜き金型130を軸線方向Ga1の一方側に移動させる際に、軸線方向抜き金型130が翼40に対して干渉することはない。
【0118】
以上により、軸線方向抜き金型130に対して複数の翼40を分離することができる。このため、下側金型100、複数の下側スライド金型110、複数の上側スライド金型120、軸線方向抜き金型130、およびリング金型140から一体化構成物155を良好に分離することができる。
【0119】
以上により、一体成型することを可能にした遠心ファン20の製造方法、および遠心ファン20を提供することができる。
【0120】
このように構成される本実施形態において、次のような(a)(b)(c)の作用効果が得られる。
【0121】
(a)軸線方向抜き金型130は、主板内側領域60bのうち軸線方向Ga1の一方側と、中間内側領域160のうち軸線方向Ga1の一方側と、円弧状凸部43とをそれぞれ成型する。
【0122】
このため、主板内側領域60bのうち軸線方向Ga1の一方側と、中間内側領域160のうち軸線方向Ga1の一方側と、円弧状凸部43とをそれぞれ独立した金型で成型する場合に比べて、金型の個数を減らすことができる。したがって、遠心ファン20の製造管理を簡素化することができる。
【0123】
(b)後翼40bの正圧面41と、前翼40aの負圧面42とを成型するために、複数の下側スライド金型110および複数の上側スライド金型120が設けられている。このため、後翼40bと前翼40aとから、複数の下側スライド金型110および複数の上側スライド金型120を良好に分離することができる。
【0124】
(c)
図16に示すように、前翼40aの正圧面41、負圧面42が軸線Zaが平行になっている場合には、正圧面41、負圧面42に対して空気が、
図16中の矢印Taのように、剥離する。これに対して、本実施形態では、前翼40aの正圧面41、負圧面42は、軸線方向Ga1の一方側に進むほど回転方向Ro1の前側に延びるように形成されている。このため、
図17に示すように、正圧面41、負圧面42に対して空気が
図17中の矢印Tbのように、剥離することを抑制することができる。
【0125】
(第2実施形態)
上記第1実施形態では、
図5の翼40の前縁部70の断面図において、正圧面41が線41aによって構成されている例について説明した。
【0126】
しかし、これに代えて、
図18の断面図において、正圧面41が線41a、41cによって構成されている例について説明する。
図18において、
図5と同一の符号は、同一のものを示し、その説明を省略する。
【0127】
図18は、翼40の前縁部70を径方向Ka1に直交する仮想面で切断する断面図であり、上記第1実施形態における
図5に相当する断面図である。
【0128】
図18に示すように、正圧面41は、線41a、41cによって構成されている。線41cは、線41aと主板中間領域60cの中間外側領域161との間に配置されている。
【0129】
線41cは、軸線方向Ga1に真っ直ぐ延びる線分である。すなわち、線41cは、軸線Zaに平行に形成されている線分である。線41aは、線41cおよび円弧状凸部43の間に配置されている。線41aは、軸線方向Ga1に進むほど、回転方向Ro1の前側に延びるように形成されている。
【0130】
ここで、線41cと基準線KJ1との間に形成される狭角である傾斜角は、零である。このため、線41aと基準線KJ1との間に形成される傾斜角は、線41cと基準線KJ1との間に形成される傾斜角と異なる。具体的には、線41aと基準線KJ1との間に形成される傾斜角は、線41cと基準線KJ1との間に形成される傾斜角に比べて大きい。
【0131】
以上説明した本実施形態によれば、上記第1実施形態と同様に、一体成型することを可能にした遠心ファン20の製造方法、および遠心ファン20を提供することができる。
【0132】
本実施形態では、翼40の正圧面41において、線41cは、軸線Zaに平行に形成されている。線41aは、軸線方向Ga1に進むほど、回転方向Ro1の前側に延びるように形成されている。
このため、翼40の正圧面41の傾斜を空気流路400を流れる空気流に合わせることができる。このため、空気流路400を空気が流れる際に生じる圧力損失を下げることができる。
【0133】
(第3実施形態)
上記第2実施形態では、
図18の断面図の正圧面41において、線41cを軸線方向Ga1に真っ直ぐ延びる線分とした例について説明した。
【0134】
