(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024158398
(43)【公開日】2024-11-08
(54)【発明の名称】発光封体
(51)【国際特許分類】
H01J 65/04 20060101AFI20241031BHJP
【FI】
H01J65/04 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023073560
(22)【出願日】2023-04-27
(71)【出願人】
【識別番号】000236436
【氏名又は名称】浜松ホトニクス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100140442
【弁理士】
【氏名又は名称】柴山 健一
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 章夫
(72)【発明者】
【氏名】下牧 将
(72)【発明者】
【氏名】松代 悠
(72)【発明者】
【氏名】杉谷 光平
(57)【要約】
【課題】出力光の品質の向上及び出力光の出力の向上の両立を図ることができる発光封体を提供する。
【解決手段】発光封体1Aは、プラズマを発生させるためのガスGを収容している収容構造体2を備える。収容構造体2は、プラズマが発生したプラズマ領域Rにおいてプラズマを維持するためのレーザ光L1をプラズマ領域Rに入射させるレーザ光入射窓部20Aと、プラズマから発せられたプラズマ光L2をプラズマ領域Rから出射させるプラズマ光出射窓部20Bと、プラズマ領域Rを挟んでレーザ光入射窓部20Aと向かい合っており、プラズマを透過したレーザ光L1をプラズマ領域Rから出射させるレーザ光通過窓部20Dと、遮光性を有し、少なくともレーザ光通過窓部20Dの光通過領域を画定している壁部80aと、を有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラズマを発生させるためのガスを収容している収容構造体を備え、
前記収容構造体は、
前記プラズマが発生したプラズマ領域において前記プラズマを維持するための第1光を前記プラズマ領域に入射させる第1窓部と、
前記プラズマから発せられた第2光を前記プラズマ領域から出射させる第2窓部と、
前記プラズマ領域を挟んで前記第1窓部と向かい合っており、前記プラズマを透過した前記第1光を前記プラズマ領域から出射させる第3窓部と、
遮光性を有し、少なくとも前記第3窓部の光通過領域を画定している壁部と、を有する、発光封体。
【請求項2】
前記第3窓部は、前記プラズマ領域から前記第3窓部側に出射された前記第2光も出射させる、請求項1に記載の発光封体。
【請求項3】
前記収容構造体は、
前記第1窓部及び前記第2窓部を有する筐体と、
前記第3窓部及び前記壁部を有し、前記筐体内において前記プラズマ領域を含む包囲空間を画定している包囲部と、を有する、請求項1又は2に記載の発光封体。
【請求項4】
前記包囲部は、前記第1窓部に対応している第1開口、及び前記第2窓部に対応している第2開口を有し、
前記第1窓部は、前記第1開口における前記包囲空間側の開口端に対して前記包囲空間とは反対側に位置しており、
前記第2窓部は、前記第2開口における前記包囲空間側の開口端に対して前記包囲空間とは反対側に位置しており、
前記第1開口及び前記第2開口の少なくとも一方は、前記包囲空間に対して狭められている、請求項3に記載の発光封体。
【請求項5】
前記筐体内において前記プラズマ領域に臨んでいる第1先端部を有する第1電極と、
前記筐体内において前記プラズマ領域に臨んでおり且つ前記プラズマ領域を挟んで前記第1先端部と向かい合っている第2先端部を有する第2電極と、
前記第1電極を保持しており、前記筐体に固定されている絶縁性の第1保持部と、を更に備え、
前記包囲部は、前記筐体内において前記プラズマ領域、前記第1先端部及び前記第2先端部を包囲しており、前記第1窓部に対応している第1開口、及び前記第2窓部に対応している第2開口を有する絶縁性の包囲部であり、
前記包囲部の少なくとも一部分は、前記第1保持部に設けられている、請求項3に記載の発光封体。
【請求項6】
前記第2電極を保持しており、前記筐体に固定されている絶縁性の第2保持部を更に備え、
前記包囲部は、第1包囲部分及び第2包囲部分を有し、
前記第1包囲部分は、前記一部分として前記第1保持部に設けられており、
前記第2包囲部分は、前記第2保持部に設けられている、請求項5に記載の発光封体。
【請求項7】
前記筐体は、前記第3窓部と向かい合っている第4窓部を更に有し、
前記第4窓部は、前記第3窓部を透過した前記第1光を前記筐体外に出射させる、請求項3に記載の発光封体。
【請求項8】
前記第1窓部、前記第2窓部、前記第3窓部及び前記第4窓部のそれぞれは、窓部材を有し、
前記第3窓部の前記窓部材と前記プラズマ領域との距離は、前記第1窓部の前記窓部材と前記プラズマ領域との距離、前記第2窓部の前記窓部材と前記プラズマ領域との距離、及び前記第4窓部の前記窓部材と前記プラズマ領域との距離のいずれよりも小さい、請求項7に記載の発光封体。
【請求項9】
前記第3窓部の前記窓部材の厚さは、前記第4窓部の前記窓部材の厚さよりも小さい、請求項8に記載の発光封体。
【請求項10】
前記収容構造体は、前記第1窓部、前記第2窓部、前記第3窓部及び前記壁部を有する筐体を有し、
前記筐体は、前記プラズマ領域を含む包囲空間を画定している、請求項1又は2に記載の発光封体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばレーザ励起光源に適用される発光封体に関する。
【背景技術】
【0002】