しかし、これに代えて、線41cを、軸線方向Ga1の一方側に進むほど、回転方向Ro1の前側に延びるように形成されている線分とした例について
図19を参照して説明する。
図19において、
図18と同一の符号は、同一のものを示し、その説明を省略する。
【0135】
図19は、翼40の前縁部70を径方向Ka1に直交する仮想面で切断する断面図であり、上記第2実施形態における
図18に相当する断面図である。
【0136】
図19に示すように、正圧面41は、線41a、41cによって構成されている。線41cは、線41aと中間外側領域161との間に配置されている。
【0137】
線41aは、軸線方向Ga1に進むほど、回転方向Ro1の前側に進むように形成されている第1線分である。線41cは、軸線方向Ga1の一方側に進むほど、回転方向Ro1の前側に延びるように形成されている第2線分である。
【0138】
ここで、線41aと基準線KJ1aとの間に形成される傾斜角(すなわち、第1傾斜角)Kθ1aは、線41cと基準線KJ1bとの間に形成される傾斜角Kθ1bに比べて大きい。線41cと基準線KJ1bとの間に形成される狭角である傾斜角(すなわち、第2傾斜角)Kθ1bは、零よりも大きい。
【0139】
基準線KJ1aは、線41aに交差して軸線方向Ga1に延びる第3基準線である。基準線KJ1bは、線41cに交差して軸線方向Ga1に延びる第4基準線である。以上説明した本実施形態によれば、上記第2実施形態と同様に、一体成型することを可能にした遠心ファン20の製造方法、および遠心ファン20を提供することができる。
【0140】
本実施形態では、翼40の正圧面41において、線41aと基準線KJ1aとの間に形成される傾斜角Kθ1aは、線41cと基準線KJ1bとの間に形成される傾斜角Kθ1bに比べて大きい。このため、翼40の正圧面41の傾斜を空気流路400を流れる空気流に合わせることができる。このため、空気流路400を空気が流れる際に生じる圧力損失を下げることができる。
【0141】
(第4実施形態)
上記第3実施形態では、
図19の断面図の正圧面41において、線41cが線41aに対して軸線方向Ga1に対して他方側に配置されている例について説明した。
【0142】
しかし、これに代えて、線41cが線41aに対して軸線方向Ga1に対して一方側に配置されている例について
図20を参照して説明する。
【0143】
図20は、翼40の前縁部70を径方向Ka1に直交する仮想面で切断する断面図であり、上記第3実施形態における
図19に相当する断面図である。
【0144】
図20に示すように、正圧面41は、線41a、41cによって構成されている。線41cは、円弧状凸部43と線41aとの間に配置されている。
【0145】
線41cは、軸線方向Ga1の一方側に進むほど、回転方向Ro1の前側に進むように形成されている。線41aは、軸線方向Ga1の一方側に進むほど、回転方向Ro1の前側に進むように形成されている。
【0146】
ここで、線41cと基準線KJ1との間に形成される狭角である傾斜角は、零よりも大きい。線41aと基準線KJ1との間に形成される傾斜角は、線41cと基準線KJ1との間に形成される傾斜角に比べて大きい。
【0147】
以上説明した本実施形態によれば、上記第3実施形態と同様に、一体成型することを可能にした遠心ファン20の製造方法、および遠心ファン20を提供することができる。
【0148】
本実施形態では、翼40の正圧面41において、線41aと基準線KJ1との間に形成される傾斜角は、線41cと基準線KJ1との間に形成される傾斜角に比べて大きい。このため、翼40の正圧面41の傾斜を空気流路400を流れる空気流に合わせることができる。したがって、空気流路400を空気が流れる際に生じる圧力損失を下げることができる。
【0149】
(第5実施形態)
上記第4実施形態では、前縁部70の正圧面41において、線41aに対して軸線方向Ga1の一方側に配置される線41cが軸線方向Ga1の一方側に進むほど、回転方向Ro1の前側に進むように形成されている例について説明した。
【0150】
しかし、これに代えて、本第5実施形態において、
図21の前縁部70の正圧面41の断面において、線41cは、軸線Zaに平行になるように形成されている例について
図21を参照して説明する。
【0151】
図21は、翼40の前縁部70を径方向Ka1に直交する仮想面で切断する断面図であり、上記第4実施形態における
図20に相当する断面図である。
【0152】
図21に示すように、正圧面41は、線41a、41cによって構成されている。線41cは、円弧状凸部43と線41aとの間に配置されている。
【0153】
線41cは、軸線Zaに平行になるように形成されている。線41aは、軸線方向Ga1の一方側に進むほど、回転方向Ro1の前側に進むように形成されている。
【0154】
以上説明した本実施形態によれば、上記第3実施形態と同様に、一体成型することを可能にした遠心ファン20の製造方法、および遠心ファン20を提供することができる。
【0155】
(第6実施形態)
本第6実施形態では、上記第1実施形態の翼40の前縁部70の負圧面42は、その傾斜角が径方向Ka1の外側から内側に進むほど、小さくなる例について
図22、
図23、
図24、
図25等を参照して説明する。
【0156】
図22は、遠心ファン20の一部を拡大した図であり、翼40単体およびシュラウドリング50の一部を軸線方向Ga1の一方側から視た図である。
図23は、軸線Zaを含む仮想面で遠心ファン20を切断した断面図である。
図24は、
図23中の翼40の前縁部70におけるXXIV-XXIV断面図であり、
図25は、
図23中の翼40の前縁部70におけるXXV-XXV断面図である。
図26は、
図23中の翼40の前縁部70におけるXXVI-XXVI断面図である。
【0157】
本実施形態の遠心ファン20と上記第1実施形態の遠心ファン20とは、複数の翼40のそれぞれの前縁部70が相違する。このため、以下、主に本実施形態の遠心ファン20の複数の翼40のそれぞれの前縁部70について説明する。
【0158】
本実施形態の複数の翼40のそれぞれの前縁部70は、前縁傾斜部73a、および前縁非傾斜部73bを備える。
【0159】
前縁傾斜部73aは、その正圧面41が、
図24、
図25の断面図において、上記第1実施形態の前縁部70の正圧面41と同様に、基準線KJ1に対して交差する線41aによって構成されている傾斜領域である。
【0160】
図24、
図25の断面図において、線41aおよび基準線KJ1の間に形成される狭角を傾斜角Kθ1とする。
【0161】
本実施形態における前縁傾斜部73aの正圧面41は、傾斜角Kθ1が径方向Ka1の外側から内側に進むほど、小さくなる。
図24中の傾斜角Kθ1は、
図25中の傾斜角Kθ1に比べて、大きくなっている。基準線KJ1は、線41aに交差して軸線方向Za1に延びる仮想線である。
【0162】
前縁傾斜部73aの負圧面42は、
図24、
図25の断面図において、上記第1実施形態の前縁部70の負圧面42と同様に、基準線KJ1に対して交差する線42aによって構成されている。
図24、
図25の断面図において線42aおよび基準線KJ1の間に形成される狭角を傾斜角Kθ2とする。
【0163】
本実施形態における前縁傾斜部73aの負圧面42は、傾斜角Kθ2が径方向Ka1の外側から内側に進むほど、小さくなる。
図24中の傾斜角Kθ2は、
図25中の傾斜角Kθ2に比べて、大きくなっている。基準線KJ1は、線42aに交差して軸線方向Za1に平行となる仮想線(すなわち、傾斜基準線)である。
【0164】
前縁非傾斜部73bは、前縁傾斜部73aに対してシュラウドリング50側に配置されている。すなわち、前縁非傾斜部73bは、前縁傾斜部73aに対して径方向Ka1の外側に配置されている。
【0165】
前縁非傾斜部73bでは、正圧面41および負圧面42が、それぞれ、軸線Zaに平行になっている非傾斜領域である。さらに、前縁非傾斜部73bは、前縁傾斜部73aと連結されている。
【0166】
以上説明した本実施形態では、翼40の前縁部70の負圧面42が傾斜角Kθ2が径方向Ka1の外側から内側に進むほど、小さくなっている。このため、翼40の負圧面42の傾斜を空気流路400を流れる空気流に合わせることができる。したがって、空気流路400を空気が流れる際に生じる圧力損失を下げることができる。
【0167】
(第7実施形態)
上記第1実施形態では、
図5の翼40の断面図において、前縁部70の負圧面42が真っ直ぐ延びる線42aによって構成されている例について説明した。
【0168】
しかし、本第7実施形態では、
図27の翼40の断面図において、前縁部70の負圧面42が、複数の曲線を組み合わせた線42aによって構成されている。さらに、
図27の翼40の断面図において、前縁部70の正圧面41が、複数の曲線を組み合わせた線41aによって構成されている。
【0169】
図27は、翼40の前縁部70を径方向Ka1に直交する仮想面で切断する断面図であり、上記第1実施形態における