レーザ励起光源に適用される発光封体として、プラズマを発生させるためのガスを収容している筐体を備える発光封体であって、筐体が、プラズマを維持するためのレーザ光をプラズマ領域に入射させるレーザ光入射窓部と、プラズマから発せられたプラズマ光をプラズマ領域から出射させるプラズマ光出射窓部と、を有しており、プラズマ光出射窓部がプラズマ領域を挟んでレーザ光入射窓部と向かい合っているものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述したような発光封体では、プラズマを透過したレーザ光も、プラズマ光と一緒にプラズマ光出射窓部から出射されてしまう可能性が高い。その場合、出力光は、プラズマ光とレーザ光とが混じったものとなり、出力光の品質が低下してしまう。また、プラズマ光出射窓部から出射されるレーザ光が、プラズマ光を利用するための光学系に入射することになるため、発光出力を上げるためにレーザ光の出力を上げると、出力の上がったレーザ光が当該光学系に熱等の悪影響を及ぼす可能性がある。それに対して、そもそも発光封体外にレーザ光を出射させない構成とすることが考えられる。例えば、レーザ光入射窓部と向かい合った位置に遮光部材や光吸収部材を配置することが考えられる。しかし、その場合にも、レーザ光の出力を上げると、発光封体内での熱の影響が大きくなり、発光封体や内部構成物が損傷してしまう可能性がある。
【0005】
本発明は、出力光の品質の向上及び出力光の出力の向上の両立を図ることができる発光封体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の発光封体は、[1]「プラズマを発生させるためのガスを収容している収容構造体を備え、前記収容構造体は、前記プラズマが発生したプラズマ領域において前記プラズマを維持するための第1光を前記プラズマ領域に入射させる第1窓部と、前記プラズマから発せられた第2光を前記プラズマ領域から出射させる第2窓部と、前記プラズマ領域を挟んで前記第1窓部と向かい合っており、前記プラズマを透過した前記第1光を前記プラズマ領域から出射させる第3窓部と、遮光性を有し、少なくとも前記第3窓部の光通過領域を画定している壁部と、を有する、発光封体」である。
【0007】
上記[1]に記載の発光封体では、プラズマを発生させるためのガスを収容している収容構造体が、プラズマを透過した第1光をプラズマ領域から出射させる第3窓部を有している。この第3窓部は、プラズマから発せられた第2光をプラズマ領域から出射させる第2窓部とは別の窓部であって、第1光をプラズマ領域に入射させる第1窓部とプラズマ領域を挟んで向かい合っている。これにより、第2窓部から第2光を出力光として取り出しつつ、プラズマを透過した第1光を第3窓部から発光封体外に取り出すことができる。したがって、出力光に第1光が混じることを抑制しつつ、第1光の出力を上げても、発光封体内におけるその影響を抑制することができる。よって、上記[1]に記載の発光封体によれば、出力光の品質の向上及び出力光の出力の向上の両立を図ることができる。
【0008】
本発明の発光封体は、[2]「前記第3窓部は、前記プラズマ領域から前記第3窓部側に出射された前記第2光も出射させる、上記[1]に記載の発光封体」であってもよい。当該[2]に記載の発光封体によれば、プラズマを透過した第1光に加え、プラズマ領域から第3窓部側に出射された第2光も第3窓部から取り出すことで、発光封体内における第2光の影響を抑制し、出力光の品質の向上及び出力光の出力の向上の両立を図ることができる。
【0009】
本発明の発光封体は、[3]「前記収容構造体は、前記第1窓部及び前記第2窓部を有する筐体と、前記第3窓部及び前記壁部を有し、前記筐体内において前記プラズマ領域を含む包囲空間を画定している包囲部と、を有する、上記[1]又は[2]に記載の発光封体」であってもよい。当該[3]に記載の発光封体によれば、収容構造体が包囲部を有していない場合に比べ、ガスが対流する空間が狭くなるため、当該空間においてガスに対流が発生するのを確実に抑制することができる。その結果、出力光からノイズ成分を除くことができるので、出力光の品質を向上させることができる。
【0010】
本発明の発光封体は、[4]「前記包囲部は、前記第1窓部に対応している第1開口、及び前記第2窓部に対応している第2開口を有し、前記第1窓部は、前記第1開口における前記包囲空間側の開口端に対して前記包囲空間とは反対側に位置しており、前記第2窓部は、前記第2開口における前記包囲空間側の開口端に対して前記包囲空間とは反対側に位置しており、前記第1開口及び前記第2開口の少なくとも一方は、前記包囲空間に対して狭められている、上記[3]に記載の発光封体」であってもよい。当該[4]に記載の発光封体によれば、ガスに対流が発生するのをより確実に抑制することができる。よって、出力光の品質を向上させることができる。
【0011】
本発明の発光封体は、[5]「前記筐体内において前記プラズマ領域に臨んでいる第1先端部を有する第1電極と、前記筐体内において前記プラズマ領域に臨んでおり且つ前記プラズマ領域を挟んで前記第1先端部と向かい合っている第2先端部を有する第2電極と、前記第1電極を保持しており、前記筐体に固定されている絶縁性の第1保持部と、を更に備え、前記包囲部は、前記筐体内において前記プラズマ領域、前記第1先端部及び前記第2先端部を包囲しており、前記第1窓部に対応している第1開口、及び前記第2窓部に対応している第2開口を有する絶縁性の包囲部であり、前記包囲部の少なくとも一部分は、前記第1保持部に設けられている、上記[3]に記載の発光封体」であってもよい。当該[5]に記載の発光封体によれば、第1電極を保持している第1保持部を利用して、包囲部の少なくとも一部分を構成することができる。また、第1電極の第1先端部及び第2電極の第2先端部が絶縁性の包囲部によって包囲されているため、包囲空間を狭くしても、プラズマを確実に発生させることができると共に、プラズマを安定的に維持することができる。よって、出力光の品質を向上させることができる。
【0012】
本発明の発光封体は、[6]「前記第2電極を保持しており、前記筐体に固定されている絶縁性の第2保持部を更に備え、前記包囲部は、第1包囲部分及び第2包囲部分を有し、前記第1包囲部分は、前記一部分として前記第1保持部に設けられており、前記第2包囲部分は、前記第2保持部に設けられている、上記[5]に記載の発光封体」であってもよい。当該[6]に記載の発光封体によれば、第1電極を保持している第1保持部、及び第2電極を保持している第2保持部を利用して、容易に包囲部を構成することができる。