図5に相当する断面図である。
【0170】
(第8実施形態)
上記第2実施形態では、
図18の翼40の前縁部70の断面図において、正圧面41が線41a、42aによって構成されている例について説明した。
【0171】
しかし、これに代えて、
図28の断面図において、正圧面41が線41cのみによって構成されている例について説明する。
【0172】
図28は、翼40の前縁部70を径方向Ka1に直交する仮想面で切断する断面図であり、上記第2実施形態における
図18に相当する断面図である。
図28において、
図18と同一の符号は、同一のものを示し、その説明を省略する。
【0173】
本実施形態の線41cは、軸線Zaに平行になるように形成されている。本実施形態の
図28の翼40の前縁部70の断面図において、負圧面42は、上記第1実施形態と同様に、線42a、42bによって構成されている。
【0174】
本実施形態では、線41cのうち最も軸線方向Ga1の一方側に位置する部位を端部41bとする。線42bのうち最も軸線方向Ga1の一方側に位置する部位を端部42cとする。円弧状凸部43は、
図28の断面図において、正圧面端部41bおよび負圧面端部42cを結ぶ基準線(すなわち、仮想線)KJ5から膨らんで外形線43aが円弧状に形成されている。
【0175】
以上説明した本実施形態によれば、上記第1実施形態と同様に、一体成型することを可能にした遠心ファン20の製造方法、および遠心ファン20を提供することができる。
【0176】
(第9実施形態)
上記第1実施形態では、翼40の前縁部70の先端側に円弧状凸部43を設けた例について説明した。
【0177】
しかし、これに代えて、本第9実施形態では、
図29に示すように、翼40の前縁部70において円弧状凸部43を削除してもよい。
【0178】
図29は、翼40の前縁部70を径方向Ka1に直交する仮想面で切断する断面図であり、上記第1実施形態における
図5に相当する断面図である。
図29において、
図5と同一の符号は、同一のものを示し、その説明を省略する。
【0179】
図29の翼40の前縁部70の断面図において、正圧面41が線41aによって構成されている例について説明した。負圧面42が線42aによって構成されている。前縁部70の先端は、
図29の断面図において、矩形に形成されている。
【0180】
(他の実施形)
【0181】
(1)上記第1~第9実施形態では、送風装置1を車両用空調装置に適用した例について説明した。しかし、これに代えて、車両用空調装置以外の各種の機器に送風装置1を適用してもよい。
【0182】
(2)上記第1~第9実施形態では、遠心ファン20がターボファンを構成した例について説明した。しかし、これに代えて、遠心ファン20がターボファン以外のシロッコファン等の各種のファンを構成してもよい。
【0183】
(3)上記第1~第9実施形態では、遠心ファン20を樹脂材料によって形成した例について説明した。しかし、これに代えて、樹脂材料以外の例えば、金属材料によって遠心ファン20を形成してもよい。
【0184】
(4)上記第1~第9実施形態では、軸線方向抜き金型130は、主板内側領域60bのうち軸線方向Ga1の一方側と、中間内側領域160のうち軸線方向Ga1の一方側と、円弧状凸部43とをそれぞれ成型する例について説明した。
【0185】
しかし、これに代えて、主板内側領域60bのうち軸線方向Ga1の一方側と、中間内側領域160のうち軸線方向Ga1の一方側と、円弧状凸部43とをそれぞれ独立した金型で成型してもよい
【0186】
(5)上記第1~第9実施形態では、後翼40bの正圧面41と、前翼40aの負圧面42とを成型するために、複数の下側スライド金型110および複数の上側スライド金型120を設けた例について説明した。
【0187】
しかし、これに代えて、下側スライド金型110および上側スライド金型120を一体化した金型を用いて、後翼40bの前縁部70および後縁部71のそれぞれの正圧面41と、前翼40aの前縁部70の負圧面42とを成型してもよい。
【0188】
(6)なお、本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した範囲内において適宜変更が可能である。また、上記各実施形態は、互いに無関係なものではなく、組み合わせが明らかに不可な場合を除き、適宜組み合わせが可能である。また、上記各実施形態において、実施形態を構成する要素は、特に必須であると明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではないことは言うまでもない。また、上記各実施形態において、実施形態の構成要素の個数、数値、量、範囲等の数値が言及されている場合、特に必須であると明示した場合および原理的に明らかに特定の数に限定される場合等を除き、その特定の数に限定されるものではない。また、上記各実施形態において、構成要素等の形状、位置関係等に言及するときは、特に明示した場合および原理的に特定の形状、位置関係等に限定される場合等を除き、その形状、位置関係等に限定されるものではない。
【0189】
(本発明の特徴)
[請求項1]
遠心ファンの製造方法であって、
軸線(Za)を中心とする周方向に間隔を開けて並べられている複数の翼(40)と、
前記軸線が延びる方向を軸線方向(Ga1)としたとき、前記軸線を中心とするリング状に形成され、かつ前記複数の翼のうち前記軸線方向の一方側に連結されているリング部(50)と、
前記軸線方向を厚みとして前記複数の翼のうち前記軸線方向の他方側に連結されている主板(60)と、を備え、
前記複数の翼、前記リング部、および前記主板が前記軸線を中心とする回転方向(Ro1)の前側に回転することにより、前記軸線方向の一方側から吸い込んだ空気を前記軸線を中心とする径方向(Ka1)の外側に吹き出し、
前記複数の翼は、それぞれ、前記リング部に対して前記軸線を中心とする前記径方向の内側に配置される前縁部(70)と、前記前縁部に対して前記径方向の外側に配置される後縁部(71)と、を備え、
前記複数の翼は、それぞれ、前記回転方向の前記前側に形成されている正圧面(41)と、前記回転方向の後側に形成されている負圧面(42)とを備え、
前記径方向に直交する仮想面で前記前縁部を切断した断面において、前記負圧面は、前記軸線方向の一方側に向かうほど前記回転方向の前側に延びる線(42a、42b)によって構成され、
前記断面において、前記正圧面は、前記軸線方向の一方側に向かうほど前記回転方向の前側に延びる線(41a)、および前記軸線に平行に形成されている線(41c)のうち少なくとも一方によって構成され、
前記前縁部の前記正圧面のうち最も前記軸線方向の一方側に位置する端部を正圧面端部(41b)とし、前記前縁部の前記負圧面のうち最も前記軸線方向の一方側に位置する端部を負圧面端部(42c)としたとき、前記前縁部は、前記正圧面端部および前記負圧面端部を結ぶ仮想線(KJ5)から膨らむように形成されている凸部(43)を備え、
前記断面において、前記正圧面端部を通り前記軸線方向に延びる仮想線を第1基準線(KJ4)とし、前記負圧面端部を通り前記回転方向に延びる仮想線を第2基準線(KJ3)としたとき、
前記凸部は、前記第1基準線に対して前記回転方向の後側で、かつ前記第2基準線に対して前記軸線方向の他方側に配置されている遠心ファンを製造することを含み、
前記遠心ファンを製造することは、
前記主板のうち前記軸線方向の他方側を成型する第1金型(100)と、前記主板のうち前記複数の翼に対して前記径方向の内側に位置する主板内側領域(60b)において前記軸線方向の一方側と、前記凸部と、前記前縁部の前記負圧面と、前記主板のうち前記主板内側領域に対して前記径方向の外側に配置されて前記前縁部の前記負圧面に接続される第1領域(160)において前記軸線方向の一方側とを成型する第2金型(130)と、前記後縁部および前記前縁部のそれぞれの前記正圧面と、前記後縁部の前記負圧面と、前記主板のうち前記複数の翼のうち隣り合う2つの翼の間で、かつ前記第1領域に対して前記径方向の外側に位置する第2領域(161、60a)において前記軸線方向の一方側と、前記リング部のうち前記軸線方向の他方側領域とを成型する第3金型(110、120)と、前記リング部のうち前記軸線方向の一方側を成型する第4金型(140)とを組み立てることと、
前記第1金型、前記第2金型、前記第3金型、および前記第4金型によって形成される成型領域(150)に流動性を有する材料を注入することと、
前記成型領域に注入される材料を固化して、前記複数の翼、前記リング部、および前記主板が一体化されている一体化構成物(155)を前記成型領域内に成型することと、
前記第1金型、前記第2金型、前記第3金型、および前記第4金型と、前記一体化構成物とを分離することと、を含む遠心ファンの製造方法。
【0190】
[請求項2]
前記第3金型は、
前記後縁部および前記前縁部のそれぞれの前記正圧面と、前記後縁部の前記負圧面と、前記第2領域のうち前記軸線方向の一方側とを成型する下側スライド金型(110)と、