【0013】
本発明の発光封体は、[7]「前記筐体は、前記第3窓部と向かい合っている第4窓部を更に有し、前記第4窓部は、前記第3窓部を透過した前記第1光を前記筐体外に出射させる、上記[3]~[6]のいずれか一つに記載の発光封体」であってもよい。当該[7]に記載の発光封体によれば、ガスが存在する空間に入射した第1光のうちプラズマを透過した第1光を、包囲部の第3窓部及び筐体の第4窓部を介して筐体外に出射させることができる。
【0014】
本発明の発光封体は、[8]「前記第1窓部、前記第2窓部、前記第3窓部及び前記第4窓部のそれぞれは、窓部材を有し、前記第3窓部の前記窓部材と前記プラズマ領域との距離は、前記第1窓部の前記窓部材と前記プラズマ領域との距離、前記第2窓部の前記窓部材と前記プラズマ領域との距離、及び前記第4窓部の前記窓部材と前記プラズマ領域との距離のいずれよりも小さい、上記[7]に記載の発光封体」であってもよい。当該[8]に記載の発光封体によれば、包囲部が第3窓部を有していない場合に比べ、ガスが対流する空間が狭くなるため、当該空間においてガスに対流が発生するのを確実に抑制することができる。その結果、出力光からノイズ成分を除くことができるので、出力光の品質を向上させることができる。
【0015】
本発明の発光封体は、[9]「前記第3窓部の前記窓部材の厚さは、前記第4窓部の前記窓部材の厚さよりも小さい、上記[8]に記載の発光封体」であってもよい。当該[9]に記載の発光封体によれば、他の窓部材よりもプラズマに近いためにプラズマによる熱影響が大きくなる第3窓部の窓部材において、その厚さを薄くすることで熱膨張等の影響を低減し、第3窓部の窓部材の破損や固定状態の変化等を抑制することができる。したがって、発光封体を安定的に動作させることができ、出力光の品質を向上させることができる。
【0016】
本発明の発光封体は、[10]「前記収容構造体は、前記第1窓部、前記第2窓部、前記第3窓部及び前記壁部を有する筐体を有し、前記筐体は、前記プラズマ領域を含む包囲空間を画定している、上記[1]又は[2]に記載の発光封体」であってもよい。当該[10]に記載の発光封体によれば、より簡易な構成で、ガスが存在する空間に入射した第1光のうちプラズマを透過した第1光を、筐体の第3窓部を介して筐体外に出射させるができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、出力光の品質の向上及び出力光の出力の向上の両立を図ることができる発光封体を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図2】
図1に示されるII-II線に沿っての発光封体の断面図である。
【
図3】
図1に示されるIII-III線に沿っての発光封体の断面図である。
【
図5】
図4に示されるV-V線に沿っての発光封体の断面図である。
【
図6】
図4に示されるVI-VI線に沿っての発光封体の断面図である。
【
図8】
図7に示されるVIII-VIII線に沿っての発光封体の断面図である。
【
図9】
図7に示されるIX-IX線に沿っての発光封体の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、各図において同一又は相当部分には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
[第1実施形態]
【0020】
図1、
図2及び
図3に示されるように、第1実施形態の発光封体1Aは、収容構造体2、第1電極3、第2電極4及び第1保持部5を備えている。収容構造体2は、筐体7及び包囲部8を有している。収容構造体2は、プラズマを発生させるためのガスGを収容している。ガスGは、例えばキセノンガスである。発光封体1Aでは、プラズマを維持するためのレーザ光(第1光)L1がプラズマ領域R(ガスGにおいてプラズマが発生した領域)に入射し、プラズマから発せられたプラズマ光(第2光)L2がプラズマ領域Rから出射する。なお、プラズマから発せられたプラズマ光L2は、実際にはプラズマ領域Rを中心に全方位に放射的に発生するが、便宜上、出力光としてのプラズマ光L2のみを図示する。レーザ光L1の波長は、例えば800nm~1100nm程度であり、プラズマ光L2の波長は、例えば120nm~20μm程度である。発光封体1Aは、レーザ励起光源に適用される装置である。
【0021】
筐体7は、本体部70、レーザ光入射窓部(第1窓部)20A、プラズマ光出射窓部(第2窓部)20B及びレーザ光出射窓部(第4窓部)20Cを有している。本体部70には、収容空間71、三つの窓部用開口72,73,74、及び二つの電極用開口75,76が形成されている。収容空間71は、プラズマ領域Rを含んでいる。窓部用開口72は、収容空間71からZ軸方向における一方の側に開口している。窓部用開口74は、収容空間71からZ軸方向における他方の側に開口している。窓部用開口73は、収容空間71からX軸方向(Z軸方向に垂直な方向)における一方の側に開口している。電極用開口75は、収容空間71からY軸方向(Z軸方向及びX軸方向の両方向に垂直な方向)における一方の側に開口している。電極用開口76は、収容空間71からY軸方向における他方の側に開口している。本体部70の材料は、例えばステンレス鋼等の金属材料である。
【0022】
レーザ光入射窓部20Aは、窓部用開口72を気密に封止している。レーザ光入射窓部20Aは、レーザ光L1をプラズマ領域Rに入射させる。発光封体1Aでは、レーザ光入射窓部20Aは、Z軸方向に平行な光軸A1に沿ってレーザ光L1をプラズマ領域Rに入射させる。換言すれば、レーザ光L1の光軸は、光軸A1である。
【0023】
レーザ光入射窓部20Aは、窓部材21及び保持部材22を有している。窓部材21は、光軸A1を中心線とし且つZ軸方向を厚さ方向とする板状に形成されている。窓部材21は、レーザ光L1を透過させる。窓部材21の材料は、少なくともレーザ光L1の波長に関して透過性を有する光透過性材料であって、例えばサファイアである。保持部材22は、光軸A1を中心線とする筒状に形成されている。窓部材21は、保持部材22の内側に配置された状態で、保持部材22によって保持されている。保持部材22の材料は、例えばコバール等の金属材料である。窓部材21の側面は、例えば金属ロウ材等の接合材によって、保持部材22の内面に気密に接合されている。保持部材22の外面は、例えばレーザ溶接によって、窓部用開口72の内面に気密に接合されている。
【0024】
プラズマ光出射窓部20Bは、窓部用開口73を気密に封止している。プラズマ光出射窓部20Bは、プラズマ領域Rを挟んでレーザ光入射窓部20Aと向かい合った位置以外の位置に配置されている。つまり、プラズマ光出射窓部20Bは、プラズマ領域Rを挟んでレーザ光入射窓部20Aと向かい合っていない。プラズマ光出射窓部20Bは、プラズマ光L2をプラズマ領域Rから出射させる。発光封体1Aでは、プラズマ光出射窓部20Bは、X軸方向に平行な光軸A2に沿ってプラズマ光L2をプラズマ領域Rから出射させる。換言すれば、プラズマ光L2の光軸は、光軸A2である。なお、光軸A1と光軸A2とは、プラズマ領域Rの中心において交わっており、本実施形態においては垂直に交わっている。
【0025】
プラズマ光出射窓部20Bは、窓部材23及び保持部材24を有している。窓部材23は、光軸A2を中心線とし且つX軸方向を厚さ方向とする板状に形成されている。窓部材23は、プラズマ光L2を透過させる。窓部材23の材料は、少なくともプラズマ光L2の波長に関して透過性を有する光透過性材料であって、例えば、ダイヤモンド、サファイア又はフッ化マグネシウムである。保持部材24は、光軸A2を中心線とする筒状に形成されている。窓部材23は、保持部材24の内側に配置された状態で、保持部材24によって保持されている。保持部材24の材料は、例えばコバール等の金属材料である。窓部材23の側面は、例えば金属ロウ材等の接合材によって、保持部材24の内面に気密に接合されている。保持部材24の外面は、例えばレーザ溶接によって、窓部用開口73の内面に気密に接合されている。
【0026】
レーザ光出射窓部20Cは、窓部用開口74を気密に封止している。レーザ光出射窓部20Cは、プラズマを透過したレーザ光L1をプラズマ領域Rから出射させる。本実施形態においては、レーザ光出射窓部20Cは、プラズマを透過したレーザ光L1に加え、プラズマ領域Rからレーザ光出射窓部20C側に出射されたプラズマ光L2も出射させるが、図面の簡略化のために当該プラズマ光L2を図示しない。なお、レーザ光出射窓部20Cから出射されるプラズマ光L2の光軸は、レーザ光L1と同軸である。発光封体1Aでは、レーザ光出射窓部20Cは、光軸A1に沿ってレーザ光L1をプラズマ領域Rから出射させる。換言すれば、レーザ光出射窓部20Cから出射される出射光は、レーザ光L1の光軸A1と同軸の光軸を有する。
【0027】
レーザ光出射窓部20Cは、窓部材25及び保持部材26を有している。窓部材25は、光軸A1を中心線とし且つZ軸方向を厚さ方向とする板状に形成されている。窓部材25は、レーザ光L1を透過させる。窓部材25の材料は、少なくともレーザ光L1の波長に関して透過性を有する光透過性材料であり、より好ましくはレーザ光L1の波長に加えてプラズマ光L2の波長に関しても透過性を有する光透過性材料である。本実施形態においては、窓部材25の材料は、レーザ光L1の波長及びプラズマ光L2の波長の両方に関して透過性を有する材料であって、例えばサファイアである。保持部材26は、光軸A1を中心線とする筒状に形成されている。窓部材25は、保持部材26の内側に配置された状態で、保持部材26によって保持されている。保持部材26の材料は、例えばコバール等の金属材料である。窓部材25の側面は、例えば金属ロウ材等の接合材によって、保持部材26の内面に気密に接合されている。保持部材26の外面は、例えばレーザ溶接によって、窓部用開口74の内面に気密に接合されている。
【0028】
包囲部8は、筐体7の収容空間71内に配置されている。包囲部8は、絶縁性の本体部80及び絶縁性のレーザ光通過窓部(第3窓部)20Dを有している。本体部80には、包囲空間81、三つの光通過開口82,83,84、及び二つの電極用開口85,86が形成されている。包囲空間81は、プラズマ領域Rを含んでいる。光通過開口82は、包囲空間81からZ軸方向における一方の側に開口している。光通過開口84は、包囲空間81からZ軸方向における他方の側に開口している。光通過開口83は、包囲空間81からX軸方向における一方の側に開口している。電極用開口85は、包囲空間81からY軸方向における一方の側に開口している。電極用開口86は、包囲空間81からY軸方向における他方の側に開口している。なお、電極用開口85,86の直径はそれぞれ第1電極3及び第2電極4の直径よりも僅かに大きい。本体部80と第1電極3及び第2電極4とは僅かな隙間をもって離間している。その隙間の長さは、第1電極3及び第2電極4の直径の1/5以下である。そのため、包囲空間81内におけるガスの動向(対流の発生)に大きな影響を与えることなく、各部材の熱膨張や部材の精度及び位置決めのばらつき等の影響を抑制することができる。包囲空間81は、収容空間71内において、本体部80の壁部、三つの光通過開口82,83,84、及び二つの電極用開口85,86によって包囲されている。つまり、包囲部8は、筐体7内において包囲空間81を画定していると共に、筐体7内においてプラズマ領域Rを包囲している。
【0029】
光通過開口(第1開口)82は、レーザ光入射窓部20Aに対応している。すなわち、プラズマ領域Rとレーザ光入射窓部20Aとが並んでいる方向(発光封体1Aでは、Z軸方向)から見た場合に、光通過開口82は、レーザ光入射窓部20Aと重なっている。発光封体1Aでは、光通過開口82の中心線は、レーザ光入射窓部20Aの窓部材21の中心線に一致しており(すなわち、光軸A1に一致しており)、光通過開口82は、Z軸方向から見た場合にレーザ光入射窓部20Aの窓部材21に含まれている。光通過開口82は、包囲空間81に対して狭められている。すなわち、プラズマ領域Rと光通過開口82とが並んでいる方向(発光封体1Aでは、Z軸方向)から見た場合に、光通過開口82における包囲空間81側の開口端82aが包囲空間81に含まれている。発光封体1Aでは、光通過開口82は、包囲空間81側の開口端82aが包囲空間81とは反対側の開口端82bよりも小さいテーパ状の開口である。レーザ光入射窓部20Aの窓部材21は、光通過開口82の外側に位置している。