前記下側スライド金型に対して前記軸線方向の一方側に配置されて、前記後縁部および前記前縁部のそれぞれの前記正圧面と、前記後縁部の前記負圧面と、前記リング部のうち前記軸線方向の他方側領域とを成型する上側スライド金型(120)と、
を備える請求項1に記載の遠心ファンの製造方法。
【0191】
[請求項3]
遠心ファンであって、
軸線(Za)を中心とする周方向に間隔を開けて並べられている複数の翼(40)と、
前記軸線が延びる方向を軸線方向(Ga1)としたとき、前記軸線を中心とするリング状に形成され、かつ前記複数の翼のうち前記軸線方向の一方側に連結されているリング部(50)と、
前記軸線方向を厚みとして前記複数の翼のうち前記軸線方向の他方側に連結されている主板(60)と、を備え、
前記複数の翼、前記リング部、および前記主板が前記軸線を中心とする回転方向(Ro1)の前側に回転することにより、前記軸線方向の一方側から吸い込んだ空気を前記軸線を中心とする径方向(Ka1)の外側に吹き出し、
前記複数の翼は、それぞれ、前記リング部に対して前記軸線を中心とする前記径方向の内側に配置される前縁部(70)を備え、
前記複数の翼は、それぞれ、前記回転方向の前記前側に形成されている正圧面(41)と、前記回転方向の後側に形成されている負圧面(42)と、を備え、
前記径方向に直交する仮想面で前記前縁部を切断した断面において、前記負圧面は、前記軸線方向の一方側に向かうほど前記回転方向の前側に延びる線(42a、42b)によって構成され、
前記断面において、前記正圧面は、前記軸線方向の一方側に向かうほど前記回転方向の前側に延びる線(41a)、および前記軸線に平行に形成されている線(41c)のうち少なくとも一方によって構成され、
前記前縁部の前記正圧面のうち最も前記軸線方向の一方側に位置する端部を正圧面端部(41b)とし、前記前縁部の前記負圧面のうち最も前記軸線方向の一方側に位置する端部を負圧面端部(42c)としたとき、前記前縁部は、前記正圧面端部および前記負圧面端部を結ぶ仮想線(KJ5)から膨らむように形成されている凸部(43)を備え、
前記断面において、前記正圧面端部を通り前記軸線方向に延びる仮想線を第1基準線(KJ4)とし、前記負圧面端部を通り前記回転方向に延びる仮想線を第2基準線(KJ3)としたとき、
前記凸部は、前記第1基準線に対して前記回転方向の後側で、かつ前記第2基準線に対して前記軸線方向の他方側に配置されている遠心ファン。
【0192】
[請求項4]
前記凸部は、前記断面において外形線(43a)が円弧状に形成されている請求項3に記載の遠心ファン。
【0193】
[請求項5]
前記断面において、前記正圧面は、前記軸線方向の一方側に向かうほど前記回転方向の前側に延びる第1線分(41a)と、前記第1線分に連結され、かつ前記軸線方向の一方側に向かうほど前記回転方向の前側に延びる第2線分(41c)とによって構成され、
前記第1線分に交差し、かつ前記軸線方向に延びる仮想線を第3基準線(KJ1a)とし、前記第1線分と前記第3基準線との間に形成される狭角を第1傾斜角(Kθ1a)とし、前記第2線分に交差し、かつ前記軸線方向に延びる仮想線を第4基準線(KJ1b)とし、前記第2線分と前記第4基準線との間に形成される狭角を第2傾斜角(Kθ1b)としたとき、
前記第1傾斜角が前記第2傾斜角が互いに相違するように前記第1線分および前記第2線分が設定されている請求項3または4に記載の遠心ファン。
【0194】
[請求項6]
前記前縁部の前記断面において、前記負圧面に交差し、かつ前記軸線に平行になる仮想線を傾斜基準線(KJ1)とし、前記負圧面と前記傾斜基準線との間に形成される狭角を傾斜角(Kθ2)としたとき
前記前縁部は、前記リング部に近づくほど、前記傾斜角が小さくなるように形成されている請求項3または4に記載の遠心ファン。
【0195】
[請求項7]
前記前縁部は、前記傾斜角が零度よりも大きい傾斜領域(73a)と、前記傾斜領域に対して前記径方向の外側に配置されて前記傾斜角が零度となる非傾斜領域(73b)と、を備え、
前記傾斜領域は、前記非傾斜領域に近づくほど前記傾斜角が小さくなるように形成されている請求項6に記載の遠心ファン。
【符号の説明】
【0196】
1 送風装置
20 遠心ファン
40 翼
41 正圧面
42 負圧面
42a 線
42b 線
41c 線
43 円弧状凸部
50 シュラウドリング
60 主板
70 前縁部
71 後縁部