【0030】
光通過開口(第2開口)83は、プラズマ光出射窓部20Bに対応している。すなわち、プラズマ領域Rとプラズマ光出射窓部20Bとが並んでいる方向(発光封体1Aでは、X軸方向)から見た場合に、光通過開口83は、プラズマ光出射窓部20Bと重なっている。発光封体1Aでは、光通過開口83の中心線は、プラズマ光出射窓部20Bの窓部材23の中心線に一致しており(すなわち、光軸A2に一致しており)、光通過開口83は、X軸方向から見た場合にプラズマ光出射窓部20Bの窓部材23に含まれている。光通過開口83は、包囲空間81に対して狭められている。すなわち、プラズマ領域Rと光通過開口83とが並んでいる方向(発光封体1Aでは、X軸方向)から見た場合に、光通過開口83における包囲空間81側の開口端83aが包囲空間81に含まれている。発光封体1Aでは、光通過開口83は、包囲空間81側の開口端83aが包囲空間81とは反対側の開口端83bよりも小さいテーパ状の開口である。プラズマ光出射窓部20Bの窓部材23は、光通過開口83の外側に位置している。
【0031】
光通過開口84は、レーザ光出射窓部20Cに対応している。すなわち、プラズマ領域Rとレーザ光出射窓部20Cとが並んでいる方向(発光封体1Aでは、Z軸方向)から見た場合に、光通過開口84は、レーザ光出射窓部20Cと重なっている。発光封体1Aでは、光通過開口84の中心線は、レーザ光出射窓部20Cの窓部材25の中心線に一致しており(すなわち、光軸A1に一致しており)、光通過開口84は、Z軸方向から見た場合にレーザ光出射窓部20Cの窓部材25に含まれている。光通過開口84は、包囲空間81に対して狭められている。すなわち、プラズマ領域Rと光通過開口84とが並んでいる方向(発光封体1Aでは、Z軸方向)から見た場合に、光通過開口84における包囲空間81側の開口端84aが包囲空間81に含まれている。発光封体1Aでは、光通過開口84は、包囲空間81側の開口端84aが包囲空間81とは反対側の開口端84bよりも小さいステップ状の開口である。レーザ光出射窓部20Cの窓部材25は、光通過開口84の外側に位置している。
【0032】
レーザ光通過窓部20Dは、光通過開口84に配置されている。レーザ光通過窓部20Dは、レーザ光出射窓部20Cと向かい合っていると共に、プラズマ領域Rを挟んでレーザ光入射窓部20Aと向かい合っている。レーザ光通過窓部20Dは、プラズマを透過したレーザ光L1をプラズマ領域Rから出射させる。本実施形態においては、レーザ光通過窓部20Dは、プラズマを透過したレーザ光L1に加え、プラズマ領域Rからレーザ光通過窓部20D側に出射されたプラズマ光L2も出射させるが、図面の簡略化のために当該プラズマ光L2を図示しない。なお、レーザ光通過窓部20Dから出射されるプラズマ光L2の光軸は、レーザ光L1と同軸である。発光封体1Aでは、レーザ光通過窓部20Dは、光軸A1に沿ってレーザ光L1をプラズマ領域Rから出射させる。換言すれば、レーザ光通過窓部20Dから出射される出射光は、レーザ光L1の光軸A1と同軸の光軸を有する。レーザ光通過窓部20Dは、絶縁性の窓部材27を有している。窓部材27は、光軸A1を中心線とし且つZ軸方向を厚さ方向とする板状に形成されている。レーザ光通過窓部20Dの窓部材27とプラズマ領域Rとの距離は、レーザ光入射窓部20Aの窓部材21とプラズマ領域Rとの距離、プラズマ光出射窓部20Bの窓部材23とプラズマ領域Rとの距離、及びレーザ光出射窓部20Cの窓部材25とプラズマ領域Rとの距離のいずれよりも小さい。窓部材27の厚さは、他の各窓部材21,23,25の厚さよりも小さい。窓部材27は、レーザ光L1を透過させる。窓部材27の材料は、少なくともレーザ光L1の波長に関して透過性を有する光透過性材料であり、より好ましくはレーザ光L1の波長に加えてプラズマ光L2の波長に関しても透過性を有する光透過性材料である。本実施形態においては、窓部材27の材料は、レーザ光L1の波長及びプラズマ光L2の波長の両方に関して透過性を有する材料であって、例えばサファイアである。レーザ光通過窓部20Dの光通過領域(レーザ光L1が通過する領域)は、遮光性を有する本体部80の壁部80aによって画定されている。発光封体1Aでは、窓部材27の光通過領域が壁部80aによって画定されている。換言すれば、プラズマ領域Rと光通過開口84とが並んでいる方向(発光封体1Aでは、Z軸方向)から見た場合に、窓部材27の光通過領域が壁部80aによって包囲されている。
【0033】
なお、壁部80aは、プラズマを透過したレーザ光L1が照射されないような位置に配置されている。換言すれば、レーザ光通過窓部20Dは、プラズマを透過したレーザ光L1が、壁部80aによって画定された窓部材27の光通過領域のみに照射されて当該光通過領域のみを通過するように、設けられている。これにより、壁部80aと窓部材27との固定領域に、プラズマを透過したレーザ光L1が照射されることを抑制し、熱等の影響によって壁部80aと窓部材27との固定状態が変化するのを抑制することができる。
【0034】
発光封体1Aでは、本体部80は、第1包囲部材80A、第2包囲部材80B及び第3包囲部材80Cを有している。第1包囲部材80Aは、包囲空間81の大部分、光通過開口83、光通過開口84における包囲空間81側の一部、及び二つの電極用開口85,86を画定している。第2包囲部材80Bは、光通過開口82、及び包囲空間81における光通過開口82側の一部を画定している。第3包囲部材80Cは、光通過開口84の大部分を画定している。第1包囲部材80A、第2包囲部材80B、第3包囲部材80Cのそれぞれの材料は、高温耐性を有する絶縁材料であって、例えばセラミックである。特に白色のセラミックを用いた場合、プラズマ光L2を反射することでプラズマ光出射窓部20Bから取り出す光量をより大きくすることができる。窓部材25は、第1包囲部材80Aと第3包囲部材80Cとによって挟持されている。第1包囲部材80A、第2包囲部材80B及び第3包囲部材80Cは、窓部材25と共に互いに組み合わされた状態で、筐体7によって保持されている。
【0035】
第1電極3は、筐体7外から、筐体7の電極用開口75及び包囲部8の電極用開口85を介して、包囲空間81内に延在している。発光封体1Aでは、第1電極3は、Y軸方向に延在している棒状の部材である。第1電極3の材料は、例えばタングステン等の高融点金属材料である。第1電極3の先端部(第1先端部)31は、筐体7内においてプラズマ領域Rに臨んでいる。発光封体1Aでは、第1電極3の先端部31は、包囲空間81内においてプラズマ領域Rに臨んでおり、包囲部8によって包囲されている。
【0036】
第1保持部5は、絶縁性の部材であり、第1電極3を保持している。第1保持部5の材料は、高温耐性を有する絶縁材料であって、例えばセラミックである。発光封体1Aでは、第1保持部5は、本体部51、及び一対の筒状部52,53を有している。筒状部52は、本体部51に対してプラズマ領域Rとは反対側に位置しており、筒状部53は、本体部51に対してプラズマ領域R側に位置している。本体部51及び筒状部52は、筐体7の電極用開口75の外側に配置されており、筒状部53は、筐体7の電極用開口75の内側に配置されている。本体部51には、貫通孔51aが形成されている。貫通孔51aは、Y軸方向に延在しており、各筒状部52,53の内側に開口している。貫通孔51a内には、第1電極3の中間部32が配置されている。中間部32の側面は、例えば金属ロウ材等の接合材によって、貫通孔51aの内面に気密に接合されている。筒状部52の内側には、第1電極3の基端部33が配置されている。
【0037】
第1保持部5は、筐体7に固定されている。発光封体1Aでは、第1保持部5は、筒状の接続部材9を介して筐体7に固定されている。接続部材9は、筒状部91及び内向きフランジ部92を有している。内向きフランジ部92は、筒状部91における筐体7とは反対側の端部に設けられている。接続部材9の材料は、例えばコバール等の金属材料である。内向きフランジ部92は、例えば金属ロウ材等の接合材によって、第1保持部5の本体部51に設けられた外向きフランジ部54に気密に接合されている。筒状部91における筐体7側の端部は、例えばレーザ溶接によって、筐体7に気密に接合されている。
【0038】
第2電極4は、筐体7の電極用開口76内から、包囲部8の電極用開口86を介して、包囲空間81内に延在している。発光封体1Aでは、第2電極4は、Y軸方向に延在している棒状の部材である。第2電極4の材料は、例えばタングステン等の高融点金属材料である。第2電極4の先端部(第2先端部)41は、筐体7内においてプラズマ領域Rに臨んでおり、プラズマ領域Rを挟んで第1電極3の先端部31と向かい合っている。発光封体1Aでは、第2電極4の先端部41は、包囲空間81内においてプラズマ領域Rに臨んでおり、包囲部8によって包囲されている。第2電極4の基端部43の側面は、例えば金属ロウ材等の接合材によって、電極用開口76の内面に気密に接合されている。
【0039】
筐体7の本体部70には、収容空間71にガスGを封入するための封入孔77が形成されている。封入孔77には、封入管12が接続されている。封入管12の材料は、例えば銅等の金属材料である。封入管12における封入孔77とは反対側の端部は、封止されている。封入管12の外面は、例えば金属ロウ材等の接合材によって、封入孔77の内面に気密に接合されている。
【0040】
以上のように構成された発光封体1Aでは、第2電極4が接地電位とされて、第1電極3に負の電圧パルス又は正の電圧パルスが印加される。これにより、包囲空間81内のガスGにおいてアーク放電が発生し、第1電極3と第2電極4との間においてプラズマが発生する。このとき、レーザ光入射窓部20Aからプラズマ領域Rにレーザ光L1が入射することで、プラズマ領域Rにおいてプラズマが維持される。そして、プラズマから発せられたプラズマ光L2が、出力光としてプラズマ光出射窓部20Bから外部に出射する。
【0041】
以上説明したように、発光封体1Aでは、プラズマを発生させるためのガスGを収容している収容構造体2が、プラズマを透過したレーザ光L1をプラズマ領域Rから出射させるレーザ光通過窓部20Dを有している。このレーザ光通過窓部20Dは、プラズマから発せられたプラズマ光L2をプラズマ領域Rから出射させるプラズマ光出射窓部20Bとは別の窓部であって、レーザ光L1をプラズマ領域Rに入射させるレーザ光入射窓部20Aとプラズマ領域Rを挟んで向かい合っている。これにより、プラズマ光出射窓部20Bからプラズマ光L2を出力光として取り出しつつ、プラズマを透過したレーザ光L1をレーザ光通過窓部20Dから発光封体1A外に取り出すことができる。したがって、出力光にレーザ光L1が混じることを抑制しつつ、レーザ光L1の出力を上げても、発光封体1A内におけるその影響を抑制することができる。よって、発光封体1Aによれば、出力光の品質の向上及び出力光の出力の向上の両立を図ることができる。
【0042】
発光封体1Aでは、レーザ光通過窓部20Dが、プラズマ領域Rからレーザ光通過窓部20D側に出射されたプラズマ光L2も出射させる。このように、プラズマを透過したレーザ光L1に加え、プラズマ領域Rからレーザ光通過窓部20D側に出射されたプラズマ光L2もレーザ光通過窓部20Dから取り出すことで、発光封体1A内におけるプラズマ光L2の影響を抑制し、出力光の品質の向上及び出力光の出力の向上の両立を図ることができる。
【0043】
発光封体1Aでは、収容構造体2が、レーザ光入射窓部20A及びプラズマ光出射窓部20Bを有する筐体7と、レーザ光通過窓部20D及び壁部80aを有し、筐体7内においてプラズマ領域Rを含む包囲空間81を画定している包囲部8と、を有している。これにより、収容構造体2が包囲部8を有していない場合に比べ、ガスGが対流する空間が狭くなるため、当該空間においてガスGに対流が発生するのを確実に抑制することができる。その結果、出力光からノイズ成分を除くことができるので、出力光の品質を向上させることができる。
【0044】
発光封体1Aでは、レーザ光入射窓部20Aが、光通過開口82における包囲空間81側の開口端82aに対して包囲空間81とは反対側に位置しており、プラズマ光出射窓部20Bが、光通過開口83における包囲空間81側の開口端83aに対して包囲空間81とは反対側に位置しており、光通過開口82及び光通過開口83のそれぞれが、包囲空間81に対して狭められている。これにより、ガスGに対流が発生するのをより確実に抑制することができる。よって、出力光の品質を向上させることができる。
【0045】
発光封体1Aでは、包囲部8が絶縁性の部材によって構成されている。これにより、第1電極3の先端部31及び第2電極4の先端部41が絶縁性の包囲部8によって包囲されているため、包囲空間81を狭くしても、プラズマを確実に発生させることができると共に、プラズマを安定的に維持することができる。よって、出力光の品質を向上させることができる。
【0046】
発光封体1Aでは、筐体7が、レーザ光通過窓部20Dと向かい合っているレーザ光出射窓部20Cを有しており、レーザ光出射窓部20Cが、レーザ光通過窓部20Dを透過したレーザ光L1を筐体7外に出射させる。これにより、ガスGが存在する空間に入射したレーザ光L1のうちプラズマを透過したレーザ光L1を、包囲部8のレーザ光通過窓部20D及び筐体7のレーザ光出射窓部20Cを介して筐体7外に出射させることができる。また、筐体7の封止は、レーザ光出射窓部20Cによって行うことができるので、レーザ光通過窓部20Dは封止以外の機能に関して最適な構成をとることができる。
【0047】
発光封体1Aでは、レーザ光通過窓部20Dの窓部材27とプラズマ領域Rとの距離が、レーザ光入射窓部20Aの窓部材21とプラズマ領域Rとの距離、プラズマ光出射窓部20Bの窓部材23とプラズマ領域Rとの距離、及びレーザ光出射窓部20Cの窓部材25とプラズマ領域Rとの距離のいずれよりも小さい。これにより、包囲部8がレーザ光通過窓部20Dを有していない場合に比べ、ガスGが対流する空間が狭くなるため、当該空間においてガスGに対流が発生するのを確実に抑制することができる。その結果、出力光からノイズ成分を除くことができるので、出力光の品質を向上させることができる。
【0048】
発光封体1Aでは、レーザ光通過窓部20Dの窓部材27の厚さが、レーザ光出射窓部20Cの窓部材25の厚さよりも薄い。これにより、他の窓部材21,23,25よりもプラズマに近いためにプラズマによる熱影響が大きくなるレーザ光通過窓部20Dの窓部材27において、その厚さを薄くすることで熱膨張等の影響を低減し、レーザ光通過窓部20Dの窓部材27の破損や固定状態の変化等を抑制することができる。したがって、発光封体1Aを安定的に動作させることができ、出力光の品質を向上させることができる。
[第2実施形態]
【0049】
図4、
図5及び
図6に示されるように、第2実施形態の発光封体1Bは、第2電極4が第2保持部6によって保持されている点、及び、包囲部8の第1包囲部分8Aが第1保持部5に設けられており、包囲部8の第2包囲部分8Bが第2保持部6に設けられている点で、第1実施形態の発光封体1Aと主に相違している。以下、第2実施形態の発光封体1Bについて、第1実施形態の発光封体1Aとの相違点を中心に説明する。
【0050】
図4、
図5及び
図6に示されるように、第1電極3は、筐体7外から、筐体7の電極用開口75を介して、包囲空間81内に延在している。第2電極4は、筐体7外から、筐体7の電極用開口76を介して、包囲空間81内に延在している。発光封体1Bでは、第1電極3及び第2電極4のそれぞれは、Y軸方向に延在している棒状の部材である。
【0051】
第1保持部5は、絶縁性の部材であり、第1電極3を保持している。第1保持部5の材料は、高温耐性を有する絶縁材料であって、例えばセラミックである。発光封体1Bでは、第1保持部5は、本体部51及び筒状部52を有している。筒状部52は、本体部51に対してプラズマ領域Rとは反対側に位置しており、筐体7の電極用開口75の外側に配置されている。本体部51は、筐体7外から電極用開口75内に延在している。本体部51には、貫通孔51aが形成されている。貫通孔51aは、Y軸方向に延在しており、包囲空間81、及び筒状部52の内側に開口している。貫通孔51a内には、第1電極3の中間部32が配置されている。中間部32の側面は、例えば金属ロウ材等の接合材によって、貫通孔51aの内面に気密に接合されている。筒状部52の内側には、第1電極3の基端部33が配置されている。
【0052】
第1保持部5は、筐体7に固定されている。発光封体1Bでは、第1保持部5は、筒状の接続部材9を介して筐体7に固定されている。接続部材9は、筒状部91及び内向きフランジ部92を有している。内向きフランジ部92は、筒状部91における筐体7とは反対側の端部に設けられている。接続部材9の材料は、例えばコバール等の金属材料である。内向きフランジ部92は、例えば金属ロウ材等の接合材によって、第1保持部5の本体部51に設けられた外向きフランジ部54に気密に接合されている。筒状部91における筐体7側の端部は、例えばレーザ溶接によって、筐体7に気密に接合されている。
【0053】
第2保持部6は、絶縁性の部材であり、第2電極4を保持している。第2保持部6の材料は、高温耐性を有する絶縁材料であって、例えばセラミックである。発光封体1Bでは、第2保持部6は、本体部61及び筒状部62を有している。筒状部62は、本体部61に対してプラズマ領域Rとは反対側に位置しており、筐体7の電極用開口76の外側に配置されている。本体部61は、筐体7外から電極用開口76内に延在している。本体部61には、貫通孔61aが形成されている。貫通孔61aは、Y軸方向に延在しており、包囲空間81、及び筒状部62の内側に開口している。貫通孔61a内には、第2電極4の中間部42が配置されている。中間部42の側面は、例えば金属ロウ材等の接合材によって、貫通孔61aの内面に気密に接合されている。筒状部62の内側には、第2電極4の基端部43が配置されている。
【0054】
第2保持部6は、筐体7に固定されている。発光封体1Bでは、第2保持部6は、筒状の接続部材11を介して筐体7に固定されている。接続部材11は、筒状部111及び内向きフランジ部112を有している。内向きフランジ部112は、筒状部111における筐体7とは反対側の端部に設けられている。接続部材11の材料は、例えばコバール等の金属材料である。内向きフランジ部112は、例えば金属ロウ材等の接合材によって、第2保持部6の本体部61に設けられた外向きフランジ部64に気密に接合されている。筒状部111における筐体7側の端部は、例えばレーザ溶接によって、筐体7に気密に接合されている。
【0055】
包囲部8の第1包囲部分8Aは、本体部80の第1部分80D、及びレーザ光通過窓部20Dを有している。第1部分80Dは、本体部80のうち、包囲空間81の大部分、三つの光通過開口82,83,84、及び電極用開口85を画定している部分である。第1部分80Dの材料は、高温耐性を有する絶縁材料であって、例えばセラミックである。第1部分80Dは、電極用開口85が貫通孔51aと連通した状態で、第1保持部5と一体で形成されている。つまり、第1包囲部分8Aは、第1保持部5に設けられている。
【0056】
包囲部8の第2包囲部分8Bは、本体部80の第2部分80Eを有している。第2部分80Eは、本体部80のうち、包囲空間81における電極用開口86側の一部、及び電極用開口86を画定している部分である。第2部分80Eの材料は、高温耐性を有する絶縁材料であって、例えばセラミックである。第2部分80Eは、電極用開口86が貫通孔61aと連通した状態で、第2保持部6と一体で形成されている。つまり、包囲部8の第2包囲部分8Bは、第2保持部6に設けられている。
【0057】
以上説明したように、発光封体1Bでは、包囲部8の第1包囲部分8Aが、第1電極3を保持している絶縁性の第1保持部5に設けられており、包囲部8の第2包囲部分8Bが、第2電極4を保持している絶縁性の第2保持部6に設けられている。これにより、第1電極3を保持している第1保持部5、及び第2電極4を保持している第2保持部6を利用して、容易に包囲部8を構成することができる。また、第1電極3の先端部31及び第2電極4の先端部41が絶縁性の包囲部8によって包囲されているため、包囲空間81を狭くしても、プラズマを確実に発生させることができると共に、プラズマを安定的に維持することができる。よって、出力光の品質を向上させることができる。
[第3実施形態]
【0058】
図7、
図8及び
図9に示されるように、第3実施形態の発光封体1Cは、筐体7の収容空間71内に包囲部8が配置されていない点で、第1実施形態の発光封体1Aと主に相違している。発光封体1Cでは、収容構造体2が、レーザ光入射窓部20A、プラズマ光出射窓部20B、レーザ光出射窓部(第3窓部)20Cを有する筐体7によって構成されており、プラズマ領域Rを含む包囲空間81が、筐体7によって画定されている。発光封体1Cでは、レーザ光出射窓部20Cの光通過領域が、遮光性を有する本体部70の壁部70aによって画定されている。
【0059】
以上説明したように、発光封体1Cでは、収容構造体2が、レーザ光入射窓部20A、プラズマ光出射窓部20B、レーザ光出射窓部20C及び壁部70aを有する筐体7を有しており、筐体7が、プラズマ領域Rを含む包囲空間81を画定している。これにより、より簡易な構成で、ガスGが存在する空間に入射したレーザ光L1のうちプラズマを透過したレーザ光L1を、筐体7のレーザ光出射窓部20Cを介して筐体7外に出射させるができる。
[変形例]
【0060】
本発明は、上述した実施形態に限定されない。例えば、第1実施形態の発光封体1A及び第2実施形態の発光封体1Bでは、レーザ光入射窓部20Aの窓部材21が光通過開口82の外側に位置していたが、窓部材21の一部が光通過開口82の内側に位置していてもよい。レーザ光入射窓部20Aは、光通過開口82における包囲空間81側の開口端82aに対して包囲空間81とは反対側に位置していればよい。
【0061】
第1実施形態の発光封体1A及び第2実施形態の発光封体1Bでは、プラズマ光出射窓部20Bの窓部材23が光通過開口83の外側に位置していたが、窓部材23の一部が光通過開口83の内側に位置していてもよい。プラズマ光出射窓部20Bは、光通過開口83における包囲空間81側の開口端83aに対して包囲空間81とは反対側に位置していればよい。
【0062】
第1実施形態の発光封体1A及び第2実施形態の発光封体1Bでは、包囲部8において、光通過開口82及び光通過開口83の少なくとも一方が、包囲空間81に対して狭められていればよい。その場合にも、ガスGに対流が発生するのを確実に抑制することができる。
【0063】
第2実施形態の発光封体1Bでは、包囲部8の少なくとも一部分が、第1電極3を保持している絶縁性の第1保持部5に設けられていればよい。その場合にも、第1電極3を保持している第1保持部5を利用して、包囲部8の少なくとも一部分を構成することができる。一例として、包囲部8の全体が、第1電極3を保持している絶縁性の第1保持部5に設けられていてもよい。
【0064】
第1実施形態の発光封体1A、第2実施形態の発光封体1B及び第3実施形態の発光封体1Cは、第1電極3及び第2電極4を備えていなくてもよい。その場合にも、レーザ光L1をガスGに照射することで、プラズマを発生させることができる。第1実施形態の発光封体1A、第2実施形態の発光封体1B及び第3実施形態の発光封体1Cでは、筐体7に複数のプラズマ光出射窓部20Bが設けられており、各プラズマ光出射窓部20Bからプラズマ光L2が出射するように収容構造体2が構成されていてもよい。
【符号の説明】
【0065】
1A,1B,1C…発光封体、2…収容構造体、3…第1電極、4…第2電極、5…第1保持部、6…第2保持部、7…筐体、8…包囲部、8A…第1包囲部分、8B…第2包囲部分、20A…レーザ光入射窓部(第1窓部)、20B…プラズマ光出射窓部(第2窓部)、20C…レーザ光出射窓部(第4窓部、第3窓部)、20D…レーザ光通過窓部(第3窓部)、21,23,25,27…窓部材、31…先端部(第1先端部)、41…先端部(第2先端部)、70a,80a…壁部、81…包囲空間、82…光通過開口(第1開口)、82a…開口端、83…光通過開口(第2開口)、83a…開口端、G…ガス、L1…レーザ光(第1光)、L2…プラズマ光(第2光)、R…プラズマ領域。